説明

剛性のプリント回路基板をコンタクトパートナーとコンタクト接続させる方法および剛性のプリント回路基板とコンタクトパートナーから成る装置

本発明では、電気的な接続を剛性のプリント回路基板(1)と金属製のコンタクトパートナー(2)との間に形成する方法に関し、当該方法は以下のステップを有する:・少なくとも銅層(3)と少なくとも1つのプリプレグ層(5)とを含んでいる、剛性のプリント回路基板(1)を提供するステップと、・前記金属製のコンタクトパートナー(2)が、前記プリント回路基板(1)の銅層(3)上のコンタクトパッド(7)と当接するように、前記金属製のコンタクトパートナー(2)と前記プリント回路基板(1)とを接近させるステップと、・前記コンタクトパッド(7)の少なくとも1つの部分領域において、前記プリプレグ層(5)を除去して前記プリント回路基板(1)内に切り欠きを構成するステップと、・レーザ光(9)を照射するステップとを有しており、ここで溶接接続が前記コンタクトパートナー(2)と前記コンタクトパッド(7)との間に形成される。本発明はさらに、剛性のプリント回路基板(1)と、金属製のコンタクトパートナー(2)と電気的な接続箇所から成る装置、およびこのような装置を含んでいるモジュールに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剛性のプリント回路基板(PCB)と金属製のコンタクトパートナーとの間に電気的接続を形成するための方法、プリント回路基板とコンタクトパートナーとの間に実現された電気的接続箇所を有する、プリント回路基板とコンタクトパートナーの装置並びに、上述した電気的接続箇所を使用する、自動車(Kfz)のエンジンまたは変速機内に完全に組み込まれるモジュールに関する。
【0002】
自動車技術においては、変速機システム、エンジンシステム、またはブレーキシステムのようなコンポーネントは、特に電子的に制御されることが多くなってきている。これに関して、集積的かつメカトロニカルな制御装置に向けた開発、すなわち制御電子機器、および、センサまたは弁のような付属の電子コンポーネントを、変速機、エンジン、またはブレーキシステムへと一体化ないし集積させるための開発が行われている。制御装置は、一般的に多数の電子コンポーネントを有しており、これらの電子コンポーネントは、制御装置の外部にある別のコンポーネントと接続されている。このような"周辺(独立型)電子機器"の場合は、制御装置はもはや別個に保護された電子空間内に収容されておらず、したがって相応の環境影響、および、機械的、熱的ならびに化学的な要求に耐えなければならない。
【0003】
このためこれらは通常、特別なハウジングの中に設けられる。これに加えて、ハウジングは重要なシールド機能を果たす。ハウジングの外部に位置するコンポーネントとの確実な接続を可能とするために、ハウジングの内側とハウジングの外側との電気的接続は必須である。電気信号および電流の分配は目下の大量使用において、打ち抜き格子(リードフレーム)によって、または柔軟なプリント回路基板(FPCB)の使用によって実現される。
【0004】
メカトロニックなアプリケーションに対する柔軟なプリント回路基板の通常の構造は、ポリイミドフィルム、アクリル接着剤フィルムおよび銅フィルムが結合されたものとしての基本層から成る。銅層は通常、エッチングプロセスによって導体路構造を得る。この導体路構造は結合可能、溶接可能および/または取り外し可能な表面を、コンタクト領域内に有していなければならない。雑菌混入、損傷および導体路短絡からの必要な保護のために、ポリイミドフィルムから成るカバー層が、構造化された銅層上に、アクリル接着剤フィルムによって、ラミネートされる。基本層、銅層およびカバー層このような全体的な結合体は次に、基礎プレート上にラミネートされる。近年増加している、集積メカトロニック内でのこのような構造の柔軟なプリント回路基板の使用には非常にコストがかかる。
【0005】
柔軟なプリント回路基板と金属製導体との間で導電性接続を実現するためにレーザ溶接方法を用いることが知られている。この技術の基本的な利点は、付加的な部分、例えば接続構成部分に対するリベットが不必要であり、接続部が、低い製造コスト、かつ高いデザイン可変性で製造される、ということである。
【0006】
EP1155602B1号には、電気的な接続方法が記載されている。ここでは、2つの絶縁層とその間に延在している少なくとも1つの金属導体路から成る柔軟なプリント回路基板と金属製のコンタクトパートナーとの間に、レーザ光によって、溶接結合またははんだ付け結合が形成される。ここでは第1の絶縁層内に、照明用開口部が形成され、第2の絶縁層内に、この照明用開口部に対向して、接続開口部が形成されている。この場合には、金属製のコンタクトパートナーの接続区間は、接続開口部を通って、金属製導体路に当接する。次に、照明用開口部を通って配向されたレーザ光によって、導体路および接続区間がビーム加熱されて、溶接結合またははんだ付け結合が形成される。
【0007】
上述した方法の前には、EP1305988B1号において、柔軟なプレート回路基板をコンタクトパートナーとコンタクト接続させる方法が記載されている。ここでは、レーザ光照射が、溶接構造を製造するために、直接的に、第2の絶縁層を通って行われる。これによって、第2の絶縁層内に切り欠きを設ける、または完成された柔軟なプリント回路基板で、第2の絶縁層を局部的に除去することによって、後から、この箇所への両面アクセスを可能にするためのコストが不必要になる。
【0008】
しかしこの方法の欠点は、コストがかかり、殊に、金属製コンタクトパートナーに対するコストのかかる柔軟なプリント回路基板の電気的な接続のみが可能である、ということである。
【0009】
剛性のプリント回路基板、いわゆるPCB(Printed Circuit Boards)を、信号分配コンポーネントおよび電流分配コンポーネントとして使用することが知られている。電気的な接続が例えば、2つのプリント回路基板の間に形成されるべき場合には、これまでは通常、別個のプラグ、いわゆる圧入インターコネクターによって実現されてきた。このプラグは、2つの側で、少なくとも1つの圧入ピンまたは圧入ピン領域を有する。このようなプラグが個々に設計され、作成されなければならないのは欠点である。これに加えて、プリント回路基板に対するプラグの構造ステップおよび接続ステップは付加的なプロセスである。このプロセスは相応の質要求を満たさなければならず、コストがかかる。
【0010】
要望が増しているので、プリント回路基板から、種々の可能なコンタクトパートナーへの電気的接続を形成するコストを低減する、さらなる選択肢が探されている。
【0011】
課題
本発明の課題は、剛性のプリント回路基板(PCB)と金属製のコンタクトパートナーとの間に電気的接続を形成するための方法を提供することである。この方法は、簡単かつ低コストに行われ、同時に、機械的に安定し、かつ電気的に安全な接続を実現する。殊に、この方法によって実現される接続箇所は、困難な環境条件(例えば、自動車の変速機またはエンジン内での環境条件)のもとでの電気的構成部分のコンタクト接続にも適している。
【0012】
本発明の課題は独立請求項の特徴部分に記載されている構成によって解決される。
【0013】
本発明では、以下のステップを有する、電気的接続を剛性プリント回路基板と金属製コンタクトパートナーとの間に形成する方法が提案される:すなわち、
・少なくとも、銅層と少なくとも1つのプリプレグ層とを含んでいる剛性のプリント回路基板を提供するステップと、
・金属製のコンタクトパートナーがプリント回路基板の銅層上のコンタクトパッドと当接するように、金属製のコンタクトパートナーとプリント回路基板とを接近させるステップと、
・コンタクトパッドの下方の少なくとも1つの部分領域において、プリプレグ層を除去してプリント回路基板内に切り欠きを構成するステップと、
・レーザ光を照射するステップとを有しており、ここで溶接接続がコンタクトパートナーとコンタクトパッドとの間で形成される。
【0014】
従って剛性のプリント回路基板とは本発明では、1つの銅層から成る少なくとも1つの単層構造と、これに接続されているプリプレグ層とを有しているプリント回路基板(PCB)のことである。このプリプレグ層はプリプレグコアとも称される。プリプレグ(予備含浸繊維)は、エポキシ樹脂とガラス繊維マットとを化合したものであり、材料識別FR4としても既知である。プリプレグコアとして、用途に応じて、高温耐性の材料組み合わせ、例えばいわゆるFR5材料も使用される。本発明では銅層上に電気的絶縁のための別の層、例えばはんだレジストが被着される。
【0015】
銅層上のコンタクトパッドはコンタクト箇所として、可能な絶縁層(例えばはんだレジスト)が設けられないままにされる、またはコンタクトパートナーを載せる前に絶縁層から解放される。コンタクトパートナーとしては本発明では殊にワイヤー、ピンおよびペグ、リッツ線、打ち抜き格子または別の柔軟なプリント回路基板または剛性のプリント回路基板が使用される。コンタクトパッドは導体路層上でのコンタクト箇所であり、ここにコンタクトパートナーが当接され、次にこれと、レーザ溶接によって機械的および電気的に接続される。
【0016】
レーザ光が、銅層として実現されている導体路に入射する際には、エネルギー吸収が生じる。この場合には、溶接時にもたらされたエネルギーによって、コンタクトパッドの領域における導体路の実際の急激な溶解および、コンタクトパートナーの当接領域内へのレーザビームの侵入および溶接接続の構成が実現される。
【0017】
従って有利には本発明は次のような方法を提供する。すなわち、容易に行うことができ、殊に、柔軟なプリント回路基板による、これまでの既知のアプリケーションに対して低コストの選択肢である方法を提供する。さらに、レーザ溶接を使用することによって、より高いプロセス確実性で再現可能な質的に高い電気的接続を形成することができる。これは、高い機械的な要求も満たす。さらに、レーザ技術の全ての利点を使用することができる。例えば、安定的なレーザ溶接接続のための付加的な部分、例えばリベットまたははんだ等の付加的な材料は必要ない。さらに、この接続方法によって、機械的な設計に関する高い自由度が可能になり、最小の移行抵抗が保証される。
【0018】
この方法の別の有利な構成では、剛性のプリント回路基板は少なくとも2つの銅層と、これらの銅層の間に延在している、少なくとも1つのプリプレグ層とを含む。本発明の有利な形態では、少なくとも2つの導体路層、すなわち銅層が使用される。有利には、これによって、1つの銅層だけを有する構造と比べて殊に、レイアウトにおける改善されたアンバンドリグ、より多い数の導体路および/または、電流保持能力を上昇させる、より幅の広い導体路の使用が得られる。
【0019】
溶接過程時に形成された接続部の質に対しては、コンタクトパートナー内へのレーザビームの侵入深度が重要な役割を果たす。レーザビームがコンタクトパートナー内に侵入できない場合、すなわち導体路(銅層)のみが溶解する場合には、満足な溶接結果は得られない。また、レーザビームがコンタクトパートナー内に侵入する場合には、深溶接効果(Tiefschweisseffekt)と称される効果が得られる。ここでは、コンタクトパッド材料が急激に溶解し、金属溶解の突発的な特性が多かれ少なかれ観察される。この突発的な特性によって、溶解されたコンタクトパートナー材料が飛びはね、材料損失によって、コンタクトパートナーの中央領域において、窪みが構成される。窪み形成の結果として、不所望な環状の溶接領域が生じてしまう。なぜなら、環状開口部の大きさに従って、使用可能な溶接面積の一部が利用されなくなってしまうからである。
【0020】
溶接接続の質を最適にする深溶接効果を得るために、レーザは有利には次のように作動される。すなわち、コンタクトパートナー表面の溶解深さが、0.5〜1mmの間にあるように作動される。
【0021】
深溶接効果の特徴は、多数のパラメータによって影響される。これは殊に、溶接エネルギー、パルス出力、溶接時間および溶接点直径である。1.06μmの波長と、良好な機械的および電気的な安定性を備えた溶接接続に導く、30−500Wの平均出力でのNd:YAGレーザ使用時の有利な値領域は:7〜11Jの溶接エネルギーと、1〜3KWのパルスエネルギーと、3〜10msの溶接時間と、0.3〜0.6mmの溶接点の直径である。これによって、良好な機械的安定性と低い電気的移行抵抗とを有する溶接接続が形成される。
【0022】
本発明では、溶接接続を確実にし、安定させるために、複数の溶接点も使用可能である。付加的に、有利には同時に、電流保持性がさらに改善される。
【0023】
別の有利な方法は、溶接接続を形成するために、位置がずらされた複数のレーザ光パルスが使用される、という特徴を有している。位置をずらすことによって、溶接領域を効果的に拡大することができる。これによって、接続の安定性が上昇する。
【0024】
安定した溶接接続を形成するために、剛性のプリント回路基板および各コンタクトパートナーは、溶接過程時に、隙間なく、相互に当接していなければならない。柔軟なプリント回路基板による方法の場合には、これは、弾性の付加的な装置によって保証されなければならない。これはFCPBを、溶接の間、固定的にコンタクトパートナーに押しつける。剛性の導体プレートの使用時にはこれは必ずしも使用されなくてよい。本発明の方法の有利な構成では、剛性のプリント回路基板内で、この目的のために付加的に、コンタクトストラップ(Kontaktierlasche)が構成される。この場合には剛性のプリント回路基板が、溶接領域内に次のように構成される。すなわち、このストラップが、バイアスされたばねとして、プリント回路基板内に入れられるように構成される。このストラップはある構成では次のことによって形成される。すなわち、コンタクトパッドを中心にして、矩形の領域が、3つの側で、プリント回路基板内で、例えば、切り込みが入れられるまたはフライス加工される、ことによって形成される。このような構造的に簡単な手法によって、剛性のプリント回路基板は既に、ばね性の抑圧機能を有し、付加的な抑圧装置はもはや強制的には必要ない。コンタクトストラップの別の幾何学的な構成も本発明では含まれている。
【0025】
コンタクトパートナーとしてワイヤーまたは打ち抜き格子が使用される場合には、これは、本発明の有利な発展形態では、溶接領域内で打ち出される。打ち出し時に、いわゆるコンタクトアイ(Kontaktauge)がコンタクトパートナーで生じる。これによって、プリント回路基板上でのコンタクトパッドの確実な当接が実現される。リッツ線の使用時にはこれは、終端部でコンパクトにされ、これによって溶接性が改善される。
【0026】
この方法の別の有利な実施形態では、剛性のプリント回路基板が薄く構成される。これは次のことを意味する。すなわち、剛性のプリント回路基板の銅層が35μm〜70μmの領域における厚さを有し、プリプレグ層が150μm〜350μmの領域の厚さを有する、ということを意味する。この薄い構成によって、剛性のプリント回路基板の可塑性の変形性が得られる。可塑性の変形性は殊に次のような場合に有利である。すなわち、導体路が銅層内で、薄い分断線によって生成される、すなわち、できるだけ大きい銅表面がプリント回路基板上に残る場合に有利である。プリント回路基板を撓ませることによって、有利には三次元の領域および構造体が構成され、設計可変性が上昇する。
【0027】
プリプレグ層は、剛性のプリント回路基板内に切り欠きを設けるために、機械的に、例えば穿孔、フライス加工または打ち抜きによって除去される。この方法の同じように有利な構成では、プリプレグ層の除去は、レーザ光照射によって行われる。有利には、プリプレグ層の除去およびそれに続く、レーザ光照射による溶接を用いた切り欠きの形成が、1つのステップにおいて行われる。
【0028】
溶接の質はさらに、影響量であるレーザビームの入射角度、焦点位置、フォーカススポット直径(エネルギー密度)およびCU導体路の酸化度合によって影響される。さらなる影響量は、コンタクトパートナーの直径並びにコンタクト側の銀めっきされたコンタクトパートナーの使用およびこの銀層の厚さである。上述のパラメータおよび影響量が、少なくとも部分的に相反して影響することがある。すなわち、これらは深溶接効果の最小化に関して、相互に依存して最適化されなければならない。
【0029】
パラメータの理想的な選択時には、完全に平面的で、実質的に円形ディスク状の接続ゾーンを伴った溶接箇所が実現される。
【0030】
得られた溶接組織の安定性のさらなる改善は、別の本発明の構成において、レーザ光、ダブルパルスの使用によって実現される。これはコンタクトパッドの輪郭内の種々異なる箇所に配向される。
【0031】
本発明はさらに、剛性のプリント回路基板、金属製のコンタクトパートナーおよび、剛性のプリント回路基板と金属製のコンタクトパートナーとの間の電気的な接続箇所から成る装置に関する。ここでは剛性のプリント回路基板は少なくとも、銅層とプリプレグ層とから構成される。ここで、銅層上に少なくとも1つのコンタクトパッドが構成される。このコンタクトパッド上に、金属製のコンタクトパートナーが当接される。上述した素子の間に本発明ではさらに、レーザ光照射によってもたらされた溶接領域が存在する。
【0032】
剛性のプリント回路基板、金属製のコンタクトパートナーおよび、剛性のプリント回路基板と金属製のコンタクトパートナーとの間の電気的な接続箇所から成る別の有利な本発明の装置では、剛性のプリント回路基板は少なくとも1つの第1および第2の銅層と、その間に延在する少なくとも1つのプリプレグ層とを有している。少なくとも1つの、第2の導体路層を供給することによって、殊に、レイアウトにおける改善されたアンバンドリングが実現される。
【0033】
本発明による方法および電気的な接続箇所を備えた本発明による装置の重要な技術的な使用領域は、電気的な配線部材のコンタクト接続または、制御機器とともに自動車のエンジンまたは変速機内に収容される電子構成部分(例えばプラグ、センサ、弁および/またはアクチュエータ)の直接的なコンタクト接続である。このために、本発明の方法および本発明の装置は、適切な、特に柔軟なプリント回路基板の使用に対する、低コストの、上述した素子間の電気的コンタクト接続手法を実現する。ここでは実現された溶接接続は特に抵抗力がある。従って、これは変速機またはエンジン内を占領している環境条件(約−40°〜150°までの温度領域、約40gまでの振動)に耐えうる。さらに、本発明の接続方法によって、機械的な設計に関する高い自由度が可能になり、最小の移行抵抗が保証される。
【0034】
さらに、本発明は、自動車のエンジンまたは変速機内に完全に組み込まれるモジュールに関する。この内部には上述した本発明の有利な装置が組み込まれる。このモジュールは以下の部材を有している:
・内部に、電気回路が収容されている、油密式のハウジングを有している制御機器
・電気回路と電気的に接続しており、ハウジングのシーリングギャップを通って外部に導かれている、剛性のプリント回路基板
・本発明の装置に従って、コンタクトパートナーとして、剛性のプリント回路基板と接続されている、制御機器外に設けられた電気的接続部分
本発明を以下で、実施例に基づいて、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による溶接接続形成時点での剛性のプリント回路基板と機械的なコンタクトパートナーの概略的な断面図
【図2】第2の剛性プリント回路基板への本発明による溶接接続形成時点での剛性プリント回路基板の概略的な断面図
【図3】金属製のコンタクトパートナーと接続されており、構成されたコンタクトストラップを有している剛性プリント回路基板上の斜視平面図
【実施例】
【0036】
図1は、本発明による溶接接続形成時点での、剛性のプリント回路基板1と機械的なコンタクトパートナー2としてのピン2aの概略的な断面図を示している。剛性のプリント回路基板1は、第1の銅層3と第2の銅層4を含んでおり、これらの銅層の間に、プリプレグ層5が埋め込まれている。第1の銅層3を以下で、上方の銅層3とも称する。この上方の銅層3および下方の第2の銅層4にはそれぞれ1つのはんだレジスト層6が、電気的な絶縁のために被着されている。コンタクトパッド7の領域では、上方の銅層3にははんだレジスト層6は設けられていない。ピン2aは、コンタクトパッド7上に、端面でもって当接している。溶接ステップを行う前に、剛性のプリント回路基板1とコンタクトパートナー2は、コンタクトパートナー2の面が全面で、銅層3上に載置されるように相互に接近される。コンタクトパッド2aの下方では、切り欠き8がプリント回路基板1内に形成されている。この切り欠き8によって、下方の、すなわちピン2aと対向している銅層3の面から、レーザビーム9によって溶接接続が形成される。有利には、銅層導体路面3に対して垂直な光入射が選択される。このレーザビームは中央長手軸xの領域において、ピン2aの接している端面に入射する。図示の、ピン2aとの、プリント回路基板1の直接的なコンタクト接続に対して択一的に、プリント回路基板1が同じように、変速機またはエンジン内に延在している電気的配線部材(例えば打ち抜き格子または別のコンタクトパートナー)の終端部と接続されてもよい。
【0037】
図2は、第2の剛性プリント回路基板10に対する、本発明によるレーザ溶接接続形成時点での剛性プリント回路基板1の断面図を示している。プリント回路基板1、10は同様にまたは異なって構成される。機械的に、第2のプリント回路基板10への接続は、例えばラミネート加工または接着によって形成される。第1および第2のプリント回路基板1、10は、自身のコンタクトパッド7で相互に重なって積層化されており、レーザビーム9によって溶接される。プリント回路基板10の切り欠き8内には付加的に銅インレー11が、コンタクト領域7内に用いられる。これは有利には次のような場合に用いられる。すなわち、確実な溶接接続に対して、銅層3、4の層強度が溶接領域において充分でない場合である。2つまたはそれより多くのプリント回路基板1、10の本発明の接続によって、有利には複雑な構造体の構成が可能になる。
【0038】
図3は、ポテンシャル分配および信号分配のための、剛性プリント回路基板1と、コンタクトパートナー2としてのピン2aおよび打ち抜き格子2bとの接続の斜視平面図を示している。プリント回路基板1上にはコンタクトパッド7が設けられており、これは円形に構成される。ピン2aおよびこのピンに属するコンタクトパッド7のまわりに、矩形に形成されているコンタクトストラップ12がプリント回路基板1内に構成されている。このコンタクトストラップ12は、バイアスされたばねとして機能し、これによって有利には抑圧機能を担う。このようにして、コンタクトパッド7を有するプリント回路基板1は固定的に、コンタクトパートナー2に、すなわちここでは、ピン2aの接している端面に押し付けられる。コンタクトパッド7およびコンタクトストラップ12の構造は、本発明では、別の幾何学形状的な構成で行われてもよい。
【0039】
要約すると、本発明では、低コストの剛性のプリント回路基板およびレーザプロセスによる低コストの直接取り付けプロセセスを用いて、大量生産時にまさに格段のコスト削減を可能にする。殊に、種々の可能なコンタクトパートナーに対する全ての接続が有利には同じ方法によって実現される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性のプリント回路基板(1)と金属製のコンタクトパートナー(2)との間に電気的な接続を形成するための方法であって、以下のステップを有しており:
・少なくとも銅層(3)とプリプレグ層(5)とを含んでいる、剛性のプリント回路基板(1)を提供するステップと、
・前記金属製のコンタクトパートナー(2)が、前記プリント回路基板(1)の銅層(3)上のコンタクトパッド(7)と当接するように、前記金属製のコンタクトパートナー(2)と前記プリント回路基板(1)とを接近させるステップと、
・前記コンタクトパッド(7)の下方の少なくとも1つの部分領域において、前記プリプレグ層(5)を除去して前記プリント回路基板(1)内に切り欠きを構成するステップと、
・レーザ光(9)を照射するステップとを有しており、ここで溶接接続を前記コンタクトパートナー(2)と前記コンタクトパッド(7)との間に形成する、
ことを特徴とする、剛性のプリント回路基板と金属製のコンタクトパートナーとの間に電気的な接続を形成するための方法。
【請求項2】
前記剛性のプリント回路基板(1)は少なくとも2つの銅層(3、4)と、その間に延在する少なくとも1つのプリプレグ層(5)とを含んでいる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記剛性のプリント回路基板(1)内にコンタクトストラップ(12)を構成する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記プリント回路基板(1)の前記銅層(3、4)は35μm〜70μmの厚さを有しており、前記プリプレグ層(5)は150μm〜350μmの厚さを有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記プリプレグ層(5)の除去を、機械的な処理またはレーザ光照射によって行う、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
Nd:YADレーザを光源として使用し、30〜500Wの領域の平均出力によって作動させる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記レーザのビーム路内に位置している光学系によって、0.3〜0.6mmの間の直径を有する少なくとも1つの溶接点を形成する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
7〜11Jの溶接エネルギーを、3〜10msの溶接持続時間の間に供給する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
1〜3kWのパルスエネルギーを有するパルス状にされたNd:YAGレーザを使用する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記溶接接続を形成するために複数のレーザ光パルス、殊にダブルパルスを使用する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
剛性のプリント回路基板(1)と、金属製のコンタクトパートナー(2)と、前記剛性のプリント回路基板と前記金属製のコンタクトパートナー(2)の間の電気的な接続箇所とから成る装置であって、
・少なくとも銅層(3)と少なくとも1つのプリプレグ層(5)とから成る剛性のプリント回路基板(1)が構成されており、
・前記銅層(3)の上に少なくとも1つのコンタクトパッド(7)が構成されており、
・前記金属製のコンタクトパートナー(2)は、前記コンタクトパッド(7)に接近されており、
レーザ光照射(9)によってもたらされた溶接領域が存在している、
ことを特徴とする装置。
【請求項12】
剛性のプリント回路基板(1)と、金属製のコンタクトパートナー(2)と、前記剛性のプリント回路基板と前記金属製のコンタクトパートナー(2)の間の電気的な接続箇所とから成る装置であって、
・前記剛性のプリント回路基板(1)は少なくとも、第1および第2の銅層(3、4)と、当該第1の銅層と第2の銅層の間に延在するプリプレグ層(5)とから構成されている、
ことを特徴とする装置。
【請求項13】
自動車のエンジンまたは変速機内に完全に構成されるモジュールであって、
・内部に、電気回路が収容されている、油密式のハウジングを有している制御機器を有しており、
・当該電気回路と電気的に接続しており、前記ハウジングのシーリングギャップを通って外部へ導かれている、剛性のプリント回路基板(1)を有しており、
・前記制御機器の外側に設けられている電気的な接続部分を有しており、当該接続部分は、請求項11または12に記載されている装置に従って、コンタクトパートナー(2)として、前記剛性のプリント回路基板(1)と接続されている、
ことを特徴とするモジュール。
【請求項14】
前記電気的な接続部分は、金属製の打ち抜き格子、金属製のワイヤー、ピン、柔軟なプリント基板回路または剛性のプリント基板回路によって実現されている、請求項13記載のモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−509499(P2011−509499A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538593(P2010−538593)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067292
【国際公開番号】WO2009/080540
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(508097870)コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (205)
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D−30165 Hannover, Germany
【Fターム(参考)】