説明

医用診断支援装置及びその制御方法、並びに、プログラム

【課題】 読影時の作業負荷を軽減するとともに、症例ごとに種々の特性を示す画像が読影対象になる場合でも、適切な階調処理が施された画像を提示する仕組みを提供する。
【解決手段】 症例データベース150には、医用画像に係る過去症例の症例データと、疾患状態の観察のために適切に施された階調設定に係る階調設定情報および診断により得られた疾患情報とが関連付けられて蓄積されている。CPU111は、疾患情報の種類ごとに、認識処理した読影対象症例と過去症例との類似度を判定し、また、疾患情報の種類ごとに、判定した類似度に基づき階調設定情報を用いて読影対象症例を階調処理して、階調処理画像を生成する。そして、CPU111は、読影対象症例における疾患情報の確度を算出し、算出した確度に応じて、生成した階調処理画像を提示する処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像を用いた医用診断を支援する医用診断支援装置及びその制御方法、並びに、当該制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において、医師は、患者を撮影して得られた医用画像をモニタに表示し、表示された医用画像を読影して、患者の疾患部位の状態やその経時変化を観察する。この種の医用画像を生成する装置としては、例えば、CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波装置(US;Ultrasound System)等が挙げられる。
【0003】
このような医師の読影に対する負担軽減を目的として、医用画像をデジタル化して画像解析することによって疾患部位等を自動的に検出して、コンピュータ支援診断を行う医用画像処理装置が開発されている。以下、コンピュータ支援診断を、CAD(Computer−Aided Diagnosis)と称する。
【0004】
このようなCADでは、自動的に異常陰影候補を疾患部位として検出する。この異常陰影の検出処理では、放射線画像である医用画像の画像データをコンピュータ処理することにより、癌等を表す異常な腫留陰影や高濃度の微小石灰化陰影等を検出する。そして、この検出結果を提示することにより、医師の読影に対する負荷を軽減し、また、読影結果の精度を向上させることができる。
【0005】
また、CAD技術の中には、検出された異常陰影候補から、良悪性や疾患の種類を自動診断する技術も開発されている。これを実現する一手法として、例えば、下記の非特許文献1には、ベイジアンネットワークを用いて、マンモグラフィにおける乳癌の悪性度を推定する手法が紹介されている。ここで、ベイジアンネットワークは、不確実な事象間の定性的な依存関係をグラフによって表し、個々の事象間の定量的な関係を条件付確率表で表した確率モデルである。このモデルに対して、医用画像の解析データや患者の属性・検査結果などの臨床データといった、診断前に観測可能な事象を入力することで、乳癌の悪性度のような診断前に未観測である事象の確率分布を計算することができる。
【0006】
医師は、自ら発見した、もしくはこのようなCADシステムが自動検出(或いは自動鑑別)した疾患部位を、詳細観察した後、最終的な画像所見を確定する。そして、医師は、必要に応じて疾患部位の画像をキャプチャして、疾患の参照画像として読影レポートに添付する。
【0007】
ここで、疾患部位を詳細観察する或いは読影レポートに疾患部位の画像を添付する際には、画像を疾患状態の観察に適した階調に調節する必要があり、この作業を手動で行うことは医師にとって負荷になる。したがって、コンピュータが自動的に適切な階調処理を行うことができれば、医師の負荷を軽減することができる。特に、CADが疾患部位を発見した場合に適用すれば、疾患の発見から読影レポートへの提示まで、医師の手を挟まずに全て自動化することができる。
【0008】
このような画像の適切な階調調節を実現する技術として、例えば、下記の特許文献1では、マンモグラフィを表示させる際に、疾患の特性を考慮したコントラスト補正処理を行う技術が用いられている。具体的に、特許文献1では、コントラストが小さくなりやすい乳腺や腫瘤の低濃度領域の濃度を拡大し、逆に微小石灰化クラスタの画像が存在する可能性が少ない脂肪量域の濃度階調を圧縮するように補正を行う処理を行うようにしている。
【0009】
また、下記の特許文献2では、医用画像上の関心部位に関連する関心画素を自動抽出し、抽出した関心画素群の濃度値の分布状況を考慮して、階調変換を行う技術が紹介されている。
【0010】
さらに、下記の特許文献3では、予め適切な階調処理が行われた画像データを知識ベースとして蓄積しておき、そこから選定した、画像の統計データが最も類似する画像の階調設定に基づいて、処理対象画像の階調処理を行う技術が紹介されている。
【0011】
【特許文献1】特開2004−283410号公報
【特許文献2】特開平9−94243号公報
【特許文献3】特開2004−54751号公報
【非特許文献1】Burnside ES, Rubin DL, Fine JP, Shachter RD, Sisney GA, Leung WK, "Bayesian network to predict breast cancer risk of mammographic microcalcifications and reduce number of benign biopsy results: initial experience", Radiology. 2006 Sep;240(3):666-73.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、疾患の一般的な特性は考慮されるが、どのような症例に対しても画一的な処理が行われるため、同種の疾患における症例ごとの特性の違いに応じた適切な処理が行われない。したがって、症例ごとの特性の違いを考慮した階調処理を行う必要がある。
【0013】
また、特許文献2及び特許文献3に記載の技術では、両者とも単に画像を解析したデータに基づいて階調処理を行うのみであるので、画像に関する症例ごとの特性は考慮されるが、疾患の特性を考慮した処理は行われない。したがって、画像上の見え方は似ていても特性の異なる疾患が複数考えられ、それによって適切な階調設定が異なる症例の場合、必ずしも適切な処理が行われた画像が提示されるとは限らない。このような場合においても、医師が所望する疾患の特性に応じた階調処理が行われた画像が、確実に提示される必要がある。
【0014】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、読影時の作業負荷を軽減するとともに、症例ごとに種々の特性を示す画像が読影対象になる場合でも、適切な階調処理が施された画像を提示する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の医用診断支援装置は、医用画像を用いた医用診断を支援する医用診断支援装置であって、疾患の診断が下された、前記医用画像を含む過去症例を対象として、前記過去症例の症例データと、疾患状態の観察のために適切に施された階調設定に係る階調設定情報および前記診断により得られた疾患情報とを関連付けて蓄積する過去症例蓄積手段と、前記医用画像を含む読影対象症例の症例データを認識する処理を行う読影対象症例認識手段と、前記疾患情報の種類ごとに、前記読影対象症例の症例データと前記過去症例の症例データとを比較して、前記読影対象症例と前記過去症例との類似度を判定する類似度判定手段と、前記疾患情報の種類ごとに、前記類似度判定手段で判定された類似度に基づき前記階調設定情報を用いて前記読影対象症例を階調処理して、階調処理画像を生成する階調処理画像生成手段と、前記読影対象症例における疾患情報の確度を算出する確度算出手段と、前記確度算出手段で算出された確度に応じて、前記階調処理画像生成手段で生成された階調処理画像を提示する処理を行う階調処理画像提示手段とを有する。
【0016】
本発明の医用診断支援装置の制御方法は、医用画像を用いた医用診断を支援する医用診断支援装置の制御方法であって、疾患の診断が下された、前記医用画像を含む過去症例を対象として、前記過去症例の症例データと、疾患状態の観察のために適切に施された階調設定に係る階調設定情報および前記診断により得られた疾患情報とを関連付けて蓄積する過去症例蓄積ステップと、前記医用画像を含む読影対象症例の症例データを認識する処理を行う読影対象症例認識ステップと、前記疾患情報の種類ごとに、前記読影対象症例の症例データと前記過去症例の症例データとを比較して、前記読影対象症例と前記過去症例との類似度を判定する類似度判定ステップと、前記疾患情報の種類ごとに、前記類似度判定ステップで判定された類似度に基づき前記階調設定情報を用いて前記読影対象症例を階調処理して、階調処理画像を生成する階調処理画像生成ステップと、前記読影対象症例における疾患情報の確度を算出する確度算出ステップと、前記確度算出ステップで算出された確度に応じて、前記階調処理画像生成ステップで生成された階調処理画像を提示する処理を行う階調処理画像提示ステップとを有する。
【0017】
本発明のプログラムは、医用画像を用いた医用診断を支援する医用診断支援装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、疾患の診断が下された、前記医用画像を含む過去症例を対象として、前記過去症例の症例データと、疾患状態の観察のために適切に施された階調設定に係る階調設定情報および前記診断により得られた疾患情報とを関連付けて蓄積する過去症例蓄積ステップと、前記医用画像を含む読影対象症例の症例データを認識する処理を行う読影対象症例認識ステップと、前記疾患情報の種類ごとに、前記読影対象症例の症例データと前記過去症例の症例データとを比較して、前記読影対象症例と前記過去症例との類似度を判定する類似度判定ステップと、前記疾患情報の種類ごとに、前記類似度判定ステップで判定された類似度に基づき前記階調設定情報を用いて前記読影対象症例を階調処理して、階調処理画像を生成する階調処理画像生成ステップと、前記読影対象症例における疾患情報の確度を算出する確度算出ステップと、前記確度算出ステップで算出された確度に応じて、前記階調処理画像生成ステップで生成された階調処理画像を提示する処理を行う階調処理画像提示ステップとをコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、読影時の作業負荷を軽減するとともに、症例ごとに種々の特性を示す画像が読影対象になる場合でも、適切な階調処理が施された画像を提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態(実施形態)について説明する。なお、以下に示す実施形態は、一例に過ぎず、本発明は、図示された構成等に限定されるものではない。
【0020】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る医用診断支援システムの概略構成の一例を示す模式図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る医用診断支援システムは、医用診断支援装置100と、医用画像撮影装置200と、医用画像データベース300と、医用文書データベース400と、ローカルエリアネットワーク(LAN)500を有して構成されている。即ち、図1に示す医用診断支援システムは、医用診断支援装置100が、LAN500を介して、医用画像撮影装置200、医用画像データベース300及び医用文書データベース400に接続される構成となっている。
【0022】
医用診断支援装置100は、医用画像を用いた医用診断を支援する装置であり、制御部110と、モニタ120と、マウス130と、キーボード140と、症例データベース150を有して構成されている。
【0023】
制御部110は、医用診断支援装置100の動作を制御するものであり、中央処理装置(CPU)111と、主メモリ112と、磁気ディスク113と、表示メモリ114と、バス115を有して構成されている。そして、CPU111が、例えば主メモリ112に格納されたプログラムを実行することにより、医用画像撮影装置200や医用画像データベース300、医用文書データベース400との通信、医用診断支援装置100の全体の制御等の各種制御が実行される。
【0024】
CPU111は、主として、医用診断支援装置100の各構成要素の動作を制御して、医用診断支援装置100の動作を統括的に制御する。
【0025】
主メモリ112は、CPU111が実行する制御プログラムを格納したり、CPU111によるプログラムの実行時の作業領域を提供したりする。
【0026】
磁気ディスク113は、オペレーティングシステム(OS)や、周辺機器のデバイスドライバ、各種のアプリケーションソフト等を記憶(格納)する。
【0027】
表示メモリ114は、モニタ120に表示するための表示用データを一時記憶する。
【0028】
バス115は、医用診断支援装置100の各構成要素を相互に通信可能に接続するとともに、当該医用診断支援装置100とLAN500を通信可能に接続する。
【0029】
モニタ120は、例えばCRTモニタや液晶モニタ等で構成されており、CPU111の制御に従って、表示メモリ114の表示用データに基づく画像等を表示する。
【0030】
マウス130及びキーボード140は、それぞれ、ユーザによるポインティング入力及び文字等の入力を行うためのものである。
【0031】
症例データベース150には、疾患の診断が下された過去症例の症例データとともに、疾患状態の観察のために適切に施された階調設定情報と、診断により得られた疾患情報とが当該症例データに関連付けられて蓄積されている。
【0032】
本実施形態の医用診断支援装置100は、LAN500を介して、医用画像データベース300から様々な種類の医用画像データを読み出すことができる。なお、例えば、医用診断支援装置100に外部記憶装置、例えばFDD、CD−RWドライブ、MOドライブ、ZIPドライブ等を接続し、それらのドライブから医用画像データを読み込むようにしてもよい。また、LAN500を経由して、医用画像撮影装置200から直接に医用画像データを取得してもよい。
【0033】
同様に、医用診断支援装置100は、LAN500を介して、医用文書データベース400から医用文書データを読み出すことができる。なお、例えば、医用診断支援装置100に外部記憶装置、例えばFDD、CD−RWドライブ、MOドライブ、ZIPドライブ等を接続し、それらのドライブから医用文書データを読み込むようにしてもよい。また、具体的に、医用文書データベース400に格納されている医用文書データは、例えば、撮影対象の被写体である患者の電子カルテや読影レポート等が該当する。
【0034】
さらに、医用診断支援装置100は、医用画像撮影装置200や医用画像データベース300、そして医用文書データベース400から読み出したデータ或いはそれを解析した結果を、症例データベース150に記憶(格納)することができる。ここで、解析した結果としては、例えば、画像データを解析した画像統計データや、電子カルテに記載された患者の年齢や性別などの各項目の情報を格納できる。
【0035】
医用画像撮影装置200は、撮影対象の被写体である患者を撮影して、当該患者に係る医用画像データを取得するものである。医用画像撮影装置200は、撮影対象の被写体である患者の撮影を行う際、例えば、医用診断支援装置100のCPU111の制御に従って行うことができる。医用画像撮影装置200において取得された医用画像データは、必要に応じて、LAN500を介して医用画像データベース300に記憶(格納)される。例えば、医用画像撮影装置200としては、X線CT装置、MRI装置、US装置、X線装置、核医学装置などが挙げられる。
【0036】
医用画像データベース300は、例えば医用画像撮影装置200による撮影により得られた医用画像データを格納する。医用診断支援装置100は、LAN500を介して医用画像データベース300に接続され、そこから必要な医用画像データを取得する。
【0037】
医用文書データベース400は、診断支援処理に必要な情報を含む医用文書データを格納する。医用診断支援装置100は、LAN500を介して医用文書データベース400に接続され、そこから必要な医用文書データを取得する。
【0038】
LAN500は、医用診断支援装置100と、医用画像撮影装置200、医用画像データベース300及び医用文書データベース400とを通信可能に接続するものである。
【0039】
次に、第1の実施形態に係る医用診断支援装置100の制御方法における処理手順について説明する。
【0040】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る医用診断支援装置100の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。具体的に、図2に示すフローチャートは、CPU111が主メモリ112に格納されているプログラムを実行することにより実現される。
【0041】
また、以下の処理において、ユーザ(医師)は、マウス130やキーボード140を操作することで、医用診断支援装置100に様々なコマンド(指示・命令)を入力する。また、以下の処理において、CPU111が実行するプログラムの実行状況や実行結果は、必要に応じてモニタ120に表示される。そして、ユーザ(医師)は、このモニタ120に表示される情報を見ながら指示を行うことになる。
【0042】
まず、図2のステップS101において、CPU111は、ユーザによるマウス130やキーボード140を用いたコマンド入力に従って、所望の医用検査データとして、検査対象の患者の医用画像データ及び医用文書データの読み込みを行う。具体的に、CPU111は、検査対象の患者の医用画像データを医用画像データベース300から入力するとともに、検査対象の患者の医用文書データを医用文書データベース400から入力する処理を行う。なお、CPU111は、医用診断支援装置100に接続された記憶装置、例えばFDD、CD−RWドライブ、MOドライブ、ZIPドライブ等の各種の記憶媒体からこれらのデータを入力するようにしてもよい。
【0043】
以下、ステップS101で入力された所望の医用検査データを「読影対象症例」と呼び、そのうちの医用画像データを「読影対象画像データ」と呼ぶことにする。また、CPU111は、医用文書データとして、画像を読影する対象(検査対象)となる患者(以下、「読影対象患者」と呼ぶことにする)の電子カルテを入力する。
【0044】
続いて、ステップS102において、CPU111は、ステップS101で医用診断支援装置100に入力された読影対象画像データに基づく読影対象画像(医用画像)をモニタ120に表示する処理を行う。
【0045】
その後、モニタ120に表示された読影対象画像上でユーザ(医師)が疾患部位を発見した後、ユーザ(医師)によって疾患部位領域が指定されると、続いて、ステップS103において、CPU111は、当該疾患部位領域の認識処理を行う。ここで、この認識処理を「読影対象症例認識処理」と呼ぶことにする。具体的には、医師がモニタ120に表示された読影対象画像上でマウス130を用いて疾患部位を充分に含む領域を囲むと、CPU111は、その領域を疾患部ROI(Region of Interest:関心領域)として認識する方法が挙げられる。その後、CPU111は、認識処理結果である疾患部ROIの画像データを主メモリ112に読み込む処理を行う。
【0046】
続いて、ステップS104において、CPU111は、ステップS103で主メモリ112に読み込んだ疾患部ROIの画像データを解析して、画像統計データの抽出処理を行う。具体的には、CPU111は、疾患部ROIの画像データから疾患部位の境界をセグメンテーションした後に、画像統計データとして、例えば疾患部位の形状特徴量や濃度分布の特徴量、テクスチャパターンの特徴量を抽出する。その後、CPU111は、抽出した画像統計データを主メモリ112に読み込む処理を行う。
【0047】
また、ステップS101の処理が終了すると、続いて、ステップS105において、CPU111は、ステップS101で入力された読影対象患者の医用文書データ(電子カルテ)から、臨床データの抽出処理を行う。ここでは、臨床データとして、例えば、読影対象患者の年齢、性別、既往歴、喫煙歴、腫瘍/炎症マーカーなどのデータを、医用文書データである電子カルテから抽出する。その後、CPU111は、抽出した臨床データを主メモリ112に読み込む処理を行う。
【0048】
ステップS104、ステップS105の処理が終了すると、ステップS106に進む。
ステップS106に進むと、CPU111は、症例データベース150内に格納された疾患情報に対して、最初の処理対象となる疾患情報を設定する処理を行う。ここでは、疾患情報を特定するための疾患番号をi(最初の処理の場合にはi=1)、症例データベース150内の疾患情報の種類数をnとして設定する。
【0049】
このとき、本実施形態における疾患情報は、疾患の種類とその存在位置との組合せで表される。これは、疾患の種類だけではなく、その存在位置によっても、適切な階調設定が異なることがあるためである。肺野内の「びまん性肺疾患」を例にとると、陰影が肺野の中心部分に分布する場合は、肺野内部を観察し易い階調設定にする必要があるが、陰影が肺野の辺縁部分に分布する場合は、肺野と肺野周辺の構造の両方を観察し易い階調設定にする必要がある。
【0050】
図3は、図2のステップS106で用いられる疾患情報のリストの一例を示す模式図である。図3には、疾患の種類とその存在位置によって表現された疾患情報のリストが示されている。そして、症例データベース150には、疾患情報が、図3に示すリストのように格納されているものとする。本処理では、疾患情報の種類の合計(種類数)をnとしたとき、処理対象の疾患情報IDを疾患番号iとし、最初の疾患番号として、i=1を設定する。
【0051】
続いて、ステップS107において、CPU111は、症例データベース150から、ステップS106で設定した疾患番号iと疾患情報が合致する過去症例群を選定する処理を行う。具体的には、症例データベース150内に格納された多数の過去症例の症例データ(過去症例データ)の中から、疾患情報の項目が疾患番号iに合致する過去症例データの症例を選定(選択)する処理を行う。
【0052】
説明は前後するが、CPU111は、症例データベース150に、予め過去の診断により疾患名が確定した症例(過去症例)を蓄積する処理を行っている。また、この処理を「過去症例蓄積処理」と呼ぶことにする。ここで、図4のフローチャートを用いて、CPU111が事前に過去症例を蓄積する処理を詳しく説明する。
【0053】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る医用診断支援装置100において、症例データベース150に過去症例を蓄積する過去症例蓄積処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。具体的に、図4に示すフローチャートは、CPU111が主メモリ112に格納されているプログラムを実行することにより実現される。なお、以下の説明において、図2のフローチャートと同様の処理を行っているステップについては、図2のどのステップと同様であるかを述べ、その詳細な説明は省略する。
【0054】
図4において、ステップS201からステップS205までの処理は、それぞれ、図2のステップS101からステップS105までの処理と同様の処理を行う。
【0055】
その後、ユーザ(医師)が疾患部位の詳細観察を行い、読影レポートに参照画像として疾患部位が写ったスライス画像を添付する際に適切に階調設定を行うと、続いて、ステップS206において、CPU111は、当該階調設定情報の認識処理を行う。具体的には、画像に対して調節したウィンドウ幅(Window Width;以下、これを「WW」とする)及びウィンドウレベル(Window Level;以下、これを「WL」とする)の2つの値を認識する。その後、CPU111は、認識処理結果である階調設定情報を主メモリ112に読み込む処理を行う。
【0056】
続いて、ステップS207において、CPU111は、ユーザ(医師)が診断の結果下した疾患情報を認識する処理を行う。具体的には、画像診断における疾患の所感(Impression)の項目、及び、疾患の位置情報の項目を疾患情報として認識する。これらの情報(疾患情報)は、医師が読影時に専用の入力フォームに入力した情報を認識する形態でもよいし、作成された読影レポートから情報を抽出して認識する形態でもよい。但し、画像診断において疾患の確定診断が下されない場合は、後ほど、生検の結果などにより確定診断が下された段階で、医用文書データベース400から該当する患者の電子カルテを取得することにより、疾患情報を抽出して認識を行う。
【0057】
ステップS208において、CPU111は、ステップS204及びS205で抽出したデータと、ステップS206及びS207で認識した情報とを関連付けて、症例データベース150に格納する処理を行う。ここで、ステップS204で抽出した画像統計データと、ステップS205で抽出した臨床データとを合わせて、その症例に関する症例データとする。そして、ステップS208では、ステップS206で認識した画像の階調設定情報と、ステップS207において認識した疾患情報とを、症例データと関連付けて、症例データベース150に格納する。
【0058】
図5は、本発明の第1の実施形態を示し、1つの症例に関して、階調設定情報及び疾患情報と、症例データ(画像統計データ及び臨床データ)とを関連付けて症例データベース150に格納したときのデータ項目の一例を示す模式図である。
図5には、図5に示す1つの症例を特定するための症例IDが設定されており、当該1つの症例に関して、階調設定情報、疾患情報、症例データ(画像統計データ及び臨床データ)が設定されている。そして、図5には、階調設定情報、疾患情報、症例データ(画像統計データ及び臨床データ)ごとに、データ項目及びデータ内容の一例が示されている。
【0059】
以上のステップS201からステップS208までの処理を経ることにより、症例データベース150に、過去症例データが、階調設定情報及び疾患情報と関連付けられて格納される。
【0060】
ここで、再び、図2の説明に戻る。
そして、図2のステップS107では、具体的に、図4に示すような方法で過去症例データ等が格納された症例データベース150から、疾患番号iと疾患情報のデータ項目(疾患情報ID)が合致する過去症例の症例IDを全て選択する。
【0061】
続いて、ステップS108において、CPU111は、読影対象症例と、ステップS107で選択した疾患番号iに属する全ての過去症例に関して、症例データを比較して、読影対象症例に対する過去症例の類似度を判定する処理を行う。
【0062】
ここで、図6のフローチャートを用いて、CPU111が読影対象症例に対する過去症例の類似度を判定する処理(即ち、図2のステップS108の処理)を詳しく説明する。
【0063】
図6は、図2のステップS108における類似度判定処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0064】
まず、図2のステップS108の処理が開始されると、図6のステップS301において、CPU111は、図2のステップS107で選択した過去症例の中から、最初の処理対象となる過去症例を設定する処理を行う。具体的に、本処理では、選択された過去症例の総数をmと設定し、処理対象の過去症例の症例IDを症例番号j(最初の処理の場合にはj=1)として設定する。
【0065】
続いて、ステップS302において、CPU111は、読影対象症例の症例データと、症例番号jの過去症例の症例データとを比較する処理を行う。ここで、比較する症例データは、具体的には、疾患部位領域から抽出した画像解析データ及び電子カルテから取得した臨床データである。また、比較の方法として、具体的には、画像解析データ及び臨床データを特徴量とする特徴空間を構築し、それぞれのデータを特徴空間における特徴点にマッピングして空間的な位置関係を比較する。
【0066】
続いて、ステップS303において、CPU111は、ステップS302の比較結果に基づいて、読影対象症例に対する症例番号jの過去症例の類似度を算出して判定を行う。具体的には、ステップS302で特徴空間にマッピングされた読影対象症例の症例データを表す特徴点と、症例番号jの過去症例の症例データを表す特徴点に関して、ユークリッド距離を求めることで、類似度を算出する。
【0067】
続いて、ステップS304において、CPU111は、処理対象の過去症例を示す症例番号jの値を1増加させる処理を行う。
【0068】
続いて、ステップS305において、CPU111は、現在の症例番号jと、選択された過去症例の総数mとを比較し、現在の症例番号jが、選択された過去症例の総数m以下であるか否かを判断する。
【0069】
ステップS305の判断の結果、現在の症例番号jが、選択された過去症例の総数m以下である場合には(S305/YES)、ステップS302に戻り、ステップS302以降の処理を再度行う。
【0070】
一方、ステップS305の判断の結果、現在の症例番号jが、選択された過去症例の総数m以下でない場合には(S305/NO)、図6に示すフローチャートの処理を終了する。
【0071】
以上のステップS301からステップS305の処理を経ることにより、図2のステップS108における過去症例ごとの類似度の判定処理が行われる。
【0072】
ここで、再び、図2の説明に戻る。
ステップS108の処理が終了すると、続いて、ステップS109において、CPU111は、ステップS108で判定した過去症例ごとの類似度に基づき、類似度が高い過去症例を選定し、その過去症例に関する階調設定情報を取得する処理を行う。具体的には、選定された類似度が高い過去症例における階調設定情報を症例データベース150から取得する。
【0073】
このとき、類似度が最も高い過去症例を選定する方法の他にも、例えば、類似度が高い順に複数の過去症例を選択し、それぞれの階調設定情報を取得する方法も適用可能である。また、選択された過去症例において適切な階調設定が複数与えられている場合がある。例えば、「腫瘍性の疾患」の場合は、腫瘍内部の解剖構造を観察しやすいように、WWの値を軟部組織の濃度に絞り込んだ階調設定と、疾患部位の辺縁の解剖構造を観察しやすいように、WWの値を広く取った階調設定とが与えられている場合が考えられる。この場合は、その過去症例に設定されている個数だけ階調設定情報を取得する。
【0074】
続いて、ステップS110において、CPU111は、ステップS109で取得した類似過去症例の階調設定情報に基づいて、読影対象画像データに対して階調処理を行って、階調処理画像データを生成する処理を行う。これを、「階調処理画像生成処理」と呼ぶことにする。本実施形態では、階調処理画像生成処理の際に、類似過去症例の階調設定情報を、読影対象画像データにおける階調設定情報として直接適用する。また、ステップS110では、ステップS109で取得した階調設定情報の個数だけ、読影対象画像データの階調処理を行った階調処理画像データの生成を行う。
【0075】
続いて、ステップS111において、CPU111は、処理対象の疾患情報を示す疾患番号iの値を1増加させる処理を行う。
【0076】
続いて、ステップS112において、CPU111は、現在の疾患番号iと、ステップS106で設定された疾患情報の種類数nとを比較し、現在の疾患番号iが、疾患情報の種類数n以下であるか否かを判断する。
【0077】
ステップS112の判断の結果、現在の疾患番号iが、疾患情報の種類数n以下である場合には(S112/YES)、ステップS107に戻り、ステップS107以降の処理を再度行う。
【0078】
一方、ステップS112の判断の結果、現在の疾患番号iが、疾患情報の種類数n以下でない場合には(S112/NO)、ステップS113に進む。
ステップS113に進むと、CPU111は、読影対象症例に関して、疾患情報ごとに、その疾患情報であると診断され得る確度を算出する確度算出処理を行う。具体的には、ステップS108において疾患番号iに対応する疾患情報ごとに算出された過去症例の類似度の情報に基づいて、確度を算出する方法を適用する。以下に、ステップS113の確度算出処理を詳しく説明する。
【0079】
まず、疾患番号iに対応する疾患情報ごとに、類似度の高い順に過去症例をm個選択し、m個の過去症例に関する類似度の平均値(以下の(1)式に示す平均値)を算出する。但し、(1)式においてSi,jは、疾患番号iの疾患情報に属する、j番目の症例に関する類似度を表す。
【0080】
【数1】

【0081】
その後、類似度の平均値の大きさに応じて、疾患番号iに対応する疾患情報ごとに確度(以下の(2)式に示す確度)を付与する。
【0082】
【数2】

【0083】
この方法として、例えば、下記の(3)式を適用することができる。(3)式では、全ての疾患番号(合計n個)に関して、(1)式で与えられる類似度の平均値を計算してそれらの合計値を求めた後、疾患番号iに対応する類似度の平均値をこの合計値で割ることで、確度を算出している。
【0084】
【数3】

【0085】
このように、類似度の平均値が高いほど確度を高く設定しているのは、画像解析データに加え、臨床データまで含んだ症例データの類似度が高い過去症例ほど、読影対象症例と疾患情報が合致する可能性が高いためである。
【0086】
続いて、ステップS114において、CPU111は、ステップS110で疾患情報ごとに生成した階調処理画像データに基づく階調処理画像(階調処理後の読影対象画像)を、ステップS113で算出した疾患情報の確度に応じて提示する処理を行う。この処理を「階調処理画像提示処理」と呼ぶことにする。ここで、提示方法としては、具体的には、疾患部位が写った疾患部スライス画像を、疾患情報の確度が高い順にモニタ120にリスト表示する方法が挙げられる。
【0087】
図7は、図2のステップS114における、疾患情報ごとの確度に応じた階調処理画像(階調処理後の読影対象画像)の提示例を示す模式図である。
具体的に、図7は、読影対象画像である胸部CT画像において、「すりガラス陰影」を呈した症例に関して、設定した疾患情報ごとの類似過去症例に設定された階調設定に基づいて、階調処理を施した疾患部スライス画像を、確度順にリスト表示した例である。
【0088】
そして、ステップS114の処理が終了すると、図2に示すフローチャートの処理が終了する。
【0089】
以上、説明した第1の実施形態の構成によれば、読影対象画像の階調処理を自動化することで、ユーザである医師は、読影対象画像の階調を調節する手間を省くことができる。また、疾患情報ごとに類似過去症例に基づいて読影対象画像を階調処理した階調処理画像を、疾患情報の可能性が高い順に提示することで、ユーザである医師は、種々の症例に応じて所望の疾患情報に合致した階調処理画像を、確実かつ容易に選択することができる。
【0090】
<第1の実施形態の変形例1>
以下に、第1の実施形態の変形例1について説明する。
図2に示すステップS108における、読影対象症例と個々の過去症例との類似度判定処理は、次の形態を取ってもよい。
【0091】
CT画像の場合、一般的に画像データそのものは、1画素あたり12bitの階調を有している。したがって、ステップS108では、読影対象症例の症例データと過去症例の症例データとの比較において、1画素あたり12bit階調の画像データから抽出した画像統計データを比較して、その類似度を求めていることになる。
【0092】
これに対して、過去症例の階調設定情報を用いて階調処理を施した後の、読影対象症例と過去症例から画像統計データを抽出し、それらを比較して類似度を求めることもできる。このとき、階調処理後の読影対象画像は、モニタ120上で表示できるように、一般的に階調を8bitまで絞り込んだ画像であるが、これは、医師が疾患部位を閲覧しているそのままの画像である。したがって、階調処理を施した後の画像から抽出した症例データを比較することで、より医師が実際に画像を閲覧する時に近い条件で類似度を算出することができる。
【0093】
<第1の実施形態の変形例2>
以下に、第1の実施形態の変形例2について説明する。
図2に示すステップS110における、類似度の高い過去症例の階調設定情報に基づく、読影対象画像に対する階調処理は、次の形態を取ってもよい。
【0094】
一般的に、疾患の種類やその存在位置ごとに、基準値となる階調設定が存在する。したがって、予め疾患情報ごとに基準値として定められた値(「プリセット値」と呼ぶことにする)と、類似症例の階調設定情報の両方に基づいて、読影対象画像の階調処理を行う方法が挙げられる。具体的には、例えば、以下の方法が考えられる。
【0095】
該当する疾患情報における階調設定のプリセット値を、それぞれ、WW:Wp、WL:Lpとする。また、類似過去症例の階調設定を、それぞれ、WW:Ws、WL:Lsとし、さらに、類似過去症例の類似度を以下の(4)式のように設定する。
【0096】
【数4】

【0097】
このとき、両者に基づく階調設定をそれぞれ、WW:Wps、WL:Lpsとすると、これらは、それぞれ、下記の(5)式及び(6)式で求められる。
【0098】
【数5】

【0099】
(5)式及び(6)式は、両者とも、類似度Sで重み付けをして計算を行っている。これは、Sの値が大きいときは、類似過去症例の信頼度が高いため、類似過去症例の階調設定の重みを大きくし、逆にSの値が小さいときは、類似過去症例の信頼度が低いため、プリセット値の重みを大きくすることを意図したためである。
【0100】
このように、疾患情報における階調設定のプリセット値を用いることで、類似度の高い過去症例が得られない場合でも、不適切な階調処理を行うことなく、一定レベル以上の階調設定に基づく階調処理を行うことができる。
【0101】
<第1の実施形態の変形例3>
以下に、第1の実施形態の変形例3について説明する。
図2に示すステップS114における、疾患情報ごとの確度に応じた階調処理画像の提示処理は、次の形態を取ってもよい。
【0102】
階調処理後の読影対象画像(階調処理画像)の表示において、疾患情報ごとに、読影レポート上に疾患部スライス画像をリスト表示する方法が考えられる。このように、読影レポート上に階調処理後の画像を提示することで、ユーザである医師が医用画像から参照画像をキャプチャして、読影レポートに貼り付ける作業を省くことができ、作業の効率化を図ることができる。
【0103】
<第1の実施形態の変形例4>
以下に、第1の実施形態の変形例4について説明する。
図2に示すステップS114における、疾患情報ごとの確度に応じた階調処理画像の提示処理は、次の形態を取ってもよい。
【0104】
階調処理後の読影対象画像(階調処理画像)の表示において、読影に利用している医用画像表示領域上に疾患の確度の最も高い階調設定で疾患部スライス画像を表示し、別の領域上に疾患部ROI画像のみを疾患情報の確度順にリスト表示する方法が考えられる。ここで、疾患部ROI画像は、医用画像から疾患部位を切り出した画像領域の階調処理画像に相当するものである。また、上述したリスト表示は、上述した変形例3のように、読影レポート上に表示してもよい。このように、階調処理後の疾患部ROI画像のみをリスト表示することで、医師の観察したい領域は残したまま、画像の表示領域を少なくすることができる。したがって、一度に表示可能な画像の数を増やすことができる。さらに、リスト表示された複数疾患部ROI画像の中の1つをユーザである医師が選択すると、それに対応する階調処理がなされた疾患部スライス画像を医用画像表示領域上に表示する機能を加えてもよい。これにより、容易な操作により医師の所望の階調設定で画像全体を確認することが可能になる。
【0105】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
なお、第2の実施形態に係る医用診断支援システム及び医用診断支援装置100等の構成は、第1の実施形態における構成と同様の構成を採るため、図1に示す構成を用いるものとし、その説明は省略する。また、以下の説明においては、第1の実施形態と異なる部分について説明を行う。
【0106】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る医用診断支援装置100の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。具体的に、図8に示すフローチャートは、CPU111が主メモリ112に格納されているプログラムを実行することにより実現される。なお、図8において、第1の実施形態における図2のフローチャートと同様の処理を行っているステップについては、同様のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0107】
まず、図8のステップS101において、CPU111は、ユーザによるコマンド入力に従って、所望の医用検査データとして、検査対象の患者の医用画像データ及び医用文書データ(読影対象症例)の読み込みを行う。
【0108】
続いて、ステップS401において、CPU111は、ステップS101で入力された読影対象画像データから、CAD技術を利用して疾患部位領域の自動検出処理を行う。ここでは、例えば、コンピュータが疾患部位の陰影を強調する処理を行った後、疾患部位の境界領域をセグメンテーションし、その疾患部位を充分に囲む領域を疾患部ROIとして自動検出する。その後、CPU111は、自動検出結果である疾患部ROIの画像データを主メモリ112に読み込む処理を行う。
【0109】
続いて、ステップS402において、CPU111は、ステップS401で主メモリ112に読み込んだ疾患部ROIの画像データを解析して、画像統計データの抽出処理を行う。
【0110】
その後、図2に示すステップS106以降の処理と同様の処理が順次行われる。
【0111】
以上、説明した第2の実施形態の構成によれば、CAD技術を活用して読影対象画像における疾患部位の発見から、適切な読影対象画像の階調処理までを自動化することができる。これにより、ユーザである医師は、読影対象画像を最初に閲覧した段階で、適切に階調処理された疾患の画像を確認でき、診断結果として利用することができ、医師の作業負荷を低減することができる。
【0112】
<第2の実施形態の変形例>
図8に示すステップS114における、疾患情報ごとの確度に応じた階調処理画像の提示処理は、次の形態を取ってもよい。
【0113】
本実施形態では、医師が読影対象画像を閲覧する前の段階で、疾患部位の閲覧に適切な階調処理を行った階調処理画像を生成できる。そのため、CT画像などのボリューム画像を閲覧する際に、医師が疾患の特性を把握し易いように、最も確度の高い疾患情報の階調設定で医用画像を動画表示する方法が考えられる。具体的には、スライス画像を順に自動で推移させながら、疾患部位を含む画像が表示されるときに、適宜、適切な階調設定に変更して動画表示するなどの方法が考えられる。これにより、医師は、ボリューム画像の閲覧時に、自分の操作を加えずに、適切な階調設定で疾患の画像を確認することができる。
【0114】
また、本実施形態では、動画表示において、最も確度の高い疾患情報の階調設定で処理された階調処理画像を表示するが、医師が異なる疾患情報を所望していた場合を考慮して、それと同時に、疾患部ROIのみを疾患情報の確度順にリスト表示する。そして、表示されたリストの中から、所望の疾患情報の疾患部ROIが選択されると、CPU111は、動画中の階調表示が選択された設定に切り替わるように制御する。これにより、ユーザである医師は、いつでも所望の疾患情報に合致する階調設定の画像を確認することが可能になる。
【0115】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
なお、第3の実施形態に係る医用診断支援システム及び医用診断支援装置100等の構成は、第1の実施形態における構成と同様の構成を採るため、図1に示す構成を用いるものとし、その説明は省略する。また、以下の説明においては、第1の実施形態と異なる部分について説明を行う。
【0116】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る医用診断支援装置100の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。具体的に、図9に示すフローチャートは、CPU111が主メモリ112に格納されているプログラムを実行することにより実現される。なお、図9において、第1の実施形態における図2のフローチャートと同様の処理を行っているステップについては、同様のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0117】
まず、図9に示すように、本実施形態における処理では、第1の実施形態における図2のステップS101からステップS105までの処理を経る。
【0118】
続いて、ステップS501において、CPU111は、ステップS104及びステップS105で主メモリ112にそれぞれ読み込まれた、画像統計データ及び臨床データに基づいて、疾患情報の推定処理、及び、その確度の算出処理を行う。このとき、疾患情報が複数推定された場合には、それぞれの疾患情報ごとに確度の算出処理を行う。
【0119】
ここで、疾患情報の推定を行う手段の1つとして、例えば、非特許文献1に記載されているベイジアンネットワークの技術を適用することができる。これにより、予め疾患情報の推定を行うために構築されたベイジアンネットワークの推論モデル内のノードに、画像統計データ及び臨床データを入力することで、想定される疾患情報の確率を算出することができる。例えば、胸部CT画像における肺野内の「すりガラス陰影」の画像所見を示す症例から得られた、画像統計データ及び臨床データを入力した場合、同じ「すりガラス陰影」の画像所見を示す可能性のある疾患情報が出力される。具体的には、例えば、「腫瘤性の疾患(肺野中心):80%」、「サルコイドーシス(肺野中心):20%」という形式で出力されることになる。このとき、推定される疾患情報は、図3に示す疾患情報のリストの分類に従うものとする。
【0120】
その後、CPU111は、ステップS501の結果得られた情報を主メモリ112に読み込む処理を行う。
【0121】
続いて、ステップS502において、CPU111は、ステップS501で推定された疾患情報に対して、推定された個数分だけ識別番号を与えた後、最初の処理対象である疾患情報の設定処理を行う。具体的には、ステップS906で推定された疾患情報の種類数をnとし、疾患の確度が高い順に識別番号(以下の(7)式に示す識別番号)を付与する。
【0122】
【数6】

【0123】
例えば、ステップS501の具体例では、n=2となり、「腫瘍性の疾患(肺野中心)」:識別番号1、「サルコイドーシス(肺野中心)」:識別番号2となる。
【0124】
そして、ステップS502では、処理対象の疾患番号として、i=1を設定する。このとき、処理対象の疾患番号iを、識別番号kとする。
【0125】
その後、図2に示すステップS107からステップS112までの処理が行われる。
【0126】
そして、ステップS112の判断の結果、現在の疾患番号iが、疾患情報の種類数n以下でない場合には(S112/NO)、ステップS114に進む。この図9に示すステップS114の処理は、図2に示すステップS114と同様の処理である。
【0127】
そして、ステップS114の処理が終了すると、図9に示すフローチャートの処理が終了する。
【0128】
以上、説明した第3の実施形態の構成では、ステップS501の段階において、可能性として考えられる疾患情報を推定して個数を絞り込んでおくようにしている。これにより、症例データベース150に格納されている疾患情報の種類の全てに対して類似検索を行い、その結果に基づいて階調処理を行う、という手順を踏まずに済む。したがって、コンピュータの計算量を低減することができる。
【0129】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
第1の実施形態から第3の実施形態までの実施形態では、症例の類似度の計算や疾患情報を推定するための症例データとして、画像統計データと臨床データの2種類を用いるものであった。しかしながら、これらの2種類のデータに加えて、さらに、医用画像撮影装置200の撮影パラメータを利用することも考えられる。
【0130】
撮影パラメータとしては、具体的には、MRI(磁気共鳴イメージング)であれば、撮影手順(パルスシーケンス)の型の違いや、その撮影手順内のエコー時間TE、繰り返し時間TR、RFパルスの幅及び振幅、傾斜磁場パルス幅及び振幅等が含まれる。これらの撮影パラメータを、医用画像撮影装置200において医用画像を撮影した際に、LAN500を介して症例データベース150に格納しておくことで、利用可能となる。
【0131】
以上、説明した第4の実施形態の構成では、撮影パラメータを含めた処理を行うようにしている。これにより、複数の医用画像撮影装置で撮影された医用画像データが症例データベース150に含まれる場合でも、読影対象画像の撮影パラメータの特性に適した階調処理を行うことができる。
【0132】
なお、上述した本発明の各実施形態では、症例データとして、画像統計データ及び臨床データ(更には撮影パラメータ)を含むものを例示しているが、本発明においては、これに限定されるものではない。例えば、症例データとして、画像統計データ、臨床データ及び撮影パラメータのうちの少なくともいずれか1つを含むものであればよい。
【0133】
上述した本発明の各実施形態によれば、読影時の医師の作業負荷を軽減するとともに、症例ごとに種々の特性を示す画像が対象になる場合でも、所望の疾患情報に合致した、適切な階調処理が施された画像を提示することができる。
【0134】
(その他の実施形態)
前述した本発明の各実施形態に係る医用診断支援装置100の制御方法を示す図2、図4、図6、図8及び図9の各ステップは、コンピュータのCPU(111)が記憶媒体(112)に記憶されているプログラムを実行することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0135】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0136】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図2、図4、図6、図8及び図9に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
【0137】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0138】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0139】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0140】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0141】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0142】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0143】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0144】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0145】
なお、前述した各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る医用診断支援システムの概略構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る医用診断支援装置の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS106で用いられる疾患情報のリストの一例を示す模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る医用診断支援装置において、症例データベースに過去症例を蓄積する過去症例蓄積処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態を示し、1つの症例に関して、階調設定情報及び疾患情報と、症例データ(画像統計データ及び臨床データ)とを関連付けて症例データベースに格納したときのデータ項目の一例を示す模式図である。
【図6】図2のステップS108における類似度判定処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】図2のステップS114における、疾患情報ごとの確度に応じた階調処理画像(階調処理後の読影対象画像)の提示例を示す模式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る医用診断支援装置の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る医用診断支援装置の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0147】
100 医用診断支援装置
110 制御部
111 CPU(中央処理装置)
112 主メモリ
113 磁気ディスク
114 表示メモリ
115 バス
120 モニタ
130 マウス
140 キーボード
150 症例データベース
200 医用画像撮影装置
300 医用画像データベース
400 医用文書データベース
500 LAN(ローカルエリアネットワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を用いた医用診断を支援する医用診断支援装置であって、
疾患の診断が下された、前記医用画像を含む過去症例を対象として、前記過去症例の症例データと、疾患状態の観察のために適切に施された階調設定に係る階調設定情報および前記診断により得られた疾患情報とを関連付けて蓄積する過去症例蓄積手段と、
前記医用画像を含む読影対象症例の症例データを認識する処理を行う読影対象症例認識手段と、
前記疾患情報の種類ごとに、前記読影対象症例の症例データと前記過去症例の症例データとを比較して、前記読影対象症例と前記過去症例との類似度を判定する類似度判定手段と、
前記疾患情報の種類ごとに、前記類似度判定手段で判定された類似度に基づき前記階調設定情報を用いて前記読影対象症例を階調処理して、階調処理画像を生成する階調処理画像生成手段と、
前記読影対象症例における疾患情報の確度を算出する確度算出手段と、
前記確度算出手段で算出された確度に応じて、前記階調処理画像生成手段で生成された階調処理画像を提示する処理を行う階調処理画像提示手段と
を有することを特徴とする医用診断支援装置。
【請求項2】
前記階調処理画像生成手段は、前記類似度判定手段で判定された類似度に基づいて前記読影対象症例に類似する前記過去症例における前記階調設定情報を用いて、前記階調処理画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の医用診断支援装置。
【請求項3】
前記確度算出手段は、前記類似度判定手段で判定され、前記読影対象症例に類似する前記過去症例における類似度に基づいて、前記確度を算出し、
前記階調処理画像提示手段は、前記確度が高い順に、前記階調処理画像を提示することを特徴とする請求項1に記載の医用診断支援装置。
【請求項4】
前記確度算出手段は、前記読影対象症例として診断される可能性のある疾患情報を1つまたは複数推定するとともに、当該疾患情報の確度を算出し、
前記階調処理画像提示手段は、前記推定された疾患情報の確度が高い順に、前記階調処理画像を提示することを特徴とする請求項1に記載の医用診断支援装置。
【請求項5】
前記読影対象症例認識手段は、前記読影対象症例の症例データを自動検出して、前記読影対象症例の症例データを認識する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の医用診断支援装置。
【請求項6】
前記症例データは、画像統計データ、臨床データおよび撮影パラメータのうちの少なくともいずれか1つを含むものであることを特徴とする請求項1に記載の医用診断支援装置。
【請求項7】
前記階調処理画像生成手段は、前記読影対象症例を階調処理する際に、前記読影対象症例に類似する前記過去症例における前記階調設定情報を直接適用して、前記階調処理画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の医用診断支援装置。
【請求項8】
前記類似度判定手段は、前記読影対象症例の症例データと、前記階調設定情報に基づいて階調処理を行った後の前記過去症例の症例データとを比較して、前記類似度を判定することを特徴とする請求項1に記載の医用診断支援装置。
【請求項9】
前記階調処理画像生成手段は、前記読影対象症例に類似する前記過去症例における前記階調設定情報と、予め疾患情報ごとに設定された基準値とを用いて、前記読影対象症例を前記階調処理することを特徴とする請求項1に記載の医用診断支援装置。
【請求項10】
前記階調処理画像提示手段は、前記階調処理画像を、前記疾患情報ごとに読影レポート上にリスト表示することを特徴とする請求項1に記載の医用診断支援装置。
【請求項11】
前記階調処理画像提示手段は、医用画像表示領域上に前記確度の最も高い疾患情報の階調処理画像を表示し、別の領域上に前記医用画像から疾患部位を切り出した画像領域の階調処理画像を、前記疾患情報ごとにリスト表示することを特徴とする請求項1に記載の医用診断支援装置。
【請求項12】
前記階調処理画像提示手段は、前記階調処理画像を動画表示することを特徴とする請求項1に記載の医用診断支援装置。
【請求項13】
医用画像を用いた医用診断を支援する医用診断支援装置の制御方法であって、
疾患の診断が下された、前記医用画像を含む過去症例を対象として、前記過去症例の症例データと、疾患状態の観察のために適切に施された階調設定に係る階調設定情報および前記診断により得られた疾患情報とを関連付けて蓄積する過去症例蓄積ステップと、
前記医用画像を含む読影対象症例の症例データを認識する処理を行う読影対象症例認識ステップと、
前記疾患情報の種類ごとに、前記読影対象症例の症例データと前記過去症例の症例データとを比較して、前記読影対象症例と前記過去症例との類似度を判定する類似度判定ステップと、
前記疾患情報の種類ごとに、前記類似度判定ステップで判定された類似度に基づき前記階調設定情報を用いて前記読影対象症例を階調処理して、階調処理画像を生成する階調処理画像生成ステップと、
前記読影対象症例における疾患情報の確度を算出する確度算出ステップと、
前記確度算出ステップで算出された確度に応じて、前記階調処理画像生成ステップで生成された階調処理画像を提示する処理を行う階調処理画像提示ステップと
を有することを特徴とする医用診断支援装置の制御方法。
【請求項14】
医用画像を用いた医用診断を支援する医用診断支援装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
疾患の診断が下された、前記医用画像を含む過去症例を対象として、前記過去症例の症例データと、疾患状態の観察のために適切に施された階調設定に係る階調設定情報および前記診断により得られた疾患情報とを関連付けて蓄積する過去症例蓄積ステップと、
前記医用画像を含む読影対象症例の症例データを認識する処理を行う読影対象症例認識ステップと、
前記疾患情報の種類ごとに、前記読影対象症例の症例データと前記過去症例の症例データとを比較して、前記読影対象症例と前記過去症例との類似度を判定する類似度判定ステップと、
前記疾患情報の種類ごとに、前記類似度判定ステップで判定された類似度に基づき前記階調設定情報を用いて前記読影対象症例を階調処理して、階調処理画像を生成する階調処理画像生成ステップと、
前記読影対象症例における疾患情報の確度を算出する確度算出ステップと、
前記確度算出ステップで算出された確度に応じて、前記階調処理画像生成ステップで生成された階調処理画像を提示する処理を行う階調処理画像提示ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−167042(P2010−167042A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11292(P2009−11292)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】