説明

包装設備及び搬送装置

【課題】包装設備において、水滴が付着したまま容器が搬送されることを防止し、又は、高いスループットを得るための大型の冷却装置を不要にする。
【解決手段】包装設備100は、容器に飲料を充填しその容器を包装する。包装設備100は、容器に加熱された飲料を充填する充填装置10と、容器のシール部のシール材を加熱して溶かした後にシール部を冷却部材で挟むことによって冷却して固化させるシール装置20と、容器をシュリンクフィルムで包装するシュリンク包装装置30と、容器を包装するケーサー40と、充填装置10からシール装置20を経てケーサー40に容器を搬送する搬送装置60とを備える。充填装置10による充填が完了した容器がケーサー40に供給されるまでの経路において、容器は常温環境に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に飲料を充填しその容器を包装する包装設備及び該包装設備に好適な搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料の充填工程では、殺菌のために飲料を加熱した状態で容器に充填する方法がある。従来は、加熱された飲料を容器に充填する設備においては、充填後に容器を冷却装置で数十分から1時間程度かけて冷却した後に後続の装置、例えば、シュリンク包装装置やケーサー等に送っていた。
【特許文献1】特開2002−337988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような設備においては、冷却装置における滞留時間によるスループットの低下が起こらないように大型の冷却装置が必要になり、そのような冷却装置の保守や浄化に相当な労力が必要になる。また、冷却装置において容器に付着した多量の水滴は、容器に付着したまま後続の装置に送られることになる。冷却装置から排出された容器がシュリンク包装装置で包装される場合においても、シュリンク包装装置のヒートトンネル(加熱器)を通過するだけでは水滴が除去されず、ケーサーにまで水滴が持ち込まれうる。また、シュリンク包装装置において容器にシュリンクフィルムを被せる際に、容器とシュリンクフィルムとの間に水が挟まれることもある。
【0004】
一方で、加熱によってシール材を溶かすことによってシールされる容器を使用する場合には、溶けたシール材を硬化させることなく後続の装置に搬送すると、シール部が熱によって剥がれて不良品を生じさせうる。
【0005】
本発明は、上記の課題認識を基礎としてなされたものであり、例えば、水滴が付着したまま容器が搬送されることを防止すること、又は、高いスループットを得るための大型の冷却装置を不要にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面は、容器に飲料を充填しその容器を包装する包装設備に係り、前記包装設備は、容器に加熱された飲料を充填する充填装置と、容器のシール部のシール材を加熱して溶かした後にシール部を冷却部材で挟むことによって冷却して固化させるシール装置と、容器を包装するケーサーと、前記充填装置から前記シール装置を経て前記ケーサーに容器を搬送する搬送装置とを備え、前記充填装置による充填が完了した容器が前記ケーサーに供給されるまでの経路において容器が常温環境に維持される。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、例えば、前記冷却部材が常温未満に冷却されて結露し、これによって容器に水滴が付着しうる。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、前記充填装置で容器に充填された飲料の温度が10℃以上低下することなく前記ケーサーに提供されることが好ましい。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記冷却部材による1個の容器のシール部の冷却時間が0.2〜5秒の範囲内の時間であることが好ましい。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、前記包装設備は、前記充填装置による充填が完了した容器が前記ケーサーに供給されるまでの経路上であって前記シール装置と前記ケーサーとの間に配置されたシュリンク包装装置を更に備えうる。前記シュリンク包装装置は、容器にシュリンクフィルムを被せた後に該シュリンクフィルムを熱によって収縮させることが好ましい。
【0011】
本発明の好適な実施形態によれば、前記搬送装置は、容器を搬送するコンベアと、前記コンベア上の容器の両側方をガイドする一対のガイドと、容器の幅を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に応じて前記一対のガイドの間隔を調整する調整機構とを含むことが好ましい。
【0012】
本発明の好適な実施形態によれば、前記検出部は、容器の幅を光学的に検出する光学センサを含むことが好ましい。
【0013】
本発明の好適な実施形態によれば、前記検出部は、容器の温度を測定する温度センサと、前記温度センサによって測定された温度を容器の幅に変換する変換部とを含むことが好ましい。
【0014】
本発明の好適な実施系によれば、前記容器は、例えば、紙製パックを含みうる。
【0015】
本発明の第2の側面は、搬送装置に係り、前記搬送装置は、容器を搬送するコンベアと、前記コンベア上の容器の両側方をガイドする一対のガイドと、容器の幅を検出する検出部と、前記検出部による検出結果に応じて前記一対のガイドの間隔を調整する調整機構とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えば、水滴が付着したまま容器が搬送されることが防止され、又は、高いスループットを得るための大型の冷却装置が不要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の好適な実施形態の包装設備の概略構成を示す図である。本発明の好適な実施形態の包装設備100は、容器に飲料を充填しその容器を包装するように構成されている。包装設備100は、例えば、容器に飲料を充填する充填装置10と、飲料が充填された容器をシールするシール装置20と、シールされた容器にシュリンクフィルムを被せた後に該シュリンクフィルムを熱によって収縮させるシュリンク包装装置30と、シュリンクフィルム包装された1又は複数の容器を箱材等の包装材で包装するケーサー40と、ケーサー40によって包装された包装品をパレット上に積載するパレタイザー50等を備えうる。ここで、充填装置10は、容器に加熱された飲料を充填する。飲料の加熱温度は、殺菌に十分な温度、例えば60℃以上、典型的には65℃程度にされうる。
【0019】
包装設備100は、更に、充填装置10からシール装置20、シュリンク包装装置30を経由してケーサー40まで容器を搬送する搬送装置60と、ケーサー40からパレタイザー50に包装品を搬送する搬送装置70とを備えうる。搬送装置60は、典型的には、単一のコンベアではなく、複数のコンベアを搬送経路に沿って配列して構成されうる。
【0020】
その他、包装設備100は、容器への飲料の充填量(入味)や外装品質を検査するための検査装置を適所に備えうる。
【0021】
充填装置10による充填が完了した容器がケーサー40に供給されるまでの経路では、容器が常温環境(例えば、10℃〜40℃)に維持される。すなわち、包装設備100は、充填装置10とケーサー40との間に従来のような冷却装置を備えておらず、充填装置10において容器に充填された飲料が冷却されることなくケーサー40に供給される。
【0022】
包装設備10は、例えば、充填装置10で容器に充填された飲料の温度が10℃以上低下することなくケーサー40に提供されるように構成されることが好ましい。これは、充填すべき飲料を加熱する温度及び年間の最低気温等に基づいて、充填装置10による充填が完了した容器がケーサー40に供給されるまでの経路の長さ及び搬送速度等を決定することによってなされうる。
【0023】
図2は、飲料が充填された容器の一例を示す斜視図である。容器1は、例えば、紙製パックを含みうる。容器1は、例えば、4面からなる胴部3と、底部6と、2つの三角天面部5と、トップシール部(シール部)4と、注ぎ口及びそれに付されたキャップ7等を含みうる。図示されていないが、容器1は、典型的には、シュリンクフィルムで包装されうる。
【0024】
図3は、充填装置10による充填の様子を模式的に示す斜視図である。充填装置10は、コンベア12と、容器1の開口部を通して容器1に飲料を充填する充填ノズル14とを含みうる。前述のように、充填装置10は、加熱された飲料を容器1に充填する。加熱された飲料が充填された容器1は、冷却されることなくコンベア60によってシール装置20に送られる。
【0025】
シール装置20は、図3に例示的に示す状態の容器1の対向する2つの三角天面部5を挟み込むようにして図2に例示的に示す状態に成形する成形ユニットと、対向するトップシール部4を加熱してその内側のシール材(例えば、ポリエチレンを主成分とするシール材)を溶解させて容器1をシールする加熱ユニットと、シールされたトップシール部5を冷却部材で挟むことによって冷却して固化させる冷却ユニットとを含む。
【0026】
図4は、シール装置20の冷却ユニットの構成を模式的に示す図である。冷却ユニットは、コンベア22によって搬送されている容器1のトップシール部4を挟むことによってトップシール部4を選択的に冷却する2つの冷却部材24、26を含む。ここで、冷却部材24、26は、トップシール部4のみを冷却するように構成され、他の部分、特に胴部3を冷却しないように構成される。2つの冷却部材24、26で1個の容器1のトップシール部4を挟む時間、すなわち、トップシール部4を冷却する時間は、例えば、0.2〜5秒の範囲内の時間である。
【0027】
冷却部材24、26は、例えば、軸27を中心として回動して開閉するように構成されうる。冷却部材24、26には、それぞれ供給ライン28a、29aを通して冷媒(例えば、冷水)が供給され、回収ライン28、29bを通して冷媒が回収される。冷却部材24、26は、常温環境に維持された空間に配置されているので、表面に結露により水滴80が生じうる。このようにして生じうる水滴80は、落下して容器1の表面に付着しうる。
【0028】
しかしながら、この包装設備100は、加熱された飲料の充填後に容器1を冷却装置で冷却することなく搬送或いは処理するため、その飲料の熱によって容器1の表面の水滴80が容易に蒸発しうる。ここで、容器の全体、すなわち、飲料自体を冷却装置によって冷却する場合には、水の噴霧等によって容器に多量の水滴が付着しうる。一方、この包装設備100では、容器1に付着しうる水滴80は、トップシール部4を冷却するための冷却ユニット(冷却部材24、26)から滴り落ちる水滴に過ぎないので、ごく少量である。
【0029】
よって、この包装設備100によれば、充填装置10又はシール装置20の下流側の装置、例えば、シュリンク包装装置30やケーサー40に容器1によって水滴が持ち込まれる可能性が極めて低い。したがって、シュリンク包装装置30において、容器1の表面に水滴が存在する状態で容器1にシュリンクフィルムが被せられて不良が発生する可能性が著しく低減される。また、ケーサー40が水で濡れることによる包装材の汚れや、ケーサー40の動作停止などの問題も解消される。
【0030】
図5は、シュリンク包装装置30におけるシュリンクフィルム包装の様子を模式的に示す図である。まず、(a)に示すように、容器1にシュリンクフィルム8が上方から被せられる。次いで、(b)に示すように、容器1の胴部が完全に包まれるようにシュリンクフィルム8が袋状にされるとともにトップシール部側及び底部側が熱線ヒーター等によって切断される。次いで、(c)に示すように、ヒートトンネルにおいて、例えば150℃程度に加熱することによってシュリンクフィルム8を収縮させる。
【0031】
ここで、加熱された飲料が充填された容器は、その熱によって膨らむ。この膨らみ量は、容器の製造メーカ又は品種ごとに異なる。したがって、充填後に冷却装置によって冷却されていない容器を搬送する場合には、容器1の幅を検出して、その検出結果に応じて搬送装置におけるガイドとガイドとの間隔(すなわち、容器1の搬送経路の幅)を調整することが好ましい。
【0032】
搬送経路の幅が広すぎると、容器1が斜め(胴部の面がガイド又は搬送方向に対して斜め)になって搬送経路を塞ぐことがある。一方、搬送経路の幅が狭すぎると、容器1の胴部がガイドのガイド面に擦れて引っ掛かることがある。したがって、搬送経路の幅は、容器1の幅に応じて調整されるべきである。
【0033】
図6は、搬送装置60の構成例を示す平面図である。搬送装置60は、容器1を搬送するコンベア(例えば、ベルトコンベア、テーブルトップチェーンコンベア等の無端コンベア)61と、コンベア61上の容器1の両側方をガイドする一対のガイド62、64と、容器1の幅を検出する検出部90と、検出部90による検出結果に応じて一対のガイド62、64の間隔を調整する調整機構とを含みうる。調整機構は、例えば、検出部90から提供される検出結果に基づいて、ガイド64を位置決めするアクチュエータ62、64と、一対のガイド62、64の最適な間隔を決定してその決定した間隔になるようにアクチュエータ66に指令を送る制御部68とを含みうる。
【0034】
検出部90は、例えば、容器1の幅を光学的に検出する光学センサを含みうる。光学センサとしては、例えば、撮像素子によって容器を撮像して画像処理によって容器の幅を演算するセンサ、又は、複数のフォトインタラプタを配列して、同時に遮断される光路の本数に応じて容器の幅を演算するセンサ等が好適である。
【0035】
或いは、検出部90は、容器1の温度を測定する温度センサと、該温度センサによって測定された温度を容器1の幅に変換する変換部とを含んで構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の好適な実施形態の包装設備の概略構成を示す図である。
【図2】飲料が充填された容器の一例を示す斜視図である。
【図3】充填装置による充填の様子を模式的に示す斜視図である。
【図4】シール装置の冷却ユニットの構成を模式的に示す図である。
【図5】シュリンク包装装置におけるシュリンクフィルム包装の様子を模式的に示す図である。
【図6】搬送装置の構成例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 容器(例えば、紙製パック)
3 胴部
4 トップシール部
5 三角天面部
6 底部
7 キャップ
8 シュリンクフィルム
10 充填装置
12 コンベア
14 充填ノズル
20 シール装置
22 コンベア
24、26 冷却部材
27 軸
28a、29a 供給ライン
28b、29b 回収ライン
30 シュリンク包装装置
40 ケーサー
50 パレタイザー
60 搬送装置
61 コンベア
62、64 ガイド
66 アクチュエータ
68 制御部
70 搬送装置
80 水滴
90 検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に飲料を充填しその容器を包装する包装設備であって、
容器に加熱された飲料を充填する充填装置と、
容器のシール部のシール材を加熱して溶かした後にシール部を冷却部材で挟むことによって冷却して固化させるシール装置と、
容器を包装するケーサーと、
前記充填装置から前記シール装置を経て前記ケーサーに容器を搬送する搬送装置と、
を備え、前記充填装置による充填が完了した容器が前記ケーサーに供給されるまでの経路において容器が常温環境に維持されることを特徴とする包装設備。
【請求項2】
前記冷却部材が常温未満に冷却されて結露し、これによって容器に水滴が付着しうることを特徴とする請求項1に記載の包装設備。
【請求項3】
前記充填装置で容器に充填された飲料の温度が10℃以上低下することなく前記ケーサーに提供されることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装設備。
【請求項4】
前記冷却部材による1個の容器のシール部の冷却時間が0.2〜5秒の範囲内の時間であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の包装設備。
【請求項5】
前記充填装置による充填が完了した容器が前記ケーサーに供給されるまでの経路上であって前記シール装置と前記ケーサーとの間に配置されたシュリンク包装装置を更に備え、前記シュリンク包装装置は、容器にシュリンクフィルムを被せた後に該シュリンクフィルムを熱によって収縮させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の包装設備。
【請求項6】
前記搬送装置は、
容器を搬送するコンベアと、
前記コンベア上の容器の両側方をガイドする一対のガイドと、
容器の幅を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に応じて前記一対のガイドの間隔を調整する調整機構と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の包装設備。
【請求項7】
前記検出部は、容器の幅を光学的に検出する光学センサを含むことを特徴とする請求項6に記載の包装設備。
【請求項8】
前記検出部は、容器の温度を測定する温度センサと、前記温度センサによって測定された温度を容器の幅に変換する変換部とを含むことを特徴とする請求項6に記載の包装設備。
【請求項9】
前記容器は、紙製パックを含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の包装設備。
【請求項10】
容器を搬送するコンベアと、
前記コンベア上の容器の両側方をガイドする一対のガイドと、
容器の幅を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果に応じて前記一対のガイドの間隔を調整する調整機構と、
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項11】
前記検出部は、容器の幅を光学的に検出する光学センサを含むことを特徴とする請求項10に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記検出部は、容器の温度を測定する温度センサと、前記温度センサによって測定された温度を容器の幅に変換する変換部とを含むことを特徴とする請求項10に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−161287(P2007−161287A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358107(P2005−358107)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000110918)ニッカウヰスキー株式会社 (21)
【Fターム(参考)】