説明

助手席用エアバッグ装置

【課題】エアバッグを素早く膨張展開できるようにする。
【解決手段】インストルメントパネル100の助手席側上面部101の裏面側に設置され上方に向かって開口するケース2と、ケース2内に折り畳まれた状態で収納されるエアバッグ30と、エアバッグ30内にガスを噴出してエアバッグ30を膨張展開させるインフレータ3と、を備えた助手席用エアバッグ装置1であって、エアバッグ30は、膨張展開時にケース2の開口2aの前縁部から車室内前方へ展開しインストルメントパネル100に接する前方支持部32と、膨張展開時にケース2の開口2aの後縁部から車室内後方へ展開しインストルメントパネル100に接する後方支持部33とを有し、膨張展開前のエアバッグ30のケース2内における収納状態は、折り畳まれた状態の前方支持部32の上に、折り畳まれた状態の後方支持部33が重ねられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、助手席用エアバッグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、助手席用エアバッグ装置は、インストルメントパネルの助手席側上面部の裏面側に設置されており、膨張展開前のエアバッグが折り畳まれた状態でケースに収納され、該ケースがインストルメントパネルに取り付けられている。
助手席用エアバッグ装置には、膨張展開したエアバッグをフロントガラスとインストルメントパネルとで支持するものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このエアバッグ装置は、水平に対するフロントガラスの傾斜角度が大きい(換言すると、フロントガラスが立った状態の)車両においては、膨張展開前のエアバッグ収納位置からフロントガラスまでの距離が長くなるため、エアバッグの大容量化が必要となり、展開時間が長くなるという不具合がある。
【0003】
そこで、膨張展開したエアバッグをインストルメントパネルだけで支持することができるようにし、フロントガラスに接触させずに支持可能にした助手席用エアバッグ装置が考えられている(例えば、特許文献2参照)。
この助手席用エアバッグ装置では、膨張展開したエアバッグが、インストルメントパネルに形成されるエアバッグ突出用開口よりも前方のインストルメントパネルと、前記エアバッグ突出用開口よりも後方のインストルメントパネルとにより支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2521149号公報
【特許文献2】特開2007−308088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載された助手席用エアバッグ装置では、ケース内における膨張展開前のエアバッグの折り畳み状態において、エアバッグを、エアバッグ突出用開口よりも前方に展開してインストルメントパネルに支持される前方支持部と、前記エアバッグ突出用開口よりも後方に展開してインストルメントパネルに支持される後方支持部とに分けて折り畳み、折り畳まれた前方支持部の後側に、折り畳まれた後方支持部を配置してケース内に収納している。すなわち、折り畳まれた前方支持部と折り畳まれた後方支持部を前後に並べて配置している。
【0006】
しかしながら、膨張時において前方支持部の容量は後方支持部の容量よりも小さいため、前方支持部の方が後方支持部よりも先に膨張し易く、そのため、ケース内で膨張した前方支持部が、後方支持部を押さえ付ける虞がある。
また、狭いケース内で前方支持部と後方支持部が同時に膨張したときに、互いに干渉し合って、膨張に悪影響を及ぼす虞がある。
【0007】
そこで、この発明は、エアバッグの前方支持部と後方支持部が膨張展開に互いに悪影響を及ぼさないようにした助手席用エアバッグ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る助手席用エアバッグ装置では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、インストルメントパネル(例えば、後述する実施例におけるインストルメントパネル100)の助手席側上面部(例えば、後述する実施例における上面部101)の裏面側に設置され上方に向かって開口するケース(例えば、後述する実施例におけるケース2)と、前記ケース内に折り畳まれた状態で収納されるエアバッグ(例えば、後述する実施例におけるエアバッグ30)と、前記エアバッグ内にガスを噴出して該エアバッグを膨張展開させるガス発生器(例えば、後述する実施例におけるインフレータ3)と、を備えた助手席用エアバッグ装置(例えば、後述する実施例における助手席用エアバッグ装置1)であって、前記エアバッグは、膨張展開時に前記ケースの開口(例えば、後述する実施例における開口2a)の前縁部から車室内前方へ展開し前記インストルメントパネルに接する前方支持部(例えば、後述する実施例における前方支持部32)と、膨張展開時に前記ケースの前記開口の後縁部から車室内後方へ展開し前記インストルメントパネルに接する後方支持部(例えば、後述する実施例における後方支持部33)とを有し、膨張展開前の前記エアバッグの前記ケース内における収納状態は、折り畳まれた状態の前記前方支持部の上に、折り畳まれた状態の前記後方支持部が重ねられており、折り畳まれた状態の前記後方支持部の上に前記ケースの前記開口が配置されていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置である。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、膨張展開前の前記後方支持部は、前記エアバッグの膨張展開時に乗員を拘束する部分が、前記エアバッグの内部に屏風状に折り畳まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、折り畳まれた状態の前記前方支持部の上に、折り畳まれた状態の前記後方支持部が重ねられているので、エアバッグの膨張展開時に、膨張した前方支持部により後方支持部がケースの開口から押し出されるようになり、エアバッグの膨張展開を早めることができる。また、膨張展開時に前方支持部と後方支持部が互いに悪影響を及ぼすことがない。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、後方支持部を素早く膨張展開させることができ、乗員を素早く拘束することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施例における助手席用エアバッグ装置の取り付け状態を示す断面図である。
【図2】前記助手席用エアバッグ装置の拡大断面図である。
【図3】前記助手席用エアバッグ装置においてエアバッグの膨張途中を示す断面図である。
【図4】前記エアバッグの折り畳み手順における第1ステップを示す図であり、(A)は平面図、(B)は側方から見た断面図である。
【図5】前記エアバッグの折り畳み手順における第2ステップを示す図であり、(A)は平面図、(B)は側方から見た断面図である。
【図6】前記エアバッグの折り畳み手順における第3ステップを示す図であり、(A)は平面図、(B)は下方から見た断面図である。
【図7】前記エアバッグの折り畳み手順における第4ステップを示す図であり、(A)は平面図、(B)は下方から見た断面図である。
【図8】前記エアバッグの折り畳み手順における第5ステップを示す図であり、(A)は平面図、(B)は下方から見た断面図である。
【図9】前記エアバッグの折り畳み手順における第6ステップを示す図であり、(A)は平面図、(B)は下方から見た断面図である。
【図10】前記エアバッグの折り畳み手順における第7ステップを示す斜視図である。
【図11】前記エアバッグの折り畳み手順における第8ステップを示す斜視図である。
【図12】前記エアバッグの折り畳み手順における第9ステップを示す斜視図である。
【図13】前記エアバッグの折り畳み手順における第10ステップを示す斜視図である。
【図14】前記エアバッグの折り畳み手順における第11ステップを示す断面図である。
【図15】前記エアバッグの折り畳み手順における最終ステップを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明に係る助手席用エアバッグ装置の実施例を図1から図15の図面を参照して説明する。なお、図中、矢印Xは車両前後方向の前方を示し、矢印Yは車幅方向の右方を示している。
図1は、車両における助手席用エアバッグ装置の取り付け状態を示しており、この図において二点鎖線は、膨張展開したエアバッグの形態を示している。
図1において、符号200はフロントガラス、符号100は樹脂製のインストルメントパネルである。助手席用エアバッグ装置(以下、エアバッグ装置と略す)1は、インストルメントパネル100の助手席側上面部101の裏面側に設置されている。
【0014】
図2はエアバッグ装置1の拡大断面図であり、この図2に示すように、エアバッグ装置1は、ケース2と、インフレータ(ガス発生器)3と、エアバッグユニット4とを主要構成としている。
ケース2は、インフレータ3の一部とエアバッグユニット4とを収納して保持し、インストルメントパネル100に固定されている。ケース2は、樹脂製の上部ケース5と、上部ケース5にフック6を介して連結された金属製の下部ケース7とを備えている。
【0015】
上部ケース5は、インストルメントパネル100の上面部101の裏面に沿って配置される天板部8と、天板部8から下方に突出する筒状の側壁部9とを備えている。側壁部9の内側であって天板部8の車両前後方向の略中央には、車幅方向に延びるスリット10が形成され、また、側壁部9の内側の天板部8において側壁部9の近傍にはU字状のヒンジ部11が形成されている。天板部8は、後述するエアバッグ30の膨張時に、エアバッグ30により押されて側板部9より内側の部分が上方に跳ね上げられ、スリット10を境にして天板部8の前部と後部がそれぞれヒンジ部11を中心にして上方回転し、これにより上部ケース5にエアバッグ4を車室内に突出させる開口(ケース2の開口2a)が形成されるようになっている。
【0016】
また、インストルメントパネル100の上面部101には、上部ケース5のスリット10に対応する部位にティアライン102が形成されており、エアバッグ30の膨張によって天板部8が上方に跳ね上げられた時に、インストルメントパネル100のティアライン102が破断し、インストルメントパネル100にもエアバッグ突出用の開口が形成されるようになっている。
この上部ケース5の天板部8がインストルメントパネル100の上面部101の裏面に接合されている。
【0017】
下部ケース7は、底板部12と、底板部12の外周部から上方に起立する側板部13とを有して筒状をなし、上方を開口させている。側板部13は上部ケース5の側壁部9の内側に挿入されており、側板部13の上部にフック6が固定されている。このフック6を、上部ケース5の側壁部9の下部に形成された孔14に係止することにより、下部ケース7は上部ケース5に連結されている。
【0018】
底板部12の中央には取付孔15が開口しており、この取付孔15からインフレータ3のガス噴出部3bが挿入され、インフレータ3のフランジ部3aが下側から底板部12に当接している。なお、フランジ部3aの外径は取付孔15の内径よりも大きい。
そして、下部ケース7の底板部12の上にエアバッグユニット4が配置され、エアバッグユニット4に設けられたスタッドボルト16が、インフレータ3のフランジ部の3aに形成された取付孔を挿通し、このスタッドボルト16にナット17を螺合することによって、インフレータ3とエアバッグユニット4とが下部ケース7に共締めされ固定されている。
【0019】
エアバッグユニット4は、インフレータ3から噴出されたガスによって膨張するエアバッグ30と、エアバッグ30の内部に設置されたリテーナ20と、折り畳まれたエアバッグ30を包み込む2つの保護シート21,22と、リテーナ20に固定された前記スタッドボルト16とを備えて構成されている。
【0020】
リテーナ20は金属製で皿形をなし、その底板部24にエアバッグ30の一部分が重ねられ固定されている。リテーナ20の底板部24とこれに重なるエアバッグ30には、インフレータ3のガス噴出部3bをエアバッグ30の内部に挿入するためのインフレータ挿入口31が形成されている。インフレータ挿入口31の大きさは、下部ケース7の取付孔15とほぼ同じ大きさにされている。
【0021】
前記スタッドボルト16はリテーナ20の底部24に固定されており、スタッドボルト16のねじ部16aが、リテーナ20およびエアバッグ30を貫通して、エアバッグ30の外部に突出している。このねじ部16aに、インフレータ3とエアバッグユニット4とを下部ケース7に共締めするための前記ナット17が螺合する。
【0022】
図1において二点鎖線で示すように、膨張展開後のエアバッグ30は一つの袋状となり、ケース2の開口2aの前縁部から車室内前方へ展開する前方支持部32が開口2aよりも前方のインストルメントパネル100に支持され、ケース2の開口2aの後縁部から車室内後方へ展開する後方支持部33が開口2aよりも後方のインストルメントパネル100に支持される。この膨張展開したエアバッグ30がフロントガラス200に接することはない。つまり、膨張展開後のエアバッグ30はインストルメントパネル100のみで支持され、フロントガラス200には干渉しないようになっている。
【0023】
膨張展開前のエアバッグ30は、ケース2内において、インフレータ3の上に、折り畳まれた状態の前方支持部32が載置され、さらにこの前方支持部32の上に折り畳まれた状態の後方支持部33が載置されている。そして、これら折り畳まれた前方支持部32および後方支持部33の上に、保護シート21,22が重ねて配置されている。保護シート21,22は、エアバッグ30が膨張展開する際に周囲の部材との干渉を和らげエアバッグ30へのダメージを低減するためのものである。
【0024】
次に、図4から図15の図面を参照して、エアバッグ30の折り畳み手順と保護シート21,22の取付手順を説明する。なお、図4から図12においては、保護シート21,22の図示を省略している。
【0025】
図4、図5は、エアバッグ30の折り畳みの第1ステップ、第2ステップを示す図であり、図4(A)、図5(A)は平面図、図4(B)は図4(A)の右側面図、図5(B)は図5(A)の右側面図である。
図4(A)に示すように、折り畳まれる前のエアバッグ30は、車両前後方向に細長く、前端部34および後端部35よりも前後方向中程が最も幅の広い形状を有している。以下、車幅方向(以下、左右方向という場合もある)の長さが最も長い部分を最大幅部36と称す。車両前後方向において前端部34と最大幅部36とのほぼ中間に、リテーナ20およびインフレータ挿入口31が配置され、最大幅部36近傍の左右端部に圧力調整用のガス逃がし孔37が設けられている。
図4(A),(B)において、リテーナ20よりも前端部34に近い側が前方支持部32に対応する部分であり、リテーナ20よりも後端部35に近い側が後方支持部33に対応する部分である。
【0026】
まず、図4(B)および図5(B)に示すように、最大幅部36よりも後端部35に近い部分を、エアバッグ30の内部に屏風状に複数回(この実施例では3回)折り込んでいく。ここで、図4(A),(B)は1つ目の折り込み状態を示し、図5(A),(B)は3つ目の折り込みを完了した状態を示している。以下、この複数回屏風状に折り込んだ部分を屏風部38という。
【0027】
次に、エアバッグ30の右半分について、図6に示すように、図5においてエアバッグ30の図中右端から約1/3部分を、内側に折り返し、折り返していないエアバッグ30の上に重ねる(第3ステップ)。以下、この内側に折り返して上に重ねた部分を第1重ね部39という。
【0028】
次に、第1重ね部39の一部を、図7に示すように、第1重ね部39における前端部34の折り返し点40と、図5の状態におけるエアバッグ30の図中下端の左右方向の中央41に重なる点41’とを結ぶ線を折り返し線として、外側に折り返し、第1重ね部39の上に重ねる(第4ステップ)。以下、この外側に折り返して第1重ね部39の上に重ねた部分を第2重ね部42という。
【0029】
次に、図8に示すように、第2重ね部42の一部を内側に折り返して第2重ね部42の上に重ね、第2重ね部42において最大幅部36の端部に対応する部分が、エアバッグ30の最大幅部36の左右方向中央近くに位置するようにする(第5ステップ)。
【0030】
次に、エアバッグ30の右半分の折り畳みと同様な手順で、エアバッグ30の左半分を折り畳む(第6ステップ)。図9は、エアバッグ30の左右両方を折り畳んだ状態を示している。
【0031】
次に、図10に示すように、前方支持部32に対応する部分を内側(後方)に折り返し、リテーナ20の上方に位置するように重ねる(第7ステップ)。
次に、図11に示すように、後方支持部33に対応する部分を、内側(前方)に折り返し、前方支持部32の上に重ねる(第8ステップ)。
【0032】
次に、図12に示すように、前記内側(前方)に折り返した後方支持部33の先端部分をS字状に折り畳んだ後(第9ステップ)、このS字状に折り畳んだ部分43を後方へ360度回転して、図13に示すように前方支持部32の上方に重ねる(第10ステップ)。
【0033】
次に、図14,図15に示すように、折り畳まれたエアバッグ30の外側に保護シート21,22を巻き付ける。
図13に示すように、保護シート21,22はいずれもその一端が、エアバッグ30においてリテーナ20に固定された部分の外側に重ねて固定されており、内側に配置された保護シート21の長さは、外側に配置された保護シート22よりも短い。
【0034】
初めに、図14に示すように、内側の保護シート21を、折り畳まれたエアバッグ30の外側に沿って巻き付け、その先端部分をZ字状に折り曲げるとともに、折り畳まれた後方支持部33の上に載置する。
次に、図15に示すように、外側の保護シート22を、内側の保護シート21の上に被せつつ、折り畳まれたエアバッグ30の外側に沿って巻き付け、保護シート22の先端部分に形成された孔(図示略)を、スタッドボルト16に挿通することによって、保護シート22の先端部分を固定する。なお、外側の保護シート22には、折り畳まれた後方支持部33の前後方向中央に対応する部位に、車幅方向に沿って破断弱め部22aが形成されており、エアバッグ30の膨張展開時に破断弱め部22aが容易に破断するようになっている。
【0035】
このように構成されたエアバッグ装置1の作用を説明する。エアバッグ30がケース2に収納された状態では、インフレータ3の上に折り畳み状態の前方支持部32が重なり、さらにこの前方支持部32の上に折り畳み状態の後方支持部33が重ねられているので、インフレータ3のガス噴出部3bからガスが噴出すると、図3に示すように、初めにインフレータ3の上に重ねられている前方支持部32にガスが供給され、前方支持部32が後方支持部33よりも早く膨張する。これにより、後方支持部33が持ち上げられ、その押圧力により保護シート22の破断弱め部22aが破断する。
保護シート22が破断することにより、前方支持部32の膨張がさらに進行し、後方支持部33をさらに上方に押し上げることにより、上部ケース5の天板部8およびインストルメントパネル100を押し広げ、ケース2およびインストルメントパネル100が開口する。
【0036】
そして、前方支持部32は後方支持部33を押し上げながら、ケース2の開口2aから飛び出し、フロントガラス200に接近する方向へ展開していく。これと当時に、後方支持部33にもガスが供給されるようになり、後方支持部33は、前方支持部32により上方に押し上げられつつ膨張していき、車室内後方へ展開していく。
したがって、エアバッグ30の膨張展開時に、後方支持部33が前方支持部32の膨張展開に悪影響を及ぼすことがなく、また、前方支持部32が後方支持部33の膨張展開に悪影響を及ぼすことがない。
【0037】
また、前方支持部32は膨張および前方展開しながら後方支持部33を押し上げ、一方、後方支持部33は押し上げられながら膨張および後方展開していくので、エアバッグ30全体として迅速に膨張展開することができる。
特に、後方支持部33の後端部35側には、エアバッグ30の内部に折り込まれた屏風部38が形成されていることにより、エアバッグ30の後端部35近傍にもガスが素早く且つ満遍なく供給されるようになり、後方支持部33の後端部35に近い部分の膨張展開も早めることができる。
【0038】
そして、膨張展開したエアバッグ30は、図1に示すように、前方支持部32がケース2の開口2aよりも前方のインストルメントパネル100によって支持され、後方支持部33がケース2の開口2aよりも後方のインストルメントパネル100によって支持される。
ここで、エアバッグ30の後方支持部33の後端部35に近い部分は乗員を拘束する部分となるが、前述したように後方支持部33の後端部35側に屏風部38を形成したことで、後方支持部33において後端部35に近い部分(つまり、乗員を拘束する部分)を迅速に膨張展開することができるので、乗員を迅速に拘束することができる。
【0039】
〔他の実施例〕
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、エアバッグ30の形状は前述した実施例の形態に限るものではなく、種々の形状を採用することができ、また、エアバッグ30の折り畳み方も前述した実施例に限るものではない。
【符号の説明】
【0040】
1 助手席用エアバッグ装置
2 ケース
2a 開口
3 インフレータ(ガス発生器)
30 エアバッグ
32 前方支持部
33 後方支持部
38 屏風部
100 インストルメントパネル
101 上面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルの助手席側上面部の裏面側に設置され上方に向かって開口するケースと、
前記ケース内に折り畳まれた状態で収納されるエアバッグと、
前記エアバッグ内にガスを噴出して該エアバッグを膨張展開させるガス発生器と、
を備えた助手席用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグは、膨張展開時に前記ケースの開口の前縁部から車室内前方へ展開し前記インストルメントパネルに接する前方支持部と、膨張展開時に前記ケースの前記開口の後縁部から車室内後方へ展開し前記インストルメントパネルに接する後方支持部とを有し、
膨張展開前の前記エアバッグの前記ケース内における収納状態は、折り畳まれた状態の前記前方支持部の上に、折り畳まれた状態の前記後方支持部が重ねられており、折り畳まれた状態の前記後方支持部の上に前記ケースの前記開口が配置されていることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
【請求項2】
膨張展開前の前記後方支持部は、前記エアバッグの膨張展開時に乗員を拘束する部分が、前記エアバッグの内部に屏風状に折り畳まれていることを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−35459(P2013−35459A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174191(P2011−174191)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】