説明

医用画像処理表示装置、そのコンピュータ処理プログラム及び超音波診断装置。

【課題】操作性の優れた関心領域の抽出、表示の処理を行う医用画像処理表示装置、及び超音波診断装置及びそのコンピュータ処理プログラム、を提供すること。
【解決手段】CT装置若しくはMRI装置によるデジタル医用画像データに含まれる関心部位の画像データが心電図データと共に入力される手段と、前記関心部位を包含する超音波画像データが心電図データと共に入力される超音波画像データ入力手段と、前記デジタル医用画像データをデジタル医用画像表示空間座標系から、前記超音波画像データの表示空間座標系に変換する座標変換手段と、前記座標変換手段により、デジタル医用画像データの関心部位の画像データから変換した関心部位の画像データを、前記超音波画像データに、前記各心電図データの位相が一致するように合成するデータ合成手段と、このデータ合成手段により合成した画像データを表示させる表示出力手段とを具備することを特徴とする医用画像処理表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像装置による生体内画像表示に係わり、特に超音波3次元(3Dと略す)画像の表示ボリュームデータ内に関心領域を設定する医用画像処理表示装置、超音波診断装置及びそのコンピュータ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波診断装置を用いて被検者の生体内臓器の形態や機能について検査が行われ、医師による診断や被検者への経過説明が行われる。特に近年、超音波診断装置においても高速の画像処理が行われてリアルタイムに3次元(3Dと略す)画像が得られる。さらに、生体の形態情報の他に、超音波診断装置によるドプラ信号データにより、CT装置やMRI装置などの他の医用画像装置では困難な生体の機能情報も得られる利点がある。このため、超音波診断装置による超音波画像データは、医師が行う診断の他に、被検者や関係者へ病状の説明にも多く利用される。
【0003】
しかしながら、CT画像やMR画像と比較して、超音波波長と超音波伝播速度の関係で、ピクセルが大きく、密度も低いため、超音波診断装置による超音波3D画像は、鮮明でない。また、超音波画像は、スライス画像(超音波断層画像)の集合となっている画像構成の技術的手法が異なっている。したがって、表示画像内の診断における注目部分である、例えば、心臓、肝臓、或いは癌化部分などの関心領域を抽出するには、スライス画像毎の対応が必要となる。このスライス画像毎に抽出処理を行う操作者の手間を要することと、画像抽出結果が操作者の抽出作業の技量に左右されることに問題があった。
【0004】
一方、CT装置やMRI装置においては、CT値やMR信号緩和時間値などの画像表示における画像データの特性値を、対象とする領域の臓器の諸特性値と関連付けることにより、これ等画像再構成処理における関心領域抽出が容易に行われる特徴がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、超音波診断画像表示において、特に3D(3次元)画像表示において、診断のために関心のある臓器に対する画像データの抽出が煩雑で、さらに抽出を行う操作者の技量にも影響され、抽出結果データが安定しない点である。
【0006】
本発明は上記のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、関心領域の抽出あるいは表示を容易に、且つ安定に処理する医用画像処理表示装置、そのコンピュータ処理プログラム及び超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1記載の医用画像処理表示装置は、デジタル医用画像データに含まれる関心部位の画像データが心電図データと共に入力される手段と、前記関心部位を包含する超音波画像データが心電図データと共に入力される超音波画像データ入力手段と、前記関心部位の画像データをデジタル医用画像表示空間座標系から、前記超音波画像データの表示空間座標系に変換する座標変換手段と、前記座標変換手段により、変換された関心部位の画像データを、前記超音波画像データに、前記各心電図データの位相が一致するように合成する画像データ合成手段と、この画像データ合成手段により合成した画像データを表示させる表示出力手段とを具備することを特徴とするものを提供する。ここでデジタル医用画像データとは、デジタル画像データ処理による再構成されたCT画像データ若しくはMR画像データである。
【0008】
また、本発明の請求項2記載の処理プログラムは、医用画像処理表示装置のコンピュータに実行させる処理プログラムであって、デジタル医用画像データに含まれる関心部位の画像データが入力される領域データ入力ステップと、前記関心部位を包含する超音波画像データが入力される検査画像データ入力ステップと、前記関心部位の画像データをデジタル医用画像データの表示空間座標系から、前記超音波画像データの表示空間座標系に変換する座標変換ステップと、前記座標変換ステップにより、変換された関心部位の画像データを、前記超音波画像データに合成するデータ合成ステップとからなり、超音波画像における関心領域を抽出、表示することを特徴とするコンピュータ処理プログラムを提供する。ここでデジタル医用画像データとは、デジタル画像データ処理による再構成されたCT画像データ若しくはMR画像データである。
【0009】
また、上記の目的を達成するために、本発明の請求項3記載の超音波診断装置は、デジタル医用画像装置、あるいは医用画像記録センターのデータ記憶手段より、デジタル医用画像データに含まれる関心部位の画像データが、心電図データと共に入力される関心領域データ入力手段と、プローブ位置・方位センサを備えて超音波画像取得位置を補正して、前記関心部位を包含する超音波画像データを心電図データと共に入力する超音波画像データ入力手段と、前記関心部位の画像データをデジタル医用画像データの表示空間座標系から、前記超音波画像データの表示空間座標系に変換する座標変換手段と、前記座標変換手段により、変換された関心部位の画像データを、前記超音波画像データに、前記各心電図データの位相が一致するように合成する画像データ合成手段と、この画像データ合成手段により合成した画像データを表示する表示手段とを具備することを特徴とするものを提供する。ここでデジタル医用画像データとは、デジタル画像データ処理による再構成されたCT画像データ若しくはMR画像データである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、超音波診断画像における関心領域を、CT装置もしくはMRI装置に指定、指示した関心領域に対応して、自動的且つ安定に設定、表示できる操作性と機能性を高めた医用画像処理表示装置、及びそのコンピュータ処理プログラム、及び超音波診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態の説明においては、超音波診断装置による画像診断において、診断に対応する領域設定が比較的複雑で、装置操作に手間や技量を要するとされる部位である心臓を対象とする場合を1実施例として説明するが、被対象部位はこれに限るものではない。
【0012】
(実施形態1)
本願発明の第1の実施形態である医用画像処理装置について、図1に示す機能ブロック図、および図2に示す処理のフローチャートを用いて説明する。
【0013】
図1に示す医用画像処理装置10は、画像データおよび付帯情報を処理するワークステーションとして作動する。医用画像処理装置10には、CT装置20、及び超音波診断装置30が接続される。
【0014】
CT装置20は、これが出力するCT画像データに対し、臓器名、組織名、あるいはこれ等臓器、組織のCT値などの特性値、もしくは画像データの対応部分を直接指示する、などにより、そのCT画像に関心部位を、指定、抽出できる機能を具備する。すなわち、CT装置20は、この機能によりCT画像における関心領域の指定、設定を容易に行うことができ、この設定結果を出力できる関心領域設定機能を備えるデジタル医用画像装置である。
【0015】
さらに、本実施形態において、最終的に関心領域を設定する超音波画像データ及び付帯情報が、超音波診断装置30により入力される。すなわち、医用画像処理装置10に超音波診断装置30の画像データ出力が接続されて、この超音波画像データに対し医用画像処理装置10よる処理が行われる。
【0016】
この付帯情報とは、後述する画像データの取得と同時に取得する被検者の心電図データ、および超音波診断装置30の超音波プローブの位置・方向に関するデータである。特に心電図データは、実施例で表示対象とする、例えば心臓のように、1心拍周期間にその形状が大きく変化するような場合の時間軸データとして参照する。
【0017】
なお、本実施形態の医用画像処理装置10には、このCT装置及びこれ等CT画像に替えて、MR信号緩和時間T1、T2などの特性値により同様に関心領域の処理を行うデジタル医用画像装置であるMRI装置、およびそのMR画像によって行っても、全く同様に作用、動作する。以降、本実施形態の説明においては、煩雑を避けて、関心領域の指定、設定を容易に行うことができるデジタル医用画像装置20にはCT装置を適用する場合を説明する。
【0018】
本実施形態の機能ブロック図である図1に示すCT装置20は、CT画像データを取得し、医用画像処理装置10に出力するCT画像データ取得部21を有する。また、CT装置20には、CT画像データの取得時に共に取得したCT画像心電図データの出力部21aを具備する。このCT装置20には、臓器名・組織名、CT値の指定、あるいは画像に領域範囲を直接指示するなどによりCT画像における関心領域を設定するCT画像領域設定部22を具備している。
【0019】
超音波診断装置30は、図示していない超音波プローブの操作により超音波画像データを取得し、医用画像処理装置10に出力する超音波画像データ取得部31を有している。また、超音波診断装置30には、超音波画像データの取得時に共に取得した超音波画像心電図データの出力部31aを具備する。また、超音波プローブに設けた図示していないセンサにより、超音波画像データの取得時の超音波プローブ位置・方向データである超音波画像取得位置データの出力部31bを具備している。超音波画像取得部31により取得する超音波画像データは、生体臓器の形態や位置関係を示す超音波断層画像(超音波Bモード画像)の他に、生体の機能状況を表示するドプラ画像、移動長画像(Mモード画像)、心壁運動画像などである。
【0020】
医用画像処理装置10には、超音波診断装置30から入力される超音波画像データと、CT装置20から入力されたCT画像データによる関心領域データとが合成されて表示される画像データ合成部12を備える。この画像データ合成部12は、超音波画像データの空間座標系をベースとする表示空間座標系を有し、後述するようにCT画像による関心領域データは超音波画像の空間座標系に座標変換して供給される。
【0021】
この画像データ合成部12には、超音波画像データとCT画像から変換された関心領域データの2つの医用画像データの時相合わせ、すなわち画像データと共に取得された出力部21a、31aそれぞれの心電図データの位相の一致を行う心電図同期部12aを備える。
【0022】
さらに、同じくこれ等2つの医用画像データの空間座標系における表示位置合わせを行う座標統合部12bも備えている。
【0023】
また、医用画像処理装置10では、CT装置20から入力されるCT画像データに設定された関心領域データを確認するためのCT画像領域確認部14を備えている。
【0024】
医用画像処理装置10には、このCT画像に設定された関心領域データを、画像データ合成部12において表示するために、超音波画像の表示空間座標系に変換するCT空間座標変換部13を備える。また、超音波診断装置30から入力される超音波画像データの表示空間座標系における位置を、超音波画像取得位置データ取得部31bからの超音波画像取得位置データにより位置補正する超音波画像取得位置補正部15を具備する。
【0025】
さらに医用画像処理装置10は、時相合わせ(心電図同期部12aの処理)及び位置合わせ(座標統合部12bの処理)により、前記CT画像データにおいて設定した関心領域データを、画像データ合成部12において、超音波画像データの関心領域として、その空間データを抽出してマスクデータとする超音波画像領域マスクデータ部16を具備する。
【0026】
このマスクデータの表示形態、すなわち、半透明マスク像合成、境界強調、抜き取り(周辺強調)、周辺除去(浮き彫り強調)などを指定する表示形態設定部17と、これにより設定した表示形態に対応する画像処理を行う超音波画像領域生成部18とを具備する。
【0027】
また、医用画像処理装置10は、上述の各機能部の作動を統制制御する制御CPU部11を備え、作動、制御の手順プログラム、及び制御のための諸定数、演算式などを記憶保存するメモリ部111を備えて構成される。また、処理結果及び処理途中の状況を表示する表示モニター40a、及びCT画像データに設定した関心領域データの状況を表示する表示モニター40bも接続されている。
【0028】
上述の医用画像処理装置10、及びCT装置20と超音波診断装置30による構成において、超音波画像に対する所定の関心領域の抽出を行う医用画像処理装置10の行う処理について、図2に示す処理手順のフローチャートと、図3に示す処理概念のデータフロー模式図を用いて説明する。
【0029】
本実施形態における処理手順は、図2に示されるステップS11〜S14において、CT装置20によるCT画像データに対して所望の領域を関心領域として指定、設定するCT画像関心領域の設定処理が行われる。そして、このCT画像関心領域の画像データを、同図に示されるステップS21〜S26において、超音波診断装置30による超音波画像表示空間座標系の超音波画像データに、それぞれに付帯する心電図データの時相を同期させて座標変換する。この座標変換は、超音波画像データの入力、すなわち超音波画像の取得と共に順次繰り返し処理される。
【0030】
これにより、超音波診断装置30により取得した超音波画像データに、CT画像データに設定した所望の領域の空間データ、すなわち関心領域を設定処理する。
【0031】
以下にこれらの処理手順の詳細を説明する。
【0032】
図2に示す本実施形態の処理手順のCT画像領域設定処理のステップS11では、被検者に対し心電図データと共に、診断に係る関心領域を含むCT画像データを取得する。処理概念のデータフロー模式図の図3(a)に示すように、CT画像データと心電図データを得る。
【0033】
次のステップS12では、超音波画像において診断、観察を所望する関心領域に対応する部位を、CT画像データにおいて指定、指示する。すなわち、CT装置に処理ファンクションとして組み込まれている臓器名若しくは生体組織名を指定して関心領域を抽出する機能、あるいはCT値の範囲を指示してその領域を抽出する機能を使用して、先ず図3(b)に示すように、骨組織像を除去する。さらに、この軟部組織のみのCT画像データに対し、関心対象を指定して、図3(c)に示すようなCT画像データ上で関心領域である、例えば心臓部分43を抽出する。この抽出には、CT装置に具備している領域抽出機能などにより、CT装置の操作者が、例えば「心筋」と組織名で指定する方法、あるいは心筋組織に対応するCT値範囲を指定し入力する方法、若しくは操作者が画像に領域図形を指定して削除、或いは連結する領域抽出法などの手法を利用する。
【0034】
ステップS13では、ステップS12で抽出した注目、関心の領域を含むボリュームデータ(3Dデータ)に対し、図3(d)に示すような領域境界の3Dマスク情報であるCT画像における関心領域データ44’を生成する。この関心領域に係るデータの生成は、領域拡張法などの手法により、少し空間的に大きくなる生成が、好適である。
【0035】
CT画像領域設定処理のステップS14では、CT装置20の定義する表示空間座標系において指定・抽出の処理を行って得た関心領域に対する関心領域データ44’を、超音波画像領域設定処理における超音波画像データが表示される超音波診断装置30の定義する図3(g)の超音波空間座標系の領域データ47’へ変換する座標変換行列を生成する。
【0036】
上述の処理における時間軸については、同時に取得しているCT画像心電図データ21a(図3(a)の心電図波形41’)が、特徴ある波形41’’のR波を有するので、その波形をタイムマークとして参照、識別する。
【0037】
次に、ステップS21では、超音波診断装置30のデータ取得部31を、被検者の心電図データ取得部31a及び超音波画像取得位置データ取得部31bの付帯データと共に、超音波診断装置30により取得して、医用画像処理装置10へ入力する。
【0038】
次のステップS22において、超音波診断装置30の定義する超音波表示空間座標系に設定するステップS21による超音波画像の位置を、超音波画像取得位置データに基づいて補正する。これは、超音波画像の取得のために超音波プローブを移動操作することにより超音波プローブの位置、すなわち超音波画像の取得位置が変化することになり、これに対し、超音波画像取得位置データによりその位置変化分を算出して、超音波画像の位置を相対的に変化、移動させる補正を行う。
【0039】
ステップS23では、CT画像領域設定処理でCT画像の関心領域データを生成したCT画像データのCT画像心電図データ21aの位相、すなわち時間的経過と、この超音波画像領域設定処理のステップS21、S22と処理された超音波画像心電図データ31aとを同期させる。すなわち、CT画像領域設定処理として予め生成したCT画像の関心領域データの心電図データ21aを時間軸のタイムマークとして、ステップS21、S22により、順次入力される超音波画像データの超音波画像心電図データの特徴波形、例えばR波(図3(e)の心電図波形45’を対応させて、超音波画像データとCT画像の関心領域データとを同期させる。
【0040】
ステップS24では、CT空間座標変換部13において、CT装置20から導入したCT画像関心領域データ(図3(d))を、座標変換行列を用いて超音波画像表示空間座標系へ変換する(図3(g))。
【0041】
次のステップS25において、この変換されたCT画像関心領域データ(図3(g))を、ステップS21、S22により位置補正が成された超音波画像データ(図3(f))に対し、画像データ合成処理部12により合成処理を行う(図3(h))。この合成処理により、超音波画像の関心領域データは、マスクデータと共に表示され、診断対象の領域を表示する。この領域の表示形態は、例えば、半透明マスク像合成、境界強調、抜き取り(周辺強調)、周辺除去(浮き彫り強調)などの処理形態(図3(i))で、表示対象の表示の目的により処理方法が選択されて行われる。
【0042】
ステップS26では、超音波画像診断装置30による連続する画像フレームの超音波画像データが入力されるかを判定する。引き続く画像フレームの超音波画像データが入力されると、再びステップS21へ戻して、超音波画像領域設定処理を繰り返し行う。
【0043】
上記では、CT装置によるCT画像データに所望の領域を指定、設定する場合を説明しているが、MRI装置により得られるMR画像データ上に、上記と同様の領域拡張法より関心領域を指定する手順のステップS11〜S14を実施し、そのMR画像の関心領域画像データを超音波画像と共に設定する表示空間座標系へ座標変換し、これを繰り返すステップS21〜S26の処理行っても、全く同様に行える。
【0044】
CT画像領域設定処理が行われるCT画像データは、比較的広い視野を確保して、分解能も高く鮮明な画像データを得ることができる。MRI装置によるMR画像も同様に広角の視野と高分解能画像が得られるMR画像領域設定処理が同様に行えて、好適である。さらに、MRI装置によれば、骨組織による影響の少ない画像により関心領域の設定ができる有意な効果もある。
【0045】
医用画像装置20、30に替えて、これ等により既に取得し、医療機関のデータ管理センターにおいて保管管理されるこれ等の医用画像装置の医用画像データの記録手段(図示せず)から、これ等の画像データ、付帯情報、及び関心領域データが出力、接続されて、医用画像処理装置10に入力されるように構成しても、上述の処理手順の実施により、同じく超音波画像に関心領域を設定、表示することができる。
【0046】
本実施形態の医用画像処理装置10によれば、診断、検査対象となる部位の画像抽出を、抽出操作がそのシステムの構成上極めて簡単な操作により設定できるCT装置或いはMRI装置において、予め処理する。さらに、その結果の関心領域画像データが、超音波画像データに対する各機能部の作動、作用により、超音波画像座標空間へ座標変換処理されて、超音波画像に自動的に設定が実施される。したがって、操作者にとっては極めて簡単で、操作者の技量に左右され無い操作により、超音波3D画像に所望の領域を設定できる。また、本実施形態の医用画像データの処理によれば、CT画像データ或いはMR画像データによる被検者の注目する臓器の形態観察と共に、超音波画像データによる同臓器の形態情報の他に、同臓器のドプラ画像データや移動運動データなどの超音波診断装置で得られる注目臓器の機能情報を表示することもできる。これ等の表示が心拍周期に同期した時間軸、すなわち時間経過の機能状況を示し、操作者である医師や検査技師が、容易に、また操作者の技量に関わらず、患者の状態を把握、診断することができる画像を提供、提示することができる。
【0047】
(実施形態2)
図4は、本発明の第2の実施形態である超音波診断装置の構成を示すブロック図である。この実施形態においては、超音波診断装置自体に第1の実施形態において説明した関心領域設定処理手段を設けたものである。
【0048】
図4に示す超音波診断装置100は、超音波診断装置本体50(以降は、本体50と呼ぶ)を備えている。この本体50は、超音波プローブ61が接続される超音波送信部53、超音波受信部54、及び超音波受信信号を断層画像データに処理するBモード処理部55、ドプラ画像データなどに処理する機能モード処理部56、さらにこれ等の出力を表示画像データに構成する表示画像構成部57を、一般的な超音波診断装置と同様に具備している。
【0049】
また本体50には、装置操作やデフォルトデータ、本体制御プログラムなどの装置操作のデータを記録保持する操作データベース部52と、取得中の画像データや過去の取得済みデータを記憶保存する画像記録装置58とを具備する。そして、これ等の機能手段を統括的に、すなわちこの超音波診断装置100の全体を制御するCPU制御部51を具備している。
【0050】
さらに、本願発明の実施形態の超音波診断装置100には、検査・診断対象の超音波画像データの時間情報として、被検者の心電図データを取得する心電図計測部65を具備する。この心電図計測部65により計測された心電図データが、本体50のCPU制御部51を介して関心領域設定処理部70の入力b部92に入力される。また、超音波画像データを取得するために目的部位の位置へ移動、操作する超音波プローブ61に位置・方位センサ61aが設けられて、超音波プローブ61により取得した超音波画像スライス(断層画像)の位置、方位を、超音波プローブ61の位置・方位から測定し、その測定結果は、CPU制御部51を介して、同じく関心領域設定処理部70に入力される。
【0051】
本実施形態において、関心領域の設定処理手順を実行する関心領域設定処理部70は、この超音波診断装置100の全体を制御するCPU制御部51に接続されて、このCPU制御部51の制御の下で、処理結果の超音波画像の関心領域データを画像記録装置58に記録する。
【0052】
関心領域設定処理部70は、図1に機能構成を示す医用画像処理装置10と同様に構成され、入力b部92から入力される超音波画像データと、入力a部91から入力されたCT画像データによる関心領域データとが、合成される画像データ合成部12を備える。この画像データ合成部12は、超音波画像データの空間座標系をベースとする表示空間座標系を有し、CT画像による関心領域データは超音波画像の空間座標系に座標変換して合成される。
【0053】
本実施形態によれば、超音波画像データに対する関心領域の設定指示を、予め実施する例えばCT装置で観察するCT画像データ上で、そのCT画像装置に装備される関心領域設定機能により極めて簡単な操作、手順による設定できる超音波診断装置を提供する。
【0054】
さらに、本実施形態によれば、例えばCT画像データ上の関心領域データを、共に取得している心電図データに基づいて、時間と空間位置を同期、整合させて、診断中の超音波画像に、リアルタイムで合成し、その関心領域の表示を行う超音波診断装置を提供する。また、CT装置に替えて、MRI装置により、同様にMR画像データ上の関心領域設定機能による関心領域の設定を行っても、同様に、その関心領域の表示が行える超音波診断装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本願発明の第1の実施形態である医用画像処理装置の機能ブロック構成図。
【図2】本願発明の医用画像処理装置における処理手順を示す図。
【図3】本願実施形態における画像データ処理概念のデータフロー模式図。
【図4】本願の第2の実施形態である超音波診断装置の構成を示す機能ブロック図。
【符号の説明】
【0056】
10・・・医用画像処理装置、
11・・・領域設定制御CPU部、
12・・・画像データ合成部、
12a・・・心電図同期部(時相合わせ)、
12b・・・座標統合部(位置合わせ)、
13・・・CT空間座標変換部、
14・・・CT画像領域確認部、
15・・・超音波画像取得位置補正部、
16・・・超音波画像領域マスクデータ部、
17・・・表示形態設定部、
18・・・超音波画像領域生成部、
20・・・CT装置、
21・・・CT画像データ取得部、
21a・・・CT画像心電図データ、
22・・・CT画像領域設定部、
30・・・超音波診断装置、
31・・・超音波画像データ取得部、
31a・・・超音波画像心電図データ取得部、
31b・・・超音波画像取得位置データ取得部、
40a、40b、64・・・モニター、
50・・・超音波診断装置本体、
51・・・CPU制御部、
52・・・操作データベース、
53・・・超音波送信部、
54・・・超音波受信部、
55・・・Bモード処理部、
56・・・機能モード処理部、
57・・・表示画像構成部、
58・・・画像記憶装置、
59・・・シネメモリ、
61・・・超音波プローブ、
61a・・・位置・方位センサ部、
62・・・入力装置、キーボード、トラックボール、
63・・・操作パネル、
65・・・心電図計測部、
70・・・関心領域設定処理部、
91・・・入力a部、
92・・・入力b部、
93・・・出力c部、
94・・・制御I/Od部、
100・・・超音波診断装置、
101・・・医療機関内ネットワーク、
102・・・画像センター記憶装置、
103・・・CT画像装置、
104・・・MRI装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル医用画像データに含まれる関心部位の画像データが心電図データと共に入力される手段と、
前記関心部位を包含する超音波画像データが心電図データと共に入力される超音波画像データ入力手段と、
前記関心部位の画像データをデジタル医用画像表示空間座標系から、前記超音波画像データの表示空間座標系に変換する座標変換手段と、
前記座標変換手段により、変換された関心部位の画像データを、前記超音波画像データに、前記各心電図データの位相が一致するように合成する画像データ合成手段と、
この画像データ合成手段により合成した画像データを表示させる表示出力手段と、
を具備することを特徴とする医用画像処理表示装置。
【請求項2】
医用画像処理表示装置のコンピュータに実行させる処理プログラムであって、
デジタル医用画像データに含まれる関心部位の画像データが入力される領域データ入力ステップと、
前記関心部位を包含する超音波画像データが入力される検査画像データ入力ステップと、
前記関心部位の画像データをデジタル医用画像データの表示空間座標系から、前記超音波画像データの表示空間座標系に変換する座標変換ステップと、
前記座標変換ステップにより、変換された関心部位の画像データを、前記超音波画像データに合成する画像データ合成ステップと、
からなり、超音波画像における関心領域を抽出、表示することを特徴とするコンピュータ処理プログラム。
【請求項3】
デジタル医用画像装置あるいは医用画像記録センターのデータ記憶手段より、デジタル医用画像データに含まれる関心部位の画像データが心電図データと共に入力される関心領域データ入力手段と、
プローブ位置・方位センサを備えて超音波画像取得位置を補正して、前記関心部位を包含する超音波画像データを心電図データと共に入力する超音波画像データ入力手段と、
前記関心部位の画像データをデジタル医用画像データの表示空間座標系から、前記超音波画像データの表示空間座標系に変換する座標変換手段と、
前記座標変換手段により、変換された関心部位の画像データを、前記超音波画像データに、前記各心電図データの位相が一致するように合成する画像データ合成手段と、
この画像データ合成手段により合成した画像データを表示する表示手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−247739(P2009−247739A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101685(P2008−101685)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】