説明

加熱装置及びヒーター・センサーユニット

【課題】 面ヒーターの熱を有効に加熱板に伝え、効率よく加熱し、加熱板裏面の温度を正確に測定して、温度制御を容易とする。
【解決手段】 第1電気絶縁シート11、面ヒーター5、第2電気絶縁シート12、温度センサー16、第3電気絶縁シート19の順に積層してヒーター・センサーユニット20とする(c)。剛性フレーム22に固定した加熱板1の裏面2a側に、ヒーター・センサーユニット20を密着させる。加熱板1の裏面2a側を縦方向及び横方向に区画した形状・大きさの押さえ板25を配置する(a、b)。剛性フレーム22に剛性ビーム28を架設して、剛性ビーム28と押さえ板25との間にバネ29を介装して、総ての押さえ板25、25をヒーター・センサーユニット20側(加熱板1側)に押圧して、加熱装置30とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、面ヒーターの熱を効率よく加熱手段に伝えて、対象を加熱することができる加熱装置及びこの加熱装置に最適なヒーター・センサーユニットに関する。加熱装置は、主に、加熱対象を食材とした調理用グリルを想定しているが、加熱対象を金型成型品とした成形金型等に応用することも可能である。
【背景技術】
【0002】
お好み焼きなどの外食のお店で使用されている鉄板焼き器(テーブル)では、従来はガス加熱が主流であったが、ガス燃焼の排ガスの換気にともなう空調ロス、ガスの排気熱にともなう空調負荷増大の問題がクロースアップされてきており、鉄板焼きは電気加熱方式に切り替わりつつある。電気加熱の方法としては電気ヒーターや、IH方式などがあるが、コスト面から電気ヒーターが選択される。また、電気ヒーターはシーズヒーター式が従来からあるが、速熱性、ヒーター耐久性の面で問題があり、面状発熱体を使用した加熱方式が提案されている。
【0003】
この場合、被加熱物に対する発熱体の密着性が熱効率の面においても、ヒーターの耐久性面、絶縁材の耐久性面においても重要な項目となっている。
【0004】
とりわけ、非加熱物である鉄板と電気ヒーターとの密着が確保されていれば、ヒーターの熱は鉄板に移動する。ところが、鉄板と電気ヒーターとの密着が悪いと熱の移動の関係から各部材に温度のムラが発生し、熱変形が生じる。ヒーターに、金属板を使用する場合は、熱膨張率が比較的大きいため、熱変形量は大きくなり、広い面積で密着を確保することは難しい場合が多い。
【0005】
そこで、密着を確保するために、面状ヒーターの全面積の数分の1に分割された短冊状のヒーター押さえ板を加熱平板(鉄板)に固定して、面状ヒーターを加熱平板に押圧する加熱装置が提案されている(特許文献1)。この場合、ヒーター押さえ板は面状ヒーターの全面積の3分の1〜5分の1とし、またヒーター押さえ板は温度を均一化するためにステンレスとアルミのクラッド材などの強靱性材料と熱伝導率の大きい材料を用いている。
【特許文献1】特開平7−184788
【特許文献2】特開平8−66318
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の技術では、ヒーター押さえ板を面状ヒーターの全面積の3分の1〜5分の1としているので、各ヒーター押さえ板の長手方向の縁のみを折り曲げて、長手方向にのみ分割した構造であり、鉄板と面ヒーターの密着性能を充分に図ることができなかった。また。押さえ板を熱伝導率の高い材料を使用するので、ヒーターの熱を押さえ板が吸収して、鉄板への加熱が充分に行われない問題点があった。更に、金属製の押さえ板を使用するので、熱変形が大きいため密着性を確保できない問題点もあった。
【0007】
また、従来の加熱板を用いた加熱装置では、温度センサーとして熱電対を使用しているので、加熱装置全体の厚さを薄くするためには、加熱板に穴を空けて熱電対を埋める必要があり、加熱板の加工が煩雑であり、温度センサーの交換も困難である問題点もあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
然るにこの発明は、加熱手段の裏面と面ヒーターとのと間に、温度センサーを配置し、加熱手段の裏面を縦横に区画して、区画毎に、剛性を有し熱変形の少ない材料からなる押さえ板で押圧して、加熱装置を構成するので、前記問題点を解決した。
【0009】
即ち、加熱装置の発明は、表面で対象を加熱する「加熱手段」の裏面側に、「面ヒーター」を配置してなり、以下の条件を具備するように構成したことを特徴とする加熱装置である。
(1) 前記「加熱手段」の裏面と前記「面ヒーター」との間に、電気的な絶縁を保って「温度センサー」を配置する。
(2) 前記「加熱手段」の裏面側を、縦方向及び横方向に区画するように分割して、分割した区画毎に、「押さえ板」を配置する。前記「押さえ板」は、剛性を有し、かつ熱変形の少ない材料から構成する。
(4) 前記各「押さえ板」の一面を、前記「面ヒーター」に密着させる。
(5) 前記「加熱手段」の裏面側に、前記各「押さえ板」の他面を前記面ヒーター側に押圧する「押圧手段」を取り付ける。
【0010】
また、他の加熱装置の発明は、表面で対象を加熱する「加熱手段」の裏面側に、「面ヒーター」を配置してなり、以下の条件を具備するように構成したことを特徴とする加熱装置である。
(1) 「第1電気絶縁シート」「面ヒーター」「第2電気絶縁シート」「温度センサー」「第3電気絶縁シート」の順に積層して一体化して、「ヒーター・センサーユニット」を構成する。
(2) 前記「加熱板」の裏面側に、前記「ヒーター・センサーユニット」を密着配置し、前記「加熱手段」の裏面と前記「第3電気絶縁シート」とを密着当接する。
(3) 前記「加熱手段」の裏面側を、縦方向及び横方向に区画するように分割して、分割した区画毎に、「押さえ板」を配置する。前記「押さえ板」は、剛性を有し、かつ熱変形の少ない材料から構成する。
(4) 前記各「押さえ板」の一面を、前記「ヒーター・センサーユニット」の第1電気絶縁シート側に配置する。
(5) 前記「加熱板」の裏面側に、前記各「押さえ板」の他面を前記面ヒーター側に押圧する「押圧手段」を取り付ける。
【0011】
また、前記各加熱装置において、「加熱手段」の周囲に「剛性フレーム」を取り付け、該「剛性フレーム」内に各「押さえ板」を配置し、「押圧手段」を、前記「剛性フレーム」内に「支持ビーム」を着脱自在に架設して、該「支持ビーム」に前記「押さえ板」を前記加熱板側に押圧する「バネ」を取り付けたことを特徴とする加熱装置である。
【0012】
また、ヒーター・センサーユニットの発明は、「面ヒーター」の両面に「第1電気絶縁シート」「第2電気絶縁シート」を夫々配置して積層し「ヒーターユニット」を形成し、前記「ヒーターユニット」の第2電気絶縁シート面に、「温度センサー」を配置して、該温度センサーを覆うように、前記「第2電気絶縁シート」に、「第3電気絶縁シート」を積層して構成したことを特徴とするヒーター・センサーユニットである。更に、前記において、「面ヒーター」を帯状の基材を平面上で屈曲して構成し、「温度センサー」を、純ニッケル線から構成したことを特徴とするヒーター・センサーユニットである。
【0013】
前記における「剛性を有し、熱変形の少ない材質」とは、例えば、窯業タイルなどのセラミック材料等を指し、「熱変形が少ないとは、例えば、線膨張率3〜11×10―6/℃ 程度の材料が好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明の加熱装置では、加熱手段の裏面と面ヒーターとの間に、電気的な絶縁を保って温度センサーを配置して、面ヒーター側を、縦横方向に区画するように分割した形状で熱変形の少ない材料からなる押さえ板を配置して押圧するので、面ヒーターの熱を有効に加熱手段に伝え、効率よく加熱できる効果がある。また、温度センサーも加熱手段の裏面に押圧されるので、加熱手段の裏面の温度を正確に測定して、加熱手段の温度制御が容易にできる。従って、加熱装置で加熱する対象を最適の温度で処理でき、調理用グリルでは有効な食材の調理や保温ができ、樹脂などの成形金型では、最適な温度で金型を加熱できる効果がある。
【0015】
また、面ヒーターと温度センサーとを電気絶縁シートで挟んで積層して、ヒーター・センサーユニットを形成する場合には、取り扱いを容易として、加熱装置の製造や加熱手段の取り換えや面ヒーターや温度センサーの電気系統の保守等が簡易かつ容易にできる効果がある。とりわけ、加熱装置として調理用グリルに応用した場合には、故障した場合には、正常なヒーター・センサーユニットを交換して取り付けし、その間に故障したヒーター・センサーユニットを修理できるので、飲食業務に支障なく、加熱装置を使用できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(1) 加熱板(加熱手段)1の裏面2a側から面ヒータ5で加熱して、加熱板1の表面2側で対象物を加熱できる。例えば、加熱対象物を食材とする場合には加熱板1は水平に配置する鉄板や石材などを指す。また、樹脂成型型枠では、加熱対象物は樹脂成型品であり、加熱板1はその型枠となる。
【0017】
剛性フレーム22の上面側23に加熱板1を固定する。第1電気絶縁シート11、面ヒーター5、第2電気絶縁シート12、温度センサー16、第3電気絶縁シート19の順に積層して一体化して、ヒーター・センサーユニット20を構成する。
【0018】
加熱板1の裏面2a側に、ヒーター・センサーユニット20を密着配置する。この際、加熱板1の裏面2aに第3電気絶縁シート19が密着当接する。従って、加熱板1の裏面2aに温度センサー16、面ヒーター5の順に位置する(図2)。
【0019】
加熱板1の裏面2a側を、縦方向及び横方向に区画するように分割して、分割した区画の大きさの押さえ板25を形成する。押さえ板25は例えばセラミックス材料(剛性を有し、かつ熱変形の少ない材料)から構成する。
【0020】
加熱板の裏面2a側(剛性フレーム22の下面側24)で、ヒーター・センサーユニット20に、押さえ板25の一面26側を当てて、押さえ板25、25を敷き詰めるように配置する。従って、ヒーター・センサーユニット20の第1電気絶縁シート11に押さえ板25の一面26が当接する。
【0021】
剛性フレーム22の下面側24に剛性ビーム28を架設して、剛性ビーム28と押さえ板25の他面26aとの間にバネ29を介装して、総ての押さえ板25、25をヒーター・センサーユニット20側(加熱板1側)に押圧する。これにより温度センサー16、面ヒーター5が共に電気的絶縁状態を確保した状態で、加熱板1の裏面1aに密着できる。
【0022】
予め温度設定して、温度センサーからの測定結果で、面ヒーター5の通電を制御できる温度制御部(マイコン)を設けて、加熱装置30を構成する(図1)。
【0023】
(2) 面ヒーター5は、金属箔(例えば、ステンレス)をリボン状に形成して、接触が無いように一筆書き状に、屈曲して折り返して、加熱板1の裏面2aをできるだけ隙間無く加熱できるように配置する(図6)。
【0024】
(3) 温度センサー16としては、純ニッケル線が最適である。ニッケル線は、加熱板1の裏面2a側の全面をできるだけ均一に覆うように配置する。ニッケル線の抵抗変化率は純ニッケルでは0.004〜0.005/℃ 程度あり、全長の温度の変化を両端の抵抗値の変化から温度を測定するもので、予めキャリブレーションして、温度制御部を調整する。また、比抵抗を測定するので、ニッケル線はできるだけ細くかつ長く配置することが望ましいので、接触しないように一筆書き状に折り返して、配置する(図6)。また、温度制御部では、ニッケル線の抵抗値を電圧に変換する回路をくみ、電圧値の変化として取り込み、PIDなどの温度制御をするようになっている。
【0025】
また、面ヒーター5の温度を直接に測定しないように、できるだけ、面ヒーター5の間に配置して、平面上で面ヒーター5と重ねる場合には(電気的には第2電気絶縁シート12があるので、面ヒーター5と温度センサー16とは電気的には絶縁されている)、温度センサーが面ヒーター5と重なる長さをできるだけ短くなるように設定する。例えば、面ヒーター5の長さ方向と直交する方向で交叉するように配置する(図6)。
【0026】
(3) 押さえ板25の形状・大きさは、面ヒーター5の被加熱部材である加熱板1、押さえ板25の初期平面度、熱変形にともなう曲面の大きさに対し、必要充分に小さい押さえ板25とすることで、加熱板1の裏面2aの追従性が良い。とりわけ加熱板1の裏面2aが曲面の場合には有効である。曲面で無くても、加熱板1が加熱された場合に若干変形して全体に又は部分的に湾曲するので、平板状の加熱板1であっても同様である。
【0027】
また、押さえ板25は剛性が高く、平面度が高く、変形変位量が小さい、熱膨張率の小さい材料を押さえ板とすることで、加熱時の密着性を広い範囲で確保できる。
【0028】
通常、加熱板1は、常温で25℃程度、加熱時に250℃と変化するので、大きな熱変化も予想されるので、この熱変化に追随して、面ヒーター5と温度センサー16とを加熱板1の裏面2aに密着させることが必要である。
【0029】
押さえ板25の剛性を上げると熱変形にともなう力が大きくなる(剛性に比例)ので、押し付けのバネ29はこの熱変形に打ち勝つ力を出せるものが必要になる。また、密着させるにはある程度の剛性も必要であり、剛性を高めると熱変形の力も大きくなり、より強いバネが必要となるので、調節する。
【0030】
前記のように窯業タイルを使用した場合、(1) 被加熱部材の変形の曲面Rに対して必要にして充分に小さい押さえ板を使用することで曲面への追従性が大きく改善され、(2) 高い平面度で均一に押し、押さえ板25は変形の少ない(熱膨張率の小さく剛性の高い部材)材料(タイル=セラミックス)であり、大量生産され、平面度を重視しているタイルであるため平面度が高い。鉄板の曲面に対して充分に小さいサイズとすることで、このタイルの面内では高い密着性を確保できるが、これらタイルをそれぞれ別のバネで押さえる(板一枚に対し一箇所以上)ので、高い密着性を確保できる。
【0031】
一般に、窯業タイルは特殊な形状のタイルは別として、一枚一枚は高い平面で製作されているので、最適である。
【0032】
(4) 電気絶縁シート11、12、19としては、電気絶縁を確保しつつ、熱を遮断しないように(面ヒーター5及び温度センサー16を、加熱板1の裏面2aにできるだけ熱的に密着させる)構成することが必要である。例えば、人造マイカ=マイカ(天然雲母)片を固めてシート又はテープ状に形成したものが最適である。
【実施例1】
【0033】
図面に基づき、この発明の実施例を説明する。この実施例は、加熱対象を食材とする調理用の加熱装置に関する。
【0034】
[1]加熱板1
【0035】
加熱板1は裏面2aから加熱して、表面2に載せた食材を調理する鉄板で、例えば厚さ9mm程度で形成する。尚、加熱板1は、鉄製に限らず、ステンレスや銅などの他の金属や石製等で形成することもできる(図示していない)。
【0036】
[2]ヒーター・センサーユニット20の構成
【0037】
(1) 面ヒーター5はステンレス箔(厚さ0.05mm程度)を帯状で、平面上で屈曲した形状に配置する(図2)。この際、長さ方向の変形量を少なくするために、できるだけ直線距離が短くなるように屈曲して、かつ加熱板1の裏面2aをできるだけ隙間が少なく覆うことができるように、一筆書き状に、平面上で屈曲して構成する。
【0038】
電気絶縁シート11、12、19として、マイカ片を積層してシート状に形成した人造マイカシートで構成する。第1第2電気絶縁シート11、12は、例えば厚さ0.3mm程度で、第3電気絶縁シート19は、例えば厚さ0.1mm程度で構成する。
【0039】
面ヒーター5の一面6を第1電気絶縁シート11(面ヒーター5を押さえ板25から保護する)、他面6aを第2電気絶縁シート12(温度センサー16と電気絶縁する)とで挟んで、ヒーターユニット14を構成する(図2)。ヒーターユニット14は、使用する加熱板1の裏面2aに納まり、裏面2aの全体を覆うことができるような形状・大きさで形成する。
【0040】
(2) 温度センサー16として、ニッケル線センサーを使用する。ニッケル線センサーは、純ニッケルの0.1φ〜0.14φ程度の円形断面の材料を使用する。この場合、ニッケル線センサーでは、金属の比抵抗値の関係から温度を測定するので、できるだけ断面積を小さくして、抵抗値の変化を測定しやすい状態で使用することが望ましい。また、製造または使用中の断線を加味すれば太い方が良く、上記の径を採用した。尚、温度抵抗変化を測定できれば、円形断面の線状に限らず、断面形状は任意であり、箔状(リボン状)とすることもできる。
【0041】
(3) ヒーターユニット14の第2電気絶縁シート12側に、温度センサー16を配置する。温度センサー16は、面ヒーター5との重なりができるだけ生じ無いように、温度センサー16の隙間に配置することが望ましい。また、温度センサー16は、面ヒーター5との重なりをできるだけ小さくするように、面ヒーター5を横断する際には、面ヒーター5の長さ方向に対して直角に横断するように配置することが望ましい。また、温度センサー16は、加熱板1の温度を測定するものであるので、できるだけ加熱板1の裏面2aの全面(第2電気絶縁シート12の全面)に均一に配置され、かつできるだけ面ヒーター5と重ならないように配置する。
【0042】
温度センサー16の長さ方向に沿って、テープ状の第3電気絶縁シート19を配置して、第3電気絶縁シート19を第2電気絶縁シート12に貼り付け固定する。
【0043】
ヒーターユニット14に温度センサー16、第2電気絶縁シート19を貼り付けて、即ち、第1電気絶縁シート11、面ヒーター5、第2電気絶縁シート12、温度センサー16、第3電気絶縁シート19の順に積層して一体化して、ヒーター・センサーユニット20を構成する(図2)。
【0044】
ヒーターユニット14の面ヒーター5の端縁7、8にターミナルを取付け、また、温度センサー16の端縁17、18にも夫々ターミナルを取り付け、各ターミナルからの情報を温度制御回路(図示していない)に送るようになっている。
【0045】
[3]押さえ板25
【0046】
厚さ5mm程度、100〜150mm角の正方形のセラミックス製品から押さえ板25を構成する。例えば、窯業タイル材を使用する。押さえ板25は、ヒーター・センサーユニット20との密着性や、割れにくさを考えるとできるだけ小さく、かつできるだけ厚く形成することが望ましいが、コスト等と調節して上記の仕様とする。
【0047】
[4]加熱装置30
【0048】
(1) 加熱板1の周囲3に、加熱板1と直交する帯状の剛性フレーム22を固定し、剛性フレーム22の上面側23に、加熱板1を位置させる。
【0049】
剛性フレーム1の下面側24(加熱板1の裏面2a側)で、加熱板1の裏面2aに、ヒーター・センサーユニット20を密着配置する、この際、ヒーター・センサーユニット20の第3電気絶縁シート19(温度センサー16)が加熱板1の裏面2aに密着し、第1電気絶縁シート11が露出する。
【0050】
(2) ヒーター・センサーユニット20の第1電気絶縁シート11面(加熱板1の裏面2a側)に、押さえ板25、25を敷き詰める。この場合、加熱板1の横方向(長手方向)に6個、縦方向(短手方向)に4個で合計24個を使用する(図1(a)(b))。押さえ板25の一面26が第1電気絶縁シートに密着する。
【0051】
また、並べた押さえ板25、25の外周と剛性フレーム22との間に、面ヒーター5の加熱に対して耐熱であって、多少の弾性を有する材料からなるスペーサー27を配置する(図1(c))。
【0052】
(3) また、押さえ板25の他面26aと所定距離を空けて、剛性フレーム22の長手方向の縁22a、22a間に(短手方向の縁22bと平行に)、剛性ビーム28、28を架設固定する。この場合、縦方向に4つ並んだ押さえ板25、25は、重心の上方に剛性ビーム22が位置しており、また、剛性ビーム22は、剛性フレーム22の下面側24の内面に固定された取付金具32にボルト・ナットで着脱自在に取り付ける(図1(c)。
【0053】
また、剛性ビーム22の押さえ板25側には4つのスプリングバネ29、29が固定されており、各スプリングバネ29、29が、各押さえ板25、25の重心を押して、押さえ板25、25をヒーター・センサーユニット20側(加熱板1側)に押圧する。従って、加熱板1の裏面2aに、温度センサー16、面ヒーター5が押圧密着される(図1(c))。
【0054】
(4) 以上のようにして、加熱装置30を構成する(図1)。実際に面ヒーター5の電源を入れて加熱板1を加熱した場合に、加熱板1の表面2の温度を測定し、温度センサー16により測定される温度データが一致するように、温度制御回路を調節し、操作パネル(図示していない)の設定温度と加熱板1の実際の温度とを、略一致させる。
【0055】
[5]他の実施例
【0056】
(1) 前記実施例において、ヒーター・センサーユニット20で、第3電気絶縁シート19をテープ状に形成して、温度センサー16に沿って配置したが、第1第2電気絶縁シート11、12と同様のシート状の形状とすることもできる(図3)。
【0057】
また、前記実施例において、予めヒーターユニット14を構成して、これに温度センサー16と第3電気絶縁シート19を取り付けたが、第1電気絶縁シート11、面ヒーター5、第2電気絶縁シート12、温度センサー16、第3電気絶縁シート19を順に積層して、(一旦ヒーターユニット14を形成せずに)一度にヒーター・センサーユニット20を形成することもできる(図3)。
【0058】
また、前記実施例において、電気絶縁シート11、12、19としてマイカを積層してシート状に形成した人造マイカから構成したが、電気絶縁性と耐摩耗性を有しかつ薄いシート状に形成できれば、他の材料を採用することもできる(図示していない)。
【0059】
(2) また、前記実施例において、温度センサー16として純ニッケル線を使用して、その温度抵抗変化を測定したので、簡易的に、加熱板1の裏面2a全体の温度を測定できるので、望ましいが、他の温度センサーを使用することもできる(図示していない)。
【0060】
(3) また、前記実施例において、押さえ板25の重心付近をスプリングバネ29で押圧したが、剛性ビーム22を押さえ板25、25の間に配置して、1つのスプリングバネで2つ又は4つの押さえ板25、25を押圧することもできる(図4(a))。また、スプリングバネ29に代えて、板バネ33を使用することもでき(図4(b))、押さえ板25を押圧できれば、圧縮空気等を使用した他の手段から押圧手段を構成することもできる(図示していない)。
【0061】
(4) また、前記実施例において、加熱板1の周囲を剛性フレーム22に固定したが、剛性フレーム22に加熱板1を着脱容易に取り付けることもできる(図示していない)。この場合には、調理後に、剛性フレーム22から調理板1を取り外して、洗浄乾燥後に再度剛性フレームに取り付けることができる。
【0062】
(5) また、前記実施例において、加熱板1の裏面2aを1枚で覆う大きさのヒーター・センサーユニット20を使用したが、加熱板1の裏面2aを複数に区画して、2枚または3枚以上のヒーター・センサーユニット20、20を並列して使用することもできる(図示していない)。この場合、1枚の加熱板1で、区画した部分毎に異なる温度に設定して使用することができる。従って、特に業務用の加熱装置30の場合で、大きな面積の加熱板1の一部を高温として加熱調理に使用して、近接する加熱板1の他の部分を低温で保温するような使用方法をとることができ、有効である。
【0063】
(6) また、前記実施例において、押さえ板25を正方形としたが、、長方形等他の形状とすることもできる。例えば、三角形(図5(a))、H字型(図5(b))として、この場合にも、押さえ板25、25間の隙間をできるだけ少なく配置する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の加熱装置で、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)はA−A線における一部拡大断面図である。
【図2】この発明のヒーター・センサーユニットで(a)は組み立て図、(b)は平面図である。
【図3】同じく他のヒーター・センサーユニットの組み立て図である。
【図4】(a)(b)はこの発明の他の押圧手段の縦断面図である。
【図5】(a)(b)はこの発明の他の押さえ板の平面図である。
【図6】面ヒーターと温度センサーの配置の例を示す底面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 加熱板(加熱手段)
2 加熱板の表面
2a 加熱板の裏面
3 加熱板の周囲
5 面ヒーター
6 面ヒーターの一面
6a 面ヒーターの他面
7 面ヒーターの一端
7a 面ヒーターの他端
11 第1電気絶縁シート
12 第2電気絶縁シート
14 ヒーターユニット
16 温度センサー
17 温度センサーの一端
18 温度センサーの他端
19 第3電気絶縁シート
20 ヒーター・センサーユニット
22 剛性フレーム
22a 剛性フレームの縁(長手方向)
22b 剛性フレームの縁(短手方向)
23 剛性フレームの上面側(加熱板側)
24 剛性フレームの下面側(押さえ板側)
25 押さえ板
26 押さえ板の一面
26a 押さえ板の他面
27 スペーサー
28 剛性ビーム(押圧手段)
29 スプリングバネ(押圧手段)
30 加熱装置
32 取付金具(押圧手段)
22 板バネ(押圧手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面で対象を加熱する「加熱手段」の裏面側に、「面ヒーター」を配置してなり、以下の条件を具備するように構成したことを特徴とする加熱装置。
(1) 前記「加熱手段」の裏面と前記「面ヒーター」との間に、電気的な絶縁を保って「温度センサー」を配置する。
(2) 前記「加熱手段」の裏面側を、縦方向及び横方向に区画するように分割して、分割した区画毎に、「押さえ板」を配置する。前記「押さえ板」は、剛性を有し、かつ熱変形の少ない材料から構成する。
(4) 前記各「押さえ板」の一面を、前記「面ヒーター」に密着させる。
(5) 前記「加熱手段」の裏面側に、前記各「押さえ板」の他面を前記面ヒーター側に押圧する「押圧手段」を取り付ける。
【請求項2】
表面で対象を加熱する「加熱手段」の裏面側に、「面ヒーター」を配置してなり、以下の条件を具備するように構成したことを特徴とする加熱装置。
(1) 「第1電気絶縁シート」「面ヒーター」「第2電気絶縁シート」「温度センサー」「第3電気絶縁シート」の順に積層して一体化して、「ヒーター・センサーユニット」を構成する。
(2) 前記「加熱板」の裏面側に、前記「ヒーター・センサーユニット」を密着配置し、前記「加熱手段」の裏面と前記「第3電気絶縁シート」とを密着当接する。
(3) 前記「加熱手段」の裏面側を、縦方向及び横方向に区画するように分割して、分割した区画毎に、「押さえ板」を配置する。前記「押さえ板」は、剛性を有し、かつ熱変形の少ない材料から構成する。
(4) 前記各「押さえ板」の一面を、前記「ヒーター・センサーユニット」の第1電気絶縁シート側に配置する。
(5) 前記「加熱板」の裏面側に、前記各「押さえ板」の他面を前記面ヒーター側に押圧する「押圧手段」を取り付ける。
【請求項3】
「加熱手段」の周囲に「剛性フレーム」を取り付け、該「剛性フレーム」内に各「押さえ板」を配置し、「押圧手段」を、前記「剛性フレーム」内に「支持ビーム」を着脱自在に架設して、該「支持ビーム」に前記「押さえ板」を前記加熱板側に押圧する「バネ」を取り付けたことを特徴とする請求項1又は2記載の加熱装置。
【請求項4】
「面ヒーター」の両面に「第1電気絶縁シート」「第2電気絶縁シート」を夫々配置して積層し「ヒーターユニット」を形成し、
前記「ヒーターユニット」の第2電気絶縁シート面に、「温度センサー」を配置して、該温度センサーを覆うように、前記「第2電気絶縁シート」に、「第3電気絶縁シート」を積層して構成したことを特徴とするヒーター・センサーユニット。
【請求項5】
「面ヒーター」を帯状の基材を平面上で屈曲して構成し、「温度センサー」を、純ニッケル線から構成したことを特徴とする請求項4記載のヒーター・センサーユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−285038(P2009−285038A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139365(P2008−139365)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成20年3月11日〜14日 開催の「HOTERES JAPAN 2008 (第36回国際ホテル・レストラン・ショー)」に出品
【出願人】(391013106)株式会社パーカーコーポレーション (27)
【Fターム(参考)】