説明

前生物学的調製物

本発明は、アラビノキシランを含む栄養的添加剤に関する。これは、ヒトの腸内微生物叢の調節を手助けする。さらに、添加剤を含むいくつかの食品および飲料、さらには、上記添加剤を調製するための方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、前生物的な栄養的添加剤として使用するためのアラビノキシラン調製物に関し、そして、上記添加剤を用いてヒトの食事を補うことによってヒトの消化管の健康状態を改善する方法に関する。好ましい実施形態においては、アラビノキシラン調製物は、植物性の材料のような自然界に存在している供給源に由来し、より好ましくは、穀物に由来する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、所定のデンプン以外の多糖類(NSP)を含む食品の消化管(より具体的には、腸の微生物叢)の健康状態に対するポジティブな作用に関係する。NSPには、様々な物理化学的特性を有している様々な化合物が含まれる。ペントサンとも呼ばれもアラビノキシランは穀物のNSPの重要なグループであり、これはO−2および/またはO−3
α−L−アラビノ−フラノシル単位がそれに連結させられているβ−1,4−結合D−キシロピラノシル単位の主鎖から構成されている。典型的なアラビノキシランの中には、未置換の、1置換された、および2置換されたキシロース残基が存在している(図1を参照のこと)。アラビノキシランは、水で抽出できるか、または水では抽出できないかのいずれかである。後者は、アルカリ条件下、または酵素を使用することによって部分的に溶解させることができ、そして大量の水に結合する。水で抽出することができるアラビノキシランは、並外れた粘性を生じる能力を有している。一般的には、それらの分子量は、供給源と抽出方法によっては非常に大きい(800,000ダルトンまで)。これらは微量成分に過ぎないという事実にもかかわらず。これらは、コムギデンプン、パスタ、およびビールの製造、製パン、ならびに他の食品への適用のようなバイオテクノロジープロセスにおける穀物の機能性について重要である。
【0003】
アラビノキシランまたはキシラン(β−1,4−結合D−キシロピラノシル単位の未置換のポリマー)に由来するオリゴ糖のいくつかのタイプは、前生物学的特性を発揮することが示されている。前生物学的物質は化合物、通常は非グルコシドオリゴ糖であり、これは、上部消化管の酵素によっては分解され得ないが、大腸の中のいくつかのタイプの腸内細菌によって選択的に発酵される(Gibson and Roberfroid,1995;Roberfroid,1988;Van Loo,2004)。食事の中に前生物学的物質が存在することにより、腸の細菌集団の組成にシフトが生じ、これは通常、乳酸菌(Lactobacillus)およびビフィズス菌(Bifidobacterium)の種の相対的な増加を特徴とする。腸の微生物叢のシフトは、全体的な健康状態の改善、腸の感染症の減少、腸の短鎖脂肪酸のレベルの増大、ミネラルのより良好な吸収、および結腸ガンの開始の抑制に関係している(Van Loo,2004)。
【0004】
2〜3の重合度(DP)を有しているオリゴ糖(キシロビオースおよびキロトリオース)が優位であるキシロ−オリゴ糖(XOS、β−1,4−結合D−キシロピラノシル単位から構成されるオリゴ糖)の調製物は、ラットの糞および盲腸(EP0265970B1;Campbellら、1997;Hsuら、2004)、ならびにヒトの結腸(Okazakiら、1990)の中のビフィズス菌のレベルの有意な増加を生じさせることが示されている。このようなキシロビオースを多く含むXOS調製物はまた、ラットにおいては化学物質によって誘導される結腸での発ガンの初期症状を抑制し(Hseら、2004)、そしてカルシウムの吸収を高める(Toyodaら、1993)。主に3〜5のDPを有しているアラビノキシロ−オリゴ糖(AXOS)から構成される調製物(アラビノシ
ルキシロビオース、アラビノシルキシロトリオース、アラビノシルキシロテトラロース、およびジアラビノシルキシロテトラオース)もまた、ラットおよびマウスの腸の中のビフィズス菌のレベルを増加させることが示されている(Yamadaら、1993)。
【0005】
それらの商業的な可能性を厳しく制限する、現在市販されているXOS調製物についての1つの主要な欠点は、それらの価格水準が他のオリゴ糖と比較して非常に高いことであり、このことは、現在の製造プロセスは費用効率が悪いことを示している。2〜3のDPを有しているXOSが優位である前生物学的調製物の製造については1つの方法が記載されており、これには、植物をベースにして作られた製品(広葉樹材、トウモロコシの穂軸、綿実殻、小麦ふすま、または醸造に使用された穀物)からの、NaClO溶液と高濃縮KOH溶液を使用するキシランの化学的抽出、その後の、エンドキシラナーゼ酵素による抽出されたキシランの酵素による加水分解が含まれる(EP0265970B1)。同様の方法が前生物学的AXOS調製物(3〜5のDPを有しているAXOSの調製物)を作製するために使用されており、これには、濃縮されたアルカリ溶液を使用するアラビノキシランの化学的抽出、その後の、塩類の除去、エンドキシラナーゼでの酵素による加水分解、および炭素カラム上でのクロマトグラフィーが含まれる(Yamadaら、1993)。これらの方法の主な欠点は、キシランまたはアラビノキシランの化学的抽出が環境にやさしくなく、そして酵素による加水分解を行うことができるまでに大規模な透析または限外濾過によるコストのかかる化学物質の除去が必要であることである。XOSまたはAXOSを生産するための別の方法には、広葉樹材または醸造に使用された穀物の熱水による自動加水分解(autohydrolysis)が含まれる。この方法では、植物性の材料の懸濁液が特殊な反応容器の中で150〜190℃で20〜60分間加熱される(EP0265970B1;Kabelら、2002;Carvalheiroら、2004)。この方法の欠点は、高い反応温度のせいで、食品の目的には望ましくない副生成物(例えば、フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、およびレブリン酸)が生じることである(Carvalheiroら、2004)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在までに記載されたXOSおよびAXOSの前生物学的調製物は、2(EP0265970B1)または4(Yamadaら、1993)のいずれかの平均重合度を有している。食品分野での特定の用途については、これらの調製物にはいくつかの欠点がある。第1に、この調製物にはキシロースが多く含まれており、これはスクロースの約60%の甘味を有している(Suntory、キシロオリゴ糖、パンフレットおよび製品説明書、2001)。甘味は、一部の用途について所望され得るが、他の用途については、より自然な風味がより望ましい。平均重合度が低いキシロオリゴ糖もまた、スクロースの約40%の甘味を有している(Suntory、キシロオリゴ糖、パンフレットおよび製品説明書、2001)。第2に、平均重合度が低い調製物は、低カロリー食品の成分においては望ましくないエネルギレベルを有している。キシロオリゴ糖のエネルギ値の計算については、キシロースの代謝エネルギ値は、キシロビオースおよびキシロトリオースについては1グラムあたり4カロリー、1gあたり2カロリーと考えられ、>4のDPを有しているキシロ−アラビノ−オリゴ糖については1gあたり0カロリーとみなされる(Suntory、キシロオリゴ糖、パンフレットおよび製品説明書、2001)。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、アラビノキシランを含む栄養的添加剤に関する。これは、ヒトの腸内微生物叢の調節を手助けする。さらに、添加剤を含むいくつかの食品および飲料、さらには、上記添加剤を調製するための方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
詳細な説明
発明の記述
特定のアラビノキシラン調製物を含む補給用の飼料または食品の前生物学的効果は以前に記載されている。より具体的には、先行技術によって、4未満の平均重合度(DP)を有している一方のキシロ−アラビノ−オリゴ糖に対する、および長鎖の自然界に存在しているアラビノキシランを含む他方のアラビノキシラン調製物に対するビフィズス菌特異的効果の例が提供されている。
【0009】
市販されているキシロ−アラビノ−オリゴ糖調製物は、激しい、制御されていない脱重合化条件下で生産され、これによって、比較的高レベルのキシロースおよび短いキシロ−オリゴ糖の存在を生じる。これらには甘味がある。これらの調製物の甘味により、特定の食品へのそれらの使用が制限される。さらに、4未満のDPを有しているキシロ−アラビノ−オリゴ糖分子は、低カロリー食品には望ましくない代謝エネルギ含有量を有している。
【0010】
自然界に存在しているアラビノキシランの物理化学的特性(例えば、高い粘性および高い保水力)により、これらは広い範囲の食品での使用には適していない。自然界に存在しているアラビノキシランの部分的な脱重合化によってそれらの物理化学的特性が改善されており、そして、約58の平均DPを有しているアラビノキシラン分子を含む調製物が記載されている。しかし、これらの部分的に脱重合化されたアラビノキシランのヒトでの前生物学的効果は、比較的高用量(1日あたり>6g;Grastenら、2003)でしか明らかにされていない。
【0011】
本発明は、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランを含むアラビノキシラン調製物が、ヒトおよびヒト用のモデルとしての役割を果たす。試験動物に投与された場合には、強力な前生物学的物質であるとの知見に基づく。さらに、このような調製物は、自然界に存在しているアラビノキシランまたは短鎖のキシロ−アラビノ−オリゴ糖のいずれかを含む調製物の物理化学的または感覚刺激性の不都合のいずれをも有さない。ヒト、ラット、およびニワトリのいずれにおいても、本発明のアラビノキシラン調製物が58以上の平均DPを有している部分的に脱重合化されたアラビノキシランを含む調製物よりも強いビフィズス菌特異的効果を有していることもまた明らかにされた。加えて、本発明のアラビノキシラン調製物は、結腸の遠位部分においてそれらの前生物学的効果を主に発揮し、一方、短鎖キシロオリゴ糖は結腸の近位部分においてより活性であることが観察された。これらによって遠位結腸の微生物叢の組成と結腸の疾患(特に、結腸ガン)の発症との間の関係が明らかであるので、この発見は特に重要である。次に、前生物学的効果自体もまた、本発明のアラビノキシラン調製物の使用に関する他の有用な効果であることが、尿による窒素の排出の減少、および同時に起こる便によるNの排出の増加、さらには、クレゾールおよびフェノールの尿による排出の減少などとして見られた。
【0012】
したがって、第1の目的においては、本発明によって、食品添加物として、または栄養補給用製品の主成分として使用されるアラビノキシラン調製物が提供される。アラビノキシラン調製物は、上記調製物に含まれるアラビノキシラン分子が5から50の間で変化する平均DPを有することを特徴とする。好ましい実施形態においては、アラビノキシラン調製物には、前記アラビノキシラン分子が少なくとも15%含まれる。より好ましい実施形態においては、これらの調製物には、30%を超える(例えば、60%を超える)上記アラビノキシランが含まれる。さらに好ましい実施形態においては、本発明の調製物に含まれるアラビノキシランは、7から40の間の平均DPを、さらに好ましくは、7から20の間のDPを有する。好ましくは、本発明の調製物に含まれるアラビノキシランの90%が、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)を使用して決定すると、2から
650の間、より好ましくは、2から130の間のDPを有する。
【0013】
好ましい実施形態においては、本発明のアラビノキシラン調製物は、自然界に存在している供給源、例えば、植物性の材料から、より好ましくは、穀物から得ることができる。これらは、上記の自然界に存在しているアラビノキシランの選択された画分であることができ、また、上記自然界に存在しているアラビノキシランの脱重合または断片化によって得ることができ、また、これらは、化学的、酵素的、および/または物理的プロセスによって生産された構造類似物であることもできる。好ましい実施形態においては、アラビノキシラン調製物は、WPC(Pfeifer & Langen)のような、グルテン−デンプン分離プロセスの副流に由来する。別の好ましい実施形態においては、アラビノキシラン調製物は、穀物のふすまに由来する。
【0014】
本発明のアラビノキシラン調製物の前生物学的効果は、食品によって投与された場合には、1回分について0.25gの用量で観察された。したがって、第2の目的においては、本発明によって、本発明のアラビノキシラン調製物を含む食品または飲料が提供される。好ましい実施形態においては、この食品または飲料には、1回分について、0.1から5gの間の本発明のアラビノキシラン調製物が含まれる。より好ましい実施形態においては、食品または飲料には、1回分について、0.25から5gの間の本発明のアラビノキシラン調製物が含まれる。より好ましい実施形態においては、食品または飲料には、1回分について、1から3gの間の本発明のアラビノキシラン調製物が含まれる。別の好ましい実施形態においては、食品または飲料には、1回分について、0.1から5gの間の、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランが含まれる。より好ましい実施形態においては、食品または飲料には、1回分について、0.25から5gの間の、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランが含まれる。さらに好ましい実施形態においては、食品または飲料には、1回分について、1から3gの間の、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランが含まれる。上記に示されるように、本発明のアラビノキシラン調製物は、低カロリー食品への有用な添加物として特に適している。
【0015】
特定の実施形態においては、食品は乳製品、例えば、ヨーグルトまたはフレッシュチーズである。好ましくは、上記乳製品には、125gの1回分について100gあたりで、0.25から5gの間、より好ましくは1から3gの間の、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランが含まれる。状況に応じて、上記乳製品には、生存しているビフィズス菌属または乳酸菌属の細菌が含まれる。これらはアラビノキシランを発酵させることができる。別の特定の実施形態においては、本発明の飲料は、いわゆるアルコールを含まない機能性清涼飲料である。好ましくは、このような機能性清涼飲料には、100mlあたり0.25から5gの間、より好ましくは1から3gの間の、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランが含まれる。あるいは、上記機能性清涼飲料には、所望される量のこのようなアラビノキシランが250ml中に含まれる。特定の実施形態においては、上記機能性清涼飲料には、生存しているビフィズス菌属または乳酸菌属の細菌が含まれる。これらはアラビノキシランを発酵させることができる。
【0016】
一般的には、有効成分として穀物または穀物に由来する物質を含む食品にはアラビノキシランが含まれる。しかし、これらの食品に含まれるアラビノキシランは、6000を超えるDPを有している長鎖の自然界に存在しているアラビノキシランであるか、または少なくとも200から300のDPを有している部分的に脱重合化させられたアラビノキシランであるかのいずれかである。したがって、本発明のアラビノキシランが上記食品に多く含まれることによってまた、それらの栄養価も改善される。好ましくは、このような富化は、穀物を含む食品の調製の間に、材料の1つとして所定の量の本発明のアラビノキシラン調製物を添加することによって得られる。このような富化によって、200未満のDPを有しているアラビノキシランの集団に加えて、200以上のDPを有しているアラビ
ノキシランを含む穀物を含む食品が得られることは明らかである。上記集団は、5から50の間の平均DPを特徴とする。当業者は、200を下回るDPを有しているアラビノキシランの上記集団での穀物を含む食品の富化は、これらの食品の調製の間に、適切な条件下でキシラン分解酵素を使用することによって、少なくとも一部得ることができることを理解するであろう。特定の実施形態においては、上記食品は、パンのようなベーカリ製品である。好ましくは、上記パンには、100gあたり0.25から5gの間、より好ましくは、1から3gの間の、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランが多く含まれている。別の実施形態においては、食品はケーキのようなペストリ製品である。好ましくは、上記ペストリ製品には、100gあたり0.25から5gの間、より好ましくは、1から3gの間の、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランが多く含まれている。さらに別の実施形態においては、食品はパスタ製品である。好ましくは、上記パスタ製品には、80gあたり0.25から5gの間、より好ましくは、1から3gの間の、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランが多く含まれている。さらに別の実施形態においては、食品は、朝食用シリアルである、好ましくは、上記朝食用シリアルには、30gあたり0.25から5gの間、より好ましくは、1から3gの間の、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランが多く含まれている。さらに別の実施形態においては、食品はビスケットであり、例えば、朝食用の乾いたビスケットである。好ましくは、上記ビスケットには、125gあたり0.25から5gの間、より好ましくは、から3gの間の、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランが多く含まれている。
【0017】
本発明のアラビノキシラン調製物を補給することを手助けすることができる他の食品は、例えば、ひき肉製品、チョコレート、クッキー、バー(bars)、およびデザート用のプリンのようなデザートであるが、これらに限定はされない。
【0018】
本発明の第3の目的によっては、本発明のアラビノキシラン調製物を含む食品補給製品(food supplement product)が提供される。好ましい実施形態においては、食品補給製品は、カプセル、錠剤、粉末などである。より好ましい実施形態においては、食品補給製品は、それによって0.1および5gの、より好ましくは、0.25から5gの間、例えば、1から3gの間の、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランの連日投与が可能であるように処方される。
【0019】
第5の目的においては、本発明によって、本発明のアラビノキシラン調製物を調製するための方法が提供される。第1の実施形態においては、この方法には以下の工程が含まれる:
i.ふすま、小麦粉、または小麦スキージ(wheat squeegee)のようなアラビノキシランを多く含む材料から水で抽出できないアラビノキシラン画分を、上記アラビノキシランを多く含む材料の除デンプン(destarchification)および除タンパク(好ましくは、それぞれ、デンプン分解酵素およびタンパク質分解酵素を使用して)によって単離する工程
ii.1つ以上のキシラン分解酵素を使用して水で抽出できないアラビノキシラン画分を脱重合化させる工程。
【0020】
第2の実施形態においては、この方法には以下の工程が含まれる:
i.部分的に脱重合化された水で抽出することができるアラビノキシランを含む調製物、例えば、デンプン−グルテン分離プロセスの副流によって得られる調製物を得る工程
ii.必要に応じて、上記アラビノキシランを含む調製物からデンプンおよびタンパク質を(好ましくは、それぞれ、デンプン分解酵素およびタンパク質分解酵素を使用して)除去する工程。
【0021】
iii.1つ以上のキシラン分解酵素を使用して上記調製物中に含まれるアラビノキシランを脱重合化させる工程。
【0022】
特定の実施形態においては、調製物は、調製物から4以下のDPを有している単糖およびオリゴ糖の量を減少させるために、キシラン分解酵素での処理の後に限外濾過に供される。
【0023】
最後の目的においては、本発明によって、穀物を含む食品中の200未満のDPを有しているアラビノキシランの集団の濃度および平均DPを分析するための方法が提供される。上記方法には以下の工程が含まれる:
i.穀物を含む食品の試料を、好ましくは、上記試料を乾燥または凍結乾燥させた後に粉砕する工程;
ii.粉砕した試料を蒸留水中で抽出する工程;
iii.全てのデンプンをグルコースに変換するために、適切な条件下でデンプン分解酵素で(例えば、アミラーゼでの処理、その後のアミログルコシダーゼでの処理を使用して)抽出物を処理する工程;
iv.(iii)で得られた試料から、例えば、酵母を使用してグルコースを代謝させることによって、グルコースを除去する工程;
v.(iv)で得られた試料に含まれるアラビノキシランの分子量プロフィールを、好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して決定する工程;
vi.例えば、HPLC曲線下の表面積の分析によって、200未満のDPを有しているアラビノキシラン画分の相対的な量および平均DPを計算する工程。
【0024】
本発明は、以下に記載される例示的な実施形態によってさらに説明される。
例示的な実施形態
[実施例]
実施例1:>4の平均DPを有しているXOS/AXOSの調製
材料および方法
Xylooligo−95P。キシロビオース、キシロトリオース、およびキシロテトラオースから主に構成される市販されているキシロオリゴ糖調製物Xylooligo−95Pは、Suntory Ltd.(東京、日本)から入手した。
【0025】
小麦ふすまからの水で抽出できないアラビノキシランの調製。ふすまの水で抽出できないアラビノキシラン(WU−AX)の調製のために、市販されている小麦ふすま(Meneba Meel BV,ロッテルダム、オランダ)を出発材料として使用した。アラビノキシラン以外の材料は、Maesら(2004)に記載されている方法にしたがって、酵素処理によってふすまから部分的に除去した。小麦ふすまの水への懸濁液(1:7w/v)を、熱安定性α−アミラーゼ(Termamyl 120LS,Novozymes,バグスバード、デンマーク;1μl/gの小麦ふすま)で90℃で90分間処理して、デンプンを加水分解させた。50℃に冷却した後、懸濁液のpHを濃HClを使用して6.0に調整し、懸濁液をプロテアーゼ(Neutrase 0.8L、Novozymes,バグスバード、デンマーク;150μl/gの小麦ふすま)と共に50℃で24時間インキュベートして、残っているタンパク質を加水分解した。その後、懸濁液を沸騰させて濾過し、濾液を廃棄した。残渣(「ふすまWU−AX」と呼ぶ)を水で洗浄し、風乾させた。
【0026】
小麦粉または小麦スキージデンプンからの水では抽出できないアラビノキシランの調製。小麦粉は、標準的な方法(McRitchie,1985)を使用して4つの異なる画分に分画することができる:A−デンプン(主要なデンプン)、B−デンプン(スキージデンプンまたはくず)、グルテン、および水溶性画分。WU−AXはスキージデンプン画
分の中に濃縮される。アラビノキシラン以外の物質は、酵素処理によってスキージ画分から部分的に除去した。スキージデンプンの水への懸濁液(1:6w/v)を、最初に、熱安定性α−アミラーゼ(Termamyl 120LS,Novozymes,バグスバード、デンマーク;30μl/gスキージデンプン)で90℃で60分間、そしてアミログルコシダーゼ(Megazyme,ブレー、アイルランド,20μl/gスキージデンプン)で60℃で16時間処理して、デンプンを加水分解させた。30分間沸騰させて遠心分離した後、残渣をプロテアーゼ(Neutrase 0.8L、Novozymes,バグスバード、デンマーク,20μl/gスキージデンプン)と共に50℃で20時間インキュベートして、残っているタンパク質を加水分解した。その後、懸濁液を再び沸騰させて(30分間)、濾過し、そして濾液を廃棄した。残渣(「小麦粉WU−AX」と呼ぶ)を水、エタノール(95%v/v)で洗浄し、風乾させた。小麦デンプンからWU−AXを抽出するのではなく、WU−AXはまた、小麦スキージデンプンから直接単離することもできる。この場合、産業的なデンプン−グルテン分離プロセスの市販されている副流であるMeritena 233(Tate & Lyle,アールスト、ベルギー)を、出発材料として使用した。水中のMeritena 233の懸濁液(1:5w/v)を、続いて、熱安定性α−アミラーゼ(Termamyl 120LS、Novozymes,バグスバード、デンマーク;30μl/gのMeritena 233)で90度で60分間、そしてアミログルコシダーゼ(Megazyme,ブレー、アイルランド;20μl/g Meritena 233)で60度で16時間処理して、デンプンを加水分解させた。30分間の沸騰と遠心分離の後、残渣をプロテアーゼ(Neutrase 0.8L、Novozymes,バグスバード、デンマーク;20μl/gのMeritena 233)とともに50℃で20時間インキュベートして、残っているタンパク質を加水分解させた。その後、懸濁液を再び沸騰させ(30分間)、濾過し、そして濾液を廃棄した。残渣を「スキージWU−AX」と呼び、これを水、エタノール(95%v/v)で洗浄し、風乾させた。
【0027】
小麦ペントサン濃縮物(Wheat Pentosan Concentrate:WPC)。小麦ペントサン濃縮物(WPC、Pfeifer & Langen,ドルマーゲン、ドイツ)は小麦粉に由来し、その化学的組成は、Courtin and Delcour(1998)によって詳細に記載されている。WPCは水で抽出することができるアラビノキシラン(ca.43%)とタンパク質物質(ca.30%)とを多く含む。残りの部分は主に、アラビノガラクタンペプチド(ca.14%)と、それより少ない程度の重合体グルコース(6%)から構成される。
【0028】
122のavDPと、0.66のA/X比を有しているAXOS(AXOS−122−0.66)の調製。AXOS−122−0.66の調製のための出発材料は市販の小麦ペントサン濃縮物(WPC,Pfeifer & Langen,ドルマーゲン、ドイツ)であった。WPCを脱イオン水に溶解させ(1:10w/v)、そしてシリカを水性懸濁液(20%w/v)として、シリカ/タンパク質の比が7:1になるまで添加した。シリカへのタンパク質の最大吸着を得るために、混合物のpHを0.1MのHClを使用して4.8に調整した。30分の攪拌の後、懸濁液をブフナー(Buchner)濾過した。シリカ/タンパク質を含む残渣を廃棄し、一方、濾液はエタノール沈殿させた。エタノール(95%v/v)を連続攪拌下で添加して、65%(v/v)の最終濃度とし、さらに30分間の攪拌の後、落ち着かせ(24時間、4℃)、そして濾過した。得られた残渣は、溶媒を乾燥させ(エタノール、アセトン、およびジエチルエーテル)、そして風乾させた。得られた物質をホモジナイズし、250μmの篩にかけた。
【0029】
16のavDPと、0.78のA/X比を有しているAXOS(AXOS−16−0.78)の調製。AXOS−16−0.78を、市販の小麦ペントサン濃縮物(WPC,Pfeifer & Langen,ドルマーゲン、ドイツ)から出発して調製した。AX
OS−122−0.66の調製について記載したように、タンパク質を除去するためにWPCをシリカで処理した。回収した濾液を、小麦ペントサン濃縮物1gあたり29単位のアスペルギルス・アクリエート(Aspergillus aculeatus)由来のエンドキシラナーゼであるXAA(Shearzyme 500L、Novozymes,バグスバード、デンマーク)とともに30℃で24時間、さらにインキュベートした。沸騰(30分間)による酵素の不活化の後、得られた溶液を冷却し、エタノール沈殿を行った。エタノール(95%v/v)を連続攪拌下で、最終濃度が80%(v/v)になるように添加して、さらに30分間の攪拌の後、落ち着かせ(24時間、4℃)、そして濾過し、得られた残渣を脱イオン水に溶解させ、再びエタノール沈殿させた。エタノール(95%v/v)を、連続攪拌下で、最終濃度が65%(v/v)になるように添加して、さらに30分間の攪拌の後、落ち着かせ(24時間、4℃)、そして濾過した。沈殿した物質を除去した。残った上清を、エタノールを除去するために回転式エバポレーションし、脱イオン水に溶解させ、そして凍結乾燥させた。得られた物質をホモジナイズし、250μmの篩にかけた。
【0030】
7のavDPと、0.34のA/X比を有しているAXOS(AXOS−7−0.34)の調製。AXOS−7−0.34の調製のための出発材料は、上記に記載したように単離したふすまWU−AXであった。続いて、ふすまWU−AXを、1gの乾燥した状態の単離したふすまWU−AXあたり80単位のエンドキシラナーゼXBS(Grindamyl H640,ダニスコ、デンマーク)とともに、30℃で24時間インキュベートした。濾過、および沸騰(30分間)による酵素の不活化の後、濾液を凍結乾燥させ、そして得られた物質をホモジナイズし、250μmの篩にかけた。
【0031】
15のavDPと、0.27のA/X比を有しているAXOS(AXOS−15−0.27)の調製。市販の小麦ふすま(Dossche Mills & Bakery,デーンズ、ベルギー)をAXOS−15−0.27の調製のための出発材料として使用した。小麦ふすまの水への懸濁液(1:7w/v)を、最初に、熱安定性α−アミラーゼ(Termamyl 120LS,Novozymes,バグスバーグ、デンマーク;1μl/gの小麦ふすま)で90℃で90分間処理して、デンプンを加水分解させた。50℃に冷却した後、懸濁液のpHを濃HClを使用して6.0に調整し、懸濁液をプロテアーゼ(Neutrase 0.8L、Novozymes,バグスバード、デンマーク;40μl/gの小麦ふすま)と共に50℃で4時間インキュベートして、残っているタンパク質を加水分解した。その後、懸濁液を20分間沸騰させて濾過し、濾液を廃棄した。残渣を水で洗浄し、脱イオン水に再懸濁させた(1:14w/v)。懸濁液を、デンプンを除去し(destarched)そしてタンパク質を除去した(deproteinised)小麦ふすま1gあたり1.4単位のエンドキシラナーゼXBS(Grindamyl
H640,ダニスコ、デンマーク)とともに、50℃で10時間、連続攪拌下でインキュベートし、デンプンを除去しそしてタンパク質を除去した小麦ふすま1gあたり1.1単位の、2回目の用量のエンドキシラナーゼXBSの添加後、50℃でさらに10時間インキュベートした。沸騰(30分間)による酵素の不活化の後、溶液を、薄膜降下式エバポレーターの中で20%の乾燥物質となるまで濃縮させ、最後に噴霧乾燥機の中で乾燥させた。
【0032】
8のavDPと、0.27のA/X比を有しているAXOS(AXOS−8−0.27)の調製。AXOS−8−0.27は、AXOS−15−0.27の溶液(1:10w/v)を、1gのAXOS−15−0.27あたり125単位のアスペルギルス・アクリエート由来のエンドキシラナーゼであるXAA(Shearzyme 500L、Novozymes,バグスバード、デンマーク)とともに30℃で1時間インキュベートすることによって調製した。沸騰(30分間)による酵素の不活化の後、溶液を凍結乾燥させ、得られた物質をホモジナイズし、250μmの篩にかけた。
【0033】
39のavDPと、0.22のA/X比を有しているAXOS(AXOS−39−0.22)の調製。AXOS−39−0.22を、上記のMeritena 233 B−starchから単離した小麦スキージWU−AXから調製した。0.63の平均A/X比を有しているスキージWU−AXを25mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.7)に3g/lで懸濁させ、そして1gのスキージWU−AXあたり3.3単位のエンドキシラナーゼXBS(Grindamyl H640,ダニスコ、デンマーク)とともに30℃で2時間、連続攪拌下でインキュベートした。遠心分離(10,000g、15分間、18℃)後、上清を30分間沸騰させて酵素を不活化させ、一方、残渣は、先に記載した酢酸ナトリウム緩衝液(最初の容量の1/4)で洗浄した。洗浄水を不活化させ(30分、100℃)、そして上清と混合した。濾過後、得られた溶液を凍結乾燥させると、262のavDPGCと0.50のA/X比を有しているAXOSが得られた。酵素を溶解させた物質をさらに脱イオン水に溶解させ(1:20w/v)、HCl(1M)の添加によって溶液のpHを2.8にした。この溶液を、AXOSのβ−1,4−結合キシロースサブユニットよりも酸加水分解されやすいと思われるα−1,2−およびα−1,3−結合アラビノース置換基の大きな画分を除去するために、90℃で24時間インキュベートした。室温に冷却した後、溶液を1MのNaOHの添加によって中和し、そして遠心分離した(10,000g、20分間、18℃)。エタノール(95%v/v)を、得られた上清に対して連続攪拌下で添加して、最終エタノール濃度を80%(v/v)とした。混合物をさらに30分間攪拌し、一晩4℃に保った。沈殿したAXOS化合物を遠心分離(10,000g、20分間、4℃)によって回収し、脱イオン水中に溶解させ、凍結乾燥させ、そして得られた物質をホモジナイズし、250μmの篩にかけた。
【0034】
13のavDPと、0.21のA/X比を有しているAXOS(AXOS−13−0.21)の調製。AXOS−13−0.21は、AXOS−39−0.22の溶液(3g/l)を、1gのAXOS−39−0.22あたり27.7単位のアスペルギルス・アクリエート由来のエンドキシラナーゼであるXAA(Shearzyme 500L、Novozymes,バグスバーグ、デンマーク)とともに30℃で2時間インキュベートすることによって調製した。沸騰(30分間)による酵素の不活化の後、溶液を凍結乾燥させ、そして得られた物質をホモジナイズし、250μmの篩にかけた。
【0035】
単離した調製物の特性決定
種々の技術を使用してオリゴ糖調製物を特性決定した。
【0036】
全糖含有量および還元末端糖含有量を、Courtinら(2000)に記載されているように、気体−液体クロマトグラフィー分析によって決定した。試料のアラビノキシラン(AX)含有量を、0.88x(%アラビノース+%キシロース)として表した。気体−液体クロマトグラフィーによって決定したAXOSの平均重合度(avDPGC)を、還元末端キシロース含有量で割り算した全キシロース含有量と全アラビノース含有量の和として計算した。試料のタンパク質含有量(N×5.7)を、デュマ法(Dumas combustion method)、AOAC公式方法(AOAC Official
Method(1995))の採用によって決定した。
【0037】
調製物中の構成オリゴ糖のプロファイリングを、ED−40電気化学的検出器、GP−50勾配ポンプ、およびAS−3500自動サンプリング装置を備えたDionex DX−500クロマトグラフィーシステム(サニーベール、CA,USA)を使用して、パルスアンペロメトリック検出を用いる高速陰イオン交換クロマトグラフィー(High Performance Anion Exchange Chromatography with Pulsed Amperometric Detection(HPAEC−PAD))によって行った。試料(10mg)を精製した脱イオン水(2ml、比
抵抗率18mΩ−cm)に溶解させ、濾過し、そしてCarbopac PA−100陰イオン交換カラム(4×250mm)に取り付けたCarbopac PA−100ガードカラム(4×25mm)に注入(25μl)した。溶出(1.0ml/分)を、30分間の100mMのNaOH中の0から250mMの酢酸ナトリウムの直線勾配によって、その後に、15分間の100mMのNaOH中の250から400mMの酢酸ナトリウムの直線勾配で行った。勾配の後、カラムを、100mMのNaOHで5分間溶出させた。溶出液を、電位および時間についての以下の設定を含むパルスアンペロメトリック検出形式で、ED−40検出器を使用してモニターした:E+0.05V(t=400ms);E+0.75V(t=200ms);E−0.15V(t=400ms)。アラビノース(A)、キシロース(X)、キシロビオース(X)、および3から6のDPを有しているXOS(XからX)を参照として使用した。
【0038】
高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)を、自動注入器を備えたHPLCシステム(Kontron Instruments,325ポンプシステム,Kontron,ミラノ、イタリア)で行った。全ての調製物を0.3%の塩化ナトリウム(1.5ml)に溶解させ、濾過し、そしてShodex SB−806 HQ HPSECカラム(300×8mm、分離範囲:1×10〜20×10Da)に取り付けたShodex SB−800Pガードカラム(Showa,Denko K.K.,東京、日本、50×6mm)に注入(20μl)した。溶出は0.3%の塩化ナトリウム(0.5ml/分;30℃)で行い、屈折率検出装置(VDS Optilab,ベルリン、ドイツ)を用いてモニターした。分子量マーカーは、78.8×10、40.4×10、21.2×10、11.2×10、4.73×10、2.28×10、1.18×10、0.59×10Daの分子量を有しているShodex標準P−82プルラン(2.0mg/ml)と、180Daの分子量を有しているグルコースであった。高速サイズ排除クロマトグラフィー(avDPHPSEC)によって決定したオリゴ糖の平均重合度(avDP)をMMHPSEC/132として計算した。
【0039】
キシラン分解酵素の活性の決定。キシラン分解酵素の活性を、アッセイについての製造業者の説明書にしたがって不溶性物質としてキシラザイム(Megazyme,ブレー、アイルランド)を使用して比色によって測定した。1単位は、アッセイ条件下で590nmで1.0の消光の変化を生じるために必要な酵素の量と定義した。
【0040】
結果および考察
様々なタイプのAXOSを、材料および方法に記載したように、小麦ふすま、小麦粉、または小麦スキージデンプンのいずれかから調製した。様々な調製物の特性を、アラビノキシラン含有量、平均置換度(キシロースに対するアラビノースの比)、および平均重合度に関して表1に示す。ここでは、これらを、既知の前生物学的特性を有している市販されているXOS調製物であるXylooligo−95P(Campbellら、1997;Hsuら、2004)の特性と比較した。表1と本明細書中に後で使用した命名法にしたがって、AXOS調製物をAXOS−x−yと呼ぶ。ここでは、xは気体−液体クロマトグラフィーによって決定した平均重合度であり、yはキシロースに対するアラビノースの比である。様々な調製物は、7から122までの範囲の平均重合度(Xylooligo−95Pについての2と比較)、および0.21から0.78までの範囲の置換度(Xylooligo−95Pについての0.09と比較)を有していた。小麦ふすまに由来する調製物(AXOS−7−0.34、AXOS−15−0.27、AXOS−8−0.27)は、小麦粉に由来する調製物(AXOS−122−0.66、AXOS−16−0.78)よりも低い置換度を有していた。本発明者らはまた、AXOS化合物の置換度を酸での処理によって低下させることができることも示した。実際、AXOS−39−0.22は、酸での処理を含む種々の工程によってスキージWU−AXから調製し(材料および方法を参照のこと)、そしてこれによって、平均置換度は、スキージWU−AXの0
.63からAXOS−39−0.22の0.22にまで低下する。
【0041】
図2は、HPSECによって決定した種々のAXOS調製物の分子量分布を示す。全てのAXOS調製物は多分散性であり、そして気体−液体クロマトグラフィーによって決定すると、avDPに近い状態のピークを有している分子的実体から構成されていた。HPSEC溶出プロフィールから決定した、そのオリゴ糖の90%がその中に入る重合度の範囲を、様々なAXOS調製物について表1に提供する。
【0042】
実施例2:XOS/AXOS調製物の物理化学的特性および感覚的特性
材料および方法
オリゴ糖調製物。Xylooligo−95P、AXOS−15−0.27、AXOS−39−0.22、およびAXOS−13−0.21は、実施例1の材料および方法に記載したように入手した。フルクトオリゴ糖(FOS)調製物は市販されている製品Raftilose(Orafti,チーネン、ベルギー)であった。感覚的分析に使用したAXOS−15−0.27を最初に水に溶解(1:25w/v)させ、活性炭素で処理して、生産プロセスに起因する起こりうるオフフレーバを除去した。AXOS−15−0.27と活性炭素(0.75g/gのAXOS−15−0.27)の懸濁液を18℃で1時間攪拌し、デカンテーションの後、活性炭素を遠心分離(10000g、30分間、18℃)によって除去した。
【0043】
安定性の測定。安定性の測定は、オリゴ糖調製物の水で抽出することができる部分について行った。これは、脱イオン水中への調製物の懸濁(1:10w/v)、その後の震盪(2時間、18℃)、遠心分離(10,000g、20分間、18℃)、および濾過によって得た。濾過物の凍結乾燥の後、水で抽出することができる試料を、2、3、7、および11のpH値を有している共通の緩衝液に溶解させると、0.15%(w/v)のオリゴ糖濃度を有する溶液が得られた。共通の緩衝液は、水(1.0L)中の6.0gのクエン酸、3.9gのリン酸二水素カリウム、1.8gのホウ酸、および5.8gのジエチルバルビツール酸のストック溶液から調製した(Britton and Welford,1937)。このストック溶液のアリコート(20ml)を、2.0MのHClまたは2.0MのNaOHのいずれかで調整して、所望されるpHとした。オリゴ糖溶液のそれぞれを、様々な時間の間(0、5、10、15、20、30、および60分間)、沸騰水の中に維持した。その後、溶液を冷却し、全単糖含有量および還元末端糖含有量を、実施例1の材料および方法に記載したように、気体−液体クロマトグラフィーによって測定した。FOSの分解の割合を式(1)を用いて計算し、一方、Xylooligo−95PおよびAXOS−15−0.27の分解の割合を式(2)を用いて計算した。FOSの加水分解の割合、ならびに、Xylooligo−95PおよびAXOS−15−0.27の加水分解の割合を、それぞれ、式(3)および(4)を用いて計算した。
【0044】
(1)%分解=(時間0およびpH7での全グルコース+マンノース濃度)−(全グルコース+マンノース濃度)/(時間0およびpH7での全グルコース+マンノース濃度)
(2)%分解=(時間0およびpH7での全キシロース+アラビノース濃度)−(全キシロース+アラビノース濃度)/(時間0およびpH7での全キシロース+アラビノース濃度)
(3)%分解=(還元グルコース+マンノース濃度)−(時間0およびpH7での還元グルコース+マンノース濃度)/(溶液中に存在し得る還元グルコース+マンノースの最大量)
(4)%分解=(還元キシロース+アラビノース濃度)−(時間0およびpH7での還元キシロース+アラビノース濃度)/(溶液中に存在し得る還元キシロース+アラビノースの最大量)
AXOS−15−0.27中の加水分解されたキシロースおよびアラビノース結合の割
合は、それぞれ、式(5)および(6)によって計算した。
【0045】
(5)%キシロースの加水分解=(還元キシロース濃度)−(時間0およびpH7での還元キシロース濃度)/(溶液中に存在し得る還元キシロースの最大量)
(6)%アラビノースの加水分解=(還元アラビノース濃度)−(時間0およびpH7での還元アラビノース濃度)/(溶液中に存在し得る還元アラビノースの最大量)
感覚的分析。感覚的分析は、1度に最大10人のボランティアを含むセッションにおいて隔離室で行った。被験体には、セッションの前に少なくとも1時間の間、飲食をやめるように求めた。被験体を最初に手順に慣れさせ、その後、精製した脱イオン水(比抵抗率18mΩ−cm)の中に調製した様々な濃度のXylooligo−95P、AXOS−15−0.27、スクロース(対照の甘味の刺激)、塩化ナトリウム(対照の塩味の刺激)、およびアスコルビン酸(対照の酸味の刺激)を有しているコード化した試料を味わうように求めた。最も高濃度の各化合物を含む溶液を8と番号付けし、そして最も低濃度を1と番号付けした(表2)。被験体には、濃度を増大させるために、1つの化合物の濃度範囲の全てを連続して味わうように求めたが、個々の個体に様々な化合物を提示する順番はランダムにした。一連の濃度の化合物を味わう前に、口を、最初は精製した脱イオン水(比抵抗率18mΩ−cm)で2回、その後、5mlのそれぞれの試験溶液を、使い捨ての注射器で被験体の口に入れ、およそ5秒間、口の中でグルグル回させ、その後、嚥下させた。参加者に、化合物を甘い、塩辛い、または酸っぱいと認識できた最低濃度(個々の認識閾)を示すように求めた。被験体の半数が特定の化合物の正確な味を認識した濃度として決定した平均の味覚認識閾を、全部で20人から得た個々の認識閾についてのデータを用いて計算した。
【0046】
粘性の測定。粘性の測定は、オリゴ糖調製物の水で抽出できる部分について行った。これは、水中への調製物の懸濁(1:10w/v)、その後の震盪(2時間、18℃)、遠心分離(10,000g、20分間、18℃)、および濾過によって得た。濾過物の凍結乾燥の後、5.0%(w/v)の溶液の粘性を、Vinkxら(1991)にしたがって、30℃で、Ostwald型粘度計(毛細管粘度計(Cappillary Viscosimeter),Schott Geraete,50904型)を用いて測定した。溶液の粘性の測定は3連で行い、それぞれのオリゴ糖溶液についてのフロー時間を同じ実験条件下での脱イオン水のフロー時間で割り算することによって、脱イオン水の粘度に対して相対的に(ηrel)表した。比粘度(ηsp=ηrel−1)の計算の後、見かけの固有粘度([ηapp]、dl/g)を、式(7)に示したMorris方程式(Morris,1984)を使用して決定した。ここでは、オリゴ糖だけが溶液の粘性特性に寄与すると仮定して、c(mg/mlとして表す)はオリゴ糖濃度を示す。個々の分析の後、粘度計を脱イオン水で2回、95%のエタノールで2回、アセトンで1回、そしてジエチルエーテルで1回すすぎ、その後、圧縮空気で乾燥させた。
【0047】
【数1】

【0048】
結果および考察
AXOS−15−0.27のpH安定性を、確立されている前生物学的化合物であるフルクトオリゴ糖(FOS,市販されている製品Raftilose)とキシロオリゴ糖(XOS,市販されている製品Xylooligo−95P)のpH安定性とを比較した。様々なオリゴ糖を、様々な時間の間、100℃で様々なpH値(pH2、3、7、および
11)で維持した。分解の割合を、構成要素である単糖の含有量の減少を測定することによって決定し、そして加水分解の割合を、構成要素である還元単糖の量の増加を測定することによって決定した。図3に示すように、低いpHまたは中性のpH(pH2、3、または7)では実質的な分解を受けたオリゴ糖はなかった。一方、試験した3つのオリゴ糖のすべてについて、アルカリpH(pH11)では分解が観察された。この効果は、Xylooligo−95Pについては最も顕著であり、60分後にはその73%が分解された。アルカリに対して最も安定であったのはAXOS−15−0.27であった(図3)。アルカリpHで観察された分解は、アルカリによる剥離(alkali peeling)として知られており、これは、高温(60〜100℃)で起こり、そしてオリゴ糖の還元末端から進行する(Whistler and BeMiller,1958;Santoriら、2003)。
【0049】
試験した3つのオリゴ糖のうち、FOSは、明らかに、低いpHで最も加水分解を受けやすかった(図4)。pH2および3では、FOSの58%および53%が、60分後に加水分解された。Xylooligo−95PおよびAXOS−15−0.27は、pH2で同等レベルの加水分解を示した。しかし、AXOS−15−0.27は、pH3ではXylooligo−95Pよりも安定であり、Xylooligo−95Pについての6%に対して、AXOS−15−0.27についてはわずかに2%しか加水分解されなかった(図4)。低いpHでのAXOS−15−0.27の加水分解についてのさらなる研究によって、アラビノース結合がキシロース結合よりも酸による加水分解に対してより敏感であることが明らかになった。実際、AXOS−15−0.27の、pH2、100℃での60分間のインキュベーションによっては、全てのアラビノース結合の54%の加水分解が生じたのに対して、これらの条件ではキシロース結合はわずか4%しか加水分解されなかった(図5)。
【0050】
Xylooligo−95Pのような低いDPを有しているキシロオリゴ糖は、スクロースの約40%の甘さの甘味を示すことが報告されている(Suntory,キシロオリゴ糖、パンフレットおよび製品説明書、2001)。重合度の高いアラビノキシロオリゴ糖の味の特性については、これまでのところ知られていない。20人からなる味覚のパネルを用いて、本発明者らは、AXOS−15−0.27およびXylooligo−95Pの味認識閾を決定した。試験試料にはまた、甘味、塩味、および酸味の代表として、それぞれ、スクロース、塩化ナトリウム、およびアスコルビン酸も含めた。被験体には、試験化合物のそれぞれの濃度の系列について、化合物を甘い、塩辛い、または酸っぱいと認識した濃度を示すように求めた。試験した最大濃度(71.5g/l)のAXOS−15−0.27については、味覚のパネルのわずか15%しか甘いと示さず、塩味または酸味を示した被験体はなかった。スクロースおよびXylooligo−95Pの甘味についての平均の味覚認識閾は、それぞれ、7g/Lおよび24g/Lであったが、AXOS−15−0.27についての平均の味覚認識閾は、71.5g/Lよりも高かった。したがって、AXOS−15−0.27はスクロースよりも10倍以上甘味が少なく、そしてスクロースよりもおよそ3倍甘味が少ないXylooligo−95Pよりも3倍以上甘味が少ない。
【0051】
AXOS−15−27、AXOS−39−0.22、およびAXOS−13−0.21について粘度を決定し、フルクトオリゴ糖(FOS、市販されている製品Raftilose)およびキシロオリゴ糖(XOS、市販されている製品Xylooligo−95P)の粘性と比較した。表3に示したように、様々なAXOS調製物は、FOSおよびXylooligo−95Pと比較して3倍から10倍高い、高い見かけの固有粘性を有している。
【0052】
実施例3
限外濾過によるAXOS調製物の分画
材料および方法
AXOSの調製。スキージWU−AXは、実施例1の材料および方法に記載したように調製した。スキージWU−AXを酢酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH4.7)に3g/lで懸濁させ、1gのスキージWU−AXあたり18.4Uの、アスペルギルス・アクリエート由来のエンドキシラナーゼであるXAA(Shearzyme 500L、Novozymes,バグスバード、デンマーク)とともに、30℃で4時間インキュベートした。沸騰(30分間)による酵素の不活化、およびその後の懸濁液の濾過の後、AXOSは濾液の中に回収された。
【0053】
限外濾過によるAXOSの分離。AXOSを端末「HP4750攪拌セル」限外濾過装置(dead−end ‘HP4750 stirred cell’ ulrafiltration device)(Sterlitech Corporation,ケント、米国)において分画した。使用した限外濾過膜は、5kDa(P005F、Celgard,ウィースバーデン、ドイツ)、10kDa(PES−10,Synder Filtration,ヴァルカビル、CA、米国)、または30kDa(PES−030H,Celgard)のいずれかの分子量カットオフ(MMCO)を有していた。膜表面での濃度分極は、セル内の中央に配置された、700rpmの攪拌速度を有しているテフロン(登録商標)コーティングされた磁気攪拌棒の機構によって最小にした。圧力源は圧縮窒素ガスシリンダであった。圧力は圧力調節装置によって制御し、全ての濾過実験は、室温で4barの定圧で行った。端末限外濾過セルに分画される300mlの溶液を充填し、およそ200mlの浸透液の全容量が回収された時点で、濾過を停止した。
【0054】
単離された調製物の特性決定。実施例1の材料および方法を参照のこと。高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)は、Shodex SB−802.5 HQ HPSECカラム(Showa,Denko K.K.,東京、日本、300×8mm、分離範囲:1×10〜1×10Da)を使用したことを除いて、実施例1の材料および方法に記載したように行った。分子量マーカーは、11.2×10、4.73×10、2.28×10、1.18×10、および0.59×10Daの分子量を有しているShodex標準P−82プルラン(2.0mg/ml)、810(DP6)、678(DP5)、546(DP4)、414(DP3)、および282Da(DP2)の分子量を有しているキシロオリゴ糖標準物、ならびに180Daの分子量を有しているグルコースであった。
【0055】
結果および考察
AXOS調製物中での甘味と代謝性の低分子量オリゴ糖の存在は、食品用の成分としての特定の用途には望ましくない場合があるが、他の用途については、主に低分子量のオリゴ糖から構成される甘味のあるAXOS調製物を使用することが所望される。この理由から、2〜3のDPを有しているAXOS/XOSが、より高いDPを有しているAXOSから分離されるようにAXOS調製物を分画することができる方法を開発することが有効である。アラビノキシランの分画は、これまでは必ず、種々の濃度のアルコール溶液での沈殿によって行われてきた(Courtin and Delcour,1998)。しかし、産業的な規模でアルコール沈殿を行うことは技術的に、そして経済的にも厄介である。したがって、限外濾過によって酵素によって生産されたAXOSをさらに分画することの実現可能性が研究された。
【0056】
一例として、スキージWU−AXをXAA(18.4U/g)とともに30℃で4時間インキュベートすることによって調製したAXOSを、5kDa、10kDa、または30kDaの分子量カットオフ(MMCO)を有している膜を使用して限外濾過した。
【0057】
5kDaの膜を使用した場合には、浸透画分(PER5kDa)のHPSECプロフィール(図7a)は、主に、大きさでキシロビオース(DP2)およびキシロトリオース(DP3)に相当するオリゴ糖を示した。AXOSストック溶液中の可溶性アラビノキシランを86%含む保持画分(RET5kDa)(表4)は、DP2およびDP3を有しているオリゴ糖の量がおよそ半分に減少したことを除いて、基本的には、限外濾過の前のAXOS調製物と同じ分子量プロフィールを示す(図7a)。RET5kDa画分中の低いDPを有しているオリゴ糖の不完全な除去は、おそらく、高分子量の成分の存在によって引き起こされる浸透による移動の減少の結果としてのそれらの保持によって生じている。
【0058】
10kDaの膜を使用した限外濾過によっては、アラビノキシラン含有量の34%が、浸透画分中に回収され、一方、65%が浸透画分の中に保持された(表4)。浸透画分(PER10kDa)には、主に、DP2からDP6を有しているオリゴ糖が含まれていた。保持画分(RET10kDa)は、2〜4のDPを有している小さい大きさのオリゴ糖を低いレベルで有しており、主に、700から>110,000Daまで(DP5からDP>850まで)の範囲の分子量を有しているオリゴ糖から構成されていた(図7b)。PER10kDa画分と比較すると、30kDaの膜を用いて得られた浸透液(PER30kDa)は、1000から10,000Daの範囲のオリゴ糖を高い含有量で有していた。対応して、30kDa膜の保持画分(RET30kDa)は、RET10kDaと比較すると1000から10,000Daの範囲のオリゴ糖の含有量は少なかったが、驚くべきことに、DP2およびDP3オリゴ糖の含有量は、RET10kDaの中よりもRET30kDaの中において高かった。
【0059】
表4から、限外濾過が得られたAXOS画分のA/X比に影響を与えることが明らかである。浸透画分(PER5kDa、PER10kDa、およびPER30kDa)は、比較的低いA/X比を有しているオリゴ糖を多く含み、一方、保持画分(RET5kDa、RET10kDa、およびRET30kDa)には、より高いA/X比を有している成分が含まれていた。
【0060】
限外濾過によるAXOSのさらなる分画の可能性を評価するために、RET10kDa画分を、30kDaのMMCOを有している膜を使用した2回目の限外濾過プロセスに供した。30kDaのMMCOを有している膜を介したRET10kDa画分の限外濾過後に得られた浸透画分(PER10kDa+30kDa)および保持画分(RET10kDa+30kDa)のHPSECプロフィールを、PER10kDa画分と一緒に図8に示す。
【0061】
RET10kDa+30kDa画分には、主に、高分子量の成分(>20,000Da)が含まれており、これは、Shodex SB−802.5 HQカラムの空隙容量に見られた。PER10kDa+30kDa画分は、AXOSストック溶液中のアラビノキシランのおよそ25%を示し(表5)、主に、これは700から10,000Daまで(DP5から75)の範囲の分子量を有している中程度の大きさのオリゴ糖から構成されていた(図8)。
【0062】
これらの結果は、限外濾過(好ましくは、10kDaのMMCOを有している膜を使用する)を、限外濾過の浸透液を利用することによって2〜6のDPを有しているオリゴ糖の高い含有量、または限外濾過の保持物を利用することによって、>4のDPを有しているオリゴ糖の高い含有量と2〜4のDPを有しているオリゴ糖の低い含有量のいずれかを有しているAXOS調製物を作製するための方法として使用することができることを示している。連続する限外濾過(好ましくは、10kDaの膜の保持物を使用し、そして、30kDa膜を通過させる)を使用すると、5〜75までのDPの範囲のAXOSを多く含むAXOS画分を得ることができる。
【0063】
実施例4:ニワトリの腸に対するAXOS調製物の効果
材料および方法
オリゴ糖調製物。実施例1の材料および方法を参照のこと。
【0064】
プレートを計数することによる微生物学的分析。ニワトリの盲腸の内容物の重さを測定し、滅菌のペプトン生理食塩溶液(PPSS;0.1%のバクトペプトン、0.85%のNaCl)に1:10に稀釈し、ストマッカでホモジナイズし、さらに、10倍稀釈手順にしたがってPPSS中にさらに稀釈した。その後、適切な稀釈液を、腸内細菌科の計数のためには、バイオレットレッド胆汁ブドウ糖寒天培地(Violet Red Bile Glucose Agar(VRBG;Oxford CM0485B,ベージングストーク、英国))上に、そしてビフィズス菌については、氷酢酸(1ml/l)とムピロシン(100mg/l)の添加によって改変したウィルキンス−チャルグレンアナエロブ寒天(Wilkins−Chalgren anaerobe agar)(Oxoid CM619)上に、混釈平板技術を使用してプレートした。後者の改変によっては、ウィルキンス−チャルグレン寒天のビフィズス菌についての選択性が増強され、そして改変されたウィルキンス−チャルグレン寒天は、ニワトリの盲腸の中のビフィズス菌の数の1工程での決定に特に適していることが示された(Radaら、1999;Rada and Petr,2000)。コロニーは、腸内細菌科については37℃での1日の好気的なインキュベーションの後で、そしてビフィズス菌については37℃で4日間の嫌気的なインキュベーション(Oxoid anaerogen system AN0025Aを備えた嫌気性のジャーの中)の後で、計数した。数は、盲腸の内容物1gあたりとして表した。いくつかの予防策を、試料の調製の間の酸素に対するビフィズス菌の暴露を最小にするために行った:(i)盲腸の内容物を試料の調製を始める直前に盲腸から取り出した;(ii)稀釈剤と寒天は、溶存酸素を除去するために使用の直前にオートクレーブしたかまたは沸騰させた;(iii)ビフィズス菌の計数のためのプレートは試料の調製開始から2時間以内に嫌気条件下に置いた。
【0065】
定量的PCRによる微生物学的分析。DNAの抽出を、PPSS中に1:5稀釈した盲腸の試料について、Van de Wieleら(2004)に記載されているように行った。増幅は、蓋(opticalcap)が備わっているMicroAmp Optical 96ウェル反応プレート(PE Applied Biosystems)の中で、供給業者(PE Applied Biosystems,Nieuwerkerk
a/d Ijssel,オランダ)によって記載されているように、サイバーグリーンPCRコア試薬(SYBR(登録商標)Green PCR Core Reagent)とともに供給された緩衝液を使用することによって、25μlの反応物の混合物中で行った。正方向プライマーと逆方向プライマー(それぞれ、BIF164fおよびBIF163r(Satokariら、2001))は、ビフィズス菌属の細菌に由来する16SリボゾームRNA遺伝子のコピーの検出のためには、1μMの濃度で使用した。PCR温度プログラムは以下とした:50℃で2分間、95℃で10分間、その後、94℃で1分間、62℃で1分間、および60度で1分間を40サイクル。鋳型DNAを3連の反応混合物の中で増幅させ、ABI Prism SDS7000機器(PE Applied
Biosystems)でモニターした。検量線を、ビフィドバクテリウム・ブレビ(Bifidobacterium breve、LMG11042株)の培養物から抽出したDNAの4種類の稀釈物に対する4連の反応での実時間PCR増幅に基づいて構築した。実験試料による実時間PCRデータを検量線に対してプロットし、そして個々の実験試料のDNA濃度によって割り算した最も高いDNA濃度を有している実験試料中のDNA濃度からなる因数を使用して、DNA抽出の効率について補正した。
【0066】
統計分析。動物の体重、飼料の摂取量、または腸内微生物の組成に対する様々な飼料の
効果を、Analyse−itソフトウェア、バージョン1.71を使用して、95%の信頼性のレベルで1因数分散分析によって分析した。因数である飼料について統計学的に有意な効果が観察された場合には、それぞれの飼料の間での差を、最小有意差(LSD)試験またはテューキー検定のいずれかによって、95%の信頼性のレベルで分析した。
【0067】
結果および考察
様々な(アラビノ)キシラン由来の調製物の添加の効果を、ニワトリの腸下部の微生物の組成について試験した。
【0068】
最初の実験には、64匹の1日齢の雄のニワトリ(Ross roosters)を商業的な孵化場(Avibel,ティールト、ベルギー)から購入し、4つの囲い(1つの囲いについて16匹のニワトリ)となるように分配した。個々の囲いには、飲み物用のたらいと1mの飼料用の容器を置いた。安定な温度は、鳥類の生存については35℃であり、その後、2日おきに1℃ずつ下げた。動物を、23時間の明所と1時間の暗所の光の周期で維持した。飼料(1つの囲いについて1つの飼料)と飲み水は、無制限に与えた。実験期間は14日間とした。
【0069】
以下の実験用の飼料を試験した:
・対照の飼料
・対照の飼料+0.25%のAXOS−7−0.34調製物(0.17%の純粋なAX)
・対照の飼料+0.25%のAXOS−122−0.66調製物(0.18%の純粋なAX)
・対照の飼料+0.25%のXylooligo−95P(0.22%の純粋なAX)
括弧の中に示した濃度は、それらのAX含有量によって計算したそれらの純度について補正した。対照の飼料は、添加剤としてキシラナーゼとグルカナーゼ酵素の混合物(Roxazyme)が含まれている市販のスタータ用の飼料(starter feed)(Krix 0,Hendrix UTD,ボックスミア、オランダ)から構成されていた。
【0070】
7日齢で、全ての動物の体重を測定し、1つのグループについて8匹の動物をランダムに選択し、首を切り落として屠殺した。その後、盲腸を回収するために動物を解剖した。盲腸を空にし、内容物を、1回の処理について2つのグループに分けてプールした(それぞれ4つの盲腸)。盲腸を1回の処置について3つのグループに分けてプールした(それぞれ、3匹、3匹、および2匹の動物)ことを除いて、このプロトコールを、残りの動物が14日齢に達するまで繰り返した。
【0071】
AXOS−7−0.34グループの動物については、対照グループと比較して、平均体重に有意な差は観察されなかった。AXOS−122−0.66グループおよびXylooligo−95Pグループの動物は、7日後には対照グループよりも有意に少ない体重を有していたが、動物は14日後には追いつき、そして対照との差は有意ではなくなった。AXOS−122−0.66グループの場合には、7日後には比較的少ない体重となり、これは、孵化した時点でこのグループのニワトリの体重が有意に少なかったことが原因である。
【0072】
ニワトリの盲腸の微生物叢の分析は、腸内細菌科の高いレベル(約10〜10/gの盲腸内容物)を、飼料を与え始めてから7日後および14日後の両方で示し、いずれの処置についても有意な差は観察されなかった。ビフィズス菌のレベルは、ビフィズス菌のレベルがはるかに高かった(約10/g盲腸内容物)Xylooligo−95Pグループの動物を除いて、7日後には全ての処置グループにおいて低かった(約10〜10
/g盲腸内容物)(図9)。14日後は、盲腸のビフィズス菌の数は対照については少ないままであった。反対に、ビフィズス菌の数の明らかな増加(約10倍)が、AXOS−7−0.34グループの盲腸内容物において観察された。Xylooligo−95Pグループにおいては、ビフィズス菌のレベルは、7日後のレベルと比較するといくらか下がったが、なおも、14日後には、これは対照グループよりもまだ有意に高かった。AXOS−122−0.66グループにおいては、盲腸内容物中のビフィズス菌の数の穏やかな増加が14日後に生じていたが、この増加は対照グループと比較すると有意ではなかった。
【0073】
ニワトリについての第2の実験には、54匹の1日齢の雄のニワトリ(Ross Roosters)を、商業的な孵化場(Avibel,ティールト、ベルギー)から購入し、6個の囲い(1つの囲いについて9匹のニワトリ)となるように分配した。囲いの条件は第1の実験について記載したとおりとした(上記を参照のこと)。実験期間は14日間とした。
【0074】
以下の実験用の飼料を試験した:
・対照の飼料
・対照の飼料+0.141%のAXOS−15−0.27調製物(0.1%の純粋なAX)
・対照の飼料+0.352%のAXOS−15−0.27調製物(0.25%の純粋なAX)
・対照の飼料+0.263%のFOS調製物(0.25%の純粋なFOS)
・対照の飼料+1.053%のFOS調製物(1%の純粋なFOS)
・対照の飼料+0.01%のキシラナーゼ調製物
括弧の中に示した濃度は、それらのAXまたはFOS含有量によって計算したそれらの純度について補正した。FOS調製物は、市販されている製品であるRaftilose(Orafti,チーネン、ベルギー)であった。キシラナーゼ調製物は、市販されている製品であるBelfeed(Beldem,Groot−Bijgaarden,ベルギー)であった。対照の飼料の組成は表6に示す。14日齢で、すべての動物の体重を測定し、首を切り落として屠殺した。その後、盲腸を回収するために動物を解剖した。盲腸の内容物を、同じ処置グループに属している3匹の動物ごとにプールした。プールした盲腸の試料の中のビフィズス菌の数を定量的PCRによって測定した。
【0075】
それぞれの飼料を与え始めてから2週間後には、様々な処置の間で、体重に有意な差は観察できなかった。2週間後のニワトリの盲腸の中のビフィズス菌の数に関しては、0.25%のAXOS−15−0.27を含む飼料を与えたニワトリだけが、対照の処置とは有意に異なっていた(図10)。0.25%のAXOS−15−0.27を含む飼料を与えたニワトリの中のビフィズス菌の数は、対照の飼料を与えたニワトリにおけるビフィズス菌の数よりも22倍多かった。比較の目的のために含めた十分に研究されている前生物学的化合物であるフルクトオリゴ糖(FOS)は、AXOS−15−0.27が有効であった用量よりも4倍多い用量でもなお、ニワトリの盲腸の中のビフィズス菌の数の増大を生じることはなかった。このことは、AXOS−15−0.27が驚くほど強力なビフィズス菌増殖促進性の化合物であることを示している。
【0076】
ビフィズス菌は、動物およびヒトの健康状態にポジティブに関係しており、これは多くの前生物学的化合物の要素である。動物およびヒトのポジティブな健康状態を促進または維持する(これには、結腸直腸ガンに対する抑制効果が含まれる)ために、微生物の調製物を直接摂取させることに加えて、消化管の中のこれらの細菌集団を選択的に富化させることに対して関心が高まっている(Van Looら、2004)。ニワトリを用いた給飼料試験の結果は、すべてのアラビノキシランを含む飼料によってニワトリの盲腸の中の
ビフィズス菌の存在が刺激されたことを示している。重合度の高いAXOS調製物であるAXOS−122−0.66は、ニワトリの盲腸の中のビフィズス菌集団の穏やかな有意ではない増加しか生じなかった。一方、低い重合度から中程度の重合度を有している調製物である、Xylooligo−95P、AXOS−7−0.34、およびAXOS−15−0.27は、ビフィズス菌の猛烈な有意な増加を誘発し、これによっては、動物の体重の減少は引き起こされなかった。Xylooligo−95Pに対する反応は7日後にすでに観察することができたが、AXOS−7−0.34およびAXOS−15−0.27は、14日後にビフィズス菌増殖促進性の反応を生じただけであった。このことは、Xylooligo−95Pが、より高い平均重合度とより高い平均置換度を有しているAXOS−7−0.34およびAXOS−15−0.27調製物よりも早くビフィズス菌によって発酵されることを示している。選択された有利な細菌による遅い発酵は、ヒトおよび長い腸を有している動物での適用のための前生物学的化合物について所望される特性である。腸内細菌による遅い発酵によって、結腸の近位部分を通過した後には完全に消費されておらず、したがって、結腸の遠位部分にある適切な細菌による発酵のための基質として使用され得る前生物学的化合物の画分が増加させられる。まとめると、ヒトにおいては、結腸の遠位部分および直腸部分のガンの罹患率は、直腸の近位部分のガンの罹患率よりも高く(http://www.state.nj.us/health/cancer/cr/subsite.htm)、したがって、前生物学的化合物が遠位結腸および直腸の有用な微生物を刺激できることが重要である。
【0077】
実施例5
ラットの腸に対するAXOS調製物の効果
材料および方法
XOS/AXOS調製物。実施例1の材料および方法を参照のこと。
【0078】
定量的PCRによる微生物の分析。実施例4の材料および方法を参照のこと。
短鎖脂肪酸の分析。腸の試料を、5倍量の水/リン酸/ギ酸(98/1.8/0.2、v/v/v)で抽出し、遠心分離(22,000g、10分)によって明澄化した。短鎖脂肪酸(SCFA)を、気体−液体クロマトグラフィー(Shimadzu,GC 14A)によって、Chromosorb W(メッシュサイズ60/30;Supelco,ベルフォンテ、USA)を充填したカラム上で分析し、炎イオン化によって検出した。SCFAの濃度を、濃度が既知の種々の酸を含む標準物に基づいて計算した。カプロン酸を内部標準として使用した。
【0079】
統計分析。様々な試料の体重、飼料の摂取量、SCFA、または動物の腸の微生物の組成に対する効果を、Analyse−itソフトウェア、バージョン1.71を使用して、95%の信頼性のレベルで1因数分散分析によって分析した。統計学的に有意な効果が因数である飼料について観察された場合には、それぞれの飼料の間での差を、最小有意差(LSD)試験によって、95%の信頼性のレベルで分析した。
【0080】
結果および考察
ラットについての最初の実験には、40匹の6週齢の雄のラット(Wistar)を、Elevage Janvier(Le Genest−St−Isle,フランス)から購入し、14−10時間の明所−暗所のサイクルで、環境を制御した室内(22℃)で、ステンレス鋼製のワイヤー底のケージに入れた(1つのケージについて2匹のラット)。ラットは、7日間、水と、「基本的な人工の飼料(basic humanised diet)」であるペレット(10mm)に自由に近づけるようにした。「基本的な人工の飼料」の組成は表7に示す。「基本的な人工の飼料」を与え始めてから7日後、ラットを、5種類の処置グループの1つにランダムに分け(8匹のラット/グループ)、そしてこれらのグループにそれぞれ、13日間、以下の飼料の1つのペレット(10mm)に自
由に近づけるようにして与えた:
・基本的な人工の飼料
・基本的な人工の飼料+0.70%のAXOS−122−0.66調製物(0.5%の純粋なAX)
・基本的な人工の飼料+0.69%のAXOS−16−0.78調製物(0.5%の純粋なAX)
・基本的な人工の飼料+0.73%のAXOS−15−0.27調製物(0.5%の純粋なAX)
・基本的な人工の飼料+0.72%のAXOS−8−0.27調製物(0.5%の純粋なAX)
括弧の中に示した濃度は、それらのAX含有量によって計算したそれらの純度について補正した。AXOSを含む飼料について、基本的な人工の飼料の中のデンプンを、適切な量のAXOSで置き換えた。
【0081】
動物の体重を測定し、そして飼料の摂取量を、1週間に3回測定した。処置の13日後に、全ての動物の体重を測定し、ネムブタール(Nembutal)の過剰摂取を用いて麻酔した。その後、動物を、糞を回収するために解剖した。糞を、遠位結腸から肛門までのペレットとして回収した。糞を同じ処置グループに属している2匹の動物ごとにプールし、そしてSCFA含有量について分析した。
【0082】
処置期間の飼料の摂取量は、18.9から27.7g/日の範囲であり、平均は22.7g/日であった。処置の開始時点でのラットの最初の体重は平均すると262.0gであり、処置の13日後の最後の体重は平均すると375.3gであった。体重または飼料の摂取量に関して、様々な処置の間で有意な差を観察することはできなかった。
【0083】
腸の高いSCFAレベルは、前生物学液化合物の摂取によって誘導された腸の微生物叢のシフトの顕著な特徴であるので(Van Loo,2004)、本発明者らは、様々な処置グループについて糞のSCFA含有量を測定した。図11に示すように、AXOS−8−0.27、AXOS−15−0.27、およびAXOS−16−0.78を与えたラットの糞の中のプロピオン酸塩のレベルは、対照グループまたはAXOS−122−0.66グループのレベルよりも有意に高かった。AXOS−8−0.27、AXOS−15−0.27、およびAXOS−16−0.78グループの糞の中の酢酸塩および酪酸塩のレベルの増大にも1つの傾向があった。
【0084】
酢酸塩、プロピオン酸塩、および酪酸塩のようなSCFAは、腸の嫌気性環境において細菌による呼吸の電子の受けてエレクトロンシンク(electron sink)として生じる。前生物学的化合物は、下部消化管のSFCAレベルを増大させることが知られている。高いSCFAレベルは、これらが腸の内容物のpHを下げ、それによって潜在的に病原性である腐敗菌の増殖を制限するという理由から望ましい。腸のpHの低下にはまた、鉱物であるカルシウムおよびマグネシウムの溶解度および生体利用性の増大も伴う(Teitelbaum and Walker,2002)。短鎖脂肪酸、特に、酪酸塩は、さらに結腸上皮細胞を刺激して、それによって上皮の吸収能力を高める(Topping and Clifton,2001)。
【0085】
ほぼ同じ平均重合度を有しているがA/X比が異なる2つの調製物であるAXOS−15−0.27またはAXOS−16−0.78で処置したラットの間には有意な差が観察されなかったという事実は、置換度は結腸内での細菌による発酵を刺激するAXOSの能力には大きな影響は与えないことを示している。一方、ほぼ同じ置換度を有しているが重合度が異なる2つの調製物であるAXOS−16−0.78およびAXOS−122−0.66の効果を比較した場合には、AXOS−122−0.66のような重合度の高いA
XOS調製物が、平均重合度の低い調製物よりも弱い前生物学的化合物であることが明らかである。したがって、120未満の平均重合度を有しているAXOS調製物が好ましい前生物学的化合物である。遅い発酵が好ましい場合には、遠位結腸および直腸でのAXOSの利用性を増大させるために、4を上回る平均重合度を有しているAXOS調製物が好ましい。
【0086】
ラットについての第2の実験には、24匹の6週齢の雄のラット(Wistar)を、Elevage Janvier(Le Genest−St−Isle,フランス)から購入し、14−10時間の明所−暗所のサイクルで、環境を制御した室内(22℃)で、ステンレス鋼製のワイヤー底のケージに入れた(1つのケージについて2匹のラット)。ラットは、6日間、水と、「基本的な人工の飼料」であるペレット(10mm)に自由に近づけるようにした。「基本的な人工の飼料」の組成は表7に示す。「基本的な人工の飼料」を与え始めてから6日後、ラットを、3つの処置グループの1つにランダムに分け(8匹のラット/グループ)、そしてこれらのグループには、それぞれ、以下の飼料の1つのペレット(10mm)に自由に近づけるようにして与えた:
・基本的な人工の飼料
・基本的な人工の飼料+5.87%のAXOS−15−0.27調製物(4%の純粋なAX)
・基本的な人工の飼料+5.26%のXylooligo−95P(4%の純粋なAX)
括弧の中に示した濃度は、それらのAX含有量によって計算したそれらの純度について補正した。AXOS−15−0.27またはXylooligo−95Pを含む飼料について、基本的な人工の飼料の中のデンプンを、適切な量のAXOSで置き換えた。
【0087】
動物の体重を測定し、そして飼料の摂取量を1週間に3回測定した。処置の14日後に全ての動物の体重を測定し、ネムブタールの過剰摂取を用いて麻酔し、そして近位結腸、盲腸、および遠位結腸を回収するために解剖した。盲腸の内容物を、同じ処置グループに属している2匹の動物ごとにプールし、そして定量的PCRによってビフィズス菌の量について分析した。近位結腸と遠位結腸の内容物を同じ処置グループに属している2匹の動物ごとにプールし、そしてSCFA含有量について分析した。
【0088】
近位結腸においては、SCFAレベルは、遠位結腸よりもはるかに低かった。酢酸塩だけが、近位結腸試料の中で検出限界を上回っていた。したがって、近位結腸の中の酢酸塩と、遠位結腸の中の酢酸塩、プロピオン酸塩、および酪酸塩についてのデータしか得ることができなかった。いずれの処置も、95%の信頼性のレベルでは、SCFAレベルに対して有意な効果は生じなかった。しかし、データからは明確な傾向を観察することができた。図12に示すように、AXOS−15−0.27グループとXylooligo−95Pグループは、対照グループと比較して、高いレベルの酢酸塩および酪酸塩を有していたが、プロピオン酸塩についてはそうではなかった。最も顕著な効果は、遠位結腸の酪酸塩について観察された。対照グループと比較したその増大は、AXOS−15−0.27グループにおいては58%であり、そしてXylooligo−95Pグループにおいては34%であった。Xylooligo−95Pと比較したAXOS−15−0.27のより強い効果が、遠位結腸の全てのSCFAについて観察された。興味深いことに、Xylooligo−95Pは、近位結腸において最も強い酢酸塩の増加を生じたが、一方、AXOS−15−0.27は、遠位結腸において最も強い酢酸塩の追加を生じた。
【0089】
ビフィズス菌の量は、対照の飼料を与えたラットと比較して、AXOS−15−0.27またはXylooligo−95Pのいずれかを与えたラットの盲腸においては有意に増加した。盲腸のビフィズス菌について最大の増加は、AXOS−15−0.27グループにおいて観察された(1.08対数単位、または対照グループに対して12倍高い、図
13)。
【0090】
これらの結果は、AXOS−15−0.27がXylooligo−95Pよりも強い前生物学的化合物であることを示している。データはまた、AXOS−15−0.27が、Xylooligo−95Pよりもゆっくりと発酵されることも示している。なぜなら、Xylooligo−95Pは、近位結腸においてより強いSCFA効果を生じたが、一方、AXOS−15−0.27は遠位結腸においてより強い効果を生じたからである。Xylooligo−95Pに対するAXOS−15−0.27の遅い発酵は、実施例5に示したニワトリの実験でも観察された。AXOS−15−0.27の遅い発酵の特性は、これによってより多くの前生物学的化合物が遠位結腸に到達し、ここで、その推定される有用な発ガン抑制効果を発揮できるので、望ましい。
【0091】
実施例6:ヒトの腸に対するAXOS調製物の効果
材料および方法
AXOS−15−0.27およびWPC調製物。実施例1の材料および方法を参照のこと。
【0092】
定量的PCRによる微生物学的分析。実施例4の材料および方法を参照のこと。
被験体。実験に参加したボランティアは全て、消化器疾患または代謝性疾患あるいはこれまでの外科手術の病歴はなかった。被験体には、実験の開始前の少なくとも3ヶ月間は、腸通過時間または腸内微生物叢に影響を及ぼす抗生物質または任意の他の医薬品での処置を行わなかった。いずれの女性も実験の間には妊娠していなかった。ボランティアには標準的な食事は強制しなかった。しかし、彼らに実験期間の最後まで基本的な食事のパターンを維持するように、そして多量の発酵性糖質を含む発酵乳製品および食品成分の過剰な摂取を避けるように求めた。Ethical Committee of University of Leuvenによって実験は承認され、全ての被験体にインフォームドコンセントを行った。
【0093】
標識した基質。ラクトース−[15N,15N]−ウレイドを、Hofmann(1931)によって改変されたSchoorlの方法にしたがって、Euriso−top(Saint−Aubin,Fance)から入手した[15N,15N]尿素を用いて合成した。Hで標識したポリエチレングリコール(polythylenglycol)(H−PEG)を、New England Nuclear Life Science Products(ボストン、MA、米国)から入手した。
【0094】
尿および便のNtotおよび15Nの決定。尿および便の全N含有量および15N濃縮を熱導体検出器(TCD;PDZ)と安定同位体比質量分析装置(IRMS;PDZ)の両方を取り付けた元素分析計(ANCA−SL;PDZ,チェシャー、英国)を使用することによって測定した。既知の容量(15μl)または既知の質量の便(約5〜7mgの凍結乾燥排泄物)を、1,000℃で酸素の存在下で酸化させた。その後、酸化物を、600℃で、銅を含む第2の加熱炉に通し、ここでは、過剰の酸素が吸収され、酸化窒素が元素窒素に還元される。全窒素含有量を、TCD検出器で測定した。ここでは、15N濃縮を、元素分析計の燃焼ユニットを取り付けたIRMS検出器によって決定した。NのN15対N14同位元素比を、較正した実験室標準物(すなわち、標準的な硫酸アンモニウム溶液)と比較して測定した。回収した15Nの投与した用量に対する割合を、以下のように計算した(Evenepoelら、1999):
【0095】
【数2】

【0096】
式中、
【0097】
【数3】

【0098】
そして、AP:特定の尿試料についての測定した15N濃縮、原子の割合(AP)として表す
APbas:基底の尿試料についての15N濃縮(APで表す)
tot:特定の尿試料中の全窒素含有量
尿試料については、投与した15Nの用量に対する割合を、試験用の食事後0〜48時間の期間について累積した。一方、便の試料については、投与した15Nの用量に対する割合を、試験用の食事後0〜72時間の期間について累積した。個体間の糞便の通過時間(oro−faecal transit time)の差の補正を、便の試料について行った。これは、72時間にわたって回収した投与したH−PEGの用量の累積割合で、72時間にわたって回収した投与した15Nの用量の累積割合を割り算することによって行った。排泄物中のH−PEG含有量を、H−HOへと酸化(Packard試料酸化装置、モデル307)させた後に、液体シンチレーションカウンティング(Tricarb液体シンチレーションスペクトルクトロメーター、モデル3375;Packard Instruments,Downers Grove,IL,米国)によって測定した。
【0099】
尿のフェノール系化合物の決定。全p−クレゾールおよびフェノール含有量を、気体−液体クロマトグラフィー−質量スペクトル分析(GC−MS)技術によって測定した。950mlの尿のpHを、濃HSOを用いてpH1に調整した。この溶液を、90度で30分間加熱して除タンパクし、結合していたフェノールを加水分解した。室温に冷却したあと、50mlの2,6−ジメチルフェノール(20mg/100ml)を、内部標準物として添加した。フェノールを1mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層をNaSOで乾燥させ、0.5mlのこの溶液をGC−MS(Trace GC−MS、Thermo Finnigan,サンノゼ、CA、米国)で分析した。分析用カラムは、30m×0.32mmの内径、1μmのAT5−MS(Alltech Associates,ディアフィールド、IL、米国)であった。ヘリウムガス(GC等級)を、1.3ml/分の一定の流速で担体として使用した。炉の温度は、75℃(5分間等温)からプログラムし、10℃/分で160℃まで、そして20℃/分で280℃まで上昇させた。質量スペクトルの検出は、2スキャン/sで、m/z 59からm/z 590までの電子衝撃完全スキャン形式で行った。p−クレゾールおよびフェノールについての結果を、0〜24時間の回収において回収した全含有量(mg)として表した。
【0100】
統計分析。統計分析はSPSSソフトウェア、バージョン12.0を用いて行った。データの統計学的評価は、95%の信頼性のレベルでウイルコクソンの符号付き検定を適用して行った。
【0101】
結果および考察
ヒトについての最初の実験は、10人の健常なボランティア(5人の男性と5人の女性、年齢は23〜37歳の範囲)について行った。10人のボランティアは、2つのグループのいずれかに5人ずつランダムに割り振った。第1のグループには、1日当たり水に懸濁した7g(4.88g)のAXOS−15−0.27を2週間投与し、一方、第2のグループには、1日あたり水に懸濁した11.6g(4.82g)のWPCを投与した。括弧内の重量の値は、調製物のAX含有量と水分含有量に基づいて補正したAXOSの重量である。
【0102】
ボランティアのそれぞれについて、便の試料を実験の開始よりも前と、15日目の間に回収した。それぞれ、その日の最初の排泄物を回収し、重さを測定し、そして定量的PCRによって微生物を分析するまで−20℃で保存した。図14に示すように、4.88g/日のAXOS−15−0.27を14日間投与した被験体は、基底レベル(p=0.043)と比較して1.55対数単位(=35倍)高い便のビフィズス菌のレベルを有していた。対照的に、ビフィズス菌のレベルは、4.82g/日のWPCを投与した被験体においては、2週間後にはわずかに低下していたが、基底レベルと比較した差は有意ではなかった(p=0.715)。
【0103】
これらのデータは、AXOS−15−0.27(avDP=15、表1)のような中程度の平均重合度を有しているAXOS化合物は、WPC(avDP=58、表1)のような高い平均重合度を有している化合物よりも強い前生物学的効果を発揮することを示している。同じ結論は、ニワトリにおけるビフィズス菌増殖促進作用(実施例4を参照のこと)、およびラットのSCFAの増加(実施例5を参照のこと)についての試験からもすでに導くことができた。
【0104】
第2の実験においては、AXOS−15−0.27の種々の1回だけの用量の効果を、ヒトの結腸の中でのNH、p−クレゾール、およびフェノールの代謝について評価した。NH、フェノール、およびp−クレゾールは毒性がある潜在的に発ガン性の代謝物であり、これは、タンパク質の発酵の際に結腸の細菌によって生産される。NHの代謝は、ラクトース−[15N,15N]−ウレイドを生体マーカーとして使用して評価した。経口投与すると、ラクトース−ウレイドは、修飾されないまま結腸に到達する。なぜなら、ラクトース−ウレイドの糖質部分と尿素の間の分子結合は、ヒトの消化管の中での酵素による分解に耐性であるからである。ラクトース−[15N,15N]−ウレイドが結腸に達すると、これは、選択された細菌によって[15N,15N]で標識された尿素に分解される。標識された尿素は、早い加水分解を受け、これには15NHの生産が伴う(Wutzkeら、1997)。標識されたNHは結腸の中に存在しているアンモニアと混合され、結果として、15Nで標識された測定値に関して観察される変化は、結腸の全NHの運命を反映する。
【0105】
結腸のNH代謝物をモニターすることに加えて、フェノールおよびp−クレゾールの存在を、結腸の中でのタンパク質の細菌による発酵の特徴として、尿中で測定した。文献によるデータ(Evenepoelら、1999)に基づくと、生理学的環境下では、摂取されたタンパク質の約3%から6%が未消化のままであると推測される。消化されていないタンパク質が結腸に達すると、これらは、結腸の微生物叢によって発酵させられる。アミノ酸であるチロシンの細菌による発酵によっては、フェノールおよびp−クレゾールの生産が生じる。これらの化合物は、大部分が結腸から吸収され、粘膜および肝臓の中で(グルクロニド−および硫酸エステル−結合体によって)無毒化され、最後に尿中に排出される。フェノールおよびp−クレゾールは、完全に細菌による代謝に由来し、ヒトによる代謝によっては生じないので、フェノールおよびp−クレゾールの尿による排出は、結腸の中での細菌によるこれらの化合物の生産を反映する(Smith and Macf
arlane,1996)。結果として、結腸でのタンパク質の発酵に対する前生物学的化合物の全ての影響が、フェノールおよびp−クレゾールの尿中濃度に反映されるはずである。
【0106】
ヒトについての第2の実験は、9人の健常なボランティア(3人の男性と6人の女性、16〜26歳の範囲)について行った。それぞれのボランティアには、それぞれの試験用食事の中に、1週間の間隔で、様々な用量のAXOS−15−0.27を含む5種類の試験用食事を与えた。1日あたりの様々なAXOS−15−0.27の用量は、0,0.35g(0.24g)、1.05g(0.73g)、3.17g(2.21g)、および7g(4.88g)のいずれかとした。括弧内の重量の値は、調製物のAX含有量と水分含有量に基づいて補正したAXOSの重量である。種々の試験用食事をボランティアに与える順序はランダムとした。試験用食事は、75gの、安定な同位元素で標識された基質であるラクトース−[15N,15N]−ウレイド、185kBqのトリチウムで標識したポリエチレングリコール(H−PEG)、および適切な用量のAXOS−15−0.27を含むパンケーキ(15.8gのタンパク質、11.6gの脂肪、および21.1gの炭水化物;255kcal)であった。H−PEGを、糞便の通過時間についての生体マーカーとして使用した(Geboesら、2005)。
【0107】
尿を、1グラムのネオマイシンを細菌の増殖を防ぐために添加したレシピエントから回収した。基底の尿試料を、試験用の食事を摂取させる前に回収した。各試験用の食事の摂取後、48時間での尿の回収を、3つの異なる画分として行った:0〜6時間、6〜24時間、および24〜48時間。尿量の測定の後、試料を採取し、そして分析するまで−20℃で保存した。排泄物を、試験用の食事を与えた後72時間にわたって回収した。排泄物を、排泄後直ちに凍結し、重さを測定し、その後、−20℃で保存した。同日に回収された全ての排泄物を混合し、さらに分析する前にホモジナイズした。既知の重量の試料を取り出し、凍結乾燥させた。乾燥物質を、再び重さを測定し、窒素および放射活性の分析のためにアリコートに分けた。
【0108】
図15Aに示すように、15Nで標識した窒素の一貫して遅い尿による排出速度が、AXOS−15−0.27を含まない対照の食事と比較して、AXOS−15−0.27を含む試験用食事を摂取した後に記録された。投与した15N用量の44.5%が、対照の食事を摂取させた後の尿の試料の中に戻ってきた。この画分は、それぞれ、0.24、0.73、2.21、および4.88gのAXOS−15−0.27の摂取後、40.4%(対照と比較して−9%)、43.7%(対照と比較して−2%)、33.1%(対照と比較して−26%)、および33.6%(対照と比較して−25%)に減少した。尿による15Nの排出の減少は、2.21gおよび4.88gのAXOS−15−0.27について、p<0.05で有意であった。
【0109】
逆に、試験用の食事に対するAXOS−15−0.27の補給によっては、便による15Nの排出に一貫して増大が生じた(図15B)。対照の試験用食事のグループにおいては、投与した15Nの用量の15.1%が便の中に戻ってきた。この画分は、それぞれ、0.24、0.73、2.21、および4.88gの摂取後、16.4%(対照と比較して+8%)、18.8%(対照と比較して+24%)、25.3%(対照と比較して+67%)、および26.1%(対照と比較して+72%)に増大した。便による15Nの排出の増加は、2.21gおよび4.88gのAXOS−15−0.27について、p<0.05で有意であった。AXOS−15−0.27は、消化管を通過する時間に対しては、H−PEG生体マーカーによって測定した場合には、試験した用量のいずれでも影響を与えなかった(図15C)。
【0110】
p−クレゾールおよびフェノールの一貫した尿による低い排出速度が、AXOS−15
−0.27を含まない対照の食事と比較した、AXOS−15−0.27を含む試験用食事の摂取後に記録された(図16)。尿によって排出されたp−クレゾールの画分は、それぞれ、0.24、0.73、2.21、および4.88gのAXOS−15−0.27の摂取後、対照と比較して、−9%、−21%,−35%、および−41%に減少した(図16A)。尿によって排出されたフェノールの画分は、それぞれ、0.24、0.73、2.21、および4.88gのAXOS−15−0.27の摂取後、対照と比較して、−45%、−39%,−33%、および−45%に減少した(図16B)。尿によるフェノールの排出の減少は、0.24gから4.88gまでの範囲の試験したAXOS−15−0.27の全てについて、p<0.05で有意であった。したがって、AXOS−15−0.27は、1回の食事について0.24gを下回る、驚くほど低い用量で活性である、ヒトにおける前生物学的化合物であることが明らかになった。
【0111】
尿による窒素の排出の減少と、便によるNの排出の一貫した増加は、既知の前生物学的化合物(例えば、インシュリンおよびラクツロース)を投与したヒトにおいて以前に観察されている(De Preterら、2004;Geboesら、2005)。便によるアンモニアの排出の刺激は、アンモニアが結腸上皮細胞の寿命を短くすること、その代謝回転を増大させること、そして化学物質による発ガン性に対してそれらをより敏感にすることが示されているので、望ましい(Visek 1978)。結腸の内腔の中にあるアンモニアは、消化されていないタンパク質の細菌による発酵に主に由来する(Smith
& Macfarlane,1996;Fooksら、1999)。中程度の重合度を有しているAXOSのような、ゆっくりと発酵される前生物学的炭水化物は、糖分解性の細菌と、結腸に存在している細菌の解糖系を刺激する。したがって、このような化合物は、結腸の中でのタンパク質分解的発酵を抑制し、そして主な炭素源およびエネルギ源を炭水化物に頼る細菌による窒素源としてのアンモニアの再利用を刺激する。同時に、タンパク質の発酵代謝物であるクレゾールおよびフェノールの尿による排出の減少は、これらのフェノール系化合物が腸ガンに関係しているので望ましい(Boneら、1976)。フェノール系化合物の尿による排出の減少は、前生物学的化合物であるラクツロースについて以前に観察されている(De Preterら、2004)。クレゾールおよびフェノールの排出の減少は、前生物学的化合物によって刺激されると、結腸の中の糖分解性細菌活性の増大を通じて、アミノ酸であるチロシン、またはタンパク質の腐敗による代謝産物の利用の増大によって引き起こされると考えられる。
【0112】
参考文献
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【0116】
【表4】

【0117】
【表5】

【0118】
【表6】

【0119】
【表7】

【0120】
【表8】

【0121】
【表9】

【0122】
【表10】

【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】アラビノキシランの構成要素。A:未置換のβ−D−キシロピラノシル残基。B:O−2でα−L−アラビノフラノシル部分によって置換されたβ−D−キシロピラノシル残基。C:O−3でα−L−アラビノフラノシル部分によって置換されたβ−D−キシロピラノシル残基。D:O−2およびO−3でα−L−アラビノフラノシル部分によって置換されたβ−D−キシロピラノシル残基。構造Cは、α−L−アラビノフラノシル残基のO−5に対するフェルラ酸の結合を示す。
【図2】種々のAXOS調製物のHPSEC分子量プロフィール。カラムはShodex SB−806HQ(300×8mm、Showa,Denko K.K.,東京、日本)であった。78.8×10、40.4×10、21.2×10、11.2×10、4.73×10、2.28×10、1.18×10、0.59×10Daの分子量を有しているプルラン標準物と、グルコース(180Da)の溶出容量が、左から右に向かって記号「x」で示される。
【図3】pH2、3、7、および11で100℃での様々なインキュベーション時間についての、AXOS−15−0.27(A)、Xylooligo−95P(B)、およびフルクトオリゴ糖(C)の構成成分である単糖の分解の割合。
【図4】pH2、3、および7で100℃での様々なインキュベーション時間についての、AXOS−15−0.27(A)、Xylooligo−95P(B)、およびフルクトオリゴ糖(C)の加水分解の割合。
【図5】pH2、3、および7で100℃での様々なインキュベーション時間についての、AXOS−15−0.27の中のキシロース結合(A)およびアラビノース結合(B)の加水分解の割合。
【図6】AXOS−15−0.27、Xylooligo−95P、およびスクロースの甘味。曲線は、化合物の濃度(g/l)に対してプロットした被験体(n=20)が認識する甘味の累積率を示す。
【図7】スキージWU−AXのエンドキシラナーゼ処理によって生じたAXOSの限外濾過後に得られたオリゴ糖画分のHPSEC分子量プロフィール。使用した膜は5kDa(パネルA)、10kDa(パネルB)、および30kDa(パネルC)のMMCOを有していた。カラムはShodex SB−802.5 HQ(300×8mm、Showa,Denko K.K.,東京、日本)であった。分子量マーカーは、11.2×10、4.73×10、2.28×10、1.18×10、0.59×10Daの分子量を有しているShodex標準プルランP−82、810(DP6)、678(DP5)、546(DP4)、414(DP3)、および282Da(DP2)の分子量を有しているキシロオリゴ糖標準物、ならびに180Daの分子量を有しているグルコースであり、これらのそれぞれの溶出容量が、左から右に向かって記号「x」で示される。
【図8】スキージWU−AXのエンドキシラナーゼ処理によって生じたAXOSの10kDaおよび30kDaのMMCOを有している膜の連続的な通過による限外濾過後に得られたオリゴ糖画分のHPSEC分子量プロフィール。分析した画分は、10kDaの膜の保持物の30kDaのMMCOを通過させた後の保持物(RET10kDa+30kDa)、10kDAの膜の保持物の30kDaのMMCOを通過させた後の浸透液(PER10kDa+30kDa)、または10kDaの膜を通過させた後の浸透液(PER10kDa)のいずれかである。カラムはShodex SB−802.5 HQ(300×8mm、Showa,Denko K.K.,東京、日本)であった。分子量マーカーは、11.2×10、4.73×10、2.28×10、1.18×10、および0.59×10Daの分子量を有しているShodex標準P−82プルラン、810(DP6)、678(DP5)、546(DP4)、414(DP3)、および282Da(DP2)の分子量を有しているキシロオリゴ糖標準物、ならびに180Daの分子量を有しているグルコースであり、これらのそれぞれの溶出容量が、左から右に向かって記号「x」で示される。
【図9】ニワトリの盲腸の中の微生物叢に対する、AXOS−7−0.34、AXOS−122−0.66、またはXylooligo−95Pのニワトリ用の飼料への添加の効果。盲腸の微生物叢の組成を、腸内細菌およびビフィズス菌(bifidobacteriaceae)についてプレートを数えることによって、実験の開始後1週間および2週間でそれぞれ決定した。棒は測定値の平均を示し、そしてエラーバーは標準偏差を示す。任意の時点について、様々な文字を用いてマークした値は、テューキー検定にしたがうと互いにp<0.05で有意に異なる。
【図10】14日後のニワトリの盲腸の中のビフィズス菌の数に対する、0.1%または0.25%のAXOS−15−0.27、0.25%または1%のフルクトオリゴ糖(FOS)のニワトリ用の飼料への添加、またはエンドキシラナーゼの効果。ビフィズス菌属(Bifidobacterium)に属する細菌が定量的PCRによって測定された。様々な文字でマークされた値は、最小有意差検定にしたがうと互いに有意に異なる(p<0.05;n=3)。棒は測定値の平均を示し、そしてエラーバーは標準偏差を示す。
【図11】飼料を与え始めてから13日後のラットの糞の中での、酢酸塩(上段のパネル)、プロピオン酸塩(中段のパネル)、および酪酸塩(下段のパネル)のレベルに対する、ラットの飼料に対する0.25%のAXOS−8−0.27、AXOS−15−0.27、AXOS−16−0.78、またはAXOS−122−0.66の添加の効果。様々な文字でマークされた値は、最小有意差検定にしたがうと互いに有意に異なる(p<0.05;n=4)。棒は測定値の平均を示し、そしてエラーバーは標準偏差を示す。
【図12】飼料を与え始めてから14日後のラットの近接結腸中の酢酸塩(A)、遠位結腸中の酢酸塩(B)、遠位結腸中のプロピオン酸塩(C)、および遠位結腸中の酪酸塩(D)のレベルに対する、ラットの飼料への4%のAXOS−15−0.27またはXylooligo−95Pの添加の効果。棒は測定値の平均を示し、そしてエラーバーは標準偏差を示す。
【図13】飼料を与え始めてから14日後の盲腸のビフィズス菌のレベルに対する、ラットの飼料への4%のAXOS−15−0.27またはXylooligo−95Pの添加の効果。ビフィズス菌属に属する細菌が定量的PCRによって測定された。様々な文字で示された値は、最小有意差検定にしたがうと互いに有意に異なる(p<0.05;n=4)。棒は測定値の平均を示し、そしてエラーバーは標準偏差を示す。
【図14】健常なヒトボランティアの糞の中のビフィズス菌の数に対する、14日間の間の4.88g/日のAXOS−15−0.27または4.81g/日のWPCの摂取の効果。ビフィズス菌属に属する細菌が定量的PCRによって測定された。棒は測定値の平均を示し、そしてエラーバーは標準偏差を示す。星で示された棒は、ウイルコクソンの符号付き検定にしたがうと基底レベルとは有意な差を示す(p<0.05;n=5)。
【図15】窒素の尿による排出(A)および便による排出(B)に対する、ならびに、盲腸通過時間(oro−caecal transit time)(C)に対する1回だけの用量のAXOS−15−0.27(0.24、0.73、2.21、または4.88g)の摂取の効果。窒素の排出が、それぞれ、試験用の食事の摂取後0〜48時間、および0〜72時間の間に採取された尿または便の試料のいずれかの中に戻ってきた投与された15N標識窒素の割合として表される。盲腸通過時間は、0〜72時間の間に回収された糞試料中に存在する投与されたHで標識されたPEGの割合として表される。棒は測定値の平均を示し、そしてエラーバーは標準偏差を示す。1つの星で示された棒、または2つの星で示された棒は、ウイルコクソンの符号付き検定にしたがうと、対照処置とは有意な差(それぞれ、p<0.05(n=9)およびp<0.01(n=9))を示す。
【図16】尿によるp−クレゾールの排出(A)およびフェノールの排出(B)に対する1回だけの用量のAXOS−15−0.27(0.24、0.73、2.21、または4.88g)の摂取の効果。p−クレゾールおよびフェノールの排出が、試験用の食事の摂取後0〜24時間の間に採取された尿試料の中に戻ってきたp−クレゾールおよびフェノール含有量(mg)として表される。棒は測定値の平均を示し、そしてエラーバーは標準偏差を示す。1つの星で示された棒、または2つの星で示された棒は、ウイルコクソンの符号付き検定にしたがうと対照処置とは有意な差(それぞれ、p<0.05(n=9)およびp<0.01(n=9))を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラビノキシランを含む腸内微生物叢を調節する栄養的添加剤であって、前記添加剤に含まれるアラビノキシランが5から50の間の平均DPを有することを特徴とする、栄養的添加剤。
【請求項2】
前記添加剤に含まれるアラビノキシランが7から40の間の平均DPを有している、請求項1に記載の栄養的添加剤。
【請求項3】
前記添加剤に含まれるアラビノキシランが7から20の間の平均DPを有している、請求項1または2のいずれかに記載の栄養的添加剤。
【請求項4】
15%のアラビノキシランを含む、請求項1から3のいずれかに記載の栄養的添加剤。
【請求項5】
30%のアラビノキシランを含む、請求項1から3のいずれかに記載の栄養的添加剤。
【請求項6】
60%のアラビノキシランを含む、請求項1から3に記載の栄養的添加剤。
【請求項7】
アラビノキシランの90%が2から650の間のDPを有している、請求項1から6のいずれかに記載の栄養的添加剤。
【請求項8】
アラビノキシランの90%が2から130の間のDPを有している、請求項1から7のいずれかに記載の栄養的添加剤。
【請求項9】
前記添加剤が70g/l水未満の濃度では甘味を有さない、請求項1から8のいずれかに記載の栄養的添加剤。
【請求項10】
前記アラビノキシランが、アラビノキシランを含む植物性の材料に由来する、請求項1から9のいずれかに記載の栄養的添加剤。
【請求項11】
前記アラビノキシランを含む材料が穀物に由来する材料である、請求項10に記載の栄養的添加剤。
【請求項12】
前記穀物材料が、小麦、大麦、ライムギ、オーツムギ、トウモロコシ、ソルガム、およびコメからなる群に由来する、請求項11に記載の栄養的添加剤。
【請求項13】
前記穀物材料が、ふすま、小麦粉、またはスキージである、請求項11または12に記載の栄養的添加剤。
【請求項14】
前記アラビノキシランが、グルテン−デンプン分離プロセスの副流に由来する、請求項11または12に記載の栄養的添加剤。
【請求項15】
前記アラビノキシランを含む材料が、キシラン分解性酵素で処理される、請求項10から14に記載の栄養的添加剤。
【請求項16】
前記アラビノキシランを含む材料が、デンプン分解性酵素で処理される、請求項10から15に記載の栄養的添加剤。
【請求項17】
前記アラビノキシランを含む材料が、タンパク質分解性酵素で処理される、請求項10から16に記載の栄養的添加剤。
【請求項18】
0.25から5gの間の請求項1から17に記載の栄養的添加剤が含まれる、食品または飲料。
【請求項19】
1から3gの間の請求項1から17に記載の栄養的添加剤が含まれる、請求項24に記載の食品または飲料。
【請求項20】
1回分について0.25から5gの間の、5から50の間の平均DPを有しているアラビノキシランが含まれる、穀物以外のものをベースとする食品または飲料。
【請求項21】
1回分について1から3gの間の、5から50の間のDPを有しているアラビノキシランが含まれる、請求項20に記載の穀物以外のものをベースとする食品または飲料。
【請求項22】
1回分について0.25から5gの間の、7から40の間の平均DPを有しているアラビノキシランが含まれる、請求項20に記載の穀物以外のものをベースとする食品または飲料。
【請求項23】
1回分について1から3gの間の、7から40の間の平均DPを有しているアラビノキシランが含まれる、請求項20に記載の穀物以外のものをベースとする食品または飲料。
【請求項24】
1回分について0.25から5gの間の、7から20の間の平均DPを有しているアラビノキシランが含まれる、請求項20に記載の穀物以外のものをベースとする食品または飲料。
【請求項25】
1回分について1から3gの間の、7から20の間の平均DPを有しているアラビノキシランが含まれる、請求項20に記載の穀物以外のものをベースとする食品または飲料。
【請求項26】
前記食品が肉製品である、請求項18から25のいずれかに記載の食品。
【請求項27】
前記食品が乳製品である、請求項18から25のいずれかに記載の食品。
【請求項28】
前記飲料がアルコールを含まない飲料である、請求項18から25のいずれかに記載の飲料。
【請求項29】
前記飲料が機能性清涼飲料である、請求項28に記載の飲料。
【請求項30】
前記食品に、ビフィズス菌属または乳酸菌属の生存している細菌が含まれる、請求項27から29に記載の飲料または食品。
【請求項31】
1回分について0.25から5gの間の、200未満のDPを有しているアラビノキシランが含まれ、前記アラビノキシランの集団は5から50の間の平均DPを有している、穀物をベースとする食品。
【請求項32】
1回分について1から3gの間の、200未満のDPを有しているアラビノキシランが含まれ、前記アラビノキシランの集団は、5から50の間の平均DPを有している、請求項31に記載の穀物をベースとする食品。
【請求項33】
1回分について0.25から5gの間の、200未満のDPを有しているアラビノキシランが含まれ、前記アラビノキシランの集団は、7から40の間の平均DPを有している、請求項31に記載の穀物をベースとする食品。
【請求項34】
1回分について1から3gの間の、200未満のDPを有しているアラビノキシランが含まれ、前記アラビノキシランの集団は、7から40の間の平均DPを有している、請求項31に記載の穀物をベースとする食品。
【請求項35】
1回分について0.25から5gの間の、200未満のDPを有しているアラビノキシランが含まれ、前記アラビノキシランの集団は、7から20の間の平均DPを有している、請求項31に記載の穀物をベースとする食品。
【請求項36】
1回分について1から3gの間の、200未満のDPを有しているアラビノキシランが含まれ、前記アラビノキシランの集団は、7から20の間の平均DPを有している、請求項31に記載の穀物をベースとする食品。
【請求項37】
前記食品がベーカリ製品である、請求項18から19、または31から36のいずれかに記載の食品。
【請求項38】
前記食品がペストリ製品である、請求項18から19、または31から36のいずれかに記載の食品。
【請求項39】
前記食品が朝食用シリアルである、請求項18から19、または31から36のいずれかに記載の食品。
【請求項40】
前記食品がビスケットである、請求項18から19、または31から36のいずれかに記載の食品。
【請求項41】
前記食品がパスタ製品である、請求項18から19、または31から36のいずれかに記載の食品。
【請求項42】
前記食品が産業的に製造されたデザート製品である、請求項18から19、または31から36のいずれかに記載の食品。
【請求項43】
前記食品が乳製品である、請求項18から19、または31から36のいずれかに記載の食品。
【請求項44】
前記食品または飲料が低カロリー製品である、請求項18から43のいずれかに記載の食品または飲料。
【請求項45】
以下の工程:
i.ふすま、小麦粉、または小麦スキージのようなアラビノキシランを多く含む材料から水で抽出できないアラビノキシラン画分を、好ましくは、それぞれ、デンプン分解酵素およびタンパク質分解酵素を使用して、上記アラビノキシランを多く含む材料の除デンプンおよび除タンパクによって単離する工程
ii.1つ以上のキシラン分解酵素を使用して水で抽出できないアラビノキシラン画分を脱重合化させる工程
を含む、請求項1から17のいずれかに記載の栄養的添加剤の調製のための方法。
【請求項46】
以下の工程:
i.部分的に脱重合化された水で抽出することができるアラビノキシランを含む調製物、例えば、デンプン−グルテン分離プロセスの副流によって得られる調製物を得る工程
ii.必要に応じて、好ましくは、それぞれ、デンプン分解酵素およびタンパク質分解
酵素を使用して、上記アラビノキシランを含む調製物からデンプンおよびタンパク質を除去する工程;
iii.1つ以上のキシラン分解酵素を使用して前記調製物に含まれるアラビノキシランを脱重合化させる工程
を含む、請求項1から17のいずれかに記載の栄養的添加剤の調製のための方法。
【請求項47】
前記調製物が、前記栄養添加剤から4以下のDPを有しているオリゴ糖の量を減少させるために、キシラン分解酵素での処理の後に限界濾過に供される、請求項45または46に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2008−504038(P2008−504038A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518414(P2007−518414)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/BE2005/000105
【国際公開番号】WO2006/002495
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(599098493)カー・イュー・ルーベン・リサーチ・アンド・ディベロップメント (83)
【氏名又は名称原語表記】K.U. Leuven Research & Development
【Fターム(参考)】