説明

助手席用エアバッグ装置

【課題】簡素な構造で強い接合強度を確保する。
【解決手段】エアバッグカバー本体部141は、板状の開成部141aと、少なくとも開成部141aよりも内周側の領域に設けられた平滑部FTと、開成部141aよりも外周側の領域から突出するとともに、開成部141における面の平坦性を維持するように設けられた、複数の溶着補助リブ18a〜gとを備え、枠状体142は、膨張荷重によって押圧されることで開裂して展開するフラップ部146と、平滑部FTに臨むように少なくともフラップ部146に設けられた被溶着リブ24,27,32と、複数の被溶着補助リブ30a〜gとを備え、被溶着リブ24,27,32と平滑部FTとが当接されるとともに被溶着補助リブ30a〜gと溶着補助リブ18a〜gとが当接された状態で振動溶着により接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、助手席乗員を拘束する助手席用エアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
助手席乗員を拘束する助手席用エアバッグ装置は、車両のインストルメントパネルに設けられる。助手席用エアバッグ装置は、インストルメントパネルの外観の一部を構成するように設けられたエアバッグカバーと、前記エアバッグカバーの裏面を取付面として枠状の枠状体を固定し、その枠状体にリテーナやエアバッグ、インフレータといった構成部品を装着している。インストルメントパネルの裏面側に枠状体を固定する場合、これら構成部品が樹脂製であることから、溶着技術(例えば、振動溶着)を用いて溶着することが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、近年、車両のインストルメントパネルは、種々の機能性の確保、意匠上の観点、車内レイアウトの制約、等に対応して、外観形状が全体的に曲面形状となる場合がある。このような場合、この曲面形状が振動溶着に関する振動操作の妨げになるところ、振動溶着に関与する構造を工夫することによって、エアバッグカバー本体部と枠状体とが互いに向かい合う部位を均一に接合する要請が高い。上記従来技術では、エアバッグカバーのうちテアラインにて開裂する開成部全体にわたるように、インストルメントパネルの裏面側に複数本のリブを設けることにより、これらのリブと向かい合う枠状体の取付面とを、均一に接合可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−114747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インストルメントパネルは、開裂用のテアラインによって区画される板状の開成部を備えている。この開成部は、エアバッグの膨張荷重で押圧されることにより上記テアラインで開裂し乗員側へと展開する。上記従来技術では、上記複数本のリブを、主として上記開成部の裏面に設けている。
【0006】
ここで、上記のように開成部はエアバッグ作動時に乗員側へと開き動作する部分であるため、構造上・強度上において種々の制約が存在する。したがって、インストルメントパネルの開成部の裏面に設けたリブと枠状体の上記開成部に対応する位置に設けた取付面とを振動溶着するよりも、インストルメントパネルの開成部にはリブを設けずに平滑面とし、枠状体の上記取付面側にリブを設けて振動溶着したほうが、簡素な構造で接合強度の向上を容易に図れるはずである。しかしながら、上記従来技術にはそのような点までは特に配慮されていなかった。
【0007】
本発明の目的は、簡素な構造で強い接合強度を確保することができる助手席用エアバッグ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願第1発明は、車両に設置されるエアバッグ装置であって、膨張して助手席乗員を拘束する助手席用エアバッグと、予め所定の態様にて折り畳まれた前記助手席用エアバッグを収容するリテーナと、前記車両への衝撃発生に対応して前記助手席用エアバッグが前記リテーナから突出しつつ膨張するように前記助手席用エアバッグにガスを供給するインフレータと、エアバッグカバーと、を有し、前記エアバッグカバーは、前記助手席乗員に対向して延在するとともに、前記助手席乗員とは反対側に前記リテーナが設けられ、前記リテーナに収容された前記助手席用エアバッグを被覆するエアバッグカバー本体部と、前記エアバッグカバー本体部の前記助手席乗員とは反対側に設けられる枠状体と、を備え、前記エアバッグカバー本体部は、エアバッグカバー開裂用のテアラインと、前記テアラインによって区画され、前記助手席用エアバッグの膨張荷重によって押圧されることで前記テアラインにて開裂して展開する板状の開成部と、前記エアバッグカバー本体部の裏面のうち、少なくとも前記開成部よりも内周側の領域に設けられた平滑部と、前記エアバッグカバー本体部の裏面のうち前記開成部よりも外周側の領域から突出するとともに、前記開成部における面の平坦性を、前記開成部よりも外周側の領域においても維持するように設けられた、複数の溶着補助リブと、を備え、前記枠状体は、前記エアバッグカバー開裂用のテアラインに対応した位置に設けられた開裂用のテアラインと、前記テアラインによって区画され、前記助手席用エアバッグの膨張荷重によって押圧されることで前記テアラインにて開裂して展開するフラップ部と、前記平滑部に臨むように、少なくとも前記フラップ部に設けられた被溶着リブと、前記フラップ部の外側に形成されたフランジ部の、前記複数の溶着補助リブに対応する位置にそれぞれ設けられた、複数の被溶着補助リブと、を備え、前記被溶着リブと前記平滑部とが当接されるとともに前記被溶着補助リブと前記溶着補助リブとが当接された状態で振動方向に相対的に振動される振動溶着によって、前記エアバッグカバー本体部と前記枠状体とが互いに接合されていることを特徴とする。
【0009】
本願第1発明においては、インストルメントパネルのエアバッグカバー本体部の開成部の内周側はリブ等を設けない平滑部とし、上記開成部に対応した枠状体の少なくともフラップ部に、上記平滑部に臨むように被溶着リブを設ける。このように構造上・強度上において種々の制約が存在する開成部へのリブ設置を回避して枠状体側にリブを設けることにより、開成部へリブを設ける従来構造に比べ、簡素な構造で接合強度の向上を容易に図ることができる。
【0010】
一方、インストルメントパネルの外観形状が全体的に曲面形状となる場合、一般的には、上記インストルメントパネルの端部側になるほど、大きく湾曲する形状となる。このため、そのままでは、上記大きく湾曲した端部側の領域では枠状体を振動溶着により均一に接合することが困難となる。そこで、本願第1発明においては、開成部の外周側に(開成部からの面の平坦性を開成部よりも外周側の領域においても維持するための)溶着補助リブを設ける。これにより、上述の大きく湾曲した端部側の領域においても、接合強度を大きくすることができる。
【0011】
以上のようにして、本願第1発明においては、簡素な構造で強い接合強度を確保することができる。
【0012】
第2発明は、上記第1発明において、前記枠状体の前記被溶着リブは、前記フラップ部に設けられた第1リブと、前記フラップ部を取り囲むように前記フランジ部に略環状に設けられ、前記第1リブよりも強度が大きい第2リブと、前記フランジ部のうち、前記複数の被溶着補助リブが設けられない領域に前記第2リブと連結するように設けられた第3リブと、を含むことを特徴とする。
【0013】
エアバッグカバー本体部の平滑部に対し接合する被溶着リブとして、フラップ部に第1リブを設け、さらにフラップ部を取り囲むようにフランジ部に第2リブを設ける。例えばこの第2リブの強度を第1リブよりも大きくすることにより、簡素な構造で確実に接合強度の向上を図ることができる。
【0014】
また、エアバッグカバー本体部の平滑部に対し接合する被溶着リブとして、さらにフランジ部に第3リブを設けることにより、さらに確実に接合強度の向上を図ることができる。
【0015】
第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記溶着補助リブの幅は、前記被溶着補助リブの幅よりも小さくなっていることを特徴とする。
【0016】
溶着補助リブの幅を小さくすることにより、インストルメントパネルの表から見た外観に与える悪影響を最小限にとどめることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インストルメントパネル側のエアバッグカバー本体部と枠状体とを振動溶着にて接合する構成において、簡素な構造で強い接合強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る助手席用エアバッグ装置の概略構造を表す断面図である。
【図2】エアバッグカバー本体部を含む、インストルメントパネルの背面図である。
【図3】図2中P部の拡大断面図である。
【図4】(a)は図2(B)のA−A線に沿う拡大断面図、(b)は図2(B)のB−B線に沿う拡大断面図、(c)は図2(B)のC−C線に沿う拡大断面図、(d)は図2(B)のD−D線に沿う拡大断面図、(e)は図2(B)のE−E線に沿う拡大断面図、(f)は図2(B)のF−F線に沿う拡大断面図、(g)は図2(B)のG−G線に沿う拡大断面図である。
【図5】枠状体の上面図である。
【図6】インストルメントパネルと枠状体との溶着部分を下方から見た斜視図である。
【図7】インストルメントパネルと枠状体との溶着部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態で用いられるエアバッグ装置100は、特に図示しないものの、車両の助手席の前方に設置され、車両事故の際に助手席用エアバッグによって助手席乗員を拘束する助手席用のエアバッグ装置として構成される。図1は、このエアバッグ装置100の断面構造を表す断面図である。
【0020】
本実施の形態のエアバッグ装置100は、エアバッグ110、リテーナ120、インフレータ130、エアバッグカバー20を主体に構成されている
エアバッグ110は、車両事故の際、助手席側へと突出しつつ膨張し、膨張した状態の上記エアバッグ110が、助手席に着座している助手席乗員を拘束する。リテーナ120は、予め所定の折り畳み態様(ロール折り、蛇腹折り、機械折りなど)で折り畳まれたエアバッグ110を収容する。インフレータ130は、車両事故に際し、膨張ガスを発生してエアバッグ110へと供給する。
【0021】
エアバッグカバー20は、車両のインストルメントパネル10に配置されている。インストルメントパネル10は、車室内における運転席及び助手席の前方、すなわちフロントウインドウと前席乗員との間で左右方向(車幅方向)に延在するパネル体(「ダッシュボード」ともいう)であって、運転席前部のスピードメーターやタコメーター等の計器類周りのパネルだけではなく、本実施の形態のエアバッグ110等が装着された部分や、助手席側にある小物を入れるグローブボックスまでのパネル全体を広く含むパネル体として規定される。更には、カーエアコン用の吹き出し口や、カーステレオが格納されている部分も含んで、インストルメントパネル10ということもできる。
【0022】
そして、エアバッグカバー20は、リテーナ120に収容された状態のエアバッグ110を被覆する。このエアバッグカバー20は、エアバッグカバー本体部141と、枠状体142とを備える。
【0023】
エアバッグカバー本体部141は、助手席乗員に対向して延在する板状部分として構成される。このエアバッグカバー本体部141は、PP(ポリプロピレン)材料やTPO(オレフィン系エラストマー)材料等の樹脂材料によって形成される。また外表面に樹脂製の表皮が被着されることもある。
【0024】
このエアバッグカバー本体部141の中央付近の裏面に、エアバッグカバー開裂用の開裂予定線として構成されるテアライン14(後述の図2参照)が形成されている。このテアライン14は、典型的には超音波加工やレーザー加工によってエアバッグカバー本体部141の板厚方向に関し薄肉化された部位であり、「薄肉部」或いは「減肉部」とも称呼される。また、このエアバッグカバー本体部141のうち、このテアライン14によって区画される開成部141aは、エアバッグ110の膨張時にテアライン14における開裂によって、後述するフラップ部146とともに展開する(「開成する」ともいう)。
【0025】
なお、テアライン14は、上記テアライン14に沿って実際に開裂する開裂ラインの一部または全部と合致する。すなわち、テアライン14は、枠状体142が所望の開裂態様となるような開裂ラインを形成する機能を有していれば足り、上記テアライン14をこえて開裂ラインが形成されてもよい。
【0026】
また、エアバッグカバー本体部141の裏面に上記枠状体142が接合されている(接合の詳細については後述する)。この枠状体142は、リテーナ120に固定される矩形筒状の筒状部143と、ヒンジ部(図示せず)を介して筒状部143の上部開口145の開閉動作が可能とされるフラップ部146とを備える。このフラップ部146は、開成部141aに概ね合致する形状を有し、後述するテアライン22(後述の図5参照)によって区画され、エアバッグ110の膨張荷重の押圧により開成部141aとともに開裂して展開する。
【0027】
展開ドア部160は、エアバッグカバー本体部141側の上記開成部141aと、枠状体142(リテーナ120)側の上記フラップ部146とを含む。この展開ドア部160において、開成部141a及びフラップ部146は、エアバッグカバー本体部141と枠状体142との接合時に互いに接合される。
【0028】
図2は、上記エアバッグカバー本体部を含む、インストルメントパネル10の背面図である。
【0029】
図2に示すように、エアバッグカバー本体部141は、図示を略すインストルメントパネル10の外観形状の一部を構成しており、その形状に応じた曲面を備えている。また、インストルメントパネル10の背面には車両ボディー側との係合用の脚部12が複数突出形成されている。そして、エアバッグカバー本体部141の開成部141aの(この例では図2中左側の)外周側に、所定範囲に溶着面18を構成するように複数の溶着補助リブ18a〜18gが突出形成されている。また、エアバッグカバー本体部141のうち、開成部141aの内周側の領域や開成部141aの周囲領域を含む比較的広い範囲が、上記溶着補助リブ18a〜18gのようなリブが特に設けられない平滑部FTとなっている。
【0030】
複数の溶着補助リブ18a〜18gは、図3及び図4に示すように、車幅方向に延在されており、例えばその車幅方向の長さは10mm〜50mm(好適には30mm〜35mm)となっている。このとき、複数の溶着補助リブ18a〜18gは、それぞれの頂部が、両端側となるほど傾斜が急になるインストルメントパネル10の表面曲面形状に応じて上記エアバッグカバー本体部141の曲率を吸収し、上記車幅方向中央側から(図2中左側の)端部側へ向かって、開成部141aよりも外周側の領域においても開成部141aからの面の平坦性をなるべく維持するように、設けられている。尚、図4(a)〜図4(g)は、上記平坦性を維持するために、溶着部18がエアバッグカバー本体部141に対し備える角度の例を示す。
【0031】
図5及び図6に示すように、枠状体142は、エアバッグカバー本体部141の上記テアライン14に対応した位置に設けられた、エアバッグ110が膨張して展開するためのテアライン22を形成した上記フラップ部146と、フラップ部146に(この例では格子状に)形成された第1リブ32と、フラップ部146よりも外周側に形成されたフランジ部28と、フランジ部28において上記溶着補助リブ18a〜18gに対応する位置に設けられた形成された複数の被溶着補助リブ30a〜30gと、フラップ部146を包囲するようにフランジ部28に設けられた、第1リブ32より強度が大きい略環状の第2リブ24と、フランジ部28のうち溶着補助リブ18a〜18gが設けられない領域に、第2リブ24と連結して(この例では格子状に)形成された第3リブ27と、フランジ部28の下方に設けられ助手席用エアバッグを収納する周壁26と、を備える。なお、被溶着補助リブ30a〜30gの幅方向寸法(太さ)は、溶着補助リブ18a〜18gの幅方向寸法(太さ)よりも大きくなっている。なお、第1リブ32、第2リブ24、第3リブ27が各請求項記載の被溶着リブを構成している。
【0032】
上記構成において、エアバッグカバー本体部141に枠状体142を合わせることにより、平滑部FRに第1リブ32、第2リブ24、第3リブ27を当接させるとともに、溶着補助リブ18a〜18gに被溶着補助リブ30a〜30gを合致させて当接させた状態で、図7に示すように振動溶着(バイブレーションウェルダー)を行う。これにより、平滑部FRに第1リブ32、第2リブ24、第3リブ27が接合されると共に、溶着補助リブ18a〜18gに被溶着補助リブ30a〜30gが接合され、結果としてエアバッグカバー本体部141と枠状体142とが接合される。
【0033】
この際、振動溶着は、インストルメントパネル10を固定した状態で枠状体142をインストルメントパネル10に向けて加圧しながら水平方向(図7中の矢印参照)に振動させることにより、境界面であるリブ間に摩擦熱を発生させて溶融・溶着させる。この際、振動モードとしては、リニアタイプとオービタルタイプの何れでも良いが、溶着補助リブ18a〜18gの延在方向に沿って振動させるリニアタイプの方が好ましい。なお、最大振幅をリブ幅以下(1.5mm以下)としてオービタルタイプを適用し、全ての溶着面で時間軸に対して一定速度とし、均一な溶着とすることも可能である。
【0034】
上記のようにしてインストルメントパネル10に対して溶着された枠状体142に対し、上記図1に示したように、その周壁26に上記リテーナ120が固定され、さらにそのリテーナ120にエアバッグ110やインフレータ130等が装着されることにより、エアバッグ装置100が構成される。
【0035】
以上説明したように、本発明の助手席用エアバッグ装置100においては、インストルメントパネル10のエアバッグカバー本体部141の開成部141aの内周側はリブ等を設けない平滑部FTとし、上記開成部141aに対応した枠状体142のフラップ部146及びフランジ部28に、上記平滑部FTに臨むように第1リブ32、第2リブ24、及び第3リブ27を設ける。このように構造上・強度上において種々の制約が存在する開成部141aへのリブ設置を回避して枠状体142側にリブを設けることにより、開成部へリブを設ける従来構造に比べ、簡素な構造で接合強度の向上を容易に図ることができる。
【0036】
一方、インストルメントパネル10の外観形状が全体的に曲面形状となる場合、一般的には、上記インストルメントパネル10の端部側になるほど、大きく湾曲する形状となる。このため、そのままでは、上記大きく湾曲した端部側の領域では枠状体142を振動溶着により均一に接合することが困難となる。そこで、本実施形態では、開成部141aの外周側に(開成部141aからの面の平坦性を開成部141aよりも外周側の領域においても維持するための)溶着補助リブ18a〜18gからなる溶着面18を設ける。これにより、上述の大きく湾曲した端部側の領域においても、接合強度を大きくすることができる。
【0037】
以上のようにして、本願実施形態においては、インストルメントパネル10側のエアバッグカバー本体部141と枠状体142とを振動溶着にて接合する構成において、簡素な構造で強い接合強度を確保することができる。
【0038】
また、本実施形態では特に、エアバッグカバー本体部141の平滑部FTに対し接合する被溶着リブとして、フラップ部146に第1リブ32を設け、さらにフラップ部146を取り囲むようにフランジ部28に第2リブ24を設ける。そして第2リブ24の太さを第1リブ32よりも大きくすることにより、簡素な構造で確実に接合強度の向上を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態では特に、エアバッグカバー本体部141の平滑部FTに対し接合する被溶着リブとして、さらにフランジ部28に第3リブ27を設けることにより、さらに確実に接合強度の向上を図ることができる。
【0040】
また、本実施形態では特に、溶着補助リブ18a〜18gの幅は、被溶着補助リブ30a〜30gの幅よりも小さくなっている。このように溶着補助リブ18a〜18gの幅を小さくすることにより、インストルメントパネル10の表から見た外観に与える悪影響を最小限にとどめることができる。
【0041】
なお、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0042】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0043】
10 インストルメントパネル
14 テアライン
18a〜g 溶着補助リブ
20 エアバッグカバー
24 第2リブ(被溶着リブ)
26 周壁
27 第3リブ(被溶着リブ)
28 フランジ部
30a〜g 被溶着補助リブ
32 第1リブ(被溶着リブ)
100 エアバッグ装置
110 エアバッグ
120 リテーナ
130 インフレータ
141 エアバッグカバー本体部
141a 開成部
142 枠状体
146 フラップ部
FT 平滑部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置されるエアバッグ装置であって、
膨張して助手席乗員を拘束する助手席用エアバッグと、
予め所定の態様にて折り畳まれた前記助手席用エアバッグを収容するリテーナと、
前記車両への衝撃発生に対応して前記助手席用エアバッグが前記リテーナから突出しつつ膨張するように前記助手席用エアバッグにガスを供給するインフレータと、
エアバッグカバーと、
を有し、
前記エアバッグカバーは、
前記助手席乗員に対向して延在するとともに、前記助手席乗員とは反対側に前記リテーナが設けられ、前記リテーナに収容された前記助手席用エアバッグを被覆するエアバッグカバー本体部と、
前記エアバッグカバー本体部の前記助手席乗員とは反対側に設けられる枠状体と、
を備え、
前記エアバッグカバー本体部は、
エアバッグカバー開裂用のテアラインと、
前記テアラインによって区画され、前記助手席用エアバッグの膨張荷重によって押圧されることで前記テアラインにて開裂して展開する板状の開成部と、
前記エアバッグカバー本体部の前記助手席乗員とは反対側の面のうち、少なくとも前記開成部よりも内周側の領域に設けられた平滑部と、
前記エアバッグカバー本体部の裏面のうち前記開成部よりも外周側の領域から突出するとともに、前記開成部における面の平坦性を、前記開成部よりも外周側の領域においても維持するように設けられた、複数の溶着補助リブと
を備え、
前記枠状体は、
前記エアバッグカバー開裂用のテアラインに対応した位置に設けられた開裂用のテアラインと、
前記テアラインによって区画され、前記助手席用エアバッグの膨張荷重によって押圧されることで前記テアラインにて開裂して展開するフラップ部と、
前記平滑部に臨むように、少なくとも前記フラップ部に設けられた被溶着リブと、
前記フラップ部の外側に形成されたフランジ部の、前記複数の溶着補助リブに対応する位置にそれぞれ設けられた、複数の被溶着補助リブと、
を備え、
前記被溶着リブと前記平滑部とが当接されるとともに前記被溶着補助リブと前記溶着補助リブとが当接された状態で振動方向に相対的に振動される振動溶着によって、前記エアバッグカバー本体部と前記枠状体とが互いに接合されている
ことを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1記載の助手席エアバッグ装置において、
前記枠状体の前記被溶着リブは、
前記フラップ部に設けられた第1リブと、
前記フラップ部を取り囲むように前記フランジ部に略環状に設けられ、前記第1リブよりも強度が大きい第2リブと、
前記フランジ部のうち、前記複数の被溶着補助リブが設けられない領域に前記第2リブと連結するように設けられた第3リブと、
を含む
ことを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の助手席用エアバッグ装置において、
前記溶着補助リブの幅は、
前記被溶着補助リブの幅よりも小さくなっていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−245859(P2012−245859A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118385(P2011−118385)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(306009581)タカタ株式会社 (812)
【Fターム(参考)】