説明

医療機器の機能へのアクセスを制御するためのシステム及び方法

アクセスキーは、医療機器機能の操作に必要である。制御プログラムは、医療機器の操作機能へのアクセスの制御に用いられる。医療機器の全プログラムは、単独で又はあらゆる連結により、医療機器の全ての機能の操作に対し認証される。しかし、医療機器の機能の利用、または連結機能の利用へのアクセスは、制御プログラムによって認識されるアクセスキーを必要とする。ポンプは、アクセスキーの入力がなくても基本操作設定で使用できるが、より高度な機能を使用する場合は、オペレーターが一つ以上の機能を有効にするために正しいアクセスキーを入力しなければならない。有効な機能をオペレータが入力すると、その機器が認容されるが、無効な機能に対しオペレータが入力しても認容されない。無効の機能は表示されないし、その情報についても表示されない。本発明によれば、医療機器及びその制御プログラム全部が、製造中に、全使用及び全操作モードに対し十分に有効であると確認されているが、アクセスキーに対する必要条件によって、ユーザーは所定の機能の使用が制限される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に言えば、医療機器の設定を制御するためのシステム及び方法に関し、本発明は特に、医療機器の複数の機能や複数の機能の連結へのアクセスを制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療分野においては、診断、治療や、患者の容態監視手段を提供するために、多数の医療機器が使用されている。これらの装置の多くは、医療機器に基本設定を与える基本操作機能を有しており、この基本設定では、オペレーターが、医療機器に対して一定の基本操作の管理権限を有している。
【0003】
医療機器には、拡張操作機能を提供する追加操作機能が初めから設けられている場合もあり、またこれを後から設けることもある。しかしながら、医師や医療機器オペレータの全員が、このような機能を必要としているわけではなく、また利用可能な全ての設定項目へのアクセスを望んでいるわけでもない。
【0004】
医療機器が多様な設定で操作できる能力を有している場合や、医療機器が多様な操作機能を有している場合、医者が要望する設定項目や、使用できる設定数を制限する理由については、医師によって様々である。利用可能な設定数の多い機器は、設定数の少ない機器に比べて、通常コストがかかるので、操作設定の選択において、コストが考慮される場合がある。
【0005】
一例を挙げると、薬物注入ポンプは、ここ数年大きく進歩し、今日では、患者へのポンプによる液体注入の性能は向上している。ポンプの基本的な設定にも含まれているようなポンプの性能が向上しているほか、基本操作設定に加え、広範囲にわたる操作設定を提供する薬物注入ポンプも登場している。大容量の非経口注入ポンプ(LVP)は、例えば注入速度、注入時間、注入予定量(VTBI)等、基本ポンプ機能の制御を含む基本操作設定を、通常備えている。
【0006】
一方、多回投与制御、遅延開始、ボーラス投与制御や薬ライブラリー等の操作機能が、追加的機能として利用可能であり、あるいは利用可能とすることができる。
【0007】
更に高度なポンプを有する場合には、「実行パッケージ」機能設定の全体を利用できる。例えば、非経口注入ポンプ(LVP)は、手術室用(「OR」)、腫瘍科用(「ONC」)、小児科用(「PED」)、新生児用(「NEO」)等の設定を有することがある。この実行パッケージの設定は、通常、機能群ごとに行われる。例えば、実行パッケージは、ポンピング機能の所定の操作パラメーターの限界値だけでなく、警告閾値、利用可能なオーバーライド、その他の操作パラメーターも含まれることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
利用するポンプの全部の設定を望む医師がいる一方、多くの医師には、2〜3の設定で十分である。利用可能な機能の数を制限することにより、経費節減の可能性に加えて、医師が行うポンプ操作を平易にし、また発生しうるポンププログラミングエラーを低減させることもできる。例えば、健康管理施設では、NEO機能とOR機能の両方を選択自在に備えた新生児病棟用のポンプまでを望んではいない。むしろ、診療所では、OR構成を誤って選択しないようにして、病棟で利用可能なNEO構成のみを備えるポンプを求めるのが通例である。この場合の目的は、そのポンプを、オペレーターが、新生児の患者に適しないような高いポンピングパラメーターと、高い警報限界を与えるOR構成に、誤ってプログラミングする可能性を低減することである。
【0009】
ポンプの基本的操作設定を提供するために、必要な基本特性を有するポンプが製造される。この基本操作設定では、例えば流量、時間、VTBIなど、汎用の基本ポンプ輸送の特性が、上記したように、通常利用できる。
【0010】
このポンプに対する追加の設定や追加の機能、あるいは構成への注文が顧客からあれば、製造者は、製造中に、これらの機能をインストールし、インストールした個々の機能が単独で正しく作動し、また利用特性のあらゆる可能な他の組合わせで正しく作動する事を確認するために、そのポンプをテストする。このように、使用する機能の組合わせは、顧客ごとに異なっており、製造中に、複数の機能をインストールする場合には、使用時、さまざまな機能の組合わせを、ポンプの制御盤から顧客が選択する。
【0011】
多くの場合、これらの機能は、ポンプに常駐するコンピュータープログラムによって制御される。コンピュータープログラムは、通常、サブプログラムを有し、各サブプログラムは、特性又は特性の組合わせを制御し、実行パッケージ等の構成を形成する。この追加機能や追加設定のための追加プログラムによる命令は、基本プログラムの命令と共に有効に動作する必要があり、また相互のプログラム命令や、機器にインストールされる他のすべてのプログラム機能と共に有効に動作する必要がある。
【0012】
全てのプログラムは、個々に認証され、かつ、全ての連結相互に認証される必要がある。こうした手法において、種々の機能をインストールしたポンプ用プログラムは、別個の認証試験段階を経て認証される必要がある。これは、コストを上昇させるのみならず、ポンプの製造時間の増大にもつながる。
【0013】
アップグレード、修正や変更が、常駐制御プログラムに、又は特定の機能を提供する別個のサブプログラムの1つが実施されるとき、それ自身の再認証と、連結可能な他のプログラムとの全連結の再認証とを実行する必要がある。プログラミング命令のこうした厳密な認証手法は、困難で、費用や時間もかかる作業である。コンピュータプログラミングの命令に対するこうした広範な認証の要求が軽減されれば、有用である。
【0014】
それゆえに、当業者は、医療機器において、多種の操作機能、多種の連結・機能の設定について、別個の認証の負担を軽減するシステム及び方法に関する必要性を認識している。一つ以上の機能に対して変更がなされる場合、全機能及びそれらの連結を再認証する負担を軽減する必要性も認識される。本発明は、これらの必要事項を実現しようとするものである。
【特許文献1】米国特許第5,713,856号
【課題を解決するための手段】
【0015】
簡潔に、概論すると、本発明は、医療機器の機能へのアクセスを制御するために新規かつ改良されたシステム及び方法を提供するものである。本発明は、複数の機能を有するあらゆる医療機器に適用することができ、薬物注入ポンプや、生存徴候モニターに限定されるものではない。
【0016】
複数の操作機能を有する医療機器の、操作機能へのアクセスを制御するシステムにおいて、このシステムは、オペレーターが医療機器の操作用制御信号を提供するための入力装置を具備し、この制御信号は、医療機器操作に対し、単一の機能又は複数の機能の組合わせを選択する選択信号と、アクセス要素と特性制御要素とを有するアクセスキーと、アクセスキーに対応してアクセス部品が認容できるか否かを決定し、認容出来る場合には、そのアクセスキーの特性制御要素に基づき、医療機器の特定の操作機能を有効にも無効にもする制御装置とを含んでおり、この制御装置は、入力装置からの制御信号に対応して、有効機能に対し、オペレータの制御を有効とし、また無効機能に対し、オペレータ制御を無効とする。
【0017】
本発明の別の構成としては、制御装置は、一つの中に複数の機能が含まれる機能パッケージに対応し、アクセスキーにより有効になれば、医療機器オペレーターが、有効な機能パッケージを選択できるようにし、それによって、パッケージの全ての機能を医療機器に適用するようになっている。アクセス装置に関係なく、基礎操作特性に対し、制御装置は、入力装置からオペレータ制御に対しても反応する。
【0018】
本発明に基づく他のより詳述された特徴においては、アクセス要素は、リリース番号の識別を備え、また別の詳細な特徴においては、そのアクセス要素は、プログラムバージョンも備えている。
【0019】
制御装置及び入力装置は、医療機器の一部を形成し、制御装置は医療機器を制御するプログラムを備え、そのプログラムは、操作特性を制御する複数のサブプログラムを含んでいる。制御装置は、アクセスキーの機能要素に対応して、所定のサブプログラムを有効にし、他のサブプログラムを無効にする。
【0020】
医療機器内に配置されるメモリについては、制御装置が医療機器内に配置されメモリと通信し、医療機器制御プログラムはこのメモリ内に保存され、この制御プログラムは、オペレーターが実行できる医療機器の全操作機能を制御する複数のサブプログラムを有しており、それぞれのサブプログラムが有効であれば、その制御プログラムが働き、制御装置はアクセスキーの機能要素に応じて、所定のサブプログラムを有効にし、他のサブプログラムを無効にすることにより、医療機器のどの機能を、オペレーターが使用可能であるかを制御する。
【0021】
更に他の態様では、制御装置は、医療機器特性の制御に関する所定の情報、及び選択可能なオプションをディスプレイ上に表示する。しかし制御装置は、無効なサブプログラム及び特性についての情報をディスプレイ上に表示しない。有効な機能としては、医療設備における利用の所定の位置に関連する操作機能がある。更に、制御装置は、完全性の照合操作を実行することにより、アクセスキーが真正か否かを確認する。
【0022】
複数の操作機能を有する医療機器の操作機能へのアクセスを制御する方法は、医療機器操作用に単一機能と複数機能の連結とのいずれかを選択する選択信号を含む医療機器操作用制御信号を提供する過程と、アクセス要素と機能制御要素とを有するアクセス信号を提供する過程と、アクセス要素が認容されるか否か決定し、認容される場合は、アクセスキーの機能制御要素に従って医療機器の特定の操作機能を有効又は無効にする過程と、有効な機能に対してオペレータ制御用制御信号を受け入れ、無効な機能に対しては、オペレータ制御を受け入れない過程とを有している。
【0023】
更に他の態様では、アクセス信号を提供する前記過程は、複数の操作機能を含む機能パッケージを有する機能制御要素を提供する操作を含み、機能パッケージが有効の場合には、機能パッケージに含まれる全機能に対し、オペレータ制御に関する制御信号を受信する。アクセス信号を提供する前記過程は、リリース番号を提供する操作と、プログラムバージョンを提供する操作とを有する。
【0024】
更に本発明の方法は、アクセス信号を提供するか否かに関係なく、基本操作機能に関するオペレーター制御信号に応答する過程を備えている。
【0025】
また本発明の方法は、操作機能を制御する複数のサブプログラムを有する、医療機器制御用の制御プログラムをインストールする過程と、アクセスキーの機能要素に応答し制御プログラムにより所定のサブプログラムを有効にし、他のサブプログラムを無効にする過程とを有している。
【0026】
本発明の他の詳細な特徴によれば、多数のサブプログラムを有する制御プログラムを、医療機器内に配置されるメモリにインストールする過程を更に備え、当該多数のサブプログラムは、各サブプログラムが有効の場合は、オペレーターが制御できる医療機器の全操作機能を制御し、所定のサブプログラムを有効にし、他のサブプログラムを無効にするにする前記過程は、オペレーターによって医療機器のどの機能が有効であるかを制御するようになっている。
【0027】
アクセスを制御する発明の本方法は、更に、医療機器の機能を制御するための所定の情報と選択可能なオプションとを表示する過程と、無効なサブプログラム及び機能の情報のディスプレイ上の表示を無効にする過程とを有している。
【0028】
更に、本発明の方法は、完全性の照合操作を実行することにより、アクセス信号が真正か否かを確認する過程を有している。
【0029】
本発明の更に別の態様では、アプリケーションプログラムのサブプログラム及び連結サブプログラムへのアクセスを制御するシステムが提供される。このサブプログラムは、個々に実行可能であるか、あるいは相互に選択可能な連結として実施可能であり、前記システムは、アプリケーションプログラムのオペレーターに対して、アプリケーションプログラムの操作に関する制御信号を提供するための入力装置を備え、前記制御信号は、単一のサブプログラム又は連結サブプログラムに適合する選択信号を備え、前記アクセスキーはアクセス要素と機能制御要素とを有し、アクセスキーに応じてアクセス要素が認容されるか否かを決定する制御装置プログラムを有し、認容される場合には、アクセスキーの機能制御要素に従って、アプリケーションプログラムの所定のサブプログラムを有効・無効にし、前記制御装置プログラムは、入力装置からの制御信号に応じて、有効なサブプログラムに対するオペレータ制御を許可し、あるいは無効サブプログラムに対するオペレータ制御を許可しないようになっている。
【0030】
より詳細な態様では、複数のサブプログラムが含まれるサブプログラムパッケージに、制御装置プログラムが対応し、アクセスキーによって有効の場合は、アプリケーションプログラムのオペレーターが、有効な機能サブプログラムを選択し、パッケージ中の全サブプログラムの操作を許可する。アクセス要素はリリース番号の識別子を備えている。
【0031】
他の態様では、アクセス要素は、プログラムバージョンの識別子をも備えている。さらに別の態様では、制御装置プログラムは、アクセス装置に関係なく、基礎サブプログラムに対する入力装置からのオペレータ制御に反応するようになっている。
【0032】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳述する説明や、例証として、本発明の機能を例示する添付図面から明らかになると思う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図中の同種・類似の構成要素に対し、同じ符号を付してある添付図面の図1は、医療機器20の正面図を示している。この実施例では、中央に配置された制御装置22、及び制御装置の両側に装備された3個の機能的臨床装置を有するモジュール式の患者ケアシステムを備えている。
【0034】
この例の場合、臨床装置は、制御装置左側に装備された薬物注入ポンプモジュール24と、制御装置右側に装備されたシリンジポンプ23と、シリンジポンプの右側及び制御装置右側に装備された酸素測定モジュール25とを備えている。薬物注入ポンプ及びシリンジポンプは、患者の循環系に医療用液体を提供し、その一方で、酸素測定モジュールが患者の血液中の酸素濃度を監視する。
【0035】
この種のシステムは、米国特許第5,713,856号、Eggersらの「モジュール式の患者ケアシステム」中に更に詳しく記載され、参照事項として本願に包含される。
【0036】
制御装置は、データ及びプログラムを蓄積するため、またそれらのプログラムを実行するための、プロセッサ及びメモリを備えている。データは、制御装置と相互に作用する臨床装置23、24及び25から得られ、またプログラムは制御装置及び臨床装置の操作を制御するためのものである。
【0037】
本発明の他の実施例を、モジュール式の患者ケアシステムとの関連で記載するが、個々の独立ユニットを形成するシステムを含む各種の医療機器について、モジュールシステムと同様に検討する。更に、モジュールシステムを用いる場合には、制御装置と相互作用する臨床装置は制御装置との物理的接触を必要としない。
【0038】
図1に示す薬物注入ポンプモジュール24は、制御された流量で患者に液体を滴下するよう構成された、大容量の非経口注入ポンプ(LVP)である(図示されず)。制御装置22に装備され制御装置により、独立して制御される薬物注入ポンプに加えて、患者を監視する機器等のその他の機能を有する医療機器や臨床装置・モジュールを、実際の構成において、薬物注入ポンプや、その他の機器とリンクさせてもよい。
【0039】
例えば、シリンジポンプ23を酸素測定機器25にリンクさせて、自己調節鎮痛法(PCA)の装置構成内で動作させてもよい。この装置では、シリンジポンプは、患者自身の指示に従い鎮痛剤を患者に供給するが、制御装置は、酸素測定機器により提供された患者の血液酸素飽和度に関するデータに基づき、患者の指示を無視することもできる。
【0040】
一例として、制御装置は、シリンジポンプ及びPCA装置構成内の酸素測定機器を操作する際の機能を更に提供する他に、薬物注入ポンプの機能、シリンジポンプの機能、及び酸素測定機器の機能を提供することができる。
【0041】
制御装置と制御装置に制御される機器・モジュールとを備える他の例では、カプノグラフィモニターと、侵襲性又は非侵襲性の血圧モニター等を含んでいる。
【0042】
図1及び他の図に示された医療機器20の場合、薬物注入ポンプ24と、シリンジポンプ23と、酸素測定モジュール25とを含む臨床装置を、制御装置22又は別の臨床装置に対し左側又は右側に接続することができる。ここに図示した例では、薬物注入ポンプの右側に制御装置の左側を取り付け、またシリンジポンプの左側に制御装置の右側を取り付ける。別の薬物注入ポンプやポンプを含む他の臨床装置・モジュールを、既存の臨床装置に設置してもよい。更なる詳細については、Eggersによる米国特許第5,713,856号に記載されている。
【0043】
本実施例において、制御装置22は、多様な付属機能的臨床装置23、24及び25に対して集中化したインタフェースを提供し、プログラミング及び通信等臨床装置に対し多様な機能を実行する。
【0044】
また本実施例において、制御装置は、設置された臨床装置への電力供給にも用いられ、患者ケアシステム20(付属モジュールを含む)全体と外部サーバとの間、また患者ケアシステム20と他の装置間のインタフェースの提供にも用いられ、また、ポンプや酸素測定モジュール用の臨床インタフェースの提供にも用いられる。警告及び警報メッセージを表示するほか、ポンプの作動パラメータ等視覚的に多様な情報を伝えるため、制御装置はディスプレイ26を備える。制御装置は、付属の機能的臨床装置をプログラムするためにコントロールキー28も備えている。
【0045】
更に、図1に示すように、薬物注入ポンプ24は、本実施例では平面視でドアにLEDディスプレイ等のディスプレイ30を備え、このディスプレイは、現在の注入速度及び警報メッセージ等、ポンプに関連する多様な情報を視覚的に伝えるために用いこともできる。薬物注入ポンプの前面パネルにあるコントロールキー32はまた、注入の休止又は再開等、薬物注入ポンプの所定の操作を制御するために存在する。制御装置に取り付けられた他の機器23及び25の両者には、ディスプレイ30及びコントロールキー32が備えられる。
【0046】
図2は、制御装置22の要素のブロック図である。制御装置は、プログラム、又は操作誤差、警報、及びその他の勧告等、様々な状態をオペレーターに知らせるために、ディスプレイ26とともに使用できる音声警報36を備えている。
【0047】
また制御装置は、RS−232のシリアルポート等の外部通信ポート38をも備え、この通信ポートを用いて、医療施設サーバ、その他のコンピュータやポータブルプロセッサとの通信が可能となっている。これにより、臨床医が、ドラッグライブラリーその他のデータやプログラムを、ダウンロードしたり、情報を転送したりすることができるようになっている。
【0048】
更に、別の実施例における制御装置は、PCMCIAカードを受容するPCMCIAスロットを提供する通信用インタフェース40を備えている。
【0049】
ここで示す例は、例示目的のみのものであり、当業者は、様々な商業上利用可能な通信手段から、容易に選択することができる。例えば、制御装置は、多様な有線システム、及び、RF(高周波)システム、赤外線システム、ブルートゥースシステム等、多様な無線システムを備えていてもよい。
【0050】
図2に示す実施例において、外部通信制御装置42は、ポート38を通して、指令及びデータフローを制御し、制御装置のプロセッサ54は、直接通信用インタフェース40を制御する。外部通信ポート38、通信用インタフェース40、コントロールキー28は、いずれも、システム20に入力される情報が経由する入力装置として用いることができる。
【0051】
制御装置22は、注入に関する情報をスキャンするバーコードスキャナー(図示されず)や、受動RFIDタグ、又は能動RFIDタグからの情報を読みとるRFID質問機等の、他の入力装置を備えていてもよい。
【0052】
制御装置22は、外部電源から(図示せず)電力を受給し、また電源装置46に電力を供給するための電力入力部44を備えている。更に、制御装置が外部電源から切り離された場合、バッテリー等の内部電源48を用いて、記憶装置を含むシステム機能に対して、電力供給を維持することができる。
【0053】
電力管理部50は、2箇所の電源間の切替えを制御し、内部電源の充電を制御し、また、内部電源上の残存システム実行時間を推定するために、内部電源の残存容量及び電力消費量を監視する。また、電源装置は、電力ポート51及び52を介して、薬物注入ポンプ24等の付属モジュールに電力を供給する。
【0054】
プロセッサ54は、医療機器全体、即ち付属の医療機器モジュールの特徴を含む患者ケアシステム20の操作を制御するための、一つ又は複数のコンピュータープログラム56にアクセスし、これを実行する。プロセッサ54は、内部通信制御装置57を介して、付属モジュールと通信し、この内部通信制御装置57は、内部通信ポート58及び60を介して、付属モジュールへの指令及びデータフローを制御する。
【0055】
この実施例において、コンピュータープログラム56は、図2に示すように、患者ケアシステム20の制御装置22に常に存在している。更に詳細に述べると、本例の一実施例では、コンピュータープログラムは、メモリ62に保存又は組み込まれる。患者ケアシステム20のメモリ62及び他のメモリとしては、システムからメモリを物理的に取り除かずに、消去・再プログラムが可能なタイプであれば、あらゆるメモリ単体や・メモリの組合わせを用いることできる。
【0056】
このようなメモリの例として、バッテリーのバックアップ型ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び「フラッシュ」電子消却可能プログラム型読取専用メモリ(FLASH EEPROM)があるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
外部及び内部46と48の両電源装置から電力が損失する場合、バッテリーバックアップ64は、メモリ62に動力を供給する。プログラム56は、制御装置の機能及び制御装置に搭載される医療機器の機能に対する制御を提供し、医療機器は、この場合、薬物注入ポンプ24、シリンジポンプ23、及び酸素測定機器25等である。
【0058】
制御装置の機能の一例としては、ポンプ流量、時間、及び注入量等、所定の搭載機器に対する基礎動作制御である。別の例としては、酸素測定モジュールの酸素飽和設定(最高と最低)の許容値が挙げられる。制御装置の追加機能としては、例えば患者の識別、投与薬物、又はドラッグライブラリー等の傾向の表示が挙げられる。更に、このプログラムは、前述の実行パッケージをプログラムする能力を備えていてもよい。
【0059】
PCAに関連する機能に対して、プログラムによって利用可能とすることができる。このような場合、酸素測定機器のデータが分析され、シリンジポンプの制御に用いられる。他の多くの要素は、プログラム56によって利用される。プログラムは、通常主要な制御プログラムを有しており、この制御プログラムは、単一機能、多重機能、機能に関する所定の組合わせ、又は実行パッケージを対象とする複数のサブプログラムを持っている。
【0060】
更に、制御装置に搭載された各医療機器は、それぞれの機器の操作上の機能を同じように提供する独自の常駐プログラムを有していてもよい。例えば、ポンプ機器23及び24のプログラムは、速度、時間、及びVTBIの機能を有していてもよく、他方、酸素測定機器のプログラムは、好ましい酸素飽和設定(最高と最低)の機能を提供してもよい。
【0061】
図3は、薬物注入ポンプ医療機器24の要素を例示するブロック図である。
音声警報65は、ディスプレイ30とともに、例えば液体ラインにおける注入や、下流・上流の閉鎖等の状態をオペレーターに警告する働きをする。ディスプレイ30及びコントロールキー32は、コントロールキー/ディスプレイ制御装置66によって制御される。
【0062】
薬物注入ポンプ24は、臨床医からのデータ及び指令を受信し、処理し、サポートプロセッサ68及び関連したメモリ70を介して、付属制御装置22と通信する。制御装置においては、主要電源が利用できない期間中に格納データやプログラムの保持を支援するバッテリーバックアップ72が、メモリに付属されている。
【0063】
薬物注入ポンプが、制御装置の何れの側に装備されたかにより、薬物注入ポンプは、電力ポート74及び76の何れか一方を介して、制御装置から電力を受給する。電力管理プログラム78は、電力ポート74及び76から、ポンプまでの分電を制御する。また、薬物注入ポンプが制御装置の何れの側に装備されたかにより、通信ポート84及び86を介して、制御装置からのデータや命令を送受信することが可能な内部通信制御装置82を、ポンプは有している。
【0064】
薬物注入ポンプ24は、ポンプモータ90を制御するモータ制御装置88や、センサー制御装置92等の市販のポンプの代表的な構成要素を含み、センサ94から指示を得るようになっているが、この時、センサ94は、例えばポンプ機構の速度や流体圧力、ライン内のエアや動作停止を検出するために用いることができる。
【0065】
別の実施例として、他のセンサを有していてもよく、またサポートプロセッサ68又は他の装置で監視してもよい。好ましくない現象を検出した時、センサ制御装置は、その指示を受信し、この指示は、安全プロセッサ96に加えてサポートプロセッサによって監視され、警報を作動させ、あるいはポンプ操作を停止させる。
【0066】
モータ制御装置88及びポンプモータ90は、適当なぜん動ポンプモータ/モータ制御装置の組み合わせであってもよい。
【0067】
図4は、本発明の原理に従って、コンピュータープログラム56の実施例を概略的に例示するブロック図を示す。前述のように、コンピュータープログラムは、この実施例の制御装置22(図1)に常駐し、また医療機器20の操作を制御する。この常駐プログラムは、複数の操作機能98を提供し、システム20に対し異なる操作設定100を形成するよう多様に連結される。
【0068】
このプログラムは、制御装置自体の機能を提供することができるが、「制御装置」の表示は、図4から削除されている。その代わりに、ポンプ及び酸素測定(SpO2)機器に関連する他の機能が検討される。
【0069】
図1及び図3の薬物注入ポンプ24(LVP)の多様な操作機能は、常駐のコンピュータープログラム56が医療機器を提供することができるタイプの操作機能98を例示するものである。ポンプは、通常、流速制御、注入時間の制御、注入量の制御を含む基本操作機能を提供する。また、この基本操作機能は、多様なセンサ94によって検出されるエラー状況に応じて、警報を起動する機能を有していてもよい。機能は、薬物注入ポンプに関し「A〜E」、シリンジポンプに関し「E〜I」、及び酸素測定機器に関し「JーN」の英字を用いて、記号で示される。
【0070】
これらの基本操作機能に加えて、薬物注入ポンプ24又はシリンジポンプ23は、他の操作機能を有していてもよい。薬剤名、濃度、流量、及び最大許容投薬量、その他のパラメータのデータを蓄積するドラッグライブラリーの機能が、注入又はシリンジポンプの操作に含まれている。これは制御装置22に配置されていてもよく、あるいはポンプ自体に配置されていてもよい。また、ドラッグ注入流量計算器の機能を備えてもよい。
【0071】
更に、複雑なドラッグデリバリー手法の機能、例えば複数の流量での注入や、自動的な漸増漸減の注入の機能等が具備されている。また、複数の流路による投与、複数の投薬量による投与、二次的ないし「抱き合わせ」投与、急速静注、及び遅延投与の機能が、プログラムにより行われる。
【0072】
搭載された機器や、接続された他の機器の他に、制御装置22、ポンプ23、24、酸素測定機器25が、「実行パッケージ」に関連する機能を支持してもよい。
手術室(「OR」)、腫瘍科(「ONC」)、又は小児(「PED」)病棟、或いは病室等、病院内の特定の処置室や場所での使用に対して、専用の操作機能が利用できる。この実行パッケージは、所定の実行関連データ、制御、情報の表示だけでなく、例えば、病院内での所定の処置室や場所に対し適切な固有の操作パラメータ、警告閾値及び、利用可能なオーバーライドを提供することができる。
【0073】
ここでは、多種の操作機能98につき、2つのポンプ23、24と、患者監視(酸素測定)機器25とからなる図1に示した医療機器構成に関して記載したが、患者ケアシステム20の一部分を形成するために搭載される他のモジュールに対し、複数の操作機能98を同様に提供することができる。
【0074】
図4に示す実施例において、パルス酸素濃度計(SpO2)及びシリンジポンプは、それぞれ、複数の操作機能98を有しており、薬物注入ポンプとともに、患者ケアシステム20の一部分を形成している。
【0075】
図1〜図4に示す例では、常駐プログラム56(図2)は、全てのサブプログラムを含む完全なプログラムであり、このサブプログラムは、直接又は間接的に搭載される機器とともに制御装置22を操作するために必要である。
【0076】
また、機器が、あらゆる連結・実行パッケージの形態で、臨床医や他のオペレーターに提供可能な全ての機能を提供するために必要である。先進で複雑な機能だけでなく、基本操作機能も、このプログラムの中に含まれる。そのため、どの医療機器にも必要であるのは、それぞれプログラム1つだけである。その理由は、プログラムが医療機器にインストールされたその日から、このプログラムは存在する全ての機能を含むからである。
【0077】
しかし、本発明の特徴によれば、後に説明するように、これらの機能へのアクセスは制御される。コンピュータープログラム56は、関連する医療機器の多様な操作機能98へのアクセスを制御する。特に、操作機能98を選択的に起動・停止することにより、操作機能の組合わせを形成し、多様な操作設定100に機器を設定してもよい。コンピュータープログラム56は、起動されるまで操作上の機能の使用を抑制する機能アクセス制御要素102を有する。
【0078】
一実施例において、機能アクセス制御要素の状態に関係なく、基本操作可能機能は、いつでも使用できる。例えば、流量、時間、VTBIの基本機能は、常にあらゆるオペレーターが使用可能である。しかし、別の実施例では、機能アクセス制御要素によって有効にされる機能なくして、操作機能は利用できない。
【0079】
本発明の特徴に従い、機能アクセス制御要素102とともに、機能アクセスキー104を用いて、医療機器の操作機能を有効にしてもよい。機能アクセス制御要素は、機能アクセスキー104の内容に従い、機能を選択的に起動及び停止する。機能アクセスキーは、コントロールキー28(図1)、又は、パーソナル携帯情報機器(「PDA」)、或いは他の装置の使用等によるインタフェース40等の医療機器の入力装置を介して、プロセッサ54(図2)に伝達される。このキーは、医療機器がリモートサーバーに接続している場合、リモートサーバーによって与えることもできる。
【0080】
別の実施例において、コンピュータープログラム56は、アクセスキー104に反応して、複数の異なる機能、設定及び実行パッケージを起動させる。更に一実施例においては、医療機器の全機能を起動させるアクセスキーが存在する。このようなアクセスキーを、通常「マスター」アクセスキーと呼び、プログラムのリリース番号やバージョン番号とは無関係である。
【0081】
図5は、本発明の特徴に従った機能アクセスキー104の実施例を示す。この実施例において、機能アクセスキーは2進列であるが、文字数字の列等、他の形式でも、アクセスキーを提供できる事が、当業者には自明である。図5において、機能アクセスキー104は、コンピュータープログラムのバージョン番号を識別するために用いられる最初の2バイト105を含む12バイトを有している。
【0082】
一実施例において、バージョン番号は2つの部分からなり、リリース番号が最初のバイトに、リヴィジョン番号が2番目のバイトに保存される。アクセスキーによって識別されるバージョン番号は、アクセスキーがこの実施例で有効であるためには、医療機器のコンピュータープログラムの実際のバージョン番号と一致する必要がある。
【0083】
データ領域106は、2進列のソフトウェアバージョン番号に従う。データ領域106は、CTRLR(制御装置)と制御装置に支持される各モジュールタイプに対し2バイトの部分を含み、このモジュールタイプは、図5では、LVP(薬物注入ポンプ)、SpO2(パルス酸素濃度計)及びSYRINGE(シリンジポンプ)を含んでいる。
【0084】
ここで、3種類のモジュールが、図5の実施例に示されているが、データ領域106を拡げ、医療機器を構成するモジュールの全種類を有していてもよい。モジュールの各2バイトのセクションにおける第一のビットは、モジュールが患者ケアシステムに支持されるか否かを示す。
【0085】
各バイトにつき2ビット、即ち各ニブルにつき最小のビットが、例えばサイクリック・リダンダンシー・チェック(巡回冗長検査)(「CRC」)、或いはこの実施例では、チェックサム等の完全性照合やエラーチェック技術の用途として、確保される。各2バイトセクション中の残りのビットが、特定種類のモジュールと関わるオプションの操作機能が起動すべきか又は停止すべきかを指示する。
【0086】
この実施例におけるアクセスキー104の残りの2バイト107は、チェックサムとして用いられる。チェックサムは、使用が認可されなかった機能を起動させるアクセスキーに侵入する試みに対し、セキュリティ機能を提供する。データ領域106における未使用ビットを操作して、残りの2バイト107に保存される望ましいチェックサム値を与える。
【0087】
機能アクセスキーの形式は変更可能であり、ここでは、一実施例だけが例示目的として示され記載されている。例えば、CRC技術や類似のデータ完全性照合等の、データ完全性照合、或いはエラーチェック技術を使用することができる。
【0088】
図6は、本発明の特徴に従い、医療機器の機能へのアクセスを制御するための方法120を示す。こうした所定の医療機器は、図4に示す複数の操作機能を有しており、これらは、異なる連結で組み合わせてもよいし、単独で利用することもできる。これらの機能は、医療機器の動作を制御する。
【0089】
この方法は、122で開始され、ステップ124ではプログラムが、インストールされ、このプログラムは、複数の動作設定に医療機器を設定するため、共同して選択的に起動・停止させるあらゆる操作機能を有する。全体のコンピュータープログラムは、医療機器の制御装置のメモリにインストールされるが、このコンピュータープログラムは、制御装置が利用するシステム内に常駐し、医療機器の操作及びシステムの操作設定の選択を制御する。
【0090】
ステップ124は、医療機器の製造場所で実行されてもよく、ここでは、コンピュータープログラムのインストールを、メモリ内でフラッシュアップグレーディングにより行い、制御装置により取りうる選択に使用可能な新機能及びその連結を含めることができる。
【0091】
このプログラム126は、アクセスキーを用いずに、機能、連結機能及び実行パッケージに関する使用・起動を抑止する。上記の一実施例において、アクセスキーの存在に関係なく所定の操作機能を利用でき、これらの機能は、症候性患者に対するポンプの操作(130)を満たすという決定(128)がなされる。例えば、流量、時間及びVTBIの機能をポンプの用途に利用でき、この目的ではこれで十分である。
【0092】
しかしながら、他の機能が望まれる場合(128)、本方法は、アクセスキーのエントリー132を必要とする。アクセスキーは、照合され(134)るが、所定の情報が相関することによりアクセスキーを認証する場合は、アクセスキーのデータは受信され、医療機器の操作機能の起動に用いられる(136)。ポンプは、追加機能とともに作動される(130)。アクセスキーが認証されない場合、「他の操作機能が必要か?」という決定ボックス128へ戻る。
【0093】
図6に用いられているポンプの例等の医療機器の動作中、更に、ポンプ設定が必要であるとの決定(138)がなされれば、この設定が起動されるように、アクセスキーが入力される(132)。
【0094】
本発明の特徴に基づくアクセスキーを使用することにより、これまで各顧客の注文に応じて、カスタマイズする多数のプログラムを用いていた代わりに、全ての医療機器に対し有効である1つのプログラムで済むようになる。
【0095】
本発明に従って、医療機器を制御するために必要な全プログラム及びサブプログラムは、医療機器に常駐しており、使用できるように起動させることだけが必要である。これ以上のプログラムのインストールは、それ以上の機能を得るためには必要でない。
【0096】
たとえば、医療機器の機能及び設定に関する選考及び使用において、顧客をアシストするマーケティング要員やセールス要員は、顧客にとってどの操作設定が役に立つかを特定し、単に顧客に、その操作設定又は、その時の構成に対応する必要なアクセスキーを提供することができる。顧客、又は販売員は、必要とする操作設定を得るために、適切な入力装置を介して医療機器の制御装置に機能アクセスキーを入力する。
【0097】
別の実施例として、アクセスキーを、インターネット或いは他の通信手段による遠隔操作で製造業者により、医療機器に入力してもよく、そうすることにより、顧客が再プログラミングを行う必要がなくなる。
【0098】
ステップ136では、機能アクセス制御要素102(図4)は、機能アクセスキー104に応答し、医療機器のそれぞれの操作機能98を起動し、また停止する。その結果、機器が、所定の操作設定や、アクセスキーデータフィールドに対応する構成としてもよい。臨床医は、これに応じて、医療機器を操作することができる。
【0099】
一実施例において、アクセスキーにより起動されなかった操作機能、又は停止された操作機能は、ディスプレイ26上にオプションとして表示されず、また他に何も示されない。したがって臨床医は、見えるにもかかわらず、使用できないオプションに気を取られることはない。
【0100】
更に実施例では、不正な機能アクセスキーの使用が未遂に終われば、結果的に医療機器が、この不正なアクセスキーを無視することになる。別の実施例においては、不正確なアクセスキーの使用が未遂に終われば、医療機器を基本機能方式に戻す。その方式では、アクセスキーの使用を必要としないもの機能だけが起動する。
【0101】
一実施例の場合、一旦起動すれば、顧客が要請しない限り、その機能は禁止されない。しかしながら、プログラム(サブプログラムを含む)のアップグレードの時点で顧客は、医療機器の有用機能への要望が変更しているか否かを再度問い合わせられる。顧客が所定の機能を要求しない場合は、医療機器のプログラムのアップグレード中にその機能は起動されない。
【0102】
コンピュータープログラムのアップグレードは、例えば、PCMCIAカードやCD―ROM等の適切なコンピュータ可読媒体の配布等の代表的な方法で実行することができるか、又は、インターネット又は他のデータ通信手段との接続を介して、直接インストールすることができる。
【0103】
媒体が顧客に配布される場合、医療機器を有する健康管理施設の医療機器技術者は、医療機器のメモリにコンピュータープログラム全部をインストールする。技術者は、顧客が注文した構成に従ったアップグレード媒体と共にアクセスキーが与えられ、そのアクセスキーを入力することにより、測定機器は、要望された機能を実現する設定になる。
【0104】
以上、主に薬物注入ポンプに関して説明してきたが、本発明に従ったシステム及び方法は、他の医療機器と共に使用できる。また、酸素測定機器を示したが、その他に、モニター機器やヘルスケア機器が、本発明の特徴に包含される。
【0105】
前述のように、本発明の原理に従ったシステム及び方法によれば、個々の臨床医に適合する複数の機能を有する医療機器で、多種の機能へのアクセスを選択的に制御するための便利な手段を提供することが認識される。コンピュータープログラムの機能へのアクセスを選択的に制御しながら、製造業者は、単一のプログラムを支持・認証することができる。この選択的な起動は、様々な製造業者によって提供され、顧客が選択した所定の操作設定に対応する固有の機能アクセスキーを、各顧客に提供することができる。
【0106】
以上、本発明の特定の実施例について説明してきたが、本発明は、当業者の理解可能な範囲内で、創作力を発揮せずに修正例、及びその他の具体例を成すことができることが理解しうると思う。従って、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、本発明の形式、詳細、及び用途において、様々の変更をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】制御装置を含むモジュール式の患者ケアシステムの形をとっている医療機器の正面図であって、制御装置左側には薬物注入ポンプが、制御装置右側にはシリンジポンプモジュールが、更にシリンジポンプ右側に酸素測定モジュールが装備されている図である。
【図2】図1の制御装置の要素のブロック図である。
【図3】医療機器の一部分を形成する図1に示される薬物注入ポンプモジュールの要素のブロック図である。
【図4】個々に利用可能な複数の操作機能を有している医療機器の一例を示すブロック図であり、これら操作機能はグループ化して操作機能構成を形成し、また、本発明の特徴としての機能アクセスキー及び機能アクセスキーに反応する制御装置も示されている。
【図5】本発明の特徴による機能アクセスキーの要素のブロック図である。
【図6】本発明の特徴に従い、操作設定を誘導するための機能アクセスキーの使用により、医療機器の操作機能を選択する方法を示すチャート図である。
【符号の説明】
【0108】
20 医療機器
22 制御装置
23 シリンジポンプ
24 薬物注入ポンプモジュール
25 酸素測定モジュール
26 ディスプレイ
28 コントロールキー
30 ディスプレイ
32 コントロールキー
36 音声警報器
38 外部通信ポート
40 通信用インタフェース
42 外部通信制御装置
44 電力入力部
46 電源装置
48 内部電源
50 電力管理部
51,52 電力ポート
54 プロセッサ
56 コンピュータープログラム
57 内部通信制御装置
58,60 内部通信ポート
62 メモリ
64 バッテリーバックアップ
65 音声警報器
66 コントロールキー/ディスプレイ制御装置
68 サポートプロセッサ
70 メモリ
72 バッテリーバックアップ
74,76 電力ポート
78 電力管理プログラム
82 内部通信制御装置
84,86 通信ポート
88 モータ制御装置
90 ポンプモータ
92 センサー制御装置
94 センサ
96 安全プロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作機能を有する医療機器の操作機能へのアクセスを制御するシステムであって、
医療機器操作に対して単一機能と連結機能とを選択する選択信号を有する制御信号を、オペレーターが医療機器操作のために提供する入力装置と、
アクセス要素と機能制御要素とを有するアクセスキーと、
アクセスキーに対応してアクセス要素を認容できるか否かを決定し、認容できる場合には、アクセスキーの機能制御要素に従って医療機器の所定の操作機能を有効又は無効にする制御装置
とを備え、
前記制御装置は、入力装置からの制御信号に対応して、有効機能に対しオペレータの制御を有効とし、また無効機能に対しオペレータ制御を無効とするようになっていることを特徴とするアクセス制御システム。
【請求項2】
複数の機能が含まれる機能パッケージに制御装置が対応し、機能パッケージがアクセスキーによって有効になる場合には、有効な機能パッケージの選択を医療機器のオペレーターに許可することにより、医療機器に対して、パッケージの全機能を適用するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御システム。
【請求項3】
アクセス要素が、リリース番号の識別子を備えていることを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御システム。
【請求項4】
アクセス要素は、プログラムバージョンの識別子を備えていることを特徴とする請求項3に記載のアクセス制御システム。
【請求項5】
制御装置は、アクセス装置に関係なく、基本操作機能に対する入力装置からのオペレータ制御に反応するようになっていることを特徴とする請求項3に記載のアクセス制御システム。
【請求項6】
制御装置と入力装置とは、医療機器の一部を形成していることを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御システム。
【請求項7】
制御装置は、医療機器を制御するプログラムを備え、このプログラムは、操作機能を制御する複数のサブプログラムを有し、かつ制御装置は、アクセスキーの機能要素に反応して、所定のサブプログラムを有効にし、他のサブプログラムを無効にするようになっていることを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御システム。
【請求項8】
医療機器内に更にメモリを備え、
制御装置は、医療機器内に配置されメモリと通信し、
医療機器制御プログラムは、メモリに保存され、
制御プログラムは、オペレーターが実行できる医療機器の全操作機能を制御する複数のサブプログラムを有しており、それぞれのサブプログラムが有効であれば、その制御プログラムが働き、
制御装置は、アクセスキーの機能要素に応じて、所定のサブプログラムを有効にし、他のサブプログラムを無効にすることにより、医療機器のどの機能をオペレーターが使用可能であるかを制御するようになっていることを特徴とする請求項7に記載のアクセス制御システム。
【請求項9】
更にディスプレイを備え
制御装置は、医療機器特性の制御に関する所定の情報、及び選択可能なオプションを、ディスプレイ上に表示し、
制御装置は、無効なサブプログラム及び特性についての情報を、ディスプレイ上に表示しないようになっていることを特徴とする請求項8に記載のアクセス制御システム。
【請求項10】
医療施設で使用する所定の場所と関連する操作機能グループを有することを特徴とする請求項7に記載のアクセス制御システム。
【請求項11】
制御装置は、完全性の照合操作を実行することにより、アクセスキーが真正か否かを確認するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御システム。
【請求項12】
複数の操作機能を有する医療機器の操作機能へのアクセスを制御する方法であって、
医療機器操作用に単一機能と複数機能の連結とのいずれかを選択する選択信号を含む医療機器操作用制御信号を提供する過程と、
アクセス要素と機能制御要素とを有するアクセス信号を提供する過程と、
アクセス要素が認容されるか否か決定し、認容される場合には、アクセスキーの機能制御要素に従って医療機器の特定の操作機能を有効又は無効にする過程と、
有効な機能に対してオペレータ制御用制御信号を認容し、無効な機能に対して、オペレータ制御を認容しない過程とを有することを特徴とするアクセス制御方法。
【請求項13】
アクセス信号を提供する前記過程は、複数の操作機能を含む機能パッケージを有する機能制御要素を提供する操作を含み、機能パッケージが有効の場合には、機能パッケージに含まれる全機能に対し、オペレータ制御に関する制御信号を受信するようになっていることを特徴とする請求項12に記載のアクセス制御方法。
【請求項14】
アクセス信号を提供する前記過程は、リリース番号を提供する操作を有することを特徴とする請求項12に記載のアクセス制御方法。
【請求項15】
アクセス信号を提供する前記過程は、プログラムバージョンを提供する操作を有することを特徴とする請求項12に記載のアクセス制御方法。
【請求項16】
アクセス信号を提供するか否かに関係なく、基本操作機能に関するオペレーター制御信号に応答する過程を更に有することを特徴とする請求項12に記載のアクセス制御方法。
【請求項17】
操作機能を制御する複数のサブプログラムを有する、医療機器制御用の制御プログラムをインストールする過程と、アクセスキーの機能要素に応答して、制御プログラムにより所定のサブプログラムを有効にし、他のサブプログラムを無効にする過程とを更に有することを特徴とする請求項12に記載のアクセス制御方法。
【請求項18】
多数のサブプログラムを有する制御プログラムを、医療機器内に配置されるメモリにインストールする過程を更に備え、当該多数のサブプログラムは、各サブプログラムが有効の場合には、オペレーターが制御できる医療機器の全操作機能を制御して、所定のサブプログラムを有効にし、他のサブプログラムを無効にするにする前記過程は、オペレーターによって、医療機器のどの機能が有効であるかを制御することを特徴とする請求項17に記載のアクセス制御方法。
【請求項19】
医療機器の機能を制御するための所定の情報と選択可能なオプションとを表示する過程と、無効なサブプログラム及び機能の情報のディスプレイ上の表示を無効にする過程とを更に有することを特徴とする請求項18に記載のアクセス制御方法。
【請求項20】
完全性の照合操作を実行することにより、アクセス信号が真正か否かを確認する過程を更に有することを特徴とする請求項12のアクセスを制御するための方法。
【請求項21】
アプリケーションプログラムのサブプログラム、及び連結サブプログラムへのアクセスを制御するシステムであって、このサブプログラムは、個々に実行可能であるか、あるいは相互に選択可能な連結として実施可能であり、前記システムは、
アプリケーションプログラムのオペレーターに対して、単一のサブプログラム又は連結サブプログラムに適合する選択信号を備える制御信号を、アプリケーションプログラムの操作に関して提供するための入力装置と、
アクセス要素と機能制御要素とを有するアクセスキーと、アクセスキーに応じてアクセス要素が認容されるか否かを決定し、認容される場合は、アクセスキーの機能制御要素に従ってアプリケーションプログラムの所定のサブプログラムを有効・無効にする制御装置プログラムとを備え、
前記制御装置プログラムは、入力装置からの制御信号に応じて、有効なサブプログラムに対するオペレータ制御を許可し、あるいは無効サブプログラムに対するオペレータ制御を許可しないようになっていることを特徴とするアクセス制御システム。
【請求項22】
複数のサブプログラムが含まれるサブプログラムパッケージに制御装置プログラムが対応し、アクセスキーによって有効の場合には、アプリケーションプログラムのオペレーターが、有効な機能サブプログラムを選択し、パッケージ中の全サブプログラムの操作を許可するようになっていることを特徴とする請求項21に記載のアクセス制御システム。
【請求項23】
アクセス要素は、リリース番号の識別子を備えていることを特徴とする請求項21に記載のアクセス制御システム。
【請求項24】
アクセス要素は、プログラムバージョンの識別子を備えていることを特徴とする請求項23に記載のアクセス制御システム。
【請求項25】
制御装置プログラムは、アクセス装置に関係なく、基礎サブプログラムに対する入力装置からのオペレータ制御に反応するようになっていることを特徴とする請求項21に記載のアクセス制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−532629(P2008−532629A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500796(P2008−500796)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/007886
【国際公開番号】WO2006/098927
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(507271514)カルディナル ヘルス 303 インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】