説明

削岩方法及び削岩装置

ハウジング(2)を有するパルス装置(1)の工具方向(R)に衝撃波パルスを生成する方法であって、ハウジング(2)の内部に衝撃ピストン(4)が配置され、衝撃ピストン(4)に、第一チャンバ(7)内の第一流体圧力(P1)を介して前記工具方向(R)と反対の方向に第一の力が作用し、かつ、前記工具方向(R)に第二の力が作用し、衝撃ピストン(4)が、ハウジングに対して、工具方向と反対の方向へ移動した後に、第一流体圧力を急速に低減させることによって衝撃波パルスを生成する方法において、前記移動の距離(L)を調整することによって、衝撃波の長さが制御される。本発明は、装置、削岩機及び削岩リグにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に従ってパルス衝撃波を発生させる方法に関する。また、本発明は、請求項23の前文に従ってパルス衝撃波を発生させる装置にも関する。さらに、本発明は、このような装置を備えた削岩装置及び削岩リグに関する。
【背景技術】
【0002】
削岩処理の間、パルス衝撃波はパルス圧力(pressure force pulses)の形態で発生させられる。パルス衝撃波は、打撃装置のような衝撃波発生装置から、ドリルストリングを通して、ドリルビットまで伝達される。それにより、ドリルビットのボタン(buttons)は、岩に対して高い強度で押圧され、直面する岩を粉砕して割れ目を形成する。
【0003】
従来の削岩装置では、パルス衝撃波は、打撃ピストンによって発生させられる。打撃ピストンは、衝撃波をドリルストリングに伝達するために、ドリルシャンクを打撃する。打撃ピストンを備えた削岩装置を使った従来の削岩では、衝撃波の状態制御の実現性に制限がある。
【0004】
本発明は、別の形式の衝撃波発生装置に関し、ここでは、(削岩パルス削岩装置における)パルス装置と称する。これらの装置は、加圧流体が、衝撃ピストンの形態のピストンアダプタに対して周期的に作用し、削岩装置の場合、同様に、ドリルストリングを押圧してパルス衝撃波を伝達する力を生み出すようにされている点で、打撃ピストンを備えた上述の衝撃波発生装置とは異なる動作をする。従来の装置における打撃ピストンと間違えられることがない衝撃ピストンは、比較的容量が小さく、パルス装置の働きに重要な影響を何も持たない。本発明の従来技術の例としては、国際公開WO2004/073933号公報(特許文献1)が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2004/073933号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、公知のパルス装置を発展させ向上させる上述の方法及び装置を提供することにあり、特に、向上させた衝撃波形状の制御を可能にすることにある。特に、特定の応用物のためにより効率的な衝撃波パルスを生成することを可能にすることを目的としている。
【0007】
これらの目的は、各独立項の特徴部分を通して最初に説明したような方法及び装置に関して得られる。
【0008】
本発明は、衝撃波パルスの長さを制御して、それにより多数の重要な利点を達成することを可能にする。従って、削岩機の場合には、改善された方向で調整された削岩効率で掘削をすることを可能にする。他の形式のパルス装置に対しても、より効果的な作業工程を提供する。
【0009】
作動中、第一の力が、工具方向と反対の方向で衝撃ピストンに作用する。作動中、第二の力は、工具方向Rに作用する。
【0010】
本発明によれば、第二の力は、全パルスサイクル中、第一の力より大きく維持され、同時に、第一の力と一緒になった送り力が、周期的に第二の力を上回るようにされる。従って、送り力は、第一の力と共に、衝撃ピストンを工具方向と反対の方向に移動させるために用いられる。その後、続けて第一流体圧力を低減することで、ドリルストリング等に衝撃波パルスが引き起こされることになる。
【0011】
とりわけ力を相互に調整するこの方法は、衝撃ピストンが、所謂、初期位置で、送り力なしで(又は低い送り力で)、装置ハウジングの内部に配置された停止部材に対して押し付けられるので、装置に送り力が加圧されるまでは、パルスが生じないという利点を有する。それにより、装置に対して有害であり、例えば、ドリルストリングに悪影響を及ぼし、特に、ドリルストリングにネジの緩みを生じさせる空打撃が、効果的に回避される。
【0012】
削岩作業の場合、岩盤の穿孔に対する抵抗が高い場合は、比較的短い衝撃波パルスを用いると削岩効率が高くなり、岩盤の穿孔に対する抵抗が低い場合には、比較的長い衝撃波パルスを用いると削岩効率は低くなる。
【0013】
岩盤の穿孔に対する抵抗に影響を及ぼす要因は、岩盤の硬度やドリルビットのサイズのようなパラメータであり、特に、岩盤に対して打撃するドリルビットの前方にある超硬合金ボタンの領域のサイズのようなパラメータである。従って、岩盤の穿孔に対する抵抗は、岩盤の硬度が高いと増大し、ドリルビットのサイズが大きいと増大する。
【0014】
従って、本発明の好ましい特徴を通して、削岩作業を向上させる方向で、岩盤の穿孔抵抗(岩盤の硬度やドリルビットのサイズ等)に勝るように衝撃波パルスの長さを調整することで、削岩効率を向上させることが可能になる。基本的に、削岩効率は、パルス形状に依存するパルスエネルギの影響を受けることに注目すべきである。これは、油圧プレスレベルに依存する。
【0015】
本発明の一つの特徴によれば、削岩工程の前に、既知の岩盤の硬度及び一定の摩耗度合いを持った選択されたドリルビットによって、一定の衝撃波長が選択されるように制御される。これは、例えば、ドリルホールの長さに沿った岩盤の硬度の変化に関する知識に従って変更され得る。
【0016】
本発明の好ましい実施例では、衝撃波長は、送り力の助けを借りて、選択された長さでピストンを加圧することによって制御される。その後、(衝撃ピストンを解放することによって)その力は衝撃ピストン上に解放され、衝撃ピストンは、通常、衝撃波長を制限する機械的停止部に達するまで前方に移動する。この場合、衝撃中は、衝撃ピストンは停止部には達せず、衝撃波長は、特にピストンの「後側」にあるそれに作用する力の大きさに依存することになる。この場合、所謂、フローティング位置が用いられ得る。
【0017】
しかし、本発明の好ましい実施例を通して、単一の削岩工程の間に、即ち、ドリルホールを掘削する工程の間に、衝撃波の長さを制御することも可能であり、それにより、ドリルホールの長さに沿った岩盤の穿孔に対する抵抗の変化に依存した掘削が可能になる。
【0018】
前記移動の距離の制御は、様々な方法で達成され得、有利には、本発明が用いられる様々な応用物や既存のシステムに適用され得る。
【0019】
第一流体圧力を低減する工程を制御することで衝撃波の形状を制御することを通して、作業すべき材料、通常は岩盤を、材料の硬度、工具の形状等に関して適合させることによって、衝撃波ピストンのフロントエッジ、又はアップフランクが調整され得る。
【0020】
例えば、反射衝撃波や掘削速度のような検知された掘削パラメータに応じて、衝撃波の長さを制御することが特に有利である。本発明は、管理可能な方法で作業すべき岩盤の硬さの変化にリアルタイムで削岩パラメータを合わせるために使用され得る。また、装置に与えるエネルギの量によって分配される作業岩盤の量に合わせて決められた効率に従って装置を制御することも可能である。
【0021】
また、本発明は、反射衝撃波を、第二の力を提供する要素で受けるようにして簡単化した減衰を達成することも可能にする。
【0022】
特に、前記第二の力を、衝撃ピストン上に作用する第二チャンバ内の加圧流体から得ることが好ましい。この流体からの圧力は、衝撃波の形状や大きさを制御するために調整され得る。衝撃波長への特定の影響が、このような調整を通して得ることができる。
【0023】
本発明は、掘削中に、衝撃ピストンが「フローティング位置」の方向で制御されるように、パラメータをセットすることを可能にする。フローティング位置では、衝撃波ピストンは、工具方向にも反対方向にも、金属面しないが、その両側が流体で支持され、それによりノイズが低減し、摩耗も低減する。
【0024】
特別な特徴によれば、衝撃波の長さ及び形状を制御するためにパルス装置を制御するためのこの説明と特許請求の範囲に開示された構造及び原理が、様々なパルス装置作業に適用可能であることが理解される。これは、衝撃ピストンの側方にあるチャンバを急速に加圧することでパルスを生成するようなパルス装置を含む。また、工具方向に向けられた衝撃ピストンの側方の力を急速に解放することでパルスを生成するような装置も含まれる。ここでは、衝撃ピストン上に作用する様々な力のバランスをとる必要がなく、初期位置において、衝撃ピストンは、ハウジング内に配置された停止部材に対して押し付けられる。この特徴は、請求項46及び47に開示されている。請求項1〜45に記載の特徴は、制御構造及び原理に関し、特に、例えば、効率を向上させる方向で、削岩工程のような工程を制御するために、どのようにしてそれが用いられるかに関する。
【0025】
様々な方法の特徴に関する上記した利点に対応する本発明による装置の利点は、対応する装置に関する請求項によって得られる。本発明のさらなる特徴や利点は、以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるパルス装置の第一実施例を部分的に断面を使って図式的に示している。
【図2】本発明によるパルス装置の第二実施例を部分的に断面を使って図式的に示している。
【図3】本発明による方法の一実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明によるパルス装置の、さらに別の実施例を部分的に断面を使って図式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して幾つかの実施例を使って本発明をより詳細に説明していく。
【0028】
全体を符号1で示した本発明によるパルス削岩装置は、ハウジング2を有し、その内部で、衝撃ピストン4が、制限された方法で往復運動可能にされている。衝撃ピストン4は、符号13で示されたドリルストリングの上側部分に対する接触面を覆うように配置されている。衝撃ピストン4の下側に隣接して、第一チャンバ7が配置されており、この第一チャンバ7は、第一圧力P1で加圧され得る。第一圧力P1は、工具方向Rと反対方向の第一の力で衝撃ピストンに作用する。第一チャンバ7内の圧力は、バルブ9が周期的にポンプ10からの出口圧力(exit pressure)を、圧力導管8を介して、この第一チャンバ7に送ることで制御される。また、第一チャンバ7の定期的な交換(relief)のために、タンク導管22がバルブからタンク12に導かれている。
【0029】
衝撃ピストン4の第二サイドに隣接して、第二チャンバ3が配置されている。この第二チャンバ3は、工具方向Rに作用する第二の力を引き起こす第二圧力P2で加圧され得る。
【0030】
好ましい実施例では、第二チャンバ3内の圧力は、圧力ポンプ6によって、圧力導管5を介してほぼ一定に保たれ、アキュムレータ(図示せず)によって同じレベルにされる。
【0031】
また、パルス装置のハウジング1には、従来の方法で、前記工具方向Rに送り力Fが作用する。
【0032】
第一チャンバ7内の第一圧力によって生成され、工具方向Rと反対方向に衝撃ピストン4に作用する第一の力は、前記第二の力より低い完全パルスサイクル(entire pulse cycle)に基づくものである。言い換えれば、図1に示したバルブ9の位置では、原理上は、ポンプ10からのポンプ圧力が第一チャンバ内で勝っていることが理解されるべきである。
【0033】
しかし、第一の力と送り力Fの合計は、前記第二の力より大きくなるようにされているパルスサイクルの一部分に基づくものであり、パルスサイクルのこの部分の間は、衝撃ピストンは、本質的に、図1に示された位置まで加圧される。この位置では、衝撃ピストン4の下側縁部が、工具方向Rに最も進められたその限界位置から距離Lだけ動かされている。前記衝撃ピストン4の下側縁部は、前記限界位置において、装置ハウジングに設けられた停止部Sに当たって止まる。停止部Sに当接するこの位置は、ポンプ6及び10を介して圧力が作用し、送り力がない(又は低い)間の初期に衝撃ピストンによって与えられる位置である。停止部は、適当には、第一チャンバ7の端壁であり、前記端壁は、工具方向Rに見て、最も前方に位置している。
衝撃ピストン4が、パルスサイクルのために予め決められたこと、例えば、ハウジング内の距離センサ15を通して検知された値に対応する距離Lだけ移動させられた時、バルブ9を切り替えることによって、第一チャンバ7内の第一の力が急速に解放され、その間に、第二チャンバ3内の圧力を通して、衝撃ピストン4が、前記方向Rへの前進運動を受け、結果的に、不図示のドリルビットに伝達するための衝撃波がドリスストリング13に生じさせられる。注目すべきは、距離Lを測定したり推定したりすることなく制御が達成できることである。それにより、十分に、掘削工程に関するパラメータのバックグラウンドにFを調節することが可能になる。これの実施例は、掘進率や効率であり得る。効率は、岩からの反射エネルギに依存し、例えば、反射衝撃波が発生した時のドリルストリングからの衝撃ピストンの分離耐久性を測定する電子回路を用いて、又は、反射衝撃波が発生している間のドリルストリングにおける弾性変形を検知するためにドリルストリング上に設けた歪みゲージを用いて、反射衝撃波に依存するチャンバ3内の圧力変動として検知され得る。
【0034】
衝撃の後、この方法は完了し、再び、第一チャンバは、バルブ9をリセットして、導管のポンプ10との連絡を回復させさせることによって加圧され、衝撃ピストン4は、再び、選ばれた距離だけ移動させられる。前記選ばれた距離は、L又はLとは異なる距離であり得、例えば、検知した掘削パラメータを通して決められ得、システムに設けられたCPUによって決められ得る。しかし、CPUによって提供される支援なしに装置を使用することも可能である。
【0035】
本発明による方法のシーケンスの実施例が図3に図式的に示されている。
ポジション30は、シーケンスの開始を示し、
ポジション31は、第二チャンバ3を加圧する工程を示し、
ポジション32は、第一チャンバ7を加圧するために図1に示した位置へのバルブ9を切り替える工程を示し、
ポジション33は、装置1へ送り力Fを初期印加する工程を示し、送り力はこの後に調整され、
ポジション34は、衝撃ピストンを加圧する距離Lを距離センサを介して検知し、CPUに関連信号を送る工程を示している。
【0036】
ポジション35は、CPUが制御する工程を示している。前記関連信号が、記憶した値、即ち、所定の値に対応していると(又は、この値を超えていると)、対応する場合には、装置が電子制御バルブを備えている場合、バルブ9に制御信号を送信して切り替えをし、それによって、衝撃波の生成を開始するために第一チャンバを開放する。
【0037】
ポジション36は、反射衝撃波又は掘削速度を検知し、(CPUを通して)前記信号にその値を適合させ、それによって、次の衝撃波サイクルに適用するための距離Lを適合する工程を示している。
【0038】
その後、シーケンスはポジション33に戻されるか、又は、シーケンスの終了を示すポジション37へ移行する。
【0039】
図2には、ハウジング2’を備えたパルス掘削装置1’が示されている。この装置は、第二チャンバ3’が、第一チャンバ7’に比べると直径が小さく構成されている点でのみ、図1に示された装置と異なっている。符合14は、環状チャンバを示している。この環状チャンバは、不変的にタンクに開放されており、第一チャンバ7’と同じシリンダ空間内に形成されている。この変形例では、第一チャンバの有効表面が、相互に、より釣り合わされている。加えて、チャンバ14は、漏出チャンバを有し得、それにより、衝撃ピストンとレシーブシリンダとの間にあるスロットを介した漏れ出しを管理することが可能になる。さらなる利点は、チャンバ3’及び7’内の油圧オイルを交換し、それにより、装置の冷却を達成することが可能になることにある。
【0040】
図4には、掘削工程の調整及び制御を行う手段が完備された図1におけるパルス装置が示されている。これらの手段は、例えば、図3による方法で使用されているような手段であり、上述されたものに対応している。従って、図示されたCPUには、破線で示されたセンサケーブル及び制御信号ケーブルが接続されている。この実施例では、衝撃ピストンの変位を検知するためにハウジング内に距離センサ16が配置されている。対応する信号が、距離センサ16によってCPUに送られる。CPUは、新しいパスルサイクルで、前の衝撃波とは長さや形状が異なり得る衝撃波を生じさせるために装置を調整する機能を有する。一例として、送り力が、距離Lを変更するために制御され得る。また、CPUは、衝撃波に影響を及ぼすために、バルブの振動数と、開弁及び閉弁特性を制御するよう構成され得る。調整に関しては、(三つの矢印で示された)CPUの入力インターフェイスに供給され得、反射衝撃波のサイズ及び/又は特性、装置に供給されるエネルギ、処理される岩盤の総量等のような複数の他のパラメータに関する信号を供給する。次いで、CPUは、例えば、改善された効率の方向で、装置内のパルス発生工程を制御し得る。
【0041】
本発明は、特許請求の範囲の範囲内で変更することができる。パルス長は、上述したように、とりわけ、送り力のパルス生成に影響を及ぼす複数の制御パラメータの一つを調整することによって制御され得る。送り力が低いと、工具方向と反対方向への移動が短くなり、パルス長が短くなる。送り力が高いと、工具方向と反対方向への移動が長くなり、パルス長も長くなる。また、第二チャンバにおける圧力の変動、又は、パルスサイクルの耐久性、及び加圧が生じるパルスサイクルの位置は、この関連に寄与し得る。送り力を制御する手段は、供給される力の大きさを制御することを可能にするために改良された打撃工具に作用する通常の加圧手段であり得る。
【0042】
検知された反射衝撃波から読み取れる岩盤特性は、衝撃波パルスの長さを制御するために用いられ、考慮され得る。ドリルストリングにおけるネジを緩めるために、衝撃ピストンに作用する圧力及びそれによる第一及び第二の力は、送り力はさておき、アイドル打撃を簡単に得るために制御され得る。
【0043】
他の制御方法は、例えば、装置に与えるエネルギを最低限に抑えるために、特に、選択した最低の能力、又は選択した最低の掘削速度から出発する衝撃波長のような衝撃波の特性を制御することに関する。また、調整は、改善された装置の使用可能時間の方向を有し得る。例えば、高い頻度や低いパルスエネルギが問題になり得る。増大する生産経済を制御する場合、全ての包含される関連システムが考慮される。
【0044】
装置の制御は、衝撃ピストンの流動的な位置の操作を含み得る。装置ハウジング内の衝撃ピストンの位置は、それ自体が公知の手段を介して直接検知され得るか、又は、より好ましくは、例えば、ドリルストリングに設けられたマーカーの容量又は誘導検知を介して、外側から間接的に検知され得る。
【0045】
第二の力は、金属バネやゴム等のような弾性手段や金属ロッド等を通して達成され得る。衝撃波パルスや振動数の大きさ及びその形状は、本発明によって制御され得る。形状に関しては、衝撃波パルスのアップフランクをどのように形成するかを調整するために、例えば、タンクへのバルブ9の開弁工程が制御され得る。原理上は、急速に開弁すると、急勾配のアップフランクが得られ、周期をより伸ばすと、より傾斜したアップルランクが得られる。より平らなアップフランクは、岩盤反射を低減するのに寄与するが、バルブ内の損失をもたらす原因になる。また、衝撃波のダウンフランクの形状は、例えば、バルブの移動パターンによって制御され得る。
【0046】
バルブは、好ましくは、それ自体が公知の回転バルブ本体を有するものであり、その機能を達成するために複数の開口が設けられている。
【0047】
パルス振動数の制御は、バルブ本体の回転速度を制御することで達成され得る。多くの他の種類のバルブ、例えば、ソレノイドバルブや、所謂、スプレッダーバルブが、問題になり得る。
【0048】
バルブは、第一チャンバにおける減圧の進行を調整するための調整装置を備えた制御装置内に含まれ得る。このことは、衝撃波の立ち上がり時間及び/又は耐久性が、掘削される材料の特性に基づいて調整でき、結果として、衝撃波エネルギの大部分が、低減された反射で掘削材料によって受け止められることができるようにするという点で有利である。
【0049】
制御装置は、前記カウンターアクションチャンバ内の減圧の進行を調整するための調整装置を備え得る。これは、衝撃波の立ち上がり時間及び/又は耐久性(長さ)を、掘削される材料の特性に基づいて調整でき、結果として、衝撃波エネルギの大部分が、低減された反射で掘削材料によって受け止められることができるようにするという点で有利である。
【0050】
減圧のための装置は、第一チャンバに連結するための制御バルブを有し得、前記制御バルブは、動作中にチャンバ内の圧力媒体を排出することによって、前記減圧を制御するための少なくとも一つの開口を備え得る。減圧は、制御バルブの開弁工程を制御することによって制御され得る。例えば、制御バルブには、減圧を調整するための圧力低減溝が設けられ得る。これは、減圧の進行を簡単な方法で調整できるという点で有利である。
【0051】
第一チャンバは、複数の出口を有し得、前記出口は制御可能に開放され得る。これらの出口は、異なる直径を有し得る。これにより、適切な出口を開いたり閉じたりすることによって、簡単な方法で減圧を調整することができるようになる。
【0052】
これらの出口は、一つ又は複数の流路によって、一つ又は複数の容器に接続され得、これらの容器は、作動中は、異なる圧力で加圧され得、前期出口を開放することによって、第一チャンバの段階的な及び/又は連続的な圧力低減を得ることができる。これは、スロットル弁調整に付き物のエネルギ損失なしに減圧を達成できるという点で有利である。バルブは、作動中に、カウンターアクションチャンバの中から圧力媒体を排出することによって、前記減圧を制御するための少なくとも一つの開口を有し得る。減圧は、制御バルブの開弁の進行を制御することによって制御され得る。例えば、制御バルブには、減圧を調整するための圧力低減溝が設けられ得る。これは、減圧の進行を簡単な方法で制御できるという点で有利である。
【0053】
パルス装置の二つのチャンバへの異なる圧力は、各ポンプを制御するか、又は、不図示の中間圧力調整バルブを介して、変えることができる。簡単な変形例では、リグのシステム圧力は、両方のチャンバで使われる。原則としては、圧力が高いと、パルス振幅が大きいパルスが得られ、同じパルス長で、より高いパルスエネルギが得られる。
【0054】
減衰は、本発明による装置を介して、反射衝撃波を、「減衰クッション」としての作業容量を有する第二チャンバで受けることによって簡単化され得る。また、装置は、F、P1及びP2を適当に調整することによって、衝撃ピストンがチャンバの端部に接触しないフローティング位置になるように制御され得る。
【0055】
本発明を適用する装置は、高効率を有するための可能性を持つ。従って、衝撃ピストンの加圧及び移動に対応する圧力流体の量に応じたエネルギだけが消費される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)を有するパルス装置(1)の工具方向(R)に衝撃波パルスを生成する方法であって、
ハウジング(2)の内部に衝撃ピストン(4)が配置され、
衝撃ピストン(4)に、第一チャンバ(7)内の第一流体圧力(P1)を介して前記工具方向(R)と反対の方向に第一の力が作用し、かつ、前記工具方向(R)に第二の力が作用し、
衝撃ピストン(4)が、ハウジングに対して、工具方向と反対の方向へ移動した後に、第一流体圧力を急速に低減させることによって衝撃波パルスを生成する方法において、
完全なパルスサイクルの間に、前記第一の力が前記第二の力より低くセットされ、
前記衝撃ピストン(4)の移動を達成するために、パルス装置に作用する送り力(F)とパルスサイクルの一部の間の前記第一の力の合計が、前記第二の力を超えるようにした
ことを特徴とする衝撃パルスを生成する方法。
【請求項2】
衝撃波パルスの長さが、前記衝撃ピストン(4)の移動の距離(L)の制御を通して制御される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
送り力(F)の大きさが、前記衝撃ピストン(4)の移動の距離(L)を制御するために制御される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第一流体圧力(P1)の大きさが、前記衝撃ピストン(4)の移動の距離(L)を制御するために制御される
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
移動の耐久性が、その距離(L)を制御するために制御される
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
衝撃波パルスの形状が、第一流体圧力(P1)の低減の進行を調整することで調整される
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
第一流体圧力(P1)の低減の進行が、バルブ(9)を介して流れを調整することで制御される
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
衝撃波パルスの長さが、検知された反射衝撃波の大きさに応じて制御される
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
衝撃波パルスの長さが、検知した反射衝撃波から決められた岩盤の特性の大きさに応じて制御される
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
衝撃波パルスの長さが、掘削速度の大きさに応じて制御される
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
衝撃波パルスの長さが、効率の大きさに応じて制御される
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
衝撃波パルスの長さが、装置に与えられるエネルギの大きさに応じて制御される
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
衝撃波パルスの長さが、単位時間当たりに処理される岩盤の量に応じて制御される
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
岩盤の穿孔に対する抵抗がより高い場合に、
衝撃波パルスの長さが、衝撃波パルスが比較的短くなる方向で制御され、
岩盤の穿孔に対する提供がより低い場合に、
衝撃波パルスの長さが、衝撃波パルスが比較的長くなる方向で制御される
ことを特徴とする請求項8〜13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
衝撃波パルスを生成するための振動数が調整される
ことを特徴とする請求項1〜14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
パルス装置の減衰力が調整される
ことを特徴とする請求項1〜15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
第二チャンバ(3)における第二流体圧力(P2)を通して第二の力が得られる
ことを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
第二流体圧力(P2)が調整される
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
衝撃波パルスの大きさが、第二流体圧力(P2)を調整することで制御される
ことを特徴とする請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
第一チャンバ及び第二チャンバの少なくとも一方からの漏れ流を生じさせる漏れチャンバ(14)が設けられる
ことを特徴とする請求項1〜19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
作動中に衝撃ピストンがフローティング位置を採るように装置が調整される
ことを特徴とする請求項1〜20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
装置ハウジングにおける衝撃ピストンの位置が、直接的又は間接的に検知される
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
工具方向(R)に衝撃波パルスを生成するためのパルス装置(1)における装置であって、
ハウジング(2)を備え、
前記ハウジング(2)の内部に衝撃ピストン(4)が配置され、
衝撃ピストン(4)に、第一チャンバ(7)内の第一流体圧力(P1)を介して前記工具方向(R)と反対の方向に第一の力が作用し、かつ、前記工具方向(R)に第二の力が作用するようにされ、
第一流体圧力を急速に低減させるための手段(9)を有し、それにより、衝撃ピストン(4)が、ハウジングに対して、工具方向と反対の方向へ移動した後に、衝撃波パルスが生成されるようにされた
装置において、
全パルスサイクル中に前記第一の力を前記第二の力より小さく維持する手段と、
前記衝撃ピストン(4)の移動を得るために、パルスサイクルのある部分で、パルス装置に作用する送り力(F)と、前記第一の力との合計が、前記第二の力を超えるようにする手段と
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項24】
前記衝撃ピストン(4)の移動距離(L)を調整して、衝撃波パルスの長さを制御する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記衝撃ピストン(4)の移動距離(L)を制御するために送り力(F)の大きさを調整する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23又は24に記載の装置。
【請求項26】
前記衝撃ピストン(4)の移動距離(L)を制御するために第一流体圧力(P1)の大きさを調整する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23〜25の何れか一項に記載の装置。
【請求項27】
移動の耐久性を、その距離(L)を制御するために調整する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23〜26の何れか一項に記載の装置。
【請求項28】
衝撃波パルスの形状を、第一流体圧力(P1)の低減の進行を制御することで調整する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23〜27の何れか一項に記載の装置。
【請求項29】
第一流体圧力(P1)の低減の進行を制御するためのバルブ(9)を備えている
ことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
検知された反射衝撃波の大きさに応じて衝撃波パルスの長さを制御する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23から29の何れか一項に記載の装置。
【請求項31】
検知した反射衝撃波から決められた岩盤の特性の大きさに応じて衝撃波パルスの長さを制御する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23から29の何れか一項に記載の装置。
【請求項32】
掘削速度の大きさに応じて衝撃波パルスの長さを制御する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23から29の何れか一項に記載の装置。
【請求項33】
効率の大きさに応じて衝撃波パルスの長さを制御する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23から29の何れか一項に記載の装置。
【請求項34】
装置に与えられるエネルギの大きさに応じて衝撃波パルスの長さを制御する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23から29の何れか一項に記載の装置。
【請求項35】
単位時間当たりに処理される岩盤の量に応じて衝撃波パルスの長さを制御する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23から29の何れか一項に記載の装置。
【請求項36】
岩盤の穿孔に対する抵抗がより高い場合に、衝撃波パルスの長さが、衝撃波パルスが比較的短くなる方向で衝撃波パルスの長さを制御し、
岩盤の穿孔に対する提供がより低い場合に、衝撃波パルスの長さが、衝撃波パルスが比較的長くなる方向で衝撃波パルスの長さを制御する
手段を備えている
ことを特徴とする請求項23〜35の何れか一項に記載の装置。
【請求項37】
衝撃波パルスを生成するための振動数を調整する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23〜36の何れか一項に記載の装置。
【請求項38】
パルス装置の減衰力を調整する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23〜37の何れか一項に記載の装置。
【請求項39】
第二チャンバ(3)に第二流体圧力(P2)を与えることによって第二の力を得る手段を備えている
ことを特徴とする請求項23〜32の何れか一項に記載の装置。
【請求項40】
第二流体圧力(P2)を調整する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23〜39の何れか一項に記載の装置。
【請求項41】
第一チャンバ及び第二チャンバの少なくとも一方からの漏れ流を生じさせる漏れチャンバ(14)を備えている
ことを特徴とする請求項23〜40の何れか一項に記載の装置。
【請求項42】
作動中に衝撃ピストンがフローティング位置を採るように装置を調整する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23〜41の何れか一項に記載の装置。
【請求項43】
装置ハウジングにおける衝撃ピストンの位置を、直接的又は間接的に検知する手段を備えている
ことを特徴とする請求項23〜42の何れか一項に記載の装置。
【請求項44】
請求項23〜43の何れか一項に記載の装置を備えた削岩機。
【請求項45】
請求項44に記載の削岩機を有する削岩リグ。
【請求項46】
ハウジング(2)を有するパルス装置(1)の工具方向(R)に衝撃波パルスを生成する方法であって、
ハウジング(2)の内部に衝撃ピストン(4)が配置され、
衝撃ピストン(4)に、第一チャンバ(7)内の第一流体圧力(P1)を介して前記工具方向(R)と反対の方向に第一の力が作用し、かつ、前記工具方向(R)に第二の力が作用し、
第一及び第二の力の一方を、他方に対して急速に変化させることによって衝撃波パルスを生成する方法において、
衝撃波パルスの生成に関する少なくとも一つのパラメータを調整することで衝撃波パルスの長さを制御する
ことを特徴とする衝撃パルスを生成する方法。
【請求項47】
パルス装置(1)の工具方向(R)に衝撃波パルスを生成するための装置であって、
ハウジング(2)を備え、
衝撃ピストン(4)に、第一チャンバ(7)内の第一流体圧力(P1)を介して前記工具方向(R)と反対の方向に第一の力が作用し、かつ、前記工具方向(R)に第二の力が作用するように、前記ハウジング(2)の内部に衝撃ピストン(4)が配置され、
第一及び第二の力の一方を、他方に対して急速に変化させることによって衝撃波パルスを生成する手段(9)を有する
装置において、
衝撃波パルスの生成に関する少なくとも一つのパラメータを調整することで衝撃波パルスの長さを制御する手段を備えている
ことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−504448(P2010−504448A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529150(P2009−529150)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【国際出願番号】PCT/SE2007/000796
【国際公開番号】WO2008/036013
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(398056193)アトラス コプコ ロツク ドリルス アクチボラグ (66)
【Fターム(参考)】