加熱調理器
【課題】加熱効率を向上させることができるとともに加熱体の熱膨張による影響を低減させることができる誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】巻回部46は、絶縁基板41にその中心部から放射状に延びるように複数設けられると共に、周方向に隣り合う巻回部46,46間の間隔が所定の角度内となるように設定され、リボンヒータ42は、当該巻回部46,46間に掛け渡されるように巻回されている。これによれば、リボンヒータ42を各巻回部46,46間に比較的短い線長にて巻回することができる。従って、通電によりリボンヒータ42に熱膨張が生じても、各巻回部46,46間におけるリボンヒータ42の伸びの絶対量を小さくなり、その撓みも抑制されるため、伝熱効率の低下やリボンヒータ42の断線を防止することができる。
【解決手段】巻回部46は、絶縁基板41にその中心部から放射状に延びるように複数設けられると共に、周方向に隣り合う巻回部46,46間の間隔が所定の角度内となるように設定され、リボンヒータ42は、当該巻回部46,46間に掛け渡されるように巻回されている。これによれば、リボンヒータ42を各巻回部46,46間に比較的短い線長にて巻回することができる。従って、通電によりリボンヒータ42に熱膨張が生じても、各巻回部46,46間におけるリボンヒータ42の伸びの絶対量を小さくなり、その撓みも抑制されるため、伝熱効率の低下やリボンヒータ42の断線を防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トッププレート上に載置される被加熱調理器具を加熱する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記加熱調理器では、アルミ製や銅製の鍋のように低誘電率で電気伝導率の高い材料からなる被加熱調理器具を如何にして加熱するかが課題となっている。この課題を解決するための従来技術として、トッププレート(天板)と誘導加熱コイルとの間にアルミ板を挿入し、該アルミ板を誘導加熱することで鍋を間接的に加熱するようにした誘導加熱装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1の誘導加熱装置では、アルミ板を介して鍋を間接的に加熱する(つまり、アルミ板は鍋と同様に誘導加熱される)ように構成されており、その分だけインバータや誘導加熱コイルにおける損失が増加するため、加熱効率が低いという問題がある。
【0003】
そこで、トッププレートと誘導加熱コイルとの間に発熱体を設け、該発熱体が通電により発熱することで鍋を加熱するようにした加熱調理器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この発熱体は、帯状のステンレス製の導体から中空環状に形成されているとともに、トッププレートの下面に密着するように該発熱体の下面側から支持されている。この場合、発熱体の下面側には、発熱体の支持部材としての補強板、並びに断熱部材が配設されている。
【特許文献1】特許第3465712号公報
【特許文献2】特開2007−123159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献2の発熱体は、通電による該発熱体自身の熱膨張により上下にうねるように変形することで、その一部がトッププレートや補強板と離間し発熱体の周りに空隙部分が生じうる。従って、この種の発熱体では、前記の空隙部分で伝熱効率が低下すると共に異常な温度上昇を招くことで赤熱して脆くなり、ひいては断線する惧れがある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱効率を向上させることができるとともに加熱体の熱膨張による影響を低減させることができる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の加熱調理器は、被加熱調理器具が載置されるトッププレートと、前記トッププレートの下方に設けられ、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記トッププレートと前記誘導加熱コイルとの間に配置され、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を加熱する板状加熱体と、を具備した加熱調理器において、前記板状加熱体は、通電することにより発熱する帯状のヒータと、前記ヒータを巻回するための巻回部を有する板状の絶縁基板とを具え、前記巻回部は、絶縁基板にその中心部から放射状に延びるように複数設けられると共に、周方向に隣り合う当該巻回部間の間隔が所定の角度内となるように設定され、前記ヒータは、周方向に隣り合う前記巻回部間に掛け渡されるように巻回されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、板状加熱体のヒータによって、被加熱調理器具をその材質に関りなく直接的に加熱することができ、加熱効率を高めることができる。
また、前記のヒータにおける巻回部間の長さ(線長)は、周方向に隣り合う巻回部間の角度が大きいと長くなり小さいと短くなる関係にある。それ故、上記構成によれば、周方向に隣り合う巻回部間の間隔を所定の角度内に設定することで、ヒータを各巻回部間に比較的短い線長にて巻回することができる。従って、通電によりヒータに熱膨張が生じても、各巻回部間におけるヒータの伸びの絶対量が小さくなり、その撓みも抑制されるため、ヒータのトッププレートに対する接触状態を良好に維持することができ、伝熱効率の低下やヒータの断線を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<第1実施例>
本発明の第1実施例による誘導加熱調理器を図2に示す。誘導加熱調理器10は、調理器本体11を構成する本体ケース12及びトッププレート13を備えている。
誘導加熱調理器10は、トッププレート13が重力方向において上方となるように設けられる。また、図2において、左方が誘導加熱調理器10の前方側であり、右方が誘導加熱調理器10の後方側である。誘導加熱調理器10は、調理器本体11に加熱ユニット14及び冷却ファン部15を備えている。
【0009】
本体ケース12は誘導加熱調理器10の主たる外郭を形成しており、本体ケース12の上方は、トッププレート13により覆われている。調理器本体11は、例えばシステムキッチンのカウンタートップ16に組み込まれることで(所謂ビルトインタイプ)、トッププレート13がカウンタートップ16に露出するようになっている。このトッププレート13の上面には、被加熱調理器具として二点鎖線で示す鍋17が載置される。トッププレート13の上に載置された鍋17は、本体ケース12に収容されている加熱手段によって加熱される。トッププレート13は、例えば強化耐熱ガラスなどによって矩形平板状に形成されている。トッププレート13は、後方に吸気用及び排気用の開口部18を有している。本実施例の場合、開口部18は、トッププレート13の後方において左側に排気用が設けられ、右側に吸気用が設けられている。調理器本体11の本体ケース12の内部には、加熱制御部19が収容されている。
【0010】
誘導加熱調理器10は、図3に示すように加熱手段を構成する加熱ユニット14として誘導加熱コイル21及び板状加熱体22を備えている。誘導加熱調理器10は、複数の誘導加熱コイル21、及び他の加熱手段であるシーズヒータからなるロースター機能など複数の加熱手段を備えている。また、誘導加熱調理器10は、例示した上記以外の加熱手段を備えていてもよい。これら他の加熱手段については、図示および説明を省略する。
【0011】
本実施例の場合、誘導加熱コイル21及び板状加熱体22は、加熱ユニット14を構成し、誘導加熱調理器10の平面視において同一の位置に設けられている。即ち、加熱ユニット14を構成する誘導加熱コイル21及び板状加熱体22は、本体ケース12の所定の位置に一体に支持されている。加熱ユニット14は、例えば圧縮コイルばねを有する弾性体23によりトッププレート13の下面に押し付けられている。これにより、加熱ユニット14は、トッププレート13の下面に密着している。
【0012】
加熱ユニット14について図4、図7も参照しながら説明する。ここで、図4は加熱ユニット14の分解斜視図であり、図7は、加熱ユニット14の一部を模式的に示す断面図である。加熱ユニット14は、図3及び図4に示すように誘導加熱コイル21及び板状加熱体22に加え、支持部材24及び断熱材25を有している。支持部材24は、誘導加熱コイル21のトッププレート13側に板状加熱体22を支持している。支持部材24は、誘導加熱コイル21と所定の隙間を形成して設けられている。これにより、加熱ユニット14の板状加熱体22と誘導加熱コイル21との間には、空気が流れる通路26が形成される(図3、図7参照)。
【0013】
支持部材24の中心部には中央孔24aが形成されると共に、中央孔24aの周りには図4に示すような扇状の切欠部24bが例えば90度間隔で形成されている。断熱材25は、板状加熱体22と誘導加熱コイル21との間に設けられている。断熱材25は、板状加熱体22から発生する熱が板状加熱体22から誘導加熱コイル21側へ伝達されるのを遮断する。断熱材25には、支持部材24と同様の中央孔25aと切欠部25bとが形成されている。この断熱材25の中央孔25a及び切欠部25bと、支持部材24の中央孔24a及び切欠部24bは互いに接続するように連なっている。
【0014】
冷却ファン部15は、図2に示すように本体ケース12の内側に設けられている。冷却ファン部15は、ファン27及びファンモータ28を有している。ファン27が回転することにより、吸気用の開口部18から吸入された空気は、加熱ユニット14及び加熱制御部19を経由して排気用の開口部18から排出される。これにより、冷却ファン部15は、冷却風の流れを形成し、加熱ユニット14及び加熱制御部19を冷却する。
【0015】
加熱制御部19は、図5に示すように高周波電流供給手段を構成するインバータ29に接続している。即ち、加熱制御部19は、インバータ29の主回路などを構成するIGBTなどの発熱性のスイッチング素子が実装された回路基板を有している。加熱制御部19の発熱性の素子は、冷却ファン部15で生じた風によって冷却される。
【0016】
次に、加熱ユニット14について詳細に説明する。
加熱ユニット14を構成する誘導加熱コイル21は、図4に示すように中空の円盤状に形成されている。誘導加熱コイル21は、トッププレート13から所定の距離離れた位置に支持されている。誘導加熱コイル21は、図3に示すように耐熱樹脂製のベースプレート31によって支持されている。ベースプレート31は、外周部の複数の位置に下方へ突出する筒状の脚部32を有している。図2に示すように、この脚部32と本体ケース12の内枠部材33との間に弾性体23が取り付けられている。これにより、ベースプレート31に支持されている誘導加熱コイル21は、トッププレート13側へ押し付けられている。誘導加熱コイル21に高周波電流を供給することにより、トッププレート13上に載置された鍋17には渦電流が発生する。この渦電流によって鍋17にはジュール熱が生じ、鍋17は加熱される。
【0017】
一方、加熱ユニット14を構成する板状加熱体22は、図1に示すように絶縁基板41とリボンヒータ42とを有している。本実施例において、絶縁基板41は、絶縁体としてセラミックスから形成されている。また、絶縁基板41は、熱伝導率の高いセラミックスで形成することが望ましい。リボンヒータ42は、帯状に形成され、特許請求の範囲のヒータを構成している。絶縁基板41を形成するセラミックスとしては、例えば窒化アルミニウム、窒化ケイ素あるいはアルミナなどを適用することができる。窒化アルミニウムは、熱伝導率が大きく、リボンヒータ42の熱を均一にトッププレート13側へ伝達する。一方、窒化アルミニウムは、衝撃に弱いという弱点がある。そこで、絶縁基板41を窒化ケイ素で形成することにより、窒化アルミニウムに比較して衝撃に対する強度を向上させることができる。また、絶縁基板41をアルミナで形成することにより、絶縁基板41を安価に形成することができる。これらのセラミックスの材質は、上記の例に限らず絶縁基板41を適用する誘導加熱調理器10の仕様による要求に応じて任意に変更可能である。
【0018】
絶縁基板41は、全体として略円板状に形成されており、周方向へほぼ等間隔で穴43とスリット44とを交互に有している。この場合、詳しくは後述するように、穴43及びスリット44は放射状に延び、両者の間隔は例えば45度に設定されている。穴43及びスリット44は絶縁基板41を板厚方向へ貫くように形成されていて、穴43は、絶縁基板41の径方向において両端部が絶縁基板41によって塞がれている。一方、スリット44は、絶縁基板41の径方向において外周側の端部が開放されている。絶縁基板41の中心部には、該絶縁基板41を板厚方向へ貫くセンサ穴45が設けられている。
【0019】
図1、図8に示すように、絶縁基板41には、その中心部から放射状に延びる複数の巻回部46が設けられている。詳細には、絶縁基板41において、穴43及びスリット44に臨み且つ周方向に対向する側壁部41a(図6参照)には、該絶縁基板41の周方向へ突出する複数の突起部48が一体的に設けられている。これら突起部48は、穴43及びスリット44に沿って径方向へ連なるように配設されており、各側壁部41aにおいて巻回部46を構成する。従って、絶縁基板41には、巻回部46が周方向に複数設けられている。そして、周方向に隣り合う巻回部46,46間の間隔は、所定の角度内となるように設定されており、本実施例では例えば穴43とスリット44との間隔と同じ45度に設定されている。ここで、周方向に隣り合う巻回部46,46とは、扇形の一対の半径に見立てることが可能な関係にある一対の巻回部46,46をいうものとする。
【0020】
突起部48近傍の構成について図6に基づき詳細に説明する。ここで図6(a)は、図1中P1で囲んだ領域の拡大図、図6(b)は、図6(a)中X1−X1線に沿う縦断面図を示している。
突起部48は、穴43及びスリット44を形成し且つ対向する側壁部41a,41aの一方から他方へ向けて突出しており、絶縁基板41の径方向の両端に夫々端部48a及び48bを有している。つまり、突起部48は、絶縁基板41の径方向において外周側の端部48a、内周側に端部48bを夫々有している。この突起部48と側壁部41aによって、折り返し部47が構成されている。
【0021】
そして、リボンヒータ42は、絶縁基板41のトッププレート13側(表面側)において、周方向に隣り合う巻回部46,46間に掛け渡されるように巻回されている。このリボンヒータ42は、巻回部46において折り返し部47に引っ掛けられつつ、折り返されている。この場合、リボンヒータ42の一部は、突起部48の端部48aと端部48bとの間において突起部48の誘導加熱コイル21側(裏面側)を通っており、折り返し部47で折り返されている部位のみが誘導加熱コイル21側へ露出している。
【0022】
本実施例では、前記のように突起部48が、穴43及びスリット44に沿って径方向へ複数設けられているとともに、この突起部48の列が、絶縁基板41の各側壁部41aに夫々設けられている、従って、板状加熱体22(絶縁基板41)は、径方向へ複数の折り返し部47を有すると共に、この折り返し部47の列を、周方向に複数有している。尚、絶縁基板41に設けられた穴43及びスリット44の本数および間隔、ならびに突起部48の形状などは任意に変更が可能である。
【0023】
突起部48の底となる絶縁基板41の側壁部41aから突起部48の先端までの距離、即ち突起部48の突出量は、以下の理由により設定されている。リボンヒータ42は、通電時の発熱によって膨張し、全長が増大する。このとき、リボンヒータ42の膨張量が過大になると、突起部48に引っ掛けられているリボンヒータ42は突起部48から外れる惧れがある。仮にリボンヒータ42が突起部48から外れると、隣接するリボンヒータ42に接触し、リボンヒータ42間での短絡などを招く惧れがある。そこで、本実施例では、突起部48の底から先端までの距離は、通電時における巻回部46,46間のリボンヒータ42の伸張量よりも大きく設定されている。
【0024】
また、本実施例では、絶縁基板41に対し二本のリボンヒータ42が配設されている。リボンヒータ42はヒータ線としての抵抗発熱材(通電されるとジュール熱を発する)からなり、夫々の端部が端子49として、絶縁基板41の端子穴50から外部へ取り出されている。これら一対のリボンヒータ42は、図1において絶縁基板41の上半部と下半部に上下対称となるように巻回されている。この場合、リボンヒータ42は、上記のように折り返し部47に引っ掛けられつつ折り返されることで大部分が表面側に位置し、且つ巻回部46,46間に周方向へ掛け渡されるように巻回される。こうして、リボンヒータ42は、各巻回部46,46間において絶縁基板41の外周側から内周側(或は内周側から外周側)へ順次巻回されている。
【0025】
ここで、巻回部46,46間のリボンヒータ42の巻回長さ(以下、リボンヒータ42の線長aと称す)について、図8の模式図を用いて説明する。図8(a)は板状加熱体22の要部を拡大して示す概略的な平面図で、同図(b)、(c)に示すように、リボンヒータ42の線長aを三角関数から演繹することができる。
【0026】
即ち、リボンヒータ42を、穴43に沿う巻回部46に対し略垂直に掛け渡して巻回する場合(図8(a)中、破線a1参照)、該巻回部46における絶縁基板41の中心部Aから該巻回位置(折り返し位置)B1までの距離(線分A,B1の長さ)をb1、巻回部46,46間の中心角をθとしたとき、リボンヒータ42の線長a1は例えば次式(1)で演算される(図8(b)参照)。
【0027】
a1=b1tanθ ・・・(1)
また、リボンヒータ42を周方向へ掛け渡して巻回する場合、換言すれば中心部Aから夫々の巻回部46における巻回位置(B2及びC2)までの距離b2及びc2が等しくなるように巻回する場合(b2=c2、図8(a)中、破線a2参照)、リボンヒータ42の線長a2は例えば次式(2)で演算される(図8(c)参照)。
【0028】
a2=2b2sin(θ/2) ・・・(2)
式(1)、(2)より、中心角θを所定の角度内に設定することで、リボンヒータ42の各線長a(a1,a2)は巻回位置に応じた所定の長さ(詳しくは第2実施例で述べる)の範囲内に規制されることとなる。従って、リボンヒータ42は、その線長aが各巻回部46,46間で比較的短くなるように巻回される。本実施例では、図1に示すように絶縁基板41の径方向において、リボンヒータ42は、その線長aが最短となる最短ヒータ部42aを絶縁基板41の内周(中心)側に有するとともに、線長aが最長となる最長ヒータ部42bを絶縁基板41の外周側に有する。そして、リボンヒータ42は、穴43に沿う巻回部46に対し略垂直に巻回されているため、最短ヒータ部42a及び最長ヒータ部42bの長さ寸法を式(1)により演算することができる。
【0029】
次に、誘導加熱調理器10の電気的構成について図5を参照しながら説明する。加熱制御部19は、調理器本体11の内部に設けられ、図示しないマイクロコンピュータによって構成されている。
【0030】
加熱制御部19には、操作部51及び温度センサ52が接続されている。操作部51は、調理器本体11の外側においてトッププレート13の前方に配置されており、入力された情報を操作信号として加熱制御部19に出力するようになっている。温度センサ52は、トッププレート13の温度を検出する。温度センサ52は、検出したトッププレート13の温度を電気信号として加熱制御部19に出力する。また、加熱制御部19は、トッププレート13上に載置された鍋17などの被加熱調理器具の材質を判定する材質判定手段としても機能する。加熱制御部19は、操作部51及び温度センサ52から入力された制御信号、及び予め記憶している制御プログラムなどに基づいて、インバータ29を制御する。これにより、加熱制御部19は、インバータ29を経由して誘導加熱コイル21に高周波電流を供給し、誘導加熱コイル21を制御する。また、誘導加熱コイル21には、共振コンデンサ53が直列に接続されている。これら誘導加熱コイル21及び共振コンデンサ53は、鍋17の材質に応じて出力を調整するために、コイルの巻数やコンデンサの容量が可変となる構成であることが望ましい。
【0031】
インバータ29は、商用交流電源54から整流回路55によって直流に変換された駆動用電源が供給される。同様に、通電制御部56は、商用交流電源54から板状加熱体22へ供給する電力を制御する。通電制御部56は、板状加熱体22に交流の電力を供給する。通電制御部56から板状加熱体22へ供給される電力は、加熱制御部19によって統括的に制御される。また、整流回路55の入力側およびインバータ29の出力側には、それぞれ電流トランス57、58が配置されている。この電流トランス57、58で検出された電流値は、いずれも加熱制御部19に入力される。これにより、加熱制御部19は、商用交流電源54から入力される入力電流値、及びインバータ29の出力電流値を検出する。
【0032】
加熱制御部19は、被加熱調理器具である鍋17が抵抗の大きな金属材料か否かを判定することにより、この鍋17の材質を判定する。例えば加熱制御部19は、一定の高周波電流を誘導加熱コイル21に供給し、入力電流とインバータ29の出力電流であるコイル電流との関係に基づいて鍋17の材質を判定する。例えば鉄などの強磁性体で鍋17が形成されている場合、誘導加熱コイル21が発生した磁束は鍋17を流れやすくなる。かつ、鍋17の底部において誘導加熱コイル21側に渦電流が集中する表皮効果も高くなる。そのため、誘導加熱コイル21の等価抵抗は増大する。一方、鍋17の材質がアルミニウムや銅などのように非磁性あるいは弱磁性であって比抵抗が小さい場合、誘導加熱コイル21によって発生した磁束は鍋17に到達しにくくなり、漏れ磁束も増大する。そして、比抵抗が小さく表皮効果も得にくいため、等価抵抗は減少する。その結果、加熱制御部19は、入力電流と出力電流との大小の変化に基づいて、鍋17の材質を判定することができる。従って、加熱制御部19は、鍋17の材質を判定するとともに、予め設定された入力電力設定値に基づいて鍋17の誘導加熱コイル21による加熱または板状加熱体22によるヒータ加熱を選択して実行することができる。
【0033】
次に、上記の構成による誘導加熱調理器10の作動について説明する。
被調理物を収容した鍋17をトッププレート13の所定位置に載置し、操作部51で必要な入力操作が行われると、加熱制御部19は鍋17の加熱を開始する。加熱制御部19が材質判定処理により鍋17の材質が高抵抗金属であると判定すると、加熱制御部19は通常の入力電力に基づいて誘導加熱コイル21による誘導加熱調理を実行する。一方、鍋17の材質が高抵抗金属でないと判定したとき、加熱制御部19は鍋17の材質がアルミニウム、銅もしくは非磁性ステンレスのような低抵抗の非磁性金属であるのか、土鍋のような非金属であるのか、もしくは無負荷であるのかを判定する。そして、鍋17が低抵抗金属であると判定すると、加熱制御部19は鍋17の底がトッププレート13により反発して移動するいわゆる「鍋浮き」を生じないように、予め設定された火力調整に基づいて誘導加熱調理を実行する。
【0034】
ここで、火力調整によって加熱電力が通常の入力電力設定値より小さくなった場合、加熱制御部19はその差の電力分を通電制御部56を経由して板状加熱体22に供給する。これにより、加熱制御部19は、トッププレート13に載置された鍋17を板状加熱体22により加熱する。また、鍋17が低抵抗の非磁性金属で形成されている場合、誘導加熱コイル21の等価抵抗は小さくなる。そのため、加熱制御部19は、インバータ29を経由して誘導加熱コイル21へ出力する電圧を、高抵抗の磁性金属の場合よりも低下させたり、電圧の周波数を上昇させたりする。これにより、加熱制御部19は加熱効率の向上を図る。
【0035】
また、鍋17が非金属で形成されている場合、または無負荷の場合、加熱制御部19は誘導加熱コイル21による誘導加熱を実行しない。そのため、加熱制御部19は、通常の入力電力設定値に等しい電力を通電制御部56から板状加熱体22へ供給し、板状加熱体22のみによる加熱を実行する。この場合、加熱制御部19は、鍋17が非金属であるのか、または無負荷であるのかを判定する必要がある。そこで、加熱制御部19は、温度センサ52によって板状加熱体22への通電が開始されてからのトッププレート13の温度変化を検出する。このとき、加熱制御部19は、トッププレート13の温度の変化が緩やかであれば土鍋などが載置されていると判定し、温度の変化が急激であれば無負荷であると判定する。
【0036】
鍋17などの被加熱調理器具が非金属材料であると判定したとき、加熱制御部19は板状加熱体22により鍋17の加熱を実行する。このとき、リボンヒータ42は、折り返し部47において裏面側を通る部分を除く大部分が上面側に設けられているため、リボンヒータ42から発生した熱は、大部分がトッププレート13を経由して鍋17へ伝達される。また、リボンヒータ42は比較的短い線長aで巻回されているので、通電によりリボンヒータ42に熱膨張が生じても、各巻回部46,46間におけるリボンヒータ42の夫々の伸張量が小さく撓みも抑制される。従って、鍋17は板状加熱体22により効率よく加熱される。
【0037】
この加熱が終了した後、トッププレート13及び板状加熱体22に熱が残っているため、加熱制御部19は、冷却ファン部15のファン27を回転駆動する。このとき、誘導加熱コイル21と支持部材24との間を流れる空気は、図7に示すように一部が断熱材25の切欠部25b及び支持部材24の切欠部24bを経由して板状加熱体22の裏面側へ流れる。そして、この空気の流れは、板状加熱体22の裏面側に位置するリボンヒータ42に接する。これにより、リボンヒータ42は、板状加熱体22の裏面側に位置する部分で放熱し、表面側に位置する部分も冷却される。その結果、鍋17の加熱によって温度が上昇していたトッププレート13は、冷却ファン部15による空気の流れによって急速に冷却される。
【0038】
以上のように、加熱制御部19は、鍋17などの被加熱調理器具の材質に応じて誘導加熱コイル21による加熱調理、板状加熱体22による加熱調理、またはこれらの組み合わせによる加熱調理を実行する。そして、加熱制御部19は、加熱調理が完了した後、冷却ファン部15を駆動することにより、トッププレート13及び板状加熱体22の冷却を促進する。
【0039】
以上説明したように、板状加熱体22のリボンヒータ42は、通電することにより発熱する。トッププレート13上に載置された鍋17などの被加熱調理器具は、発熱する板状加熱体22によって直接加熱される。従って、材質に関わらず鍋17などの被加熱調理器具を加熱することができるとともに、加熱効率を高めることができる。
【0040】
巻回部46を、絶縁基板41にその中心部Aから放射状に延びるように複数設けると共に、周方向に隣り合う巻回部46,46間の間隔を所定の角度内となるように設定し、リボンヒータ42を、該巻回部46,46間に掛け渡すように巻回した。これによれば、リボンヒータ42における巻回部46,46間の線長aを、上記の式(1)、(2)により演繹することができる。そして、前記中心角θを所定の角度内に設定することで、リボンヒータ42を、各巻回部46,46間に比較的短い線長aで巻回することができる。従って、通電によりリボンヒータ42に熱膨張が生じても、各巻回部46,46間におけるリボンヒータ42の伸びの絶対量が小さくなり、その撓みも抑制されるため、リボンヒータ42のトッププレート13に対する接触状態を良好に維持することができる。
【0041】
つまり、本実施例とは異なり、リボンヒータの線長が規制されていない場合(長尺な線長の場合)、例えばリボンヒータが熱膨張により上下にうねるように変形することで、絶縁基板に応力が作用するだけでなく、リボンヒータとトッププレートとの間に空隙部分が生じうる。この場合、前記空隙部分で伝熱効率が低下してリボンヒータの異常な温度上昇を招くため、リボンヒータが赤熱して脆くなり、ひいては断線する惧れがある。これに対し、本実施例では、リボンヒータ42の撓みを抑制することで、伝熱効率の低下やリボンヒータ42の断線の問題を解消して寿命を延ばすことができる。また、絶縁基板41に作用する応力が軽減するため、そのぶん絶縁基板41の厚みを薄く設定することができると共に、リボンヒータ42の伸びも抑制されるため、リボンヒータ42の突起部48からの外れを防止して、隣接するリボンヒータ42間での短絡などを無くすことができる。
【0042】
上記のように巻回されたリボンヒータ42は、最長ヒータ部42bにおいて通電時の伸張量が最大となる。この点、リボンヒータ42は、各巻回部46,46間に所定の長さの範囲内で巻回されているため、最長ヒータ部42bも含めて伸びや撓みを極力小さくすることができ、熱膨張による影響を確実に低減させることができる。
【0043】
巻回部46に、リボンヒータ42が折り返される折り返し部47を設けることにより、リボンヒータ42は、その大部分が絶縁基板41のトッププレート13側に設けられている。そのため、リボンヒータ42から発生した熱は、大部分がトッププレート13側における鍋17の加熱に用いられるので、リボンヒータ42による加熱効率を一層高めることができる。
また、リボンヒータ42は突起部48に引っ掛けられて片面側(トッププレート13側)へ折り返されている。そのため、リボンヒータ42の巻回作業は、絶縁基板41の片面側において周方向にリボンヒータ42を掛け渡し、巻回部46において突起部48に引っ掛けることを繰り返すことにより行われる。従って、絶縁基板41に対しリボンヒータ42を比較的容易に巻回することができ、板状加熱体22の組立工数を削減することができる。
【0044】
突起部48の突出量つまり突起部48の底から先端までの距離は、発熱時に膨張するリボンヒータ42の膨張量よりも大きく設定されている。そのため、発熱時において、突起部48からのリボンヒータ42の脱落は低減される。従って、突起部48から外れたリボンヒータ42同士の接触などを防止することができる。
第1実施例では、リボンヒータ42は、折り返し部47において突起部48で折り返される部分のみが誘導加熱コイル21側に露出する。これにより、板状加熱体22は、誘導加熱コイル21側への発熱量が小さい。そのため、誘導加熱コイル21は、板状加熱体22の発熱時に板状加熱体22から受ける熱的な影響が低減される。従って、板状加熱体22と誘導加熱コイル21との間の断熱が容易になり、構造を簡略化することができる。
【0045】
<第2実施例>
図9〜図13は、本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と異なるところを説明する。ここで、図9は図1相当図で、図10(a)及び(c)は図9中P2及びP3部分を拡大した概略図、図10(b)は図10(a)中X2−X2線に沿う縦断面図を示しており、第1実施例と同一部分には同一符号を付している。
【0046】
本実施例の板状加熱体59は、第1実施例の板状加熱体22と以下の点で相違する。即ち、絶縁基板60は、周方向に分割された複数個、例えば12個の分割基板61により構成されている。図10(b)に示すように、分割基板61は、前記のセラミックスからなるセラミックス板62と、硬質マイカからなるマイカ板63とを上下に重ねた複合材であって、セラミックス板62は分割基板61の表面部を、マイカ板63は裏面部を構成するように配置されている。
【0047】
分割面64,64(図13(a)参照)が対応する隣接した分割基板61のうちの一方の分割基板61には、内周部及び外周部の夫々に係合凸部65が一体的に設けられている。詳細には、図10(c)に示すように係合凸部65は、略円形をなす頭部65a及びこの頭部65aと分割面64とを繋ぐが如く頭部65aの径より幅狭な突出基部65bが形成され、頭部65aと突出基部65bとが一体となって係合凸部65を構成している。他方の分割基板61には、前記頭部65aより若干径大な穴部66a及びこの穴部66aの分割面64側近傍に突出基部65bより幅広な開放部66bが形成され、穴部66a及び開放部66bは係合凹部66を構成している。
【0048】
そして、隣り合った分割基板61、61同士を、隣り合った係合凸部65と係合凹部66とを嵌め込む(係合する)ことにより連結する。本実施例では、12個の分割基板61を環状に連結することにより絶縁基板60が構成され、係合凸部65及び係合凹部66は結合手段として機能する。尚、この結合手段は、分割基板61、61同士を連結ないし結合するものであればよく、上記構成に限定するものではない。
【0049】
分割基板61の分割面64側には、内周部と外周部を除く部分が幅狭となるように周方向に窪んだ側壁部(図13(a)参照)が形成されており、マイカ板63の側壁部63aにのみ、絶縁基板60の周方向へ突出する複数の突起部67が一体的に設けられている。これら突起部67は、各側壁部63aに沿って連なるように配置されることにより巻回部68を構成する(図9、図13(a)参照)。尚、突起部67の突出量は、突起部48と同様に、通電時における巻回部68,68間のリボンヒータ42の伸張量よりも大きく設定されている。
【0050】
この突起部67は折り返し部に相当し、その基端部には、平面視にて基端側が広がる「ハ」の字状をなし且つ突起部67の突出方向に対し45度傾斜した傾斜部(傾斜)67aが形成されている。そして、リボンヒータ42は、分割基板61の表面側において、巻回部68,68間に掛け渡されるように巻回されており、巻回部68において突起部67の傾斜部67aに引っ掛けられつつ、折り返されている。この傾斜部67aによって、リボンヒータ42は、巻回部68において隙間が生じないよう無駄なく折り返され、分割基板61ごとに適度な張力がかかった状態で巻回されている。また、リボンヒータ42の一部は、各突起部67(各傾斜部67a,67aの間)においてその裏面側を通ることで誘導加熱コイル21側へ露出しており、リボンヒータ42のその他の大部分は、セラミックス板62と接触している。
【0051】
本実施例の巻回部68は、分割基板61を環状に連結した状態において絶縁基板60の中心部から略放射状に延びると共に、巻回部68,68間の間隔は、絶縁基板60の径方向の途中から一定となるように設けられている。ここで、巻回部68,68間の中心角θとリボンヒータ42の線長aについて、図13の模式図を用いて説明する。
【0052】
図13(a)は分割基板61の一部を拡大して示す平面図であり、同図に示すようにリボンヒータ42は、最長ヒータ部42bが絶縁基板60の径方向の途中にあり(図13(a)中、破線a2参照)、最長ヒータ部42bより絶縁基板41の径方向外側において最長ヒータ部42bと同等の長さで巻回されている。この場合、巻回部68,68間の間隔は、最長ヒータ部42bが所定の長さ(例えば25mm)以下の寸法で巻回されるように設定されている。このように最長ヒータ部42bの長さを25mm以下にしたのは次の理由による。即ち、板状加熱体59により加熱を行う場合、リボンヒータ42の線長a如何によっては、リボンヒータ42が熱膨張で撓み異常な温度上昇が生じうる。そこで、発明者は実験を行い、リボンヒータ42の線長aを25mm以下に設定することで、前述した異常な温度上昇を抑制することができるという結果を得たのである。
【0053】
他方、図9、図13(b)に示すように、リボンヒータ42を周方向へ掛け渡して巻回する場合において、リボンヒータ42の線長をa2、中心部Aから最長ヒータ部42bの巻回位置(B2及びC2)までの距離をb2(=c2)としたとき、巻回部68,68間の中心角θは上記式(2)より次式(2´)で表される。
【0054】
θ=2arcsin(a2/2b2)・・・(2´)
式(2´)より、リボンヒータ42を所定の長さの範囲で巻回するための中心角θを算出することができる。従って例えば、最長ヒータ部42bの巻回部68における中心部Aからの距離b2が50mmのとき、リボンヒータ42の線長a2を25mm以下で巻回するには、中心角θを30度以内に設定すればよいといえる。
【0055】
また、図9に示すように、絶縁基板60(板状加熱体59)には水等の浸入を検出するための導体(以下、導線69と称す)が設けられている。導線69は、絶縁基板60に形成された複数の小孔70(図9ではその一部を図示)に挿通されることにより絶縁基板60に対し掛止されていて、絶縁基板60の外周部に環状配置された環状検出部69aと、環状検出部69aから周方向内側へ等間隔で突出する補助検出部69bとを有する。この導線69は、リボンヒータ42に近接しながらもリボンヒータ42と離間しており、且つ図11に示す電流制限用抵抗71を介して接地されている。また、本実施例の誘導加熱調理器10は、導線69に電流が流れたことを検知する電流トランス72と、報知手段としての報知部73を備えている。この電流トランス72の検知信号は加熱制御部19に与えられており、報知部73は例えば調理器本体11に内蔵されたブザーから構成されている。
【0056】
仮に、トッププレート13が割れる等してリボンヒータ42に水がかかると、その水を通じて導線69に電流が流れる。ここで、加熱制御部19は、電流トランス72の検知信号により導線69に電流が流れていると判断した場合には、リボンヒータ42を断電すると共に前記ブザーを鳴動させるようになっている。
【0057】
ところで、本実施例では、リボンヒータ42の大部分が絶縁基板60の表面側に位置する所謂片面ヒータにあって、セラミックス板62が絶縁基板60の表面部を、マイカ板63がその裏面部を構成している。これは、以下の理由によるものである。
【0058】
即ち、図12は板状加熱体59により湯沸かしを行うときの、リボンヒータ42の入力電力[W]とリボンヒータ42の温度[℃]との関係を示す図である。同図に示すように、リボンヒータ42の温度は、リボンヒータ42の入力電力に比例して上昇する。特に、リボンヒータ42の入力電力が1200Wを超えると、硬質マイカの使用上限温度たる500℃を上回ってしまう。つまり、絶縁基板の材料がマイカのみで構成されている場合、当該マイカは耐熱性に劣るため、1200Wを超える入力電力で使用できないという問題がある。そこで、本実施例では、耐熱性に優れたセラミックス板62にリボンヒータ42の大部分が接触するように配置して、絶縁基板60の耐熱性を向上させている。また、マイカ板63の突起部67にてリボンヒータ42を掛止する(折り返す)ことで、リボンヒータ42の熱膨張等により生じる応力に抗するようにしている。
【0059】
上記の構成により第2実施例では以下の効果が得られる。
周方向に隣り合う巻回部68,68間の間隔を所定の角度(例えば30度)以内に設定して、リボンヒータ42を、当該巻回部68,68間に所定の長さ(例えば25mm)の範囲内で巻回した。このように、リボンヒータ42の線長aを25mm以下で巻回することで、リボンヒータ42の熱膨張による異常な温度上昇を確実に抑制することができ、リボンヒータ42の熱膨張による影響を極力低減させることができる。
【0060】
また、最長ヒータ部42bは、少なくとも絶縁基板60の径方向の途中にあるので、巻回部68が絶縁基板60に放射状に配置された構成において、リボンヒータ42の外周側の線長aが長くなるのを抑制することができる。つまり、絶縁基板60の径寸法に関わりなく各巻回部68,68間におけるリボンヒータ42の長尺化が抑制されるため、リボンヒータ42の熱膨張による影響を低減させることができると共に、設計の自由度をも高めうる。
【0061】
また、リボンヒータ42は、最長ヒータ部42bより絶縁基板60の径方向外側において、最長ヒータ部42bと同等の長さで巻回されている。これによれば、リボンヒータ42の熱膨張による影響を低減させつつ、板状加熱体59の加熱性能を極力高めることができる。
絶縁基板60は、セラミックスとマイカとを用いた複合材からなるので、セラミックスの耐熱性とマイカの機械的強度を併せ持つ基板を構成することができ、絶縁基板60の寿命を延ばすことができる。
【0062】
セラミックス板62を、リボンヒータ42の大部分と接触するように絶縁基板60のトッププレート13側に配置したので、絶縁基板60を耐熱性に優れたものとすることができる。他方、マイカ板63の突起部67にてリボンヒータ42を掛止することで、リボンヒータ42の熱膨張等により生じる応力に充分に抗することができる。
折り返し部たる突起部67は傾斜部67aを有し、リボンヒータ42は傾斜部67aに対応して折り返されている。これによりリボンヒータ42を、巻回部68において隙間が生じないよう無駄なく折り返し、適度な張力がかかった状態で絶縁基板60に密着するように巻回することができる。従って、トッププレート13に対する板状加熱体59の密着性が高まるため、板状加熱体59からトッププレート13への熱の移動を促進することができ、加熱効率を高めることができる。
【0063】
接地された導線69を、リボンヒータ42の近傍にリボンヒータ42と離間して配置し、報知手段としての報知部73によって、導線69に電流が流れたことを報知するように構成した。これによれば、仮にトッププレート13が割れる等してリボンヒータ42に水がかかったとしても、これを報知部73によってユーザに報知することができ、使用上の安全性を高めることができる。この場合、加熱制御部19によりリボンヒータ42への通電が停止されるので、漏電や感電を防止することができる。また、仮に、絶縁基板60が劣化する等してリボンヒータ42と導線69とが接触した場合にも、報知部73によってユーザに報知することができ、総じて安全性に優れたものとすることができる。
【0064】
絶縁基板60を、周方向に分割された複数個の分割基板61により構成した。これによれば、分割基板61にリボンヒータ42を巻回した後、隣り合う分割基板61、61同士を連結することができるので、リボンヒータ42の巻回作業の簡単化を図ることができる。つまり、本実施例とは異なり非分割型の絶縁基板(例えば第1実施例の絶縁基板41)では、リボンヒータ42を比較的幅狭な穴43及びスリット44に通すようにして巻回するため面倒であるが、本実施例の絶縁基板60では、分割基板61の巻回時に他の分割基板61が邪魔にならず、又、分割基板61を周方向に密に配置することができる(換言すれば穴43及びスリット44に相当する部分を極力狭くできる)ので、加熱効率を高めることができる。更に、隣り合った分割基板61、61同士を、隣り合った係合凸部65と係合凹部66とを嵌め込むことにより簡単に連結することができ、板状加熱体59の組立工数を削減することができる。
【0065】
<その他の実施例>
第2実施例では接地された導線69を絶縁基板60の上面側に設けたが、分割基板61の下面側に設けるようにしてもよい。ここで、図14は、板状加熱体59の底面図であり、同図に示されるように導線69は、絶縁基板60の下面側において外周部に環状配置された環状検出部69cと、環状検出部69cから周方向内側へ等間隔で突出する補助検出部69dとを有する。この点、絶縁基板60の下面側においてリボンヒータ42が配置されていないスペースを利用して、補助検出部69dを絶縁基板60の中心側まで延びるように設けることができる。従って、リボンヒータ42の導線69に対する熱的影響を比較的少なくすることができると共に、絶縁基板60の外周部から中心部にわたって前述した水の侵入等の異常を検出することができる。この導線69を、第1実施例の絶縁基板41の上面側あるいは下面側に配置してもよい。
【0066】
上記実施例ではリボンヒータ42を、その大部分が絶縁基板41,60の表面側に位置するように巻回したが、所謂片面ヒータに限定するものではない。即ち、図15は絶縁基板41の一部を拡大して示す平面図であり、同図に示されるように絶縁基板41における穴43及びスリット44で挟まれた扇状部分に、リボンヒータ42が周回するように巻回された所謂両面ヒータでもよい。尚、図15では、リボンヒータ42が絶縁基板41の下面側に巻かれているのが破線で示されている。これと同様に、絶縁基板60においても分割基板61に、リボンヒータ42が周回するように巻回してもよい。
【0067】
リボンヒータ42を、最長ヒータ部42bより絶縁基板の径方向外側において、最長ヒータ部bよりも短い長さで巻回してもよい。つまり、例えば分割基板61を全体として太鼓状に形成し、その両側の曲線部に沿うような一対の巻回部を設けるようにしてもよい。また、本発明は、ビルトインタイプに限られず据置きタイプ等の加熱調理器全般にも適用できるものである。その他、本発明は、絶縁基板60の分割数(分割基板61の個数)を変更する等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施例を示す誘導加熱調理器の板状加熱体の平面図
【図2】誘導加熱調理器の概略構成を示す縦断面図
【図3】誘導加熱調理器の要部を拡大して示す縦断面図
【図4】加熱ユニットの構成を示す分解斜視図
【図5】誘導加熱調理器の電気的構成を示すブロック図
【図6】板状加熱体の折り返し部を拡大して示すものであり、(a)は平面図、(b)は図6(a)中X1−X1線に沿う縦断面図
【図7】加熱ユニットの要部を拡大して示す模式図
【図8】リボンヒータの線長および中心角を説明するための模式図で、(a)は板状加熱体の拡大平面図、(b)は巻回部とリボンヒータの関係を直角三角形に見立てた図、(c)は二等辺三角形に見立てた図
【図9】第2実施例を示す図1相当図
【図10】(a)及び(b)は図6相当図、(c)は図9中P3部分を拡大した概略図
【図11】図5相当図
【図12】湯沸時のリボンヒータの入力電力とリボンヒータの温度との関係を示す図
【図13】(a)及び(b)は、図8(a)及び(c)相当図
【図14】その他の実施例を示す板状加熱体の底面図
【図15】板状加熱体の一部を拡大して示す平面図
【符号の説明】
【0069】
図面中、10は誘導加熱調理器、13はトッププレート、17は鍋(被加熱調理器具)、21は誘導加熱コイル、22,59は板状加熱体、41,60は絶縁基板、42はリボンヒータ(ヒータ)、42aは最短ヒータ部、42bは最長ヒータ部、46,68は巻回部、47は折り返し部、48は突起部、62はセラミックス板(セラミックス)、63はマイカ板(マイカ)、67は突起部(折り返し部)、67aは傾斜部(傾斜)、69は導線(導体)、73は報知部(報知手段)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、トッププレート上に載置される被加熱調理器具を加熱する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記加熱調理器では、アルミ製や銅製の鍋のように低誘電率で電気伝導率の高い材料からなる被加熱調理器具を如何にして加熱するかが課題となっている。この課題を解決するための従来技術として、トッププレート(天板)と誘導加熱コイルとの間にアルミ板を挿入し、該アルミ板を誘導加熱することで鍋を間接的に加熱するようにした誘導加熱装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1の誘導加熱装置では、アルミ板を介して鍋を間接的に加熱する(つまり、アルミ板は鍋と同様に誘導加熱される)ように構成されており、その分だけインバータや誘導加熱コイルにおける損失が増加するため、加熱効率が低いという問題がある。
【0003】
そこで、トッププレートと誘導加熱コイルとの間に発熱体を設け、該発熱体が通電により発熱することで鍋を加熱するようにした加熱調理器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この発熱体は、帯状のステンレス製の導体から中空環状に形成されているとともに、トッププレートの下面に密着するように該発熱体の下面側から支持されている。この場合、発熱体の下面側には、発熱体の支持部材としての補強板、並びに断熱部材が配設されている。
【特許文献1】特許第3465712号公報
【特許文献2】特開2007−123159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献2の発熱体は、通電による該発熱体自身の熱膨張により上下にうねるように変形することで、その一部がトッププレートや補強板と離間し発熱体の周りに空隙部分が生じうる。従って、この種の発熱体では、前記の空隙部分で伝熱効率が低下すると共に異常な温度上昇を招くことで赤熱して脆くなり、ひいては断線する惧れがある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱効率を向上させることができるとともに加熱体の熱膨張による影響を低減させることができる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の加熱調理器は、被加熱調理器具が載置されるトッププレートと、前記トッププレートの下方に設けられ、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱コイルと、前記トッププレートと前記誘導加熱コイルとの間に配置され、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を加熱する板状加熱体と、を具備した加熱調理器において、前記板状加熱体は、通電することにより発熱する帯状のヒータと、前記ヒータを巻回するための巻回部を有する板状の絶縁基板とを具え、前記巻回部は、絶縁基板にその中心部から放射状に延びるように複数設けられると共に、周方向に隣り合う当該巻回部間の間隔が所定の角度内となるように設定され、前記ヒータは、周方向に隣り合う前記巻回部間に掛け渡されるように巻回されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、板状加熱体のヒータによって、被加熱調理器具をその材質に関りなく直接的に加熱することができ、加熱効率を高めることができる。
また、前記のヒータにおける巻回部間の長さ(線長)は、周方向に隣り合う巻回部間の角度が大きいと長くなり小さいと短くなる関係にある。それ故、上記構成によれば、周方向に隣り合う巻回部間の間隔を所定の角度内に設定することで、ヒータを各巻回部間に比較的短い線長にて巻回することができる。従って、通電によりヒータに熱膨張が生じても、各巻回部間におけるヒータの伸びの絶対量が小さくなり、その撓みも抑制されるため、ヒータのトッププレートに対する接触状態を良好に維持することができ、伝熱効率の低下やヒータの断線を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<第1実施例>
本発明の第1実施例による誘導加熱調理器を図2に示す。誘導加熱調理器10は、調理器本体11を構成する本体ケース12及びトッププレート13を備えている。
誘導加熱調理器10は、トッププレート13が重力方向において上方となるように設けられる。また、図2において、左方が誘導加熱調理器10の前方側であり、右方が誘導加熱調理器10の後方側である。誘導加熱調理器10は、調理器本体11に加熱ユニット14及び冷却ファン部15を備えている。
【0009】
本体ケース12は誘導加熱調理器10の主たる外郭を形成しており、本体ケース12の上方は、トッププレート13により覆われている。調理器本体11は、例えばシステムキッチンのカウンタートップ16に組み込まれることで(所謂ビルトインタイプ)、トッププレート13がカウンタートップ16に露出するようになっている。このトッププレート13の上面には、被加熱調理器具として二点鎖線で示す鍋17が載置される。トッププレート13の上に載置された鍋17は、本体ケース12に収容されている加熱手段によって加熱される。トッププレート13は、例えば強化耐熱ガラスなどによって矩形平板状に形成されている。トッププレート13は、後方に吸気用及び排気用の開口部18を有している。本実施例の場合、開口部18は、トッププレート13の後方において左側に排気用が設けられ、右側に吸気用が設けられている。調理器本体11の本体ケース12の内部には、加熱制御部19が収容されている。
【0010】
誘導加熱調理器10は、図3に示すように加熱手段を構成する加熱ユニット14として誘導加熱コイル21及び板状加熱体22を備えている。誘導加熱調理器10は、複数の誘導加熱コイル21、及び他の加熱手段であるシーズヒータからなるロースター機能など複数の加熱手段を備えている。また、誘導加熱調理器10は、例示した上記以外の加熱手段を備えていてもよい。これら他の加熱手段については、図示および説明を省略する。
【0011】
本実施例の場合、誘導加熱コイル21及び板状加熱体22は、加熱ユニット14を構成し、誘導加熱調理器10の平面視において同一の位置に設けられている。即ち、加熱ユニット14を構成する誘導加熱コイル21及び板状加熱体22は、本体ケース12の所定の位置に一体に支持されている。加熱ユニット14は、例えば圧縮コイルばねを有する弾性体23によりトッププレート13の下面に押し付けられている。これにより、加熱ユニット14は、トッププレート13の下面に密着している。
【0012】
加熱ユニット14について図4、図7も参照しながら説明する。ここで、図4は加熱ユニット14の分解斜視図であり、図7は、加熱ユニット14の一部を模式的に示す断面図である。加熱ユニット14は、図3及び図4に示すように誘導加熱コイル21及び板状加熱体22に加え、支持部材24及び断熱材25を有している。支持部材24は、誘導加熱コイル21のトッププレート13側に板状加熱体22を支持している。支持部材24は、誘導加熱コイル21と所定の隙間を形成して設けられている。これにより、加熱ユニット14の板状加熱体22と誘導加熱コイル21との間には、空気が流れる通路26が形成される(図3、図7参照)。
【0013】
支持部材24の中心部には中央孔24aが形成されると共に、中央孔24aの周りには図4に示すような扇状の切欠部24bが例えば90度間隔で形成されている。断熱材25は、板状加熱体22と誘導加熱コイル21との間に設けられている。断熱材25は、板状加熱体22から発生する熱が板状加熱体22から誘導加熱コイル21側へ伝達されるのを遮断する。断熱材25には、支持部材24と同様の中央孔25aと切欠部25bとが形成されている。この断熱材25の中央孔25a及び切欠部25bと、支持部材24の中央孔24a及び切欠部24bは互いに接続するように連なっている。
【0014】
冷却ファン部15は、図2に示すように本体ケース12の内側に設けられている。冷却ファン部15は、ファン27及びファンモータ28を有している。ファン27が回転することにより、吸気用の開口部18から吸入された空気は、加熱ユニット14及び加熱制御部19を経由して排気用の開口部18から排出される。これにより、冷却ファン部15は、冷却風の流れを形成し、加熱ユニット14及び加熱制御部19を冷却する。
【0015】
加熱制御部19は、図5に示すように高周波電流供給手段を構成するインバータ29に接続している。即ち、加熱制御部19は、インバータ29の主回路などを構成するIGBTなどの発熱性のスイッチング素子が実装された回路基板を有している。加熱制御部19の発熱性の素子は、冷却ファン部15で生じた風によって冷却される。
【0016】
次に、加熱ユニット14について詳細に説明する。
加熱ユニット14を構成する誘導加熱コイル21は、図4に示すように中空の円盤状に形成されている。誘導加熱コイル21は、トッププレート13から所定の距離離れた位置に支持されている。誘導加熱コイル21は、図3に示すように耐熱樹脂製のベースプレート31によって支持されている。ベースプレート31は、外周部の複数の位置に下方へ突出する筒状の脚部32を有している。図2に示すように、この脚部32と本体ケース12の内枠部材33との間に弾性体23が取り付けられている。これにより、ベースプレート31に支持されている誘導加熱コイル21は、トッププレート13側へ押し付けられている。誘導加熱コイル21に高周波電流を供給することにより、トッププレート13上に載置された鍋17には渦電流が発生する。この渦電流によって鍋17にはジュール熱が生じ、鍋17は加熱される。
【0017】
一方、加熱ユニット14を構成する板状加熱体22は、図1に示すように絶縁基板41とリボンヒータ42とを有している。本実施例において、絶縁基板41は、絶縁体としてセラミックスから形成されている。また、絶縁基板41は、熱伝導率の高いセラミックスで形成することが望ましい。リボンヒータ42は、帯状に形成され、特許請求の範囲のヒータを構成している。絶縁基板41を形成するセラミックスとしては、例えば窒化アルミニウム、窒化ケイ素あるいはアルミナなどを適用することができる。窒化アルミニウムは、熱伝導率が大きく、リボンヒータ42の熱を均一にトッププレート13側へ伝達する。一方、窒化アルミニウムは、衝撃に弱いという弱点がある。そこで、絶縁基板41を窒化ケイ素で形成することにより、窒化アルミニウムに比較して衝撃に対する強度を向上させることができる。また、絶縁基板41をアルミナで形成することにより、絶縁基板41を安価に形成することができる。これらのセラミックスの材質は、上記の例に限らず絶縁基板41を適用する誘導加熱調理器10の仕様による要求に応じて任意に変更可能である。
【0018】
絶縁基板41は、全体として略円板状に形成されており、周方向へほぼ等間隔で穴43とスリット44とを交互に有している。この場合、詳しくは後述するように、穴43及びスリット44は放射状に延び、両者の間隔は例えば45度に設定されている。穴43及びスリット44は絶縁基板41を板厚方向へ貫くように形成されていて、穴43は、絶縁基板41の径方向において両端部が絶縁基板41によって塞がれている。一方、スリット44は、絶縁基板41の径方向において外周側の端部が開放されている。絶縁基板41の中心部には、該絶縁基板41を板厚方向へ貫くセンサ穴45が設けられている。
【0019】
図1、図8に示すように、絶縁基板41には、その中心部から放射状に延びる複数の巻回部46が設けられている。詳細には、絶縁基板41において、穴43及びスリット44に臨み且つ周方向に対向する側壁部41a(図6参照)には、該絶縁基板41の周方向へ突出する複数の突起部48が一体的に設けられている。これら突起部48は、穴43及びスリット44に沿って径方向へ連なるように配設されており、各側壁部41aにおいて巻回部46を構成する。従って、絶縁基板41には、巻回部46が周方向に複数設けられている。そして、周方向に隣り合う巻回部46,46間の間隔は、所定の角度内となるように設定されており、本実施例では例えば穴43とスリット44との間隔と同じ45度に設定されている。ここで、周方向に隣り合う巻回部46,46とは、扇形の一対の半径に見立てることが可能な関係にある一対の巻回部46,46をいうものとする。
【0020】
突起部48近傍の構成について図6に基づき詳細に説明する。ここで図6(a)は、図1中P1で囲んだ領域の拡大図、図6(b)は、図6(a)中X1−X1線に沿う縦断面図を示している。
突起部48は、穴43及びスリット44を形成し且つ対向する側壁部41a,41aの一方から他方へ向けて突出しており、絶縁基板41の径方向の両端に夫々端部48a及び48bを有している。つまり、突起部48は、絶縁基板41の径方向において外周側の端部48a、内周側に端部48bを夫々有している。この突起部48と側壁部41aによって、折り返し部47が構成されている。
【0021】
そして、リボンヒータ42は、絶縁基板41のトッププレート13側(表面側)において、周方向に隣り合う巻回部46,46間に掛け渡されるように巻回されている。このリボンヒータ42は、巻回部46において折り返し部47に引っ掛けられつつ、折り返されている。この場合、リボンヒータ42の一部は、突起部48の端部48aと端部48bとの間において突起部48の誘導加熱コイル21側(裏面側)を通っており、折り返し部47で折り返されている部位のみが誘導加熱コイル21側へ露出している。
【0022】
本実施例では、前記のように突起部48が、穴43及びスリット44に沿って径方向へ複数設けられているとともに、この突起部48の列が、絶縁基板41の各側壁部41aに夫々設けられている、従って、板状加熱体22(絶縁基板41)は、径方向へ複数の折り返し部47を有すると共に、この折り返し部47の列を、周方向に複数有している。尚、絶縁基板41に設けられた穴43及びスリット44の本数および間隔、ならびに突起部48の形状などは任意に変更が可能である。
【0023】
突起部48の底となる絶縁基板41の側壁部41aから突起部48の先端までの距離、即ち突起部48の突出量は、以下の理由により設定されている。リボンヒータ42は、通電時の発熱によって膨張し、全長が増大する。このとき、リボンヒータ42の膨張量が過大になると、突起部48に引っ掛けられているリボンヒータ42は突起部48から外れる惧れがある。仮にリボンヒータ42が突起部48から外れると、隣接するリボンヒータ42に接触し、リボンヒータ42間での短絡などを招く惧れがある。そこで、本実施例では、突起部48の底から先端までの距離は、通電時における巻回部46,46間のリボンヒータ42の伸張量よりも大きく設定されている。
【0024】
また、本実施例では、絶縁基板41に対し二本のリボンヒータ42が配設されている。リボンヒータ42はヒータ線としての抵抗発熱材(通電されるとジュール熱を発する)からなり、夫々の端部が端子49として、絶縁基板41の端子穴50から外部へ取り出されている。これら一対のリボンヒータ42は、図1において絶縁基板41の上半部と下半部に上下対称となるように巻回されている。この場合、リボンヒータ42は、上記のように折り返し部47に引っ掛けられつつ折り返されることで大部分が表面側に位置し、且つ巻回部46,46間に周方向へ掛け渡されるように巻回される。こうして、リボンヒータ42は、各巻回部46,46間において絶縁基板41の外周側から内周側(或は内周側から外周側)へ順次巻回されている。
【0025】
ここで、巻回部46,46間のリボンヒータ42の巻回長さ(以下、リボンヒータ42の線長aと称す)について、図8の模式図を用いて説明する。図8(a)は板状加熱体22の要部を拡大して示す概略的な平面図で、同図(b)、(c)に示すように、リボンヒータ42の線長aを三角関数から演繹することができる。
【0026】
即ち、リボンヒータ42を、穴43に沿う巻回部46に対し略垂直に掛け渡して巻回する場合(図8(a)中、破線a1参照)、該巻回部46における絶縁基板41の中心部Aから該巻回位置(折り返し位置)B1までの距離(線分A,B1の長さ)をb1、巻回部46,46間の中心角をθとしたとき、リボンヒータ42の線長a1は例えば次式(1)で演算される(図8(b)参照)。
【0027】
a1=b1tanθ ・・・(1)
また、リボンヒータ42を周方向へ掛け渡して巻回する場合、換言すれば中心部Aから夫々の巻回部46における巻回位置(B2及びC2)までの距離b2及びc2が等しくなるように巻回する場合(b2=c2、図8(a)中、破線a2参照)、リボンヒータ42の線長a2は例えば次式(2)で演算される(図8(c)参照)。
【0028】
a2=2b2sin(θ/2) ・・・(2)
式(1)、(2)より、中心角θを所定の角度内に設定することで、リボンヒータ42の各線長a(a1,a2)は巻回位置に応じた所定の長さ(詳しくは第2実施例で述べる)の範囲内に規制されることとなる。従って、リボンヒータ42は、その線長aが各巻回部46,46間で比較的短くなるように巻回される。本実施例では、図1に示すように絶縁基板41の径方向において、リボンヒータ42は、その線長aが最短となる最短ヒータ部42aを絶縁基板41の内周(中心)側に有するとともに、線長aが最長となる最長ヒータ部42bを絶縁基板41の外周側に有する。そして、リボンヒータ42は、穴43に沿う巻回部46に対し略垂直に巻回されているため、最短ヒータ部42a及び最長ヒータ部42bの長さ寸法を式(1)により演算することができる。
【0029】
次に、誘導加熱調理器10の電気的構成について図5を参照しながら説明する。加熱制御部19は、調理器本体11の内部に設けられ、図示しないマイクロコンピュータによって構成されている。
【0030】
加熱制御部19には、操作部51及び温度センサ52が接続されている。操作部51は、調理器本体11の外側においてトッププレート13の前方に配置されており、入力された情報を操作信号として加熱制御部19に出力するようになっている。温度センサ52は、トッププレート13の温度を検出する。温度センサ52は、検出したトッププレート13の温度を電気信号として加熱制御部19に出力する。また、加熱制御部19は、トッププレート13上に載置された鍋17などの被加熱調理器具の材質を判定する材質判定手段としても機能する。加熱制御部19は、操作部51及び温度センサ52から入力された制御信号、及び予め記憶している制御プログラムなどに基づいて、インバータ29を制御する。これにより、加熱制御部19は、インバータ29を経由して誘導加熱コイル21に高周波電流を供給し、誘導加熱コイル21を制御する。また、誘導加熱コイル21には、共振コンデンサ53が直列に接続されている。これら誘導加熱コイル21及び共振コンデンサ53は、鍋17の材質に応じて出力を調整するために、コイルの巻数やコンデンサの容量が可変となる構成であることが望ましい。
【0031】
インバータ29は、商用交流電源54から整流回路55によって直流に変換された駆動用電源が供給される。同様に、通電制御部56は、商用交流電源54から板状加熱体22へ供給する電力を制御する。通電制御部56は、板状加熱体22に交流の電力を供給する。通電制御部56から板状加熱体22へ供給される電力は、加熱制御部19によって統括的に制御される。また、整流回路55の入力側およびインバータ29の出力側には、それぞれ電流トランス57、58が配置されている。この電流トランス57、58で検出された電流値は、いずれも加熱制御部19に入力される。これにより、加熱制御部19は、商用交流電源54から入力される入力電流値、及びインバータ29の出力電流値を検出する。
【0032】
加熱制御部19は、被加熱調理器具である鍋17が抵抗の大きな金属材料か否かを判定することにより、この鍋17の材質を判定する。例えば加熱制御部19は、一定の高周波電流を誘導加熱コイル21に供給し、入力電流とインバータ29の出力電流であるコイル電流との関係に基づいて鍋17の材質を判定する。例えば鉄などの強磁性体で鍋17が形成されている場合、誘導加熱コイル21が発生した磁束は鍋17を流れやすくなる。かつ、鍋17の底部において誘導加熱コイル21側に渦電流が集中する表皮効果も高くなる。そのため、誘導加熱コイル21の等価抵抗は増大する。一方、鍋17の材質がアルミニウムや銅などのように非磁性あるいは弱磁性であって比抵抗が小さい場合、誘導加熱コイル21によって発生した磁束は鍋17に到達しにくくなり、漏れ磁束も増大する。そして、比抵抗が小さく表皮効果も得にくいため、等価抵抗は減少する。その結果、加熱制御部19は、入力電流と出力電流との大小の変化に基づいて、鍋17の材質を判定することができる。従って、加熱制御部19は、鍋17の材質を判定するとともに、予め設定された入力電力設定値に基づいて鍋17の誘導加熱コイル21による加熱または板状加熱体22によるヒータ加熱を選択して実行することができる。
【0033】
次に、上記の構成による誘導加熱調理器10の作動について説明する。
被調理物を収容した鍋17をトッププレート13の所定位置に載置し、操作部51で必要な入力操作が行われると、加熱制御部19は鍋17の加熱を開始する。加熱制御部19が材質判定処理により鍋17の材質が高抵抗金属であると判定すると、加熱制御部19は通常の入力電力に基づいて誘導加熱コイル21による誘導加熱調理を実行する。一方、鍋17の材質が高抵抗金属でないと判定したとき、加熱制御部19は鍋17の材質がアルミニウム、銅もしくは非磁性ステンレスのような低抵抗の非磁性金属であるのか、土鍋のような非金属であるのか、もしくは無負荷であるのかを判定する。そして、鍋17が低抵抗金属であると判定すると、加熱制御部19は鍋17の底がトッププレート13により反発して移動するいわゆる「鍋浮き」を生じないように、予め設定された火力調整に基づいて誘導加熱調理を実行する。
【0034】
ここで、火力調整によって加熱電力が通常の入力電力設定値より小さくなった場合、加熱制御部19はその差の電力分を通電制御部56を経由して板状加熱体22に供給する。これにより、加熱制御部19は、トッププレート13に載置された鍋17を板状加熱体22により加熱する。また、鍋17が低抵抗の非磁性金属で形成されている場合、誘導加熱コイル21の等価抵抗は小さくなる。そのため、加熱制御部19は、インバータ29を経由して誘導加熱コイル21へ出力する電圧を、高抵抗の磁性金属の場合よりも低下させたり、電圧の周波数を上昇させたりする。これにより、加熱制御部19は加熱効率の向上を図る。
【0035】
また、鍋17が非金属で形成されている場合、または無負荷の場合、加熱制御部19は誘導加熱コイル21による誘導加熱を実行しない。そのため、加熱制御部19は、通常の入力電力設定値に等しい電力を通電制御部56から板状加熱体22へ供給し、板状加熱体22のみによる加熱を実行する。この場合、加熱制御部19は、鍋17が非金属であるのか、または無負荷であるのかを判定する必要がある。そこで、加熱制御部19は、温度センサ52によって板状加熱体22への通電が開始されてからのトッププレート13の温度変化を検出する。このとき、加熱制御部19は、トッププレート13の温度の変化が緩やかであれば土鍋などが載置されていると判定し、温度の変化が急激であれば無負荷であると判定する。
【0036】
鍋17などの被加熱調理器具が非金属材料であると判定したとき、加熱制御部19は板状加熱体22により鍋17の加熱を実行する。このとき、リボンヒータ42は、折り返し部47において裏面側を通る部分を除く大部分が上面側に設けられているため、リボンヒータ42から発生した熱は、大部分がトッププレート13を経由して鍋17へ伝達される。また、リボンヒータ42は比較的短い線長aで巻回されているので、通電によりリボンヒータ42に熱膨張が生じても、各巻回部46,46間におけるリボンヒータ42の夫々の伸張量が小さく撓みも抑制される。従って、鍋17は板状加熱体22により効率よく加熱される。
【0037】
この加熱が終了した後、トッププレート13及び板状加熱体22に熱が残っているため、加熱制御部19は、冷却ファン部15のファン27を回転駆動する。このとき、誘導加熱コイル21と支持部材24との間を流れる空気は、図7に示すように一部が断熱材25の切欠部25b及び支持部材24の切欠部24bを経由して板状加熱体22の裏面側へ流れる。そして、この空気の流れは、板状加熱体22の裏面側に位置するリボンヒータ42に接する。これにより、リボンヒータ42は、板状加熱体22の裏面側に位置する部分で放熱し、表面側に位置する部分も冷却される。その結果、鍋17の加熱によって温度が上昇していたトッププレート13は、冷却ファン部15による空気の流れによって急速に冷却される。
【0038】
以上のように、加熱制御部19は、鍋17などの被加熱調理器具の材質に応じて誘導加熱コイル21による加熱調理、板状加熱体22による加熱調理、またはこれらの組み合わせによる加熱調理を実行する。そして、加熱制御部19は、加熱調理が完了した後、冷却ファン部15を駆動することにより、トッププレート13及び板状加熱体22の冷却を促進する。
【0039】
以上説明したように、板状加熱体22のリボンヒータ42は、通電することにより発熱する。トッププレート13上に載置された鍋17などの被加熱調理器具は、発熱する板状加熱体22によって直接加熱される。従って、材質に関わらず鍋17などの被加熱調理器具を加熱することができるとともに、加熱効率を高めることができる。
【0040】
巻回部46を、絶縁基板41にその中心部Aから放射状に延びるように複数設けると共に、周方向に隣り合う巻回部46,46間の間隔を所定の角度内となるように設定し、リボンヒータ42を、該巻回部46,46間に掛け渡すように巻回した。これによれば、リボンヒータ42における巻回部46,46間の線長aを、上記の式(1)、(2)により演繹することができる。そして、前記中心角θを所定の角度内に設定することで、リボンヒータ42を、各巻回部46,46間に比較的短い線長aで巻回することができる。従って、通電によりリボンヒータ42に熱膨張が生じても、各巻回部46,46間におけるリボンヒータ42の伸びの絶対量が小さくなり、その撓みも抑制されるため、リボンヒータ42のトッププレート13に対する接触状態を良好に維持することができる。
【0041】
つまり、本実施例とは異なり、リボンヒータの線長が規制されていない場合(長尺な線長の場合)、例えばリボンヒータが熱膨張により上下にうねるように変形することで、絶縁基板に応力が作用するだけでなく、リボンヒータとトッププレートとの間に空隙部分が生じうる。この場合、前記空隙部分で伝熱効率が低下してリボンヒータの異常な温度上昇を招くため、リボンヒータが赤熱して脆くなり、ひいては断線する惧れがある。これに対し、本実施例では、リボンヒータ42の撓みを抑制することで、伝熱効率の低下やリボンヒータ42の断線の問題を解消して寿命を延ばすことができる。また、絶縁基板41に作用する応力が軽減するため、そのぶん絶縁基板41の厚みを薄く設定することができると共に、リボンヒータ42の伸びも抑制されるため、リボンヒータ42の突起部48からの外れを防止して、隣接するリボンヒータ42間での短絡などを無くすことができる。
【0042】
上記のように巻回されたリボンヒータ42は、最長ヒータ部42bにおいて通電時の伸張量が最大となる。この点、リボンヒータ42は、各巻回部46,46間に所定の長さの範囲内で巻回されているため、最長ヒータ部42bも含めて伸びや撓みを極力小さくすることができ、熱膨張による影響を確実に低減させることができる。
【0043】
巻回部46に、リボンヒータ42が折り返される折り返し部47を設けることにより、リボンヒータ42は、その大部分が絶縁基板41のトッププレート13側に設けられている。そのため、リボンヒータ42から発生した熱は、大部分がトッププレート13側における鍋17の加熱に用いられるので、リボンヒータ42による加熱効率を一層高めることができる。
また、リボンヒータ42は突起部48に引っ掛けられて片面側(トッププレート13側)へ折り返されている。そのため、リボンヒータ42の巻回作業は、絶縁基板41の片面側において周方向にリボンヒータ42を掛け渡し、巻回部46において突起部48に引っ掛けることを繰り返すことにより行われる。従って、絶縁基板41に対しリボンヒータ42を比較的容易に巻回することができ、板状加熱体22の組立工数を削減することができる。
【0044】
突起部48の突出量つまり突起部48の底から先端までの距離は、発熱時に膨張するリボンヒータ42の膨張量よりも大きく設定されている。そのため、発熱時において、突起部48からのリボンヒータ42の脱落は低減される。従って、突起部48から外れたリボンヒータ42同士の接触などを防止することができる。
第1実施例では、リボンヒータ42は、折り返し部47において突起部48で折り返される部分のみが誘導加熱コイル21側に露出する。これにより、板状加熱体22は、誘導加熱コイル21側への発熱量が小さい。そのため、誘導加熱コイル21は、板状加熱体22の発熱時に板状加熱体22から受ける熱的な影響が低減される。従って、板状加熱体22と誘導加熱コイル21との間の断熱が容易になり、構造を簡略化することができる。
【0045】
<第2実施例>
図9〜図13は、本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と異なるところを説明する。ここで、図9は図1相当図で、図10(a)及び(c)は図9中P2及びP3部分を拡大した概略図、図10(b)は図10(a)中X2−X2線に沿う縦断面図を示しており、第1実施例と同一部分には同一符号を付している。
【0046】
本実施例の板状加熱体59は、第1実施例の板状加熱体22と以下の点で相違する。即ち、絶縁基板60は、周方向に分割された複数個、例えば12個の分割基板61により構成されている。図10(b)に示すように、分割基板61は、前記のセラミックスからなるセラミックス板62と、硬質マイカからなるマイカ板63とを上下に重ねた複合材であって、セラミックス板62は分割基板61の表面部を、マイカ板63は裏面部を構成するように配置されている。
【0047】
分割面64,64(図13(a)参照)が対応する隣接した分割基板61のうちの一方の分割基板61には、内周部及び外周部の夫々に係合凸部65が一体的に設けられている。詳細には、図10(c)に示すように係合凸部65は、略円形をなす頭部65a及びこの頭部65aと分割面64とを繋ぐが如く頭部65aの径より幅狭な突出基部65bが形成され、頭部65aと突出基部65bとが一体となって係合凸部65を構成している。他方の分割基板61には、前記頭部65aより若干径大な穴部66a及びこの穴部66aの分割面64側近傍に突出基部65bより幅広な開放部66bが形成され、穴部66a及び開放部66bは係合凹部66を構成している。
【0048】
そして、隣り合った分割基板61、61同士を、隣り合った係合凸部65と係合凹部66とを嵌め込む(係合する)ことにより連結する。本実施例では、12個の分割基板61を環状に連結することにより絶縁基板60が構成され、係合凸部65及び係合凹部66は結合手段として機能する。尚、この結合手段は、分割基板61、61同士を連結ないし結合するものであればよく、上記構成に限定するものではない。
【0049】
分割基板61の分割面64側には、内周部と外周部を除く部分が幅狭となるように周方向に窪んだ側壁部(図13(a)参照)が形成されており、マイカ板63の側壁部63aにのみ、絶縁基板60の周方向へ突出する複数の突起部67が一体的に設けられている。これら突起部67は、各側壁部63aに沿って連なるように配置されることにより巻回部68を構成する(図9、図13(a)参照)。尚、突起部67の突出量は、突起部48と同様に、通電時における巻回部68,68間のリボンヒータ42の伸張量よりも大きく設定されている。
【0050】
この突起部67は折り返し部に相当し、その基端部には、平面視にて基端側が広がる「ハ」の字状をなし且つ突起部67の突出方向に対し45度傾斜した傾斜部(傾斜)67aが形成されている。そして、リボンヒータ42は、分割基板61の表面側において、巻回部68,68間に掛け渡されるように巻回されており、巻回部68において突起部67の傾斜部67aに引っ掛けられつつ、折り返されている。この傾斜部67aによって、リボンヒータ42は、巻回部68において隙間が生じないよう無駄なく折り返され、分割基板61ごとに適度な張力がかかった状態で巻回されている。また、リボンヒータ42の一部は、各突起部67(各傾斜部67a,67aの間)においてその裏面側を通ることで誘導加熱コイル21側へ露出しており、リボンヒータ42のその他の大部分は、セラミックス板62と接触している。
【0051】
本実施例の巻回部68は、分割基板61を環状に連結した状態において絶縁基板60の中心部から略放射状に延びると共に、巻回部68,68間の間隔は、絶縁基板60の径方向の途中から一定となるように設けられている。ここで、巻回部68,68間の中心角θとリボンヒータ42の線長aについて、図13の模式図を用いて説明する。
【0052】
図13(a)は分割基板61の一部を拡大して示す平面図であり、同図に示すようにリボンヒータ42は、最長ヒータ部42bが絶縁基板60の径方向の途中にあり(図13(a)中、破線a2参照)、最長ヒータ部42bより絶縁基板41の径方向外側において最長ヒータ部42bと同等の長さで巻回されている。この場合、巻回部68,68間の間隔は、最長ヒータ部42bが所定の長さ(例えば25mm)以下の寸法で巻回されるように設定されている。このように最長ヒータ部42bの長さを25mm以下にしたのは次の理由による。即ち、板状加熱体59により加熱を行う場合、リボンヒータ42の線長a如何によっては、リボンヒータ42が熱膨張で撓み異常な温度上昇が生じうる。そこで、発明者は実験を行い、リボンヒータ42の線長aを25mm以下に設定することで、前述した異常な温度上昇を抑制することができるという結果を得たのである。
【0053】
他方、図9、図13(b)に示すように、リボンヒータ42を周方向へ掛け渡して巻回する場合において、リボンヒータ42の線長をa2、中心部Aから最長ヒータ部42bの巻回位置(B2及びC2)までの距離をb2(=c2)としたとき、巻回部68,68間の中心角θは上記式(2)より次式(2´)で表される。
【0054】
θ=2arcsin(a2/2b2)・・・(2´)
式(2´)より、リボンヒータ42を所定の長さの範囲で巻回するための中心角θを算出することができる。従って例えば、最長ヒータ部42bの巻回部68における中心部Aからの距離b2が50mmのとき、リボンヒータ42の線長a2を25mm以下で巻回するには、中心角θを30度以内に設定すればよいといえる。
【0055】
また、図9に示すように、絶縁基板60(板状加熱体59)には水等の浸入を検出するための導体(以下、導線69と称す)が設けられている。導線69は、絶縁基板60に形成された複数の小孔70(図9ではその一部を図示)に挿通されることにより絶縁基板60に対し掛止されていて、絶縁基板60の外周部に環状配置された環状検出部69aと、環状検出部69aから周方向内側へ等間隔で突出する補助検出部69bとを有する。この導線69は、リボンヒータ42に近接しながらもリボンヒータ42と離間しており、且つ図11に示す電流制限用抵抗71を介して接地されている。また、本実施例の誘導加熱調理器10は、導線69に電流が流れたことを検知する電流トランス72と、報知手段としての報知部73を備えている。この電流トランス72の検知信号は加熱制御部19に与えられており、報知部73は例えば調理器本体11に内蔵されたブザーから構成されている。
【0056】
仮に、トッププレート13が割れる等してリボンヒータ42に水がかかると、その水を通じて導線69に電流が流れる。ここで、加熱制御部19は、電流トランス72の検知信号により導線69に電流が流れていると判断した場合には、リボンヒータ42を断電すると共に前記ブザーを鳴動させるようになっている。
【0057】
ところで、本実施例では、リボンヒータ42の大部分が絶縁基板60の表面側に位置する所謂片面ヒータにあって、セラミックス板62が絶縁基板60の表面部を、マイカ板63がその裏面部を構成している。これは、以下の理由によるものである。
【0058】
即ち、図12は板状加熱体59により湯沸かしを行うときの、リボンヒータ42の入力電力[W]とリボンヒータ42の温度[℃]との関係を示す図である。同図に示すように、リボンヒータ42の温度は、リボンヒータ42の入力電力に比例して上昇する。特に、リボンヒータ42の入力電力が1200Wを超えると、硬質マイカの使用上限温度たる500℃を上回ってしまう。つまり、絶縁基板の材料がマイカのみで構成されている場合、当該マイカは耐熱性に劣るため、1200Wを超える入力電力で使用できないという問題がある。そこで、本実施例では、耐熱性に優れたセラミックス板62にリボンヒータ42の大部分が接触するように配置して、絶縁基板60の耐熱性を向上させている。また、マイカ板63の突起部67にてリボンヒータ42を掛止する(折り返す)ことで、リボンヒータ42の熱膨張等により生じる応力に抗するようにしている。
【0059】
上記の構成により第2実施例では以下の効果が得られる。
周方向に隣り合う巻回部68,68間の間隔を所定の角度(例えば30度)以内に設定して、リボンヒータ42を、当該巻回部68,68間に所定の長さ(例えば25mm)の範囲内で巻回した。このように、リボンヒータ42の線長aを25mm以下で巻回することで、リボンヒータ42の熱膨張による異常な温度上昇を確実に抑制することができ、リボンヒータ42の熱膨張による影響を極力低減させることができる。
【0060】
また、最長ヒータ部42bは、少なくとも絶縁基板60の径方向の途中にあるので、巻回部68が絶縁基板60に放射状に配置された構成において、リボンヒータ42の外周側の線長aが長くなるのを抑制することができる。つまり、絶縁基板60の径寸法に関わりなく各巻回部68,68間におけるリボンヒータ42の長尺化が抑制されるため、リボンヒータ42の熱膨張による影響を低減させることができると共に、設計の自由度をも高めうる。
【0061】
また、リボンヒータ42は、最長ヒータ部42bより絶縁基板60の径方向外側において、最長ヒータ部42bと同等の長さで巻回されている。これによれば、リボンヒータ42の熱膨張による影響を低減させつつ、板状加熱体59の加熱性能を極力高めることができる。
絶縁基板60は、セラミックスとマイカとを用いた複合材からなるので、セラミックスの耐熱性とマイカの機械的強度を併せ持つ基板を構成することができ、絶縁基板60の寿命を延ばすことができる。
【0062】
セラミックス板62を、リボンヒータ42の大部分と接触するように絶縁基板60のトッププレート13側に配置したので、絶縁基板60を耐熱性に優れたものとすることができる。他方、マイカ板63の突起部67にてリボンヒータ42を掛止することで、リボンヒータ42の熱膨張等により生じる応力に充分に抗することができる。
折り返し部たる突起部67は傾斜部67aを有し、リボンヒータ42は傾斜部67aに対応して折り返されている。これによりリボンヒータ42を、巻回部68において隙間が生じないよう無駄なく折り返し、適度な張力がかかった状態で絶縁基板60に密着するように巻回することができる。従って、トッププレート13に対する板状加熱体59の密着性が高まるため、板状加熱体59からトッププレート13への熱の移動を促進することができ、加熱効率を高めることができる。
【0063】
接地された導線69を、リボンヒータ42の近傍にリボンヒータ42と離間して配置し、報知手段としての報知部73によって、導線69に電流が流れたことを報知するように構成した。これによれば、仮にトッププレート13が割れる等してリボンヒータ42に水がかかったとしても、これを報知部73によってユーザに報知することができ、使用上の安全性を高めることができる。この場合、加熱制御部19によりリボンヒータ42への通電が停止されるので、漏電や感電を防止することができる。また、仮に、絶縁基板60が劣化する等してリボンヒータ42と導線69とが接触した場合にも、報知部73によってユーザに報知することができ、総じて安全性に優れたものとすることができる。
【0064】
絶縁基板60を、周方向に分割された複数個の分割基板61により構成した。これによれば、分割基板61にリボンヒータ42を巻回した後、隣り合う分割基板61、61同士を連結することができるので、リボンヒータ42の巻回作業の簡単化を図ることができる。つまり、本実施例とは異なり非分割型の絶縁基板(例えば第1実施例の絶縁基板41)では、リボンヒータ42を比較的幅狭な穴43及びスリット44に通すようにして巻回するため面倒であるが、本実施例の絶縁基板60では、分割基板61の巻回時に他の分割基板61が邪魔にならず、又、分割基板61を周方向に密に配置することができる(換言すれば穴43及びスリット44に相当する部分を極力狭くできる)ので、加熱効率を高めることができる。更に、隣り合った分割基板61、61同士を、隣り合った係合凸部65と係合凹部66とを嵌め込むことにより簡単に連結することができ、板状加熱体59の組立工数を削減することができる。
【0065】
<その他の実施例>
第2実施例では接地された導線69を絶縁基板60の上面側に設けたが、分割基板61の下面側に設けるようにしてもよい。ここで、図14は、板状加熱体59の底面図であり、同図に示されるように導線69は、絶縁基板60の下面側において外周部に環状配置された環状検出部69cと、環状検出部69cから周方向内側へ等間隔で突出する補助検出部69dとを有する。この点、絶縁基板60の下面側においてリボンヒータ42が配置されていないスペースを利用して、補助検出部69dを絶縁基板60の中心側まで延びるように設けることができる。従って、リボンヒータ42の導線69に対する熱的影響を比較的少なくすることができると共に、絶縁基板60の外周部から中心部にわたって前述した水の侵入等の異常を検出することができる。この導線69を、第1実施例の絶縁基板41の上面側あるいは下面側に配置してもよい。
【0066】
上記実施例ではリボンヒータ42を、その大部分が絶縁基板41,60の表面側に位置するように巻回したが、所謂片面ヒータに限定するものではない。即ち、図15は絶縁基板41の一部を拡大して示す平面図であり、同図に示されるように絶縁基板41における穴43及びスリット44で挟まれた扇状部分に、リボンヒータ42が周回するように巻回された所謂両面ヒータでもよい。尚、図15では、リボンヒータ42が絶縁基板41の下面側に巻かれているのが破線で示されている。これと同様に、絶縁基板60においても分割基板61に、リボンヒータ42が周回するように巻回してもよい。
【0067】
リボンヒータ42を、最長ヒータ部42bより絶縁基板の径方向外側において、最長ヒータ部bよりも短い長さで巻回してもよい。つまり、例えば分割基板61を全体として太鼓状に形成し、その両側の曲線部に沿うような一対の巻回部を設けるようにしてもよい。また、本発明は、ビルトインタイプに限られず据置きタイプ等の加熱調理器全般にも適用できるものである。その他、本発明は、絶縁基板60の分割数(分割基板61の個数)を変更する等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施例を示す誘導加熱調理器の板状加熱体の平面図
【図2】誘導加熱調理器の概略構成を示す縦断面図
【図3】誘導加熱調理器の要部を拡大して示す縦断面図
【図4】加熱ユニットの構成を示す分解斜視図
【図5】誘導加熱調理器の電気的構成を示すブロック図
【図6】板状加熱体の折り返し部を拡大して示すものであり、(a)は平面図、(b)は図6(a)中X1−X1線に沿う縦断面図
【図7】加熱ユニットの要部を拡大して示す模式図
【図8】リボンヒータの線長および中心角を説明するための模式図で、(a)は板状加熱体の拡大平面図、(b)は巻回部とリボンヒータの関係を直角三角形に見立てた図、(c)は二等辺三角形に見立てた図
【図9】第2実施例を示す図1相当図
【図10】(a)及び(b)は図6相当図、(c)は図9中P3部分を拡大した概略図
【図11】図5相当図
【図12】湯沸時のリボンヒータの入力電力とリボンヒータの温度との関係を示す図
【図13】(a)及び(b)は、図8(a)及び(c)相当図
【図14】その他の実施例を示す板状加熱体の底面図
【図15】板状加熱体の一部を拡大して示す平面図
【符号の説明】
【0069】
図面中、10は誘導加熱調理器、13はトッププレート、17は鍋(被加熱調理器具)、21は誘導加熱コイル、22,59は板状加熱体、41,60は絶縁基板、42はリボンヒータ(ヒータ)、42aは最短ヒータ部、42bは最長ヒータ部、46,68は巻回部、47は折り返し部、48は突起部、62はセラミックス板(セラミックス)、63はマイカ板(マイカ)、67は突起部(折り返し部)、67aは傾斜部(傾斜)、69は導線(導体)、73は報知部(報知手段)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱調理器具が載置されるトッププレートと、
前記トッププレートの下方に設けられ、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱コイルと、
前記トッププレートと前記誘導加熱コイルとの間に配置され、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を加熱する板状加熱体と、を具備した加熱調理器において、
前記板状加熱体は、通電することにより発熱する帯状のヒータと、前記ヒータを巻回するための巻回部を有する板状の絶縁基板とを具え、
前記巻回部は、絶縁基板にその中心部から放射状に延びるように複数設けられると共に、周方向に隣り合う当該巻回部間の間隔が所定の角度内となるように設定され、
前記ヒータは、周方向に隣り合う前記巻回部間に掛け渡されるように巻回されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記ヒータは、前記絶縁基板の径方向において、前記巻回部間の巻回長さが最短となる最短ヒータ部と前記巻回部間の巻回長さ最長となる最長ヒータ部とを有し、前記巻回部間に所定の長さの範囲内で巻回されていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記最長ヒータ部は、少なくとも前記絶縁基板の径方向の途中にあることを特徴とする請求項2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記ヒータは、前記最長ヒータ部より前記絶縁基板の径方向外側において、最長ヒータ部と同等の長さで巻回されていることを特徴とする請求項2または3記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記絶縁基板は、セラミックスとマイカとを用いた複合材からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記巻回部に折り返し部を設け、前記ヒータは、前記折り返し部において折り返されて前記絶縁基板の前記誘導加熱コイル側に設けられているとともに、その他の部分が前記絶縁基板の前記トッププレート側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記セラミックスは、前記ヒータの前記その他の部分と接触するように前記絶縁基板の前記トッププレート側に配置されていることを特徴とする請求項6記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記折り返し部は傾斜を有し、前記ヒータは前記傾斜に対応して折り返されていることを特徴とする請求項6または7記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記ヒータの近傍に当該ヒータと離間して配置され、且つ接地された導体と、
前記導体に電流が流れたことを報知する報知手段とを有することを特徴とする請求項1乃至8記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記導体は、前記絶縁基板の上面側あるいは下面側に配置されていることを特徴とする請求項9記載の加熱調理器。
【請求項1】
被加熱調理器具が載置されるトッププレートと、
前記トッププレートの下方に設けられ、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を誘導加熱する誘導加熱コイルと、
前記トッププレートと前記誘導加熱コイルとの間に配置され、前記トッププレート上に載置された被加熱調理器具を加熱する板状加熱体と、を具備した加熱調理器において、
前記板状加熱体は、通電することにより発熱する帯状のヒータと、前記ヒータを巻回するための巻回部を有する板状の絶縁基板とを具え、
前記巻回部は、絶縁基板にその中心部から放射状に延びるように複数設けられると共に、周方向に隣り合う当該巻回部間の間隔が所定の角度内となるように設定され、
前記ヒータは、周方向に隣り合う前記巻回部間に掛け渡されるように巻回されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記ヒータは、前記絶縁基板の径方向において、前記巻回部間の巻回長さが最短となる最短ヒータ部と前記巻回部間の巻回長さ最長となる最長ヒータ部とを有し、前記巻回部間に所定の長さの範囲内で巻回されていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記最長ヒータ部は、少なくとも前記絶縁基板の径方向の途中にあることを特徴とする請求項2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記ヒータは、前記最長ヒータ部より前記絶縁基板の径方向外側において、最長ヒータ部と同等の長さで巻回されていることを特徴とする請求項2または3記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記絶縁基板は、セラミックスとマイカとを用いた複合材からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記巻回部に折り返し部を設け、前記ヒータは、前記折り返し部において折り返されて前記絶縁基板の前記誘導加熱コイル側に設けられているとともに、その他の部分が前記絶縁基板の前記トッププレート側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記セラミックスは、前記ヒータの前記その他の部分と接触するように前記絶縁基板の前記トッププレート側に配置されていることを特徴とする請求項6記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記折り返し部は傾斜を有し、前記ヒータは前記傾斜に対応して折り返されていることを特徴とする請求項6または7記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記ヒータの近傍に当該ヒータと離間して配置され、且つ接地された導体と、
前記導体に電流が流れたことを報知する報知手段とを有することを特徴とする請求項1乃至8記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記導体は、前記絶縁基板の上面側あるいは下面側に配置されていることを特徴とする請求項9記載の加熱調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−252632(P2009−252632A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101380(P2008−101380)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
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