説明

医療用製品に用いるポリ(エステルアミド)と薬剤を含有するポリマー及びその製造方法

医療用製品に用いるポリ(エステルアミド)及び薬剤を含有するポリマー並びに当該ポリマーを製造する方法を開示する。一般的に、当該医療用製品はコーティングを有する埋め込み型基材を含み、当該コーティングは、ポリオール、ポリカルボン酸、アミノ酸及び薬剤を含む反応のポリマー生成物を含むポリマーを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用製品に用いるポリマーに関し、より詳細にはポリ(エステルアミド)及び薬剤を含有するポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
生体材料における現在のパラダイムはインプラント表面への蛋白質吸着の制御である。インプラント表面への無制御蛋白質吸着は現在の生体材料インプラントに関する問題であり、インプラント表面への部分的に変性した蛋白質の混合層を生ずる。この部分的に変性した蛋白質の混合層は、例えば、フィブリノーゲン及び免疫グロブリンGのような吸着血漿蛋白質から細胞結合部位を供することにより疾患を生ずる。血小板や、例えば単球、マクロファージ及び好中球のような炎症細胞は細胞結合部位に付着する。広範な炎症誘発因子及び増殖因子が分泌され、疾患状態を生じ得る。従って、この部分的に変性した蛋白質の混合層に汚染されず、或いはあまり汚染されない表面である非汚染性表面が望ましい。
【0003】
ステントは非汚染性表面の利益を享受し得るインプラントの一例である。ステントは薬学的に活性な薬剤を送達するための媒体として使用可能な機械的介入手段である。機械的介入手段として、ステントは哺乳動物内の経路を物理的に開通状態にし、所望であれば拡張することができる。通常、ステントは圧縮され、カテーテルを通じて小血管に挿入され、次に、適正部位に留置されると同時により大きな径に膨張され得る。ステントを開示している特許の例には米国特許第4,733,665号、第4,800,882号及び第4,886,062号が含まれる。
【0004】
ステントは、例えば、心疾患を処置するのに用いられる経皮経管冠動脈形成術(PTCA)のような様々な医療処置において重要な役割を果たす。PTCAではバルーンカテーテルが上腕動脈又は大腿動脈を通じて挿入され、冠動脈閉塞部にわたって留置され、膨張されてアテローム斑を圧迫し、冠動脈の内腔を開通させ、収縮され、そして抜去される。PTCAに関する問題には内膜フラップ又は断裂動脈内層の形成が含まれ、これは両方とも冠動脈の内腔に別の閉塞部を生じ得る。更に、処置数カ月後に血栓及び再狭窄が生じ、更なる動脈形成術又はバイパス手術を行う必要が生じ得る。一般的に、ステントは閉塞を低減し、血栓及び再狭窄を抑制し、冠動脈内腔のような血管内腔内の開存を維持するために埋め込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
薬剤の全身送達より薬剤の局所送達のほうが好ましいことが多く、特に、哺乳動物内の特定部位において効果を得るために高用量全身投与が必要な場合がそうであり、それは薬剤の高用量全身投与は哺乳動物内に有害作用を生じ得ることが多いためである。提案された局所送達の一方法は、医療用製品の表面にポリマー担体をコーティングし、当該ポリマー担体に薬剤を付着させることを含む。現在所望されているポリマー材料の一部は生分解性であるが、残念なことにこれらのポリマーは多くの医療用途に対して十分な機械特性を有さない。例えば、現在得られるポリ(エステルアミド)の強度は多くのステント適用には不十分であることが見出されている。従って、より良好な機械特性を有する生分解性ポリマー材料が必要である。
【0006】
別の問題は哺乳動物内の生分解性コーティングからの薬剤の放出に関連する規制上の懸念に関わる。この問題はポリマー担体由来の分子がコーティングの分解と同時に薬剤に付着し得るということである。これらの付加的分子は薬剤の当初の規制認可においては考慮されなかったため、薬剤の生物活性の変化の可能性に関する規制上の懸念があり得る。従って、ポリマー担体に由来するの付加的分子を実質的に含まない薬剤を放出するコーティングが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概して、本発明の実施形態はポリ(エステルアミド)と治療剤、予防剤又は他の薬剤のような薬剤を含有する、医療用製品に用いるポリマーを包含する。これらのポリマーを製造する方法も本発明に包含される。一部の実施形態において、概して、当該ポリマーはポリオール、ポリカルボン酸、アミノ酸及び薬剤間の反応のポリマー生成物であるポリ(エステルアミド)を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
一部の実施形態において、本発明は次の化学式で表されるポリマーを含むことができる。
【化1】

式中、Aは、
【化2】

を含み、Bは、
【化3】

を含む。
【0009】
及びR基は任意であり、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る。R基は置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルから選択され得る。R及びR基は水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る。R基は置換、非置換、ヘテロ−、直鎖及び分岐脂肪族ラジカルから選択され得る。L基はAとBを結合する任意のリンケージであり得て、X基は任意で薬剤となり得る。L基は任意でXとポリマーを結合するリンケージであり得て、n及びmは0に等しくない整数である。しかし、(i)R,R及びRが独立して選択される、2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカルであり;(ii)R及びRが独立して選択される、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり;(iii)Rがペンチレンラジカルであり;(iv)Xが1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり;(v)m及びnが0に等しくない整数である場合、Lは、
【化4】

とはなり得ず、この場合、Lの炭素はペンチレンラジカルRのC又はCに結合する。更に、(i)R及びRが非置換直鎖オクチレンラジカルであり;(ii)Rが非置換直鎖ブチレンラジカルであり;(iii)R及びRが非置換t−ブチルラジカルであり;(iv)Rがペンチレンラジカルであり;(v)XがTEMPOである場合、Lは、
【化5】

とはなり得ず、この場合、Lの炭素はペンチレンラジカルRのC又はCに結合し、Lの窒素はTEMPOのCに結合する。更に、(i)R及びRが直鎖ブチル又は直鎖ヘキシルラジカルであり;(ii)Rが2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカルであり;(iii)R及びRが独立して選択される、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり;(iv)Rがペンチレンラジカルであり;(v)XがTEMPOであり、Lが、
【化6】

であり、或いはXがラパマイシンであり、Lが、
【化7】

である場合、R及びRはエポキシ基に置換され得ない。
【0010】
他の実施形態において、本発明は化学式、
【化8】

により示されるポリマーを含むこともできる。
式中、Aは、
【化9】

を含み、Bは、
【化10】

を含む。
【0011】
及びR基は任意であり、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る。R基は置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルから選択され得る。R,R及びR基は水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る。R基は置換、非置換、ヘテロ−、直鎖及び分岐脂肪族ラジカルから選択され得る。L基はAとBを結合する任意のリンケージであり得て、X基は任意で薬剤となり得る。L基は任意でXとポリマーを結合するリンケージであり得て、n及びmは0に等しくない整数である。
【0012】
他の実施形態において、本発明は化学式、
【化11】

により示されるポリマーを含むこともできる。
式中、Aは、
【化12】

を含み、Bは、
【化13】

を含む。
【0013】
及びR基は任意であり、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る。R基は置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルから選択され得る。R,R,R及びR基は水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る。R基は置換、非置換、ヘテロ−、直鎖及び分岐脂肪族ラジカルから選択され得る。L基はAとBを結合する任意のリンケージであり得て、X基は任意で薬剤となり得る。L基は任意でXとポリマーを結合するリンケージであり得て、n及びmは0に等しくない整数である。
【0014】
他の実施形態において、本発明は、生体有益性、生物活性、診断的であり得る特性を有する薬剤を含む、ポリ(エステルアミド)コーティング及びコーティングされた医療用製品も提供する。一部の実施形態において、当該医療用製品は薬剤の局所送達を供するステントを含み得る。
【0015】
以下により詳細に述べるように、通常、本発明の実施形態は、医療用製品に用いるポリ(エステルアミド)と治療薬、予防薬、診断薬又は他の薬剤のような薬剤を含む組成物並びに当該組成物を製造する方法を包含する。当該組成物はポリオール、ポリカルボン酸、アミノ酸及び任意で薬剤の間の反応のポリマー生成物であり得る。当該医療用製品は任意の医療デバイスを含み、これはステントのような埋め込み型医療デバイスであり得る。一部の実施形態において、当該組成物は埋め込み型基材上のコーティングとして用いられ得る。別の実施形態において、ステントのような医療デバイスは全体的に、或いは部分的に当該組成物から作製される。
【0016】
「薬剤」は生物活性、生体有益性、診断的であり、或いはこれらの特性の組合せを有し得る部分となり得る。「部分」は少なくとも2個の原子からなる官能基、高分子における結合残基、コポリマーにおける個々のユニット又はポリマーブロック全体となり得る。「生物活性剤」はポリマーに結合可能な部分であり、治療効果、予防効果、治療及び予防の両方の効果或いは他の生物活性効果を付与する。また、「生物活性剤」はポリマーと組み合わされ、混合され、或いはブレンドされ得る。本発明の生物活性剤はポリマーの部分に結合された状態にされ、或いはポリマーから放出され得る。「生体有益性薬剤」は必ずしもポリマーから放出されずに哺乳動物内に生物学的利益を付与する、ポリマーに結合した薬剤である。また、「生体有益性薬剤」はポリマーと組み合わされ、混合され、或いはブレンドされ得る。
【0017】
本明細書に記載する教示を通じて改善可能な医療用製品はいずれも本発明の範囲内にあると理解する必要がある。医療デバイスの例には、これらに限定されるわけではないが、ステントグラフト、人工心臓弁、脳脊髄液シャント、ペースメーカー電極、ガイドワイヤ、心室補助装置、心肺バイパス回路、血液酸素付加装置、冠動脈シャント(AXIUS(商標)、Guidant Corp.)及び心臓内リード線(FINELINE(登録商標)及びENDOTAK(登録商標)、Guidant Corp.)が含まれる。
【0018】
医療デバイスは金属又は合金からなり得て、ELASTINITE(登録商標)(Guidant Corp.)、NITINOL(登録商標)(Nitinol Devices and Components社)、ステンレス鋼、タンタル、タンタルベースの合金、ニッケル−チタン合金、白金、例えば白金−イリジウム合金のような白金ベースの合金、イリジウム、金、マグネシウム、チタン、チタンベースの合金、ジルコニウムベースの合金、コバルト及びクロムを含む合金(ELGILOY(登録商標)、Elgiloy Specialty Metals,Inc.;MP35N及びMP20N、SPS Technologies社)或いはこれらの組合せを含むが、これらに限定されるわけではない。商品名“MP35N”及び“MP20N”はコバルト、ニッケル、クロム及びモリブデンの合金を示す。“MP35N”は35%コバルト、35%ニッケル、20%クロム及び10%モリブデンからなる。“MP20N”は50%コバルト、20%ニッケル、20%クロム及び10%モリブデンからなる。生体吸収性ポリマー又は生体安定性ポリマーからなる構造成分を有する医療デバイスも本発明の範囲内に含まれる。
【0019】
(ポリマーの調製)
一実施形態において、組成物を調製するのに用いられるポリマーはPEAであり、これはエステル基の不安定性のためにPEA構造を生分解性にする。PEAは少なくとも1つのアミド基及び少なくとも1つのエステル基を含み、その結果、多彩な分子構造を有し得る。このようなポリマーは、例えば、ステントコーティングの適用に対する十分な機械強度と、哺乳動物により分解、吸収、再吸収及び除去される能力を示すことができる。本発明を目的として、ポリマー又はコーティングは、インビボの環境又はインビボの環境に実質的に類似した物理的、化学的、若しくは生物学的特性を有するインビトロの環境に曝露されたときに完全に、或いは実質的に分解或いは浸蝕可能である場合に「生分解性」である。ポリマー又はコーティングは、例えば、哺乳動物内の加水分解、酵素分解、代謝過程、バルク又は表面の浸蝕などにより、分解若しくは徐々に分解され得る場合には浸蝕、再吸収、吸収及び/又は除去可能である。生分解後、ポリマーの極微量又は残渣がデバイス上に残存し得ることを理解する必要がある。この用途において「生体吸収性」及び「生分解性」という用語は互換的に用いられる。
【0020】
本発明において用いられるポリマーは生分解性でよく、縮合コポリマーを含み得るが、これに限定されない。しかし、生分解性ポリマーの100%未満がPEAである場合、PEA以外のポリマーが組成物の残余を構成することを理解する必要がある。加えて、これら他のポリマーは、例えば、イソシアネート又はジイソシアネートを用いてPEAとブレンド或いは架橋もされ得る。これら他のポリマーも生分解性である場合、その組入れ量は、生分解性ポリマーから形成される生成物の必要とされる性能パラメータに対するその作用により制限する必要がある。このような性能パラメータには、例えば、コーティングの機械強度又は生分解速度及び哺乳動物からのコーティングの除去が含まれ得る。他のポリマーが非生分解性である場合、生分解の間に生成されるポリマー断片は哺乳動物からの当該断片の除去を確実にするサイズの分子量を有する必要がある。一部の実施形態において、ポリマー断片の分子量は約40,000ダルトン以下又はその任意の範囲内である必要がある。他の実施形態において、当該断片の分子量は約300ダルトン〜約40,000ダルトン、約8,000ダルトン〜約30,000ダルトン、約10,000ダルトン〜約20,000ダルトン又はその任意の範囲内である。
【0021】
PEAと組み合わせることができるポリマーの例には、これらに限定されないが、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)及びポリ(エチルメタクリレート−co−ブチルメタクリレート)のようなポリアクリレート;ポリ(ビニリデンフルオリド)及びポリ(ビニリデンフルオリド−co−ヘキサフルオロプロペン)のようなフッ素化ポリマー;ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリ(ヒドロキシバレレート);ポリ(L−乳酸);ポリカプロラクトン;ポリ(ラクチド−co−グリコリド);ポリ(ヒドロキシブチレート);ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート);ポリジオキサノン;ポリオルソエステル;ポリ無水物;ポリ(グリコール酸);ポリ(D,L−乳酸);ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート);ポリホスホエステル;ポリホスホエステルウレタン;ポリ(アミノ酸);シアノアクリレート;ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(イミノカーボネート);コポリ(エーテル−エステル);ポリアルキレンオキサレート;ポリホスファゼン;生体分子、例えばフィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、テンプン、コラーゲン及びヒアルロン酸;ポリウレタン;シリコーン;ポリエステル;ポリオレフィン;ポリイソブチレン及びエチレン−アルファオレフィンコポリマー;ポリビニルクロリドのようなビニルハリドポリマー及びコポリマー;ポリビニルメチルエーテルのようなポリビニルエーテル;ポリビニリデンクロリド;ポリアクリロニトリル;ポリビニルケトン;ポリスチレンのようなポリビニル芳香族;ポリビニルアセテートのようなポリビニルエステル;ビニルモノマー同士及びオレフィンとのコポリマー、例えばポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)(EVAL)、エチレン−メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂及びエチレン−ビニルアセテートコポリマー);ナイロン66及びポリカプロラクタムのようなポリアミド;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル;エポキシ樹脂;ポリウレタン;レーヨン;レーヨン−トリアセテート;セルロース;セルロースアセテート;セルロースブチレート;セルロースアセテートブチレート;セロファン;セルロースニトレート;セルロースプロピオネート;セルロースエーテル;並びにカルボキシメチルセルロースが含まれる。
【0022】
一部の実施形態において、組成物はポリマー及び薬剤を含む。一実施形態において、組成物はポリオール、ポリカルボン酸、アミノ酸及び任意で薬剤の反応生成物となり得る。
【0023】
本発明において用いられるポリオールは2つ以上のヒドロキシル基を有する有機化合物となり得る。一部の実施形態において、ポリオールは、これらに限定されないが、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及び化学式(I)により表される化合物を含む。
【化14】

式中、Rは置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換、非置換又はヘテロ−芳香族ラジカルとなり得て、nは整数である。一部の実施形態において、ポリオールはジオールである。使用可能なジオールの例には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジヒドロキシアセトン及び、例えば1,4−シス−シクロヘキサンジメタノールのようなシクロヘキサンジメタノールが含まれる。他の実施形態において、Rは置換又は非置換ポリ(アルキレングリコール)とすることができ、これにはポリ(エチレングリコール)(PEG)、メトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド)或いはこれらのコポリマー及び組合せが含まれるが、これらに限定されるわけではない。一実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)はPEGである。別の実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)はmPEGのようなPEG誘導体である。別の実施形態において、RはPEGのコポリマー又はmPEGのようなPEG誘導体のコポリマーとすることができる。本発明の全実施形態におけるPEGは、約100ダルトン〜約4000ダルトン、約200ダルトン〜約2000ダルトン、約300ダルトン〜約1000ダルトン、約400ダルトン〜約900ダルトン、約500ダルトン〜約800ダルトン又はその任意の範囲内の分子量を有することができる。本発明の一部の実施形態において一部の基、サブグループ及び個々のポリオールが用いられ得ないということを当業者は認識する必要があると理解すべきである。
【0024】
本明細書で用いる化学表記法に関し、各官能基Rは置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換、非置換又はヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る。例えば、R基はH;アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基のような脂肪族炭化水素基;アリール基、アラルキル基、アラルケニル基及びアラルキニル基のような芳香族基;並びに以下に明示するような他の基から選択され得る。本発明の一部の実施形態において、脂肪族ラジカルは約1〜約50個の炭素原子、約2〜約40個の炭素原子、約3〜約30個の炭素原子、約4〜約20個の炭素原子、約5〜約15個の炭素原子、約6〜約10個の炭素原子及びその任意の範囲内の炭素原子を有する。一部の実施形態において、芳香族ラジカルは約6〜約180個の炭素原子、約12〜約150個の炭素原子、約18〜約120個の炭素原子、約24〜約90個の炭素原子、約30〜約60個の炭素原子及びその任意の範囲内の炭素原子を有する。
【0025】
「アルキル」という用語は直鎖又は分岐炭化水素鎖を指す。アルキル基の例には、低級アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル又はイソ−ヘキシル;高級アルキル基、例えばn−ヘプチル、n−オクチル、イソ−オクチル、ノニル、デシルなど;低級アルキレン、例えばエチレン、プロピレン、プロピレン、プロピリン、ブチレン、ブタジエン、ペンテン、n−ヘキセン及びイソ−ヘキセン;並びに高級アルキレン、例えばn−ヘプテン、n−オクテン、イソ−オクテン、ノネン、デセンなどが含まれる。当業者は多くの直鎖及び分岐アルキル基に精通しており、これらは本発明の範囲内にある。加えて、このようなアルキル基は様々な置換基も含み得て、1個以上の水素原子が官能基又は鎖中官能基に置換される。「直鎖又は分岐」という用語は、アルカン、アルケン及びアルキンを含むがこれらに限定されない任意の置換又は非置換非環状炭素含有化合物を含む。
【0026】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素結合が炭素−炭素二重結合である直鎖又は分岐炭化水素鎖を指す。「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素結合が炭素−炭素三重結合である直鎖又は分岐炭化水素鎖を指す。「アリール」という用語は、少なくとも6個のπ(パイ)電子を含むことが多い共役二重結合系を有する炭化水素環を指す。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、アニシル、トルイル、キシレニルなどが含まれるがこれらに限定されない。「アラルキル」という用語は少なくとも1つのアリール基に置換されたアルキル基を指す。「アラルケニル」という用語は少なくとも1つのアリール基に置換されたアルケニル基を指す。
【0027】
ラジカルは0.1モルパーセント未満の1個以上の炭素原子を有する側鎖を有する場合、「直鎖」である。一部の実施形態において、ラジカルは0.01モルパーセント未満のこのような側鎖を有する場合、直鎖である。他の実施形態において、ラジカルは0.001モルパーセント未満のこのような側鎖を有する場合、直鎖である。ラジカルは0.1モルパーセント超の1個以上の炭素原子を有する側鎖を有する場合、「分岐」である。一部の実施形態において、ラジカルは0.01モルパーセント超のこのような側鎖を有する場合、分岐である。他の実施形態において、ラジカルは0.001モルパーセント超のこのような側鎖を有する場合、分岐である。「ラジカル」、「基」、「官能基」及び「置換基」という用語は一部の文脈において互換的に用いることができ、同時に用いて化学構造を更に説明することができる。例えば、「官能基」という用語は、化学構造に対して鎖中、側鎖及び/又は末端である化学構造の可変要素である化学「基」又は「ラジカル」を指すことができる。このような官能基は置換され得る。置換されたラジカルにおける置換基の例には、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、アミド、イミド及びこれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。また、このような官能基は、例えば、ヘテロ原子を有することもできる。ヘテロ−ラジカルのヘテロ原子の例には、硫黄、リン、酸素、窒素及びこれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。
【0028】
本発明において用いられるポリカルボン酸は、2つ以上のカルボキシル基を有する有機酸となり得る。一部の実施形態において、ポリカルボン酸はジカルボン酸及びトリカルボン酸を含み、脂肪族又は芳香族構造となり得る。一実施形態において、ポリカルボン酸は化学式(II)により次のように表される。
【化15】

式中、Rは任意であり、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換又は非置換芳香族ラジカルとなり得て、nは整数である。ポリカルボン酸の例には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。本発明の一部の実施形態において一部の基、サブグループ及び個々のポリカルボン酸が用いられ得ないということを当業者は認識する必要があると理解すべきである。
【0029】
一部の実施形態において、Rはメチレン[―(CH―]又はフェニレン基[─C─]であり、式中、yは0〜16の整数である。他の実施形態において、Rは置換され、或いは置換されないポリ(アルキレングリコール)であり、これはPEG、mPEGのようなPEG誘導体、ポリ(エチレンオキシド)、PPG、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド)或いはこれらのコポリマー及び組合せが含まれるが、これらに限定されるわけではない。一実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)はPEGである。別の実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)はmPEGのようなPEG誘導体である。別の実施形態において、RはPEGのコポリマー又はmPEGのようなPEG誘導体のコポリマーとすることができる。他の実施形態において、Rはアリールとすることができる。他の実施形態において、Rはエポキシ基に置換され得ない。他の実施形態において、RはPEGを含み得ない。
【0030】
本発明において用いられるアミノ酸はアミノ基及びカルボキシル基を含む有機化合物であり得て、アミノ基は一級又は二級となり得る。アミノ酸の例には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギン、プロリン、トリプトファン、ヒスチジン及びこれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。一部の実施形態において、アミノ酸は化学式(III)により次のように表される。
【化16】

式中、Rは水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換、非置換又はヘテロ−芳香族ラジカルとなり得る。一部の実施形態において、Rは置換、非置換又はヘテロ−形態のメチル、イソ−プロピル、sec−ブチル、イソ−ブチル、ベンジル又はこれらの組合せとすることができる。
【0031】
Rが置換される実施形態において、置換基の例には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるわけではない。Rがヘテロ脂肪族である実施形態において、ヘテロ原子の例には、硫黄、リン、酸素、窒素及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるわけではない。他の実施形態において、Rは置換され、或いは置換されないポリ(アルキレングリコール)を含むことができ、これはPEG、mPEGのようなPEG誘導体、ポリ(エチレンオキシド)、PPG、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド)或いはこれらのコポリマー及び組合せが含まれるが、これらに限定されるわけではない。一実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)はPEGである。別の実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)はmPEGのようなPEG誘導体を含み得る。別の実施形態において、RはPEGのコポリマー又はmPEGのようなPEG誘導体のコポリマー含むことができる。
【0032】
一部の実施形態において、アミノ酸は二官能性アミノ酸に限定され得る。一部の実施形態において、アミノ酸は三官能性アミノ酸に限定され得る。一部の実施形態において、アミノ酸はジアミンに限定され得る。一部の実施形態において、アミノ酸はトリアミンに限定され得る。一部の実施形態において、アミノ酸はモノカルボン酸に限定され得る。一部の実施形態において、アミノ酸はジカルボン酸に限定され得る。一部の実施形態において、アミノ酸は脂肪族に限定され得る。一部の実施形態において、アミノ酸は芳香族に限定され得る。一部の実施形態において、アミノ酸はアミドに限定され得る。一部の実施形態において、アミノ酸はリシンを含有し得ない。本発明の一部の実施形態において一部の基、サブグループ及び個々のアミノ酸が用いられ得ないということを当業者は認識する必要があると理解すべきである。
【0033】
(生体有益性・生物活性剤)
一部の実施形態において、薬剤はポリマーに結合され、生体有益性、生物活性、診断的であり、或いはこれらの特性の組合せを有し得る。生体有益性剤はポリマーに結合され得る部分であり、ポリマーから放出されずに生物学的利益、例えば蛋白質吸着の制御を付与することができる。一部の実施形態において、生体有益性剤はポリマーから放出或いは分離可能である。他の実施形態において、生体有益性剤は薬剤をポリマーに結合するのに用いることができる反応基を有する必要がある。反応基の例には、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びアミノ基が含まれるが、これらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、薬剤の分子量は哺乳動物からの薬剤の除去を確実にするため、約40,000ダルトン以下又はその任意の範囲内である必要がある。一実施形態において、薬剤の分子量は約300ダルトン〜約40,000ダルトン、約8,000ダルトン〜約30,000ダルトン、約10,000ダルトン〜約20,000ダルトン又はその任意の範囲内である。本発明の一部の実施形態において一部の基、サブグループ及び個々の生体有益性剤が用いられ得ないということを当業者は認識する必要があると理解すべきである。
【0034】
生体有益性剤の例には、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(N−ビニル−ピロリドン)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、スルホン化デキストラン、ポリホスファゼン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ヒアルロン酸、ヘパリン並びにこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー及び組合せが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0035】
ヘパリン誘導体の例には、ヘパリンの土類金属塩、例えばヘパリンナトリウム、ヘパリンカリウム、ヘパリンリチウム、ヘパリンカルシウム、ヘパリンマグネシウム及び低分子量ヘパリンが含まれるが、これらに限定されない。ヘパリン誘導体の他の例には、ヘパリン硫酸、ヘパリノイド、ヘパリンベースの化合物、疎水性物質で誘導体化されたヘパリンが含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
ポリ(アルキレングリコール)はPEG、mPEG、ポリ(エチレンオキシド)、PPG、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド)並びにこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー及び組合せを含むが、これらに限定されない。一実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)はmPEGである。
【0037】
生体有益性剤として用いられ得るコポリマーは、前述例の生体有益性剤の任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー及び組合せを含むが、これらに限定されない。本発明において生体有益性剤として用いられ得るコポリマーの例には、PEGとヒアルロン酸のコポリマー;PEGとヘパリンのコポリマー;ポリ(L−リシン)とPEGのコポリマー;及びこれらのコポリマーの任意の誘導体、類似体、同族体、塩若しくは組合せが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、生体有益性剤として用いられ得るコポリマーはPEGとヒアルロン酸のコポリマー又はこの任意の誘導体、類似体、同族体、塩、コポリマー若しくは組合せである。
【0038】
生物活性剤は哺乳動物における治療効果、予防効果、治療及び予防の両方の効果或いは他の生物活性効果に寄与することが可能な任意の部分とすることができる。当該薬剤は診断特性も有し得る。生物活性剤は低分子、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、アミノ酸、オリゴペプチド、ポリペプチド及び蛋白質を含むが、これらに限定されない。一例において、生物活性剤は血管平滑筋細胞の活性を抑制する。別の例において、生物活性剤は平滑筋細胞の移動及び増殖を制御して再狭窄を抑制する。
【0039】
生物活性剤は抗増殖剤、抗腫瘍剤、抗有糸分裂剤、抗炎症剤、抗血小板剤、抗凝固剤、抗フィブリン剤、抗トロンビン剤、抗有糸分裂剤、抗生物質、抗アレルギー剤、抗酸化物質並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せを含むが、これらに限定されない。本発明の一部の実施形態において一部の基、サブグループ及び個々の生物活性剤が用いられ得ないということを当業者は認識する必要があると理解すべきである。
【0040】
抗増殖剤は、例えば、アクチノマイシンD、アクチノマイシンIV、アクチノマイシンI、アクチノマイシンX、アクチノマイシンC及びダクチノマイシン(COSMEGEN(登録商標)、Merck & Co.,Inc.)を含む。抗腫瘍剤又は抗有糸分裂剤は、例えば、パクリタキセル(例えば、TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.)、ドセタキセル(タキソテール(登録商標)、Aventis S.A.)、メソトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、ドキソルビシン塩酸塩(アドリアマイシン(登録商標)、Pfizer,Inc.)及びマイトマイシン(MUTAMYCIN(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.)並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せを含む。抗血小板剤、抗凝固剤、抗フィブリン剤及び抗トロンビン剤は、例えば、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリンとプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン剤)、ジピリダモール、糖蛋白質IIb/IIIa血小板膜受容体アンタゴニスト抗体、組換えヒルジン及びトロンビン阻害剤(ANGIOMAX(登録商標)、Biogen,Inc.)並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せを含む。細胞増殖抑制剤又は抗増殖剤は、例えば、アンジオペプチン、カプトプリル(カポテン(登録商標)及びCAPOZIDE(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Co.)、シラザプリル又はリシノプリル(プリニビル(登録商標)及びプリンザイド(登録商標)、Merck & Co.,Inc.)のようなアンジオテンシン変換酵素阻害剤;ニフェジピンのようなカルシウムチャネル遮断薬;コルヒチン;線維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト、魚油(オメガ3脂肪酸);ヒスタミン拮抗薬;ロバスタチン(メバコール(登録商標)、Merck & Co.,Inc.);血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に特異的な抗体を含むがこれに限定されないモノクローナル抗体;ニトロプルシド;ホスホジエステラーゼ阻害剤;プロスタグランジン阻害剤;スラミン;セロトニン遮断薬;ステロイド;チオプロテアーゼ阻害剤;トリアゾロピリミジンを含むがこれに限定されないPDGFアンタゴニスト;及び酸化窒素並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せを含む。抗アレルギー剤はペミロラストカリウム(ALAMAST(登録商標)、Santen,Inc.)並びにこの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せを含む。
【0041】
本発明において有用な他の生物活性剤は、フリーラジカル捕捉剤;一酸化窒素供与体;ラパマイシン;エベロリムス;タクロリムス;40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン;40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン;40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン;米国特許第6,329,386号に記載されているようなテトラゾール含有ラパマイシン類似体;クロベタゾール;イドキシフェン;タザロテン;アルファ−インターフェロン;上皮細胞のような宿主細胞;遺伝子処理した上皮細胞;デキサメサゾン;並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せを含むが、これらに限定されない。
【0042】
フリーラジカル捕捉剤は、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ(piperinyloxy)、フリーラジカル(TEMPO);4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ(piperinyloxy)、フリーラジカル(4−アミノ−TEMPO);4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン(piperidene)−1−オキシ、フリーラジカル(TEMPOL)、2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イロキシメチルサルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼ模倣体(SODm)並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せを含むが、これらに限定されない。一酸化窒素供与体は、S−ニトロソチオール、亜硝酸、N−オキソ−N−ニトロソアミン、一酸化窒素シンターゼの基質、スペルミンジアゼニウム(diazenium)ジオレートのようなジアゼニウム(diazenium)ジオレート並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せを含むが、これらに限定されない。
【0043】
本発明の薬剤は生体有益性及び生物活性の特性の両方を有することができ、薬剤を生体有益性剤と分類することは当該薬剤を生物活性剤として使用することを除外しないということを理解する必要がある。同様に、薬剤を生物活性剤と分類することは当該薬剤を生体有益性剤として使用することを除外しない。前述の薬剤はいずれも被覆医療デバイスの形態のようにPEAと混合され、或いはブレンドされ得るということも理解する必要がある。例として、本発明の実施形態のPEAをコーティングされたステントはパクリタキセル、ドセタキセル、ラパマイシン又はエベロリムスを含有することができる。
【0044】
(PEA−薬剤の組合せ)
本発明の薬剤は側基又は鎖中基としてPEAに結合することができる。薬剤は側基又は鎖中基としてPEAに結合可能なポリマー剤とすることができるということを理解する必要がある。
【0045】
(I.側基としての薬剤)
本発明のポリマーは、A部分(A)、B部分(B)及びAとBを結合する任意のリンケージ(L)を有するポリマー担体を含むことができる。ポリマーの他の部分は薬剤(X)及びXとポリマーを結合するリンケージ(L)を含む。一般的に、このPEA−薬剤の組合せは化学式(IV)により表すことができる。
【化17】

【0046】
化学式(IV)において、A及びBは独立して選択可能であり、ポリマーが少なくとも1つのエステル基及び1つのアミド基を有するようにしてモノマーの任意の組合せを含む。一部の実施形態において、エステルとアミドは隣接している。任意で、AとBはLにより結合可能であり、これは置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換又は非置換芳香族ラジカルとすることができる。一部の実施形態において、Lは約0〜約50個の炭素原子、約2〜約40個の炭素原子、約3〜約30個の炭素原子、約4〜約20個の炭素原子、約5〜約10個の炭素原子及びその任意の範囲内の炭素原子を含むことができる。他の実施形態において、Lは非炭素種、例えばジスルフィドを代替的に含むことができる。他の実施形態において、他の実施形態において、Lは置換又は非置換ポリ(アルキレングリコール)を含むことができ、これはPEG、PEG誘導体、ポリ(エチレンオキシド)、PPG、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド)或いはこれらのコポリマー及び組合せを含むが、これらに限定されない。一実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)はPEGである。別の実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)はPEG誘導体を含み得る。別の実施形態において、LはPEGのコポリマー又はPEG誘導体のコポリマーを含むことができる。
【0047】
一部の実施形態において、Xも任意とすることができ、Lによりポリマーに結合することができ、これは任意のユニット間結合、例えば、エステル、無水物、アセタール、アミド、ウレタン、尿素、グリコシド、ジスルフィド及びシロキサン結合とすることができる。本発明の一部の実施形態においてこれらのリンケージの一部が用いられ得ないということを当業者は認識する必要があると理解すべきである。
【0048】
の選択により、ポリマー担体内の結合の強度又は安定性に比し、Xとポリマー担体の間の結合の相対強度又は安定性の制御が可能になる。この相対強度又は安定性に関わる制御により、ポリマー担体からの実質的に結合分子を含まない生物活性剤の放出が可能になる。薬剤Xは生体有益性、生物活性、診断的であり、或いはこれらの特性の組合せを有し得る。
【0049】
一部の実施形態において、Aは化学式(V)により表すことができる。
【化18】

また、他の実施形態において、Bは任意の化学式(VI〜VIII)により表すことができる。
【化19】

【化20】

及び
【化21】

式中、R及びRは任意であり得て、また、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換、非置換又はヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る;R及びRは置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換、非置換又はヘテロ−芳香族ラジカルから選択され得る;R及びRは水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換、非置換又はヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る;Rは置換、非置換、ヘテロ−、直鎖又は分岐脂肪族ラジカルから選択され得る;R及びRは水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換又は非置換芳香族ラジカルから独立して選択され得る;R10〜R15は水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換、非置換又はヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る;mは約4〜約1400、約10〜約800、約20〜約400又はその任意の範囲内とすることができる;nは約3〜約1400、約10〜約800、約20〜約400又はその任意の範囲内とすることができる;そしてmとnの合計は約30〜約1600、約50〜約1200、約75〜約900、約100〜約600又はその任意の範囲内とすることができる。一部の実施形態において、R10基〜R15基は水素に限定される。一部の実施形態において、RはRと同等ではない。
【0050】
一般的に、本発明のポリマーは次のようにして調製することができる。即ち、アミノ酸とジオールを結合してポリエステル型部分を調製する。一部の実施形態において、アミノ酸は二官能性アミノ酸である。ポリエステル型部分は多官能性アミノ酸、二塩基酸若しくは二塩基酸の誘導体及び薬剤と結合することができる。ペプチド型部分を所望する場合の実施形態では、2つのアミノ酸を独立して選択し、結合することができ、例えば、一方のアミノ酸は二官能性であり、他方は多官能性である。多官能性アミノ酸の一例は三官能性アミノ酸である。三官能性アミノ酸の例には、リシン、チロシン、アルギニン又はグルタミン酸が含まれるが、これらに限定されない。二塩基酸の例には、前述のジカルボン酸が含まれるが、これに限定されない。二塩基酸の誘導体の例には、塩化二酸、二無水物又はジ−p−ニトロフェニルエステルが含まれるが、これらに限定されない。ジカルボン酸を用いる場合、ジメチルホルムアミド(DMF)又はテトラヒドロフラン(THF)のような溶媒中、1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)又は1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下で反応を生じさせ得る。塩化二酸又はジ−p−ニトロフェニルエステルを用いる場合、過剰のピリジン又はトリエチルアミンが存在する必要がある。使用し得る他の溶媒の例には、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン及びジオキサンが含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
反応条件は無水にする必要があり、アミノ酸のカルボキシル基のエステル化が好ましい。一部の実施形態において、反応溶媒はトルエン及びベンゼンを含み、蒸留させて水を除去する必要がある。反応は強酸又は強塩基、例えばp−トルエンスルホン酸(TsOH)により触媒され得る。一部の実施形態において、反応温度は約25℃〜約150℃、約35℃〜約100℃、約50℃〜約80℃又はその任意の範囲内である。一部の実施形態において、反応時間は約1時間〜約24時間、約6時間〜約18時間、約10時間〜約14時間又はその任意の範囲内である。前述の任意の薬剤を用いることができる。
【0052】
三官能性アミノは、後で除去される保護基で第三の官能基を保護することにより、ポリマーに組み込むことができる。保護基の例は、リシンのカルボキシル基に対するベンジルエステル又はアミノ基、例えばグルタミン酸のアミノ基に対するt−ブトキシカルボニルである。一部の実施形態において、薬剤と結合するために選択されるアミノ酸はリシンではない。
【0053】
ベンジルエステル保護基は、触媒、例えば炭素担持パラジウム又は白金上での水素ガスによる水素添加分解によりリシンのカルボキシル基から除去され得る。好適な溶媒の例には、エタノール、メタノール、イソプロパノール及びTHFが含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、反応は1気圧の水素下で約6時間〜24時間、約8時間〜約16時間、約10時間〜約14時間又はその任意の範囲内で行われ得る。保護基の除去後、アミノ、ヒドロキシル、チオール又はこれらの組合せを含む薬剤はカルボキシル基に結合される。薬剤を結合するために用いられるカップリング剤はEDC及びDCCを含むが、これらに限定されない。酸塩化物誘導体を調製する低選択性過程には塩化チオニル又は五塩化リンを用い得る。
【0054】
例えば4−アミノ−TEMPOのようなアミン官能性化合物は、まず、カルボキシルを活性化させ、攪拌下にて溶媒中でアミンを結合することにより、例えばリシン由来のカルボキシルのような遊離カルボキシルを含有するポリマーに結合され得る。カルボキシルは、例えばTHF又はクロロホルムのような溶媒中で、例えばN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)及びDCCにより活性化し得て、これによりN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルが生成される。アミンをカルボキシルに結合するために用いられ得る溶媒の例にはTHF及びDMFが含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、反応は約5℃〜約50℃、約15℃〜約35℃、約20℃〜約30℃又はその任意の範囲内の温度で生じる。一部の実施形態において、反応時間は約0.5時間〜約24時間、約1時間〜約18時間、約4時間〜約16時間、約6時間〜約12時間又はその任意の範囲内である。
【0055】
一部の実施形態において、PEAのファミリーは、ジオール、二塩基酸、独立して選択された2つのアミノ酸及び薬剤を反応させることにより調製することができる。生じる生成物は化学式(IX)により表されるPEAである。
【化22】

式中、R及びR基は任意であり得て、また、独立して選択される置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換又は非置換芳香族ラジカルであり得る。R基は置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換、非置換又はヘテロ−芳香族ラジカルであり得る。R及びR基は独立して選択される水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換又は非置換芳香族ラジカルであり得る。R基は置換、非置換、ヘテロ−、直鎖又は分岐脂肪族ラジカルであり得る。X基は薬剤とすることができ、n及びmは0に等しくない整数である。
【0056】
しかし、本発明のポリマーは一部の実施形態において、化学式(X)により表されるように、次の組合せであるA部分、B部分、L及びXを含まないことに留意されたい。
【化23】

【0057】
化学式(X)において、R,R及びRは独立して選択される、2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカルである。R及びRは独立して選択される、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル;2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル;2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル;フェニルラジカル;6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル;或いは水素である。Xは1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル;フェニルラジカル;6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル;或いは水素である。下付き文字m及びnは0に等しくない整数である。
【0058】
本発明の一部の実施形態において、エポキシ基を含む二塩基酸はPEAを生成するのに用いられ得ない。他の実施形態において、Xと結合するように選択されたアミノ酸がリシンであり、また、Xが4−アミノ−TEMPO又はラパマイシンである場合、エポキシ基を含む二塩基酸はPEAを生成するのに用いられ得ない。他の実施形態において、R及びRが直鎖ブチレン又は直鎖ヘキシレンラジカルである場合、R及びRはエポキシ基に置換され得ない。他の実施形態において、R及びRが直鎖ブチレン又は直鎖ヘキシレンラジカルであって、XがTEMPO又はラパマイシンである場合、R及びRはエポキシ基に置換され得ない。他の実施形態において、R及びRが直鎖ブチレン又は直鎖ヘキシレンラジカルであって、Xが4−アミノ−TEMPO又はラパマイシンであって、LがXをLに結合する前に次のエステル結合である場合、R及びRはエポキシ基に置換され得ない。
【化24】

【0059】
他の実施形態において、R及びRが直鎖ブチレン又は直鎖ヘキシレンラジカルであって、(i)XがTEMPOであり、Lが、
【化25】

であって、或いは(ii)Xがラパマイシンであり、Lが、
【化26】

である場合、R及びRはエポキシ基に置換され得ない。
【0060】
他の実施形態において、Xと結合するように選択されたアミノ酸がリシンであって、Xが4−アミノ−TEMPO又はラパマイシンである場合、PEAは、2,3−エポキシコハク酸、3,4−エポキシアジピン酸又はジエポキシアジピン酸であるポリカルボン酸から生成され得ない。他の実施形態において、RはRと同一ではない。
【0061】
化学式(X)において、Lはエステルであり、これは一部の実施形態において望ましくないことがある。後述して示すように、Lを慎重に選択することにより、ポリマーの生分解中におけるXの誘導体の生成から生じ得る規制上の問題を軽減するのに役立ち得る。Lの例には、アミド、エステル、無水物、ケタール、アセタール、オルソエステル及び全芳香族炭酸エステルが含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、Lはエステル、無水物、ケタール、アセタール、オルソエステル又は全芳香族炭酸エステルとすることができる。一部の実施形態において、Lは無水物、ケタール、アセタール、オルソエステル又は全芳香族炭酸エステルとすることができる。一部の実施形態において、Lはケタール、アセタール、オルソエステル又は全芳香族炭酸エステルとすることができる。一部の実施形態において、Lはアセタール、オルソエステル又は全芳香族炭酸エステルとすることができる。一部の実施形態において、Lはオルソエステル又は全芳香族炭酸エステルとすることができる。一部の実施形態において、Lは全芳香族炭酸エステルとすることができ、これは化学式(XI)により表される部分を含むリンケージを含む。
【化27】

式中、Rは任意であり、例えば、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;置換及び非置換芳香族ラジカル;並びにこれらの組合せから独立して選択することができる。下付き文字nは0に等しくない整数である。
【0062】
一部の実施形態において、PEAは化学式(XII)により表される。
【化28】

式中、n,m及びrは0に等しくない整数である。化学式(XII)において、ジオールはヘキサン−1,6−ジオールであり、二塩基酸はセバシン酸であり、一方のアミノ酸はロイシンであって他方のアミノ酸はリシンであり、薬剤はmPEGである。mPEGはアミド結合を通じてB部分に結合され、これはポリマーの他の部分の安定性に対して安定したリンケージである。
【0063】
化学式(XIII)はアミド結合を有するポリマーを表す。しかし、一部の実施形態において、化学式(XIII)により表されるPEAは本発明の範囲内にないことに留意されたい。
【化29】

式中、n及びmは0に等しくない整数である。化学式(XIII)において、ジオールはブタン−1,6−ジオールであり、二塩基酸はセバシン酸であり、一方のアミノ酸はロイシンであって他方のアミノ酸はリシンであり、薬剤はTEMPOである。TEMPOはアミド結合を通じてB部分に結合され、これはポリマーの生分解中に無傷の状態であり得て、エステル結合におけるポリマーの分解に由来する付加的分子のTEMPOへの付着が生じる。その結果、このように放出される薬剤はTEMPOというよりTEMPOの誘導体となり、規制上の懸念が生じ得る。
【0064】
一部の実施形態において、PEAは化学式(XIV)により表される。
【化30】

式中、n及びmは0に等しくない整数である。化学式(XIV)において、ジオールはブタン−1,6−ジオールであり、二塩基酸はセバシン酸であり、一方のアミノ酸はロイシンであって他方のアミノ酸はリシンであり、薬剤はTEMPOである。TEMPOはエステル結合を通じてB部分に結合され、これはアミド結合より不安定であり、ポリマーからの薬剤の放出を可能にする。Lエステルの開裂はPEAエステルの開裂と競合し、エステル結合におけるポリマーの分解に由来する付加的分子のTEMPOへの付着を生じ得る。
【0065】
一部の実施形態において、PEAは化学式(XV)により表される。
【化31】

式中、n及びmは0に等しくない整数である。化学式(XV)において、ジオールはブタン−1,6−ジオールであり、二塩基酸はセバシン酸であり、一方のアミノ酸はロイシンであって他方のアミノ酸はリシンであり、薬剤はTEMPOである。TEMPOは無水結合を通じてB部分に結合され、これはエステル結合より不安定であり、従って、エステル結合におけるポリマーの分解に由来する付加的分子の付着なしに、薬剤の放出を可能にする。
【0066】
別の実施形態において、ジペプチド断片を含むPEAのファミリーは、ジオール、二塩基酸、2つの異なるアミノ酸及び薬剤を反応させることにより調製することができる。生じる生成物は化学式(XVI)により表されるPEAである。
【化32】

式中、R及びRは任意であり得て、また、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換、非置換又はヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る;Rは置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換、非置換又はヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る;R,R及びRは水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和又は不飽和脂肪族ラジカル;或いは置換、非置換又はヘテロ−芳香族ラジカルから独立して選択され得る;Rは置換、非置換、ヘテロ−、直鎖又は分岐脂肪族ラジカルから選択され得る;Xは薬剤とすることができる;mは約4〜約1400の範囲となり得る;nは約3〜約1400の範囲となり得る;そしてmとnの合計は約30〜約1600の範囲となり得る。
【0067】
一部の実施形態において、PEAは化学式(XVII)により表される。
【化33】

式中、n,m及びrは0に等しくない整数である。化学式(XVII)において、ジオールはヘキサン−1,6−ジオールであり、二塩基酸はセバシン酸であり、一方のアミノ酸はロイシンであって他方のアミノ酸はリシンであり、XはmPEGであり、Lはアミドであって、これはポリマーの他の部分の安定性に比し安定している。
【0068】
一部の実施形態において、PEAは化学式(XVIII)により表される。
【化34】

式中、n及びmは0に等しくない整数である。化学式(XVIII)において、ジオールはブタン−1,4−ジオールであり、二塩基酸はセバシン酸であり、一方のアミノ酸はロイシンであって他方のアミノ酸はリシンであり、Xはエストラジオールであり、Lは3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−[5,5]−ウンデカン(DETOSU)オルソエステルとして公知であって、これはエステルより不安定である。
【0069】
ポリマーを作製するため、オリゴ又はポリエステル型ジアミノ部分を前述のようにロイシンとブタン−1,4−ジオールを結合して作製することができる。1つのグリセロール等価物が2つのロイシン等価物と結合され、アミノ末端ポリマーサブユニットを得ることができる。次に、ポリエステル型ジアミノ部分がセバシン酸及びアミノ末端ポリマーサブユニットと結合され、ヒドロキシ官能性PEAを得ることができる。次に、エストラジオールが3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−[5,5]−ウンデカン(DETOSU)と結合され、エストラジオール−DETOSU部分を形成することができる。ヒドロキシ官能性PEAをエストラジオール−DETOSU部分と反応させ、PEA−薬剤結合を形成することができる。
【0070】
例えばヘパリンのようなポリマー剤はグラフトコポリマーとしてPEAに結合することができる。ポリマー骨格に側鎖アミノ基を有するPEAは、例えばDMF又はTHFのような好適な溶媒中、ジ−p−ニトロフェニルセバケート及びε−カルボベンゾキシ−L−リシンでビス−(L−ロイシン)−1,6−へキシレンジエステルを重合させるステップを含む方法により生成され得る。反応温度は約25℃〜約150℃、約50℃〜約125℃、約80℃〜約100℃又はその任意の範囲内である。反応は約1時間〜約24時間、約6時間〜約18時間、約10時間〜約14時間又はその任意の範囲内の時間で生じる。カルボベンゾキシ保護基は、前述の方法を用いて炭素担持パラジウム触媒上の水素添加分解により除去することができる。アルデヒド末端ヘパリンはシアノホウ化水素ナトリウム(NaCNBH)を用いて還元アミノ化により結合させることができる。
【0071】
(II.ポリマーブロックとしての薬剤)
ポリマー剤はブロックコポリマーとしてPEAに結合させることができる。ポリマーブロックとしてPEAに組込み可能な薬剤の例には、ヘパリン、ヒアルロン酸及びポリ(エチレングリコール)(PEG)が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
(1.ヘパリン又はヒアルロン酸ブロックを含むPEA)
PEAとヘパリンのブロックコポリマーは、アミノ末端PEAをアルデヒド末端ヘパリンと結合することにより調製することができる。アルデヒド末端ヘパリンの一例は化学式(XIX)により表される。
【化35】

式中、pは0に等しくない整数である。
【0073】
アルデヒド末端ヘパリンはDMF/水溶媒中でアミノ末端PEAと結合され、次に、NaCNBHで還元され、化学式(XX)により表される次のPEA−ヘパリンコポリマー構造体を生成することができる。
【化36】

【0074】
アミノ末端PEAを調製する一方法は、アミノ末端サブユニットの合計と二塩基酸又は二塩基酸誘導体との相関的な化学量から逸脱するステップを含む。最大分子量を得るため、二塩基酸又は二塩基酸誘導体の化学量はアミノ末端サブユニットの合計と相関関係に維持される。いずれかの成分が過剰であると低分子量を有するアミノ末端PEAが生じるためである。
【0075】
アミノ末端PEAを調製する別の方法は、アミノ末端サブユニットと二塩基酸又は二塩基酸誘導体との相関的な化学量を維持するステップを含み、重合は所定時間、進行させる。重合は、例えば1,4−ブタンジアミンのような反応性ジアミンを過剰に導入することにより終了する。カルボキシル末端基はすべて終止し、未反応の二塩基酸又は二塩基酸誘導体はいずれも消費される。低分子量の物質はいずれも、当業者に既知の好適な溶媒中にポリマーを沈殿させることにより、ポリマーから分離することができる。
【0076】
上記に示したPEA−ヘパリンコポリマーはABブロックコポリマーである。AB型コポリマーは、2つのポリマーが単一の活性末端のみを有する場合に生じる。本発明の方法は、薬剤ポリマー及びPEAポリマーの一端又は両端を活性化することにより、ABコポリマー、ABAコポリマー又はABABAB…多重ブロックコポリマーを生成するように設計することができる。ABA型のコポリマーは、一方のポリマーが1つの活性末端を有し、他方のポリマーが2つの活性末端を有する場合に生じる。ABABAB…型のコポリマーは、両方のポリマーが2つの活性末端を有する場合に生じる。
【0077】
PEAとヘパリンのブロックコポリマーは、カルボキシル末端PEAをアルデヒド末端ヘパリンと結合することにより調製することができる。まず、ヘパリンは、例えばEDC又はDCCにより活性化され、次に、大過剰のアジピン酸ジヒドラジドと結合され、アミノ官能基化ヘパリンを調製する。或いは、例えばホウ化水素ナトリウム(NaBH)、ホウ化水素カリウム(KBH)又はNaCNBHのような還元剤の存在下、アルデヒド末端ヘパリンをアンモニア又はn−ブチルアミンで処理することができる。カルボキシル末端PEAは、例えばEDC又はDCCにより活性化され、アミノ官能性ヘパリンと結合される。
【0078】
本発明の一部の実施形態において、薬剤はPEAポリマーの生体適合性又は非汚染性特性を亢進することができる任意の生体有益性剤であり得ることを理解する必要がある。例えば、ヒアルロン酸はPEA−ヒアルロン酸コポリマーを形成するために用いられるポリマー剤とすることができる。ヒアルロン酸は遊離カルボキシル基を有し、そのため、例えば、亜硝酸又は過ヨウ素酸でヒアルロン酸を酸化することにより、アルデヒド末端ヒアルロン酸を作製することができる。次に、アルデヒド末端ヒアルロン酸は前述のようにPEAと結合させることができる。
【0079】
カルボキシル末端及びアミノ末端であるPEAを標準的な分析手法を用いて分析し、カルボキシル基とアミノ基の比率を求めることができる。この比率を知ることにより、当業者はポリマー剤をPEAのアミノ末端又はPEAのカルボキシル末端のいずれに結合すべきかを判定することができる。カルボキシル末端PEAをアルデヒド末端ヘパリンに結合する際、当業者はPEAにおけるアミノ基を、例えば無水酢酸で保護し、望ましくない側鎖結合を低減することができる。
【0080】
(2.ポリ(エチレングリコール)ブロック含有PEA)
PEAとPEGのブロックコポリマーは様々な手法を用いて調製することができる。一実施形態において、例えばEDC又はDCCの存在下、アミノ末端PEAをカルボキシル末端PEG(Nektar Corp.)と結合させ、化学式(XXI)により表される次の構造体を形成することができる。
【化37】

式中、mは0に等しくない整数である。
【0081】
別の実施形態において、mPEG(Nektar Corp.)スクシンイミジル誘導体又はイソシアネート末端mPEG(Nektar Corp.)を、当業者には既知の条件にてアミノ末端PEAと反応させることができる。別の実施形態において、カルボキシル末端PEAのカルボキシル基を、例えばEDC又はDCCで活性化させ、アミノ末端mPEG(Nektar Corp.)と結合させることができる。別の実施形態において、高分子量PEAにおけるエステル基のアミノ化を通じて酸又は塩基触媒の存在下、アミノ末端mPEGを高分子量PEAと結合させることができる。別の実施形態において、熱性又は光分解性のフリーラジカルの分解を受けることが可能なイニシエータの存在下、アミノ末端PEAをメタクリレート末端mPEG(Nektar Corp.)と結合させることができる。好適なイニシエータの例には、ベンジル−N,N−ジエチルジチオカルバメート又はp−キシレン−N,N−ジエチルジチオカルバメートが含まれる。別の実施形態において、アミノ末端PEAをエチレンオキシドとリビング重合反応にて結合させることができ、これは賦活状態におかれた終端のないアニオン重合であり、純粋系を維持することにより制御される。リビング重合反応は重合停止剤、例えば水の添加を通じて停止させることができる。
【0082】
(コーティングの形成)
本発明の一部の実施形態において、組成物は、例えばバルーン拡張式ステント又は自己拡張式ステントのような医療デバイス用のコーティングの形態をとる。本発明の範囲内において多くのコーティング構成があり、各構成は任意の数及び組合せの層を含むことができる。一部の実施形態において、本発明のコーティングは次の4種類の層の1つ又は組合せを含むことができる。
(a)ポリマーと薬剤或いはポリマーを含まない薬剤を含み得る薬剤層、
(b)埋め込み型基材又は先に形成された層への後続層の接着を向上し得る任意のプライマ層、
(c)薬剤の放出速度を制御する方法として機能し得る任意のトップコート層、及び
(d)コーティングの生体適合性を改善し得る任意の生体適合性仕上層。
【0083】
一実施形態において、少なくとも1つの生物活性剤のリザーバとして機能するように、薬剤層を純粋な薬剤として埋め込み型基材の少なくとも一部に直接塗布することができる。別の実施形態において、薬剤をマトリックスとしての生分解性ポリマーと組み合わせることができ、薬剤はポリマーに結合される場合も結合されない場合もある。別の実施形態において、埋め込み型基材と薬剤層の間に任意のプライマ層を塗布し、薬剤層の埋め込み型基材への接着性を向上させることができ、また、プライマ層は任意で薬剤を含むことができる。別の実施形態において、純粋な薬剤層を、生分解性ポリマーを含む層の間に挟むことができる。別の実施形態において、任意のトップコート層を薬剤層の少なくとも一部上に塗布し、生物活性剤の放出速度を制御する膜として機能させることができ、また、トップコート層は任意で薬剤を含むことができる。別の実施形態において、生体適合性仕上層も、例えば重度の血液適合性を高めることにより、コーティングの生体適合性を高めるために塗布することができ、また、薬剤を含むこともできる。本発明の組成物はこれらの層の1つ又は任意の組合せに用いることができる。加えて、一部の実施形態において、前述のポリマーのような他のポリマー(例えば、ポリ(ブチルメタクリレート)など)を当該層の1つとして用いることができ、或いはPEAの実施形態とブレンド又は架橋することができる。
【0084】
各層を任意の方法により埋め込み型基材に塗布することができ、その方法には浸漬、噴霧、注入、刷毛塗り、スピンコーティング、ローラーコーティング、メニスカス塗布、粉末コーティング、インクジェット式塗布又はこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。一例において、1つ以上の生分解性ポリマーを任意で非生分解性ポリマーとともに1つ以上の溶媒に溶解し、(i)この溶液をステントに噴霧し、或いは(ii)ステントをこの溶液に浸漬することにより、各層をステント上に形成することができる。この例において、溶媒が蒸発する際、生分解性ポリマーのドライコーティングがステント上に形成され得る。コーティングを形成する工程は追加の工程ステップ、例えば、熱、電磁波照射、電子ビーム、イオン又は荷電粒子ビーム、中性原子ビーム並びに化学的エネルギーのようなエネルギーの使用を含むことができることを理解する必要がある。
【0085】
各層の形成には流延溶媒の使用を含み得る。流延溶媒は、その中でポリマーが可溶化され、基材上の当該ポリマーを含む層を形成する液媒体である。流延溶媒は、下層のプライマ層又はベアステント構築体のような下層材料に悪影響を及ぼすことを回避するように選択する必要がある。一例において、プライマ層を形成するために用いられる材料は高極性流延溶媒には可溶性であるが、低極性流延溶媒には適度に不溶性である。生じる製品の性能に有意に影響を及ぼす程度に材料が可溶化しない、つまり、製品をその対象目的に未だ使用可能である場合、その材料は溶媒に「適度に不溶性」である。この例において、プライマ層の構造を破壊せずに低極性流延溶媒に可溶性である上層の薬剤層を下層のプライマ層に塗布することができる。
【0086】
流延溶媒は幾つかの基準、例えばその極性、分子サイズ、生体適合性、反応性及び純度を含む基準に基づき選択され得る。流延溶媒の他の物理特性も考慮され得て、これには流延溶媒へのポリマーの溶解性の限度、流延溶媒中の酸素及び他の気体の存在、組み合わせた流延溶媒とポリマーの粘度及び蒸気圧、流延溶媒の下層材料を通じて拡散する能力並びに流延溶媒の熱安定性が含まれる。当業者は広範なポリマーの溶解度に関する科学文献及びデータにアクセスすることができる。更に、流延溶媒の選択は、利用可能な熱力学的データを用いて溶解のGibbs自由エネルギーを計算することにより経験的に開始され得るということを当業者は理解するであろう。このような計算により、実験室において試験する可能性のある溶媒の事前選択が可能になる。工程条件が下層の材料の化学構造に影響を及ぼし、故に、流延溶媒における溶解度に影響を与え得ることが認識される。例えば、下層の材料の緩徐な溶解は、製品が比較的迅速に生産される場合、製品の性能特性に影響を及ぼし得ないため、流延溶媒を選択する際に溶解速度論は考慮すべき因子であるということも認識される。
【0087】
本発明において使用される典型的な流延溶媒は、DMAC、DMF、THF、シクロヘキサノン、キシレン、トルエン、アセトン、i−プロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルブチルケトン、エチルアセテート、n−ブチルアセテート及びジオキサンを含むが、これらに限定されない。溶媒混合物も用いることができる。当該混合物の典型例には、DMAC及びメタノール(50:50 w/w);水、i−プロパノール及びDMAC(10:3:87 w/w);i−プロパノール及びDMAC(80:20,50:50又は20:80 w/w);アセトン及びシクロヘキサノン(80:20,50:50又は20:80 w/w);アセトン及びキシレン(50:50 w/w);アセトン、キシレン及びFLUX REMOVER AMS(登録商標)(93.7%3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン及び1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、バランスは微量のニトロメタンを有するメタノールである;Tech Spray,Inc.)(10:40:50 w/w);並びに1,1,2−トリクロロエタン及びクロロホルム(80:20 w/w)が含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
本発明の実施形態を更に例示するために次の実施例を示す。
【実施例1】
【0089】
化学式(XVII)のPEAは次の手順により調製することができる。
【0090】
(L−ロイシン−ε−L−リシンベンジルエステル−2TosOHの調製方法)
L−ロイシン−ε−L−リシンHCL(New England Peptide,Inc.)(73.86gm,0.25モル)、p−トルエンスルホン酸(152.15gm,0.80モル)、ベンジルアルコール(100.9ml,0.97モル)及びベンゼン200mlを、機械的攪拌器、Dean Starkトラップ、温度計及びアルゴン取入口を具備した1リットル反応フラスコに加える。この混合物を80℃で8時間加熱し、凝縮物をDean Starkトラップに回収する。当該混合物を2リットルフラスコに移し替え、エチルアセテート1リットルを攪拌しながら当該混合物に加える。当該混合物を4℃で一晩保存し、濾過してL−ロイシン−ε−L−リシンベンジルエステル−2TosOHを単離する。
【0091】
(コポリ−{[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,6−へキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−ロイシン−L−リシン mPEGアミド]}の調製方法)
乾燥DMAC(110ml)中、ビス−(L−ロイシン)−1,6−へキシレンジエステルのジ−p−トルエンスルホン酸塩(120.4gm,0.18モル)、L−ロイシン−ε−L−リシンベンジルエステルのジ−p−トルエンスルホン酸塩(13.863gm,0.02モル)及びジ−p−ニトロフェニルセバシネート(sebacinate)(88.88gm,0.2モル)の混合物に、乾燥トリエチルアミン(61.6ml,0.44モル)を加える。この混合物を攪拌し、80℃で12時間加熱する。次に、当該混合物を室温まで冷却し、エタノール(300ml)で希釈し、1リットル水に注入する。ポリマーを分離し、水で洗浄し、真空乾燥する。パラジウム触媒上の水素添加分解により遊離カルボキシル基を生成する。エタノール(1200ml)及びポリマー(100mg)を、炭素担持パラジウム触媒(5gm)(Aldrich)を含む2リットルフラスコに加える。水素を気泡化し、当該混合物を通じて24時間攪拌し、遠心分離により炭素担持パラジウム触媒を分離して単離された溶液が残る。
【0092】
単離した溶液をヘキサン/エチルアセテート(50/50混合物10リットル)に攪拌しながら加え、コポリ−{[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,6−へキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−ロイシン−L−リシン]}を沈殿させる。ポリマーを濾過し、攪拌及びアルゴンパージにより2リットルフラスコ中にTHF(1500ml)溶解し(50mg)、次に、N−ヒドロキシスクシンイミド(1.32gm,0.0115モル)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(2.37gm,0.0115モル)と混合する。この混合物を室温で24時間攪拌し、濾過して1,3−ジシクロヘキシルウレアを除去する。濾過した溶液を2リットルフラスコ中アミノ末端mPEG(MW 5000,46gm,0.0092モル)(Nektar Corp.)と混合し、アルゴン下で6時間攪拌する。攪拌しながらヘキサン/エチルアセテート(50/50)中に溶液を緩徐に加えることにより、コポリ−{[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,6−へキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−ロイシン−L−リシン mPEGアミド]}が沈殿する。如何なる作用の理論及び機序に制約される意図はないが、本発明の実施形態による化学式(XVII)のポリ(エステルアミド)(PEA)を調製するための提案反応機構を図1に示す。
【実施例2】
【0093】
化学式(XII)により表されるコポリマーは、化学式(XVII)により表されるコポリマーを調製するために用いられる方法に類似した方法で、L−ロイシン−ε−L−リシンHCLをL−リシンHCLに置換することにより調製することができる。
如何なる作用の理論及び機序に制約される意図はないが、本発明の実施形態による化学式(XII)のPEAを調製するための提案反応機構を図2に示す。
【実施例3】
【0094】
化学式(XV)のPEAは次の手順により調製することができる。
【0095】
(コポリ−{[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,4−ブチレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−リシン−4−カルボキシ−TEMPO無水物]}の調製方法)
乾燥DMAC(110ml)中、ビス−(L−ロイシン)−1,4−ブチレンジエステルのジ−p−トルエンスルホン酸塩(118.82gm,0.18モル)、L−リシンベンジルエステルのジ−p−トルエンスルホン酸塩(11.603gm,0.02モル)及びジ−p−ニトロフェニルセバシネート(sebacinate)(88.88gm,0.2モル)の混合物に、乾燥トリエチルアミン(61.6ml,0.44モル)を加える。この混合物を攪拌し、80℃で12時間加熱し、室温まで冷却し、エタノール(300ml)で希釈し、水(1リットル)に注入する。ポリマーを分離し、水で洗浄し、真空下で乾燥する。パラジウム触媒上の水素添加分解により遊離カルボキシル基を生成することができる。2リットルフラスコ(Aldrich)中、エタノール(1200ml)をポリマー(100mg)及び炭素担持パラジウム触媒と混合する。水素を気泡化し、当該混合物を通じて24時間攪拌する。炭素担持パラジウムを遠心分離により分離し、単離された溶液が残る。単離した溶液をヘキサン/エチルアセテート(10リットル、50/50)に攪拌しながら緩徐に加え、コポリ−{[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,6−ヘキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−リシン]}を沈殿させる。ポリマー(50mg)を濾過し、2リットルフラスコ中乾燥1,1,2−トリクロロエタン(1600ml)に溶解して攪拌し、無水酢酸(2.24gm,0.022モル)及び4−カルボキシル−TEMPO(4.01gm,0.02モル)を2リットルフラスコに加える。この混合物を真空下で蒸留して80℃でDMFを除去し、十分な量の熱を加えて約5ml/分の蒸留速度を得ることができる。この溶液を2時間攪拌し、室温まで冷却し、攪拌しながらヘキサン/エチルアセテート(4リットル、50/50)に緩徐に加えることにより、コポリ−{[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,4−ブチレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−リシン−4−カルボキシ−TEMPO無水物]}が沈殿する。
【実施例4】
【0096】
化学式(XVIII)のPEAは次の手順により調製することができる。
【0097】
(エストラジオールと3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−[5,5]−ウンデカン(DETOSU)の結合体の調製方法)
100mlフラスコ中、乾燥THF(40ml)をDETOSU(5gm,0.0236モル)及びTHF中1%p−トルエンスルホン酸6滴と混合する。THF(20ml)中エストラジオール(6.42gm.0.0236モル)の溶液を1時間以上攪拌しながら緩徐に加える。回転蒸発によりエストラジオール−DETOSU結合体を単離する。
【0098】
(ビス−(L−ロイシン)−1,3−プロピレンジエステル−2−オンを調製する方法)
L−ロイシン(32.80gm,0.25モル)、p−トルエンスルホン酸(104.6gm,0.55モル)、1,3−ジヒドロキシアセトンダイマー(22.53gm,0.125モル)及びベンゼン200mlを1リットルフラスコに加える。この溶液を80℃で8時間加熱し、凝縮物をDean Starkトラップに回収する。固形物を回転蒸発により溶媒から分離し、水(2、1リットル分)を用いてブフナー漏斗で洗浄し、真空オーブン中で乾燥した。
【0099】
(コポリ−{[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,4−ブチレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,3−プロピレンジエステル−2−オン]}の調製方法)
乾燥DMAC(110ml)中、ビス−(L−ロイシン)−1,4−ブチレンジエステルのジ−p−トルエンスルホン酸塩(118.82gm,0.18モル)、ビス−(L−ロイシン)−1,3−プロピレンジエステル−2−オンのジ−p−トルエンスルホン酸塩(13.20gm,0.02モル)及びジ−p−ニトロフェニルセバシネート(sebacinate)(88.88gm,0.2モル)の混合物に、乾燥トリエチルアミン(61.6ml,0.44モル)を加える。この混合物を攪拌し、80℃で12時間加熱し、室温まで冷却し、エタノール(300ml)で希釈し、水(1リットル)に注入する。ポリマーを分離し、水で洗浄し、真空下で乾燥する。ポリマー(80.35mg)、乾燥THF(250ml)、シアノホウ化水素ナトリウム(10.49gm,0.167モル)及びTHF中p−トルエンスルホン酸(1%溶液の6滴)を500mlフラスコに加える。この混合物を周囲温度で2時間攪拌し、クロロホルム(500ml)に注入し、重炭酸ナトリウム水溶液(250ml,1M分)の3部分で抽出する。回転蒸発によりクロロホルムを除去し、周囲温度で真空オーブン内にて一晩乾燥させて残留溶媒を除去する。ポリマー(60mg)、乾燥THF(250ml)及びエストラジオール−DETOSU結合体(6.64gm,0.0137モル)を500mlフラスコに加え、室温で2時間攪拌する。攪拌しながら溶液をヘキサン/エチルアセテート(2リットル、50/50)に緩徐に加えることによりポリマーが沈殿する。
【実施例5】
【0100】
(アミノ末端PEA又はカルボキシル末端PEAを調製する方法)
PEAの調製に用いられるモノマーは、重合の間はどの時点においてもおよそ50/50のアミノ末端鎖と活性化カルボキシ末端鎖の分布を付与する。重合の終止におけるアミノ基を有するすべての鎖を停止するように大過剰に加えられる、生体適合性の低分子量連鎖停止剤、1,4−ジアミノブタン(プトレシン)を用いて、或いは重合が所望の分子量に達したときに、アミノ末端PEAを調製することができる。カルボキシル末端PEAは幾つかの方法により調製することができる。一方法において、例えばジ−p−ニトロフェニルセバシネートのようなジカルボン酸化合物を過剰にPEAと結合させることができる。この実施形態は簡便であるが、ポリマーの最終分子量を低下させる欠点を潜在的に有する。別の方法では、50/50のアミノ末端鎖と活性化カルボキシル末端鎖の分布を有するPEAを、例えば無水コハク酸のような試薬と反応させることにより更に誘導体化し、アミノ基をカルボキシル基に変換する。
【0101】
(アミノ末端コポリ−{[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,6−ヘキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−リシンベンジルエステル]}を調製する方法)
乾燥DMAC(110ml)中、ビス−(L−ロイシン)−1,6−ヘキシレンジエステルのジ−p−トルエンスルホン酸塩(123.86gm,0.18モル)、L−リシンベンジルエステルのジ−p−トルエンスルホン酸塩(11.603gm,0.02モル)及びジ−p−ニトロフェニルセバシネート(sebacinate)(88.88gm,0.2モル)の混合物に、乾燥トリエチルアミン(61.6ml,0.44モル)を加える。この混合物を攪拌し、80℃で4時間加熱し、この時点で1,4−ジアミノブタン(15gm,0.17モル)を加え、この混合物を80℃で更に1時間攪拌する。この溶液を室温まで冷却し、エタノール(300ml)で希釈し、リン酸緩衝液(2リットル、0.1M,pH7)に注入する。ポリマーを濾過により回収し、クロロホルム(1リットル)中に沈殿し、リン酸緩衝液(0.1M,pH7,1リットル分)の3部分で抽出する。回転蒸発によりクロロホルムを除去し、アミノ末端コポリ−{[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,6−ヘキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−リシンベンジルエステル]}を周囲温度で真空オーブン内にて一晩乾燥させる。
【0102】
(カルボキシ末端コポリ−{[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,6−ヘキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−リシンベンジルエステル]}を調製する方法)
乾燥DMAC(110ml)中、ビス−(L−ロイシン)−1,6−ヘキシレンジエステルのジ−p−トルエンスルホン酸塩(123.86gm,0.18モル)、L−リシンベンジルエステルのジ−p−トルエンスルホン酸塩(11.603gm,0.02モル)及びジ−p−ニトロフェニルセバシネート(sebacinate)(88.88gm,0.2モル)の混合物に、乾燥トリエチルアミン(61.6ml,0.44モル)を加える。この混合物を攪拌し、80℃で4時間加熱し、この時点で無水コハク酸(17gm,0.17モル)を加え、この混合物を80℃で更に1時間攪拌する。この溶液を室温まで冷却し、エタノール(300ml)で希釈し、リン酸緩衝液(2リットル、0.1M,pH7)に注入する。ポリマーを濾過により回収し、クロロホルム(1リットル)中に沈殿し、リン酸緩衝液(0.1M,pH7,1リットル分)の3部分で抽出する。回転蒸発によりクロロホルムを除去し、カルボキシ末端コポリ−{[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,6−ヘキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−リシンベンジルエステル]}を周囲温度で真空オーブン内にて一晩乾燥させる。この調製によりすべての末端基がカルボキシルであって、一部の末端基が未だp−ニトロフェノール基により活性化されるポリマーを生成することができる。この基は、例えば後のアミノ末端部分とのカップリングステップに妥当であり得る。すべての末端基を遊離カルボキシル末端基に変換することを所望する場合、次のステップを合成に挿入することになる。無水コハク酸を加えて1時間攪拌した後、L−ロイシン(11.2gm,0.085モル)及びトリエチルアミン(8.59gm,0.085モル)を加え、更に1時間攪拌する。
【実施例6】
【0103】
(ヘパリンをアミノ末端PEAと混合することによりPEA−ヘパリン結合体を調製する方法)
アミノ末端PEAをヘパリンの酸化的切断により形成されるアルデヒド末端ヘパリンと混合することにより、PEA−ヘパリン結合体を調製することができる。DMAC/水(1リットル、40:1)を含有する反応装置に窒素下でアミノ末端PEA(50g)を加える。アルデヒド末端ヘパリン(7.5g)及びシアノボロヒドリド(0.2g;3.2モル)を溶液に加え、窒素下にて60℃で12時間加熱し、室温まで冷却し、メタノールに滴加する。PEA−ヘパリン結合体を濾過し、3部分の水(250ml分)で洗浄し、真空下で乾燥する。
【0104】
(DMAC/水媒液中、ヘパリンのD−グルクロン酸(glucoronic acid)又はL−イズロン酸官能基のEDCカップリングによりPEA−ヘパリン結合体を調製する代替方法)
ヘパリン(20g)をDMAC/水溶液(450g)及びN−(3’−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(0.2g,1.0mmol)と混合する。この溶液を窒素下にて室温で2時間攪拌し、PEA−アミン(50g)をDMAC/水溶液(40/1;500g)に加え、pH4.75にて4時間混合する。この溶液を水酸化ナトリウム(0.1M)で中和してpH7.5とし、窒素下で一晩攪拌する。この溶液をTHFに加えることによりPEA−ヘパリン結合体を沈殿させ、濾過し、水で洗浄する。
【実施例7】
【0105】
(アミノ末端PEAを有するPEA−PEG結合体を調製する方法)
アルデヒドカップリング/イミンの還元、カルボキシル末端PEGのカルボジイミドカップリング及びPEG−マレイミドのアミン末端PEAへのマレイミドカップリングにより、アミノ末端PEAをPEG化することができる。
【0106】
アルデヒドカップリング/イミンの還元によりアミノ末端PEAをPEGに結合することができる。PEGのアミノ末端PEAへの結合状態にてPEA(50g)を無水DMAC(230g)に溶解する。PEG−ブチルアルデヒド(MW 1000〜50,000,7.5g)をシアノホウ化水素ナトリウム(1.0g)と混合し、窒素下にて室温で一晩攪拌する。この溶液を攪拌しながらメタノールに加えることによりポリマーを沈殿させ、DMACに再溶解し、水に再沈殿させ、真空下で乾燥する。
【0107】
DCC/NHSカップリングを用いたカルボキシル末端PEGのカルボジイミドカップリングにより、アミノ末端PEAをPEGに結合することができる。アミノ末端PEA(50g)を無水THF(116g;1〜35% w/w)に加える。無水THF(116g)及びカルボキシル末端PEG(10kD,7.0g,0.7mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.15g;7.1mmol)(DCC)を、N−ヒドロキシスクシンイミド(0.10g/8mmol)(NHS)含有反応装置に加え、混合物を生成する。この混合物を窒素下にて室温で2時間攪拌し、当該混合物にアミノ末端PEA溶液を滴加するように加え、室温で一晩攪拌し、メタノールに滴加してPEA−PEG沈澱物を生成する。この沈澱物を濾過し、真空下で乾燥する。
【実施例8】
【0108】
第一の組成物及び第二の組成物を調製することによりエベロリムスを含む、2層を有する医療用製品を製造し、ここで第一の組成物はPEAのマトリックス及び薬剤を含む薬剤層であり、第二の組成物はPEAトップコート層であった。約2%(w/w)コポリ−{[N,N’−セバコイル−ビス−(L−ロイシン)−1,6−ヘキシレンジエステル]−[N,N’−セバコイル−L−リシンベンジルエステル]}(「PEA例」)と約0.5%(w/w)エベロリムスを無水エタノール中で混合することにより第一の組成物を調製し、12mmVISION(商標)ベアステント(Guidant Corp.)(「ステント例」)の表面に噴霧し、乾燥してコーティングを形成した。コーティング法の一例は、0.014ファンノズル、約0.2気圧の給圧及び約1.3気圧の噴霧圧によりスプレーコーティングし;1パスあたり約20μgのウェットコーティングを塗布し;パスの間、約50℃で約10秒コーティングを乾燥し;最終パス後に約50℃で約1時間コーティングを焼成して乾燥薬剤層を形成するステップを含んだ。薬剤層は約428μgのPEAと約107μgのエベロリムスから構成された。約2%(w/w)PEA例を無水エタノール中で混合することにより第二の組成物を調製し、コーティング法の例を用いて塗布した。トップコート層は約300μgのPEA例を含有した。コーティングの総重量は約835μgであった。
【実施例9】
【0109】
第一の組成物、第二の組成物及び第三の組成物を調製することによりエベロリムスを含む、3層を有する医療用製品を製造した。第一の組成物はPEAのプライマ層であった。第二の組成物は純粋な薬剤層であり、第三の組成物はPEAのトップコート層であった。約2%(w/w)PEA例を無水エタノール中で混合することにより第一の組成物を調製し、コーティング法の例を用いてステント例の表面に塗布して乾燥プライマ層を形成した。乾燥プライマ層は約100μgのPEA例を含有した。約2%(w/w)エベロリムスを無水エタノール中で混合することにより第二の組成物を調製し、コーティング法の例を用いてプライマ層に塗布して約107μgのエベロリムスを含む純粋な薬剤層を形成した。約2%(w/w)PEA例を無水エタノール中で混合することにより第三の組成物を調製し、コーティング法の例を用いて塗布し、約300μgのPEA例を含むトップコート層を形成した。コーティングの総重量は約507μgであった。
【実施例10】
【0110】
生物活性剤の総回収量を調べるため、実施例8及び9において調製及び形成したコーティングの試験を行った。これはステントから抽出される生物活性剤のパーセントの測定である。滅菌の効果を求めた。総計32本のステントを実施例8及び9で述べたようにコーティングした。16本のステントを実施例8で述べたようにコーティングし、このうち8本のステントを電子ビーム滅菌により滅菌し、8本のステントを滅菌しなかった。16本のステントを実施例9で述べたようにコーティングし、このうち8本のステントを、電子ビーム滅菌を用いて滅菌し、8本のステントを滅菌しなかった。
【0111】
コーティングしたステントを、約0.02%(w/w)ブチル化ヒドロキシトルエン保護剤を含むアセトニトリル(「抽出溶媒」)を有するメスフラスコに入れ、約30分超音波処理し、生物活性剤の抽出物を生成した。この抽出物を高圧液体クロマトグラフィー(分析用ポンプ、3μm粒子を有する超純粋シリカベースの吸着剤を含むYMC Pro C18分離カラム、自動サンプラー及び996 PAD(フォトダイオードアレイ検出器を備え、約40℃に維持されたWaters 2690 HPLC系)で分析した。移動相は約1ml/分の流量でカラムに供給され、20mM酢酸アンモニウム溶液中71%アセトニトリル(w/w)から構成された。
【0112】
実施例8の滅菌ステントは約91%のエベロリムスを放出し、一方、実施例8の非滅菌ステントは約100%のエベロリムスを放出した。実施例9の滅菌ステントは約89%のエベロリムスを放出し、一方、実施例9の非滅菌ステントは約96%のエベロリムスを放出した。
【実施例11】
【0113】
エベロリムスのインビトロでの放出を調べるため、実施例8及び9において調製及び形成したコーティングの試験を行った。インビトロでの条件はTRITON(登録商標)X−100及びブタ血清を含む緩衝液にてシミュレートした。
【0114】
このシミュレーション試験は、コーティングしたステントをVanKel Bio−Dis放出速度テスター(Varian,Inc.)に配置し、約30℃の温度で1分あたり40ディップの速度にてステントを約1%(w/w)TRITON(登録商標)X−100(Sigma−Aldrich Corp.)を含む10mMリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)7mlに浸漬するステップを含んだ。約1,2,6,9,24及び29時間の所定の時間増にて試験を行い、前例のHPLC法を用いてエベロリムスの量を測定した。各測定には新鮮緩衝液を用いた。
【0115】
図3は本発明の実施形態に従って設計されたステントコーティングからTRITON(登録商標)X−100を含有する緩衝液に放出されたエベロリムスのパーセントを示す。曲線1は実施例8の非滅菌ステントコーティングから放出されたエベロリムスを示す。曲線2は実施例8の滅菌ステントコーティングから放出されたエベロリムスを示す。曲線3は実施例9の非滅菌ステントコーティングから放出されたエベロリムスを示す。曲線4は実施例9の滅菌ステントコーティングから放出されたエベロリムスを示す。放出速度プロファイルは均一であり、実施例8のコーティングは実施例9のコーティングより遅い速度でエベロリムスを放出した。滅菌により実施例9のコーティングにおいて約10〜25%、実施例8のコーティングにおいて約10〜15%、放出速度が速くなった。
【0116】
ブタ血清シミュレーション試験は同じ方法を含み、TRITON(登録商標)X−100を含む緩衝液を約0.1%(w/w)アジドナトリウムを含有するブタ血清10mlに置き換えた。使用したブタ血清を8時間ごとに新鮮ブタ血清と交換し、溶液の温度を約37℃に維持した。前例のHPLC法を用いて24時間後にステント上に残留するエベロリムスの量を測定した。放出されたエベロリムスの量は、当初ステントに付着されたエベロリムスの量からステントに残留するエベロリムスの量を減ずることにより計算した。表4は放出速度結果の概略を示す。
【表4】

【0117】
表4は、TRITON(登録商標)X−100を含む緩衝液及びブタ血清の両方において、実施例8のコーティングから24時間以上にわたり放出されたエベロリムスの量が、実施例9のコーティングから放出されたエベロリムスの量よりも少なかったことを示す。両方の場合において、滅菌コーティングから放出されたエベロリムスの量は、対応する非滅菌コーティングから放出されたエベロリムスの量よりも多かった。
【0118】
本発明の具体的な実施形態を示して説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に対し変更及び改変が可能であることは当業者には明らかであろう。例えば、本明細書で多数の化学構造、ポリマー及び薬剤を列挙した。当業者はこのような一覧が単に例として示されたものであって、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の一実施形態による化学式(XVII)のポリ(エステルアミド)(PEA)を調製するための提案反応機構を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態による化学式(XII)のPEAを調製するための提案反応機構を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態に従って設計されたステントコーティングからTRITON(登録商標)X−100を含有する溶液中に放出されたエベロリムスのパーセントを示すグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式:
【化1】

(式中、Aが、
【化2】

を含み、Bが、
【化3】

を含み、式中、
及びRが任意であり、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
が置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より選択され、
及びRが水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
が置換、非置換、ヘテロ−、直鎖及び分岐脂肪族ラジカルからなる群より選択され、
が前記Aと前記Bを結合する任意のリンケージであり、
Xが任意で薬剤であり、
が任意でXと前記ポリマーを結合するリンケージであり、
n及びmが0に等しくない整数であり、
但し、(i)前記R,R及びRが独立して選択される、2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカルであり、(ii)前記R及びRが独立して選択される、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり、(iii)前記Rがペンチレンラジカルであり、(iv)前記Xが1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり、(v)前記m及びnが0に等しくない整数である場合、前記Lが、
【化4】

とはなり得ず、この場合、前記Lの炭素はペンチレンラジカルRのC又はCに結合し、
但し、更に、(i)前記R及びRが非置換直鎖オクチレンラジカルであり、(ii)前記Rが非置換直鎖ブチレンラジカルであり、(iii)前記R及びRが非置換t−ブチルラジカルであり、(iv)前記Rがペンチレンラジカルであり、(v)前記XがTEMPOである場合、前記Lが、
【化5】

とはなり得ず、この場合、前記Lの炭素はペンチレンラジカルRのC又はCに結合し、前記Lの窒素はTEMPOのCに結合し、
但し、更に、(i)前記R及びRが直鎖ブチル又は直鎖ヘキシルラジカルであり、(ii)前記Rが2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカルであり、(iii)前記R及びRが独立して選択される、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり、(iv)前記Rがペンチレンラジカルであり、(v)前記XがTEMPOであり、Lが、
【化6】

であり、或いは前記Xがラパマイシンであり、前記Lが、
【化7】

である場合、前記R及びRがエポキシ基に置換され得ない)で表されるポリマー。
【請求項2】
前記Xが、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(N−ビニル−ピロリドン)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、スルホン化デキストラン;ポリホスファゼン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ヒアルロン酸、ヘパリン並びにこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー及び組合せからなる群より選択される生体有益性剤である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記生体有益性剤が、ヒアルロン酸、ヘパリン、ポリ(エチレングリコール)又はこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー若しくは組合せである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
前記Xが、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される生物活性剤である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イロキシメチルサルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼ模倣体;並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
前記フリーラジカル捕捉剤がTEMPO又はこの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項4に記載のポリマー。
【請求項7】
前記一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、亜硝酸、N−オキソ−N−ニトロソアミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項4に記載のポリマー。
【請求項8】
前記生物活性剤が、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス又はこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項4に記載のポリマー。
【請求項9】
前記Lが、無水物、ケタール、アセタール、オルソエステル及び全芳香族炭酸エステルからなる群より選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項10】
前記ポリマーが化学式:
【化8】

(式中、n,m及びrが0に等しくない整数である)で表される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項11】
前記ポリマーが化学式:
【化9】

(式中、n及びmが0に等しくない整数である)で表される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項12】
前記ポリマーが化学式:
【化10】

(式中、m及びnが0に等しくない整数である)で表される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項13】
化学式:
【化11】

(式中、Aが、
【化12】

を含み、Bが、
【化13】

を含み、式中、
及びRが任意であり、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
が置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より選択され、
,R及びRが水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
が置換、非置換、ヘテロ−、直鎖及び分岐脂肪族ラジカルからなる群より選択され、
が前記Aと前記Bを結合する任意のリンケージであり、
Xが任意で薬剤であり、
が任意でXと前記ポリマーを結合するリンケージであり、
n及びmが0に等しくない整数である)で表されるポリマー。
【請求項14】
前記Xが、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(N−ビニル−ピロリドン)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、スルホン化デキストラン;ポリホスファゼン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ヒアルロン酸、ヘパリン並びにこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー及び組合せからなる群より選択される生体有益性剤である、請求項13に記載のポリマー。
【請求項15】
前記生体有益性剤が、ヒアルロン酸、ヘパリン、ポリ(エチレングリコール)又はこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー若しくは組合せである、請求項14に記載のポリマー。
【請求項16】
前記Xが、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される生物活性剤である、請求項13に記載のポリマー。
【請求項17】
前記フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イロキシメチルサルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼ模倣体;並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項16に記載のポリマー。
【請求項18】
前記フリーラジカル捕捉剤がTEMPO又はこの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項16に記載のポリマー。
【請求項19】
前記一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、亜硝酸、N−オキソ−N−ニトロソアミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項16に記載のポリマー。
【請求項20】
前記生物活性剤が、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス又はこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項16に記載のポリマー。
【請求項21】
前記Lが、アミド、エステル、無水物、ケタール、アセタール、オルソエステル及び全芳香族炭酸エステルからなる群より選択される、請求項13に記載のポリマー。
【請求項22】
前記ポリマーが化学式:
【化14】

(式中、n,m及びrが0に等しくない整数である)で表される、請求項13に記載のポリマー。
【請求項23】
化学式:
【化15】

(式中、Aが、
【化16】

を含み、Bが、
【化17】

を含み、式中、
及びRが任意であり、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
及びRが置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より選択され、
,R,R及びRが水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
が前記Aと前記Bを結合する任意のリンケージであり、
Xが任意で薬剤であり、
が任意でXと前記ポリマーを結合するリンケージであり、
n及びmが0に等しくない整数である)で表されるポリマー。
【請求項24】
前記Xが、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(N−ビニル−ピロリドン)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、スルホン化デキストラン;ポリホスファゼン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ヒアルロン酸、ヘパリン並びにこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー及び組合せからなる群より選択される生体有益性剤である、請求項23に記載のポリマー。
【請求項25】
前記生体有益性剤が、ヒアルロン酸、ヘパリン、ポリ(エチレングリコール)又はこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー若しくは組合せである、請求項24に記載のポリマー。
【請求項26】
前記Xが、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される生物活性剤である、請求項23に記載のポリマー。
【請求項27】
前記フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イロキシメチルサルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼ模倣体;並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項26に記載のポリマー。
【請求項28】
前記フリーラジカル捕捉剤がTEMPO又はこの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項26に記載のポリマー。
【請求項29】
前記一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、亜硝酸、N−オキソ−N−ニトロソアミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項26に記載のポリマー。
【請求項30】
前記生物活性剤が、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス又はこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項26に記載のポリマー。
【請求項31】
前記Lが、アミド、エステル、無水物、ケタール、アセタール、オルソエステル及び全芳香族炭酸エステルからなる群より選択される、請求項23に記載のポリマー。
【請求項32】
前記ポリマーが化学式:
【化18】

(式中、n及びmが0に等しくない整数である)で表される、請求項23に記載のポリマー。
【請求項33】
コーティングを含む埋め込み型基材を含む医療用製品であって、前記コーティングが、少なくとも1つのブロックのポリ(エステルアミド)と少なくとも1つのブロックのポリマー剤を含むブロックコポリマーを含む医療用製品。
【請求項34】
前記ポリマー剤が、ヘパリン、ヒアルロン酸、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(L−リシン)とポリ(エチレングリコール)のグラフトコポリマー並びにこれらのコポリマー及び組合せからなる群より選択される生体有益性剤である、請求項33に記載の医療用製品。
【請求項35】
ポリオール、ポリカルボン酸、アミノ酸及び薬剤(X)を含む反応のポリマー生成物であるポリ(エステルアミド)を含むポリマーであって、
但し、前記ポリマー生成物が、
【化19】

(式中、(i)R,R及びRが独立して選択される、2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカルであり、(ii)R及びRが独立して選択される、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり、(iii)Xが1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり、(iv)m及びnが0に等しくない整数)ではなく、
但し、更に、前記ポリマー生成物が、
【化20】

(式中、n及びmが0に等しくない整数であり、
但し、更に、前記ポリカルボン酸が2,3−エポキシコハク酸、3,4−エポキシアジピン酸又はジエポキシアジピン酸ではなく、式中、前記Xと結合するように選択されるアミノ酸はリシンであり、前記Xが4−アミノ−TEMPO又はラパマイシンである)ではないポリマー。
【請求項36】
前記Xが、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(N−ビニル−ピロリドン)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、スルホン化デキストラン;ポリホスファゼン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ヒアルロン酸、ヘパリン並びにこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー及び組合せからなる群より選択される生体有益性剤である、請求項35に記載のポリマー。
【請求項37】
前記生体有益性剤が、ヒアルロン酸、ヘパリン、ポリ(エチレングリコール)又はこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー若しくは組合せである、請求項36に記載のポリマー。
【請求項38】
前記Xが、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される生物活性剤である、請求項35に記載のポリマー。
【請求項39】
前記フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イロキシメチルサルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼ模倣体;並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項38に記載のポリマー。
【請求項40】
前記フリーラジカル捕捉剤がTEMPO又はこの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項38に記載のポリマー。
【請求項41】
前記一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、亜硝酸、N−オキソ−N−ニトロソアミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項38に記載のポリマー。
【請求項42】
前記生物活性剤が、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス又はこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項38に記載のポリマー。
【請求項43】
請求項1に記載のポリマーを含む医療用製品用のコーティング。
【請求項44】
請求項13に記載のポリマーを含む医療用製品用のコーティング。
【請求項45】
請求項23に記載のポリマーを含む医療用製品用のコーティング。
【請求項46】
請求項35に記載のポリマーを含む医療用製品用のコーティング。
【請求項47】
請求項1に記載のポリマーを含む医療用製品。
【請求項48】
請求項13に記載のポリマーを含む医療用製品。
【請求項49】
請求項23に記載のポリマーを含む医療用製品。
【請求項50】
請求項35に記載のポリマーを含む医療用製品。
【請求項51】
コーティングを含むステントであって、前記コーティングが化学式:
【化21】

(式中、Aが、
【化22】

を含み、Bが、
【化23】

及び
【化24】

からなる群から選択され、式中、
及びRが任意であり、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
及びRが置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
,R,R及びRが水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
が置換、非置換、ヘテロ−、直鎖及び分岐脂肪族ラジカルからなる群より選択され、
が前記Aと前記Bを結合する任意のリンケージであり、
n及びmが0に等しくない整数であり、
但し、Bが、
【化25】

ではなく、式中、(i)前記R,R及びRが独立して選択される、2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカルであり、(ii)前記R及びRが独立して選択される、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり、(iii)前記Rがカルボキシル基置換ペンチレンラジカルであり、
但し、更に、Bが、
【化26】

ではなく、式中、(i)前記R及びRがエポキシ基置換直鎖ブチル又は直鎖ヘキシルラジカルであり、(ii)前記Rが2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカルであり、(iii)前記R及びRが独立して選択される、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり、(iv)前記Rがカルボキシル基置換ペンチレンラジカルである)で表されるポリマーを含むステント。
【請求項52】
前記コーティングが、前記コーティングとブレンド或いは結合され得る薬剤を更に含む、請求項51に記載のステント。
【請求項53】
埋め込み型基材を含む医療用製品を製造する方法であって、前記方法が、
(a)化学式:
【化27】

(式中、Aが、
【化28】

を含み、Bが、
【化29】

を含み、式中、
及びRが任意であり、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
が置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より選択され、
及びRが水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
が置換、非置換、ヘテロ−、直鎖及び分岐脂肪族ラジカルからなる群より選択され、
が前記Aと前記Bを結合する任意のリンケージであり、
Xが任意で薬剤であり、
が任意でXと前記ポリマーを結合するリンケージであり、
n及びmが0に等しくない整数であり、
但し、(i)前記R,R及びRが独立して選択される、2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカルであり、(ii)前記R及びRが独立して選択される、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり、(iii)前記Rがペンチレンラジカルであり、(iv)前記Xが1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり、(v)前記m及びnが0に等しくない整数である場合、前記Lが、
【化30】

とはなり得ず、この場合、前記Lの炭素はペンチレンラジカルRのC又はCに結合し、
但し、更に、(i)前記R及びRが非置換直鎖オクチレンラジカルであり、(ii)前記Rが非置換直鎖ブチレンラジカルであり、(iii)前記R及びRが非置換t−ブチルラジカルであり、(iv)前記Rがペンチレンラジカルであり、(v)前記XがTEMPOである場合、前記Lが、
【化31】

とはなり得ず、式中、前記Lの炭素はペンチレンラジカルRのC又はCに結合し、前記Lの窒素はTEMPOのCに結合し、
但し、更に、(i)前記R及びRが直鎖ブチル又は直鎖ヘキシルラジカルであり、(ii)前記Rが2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカルであり、(iii)前記R及びRが独立して選択される、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり、(iv)前記Rがペンチレンラジカルであり、(v)前記XがTEMPOであり、Lが、
【化32】

であり、式中、前記Lの炭素はペンチレンラジカルRのC又はCに結合し、前記Lの窒素はTEMPOのCに結合し、
或いは前記Xがラパマイシンであり、前記Lが、
【化33】

であり、このとき、前記Lの炭素がペンチレンラジカルRのC又はCに結合する場合、前記R及びRがエポキシ基に置換され得ない)で表されるポリマーを調製するステップと、
(b)埋め込み型基材の少なくとも一部分にポリマーを含むコーティングを形成するステップと
を含む方法。
【請求項54】
前記医療用製品がステントである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記Xが、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(N−ビニル−ピロリドン)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、スルホン化デキストラン;ポリホスファゼン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ヒアルロン酸、ヘパリン並びにこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー及び組合せからなる群より選択される生体有益性剤である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記生体有益性剤が、ヒアルロン酸、ヘパリン、ポリ(エチレングリコール)又はこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー若しくは組合せである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記Xが、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される生物活性剤である、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イロキシメチルサルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼ模倣体;並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記フリーラジカル捕捉剤がTEMPO又はこの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、亜硝酸、N−オキソ−N−ニトロソアミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記生物活性剤が、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス又はこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
前記Lが、アミド、エステル、無水物、ケタール、アセタール、オルソエステル及び全芳香族炭酸エステルからなる群より選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項63】
前記ポリマーが化学式:
【化34】

(式中、n,m及びrが0に等しくない整数である)で表される、請求項53に記載の方法。
【請求項64】
前記ポリマーが化学式:
【化35】

(式中、n及びmが0に等しくない整数である)で表される、請求項53に記載の方法。
【請求項65】
前記ポリマーが化学式:
【化36】

(式中、n及びmが0に等しくない整数である)で表される、請求項53に記載の方法。
【請求項66】
医療用製品を製造する方法であって、
(a)化学式:
【化37】

(式中、Aが、
【化38】

を含み、Bが、
【化39】

を含み、式中、
及びRが任意であり、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
が置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より選択され、
,R及びRが水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
が置換、非置換、ヘテロ−、直鎖及び分岐脂肪族ラジカルからなる群より選択され、
が前記Aと前記Bを結合する任意のリンケージであり、
Xが任意で薬剤であり、
が任意でXと前記ポリマーを結合するリンケージであり、
n及びmが0に等しくない整数である)で表されるポリマーを調製するステップと、
(b)埋め込み型基材の少なくとも一部分にポリマーを含むコーティングを形成するステップと
を含む方法。
【請求項67】
前記医療用製品がステントである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記Xが、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(N−ビニル−ピロリドン)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、スルホン化デキストラン;ポリホスファゼン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ヒアルロン酸、ヘパリン並びにこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー及び組合せからなる群より選択される生体有益性剤である、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記生体有益性剤が、ヒアルロン酸、ヘパリン、ポリ(エチレングリコール)又はこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー若しくは組合せである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記Xが、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される生物活性剤である、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
前記フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イロキシメチルサルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼ模倣体;並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記フリーラジカル捕捉剤がTEMPO又はこの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、亜硝酸、N−オキソ−N−ニトロソアミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記生物活性剤が、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス又はこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
前記Lが、アミド、エステル、無水物、ケタール、アセタール、オルソエステル及び全芳香族炭酸エステルからなる群より選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項76】
前記ポリマーが化学式:
【化40】

(式中、n,m及びrが0に等しくない整数である)で表される、請求項66に記載の方法。
【請求項77】
医療用製品を製造する方法であって、
(a)化学式:
【化41】

(式中、Aが、
【化42】

を含み、Bが、
【化43】

を含み、式中、
及びRが任意であり、置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
及びRが置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より選択され、
,R,R及びRが水素;置換、非置換、ヘテロ−、直鎖、分岐、環状、飽和及び不飽和脂肪族ラジカル;並びに置換、非置換及びヘテロ−芳香族ラジカルからなる群より独立して選択され、
が前記Aと前記Bを結合する任意のリンケージであり、
Xが任意で薬剤であり、
が任意でXと前記ポリマーを結合するリンケージであり、
n及びmが0に等しくない整数である)で表されるポリマーを調製するステップと、
(b)埋め込み型基材の少なくとも一部分にポリマーを含むコーティングを形成するステップと
を含む方法。
【請求項78】
前記医療用製品がステントである、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記Xが、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(N−ビニル−ピロリドン)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、スルホン化デキストラン;ポリホスファゼン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ヒアルロン酸、ヘパリン並びにこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー及び組合せからなる群より選択される生体有益性剤である、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記生体有益性剤が、ヒアルロン酸、ヘパリン、ポリ(エチレングリコール)又はこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー若しくは組合せである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記Xが、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される生物活性剤である、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イロキシメチルサルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼ模倣体;並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記フリーラジカル捕捉剤がTEMPO又はこの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、亜硝酸、N−オキソ−N−ニトロソアミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項85】
前記生物活性剤が、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス又はこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項81に記載の方法。
【請求項86】
前記Lが、アミド、エステル、無水物、ケタール、アセタール、オルソエステル及び全芳香族炭酸エステルからなる群より選択される、請求項77に記載の方法。
【請求項87】
前記ポリマーが化学式:
【化44】

(式中、n及びmが0に等しくない整数である)で表される、請求項77に記載の方法
【請求項88】
医療用製品を製造する方法であって、
(a)ポリオール、ポリカルボン酸、アミノ酸及び薬剤(X)を組み合わせるステップを含む、ポリ(エステルアミド)を含むポリマーを調製するステップであって、
但し、前記ポリマーが、
【化45】

(式中、(i)R,R及びRが独立して選択される、2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカルであり、(ii)R及びRが独立して選択される、1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、2〜6個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり、(iii)Xが1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐飽和脂肪族ラジカル、フェニルラジカル、6〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香族環を有する、オルト融合した二環式炭素環ラジカル或いは水素であり、(iv)m及びnが0に等しくない整数である)ではなく、
但し、更に、前記ポリマーが、
【化46】

(式中、n及びmが0に等しくない整数であり、
但し、更に、前記ポリカルボン酸が2,3−エポキシコハク酸、3,4−エポキシアジピン酸又はジエポキシアジピン酸ではなく、式中、前記Xと結合するように選択されるアミノ酸はリシンであり、前記Xが4−アミノ−TEMPO又はラパマイシンである)ではないステップと、
(b)埋め込み型基材の少なくとも一部分にポリマーを含むコーティングを形成するステップと
を含む方法。
【請求項89】
前記調製するステップが、前記薬剤に結合させるための全アミノ末端基を有するポリ(エステルアミド)を生成するステップを更に含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記調製するステップが、前記薬剤に結合させるための全カルボキシル末端基を有するポリ(エステルアミド)を生成するステップを更に含む、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
前記医療用製品がステントである、請求項88に記載の方法。
【請求項92】
前記Xが、ポリ(アルキレングリコール)、ポリ(N−ビニル−ピロリドン)、ポリ(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレンスルホネート)、スルホン化デキストラン;ポリホスファゼン、ポリ(オルソエステル)、ポリ(チロシンカーボネート)、ヒアルロン酸、ヘパリン並びにこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー及び組合せからなる群より選択される生体有益性剤である、請求項88に記載の方法。
【請求項93】
前記生体有益性剤が、ヒアルロン酸、ヘパリン、ポリ(エチレングリコール)又はこれらの任意の誘導体、類似体、相同体、同族体、塩、コポリマー若しくは組合せである、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記Xが、フリーラジカル捕捉剤、一酸化窒素供与体、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス、パクリタキセル、ドセタキセル、エストラジオール、クロベタゾール、イドキシフェン、タザロテン並びにこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される生物活性剤である、請求項88に記載の方法。
【請求項95】
前記フリーラジカル捕捉剤が、2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−アミノ−2,2’,6,6’−テトラメチル−1−ピペリニルオキシ、フリーラジカル;4−ヒドロキシ−2,2’,6,6’−テトラメチル−ピペリデン−1−オキシ、フリーラジカル;2,2’,3,4,5,5’−ヘキサメチル−3−イミダゾリニウム−1−イロキシメチルサルフェート、フリーラジカル;16−ドキシル−ステアリン酸、フリーラジカル;スーパーオキシドジスムターゼ模倣体;並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記フリーラジカル捕捉剤がTEMPO又はこの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記一酸化窒素供与体が、S−ニトロソチオール、亜硝酸、N−オキソ−N−ニトロソアミン、一酸化窒素シンターゼの基質、ジアゼニウムジオレート並びにこれらの任意の類似体、相同体、同族体、誘導体、塩及び組合せからなる群より選択される、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記生物活性剤が、ラパマイシン、エベロリムス、タクロリムス又はこれらの任意のプロドラッグ、代謝産物、類似体、同族体、誘導体、塩若しくは組合せである、請求項94に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−500430(P2008−500430A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515193(P2007−515193)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/017690
【国際公開番号】WO2005/118681
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(504183388)アドヴァンスド カーディオヴァスキュラー システムズ, インコーポレイテッド (40)
【Fターム(参考)】