制震構造
【課題】 鋼板よりも安価で耐火被覆の必要もないプレキャストコンクリート板を用い且つ梁に大きな負荷がかからない制震機構とすることによって、S造、SRC造、RC造といった構造形式にかかわらず採用でき、コストも軽減できる新たな制震構造を提供する。
【解決手段】 柱1、梁2からなる構造フレーム内に、複数枚のプレキャストコンクリート板3を、その長手面が対向する状態に、水平方向又は垂直方向に並べて設け、隣接するプレキャストコンクリート板同士の間やプレキャストコンクリート板と柱梁の間に形成した隙間に粘弾性体5を充填するか、構造フレーム内に面する柱の側面に、複数枚のプレキャストコンクリート板を重ねて取り付け、隣接するプレキャストコンクリート板同士の間や柱とプレキャストコンクリート板の間に形成した隙間に粘弾性体5を充填する。
【解決手段】 柱1、梁2からなる構造フレーム内に、複数枚のプレキャストコンクリート板3を、その長手面が対向する状態に、水平方向又は垂直方向に並べて設け、隣接するプレキャストコンクリート板同士の間やプレキャストコンクリート板と柱梁の間に形成した隙間に粘弾性体5を充填するか、構造フレーム内に面する柱の側面に、複数枚のプレキャストコンクリート板を重ねて取り付け、隣接するプレキャストコンクリート板同士の間や柱とプレキャストコンクリート板の間に形成した隙間に粘弾性体5を充填する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震などの水平荷重による揺れのエネルギーを粘弾性体の粘り抵抗によって吸収する制震構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、制震技術を用いることで地震などの水平荷重による揺れのエネルギーを吸収し、建物の揺れを抑制すると共に、建物を構成する柱や梁からなる構造体への負荷を軽減したり、構造体の中で応力の集中しやすい部分などに制震壁を設けることで応力の均衡を図り、安定した構造体を構築することが行われている。
【0003】制震壁としては、従来より様々なものが提案されているが、基本的には、図11、図12に示すとおり、複数枚の鋼板aを、その板面が対向する状態に配置して、交互に上下の梁bで一体に挙動するように支持し、夫々の鋼板aの板面の間に粘弾性体cを介在させたものである。
【0004】ところが、上記の基本構成に基づく制震壁では、ブレースなどによる制震機構と異なり、梁bから鋼板aに応力を伝達し、粘弾性体cによりそのエネルギーを吸収するものであるから、鋼板aに応力を伝達する際には、梁bに大きな負荷が生じ、梁b自体にそのための余分の強度を持たせる必要があった。そのため、鉄骨造(S造)あるいは鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)などでは採用の可能性があるが、鉄筋コンクリート造(RC造)の建物では採用が難しいという問題があった。また、こうした鋼板aを用いる制震壁では、鋼板a自体がコスト高である上、実用にあたっては、鋼板aへの耐火被覆を行う必要があり、耐火被覆の面積が大きくて、不経済であるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の現状に鑑み、本発明は、鋼板よりも安価で耐火被覆の必要もないプレキャストコンクリート板を用い且つ梁に大きな負荷がかからない制震機構とすることによって、S造、SRC造、RC造といった構造形式にかかわらず採用でき、コストも軽減できる新たな制震構造を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、請求項1に記載の発明による制震構造は、柱、梁からなる構造フレーム内に、複数枚のプレキャストコンクリート板が、その長手面を対向させて水平方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板の長手面同士の間、プレキャストコンクリート板の長手面と柱との間、プレキャストコンクリート板の小口面と梁との間に、夫々、所定の隙間が形成され、プレキャストコンクリート板の小口面の中心位置が上下の梁にヒンジ的に接合され、前記隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴としている。
【0007】上記の構成によれば、地震などの水平力により、柱に傾きが生じると、上下の梁が水平方向に位置ずれし、梁にヒンジ的に接合されている各々のプレキャストコンクリート板がヒンジ的に接合部を中心に回転する。これにより、プレキャストコンクリート板の長手面同士の間にある粘弾性体、プレキャストコンクリート板の長手面と柱との間にある粘弾性体、上下の梁とプレキャストコンクリート板の小口面との間にある粘弾性体は、夫々、プレキャストコンクリート板の回転に伴うズレと圧迫に抵抗しながらひずみ、さらに、上記と反対方向の水平力が加わると、方向は反対であるが、上記と同様のズレと圧迫に抵抗しながらひずむという繰返しになり、こうした粘弾性体の抵抗しながらひずむという粘りがエネルギーを吸収し、柱、梁からなる構造フレームにかかる応力を軽減することになる。
【0008】即ち、請求項1に記載の発明では、各プレキャストコンクリート板は上下の梁に剛に接合されておらず、柱梁からなる構造フレームによってプレキャストコンクリート板を回転させ、その回転による粘弾性体の粘り抵抗によって、エネルギーを吸収するようにしたので、従来の制震壁のように梁に大きな負荷を与えることがなく、柱梁などに特別な補強をする必要がないので、S造やSRC造はもとよりRC造の建物についても容易に採用できるのである。
【0009】しかも、プレキャストコンクリート板に対しては耐火被覆が不要であり、鋼板を使用していた従来の制震壁に比べて、耐火被覆を必要とする面積が著しく減少することと、プレキャストコンクリート板自体が鋼板に比して安価であることとによって、コストを軽減できるのである。
【0010】請求項2に記載の発明による制震構造は、柱、梁からなる構造フレーム内に、複数枚のプレキャストコンクリート板が、その長手面を対向させて段積の形で垂直方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板の長手面同士の間、プレキャストコンクリート板の小口面と柱との間、プレキャストコンクリート板の長手面と梁との間に、夫々、所定の隙間が形成され、プレキャストコンクリート板の小口面の中心位置が両側の柱に当接あるいはヒンジ的に接合され、前記隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴としている。
【0011】上記の構成によれば、各プレキャストコンクリート板は上下の梁に剛に接合されておらず、地震などの水平力により、柱に傾きが生じると、柱との当接あるいはヒンジ的な接合部によって各々のプレキャストコンクリート板が押されて水平方向に位置ずれする。これにより、プレキャストコンクリート板の長手面同士の間にある粘弾性体、プレキャストコンクリート板の小口面と柱との間にある粘弾性体、上下の梁とプレキャストコンクリート板の長手面との間にある粘弾性体は、プレキャストコンクリート板の水平移動に伴うズレと圧迫に抵抗しながらひずみ、さらに、上記と反対方向の水平力が加わると、方向は反対であるが、上記と同様のズレと圧迫に抵抗しながらひずむという繰返しになり、こうした粘弾性体の抵抗しながらひずむという粘りがエネルギーを吸収し、柱梁からなるフレームにかかる応力を軽減することになる。なお、この場合、柱に当接等された壁板の粘性抵抗力は、力学的にはそのまま柱に発生しているせん断力を低減させるという効果を持っているのも大きな特徴である。
【0012】また、以上の説明から容易に分かるように、請求項1,2に記載の発明によれば、戸境壁等の形でコンクリートの壁がそこに設けられている場合は、それをそのまま制震構造壁に利用することができる。さらに、同一壁の中のプレキャストコンクリート板の分割枚数を増減させることによって、減衰性能を大幅に、自由に変えることができるので、制震構造としての設計が容易となる。
【0013】請求項3に記載の発明による制震構造は、柱、梁からなる構造フレーム内に、柱の側面及び上下の梁から突出した一対の鋼板と、当該鋼板によって外周部を覆われたプレキャストコンクリート板とが設けられ、プレキャストコンクリート板の板面と鋼板との間に所定の隙間が形成され、前記隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴としている。
【0014】上記の構成によれば、プレキャストコンクリート板は柱や上下の梁に剛に接合されておらず、地震などの水平力により、柱に傾きが生じても、プレキャストコンクリート板には直接応力がかからないので、プレキャストコンクリート板の内部に窓や玄関ドア等がある場合でも、地震による窓枠やドア枠の変形を防止できることになり、非耐力壁にも応用可能である。
【0015】請求項3に記載の発明による制震構造は、柱、梁からなる構造フレームの柱の側面に、複数枚のプレキャストコンクリート板が、その板面を対向させて水平方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板の板面同士の間、プレキャストコンクリート板の板面と柱との間、プレキャストコンクリート板の上下の小口面と上下の梁との間に、夫々、所定の隙間が形成される状態に配置され、前記隙間のうち、少なくとも隣接するプレキャストコンクリート板の板面同士の隙間と、プレキャストコンクリート板の板面と柱との隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴としている。
【0016】上記の構成によれば、各プレキャストコンクリート板は上下の梁に剛に接合されておらず、地震などの水平力により、柱に傾きが生じると、傾きに応じてプレキャストコンクリート板が倒れ、同時に柱とプレキャストコンクリート板との間、およびプレキャストコンクリート板同士の間で、略垂直方向のズレが生じる。これにより、プレキャストコンクリート板同士の間にある粘弾性体、柱とプレキャストコンクリート板との間にある粘弾性体は、略垂直方向のズレに抵抗しながらひずみ、さらに、上記と反対方向の水平力が加わると、柱の傾きに伴い、プレキャストコンクリート板が逆方向に倒れると同時に略垂直方向のズレが生じて、上記と同様の略垂直方向のズレに抵抗しながらひずむという繰返しになり、こうした粘弾性体の抵抗しながらひずむという粘りがエネルギーを吸収し、柱、梁からなる構造フレームにかかる応力を軽減することになる。
【0017】このように、請求項4に記載の発明においても、各プレキャストコンクリート板は上下の梁に剛に接合されていないので、従来の制震壁のように梁に負荷を与えることがなく、柱梁などに特別な補強をする必要がないので、S造やSRC造はもとよりRC造の建物においても容易に採用でき、しかも、プレキャストコンクリート板に対しては耐火被覆が不要であり、鋼板を使用していた従来の制震壁に比べて、耐火被覆を必要とする面積が著しく減少することと、プレキャストコンクリート板自体が鋼板に比して安価であることとによって、コストを軽減できるのである。
【0018】
【発明の実施の形態】図1〜図5は、請求項1の発明に係る制震構造の一例を示す。この制震構造は、図1の(A)、図3に示すように、柱1、梁2からなる構造フレーム内に、縦長矩形状に成型された複数枚のプレキャストコンクリート板3が、その長手面(長辺側の端面)を対向させて水平方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板3の長手面同士の間、プレキャストコンクリート板3の長手面と柱1との間、プレキャストコンクリート板3の小口面(短辺側の端面)と梁2との間には、夫々、所定の隙間が形成され、プレキャストコンクリート板3の小口面の中心位置が上下の梁1にヒンジ的に接合部4で接合され、前記隙間に粘弾性体5が充填されてなるものである。
【0019】上記の構成によれば、図1の(B)に示すように、地震などの水平力(矢印F)により、柱1に傾きが生じると、上下の梁2が水平方向に位置ずれし、梁2にヒンジ的に接合されている各々のプレキャストコンクリート板3が上下のヒンジ的な接合部4を中心に回転する。これにより、プレキャストコンクリート板3の長手面同士の間にある粘弾性体5、プレキャストコンクリート板3の長手面と柱1との間にある粘弾性体5、上下の梁2とプレキャストコンクリート板3の小口面との間にある粘弾性体5は、夫々、プレキャストコンクリート板3の回転に伴うズレと圧迫に抵抗しながらひずむことになる。
【0020】そして、反対方向の水平力により、柱1に逆方向への傾きが生じると、プレキャストコンクリート板3が、図1の(B)に示す状態とは逆方向に回転して、前記粘弾性体5が上記と同様のズレと圧迫に抵抗しながらひずみ、地震時には、この繰返しになり、こうした粘弾性体5の抵抗しながらひずむという粘りが水平荷重による揺れのエネルギーを吸収し、柱1、梁2からなる構造フレームにかかる応力を軽減することになる。
【0021】即ち、上記の制震構造では、各プレキャストコンクリート板3は上下の梁2に剛に接合されておらず、柱1、梁2からなる構造フレームによってプレキャストコンクリート板3を回転させ、その回転による粘弾性体5の粘り抵抗によって、エネルギーを吸収するようにしたので、梁2に大きな負荷を与えることがなく、柱梁などに特別な補強をする必要がないので、RC造の建物においても、容易に採用できるのである。
【0022】しかも、プレキャストコンクリート板3に対しては耐火被覆が不要であり、鋼板を使用していた従来の制震壁に比べて、耐火被覆を必要とする面積が著しく減少することと、プレキャストコンクリート板3自体が鋼板に比して安価であることとによって、コストを軽減できることになる。
【0023】上記の制震構造は、1階部分にピロティなどを有する建物や、集合住宅において1階が店舗や駐車場になっている場合や、ホテルにおいて1階に大きなロビーを設ける場合に、その1階部分の柱梁フレームに用いると、特に有効である。また、5〜14階程度の中高層建物では、1階の他、2階や3階の壁に上記の制震構造を用いることで、構造的に安定した架構フレームを構成できる。
【0024】上側の梁2とプレキャストコンクリート板3とのヒンジ接合部4は、図3、図4に示すように、プレキャストコンクリート板3のヒンジ接合部4を中心とする回転による引抜きを考慮して、斜め方向の接合鉄筋6を配筋すると共に、ヒンジ接合部分のコンクリートを拘束するための拘束鉄筋(図示の例では、上下方向の中央部を小径にしたスパイラル鉄筋が使用されている、)7が配筋されている。8はプレキャストコンクリート板3の補強筋、9は梁主筋、10は梁あばら筋である。11は柱主筋、12はフープ筋である。
【0025】下側の梁2とプレキャストコンクリート板3とのヒンジ的な接合部4は、上側のヒンジ的な接合部4と同じ構成であってもよいが、この例では、施工性を考慮して、図3〜図5に示すように、梁2のコンクリートに梁天端から突出する状態に埋設されたヒンジ構成板4aと、プレキャストコンクリート板3の下端部に小口面から突出する状態に埋設されたヒンジ構成板4bとをピン4cで接合するようにしている。13は梁側のヒンジ構成板補強筋、14はプレキャストコンクリート板側のヒンジ構成板補強筋である。
【0026】上記の制震構造は、例えば、次の方法により構築される。先ず、下階を構築する際、梁型枠内に、梁側のヒンジ構成板4aを梁配筋と同時にセットし、コンクリートの打設を行う。
【0027】梁コンクリートの硬化後、プレキャストコンクリート板3の建て込みを行う。その際、くさび等で梁2とプレキャストコンクリート板3との隙間を保持しながら梁側のヒンジ構成板4aとプレキャストコンクリート板3側のヒンジ構成板4bとを重合し、ピン4cで接合する。
【0028】その後、プレキャストコンクリート板3の傾きを防止する仮設支持材(図示せず)により、プレキャストコンクリート板3の姿勢を保持した状態で、柱1や上側の梁2などの配筋や型枠の構築を行う。その際、図3、図4に示すように、プレキャストコンクリート板3の上端から接合鉄筋6や拘束鉄筋7の上端部が突出しているので、これらを梁2内に取り込むように配筋する。また、プレキャストコンクリート板3と上側梁2との隙間を保持するために、発泡プラスチックなどをプレキャストコンクリート板3と梁型枠との間に挿入しておく。
【0029】次に、上側の梁2のコンクリート打設を行い、養生期間の経過後、型枠を脱型すると共に、上述したくさびや発泡プラスチックなどを取り除き、隣接するプレキャストコンクリート板3の長手面同士の隙間、プレキャストコンクリート板3の長手面と柱1との隙間、プレキャストコンクリート板3の小口面と梁2との隙間に、夫々、粘弾性体5を充填し、図1〜図3に示した制震構造を構築するのである。
【0030】粘弾性体5としては、ポリマーを含有するアスファルトなど瀝青による粘弾性体や、ポリマーを含有するゴムなど樹脂による粘弾性体などが用いられる。
【0031】尚、上記の例では、梁2を現場打ちコンクリートで構築する場合を説明したが、梁2がプレキャストコンクリートである場合は、プレキャストコンクリート板3の上側のヒンジ的な接合部4も、ヒンジ構成板4a、4bとピン4cによる接合とし、順次、構築していけばよい。梁がS造やSRC造の場合も同様に、ヒンジ構成板4a、4bとピン4cによるヒンジ的な接合部4を用いるのが良い。また、図示しないが、本例では、上下の梁には、隣接するプレキャストコンクリート板3が長手面同士を対向させて回転するように強制するガイド部(コンクリートによる溝)あるいはガイドレール部材等を設ける。
【0032】図6は、請求項2の発明に係る制震構造の一例を示す。この制震構造は、図6の(A)に示すように、柱1、梁2からなる構造フレーム内に、横長矩形状に成型された複数枚のプレキャストコンクリート板3が、その長手面(長辺側の端面)を対向させて垂直方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板3の長手面同士の間、プレキャストコンクリート板3の小口面(短辺側の端面)と柱1との間、プレキャストコンクリート板3の長手面と梁2との間に、夫々、所定の隙間が形成され、プレキャストコンクリート板3の小口面の中心位置が両側の柱1に、凸状に隆起した当接部15を介して当接され、前記隙間に粘弾性体5が充填されてなるものである。
【0033】尚、凸状に隆起した当接部15は、プレキャストコンクリート板3の小口面側に形成したものであるが、これとは逆に、柱側に形成してもよい。図示しないが、上下の梁2間には、垂直方向に並列したプレキャストコンクリート板3を垂直状態に保持するための垂直保持部材が設けられている。また、図示の例では、プレキャストコンクリート板3の長手面に凸状部16を形成して、当該凸状部16により上下のプレキャストコンクリート板3の間に隙間が保持されるようにしてあるが、前記垂直保持部材にプレキャストコンクリート板3を係止することで、上下のプレキャストコンクリート板3の間に隙間が保持されるように構成してもよい。
【0034】上記の構成によれば、各プレキャストコンクリート板3は上下の梁2に剛に接合されておらず、図6R>6の(B)に示すように、地震などの水平力(矢印F)により、柱1に傾きが生じると、柱1との当接部15によって各々のプレキャストコンクリート板3が押されて水平方向に位置ずれする。これにより、プレキャストコンクリート板3の長手面同士の間にある粘弾性体5、プレキャストコンクリート板3の小口面と柱1との間にある粘弾性体5、上下の梁2とプレキャストコンクリート板3の長手面との間にある粘弾性体5は、夫々、プレキャストコンクリート板3の水平移動に伴うズレと圧迫に抵抗しながらひずみ、反対方向の水平力が加わると、上記と同様のズレと圧迫に抵抗しながらひずむという繰返しになり、こうした粘弾性体5の抵抗しながらひずむという粘りが水平荷重による揺れのエネルギーを吸収し、柱1、梁2からなる構造フレームにかかる応力を軽減することになる
【0035】図6に示した制震構造は、例えば、次の方法により構築される。先ず、下階のコンクリートの打設が終わった後に、プレキャストコンクリート板3の建て込みを行い、プレキャストコンクリート板3の傾きを防止する仮設支持材によりプレキャストコンクリート板3の姿勢を保持した状態で、柱1、梁2などの配筋や型枠の構築を行う。その際、プレキャストコンクリート板3と上側の梁2との隙間を保持するために、発泡プラスチックなどをプレキャストコンクリート板3と梁型枠との間に挿入しておく。
【0036】次に、柱1や上側の梁2などのコンクリート打設を行い、養生期間の経過後、脱型すると共に、前記発泡プラスチックなどを取り除き、隣接するプレキャストコンクリート板3の長手面同士の隙間、プレキャストコンクリート板3の小口面と柱1との隙間、プレキャストコンクリート板3の長手面と梁2との隙間に、夫々、粘弾性体5を充填する。
【0037】しかる後、プレキャストコンクリート板3の垂直保持部材(図示せず)を上下の梁2にわたって固定し、上述した仮設支持材を撤去し、図6に示した制震構造とするのである。
【0038】柱1や梁2が、S造やSRC造の場合も、基本的な構成は、上記と同じであるが、柱1がS造のH型鋼である場合には、プレキャストコンクリート板3側に形成した当接部15がH型鋼のウエブ部分に当接するように構成することが望ましい。また、図示しないが、上下の梁に掛け渡すか、柱に沿わせる構成で、プレキャストコンクリート板3の垂直を維持するガイド部(柱にコンクリートの溝)あるいはガイドレール部材等を設ける。
【0039】図7は、請求項3の発明に係る制震構造の一例を示す。この制震構造は、柱1と梁(図示せず)からなる構造フレーム内に、柱1の側面及び上下の梁から突出した方形枠状を呈する一対の鋼板22と、当該鋼板22によって外周部を覆われた1枚のプレキャストコンクリート板3とが設けられ、プレキャストコンクリート板3の板面とそれに対向する鋼板22との間に所定の隙間が形成され、前記隙間に粘弾性体5が充填されてなるものである。
【0040】上記の構成によれば、プレキャストコンクリート板3は柱1や上下の梁に剛に接合されておらず、地震などの水平力により、柱1に傾きが生じても、プレキャストコンクリート板3には直接応力がかからないので、プレキャストコンクリート板3の内部に窓や玄関ドア等がある場合でも、地震による窓枠やドア枠の変形を防止できることになり、非耐力壁にも応用可能である。
【0041】図8〜図10は、請求項4の発明に係る制震構造の一例を示す。この制震構造は、図8の(A)、図9、図10に示すように、柱1、梁2からなる構造フレームにおける柱1の側面に、柱1と同じ横幅と、上下の梁2の間隔より若干短い上下寸法とを有する縦長矩形状に成型された複数枚のプレキャストコンクリート板3が、その板面を対向させて水平方向に重ねて設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板3の板面同士の間、プレキャストコンクリート板3の板面と柱1との間、プレキャストコンクリート板3の上側の小口面と上側の梁2との間に、夫々、所定の隙間が形成される状態に配置され、前記隙間のうち、少なくとも隣接するプレキャストコンクリート板3の板面同士の隙間と、プレキャストコンクリート板3の板面と柱1との隙間に粘弾性体5が充填されてなるものである。
【0042】図示の例では、プレキャストコンクリート板3の上側の小口面と上側の梁2との隙間にも粘弾性体5を充填してあり、プレキャストコンクリート板3の下側の小口面には、梁2又は床スラブに当接する局部的な凸部17を設けて、プレキャストコンクリート板3の下側の小口面と下側の梁2との間にも隙間を形成し、粘弾性体5を充填してあるが、これらの粘弾性体5は省略してもよい。また、プレキャストコンクリート板3の板面には、所定の位置に、局部的に隆起した凸部18を形成して、柱1や隣接するプレキャストコンクリート板3に当接させ、所定の隙間が確保されるように構成してある。
【0043】尚、柱1に対するプレキャストコンクリート板3の取付けは、アンカー19、帯状リング20、アングル材21などで適宜行われる。但し、柱脚以外の上部に付いては、特に、アンカー19を用いる場合、プレキャストコンクリート板3の柱1への取付けは、プレキャストコンクリート板3の挙動を妨げないように、ルーズにしておく必要がある。また、プレキャストコンクリート板3の取付けは、柱1や梁2などの構築後に行われるが、プレキャストコンクリート板3同士の間やプレキャストコンクリート板3と柱1との間への粘弾性体5の注入が難しい場合には、シート状にした粘弾性体5をそれらの間に挟むようにしてもよい。
【0044】上記の構成によれば、各プレキャストコンクリート板3は上下の梁2に剛に接合されておらず、図7R>7の(B)に示すように、地震などの水平力(矢印F)により、柱1に傾きが生じると、傾きに応じてプレキャストコンクリート板3が倒れ、同時に柱1とプレキャストコンクリート板3との間、およびプレキャストコンクリート板3同士の間で、略垂直方向のズレが生じる。これにより、プレキャストコンクリート板3同士の隙間にある粘弾性体5、柱1とプレキャストコンクリート板3との間にある粘弾性体5は、略垂直方向のズレに抵抗しながらひずみ、さらに、上記と反対方向の水平力が加わると、柱1の傾きに伴い、プレキャストコンクリート板3が逆方向に倒れると同時に略垂直方向のズレが生じて、上記と同様の略垂直方向のズレに抵抗しながらひずむという繰返しになり、こうした粘弾性体5の抵抗しながらひずむという粘りが水平荷重による揺れのエネルギーを吸収し、柱1、梁2からなる構造フレームにかかる応力を軽減することになる。
【0045】柱1が、S造やSRC造の場合も、基本的な構成は、上記と同じであるが、柱1がS造のH型鋼である場合には、H型鋼のウエブ部分又はフランジ部分に対向させて、プレキャストコンクリート板3を並設することになる。
【0046】
【発明の効果】本発明は、上述した構成よりなり、鋼板よりも安価で耐火被覆の必要もないプレキャストコンクリート板を用い且つ梁に大きな負荷がかからない制震機構としたので、S造、SRC造、RC造といった構造形式にかかわらず採用でき、コストも軽減できる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制震構造の一例を説明する図である。
【図2】横断面図である。
【図3】要部の斜視図である。
【図4】ヒンジ接合部の一例を示す配筋図である。
【図5】要部の縦断面図である。
【図6】本発明に係る制震構造の他の例を説明する図である。
【図7】本発明に係る制震構造の他の例を説明する横断面図である。
【図8】本発明に係る制震構造の他の例を説明する図である。
【図9】図8の(A)のX−X線断面図である。
【図10】図8の(A)のY−Y線断面図である。
【図11】従来例を説明する正面図である。
【図12】従来例を説明する縦断面図である。
【符号の説明】
1…柱、2…梁、3…プレキャストコンクリート板、5…粘弾性体。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震などの水平荷重による揺れのエネルギーを粘弾性体の粘り抵抗によって吸収する制震構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、制震技術を用いることで地震などの水平荷重による揺れのエネルギーを吸収し、建物の揺れを抑制すると共に、建物を構成する柱や梁からなる構造体への負荷を軽減したり、構造体の中で応力の集中しやすい部分などに制震壁を設けることで応力の均衡を図り、安定した構造体を構築することが行われている。
【0003】制震壁としては、従来より様々なものが提案されているが、基本的には、図11、図12に示すとおり、複数枚の鋼板aを、その板面が対向する状態に配置して、交互に上下の梁bで一体に挙動するように支持し、夫々の鋼板aの板面の間に粘弾性体cを介在させたものである。
【0004】ところが、上記の基本構成に基づく制震壁では、ブレースなどによる制震機構と異なり、梁bから鋼板aに応力を伝達し、粘弾性体cによりそのエネルギーを吸収するものであるから、鋼板aに応力を伝達する際には、梁bに大きな負荷が生じ、梁b自体にそのための余分の強度を持たせる必要があった。そのため、鉄骨造(S造)あるいは鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)などでは採用の可能性があるが、鉄筋コンクリート造(RC造)の建物では採用が難しいという問題があった。また、こうした鋼板aを用いる制震壁では、鋼板a自体がコスト高である上、実用にあたっては、鋼板aへの耐火被覆を行う必要があり、耐火被覆の面積が大きくて、不経済であるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の現状に鑑み、本発明は、鋼板よりも安価で耐火被覆の必要もないプレキャストコンクリート板を用い且つ梁に大きな負荷がかからない制震機構とすることによって、S造、SRC造、RC造といった構造形式にかかわらず採用でき、コストも軽減できる新たな制震構造を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明が講じた技術的手段は、次のとおりである。即ち、請求項1に記載の発明による制震構造は、柱、梁からなる構造フレーム内に、複数枚のプレキャストコンクリート板が、その長手面を対向させて水平方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板の長手面同士の間、プレキャストコンクリート板の長手面と柱との間、プレキャストコンクリート板の小口面と梁との間に、夫々、所定の隙間が形成され、プレキャストコンクリート板の小口面の中心位置が上下の梁にヒンジ的に接合され、前記隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴としている。
【0007】上記の構成によれば、地震などの水平力により、柱に傾きが生じると、上下の梁が水平方向に位置ずれし、梁にヒンジ的に接合されている各々のプレキャストコンクリート板がヒンジ的に接合部を中心に回転する。これにより、プレキャストコンクリート板の長手面同士の間にある粘弾性体、プレキャストコンクリート板の長手面と柱との間にある粘弾性体、上下の梁とプレキャストコンクリート板の小口面との間にある粘弾性体は、夫々、プレキャストコンクリート板の回転に伴うズレと圧迫に抵抗しながらひずみ、さらに、上記と反対方向の水平力が加わると、方向は反対であるが、上記と同様のズレと圧迫に抵抗しながらひずむという繰返しになり、こうした粘弾性体の抵抗しながらひずむという粘りがエネルギーを吸収し、柱、梁からなる構造フレームにかかる応力を軽減することになる。
【0008】即ち、請求項1に記載の発明では、各プレキャストコンクリート板は上下の梁に剛に接合されておらず、柱梁からなる構造フレームによってプレキャストコンクリート板を回転させ、その回転による粘弾性体の粘り抵抗によって、エネルギーを吸収するようにしたので、従来の制震壁のように梁に大きな負荷を与えることがなく、柱梁などに特別な補強をする必要がないので、S造やSRC造はもとよりRC造の建物についても容易に採用できるのである。
【0009】しかも、プレキャストコンクリート板に対しては耐火被覆が不要であり、鋼板を使用していた従来の制震壁に比べて、耐火被覆を必要とする面積が著しく減少することと、プレキャストコンクリート板自体が鋼板に比して安価であることとによって、コストを軽減できるのである。
【0010】請求項2に記載の発明による制震構造は、柱、梁からなる構造フレーム内に、複数枚のプレキャストコンクリート板が、その長手面を対向させて段積の形で垂直方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板の長手面同士の間、プレキャストコンクリート板の小口面と柱との間、プレキャストコンクリート板の長手面と梁との間に、夫々、所定の隙間が形成され、プレキャストコンクリート板の小口面の中心位置が両側の柱に当接あるいはヒンジ的に接合され、前記隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴としている。
【0011】上記の構成によれば、各プレキャストコンクリート板は上下の梁に剛に接合されておらず、地震などの水平力により、柱に傾きが生じると、柱との当接あるいはヒンジ的な接合部によって各々のプレキャストコンクリート板が押されて水平方向に位置ずれする。これにより、プレキャストコンクリート板の長手面同士の間にある粘弾性体、プレキャストコンクリート板の小口面と柱との間にある粘弾性体、上下の梁とプレキャストコンクリート板の長手面との間にある粘弾性体は、プレキャストコンクリート板の水平移動に伴うズレと圧迫に抵抗しながらひずみ、さらに、上記と反対方向の水平力が加わると、方向は反対であるが、上記と同様のズレと圧迫に抵抗しながらひずむという繰返しになり、こうした粘弾性体の抵抗しながらひずむという粘りがエネルギーを吸収し、柱梁からなるフレームにかかる応力を軽減することになる。なお、この場合、柱に当接等された壁板の粘性抵抗力は、力学的にはそのまま柱に発生しているせん断力を低減させるという効果を持っているのも大きな特徴である。
【0012】また、以上の説明から容易に分かるように、請求項1,2に記載の発明によれば、戸境壁等の形でコンクリートの壁がそこに設けられている場合は、それをそのまま制震構造壁に利用することができる。さらに、同一壁の中のプレキャストコンクリート板の分割枚数を増減させることによって、減衰性能を大幅に、自由に変えることができるので、制震構造としての設計が容易となる。
【0013】請求項3に記載の発明による制震構造は、柱、梁からなる構造フレーム内に、柱の側面及び上下の梁から突出した一対の鋼板と、当該鋼板によって外周部を覆われたプレキャストコンクリート板とが設けられ、プレキャストコンクリート板の板面と鋼板との間に所定の隙間が形成され、前記隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴としている。
【0014】上記の構成によれば、プレキャストコンクリート板は柱や上下の梁に剛に接合されておらず、地震などの水平力により、柱に傾きが生じても、プレキャストコンクリート板には直接応力がかからないので、プレキャストコンクリート板の内部に窓や玄関ドア等がある場合でも、地震による窓枠やドア枠の変形を防止できることになり、非耐力壁にも応用可能である。
【0015】請求項3に記載の発明による制震構造は、柱、梁からなる構造フレームの柱の側面に、複数枚のプレキャストコンクリート板が、その板面を対向させて水平方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板の板面同士の間、プレキャストコンクリート板の板面と柱との間、プレキャストコンクリート板の上下の小口面と上下の梁との間に、夫々、所定の隙間が形成される状態に配置され、前記隙間のうち、少なくとも隣接するプレキャストコンクリート板の板面同士の隙間と、プレキャストコンクリート板の板面と柱との隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴としている。
【0016】上記の構成によれば、各プレキャストコンクリート板は上下の梁に剛に接合されておらず、地震などの水平力により、柱に傾きが生じると、傾きに応じてプレキャストコンクリート板が倒れ、同時に柱とプレキャストコンクリート板との間、およびプレキャストコンクリート板同士の間で、略垂直方向のズレが生じる。これにより、プレキャストコンクリート板同士の間にある粘弾性体、柱とプレキャストコンクリート板との間にある粘弾性体は、略垂直方向のズレに抵抗しながらひずみ、さらに、上記と反対方向の水平力が加わると、柱の傾きに伴い、プレキャストコンクリート板が逆方向に倒れると同時に略垂直方向のズレが生じて、上記と同様の略垂直方向のズレに抵抗しながらひずむという繰返しになり、こうした粘弾性体の抵抗しながらひずむという粘りがエネルギーを吸収し、柱、梁からなる構造フレームにかかる応力を軽減することになる。
【0017】このように、請求項4に記載の発明においても、各プレキャストコンクリート板は上下の梁に剛に接合されていないので、従来の制震壁のように梁に負荷を与えることがなく、柱梁などに特別な補強をする必要がないので、S造やSRC造はもとよりRC造の建物においても容易に採用でき、しかも、プレキャストコンクリート板に対しては耐火被覆が不要であり、鋼板を使用していた従来の制震壁に比べて、耐火被覆を必要とする面積が著しく減少することと、プレキャストコンクリート板自体が鋼板に比して安価であることとによって、コストを軽減できるのである。
【0018】
【発明の実施の形態】図1〜図5は、請求項1の発明に係る制震構造の一例を示す。この制震構造は、図1の(A)、図3に示すように、柱1、梁2からなる構造フレーム内に、縦長矩形状に成型された複数枚のプレキャストコンクリート板3が、その長手面(長辺側の端面)を対向させて水平方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板3の長手面同士の間、プレキャストコンクリート板3の長手面と柱1との間、プレキャストコンクリート板3の小口面(短辺側の端面)と梁2との間には、夫々、所定の隙間が形成され、プレキャストコンクリート板3の小口面の中心位置が上下の梁1にヒンジ的に接合部4で接合され、前記隙間に粘弾性体5が充填されてなるものである。
【0019】上記の構成によれば、図1の(B)に示すように、地震などの水平力(矢印F)により、柱1に傾きが生じると、上下の梁2が水平方向に位置ずれし、梁2にヒンジ的に接合されている各々のプレキャストコンクリート板3が上下のヒンジ的な接合部4を中心に回転する。これにより、プレキャストコンクリート板3の長手面同士の間にある粘弾性体5、プレキャストコンクリート板3の長手面と柱1との間にある粘弾性体5、上下の梁2とプレキャストコンクリート板3の小口面との間にある粘弾性体5は、夫々、プレキャストコンクリート板3の回転に伴うズレと圧迫に抵抗しながらひずむことになる。
【0020】そして、反対方向の水平力により、柱1に逆方向への傾きが生じると、プレキャストコンクリート板3が、図1の(B)に示す状態とは逆方向に回転して、前記粘弾性体5が上記と同様のズレと圧迫に抵抗しながらひずみ、地震時には、この繰返しになり、こうした粘弾性体5の抵抗しながらひずむという粘りが水平荷重による揺れのエネルギーを吸収し、柱1、梁2からなる構造フレームにかかる応力を軽減することになる。
【0021】即ち、上記の制震構造では、各プレキャストコンクリート板3は上下の梁2に剛に接合されておらず、柱1、梁2からなる構造フレームによってプレキャストコンクリート板3を回転させ、その回転による粘弾性体5の粘り抵抗によって、エネルギーを吸収するようにしたので、梁2に大きな負荷を与えることがなく、柱梁などに特別な補強をする必要がないので、RC造の建物においても、容易に採用できるのである。
【0022】しかも、プレキャストコンクリート板3に対しては耐火被覆が不要であり、鋼板を使用していた従来の制震壁に比べて、耐火被覆を必要とする面積が著しく減少することと、プレキャストコンクリート板3自体が鋼板に比して安価であることとによって、コストを軽減できることになる。
【0023】上記の制震構造は、1階部分にピロティなどを有する建物や、集合住宅において1階が店舗や駐車場になっている場合や、ホテルにおいて1階に大きなロビーを設ける場合に、その1階部分の柱梁フレームに用いると、特に有効である。また、5〜14階程度の中高層建物では、1階の他、2階や3階の壁に上記の制震構造を用いることで、構造的に安定した架構フレームを構成できる。
【0024】上側の梁2とプレキャストコンクリート板3とのヒンジ接合部4は、図3、図4に示すように、プレキャストコンクリート板3のヒンジ接合部4を中心とする回転による引抜きを考慮して、斜め方向の接合鉄筋6を配筋すると共に、ヒンジ接合部分のコンクリートを拘束するための拘束鉄筋(図示の例では、上下方向の中央部を小径にしたスパイラル鉄筋が使用されている、)7が配筋されている。8はプレキャストコンクリート板3の補強筋、9は梁主筋、10は梁あばら筋である。11は柱主筋、12はフープ筋である。
【0025】下側の梁2とプレキャストコンクリート板3とのヒンジ的な接合部4は、上側のヒンジ的な接合部4と同じ構成であってもよいが、この例では、施工性を考慮して、図3〜図5に示すように、梁2のコンクリートに梁天端から突出する状態に埋設されたヒンジ構成板4aと、プレキャストコンクリート板3の下端部に小口面から突出する状態に埋設されたヒンジ構成板4bとをピン4cで接合するようにしている。13は梁側のヒンジ構成板補強筋、14はプレキャストコンクリート板側のヒンジ構成板補強筋である。
【0026】上記の制震構造は、例えば、次の方法により構築される。先ず、下階を構築する際、梁型枠内に、梁側のヒンジ構成板4aを梁配筋と同時にセットし、コンクリートの打設を行う。
【0027】梁コンクリートの硬化後、プレキャストコンクリート板3の建て込みを行う。その際、くさび等で梁2とプレキャストコンクリート板3との隙間を保持しながら梁側のヒンジ構成板4aとプレキャストコンクリート板3側のヒンジ構成板4bとを重合し、ピン4cで接合する。
【0028】その後、プレキャストコンクリート板3の傾きを防止する仮設支持材(図示せず)により、プレキャストコンクリート板3の姿勢を保持した状態で、柱1や上側の梁2などの配筋や型枠の構築を行う。その際、図3、図4に示すように、プレキャストコンクリート板3の上端から接合鉄筋6や拘束鉄筋7の上端部が突出しているので、これらを梁2内に取り込むように配筋する。また、プレキャストコンクリート板3と上側梁2との隙間を保持するために、発泡プラスチックなどをプレキャストコンクリート板3と梁型枠との間に挿入しておく。
【0029】次に、上側の梁2のコンクリート打設を行い、養生期間の経過後、型枠を脱型すると共に、上述したくさびや発泡プラスチックなどを取り除き、隣接するプレキャストコンクリート板3の長手面同士の隙間、プレキャストコンクリート板3の長手面と柱1との隙間、プレキャストコンクリート板3の小口面と梁2との隙間に、夫々、粘弾性体5を充填し、図1〜図3に示した制震構造を構築するのである。
【0030】粘弾性体5としては、ポリマーを含有するアスファルトなど瀝青による粘弾性体や、ポリマーを含有するゴムなど樹脂による粘弾性体などが用いられる。
【0031】尚、上記の例では、梁2を現場打ちコンクリートで構築する場合を説明したが、梁2がプレキャストコンクリートである場合は、プレキャストコンクリート板3の上側のヒンジ的な接合部4も、ヒンジ構成板4a、4bとピン4cによる接合とし、順次、構築していけばよい。梁がS造やSRC造の場合も同様に、ヒンジ構成板4a、4bとピン4cによるヒンジ的な接合部4を用いるのが良い。また、図示しないが、本例では、上下の梁には、隣接するプレキャストコンクリート板3が長手面同士を対向させて回転するように強制するガイド部(コンクリートによる溝)あるいはガイドレール部材等を設ける。
【0032】図6は、請求項2の発明に係る制震構造の一例を示す。この制震構造は、図6の(A)に示すように、柱1、梁2からなる構造フレーム内に、横長矩形状に成型された複数枚のプレキャストコンクリート板3が、その長手面(長辺側の端面)を対向させて垂直方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板3の長手面同士の間、プレキャストコンクリート板3の小口面(短辺側の端面)と柱1との間、プレキャストコンクリート板3の長手面と梁2との間に、夫々、所定の隙間が形成され、プレキャストコンクリート板3の小口面の中心位置が両側の柱1に、凸状に隆起した当接部15を介して当接され、前記隙間に粘弾性体5が充填されてなるものである。
【0033】尚、凸状に隆起した当接部15は、プレキャストコンクリート板3の小口面側に形成したものであるが、これとは逆に、柱側に形成してもよい。図示しないが、上下の梁2間には、垂直方向に並列したプレキャストコンクリート板3を垂直状態に保持するための垂直保持部材が設けられている。また、図示の例では、プレキャストコンクリート板3の長手面に凸状部16を形成して、当該凸状部16により上下のプレキャストコンクリート板3の間に隙間が保持されるようにしてあるが、前記垂直保持部材にプレキャストコンクリート板3を係止することで、上下のプレキャストコンクリート板3の間に隙間が保持されるように構成してもよい。
【0034】上記の構成によれば、各プレキャストコンクリート板3は上下の梁2に剛に接合されておらず、図6R>6の(B)に示すように、地震などの水平力(矢印F)により、柱1に傾きが生じると、柱1との当接部15によって各々のプレキャストコンクリート板3が押されて水平方向に位置ずれする。これにより、プレキャストコンクリート板3の長手面同士の間にある粘弾性体5、プレキャストコンクリート板3の小口面と柱1との間にある粘弾性体5、上下の梁2とプレキャストコンクリート板3の長手面との間にある粘弾性体5は、夫々、プレキャストコンクリート板3の水平移動に伴うズレと圧迫に抵抗しながらひずみ、反対方向の水平力が加わると、上記と同様のズレと圧迫に抵抗しながらひずむという繰返しになり、こうした粘弾性体5の抵抗しながらひずむという粘りが水平荷重による揺れのエネルギーを吸収し、柱1、梁2からなる構造フレームにかかる応力を軽減することになる
【0035】図6に示した制震構造は、例えば、次の方法により構築される。先ず、下階のコンクリートの打設が終わった後に、プレキャストコンクリート板3の建て込みを行い、プレキャストコンクリート板3の傾きを防止する仮設支持材によりプレキャストコンクリート板3の姿勢を保持した状態で、柱1、梁2などの配筋や型枠の構築を行う。その際、プレキャストコンクリート板3と上側の梁2との隙間を保持するために、発泡プラスチックなどをプレキャストコンクリート板3と梁型枠との間に挿入しておく。
【0036】次に、柱1や上側の梁2などのコンクリート打設を行い、養生期間の経過後、脱型すると共に、前記発泡プラスチックなどを取り除き、隣接するプレキャストコンクリート板3の長手面同士の隙間、プレキャストコンクリート板3の小口面と柱1との隙間、プレキャストコンクリート板3の長手面と梁2との隙間に、夫々、粘弾性体5を充填する。
【0037】しかる後、プレキャストコンクリート板3の垂直保持部材(図示せず)を上下の梁2にわたって固定し、上述した仮設支持材を撤去し、図6に示した制震構造とするのである。
【0038】柱1や梁2が、S造やSRC造の場合も、基本的な構成は、上記と同じであるが、柱1がS造のH型鋼である場合には、プレキャストコンクリート板3側に形成した当接部15がH型鋼のウエブ部分に当接するように構成することが望ましい。また、図示しないが、上下の梁に掛け渡すか、柱に沿わせる構成で、プレキャストコンクリート板3の垂直を維持するガイド部(柱にコンクリートの溝)あるいはガイドレール部材等を設ける。
【0039】図7は、請求項3の発明に係る制震構造の一例を示す。この制震構造は、柱1と梁(図示せず)からなる構造フレーム内に、柱1の側面及び上下の梁から突出した方形枠状を呈する一対の鋼板22と、当該鋼板22によって外周部を覆われた1枚のプレキャストコンクリート板3とが設けられ、プレキャストコンクリート板3の板面とそれに対向する鋼板22との間に所定の隙間が形成され、前記隙間に粘弾性体5が充填されてなるものである。
【0040】上記の構成によれば、プレキャストコンクリート板3は柱1や上下の梁に剛に接合されておらず、地震などの水平力により、柱1に傾きが生じても、プレキャストコンクリート板3には直接応力がかからないので、プレキャストコンクリート板3の内部に窓や玄関ドア等がある場合でも、地震による窓枠やドア枠の変形を防止できることになり、非耐力壁にも応用可能である。
【0041】図8〜図10は、請求項4の発明に係る制震構造の一例を示す。この制震構造は、図8の(A)、図9、図10に示すように、柱1、梁2からなる構造フレームにおける柱1の側面に、柱1と同じ横幅と、上下の梁2の間隔より若干短い上下寸法とを有する縦長矩形状に成型された複数枚のプレキャストコンクリート板3が、その板面を対向させて水平方向に重ねて設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板3の板面同士の間、プレキャストコンクリート板3の板面と柱1との間、プレキャストコンクリート板3の上側の小口面と上側の梁2との間に、夫々、所定の隙間が形成される状態に配置され、前記隙間のうち、少なくとも隣接するプレキャストコンクリート板3の板面同士の隙間と、プレキャストコンクリート板3の板面と柱1との隙間に粘弾性体5が充填されてなるものである。
【0042】図示の例では、プレキャストコンクリート板3の上側の小口面と上側の梁2との隙間にも粘弾性体5を充填してあり、プレキャストコンクリート板3の下側の小口面には、梁2又は床スラブに当接する局部的な凸部17を設けて、プレキャストコンクリート板3の下側の小口面と下側の梁2との間にも隙間を形成し、粘弾性体5を充填してあるが、これらの粘弾性体5は省略してもよい。また、プレキャストコンクリート板3の板面には、所定の位置に、局部的に隆起した凸部18を形成して、柱1や隣接するプレキャストコンクリート板3に当接させ、所定の隙間が確保されるように構成してある。
【0043】尚、柱1に対するプレキャストコンクリート板3の取付けは、アンカー19、帯状リング20、アングル材21などで適宜行われる。但し、柱脚以外の上部に付いては、特に、アンカー19を用いる場合、プレキャストコンクリート板3の柱1への取付けは、プレキャストコンクリート板3の挙動を妨げないように、ルーズにしておく必要がある。また、プレキャストコンクリート板3の取付けは、柱1や梁2などの構築後に行われるが、プレキャストコンクリート板3同士の間やプレキャストコンクリート板3と柱1との間への粘弾性体5の注入が難しい場合には、シート状にした粘弾性体5をそれらの間に挟むようにしてもよい。
【0044】上記の構成によれば、各プレキャストコンクリート板3は上下の梁2に剛に接合されておらず、図7R>7の(B)に示すように、地震などの水平力(矢印F)により、柱1に傾きが生じると、傾きに応じてプレキャストコンクリート板3が倒れ、同時に柱1とプレキャストコンクリート板3との間、およびプレキャストコンクリート板3同士の間で、略垂直方向のズレが生じる。これにより、プレキャストコンクリート板3同士の隙間にある粘弾性体5、柱1とプレキャストコンクリート板3との間にある粘弾性体5は、略垂直方向のズレに抵抗しながらひずみ、さらに、上記と反対方向の水平力が加わると、柱1の傾きに伴い、プレキャストコンクリート板3が逆方向に倒れると同時に略垂直方向のズレが生じて、上記と同様の略垂直方向のズレに抵抗しながらひずむという繰返しになり、こうした粘弾性体5の抵抗しながらひずむという粘りが水平荷重による揺れのエネルギーを吸収し、柱1、梁2からなる構造フレームにかかる応力を軽減することになる。
【0045】柱1が、S造やSRC造の場合も、基本的な構成は、上記と同じであるが、柱1がS造のH型鋼である場合には、H型鋼のウエブ部分又はフランジ部分に対向させて、プレキャストコンクリート板3を並設することになる。
【0046】
【発明の効果】本発明は、上述した構成よりなり、鋼板よりも安価で耐火被覆の必要もないプレキャストコンクリート板を用い且つ梁に大きな負荷がかからない制震機構としたので、S造、SRC造、RC造といった構造形式にかかわらず採用でき、コストも軽減できる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制震構造の一例を説明する図である。
【図2】横断面図である。
【図3】要部の斜視図である。
【図4】ヒンジ接合部の一例を示す配筋図である。
【図5】要部の縦断面図である。
【図6】本発明に係る制震構造の他の例を説明する図である。
【図7】本発明に係る制震構造の他の例を説明する横断面図である。
【図8】本発明に係る制震構造の他の例を説明する図である。
【図9】図8の(A)のX−X線断面図である。
【図10】図8の(A)のY−Y線断面図である。
【図11】従来例を説明する正面図である。
【図12】従来例を説明する縦断面図である。
【符号の説明】
1…柱、2…梁、3…プレキャストコンクリート板、5…粘弾性体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 柱、梁からなる構造フレーム内に、複数枚のプレキャストコンクリート板が、その長手面を対向させて水平方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板の長手面同士の間、プレキャストコンクリート板の長手面と柱との間、プレキャストコンクリート板の小口面と梁との間に、夫々、所定の隙間が形成され、プレキャストコンクリート板の小口面の中心位置が上下の梁にヒンジ的に接合され、前記隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴とする制震構造。
【請求項2】 柱、梁からなる構造フレーム内に、複数枚のプレキャストコンクリート板が、その長手面を対向させて段積の形で垂直方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板の長手面同士の間、プレキャストコンクリート板の小口面と柱との間、プレキャストコンクリート板の長手面と梁との間に、夫々、所定の隙間が形成され、プレキャストコンクリート板の小口面の中心位置が両側の柱に当接あるいはヒンジ的に接合され、前記隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴とする制震構造。
【請求項3】 柱、梁からなる構造フレーム内に、柱の側面及び上下の梁から突出した一対の鋼板と、当該鋼板によって外周部を覆われたプレキャストコンクリート板とが設けられ、プレキャストコンクリート板の板面と鋼板との間に所定の隙間が形成され、前記隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴とする制震構造。
【請求項4】 柱、梁からなる構造フレームの柱の側面に、複数枚のプレキャストコンクリート板が、その板面を対向させて水平方向に重ねて設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板の板面同士の間、プレキャストコンクリート板の板面と柱との間、プレキャストコンクリート板の上下の小口面と上下の梁との間に、夫々、所定の隙間が形成される状態に配置され、プレキャストコンクリート板の下部等の一部が柱に固定され、前記隙間のうち、少なくとも隣接するプレキャストコンクリート板の板面同士の隙間と、プレキャストコンクリート板の板面と柱との隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴とする制震構造。
【請求項1】 柱、梁からなる構造フレーム内に、複数枚のプレキャストコンクリート板が、その長手面を対向させて水平方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板の長手面同士の間、プレキャストコンクリート板の長手面と柱との間、プレキャストコンクリート板の小口面と梁との間に、夫々、所定の隙間が形成され、プレキャストコンクリート板の小口面の中心位置が上下の梁にヒンジ的に接合され、前記隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴とする制震構造。
【請求項2】 柱、梁からなる構造フレーム内に、複数枚のプレキャストコンクリート板が、その長手面を対向させて段積の形で垂直方向に並列して設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板の長手面同士の間、プレキャストコンクリート板の小口面と柱との間、プレキャストコンクリート板の長手面と梁との間に、夫々、所定の隙間が形成され、プレキャストコンクリート板の小口面の中心位置が両側の柱に当接あるいはヒンジ的に接合され、前記隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴とする制震構造。
【請求項3】 柱、梁からなる構造フレーム内に、柱の側面及び上下の梁から突出した一対の鋼板と、当該鋼板によって外周部を覆われたプレキャストコンクリート板とが設けられ、プレキャストコンクリート板の板面と鋼板との間に所定の隙間が形成され、前記隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴とする制震構造。
【請求項4】 柱、梁からなる構造フレームの柱の側面に、複数枚のプレキャストコンクリート板が、その板面を対向させて水平方向に重ねて設けられ、隣接するプレキャストコンクリート板の板面同士の間、プレキャストコンクリート板の板面と柱との間、プレキャストコンクリート板の上下の小口面と上下の梁との間に、夫々、所定の隙間が形成される状態に配置され、プレキャストコンクリート板の下部等の一部が柱に固定され、前記隙間のうち、少なくとも隣接するプレキャストコンクリート板の板面同士の隙間と、プレキャストコンクリート板の板面と柱との隙間に粘弾性体が充填されていることを特徴とする制震構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図12】
【図4】
【図6】
【図11】
【図8】
【図2】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図10】
【図12】
【図4】
【図6】
【図11】
【図8】
【公開番号】特開2003−278404(P2003−278404A)
【公開日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−82533(P2002−82533)
【出願日】平成14年3月25日(2002.3.25)
【出願人】(591270268)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年3月25日(2002.3.25)
【出願人】(591270268)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【Fターム(参考)】
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