説明

包装用容器における蓋体の成形装置及びこれを用いた蓋体の成形方法

【課題】 糸尻4をきれいに成形することができ、且つ、長時間の連続成形が可能となる包装用容器における蓋体1の成形装置及びこれを用いた蓋体1の成形方法を提供する。
【解決手段】 蓋体1の天面部2に相当する部分を成形する天面成形部20と、蓋体1の側壁部3に相当する部分を成形する側壁成形部30とを含み、天面成形部20の周縁に糸尻成形用の溝40が設けられる雌型10と、該雌型10に対応する雄型15であって、雌型10の溝40に挿入される糸尻成形用の突出部41が設けられる雄型15とを備え、雌型10の溝40と連通しつつ該溝40に沿って配置され、該溝40よりも大きな断面積を有し、吸引手段により真空引きが可能なチャンバー42が雌型10に設けられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鮮魚、食肉、果物、野菜、調理済み食品などを包装するための包装用容器における蓋体の成形装置及びこれを用いた蓋体の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種、熱可塑性樹脂シートを成形した包装用容器は、容器本体に食品等を入れて蓋体を締め、包装した状態の製品を多段に積重ねて陳列する場合が多い。このため、容器本体にある程度の剛性が必要となるだけでなく、蓋体についても、多段積みした際に潰れない程度の剛性を有していることが要望されている。
【0003】
また、近年は、原油価格の高騰から容器本体や蓋体の原材料である熱可塑性樹脂シートの値段が上がっており、そのため、材料費を削減する観点から、熱可塑性樹脂シートの厚みを減らしてその使用量を抑える傾向にあるが、それであればなおさら、容器本体や蓋体の剛性を高める施策が必要となってくる。
【0004】
一方、容器本体の底部の周縁に糸尻を形成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、糸尻を形成する方法としては、糸尻成形用の溝を設けると共に、該溝の内面に真空成形用の吸気孔を設けた雌型と、該雌型の溝に挿入される糸尻成形用の突出部を設けた雄型とを用いる成形技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0005】
具体的には、雌型と雄型との間に加熱軟化させた熱可塑性樹脂シートを配置し、次いで、この熱可塑性樹脂シートを介して雌型と雄型とを圧着させると同時に、雌型の溝内に加熱軟化させた熱可塑性樹脂シートを雄型の突出部で押し込みつつ、吸気孔から溝内を吸気して熱可塑性樹脂シートを溝の内面に密着させ、蓋体本体に対して糸尻を同時且つ一体的に成形するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図4を用いてさらに具体的に説明すると、同図(a)に示すように、平板状の加熱軟化された熱可塑性樹脂シートPを、雄型(突出部41’)を同図(b)の図中に矢印Aで示す方向に移動させることによって、突出部41’の表面に付着させた状態で、溝40’内に押し込む。雌型と雄型とを圧着した状態においては、溝40’内に熱可塑性樹脂シートPが押し込まれるが、同図(c)に示すように、溝40’の底部に隙間を生じる場合がある。そこで、溝40’内を吸気孔42’を介して図中の矢印B方向に吸気すると、同図(d)に示すように、熱可塑性樹脂シートPが溝40’の内面に密着し、隙間が無くなる。次いで、雄型(突出部41’)を雌型(溝40’)から離間するように移動させて、熱可塑性樹脂シートPを取り出す。このようにして成形された糸尻4’は、同図(e)に示すように、溝40’の形状に沿ったものとなる。
【0007】
【特許文献1】特許第2551863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術は、周回して形成される雌型の溝40’内は、成形時、該溝40’において断続的に配置される吸気孔42’によって断片的に吸気されるようになっているため、溝40’内において吸引圧のバラツキが発生し、熱可塑性樹脂シートPの糸尻4となる部分を均一に吸引することができないため、吸気と同時に雌型と雄型とを圧着させるものであった。その結果、糸尻4をきれいに成形できないといった問題があった。
【0009】
また、上記従来技術は、吸気孔がエアードレンなどのゴミによって目詰まりを起こし、長時間連続成形が阻害される、即ち、長期間連続成形すると、均一な形状、寸法の成形体が得られないといった問題や、定期的に洗浄及び乾燥して目詰まりを除去しなければならないといった問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、糸尻をきれいに成形することができ、且つ、長時間の連続成形が可能となる包装用容器における蓋体の成形装置及びこれを用いた蓋体の成形方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る包装用容器における蓋体の成形装置は、上記課題を解決すべく構成されたもので、蓋体の天面部に相当する部分を成形する天面成形部と、蓋体の側壁部に相当する部分を成形する側壁成形部とを含み、天面成形部の周縁に糸尻成形用の溝が設けられる雌型と、該雌型に対応する雄型であって、雌型の溝に挿入される糸尻成形用の突出部が設けられる雄型とを備え、雌型の溝と連通しつつ該溝に沿って配置され、該溝よりも大きな断面積を有し、吸引手段により真空引きが可能なチャンバーが雌型に設けられることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、吸引手段によりチャンバー内を真空引きすると、該チャンバーに連通する溝内が吸気される。そして、溝内が吸気されると、雄型の突出部によって溝内に押し込められた熱可塑性樹脂シートの部分が溝の内面に密着し、糸尻が蓋体本体と同時且つ一体的に成形される。雌型の溝は、全範囲もしくは略全範囲に亘ってチャンバーと連通しており、従って、溝の底部の全範囲もしくは略全範囲から溝内が同時的に吸気されるようになっているため、きれいな糸尻が成形される。
【0013】
また、本発明に係る包装用容器における蓋体の成形装置は、雌型が、複数の要素によって構成され、且つ、一つの要素と他の要素とを間隔を空けて離間配置されたものからなり、該間隔によって溝が構成されると共に、該間隔のうち、雌型の内面にて解放する解放端部とは反対側の解放端部が拡張されることによってチャンバーが構成されるようにするのが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、一つの要素と他の要素とを分離することにより、溝及びチャンバーが分解され、溝内のメンテナンスを簡単に行うことができるようになる。
【0015】
また、本発明に係る包装用容器における蓋体の成形装置は、雄型が、成形時に熱可塑性樹脂シートとの接触を少なくすべく、成形部の中央部に凹部が形成されたプラグアシストのプラグ型であるのが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、熱可塑性樹脂シートに対する雄型の接触面積を少なくして樹脂シートの伸びを良くし、蓋体の肉厚のバラツキをなくすことができる。
【0017】
また、本発明に係る包装用容器における蓋体の成形方法は、上記の成形装置を用い、雌型と雄型との間に加熱軟化させた熱可塑性樹脂シートを配置し、この熱可塑性樹脂シートを雌型と雄型とで圧着する前に、吸引手段でチャンバー内を真空引きすることにより雌型の溝内を吸気して熱可塑性樹脂シートを該溝内に吸引し、次いで、この熱可塑性樹脂シートを雄型の突出部で雌型の溝内に押し込みながら雌型と雄型とを圧着させて、糸尻を蓋体本体と一体的に成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上の如く、本発明は、チャンバーを介して溝の全範囲もしくは略全範囲から溝内を同時的に吸気することにより、きれいな糸尻を成形することができる。また、本発明は、溝に繋がる吸気孔が無く、目詰まりを起こさないため、長時間連続成形が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る包装用容器における蓋体の成形装置について、図面を参酌しつつ説明するが、まずは、これに先立ち、成形対象物たる蓋体について、図面を参酌しつつ説明する。
【0020】
かかる蓋体は、熱可塑性樹脂シートを成形して得られ、天面部とその周縁から垂下した側壁部とからなり、容器本体の開口部に被せて包装する際に用いられるもので、容器本体と一体に成形されるもの、別体で成形されるものの両方があるが、本実施形態では、容器本体とは別体に成形される蓋体について言及する。
【0021】
より詳しくは、図1に示すように、成形対象物たる蓋体1は、熱可塑性樹脂シートを成形して得られ、天面部2と、その周縁から垂下した側壁部3とからなる蓋体本体に対し、天面部2と側壁部3との境界部(即ち、天面部2の周縁)に糸尻4を設けると共に、一端が糸尻4に接し又は近接して下方に延びるリブ5を側壁部3に設けたものである。
【0022】
蓋体1の原材料である熱可塑性樹脂シートは、例えば、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエチレン系樹脂シート、ポリプロピレン系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートなどの熱可塑性樹脂シートであればよく、特に限定されないが、通常は透明な薄手の熱可塑性樹脂シートが用いられる。
【0023】
糸尻4は、同図(b)に示すように、天面部2の端部から垂直方向に立ち上げられた内壁部4aと、頂部で折り返されて天面部2と略同等の高さまで垂下して側壁部3に繋がる外壁部4bとからなる。また、糸尻4は、外壁部4bと側壁部3とが大きな屈曲や水平の段差などの介在構造を経由せず、垂直ないし急傾斜で直接連続していることが好ましい。これによって、糸尻4に上方から圧力が加わっても傾きにくく、そのため、より強い圧力に耐えるようになる。さらに、糸尻4は、天面部2と側壁部3の境界部に全周にわたって形成される。これにより、天面部2と側壁部3の全周が糸尻4によって補強され、蓋体1の剛性を天面部2の全面に亘って改善することができる。
【0024】
一方、リブ5は、同図(a)に示すように、側壁部3の一部を内側に窪ませた凹部からなっており、側壁部3の周囲に複数個(本実施形態では6個)、略均等な間隔で設けられる。また、リブ5は、上から下に向けて窄まった形状で設けられる。そして、糸尻4に一端を接し又は近接させた状態で、側壁部3にこれらのリブ5,…を設けたことによって、糸尻4による剛性と併せて、蓋体1の剛性をより一層向上させることができる。
【0025】
平面視四辺形をなす天面部2の各角部には、その上に別な容器本体(図示しない)を重ねた際、容器本体の底部の各角部に設けられた足(図示しない)が収容される足乗せ用凹部6が設けられる。この足乗せ用凹部6に別な容器本体の足を載置する構造としたことで、容器本体内に内容物を入れ、蓋体1を被せ、包装してなる製品を多段積みした際に、それぞれの製品が安定して崩れにくくすることができる。尚、天面部2の各角部においては、糸尻4は、足乗せ用凹部6の外縁に沿って形成される(本実施形態においては、四分の一円弧状を呈する)。
【0026】
側壁部3の下部には、蓋体1を被せる容器本体(図示しない)のフランジ(図示しない)に嵌合する嵌合部7が設けられる。本実施形態に係る蓋体1は、嵌合部7が容器本体のフランジの外側に嵌合される、いわゆる外嵌合方式としているが、蓋体1と容器本体との嵌合構造はこれに限定されることなく、蓋体1側の嵌合部が容器本体側の開口に弾性的に圧入される、いわゆる内嵌合方式、あるいは外嵌合と内嵌合の両方を備える、いわゆる内外嵌合方式を採用してもよい。
【0027】
蓋体1の説明は以上のとおりであり、次に、この蓋体1を成形する成形装置及びそれを用いた蓋体1の成形方法を説明する。
【0028】
本実施形態に係る成形装置は、図2に示す如く、蓋体1の天面部2に相当する部分を成形する天面成形部20と、蓋体1の側壁部3に相当する部分を成形する側壁成形部30とを含み、天面成形部20の周縁に糸尻成形用の溝40が設けられる雌型10と、この雌型10に対応する雄型15であって、雌型10の溝40に挿入される糸尻成形用の突出部41が設けられる雄型15とを備える。
【0029】
雌型10は、所定の厚みを有し、且つ天面成形部20を構成する板体11と、該板体11を介挿入する開口部を有し、且つ側壁成形部30を構成する周側枠12とを備える。板体11は、平面視四辺形をなし、より詳しくは、蓋体1の天面部2のうち、糸尻4よりも内側の形状(本実施形態においては、各角部が足乗せ用凹部6の外縁に対応して逆四分の一円弧状に角取りされた略矩形状)に一致する。周側枠12の開口部は、板体11の形状と相似形であり、板体11よりも若干大きい。そのため、板体11と周側枠12の開口部との間には、環状の間隔が形成される。これが糸尻成形用の溝40を構成する。
【0030】
板体11と周側枠12との間の環状の間隔は、雌型10の内面(成形部)にて解放されているのはもちろん、その反対側も解放されている。そして、当該反対側の解放端部は、拡張されることでチャンバー42となっている。該チャンバー42は、板体11と周側枠12の開口部との間隔が周回方向の何れの箇所においても一定となるよう板体11及び周側枠12をボルト13等の締結手段によって取り付けるようにしているベース14によって閉じられた空間となっている。従って、チャンバー42は、雌型10の溝40と連通しつつ該溝40に沿って配置され、該溝40よりも大きな断面積を有するものである。
【0031】
チャンバー42は、全周に亘って溝40と連通する。これに対し、ベース14には、溝40の形成方向に沿って適宜間隔で吸気孔43が穿設されており、これら複数の吸気孔43,…がチャンバー42の対応箇所と連通するようになっている。しかも、各吸気孔43には、図示しない吸引ポンプ等の吸引手段からの管路が接続されるようになっており、吸引手段を作動させることにより、チャンバー42内が真空引きされ、その負圧作用により、溝40内が吸気される。
【0032】
雄型15の突出部41は、雄型15の本体(雌型10の板体11(天面成形部20)及び周側枠12(側壁成形部30)に対応する部分)と一体的に形成されている。但し、雄型15の本体とは別体の薄板(フィラーゲージ)からなり、突出させた状態で雄型15の本体に組み付けられるものであってもよい。
【0033】
突出部41の厚さは、0.1〜3.0mm、好ましくは0.5〜2.0mmのものが適度な厚みを有する糸尻4を成形することができ、適度な強度を有する糸尻4を成形することができる。また、突出部41の突出長さは、0.5〜3.0mmであるのが好ましい。
【0034】
一方、溝40の幅は、熱可塑性樹脂シートを2つ折りにした時の厚みに突出部41の厚さを加えた厚さに略等しい幅を有し、熱可塑性樹脂シートの厚さは、0.1〜0.5mmが好ましい。これにより、適度な厚みを有する糸尻4が成形でき、適度な強度を有する糸尻4を成形することができる。
【0035】
以上の成形装置は、以下のようにして用いられる。即ち、図3を参照しつつ説明すると、まず始めに、同図(a)に示すように、平板状の加熱軟化された熱可塑性樹脂シートPを雌型10と雄型15との間に配置した後、蓋体1の天面部2に対して側壁部3が屈曲した状態にする。そして、雄型15の突出部41を熱可塑性樹脂シートPに上方から当接させるか又は近接させた状態にしてから、同図(b)に示すように、吸引ポンプ等の吸引手段を作動させて、チャンバー42内を図中の矢印B方向に真空引きし、その負圧作用により、溝40内を吸気する。これにより、熱可塑性樹脂シートPは、一部が溝40内に吸引された状態となる。
【0036】
次いで、雄型15(突出部41)を同図(b)の図中に矢印Aで示す方向に移動させることによって、突出部41を溝40内に挿入しながら雌型10と雄型15とを圧着させる。その結果、同図(c)に示すように、熱可塑性樹脂シートPは、溝40の内面に密着するようにして溝40内に押し込まれる。そして、雄型15(突出部41)を雌型10(溝40)から離間するように移動させて、熱可塑性樹脂シートPを取り出す。このようにして成形された糸尻4は、同図(d)に示すように、溝40の形状に沿ったものとなる。
【0037】
このように、本実施形態に係る包装用容器における蓋体の成形装置及びこれを用いた蓋体の成形方法によれば、周回して形成される雌型10の溝40内は、成形時、雌型に断続的に配置される吸気孔によって断片的に吸気されるのではなく、溝40と全周で連通する環状のチャンバー42によって全周に亘って吸気されるようになっているため、溝40内において吸引圧のバラツキが無くなる分、熱可塑性樹脂シートPの糸尻4となる部分を均一に吸引することができ、その結果、全周に亘ってきれいな糸尻4を成形することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る包装用容器における蓋体の成形装置及びこれを用いた蓋体の成形方法によれば、雌型の溝に対して吸気のために吸気孔を用いないため、吸気孔がエアードレンなどのゴミによって目詰まりを起こし、長時間連続成形が阻害される、といった問題も生じない。
【0039】
従って、本実施形態に係る包装用容器における蓋体の成形装置及びこれを用いた蓋体の成形方法は、非常に有用である。
【0040】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態においては、蓋体1の天面部2と側壁部3との境界部(即ち、天面部2の周縁)に糸尻4を設けるようにしているが、糸尻に上から圧力が加わって糸尻が内側方向に押し倒されるといった問題が生じないのであれば、境界部から少し内側に入った天面部2の箇所に糸尻を設けるようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態においては、雌型10の溝40内に樹脂シートPを雄型15の突出部41で押し込む動作(即ち、雌型10及び雄型15を相対的に接近させ、圧着させる動作)と、チャンバー42内を吸気して樹脂シートPを雌型10の溝40の内面に密着させる動作とを同時的に進行させるようにしているが、前者を終えた後、後者を行うようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態においては、雌型10が複数の要素に分割可能で、一つの要素(板体11)の側面と他の要素(周側枠12)の(開口部の内)側面とで溝40を構成するようにしているが、溝は、雌型が単一体が複数要素集合体であるかを問わず、要素上に形成するようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施形態においては、雄型15の成形部が雌型10の成形部の形状と一致するように構成されているが、雄型をプラグアシストのプラグとしてもよい。即ち、雄型の成形部の中央部に凹部を形成し、該凹部では樹脂シートに接触しないようにすることで、樹脂シートに対する雄型の接触面積を少なくして樹脂シートの伸びを良くし、蓋体の肉厚のバラツキをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係る成形装置及び成形方法の成形対象物たる蓋体であって、(a)は、外観斜視図、(b)は、要部拡大断面図、を示す。
【図2】同成形装置の概略構成図であって、縦断面図を示す。
【図3】同成形装置を用いた蓋体の成形方法を説明するための要部拡大断面図であって、(a)は、雌型及び雄型間に加熱軟化させた熱可塑性樹脂シートを配置した状態、(b)は、雌型及び雄型を完全に圧着させる前の状態、(c)は、雌型及び雄型を完全に圧着させた状態、(d)は、蓋体を雌型及び雄型から離型した状態、を示す。
【図4】従来の糸尻一体形成用金型を用いた成形方法を説明するための要部拡大断面図であって、(a)は、雌型及び雄型間に加熱軟化させた熱可塑性樹脂シートを配置した状態、(b)は、雌型及び雄型を完全に圧着させる前の状態、(c)は、雌型及び雄型を完全に圧着させ且つ溝内を吸気している状態、(d)は、吸気が完了した状態、(e)は、蓋体を雌型及び雄型から離型した状態、を示す。
【符号の説明】
【0046】
1…蓋体、2…天面部、3…側壁部、4…糸尻、4a…内壁部、4b…外壁部、5…リブ、6…足乗せ用凹部、7…嵌合部、10…雌型、11…板体、12…周側枠、13…締結手段、14…ベース、15…雄型、20…天面成形部、30…側壁成形部、40…糸尻形成用の溝、41…糸尻形成用の突出部、42…チャンバー、43…吸気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用容器における蓋体を成形するための成形装置であって、
蓋体の天面部に相当する部分を成形する天面成形部と、蓋体の側壁部に相当する部分を成形する側壁成形部とを含み、天面成形部の周縁に糸尻成形用の溝が設けられる雌型と、
該雌型に対応する雄型であって、雌型の溝に挿入される糸尻成形用の突出部が設けられる雄型とを備え、
雌型の溝と連通しつつ該溝に沿って配置され、該溝よりも大きな断面積を有し、吸引手段により真空引きが可能なチャンバーが雌型に設けられることを特徴とする包装用容器における蓋体の成形装置。
【請求項2】
雌型は、複数の要素によって構成され、且つ、一つの要素と他の要素とを間隔を空けて離間配置されたものからなり、該間隔によって溝が構成されると共に、該間隔のうち、雌型の内面にて解放する解放端部とは反対側の解放端部が拡張されることによってチャンバーが構成される請求項1に記載の包装用容器における蓋体の成形装置。
【請求項3】
雄型は、成形時に熱可塑性樹脂シートとの接触を少なくすべく、成形部の中央部に凹部が形成されたプラグアシストのプラグ型である請求項1又は2に記載の包装用容器における蓋体の成形装置。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の成形装置を用いた包装用容器における蓋体の成形方法であって、
雌型と雄型との間に加熱軟化させた熱可塑性樹脂シートを配置し、この熱可塑性樹脂シートを雌型と雄型とで圧着する前に、吸引手段でチャンバー内を真空引きすることにより雌型の溝内を吸気して熱可塑性樹脂シートを該溝内に吸引し、次いで、この熱可塑性樹脂シートを雄型の突出部で雌型の溝内に押し込みながら雌型と雄型とを圧着させて、糸尻を蓋体本体と一体的に成形することを特徴とする包装用容器における蓋体の成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−36416(P2010−36416A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200842(P2008−200842)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【出願人】(594172628)近畿機械工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】