加速度センサの製造方法、1軸加速度センサ
【課題】ピエゾ抵抗素子の形成位置の精度を高め、加速度センサの歩留まりを向上させる。
【解決手段】単結晶シリコンからなる基板の表層に不純物を導入することによってピエゾ抵抗部を形成し、非原型領域のうち、可撓部Fの原型領域の第三端および第四端に隣接し前記第三端と第四端とからそれぞれ一定距離の幅を有する側壁形成領域において、前記基板の表面に、前記基板に対するエッチング選択性を有する側壁14aを形成し、可撓部Fの原型領域および錘部Mの原型領域および枠部Sの原型領域を保護する保護部と、側壁14aとをマスクに用いて前記基板を異方性エッチングすることにより、枠部Sと錘部Mと可撓部Fとを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部からピエゾ抵抗素子P1、P2、P3、P4を形成する。
【解決手段】単結晶シリコンからなる基板の表層に不純物を導入することによってピエゾ抵抗部を形成し、非原型領域のうち、可撓部Fの原型領域の第三端および第四端に隣接し前記第三端と第四端とからそれぞれ一定距離の幅を有する側壁形成領域において、前記基板の表面に、前記基板に対するエッチング選択性を有する側壁14aを形成し、可撓部Fの原型領域および錘部Mの原型領域および枠部Sの原型領域を保護する保護部と、側壁14aとをマスクに用いて前記基板を異方性エッチングすることにより、枠部Sと錘部Mと可撓部Fとを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部からピエゾ抵抗素子P1、P2、P3、P4を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に関し、特に、加速度センサの製造方法およびその製造方法によって製造された1軸加速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、片持ち梁型の加速度センサが知られている(例えば特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−150066号公報
【特許文献2】特開平9−237901号公報
【特許文献3】特開平9−232596号公報
【特許文献4】特開平11−160346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加速度センサでは、梁に対するピエゾ抵抗素子の形成位置のずれによって、加速度センサとしての感度にばらつきが生じやすく、歩留まりが低い。特許文献2,特許文献3においても、梁や錘、枠部の取り付け精度を高めることが困難であり、また、梁に対するピエゾ抵抗素子の配置精度を高めることも困難であるため、加速度センサとしての特性がばらつく。また、特許文献2,3の製造方法では加速度センサ自体を小型化することも困難である。特許文献4では、梁の表面と裏面の両方にピエゾ抵抗素子を形成するため、製造工程が増える。
本発明は、ピエゾ抵抗素子の形成位置の精度を高め、加速度センサの歩留まりを向上させることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記目的を達成するための加速度センサの製造方法は、矩形形態を有する可撓部の原型領域であって、第一端が枠部の原型領域の内側と結合し、前記第一端と対向する第二端が前記枠部の内側にある錘部の原型領域と結合している前記可撓部の原型領域の外側、かつ、前記枠部の原型領域の内側、かつ、前記錘部の原型領域の外側にある非原型領域内の、少なくとも前記可撓部の原型領域の残りの第三端および第四端に隣接し前記第三端と前記第四端とからそれぞれ一定距離以上の幅を有する領域において、単結晶シリコンからなる基板の表層に不純物を導入することによってピエゾ抵抗部を形成し、前記非原型領域のうち、少なくとも前記可撓部の原型領域の前記第三端および前記第四端に隣接し前記第三端と第四端とからそれぞれ前記一定距離の幅を有する側壁形成領域において、前記基板の表面に、前記基板に対するエッチング選択性を有する側壁を形成し、前記可撓部の原型領域および前記錘部の原型領域および前記枠部の原型領域を保護する保護部と、前記側壁と、をマスクに用いて前記基板を異方性エッチングすることにより、枠部と錘部と可撓部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部からピエゾ抵抗素子を形成する、ことを含む。
【0006】
本発明の製造方法によると、第三端と第四端とをつなぐ方向に最も外側の可撓部の部分に、可撓部の歪みを検出するためのピエゾ抵抗素子を配置することができる。第三端と第四端とをつなぐ方向に加速度が働くとき、応力が最大となるのは、前述の最も外側の部分であるため、本製造方法によると感度の高い加速度センサを製造することができる。同様にこの製造方法によると、フォトリソグラフィによるフォトレジストのアラインメントずれ等によって、可撓部の第三端と第四端とをつなぐ方向の中点を通り当該方向に垂直な可撓部の中心線を基準に可撓部内における対称の位置にピエゾ抵抗素子を配置できない等ということが発生しないため、歩留まりを向上させることができる。
例えば、本発明の製造方法で製造するのが1軸加速度センサであって、可撓部が枠部の開口面に平行な方向に薄く当該方向(可撓分の厚さ方向。基板の厚さ方向とは直交する)に撓む構成である場合、当該方向に加速度が働いたとき、板ばね様に撓む可撓部において最も応力が大きくなるのは、板ばね形の可撓部の厚さ方向の両端面であるため、可撓部の厚さ方向の両端面を含む可撓部の厚さ方向の最も外側の部分に、ピエゾ抵抗素子を配置することができるこの製造方法によると、感度が高い1軸加速度センサを製造することができる。また、可撓部の厚さ方向に可撓分を薄くしたい場合(板ばねの厚さが薄いほど加速度検出の感度は高くなる)も、この製造工程によると上述のように可撓部の厚さ方向の最も外側の部分にピエゾ抵抗素子を配置することができるため、製造工程における歩留まりを低下させることなく、感度がより高い1軸加速度センサを製造することができる。
なお、可撓部の原型領域は、完成状態の可撓部より側壁形成領域の幅(=一定距離)分内側にある。すなわち、ピエゾ抵抗部は非原型領域に形成されるが、最後の異方性エッチングにより、側壁形成領域におけるピエゾ抵抗部が残存するため、可撓部の一部となる。なお、側壁が形成されるのは、少なくとも可撓部の第三端と第四端とそれぞれ隣接し一定距離の幅を有する領域であればよいが、枠部原型領域の内側に隣接し枠部の原型領域の内周(可撓部の原型領域との結合箇所を除く)から一定距離の幅を有する領域に側壁が形成されてもよいし、また、錘部の原型領域の外側に隣接し錘部の原型領域の外周(可撓部の原型領域との結合箇所を除く)から一定距離の幅を有する領域に側壁が形成されてもよい。その場合、完成状態の錘部は、錘部の原型領域と当該原型領域の外側の側壁形成領域とでなす領域に形成されたものを指し、完成状態の枠部は、枠部の原型領域と当該原型領域の内側の側壁形成領域とでなす領域に形成されたものを指す。錘部の原型領域の外側に側壁が形成されない場合、完成状態の錘部が占める領域と錘部の原型領域とは同一である。また、枠部の原型領域の内側に側壁が形成されない場合、完成状態の枠部が占める領域と枠部の原型領域とは同一である。
【0007】
(2)上記目的を達成するための加速度センサの製造方法において、前記ピエゾ抵抗部を形成する前に、前記基板の一方の主面に絶縁層を形成し、前記非原型領域において、前記絶縁層を除去して前記基板を露出させることにより、前記基板を底面とし前記絶縁層を内壁とする凹部を形成し、前記凹部を形成した後、残存している前記絶縁層をマスクに用いて、前記凹部の底面に露出している前記基板の表層に不純物を導入することにより、前記凹部の底面に露出している前記基板の表層に前記ピエゾ抵抗部を形成し、前記絶縁層の表面および前記凹部の内部に犠牲層を形成し、前記犠牲層をエッチバックして、前記絶縁層の表面および前記凹部の底面を露出させ、前記犠牲層のエッチバックに伴って前記凹部の内壁と底面とがなす隅部としての前記側壁形成領域に残存した前記犠牲層を示す前記側壁と、前記保護部として機能する前記絶縁層と、をマスクに用いて前記基板を異方性エッチングすることにより、前記可撓部と前記枠部と前記錘部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部からピエゾ抵抗素子を形成してもよい。
【0008】
この製造方法によると、上記(1)で説明した効果に加え、次のような効果を奏する。この製造方法では、それぞれのピエゾ抵抗素子は、可撓部の厚さ方向において膜厚精度程度に高精度に同じ幅で形成することができる。そのため、加速度センサの歩留まりを向上させることができるとともに、それらのピエゾ抵抗素子で構成するブリッジ回路のオフセット調整の必要性を低減することができる。その理由は次の通りである。
【0009】
エッチバックによって隅部に犠牲層を残存させる(2)の製造方法では、可撓部の厚さ方向の両端に、膜厚精度程度に一定幅で犠牲層を残存させることができる(ピエゾ抵抗部は、可撓部の原型領域の第三端および第四端の外側に隣接する領域に露出している基板の表層に形成されている)。そのため、残存した一定幅の犠牲層(側壁)と可撓部の原型領域の絶縁層とをマスクにして、基板をエッチングすると、側壁および絶縁層と重なっていない領域の基板が除去される。すなわちこのとき、側壁と重なっていない領域のピエゾ抵抗部は除去され、側壁と重なっている領域のピエゾ抵抗部が側壁の下に残り、ピエゾ抵抗素子となる。そのためこのようにして形成されたピエゾ抵抗素子は、可撓部の厚さ方向の両端面を含む可撓部の最も外側の部分に、膜厚精度程度に一定幅で残存している犠牲層(側壁)と同じ幅となる。
【0010】
(3)上記目的を達成するための加速度センサの製造方法において、前記ピエゾ抵抗部を形成する前に、前記基板の一方の主面に絶縁層を形成し、前記非原型領域から、前記枠部の原型領域および前記錘部の原型領域および前記可撓部の原型領域のいずれからも一定距離を保って離間する領域を除いた前記側壁形成領域において、前記絶縁層を除去して前記基板を露出させることにより、前記基板を底面とし前記絶縁層を内壁とする凹部を形成し、前記凹部を形成した後、残存している前記絶縁層をマスクに用いて、前記凹部において露出している前記基板の表層に不純物を導入することにより、前記凹部において露出している前記基板の表層にピエゾ抵抗部を形成し、前記絶縁層の表面に前記犠牲層を形成するとともに、前記凹部を前記犠牲層で充填し、前記絶縁層が露出するまで前記犠牲層を平坦化することによって、前記側壁を形成し、前記保護部と前記側壁とをマスクに用いて、前記絶縁層と前記基板を異方性エッチングすることによって、枠部と可撓部と錘部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部からピエゾ抵抗素子を形成してもよい。
【0011】
この製造方法によると、ピエゾ抵抗素子と、可撓部をエッチングにより形成する際のマスク(可撓部の輪郭を決定する)として利用する側壁とを、側壁形成領域に形成された凹部を共用して形成する。そのため、上記(1)で示した効果と同様の効果を奏する。
【0012】
また、この製造方法では、凹部形成の際、平坦な絶縁層上にフォトレジストを塗布しフォトリソグラフィを行い、高精度に凹部パターンが形成された保護層を用いて凹部を形成することができる。すなわち凹部の幅は高精度に「一定距離」で形成することができる。そのため、凹部の底面の表層に形成されるピエゾ抵抗部(最終的には各ピエゾ抵抗素子)の幅を高精度に一定にすることができる。そのため、加速度センサの歩留まりを向上させることができるとともに、それらのピエゾ抵抗素子で構成するブリッジ回路のオフセット調整の必要性を低減することができる。また、犠牲層のエッチバック後、凹部に残存する犠牲層(側壁)の表面は、上記(2)の隅部に残存する犠牲層と比較すると平坦である。そのため、最後に絶縁層や基板をエッチングする際に用いる保護部のパターンをフォトリソグラフィにより高精度に形成できる。その結果、可撓部等を形成するためのエッチングを高精度に実施することができる。
【0013】
(4)上記目的を達成するための加速度センサの製造方法において、前記非原型領域から、前記枠部の原型領域および前記錘部の原型領域および前記可撓部の原型領域のいずれからも一定距離を保って離間する領域を除いた前記側壁形成領域において、前記基板の表層を除去することにより、凹部を形成し、前記凹部の底面の表層に不純物を導入することにより、前記凹部の底面の表層にピエゾ抵抗部を形成し、前記基板の表面を酸化させ、前記凹部を酸化膜で充填することによって、前記凹部に前記側壁を形成し、前記保護部と、前記側壁と、をマスクに用いて、前記基板を異方性エッチングすることによって、前記枠部と前記可撓部と前記錘部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部からピエゾ抵抗素子を形成してもよい。
【0014】
この製造方法によると、各ピエゾ抵抗素子の形成と、可撓部をエッチングにより形成する際のマスクとして利用する酸化膜(側壁)の形成とを、同じ凹部を共用して行う。そのため、上記(1)で示した効果と同様の効果を奏する。
【0015】
また、この製造方法では、凹部形成の際、平坦面(基板の表面)上にフォトレジストを塗布してフォトリソグラフィを行うことによって高精度に凹部パターンが転写された保護層を用いてエッチングにより凹部を形成することができる。すなわち凹部の幅は高精度に「一定距離」で形成することができる。そのため、凹部の底面の表層に形成されるピエゾ抵抗部(最終的には各ピエゾ抵抗素子)の幅を高精度に一定にすることができる。その結果、加速度センサの歩留まりを向上させることができるとともに、それらのピエゾ抵抗素子で構成するブリッジ回路のオフセット調整の必要性を低減することができる。
【0016】
(5)上記目的を達成するための1軸加速度センサは、上記(1)〜(4)のいずれかの製造方法によって製造された1軸加速度センサであって、前記枠部の開口面に平行な方向に撓む板ばね形を有する前記可撓部であって、前記可撓部の原型領域の前記第三端および前記第四端の外側に隣接して前記側壁が形成されている前記可撓部と、前記可撓部の原型領域の前記第一端と内側において結合する前記枠部と、前記可撓部の原型領域の前記第二端と結合する前記錘部と、前記側壁の下層に、前記第一端または前記第二端と平行な方向において前記側壁の幅と同じ幅で形成されているピエゾ抵抗素子と、を備える。
【0017】
本発明によると、板ばね形の可撓部の厚さ方向の両端面を含む可撓部の厚さ方向の最も外側の部分(可撓部を構成する絶縁層の両側面に残存している犠牲層の下の部分)にピエゾ抵抗素子を配置されているため、加速度センサの感度が高い。また、この製造方法によって製造された加速度センサにおいては、フォトリソグラフィによるフォトレジストのアラインメントずれ等によって、可撓部の厚さ方向の中点を通り厚さ方向に垂直な方向の中心線からの距離が等しい位置にピエゾ抵抗素子を配置できない等ということが発生しない。また、それぞれのピエゾ抵抗素子は、可撓部の厚さ方向において高精度に同じ幅で形成されているため、それらのピエゾ抵抗素子で構成するブリッジ回路のオフセット調整の必要性を低減することができる。
【0018】
尚、請求項において「〜上に」というときは、技術的な阻害要因がない限りにおいて「上に中間物を介在させずに」と「〜上に中間物を介在させて」の両方を意味する。「〜下に」というときも同様に、技術的な阻害要因がない限りにおいて「下に中間物を介在させずに」と「〜下に中間物を介在させて」の両方を意味する。また、請求項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行されなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(1A)は第一実施形態にかかる加速度センサの上面図、(1B)〜(1D)はその断面図。
【図2】(2A)は第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(2B)はその断面図。
【図3】第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す断面図。
【図4】(4A)は第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(4B)および(4C)はその断面図。
【図5】(5A)は第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(5B)および(5C)はその断面図。
【図6】第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す断面図。
【図7】(7A)は第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(7B)〜(7D)はその断面図。
【図8】(8A)は第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(8B)はその断面図。
【図9】第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す断面図。
【図10】(10A)は第二実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(10B)および(10C)はその断面図。
【図11】(11A)は第二実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(11B)はその断面図。
【図12】第二実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す断面図。
【図13】第二実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す断面図。
【図14】(14A)は第二実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(14B)および(14C)はその断面図。
【図15】(15A)は第二実施形態の変形例3にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(15B)および(15C)はその断面図。
【図16】(16A)は第二実施形態の変形例3にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(16B)および(16C)はその断面図。
【図17】(17A)は第二実施形態の変形例3にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(17B)および(17C)はその断面図。
【図18】(18A)は第三実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(18B)はその断面図。
【図19】第三実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す断面図。
【図20】(20A)は第三実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(20B)および(20C)はその断面図。
【図21】(21A)は第三実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(21B)および(21C)はその断面図。
【図22】(22A)は第三実施形態の変形例1にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(22B)および(22C)はその断面図。
【図23】(23A)〜(23C)は他の実施形態にかかる加速度センサを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら以下の順に説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0021】
1.第一実施形態
(構成)
図1は、本発明による1軸加速度センサ(以降、単に加速度センサという)の第一実施形態を示している。図1Aは加速度センサ1の上面図、図1Bは図1AのBB線における断面図、図1Cは図1AのCC線における断面図、図1Dは図1AのDD線における断面図を示している。説明の便宜のために図1に示すように直交するxyz軸を定める(静止状態における可撓部Fの長手方向をx軸とし、静止状態における可撓部Fの短手方向(板ばね形の可撓部Fの厚さ方向)をy軸とし、xy軸に直交する軸をz軸とする)。加速度センサ1はy軸方向の加速度を検出するセンサである。加速度センサ1はMEMSとして構成され、単結晶珪素(Si)からなるバルク層10、二酸化珪素(SiO2)等からなる絶縁層11、アルミニウム(Al)等からなる配線部13、SiO2あるいはSixNy等からなる側壁14a(残存する犠牲層)などで構成される積層構造体である。加速度センサ1は、図示しないパッケージに収容され、パッケージ内部に枠部Sが固定される。
【0022】
加速度センサ1は、矩形枠形態を有する枠部Sと、枠部Sの内側に一端が結合している板ばね形の可撓部Fと、可撓部Fの他端に結合している錘部Mと、可撓部Fのx軸方向およびy軸方向の両端部に設けられたピエゾ抵抗素子P1〜P4を備えている。加速度センサ1は、錘部Mに作用する力に応じた可撓部Fの変形をピエゾ抵抗素子P1〜P4によって電気信号に変換することによって加速度を検出することができる。
【0023】
枠部Sは、バルク層10と絶縁層11とで主に構成される。枠部Sを構成する矩形枠形状の絶縁層11(枠部の原型領域S0(図4参照)に形成されている絶縁層11)の可撓部Fとの結合部分を除く内周面には、側壁14aが形成されている。枠部Sを構成する矩形枠形状の絶縁層11の内周面は、枠部Sの内周面から、側壁14aの幅W3(x軸方向の幅またはy軸方向の幅)分、外周側にある。例えば、バルク層10の厚さ(z軸方向)は625μm、絶縁層11の厚さは2μm、側壁14aの厚さは2μmである。枠部Sのサイズは、x軸方向またはy軸方向の全長W1が800μm、枠幅W2が100μmである。側壁14aの幅W3は1.5μmである。
【0024】
錘部Mは直方体の形状を有しており、バルク層10と絶縁層11とで主に構成される。錘部Mを構成する絶縁層11(錘部の原型領域M0(図4参照)に形成されている絶縁層11)の可撓部Fとの結合部分を除く外周面には、側壁14aが形成されている。錘部Mを形成する絶縁層11の外周面は、錘部Mの外周面より、側壁14aの幅W3分、内側にある。
【0025】
可撓部Fは、y軸方向に薄い板ばね形を有している。xy平面では矩形形態を有している。可撓部の原型領域F0(図4参照)の第一端e1は枠部の原型領域S0と結合しており、第一端に対向する可撓部の原型領域の第二端e2は錘部Mの原型領域M0と結合している。矩形形態の可撓部の原型領域F0の残りの端を、第三端e3、第四端e4と呼ぶ。可撓部Fを構成する絶縁層11(可撓部の原型領域F0に形成されている絶縁層11)のy軸方向の両側面(第三端e3を含む側面と第四端e4を含む側面)には側壁14aが形成されている。可撓部Fを構成する絶縁層11のy軸方向の両側面は、可撓部Fのy軸方向の両側面より、側壁14aの幅W3分、内側にある。可撓部Fは、バルク層10と絶縁層11とで主に構成される。以上説明したように、可撓部Fと枠部Sと錘部Mは同じ積層構造を有しており、z軸方向の厚さが等しい。
【0026】
可撓部Fのx軸方向およびy軸方向の両端部のバルク層10には、前述のピエゾ抵抗素子P1〜P4が形成されている。ピエゾ抵抗素子P1〜P4は、x軸方向がy軸方向よりも長く形成されている。ピエゾ抵抗素子P1とピエゾ抵抗素子P2の配列方向、およびピエゾ抵抗素子P3とピエゾ抵抗素子P4の配列方向は、y軸方向に平行である。また、ピエゾ抵抗素子P1とピエゾ抵抗素子P4の配列方向、およびピエゾ抵抗素子P2とピエゾ抵抗素子P3の配列方向は、x軸方向に平行である。
【0027】
ピエゾ抵抗素子P1〜P4は、可撓部Fの歪みを検出するためのブリッジ回路を構成する。ピエゾ抵抗素子P1〜P4が形成されている位置は、可撓部Fを形成する絶縁層11のy軸方向の両側面にある側壁14aの形成位置と重なる。すなわち、ピエゾ抵抗素子P1〜P4のy軸方向の幅は、図1Aおよび図1Dに示すように、可撓部Fを形成する絶縁層11の両側面の側壁14aのy軸方向の幅W3と等しい。なお、ブリッジ回路におけるリファレンス抵抗とするために、ピエゾ抵抗素子P3、P4は枠部Sに配置するようにしてもよい。
【0028】
ピエゾ抵抗素子P1〜P4の長手方向の両端に隣接して低抵抗部60が形成されている。低抵抗部60と重なる位置の絶縁層11には、コンタクトホールH1が形成されており、ピエゾ抵抗素子P1〜P4は低抵抗部60を介してコンタクトホールH1内の配線部13に接続する。
【0029】
(動作)
可撓部F、錘部M、枠部Sのz軸方向の厚さが等しいため、加速度センサ1はz軸方向やx軸方向に加速しても可撓部Fは変形しない。加速度センサ1がy軸方向に加速したとき、錘部Mは枠部Sに対して運動するため、その運動に伴って可撓部Fは弓なりの形状に変形する。可撓部Fが変形すると、可撓部Fに設けられたピエゾ抵抗素子P1〜P4が変形することによって抵抗値が変化し、ブリッジ回路の出力電圧が変化する。この出力電圧の変化から加速度を導出することができる。本実施形態の加速度センサ1では、ピエゾ抵抗素子P1〜P4の可撓部Fにおける配置精度が高いため、加速度センサとしての感度が高い。このような加速度センサは次のようにして製造することができる。
【0030】
(製造方法)
図2〜図9は加速度センサ1の製造方法を説明するための上面図および断面図である。まず、図2Aおよび図2Bに示すように、バルク層10としての単結晶シリコン基板の一方の主面上にフォトレジストからなる保護層R1を形成し、保護層R1の開口において露出しているバルク層10の表層に不純物イオンを導入し低抵抗部60を形成する。例えば、不純物イオンとしてホウ素(B)イオンを2×1020/cm3の濃度で注入する。保護層R1を除去した後、アニール処理を行い、注入した不純物イオンを活性化させる。
【0031】
続いて、図3に示すように、低抵抗部60が形成されている基板の表面(バルク層10および低抵抗部60の表面)に絶縁層11を形成する。絶縁層11としては例えば、プラズマ−CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて厚さ2μmのSiO2あるいはSixNyを成膜する。LP(Low Pressure)−CVDを用いてSiOxNyを成膜してもよい。
【0032】
絶縁層11を形成した後、図4A、図4Bおよび図4Cに示すように、フォトレジストからなる保護層R2を用いて、絶縁層11をエッチングして凹部30(バルク層10を底面とし絶縁層11を内壁とする凹部)を形成する。凹部30は、枠部の原型領域S0の内側でかつ、可撓部の原型領域F0の外側でかつ、錘部の原型領域の外側にある非原型領域A1(加速度センサ1の完成状態において枠部Sと錘部Mと可撓部Fとの間の空間の領域+後述する側壁形成領域A3)において、絶縁層11が除去されバルク層10が露出した状態であるために出現する凹部である。絶縁層11のエッチングには、例えばCHF3を用いた反応性イオンエッチング法を用いる。その後、保護層R2を除去する。
【0033】
続いて、図5A、図5Bおよび図5Cに示すように、2つの開口50,51が形成された保護層R3(フォトレジスト)を絶縁層11やバルク層10の表面に形成する。保護層R3に形成された開口50,51は、可撓部Fの原型領域F0のx軸方向の両端部(第一端およびその近傍と、第二端およびその近傍)と、原型領域F0の外側において当該両端部と隣接する領域とを露出させている。そして、図5A〜図5Cに示すように、保護層R3と、開口50,51において露出している絶縁層11とをマスクとして用いて、バルク層10に不純物イオンを導入し、バルク層10の表層に4つのピエゾ抵抗部Pを形成する。例えば、ホウ素(B)イオンを2×1018/cm3の濃度で150KeVの加速電圧でイオン注入する。保護層R3を除去後、アニール処理を行い、注入した不純物イオンを活性化させる。開口50,51が形成される領域A2には、可撓部Fの原型領域F0に形成されている絶縁層11のx軸方向の両端部と、当該絶縁層11のx軸方向の両端部をはさんで原型領域F0のy軸方向の両外側に隣接する領域とが含まれている。4つのピエゾ抵抗部Pは、開口50,51の底面の領域A2から、絶縁層11が残存している領域および低抵抗部60が形成されている領域を除いた部分に形成される。
【0034】
続いて、図6に示すように、バルク層10および絶縁層11の表面に犠牲層14を形成する。例えば、犠牲層14として、厚さ1.5μmのSiO2あるいはSixNyを、プラズマCVD法を用いて形成する。LP−CVD法を用いてSixNyを形成してもよい。続いて、図7A,図7B,図7C,図7Dに示すように、犠牲層14を全面エッチバックし、凹部30の底面のバルク層10を露出させる。例えば、CHF3をエッチングガスとして用いた反応性イオンエッチング法を用いてSiO2(あるいはSixNy)からなる犠牲層14をエッチングする。このように犠牲層14をエッチングすると、凹部30の内壁面と底面とでなす隅部(側壁形成領域に相当)に、図7に示すように犠牲層14が残存する。当該隅部に残存した犠牲層14が前述の側壁14aに相当する。エッチバックした後に、可撓部Fを構成する絶縁層11のy軸方向の両側面に形成される側壁14aは、互いにy軸方向の幅W3が膜厚精度で等しい。
【0035】
続いて、図8Aおよび図8Bに示すように、絶縁層11の表面にフォトレジストからなる保護層R4を形成する。保護層R4には、低抵抗部60と重なる位置に5つの開口が形成されている。そしてこの保護層R4を用いて絶縁層11をエッチングし5つのコンタクトホールH1を絶縁層11に形成する。例えば、CHF3をエッチングガスとして用いた反応性イオンエッチング法にて、SiO2からなる絶縁層11をエッチングする。コンタクトホールH1が形成された位置では低抵抗部60が露出している。
【0036】
続いて、コンタクトホールH1内部や、バルク層10、絶縁層11、側壁14aの表面に配線層を形成し、図9に示すようにフォトレジストからなる保護層R5を用いて配線層をエッチングし、配線部13を形成する。配線層には例えば、厚さ0.6μmのAlを用いる。Alを成膜する前に、密着層として厚さ300AのTiを成膜してもよい。また、バリアメタルとしてTiNxを成膜してもよい。また、Alの代わりにAlSi、AlSiCuを用いてもよい。配線層のエッチングには、例えばCl2ガスを用いた反応性イオンエッチングを採用する。配線層をエッチングして配線部13を形成した後、保護層R5を除去する。
【0037】
続いて、絶縁層11および側壁14aをマスクに用いて、バルク層10をDeep−RIEによりエッチングすることにより、可撓部Fと錘部Mと枠部Sを形成するとともに、4つのピエゾ抵抗部Pからピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成する。Deep−RIEには、C4F8プラズマによる保護ステップと、SF6プラズマによるエッチングステップを短く交互に繰り返すボッシュプロセスを用いる。以上の工程によって、図1に示す加速度センサ1を製造することができる。加速度センサ1はダイシング後、図示しないパッケージに実装される。
【0038】
前述したように、側壁14aは、可撓部Fを構成する絶縁層11のy軸方向の両側面に、互いに等しい幅で形成されている。そのため、当該側壁14aと絶縁層11をマスクにしてバルク層10をエッチングして可撓部Fを形成すると、側壁14aの幅と同じ幅でピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成することができる。すなわち、4つのピエゾ抵抗素子P1〜P4はy軸方向に同じ幅で形成することができる。そのため、ピエゾ抵抗素子P1〜P4で構成されるブリッジ回路の静止状態におけるバランスがよく、オフセット調整の必要性を低減することができる。
【0039】
また、側壁14aをマスクとして用いてピエゾ抵抗部Pが形成されたバルク層10をエッチングするため、エッチングによって形成されたピエゾ抵抗素子P1〜P4を、可撓部Fのy軸方向の両端面を含む最も外側の部分に形成することができる。錘部Mが枠部Sに対して運動するとき可撓部Fの歪みが最大になるのは、可撓部Fの厚さ方向(y軸方向)の両端面であるので、その部分にピエゾ抵抗素子を配置することができることによって、加速度センサとしての感度を向上させることができる。
【0040】
また、この製造方法によると、フォトリソグラフィによるフォトレジストのアラインメントずれ等によって、可撓部Fに精度よくピエゾ抵抗素子を配置できない等ということが発生しないため、歩留まりを向上させることができる。すなわち、フォトリソグラフィによって形成したマスクを用いてピエゾ抵抗素子を形成し、また別にフォトリソグラフィによって形成したマスクを用いたエッチングにより可撓部Fや錘部Mや枠部Sやピエゾ抵抗素子を形成する方法では、フォトリソグラフィのアラインメント精度の関係で、可撓部Fのy軸方向の両端面を含む最も外側の部分に幅の等しいピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成することが困難であった。例えば最後に可撓部Fを形成するためにバルク層10をエッチングするマスクの開口位置がずれて、可撓部Fのx軸方向の中心軸に対して左右対称の位置にピエゾ抵抗素子が配置されないことなどが発生しえた。また、アラインメントずれにより、可撓部F形成のためのバルク層10のエッチング時にピエゾ抵抗素子が形成されている領域までエッチングしてしまい可撓部Fにピエゾ抵抗素子が配置できないことを避けるために、可撓部Fのy軸方向の厚さを厚くすると、板ばねの厚さが厚くなるため加速度センサとしての感度が低下してしまう。しかし、本発明の製造方法によると、そのような可撓部に対するピエゾ抵抗素子のアラインメントずれが発生しないため、製造工程における歩留まりを低下させることなく、加速度検出の感度がより高い加速度センサを製造することができる。
【0041】
(変形例1)
なお、コンタクトホールH1内にも側壁14aを形成するようにしてもよい。コンタクトホールH1内にも側壁14aを形成することにより、ステップカバレッジを改善することができる。その結果、コンタクトホールH1での電気抵抗が安定し、加速度センサごとの感度のばらつきを低減させることができる。
【0042】
コンタクトホールH1内にも側壁14aが形成された加速度センサは、例えば次のようにして製造することができる。まず、図4で示した工程において、凹部30とともにコンタクトホールH1も形成する。そして、図6で示した工程において、コンタクトホールH1内にも犠牲層14を堆積させ、図7でコンタクトホールH1内にも隅部に犠牲層14を残存させることによって、コンタクトホールH1内にも側壁14aを形成することができる(エッチバックによりコンタクトホールH1内では低抵抗部60が露出して隅部に側壁14aが形成される)。
【0043】
2.第二実施形態
(製造方法)
本発明の特徴を備える1軸加速度センサの別の製造方法を図10〜図14を用いて説明する。各部の材質や具体的な形成方法について、第一実施形態と共通する場合は説明を省略する。第一実施形態では、側壁14aは、全面エッチバックにより隅部に犠牲層14を残存させることにより形成されたものであるが、本実施形態では、側壁14aを形成する領域に凹部を形成し、当該凹部に犠牲層14を充填することで側壁14aを形成する点が第一実施形態と異なる。以降でその製造方法を、具体的に説明する。
【0044】
第一実施形態の図3に示した絶縁層11を形成する工程の後、図10に示すように、フォトレジストからなる保護層R6を用いて絶縁層11をエッチングし、絶縁層11を内壁としバルク層10を底面とする凹部31を形成する。第二実施形態における凹部31は、非原型領域A1から、枠部の原型領域S0および錘部の原型領域M0および可撓部の原型領域F0のいずれからも一定距離W3だけ離間した領域を除いた側壁形成領域A3において、絶縁層11が除去されバルク層10が露出した状態であるために出現する凹部である。その後、保護層R6を除去する。
【0045】
続いて、図11に示すように、絶縁層11をマスクに用いて、凹部31に露出しているバルク層10の表層に不純物を導入し、ピエゾ抵抗部Pを形成する。例えば、2×1018/cm3の濃度でホウ素(B)を拡散する(またはBイオンを注入する)。
続いて図12に示すように、絶縁層11およびバルク層10の表面に犠牲層14を形成する。例えば、犠牲層14として、厚さ2.5μmのSiO2またはSixNyを用いる。SiO2とSixNyの二層構造(SiO2:下層、SixNy:上層)を用いてもよい。
【0046】
続いて、図13に示すように、犠牲層14を全面エッチバックして絶縁層11を露出させ、絶縁層11の表面と凹部31に充填された犠牲層14の表面とを平坦化する。例えば、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)を用いてSiO2からなる犠牲層14をエッチングし、SixNyからなる絶縁層11をCMPのエッチングストッパに用いる。このようにエッチバックすると、凹部31内に犠牲層14が残存する(残存した犠牲層14が側壁14aに相当する)。なお、CHF3をエッチングガスとして用いた反応性イオンエッチング法にて、SiO2からなる犠牲層14をエッチングしてもよい。エッチング前に、犠牲層14上に平坦化層としてフォトレジストを塗布し、選択比1でフォトレジストと犠牲層14とをエッチバックしてもよい。
【0047】
続いて図8および図9に示す工程と同様にして、コンタクトホールH1を形成し、配線部13を形成する。例えば配線層として厚さ0.6μmのAlを用い、フォトレジストからなる保護層をマスクに用いて配線層をエッチングすることにより配線部13を形成する。
【0048】
続いて、図14A、図14B、図14Cに示すように、フォトレジストからなる保護層R7(保護部に相当)を枠部の原型領域S0および可撓部の原型領域F0および錘部の原型領域M0に形成し、原型領域S0+F0+M0内に存在する絶縁層11や配線部13を保護する。保護層R7は、原型領域S0+F0+M0と側壁形成領域A3との境界を超えて(ただし幅W3以上超えない)側壁14a側まで形成されていてもよい。そして、保護層R7と側壁14aとをマスクに用いて、絶縁層11をエッチングする。例えば、85℃に加熱した燐酸にてエッチングする。その後、保護層R7と側壁14aとをマスクに用いて、バルク層10をボッシュプロセスによりエッチングすることによって、可撓部F、錘部M、枠部Sを形成するとともに、ピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成する。その後、保護層R7を除去する。なお、保護層R7と側壁14aとをマスクにして絶縁層11をエッチングした後、保護層R7を除去し、残存している絶縁層11(保護部に相当)と側壁14aをマスクにしてバルク層10をエッチングしてもよい。
【0049】
以上説明した第二実施形態の製造方法によると、ピエゾ抵抗素子P1〜P4の形成と、可撓部Fをエッチングにより形成する際のマスクとして利用する側壁14aの形成とを、同じ凹部31を共用して行う。そのため、ピエゾ抵抗素子P1〜P4を可撓部Fのy軸方向の両端面を含む最も外側の部分に形成することができ、感度の高い加速度センサを製造することができる。また、ピエゾ抵抗素子P1〜P4と重なる領域に形成された側壁14aによって可撓部Fの端部の位置が決定されるので、可撓部Fに精度よくピエゾ抵抗素子P1〜P4を配置できない等ということがこの製造方法では発生しないため、歩留まりを向上させることができる。また、可撓部のy軸方向に薄くしたい場合も、この製造工程によると可撓部Fのy軸方向の最も外側の部分にピエゾ抵抗素子を配置することができるため、製造工程における歩留まりを低下させることなく、感度がより高い加速度センサを製造することができる。
【0050】
また、本実施形態では、凹部31形成の際、平坦な絶縁層11上にフォトレジストを塗布しフォトリソグラフィを行い保護層R6を形成できるので、高精度にパターンが転写された保護層R6を用いて凹部31を形成することができる。そのため、ピエゾ抵抗部P(最終的には各ピエゾ抵抗素子P1〜P4)の寸法を高精度に一定幅にすることができる。そのため、加速度センサの歩留まりを向上させることができるとともに、それらのピエゾ抵抗素子で構成するブリッジ回路のオフセット調整の必要性を低減することができる。また、犠牲層のエッチバック後、側壁形成領域A3に形成された凹部31に残存する犠牲層の表面は、第一実施形態の隅部に残存する犠牲層と比較すると平坦であるので、フォトリソグラフィにより高精度な位置および寸法の保護層R7を形成でき、当該保護層R7をマスクに用いてエッチングするため、可撓部Fを精度よく形成することができる。
【0051】
(変形例1)
次に、本実施形態の製造方法の変形例を図示なしで説明する。第二実施形態の上述の製造方法との相違点はコンタクトホールH1を形成した後にコンタクトホールH1において露出しているバルク層10の領域に不純物を導入して低抵抗部60を形成する点である。まず、単結晶シリコン基板からなるバルク層10の表面に絶縁層11を形成し、側壁形成領域A3の絶縁層11をエッチングし、底面がバルク層10、内壁面が絶縁層11である凹部31を形成する。続いて、絶縁層11をマスクとして、凹部31に露出しているバルク層10の表層に不純物を導入し、側壁形成領域A3にピエゾ抵抗部Pを形成する。続いて、バルク層10および絶縁層11の表面に犠牲層14を形成し、犠牲層14を全面エッチバックする。その結果、絶縁層11が露出し、凹部31が犠牲層14で充填される。続いて、犠牲層14(あるいは絶縁層11)にコンタクトホールH1を形成し、コンタクトホールH1内に露出しているバルク層10の表層に低抵抗部60を形成する。続いて、絶縁層11、犠牲層14、配線部13の表面にフォトレジストからなる保護層を形成し、当該保護層と犠牲層14とをマスクにして、絶縁層11をエッチングする。その後、当該保護層と犠牲層14とをマスクにしてバルク層10をエッチングすることにより、可撓部F、錘部M、枠部Sを形成するとともに、ピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成する。
【0052】
(変形例2)
第二実施形態において、配線部13の形成を次のような工程で実施してもよい。低抵抗部60に接続するコンタクトホールH1を形成した後、絶縁層11やバルク層10の表面に第一の配線層を形成し、全面エッチバックする。例えば、CMPを用いてCuからなる第一の配線層をエッチングし、SixNyからなる絶縁層11をエッチングストッパに用いる。コンタクトホールH1内に第一の配線層を充填させることができる。続いて、第二の配線層を成膜し、第二の配線層を配線パターンを用いてエッチングして配線部13を形成する。第二の配線層は例えば、スパッタ法を用いて1μmのAlを成膜する。
【0053】
(変形例3)
配線部13の形成に関する製造工程の変形例を図15〜図17を用いて説明する。本変形例では、コンタクトホールH1は側壁14aに形成される。まず、変形例1において、凹部31に露出しているバルク層10の表層に不純物イオンを導入しピエゾ抵抗部Pを形成した後、次のような工程を実施してもよい。例えば、2×1018/cm3の濃度でBイオンを注入してピエゾ抵抗部Pを形成した後、酸素雰囲気中にアニール処理し、露出しているバルク層10(ピエゾ抵抗部P)の表面を酸化させ0.5μmの酸化膜15を成長させる。
【0054】
続いて、4つ開口を有するフォトレジストからなる保護層R8を形成し、保護層R8をマスクとし緩衝フッ酸を用いて酸化膜15をエッチングする。4つの開口の各開口は、第三端に接する側壁形成領域と第四端に接する側壁形成領域を含んでy軸方向がx軸方向より長く形成されている(図15参照)。保護層R8を用いて酸化膜15をエッチングすることにより、側壁形成領域A3の低抵抗部60を形成する位置に形成されている酸化膜15が除去され酸化膜15の下に形成されているピエゾ抵抗部Pが露出する(当該開口において側壁形成領域A3以外の領域に露出している絶縁層11はエッチングされない)。酸化膜15がエッチングされたことにより出現した凹部(内壁を酸化膜15として底面をピエゾ抵抗部Pとする凹部)は後にコンタクトホールとして機能する。その後、保護層R8を除去する。続いて、図15に示すように絶縁層11をマスクにしてバルク層10(ピエゾ抵抗部Pが形成されている)の表層に不純物イオンを導入し、低抵抗部60を形成する。例えば、2×1020/cm3の濃度でBイオンを注入する。
【0055】
続いて、絶縁層11およびバルク層10の表面に配線層13aを形成する。例えば、2μmの銅(Cu)を成膜する。CVD法を用いてタングステン(W)を成膜してもよい。Wの代わりに、タングステンシリサイド(WSi)を成膜してもよい。続いて、配線層13aを全面エッチバックすることにより、低抵抗部60の表面や酸化膜15の表面から凹部31の開口面までの間を配線層13aで充填する。例えば、CMPを用いてWからなる配線層13aをエッチングし、SixNyからなる絶縁層11をCMPのエッチングストッパに用いる。なお、CF4をエッチングガスとしてもいい。反応性イオンエッチング法にて、Wからなる配線層13aをエッチングしてもよい。エッチング前に側壁形成領域A3における配線層13a上に平坦化層としてフォトレジストを塗布し、選択比1として配線層13aをエッチバックしてもよい。
【0056】
続いて、図16に示すように、フォトレジストからなる保護層R9を形成し、保護層R9をマスクとして、低抵抗部60の表面や酸化膜15の表面から凹部31の開口面までの間に充填されている配線層13aをエッチングし酸化膜15を露出させる。例えば、CF4を用いた反応性イオンエッチング法にて、Wからなる配線層13aをエッチングする。エッチング後、保護層R9を除去する。続いて、絶縁層11および酸化膜15の表面に絶縁層16を成膜する。例えば、絶縁層16として、厚さ2μmのSiO2を用いる。続いて、図17に示すように、絶縁層16を全面エッチバックすることにより、配線層13aを内壁とし酸化膜15を底面とする凹部へ絶縁層16を充填する。例えば、CMPを用いてSiO2からなる絶縁層16をエッチングし、SixNyからなる絶縁層11をエッチングストッパに用いる。
【0057】
次に、配線層13aの表面および絶縁層11の表面および絶縁層16の表面に配線層13b(不図示)を形成する。例えば厚さ0.6μmのAlを用いる。Alを成膜する前に密着層として厚さ300AのTi、バリアメタルとしてTiNxを成膜してもよい。続いて、配線層13bを配線パターンが形成されたフォトレジストからなる保護層を用いてエッチングすることによって配線部13を形成し、保護層を除去する。その後、原型領域F0+M0+S0を保護する保護層(保護部に相当)と、凹部31に充填されている配線層13aや絶縁層16とをマスクに用いて、絶縁層11をエッチングする。(保護層は、原型領域S0+F0+M0と側壁形成領域A3との境界を超えて(ただし幅W3以上超えない)側壁14a側まで形成されていてもよい)例えば、85℃に加熱した燐酸を用いてエッチングする。最後に前述の保護層と配線層13aや絶縁層16をマスクに用いてボッシュプロセスにてバルク層10をエッチングすることによって、可撓部Fおよび錘部Mおよび枠部Sを形成するとともにピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成する。すなわち本変形例では、凹部31に充填されている酸化膜15や絶縁層16や配線層13aが側壁14aに相当する。
【0058】
この変形例によると、可撓部Fにおいて、側壁14aのy軸方向の幅W3とコンタクトホール(図15の工程で出現した凹部)のy軸方向の幅が一致している。すなわち、コンタクトホールH3の断面積を大きく取ることが出来るため、コンタクト抵抗を小さくできる。また、コンタクトホールの断面積のばらつきが少ないため、特性を安定させることができる。
【0059】
3.第三実施形態
(製造方法)
第三実施形態の製造方法を図18〜図21を用いて説明する。上記実施形態やその変形例と相違する点は、後に側壁となる犠牲層を、バルク層10の表面を酸化することにより形成する点である(酸化膜17が側壁に相当する)。まず、第二実施形態と同様に、バルク層10の表面に絶縁層11を形成し、側壁形成領域A3において絶縁層11をエッチングすることにより凹部31を形成し、バルク層10を露出させる。続いて、図18に示すように、絶縁層11をマスクにして、バルク層10の表層をエッチングする。例えば、RIE(Reacting Ion Etching)で深さ2μmの凹部310をバルク層10に形成する。続いて、絶縁層11をマスクとして、バルク層10の表層に不純物を注入し、ピエゾ抵抗部Pを形成する。
【0060】
続いて、絶縁層11をマスクにして、バルク層10を酸化させ、露出しているバルク層10の表面に酸化膜17を形成する。凹部310の底面が酸化され、図19に示すように、凹部310および凹部31が酸化膜17(SiO2)で充填される。Siの酸化により体積が2.22倍に膨張することを考慮し、前述したように予めバルク層10に凹部310を形成する。RIEによるエッチングで発生したバルク層10の表面の凹凸を解消するために、熱酸化工程の前に1150℃の高温水素アニール処理を実施してもよい。
【0061】
続いて、図20に示すように、フォトレジストからなる保護層R10と酸化膜17とをマスクに用いて、絶縁層11を貫通させてバルク層10の表層に不純物を導入し、バルク層10の表層に低抵抗部60を形成する。保護層R10を除去した後、図21に示すように、保護層R11を用いて低抵抗部60と重なる位置にコンタクトホールH1を形成し、保護層R11を除去する。そして、絶縁層11、バルク層10(低抵抗部60)、酸化膜17の表面に配線層を形成し、配線パターンを除く領域をエッチングにより除去して配線部13を形成する。その後、原型領域S0+M0+F0を保護するフォトレジストからなる保護層(保護部)と、酸化膜17と、をマスクにして絶縁層11をエッチングする(保護層は、原型領域S0+F0+M0と側壁形成領域A3との境界を超えて(ただし幅W3以上超えない)酸化膜17側まで形成されていてもよい)。その後、保護層と酸化膜17とをマスクに用いてバルク層10をボッシュプロセスによりエッチングすることにより、可撓部F、錘部M、枠部Sを形成するとともに、ピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成する。
【0062】
本実施形態の製造方法によると、ピエゾ抵抗素子P1〜P4の形成と、可撓部Fをエッチングにより形成する際のマスクとして利用する酸化膜17の形成とを、同じ凹部31を共用して行う。そのため、ピエゾ抵抗素子P1〜P4を可撓部Fのy軸方向の両端面を含む最も外側の部分に形成することができ、感度が高い加速度センサを製造することができる。また、ピエゾ抵抗部Pの上層に形成された酸化膜17によって可撓部Fのy軸方向の両端の位置が決定されるので、可撓部Fに精度よくピエゾ抵抗素子P1〜P4を配置できない等ということがこの製造方法では発生しないため、歩留まりを向上させることができる。さらに、可撓部のy軸方向に薄くしたい場合も、この製造工程によると可撓部Fのy軸方向の最も外側の部分にピエゾ抵抗素子を配置することができるため、製造工程における歩留まりを低下させることなく、感度が高い加速度センサを製造することができる。
【0063】
また、本実施形態では、凹部31形成の際、平坦面(バルク層10の表面)上にフォトレジストを塗布しフォトリソグラフィを行い保護層を形成できるので、高精度にパターンが転写された保護層を用いて側壁形成領域A3に凹部31を形成することができる。その結果、凹部310も側壁形成領域A3に高精度に形成できる。そのため、ピエゾ抵抗部P(最終的には各ピエゾ抵抗素子P1〜P4)のを高精度に一定幅(W3)にすることができる。その結果、加速度センサの歩留まりを向上させることができるとともに、それらのピエゾ抵抗素子で構成するブリッジ回路のオフセット調整の必要性を低減することができる。また、絶縁層11は、ボッシュプロセスのエッチングマスクとなる酸化膜17と比較して薄いため、コンタクトホールH1を浅くすることができる。そのためメタル被覆性が良好となり、コストを削減することができる。
【0064】
(変形例1)
次に第三実施形態の変形例を図22を用いて説明する。まず、側壁形成領域A3に開口を有する保護層を用いて、側壁形成領域A3においてバルク層10の表層をエッチングし凹部310を形成する。そして、その保護層をマスクにしてバルク層10の表層(凹部310の底面の表層)に不純物を導入し、ピエゾ抵抗部Pを形成し、保護層を除去する。その後、図22に示すように、バルク層10を酸化させると、凹部310が酸化膜で充填され、凹部310には厚い酸化膜17aが形成される。側壁形成領域A3以外のバルク層10の表層には薄い酸化膜17bが形成される。続いて、別の保護層と厚い酸化膜17aをマスクに用いて、薄い酸化膜17bを貫通させてバルク層10の表層に低抵抗部60を形成し、保護層を除去する。続いて、低抵抗部60が形成されている位置に重なる薄い酸化膜17bをエッチングしてコンタクトホールH1を形成し、配線部13を形成する。その後、原型領域S0+M0+F0を保護する保護層(保護部)と厚い保護層17aとをマスクに用いて、露出している薄い酸化膜17bをエッチングにより除去する(保護層は、原型領域S0+F0+M0と側壁形成領域A3との境界を超えて(ただし幅W3以上超えない)酸化膜17側まで形成されていてもよい)。続いて、当該保護層と厚い酸化膜17aとをマスクに用いてバルク層10をエッチングにより除去することにより、錘部M、可撓部F、枠部Sを形成するとともに、ピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成する。すなわち、本変形例において、厚い酸化膜17aは側壁に相当する。
【0065】
4.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態で示した材質や寸法や形状や成膜方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。
【0066】
錘部Mは上記実施形態のように1つの可撓部Fによって枠部Sと連結している構成に限らず、図23A,図23B,図23Cに示すように互いに平行な複数の可撓部F1,F2によって枠部Sと連結する構成であってもよい。図23A〜図23Cでは、ピエゾ抵抗素子Pxや低抵抗部60、配線部13は図示を省略している。また、図中の破線は、錘部M、可撓部F1,F2、枠部Sの境界を示している。
なお、上記実施形態ではy軸方向の加速度を検出する1軸加速度センサを例に説明したが、本発明は、可撓部がz軸方向に薄くz軸方向の加速度を検出する1軸加速度センサや、多軸加速度センサに対しても適用してもよいし、また、上記実施形態では、側壁14aは、錘部Mの外側、枠部Sの内側、可撓部Fの第三端および第四端の外側に形成される構成を説明したが、少なくとも可撓部Fの第三端および第四端の外側に形成されていればよい。
【符号の説明】
【0067】
1:加速度センサ、2:加速度センサ、10:バルク層、11:絶縁層、13:配線部、14:犠牲層、14a:側壁、15:酸化膜、16:絶縁層、17:酸化膜、30:凹部、31:凹部、310:凹部、50,51:開口、60:低抵抗部、A1:非原型領域、A2:領域、A3:側壁形成領域、F:可撓部(F0:原型領域)、F1,F2:可撓部、H1:コンタクトホール、M:錘部(M0:原型領域)、P:ピエゾ抵抗部、P1,P2,P3,P4:ピエゾ抵抗素子、S:枠部(S0:原型領域)、e1:第一端、e2:第二端、e3:第三端、e4:第四端。
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に関し、特に、加速度センサの製造方法およびその製造方法によって製造された1軸加速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、片持ち梁型の加速度センサが知られている(例えば特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−150066号公報
【特許文献2】特開平9−237901号公報
【特許文献3】特開平9−232596号公報
【特許文献4】特開平11−160346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の加速度センサでは、梁に対するピエゾ抵抗素子の形成位置のずれによって、加速度センサとしての感度にばらつきが生じやすく、歩留まりが低い。特許文献2,特許文献3においても、梁や錘、枠部の取り付け精度を高めることが困難であり、また、梁に対するピエゾ抵抗素子の配置精度を高めることも困難であるため、加速度センサとしての特性がばらつく。また、特許文献2,3の製造方法では加速度センサ自体を小型化することも困難である。特許文献4では、梁の表面と裏面の両方にピエゾ抵抗素子を形成するため、製造工程が増える。
本発明は、ピエゾ抵抗素子の形成位置の精度を高め、加速度センサの歩留まりを向上させることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記目的を達成するための加速度センサの製造方法は、矩形形態を有する可撓部の原型領域であって、第一端が枠部の原型領域の内側と結合し、前記第一端と対向する第二端が前記枠部の内側にある錘部の原型領域と結合している前記可撓部の原型領域の外側、かつ、前記枠部の原型領域の内側、かつ、前記錘部の原型領域の外側にある非原型領域内の、少なくとも前記可撓部の原型領域の残りの第三端および第四端に隣接し前記第三端と前記第四端とからそれぞれ一定距離以上の幅を有する領域において、単結晶シリコンからなる基板の表層に不純物を導入することによってピエゾ抵抗部を形成し、前記非原型領域のうち、少なくとも前記可撓部の原型領域の前記第三端および前記第四端に隣接し前記第三端と第四端とからそれぞれ前記一定距離の幅を有する側壁形成領域において、前記基板の表面に、前記基板に対するエッチング選択性を有する側壁を形成し、前記可撓部の原型領域および前記錘部の原型領域および前記枠部の原型領域を保護する保護部と、前記側壁と、をマスクに用いて前記基板を異方性エッチングすることにより、枠部と錘部と可撓部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部からピエゾ抵抗素子を形成する、ことを含む。
【0006】
本発明の製造方法によると、第三端と第四端とをつなぐ方向に最も外側の可撓部の部分に、可撓部の歪みを検出するためのピエゾ抵抗素子を配置することができる。第三端と第四端とをつなぐ方向に加速度が働くとき、応力が最大となるのは、前述の最も外側の部分であるため、本製造方法によると感度の高い加速度センサを製造することができる。同様にこの製造方法によると、フォトリソグラフィによるフォトレジストのアラインメントずれ等によって、可撓部の第三端と第四端とをつなぐ方向の中点を通り当該方向に垂直な可撓部の中心線を基準に可撓部内における対称の位置にピエゾ抵抗素子を配置できない等ということが発生しないため、歩留まりを向上させることができる。
例えば、本発明の製造方法で製造するのが1軸加速度センサであって、可撓部が枠部の開口面に平行な方向に薄く当該方向(可撓分の厚さ方向。基板の厚さ方向とは直交する)に撓む構成である場合、当該方向に加速度が働いたとき、板ばね様に撓む可撓部において最も応力が大きくなるのは、板ばね形の可撓部の厚さ方向の両端面であるため、可撓部の厚さ方向の両端面を含む可撓部の厚さ方向の最も外側の部分に、ピエゾ抵抗素子を配置することができるこの製造方法によると、感度が高い1軸加速度センサを製造することができる。また、可撓部の厚さ方向に可撓分を薄くしたい場合(板ばねの厚さが薄いほど加速度検出の感度は高くなる)も、この製造工程によると上述のように可撓部の厚さ方向の最も外側の部分にピエゾ抵抗素子を配置することができるため、製造工程における歩留まりを低下させることなく、感度がより高い1軸加速度センサを製造することができる。
なお、可撓部の原型領域は、完成状態の可撓部より側壁形成領域の幅(=一定距離)分内側にある。すなわち、ピエゾ抵抗部は非原型領域に形成されるが、最後の異方性エッチングにより、側壁形成領域におけるピエゾ抵抗部が残存するため、可撓部の一部となる。なお、側壁が形成されるのは、少なくとも可撓部の第三端と第四端とそれぞれ隣接し一定距離の幅を有する領域であればよいが、枠部原型領域の内側に隣接し枠部の原型領域の内周(可撓部の原型領域との結合箇所を除く)から一定距離の幅を有する領域に側壁が形成されてもよいし、また、錘部の原型領域の外側に隣接し錘部の原型領域の外周(可撓部の原型領域との結合箇所を除く)から一定距離の幅を有する領域に側壁が形成されてもよい。その場合、完成状態の錘部は、錘部の原型領域と当該原型領域の外側の側壁形成領域とでなす領域に形成されたものを指し、完成状態の枠部は、枠部の原型領域と当該原型領域の内側の側壁形成領域とでなす領域に形成されたものを指す。錘部の原型領域の外側に側壁が形成されない場合、完成状態の錘部が占める領域と錘部の原型領域とは同一である。また、枠部の原型領域の内側に側壁が形成されない場合、完成状態の枠部が占める領域と枠部の原型領域とは同一である。
【0007】
(2)上記目的を達成するための加速度センサの製造方法において、前記ピエゾ抵抗部を形成する前に、前記基板の一方の主面に絶縁層を形成し、前記非原型領域において、前記絶縁層を除去して前記基板を露出させることにより、前記基板を底面とし前記絶縁層を内壁とする凹部を形成し、前記凹部を形成した後、残存している前記絶縁層をマスクに用いて、前記凹部の底面に露出している前記基板の表層に不純物を導入することにより、前記凹部の底面に露出している前記基板の表層に前記ピエゾ抵抗部を形成し、前記絶縁層の表面および前記凹部の内部に犠牲層を形成し、前記犠牲層をエッチバックして、前記絶縁層の表面および前記凹部の底面を露出させ、前記犠牲層のエッチバックに伴って前記凹部の内壁と底面とがなす隅部としての前記側壁形成領域に残存した前記犠牲層を示す前記側壁と、前記保護部として機能する前記絶縁層と、をマスクに用いて前記基板を異方性エッチングすることにより、前記可撓部と前記枠部と前記錘部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部からピエゾ抵抗素子を形成してもよい。
【0008】
この製造方法によると、上記(1)で説明した効果に加え、次のような効果を奏する。この製造方法では、それぞれのピエゾ抵抗素子は、可撓部の厚さ方向において膜厚精度程度に高精度に同じ幅で形成することができる。そのため、加速度センサの歩留まりを向上させることができるとともに、それらのピエゾ抵抗素子で構成するブリッジ回路のオフセット調整の必要性を低減することができる。その理由は次の通りである。
【0009】
エッチバックによって隅部に犠牲層を残存させる(2)の製造方法では、可撓部の厚さ方向の両端に、膜厚精度程度に一定幅で犠牲層を残存させることができる(ピエゾ抵抗部は、可撓部の原型領域の第三端および第四端の外側に隣接する領域に露出している基板の表層に形成されている)。そのため、残存した一定幅の犠牲層(側壁)と可撓部の原型領域の絶縁層とをマスクにして、基板をエッチングすると、側壁および絶縁層と重なっていない領域の基板が除去される。すなわちこのとき、側壁と重なっていない領域のピエゾ抵抗部は除去され、側壁と重なっている領域のピエゾ抵抗部が側壁の下に残り、ピエゾ抵抗素子となる。そのためこのようにして形成されたピエゾ抵抗素子は、可撓部の厚さ方向の両端面を含む可撓部の最も外側の部分に、膜厚精度程度に一定幅で残存している犠牲層(側壁)と同じ幅となる。
【0010】
(3)上記目的を達成するための加速度センサの製造方法において、前記ピエゾ抵抗部を形成する前に、前記基板の一方の主面に絶縁層を形成し、前記非原型領域から、前記枠部の原型領域および前記錘部の原型領域および前記可撓部の原型領域のいずれからも一定距離を保って離間する領域を除いた前記側壁形成領域において、前記絶縁層を除去して前記基板を露出させることにより、前記基板を底面とし前記絶縁層を内壁とする凹部を形成し、前記凹部を形成した後、残存している前記絶縁層をマスクに用いて、前記凹部において露出している前記基板の表層に不純物を導入することにより、前記凹部において露出している前記基板の表層にピエゾ抵抗部を形成し、前記絶縁層の表面に前記犠牲層を形成するとともに、前記凹部を前記犠牲層で充填し、前記絶縁層が露出するまで前記犠牲層を平坦化することによって、前記側壁を形成し、前記保護部と前記側壁とをマスクに用いて、前記絶縁層と前記基板を異方性エッチングすることによって、枠部と可撓部と錘部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部からピエゾ抵抗素子を形成してもよい。
【0011】
この製造方法によると、ピエゾ抵抗素子と、可撓部をエッチングにより形成する際のマスク(可撓部の輪郭を決定する)として利用する側壁とを、側壁形成領域に形成された凹部を共用して形成する。そのため、上記(1)で示した効果と同様の効果を奏する。
【0012】
また、この製造方法では、凹部形成の際、平坦な絶縁層上にフォトレジストを塗布しフォトリソグラフィを行い、高精度に凹部パターンが形成された保護層を用いて凹部を形成することができる。すなわち凹部の幅は高精度に「一定距離」で形成することができる。そのため、凹部の底面の表層に形成されるピエゾ抵抗部(最終的には各ピエゾ抵抗素子)の幅を高精度に一定にすることができる。そのため、加速度センサの歩留まりを向上させることができるとともに、それらのピエゾ抵抗素子で構成するブリッジ回路のオフセット調整の必要性を低減することができる。また、犠牲層のエッチバック後、凹部に残存する犠牲層(側壁)の表面は、上記(2)の隅部に残存する犠牲層と比較すると平坦である。そのため、最後に絶縁層や基板をエッチングする際に用いる保護部のパターンをフォトリソグラフィにより高精度に形成できる。その結果、可撓部等を形成するためのエッチングを高精度に実施することができる。
【0013】
(4)上記目的を達成するための加速度センサの製造方法において、前記非原型領域から、前記枠部の原型領域および前記錘部の原型領域および前記可撓部の原型領域のいずれからも一定距離を保って離間する領域を除いた前記側壁形成領域において、前記基板の表層を除去することにより、凹部を形成し、前記凹部の底面の表層に不純物を導入することにより、前記凹部の底面の表層にピエゾ抵抗部を形成し、前記基板の表面を酸化させ、前記凹部を酸化膜で充填することによって、前記凹部に前記側壁を形成し、前記保護部と、前記側壁と、をマスクに用いて、前記基板を異方性エッチングすることによって、前記枠部と前記可撓部と前記錘部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部からピエゾ抵抗素子を形成してもよい。
【0014】
この製造方法によると、各ピエゾ抵抗素子の形成と、可撓部をエッチングにより形成する際のマスクとして利用する酸化膜(側壁)の形成とを、同じ凹部を共用して行う。そのため、上記(1)で示した効果と同様の効果を奏する。
【0015】
また、この製造方法では、凹部形成の際、平坦面(基板の表面)上にフォトレジストを塗布してフォトリソグラフィを行うことによって高精度に凹部パターンが転写された保護層を用いてエッチングにより凹部を形成することができる。すなわち凹部の幅は高精度に「一定距離」で形成することができる。そのため、凹部の底面の表層に形成されるピエゾ抵抗部(最終的には各ピエゾ抵抗素子)の幅を高精度に一定にすることができる。その結果、加速度センサの歩留まりを向上させることができるとともに、それらのピエゾ抵抗素子で構成するブリッジ回路のオフセット調整の必要性を低減することができる。
【0016】
(5)上記目的を達成するための1軸加速度センサは、上記(1)〜(4)のいずれかの製造方法によって製造された1軸加速度センサであって、前記枠部の開口面に平行な方向に撓む板ばね形を有する前記可撓部であって、前記可撓部の原型領域の前記第三端および前記第四端の外側に隣接して前記側壁が形成されている前記可撓部と、前記可撓部の原型領域の前記第一端と内側において結合する前記枠部と、前記可撓部の原型領域の前記第二端と結合する前記錘部と、前記側壁の下層に、前記第一端または前記第二端と平行な方向において前記側壁の幅と同じ幅で形成されているピエゾ抵抗素子と、を備える。
【0017】
本発明によると、板ばね形の可撓部の厚さ方向の両端面を含む可撓部の厚さ方向の最も外側の部分(可撓部を構成する絶縁層の両側面に残存している犠牲層の下の部分)にピエゾ抵抗素子を配置されているため、加速度センサの感度が高い。また、この製造方法によって製造された加速度センサにおいては、フォトリソグラフィによるフォトレジストのアラインメントずれ等によって、可撓部の厚さ方向の中点を通り厚さ方向に垂直な方向の中心線からの距離が等しい位置にピエゾ抵抗素子を配置できない等ということが発生しない。また、それぞれのピエゾ抵抗素子は、可撓部の厚さ方向において高精度に同じ幅で形成されているため、それらのピエゾ抵抗素子で構成するブリッジ回路のオフセット調整の必要性を低減することができる。
【0018】
尚、請求項において「〜上に」というときは、技術的な阻害要因がない限りにおいて「上に中間物を介在させずに」と「〜上に中間物を介在させて」の両方を意味する。「〜下に」というときも同様に、技術的な阻害要因がない限りにおいて「下に中間物を介在させずに」と「〜下に中間物を介在させて」の両方を意味する。また、請求項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行されなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(1A)は第一実施形態にかかる加速度センサの上面図、(1B)〜(1D)はその断面図。
【図2】(2A)は第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(2B)はその断面図。
【図3】第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す断面図。
【図4】(4A)は第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(4B)および(4C)はその断面図。
【図5】(5A)は第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(5B)および(5C)はその断面図。
【図6】第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す断面図。
【図7】(7A)は第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(7B)〜(7D)はその断面図。
【図8】(8A)は第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(8B)はその断面図。
【図9】第一実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す断面図。
【図10】(10A)は第二実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(10B)および(10C)はその断面図。
【図11】(11A)は第二実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(11B)はその断面図。
【図12】第二実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す断面図。
【図13】第二実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す断面図。
【図14】(14A)は第二実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(14B)および(14C)はその断面図。
【図15】(15A)は第二実施形態の変形例3にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(15B)および(15C)はその断面図。
【図16】(16A)は第二実施形態の変形例3にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(16B)および(16C)はその断面図。
【図17】(17A)は第二実施形態の変形例3にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(17B)および(17C)はその断面図。
【図18】(18A)は第三実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(18B)はその断面図。
【図19】第三実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す断面図。
【図20】(20A)は第三実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(20B)および(20C)はその断面図。
【図21】(21A)は第三実施形態にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(21B)および(21C)はその断面図。
【図22】(22A)は第三実施形態の変形例1にかかる加速度センサの製造工程を示す上面図、(22B)および(22C)はその断面図。
【図23】(23A)〜(23C)は他の実施形態にかかる加速度センサを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら以下の順に説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0021】
1.第一実施形態
(構成)
図1は、本発明による1軸加速度センサ(以降、単に加速度センサという)の第一実施形態を示している。図1Aは加速度センサ1の上面図、図1Bは図1AのBB線における断面図、図1Cは図1AのCC線における断面図、図1Dは図1AのDD線における断面図を示している。説明の便宜のために図1に示すように直交するxyz軸を定める(静止状態における可撓部Fの長手方向をx軸とし、静止状態における可撓部Fの短手方向(板ばね形の可撓部Fの厚さ方向)をy軸とし、xy軸に直交する軸をz軸とする)。加速度センサ1はy軸方向の加速度を検出するセンサである。加速度センサ1はMEMSとして構成され、単結晶珪素(Si)からなるバルク層10、二酸化珪素(SiO2)等からなる絶縁層11、アルミニウム(Al)等からなる配線部13、SiO2あるいはSixNy等からなる側壁14a(残存する犠牲層)などで構成される積層構造体である。加速度センサ1は、図示しないパッケージに収容され、パッケージ内部に枠部Sが固定される。
【0022】
加速度センサ1は、矩形枠形態を有する枠部Sと、枠部Sの内側に一端が結合している板ばね形の可撓部Fと、可撓部Fの他端に結合している錘部Mと、可撓部Fのx軸方向およびy軸方向の両端部に設けられたピエゾ抵抗素子P1〜P4を備えている。加速度センサ1は、錘部Mに作用する力に応じた可撓部Fの変形をピエゾ抵抗素子P1〜P4によって電気信号に変換することによって加速度を検出することができる。
【0023】
枠部Sは、バルク層10と絶縁層11とで主に構成される。枠部Sを構成する矩形枠形状の絶縁層11(枠部の原型領域S0(図4参照)に形成されている絶縁層11)の可撓部Fとの結合部分を除く内周面には、側壁14aが形成されている。枠部Sを構成する矩形枠形状の絶縁層11の内周面は、枠部Sの内周面から、側壁14aの幅W3(x軸方向の幅またはy軸方向の幅)分、外周側にある。例えば、バルク層10の厚さ(z軸方向)は625μm、絶縁層11の厚さは2μm、側壁14aの厚さは2μmである。枠部Sのサイズは、x軸方向またはy軸方向の全長W1が800μm、枠幅W2が100μmである。側壁14aの幅W3は1.5μmである。
【0024】
錘部Mは直方体の形状を有しており、バルク層10と絶縁層11とで主に構成される。錘部Mを構成する絶縁層11(錘部の原型領域M0(図4参照)に形成されている絶縁層11)の可撓部Fとの結合部分を除く外周面には、側壁14aが形成されている。錘部Mを形成する絶縁層11の外周面は、錘部Mの外周面より、側壁14aの幅W3分、内側にある。
【0025】
可撓部Fは、y軸方向に薄い板ばね形を有している。xy平面では矩形形態を有している。可撓部の原型領域F0(図4参照)の第一端e1は枠部の原型領域S0と結合しており、第一端に対向する可撓部の原型領域の第二端e2は錘部Mの原型領域M0と結合している。矩形形態の可撓部の原型領域F0の残りの端を、第三端e3、第四端e4と呼ぶ。可撓部Fを構成する絶縁層11(可撓部の原型領域F0に形成されている絶縁層11)のy軸方向の両側面(第三端e3を含む側面と第四端e4を含む側面)には側壁14aが形成されている。可撓部Fを構成する絶縁層11のy軸方向の両側面は、可撓部Fのy軸方向の両側面より、側壁14aの幅W3分、内側にある。可撓部Fは、バルク層10と絶縁層11とで主に構成される。以上説明したように、可撓部Fと枠部Sと錘部Mは同じ積層構造を有しており、z軸方向の厚さが等しい。
【0026】
可撓部Fのx軸方向およびy軸方向の両端部のバルク層10には、前述のピエゾ抵抗素子P1〜P4が形成されている。ピエゾ抵抗素子P1〜P4は、x軸方向がy軸方向よりも長く形成されている。ピエゾ抵抗素子P1とピエゾ抵抗素子P2の配列方向、およびピエゾ抵抗素子P3とピエゾ抵抗素子P4の配列方向は、y軸方向に平行である。また、ピエゾ抵抗素子P1とピエゾ抵抗素子P4の配列方向、およびピエゾ抵抗素子P2とピエゾ抵抗素子P3の配列方向は、x軸方向に平行である。
【0027】
ピエゾ抵抗素子P1〜P4は、可撓部Fの歪みを検出するためのブリッジ回路を構成する。ピエゾ抵抗素子P1〜P4が形成されている位置は、可撓部Fを形成する絶縁層11のy軸方向の両側面にある側壁14aの形成位置と重なる。すなわち、ピエゾ抵抗素子P1〜P4のy軸方向の幅は、図1Aおよび図1Dに示すように、可撓部Fを形成する絶縁層11の両側面の側壁14aのy軸方向の幅W3と等しい。なお、ブリッジ回路におけるリファレンス抵抗とするために、ピエゾ抵抗素子P3、P4は枠部Sに配置するようにしてもよい。
【0028】
ピエゾ抵抗素子P1〜P4の長手方向の両端に隣接して低抵抗部60が形成されている。低抵抗部60と重なる位置の絶縁層11には、コンタクトホールH1が形成されており、ピエゾ抵抗素子P1〜P4は低抵抗部60を介してコンタクトホールH1内の配線部13に接続する。
【0029】
(動作)
可撓部F、錘部M、枠部Sのz軸方向の厚さが等しいため、加速度センサ1はz軸方向やx軸方向に加速しても可撓部Fは変形しない。加速度センサ1がy軸方向に加速したとき、錘部Mは枠部Sに対して運動するため、その運動に伴って可撓部Fは弓なりの形状に変形する。可撓部Fが変形すると、可撓部Fに設けられたピエゾ抵抗素子P1〜P4が変形することによって抵抗値が変化し、ブリッジ回路の出力電圧が変化する。この出力電圧の変化から加速度を導出することができる。本実施形態の加速度センサ1では、ピエゾ抵抗素子P1〜P4の可撓部Fにおける配置精度が高いため、加速度センサとしての感度が高い。このような加速度センサは次のようにして製造することができる。
【0030】
(製造方法)
図2〜図9は加速度センサ1の製造方法を説明するための上面図および断面図である。まず、図2Aおよび図2Bに示すように、バルク層10としての単結晶シリコン基板の一方の主面上にフォトレジストからなる保護層R1を形成し、保護層R1の開口において露出しているバルク層10の表層に不純物イオンを導入し低抵抗部60を形成する。例えば、不純物イオンとしてホウ素(B)イオンを2×1020/cm3の濃度で注入する。保護層R1を除去した後、アニール処理を行い、注入した不純物イオンを活性化させる。
【0031】
続いて、図3に示すように、低抵抗部60が形成されている基板の表面(バルク層10および低抵抗部60の表面)に絶縁層11を形成する。絶縁層11としては例えば、プラズマ−CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて厚さ2μmのSiO2あるいはSixNyを成膜する。LP(Low Pressure)−CVDを用いてSiOxNyを成膜してもよい。
【0032】
絶縁層11を形成した後、図4A、図4Bおよび図4Cに示すように、フォトレジストからなる保護層R2を用いて、絶縁層11をエッチングして凹部30(バルク層10を底面とし絶縁層11を内壁とする凹部)を形成する。凹部30は、枠部の原型領域S0の内側でかつ、可撓部の原型領域F0の外側でかつ、錘部の原型領域の外側にある非原型領域A1(加速度センサ1の完成状態において枠部Sと錘部Mと可撓部Fとの間の空間の領域+後述する側壁形成領域A3)において、絶縁層11が除去されバルク層10が露出した状態であるために出現する凹部である。絶縁層11のエッチングには、例えばCHF3を用いた反応性イオンエッチング法を用いる。その後、保護層R2を除去する。
【0033】
続いて、図5A、図5Bおよび図5Cに示すように、2つの開口50,51が形成された保護層R3(フォトレジスト)を絶縁層11やバルク層10の表面に形成する。保護層R3に形成された開口50,51は、可撓部Fの原型領域F0のx軸方向の両端部(第一端およびその近傍と、第二端およびその近傍)と、原型領域F0の外側において当該両端部と隣接する領域とを露出させている。そして、図5A〜図5Cに示すように、保護層R3と、開口50,51において露出している絶縁層11とをマスクとして用いて、バルク層10に不純物イオンを導入し、バルク層10の表層に4つのピエゾ抵抗部Pを形成する。例えば、ホウ素(B)イオンを2×1018/cm3の濃度で150KeVの加速電圧でイオン注入する。保護層R3を除去後、アニール処理を行い、注入した不純物イオンを活性化させる。開口50,51が形成される領域A2には、可撓部Fの原型領域F0に形成されている絶縁層11のx軸方向の両端部と、当該絶縁層11のx軸方向の両端部をはさんで原型領域F0のy軸方向の両外側に隣接する領域とが含まれている。4つのピエゾ抵抗部Pは、開口50,51の底面の領域A2から、絶縁層11が残存している領域および低抵抗部60が形成されている領域を除いた部分に形成される。
【0034】
続いて、図6に示すように、バルク層10および絶縁層11の表面に犠牲層14を形成する。例えば、犠牲層14として、厚さ1.5μmのSiO2あるいはSixNyを、プラズマCVD法を用いて形成する。LP−CVD法を用いてSixNyを形成してもよい。続いて、図7A,図7B,図7C,図7Dに示すように、犠牲層14を全面エッチバックし、凹部30の底面のバルク層10を露出させる。例えば、CHF3をエッチングガスとして用いた反応性イオンエッチング法を用いてSiO2(あるいはSixNy)からなる犠牲層14をエッチングする。このように犠牲層14をエッチングすると、凹部30の内壁面と底面とでなす隅部(側壁形成領域に相当)に、図7に示すように犠牲層14が残存する。当該隅部に残存した犠牲層14が前述の側壁14aに相当する。エッチバックした後に、可撓部Fを構成する絶縁層11のy軸方向の両側面に形成される側壁14aは、互いにy軸方向の幅W3が膜厚精度で等しい。
【0035】
続いて、図8Aおよび図8Bに示すように、絶縁層11の表面にフォトレジストからなる保護層R4を形成する。保護層R4には、低抵抗部60と重なる位置に5つの開口が形成されている。そしてこの保護層R4を用いて絶縁層11をエッチングし5つのコンタクトホールH1を絶縁層11に形成する。例えば、CHF3をエッチングガスとして用いた反応性イオンエッチング法にて、SiO2からなる絶縁層11をエッチングする。コンタクトホールH1が形成された位置では低抵抗部60が露出している。
【0036】
続いて、コンタクトホールH1内部や、バルク層10、絶縁層11、側壁14aの表面に配線層を形成し、図9に示すようにフォトレジストからなる保護層R5を用いて配線層をエッチングし、配線部13を形成する。配線層には例えば、厚さ0.6μmのAlを用いる。Alを成膜する前に、密着層として厚さ300AのTiを成膜してもよい。また、バリアメタルとしてTiNxを成膜してもよい。また、Alの代わりにAlSi、AlSiCuを用いてもよい。配線層のエッチングには、例えばCl2ガスを用いた反応性イオンエッチングを採用する。配線層をエッチングして配線部13を形成した後、保護層R5を除去する。
【0037】
続いて、絶縁層11および側壁14aをマスクに用いて、バルク層10をDeep−RIEによりエッチングすることにより、可撓部Fと錘部Mと枠部Sを形成するとともに、4つのピエゾ抵抗部Pからピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成する。Deep−RIEには、C4F8プラズマによる保護ステップと、SF6プラズマによるエッチングステップを短く交互に繰り返すボッシュプロセスを用いる。以上の工程によって、図1に示す加速度センサ1を製造することができる。加速度センサ1はダイシング後、図示しないパッケージに実装される。
【0038】
前述したように、側壁14aは、可撓部Fを構成する絶縁層11のy軸方向の両側面に、互いに等しい幅で形成されている。そのため、当該側壁14aと絶縁層11をマスクにしてバルク層10をエッチングして可撓部Fを形成すると、側壁14aの幅と同じ幅でピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成することができる。すなわち、4つのピエゾ抵抗素子P1〜P4はy軸方向に同じ幅で形成することができる。そのため、ピエゾ抵抗素子P1〜P4で構成されるブリッジ回路の静止状態におけるバランスがよく、オフセット調整の必要性を低減することができる。
【0039】
また、側壁14aをマスクとして用いてピエゾ抵抗部Pが形成されたバルク層10をエッチングするため、エッチングによって形成されたピエゾ抵抗素子P1〜P4を、可撓部Fのy軸方向の両端面を含む最も外側の部分に形成することができる。錘部Mが枠部Sに対して運動するとき可撓部Fの歪みが最大になるのは、可撓部Fの厚さ方向(y軸方向)の両端面であるので、その部分にピエゾ抵抗素子を配置することができることによって、加速度センサとしての感度を向上させることができる。
【0040】
また、この製造方法によると、フォトリソグラフィによるフォトレジストのアラインメントずれ等によって、可撓部Fに精度よくピエゾ抵抗素子を配置できない等ということが発生しないため、歩留まりを向上させることができる。すなわち、フォトリソグラフィによって形成したマスクを用いてピエゾ抵抗素子を形成し、また別にフォトリソグラフィによって形成したマスクを用いたエッチングにより可撓部Fや錘部Mや枠部Sやピエゾ抵抗素子を形成する方法では、フォトリソグラフィのアラインメント精度の関係で、可撓部Fのy軸方向の両端面を含む最も外側の部分に幅の等しいピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成することが困難であった。例えば最後に可撓部Fを形成するためにバルク層10をエッチングするマスクの開口位置がずれて、可撓部Fのx軸方向の中心軸に対して左右対称の位置にピエゾ抵抗素子が配置されないことなどが発生しえた。また、アラインメントずれにより、可撓部F形成のためのバルク層10のエッチング時にピエゾ抵抗素子が形成されている領域までエッチングしてしまい可撓部Fにピエゾ抵抗素子が配置できないことを避けるために、可撓部Fのy軸方向の厚さを厚くすると、板ばねの厚さが厚くなるため加速度センサとしての感度が低下してしまう。しかし、本発明の製造方法によると、そのような可撓部に対するピエゾ抵抗素子のアラインメントずれが発生しないため、製造工程における歩留まりを低下させることなく、加速度検出の感度がより高い加速度センサを製造することができる。
【0041】
(変形例1)
なお、コンタクトホールH1内にも側壁14aを形成するようにしてもよい。コンタクトホールH1内にも側壁14aを形成することにより、ステップカバレッジを改善することができる。その結果、コンタクトホールH1での電気抵抗が安定し、加速度センサごとの感度のばらつきを低減させることができる。
【0042】
コンタクトホールH1内にも側壁14aが形成された加速度センサは、例えば次のようにして製造することができる。まず、図4で示した工程において、凹部30とともにコンタクトホールH1も形成する。そして、図6で示した工程において、コンタクトホールH1内にも犠牲層14を堆積させ、図7でコンタクトホールH1内にも隅部に犠牲層14を残存させることによって、コンタクトホールH1内にも側壁14aを形成することができる(エッチバックによりコンタクトホールH1内では低抵抗部60が露出して隅部に側壁14aが形成される)。
【0043】
2.第二実施形態
(製造方法)
本発明の特徴を備える1軸加速度センサの別の製造方法を図10〜図14を用いて説明する。各部の材質や具体的な形成方法について、第一実施形態と共通する場合は説明を省略する。第一実施形態では、側壁14aは、全面エッチバックにより隅部に犠牲層14を残存させることにより形成されたものであるが、本実施形態では、側壁14aを形成する領域に凹部を形成し、当該凹部に犠牲層14を充填することで側壁14aを形成する点が第一実施形態と異なる。以降でその製造方法を、具体的に説明する。
【0044】
第一実施形態の図3に示した絶縁層11を形成する工程の後、図10に示すように、フォトレジストからなる保護層R6を用いて絶縁層11をエッチングし、絶縁層11を内壁としバルク層10を底面とする凹部31を形成する。第二実施形態における凹部31は、非原型領域A1から、枠部の原型領域S0および錘部の原型領域M0および可撓部の原型領域F0のいずれからも一定距離W3だけ離間した領域を除いた側壁形成領域A3において、絶縁層11が除去されバルク層10が露出した状態であるために出現する凹部である。その後、保護層R6を除去する。
【0045】
続いて、図11に示すように、絶縁層11をマスクに用いて、凹部31に露出しているバルク層10の表層に不純物を導入し、ピエゾ抵抗部Pを形成する。例えば、2×1018/cm3の濃度でホウ素(B)を拡散する(またはBイオンを注入する)。
続いて図12に示すように、絶縁層11およびバルク層10の表面に犠牲層14を形成する。例えば、犠牲層14として、厚さ2.5μmのSiO2またはSixNyを用いる。SiO2とSixNyの二層構造(SiO2:下層、SixNy:上層)を用いてもよい。
【0046】
続いて、図13に示すように、犠牲層14を全面エッチバックして絶縁層11を露出させ、絶縁層11の表面と凹部31に充填された犠牲層14の表面とを平坦化する。例えば、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)を用いてSiO2からなる犠牲層14をエッチングし、SixNyからなる絶縁層11をCMPのエッチングストッパに用いる。このようにエッチバックすると、凹部31内に犠牲層14が残存する(残存した犠牲層14が側壁14aに相当する)。なお、CHF3をエッチングガスとして用いた反応性イオンエッチング法にて、SiO2からなる犠牲層14をエッチングしてもよい。エッチング前に、犠牲層14上に平坦化層としてフォトレジストを塗布し、選択比1でフォトレジストと犠牲層14とをエッチバックしてもよい。
【0047】
続いて図8および図9に示す工程と同様にして、コンタクトホールH1を形成し、配線部13を形成する。例えば配線層として厚さ0.6μmのAlを用い、フォトレジストからなる保護層をマスクに用いて配線層をエッチングすることにより配線部13を形成する。
【0048】
続いて、図14A、図14B、図14Cに示すように、フォトレジストからなる保護層R7(保護部に相当)を枠部の原型領域S0および可撓部の原型領域F0および錘部の原型領域M0に形成し、原型領域S0+F0+M0内に存在する絶縁層11や配線部13を保護する。保護層R7は、原型領域S0+F0+M0と側壁形成領域A3との境界を超えて(ただし幅W3以上超えない)側壁14a側まで形成されていてもよい。そして、保護層R7と側壁14aとをマスクに用いて、絶縁層11をエッチングする。例えば、85℃に加熱した燐酸にてエッチングする。その後、保護層R7と側壁14aとをマスクに用いて、バルク層10をボッシュプロセスによりエッチングすることによって、可撓部F、錘部M、枠部Sを形成するとともに、ピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成する。その後、保護層R7を除去する。なお、保護層R7と側壁14aとをマスクにして絶縁層11をエッチングした後、保護層R7を除去し、残存している絶縁層11(保護部に相当)と側壁14aをマスクにしてバルク層10をエッチングしてもよい。
【0049】
以上説明した第二実施形態の製造方法によると、ピエゾ抵抗素子P1〜P4の形成と、可撓部Fをエッチングにより形成する際のマスクとして利用する側壁14aの形成とを、同じ凹部31を共用して行う。そのため、ピエゾ抵抗素子P1〜P4を可撓部Fのy軸方向の両端面を含む最も外側の部分に形成することができ、感度の高い加速度センサを製造することができる。また、ピエゾ抵抗素子P1〜P4と重なる領域に形成された側壁14aによって可撓部Fの端部の位置が決定されるので、可撓部Fに精度よくピエゾ抵抗素子P1〜P4を配置できない等ということがこの製造方法では発生しないため、歩留まりを向上させることができる。また、可撓部のy軸方向に薄くしたい場合も、この製造工程によると可撓部Fのy軸方向の最も外側の部分にピエゾ抵抗素子を配置することができるため、製造工程における歩留まりを低下させることなく、感度がより高い加速度センサを製造することができる。
【0050】
また、本実施形態では、凹部31形成の際、平坦な絶縁層11上にフォトレジストを塗布しフォトリソグラフィを行い保護層R6を形成できるので、高精度にパターンが転写された保護層R6を用いて凹部31を形成することができる。そのため、ピエゾ抵抗部P(最終的には各ピエゾ抵抗素子P1〜P4)の寸法を高精度に一定幅にすることができる。そのため、加速度センサの歩留まりを向上させることができるとともに、それらのピエゾ抵抗素子で構成するブリッジ回路のオフセット調整の必要性を低減することができる。また、犠牲層のエッチバック後、側壁形成領域A3に形成された凹部31に残存する犠牲層の表面は、第一実施形態の隅部に残存する犠牲層と比較すると平坦であるので、フォトリソグラフィにより高精度な位置および寸法の保護層R7を形成でき、当該保護層R7をマスクに用いてエッチングするため、可撓部Fを精度よく形成することができる。
【0051】
(変形例1)
次に、本実施形態の製造方法の変形例を図示なしで説明する。第二実施形態の上述の製造方法との相違点はコンタクトホールH1を形成した後にコンタクトホールH1において露出しているバルク層10の領域に不純物を導入して低抵抗部60を形成する点である。まず、単結晶シリコン基板からなるバルク層10の表面に絶縁層11を形成し、側壁形成領域A3の絶縁層11をエッチングし、底面がバルク層10、内壁面が絶縁層11である凹部31を形成する。続いて、絶縁層11をマスクとして、凹部31に露出しているバルク層10の表層に不純物を導入し、側壁形成領域A3にピエゾ抵抗部Pを形成する。続いて、バルク層10および絶縁層11の表面に犠牲層14を形成し、犠牲層14を全面エッチバックする。その結果、絶縁層11が露出し、凹部31が犠牲層14で充填される。続いて、犠牲層14(あるいは絶縁層11)にコンタクトホールH1を形成し、コンタクトホールH1内に露出しているバルク層10の表層に低抵抗部60を形成する。続いて、絶縁層11、犠牲層14、配線部13の表面にフォトレジストからなる保護層を形成し、当該保護層と犠牲層14とをマスクにして、絶縁層11をエッチングする。その後、当該保護層と犠牲層14とをマスクにしてバルク層10をエッチングすることにより、可撓部F、錘部M、枠部Sを形成するとともに、ピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成する。
【0052】
(変形例2)
第二実施形態において、配線部13の形成を次のような工程で実施してもよい。低抵抗部60に接続するコンタクトホールH1を形成した後、絶縁層11やバルク層10の表面に第一の配線層を形成し、全面エッチバックする。例えば、CMPを用いてCuからなる第一の配線層をエッチングし、SixNyからなる絶縁層11をエッチングストッパに用いる。コンタクトホールH1内に第一の配線層を充填させることができる。続いて、第二の配線層を成膜し、第二の配線層を配線パターンを用いてエッチングして配線部13を形成する。第二の配線層は例えば、スパッタ法を用いて1μmのAlを成膜する。
【0053】
(変形例3)
配線部13の形成に関する製造工程の変形例を図15〜図17を用いて説明する。本変形例では、コンタクトホールH1は側壁14aに形成される。まず、変形例1において、凹部31に露出しているバルク層10の表層に不純物イオンを導入しピエゾ抵抗部Pを形成した後、次のような工程を実施してもよい。例えば、2×1018/cm3の濃度でBイオンを注入してピエゾ抵抗部Pを形成した後、酸素雰囲気中にアニール処理し、露出しているバルク層10(ピエゾ抵抗部P)の表面を酸化させ0.5μmの酸化膜15を成長させる。
【0054】
続いて、4つ開口を有するフォトレジストからなる保護層R8を形成し、保護層R8をマスクとし緩衝フッ酸を用いて酸化膜15をエッチングする。4つの開口の各開口は、第三端に接する側壁形成領域と第四端に接する側壁形成領域を含んでy軸方向がx軸方向より長く形成されている(図15参照)。保護層R8を用いて酸化膜15をエッチングすることにより、側壁形成領域A3の低抵抗部60を形成する位置に形成されている酸化膜15が除去され酸化膜15の下に形成されているピエゾ抵抗部Pが露出する(当該開口において側壁形成領域A3以外の領域に露出している絶縁層11はエッチングされない)。酸化膜15がエッチングされたことにより出現した凹部(内壁を酸化膜15として底面をピエゾ抵抗部Pとする凹部)は後にコンタクトホールとして機能する。その後、保護層R8を除去する。続いて、図15に示すように絶縁層11をマスクにしてバルク層10(ピエゾ抵抗部Pが形成されている)の表層に不純物イオンを導入し、低抵抗部60を形成する。例えば、2×1020/cm3の濃度でBイオンを注入する。
【0055】
続いて、絶縁層11およびバルク層10の表面に配線層13aを形成する。例えば、2μmの銅(Cu)を成膜する。CVD法を用いてタングステン(W)を成膜してもよい。Wの代わりに、タングステンシリサイド(WSi)を成膜してもよい。続いて、配線層13aを全面エッチバックすることにより、低抵抗部60の表面や酸化膜15の表面から凹部31の開口面までの間を配線層13aで充填する。例えば、CMPを用いてWからなる配線層13aをエッチングし、SixNyからなる絶縁層11をCMPのエッチングストッパに用いる。なお、CF4をエッチングガスとしてもいい。反応性イオンエッチング法にて、Wからなる配線層13aをエッチングしてもよい。エッチング前に側壁形成領域A3における配線層13a上に平坦化層としてフォトレジストを塗布し、選択比1として配線層13aをエッチバックしてもよい。
【0056】
続いて、図16に示すように、フォトレジストからなる保護層R9を形成し、保護層R9をマスクとして、低抵抗部60の表面や酸化膜15の表面から凹部31の開口面までの間に充填されている配線層13aをエッチングし酸化膜15を露出させる。例えば、CF4を用いた反応性イオンエッチング法にて、Wからなる配線層13aをエッチングする。エッチング後、保護層R9を除去する。続いて、絶縁層11および酸化膜15の表面に絶縁層16を成膜する。例えば、絶縁層16として、厚さ2μmのSiO2を用いる。続いて、図17に示すように、絶縁層16を全面エッチバックすることにより、配線層13aを内壁とし酸化膜15を底面とする凹部へ絶縁層16を充填する。例えば、CMPを用いてSiO2からなる絶縁層16をエッチングし、SixNyからなる絶縁層11をエッチングストッパに用いる。
【0057】
次に、配線層13aの表面および絶縁層11の表面および絶縁層16の表面に配線層13b(不図示)を形成する。例えば厚さ0.6μmのAlを用いる。Alを成膜する前に密着層として厚さ300AのTi、バリアメタルとしてTiNxを成膜してもよい。続いて、配線層13bを配線パターンが形成されたフォトレジストからなる保護層を用いてエッチングすることによって配線部13を形成し、保護層を除去する。その後、原型領域F0+M0+S0を保護する保護層(保護部に相当)と、凹部31に充填されている配線層13aや絶縁層16とをマスクに用いて、絶縁層11をエッチングする。(保護層は、原型領域S0+F0+M0と側壁形成領域A3との境界を超えて(ただし幅W3以上超えない)側壁14a側まで形成されていてもよい)例えば、85℃に加熱した燐酸を用いてエッチングする。最後に前述の保護層と配線層13aや絶縁層16をマスクに用いてボッシュプロセスにてバルク層10をエッチングすることによって、可撓部Fおよび錘部Mおよび枠部Sを形成するとともにピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成する。すなわち本変形例では、凹部31に充填されている酸化膜15や絶縁層16や配線層13aが側壁14aに相当する。
【0058】
この変形例によると、可撓部Fにおいて、側壁14aのy軸方向の幅W3とコンタクトホール(図15の工程で出現した凹部)のy軸方向の幅が一致している。すなわち、コンタクトホールH3の断面積を大きく取ることが出来るため、コンタクト抵抗を小さくできる。また、コンタクトホールの断面積のばらつきが少ないため、特性を安定させることができる。
【0059】
3.第三実施形態
(製造方法)
第三実施形態の製造方法を図18〜図21を用いて説明する。上記実施形態やその変形例と相違する点は、後に側壁となる犠牲層を、バルク層10の表面を酸化することにより形成する点である(酸化膜17が側壁に相当する)。まず、第二実施形態と同様に、バルク層10の表面に絶縁層11を形成し、側壁形成領域A3において絶縁層11をエッチングすることにより凹部31を形成し、バルク層10を露出させる。続いて、図18に示すように、絶縁層11をマスクにして、バルク層10の表層をエッチングする。例えば、RIE(Reacting Ion Etching)で深さ2μmの凹部310をバルク層10に形成する。続いて、絶縁層11をマスクとして、バルク層10の表層に不純物を注入し、ピエゾ抵抗部Pを形成する。
【0060】
続いて、絶縁層11をマスクにして、バルク層10を酸化させ、露出しているバルク層10の表面に酸化膜17を形成する。凹部310の底面が酸化され、図19に示すように、凹部310および凹部31が酸化膜17(SiO2)で充填される。Siの酸化により体積が2.22倍に膨張することを考慮し、前述したように予めバルク層10に凹部310を形成する。RIEによるエッチングで発生したバルク層10の表面の凹凸を解消するために、熱酸化工程の前に1150℃の高温水素アニール処理を実施してもよい。
【0061】
続いて、図20に示すように、フォトレジストからなる保護層R10と酸化膜17とをマスクに用いて、絶縁層11を貫通させてバルク層10の表層に不純物を導入し、バルク層10の表層に低抵抗部60を形成する。保護層R10を除去した後、図21に示すように、保護層R11を用いて低抵抗部60と重なる位置にコンタクトホールH1を形成し、保護層R11を除去する。そして、絶縁層11、バルク層10(低抵抗部60)、酸化膜17の表面に配線層を形成し、配線パターンを除く領域をエッチングにより除去して配線部13を形成する。その後、原型領域S0+M0+F0を保護するフォトレジストからなる保護層(保護部)と、酸化膜17と、をマスクにして絶縁層11をエッチングする(保護層は、原型領域S0+F0+M0と側壁形成領域A3との境界を超えて(ただし幅W3以上超えない)酸化膜17側まで形成されていてもよい)。その後、保護層と酸化膜17とをマスクに用いてバルク層10をボッシュプロセスによりエッチングすることにより、可撓部F、錘部M、枠部Sを形成するとともに、ピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成する。
【0062】
本実施形態の製造方法によると、ピエゾ抵抗素子P1〜P4の形成と、可撓部Fをエッチングにより形成する際のマスクとして利用する酸化膜17の形成とを、同じ凹部31を共用して行う。そのため、ピエゾ抵抗素子P1〜P4を可撓部Fのy軸方向の両端面を含む最も外側の部分に形成することができ、感度が高い加速度センサを製造することができる。また、ピエゾ抵抗部Pの上層に形成された酸化膜17によって可撓部Fのy軸方向の両端の位置が決定されるので、可撓部Fに精度よくピエゾ抵抗素子P1〜P4を配置できない等ということがこの製造方法では発生しないため、歩留まりを向上させることができる。さらに、可撓部のy軸方向に薄くしたい場合も、この製造工程によると可撓部Fのy軸方向の最も外側の部分にピエゾ抵抗素子を配置することができるため、製造工程における歩留まりを低下させることなく、感度が高い加速度センサを製造することができる。
【0063】
また、本実施形態では、凹部31形成の際、平坦面(バルク層10の表面)上にフォトレジストを塗布しフォトリソグラフィを行い保護層を形成できるので、高精度にパターンが転写された保護層を用いて側壁形成領域A3に凹部31を形成することができる。その結果、凹部310も側壁形成領域A3に高精度に形成できる。そのため、ピエゾ抵抗部P(最終的には各ピエゾ抵抗素子P1〜P4)のを高精度に一定幅(W3)にすることができる。その結果、加速度センサの歩留まりを向上させることができるとともに、それらのピエゾ抵抗素子で構成するブリッジ回路のオフセット調整の必要性を低減することができる。また、絶縁層11は、ボッシュプロセスのエッチングマスクとなる酸化膜17と比較して薄いため、コンタクトホールH1を浅くすることができる。そのためメタル被覆性が良好となり、コストを削減することができる。
【0064】
(変形例1)
次に第三実施形態の変形例を図22を用いて説明する。まず、側壁形成領域A3に開口を有する保護層を用いて、側壁形成領域A3においてバルク層10の表層をエッチングし凹部310を形成する。そして、その保護層をマスクにしてバルク層10の表層(凹部310の底面の表層)に不純物を導入し、ピエゾ抵抗部Pを形成し、保護層を除去する。その後、図22に示すように、バルク層10を酸化させると、凹部310が酸化膜で充填され、凹部310には厚い酸化膜17aが形成される。側壁形成領域A3以外のバルク層10の表層には薄い酸化膜17bが形成される。続いて、別の保護層と厚い酸化膜17aをマスクに用いて、薄い酸化膜17bを貫通させてバルク層10の表層に低抵抗部60を形成し、保護層を除去する。続いて、低抵抗部60が形成されている位置に重なる薄い酸化膜17bをエッチングしてコンタクトホールH1を形成し、配線部13を形成する。その後、原型領域S0+M0+F0を保護する保護層(保護部)と厚い保護層17aとをマスクに用いて、露出している薄い酸化膜17bをエッチングにより除去する(保護層は、原型領域S0+F0+M0と側壁形成領域A3との境界を超えて(ただし幅W3以上超えない)酸化膜17側まで形成されていてもよい)。続いて、当該保護層と厚い酸化膜17aとをマスクに用いてバルク層10をエッチングにより除去することにより、錘部M、可撓部F、枠部Sを形成するとともに、ピエゾ抵抗素子P1〜P4を形成する。すなわち、本変形例において、厚い酸化膜17aは側壁に相当する。
【0065】
4.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態で示した材質や寸法や形状や成膜方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。
【0066】
錘部Mは上記実施形態のように1つの可撓部Fによって枠部Sと連結している構成に限らず、図23A,図23B,図23Cに示すように互いに平行な複数の可撓部F1,F2によって枠部Sと連結する構成であってもよい。図23A〜図23Cでは、ピエゾ抵抗素子Pxや低抵抗部60、配線部13は図示を省略している。また、図中の破線は、錘部M、可撓部F1,F2、枠部Sの境界を示している。
なお、上記実施形態ではy軸方向の加速度を検出する1軸加速度センサを例に説明したが、本発明は、可撓部がz軸方向に薄くz軸方向の加速度を検出する1軸加速度センサや、多軸加速度センサに対しても適用してもよいし、また、上記実施形態では、側壁14aは、錘部Mの外側、枠部Sの内側、可撓部Fの第三端および第四端の外側に形成される構成を説明したが、少なくとも可撓部Fの第三端および第四端の外側に形成されていればよい。
【符号の説明】
【0067】
1:加速度センサ、2:加速度センサ、10:バルク層、11:絶縁層、13:配線部、14:犠牲層、14a:側壁、15:酸化膜、16:絶縁層、17:酸化膜、30:凹部、31:凹部、310:凹部、50,51:開口、60:低抵抗部、A1:非原型領域、A2:領域、A3:側壁形成領域、F:可撓部(F0:原型領域)、F1,F2:可撓部、H1:コンタクトホール、M:錘部(M0:原型領域)、P:ピエゾ抵抗部、P1,P2,P3,P4:ピエゾ抵抗素子、S:枠部(S0:原型領域)、e1:第一端、e2:第二端、e3:第三端、e4:第四端。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形形態を有する可撓部の原型領域であって、第一端が枠部の原型領域の内側と結合し、前記第一端と対向する第二端が前記枠部の内側にある錘部の原型領域と結合している前記可撓部の原型領域の外側、かつ、前記枠部の原型領域の内側、かつ、前記錘部の原型領域の外側にある非原型領域内の、少なくとも前記可撓部の原型領域の残りの第三端および第四端に隣接し前記第三端と前記第四端とからそれぞれ一定距離以上の幅を有する領域において、単結晶シリコンからなる基板の表層に不純物を導入することによってピエゾ抵抗部を形成し、
前記非原型領域のうち、少なくとも前記可撓部の原型領域の前記第三端および前記第四端に隣接し前記第三端と第四端とからそれぞれ前記一定距離の幅を有する側壁形成領域において、前記基板の表面に、前記基板に対するエッチング選択性を有する側壁を形成し、
前記可撓部の原型領域および前記錘部の原型領域および前記枠部の原型領域を保護する保護部と、前記側壁と、をマスクに用いて前記基板を異方性エッチングすることにより、枠部と錘部と可撓部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部からピエゾ抵抗素子を形成する、
ことを含む加速度センサの製造方法。
【請求項2】
前記ピエゾ抵抗部を形成する前に、前記基板の一方の主面に絶縁層を形成し、
前記非原型領域において、前記絶縁層を除去して前記基板を露出させることにより、前記基板を底面とし前記絶縁層を内壁とする凹部を形成し、
前記凹部を形成した後、残存している前記絶縁層をマスクに用いて、前記凹部の底面に露出している前記基板の表層に不純物を導入することにより、前記凹部の底面に露出している前記基板の表層に前記ピエゾ抵抗部を形成し、
前記絶縁層の表面および前記凹部の内部に犠牲層を形成し、
前記犠牲層をエッチバックして、前記絶縁層の表面および前記凹部の底面を露出させ、
前記犠牲層のエッチバックに伴って前記凹部の内壁と底面とがなす隅部としての前記側壁形成領域に残存した前記犠牲層を示す前記側壁と、前記保護部として機能する前記絶縁層と、をマスクに用いて前記基板を異方性エッチングすることにより、前記可撓部と前記枠部と前記錘部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部から前記ピエゾ抵抗素子を形成する、
請求項1に記載の加速度センサの製造方法。
【請求項3】
前記ピエゾ抵抗部を形成する前に、前記基板の一方の主面に絶縁層を形成し、
前記非原型領域から、前記枠部の原型領域および前記錘部の原型領域および前記可撓部の原型領域のいずれからも前記一定距離を保って離間する領域を除いた前記側壁形成領域において、前記絶縁層を除去して前記基板を露出させることにより、前記基板を底面とし前記絶縁層を内壁とする凹部を形成し、
前記凹部を形成した後、残存している前記絶縁層をマスクに用いて、前記凹部において露出している前記基板の表層に不純物を導入することにより、前記凹部において露出している前記基板の表層に前記ピエゾ抵抗部を形成し、
前記絶縁層の表面に前記犠牲層を形成するとともに、前記凹部を前記犠牲層で充填し、
前記絶縁層が露出するまで前記犠牲層を平坦化することによって、前記側壁を形成し、
前記保護部と前記側壁とをマスクに用いて、前記絶縁層と前記基板を異方性エッチングすることによって、前記枠部と前記可撓部と前記錘部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部から前記ピエゾ抵抗素子を形成する、
請求項1に記載の加速度センサの製造方法。
【請求項4】
前記非原型領域から、前記枠部の原型領域および前記錘部の原型領域および前記可撓部の原型領域のいずれからも前記一定距離を保って離間する領域を除いた前記側壁形成領域において、前記基板の表層を除去することにより、凹部を形成し、
前記凹部の底面の表層に不純物を導入することにより、前記凹部の底面の表層に前記ピエゾ抵抗部を形成し、
前記基板の表面を酸化させ、前記凹部を酸化膜で充填することによって、前記凹部に前記側壁を形成し、
前記保護部と、前記側壁と、をマスクに用いて、前記基板を異方性エッチングすることによって、前記枠部と前記可撓部と前記錘部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部から前記ピエゾ抵抗素子を形成する、
請求項1に記載の加速度センサの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって製造された1軸加速度センサであって、
前記枠部の開口面に平行な方向に撓む板ばね形を有する前記可撓部であって、前記可撓部の原型領域の前記第三端および前記第四端の外側に隣接して前記側壁が形成されている前記可撓部と、
前記可撓部の原型領域の前記第一端と内側において結合する前記枠部と、
前記可撓部の原型領域の前記第二端と結合する前記錘部と、
前記側壁の下層に、前記第一端または前記第二端と平行な方向において前記側壁の幅と同じ幅で形成されているピエゾ抵抗素子と、
を備える1軸加速度センサ。
【請求項1】
矩形形態を有する可撓部の原型領域であって、第一端が枠部の原型領域の内側と結合し、前記第一端と対向する第二端が前記枠部の内側にある錘部の原型領域と結合している前記可撓部の原型領域の外側、かつ、前記枠部の原型領域の内側、かつ、前記錘部の原型領域の外側にある非原型領域内の、少なくとも前記可撓部の原型領域の残りの第三端および第四端に隣接し前記第三端と前記第四端とからそれぞれ一定距離以上の幅を有する領域において、単結晶シリコンからなる基板の表層に不純物を導入することによってピエゾ抵抗部を形成し、
前記非原型領域のうち、少なくとも前記可撓部の原型領域の前記第三端および前記第四端に隣接し前記第三端と第四端とからそれぞれ前記一定距離の幅を有する側壁形成領域において、前記基板の表面に、前記基板に対するエッチング選択性を有する側壁を形成し、
前記可撓部の原型領域および前記錘部の原型領域および前記枠部の原型領域を保護する保護部と、前記側壁と、をマスクに用いて前記基板を異方性エッチングすることにより、枠部と錘部と可撓部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部からピエゾ抵抗素子を形成する、
ことを含む加速度センサの製造方法。
【請求項2】
前記ピエゾ抵抗部を形成する前に、前記基板の一方の主面に絶縁層を形成し、
前記非原型領域において、前記絶縁層を除去して前記基板を露出させることにより、前記基板を底面とし前記絶縁層を内壁とする凹部を形成し、
前記凹部を形成した後、残存している前記絶縁層をマスクに用いて、前記凹部の底面に露出している前記基板の表層に不純物を導入することにより、前記凹部の底面に露出している前記基板の表層に前記ピエゾ抵抗部を形成し、
前記絶縁層の表面および前記凹部の内部に犠牲層を形成し、
前記犠牲層をエッチバックして、前記絶縁層の表面および前記凹部の底面を露出させ、
前記犠牲層のエッチバックに伴って前記凹部の内壁と底面とがなす隅部としての前記側壁形成領域に残存した前記犠牲層を示す前記側壁と、前記保護部として機能する前記絶縁層と、をマスクに用いて前記基板を異方性エッチングすることにより、前記可撓部と前記枠部と前記錘部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部から前記ピエゾ抵抗素子を形成する、
請求項1に記載の加速度センサの製造方法。
【請求項3】
前記ピエゾ抵抗部を形成する前に、前記基板の一方の主面に絶縁層を形成し、
前記非原型領域から、前記枠部の原型領域および前記錘部の原型領域および前記可撓部の原型領域のいずれからも前記一定距離を保って離間する領域を除いた前記側壁形成領域において、前記絶縁層を除去して前記基板を露出させることにより、前記基板を底面とし前記絶縁層を内壁とする凹部を形成し、
前記凹部を形成した後、残存している前記絶縁層をマスクに用いて、前記凹部において露出している前記基板の表層に不純物を導入することにより、前記凹部において露出している前記基板の表層に前記ピエゾ抵抗部を形成し、
前記絶縁層の表面に前記犠牲層を形成するとともに、前記凹部を前記犠牲層で充填し、
前記絶縁層が露出するまで前記犠牲層を平坦化することによって、前記側壁を形成し、
前記保護部と前記側壁とをマスクに用いて、前記絶縁層と前記基板を異方性エッチングすることによって、前記枠部と前記可撓部と前記錘部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部から前記ピエゾ抵抗素子を形成する、
請求項1に記載の加速度センサの製造方法。
【請求項4】
前記非原型領域から、前記枠部の原型領域および前記錘部の原型領域および前記可撓部の原型領域のいずれからも前記一定距離を保って離間する領域を除いた前記側壁形成領域において、前記基板の表層を除去することにより、凹部を形成し、
前記凹部の底面の表層に不純物を導入することにより、前記凹部の底面の表層に前記ピエゾ抵抗部を形成し、
前記基板の表面を酸化させ、前記凹部を酸化膜で充填することによって、前記凹部に前記側壁を形成し、
前記保護部と、前記側壁と、をマスクに用いて、前記基板を異方性エッチングすることによって、前記枠部と前記可撓部と前記錘部とを形成するとともに、前記ピエゾ抵抗部から前記ピエゾ抵抗素子を形成する、
請求項1に記載の加速度センサの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって製造された1軸加速度センサであって、
前記枠部の開口面に平行な方向に撓む板ばね形を有する前記可撓部であって、前記可撓部の原型領域の前記第三端および前記第四端の外側に隣接して前記側壁が形成されている前記可撓部と、
前記可撓部の原型領域の前記第一端と内側において結合する前記枠部と、
前記可撓部の原型領域の前記第二端と結合する前記錘部と、
前記側壁の下層に、前記第一端または前記第二端と平行な方向において前記側壁の幅と同じ幅で形成されているピエゾ抵抗素子と、
を備える1軸加速度センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−137683(P2011−137683A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296956(P2009−296956)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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