説明

刷本集積装置

【課題】刷本集積装置において、装置の大型化や製作コストの高騰化などを招来することなく、排紙部の設置を可能にする。
【解決手段】刷本3を起立姿勢で降下搬送する給紙路20と、この刷本3を下受けして縦並べ状態に重合整列させる集積部21と、これら給紙路20と集積部21との交差部で刷本3を取出可能にする排紙部22とを有し、集積部21は刷本3を支持するテーブル30と、テーブル30上の刷本3の背面を支持する背当てガイド31とを有し、排紙部22は集積部21の背当てガイド31をテーブル30の後方へ開放させるガイド開閉機構45を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刷本集積装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
輪転機などから送り出される刷本(チラシなどの紙)は、一旦、工場内の上方の高い位置へと搬送された後、下向きに搬送される間に折り機によって二つ折り等の適宜大きさに折られ、次に集積装置によって順次重ね合わせて柱状形体に集積され、この柱状形体の長さが所定量に達したところで、結束装置等により結束バンドにより結束され、この状態でストックや運搬に供されるようになっている。
この中の集積装置としては、上方から下方へ搬送される刷本をテーブル面などで起立姿勢のまま、下から支持し、このテーブル面に沿って前方へ送り出すことで縦並べ状態に重合整列させる、いわゆる竪スタバンと呼ばれるものが知られている(例えば、特許文献1や2等参照)。
【0003】
ところで、このような集積装置は、折り機を介しているものの輪転機などに対して直結の関係にあり(要するに、集積装置の上流部には低い位置で刷本を搬送する機会がない)、そのため、刷本の中から印刷不良や破損などを起こした不良紙、或いはサンプル紙を抜き取るための排紙部を設けることはできなかった。
一方、輪転機などからの刷本の送り出しを床面レベルに近づけた低い位置に変更させ、且つ刷本を寝せた姿勢のまま送る水平搬送状態(平送り状態)になるように改造したうえで、一台の装置内での刷本の取り込み経路を、下位の水平ラインから上方へ上昇させ、更に上方で宙返り状に反転させて下向きになるように形成させ、この下向きにした経路で刷本が起立姿勢になるようにして、上記のような集積作業を行う装置も提案されている(例えば、特許文献3等参照)。
【0004】
この装置によれば、下位の水平ラインやその後の上昇ラインを利用して、搬送されつつある刷本の中から不良紙やサンプル紙を抜き取るための排紙部を設けることができる。
【特許文献1】特開2002−338108号公報
【特許文献2】特開平8−2779号公報
【特許文献3】特開2000−118511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
刷本を集積する段階で排紙部を設けることができない場合(特許文献1や2等の場合)、搬送されつつある刷本の中から不良紙やサンプル紙を抜き取ることができないから、最終的に結束作業までもが済んだ柱状形体の集積束の中から人手により、これら不良紙やサンプル紙を抜き取る作業が必要になる。この作業は結束バンドを切断し、結束を一旦解いてから行わなければならず、極めて作業性に劣るものであった。
しかも、不良紙やサンプル紙を抜き取った後は、再び結束作業を行わなければならないため、二重の手間となり、これを避けるためには、不良紙やサンプル紙が含まれた集積束そのものを廃棄してしまうことがあった。そのため、コスト的に多大な無駄を生じさせることになる。
【0006】
一方、排紙部を設けることを可能にした装置(特許文献3等の場合)では、輪転機などからの刷本の送り出しラインを改造する必要があり、しかもこの装置自体に組み込まれる搬送ラインが長くなり、装置の大型化や製作コストの高騰化などの問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、装置の大型化や製作コストの高騰化などを招来することなく、排紙部の設置を可能にすることができる刷本集積装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る刷本集積装置は、上方から下方へ刷本を起立姿勢で降下搬送する給紙路と、この給紙路によって搬送される刷本を下から支持して前方へ送り出すことで縦並べ状態に重合整列させる集積部と、これら給紙路と集積部との交差部で必要に応じて刷本を取出可能にする排紙部とを有し、上記集積部は刷本の下端を受けて重合整列まで支持するテーブルと、このテーブル上へ到達した直後の刷本の背面を支持する背当てガイドとを有し、上記排紙部は集積部の背当てガイドをテーブルの後方へ開放させるガイド開閉機構と、背当てガイドの開放によってバックアップを失った刷本をテーブル後方へ導く排紙誘導部とを有している。
【0008】
このように給紙路と集積部との交差部に排紙部を設けることを可能にしているので、装置の大型化などは招来せずに、不良紙やサンプル紙の抜き取りができる。勿論、この不良紙やサンプル紙の抜き取り時は刷本の集積前であり、結束もされていない状態であるから、結束された集積束をいちいちバラスようなことはする必要がない。そのため、時間的、労力的、及びコスト的に無駄が生じることも当然にない。
給紙路は、刷本の折り装置の搬出部として形成することができる。このようにすることで、装置のコンパクト化が図れる。
【0009】
集積部には、テーブルによる下端支持と、背当てガイドによる背面支持とを同時に受ける刷本に対し、これをロータ外周部による押圧でテーブル前方へ送り出すための送出ロータが設けられたものとすることができる。
この送出ロータは、テーブル後方に配されるロータ軸を共通の回転中心として、背当てガイド及びテーブルを中央においた両側の振り分け位置で駆動回転可能に設けられた左右一対のロータ板を有したものである。これら両ロータ板の外周部には、給紙路を降下搬送される刷本が嵌る差込溝が形成されたものとする。
【0010】
集積部には、送出ロータの回転に伴う刷本の降下搬送に対してガイド開閉機構の作動タイミングを検出する刷本計数手段と、この刷本計数手段による検出タイミングを必要に応じて補正する補正手段とを設けておけばよい。
刷本計数手段は、ロータ軸と一体回転可能で周方向に所定間隔をおいてセンサ用被検部が設けられた計数ホイールを有している。また補正手段は、ロータ軸と一体回転可能で周方向に、上記計数ホイールの被検部間隔より細かい間隔をおいてセンサ用二次被検部が設けられたタイミング調整ホイールを有している。
【0011】
そしてこの刷本計数手段は、刷本計数手段の計数値をベースにして補正手段の二次被検部に対する検出値を加味したり、或いは、刷本計数手段の計数値に対し、補正手段の二次被検部に対する検出値を置換したりできるものとしておく。
このような補正手段を設けることで、刷本の紙質、厚さ、腰の強弱などに関する調整が可能となる。
排紙部には、ガイド開閉機構によって背当てガイドが開放されたときに刷本正面へエアを吹き付ける排紙補助手段を設けておくのが、刷本の排出を確実化させるうえで好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る刷本集積装置では、装置の大型化や製作コストの高騰化などを招来することなく、排紙部の設置を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図7は、本発明に係る刷本集積装置1の一実施形態を示している。なお、図8に示すように、この刷本集積装置1は印刷ライン2の下流部などに設置され、印刷後の刷本3を重ね合わせて整列させ、柱状形体の集積体4とさせる場合等に使用される。
なお、図例の印刷ライン2は、給紙ロール6から巻き出されたウエブ7を輪転機などの印刷機8で印刷し、乾燥機9で乾燥してからこのウエブ7を一旦、上方の高い位置へと搬送し、それから下方へと向きを変えて折り装置10へ送り、この折り装置10にて、折り目付け部11による所用箇所への折り目付けと、断裁作業部12による所定大きさへの断裁と、チョッパー動作部13による折り畳みとを行って、刷本3を製作するものとなされている。
【0014】
そしてこのように製作された刷本3は、折り装置10の搬出部(チョッパー動作部13)からその下部に直結状に設けられた刷本集積装置1へと供給される。乾燥機9から折り機10へと搬送されるウエブ7に対し、センサ14により印刷の品質が確認される。またこのセンサ部14又はその前後にて、ウエブ7としての損傷の有無も確認されるようになっている。
図1(図3及び図4等も参照)に示すように、刷本集積装置1は給紙路20と集積部21とを有しており、またこれら給紙路20と集積部21との交差部に排紙部22が設けられている。
【0015】
給紙路20は、この刷本集積装置1として刷本3を取り込むところである。上記したように、この刷本集積部1は折り装置10の下部に直結状に設けられており、この給紙路20は折り装置10の搬出部(チョッパー動作部13の一部)を兼ねるかたちで設けられている。
すなわち、この給紙路20は、相互近接された一対のピンチロール25を有しており、これらピンチロール25が、互いのロール間において上方から下方へと刷本3を送り込む方向へ回転駆動されるようになっている。そのためチョッパー動作部13(図8参照)が下方へ向けて刷本3の折り目を叩くと、刷本3はこの叩かれて下突出状になる折曲部分が両ピンチロール25間で摘まれ、次第に下方へと引き込まれ、確実且つ最終的な折り畳みと同時に下方へ向けた送り込みがなされる。
【0016】
各ピンチロール25には、各別にエンドレスベルト26が巻掛けられ、これらエンドレスベルト26が複数のガイドローラ27にわたって別ループ状に保持されているが、各ピンチロール25の真下に一対のガイドローラ27が配置されることで、各ループにはピンチロール25を上端位置としてその真下方向へベルトが並行する部分が生じている。このベルト並行部分は、ベルト間で刷本3を挟持してその起立姿勢を保持したまま下方へ搬送することを可能にした下向き搬送帯28とされている。
集積部21は、給紙路20から送り出された刷本3を受け取り、順次、送り出し方向を横向きに変換しながら重合整列させるところである。この集積部21はテーブル30と背当てガイド31とを有している。またこの集積部21には送出ロータ33が設けられている。
【0017】
テーブル30は、給紙路20からの送り出し姿勢として起立姿勢とされている刷本3を、その下端(折り目)で下受けできるように形成された台状のものである。このテーブル30の上面で刷本3を起立姿勢のまま徐々に前方へ押し出して縦並べ状態に重合整列させる。
本実施形態では細帯状のベルトコンベアを2本、平行使用して、それらの上部張り側となる上面でテーブル30を形成させている。両ベルトコンベアは一体的に駆動されるものであり、その駆動によって刷本3を確実に前方へ送り出すことができる。テーブル30は、このようなベルトコンベアとせず、上面がフラットな板状のものを採用してその上面で刷本3を滑らすようにしつつ前方押出を行わせてもよい。
【0018】
なお、この他、この集積部21には、テーブル30上で縦並べされつつある刷本3を整然と揃える整列手段80や、テーブル30上の最後尾の刷本3が後傾するのを防止するシャッター手段81、更にはテーブル30上で柱状形体に重合整列された後の刷本3を次工程へ送り出す押出排出手段82が設けられているが、これらについては後述する。
背当てガイド31は、テーブル30上へ到達した直後の起立姿勢にある刷本3が後傾することがないよう、その背面を支持できるようになったものである。この背当てガイド31は、上端部は給紙路20の下部出口直下まで延びており、また下方になるほど緩やかに前方へ向けて曲がった形状として、下端部がテーブル30上にせり出すようになっている。
【0019】
従って、給紙路20から送り出された刷本3はこの背当てガイド31に沿って導かれ、給紙路20の真下位置よりもやや前方位置へ達するようになる。なお、この背当てガイド31は、テーブル30における一対のベルトコンベア間に収まる細幅の帯板材により形成されており、その下端部とテーブル30とは接触干渉していない。
送出ロータ33は、テーブル30による下端支持と、背当てガイド31による背面支持とを同時に受ける刷本3に対し、これをロータ外周部による押圧でテーブル30の前方へ向けて送り出すものである。この送り出しにより、テーブル30上へ既に縦並べ状態とされている最後尾の刷本3に対し、順次、給紙路20から供給される新たな刷本3が押しつけられ、重合整列が繰り返される。
【0020】
この送出ロータ33は左右一対のロータ板36を有している。これらロータ板36は、テーブル30の後方に配されるロータ軸37を共通の回転中心として一体回転可能に設けられている。またこれらロータ板36は、背当てガイド31及びテーブル30を中央において、それらの両側に振り分けられる状態、即ち、両ロータ板36の間に背当てガイド31やテーブル30を挟むような状態に配置されている。
各ロータ板36は、テーブル30上での刷本3の送り出しを効率よく行えるようにするために、外周部は単純な円形ではなく、少なくとも一つのカム面38が設けられた異形円となっている。本実施形態では周方向で等間隔となる3カ所にカム面38が形成されたものとしてあり、恰も、ロータ板36の全体が三つ巴の外周輪郭のような形状を呈している。なお、カム面38の形成数は3カ所に限定されるものではない。
【0021】
このカム面38は、背当てガイド31で刷本3が背面支持されるとき、この刷本3の背面に背当てガイド31と同一角度で当接するように外径を控えさせた位置(図3に示すα位置)と、この状態から送出ロータ33の回転にしたがって徐々に刷本3を背当てガイド31から前方へ押し出し、背当てガイド31の下端部がテーブル30上へせり出した位置まで刷本3の押し出しを続けられるように外径を膨らませた位置(図3に示すβ位置)との範囲(中心角θ参照)で形成されている。
また両ロータ板36の外周部には差込溝40が形成されている。この差込溝40は、給紙路20を降下搬送される刷本3を嵌め入れるためのもので、刷本3の搬送速度を送出ロータ33の回転速度に合わせることができる。
【0022】
この差込溝40は、送出ロータ33の回転方向において上記した各カム面38に先行して背当てガイド31に到達する位置関係で、各カム面38と1対1対応となるように設けられている。また各差込溝40は、送出ロータ33の回転方向に沿ってロータ板36の外周部から渦巻き形で中心部へ向かうような円弧形に形成されている。
なお、この差込溝40は、背当てガイド31が作用位置に位置付けられて刷本3をテーブル30まで導く状態にあるときよりも、後述するガイド開閉機構45が作動して背当てガイド31が後方へ開放されたときに、刷本3をテーブル30とは異なる方向へ導く作用がメインとなっている。
【0023】
排紙部22は、給紙路20と集積部21との交差部で必要に応じて刷本3を取出可能にするところである。この排紙部22はガイド開閉機構45と排紙誘導部46とを有している。またこの排紙部22には排紙補助手段47が設けられている。
ガイド開閉機構45は、背当てガイド31をテーブル30の後方へ開放できるようにしたものである。本実施形態では、背当てガイド31の上方裏部に枢軸50を設けて、この枢軸50にヒンジ部材51を揺動自在に保持させると共に、このヒンジ部材51で背当てガイド31の上部裏面を支持させることにより、背当てガイド31が枢軸50を中心としてその下端部を前後揺動自在なものとし、そのうえでヒンジ部材51を流体圧シリンダなどの駆動部材52によって押し引きさせるようにしてある。
【0024】
従って、このガイド開閉機構45を作動させ、背当てガイド31の下端部を後方へ揺動させるようにすれば(図4参照)、給紙路20から送り出される刷本3はそのバックアップを失うことになり、テーブル30に乗り移ることはできなくなる。
上記したように、給紙路20から送り出される刷本3は送出ロータ33に設けられた差込溝40に嵌っているので、刷本3は背当てガイド31の開放状態に合わせて確実に送出ロータ33の回転に巻き込まれるかたちとなる。
排紙誘導部46は、上記のようにガイド開閉機構45の作動で背当てガイド31が開放され、もってバックアップを失った刷本3を、テーブル30の後方へ導くためのものである。本実施形態では、送出ロータ33のロータ板36間に収容されるように細幅の帯板から形成した上シュート部55を給紙路20の真下位置へ差し出すようにしてある。
【0025】
またこの上シュート部55に対して下シュート部56を後続させると共に、これら上下のシュート部55,56に誘導されて滑り落ちる刷本3を受け取って搬出する排紙コンベア57,58(図1及び図2参照)を設けて、所望位置への刷本3の取り出しを可能にしてある。これら上下のシュート部55,56や排紙コンベア57,58の設置などは適宜変更可能である。
また上シュート部55から下シュート部56へ移行する部分の上方には、送出ロータ33の差込溝40に嵌った刷本3を確実に上シュート部55乃至下シュート部56へ乗り移らせる(落とし込む)ために、剥離誘導板60が設けられている。
【0026】
排紙補助手段47は、ガイド開閉機構45によって背当てガイド31が開放されたときに刷本3の排出を確実化させるものである。本実施形態では、刷本3の正面へエアを吹き付けるようにエア噴出部63を臨ませてある。このエア噴出部63からは、常時、又は背当てガイド31が開放されたときに、エアが勢いよく噴出される。
ところで、上記した送出ロータ33の回転速度は、給紙路20から集積部21の背当てガイド31に対して刷本3が送り出されるタイミングに対し、差込溝40の通過タイミングが一致するように調節する必要がある。なお、刷本3が送り出されるタイミングは、折り装置10のチョッパー動作部13(図8参照)が刷本3を叩く動作タイミングと同調したものである。
【0027】
そこで、図2に示すように、集積部21には刷本計数手段65を設けて、送出ロータ33の回転に伴う刷本3の降下搬送に対してガイド開閉機構45の作動タイミングを検出できるようにしてある。また、刷本3の紙質、厚さ、腰の強弱などに関する調整を可能にするために、刷本計数手段65に補正手段66を設けて、刷本計数手段65による検出タイミングを必要に応じて補正できるようにしてある。
図5及び図6に示すように、刷本計数手段65は、送出ロータ33のロータ軸37と一体回転可能に設けられた計数ホイール67を有している。この計数ホイール67には、周方向に所定間隔をおいて被検部68が設けられており、この被検部68を近接スイッチ等のセンサ70で検出できるようになっている。
【0028】
また補正手段66は、送出ロータ33のロータ軸37と一体回転可能に設けられたタイミング調整ホイール71を有している。このタイミング調整ホイール71には、周方向に所定間隔をおいて二次被検部72が設けられており、この二次被検部72を近接スイッチ等のセンサ73で検出できるようになっている。二次被検部72の相互間隔は、上記した計数ホイール67における被検部68の相互間隔より細かい間隔とされている。
本実施形態において、計数ホイール67は、ホイール外周に均等間隔で扇形状に突出する3枚の羽根を設けて、これら各羽根自体を被検部68とした。またタイミング調整ホイール71は計数ホイール67よりも径大とし、そのホイール外周に計12個の切欠75を設けて、これら切欠75の相互間に設けられる計12個の舌片を二次被検部72とした。
【0029】
すなわち、被検部68はロータ軸37の回りに120°おきに設けられ、二次被検部72はロータ軸37の回りに30°おきに設けられていることになる。
このようなことから、刷本3の紙質、厚さ、腰の強弱などに関して刷本3の搬送速度にバラツキが生じるときに、必要に応じ、刷本計数手段65の計数値をベース(検出タイミングの基点)にしつつ補正手段66の二次被検部70に対する検出値を加味したり、或いは、刷本計数手段65の計数値に対し、補正手段66の二次被検部70に対する検出値を置換したりすることができる。
【0030】
なお、刷本計数手段65は、刷本3の通過枚数をカウントすることにも使用される。
図1及び図2に示すように、上記集積部21に設けられた整列手段80は、テーブル30上で縦並べされつつある刷本3に対してその上面及び両側面を小刻みに叩くようになっている。動力の取り出しには、リンク機構やカム機構などが採用されている。これにより、刷本3を整列させる。
図7に示すように、シャッター手段81は、テーブル30上の最後尾の刷本3に対し、左右の両側縁部をシャッター板84によって押圧可能にしたものである。これらシャッター板84は揺動支点92を中心に揺動自在に保持されており、この揺動支点92よりも左右方向外側に設けられた枢着点93を流体圧シリンダ等の駆動部材85により押し引きされることで揺動駆動される。
【0031】
これら駆動部材85の作動はガイド開閉機構45の作動タイミングと同調されるものであって、ガイド開閉機構45が背当てガイド31を開放したときに両側のシャッター板84が閉じられてテーブル30上の刷本3の後傾を防止し、反対に背当てガイド31が閉じられたときには、新たに加えられる刷本3にとって邪魔とならないように両側のシャッター板84が開くようになっている。
図1に示すように、押出排出手段82は、テーブル30の下部に、テーブル面と平行して設けられたガイドレール86に沿って移動自在に設けられたスライダー87に対して走行フレーム88が設けられ、この走行フレーム88に昇降機構89を介してプッシャー90が設けられたものである。昇降機構89は、縦方向に設けられたガイドバー91に沿ってプッシャー90をテーブル30上の刷本3に当接可能な高さと非当接高さとの間で昇降させる(図3参照)ようになっている。
【0032】
次に、上記構成を具備した刷本集積装置1の動作状況を説明する。不良紙やサンプル紙の抜き取りが必要とされない場合には、折り装置10の搬出部(チョッパー動作部13)を経て、給紙路20を上方から下方へ送り出される刷本3が、送出ロータ33の差込溝40に嵌りつつも集積部21の背当てガイド31に沿って降下搬送され、テーブル30上で下受けされる。刷本3がテーブル30上に載った時点で送出ロータ33の差込溝40は刷本3を解放(差込溝40から刷本3が脱出)する。
シャッター手段81(図7参照)がシャッター板84を開いた状態になり、送出ロータ33のカム面38がそのまま刷本3を前方へ送り出し、この刷本3をテーブル30上で既に重合集積されている刷本3へ押しつける。これが繰り返され、テーブル30上で刷本3の整列長がある程度長くなると、整列手段81が作動して刷本3の上面及び両側面を小刻みに叩き、整列を促す。そして、刷本3の整列長が所定長さに達した段階で押出排出手段82が作動して、整列後の刷本3(柱状形体のもの)を結束工程等の次工程へ向け搬出する。
【0033】
一方、印刷後において印刷の品質や紙の損傷などがセンサ14(図8参照)により確認された場合には、該当部位の含まれた不良刷本3が給紙路20へ到達することを、その経過時間又は刷本枚数などからデータ処理装置又は作業者が判別し、これに基づいてガイド開閉機構45が背当てガイド31を開放動作させる。
背当てガイド31が開放することで、給紙路20から送り出された不良刷本3はそのバックアップを失い、真下で控える排紙誘導部46の上シュート部55へと落ち、下シュート部56以降へと搬出される。このとき排紙補助手段47のエア噴出部63から不良刷本3の正面へエアが吹き付けられるため、不良刷本3の排出は確実化される。
【0034】
なおサンプル紙の抜き取り時には、人為的なスイッチ操作によりガイド開閉機構45を適宜タイミングで作動させ、背当てガイド31を開放させればよいものである。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る刷本集積装置の一実施形態を示した側面図である。
【図2】図1に対応する平面図である。
【図3】図1の一部(送出ロータ等)を拡大して示した側面図(図2のA−A線矢視に相当)である。
【図4】図3からの動作説明図である。
【図5】図2のB部拡大図である。
【図6】図5に対応する側面図である。
【図7】図2の一部(シャッター手段)を拡大して示した平面図である。
【図8】刷本集積装置を含む印刷から集積までの全体流れを模式的に示したライン構成図である。
【符号の説明】
【0036】
1 刷本集積装置
3 刷本
10 折り装置
20 給紙路
21 集積部
22 排紙部
30 テーブル
31 背当てガイド
33 送出ロータ
36 ロータ板
37 ロータ軸
40 差込溝
45 ガイド開閉機構
46 排紙誘導部
47 排紙補助手段
65 刷本計数手段
66 補正手段
67 計数ホイール
68 被検部
72 二次被検部
71 タイミング調整ホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から下方へ刷本(3)を起立姿勢で降下搬送する給紙路(20)と、この給紙路(20)によって搬送される刷本(3)を下から支持して前方へ送り出すことで縦並べ状態に重合整列させる集積部(21)と、これら給紙路(20)と集積部(21)との交差部で必要に応じて刷本(3)を取出可能にする排紙部(22)とを有し、上記集積部(21)は刷本(3)の下端を受けて重合整列まで支持するテーブル(30)と、このテーブル(30)上へ到達した直後の刷本(3)の背面を支持する背当てガイド(31)とを有し、上記排紙部(22)は集積部(21)の背当てガイド(31)をテーブル(30)の後方へ開放させるガイド開閉機構(45)と、背当てガイド(31)の開放によってバックアップを失った刷本(3)をテーブル(30)後方へ導く排紙誘導部(46)とを有していることを特徴とする刷本集積装置。
【請求項2】
前記給紙路(20)は、刷本(3)の折り装置(10)の搬出部として形成されていることを特徴とする請求項1記載の刷本集積装置。
【請求項3】
前記集積部(21)には、テーブル(30)による下端支持と背当てガイド(31)による背面支持とを同時に受ける刷本(3)に対しこれをロータ外周部による押圧でテーブル(30)前方へ送り出す送出ロータ(33)が設けられており、この送出ロータ(33)は、テーブル(30)後方に配されるロータ軸(37)を共通の回転中心として、背当てガイド(31)及びテーブル(30)を中央においた両側の振り分け位置で駆動回転可能に設けられた左右一対のロータ板(36)を有しており、これら両ロータ板(36)の外周部に、給紙路(20)を降下搬送される刷本(3)が嵌る差込溝(40)が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の刷本集積装置。
【請求項4】
前記集積部(21)は、送出ロータ(33)の回転に伴う刷本(3)の降下搬送に対してガイド開閉機構(45)の作動タイミングを検出する刷本計数手段(65)と、この刷本計数手段(65)による検出タイミングを必要に応じて補正する補正手段(66)とを有しており、上記刷本計数手段(65)は、ロータ軸(37)と一体回転可能で周方向に所定間隔をおいてセンサ用被検部(68)が設けられた計数ホイール(67)を有しており、上記補正手段(66)は、ロータ軸(37)と一体回転可能で周方向に上記計数ホイール(67)の被検部(68)間隔より細かい間隔をおいてセンサ用二次被検部(72)が設けられたタイミング調整ホイール(71)を有しており、この補正手段(66)の二次被検部(72)に対する検出値を刷本計数手段(65)の計数値に加味又は置換可能になっていることを特徴とする請求項3記載の刷本集積装置。
【請求項5】
前記排紙部(22)には、ガイド開閉機構(45)によって背当てガイド(31)が開放されたときに刷本(3)正面へエアを吹き付ける排紙補助手段(47)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の刷本集積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−199491(P2006−199491A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16039(P2005−16039)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】