説明

動圧軸受装置の製造工程管理方法

【課題】 工程管理を電子化してデータの処理を迅速化でき、誤差が著しく異なる部品が混入するのを防止できる動圧軸受装置の製造工程管理方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも、軸部材の外径と、軸受部材の内径の寸法別にそれぞれを収納し、かつそれぞれの誤差を記録するRFID用タグが取付けられた複数のトレイを備え、軸部材と軸受部材の製造後に、軸部材の外径寸法誤差と軸受部材の内径寸法誤差とを測定し、軸部材と軸受部材とを寸法別に対応する容器に収納するとともに、対応するRFID用タグにそれぞれの識別データとともに誤差データを記録し、各トレイに収納された軸部材と軸受部材のRFID用タグに記録されている誤差データに基づいて、それぞれのスラスト隙間が所定の値になるように軸部材と軸受部材とのマッチングを取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動圧軸受装置の製造工程管理方法に関し、特に、非接触でデータの読み書きを行うRFID(Radio Frequency Identification)用タグを用いて動圧軸受装置の製造上の各部品および完成品の工程を管理する製造工程管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動圧軸受は、情報機器、例えばHDD、FDD等の磁気ディスク駆動装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク駆動装置、MD、MO等の光磁気ディスク駆動装置などのスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、あるいは電気機器、例えば軸流ファンなどの小型モータ用として使用されている。
【0003】
このような動圧軸受は、例えば、特開2002−61641号公報に記載されているように、軸と軸受との隙間に流体(オイル)を満たし、回転の際に流体に生じる圧力(動圧)を利用して軸の回転を支えるものである。この機構はボールベアリング式の軸受に比べて高い耐衝撃性をもつだけでなく、軸の振れを最小限に抑えられるため、回転精度が高く、上述の情報機器に使用することで容量アップ等が可能になる。また、軸が軸受と接触せずに回転するため静音性も高く、さらに軸受部分のさらなる小型化も可能になるなどのメリットがある。
【特許文献1】特開2002−61641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動圧軸受は、上述のごとく情報機器に用いられており、軸や軸受の径が小さく、軸と軸受と間のラジアル隙間はμmのオーダである。軸や軸受の製造工程においてそれぞれの径に誤差を生じるため、ラジアル隙間が所定の数値となるように軸と、軸受とのマッチングをとる必要がある。
【0005】
このため、従来は製造された軸の外径と軸受の内径のそれぞれの寸法精度を測定して、誤差別に複数の層に分類して工程管理している。このとき、寸法精度の異なる軸受が混在してしまうと、組立後の精度で不良品を生じてしまう。このため、トレイ別に分類して伝票などに寸法精度を記録したものをトレイに貼り付けたりして管理を行っているのが実情である。また、組立後のラジアル隙間を測定してデータを記録紙に記録しており、工程管理を電子化されていないため、データの処理などに時間がかかってしまうという問題があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、工程管理を電子化してデータの処理を迅速化でき、誤差が著しく異なる部品が混入するのを防止できる動圧軸受装置の製造工程管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、軸受部材と、軸受部材の内周面に挿通されて軸受部材に対する相対的な回転時に生じる動圧作用により非接触で支持される軸部材とを含む動圧軸受装置の製造工程管理方法であって、少なくとも、軸部材の外径と、軸受部材の内径の寸法別にそれぞれを収納し、かつそれぞれの誤差を記録するRFID用タグが取付けられた複数の容器を備え、軸部材と軸受部材の製造後に、軸部材の外径寸法誤差と軸受部材の内径寸法誤差とを測定する工程と、軸部材と軸受部材とを寸法別に対応する容器に収納して対応するRFID用タグにそれぞれの識別データとともに誤差データを記録する工程と、各容器に収納された軸部材と軸受部材のRFID用タグに記録されている誤差データに基づいて、それぞれのラジアル隙間が所定の値になるように軸部材と軸受部材とのマッチングを取る工程を備える。
【0008】
したがって、この発明によれば、軸部材と、軸受部材とをそれぞれ寸法別に容器に収納し、それぞれの誤差データをRFID用タグに記録するようにしたので、軸部材と軸受部材とを組立てた後に所定のラジアル隙間に設定できる。
【0009】
好ましくは、マッチングの取られた軸部材と軸受部材とを組立てる工程を含み、組立てられた軸部材と軸受部材とを新たに用意された容器に収納する工程を含む。新たに用意した容器によりそれ以降の工程を進めることができる。
【0010】
好ましくは、新たな容器にはRFID用タグが取付けられていて、組立後の軸部材と、軸受部材とのラジアル隙間のデータを新たな容器に取付けられたRFID用タグに記録する工程を含む。工程が進むにつれてRFID用タグにそれぞれの工程で得られたデータを管理することができる。
【0011】
さらに、好ましくは、組立てられた軸部材と軸受部材とをハウジングに装着し、軸受部材内に潤滑剤を注入した後、軸受部材内に空気の残りがあるかおよび潤滑剤の分量を検査して、その検査結果データを新たな容器に取付けられているRFID用タグに記録する工程を含む。これらのデータをRFID用タグに記録することで、品質管理を高めることができる。なお、流体として空気を用いる場合は、この潤滑剤注入以降の工程は省略できる。
【0012】
さらに、好ましくは、新たな容器に取付けられているRFID用タグに完成後の出荷データを記録する工程を含む。これにより、出荷後のトレーサビリティを取ることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、軸部材と軸受部材の製造後に、軸部材の外径寸法誤差と軸受部材の内径寸法誤差とを測定し、軸部材と軸受部材とを寸法別に対応する容器に収納するとともに、対応するRFID用タグにそれぞれの識別データとともに誤差データを記録し、各容器に収納された軸部材と軸受部材のRFID用タグに記録されている誤差データに基づいて、それぞれのラジアル隙間が所定の値になるように軸部材と軸受部材とのマッチングを取るようにしたので、誤差が著しく異なる軸部材あるいは軸受部材が混入してしまうことにより、組立後に所定のラジアル隙間が得られなく不良品が発生してしまうおそれを少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1はこの発明の一実施形態における動圧軸受装置の工程管理方法に適用される動圧軸受装置を有するスピンドルモータの構造を示す概略断面図である。この図1に示すスピンドルモータはHDDなどのディスク駆動装置などに用いられる。動圧軸受装置1は軸部材2を回転自在に非接触で支持し、軸部材2にはディスクハブ3が装着されている。
【0015】
ディスクハブ3は、ステータ4とロータ5とを含むスピンドルモータによって回転駆動されるものであって、ディスクハブ3の内周面には、ロータ5が配置されている。動圧軸受装置1はケーシング6の内周面に取付けられており、ケーシング6の外周面にはロータ5に対して半径方向に所定のギャップを有するようにステータ4が配置されている。
【0016】
ディスクハブ3には、磁気ディスクなどのディスクDが1枚または複数枚保持される。ステータ4に通電すると、ステータ4とロータ5との間の励磁力で、ロータ5が回転し、それによってディスクハブ3および軸部材2が一体となって回転する。
【0017】
図2は図1に示した動圧軸受装置の断面図であり、図3は図2に示した動圧軸受装置に含まれる動圧軸受部の動圧溝パターンの一例である。
【0018】
図2において、動圧軸受装置1は軸部材2と、ハウジング7と、ハウジング7の内周面に固定された円筒状の軸受部材8とから構成されている。ハウジング7は略円筒形状の側部と底部とを含んで形成されている。軸部材2は軸部2aと、軸部2aと一体または別体として設けられたフランジ部2bとを含む。
【0019】
軸受部材8は、例えば多孔質材、特に、焼結金属で形成されており、その内部の気孔に潤滑油あるいは潤滑グリースが含浸されて含油軸受とされている。軸受部材8の内周面のラジアル軸受面となる領域には図示しないが動圧溝が形成されている。軸部材2が回転すると、ラジアル軸受隙間に動圧作用が発生し、軸部材2の軸部2aがラジアル軸受隙間内に形成される潤滑油あるいは潤滑グリースの油膜によってラジアル方向に回転自在に非接触で支持される。なお、動圧溝は軸部材2の軸部2aの外周面に形成してもよい。
【0020】
軸受部材8の下と、ハウジング7の内面のスラスト軸受面となる領域には、図3に示すような動圧溝2cが形成されている。軸部材2が回転すると、フランジ部2bの上面と軸受部材8の下端面との間、およびフランジ部2bの下端面とハウジング7の内面との間のスラスト軸受隙間には動圧作用が発生し、スラスト方向に回転自在に非接触支持される。なお、スラスト軸受面は、ハウジング上端面に設けてもよい。
【0021】
軸受部材8上部が金属あるいは樹脂からなるシールワッシャ9によって密封された後、シールワッシャ9の開口部分から潤滑油あるいは潤滑グリースが注入され、軸部材8内部に残存空気がないようにエアーチェックや油量確認が行われる。
【0022】
また、ラジアル軸受面およびスラスト軸受面に形成される動圧溝の形状は任意に選択することができ、へリングボーン型,スパイラル型,ステップ型,多円弧型などのいずれかを選択し、あるいはこれらを適宜組み合わせて使用すればよい。
【0023】
ハウジング7の裏面には凹部10が形成され、この凹部10にRFID用タグ20が装着され、接着剤11で封止される。接着剤11としては、紫外線硬化型のものを使用することで簡易的に処理できる。RFID用タグ20には、動圧軸受装置1を構成するユニットの各部品および完成品のロット番号,軸受隙間,出荷検査情報などの履歴に関する情報が記録される。
【0024】
なお、ハウジング7は樹脂もしくは金属の射出成形によって形成できる。また、射出成形はMIM(粉末射出成形)等により金属で行うことも可能である。
【0025】
図4は動圧軸受装置の他の例のピボット型動圧軸受装置を示す断面図であり、図5は図4に示した動圧軸受装置に含まれる動圧軸受部の動圧溝パターンの一例である。
【0026】
前述の図2に示した動圧軸受装置1は、フランジ部2bを設けていたのに対して、図4に示した動圧軸受装置1aは、フランジ部を設けておらず、ハウジング17内に軸部材12の軸部12aを支持する軸受部材18と、シールワッシャ19とが設けられている。軸受部材18の内周面には、図5に示すように動圧溝18aが形成されている。また、軸部材12の下端面と、これに対向するハウジング17の底部には、図示しないが動圧溝が形成されている。ハウジング17の裏面に凹部10が形成され、この凹部10にRFID用タグ20が装着され、接着剤11で封止されている。
【0027】
軸部材12が回転すると、ハウジング17の底部と軸受部材8の下端面との間、および軸部材12と軸受部材18の内周面との間の隙間には動圧作用が発生し、ラジアル方向およびスラスト方向に回転自在に非接触支持される。また、この例においても、RFID用タグ20には、動圧軸受装置1aを構成するユニットの各部品および完成品のロット番号,軸受隙間,出荷検査情報などの履歴に関する情報が記録される。
【0028】
この発明は上述の動圧軸受装置1,1aの製造工程における工程管理方法に向けられる。
【0029】
図6はこの発明の動圧軸受装置の工程管理方法で使用されるRFID用タグの構成を示す回路図である。RFID用タグ20は、図6に示すように平面アンテナ21と、基板上22に配置された送受信回路23,CPU24,電源回路25およびメモリ26とを有している。メモリ26は電源が遮断されても記憶している情報を保持し続ける不揮発性メモリで構成されており、情報の再書き込みが可能である。
【0030】
リーダ/ライタ28をRFID用タグ20の平面アンテナ21に接近させることで高周波信号がリーダ/ライタ28から供給され、RFIDタグ20の電源回路25がその高周波信号を電力に変換して送受信回路23と、CPU24と、メモリ26とに与えてこれらを能動化させ、メモリ26に必要な情報を書込んだり、書込んだ情報を読み出すことができる。
【0031】
図7はこの発明の動圧軸受装置の工程管理方法で使用される軸部材および軸受部材を収納する容器の一例のトレイを示す図である。この例では、図2に示した動圧軸受装置1を製造する工程について説明するが、図4に示した動圧軸受装置1aでも同様に適用できる。
【0032】
動圧軸受装置1の製造工程においては各部品ごとに製造されるが、主たる部品は図2に示した軸部材2と、軸受部材8と、ハウジング7と、シールワッシャ9であり、そのうちで最も精度が要求されるのは軸部材2と軸受部材8である。
【0033】
そこで、この発明の実施形態では、軸部材2と、軸受部材8を製造後に各部品受入検査工程により、それぞれの寸法精度を測定し、寸法別に分類して、それぞれの寸法に対応したトレイ10a,10bに収納する。トレイ10aは軸部材2に対応して設けられており、寸法別に複数用意される。このトレイ10aには、軸部材2を挿入するために多数の穴が形成されており、1つの隅には図4に示したRFID用タグ20aが取付けられている。同様にして、トレイ10bは軸受部材8に対応して設けられており、寸法別に複数用意されており、軸受部材8を挿入するために多数の穴が形成されており、1つの隅にはRDID用タグ20bが取付けられている。これらのRFID用タグ20a,20bには、軸部材2,軸受部材8のそれぞれの受入検査データが記録される。
【0034】
なお、ハウジング7,シールワッシャ9についても部品受入の後、寸法測定が行われて検査が行われた後、図示しないトレイに収納されて組立工程に送られる。
【0035】
図8はこの発明の一実施形態における動圧軸受装置の全体の工程管理を示す図であり、図9は動圧軸受装置の各部品別の工程管理を示す図である。
【0036】
動圧軸受装置1の製造は、図8に示すように、各部品受入工程S1,寸法測定工程S2,マッチング工程S3,組立工程S4,工程内検査工程S5,出荷検査工程S6,出荷工程S7にしたがって行われる。各部品受入検査工程S1では、軸部材2と、軸受部材8と、ハウジング7と、シールワッシャ9の各部品について受入検査が行われる。各部品受入工程S1では各部品について外観検査などが行われて、シリアル番号などが製造管理用データベース50で管理される。
【0037】
各部品受入工程S1後に、図9に示すように軸部材2と軸受部材8に関して、寸法測定工程S2に送られて、軸部材2の外径寸法の測定と、軸場材8の内径寸法とが測定される。各測定データは製造管理用データベース50に入力される。このとき、軸部材2の軸外径寸法と、軸受部材8の内径寸法には誤差が生じており、それぞれの誤差が測定される。軸部材2は寸法に応じて複数層に分類され、各層に応じて、軸部材2が測定された寸法に対応するコンテナ10aに収納され、軸受部材8も同様にして測定された寸法に対応するコンテナ10bに収納される。
【0038】
各コンテナ10a,10bのRFID用タグ20a,20bには各軸部材2,軸受部材8のそれぞれに対応して、識別情報としてロット番号と、軸外径寸法,内径寸法と、誤差とが記録される。なお、各コンテナ10a,10bに収納した軸部材2と、軸受部材8に対して、識別情報として、ロット番号以外にコンテナ内の番号を割当て、その番号で管理するようにしてもよい。
【0039】
マッチング工程S3において、製造管理用データベース50は、軸部材2の外径寸法と、軸受部材8の内径寸法の誤差別にマッチングを求める。すなわち、動圧軸受装置1を組立てたときに、軸部材2と軸受部材8との間のラジアル隙間が所定値になるような軸部材2と、軸受部材8との組合せを求める。組合せによりマッチングの取られた軸部材2と軸受部材8との組合せは、新たなトレイに収納される。この新たなトレイにもRFID用タグが取付けられていて、組み合わされた軸部材2と軸受部材8との組合せ番号などが記録される。
【0040】
組立工程S4では、図2に示したように、軸部2aと、軸部2aとは一体または別体として設けられたフランジ部2bとを含む軸部材2が軸受部材8内に挿入され、軸受部材8上部に装着されたシールワッシャ9の開口部分から潤滑油あるいは潤滑グリースが注入され、内部に残存空気がないようにチェックする。
【0041】
組立後の工程内検査工程S5では、軸部材2と軸受部材8とのラジアル隙間が測定され、さらに潤滑油あるいは潤滑グリース漏れがないか、およびエアー漏れがないか、さらに接着状況が検査される。これらの工程内検査データが製造管理用データベース50に記録される。
【0042】
出荷検査工程S6では組立後の回転精度,外観検査,油面高さ検査,回転トルク検査,外観寸法検査などが行われ、出荷検査データが製造管理用データベース50に記録される。さらに、出荷工程S7では、製造管理用データベース50に記録されたデータに基づいて出荷成績表が作成され、トルクやエアーチェックの結果や外形寸法などが成績表として記録されて製品に添付される。このとき、完成した動圧軸受装置1にRFID用タグを内蔵させておき、このRFID用タグに出荷成績をデータとして記録しておき、トレーサビリティが取れるようにしてもよい。
【0043】
なお、上記説明ではラジアル隙間の管理を行うようにしたが、併せてスラスト隙間の測定を行い、スラスト隙間が所定の値になっているかの管理を行うようにしてもよい。
【0044】
上述のごとく、この実施形態では、動圧軸受装置1の製造時に、特に重要となる軸部材2と軸受部材8とのマッチングを取るために、製造管理用データベース50と、トレイ10a,10bごとにRFID用タグ20a,20bを取付けたので、軸部材2の外径寸法誤差と、軸受部材8の内径寸法誤差とを所定の誤差別に厳密に管理することができる。これにより、誤差の著しく異なる軸部材2や軸受部材8が混入するおそれを少なくでき、組立後に所定にラジアル隙間やスラスト隙間が得られない不良品が生じるのを少なくできる。
【0045】
なお、図8に示した工程管理では寸法測定工程S2から出荷工程S7に至るまで、それぞれの工程で得られたデータをRFID用タグ20a,20bに記録するようにしたが、少なくとも、寸法測定工程S2およびマッチング工程S3で得られたデータのみを管理するようにしてもよい。
【0046】
また、図8の製造管理用データベースのデータから、出荷時の検査成績表を作成したり、不具合発生時のトレーサビィリティに利用することができる。
【0047】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明は、製造管理用データベースとRDIFタグとを用いて、動圧軸受装置の製造工程管理に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の一実施形態における動圧軸受装置の工程管理方法に適用される動圧軸受装置を有するスピンドルモータの構造を示す概略断面図である。
【図2】図1に示した動圧軸受装置の断面図である。
【図3】図2に示した動圧軸受装置に含まれるスラスト板の平面図である。
【図4】動圧軸受装置の他の例のピボット型動圧軸受装置を示す断面図である。
【図5】図4に示した動圧軸受装置に含まれる動圧軸受部の動圧溝パターンの一例である。
【図6】RFID用タグの構成を示す回路図である。
【図7】分類した軸および軸受を収納するトレイを示す図である。
【図8】この発明の一実施形態における動圧軸受装置の全体の工程管理を示す図である。
【図9】動圧軸受装置の各部品別の工程管理を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
2,12 軸部材、2a,12a 軸部、2b フランジ部、7,17 ハウジング、8,18 軸受部材、9,19 シールワッシャ、10a,10b トレイ、20,20a,20b RFID用タグ、21 平面アンテナ、22 基板、23 送受信回路、24 CPU、25 電源回路、26 メモリ、28 リーダ/ライタ、50 製造管理用データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受部材と、前記軸受部材の内周面に挿通されて前記軸受部材に対する相対的な回転時に生じる動圧作用により非接触で支持される軸部材とを含む動圧軸受装置の製造工程管理方法であって、
少なくとも、前記軸部材の外径と、前記軸受部材の内径の寸法別にそれぞれを収納し、かつそれぞれの誤差データを記録するRFID用タグが取り付けられた複数の容器を備え、
前記軸部材と前記軸受部材の製造後に、前記軸部材の外径寸法誤差と前記軸受部材の内径寸法誤差とを測定する工程と、
前記軸部材と前記軸受部材とを寸法別に対応する容器に収納し、対応するRFID用タグにそれぞれの識別データとともに誤差データを記録する工程と、
前記各容器に収納された軸部材と軸受部材の前記RFID用タグに記録されている誤差データに基づいて、それぞれのラジアル隙間が所定の値になるように軸部材と軸受部材とのマッチングを取る工程を備える、動圧軸受装置の製造工程管理方法。
【請求項2】
さらに、前記マッチングの取られた軸部材と軸受部材とを組み立てる工程を含み、
前記組み立てられた軸部材と軸受部材とを新たに用意された容器に収納する工程を含む、請求項1に記載の動圧軸受装置の製造工程管理方法。
【請求項3】
前記新たな容器にはRFID用タグが取り付けられていて、
さらに、前記組立後の軸部材と、軸受部材とのラジアル隙間のデータを前記新たな容器に取り付けられたRFID用タグに記録する工程を含む、請求項2に記載の動圧軸受装置の製造工程管理方法。
【請求項4】
さらに、前記組み立てられた軸部材と軸受部材とをハウジングに装着し、前記軸受部材内に潤滑剤を注入した後、前記軸受部材内に空気の残りがあるかおよび潤滑剤の分量を検査して、その検査結果データを前記新たな容器に取り付けられているRFID用タグに記録する工程を含む、請求項3に記載の動圧軸受装置の製造工程管理方法。
【請求項5】
さらに、前記新たな容器に取り付けられているRFID用タグに完成後の出荷データを記録する工程を含む、請求項4に記載の動圧軸受装置の製造工程管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−52783(P2006−52783A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234417(P2004−234417)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】