説明

加熱処理装置

【課題】 加熱経路における処理物に対する熱伝導を十分に行なわせて加熱効率を向上させるとともに、直接燃焼ガスで加熱することなく乾留により炭化させるようにして炭化物の生成の歩留まりの向上を図る。
【解決手段】 管状の柱状体1を回転可能な筒体10に挿通し、筒体10を回転可能な外筒体20に挿通し、柱状体1の外面と筒体10の内面との間に、ホッパ13から供給される処理物Wが挟まれて移動可能な加熱経路Rhを形成し、処理物Wを加熱経路Rhの出口12へ向けて移動させるスクリュー羽根51を筒体10に設け、柱状体1の内部に燃焼ガスを供給するバーナ装置61を設け、筒体10と外筒体20との間に出口12から排出された処理物Wを受けて排出口24に向けて処理物Wを移動させて冷却する冷却経路Rcを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の処理物を加熱処理する加熱処理装置に係り、例えば、処理物として、畜産廃棄物,食品廃棄物,下水汚泥等の水分を含む流動状の有機性可燃物を加熱処理して炭化物を得ることのできる加熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱処理装置としては、例えば、図7に示すように、処理物として植物廃棄物である有機性可燃物を加熱処理して炭化物を得る加熱処理装置が知られている(例えば、特開2002−241760号公報掲載)。
これは、一端に設けたホッパ101から処理物Wが供給される内筒100と、この内筒100の内部に配設されて内筒100に供給される処理物Wを他端側に移送するスクリュー102と、内筒100が挿通され内筒100の他端側の出口103から落下した処理物を回転により移送できるように螺旋状の凸部104が設けられた回転外筒105と、この回転外筒105を回転させる回転機構(図示せず)と、内筒100と回転外筒105との間に設けられる燃焼室106に燃焼ガスを噴射するバーナ107とを備えて構成されている。
【0003】
そして、内筒100の一端に設けたホッパ101に処理物Wを供給すると、処理物Wはスクリュー102により他端側に移送される。このとき、内筒100が燃焼ガスで加熱されるので、内筒100で処理物Wが加熱される。加熱される処理物Wは、含有する水分を気化して除去される。除去された水分は、内筒10の他端上部の排気口108から燃焼室106を通過して煙突109から排気される。
一方、内筒100で他端まで移送された処理物Wは、内筒100の底に開口している出口103から、燃焼室106に落下する。燃焼室106に落下した処理物Wは、回転する回転外筒105の螺旋状の凸部104で前端から後端に移送される。ここで移送される処理物Wは、燃焼ガスに直接に接触して加熱され、水分が除去されて炭化される。炭化した処理物Wは、回転外筒105の後端を閉塞している閉塞プレート110に開口している排出口111から排出される。
【0004】
【特許文献1】特開2002−241760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の従来の加熱処理装置にあっては、処理物Wはスクリュー102により他端側に移送されるが、内筒100内は隙間が多く、そのため、処理物Wと加熱される内筒100との接触が不十分で、加熱経路における処理物Wに対する熱伝導が不十分で加熱効率に劣っているという問題があった。また、内筒100から落下した処理物Wは直接燃焼ガスで加熱されるので、燃え上がって灰化し易くなることがあり、炭化物の生成が円滑に行なわれにくく、生成の歩留まりが劣っているという問題があった。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、加熱経路における処理物に対する熱伝導を十分に行なわせることができるようにして加熱効率を向上させるとともに、直接燃焼ガスで加熱することなく乾留により炭化させるようにして炭化物の生成の歩留まりの向上を図った加熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するため本発明の加熱処理装置は、処理物を加熱処理する加熱処理装置において、柱状体を筒体に挿通し、上記柱状体の外面と上記筒体の内面との間に、一端側に処理物が供給される入口を有し他端側に処理物の出口を有し該処理物が上記柱状体の外面及び筒体の内面に挟まれて上記入口から出口に向けて移動可能な加熱経路を形成し、該加熱経路の入口に供給された処理物を該加熱経路の出口へ向けて移動させる移動手段を備えるとともに、該加熱経路を移動する処理物を加熱するための熱を上記柱状体及び筒体の少なくともいずれか一方に付与する熱付与手段を設けた構成としている。
【0008】
これにより、処理物として例えば水分を有した有機可燃物を例えば加熱処理して炭化するときは、熱付与手段により柱状体及び筒体の少なくともいずれか一方に熱を付与する。この状態で、処理物を加熱経路の入口に供給し、移動手段により、処理物を加熱経路の出口へ向けて移動させる。この加熱経路における処理物の移動の際、処理物は加熱されて、移動初期には処理物中の水分が蒸発させられ、徐々に乾燥させられていくとともに、移動中期から後期には加熱により処理物が乾留されて炭化させられていく。
【0009】
この場合、処理物は柱状体の外面及び筒体の内面に挟まれて移動するので、柱状体の外面及び筒体の内面に擦り付けられるようになり、即ち、柱状体の外面及び筒体の内面に摩擦しながら進行し、そのため、処理物に対する熱伝導が十分に行なわれ、加熱効率が向上させられる。更に、処理物は加熱経路において乾留されるので、直接燃焼ガスで加熱する場合に比較して燃え上がることがなく、確実に炭化されていく。そのため、炭化物の生成の歩留まりが向上させられる。
【0010】
尚、熱付与手段を、柱状体に熱を付与するように構成すれば、内部から外部に向けて熱が伝達されるので、筒体外部から熱を付与される場合に比較して、熱発散の無駄がなく、確実に熱伝達が行なわれ、そのため、加熱効率が向上させられる。また、装置の構造も簡易化できる。
一方、筒体に熱を付与するように構成した場合には、柱状体側の処理物に熱が伝達されるが、筒体の外方へも熱が逃げるので、柱状体に熱を付与する場合に比較して、処理物への熱伝達率がやや劣る。また、筒体の外方を断熱材などで覆わなければならないことから、装置も複雑化する。しかしながら、従来に比較すれば、確実に熱伝達が行なわれ、加熱効率が向上させられる。
【0011】
そして、必要に応じ、上記柱状体を管体で形成し、上記熱付与手段を、該柱状体の上記加熱経路の出口側の前端から内部に燃焼ガスを供給するバーナ装置を備えて構成している。これにより、バーナ装置の燃焼ガスにより、柱状体に熱が付与され、この柱状体から処理物に熱が伝達されるので、内部から外部に向けて熱が伝達されることになることから、筒体外部から熱を付与される場合に比較して、熱発散の無駄がなく、確実に熱伝達が行なわれ、そのため、加熱効率が向上させられる。また、柱状体を管体にすることで構成でき、バーナ装置の設置も容易であることから、装置の構造も簡易化できる。
【0012】
また、必要に応じ、上記筒体を外筒体に挿通し、該外筒体を軸線を中心に回転可能に支持し、上記筒体と外筒体との間に上記加熱経路の出口側の前端に該出口から排出された処理物を受ける受け口を有し上記加熱経路の入口側の後端に該処理物の排出口を有し上記外筒体の回転により上記受け口から排出口に向けて処理物を移動させて処理物を冷却する冷却経路を設け、上記外筒体を回転させる回転機構を備えて構成している。
これにより、加熱経路で炭化させられた赤熱状態の処理物は、加熱経路の出口から冷却経路の受け口に落下していく。外筒体は回転機構により回転させられて処理物が冷却させられる。この冷却過程では、処理物は空気に晒されるので炭化が促進される。冷却された処理物は、順次排出口から排出されていく。この際、外筒体において冷却してから処理物を取り出すことができるので、別途冷却ラインを設ける必要がなくなり、そのため、装置の省力化が図られる。
【0013】
この場合、上記外筒体を上記加熱経路の出口側から入口側に向けて拡開する内面を備えて構成したことが有効である。外筒体は回転機構により回転させられ、外筒体の内面は加熱経路の出口側から入口側に向けて拡開するテーパ状になっているので、この外筒体の回転により受け口から排出口に向けて処理物が徐々に移動させられ、冷却させられる。そのため、外筒体の内面をテーパ状にするだけで、処理物を冷却搬送できるので、構造が極めて簡単になり、装置の簡略化が図られる。
【0014】
更に、必要に応じ、上記移動手段を、上記筒体を軸線を中心に回転可能に支持し、該筒体の内面に該筒体の回転により処理物を上記加熱経路の出口へ向けて移動させる羽根を設け、上記筒体を回転させる回転機構を備えて構成している。処理物は柱状体の外面及び筒体の内面に挟まれて羽根により移動させられるので、柱状体の外面及び筒体の内面に確実に擦り付けられるようになり、処理物に対する熱伝導を十分に行なわせることができる。
【0015】
この場合、上記移動手段を、上記筒体を軸線を中心に回転可能に支持し、該筒体の内面に該筒体の回転により処理物を上記加熱経路の出口へ向けて移動させる羽根を設け、上記筒体を回転させる回転機構を備えて構成し、上記筒体と外筒体とを連結部材で連結して一体に回転可能にし、該筒体の回転機構を上記外筒体の回転機構と共用したことが有効である。筒体の回転機構を外筒体の回転機構と共用したので、それだけ装置が簡略化され、省力化が図られる。
【0016】
また、この場合、上記羽根を、螺旋状に連続するスクリュー羽根で構成し、該羽根と柱状体との間に、加熱された処理物から生じる発生ガスが通過可能な隙間を形成したことが有効である。スクリュー羽根なので、処理物を連続的に移動させることができる。また、加熱経路において、処理物から水蒸気を含む発生ガスが生じても、発生ガスをスクリュー羽根と柱状体との間の隙間を通って外部に排出させることができる。
【0017】
更にまた、必要に応じ、上記加熱経路で発生した発生ガスを該加熱経路の入口側から吸引する吸引装置を備えた構成としている。加熱経路において、処理物から水蒸気を含む発生ガスが生じても、発生ガスを強制的に吸引して外部に排出させることができる。また、発生ガスを未処理の処理物内を通過させることになるので、未処理の処理物との熱交換が行なわれ、そのため、処理物がある程度加温されることから、処理物の加熱経路での加熱効率がより一層向上させられる。
【0018】
また、必要に応じ、上記吸引装置で吸引した発生ガスから液体を分離する気液分離装置を備えた構成としている。発生ガスの排気を、清浄化して行なうことができるようになる。
【0019】
更に、必要に応じ、上記柱状体を管体で形成し、上記熱付与手段を、該柱状体の上記加熱経路の出口側の前端から内部に燃焼ガスを供給するバーナ装置を備えて構成し、上記気液分離装置で分離した気体を上記バーナ装置の燃焼空気に混合させる構成としている。分離された気体は、バーナ装置の燃焼空気に混合させられるので、気体の熱を利用できることからそれだけ燃焼効率が向上させられるとともに、気体中の有害成分を燃焼ガス中で熱分解させることができる。
【0020】
そしてまた、必要に応じ、上記処理物は有機性可燃物で構成され、該処理物を上記加熱経路において炭化させて炭化物を得る構成としている。処理物として、畜産廃棄物,食品廃棄物,下水汚泥等の水分を含む流動状の有機性可燃物を加熱処理して炭化物を得ることができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の加熱処理装置によれば、加熱経路において、処理物が柱状体の外面及び筒体の内面に挟まれて移動するので、柱状体の外面及び筒体の内面に擦り付けられるようになり、そのため、処理物に対する熱伝導を十分に行なわせ、加熱効率を大幅に向上させることができる。また、処理物は加熱経路において乾留されるので、直接燃焼ガスで加熱する場合に比較して燃え上がることがなく、確実に炭化することができ、炭化物の生成の歩留まりを向上させることができる。この結果、処理物として、特に、畜産廃棄物,食品廃棄物,下水汚泥等の水分を含んだ流動状の有機性可燃物に対しては、極めて有用になり、省力化を図った炭化物生成処理を行なうことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る加熱処理装置について詳細に説明する。
図1乃至図5に示すように、本発明の実施の形態に係る加熱処理装置は、処理物Wとして、畜産廃棄物,食品廃棄物,下水汚泥等の水分を含む流動状の有機性可燃物を加熱処理して炭化物を得ることのできる装置であり、その基本的構成は、固定された柱状体1と、柱状体1が挿通され柱状体1との間に処理物Wの加熱経路Rhを形成する回転可能な筒体10と、筒体10が挿通され筒体10との間に処理物Wの冷却経路Rcを形成する回転可能な外筒体20と、加熱経路Rhにおいて処理物Wを移動させる移動手段50と、処理物Wを加熱するための熱を柱状体1に付与する熱付与手段60とを備えてなる。
【0023】
柱状体1は、鉄等の金属製管体からなり、本体2と、この本体2の両端に延設され本体2の径より細い径の軸管3とを備えて構成され、柱状体1は、この軸管3において支持台4に支持されている。図4に示すように、本体2の一般径Dは、適宜設定されるが、例えば、D=200〜600mmに設定され、実施の形態では、D=300mmに設定されている。
【0024】
筒体10は、鉄等の金属製管体からなり、この筒体10には柱状体1の本体2がその一端部2aを除いて挿通されている。そして、柱状体1の本体2の外面と筒体10の内面との間に、一端側に処理物Wが供給される入口11を有し他端側に処理物Wの出口12を有し、処理物Wが柱状体1の本体2の外面及び筒体10の内面に挟まれて入口11から出口12に向けて移動可能な加熱経路Rhが形成されている。図4に示すように、加熱経路Rhの幅Eは、適宜設定されるが、例えば、E=20〜100mmに設定され、実施の形態では、E=40mmに設定されている。また、図3に示すように、加熱経路Rhの長さLも適宜設定されるが、例えば、L=3000〜4000mmに設定され、実施の形態では、L=3700mmに設定されている。
【0025】
また、加熱経路Rhの入口11側には、加熱経路Rhの入口11に処理物Wを供給するホッパ13が設けられている。ホッパ13は、機台14に支持されており、柱状体1の筒体10から突出した本体2の一端部2aを囲繞するとともに加熱経路Rhの入口11に連通する容器状の底部15と、底部15から立ち上がり処理物Wの投入口16を有した立ち上がり部17と、投入口16を開閉する蓋18とを備えて構成されている。尚、ホッパ13からは、蓋18の開閉により処理物Wを間欠的に投入するが、例えば、蓋18にポンプ(図示せず)からの供給口(図示せず)を設けてポンプにより連続的に投入するようにしてよい。
【0026】
外筒体20は、鉄等の金属製管体からなり、筒体10が挿通されている。詳しくは、外筒体20は、加熱経路Rhの出口12側から入口11側に向けて内面が拡開した内管21とこれを囲繞する直状の外管22とで構成されている。そして、この内管21と筒体10との間には、加熱経路Rhの出口12側の前端にこの出口12から排出された処理物Wを受ける受け口23を有し、加熱経路Rhの入口11側の後端に処理物Wの排出口24を有し、外筒体20の回転により受け口23から排出口24に向けて処理物Wを移動させて処理物Wを冷却する冷却経路Rcが設けられている。外筒体20の後側端部の外側には、ホッパ13に固定され冷却経路Rcの排出口24に対峙する隔離板25が設けられており、排出口24は、この隔離板25の下側に開放して設けられた取出し口26に連通しており、この取出し口26から炭化物の製品が排出される。尚、取出し口26から排出される炭化物は、ベルトコンベア(図示せず)などで搬送するようにしてよい。
【0027】
外筒体20の前側端部は、金属製の円盤27で閉塞されている。円盤27の中央には柱状体1の軸管3が挿通される挿通孔27aが設けられている。また、外筒体20の後側端部において、内管21と外管22とは、リング状の覆い部材28で閉塞されている。
更に、筒体10の両端部は、夫々、外筒体20の内管21に、等角度関係(図では90°)で設けられた4つの連結部材29で連結されている。この連結部材29により、筒体10と外筒体20とは、これらの軸線を中心に回転可能に、一体に回転可能になっている。
【0028】
また、外筒体20は、筒体10とともに支持機構30により回転可能に支持されている。支持機構30は、外筒体20の外管22の両端部側に設けられたリング状の一対のレール31と、各レール31毎に設けられレール31を転動して支持する一対のローラ32の組とを備えて構成されている。ローラ32の組は機台14に設置されている。
【0029】
また、外筒体20は、回転機構40により回転させられる。回転機構40は、図2に示すように、機台14の前端側に設けられた電動モータ41と、この電動モータ41の回転を外筒体20に伝達するチェーン伝動機構42とで構成されている。チェーン伝動機構42は、電動モータ41の回転軸に設けられた主スプロケット43と、外筒体20の前端に設けられた従スプロケット44と、主スプロケット43と従スプロケット44との間に巻きかけられるエンドレスのチェーン45とから構成されている。
【0030】
移動手段50は、筒体10の内面に筒体10の回転により処理物Wを加熱経路Rhの入口11から出口12へ向けて移動させる羽根を備えている。羽根は、螺旋状に連続するスクリュー羽根51で構成されている。羽根51と柱状体1との間には、図4に示すように、加熱された処理物Wから生じる発生ガスが通過可能な隙間Sが形成されている。隙間Sの幅Saは、適宜設定されるが、例えば、Sa=2〜20mmに設定され、実施の形態では、Sa=8mmに設定されている。
【0031】
また、このスクリュー羽根51の後端部は、柱状体1の本体2の一端部2aに沿って延設され、ホッパ13の底部15に臨んでおり、筒体10の回転によりホッパ13の底部15から処理物Wを加熱経路Rhの入口11に掻き入れる掻き入れ部52として構成されている。
更に、移動手段50は、筒体10を回転させる上記の回転機構40を備えて構成されている。上述したように、筒体10は外筒体20の内管21に連結部材29により一体に回転可能に連結されていることから、筒体10及び外筒体20の回転機構40は共用されることになる。
【0032】
熱付与手段60は、柱状体1の加熱経路Rhの出口12側の前端から内部に燃焼ガスを供給するバーナ装置61を備えて構成されている。バーナ装置61は、図示外のオイルタンクからのオイルを、内臓のファンにより取り入れた燃焼空気により燃焼させて加熱経路Rh内に吹き込む。オイルとしては、灯油や廃油などが用いられる。また、柱状体1の一端側の軸管3は、支持台4に設けた煙突62に連通しており、加熱経路Rhでの排気ガスが煙突62から排気されるようになっている。
【0033】
また、実施の形態に係る加熱処理装置は、図1に示すように、加熱経路Rhで発生した水蒸気を含む発生ガスを加熱経路Rhの入口11側から吸引する吸引装置70を備えている。この吸引装置70は、吸引ファン71と、一端がホッパ13の立ち上がり部17の上端部に配管され他端が吸引ファン71の吸引側に配管された吸引配管72とから構成されている。これにより、加熱経路Rhで発生した水蒸気を含む発生ガスは、スクリュー羽根51と柱状体1との間の隙間Sを通って、ホッパ13内に導入され、このホッパ13内を通って吸引ファン71により吸引されて排出される。
【0034】
また、実施の形態に係る加熱処理装置は、図1に示すように、吸引装置70で吸引した水蒸気を含む発生ガスから液体を分離する気液分離装置80を備えている。気液分離装置80は、冷却により気液を分離するサイクロン塔81と、一端が吸引ファン71の排出側に配管され他端がサイクロン塔81の上端部に配管された接続配管82とから構成されている。サイクロン塔81の下部には、分離された液体を回収するバルブ開閉型の回収口83が設けられている。
また、サイクロン塔81の内部に臨み上端に突出され分離した気体が排気される排気管84には、バーナ装置61の燃焼空気取り入れ側に至る送給管85が配管されており、この分離した気体をバーナ装置61の燃焼空気に混合させる構成にしてある。
【0035】
従って、この実施の形態に係る加熱処理装置により、例えば、処理物Wとして、畜産の糞尿を処理する場合で説明すると、以下のようになる。
先ず、バーナ装置61を駆動する。バーナ装置61からは柱状体1内に燃焼ガスが供給されており、柱状体1が加熱される。排気ガスは煙突62から排気される。
そして、ホッパ13に、蓋18を開閉してその開時に処理物Wを投入し、回転機構40及び吸引装置70を駆動する。ホッパ13への投入は、適時に蓋18を開閉して間欠的に行なう。尚、ポンプなどにより連続的に投入するようにしてよい。
【0036】
これにより、外筒体20及び内筒体10が回転し、内筒体10に設けたスクリュー羽根51の掻き込み部52がホッパ13内の処理物Wを加熱経路Rhの入口11から内部に供給し、更に、スクリュー羽根51により処理物Wが入口11から出口12に向けて加熱経路Rh内を移動させられる。この加熱経路Rhにおける処理物Wの移動の際、処理物Wは柱状体1により加熱されて、移動初期には処理物W中の水分が蒸発させられ、徐々に乾燥させられていくとともに、移動中期から後期には加熱により処理物Wが乾留されて炭化させられていく。
【0037】
この場合、処理物Wは、柱状体1から外部に向かう熱により加熱させられるので、筒体10外部から熱を付与される場合に比較して、熱発散の無駄がなく、確実に熱伝達が行なわれ、そのため、加熱効率が向上させられる。また、図5に示すように、この場合、処理物Wは柱状体1の外面及び筒体10の内面に挟まれて移動するので、柱状体1の外面及び筒体10の内面に擦り付けられるようになり、即ち、柱状体1の外面及び筒体10の内面に摩擦しながら進行し、そのため、処理物Wに対する熱伝導が十分に行なわれ、この点でも加熱効率が向上させられる。更に、処理物Wは加熱経路Rhにおいて乾留されるので、直接燃焼ガスで加熱する場合に比較して燃え上がることがなく、確実に炭化されていく。そのため、炭化物の生成の歩留まりが向上させられる。
【0038】
また、加熱経路Rhにおいては、処理物Wから水蒸気を含む発生ガスが生じるが、ホッパ13には吸引装置70の吸引ファン71が接続されているのでホッパ13内が負圧になり、発生ガスはスクリュー羽根51と柱状体1との間の隙間Sを通って、ホッパ13内に導入され、このホッパ13内を通って吸引ファン71により吸引されて排出される。この場合、発生ガスはホッパ13内の処理物W内を通過するので、処理物Wとの熱交換が行なわれ、そのため、処理物Wがある程度加温されることから、処理物Wの加熱経路Rhでの加熱効率がより一層向上させられる。
【0039】
更に、図1に示すように、吸引装置70で吸引した水蒸気を含む発生ガスは、気液分離装置80に至り、サイクロン塔81により水を主体とした液体が分離される。液体は、適時にサイクロン塔81の回収口83から回収される。また、サイクロン塔81の排気管から排気される気体は、バーナ装置61に吸引され、バーナ装置61の燃焼空気取り入れ側に至って、バーナ装置61の燃焼空気に混合させられる。そのため、気体の熱を利用できるのでそれだけ燃焼効率が向上させられるとともに、気体中の有害成分を燃焼ガス中で熱分解させることができる。また、発生ガスを気液分離して排気するので、発生ガスの排気を清浄化して行なうことができるようになる。
【0040】
そして、図3に示すように、加熱経路Rhで炭化させられた赤熱状態の処理物Wは、加熱経路Rhの出口12から冷却経路Rcの受け口23に落下していく。外筒体20は回転機構40により回転させられ、外筒体20の内管21は加熱経路Rhの出口12側から入口11側に向けて拡開するテーパ状になっているので、この外筒体20の回転により受け口23から排出口24に向けて処理物Wが徐々に移動させられ、冷却させられる。この冷却過程では、処理物Wは空気に晒されるので炭化が促進される。冷却された処理物Wは、順次排出口24から排出されていく。この場合、外筒体20において冷却してから処理物Wを取り出すことができるので、別途冷却ラインを設ける必要がなくなり、そのため、装置の省力化が図られる。
【0041】
図6には、本発明の実施の形態に係る加熱処理装置において、移動手段50の別の例を示している。これは、上記の連続するスクリュー羽根51に変えて、多数の矩形の羽根51を筒体10の回転により処理物Wを進行させるように角度を設けて筒体10の内面に列設して突出させたものである。また、ホッパ13は、加熱経路Rhに向けて傾斜しており、処理物Wは、直接加熱経路Rhの入口11に導入される。これによれば、多数の矩形の羽根51間に間隔があるので、処理物Wからの発生ガスの流通が円滑になる。他の作用,効果は上記と同様である。
【0042】
尚、上記実施の形態において、外筒体20を設けて冷却経路Rcを形成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、外筒体20を設けなくても良い。この場合には、加熱経路Rhで生成された炭化物を別ラインで冷却する。但し、ラインの効率化を図るには、外筒体20を設けて冷却経路Rcを備えたほうがより好ましい。また、移動手段50は上述した例に限定されず適宜設計変更して差支えない。
更に、処理物Wとしては、家畜の糞尿の場合で説明したが必ずしもこれに限定されるものではなく、種々の廃棄物に適用できる。また、廃棄物に限らず、種々の処理物に適用してよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係る加熱処理装置を示す全体図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る加熱処理装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る加熱処理装置を示す縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る加熱処理装置を示す横断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る加熱処理装置の要部を示す拡大断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る加熱処理装置の変形例を示す縦断面図である。
【図7】従来の加熱処理装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
W 処理物
1 柱状体
2 本体
2a 一端部
3 軸管
10 筒体
11 入口
12 出口
Rh 加熱経路
13 ホッパ
14 機台
15 底部
16 投入口
17 立ち上がり部
18 蓋
20 外筒体
21 内管
22 外管
23 受け口
24 排出口
Rc 冷却経路
25 隔離板
26 取出し口
29 連結部材
30 支持機構
31 レール
32 ローラ
40 回転機構
41 電動モータ
42 チェーン伝動機構
50 移動手段
51 羽根
S 隙間
52 掻き入れ部
60 熱付与手段
61 バーナ装置
62 煙突
70 吸引装置
80 気液分離装置
81 サイクロン塔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理物を加熱処理する加熱処理装置において、
柱状体を筒体に挿通し、上記柱状体の外面と上記筒体の内面との間に、一端側に処理物が供給される入口を有し他端側に処理物の出口を有し該処理物が上記柱状体の外面及び筒体の内面に挟まれて上記入口から出口に向けて移動可能な加熱経路を形成し、該加熱経路の入口に供給された処理物を該加熱経路の出口へ向けて移動させる移動手段を備えるとともに、該加熱経路を移動する処理物を加熱するための熱を上記柱状体及び筒体の少なくともいずれか一方に付与する熱付与手段を設けたことを特徴とする加熱処理装置。
【請求項2】
上記柱状体を管体で形成し、上記熱付与手段を、該柱状体の上記加熱経路の出口側の前端から内部に燃焼ガスを供給するバーナ装置を備えて構成したことを特徴とする請求項1記載の加熱処理装置。
【請求項3】
上記筒体を外筒体に挿通し、該外筒体を軸線を中心に回転可能に支持し、上記筒体と外筒体との間に上記加熱経路の出口側の前端に該出口から排出された処理物を受ける受け口を有し上記加熱経路の入口側の後端に該処理物の排出口を有し上記外筒体の回転により上記受け口から排出口に向けて処理物を移動させて処理物を冷却する冷却経路を設け、上記外筒体を回転させる回転機構を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の加熱処理装置。
【請求項4】
上記外筒体を上記加熱経路の出口側から入口側に向けて拡開する内面を備えて構成したことを特徴とする請求項3記載の加熱処理装置。
【請求項5】
上記移動手段を、上記筒体を軸線を中心に回転可能に支持し、該筒体の内面に該筒体の回転により処理物を上記加熱経路の出口へ向けて移動させる羽根を設け、上記筒体を回転させる回転機構を備えて構成したことを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の加熱処理装置。
【請求項6】
上記移動手段を、上記筒体を軸線を中心に回転可能に支持し、該筒体の内面に該筒体の回転により処理物を上記加熱経路の出口へ向けて移動させる羽根を設け、上記筒体を回転させる回転機構を備えて構成し、上記筒体と外筒体とを連結部材で連結して一体に回転可能にし、該筒体の回転機構を上記外筒体の回転機構と共用したことを特徴とする請求項3または4記載の加熱処理装置。
【請求項7】
上記羽根を、螺旋状に連続するスクリュー羽根で構成し、該羽根と柱状体との間に、加熱された処理物から生じる発生ガスが通過可能な隙間を形成したことを特徴とする請求項5または6記載の加熱処理装置。
【請求項8】
上記加熱経路で発生した発生ガスを該加熱経路の入口側から吸引する吸引装置を備えたことを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の加熱処理装置。
【請求項9】
上記吸引装置で吸引した発生ガスから液体を分離する気液分離装置を備えたことを特徴とする請求項8記載の加熱処理装置。
【請求項10】
上記柱状体を管体で形成し、上記熱付与手段を、該柱状体の上記加熱経路の出口側の前端から内部に燃焼ガスを供給するバーナ装置を備えて構成し、上記気液分離装置で分離した気体を上記バーナ装置の燃焼空気に混合させることを特徴とする請求項9記載の加熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−91771(P2007−91771A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279153(P2005−279153)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【特許番号】特許第3889427号(P3889427)
【特許公報発行日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(392011334)
【Fターム(参考)】