説明

化粧板用樹脂組成物及びコーティング紙及び化粧板

【課題】 乾燥工程なしでタックのない熱硬化性樹脂コーティング紙を得、熱可熱圧成形時に、VOCの放散や成形品のくもりやパンクを防止する。
【解決手段】 ジアリルフタレートモノマー及び/またはプレポリマーと不飽和ポリエステル樹脂と(メタ)アクリル酸エステルの混合樹脂100重量部に対してイソシアネート化合物が1〜40重量部配合する。(メタ)アクリル酸エステルの沸点は150℃以上のものを用いる。この樹脂組成物を化粧紙に塗布してコーティング紙を得、熱可塑性樹脂からなるコア材とともに積層し、に熱圧成形して化粧板を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧板用樹脂組成物及びコーティング紙及び化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧板はメラミン化粧板・ダップ化粧板のような熱硬化性樹脂からなるものと、塩ビやPP、PET、アクリル、ABSシートのような熱可塑性樹脂からなるものに大別され、熱硬化性樹脂からなるものは加工性に乏しく、熱可塑性樹脂からなるものは表面硬度や耐汚染性等の性能が乏しいという欠点であった。
【特許文献1】特開2005−125663
【特許文献2】特開平11−140777
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらを解決する手段として熱硬化性樹脂含浸紙と熱可塑性シートとの積層が有効であるが、熱可塑性シートとの接着ができ、かつ紙に含浸できる樹脂は有機溶剤系樹脂に限られていた。有機溶剤を使用した含浸紙では、乾燥が不十分な場合、熱圧成型時に当て板−パターン層界面及びパターン層―コア層界面に溶剤が揮発することにより、化粧面のくもりや内部破裂が発生していた。また、乾燥時に多大なエネルギーを消費し、かつ、有機溶剤を放散するために環境に負荷を与えていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる状況に鑑み検討されたもので、請求項1記載の発明は、ジアリルフタレートモノマー及び/またはプレポリマーと不飽和ポリエステル樹脂と(メタ)アクリル酸エステルの混合樹脂100重量部に対してイソシアネート化合物が1〜40重量部配合されてなることを特徴とする化粧板用樹脂組成物、請求項2記載の発明は、該(メタ)アクリル酸エステルの沸点が150℃以上である請求項1記載の化粧板用樹脂組成物、請求項3記載の発明は、該化粧板用樹脂組成物を化粧紙に塗布してなることを特徴とするコーティング紙、請求項4記載の発明は、該コーティング紙と、熱可塑性樹脂からなるコア材とを積層し、熱圧成形してなることを特徴とする化粧板である。
【発明の効果】
【0005】
本発明のコーティング紙は、これまで使用されてきた溶剤の代替として、浸透性がよく、不揮発性(沸点150℃以上)の(メタ)アクリル酸エステルを用いることにより、乾燥工程なしでもタックの少ないものとなり、化粧紙への浸透不足による紙間強度の低下を防ぐことができる。また、固形のジアリルフタレート樹脂、粉末シリカを用いることにより更にタックの少ないものとなり、中間製品としての取り扱いが可能である。更に、該化粧板用組成物は揮発性のものを含まないため、熱圧成形時において揮発するものがなく、VOCの放散や成形品のくもりやパンクを防止することができる。更に、化粧板用樹脂組成物にイソシアネート化合物を加えることにより、従来の熱硬化性樹脂では得られなかった熱可塑性樹脂シートとの接着が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明に係るジアリルフタレートプレポリマーとしては、ジアリルオルソフタレートプレポリマー、ジアリルイソフタレートプレポリマー、ジアリルテレフタレートプレポリマーの単独あるいはそれらの共重合体又はそれらの混合物が挙げられ、ジアリルフタレートモノマーとしては、ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレートまたはジアリルテレフタレート、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0007】
不飽和ポリエステル樹脂は不飽和ポリエステルと重合性モノマーなどからなり、不飽和ポリエステルは不飽和二塩基酸及び/又はその酸無水物と必要に応じて用いられるその他の飽和酸及び/又はその酸無水物とを含む酸成分と、多価アルコールとを窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で160〜230℃程度、好ましくは210〜230℃で常法に従い脱水縮合反応させたものが用いられる。
【0008】
不飽和二塩基酸及びその酸無水物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられ、単独で用いても2種以上を併用しても良い。不飽和二塩基酸及びその酸無水物は、酸成分中50〜100mol%使用されることが好ましく、特に60〜100mol%使用されることが好ましい。
【0009】
必要に応じて用いられるその他の飽和酸及び/又はその酸無水物としては、無水フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの飽和二塩基酸などが挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。飽和酸の配合量は、酸成分中0〜50mol%、好ましくは0〜40mol%の範囲とされる。
【0010】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、2,3―ブタンジオール、1,5―ペンタジオール、1,6―ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの二価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三価アルコール、ペンタエリスリトールなどの四価アルコールなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。配合量は全酸成分100に対して100〜110molの範囲が良い。
【0011】
重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、パラメチルスチレンなどの芳香族重合性モノマー類、(メタ)アクリル系モノマー、例えば、メチル(メタ)アクリレート[(メタ)アクリレートはメタクリレート及びアクリレートを示す。以下同じ。]、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレートなどの水酸基含有重合性モノマー類などが挙げられる。
【0012】
その他、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジブチルマレエート、ジブチルフマレート、ジメチルイタコネート、ジブチルイタコネートなどの不飽和二塩基酸塩のジアルキルエステル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレートなどの窒素含有重合性モノマー類、酢酸ビニルの如き酢酸エステル、(メタ)アクリロニトリルの如き重合性シアノ化合物なども例示される。
【0013】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、メタエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレート等の沸点が150℃以上のものが適当であり、沸点がこれ以下であると、熱圧成形時にVOCの放散や成形品のくもりやパンクを発生する原因となり、また、保存中に揮発しコーティング紙の保存安定性の低下につながる。
【0014】
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしてはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートやポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられ、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。
【0015】
エポキシ(メタ)アクリレート[アクリレート及びメタクリレートを(メタ)アクリレートと表す]はエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを反応して得られ、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールAとエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとの付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0016】
一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、ソルビン酸あるいはモノ(2−エチルヘキシル)マレートなどが挙げられ、不飽和一塩基酸と併用される多塩基酸としては、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,12−ドデカン二酸の他ダイマー酸などが挙げられる。ニ塩基酸無水物として無水マレイン酸、無水フタル酸などが挙げられる。三塩基酸無水物として無水トリメリット酸を使用した変性品も使用可能である。
【0017】
エポキシ(メタ)アクリレートは、通常粘度調整の為、重合性の不飽和モノマーを含有しており、この重合性不飽和モノマーは、重合して硬化物の骨格を構成するものであり、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族モノマー類、アクリロニトリル等のモノマーが挙げられる。
【0018】
これらのモノマーに加え、必要に応じてジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋構造形成に寄与するモノマー、或いは不飽和ポリエステル樹脂などの共重合可能な樹脂を併せて使用することができる。
【0019】
ウレタン(メタ)アクリレートはジイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート等を、混合して反応させることによって得ることができる。
【0020】
ジイソシアネート化合物としては、公知のものを用いることができ、例えば、1,2−ジイソシアナトエタン、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、メチルシクロヘキサン2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,6−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼンおよびこれらの付加物であるオリゴマー等をあげることができる。
ポリオール化合物の具体例としては、アルキルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール等を挙げることができる。
【0021】
アルキルジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−エチルブタン−1,4−ジオール、1,5−ペンタジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,9−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ジエチルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、3−メチルペンタン−1,4−ジオール、2,2−ジエチルブタン−1,3−ジオール、4,5−ノナンジオール、および2−ブテン−1,4−ジオール等が挙げられる。
【0022】
ポリエーテルジオールとしては、通常公知の方法によりアルデヒド、アルキレンオキサイド、またはグリコールの重合により合成されるものを用いることができ、例えば、ホルムアルデヒド、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、エピクロルヒドリンなどを適当な条件でアルキルジオールに付加重合させて得られるポリエーテルジオールを挙げることができる。
【0023】
ポリエステルジオールとしては、飽和または不飽和のジカルボン酸および/またはそれらの酸無水物と過剰のアルキルジオールとを反応して得られるエステル化反応生成物、およびアルキルジオールにヒドロキシカルボン酸および/またはその内部エステルであるラクトン及び/又は分子間エステルであるラクチドを重合して得られるエステル化反応生成物を用いることができる。
【0024】
ポリエステル(メタ)アクリレートは、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との反応によって得られる。ポリエステルポリオールは、多価アルコールと多塩基酸との反応によって得られる。多価アルコールとしては、例えばネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール及びビス−〔ヒドロキシメチル〕−シクロヘキサン等が挙げられる。多塩基酸としては、例えばコハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸及びテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0025】
前記の(メタ)アクリル酸エステルは、不飽和ポリエステル樹脂20〜80重量%とジアリルフタレート樹脂80〜20重量%の混合樹脂100重量部に対して20〜100重量部、好ましくは30〜80重量部の範囲が好ましい。20重量部未満では化粧紙への浸透性が得られず、塗布後、コーティング紙にタックが残り、中間製品としての取扱いができなくなり、また100重量部を超えると化粧材として十分な物性を得ることができない。また、不飽和ポリエステル樹脂とジアリルフタレート樹脂の配合割合について、不飽和ポリエステル樹脂が多いとコーティング紙がベトツキやすく、少ないと塗布量がコントロールできず好ましくない。
【0026】
イソシアネート化合物としては前記[0020]記載のものが挙げられるが、特にヘキサメチレンジイソシアネートを用いると変色が少なく好ましい。イソシアネート化合物はジアリルフタレートモノマー及び/またはプレポリマーと不飽和ポリエステル樹脂と(メタ)アクリル酸エステルの混合樹脂100重量部に対して、1〜40重量部、好ましくは5〜30重量部の範囲であることがのぞましい。1重量部未満では、熱可塑性シートとの十分な密着性が得られず、40重量部を超えると、熱圧成型時に樹脂のフロー性が悪くなり外観不良の原因となったり、コーティング紙のライフが悪くなる等の不具合が生じる。
【0027】
ラジカル重合開始剤として用いる有機過酸化物としては、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、アセト酢酸エステルパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソピルベンゼンパーオキサイドなどハイドロパーオキサイド類、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ラウロイルパ−オキサイド、ベンゾイルパ−オキサイドなどのジアシルパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどのアルキルパーエステル類、ジイソプロピルなパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレートなどのパーオキシエステル類などの有機過酸化物や、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、1、1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ化合物などが挙げられ、これらは単独、あるいは2種以上の併用が可能である。好ましくは有機過酸化物で硬化促進剤と併用し分解温度が低いものが硬化性の面で都合が良く、具体的には、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセト酢酸エステルパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドを用いるのが好ましい。
【0028】
イソシアネートを用いる際にはウレタン化反応を促進するために、ウレタン化触媒、例えば、錫化合物、鉛化合物、ビスマス化合物が用いられるが、好ましくは錫系ウレタン化触媒であり、例えば、塩化第一錫、塩化第二錫、硝酸錫、硫酸錫等の無機錫塩化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアルキルマレート、ステアリン酸錫、オクチル酸錫等の有機錫塩化合物が挙げられるが、一般的には有機錫化合物の方が触媒活性が高く、有機溶媒に対する溶解性に優れるのでとりわけ好ましい。ウレタン化触媒の使用量は特に制限されるものではないが、0.001〜3重量%の範囲内で用いるのが適当である。下限に満たないとウレタン反応が十分に進行せず、上限を超えるとウレタン反応時の発熱により反応制御が困難となる。
【0029】
化粧紙に塗布した際、タックをより少なくするために平均粒子径1〜150μmの粉末シリカを配合するのがのぞましい。粉末シリカは、不飽和ポリエステル樹脂とジアリルフタレート樹脂と(メタ)アクリル酸エステルの混合樹脂100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部の範囲が好ましい。1重量部未満では、塗布後、コーティング紙にタックが残り、中間製品としての取扱いができなくなり、また10重量部を超えると成型品の外観が白濁し意匠性が損なわれる。
【0030】
コア材となる熱可塑性シートとしては塩ビ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ABSなどからなるシートがあげられる。
【実施例1】
【0031】
混合樹脂(A)
ジアリルオルソフタレートプレポリマー 37重量部
(ダイソーダップA ダイソー株式会社)
ジアリルオルソフタレートモノマー 9重量部
不飽和ポリエステル樹脂 37重量部
(商品名アクアライトXO−KC−108−7ディーエイチ・マテリアル株式会社製)
ポリプロピレングリコールジメタクリレート 17重量部
(商品名 ブレンマーXO−KC−108−7 日本油脂株式会社製、沸点150℃以上、平均分子量560、粘度42.3mPa・s)
ヘキサメチレンジイソシアネート 3重量部
(商品名コロネートHX 日本ポリウレタン株式会社製)
化粧板用樹脂組成物(B)
混合樹脂(A) 100重量部
BPO(過酸化ベンゾイル) 0.5重量部
ジブチル錫ジラウリレート 0.03重量部
離型剤(商品名セパール326 中京油脂株式会社製) 0.5重量部
レベリング剤 0.3重量部
シリカ粒子 4重量部
(商品名ファインシールX70 平均粒径2.0μm 株式会社トクヤマ製)
上記の化粧板用樹脂組成物(B)を100g/mの印刷紙に、塗布後の樹脂付着量が100g/mとなるようにコンマコーターで塗布し、乾燥なしでタックのないコーティング紙を得た。次いで厚さ1.2mmのABSシート(フクビ化学工業株式会社製)とともに走行するベルトに挿入し、温度140℃、圧力10kg/cmの条件で熱圧成形して、実施例1の化粧板を得た。
【実施例2】
【0032】
混合樹脂(C)
ジアリルオルソフタレートプレポリマー 23重量部
(ダイソーダップA ダイソー株式会社)
ジアリルオルソフタレートモノマー 4重量部
不飽和ポリエステル樹脂 23重量部
(商品名アクアライトXO−KC−108−7ディーエイチ・マテリアル株式会社製)
ポリプロピレングリコールジメタクリレート 50重量部
(商品名 ブレンマーXO−KC−108−7 日本油脂株式会社製、沸点150℃以上、平均分子量560、粘度42.3mPa・s)
ヘキサメチレンジイソシアネート 3重量部
(商品名コロネートHX 日本ポリウレタン株式会社製)
混合樹脂に(C)を用いた以外は実施例1と同様に化粧板を得た。
【実施例3】
【0033】
(メタ)アクリル酸エステルにネオペンチルグリコールジメタクリレート(商品名 NKエステルNPG、新中村化学株式会社製、沸点150℃以上、分子量240、粘度34.5mPa・s)を用いた以外は実施例1と同様に化粧板を得た。
【実施例4】
【0034】
(メタ)アクリル酸エステルに2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ガス化学株式会社製、沸点205℃、分子量130、粘度24.5mPa・s)を用いた以外は実施例1と同様に化粧板を得た。
【実施例5】
【0035】
混合樹脂(D)
ジアリルフタレートプレポリマー 37重量部
(ダイソーダップA ダイソー株式会社)
ジアリルフタレートモノマー 9重量部
不飽和ポリエステル樹脂 37重量部
(商品名アクアライトXO−KC−108−7ディーエイチ・マテリアル株式会社製)
ポリプロピレングリコールジメタクリレート 17重量部
(商品名 ブレンマーXO−KC−108−7 日本油脂株式会社製、沸点150℃以上、平均分子量560、粘度42.3mPa・s)
ヘキサメチレンジイソシアネート 40重量部
(商品名コロネートHX 日本ポリウレタン株式会社製)
混合樹脂に(D)を用いた以外は実施例1と同様に化粧板を得た。
【実施例6】
【0036】
熱可塑性樹脂コア材にPET(ポリエチレンテレフタレート)シートを用いた以外は実施例1と同様に化粧板を得た。
【0037】
比較例1((メタ)アクリル酸エステルが20重量部未満の場合)
混合樹脂(E)
ジアリルフタレートプレポリマー 18重量部
(ダイソーダップA ダイソー株式会社)
ジアリルフタレートモノマー 4重量部
不飽和ポリエステル樹脂 18重量部
(商品名アクアライトXO−KC−108−7ディーエイチ・マテリアル株式会社製)
ポリプロピレングリコールジメタクリレート 60重量部
(商品名 ブレンマーXO−KC−108−7 日本油脂株式会社製、沸点150℃以上、平均分子量560、粘度42.3mPa・s)
ヘキサメチレンジイソシアネート 3重量部
(商品名コロネートHX 日本ポリウレタン株式会社製)
混合樹脂に(E)を用いた以外は実施例1と同様に化粧板を得た。
【0038】
比較例2((メタ)アクリル酸エステルが100重量部を越える場合)
混合樹脂(F)
ジアリルフタレートプレポリマー 40重量部
(ダイソーダップA ダイソー株式会社)
ジアリルフタレートモノマー 10重量部
不飽和ポリエステル樹脂 40重量部
(商品名アクアライトXO−KC−108−7ディーエイチ・マテリアル株式会社製)
ポリプロピレングリコールジメタクリレート 10重量部
(商品名 ブレンマーXO−KC−108−7 日本油脂株式会社製、沸点150℃以上、平均分子量560、粘度42.3mPa・s)
ヘキサメチレンジイソシアネート 3重量部
(商品名コロネートHX 日本ポリウレタン株式会社製)
混合樹脂に(F)を用いた以外は実施例1と同様に化粧板を得た。
【0039】
比較例3((メタ)アクリル酸エステルの沸点が150℃未満の場合)
メタ(アクリル)酸エステルにメタクリル酸メチル(沸点101℃、分子量100、粘度0.57mPa・s)を用いた以外は実施例1と同様に化粧板を得た。
【0040】
比較例5(イソシアネート化合物が30重量部未満の場合)
混合樹脂(G)
ジアリルフタレートプレポリマー 37重量部
ジアリルフタレートモノマー 9重量部
不飽和ポリエステル樹脂 37重量部
(商品名アクアライトXO−KC−108−7ディーエイチ・マテリアル株式会社製)
ポリプロピレングリコールジメタクリレート 17重量部
(商品名 ブレンマーXO−KC−108−7 日本油脂株式会社製、沸点150℃以上、平均分子量560、粘度42.3mPa・s)
ヘキサメチレンジイソシアネート 0.5重量部
(商品名コロネートHX 日本ポリウレタン株式会社製)
混合樹脂に(G)を用いた以外は実施例1と同様に化粧板を得た。
【0041】
比較例5(イソシアネート化合物が上限を越える場合)
混合樹脂(H)
ジアリルフタレートプレポリマー 37重量部
(ダイソーダップA ダイソー株式会社;)
ジアリルフタレートモノマー 9重量部
不飽和ポリエステル樹脂 37重量部
(商品名アクアライトXO−KC−108−7ディーエイチ・マテリアル株式会社製)
ポリプロピレングリコールジメタクリレート 17重量部
(商品名 ブレンマーXO−KC−108−7 日本油脂株式会社製、沸点150℃以上、平均分子量560、粘度42.3mPa・s)
ヘキサメチレンジイソシアネート 50重量部
(商品名コロネートHX 日本ポリウレタン株式会社製)
混合樹脂に(H)を用いた以外は実施例1と同様に化粧板を得た。

評価結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
注1 化粧紙への浸透性が悪く、コーティング紙にベタツキ有り、ポリエステル製フィルムから離れにくくなり作業が困難となった。
注2 化粧紙への浸透性が良すぎ樹脂が裏抜けし、コーティング紙にベタツキが有り、ポリエステル製フィルムから離れにくくなり作業が困難となった。
注3 煮沸試験後、コア間で剥離、また碁盤目テープ剥離試験でもコア間で剥離し100個中2個しか残存しなかった。
注4 樹脂が化粧紙に浸透しておらず、煮沸試験でフクレ発生し、碁盤目テープ剥離でも紙間強度が弱く剥離が発生した。
注5 煮沸試験後、コア間で剥離、また碁盤目テープ剥離試験でもコア間で剥離がみられた。
注6 樹脂の粘度が高いことにより、コーティングむらが発生し、成型後、外観不良となった。
注7 熱圧成型時にメタクリル酸メチルが揮発し、パンク及び艶ムラが発生した。
注8 熱圧成型時に樹脂のフロー性が悪く、表面にピンホールが発生した。
注9 コーティング紙がベタつき、ポリエステル製フィルムから離れにくくなり作業が困難となった。
注10 メタクリル酸メチルが保存中に揮発し、樹脂のフロー性が低下し、表面にピンホールが発生した。
注11 保存時に樹脂の硬化が熱圧成型時に樹脂のフロー性が悪く、表面にピンホールが発生した。
評価方法は以下の通リとした。
コーティング紙のタック コーティング紙を作成する時やコアを重ねてプレスする際のコーティング紙のべたつきを観察した。
表面硬度 硬化性の判断として鉛筆硬度測定を行った。
コアとの密着性 碁盤目テープ剥離試験及び、耐煮沸試験(JIS K6902に基づく)により層間剥離するかを確認した。
外観 プレス成型後、コーティング紙を積層した表面に、樹脂の欠落部分や艶落ち部分等の外観異常がないか観察した。
コーティング紙の保存性 コーティング紙を40℃の恒温器で2週間保管後、プレス成型を行い、表面外観の確認を行った。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアリルフタレートモノマー及び/またはプレポリマーと不飽和ポリエステル樹脂と(メタ)アクリル酸エステルの混合樹脂100重量部に対してイソシアネート化合物が1〜40重量部配合されてなることを特徴とする化粧板用樹脂組成物。
【請求項2】
該(メタ)アクリル酸エステルの沸点が150℃以上である請求項1記載の化粧板用樹脂組成物。
【請求項3】
該化粧板用樹脂組成物を化粧紙に塗布してなることを特徴とするコーティング紙。
【請求項4】
該コーティング紙と、熱可塑性樹脂からなるコア材とを積層し、に熱圧成形してなることを特徴とする化粧板。

【公開番号】特開2007−246701(P2007−246701A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72598(P2006−72598)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】