説明

医用画像表示装置、医用画像表示方法及び医用画像診断装置

【課題】病変部の見落としを低減し、読影時間を短縮することが可能な医用画像表示装置、医用画像表示方法及び医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】画像診断装置によって生成した画像データが記憶された記憶媒体から所定の画像データ群を取り込む画像取込部と、画像取込部で取り込んだ画像データ群の中から所定範囲内の画像データを選択する範囲設定部と、選択された範囲内にある画像データを時空間的に連続する複数の画像データ毎に区分して処理し複数コマの画像データで構成された診断用画像データを順次にコマ送りして出力する画像処理部と、画像処理部から出力された複数コマの診断用画像データを表示する表示部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用診断画像を読影する際に用いられる医用画像表示装置及び医用画像診断装置に係り、特に観察する画像データ量が多い場合でも読影を容易にした医用画像表示装置、医用画像表示方法及び医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院等の機関では、X線CT装置やMRI装置等の画像診断装置で撮影して得た医用画像情報を、ネットワークに接続された医用画像サーバに保管・管理し、医師等が必要に応じて画像観察端末等を通じて医用画像サーバにアクセスし、医用画像情報を画像観察端末に表示して観察できるようにしている。
【0003】
特に、X線CT装置等で取得した画像データは、データの枚数が多いため読影する際には、一般的に以下のような表示方法が用いられている。
【0004】
例えば、画像データ全てを表示して任意の画像データを選択し、選択された画像データを拡大表示して読影する方法がある。複数の画像データを表示する場合、画像データを行方向及び列方向に並べて表示し、表示画面上にカーソル等を表示して任意の画像データを選択するようにしている。
【0005】
特許文献1には、断層画像等を表示する際に、シリーズデータを行方向とし同シリーズの連続画像を列方向として行列状に位置表示し、この位置表示上でカーソルやラインを用いて画像を選択する例が記載されている。
【0006】
また特許文献2には、画像データの付帯情報に基づいて画像データリストを生成し、診断用画像データと参照用画像データを表示し、さらに診断用画像データに対して精査範囲を設定し、精査範囲内の診断用画像データを優先して表示する例が記載されている。
【0007】
しかしながら、これら特許文献1及び特許文献2記載の例では、元の画像データが膨大な枚数である場合、読影のために多くの時間を費やしてしまい、また、病変部を見落とす可能性がある。
【特許文献1】特開2005−160503号公報
【特許文献2】特開2006−197968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の医用画像表示装置では、元の画像データが膨大な枚数である場合、読影のために多くの時間を費やしてしまい、また、病変部を見落とす可能性がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたもので、多量の医用画像データを用いて診断を行う場合であっても、病変部の見落としを低減し、読影時間を短縮することが可能な医用画像表示装置、医用画像表示方法及び医用画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の本発明の医用画像表示装置は、画像診断装置によって生成した画像データが記憶された記憶媒体から所定の画像データ群を取り込む画像取込部と、前記画像取込部で取り込んだ画像データ群の中から所定範囲内の画像データを選択する範囲設定部と、前記範囲設定部によって選択された範囲内にある画像データを時空間的に連続する複数の画像データ毎に区分して処理し複数コマの画像データで構成された診断用画像データを順次にコマ送りして出力する画像処理部と、前記画像処理部から出力された前記複数コマの診断用画像データを表示する表示部と、を具備したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項11記載の本発明の医用画像表示装置は、画像診断装置によって生成した画像データが記憶された記憶媒体から所定の画像データ群を取り込む画像取込部と、前記画像取込部で取り込んだ画像データ群の所定範囲内の画像データを選択する範囲設定部と、前記範囲設定部によって選択された範囲内にある画像データを時空間的に連続する複数の画像データ毎に区分して処理し複数コマの診断用画像データを順次にコマ送りして出力する画像処理部と、前記診断用画像データの内、時間的に前後する2つのコマの画像データ同士をそれぞれ比較し、複数コマの比較用画像データを順次にコマ送りして出力する比較画像生成部と、前記画像処理部から出力された前記診断用画像データと、前記比較画像生成部から出力された比較用画像データを重畳して表示する表示部と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
また請求項17記載の本発明の医用画像表示方法は、画像診断装置によって生成した画像データを記憶媒体に記憶し、前記記憶媒体に記憶された所定の画像データ群を画像取込部に取り込み、前記画像取込部に取り込んだ画像データ群の中から所定範囲内の画像データを選択し、前記選択された範囲内にある画像データを時空間的に連続する複数の画像データ毎に区分して処理し、複数コマの診断用画像データを順次にコマ送りして出力し、前記コマ送りで出力された前記複数コマの診断画像データを表示部に表示することを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項19記載の本発明の医用画像診断装置は、被検体を撮影して画像データを取得する撮影部と、前記撮影部によって取得した複数の画像データから、所定の画像データ群を取り込む画像取込部と、前記画像取込部で取り込んだ画像データ群の中から所定範囲内の画像データを選択する範囲設定部と、前記範囲設定部によって選択された範囲内にある画像データを時空間的に連続する複数の画像データ毎に区分して処理し、複数コマの画像データで構成された診断用画像データを順次にコマ送りして出力する画像処理部と、前記画像処理部から出力された前記複数コマの診断用画像データを表示する表示部と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、診断用画像データを複数コマで表示するとともに、順次にコマ送り表示することにより、連続した画像データを観察することができる。また任意のコマ送り速度で診断用画像データを観察できるため病変部の確認が容易になり患部の見落としを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の医用画像表示装置の全体的な構成を示す図である。
【0017】
図1において、10、11は、X線CT装置やMRI装置(磁気共鳴イメージング装置)等の画像診断装置であり、これら画像診断装置10、11は、被検体の診断対象部位を撮影して画像データを取得する撮影部を含む。画像診断装置10、11は、それぞれLAN(Local Area Network)等のネットワーク12を介して医用画像サーバ13に接続されている。
【0018】
又、ネットワーク12には医用画像を観察可能な画像観察端末20が接続可能である。画像観察端末20は、医師等のユーザによって操作可能であり、医用画像データの読影や、診断等に利用される。
【0019】
医用画像サーバ13には、画像診断装置10、11によって撮影された画像データや患者情報等の各種の情報が記憶可能であって、画像観察端末20から医用画像サーバ13にアクセスすることにより、患者の画像データ等を観ることができる。或いは、画像データ等の情報は、画像診断装置10、11内の記憶部に記憶しても良い。
【0020】
画像観察端末20は、入力部21及び表示部22を有している。入力部21は、マウス211やキーボード等で構成される入力手段であり、医師等のユーザによって操作可能である。表示部22は例えば液晶ディスプレイで構成される。
【0021】
画像観察端末20は、ネットワーク・インターフェース23を介してネットワーク12に接続可能であり、ネットワーク・インターフェース23はバスライン24に接続されている。バスライン24には、CPU25、記憶部(メモリ)26が接続されている。CPU25は、画像観察端末20全体の動作を制御するものであり、記憶部26はデータ処理時の各種のデータを記憶可能である。
【0022】
また、画像取込部27、画像処理部28、比較処理部29、比較画像生成部30がバスライン24に接続されており、これらはCPU25の制御のもとに各種の処理を行う。
【0023】
画像取込部27は、医用画像サーバ13に格納された情報(或いは画像診断装置10、11内の記憶部に記憶された情報)から、特定の被検体の画像データ群を取り込むものであり、範囲設定部31によって設定された画像データ群を抽出して取り込む。
【0024】
範囲設定部31は、例えば観察したい患者名、検査部位、検査シリーズ等を指定して必要な画像データ群の取込み設定を行う。検査シリーズとは、例えば造影剤無しや、造影剤有り、拡大撮影等のシリーズを表すものであり、シリーズIDをもとに検査シリーズを識別することができる。
【0025】
画像処理部28は、画像取込部27で取り込んだ画像データを、時空間的に連続する複数枚の画像データ毎に区分して順次に処理し、複数コマの画像データで構成される診断用画像データを生成する。画像処理部28からの診断用画像データはコマ送り形式で順次表示部22に出力される。
【0026】
画像処理部28は、表示設定部32によって表示方法、コマ送りの方向、コマ送りの速度、表示間隔などが設定される。表示設定部32による各種の設定については後述する。
【0027】
また比較処理部27は、画像取込部27で取り込んだ画像データを用いて、時空間的に近接する画像データ同士を比較するものであり、比較設定部33によって比較方法等が設定される。
【0028】
比較画像生成部30は、比較処理部27の比較結果に基いて比較用画像を生成する。また比較画像生成部30は、ROI設定部34によって、比較画像の中の関心領域(Region Of Interest)のみを表示部22に表示するように設定することができる。
【0029】
画像処理部28によって生成された診断用画像と、比較画像生成部30によって生成された比較用画像は、重畳部35によって重畳され、表示部22に表示される。
【0030】
入力部21は、範囲設定部31、表示設定部32、比較設定部33、ROI設定部34にそれぞれ接続されており、入力部21の操作によって各種の設定が可能である。尚、入力部21からの各種の指示情報は、実際にはバスライン24を介して範囲設定部31、表示設定部32、比較設定部33、ROI設定部34に伝達される。
【0031】
次に本発明の医用画像表示装置の動作について説明する。図2は、医用画像サーバ13から画像データを取り込む際に、表示部22に表示される画像選択画面40の一例を示したものである。
【0032】
この画像選択画面40は、入力部21の操作と、範囲設定部31の動作を説明するものであり、入力部21によって診断対象となる患者名等を選択画面41に入力する。例えば患者名、検査部位、検査シリーズ等を入力することにより、画像取込部27は該当する画像データ群を医用画像サーバ13から取り込む。
【0033】
これにより、画像選択画面40には画像表示範囲選択画面42が表示され、取り込んだ画像データのトータル枚数(図2の例では1000枚)を表す画面43が表示される。
【0034】
また画像選択画面40には、カーソル44が表示される。このカーソル44は入力部21に接続されたマウス211の操作よって移動可能であり、表示したい画像範囲を設定することができる。例えばカーソル44によって指標451及び452を移動させて、表示したい画像データの表示開始位置と表示終了位置を指定する。これにより、画像取込部27は、指定された範囲内の画像データを選択して画像処理部28に送る。
【0035】
図2では101枚目から1000枚目が選択された場合を例示しており、指標451,452の位置によって選択した範囲を概略的に知ることができる。また指標451,452の位置に応じてどの範囲の画像データが選択されたかを数値(ページ番号)で表示するようにしても良い。
【0036】
なおカーソル44によらず、入力部21のキーを操作し、ページ番号を入力して範囲を指定しても良く、範囲指定の方法は他にも幾つかの形態が考えられる。また画像データの範囲を指定する場合、デフォルトでは、表示開始位置を画像データの先頭(1ページ目)とし、表示終了位置を画像データの最後(最終ページ)としている。
【0037】
画像処理部28は、画像取込部27からの画像データを、時空間的に連続する複数枚(例えば7枚)の画像データ毎に区分して処理し、複数コマの画像データで成る診断用画像データを生成する。また画像処理部28は、複数コマの画像データの内、所定のコマ数(例えば1コマ)の画像データを順次更新しながら表示部22に供給する。或いは複数コマの画像データを一括して更新しながら表示部に22に供給する。これにより、表示部22には診断用画像データをスクロール表示したり、一括コマ送りで表示することができる。
【0038】
図2の画像選択画面を用いて画像データの範囲が設定されると、表示部22には図3に示すような画像表示画面50が表示される。
【0039】
画像表示画面50は、主に入力部21の操作と、表示設定部32及び比較設定部33の動作を説明するものである。画像表示画面50には、診断用画像51と比較用画像52、及び各種の設定を行うウインドウ53が表示される。
【0040】
先ず、表示設定部32によって診断用画像51の表示方法、表示間隔、表示速度、表示方向等を設定する場合について説明する。
【0041】
表示方法としては、例えば画面上に同時に複数枚の診断用画像51を表示し、所定の時間間隔で順次コマ送りするスクロール表示、或いは複数の診断用画像51を所定の時間間隔で一度にコマ送りする一括コマ送り表示がある。
【0042】
図3の例では、設定画面54によってスクロール表示が設定され、所定枚数(例えば7枚)の診断用画像51が同時に表示された場合を示している。また図3の設定画面55,56,57は、それぞれ表示間隔、表示速度、表示方向の設定に使用され、マウス211を操作して各種の設定を行う。
【0043】
表示間隔は、図2で指定した範囲内の多数の画像データを何枚毎に表示するかを設定するもので、例えば2枚間隔に設定した場合は、1,3,5,7…ページの画像データが表示される。また、表示速度を設定することにより、コマ送り表示する際の時間間隔を設定することができる。図3では、30秒置きにコマ送りするように設定した例を示している。
【0044】
表示方向は、取り込んだ画像データを先頭ページから最終ページの一方向に順に表示するか、先頭ページから最終ページ、及び最終ページから先頭ページの双方向に表示するかを設定するものである。また図3の設定画面58は、コマ送りの実行、停止、早送り等を指示する場合に使用される。
【0045】
また画像表示画面50の上部に表示した指標59は、現在どのページ付近の画像データを表示しているかを概略的に記すものである。
【0046】
図4は、診断用画像51をスクロール表示する場合の表示処理の流れを示すものである。例えば画面上に同時に7枚の診断画像を表示する場合、最初は診断画像1〜7を表示する。次に所定の時間が経過すると左方向に1コマシフトした診断画像2〜8が表示される。これを順次に繰り返すことにより、設定した時間間隔で順次コマ送りされスクロール表示が可能となる。
【0047】
図5は、一括コマ送り表示する場合の表示処理の流れを示すものである。例えば画面上に同時に7枚の診断画像を表示する場合、最初は1組目の診断画像1〜7を表示する。次に所定の時間が経過すると次の組の診断画像8〜14が表示される。これを順次に繰り返すことにより、設定した時間間隔で順次に複数の診断画像が更新され一括コマ送り表示が実行となる。
【0048】
尚、画面上に同時に表示する診断画像は、7枚に限られることはなく、他の枚数に設定することも可能である。またスクロール表示においては1コマずつシフトする例を述べたが、これに限らず例えば2コマずつシフトしても良い。
【0049】
次に比較設定部33の動作を説明する。比較設定部33は、比較処理部29での画像データの比較方法を設定するものであり、図3の設定画面60は比較方法を設定するものである。
【0050】
比較方法としては、時空間的に連続した複数枚の診断用画像データから、時間的に前後する2つの画像データを比較して、その差分を表示する差分比較と、時間的に前後する2つの画像データを所定の比率で合成して表示する増分比較とがある。
【0051】
図3では、設定画面60で「差分」を選択し、差分比較によって比較用画像52を表示した例を示している。例えば診断画像1〜7で構成された診断用画像51が表示されている場合、時間的に前後する診断画像1と診断画像2を比較してその差分をとった比較画像1が表示される。以下同様に、診断画像2と診断画像3、診断画像3と診断画像4、…を順次に比較し、その差分をとった比較画像2〜比較画像6を表示する。
【0052】
また、増分比較によって比較用画像52を表示する場合は、設定画面60で「合成」を選択し、2枚の画像の合成比率を設定する。この場合は、診断画像1〜7の内、時間的に前後する2枚の診断画像を順次に合成した比較画像1〜比較画像6を表示することができる。
【0053】
図6は、差分比較によって比較用画像52を生成する場合の画像処理を説明するものである。図6の(a)と(b)は時間的に前後する2枚の診断画像であり、(c)はそれら2枚の画像の差分画像を表している。
【0054】
図6において、診断画像(a)と診断画像(b)は、複数のマトリックス状(行Xと列Y)の画素で構成されるため、全ての画素(X,Y)について2つの画像間の画素値の差分をとり、閾値処理(ある決められた値以下は0とする)を行うことにより、差分画像(c)を得ることができる。
【0055】
図7は、増分比較によって比較用画像52を生成する場合の画像処理を説明するものである。図7の(a)と(b)は時間的に前後する2枚の診断画像であり、(c)はそれら2枚の画像の合成画像を表している。
【0056】
図7において、2つの診断画像(a)と診断画像(b)は、重ね合わせ処理を行い、一方の画像に対して他方を重ねて表示する。また、診断画像(a)と(b)の各画像間の画素値をOR演算処理し、画素値を加算していくことにより、画素が集積している箇所を強調(増分比較)して表示することができる。
【0057】
図7(d)は、ROI設定部34の動作を説明するものである。例えば、ユーザが予め病変部位を概ね認識している場合、或いは明らかに病変部位ではないと明晰に断定できる場合は、ROI設定部34によって、比較画像の中の関心領域のみを表示部22に表示するように設定することができる。
【0058】
図7(d)の例では、ROI設定部34によって関心領域61を設定し、比較画像の中の関心領域内の画像のみを表示した例を示している。関心領域61の設定は、図6の比較画像(c)に適用しても良いことは言うまでもない。
【0059】
尚、診断用画像51のコマ数をnとすると、比較用画像52のコマ数はn−1となる。診断用画像51の表示エリアと比較用画像52の表示エリアは、同期しながら表示され、一定間隔毎に、画像が切り替わるため、診断用画像51と比較用画像52は、あたかも動画のように連続して表示することができる。
【0060】
したがって、ユーザは、複数コマで動画表示される診断用画像51もしくは比較用画像52を観察して、何らかの異常を発見したときに、停止ボタンを押すことで、その異常画像の周辺(前後)の診断画像と、比較画像を一度に観察することができ、効率的に観察作業を行うことができる。
【0061】
また診断用画像51又は比較用画像52のいずれかを詳細に観察したい場合は、カーソル44で指定しマウス211をクリックすることで、指定した画像を拡大して表示することができる。
【実施例2】
【0062】
図8,図9は本発明の医用画像表示装置の他の実施形態を説明するものであり、診断用画像51と比較用画像52の他の表示例を示したものである。
【0063】
図8の例では、選択した画像データを先頭ページ及び中間ページから同時に多画面表示する例を示している。例えば画像データのトータル枚数が1000枚ある場合に、1枚目から500枚目と、500枚から1000枚目のように、複数の区域に分けて、各区域での画像データをもとに、診断用画像511と比較画像521、及び診断用画像512と比較画像522を同時に表示する。これにより、多数の画像データを複数に区分して同時に多画面表示できるため、診断効率を上げることができる。
【0064】
図9の例では、選択した画像データを先頭ページ及び最終ページから同時に多画面表示する例を示している。例えば画像データのトータル枚数が1000枚ある場合に、一方の画面(診断用画像513と比較画像523)には1枚目から順次に表示し、他方の画面(診断用画像514と比較画像524)には1000枚目から遡って順次に表示する。
【0065】
この例では、一方の画面には先頭ページから右方向に順次スクロール表示(又は一括コマ送り表示)し、他方の画面には最終ページから左方向に順次スクロール表示(又は一括コマ送り表示)するようにしている。
【0066】
このように本発明では、診断用画像51をそれぞれ複数コマで表示するとともに、順次にスクロール表示、又は一括コマ送り表示することにより、連続した画像データを観察することができる。また比較用画像52を並べて表示することで病変部の確認が容易になる。
【0067】
また、表示間隔を指定することにより、多数の画像データの中から所定の間隔毎に選択した画像データを順次に取り込むことができるため、全画像データを観る必要が無い場合は、観察の効率をあげることができる。
【0068】
また、表示速度を設定することにより、コマ送りの速度を変えることができるため、ユーザの観察能力に合わせた速度で観察することができる。しかも必要に応じてコマ送りの停止や、早送り、戻し処理も可能であるため、患部の見落としを低減することができる。
【0069】
尚、以上の説明では、画像診断装置としてX線CT装置やMRI装置を例に説明したが、X線検査装置、超音波診断装置、核医学診断装置などを用いることもできる。また、画像取込部27は医用画像サーバ13に保管された画像データを直接取り込む例を述べたが、医用画像サーバ13に保管された画像データから必要な画像データを読み出し、画像観察端末20内の記憶手段、例えば記憶部26に一旦記憶し、記憶部26に記憶した画像データを画像取込部27に取り込むようにしても良い。
【0070】
また、本発明の別の実施形態としては、画像診断装置10内(又は11内)に、画像観察端末20の機能を組み込むことにより、図3と同様の表示処理を可能にした医用画像診断装置を提供することもできる。
【0071】
さらに以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態の医用画像表示装置の構成を示す全体構成図。
【図2】同実施形態での画像データの取り込み処理の動作を説明する説明図。
【図3】同実施形態での表示設定部及び比較設定部の動作を説明する説明図。
【図4】同実施形態での診断用画像の表示処理の一例を説明する説明図。
【図5】同実施形態での診断用画像の表示処理の他の例を説明する説明図。
【図6】同実施形態での比較用画像の生成処理の一例を説明する説明図。
【図7】同実施形態での比較用画像の生成処理の他の例を説明する説明図。
【図8】本発明の医用画像表示装置の他の実施形態での表示例を説明する説明図。
【図9】他の実施形態での別の表示例を説明する説明図。
【符号の説明】
【0073】
10、11…画像診断装置
12…ネットワーク
13…医用画像サーバ
20…画像観察端末
21…入力部
22…表示部
23…ネットワーク・インターフェース
24…バスライン
25…CPU
26…記憶部
27…画像取込部
28…画像処理部
29…比較処理部
30…比較画像生成部
31…範囲設定部
32…表示設定部
33…比較設定部
34…ROI設定部
35…重畳部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像診断装置によって生成した画像データが記憶された記憶媒体から、所定の画像データ群を取り込む画像取込部と、
前記画像取込部で取り込んだ画像データ群の中から所定範囲内の画像データを選択する範囲設定部と、
前記範囲設定部によって選択された範囲内にある画像データを時空間的に連続する複数の画像データ毎に区分して処理し、複数コマの画像データで構成された診断用画像データを順次にコマ送りして出力する画像処理部と、
前記画像処理部から出力された前記複数コマの診断用画像データを表示する表示部と、を具備したことを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記選択された範囲内の画像データを所定の間隔毎に抽出して処理することを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記選択された範囲内の画像データをユーザが設定した抽出間隔で抽出することを特徴とする請求項2に記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記選択された範囲内の画像データをユーザによって設定された方向に抽出処理し、前記診断用画像データを前記設定された方向にコマ送りして出力することを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、ユーザの指示によって前記コマ送りを停止可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、ユーザによって設定された時間間隔で前記コマ送りを行うことを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、前記選択された範囲内にある画像データを複数コマに区分して処理し、前記複数コマの診断用画像データの内、所定のコマ数の画像データを所定の時間間隔ごとに順次更新しながら前記表示部に供給し、前記表示部にスクロール表示することを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記選択された範囲内にある画像データを複数コマに区分して処理し、前記複数コマの診断用画像データを一括して所定の時間間隔ごとに更新しながら前記表示部に供給し、前記表示部に一括コマ送り表示することを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項9】
前記画像処理部は、前記選択された範囲内の画像データを複数の区域に分け、各区域の画像データを同時に処理してそれぞれ複数コマの画像データで構成された診断用画像データを順次にコマ送りして出力し、前記表示部に前記診断用画像データを多画面表示することを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項10】
前記画像処理部は、前記複数の区域の画像データをそれぞれ先頭ページから最終ページの方向又は最終ページから先頭ページの方向に抽出して処理し、前記表示部に所定の方向にコマ送りされる前記診断用画像データを多画面表示することを特徴とする請求項9に記載の医用画像表示装置。
【請求項11】
画像診断装置によって生成した画像データが記憶された記憶媒体から、所定の画像データ群を取り込む画像取込部と、
前記画像取込部で取り込んだ画像データ群の所定範囲内の画像データを選択する範囲設定部と、
前記範囲設定部によって選択された範囲内にある画像データを時空間的に連続する複数の画像データ毎に区分して処理し、複数コマの診断用画像データを順次にコマ送りして出力する画像処理部と、
前記診断用画像データの内、時間的に前後する2つのコマの画像データ同士をそれぞれ比較し、複数コマの比較用画像データを順次にコマ送りして出力する比較画像生成部と、
前記画像処理部から出力された診断用画像データと、前記比較画像生成部から出力された比較用画像データを重畳して表示する表示部と、を具備したことを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項12】
前記表示部は、前記診断用画像データの近傍に前記比較用画像データを並べて表示することを特徴とする請求項11記載の医用画像表示装置。
【請求項13】
前記比較画像生成部は、時間的に前後する2つのコマの画像データ同士をそれぞれ比較し、その差分データに基いて前記比較用画像データを出力することを特徴とする請求項11記載の医用画像表示装置。
【請求項14】
前記比較画像生成部は、時間的に前後する2つのコマの画像データ同士をそれぞれ所定の比率で合成し、その増分データに基いて前記比較用画像データを出力することを特徴とする請求項11記載の医用画像表示装置。
【請求項15】
前記比較画像生成部は、ユーザによって設定された比較方法に基いて比較処理を行い、前記比較用画像データを出力することを特徴とする請求項11記載の医用画像表示装置。
【請求項16】
前記比較画像生成部は、前記比較用画像データの内、ユーザによって設定された関心領域内の前記比較用画像データを出力することを特徴とする請求項11記載の医用画像表示装置。
【請求項17】
画像診断装置によって生成した画像データを記憶媒体に記憶し、
前記記憶媒体に記憶された所定の画像データ群を画像取込部に取り込み、
前記画像取込部に取り込んだ画像データ群の中から所定範囲内の画像データを選択し、
前記選択された範囲内にある画像データを時空間的に連続する複数の画像データ毎に区分して処理し、複数コマの診断用画像データを順次にコマ送りして出力し、
前記コマ送りで出力された前記複数コマの診断画像データを表示部に表示することを特徴とする医用画像表示方法。
【請求項18】
前記診断用画像データの内、時間的に前後する2つのコマの画像データ同士をそれぞれ比較して複数コマの比較用画像データを順次にコマ送りして前記表示部に出力し、
前記診断用画像データの近傍に前記比較用画像データを並べて表示することを特徴とする請求項17記載の医用画像表示方法。
【請求項19】
被検体を撮影して画像データを取得する撮影部と、
前記撮影部によって取得した複数の画像データから、所定の画像データ群を取り込む画像取込部と、
前記画像取込部で取り込んだ画像データ群の中から所定範囲内の画像データを選択する範囲設定部と、
前記範囲設定部によって選択された範囲内にある画像データを時空間的に連続する複数の画像データ毎に区分して処理し、複数コマの画像データで構成された診断用画像データを順次にコマ送りして出力する画像処理部と、
前記画像処理部から出力された前記複数コマの診断用画像データを表示する表示部と、を具備したことを特徴とする医用画像診断装置。
【請求項20】
前記診断用画像データの内、時間的に前後する2つのコマの画像データ同士をそれぞれ比較し、複数コマの比較用画像データを順次にコマ送りして出力する比較画像生成部と、
前記画像処理部から出力された診断用画像データと、前記比較画像生成部から出力された比較用画像データを前記診断用画像データに重畳する重畳部、を具備したことを特徴とする請求項19記載の医用画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−220765(P2008−220765A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65462(P2007−65462)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】