説明

加熱装置および調理装置並びにこれらを備えた加熱調理器

【課題】構成を簡素化でき、操作性に優れ、誤操作を防止できる加熱装置を提供する。
【解決手段】被加熱容器が載置される載置台の下に設けられた加熱コイル22と、第2の操作部26と、第2の操作部26からの操作信号に応じて加熱コイル22を制御し、載置台に載置された被加熱容器を加熱させる制御回路27とを備え、この制御回路27は、所定の情報を検知すると載置台に調理装置1が載置されたと判定して第2の操作部26からの操作信号を無効にし、調理装置1からの制御情報のみに応じて加熱コイル22を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、被加熱容器である鍋やフライパンなどを誘導加熱する加熱装置、および加熱装置を用いて炊飯する調理装置、並びにこれらを備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理器は、側面に炊飯モードを設定するための第1の操作部が設けられ、上面にその他の調理モードを設定するための第2の操作部が設けられ、炊飯用の調理器が加熱調理器に載置された際、第2の操作部がその調理器によって隠される構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−326126号公報(第3−4頁、図6および図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の加熱調理器で炊飯を行う場合、炊飯用の調理器で第2の操作部を隠すことで誤操作を防いでいるが、その他の被加熱容器を用いて加熱するときは、第1の操作部は隠されていない構成となっている。そのため、誤って第1の操作部を操作してしまう可能性があり、誤操作を完全に防ぐ構成となっていないという課題があった。
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、構成を簡素化でき、操作性に優れ、誤操作を防止できる加熱装置および調理装置並びにこれらを備えた加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱装置は、被加熱容器が載置される載置台の下に設けられた加熱源と、操作部と、操作部からの操作信号に応じて加熱源を制御し、載置台に載置された被加熱容器を加熱させる制御回路とを備え、この制御回路は、所定の情報を検知すると載置台に所定の調理装置が載置されたと判定して操作部からの操作信号を無効にし、調理装置からの制御情報のみに応じて加熱源を制御する。
【0007】
本発明に係る調理装置は、上部が開口され、底部に耐熱板を有する本体と、本体内に着脱自在に収納され、調理物を入れるための被加熱容器と、本体の上部開口を覆う蓋体と、操作部と、所定の加熱装置に載置されたときに加熱装置側の操作による制御を無効にする所定の情報を加熱装置に送信する通信回路と、加熱装置に載置されている間、操作部の操作に基づく制御情報を通信回路を介して加熱装置に送信し、加熱装置の加熱源を制御させて本体内の被加熱容器を加熱する制御回路とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の加熱装置においては、所定の情報を検知すると載置台に所定の調理装置が載置されたと判定して操作部からの操作信号を無効にし、調理装置からの制御情報のみに応じて加熱源を制御するようにしたので、誤って加熱装置の操作部を操作しても調理装置の加熱調理を中断するということがなくなり、操作性に優れている。また、従来と比べ加熱装置に調理装置用の操作部が不要になっているので、加熱装置の構成を簡素化できる。
【0009】
本発明の調理装置においては、加熱装置に載置されている間、加熱装置側の操作による制御を無効にし、調理装置の操作部の操作に基づく制御情報を通信回路を介して加熱装置に送信し、加熱装置の加熱源を制御させて調理装置の本体内の被加熱容器を加熱するようにしたので、調理装置に加熱源が不要となり構成を簡素化でき、誤操作を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の加熱装置および調理装置の側面を切断して示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の加熱装置および調理装置を示す外観斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の加熱装置および調理装置の側面を切断して示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の加熱装置および調理装置の側面を切断して示す概略断面図である。
図1において、加熱装置21に載置された調理装置1は、例えば加熱源を備えていない炊飯器で、外観が上部開口の直方体状(本体)に形成され、その底部の一部に例えば円板状の耐熱板4が取り付けられている。また、上部開口には着脱自在に外蓋11(蓋体)が嵌め込まれている。この調理装置1には、耐熱板4を底部とする上部開口の容器カバー2が設けられている。容器カバー2の上部開口に形成されたフランジ部には、例えば周方向に等間隔で配置された3個の凸状の支持部材5が取り付けられている。この容器カバー2には、その支持部材5に係止された被加熱容器3が着脱自在に収納されている。また、容器カバー2の側面には、胴ヒーター13が配設され、容器カバー2のコーナ部には、被加熱容器3の温度を検出する容器温度センサー6が取り付けられている。
【0012】
前述の耐熱板4は、後述する加熱コイル22の磁力線を妨げない非磁性材で構成され、120℃以上の耐熱性を有している。この耐熱板4は無い方が被加熱容器3を加熱コイル22で効率よく誘導加熱することができるが、調理後、調理装置1を持ち運ぶ際の火傷防止や放熱の抑制、調理装置1内部への水の侵入を防ぐために設けられている。
【0013】
外蓋11の被加熱容器3側の面には、係止部材9で着脱自在に取り付けられた内蓋8が設けられ、外蓋11の内蓋8側の面には、内蓋8を加熱する蓋ヒーター12が取り付けられている。さらに、外蓋11の上面には、液晶表示器を有する第1の操作部16が設けられている。また、外蓋11には、内蓋8まで貫通するカートリッジ15が着脱自在に取り付けられている。このカートリッジ15には、炊飯中に発生する蒸気圧に応じて上下動する容器内弁15aと、容器内弁15aを通過した蒸気を外部へ排出する蒸気排出口15bとが設けられている。前述の内蓋8の外周部には、被加熱容器3のフランジ部とで被加熱容器3内を密閉状態にするパッキン10が装着されている。さらに、内蓋8のほぼ中央部には、被加熱容器3内の温度を検出する蓋温度センサー7が取り付けられている。
【0014】
また、調理装置1は、容器カバー2の周辺の底部に配設された環状の受電コイル14と、受電コイル14と接続された電源回路17と、制御回路18と、第1の通信回路19とを備えている。電源回路17は、後述する給電コイル23の電磁誘導作用によって受電コイル14に例えば100Vの電圧が発生すると、その電圧から第1の操作部16および制御回路18、第1の通信回路19の制御電圧を生成すると共に、蓋ヒーター12および胴ヒーター13に100Vの電圧を供給可能にする。
【0015】
制御回路18には、白米、玄米など米の種類、各米に設定された炊き上がり状態(硬めや柔らかめ)や、お粥、炊き込みなどの炊飯メニューに応じて加熱コイル22、胴ヒーター13および蓋ヒーター12の電力を制御する運転モードが設定されている。この制御回路18は、第1の操作部16により炊飯メニューが選択されたときに、その炊飯メニューに応じた運転モードを選択して実行する。また、制御回路18は、運転モードに基づいて加熱コイル22の制御情報(電力制御)を生成し、その制御情報を第1の通信回路19から電波で送信し、後述する第2の通信回路25に受信させる。第1の通信回路19は、電源回路17からの制御電圧が印加されたときに、例えば調理装置1を載置した旨の情報(所定の情報)を電波で送信し、前述の第2の通信回路25に受信させる。
【0016】
前述した加熱装置21は、例えば外観が高さの低い直方体状に形成され、その上部の載置台の下に加熱源である環状の加熱コイル22が配設されている。さらに、加熱コイル22の中心軸を中心として加熱コイル22の外周より外側に環状の給電コイル23が配設されている。また、加熱コイル22および給電コイル23と接続された電源回路24と、調理装置1の第1の通信回路19に対向配置された第2の通信回路25と、載置台の手前側の上面に設けられ、液晶表示器を有する第2の操作部26と、制御回路27とを備えている。なお、前述した加熱コイル22に代えて、ラジエントヒーターを加熱源としても良い。また、通信回路を給電コイル23で兼用しても良い。
【0017】
前述の加熱コイル22は、調理装置1の底部に設けられた耐熱板4に対向するように配置されている。この加熱コイル22は、調理装置1に限らず、誘導加熱可能な鍋やフライパンなどの加熱源としても使用される。給電コイル23は、調理装置1の底部に配設された受電コイル14と磁気的に結合されるように配置されている。第2の操作部26は、調理装置1以外で調理を行うときに使用されるもので、「炒め物」や「揚げもの」などの調理メニューの選択、火力設定を行えるように構成されている。
【0018】
電源回路24は、交流200Vの電源と接続され、本調理器21に設けられた電源スイッチ(図示せず)がオンされたときに給電コイル23に200Vの電圧を印加する電源部、加熱コイル22に高周波電流を供給するための直流電源部およびインバータ部などを有している。第2の通信回路25は、第1の通信回路19からの電波を受信したときに、受信電波から所定の情報、制御情報などを抽出して制御回路27に出力する。
【0019】
制御回路27は、前述した「炒め物」や「揚げ物」などの調理メニューや、設定された火力に応じて加熱コイル22の通電を制御する運転モードが設定されている。また、制御回路27は、第2の通信回路25により抽出された情報が調理装置1の載置を知らせる情報であったとき、第2の操作部26からの操作信号の入力を無効にし、第1の操作部16の操作に基づく制御情報を有効とする。
【0020】
次に、前記のように構成された加熱調理器の加熱装置および調理装置の動作を説明する。
加熱装置21に調理装置1を載置した後に、加熱装置21の電源スイッチをオンすると、加熱装置21の電源回路24は、電源部を動作させて200Vの電圧を給電コイル23に印加し電流を流す。この時、電磁誘導作用により調理装置1の受電コイル14に100Vの電圧が発生し、電源回路17に印加される。この電源回路17は、100Vの電圧が印加されると、第1の操作部16および制御回路18、第1の通信回路19の制御電圧を生成してそれぞれに供給し、第1の操作部16および制御回路18、第1の通信回路19を動作可能にする。
【0021】
この時、第1の通信回路19は、第2の通信回路25に調理装置1を載置した旨を知らせる情報を電波にて送信し、第2の通信回路25に受信させる。その情報の送信は、第1の通信回路19に制御電圧が印加されている間、即ち本調理装置1が加熱装置21に載置されている間行われる。一方、第2の通信回路25は、受信電波から情報を抽出して制御回路27に出力し、制御回路27は、その情報から調理装置1が載置されていると判定したとき、第2の操作部26からの操作信号の入力を無効にする。
【0022】
加熱装置21の電源スイッチをオンした後に、調理装置1の第1の操作部16により例えば白米を選択して炊飯開始のスイッチをオンすると、制御回路18は、その炊飯メニューに応じた運転モードを選択して、その運転モードにおける予熱工程に入る。先ず、加熱コイル22に連続通電させる制御情報を第1の通信回路19に出力する。第1の通信回路19は、入力された制御情報を電波によって加熱装置21の第2の通信回路25に送信する。第2の通信回路25は、電波が受信されると制御情報を抽出し制御回路27に出力する。制御回路27は、入力された制御情報に基づいて電源回路24のインバータ部を駆動する。これにより、加熱コイル22に200Vの電圧が印加され高周波電流が流れる。つまり、調理装置1側の制御回路18により設定された電力が加熱コイル22から連続的に出力されるようにする。
【0023】
一方、調理装置1の制御回路18は、容器温度センサー6の検出温度が予熱温度に達したかどうかを判定しており、容器温度センサー6の検出温度が予熱温度に達したときは、加熱コイル22に間欠通電させる制御情報を第1の通信回路19を介して加熱装置21の第2の通信回路25に送信する。第2の通信回路25は、その制御情報を抽出して制御回路27に出力する。制御回路27は、その制御情報に基づいて電源回路24のインバータ部を駆動し、加熱コイル22の通電を間欠的に行わせる。この時、調理装置1の制御回路18は、予熱工程開始からの経過時間が所定時間に達したかどうかを判定し、経過時間が所定時間に達したときに炊飯工程に移行する。
【0024】
制御回路18は、炊飯工程に入ると、予熱工程時より電力が高くなるように電流を上げ、調理装置1の被加熱容器3の温度が異常上昇しないように間欠通電させる制御情報を第1の通信回路19を介して第2の通信回路25に送信する。第2の通信回路25は、その制御情報を抽出して制御回路27に出力する。制御回路27は、その制御情報に基づいて電源回路24のインバータ部を駆動し、加熱コイル22の通電を間欠的に行わせる。この時、調理装置1の制御回路18は、電源回路17を動作させて100Vの電圧を胴ヒーター13と蓋ヒーター12とに印加し電流を流す。胴ヒーター13で被加熱容器3の側面を加熱することにより被加熱容器3内の米を均一にふっくらと炊き上げることができる。また、蓋ヒーター12で内蓋8を加熱することにより内蓋8に付着する結露をなくすことができ、被加熱容器3内の温度を高温に保つことができる。
【0025】
その後、調理装置1の制御回路18は、被加熱容器32内の炊飯物(米と水)が沸騰温度に達したかどうかを蓋温度センサー7の検出温度から判定する。その制御回路18は、蓋温度センサー7の検出温度が沸騰温度に達したことを検知すると、炊飯工程における高温沸騰加熱工程に移行する。そして、制御回路18は、被加熱容器3内の炊飯物が高温沸騰維持可能な所定温度以上となるように連続通電させる制御情報を第1の通信回路19を介して第2の通信回路25に送信し、時間の計測を開始する。第2の通信回路25は、受信電波からその制御情報を抽出して制御回路27に出力する。制御回路27は、その制御情報に基づいて電源回路24のインバータ部を駆動し、加熱コイル22の通電を連続的に行わせる。一方、調理装置1の制御回路18は、前述の計測時間が高温沸騰時間を経過したかどうかを判定しており、計測時間が高温沸騰時間を経過していないときは、前述した連続通電を継続させる。
【0026】
また、制御回路18は、計測時間が高温沸騰時間を経過したことを検知すると、被加熱容器3内の炊飯物が沸騰維持可能な温度まで下げる間欠通電の制御情報を第1の通信回路19を介して第2の通信回路25に送信する。第2の通信回路25は、その制御情報を抽出して制御回路27に出力し、制御回路27は、その制御情報に基づいて電源回路24のインバータ部を駆動し、加熱コイル22の通電を間欠的に行わせる。また、調理装置1の制御回路18は、沸騰維持制御中に炊飯物の米の吸水糊化と蒸発により炊飯水がなくなるドライアップ温度に達したかどうかを容器温度センサー6の検出温度から判定する。
【0027】
制御回路18は、容器温度センサー6の検出温度からドライアップ温度に達していないと判定したとき、前述した沸騰維持制御を行い、ドライアップ温度を検出したときは、蒸らし工程に入る。この場合、制御回路18は、電流を下げた間欠通電の制御情報を第1の通信回路19を介して第2の通信回路25に送信する。第2の通信回路25は、その制御情報を抽出して制御回路27に出力し、制御回路27、その制御情報に基づいて電源回路24のインバータ部を駆動し、加熱コイル22の通電を間欠的に行わせる。一方、調理装置1の制御回路18は、蒸らし工程の時間が経過したかどうかを判定しており、蒸らし工程の時間が経過したときに加熱コイル22への通電を停止させる情報を第1の通信回路19を介して第2の通信回路25に送信し、被加熱容器3の誘導加熱を終了させる。また、制御回路18は、電源回路17の動作を停止して胴ヒーター13と蓋ヒーター12への通電を停止する。
【0028】
炊飯は、火加減が難しく、火が強いと被加熱容器3の底がこげつき、火が弱いと米が生煮えになってしまう。また、途中で火が消えてしまうと、再度加熱し直しても美味しいご飯には戻らないため、炊飯の最初から最後まで最適な制御で加熱しなければならない。実施の形態1によれば、炊飯途中に誤って第2の操作部26を操作しても、それを無効とするので、最後まで通常どおり炊飯することが可能となる。
【0029】
調理装置1に第1の操作部16を設けて運転モードの選択をできるようにしているので、加熱装置21の第2の操作部26に炊飯用の調理モードや操作キーを設ける必要がなくなり、第2の操作部26のメニュー選択も階層が深くならずに簡単に操作することができる。また、調理装置1に第1の操作部16を設けることで、使用者は、調理装置1を加熱装置21に載置し、その後は「炊飯」のスタートボタンを押すだけで簡単に炊飯することができる。
【0030】
調理装置1には加熱コイル22および加熱コイル22に通電する回路が備えられていないので、調理装置1を軽量化でき、そのため、持ち運びが容易になっている。また、調理装置1は200Vを電源とする加熱装置21によって加熱されるようにしているので、強い火力で炊飯することができる。
【0031】
また、調理装置1に設けられた胴ヒーター13と蓋ヒーター12の電源を、加熱装置21に搭載された給電コイル23と磁気的に結合された受電コイル14に生成される電圧とし、加熱装置21に設けられた加熱コイル22で調理装置1内の被加熱容器3を誘導加熱する。このため、調理装置1を加熱装置21に載せるだけで簡単に調理を開始することが可能になり、調理装置1の構成が従来の炊飯器と比べ簡素化される。また、調理装置1には電源コードが不要であるため、水回りで使用したとしても電源コードを這って水が侵入することが無くなり、このため、水によるショートを起こすということが無く、発火する危険性を防止することができる。
【0032】
また、第1の通信回路19から第2の通信回路25に制御情報を送信する際、電波を用いるようにしたので、水や具材のこぼれによる回路の故障を防止することができる。
【0033】
なお、実施の形態1では、加熱装置21に加熱コイル22と給電コイル23を設けたことを述べたが、これに限定されるものではない。例えば、被加熱容器3の底部サイズを加熱コイル22の外径よりも小さくし、加熱コイル22を径の異なる2つ以上のコイルで構成し、その内、径の大きいコイルと調理装置1の受電コイル14とを磁気的に結合するようにしても良い。この場合、径の大きいコイルのみ別で制御することで、調理装置1への給電のタイミングを制御でき、蓋ヒーター12と胴ヒーター13、被加熱容器3の底部を別々に加熱する制御を実現できる。
【0034】
また、容器温度センサー6を調理装置1に設けたことを述べたが、容器温度センサー6を加熱装置21に設けて、被加熱容器3の温度を検出できるようにしても良い。この場合、容器温度センサー6の検出温度は、第2の通信回路25から第1の通信回路19を経て制御回路18に出力するようにする。これにより、調理装置1に容器温度センサー6を搭載しないため、調理装置1のコストを抑制できる。また、調理装置1をコンパクトに収めることが可能になる。
【0035】
さらに、調理装置1に設けられた制御回路18に、本調理装置1に用いられる被加熱容器3の素材や特性をデータとして持たせ、加熱を開始した際に調理装置1に収納された被加熱容器3が適正なものかどうかを判定するようにしても良い。
【0036】
第1の通信回路19から第2の通信回路25に制御情報を送信する際、電波を用いて送るようにしたが、第1の通信回路19と第2の通信回路25とにコネクタを設け、調理装置1を加熱装置21に載置した際に双方のコネクタが接続されるように構成しても良い。
【0037】
第1の通信回路19は、制御電圧が印加されている間、即ち加熱装置21に載置されている間は常に第2の通信回路25に調理装置1を載置した旨の情報を送信するようにしたが、一定時間毎(例えば3分毎)にその情報を送信するようにしても良い。
【0038】
さらに、加熱装置21を卓上用として構成されていることを述べたが、ビルトインタイプのものでも良い。
【0039】
実施の形態2.
図2は本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の加熱装置および調理装置を示す外観斜視図である。なお、図1で説明した実施の形態1と同様の部分には同じ符号を付している。
図2において、加熱装置21に載置された調理装置1は、前述の如く加熱源を備えていない炊飯器で、図1に示す実施の形態1と同じ構成となっている。加熱装置21は、載置台に鍋やフライパン、前述の調理装置1などの載置位置を示す左加熱口31aおよび右加熱口31bが表示されている。各加熱口31a、31bの下には、それぞれ加熱源である環状の加熱コイル22a、22bが配設されている。なお、加熱コイル22a、22bに代えて、ラジエントヒーターを加熱源としても良い。
【0040】
載置台に設けられた操作部32は、左加熱口31aの加熱コイル22aに対応して設けられた左操作部32aと、右加熱口31bの加熱コイル22bに対応して設けられた右操作部32bとから構成されている。各操作部32a、32bには、それぞれ液晶表示器が設けられ、「炒め物」や「揚げ物」などの調理メニューや火力を設定するための各種のスイッチが配列されている。
【0041】
また、加熱装置21には、加熱コイル22aの外周より外側に配設された環状の給電コイル23aと、加熱コイル22aおよび給電コイル23aと接続された電源回路24aと、調理装置1の第1の通信回路19に対向するように配置された第2の通信回路25aとが設けられている。また、加熱装置21には、加熱コイル22bの外周より外側に配設された環状の給電コイル23bと、加熱コイル22bおよび給電コイル23bと接続された電源回路24bと、調理装置1の第1の通信回路19に対向するように配置された第2の通信回路25bとが設けられている。さらに、入力側に操作部32と第2の通信回路25a、25bとがそれぞれ接続され、出力側に電源回路24a,24bが接続された制御回路27が設けられている。
【0042】
制御回路27は、前述した「炒め物」や「揚げ物」などの調理メニューや、設定された火力に応じて各加熱コイル22a、22bの通電を制御する運転モードを有している。また、制御回路27は、第2の通信回路25a、25bにより抽出された情報が調理装置1の載置を知らせる情報(所定の情報)であったとき、調理装置1と対向する加熱コイル22a、22bを特定し、かつ特定した加熱コイル22a、22bに対する各操作部32a、32bからの操作信号を無効にし、調理装置1からの制御情報のみに応じて特定の加熱コイル22a、22bを制御する。
【0043】
次に、前記のように構成された加熱調理器の加熱装置および調理装置の動作を説明する。
例えば、加熱装置21の右加熱口31bに調理装置1を載置した後に、加熱装置21の電源スイッチをオンすると、加熱装置21の電源回路24a、24bは、それぞれ電源部を動作させて200Vの電圧を各加熱口31a、31bの給電コイル23a、23bに印加し電流を流す。この時、給電コイル23bに磁気的に結合された調理装置1の受電コイル14に電磁誘導作用により100Vの電圧が発生し、電源回路17に印加される。この電源回路17は、100Vの電圧が印加されると、第1の操作部16および制御回路18、第1の通信回路19の制御電圧を生成してそれぞれに供給し、第1の操作部16および制御回路18、第1の通信回路19を動作可能にする。
【0044】
この時、調理装置1の第1の通信回路19は、右加熱口31b側の第2の通信回路25bに調理装置1を載置した旨の情報を電波にて送信する。電波が受信された第2の通信回路25bは、受信電波からその情報を抽出して制御回路27に出力する。制御回路27は、入力された情報から右加熱口31bに調理装置1が載置されていると判定し、右加熱口31bに調理装置1が載置されている間は、右操作部32bからの操作信号の入力を無効にする。ただし、調理装置1が載置されていない左加熱口31a側の左操作部32aが操作された場合は、その操作に基づく加熱制御を実行する。
【0045】
一方、調理装置1の制御回路18は、第1の操作部16の操作に基づく炊飯メニューを検知した後に炊飯開始を検知すると、その炊飯メニューに応じた運転モードを選択して、その運転モードの予熱工程、炊飯工程および蒸らし工程における各制御情報を順に第1の通信回路19を介して加熱装置21の第2の通信回路25bに送信する。加熱装置21における制御情報に基づく加熱動作については、実施の形態1と同様である。
【0046】
以上のように実施の形態2によれば、加熱装置21に設けられた2つの加熱口31a、31bのうち何れか一方の加熱口に調理装置1が載置された場合、調理装置1が載置された加熱口側の操作部の操作に基づく加熱動作を無効にするようにしたので、誤操作による調理装置1の炊飯動作を中断するということがなくなり、操作性に優れている。また、調理装置1が載置されていない加熱口側の操作部を有効にしているので、調理装置1を使用している間も他方の加熱口で他の調理を同時に行うことができる。
【0047】
なお、実施の形態では、加熱装置21の電源スイッチをオンした際、200Vの電圧が給電コイル23a、23bに印加されるようにしたが、電源スイッチがオンされてから所定時間経過しても2つの加熱口31a、31bのうち何れか一方の第2の通信回路25a又は25bに、また、2つの加熱口31a、31bの第2の通信回路25a、25bに調理装置1を載置した旨の情報が受信されなかった場合、給電コイル23a、23bへの電圧供給を停止するようにしても良い。
【0048】
実施の形態3.
実施の形態1では、調理装置1の第1の通信回路19に電源回路17からの制御電圧が印加されたときに、その第1の通信回路19が調理装置1を載置した旨の情報を加熱装置21の第2の通信回路25に送信して知らせるようにしたが、実施の形態3は、第1の通信回路19からの情報を受信することなく、加熱装置21に設けられた例えば複数のタッチセンサーからの信号に基づいて所定の情報を検知したときに、調理装置1が載置されていると判定するようにしたものである。
【0049】
図3は本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の加熱装置および調理装置の側面を切断して示す概略断面図である。なお、図1で説明した実施の形態1と同様の部分には同じ符号を付している。
図3において、前述の複数のタッチセンサー41a、41b、41cは、加熱装置21の載置台に、調理装置1の大きさに合わせて配置されている。その3個のタッチセンサー41a、41b、41cのうち、タッチセンサー41bは、調理装置1の底部に設けられた凹部50に対向するように取り付けられている。各タッチセンサー41a、41b、41cは、表面がタッチされたときに電圧(オン信号)を発生し、制御回路27に出力する。
【0050】
加熱装置21の制御回路27は、3個のタッチセンサー41a、41b、41cのうち、タッチセンサー41bがオフ状態で、タッチセンサー41a、41cのオン信号を検知したときに、調理装置1が載置されていると判定する。この場合、前述したように調理装置1からの制御情報を有効にし、本加熱装置21の第2の操作部26からの操作信号を無効にする。また、全てのタッチセンサー41a、41b、41cのオン信号を検知したときは、調理装置1が載置されていないと判定する。この場合は、本加熱装置21の第2の操作部26からの操作信号に応じて加熱動作を実行する。
【0051】
以上のように実施の形態3によれば、加熱装置21の載置台に3個のタッチセンサー41a、41b、41cを配置し、そのうちタッチセンサー41a、41cのオン信号を検知したときに調理装置1が載置されたと判定するようにした。このため、実施の形態1のように、調理装置1が加熱装置21に載置されている間、第1の通信回路19から第2の通信回路25に調理装置1を載置した旨の情報を送信する必要がなくなり、第1の通信回路19と第2の通信回路25との間で通信する情報量が少なくて済む。また、タッチセンサーが安価であるため、加熱装置21を低コストで生産することができる。
【0052】
また、調理装置1を加熱装置21に載置した際に、3個のタッチセンサー41a、41b、41cのうち、タッチセンサー41bがオンしないように調理装置1の底部に凹部50を設けたので、調理装置1が載置されたかどうかの判定を誤ることがない。
【符号の説明】
【0053】
1 調理装置、2 容器カバー、3 被加熱容器、4 耐熱板、5 支持部材、6 容器温度センサー、7 蓋温度センサー、8 内蓋、9 係止部材、10 パッキン、11 外蓋、12 蓋ヒーター、13 胴ヒーター、14 受電コイル、15 カートリッジ、16 第1の操作部、17 電源回路、18 制御回路、19 第1の通信回路、21 加熱装置、22 加熱コイル、23 給電コイル、24 電源回路、25 第2の通信回路、26 第2の操作部、31a 左加熱口、31b 右加熱口、32 操作部、32a 左操作部、32b 右操作部、41a〜41c タッチセンサー50 凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱容器が載置される載置台の下に設けられた加熱源と、
操作部と、
前記操作部からの操作信号に応じて前記加熱源を制御し、前記載置台に載置された被加熱容器を加熱させる制御回路とを備え、
前記制御回路は、所定の情報を検知すると前記載置台に所定の調理装置が載置されたと判定して前記操作部からの操作信号を無効にし、前記調理装置からの制御情報のみに応じて前記加熱源を制御することを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
被加熱容器が載置される載置台の下に設けられた複数の加熱源と、
前記複数の加熱源に対応して設けられた複数の操作部と、
前記操作部からの操作信号に応じて前記加熱源を制御し、前記載置台に載置された被加熱容器を加熱させる制御回路とを備え、
前記制御回路は、所定の情報を検知すると前記載置台に所定の調理装置が載置されたと判定して、前記調理装置と対向する加熱源を特定し、かつ特定した加熱源に対する前記操作部からの操作信号を無効にし、前記調理装置からの制御情報のみに応じて特定の加熱源を制御することを特徴とする加熱装置。
【請求項3】
電波を受信し、受信電波から情報を抽出する通信回路を備え、
前記制御回路は、前記通信回路により抽出された情報から所定の情報を検知したとき、前記載置台に所定の調理装置が載置されたと判定することを特徴とする請求項1又は2記載の加熱装置。
【請求項4】
前記載置台に配置され、所定の調理装置がその載置台に載置されたときにそれぞれ信号を出力する複数のセンサーを備え、
前記制御回路は、前記複数のセンサーからの信号に基づいて所定の情報を検知したとき、前記載置台に前記調理装置が載置されていると判定することを特徴とする請求項1又は2記載の加熱装置。
【請求項5】
上部が開口され、底部に耐熱板を有する本体と、
前記本体内に着脱自在に収納され、調理物を入れるための被加熱容器と、
前記本体の上部開口を覆う蓋体と、
前記本体あるいは前記蓋体に設けられた操作部と、
所定の加熱装置に載置されたときに前記加熱装置側の操作による制御を無効にする所定の情報を前記加熱装置に送信する通信回路と、
前記加熱装置に載置されている間、前記操作部の操作に基づく制御情報を前記通信回路を介して前記加熱装置に送信し、前記加熱装置の加熱源を制御させて前記本体内の被加熱容器を加熱する制御回路と
を備えたことを特徴とする調理装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記操作部により炊飯メニューが選択されると、その炊飯メニューに応じた予熱工程、炊飯工程および蒸らし工程の各工程における制御情報を前記通信回路を介して前記加熱装置に送信し、前記加熱装置の加熱源を制御させて前記本体内の被加熱容器を加熱することを特徴とする請求項5記載の調理装置。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れかに記載された加熱装置と、
請求項5又は6に記載された調理装置と
を備えたことを特徴とする加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−4795(P2011−4795A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148548(P2009−148548)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】