医療用診察椅子
【課題】 従来における診察用の椅子にあっては、患者が移動しなくとも問診から診察や治療を行うことが可能であるが、椅子状態では背凭れが固定されているため、医師による患者の背中の聴診・視診・打診を行おうとした場合には、患者の背中を支える背凭れが邪魔となって行うことができないといった問題があった。
【解決手段】 昇降自在な座部3と、座部後方下部に収容可能とする背凭れ昇降手段を備え、かつ前記座部の昇降に伴って起伏する背凭れ5と、前記座部の昇降に伴って起伏するレッグレスト7とを具備し、前記背凭れを座部後方下部に収容した状態と、前記背凭れを前記背凭れ昇降手段によって上昇させた椅子状態と、前記座部が上昇して前記背凭れとレッグレストを伏倒させベッド状態に変移することを特徴とする医療用診察椅子である。
【解決手段】 昇降自在な座部3と、座部後方下部に収容可能とする背凭れ昇降手段を備え、かつ前記座部の昇降に伴って起伏する背凭れ5と、前記座部の昇降に伴って起伏するレッグレスト7とを具備し、前記背凭れを座部後方下部に収容した状態と、前記背凭れを前記背凭れ昇降手段によって上昇させた椅子状態と、前記座部が上昇して前記背凭れとレッグレストを伏倒させベッド状態に変移することを特徴とする医療用診察椅子である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や医院において問診や処置を行う場合に患者が着座する椅子であって、回転および背凭れの高さを調整可能とした医療用診察椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や医院において診療を受ける場合には、診察室に患者が背凭れの無い丸椅子に着座して問診・聴診器による診察や医師の触診や打診で胸や背中の診察を受け、また、必要に応じて脱衣を行い後方に設置されている固定ベッドに横になり診察や処置を行っていた。
【0003】
ところで、患者が着座する椅子は丸椅子であることから、患者が問診や診察を受ける時に、背中の診察のために丸椅子を回転させて診察を行っていた。また、丸椅子での問診や診察が終了し、べッドでの診察や処置に移行する際に、患者がベッドへ移動したり、また診察が終了した後に患者がベッドから降りる動作が必要となり、高齢者や身障者にとって負担を掛けるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決する手段としては、診察や治療時に椅子の背凭れとレッグレストをベッド状に変化させることで、患者の煩わしい移動を行う必要をなくして、高齢者でも安全なかつ安楽な診察や処置を受けることができる。この点に着目して本出願人は特開2009−6023号公報に開示された技術を開発した。
【0005】
この発明は、背凭れとレッグレストを起伏可能に形成し、問診時には椅子の状態として椅子への乗り降りを容易となし、診察や治療時には背凭れとレッグレストを水平状態に移行させてベッド状とすることで、従来のような椅子からベッドへの移動を行うことなく患者を寝かせた状態とすることで、患者の煩わしい移動をなくして、問診や処置ができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−6023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記した特許文献1の発明にあっては、患者が移動しなくとも問診から診察や治療を行うことが可能であるが、椅子状態では背凭れが固定されているため、医師による患者の背中の聴診・視診・打診を行おうとした場合には、患者の背中を支える背凭れが邪魔となって行うことができないといった問題があった。
【0008】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、患者の導入時には患者の乗り降りし易い高さに設定することが可能なので高齢者であっても椅子への乗り降りが容易であり、また背凭れを収納式としていることで、背凭れの座部後方下部に収納した状態で椅子を回転させ背凭れの高さを低くした状態で背中の聴診・視診・打診を行うことが可能であり、さらに詳細に患者の診療や処置を行うために患者を仰臥状態とする場合にも患者は移動させることなく椅子状態からベッド状態にすることが可能な医療用診察椅子を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の医療用診察椅子は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、昇降自在な座部と、座部後方下部に収容可能とする背凭れ昇降手段を備え、かつ前記座部の昇降に伴って起伏する背凭れと、前記座部の昇降に伴って起伏するレッグレストとを具備し、前記背凭れを座部後方下部に収容した状態と、前記背凭れを前記背凭れ昇降手段によって上昇させた椅子状態と、前記座部が上昇して前記背凭れとレッグレストを伏倒させベッド状態に変移することを特徴とする。
【0010】
請求項2の手段は、下端が床面に設置される基台に固定された背凭れ支持台と、該背凭れ支持台の上端に回動自在に軸支された背凭れ基台と、該背凭れ基台に対して背凭れ昇降手段によって昇降する背凭れと、前記背凭れ基台と回動自在に座部基板に形成された起立片が軸支された座部と、該座部を昇降するための油圧シリンダと、前記座部の前端側と回動自在に軸支されたレッグレストと、前記背凭れ支持台に一端が軸支された回動リンクと、前記レッグレストに回動自在に軸支されたレッグレストリンクとより構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項3の手段は、前記背凭れ昇降手段は、前記座部に対して起伏可能に取付けられた固定部材として作用する背凭れ基台に対して摺動可能となるガイド杆を有する背凭れの枠体と、前記背凭れ基台の下部において前記ガイド杆に対して摺動可能に取付けられた上下動板と、該上下動板にシリンダ側が取付けられラム側が前記枠体の上辺部に取付けられた油圧シリンダと、前記上下動板に取付けられたプーリーと、一端が前記枠体の上辺部に取付けられ中間が前記プーリーに巻回され他端が前記背凭れ基台に取付けられたワイヤーとから構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4の手段は、前記した請求項1または2において、前記背凭れ昇降手段は、前記座部に対して起伏可能に取付けられた固定部材として作用する背凭れ基台に対して摺動可能となるガイド杆を有する背凭れの枠体と、前記背凭れ支持台に対して上下動可能に取付けたアシスト手段と、該アシスト手段に取付けられた第1のプーリーと、前記背凭れ基台側に取付けられた第2のプーリーと、一端が前記背凭れ基台側に固定され、前記第1のプーリーに巻回した後に前記第2のプーリーに巻回し他端が前記枠体側に固定されたワイヤーとから構成し、前記アシスト手段の力を前記枠体とのバランスが採れる力としたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の手段は、前記した請求項4において、前記枠体は外部よりの操作によってロック機構によって背凭れ基台に対して固定状態とし、この固定状態において不意の外力が加わっても枠体の上下動が行われないようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は前記したように、背凭れを前記背凭れ昇降手段によって座部後方下部に収容した状態と、前記背凭れを前記背凭れ昇降手段によって上昇させた椅子状態と、前記座部が上昇して前記背凭れとレッグレストを伏倒させベッド状態に変移可能としたことにより、背凭れを座部後方下方に収容した状態で患者の背中の聴診・視診・打診が行え、また、椅子状態とすることで患者との問診・視診・打診が行え、さらに、背凭れを収容した状態また椅子状態から患者を着座させた状態でベッド状態とすることで、従来のように患者をベッドに移動させることなく診察や処置が行える。
【0015】
また、背凭れ昇降手段を油圧シリンダによって構成し、枠体を固定部材側である背凭れ基台に対して昇降させるようにして、最下降位置では座部後方下部に収容されて、また、最上昇位置では椅子状態となることから、背凭れ昇降用スイッチを足や手で操作するだけで患者の背中側診断状態と椅子状態とに変移でき、かつ、一端が枠体側に固定され、他端が固定部材側に固定されたワイヤーの途中を枠体と連動して上下動する上下動板に取付けられているプーリーに巻回したことにより、油圧シリンダの収縮量に対して枠体は2倍の移動量となり、従って、背凭れ昇降手段の小型化を図ることが可能となる。
【0016】
さらに、背凭れ昇降手段を固定部材側に対して昇降可能に支持された枠体を、枠体に対して約2倍の重量で移動する重りを取付け、この重りに第1のプーリーを取付け、第2のプーリーを固定部材側に取付け、この第1、第2のプーリー間に一端が固定部材側に固定され他端が枠体側に固定されたワイヤーを巻回させたことにより、枠体の重量と重りの重量とがバランスされて枠体の昇降動作を人手によって行っても負荷を感じることなく楽に行え、かつ、背凭れの移動量に対して重りの移動量は半分となるので、背凭れ昇降手段を小型化できて背凭れ背面側に楽に収容することが可能となる。
【0017】
また、枠体は外部よりの操作によってロック機構によって背凭れ基台に対して固定状態とし、この固定状態において着座している患者が移動したり、医師が枠体を上下動させる操作を行っても、枠体の上下動が行われないようにしたので、特に、椅子状態において枠体が下方に移動するのを防止でき、あるいはベッド状態において枠体が座部側に移動するのを防止できるので、患者を安全状態で診療することができる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の医療用診察椅子の初期状態の斜視図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図であり要部のみを示している。
【図4】図3の背凭れを裏面側から見た背面図である。
【図5】前面側から見た全体の斜視図である。
【図6】裏面側から見た全体の斜視図である。
【図7】下方から見た全体の斜視図である。
【図8】背凭れを途中まで下降した状態の正面図である。
【図9】図8のB−B線断面図である。
【図10】図9の背凭れを裏面側から見た背面図である。
【図11】背凭れを最下降位置まで下降した状態の正面図である。
【図12】図11のC−C線断面図であり要図のみを示している。
【図13】図12の背凭れ裏面側から見た背面図である。
【図14】ベッド状態にした斜視図である。
【図15】図14の裏面側から見た斜視図である。
【図16】図15の側面から見た断面図である。
【図17】本発明における背凭れを手動によって昇降させる場合の実施例であり、枠体が最上昇位置にある背面斜視図である。
【図18】図17の側面図である。
【図19】枠体が下降を開始した状態の背面斜視図である。
【図20】図19の側面図である。
【図21】枠体が最下降位置にある背面斜視図である。
【図22】図21の側面図である。
【図23】手動による昇降を説明するための枠体が最上昇位置にある要部を示す側面図である。
【図24】最下降位置にある要部を示す側面図である。
【図25】枠体のロック機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る医療用診察椅子の一実施例を図面と共に説明する。
1は病院や医院の診療室内に床面に固定する基台にして、該基台1に対して円板部1aが回転可能に取付けられている。2はシリンダ側が円板部1aに軸支され、ラム側が座部3の裏面における座部基板3aに軸支された油圧シリンダ、4は前記円板部1aに下端が固定され、上端が背凭れ5における背凭れ基台5aに対して軸41によって回転自在に軸支された左右一対の背凭れ支持台である。以下、この軸41による回転支点を軸点aという。
【0020】
前記座部3の後方上面には起立片3bが形成されており、該起立片3bと前記背凭れ基台5aから前方に突出した突出片5bとが軸3dによって軸支されている。以下、この軸3dによる回転支点を軸点bという。従って、座部3が上昇すると背凭れ5は座部3の突出片3bを介して背凭れ5の起立片5bが押し上げられるので、前記背凭れ基台5aと背凭れ支持台4とが軸点aで伏倒方向に回動される。
【0021】
また、座部3の座部基板3aの裏面には三角形状の座部基台3cが取付けられており、該座部基台3cの下端と前記背凭れ支持台4との間にはU字状の回動リンク6が軸支されている。
【0022】
7は前記座部基板3aの前方にレッグレスト基板7aの上端が回動自在に軸支されたレッグレストにして、レッグレスト基板7aの上方には一端が前記回動リンク6に軸支されたレッグレストリンク7bの他端が軸支されている。
【0023】
前記レッグレスト7の裏面側には、一端が前記座部基板3aの前方に回動自在に軸支された一対の平行リンク8a,8bの他端が軸支された足載せ台8が回動自在に軸支されており、前記レッグレスト7が前記回動リンク6を介してレッグレストリンク7bが前方に変移すると、前記平行リンク8a,8bによってレッグレスト7の水平方向への変移に伴って足載せ台8も水平移動し、最終的にはレッグレスト7と座部3と面一状態となる。
【0024】
前記した背凭れ5は昇降可能に構成されている。すなわち、患者が着座する時に背凭れが高い位置にあると威圧感や圧迫感を感じたり、患者の背中側を聴診、視診、打診を行うのに背凭れ5が邪魔になるという問題がある。そこで、背凭れ5を下降させることで、前記問題を解決することが可能となる。
【0025】
そして、この実施例では図11〜13に示す背凭れ5が最下降位置にある状態を初期状態とするが、医師等の施術等の行い易いベッド状態を除く背凭れ5が如何なる高さ位置を初期状態としてもよい。なお、背凭れ5を最上昇位置に上昇させた位置を椅子状態とする。
【0026】
次に、背凭れ5を昇降させるための背凭れ昇降手段について説明する。
前記一対の背凭れ基台5aはリンクバー5cによって一体化されている。前記背凭れ5は枠体51とからなっており、該枠体51には前記背凭れ基台5aに開口されたガイド孔に挿通される左右一対のガイド杆52が取付けられている。なお、枠体51の前面には背凭れクッション51aが取付けられている。
【0027】
また、ガイド杆52が取付けられた前記枠体51の下辺部と前記背凭れ基台5aとの間には前記ガイド杆52にガイドされる上下動板53が上下動自在に支持され、この上下動板53には油圧シリンダ54のシリンダ側が軸支され、ラム側が枠体51の上辺部に支持されている。
【0028】
さらに、上下動板53と枠体51の上辺部との間には引っ張り用のスプリング55が張設され、また、上下動板53の左右端にはプーリー56が回転自在に取付けられると共に、このプーリー56には一端が枠体51の上辺部に取付けられ、他端が背凭れ基台5a取付けられたワイヤー57が巻回されている。なお、54aは油圧シリンダ54への油の供給と排油するためのチューブである。
【0029】
9は前記枠体51の上辺部に取付けられたヘッドレストにして、公知の手段によって枠体51の上辺部において起立状態と後方への伏倒状態に変移可能に形成されると共に少なくとも起立状態においてロック可能に形成されている。
【0030】
10,11は基台側に取付けられ足の踏み込みや押し上げで同じ機能を制御するジョイスティック式のフットスイッチにして、足先でレバーを例えば、上方向に操作すると背凭れ5を上昇させ、また、下方向に操作すると背凭れ5を下降させ、さらに、レバーを右方向に操作すると初期状態や椅子状態からベッド状態に移行(プリセット動作)させ、また、左方向に操作するとベッド状態から初期状態や椅子状態に移行(オートリターン動作)させる。
【0031】
なお、同じ動作を行わせるフットスイッチを2個配置したのは、医師の利き足が異なる場合や診察時の医師の移動位置などで、座部3を回転させた時に1つのフットスイッチのみでは操作し難い状態が発生することがあるからである。
また、図示した実施例にあっては、スイッチとしてジョイスティック式のフットスイッチを示したが、床面に載置して足で踏み込む式のフットスイッチに前記した背凭れの上下動、プリセットやオートリターンなどの動作釦を設けて操作するようにしてもよく、ジョイスティック式のフットスイッチを背凭れ5の背面側や後述する肘掛け12の側面に配置して手動によって行うようにしてもよく、さらに、スイッチとしてジョイスティック式のものに限定されるものではない。
【0032】
12は患者が着座した時に肘を掛けたり、ベッド状態における患者の転倒を防止したり、内部構造を隠して体裁をよくするための肘掛けである。
【0033】
次に、第1の診察形態である動作について説明する。
この第1の診察形態とは、初期状態である枠体51が最下降位置(椅子後方下部)にある状態で、患者が着座して医師と対面しての問診や視診・打診等の診察を受け、次いで、座部3を基台1に対して、例えば90度回転し、あるいは、医師が移動して患者の背中の聴診・視診・打診等の診察を行う。そして、診察を行った医師が終了する時には着座している患者を退席させる。また、さらに仰臥状態での診察が必要と医師が判断した場合には、フットスイッチ10または11のレバーを右方向に操作(プリセット)してベッド状態にする。そして、ベッド状態での診療か終了すれば、フットスイッチ10または11のレバーを左方向に操作(オートリターン)して元の前記初期状態に戻す。
【0034】
次に、枠体51が下降した位置からベッド状態への移行動作について説明する。
図11〜13の初期状態においてプリセット操作が行われると、先ず、油圧シリンダ54への油の供給が行われスプリング55のバネ力に抗して枠体51がガイド杆52に案内されながら上昇を開始する。この時、油圧シリンダ54のシリンダ側が取付けられている上下動板53も上昇するので、枠体51の上辺部と背凭れ基台5aとの間にプーリーを介して張設されたワイヤー57によって、枠体51の上昇速度は油圧シリンダの伸長速度に対して2倍となる。
【0035】
そして、最終的には上下動板53が軸点bより上方位置まで上昇するので、枠体51は上下動板53が初期の高さ位置より油圧シリンダ54が伸長する分だけ上方に移動する2倍の変位量分、上方に移動し枠体51が最上昇位置となって椅子状態となる。
【0036】
この椅子状態から油圧シリンダ2に油が供給されラムが上昇して座部3を上昇させる。この座部3の上昇に伴って座部3の裏面に取付けられている座部基台3cが上昇するので、この上昇に伴って回動リンク6が背凭れ支持台4との軸部を支点として時計方向に回動され、回動リンク6に一端が軸支されているレッグレストリンク7bの先端がレッグレスト7を座部基板3aとの軸部を支点として時計方向(水平方向)に回動される。そして、レッグレスト7が水平方向に変移されることにより、足載せ台8が平行リンク8a,8bによって水平状態を維持しながら上昇を開始する。
【0037】
一方、座部3が上昇すると、座部基板3aに取付けられている起立片3bと連結されている背凭れ5における背凭れ基台5aから延長されている突出片5bが押し上げられる。ここで、背凭れ基台5aは背凭れ支持台4と軸点aにおいて軸支されているので、背凭れ5は座部3の上昇に伴って水平方向に変移する。
【0038】
そして、座部3が上昇することでレッグレスト7および背凭れ5が水平方向に変移してベッド状態となるが、この水平状態への移行を停止する手段としては、例えば、回動リンク6の変移量をリンク13aを介してポテンショメータ13で検出し、このポテンショメータ13が予め設定した抵抗値を検出したことで、油圧シリンダ2への油の供給を停止させることで、図14〜16に示すベッド状態となる。そして、このベッド状態において診察を行う。
【0039】
一方、このベッド状態から初期状態への移行は、フットスイッチ10または11のレバーを左方向に操作(オートリターン)することで、油圧シリンダ2のシリンダを開放して油の排出を可能とする。この状態において患者の重量、座部3、背凭れ5、レッグレスト7および足載せ台8の重量によって油圧シリンダ2のラムが下降するので、前記した動作とは逆の動作によって椅子状態に戻る。この時も前記ポテンショメータ13の抵抗値変化を検出し、この抵抗値が予め設定した値を検出すると油圧シリンダ2よりの油の排出を停止することで椅子状態に戻る。
【0040】
そして、この椅子状態に戻った後に、油圧シリンダ54を開放して排出された油がチューブ54aを介して開始されるので、枠体51は下降を開始し最終的には座部後方下部の最下降位置に収容される。この枠体51の下降時において上下動板53も下降するので、枠体51の上辺部と背凭れ基台5aとの間にプーリーを介して張設されたワイヤー57によって、枠体51の下降速度は油圧シリンダの収縮速度に対して2倍となる。
【0041】
そして、最終的には上下動板53が軸点bより下方位置まで下降するので、枠体51は上下動板53が椅子状態の高さ位置より油圧シリンダ54が収縮する分だけ下方に移動する2倍の変位量分、下方に移動し枠体51が最下降位置となって初期状態となり、この状態で患者は診察椅子より退席することができる。
【0042】
次に、第2の診察形態である動作について説明する。
この第2の診察形態とは、初期状態における医師との対面による問診や診察が終了し、次いで、患者の背中の診察が終了した後に、枠体51を上昇させて椅子状態に移行して再度、問診・診察等を行い、その後にベッド状態とする動作である。
【0043】
前記初期状態から椅子状態にするためには、フットスイッチ10または11のレバーを押し上げる操作を行うと、油圧シリンダ54に油が供給され、この油の供給によって油圧シリンダ54のラムが上昇するので、枠体51が前記した枠体51の下降動作とは逆の動作によって上昇し、最終的には枠体51は最上昇位置で停止して椅子状態となる。そして、この椅子状態において医師との対面状態において問診や診察を再度行うことが可能となる。そして、この椅子状態において患者を退席させる。
【0044】
前記椅子状態において、さらに仰臥状態での診察が必要と医師が判断した場合には、フットスイッチ10または11を右方向に操作(プリセット)してベッド状態にする。すなわち、プリセット操作を行うと、前記した油圧シリンダ2に油が供給されラムが上昇して座部3を上昇させる動作が開始されるので、前記した椅子状態からベッド状態への移行と同じ動作によってベッド状態となる。そして、このベッド状態において診察を行う。このベッド状態での診察が終了した後には、前記した第1の診察形態で説明したと同様な動作を行い初期状態に戻し患者を退席させる。
【0045】
次に、第3の診察形態である動作について説明する。
この第3の診察形態とは、枠体51を最上昇位置に上昇させた椅子状態を初期状態とする。そして、この椅子状態において医師と対面して問診や診察を行い、次いで、枠体51を椅子後方下部に収納して患者の背中の診察を行い、再度、枠体51を最上昇位置に戻して椅子状態とした後に、前記したプリセット操作を行ってベッド状態に移行する動作である。
【0046】
前記椅子状態においてフットスイッチ10または11のレバーを押し下げる操作を行うと、油圧シリンダ54のシリンダを開放して油の排出が可能となる。この油圧シリンダ54内の油の排出が可能となると引っ張り用のスプリング55のバネ力に補助され油圧シリンダ54は収縮して背凭れ基台5aに対してガイド杆52が案内されながら背凭れ全体の重量によって枠体51が下降を開始する。
【0047】
また、油圧シリンダ54が収縮することで、油圧シリンダ54のシリンダ側が取付けられている上下動板53も下降するが、枠体51の上辺部と背凭れ基台5aとの間にプーリー56を介して張設されたワイヤー57によって枠体51の下降速度は油圧シリンダ54の収縮速度に対して2倍となる。
【0048】
そして、最終的には上下動板53が起立片3bより下方位置まで下降して座部後方下部に収容された状態となる。従って、背凭れ5の枠体51は上下動板53が初期の高さ位置より油圧シリンダ54が収縮する分だけ下方に移動する2倍の変位量分、下方に移動することとなって、図8〜図10の移動を経て着座している患者の背中側の診察を行える高さまで下降した状態となる(図11〜13参照)。
【0049】
この枠体51が座部後方下部に収容された状態において患者の背中の診察を行い、次いで、フットスイッチ10または11のレバーを上方に操作すると、前記した第2の診察動作で説明した動作によって枠体51は上昇して椅子状態となる。そして、この椅子状態において患者を退席させる。そして、仰臥状態での診察が必要と医師が判断した場合には、プリセット操作をしてベッド状態にする。
【0050】
このプリセット操作を行うと、前記した油圧シリンダ2に油が供給されラムが上昇して座部3を上昇させる動作が開始されるので、前記した椅子状態からベッド状態への移行と同じ動作によってベッド状態となる。そして、このベッド状態において診察を行う。このベッド状態での診察が終了した後には、オートリターン操作を行うことで椅子状態に戻り、この状態で患者を退席させる。
【0051】
次に、第4の診察形態である動作について説明する。
前記した第3の診察形態にあっては、椅子状態において医師と対面による問診や診察を行い、次いで、枠体51を下降させて患者の背中の診察を行い、その後、枠体51を上昇させて椅子状態に戻し、医師が患者と対面した状態で問診や診察を行い、仰臥姿勢での診察が必要な場合には、ベッド状態に移行する動作であったが、この第4の診察状態は第3の診察状態の枠体51を下降させた後に椅子状態に戻すことなくベッド状態に移行する動作である。
【0052】
前記した第3の診察形態において説明した椅子状態から枠体51を下降させて患者の背中を診察するまでの動作は同じ動作なので説明は省略する。そして、この状態から仰臥姿勢での診察が必要であると医師が判断した場合のベッド状態への移行について説明する。
【0053】
このベッド状態への移行は、フットスイッチ10または11のレバーを右方向に操作してプリセット操作を行うと前記した第1の診察形態で説明した動作によって、枠体51が上昇して椅子状態に変移した後に、座部3が上昇し、背凭れ5、レッグレスト7および足載せ台8が座部3と面一となってベッド状態に移行する。そして、このベッド状態で患者の診察を行う。このベッド状態での診察が終了した後には、前記した第1の診察形態で説明したと同様な動作を行い椅子状態に戻るので、この状態で患者を退席させる。
【0054】
なお、前記した診察形態以外にも医師の好み診察形態、あるいは患者の診察内容によって他の診察形態も考えられるものである。また、座部3の回転状態をロックあるいは解除する手段としては、前記フットスイッチ10,11とは別個に設けられた床面に載置された公知のフットペダルで行ってもよく、さらに、フットスイッチ10または11のレバーを下方に操作することで、座部3の回転状態をロックし、再度下方に踏み込んだ時には回転可能とするようにしもよい。この場合において背凭れ5の枠体51の下降はフットペダルにより、あるいはフットスイッチ10,11のオートリターン操作を行うことで下降させることが可能となる。
【0055】
さらに、前記した実施例にあっては、油圧シリンダ2の伸長によって座部3が上昇することで回動リンク6が回動し、この回動によってレッグレストリンク7bを介してレッグレスト7が水平方向に変移し、かつ、座部3に取付けられている起立片3bと軸支されている突出片5bが変移することで背凭れ5が水平方向に変移するようにしたが、レッグレストリンク7bの一端を前記突出片5b側に軸支し、座部3の上昇によって突出片5bが変移するのに伴ってレッグレストリンク7bがレッグレスト7を水平方向に変移させるようにしてもよい。
【0056】
前記した実施例における背凭れ昇降手段は油圧シリンダ54によって背凭れ5の昇降動作を行わせるものであるが、以下に医師や看護師が手動によって背凭れの昇降動作を行う実施例を図17〜図24と共に説明する。なお、前記した実施例と同一符号は同一部材を示し説明は省略する。
【0057】
この実施例にあっては、左右一対の背凭れ支持台4の中央上下方向に重り用ガイド杆58を固定し、この重り用ガイド杆58に対して重り12を摺動自在に取り付ける。この重り12の上方には第1のプーリー12aが回転自在に軸支されている。
【0058】
前記枠体51の裏面側にはコ字状のガイドバー51bが取付けられており、前記背凭れ基台5aには前記ガイドバー51bを案内するガイド受け(図示せず)が形成されている。従って、枠体51はガイドバー51bとガイド受けとによって上下動可能となっている。
【0059】
背凭れ基台5aには固定板5dが取付けられており、この固定板5dの裏面には第2のプーリー5eが取付けられている。そして、図23,24に示すように背凭れ基台5aの固定側である前記固定板5d(図17,19,21参照)に一端が固定されたワイヤー57は前記第1のプーリー12aに巻回され、該第1のプーリー12aを巻回されたワイヤー57は第2のプーリー5eに巻回された後、上下動する枠体51の下部に固定されている。なお、図17〜22には図面を簡素化するためにワイヤー57の記載を省略している。また、枠体51のバランスを採るための2つのプーリー12a,5e、ワイヤー57、重り12とでアシスト手段を構成している。
【0060】
ここで、枠体51の重量に対して重り12の重量は約2倍の重量に設定することで2つのプーリー12a,5eにワイヤー57が巻回されていることで、重量バランスが略ゼロとなっており枠体51の上下動を人手によって行う場合に、殆ど負荷を感じることなく上下動操作を行うことが可能となる。例えば、枠体51の重量が5Kgであるとした場合、重り12の重量を10Kgに設定する。
【0061】
13は枠体51を上昇させた時に枠体51の下部と座部3の後方との間に生じる隙間を覆い、患者の衣服等が背凭れ5の下部と座部3の後方との間に挟まれるのを防止するためのサブ背凭れにして、該サブ背凭れ13は枠体51の下辺板59に一端が取付けられた平行リンク59aの先端に取付けられている。
【0062】
次に、医師や看護師が手動によって枠体51の昇降動作について説明するに、先ず、図17,18に示す枠体51が最上昇位置にある状態から、患者の背中の聴診・視診・打診を行うために枠体51を下降させるには、医師や看護師が枠体51の上方を押し下げると、枠体51の重量に対して重り12の重量が約2倍の重量となっていることから、枠体51と重り12の重量バランスが略ゼロであることから、急激に下降することなく楽に下降させることができる。そして、2つのプーリー12a,5eを巻回してワイヤー57が巻回されているので、重り12の移動量に対し2倍のストロークで枠体51の下降が行われる。
【0063】
また、枠体51が上昇位置にある時にはサブ背凭れ13は、該サブ背凭れ13の重量によって平行リンク59aによって下方に垂れ下がった状態となっており、従って、枠体51の下部はサブ背凭れ13によって覆われ座部3との隙間は塞がれている。
【0064】
前記枠体51が下降するのに伴ってワイヤー57を介して重りが上昇し(図19,20参照)、最終的には枠体51は図21,22に示すよう最下降位置まで下降する。この最下降位置の前からサブ背凭れ13は図示しないストッパーに当接して平行リンク59aを介して前方に変移しながら上昇し、枠体51の下降はスムースに行われる。枠体51の最下降位置において患者の背中部分より枠体51が下降することで聴診・視診・打診を行うことが可能となる。
【0065】
次に、下降位置にある枠体51を上昇させるには、医師や看護師が枠体51の上方を持って引き上げると、前記した動作とは逆の動作によって引き上げが行える。この時、前記したように重量バランスが略ゼロであることから、負荷を感じることなく枠体51を引き上げることができる。
【0066】
なお、2個のプーリー12aと5eおよびこのプーリーに対してワイヤー57を巻回していることで、枠体51の移動量に対して重りの移動量は半分となることから背凭れ昇降手段をコンパクトにすることが可能となり、また、2倍のストロークで枠体51を上下動させることができる。
【0067】
また、枠体51が上昇するに伴ってサブ背凭れ13がストッパーから離れることで、該サブ背凭れ13の自重で平行リンク59aを介して下降し、枠体51が最上昇位置に変位した状態で枠体51の下部と座部3との隙間が覆われる。
【0068】
前記したように、枠体51はワイヤー57のプーリー12a,5eへの掛け回しと重り12とにより殆ど負荷がなく上下動可能な状態であることから、背凭れ5の起伏時に枠体51に患者の背中が当接していることから下降したり、あるいは、医師や看護師が枠体51を誤って上下動させる操作を行った場合に枠体51が上下動する可能性がある。そこで、枠体51の高さ位置を決定した位置において、みだりに枠体51が上下動するのを防止する必要がある。
【0069】
なお、前記した実施例にあっては、枠体51のバランスを採るためのアシスト手段として重り12を使用したが、重り12に変えてガスシリンダを使用してもよい。すなわち、ガススプリングの上端を背凭れ支持台4の上方に位置する固定台5dに取付け、下端をガイド杆58に取付けられている第1のプーリー12aを軸支している部材に取付ける。このような構成とすることで、ガススプリングは常に伸びようとするが、上端は固定され下端が摺動自在なため、第1のプーリー12aを軸支している部材を押し下げることとなり、重り12を使用したと同様な作用を得ることができる。
【0070】
以下、枠体51の高さ位置を決定した位置でロックするためのロック機構14の一例を説明する。
このロック機構14は本出願人が出願した理美容用椅子のヘッドレスト装置(特開2000−270959号公報)において開示したものであり、以下、その概略について説明する。なお、前記椅子のヘッドレスト装置はヘッドレストを手動によって上下動させた位置でヘッドレストをロックする装置であるが、このロック装置を本発明の枠体51を上下動させた位置で該枠体51をロックするのに応用したものである。
【0071】
次に、前記開示されているロック機構14を図25と共について説明するに、141は前記枠体51の下方内部に固定された取付片51bに取付けられたガイドパイプで、該ガイドパイプ141内にはスライドパイプ142が挿入され、ガイドパイプ141に固定されたガイド片141a、スライドパイプ142に固定された支点プレート142aによって、スライドパイプ142はガイドパイプ141に対してスライド自在となっている。
【0072】
前記ガイドパイプ141の下端に取付けられたブラケット141bには心棒143が固定されている。そして、先端は支点プレート142aに形成された孔内に貫通されている。この心棒143にはクランプチェーン144が嵌合され、該クランプチェーン144は前記スライドパイプ142内に収容されると共に、一端はスライドパイプ142の凹部142bに支持され、また、他端はスライドパイプ142内に挿入された操作パイプ145と一体的に上下動するスライド片146の溝146a内に支持されている。
【0073】
前記スライド片146は前記スライドパイプ142内を移動可能に嵌挿されると共に心棒143が挿通されたスライダ147に係合されており、該スライダ147が図17の状態から下方に移動することにより、スライド片146も移動して、クランプチェーン144を該クランプチェーン144が伸びる方向にバネ付勢している図示しないスプリングを圧縮する方向に移動させる。これにより、クランプチェーン144は心棒143より離れる方向に変位する。
【0074】
前記操作パイプ145の上端には押下摘み148が取付けられ、この押下摘み148と前記スライドパイプ142の上端に固定されたスライド筒142cとの間にはスプリング149が配置されていて、その結果、操作パイプ145は上方にバネ付勢されている。
【0075】
このように構成したロック機構14は、スライドパイプ142を上昇方向に引き上げると、スライド片146が引き上げられることによりクランプチェーン144の下端をクランプチェーン144の図示しないスプリングのバネ力に抗して押し上げ、これにより、クランプチェーン144は縮むこととなって、心棒143との係合が解除されスライドパイプ142は上昇する。
【0076】
そして、下降方向に対しては心棒143がクランプチェーン144によってロックされた状態となっているので、スライドパイプ142を上昇させ停止させた状態においてスライドパイプ142はロックされることから、スライドパイプ142を引き上げ、該引上げ力を解除すると、その位置でロック固定される。
【0077】
そして、スライドパイプ142を下降させるには、押下摘み148を前記スプリング149のバネ力に抗して押すと、操作パイプ145が図18において下降する。これにより、スライダ147が下方に移動してクランプチェーン144と心棒143とは離れ、従って、スライドパイプ142はガイドパイプ141に対して摺動自在となるので、スライドパイプ142を下降させることが可能となる。
【0078】
なお、図18,20,22に示すロック機構14は概略を示しているので、ロック機構14の詳細は図25を参照されたい。また、ロック機構については前記した実施例に限定されるものではなく、例えば、前記ガイドバー51bにラック歯を形成し、このラック歯と噛合するロック歯を背凭れ基台5aに取付け、枠体51の下降時には前記ロック歯とラック歯との噛合は行われず、枠体51の下降時には前記ロック歯との噛合を解除できるようにロック歯をスプリングのバネ力に抗して引くことで行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 基台
2 油圧シリンダ
3 座部
4 背凭れ支持台
5 背凭れ
51 枠体
6 回動リンク
7 レッグレスト
8 足載せ台
9 ヘッドレスト
10 背凭れ昇降用スイッチ
11 オート用スイッチ
12 肘掛け
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や医院において問診や処置を行う場合に患者が着座する椅子であって、回転および背凭れの高さを調整可能とした医療用診察椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や医院において診療を受ける場合には、診察室に患者が背凭れの無い丸椅子に着座して問診・聴診器による診察や医師の触診や打診で胸や背中の診察を受け、また、必要に応じて脱衣を行い後方に設置されている固定ベッドに横になり診察や処置を行っていた。
【0003】
ところで、患者が着座する椅子は丸椅子であることから、患者が問診や診察を受ける時に、背中の診察のために丸椅子を回転させて診察を行っていた。また、丸椅子での問診や診察が終了し、べッドでの診察や処置に移行する際に、患者がベッドへ移動したり、また診察が終了した後に患者がベッドから降りる動作が必要となり、高齢者や身障者にとって負担を掛けるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決する手段としては、診察や治療時に椅子の背凭れとレッグレストをベッド状に変化させることで、患者の煩わしい移動を行う必要をなくして、高齢者でも安全なかつ安楽な診察や処置を受けることができる。この点に着目して本出願人は特開2009−6023号公報に開示された技術を開発した。
【0005】
この発明は、背凭れとレッグレストを起伏可能に形成し、問診時には椅子の状態として椅子への乗り降りを容易となし、診察や治療時には背凭れとレッグレストを水平状態に移行させてベッド状とすることで、従来のような椅子からベッドへの移動を行うことなく患者を寝かせた状態とすることで、患者の煩わしい移動をなくして、問診や処置ができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−6023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記した特許文献1の発明にあっては、患者が移動しなくとも問診から診察や治療を行うことが可能であるが、椅子状態では背凭れが固定されているため、医師による患者の背中の聴診・視診・打診を行おうとした場合には、患者の背中を支える背凭れが邪魔となって行うことができないといった問題があった。
【0008】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、患者の導入時には患者の乗り降りし易い高さに設定することが可能なので高齢者であっても椅子への乗り降りが容易であり、また背凭れを収納式としていることで、背凭れの座部後方下部に収納した状態で椅子を回転させ背凭れの高さを低くした状態で背中の聴診・視診・打診を行うことが可能であり、さらに詳細に患者の診療や処置を行うために患者を仰臥状態とする場合にも患者は移動させることなく椅子状態からベッド状態にすることが可能な医療用診察椅子を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の医療用診察椅子は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、昇降自在な座部と、座部後方下部に収容可能とする背凭れ昇降手段を備え、かつ前記座部の昇降に伴って起伏する背凭れと、前記座部の昇降に伴って起伏するレッグレストとを具備し、前記背凭れを座部後方下部に収容した状態と、前記背凭れを前記背凭れ昇降手段によって上昇させた椅子状態と、前記座部が上昇して前記背凭れとレッグレストを伏倒させベッド状態に変移することを特徴とする。
【0010】
請求項2の手段は、下端が床面に設置される基台に固定された背凭れ支持台と、該背凭れ支持台の上端に回動自在に軸支された背凭れ基台と、該背凭れ基台に対して背凭れ昇降手段によって昇降する背凭れと、前記背凭れ基台と回動自在に座部基板に形成された起立片が軸支された座部と、該座部を昇降するための油圧シリンダと、前記座部の前端側と回動自在に軸支されたレッグレストと、前記背凭れ支持台に一端が軸支された回動リンクと、前記レッグレストに回動自在に軸支されたレッグレストリンクとより構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項3の手段は、前記背凭れ昇降手段は、前記座部に対して起伏可能に取付けられた固定部材として作用する背凭れ基台に対して摺動可能となるガイド杆を有する背凭れの枠体と、前記背凭れ基台の下部において前記ガイド杆に対して摺動可能に取付けられた上下動板と、該上下動板にシリンダ側が取付けられラム側が前記枠体の上辺部に取付けられた油圧シリンダと、前記上下動板に取付けられたプーリーと、一端が前記枠体の上辺部に取付けられ中間が前記プーリーに巻回され他端が前記背凭れ基台に取付けられたワイヤーとから構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4の手段は、前記した請求項1または2において、前記背凭れ昇降手段は、前記座部に対して起伏可能に取付けられた固定部材として作用する背凭れ基台に対して摺動可能となるガイド杆を有する背凭れの枠体と、前記背凭れ支持台に対して上下動可能に取付けたアシスト手段と、該アシスト手段に取付けられた第1のプーリーと、前記背凭れ基台側に取付けられた第2のプーリーと、一端が前記背凭れ基台側に固定され、前記第1のプーリーに巻回した後に前記第2のプーリーに巻回し他端が前記枠体側に固定されたワイヤーとから構成し、前記アシスト手段の力を前記枠体とのバランスが採れる力としたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の手段は、前記した請求項4において、前記枠体は外部よりの操作によってロック機構によって背凭れ基台に対して固定状態とし、この固定状態において不意の外力が加わっても枠体の上下動が行われないようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は前記したように、背凭れを前記背凭れ昇降手段によって座部後方下部に収容した状態と、前記背凭れを前記背凭れ昇降手段によって上昇させた椅子状態と、前記座部が上昇して前記背凭れとレッグレストを伏倒させベッド状態に変移可能としたことにより、背凭れを座部後方下方に収容した状態で患者の背中の聴診・視診・打診が行え、また、椅子状態とすることで患者との問診・視診・打診が行え、さらに、背凭れを収容した状態また椅子状態から患者を着座させた状態でベッド状態とすることで、従来のように患者をベッドに移動させることなく診察や処置が行える。
【0015】
また、背凭れ昇降手段を油圧シリンダによって構成し、枠体を固定部材側である背凭れ基台に対して昇降させるようにして、最下降位置では座部後方下部に収容されて、また、最上昇位置では椅子状態となることから、背凭れ昇降用スイッチを足や手で操作するだけで患者の背中側診断状態と椅子状態とに変移でき、かつ、一端が枠体側に固定され、他端が固定部材側に固定されたワイヤーの途中を枠体と連動して上下動する上下動板に取付けられているプーリーに巻回したことにより、油圧シリンダの収縮量に対して枠体は2倍の移動量となり、従って、背凭れ昇降手段の小型化を図ることが可能となる。
【0016】
さらに、背凭れ昇降手段を固定部材側に対して昇降可能に支持された枠体を、枠体に対して約2倍の重量で移動する重りを取付け、この重りに第1のプーリーを取付け、第2のプーリーを固定部材側に取付け、この第1、第2のプーリー間に一端が固定部材側に固定され他端が枠体側に固定されたワイヤーを巻回させたことにより、枠体の重量と重りの重量とがバランスされて枠体の昇降動作を人手によって行っても負荷を感じることなく楽に行え、かつ、背凭れの移動量に対して重りの移動量は半分となるので、背凭れ昇降手段を小型化できて背凭れ背面側に楽に収容することが可能となる。
【0017】
また、枠体は外部よりの操作によってロック機構によって背凭れ基台に対して固定状態とし、この固定状態において着座している患者が移動したり、医師が枠体を上下動させる操作を行っても、枠体の上下動が行われないようにしたので、特に、椅子状態において枠体が下方に移動するのを防止でき、あるいはベッド状態において枠体が座部側に移動するのを防止できるので、患者を安全状態で診療することができる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の医療用診察椅子の初期状態の斜視図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図2のA−A線断面図であり要部のみを示している。
【図4】図3の背凭れを裏面側から見た背面図である。
【図5】前面側から見た全体の斜視図である。
【図6】裏面側から見た全体の斜視図である。
【図7】下方から見た全体の斜視図である。
【図8】背凭れを途中まで下降した状態の正面図である。
【図9】図8のB−B線断面図である。
【図10】図9の背凭れを裏面側から見た背面図である。
【図11】背凭れを最下降位置まで下降した状態の正面図である。
【図12】図11のC−C線断面図であり要図のみを示している。
【図13】図12の背凭れ裏面側から見た背面図である。
【図14】ベッド状態にした斜視図である。
【図15】図14の裏面側から見た斜視図である。
【図16】図15の側面から見た断面図である。
【図17】本発明における背凭れを手動によって昇降させる場合の実施例であり、枠体が最上昇位置にある背面斜視図である。
【図18】図17の側面図である。
【図19】枠体が下降を開始した状態の背面斜視図である。
【図20】図19の側面図である。
【図21】枠体が最下降位置にある背面斜視図である。
【図22】図21の側面図である。
【図23】手動による昇降を説明するための枠体が最上昇位置にある要部を示す側面図である。
【図24】最下降位置にある要部を示す側面図である。
【図25】枠体のロック機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る医療用診察椅子の一実施例を図面と共に説明する。
1は病院や医院の診療室内に床面に固定する基台にして、該基台1に対して円板部1aが回転可能に取付けられている。2はシリンダ側が円板部1aに軸支され、ラム側が座部3の裏面における座部基板3aに軸支された油圧シリンダ、4は前記円板部1aに下端が固定され、上端が背凭れ5における背凭れ基台5aに対して軸41によって回転自在に軸支された左右一対の背凭れ支持台である。以下、この軸41による回転支点を軸点aという。
【0020】
前記座部3の後方上面には起立片3bが形成されており、該起立片3bと前記背凭れ基台5aから前方に突出した突出片5bとが軸3dによって軸支されている。以下、この軸3dによる回転支点を軸点bという。従って、座部3が上昇すると背凭れ5は座部3の突出片3bを介して背凭れ5の起立片5bが押し上げられるので、前記背凭れ基台5aと背凭れ支持台4とが軸点aで伏倒方向に回動される。
【0021】
また、座部3の座部基板3aの裏面には三角形状の座部基台3cが取付けられており、該座部基台3cの下端と前記背凭れ支持台4との間にはU字状の回動リンク6が軸支されている。
【0022】
7は前記座部基板3aの前方にレッグレスト基板7aの上端が回動自在に軸支されたレッグレストにして、レッグレスト基板7aの上方には一端が前記回動リンク6に軸支されたレッグレストリンク7bの他端が軸支されている。
【0023】
前記レッグレスト7の裏面側には、一端が前記座部基板3aの前方に回動自在に軸支された一対の平行リンク8a,8bの他端が軸支された足載せ台8が回動自在に軸支されており、前記レッグレスト7が前記回動リンク6を介してレッグレストリンク7bが前方に変移すると、前記平行リンク8a,8bによってレッグレスト7の水平方向への変移に伴って足載せ台8も水平移動し、最終的にはレッグレスト7と座部3と面一状態となる。
【0024】
前記した背凭れ5は昇降可能に構成されている。すなわち、患者が着座する時に背凭れが高い位置にあると威圧感や圧迫感を感じたり、患者の背中側を聴診、視診、打診を行うのに背凭れ5が邪魔になるという問題がある。そこで、背凭れ5を下降させることで、前記問題を解決することが可能となる。
【0025】
そして、この実施例では図11〜13に示す背凭れ5が最下降位置にある状態を初期状態とするが、医師等の施術等の行い易いベッド状態を除く背凭れ5が如何なる高さ位置を初期状態としてもよい。なお、背凭れ5を最上昇位置に上昇させた位置を椅子状態とする。
【0026】
次に、背凭れ5を昇降させるための背凭れ昇降手段について説明する。
前記一対の背凭れ基台5aはリンクバー5cによって一体化されている。前記背凭れ5は枠体51とからなっており、該枠体51には前記背凭れ基台5aに開口されたガイド孔に挿通される左右一対のガイド杆52が取付けられている。なお、枠体51の前面には背凭れクッション51aが取付けられている。
【0027】
また、ガイド杆52が取付けられた前記枠体51の下辺部と前記背凭れ基台5aとの間には前記ガイド杆52にガイドされる上下動板53が上下動自在に支持され、この上下動板53には油圧シリンダ54のシリンダ側が軸支され、ラム側が枠体51の上辺部に支持されている。
【0028】
さらに、上下動板53と枠体51の上辺部との間には引っ張り用のスプリング55が張設され、また、上下動板53の左右端にはプーリー56が回転自在に取付けられると共に、このプーリー56には一端が枠体51の上辺部に取付けられ、他端が背凭れ基台5a取付けられたワイヤー57が巻回されている。なお、54aは油圧シリンダ54への油の供給と排油するためのチューブである。
【0029】
9は前記枠体51の上辺部に取付けられたヘッドレストにして、公知の手段によって枠体51の上辺部において起立状態と後方への伏倒状態に変移可能に形成されると共に少なくとも起立状態においてロック可能に形成されている。
【0030】
10,11は基台側に取付けられ足の踏み込みや押し上げで同じ機能を制御するジョイスティック式のフットスイッチにして、足先でレバーを例えば、上方向に操作すると背凭れ5を上昇させ、また、下方向に操作すると背凭れ5を下降させ、さらに、レバーを右方向に操作すると初期状態や椅子状態からベッド状態に移行(プリセット動作)させ、また、左方向に操作するとベッド状態から初期状態や椅子状態に移行(オートリターン動作)させる。
【0031】
なお、同じ動作を行わせるフットスイッチを2個配置したのは、医師の利き足が異なる場合や診察時の医師の移動位置などで、座部3を回転させた時に1つのフットスイッチのみでは操作し難い状態が発生することがあるからである。
また、図示した実施例にあっては、スイッチとしてジョイスティック式のフットスイッチを示したが、床面に載置して足で踏み込む式のフットスイッチに前記した背凭れの上下動、プリセットやオートリターンなどの動作釦を設けて操作するようにしてもよく、ジョイスティック式のフットスイッチを背凭れ5の背面側や後述する肘掛け12の側面に配置して手動によって行うようにしてもよく、さらに、スイッチとしてジョイスティック式のものに限定されるものではない。
【0032】
12は患者が着座した時に肘を掛けたり、ベッド状態における患者の転倒を防止したり、内部構造を隠して体裁をよくするための肘掛けである。
【0033】
次に、第1の診察形態である動作について説明する。
この第1の診察形態とは、初期状態である枠体51が最下降位置(椅子後方下部)にある状態で、患者が着座して医師と対面しての問診や視診・打診等の診察を受け、次いで、座部3を基台1に対して、例えば90度回転し、あるいは、医師が移動して患者の背中の聴診・視診・打診等の診察を行う。そして、診察を行った医師が終了する時には着座している患者を退席させる。また、さらに仰臥状態での診察が必要と医師が判断した場合には、フットスイッチ10または11のレバーを右方向に操作(プリセット)してベッド状態にする。そして、ベッド状態での診療か終了すれば、フットスイッチ10または11のレバーを左方向に操作(オートリターン)して元の前記初期状態に戻す。
【0034】
次に、枠体51が下降した位置からベッド状態への移行動作について説明する。
図11〜13の初期状態においてプリセット操作が行われると、先ず、油圧シリンダ54への油の供給が行われスプリング55のバネ力に抗して枠体51がガイド杆52に案内されながら上昇を開始する。この時、油圧シリンダ54のシリンダ側が取付けられている上下動板53も上昇するので、枠体51の上辺部と背凭れ基台5aとの間にプーリーを介して張設されたワイヤー57によって、枠体51の上昇速度は油圧シリンダの伸長速度に対して2倍となる。
【0035】
そして、最終的には上下動板53が軸点bより上方位置まで上昇するので、枠体51は上下動板53が初期の高さ位置より油圧シリンダ54が伸長する分だけ上方に移動する2倍の変位量分、上方に移動し枠体51が最上昇位置となって椅子状態となる。
【0036】
この椅子状態から油圧シリンダ2に油が供給されラムが上昇して座部3を上昇させる。この座部3の上昇に伴って座部3の裏面に取付けられている座部基台3cが上昇するので、この上昇に伴って回動リンク6が背凭れ支持台4との軸部を支点として時計方向に回動され、回動リンク6に一端が軸支されているレッグレストリンク7bの先端がレッグレスト7を座部基板3aとの軸部を支点として時計方向(水平方向)に回動される。そして、レッグレスト7が水平方向に変移されることにより、足載せ台8が平行リンク8a,8bによって水平状態を維持しながら上昇を開始する。
【0037】
一方、座部3が上昇すると、座部基板3aに取付けられている起立片3bと連結されている背凭れ5における背凭れ基台5aから延長されている突出片5bが押し上げられる。ここで、背凭れ基台5aは背凭れ支持台4と軸点aにおいて軸支されているので、背凭れ5は座部3の上昇に伴って水平方向に変移する。
【0038】
そして、座部3が上昇することでレッグレスト7および背凭れ5が水平方向に変移してベッド状態となるが、この水平状態への移行を停止する手段としては、例えば、回動リンク6の変移量をリンク13aを介してポテンショメータ13で検出し、このポテンショメータ13が予め設定した抵抗値を検出したことで、油圧シリンダ2への油の供給を停止させることで、図14〜16に示すベッド状態となる。そして、このベッド状態において診察を行う。
【0039】
一方、このベッド状態から初期状態への移行は、フットスイッチ10または11のレバーを左方向に操作(オートリターン)することで、油圧シリンダ2のシリンダを開放して油の排出を可能とする。この状態において患者の重量、座部3、背凭れ5、レッグレスト7および足載せ台8の重量によって油圧シリンダ2のラムが下降するので、前記した動作とは逆の動作によって椅子状態に戻る。この時も前記ポテンショメータ13の抵抗値変化を検出し、この抵抗値が予め設定した値を検出すると油圧シリンダ2よりの油の排出を停止することで椅子状態に戻る。
【0040】
そして、この椅子状態に戻った後に、油圧シリンダ54を開放して排出された油がチューブ54aを介して開始されるので、枠体51は下降を開始し最終的には座部後方下部の最下降位置に収容される。この枠体51の下降時において上下動板53も下降するので、枠体51の上辺部と背凭れ基台5aとの間にプーリーを介して張設されたワイヤー57によって、枠体51の下降速度は油圧シリンダの収縮速度に対して2倍となる。
【0041】
そして、最終的には上下動板53が軸点bより下方位置まで下降するので、枠体51は上下動板53が椅子状態の高さ位置より油圧シリンダ54が収縮する分だけ下方に移動する2倍の変位量分、下方に移動し枠体51が最下降位置となって初期状態となり、この状態で患者は診察椅子より退席することができる。
【0042】
次に、第2の診察形態である動作について説明する。
この第2の診察形態とは、初期状態における医師との対面による問診や診察が終了し、次いで、患者の背中の診察が終了した後に、枠体51を上昇させて椅子状態に移行して再度、問診・診察等を行い、その後にベッド状態とする動作である。
【0043】
前記初期状態から椅子状態にするためには、フットスイッチ10または11のレバーを押し上げる操作を行うと、油圧シリンダ54に油が供給され、この油の供給によって油圧シリンダ54のラムが上昇するので、枠体51が前記した枠体51の下降動作とは逆の動作によって上昇し、最終的には枠体51は最上昇位置で停止して椅子状態となる。そして、この椅子状態において医師との対面状態において問診や診察を再度行うことが可能となる。そして、この椅子状態において患者を退席させる。
【0044】
前記椅子状態において、さらに仰臥状態での診察が必要と医師が判断した場合には、フットスイッチ10または11を右方向に操作(プリセット)してベッド状態にする。すなわち、プリセット操作を行うと、前記した油圧シリンダ2に油が供給されラムが上昇して座部3を上昇させる動作が開始されるので、前記した椅子状態からベッド状態への移行と同じ動作によってベッド状態となる。そして、このベッド状態において診察を行う。このベッド状態での診察が終了した後には、前記した第1の診察形態で説明したと同様な動作を行い初期状態に戻し患者を退席させる。
【0045】
次に、第3の診察形態である動作について説明する。
この第3の診察形態とは、枠体51を最上昇位置に上昇させた椅子状態を初期状態とする。そして、この椅子状態において医師と対面して問診や診察を行い、次いで、枠体51を椅子後方下部に収納して患者の背中の診察を行い、再度、枠体51を最上昇位置に戻して椅子状態とした後に、前記したプリセット操作を行ってベッド状態に移行する動作である。
【0046】
前記椅子状態においてフットスイッチ10または11のレバーを押し下げる操作を行うと、油圧シリンダ54のシリンダを開放して油の排出が可能となる。この油圧シリンダ54内の油の排出が可能となると引っ張り用のスプリング55のバネ力に補助され油圧シリンダ54は収縮して背凭れ基台5aに対してガイド杆52が案内されながら背凭れ全体の重量によって枠体51が下降を開始する。
【0047】
また、油圧シリンダ54が収縮することで、油圧シリンダ54のシリンダ側が取付けられている上下動板53も下降するが、枠体51の上辺部と背凭れ基台5aとの間にプーリー56を介して張設されたワイヤー57によって枠体51の下降速度は油圧シリンダ54の収縮速度に対して2倍となる。
【0048】
そして、最終的には上下動板53が起立片3bより下方位置まで下降して座部後方下部に収容された状態となる。従って、背凭れ5の枠体51は上下動板53が初期の高さ位置より油圧シリンダ54が収縮する分だけ下方に移動する2倍の変位量分、下方に移動することとなって、図8〜図10の移動を経て着座している患者の背中側の診察を行える高さまで下降した状態となる(図11〜13参照)。
【0049】
この枠体51が座部後方下部に収容された状態において患者の背中の診察を行い、次いで、フットスイッチ10または11のレバーを上方に操作すると、前記した第2の診察動作で説明した動作によって枠体51は上昇して椅子状態となる。そして、この椅子状態において患者を退席させる。そして、仰臥状態での診察が必要と医師が判断した場合には、プリセット操作をしてベッド状態にする。
【0050】
このプリセット操作を行うと、前記した油圧シリンダ2に油が供給されラムが上昇して座部3を上昇させる動作が開始されるので、前記した椅子状態からベッド状態への移行と同じ動作によってベッド状態となる。そして、このベッド状態において診察を行う。このベッド状態での診察が終了した後には、オートリターン操作を行うことで椅子状態に戻り、この状態で患者を退席させる。
【0051】
次に、第4の診察形態である動作について説明する。
前記した第3の診察形態にあっては、椅子状態において医師と対面による問診や診察を行い、次いで、枠体51を下降させて患者の背中の診察を行い、その後、枠体51を上昇させて椅子状態に戻し、医師が患者と対面した状態で問診や診察を行い、仰臥姿勢での診察が必要な場合には、ベッド状態に移行する動作であったが、この第4の診察状態は第3の診察状態の枠体51を下降させた後に椅子状態に戻すことなくベッド状態に移行する動作である。
【0052】
前記した第3の診察形態において説明した椅子状態から枠体51を下降させて患者の背中を診察するまでの動作は同じ動作なので説明は省略する。そして、この状態から仰臥姿勢での診察が必要であると医師が判断した場合のベッド状態への移行について説明する。
【0053】
このベッド状態への移行は、フットスイッチ10または11のレバーを右方向に操作してプリセット操作を行うと前記した第1の診察形態で説明した動作によって、枠体51が上昇して椅子状態に変移した後に、座部3が上昇し、背凭れ5、レッグレスト7および足載せ台8が座部3と面一となってベッド状態に移行する。そして、このベッド状態で患者の診察を行う。このベッド状態での診察が終了した後には、前記した第1の診察形態で説明したと同様な動作を行い椅子状態に戻るので、この状態で患者を退席させる。
【0054】
なお、前記した診察形態以外にも医師の好み診察形態、あるいは患者の診察内容によって他の診察形態も考えられるものである。また、座部3の回転状態をロックあるいは解除する手段としては、前記フットスイッチ10,11とは別個に設けられた床面に載置された公知のフットペダルで行ってもよく、さらに、フットスイッチ10または11のレバーを下方に操作することで、座部3の回転状態をロックし、再度下方に踏み込んだ時には回転可能とするようにしもよい。この場合において背凭れ5の枠体51の下降はフットペダルにより、あるいはフットスイッチ10,11のオートリターン操作を行うことで下降させることが可能となる。
【0055】
さらに、前記した実施例にあっては、油圧シリンダ2の伸長によって座部3が上昇することで回動リンク6が回動し、この回動によってレッグレストリンク7bを介してレッグレスト7が水平方向に変移し、かつ、座部3に取付けられている起立片3bと軸支されている突出片5bが変移することで背凭れ5が水平方向に変移するようにしたが、レッグレストリンク7bの一端を前記突出片5b側に軸支し、座部3の上昇によって突出片5bが変移するのに伴ってレッグレストリンク7bがレッグレスト7を水平方向に変移させるようにしてもよい。
【0056】
前記した実施例における背凭れ昇降手段は油圧シリンダ54によって背凭れ5の昇降動作を行わせるものであるが、以下に医師や看護師が手動によって背凭れの昇降動作を行う実施例を図17〜図24と共に説明する。なお、前記した実施例と同一符号は同一部材を示し説明は省略する。
【0057】
この実施例にあっては、左右一対の背凭れ支持台4の中央上下方向に重り用ガイド杆58を固定し、この重り用ガイド杆58に対して重り12を摺動自在に取り付ける。この重り12の上方には第1のプーリー12aが回転自在に軸支されている。
【0058】
前記枠体51の裏面側にはコ字状のガイドバー51bが取付けられており、前記背凭れ基台5aには前記ガイドバー51bを案内するガイド受け(図示せず)が形成されている。従って、枠体51はガイドバー51bとガイド受けとによって上下動可能となっている。
【0059】
背凭れ基台5aには固定板5dが取付けられており、この固定板5dの裏面には第2のプーリー5eが取付けられている。そして、図23,24に示すように背凭れ基台5aの固定側である前記固定板5d(図17,19,21参照)に一端が固定されたワイヤー57は前記第1のプーリー12aに巻回され、該第1のプーリー12aを巻回されたワイヤー57は第2のプーリー5eに巻回された後、上下動する枠体51の下部に固定されている。なお、図17〜22には図面を簡素化するためにワイヤー57の記載を省略している。また、枠体51のバランスを採るための2つのプーリー12a,5e、ワイヤー57、重り12とでアシスト手段を構成している。
【0060】
ここで、枠体51の重量に対して重り12の重量は約2倍の重量に設定することで2つのプーリー12a,5eにワイヤー57が巻回されていることで、重量バランスが略ゼロとなっており枠体51の上下動を人手によって行う場合に、殆ど負荷を感じることなく上下動操作を行うことが可能となる。例えば、枠体51の重量が5Kgであるとした場合、重り12の重量を10Kgに設定する。
【0061】
13は枠体51を上昇させた時に枠体51の下部と座部3の後方との間に生じる隙間を覆い、患者の衣服等が背凭れ5の下部と座部3の後方との間に挟まれるのを防止するためのサブ背凭れにして、該サブ背凭れ13は枠体51の下辺板59に一端が取付けられた平行リンク59aの先端に取付けられている。
【0062】
次に、医師や看護師が手動によって枠体51の昇降動作について説明するに、先ず、図17,18に示す枠体51が最上昇位置にある状態から、患者の背中の聴診・視診・打診を行うために枠体51を下降させるには、医師や看護師が枠体51の上方を押し下げると、枠体51の重量に対して重り12の重量が約2倍の重量となっていることから、枠体51と重り12の重量バランスが略ゼロであることから、急激に下降することなく楽に下降させることができる。そして、2つのプーリー12a,5eを巻回してワイヤー57が巻回されているので、重り12の移動量に対し2倍のストロークで枠体51の下降が行われる。
【0063】
また、枠体51が上昇位置にある時にはサブ背凭れ13は、該サブ背凭れ13の重量によって平行リンク59aによって下方に垂れ下がった状態となっており、従って、枠体51の下部はサブ背凭れ13によって覆われ座部3との隙間は塞がれている。
【0064】
前記枠体51が下降するのに伴ってワイヤー57を介して重りが上昇し(図19,20参照)、最終的には枠体51は図21,22に示すよう最下降位置まで下降する。この最下降位置の前からサブ背凭れ13は図示しないストッパーに当接して平行リンク59aを介して前方に変移しながら上昇し、枠体51の下降はスムースに行われる。枠体51の最下降位置において患者の背中部分より枠体51が下降することで聴診・視診・打診を行うことが可能となる。
【0065】
次に、下降位置にある枠体51を上昇させるには、医師や看護師が枠体51の上方を持って引き上げると、前記した動作とは逆の動作によって引き上げが行える。この時、前記したように重量バランスが略ゼロであることから、負荷を感じることなく枠体51を引き上げることができる。
【0066】
なお、2個のプーリー12aと5eおよびこのプーリーに対してワイヤー57を巻回していることで、枠体51の移動量に対して重りの移動量は半分となることから背凭れ昇降手段をコンパクトにすることが可能となり、また、2倍のストロークで枠体51を上下動させることができる。
【0067】
また、枠体51が上昇するに伴ってサブ背凭れ13がストッパーから離れることで、該サブ背凭れ13の自重で平行リンク59aを介して下降し、枠体51が最上昇位置に変位した状態で枠体51の下部と座部3との隙間が覆われる。
【0068】
前記したように、枠体51はワイヤー57のプーリー12a,5eへの掛け回しと重り12とにより殆ど負荷がなく上下動可能な状態であることから、背凭れ5の起伏時に枠体51に患者の背中が当接していることから下降したり、あるいは、医師や看護師が枠体51を誤って上下動させる操作を行った場合に枠体51が上下動する可能性がある。そこで、枠体51の高さ位置を決定した位置において、みだりに枠体51が上下動するのを防止する必要がある。
【0069】
なお、前記した実施例にあっては、枠体51のバランスを採るためのアシスト手段として重り12を使用したが、重り12に変えてガスシリンダを使用してもよい。すなわち、ガススプリングの上端を背凭れ支持台4の上方に位置する固定台5dに取付け、下端をガイド杆58に取付けられている第1のプーリー12aを軸支している部材に取付ける。このような構成とすることで、ガススプリングは常に伸びようとするが、上端は固定され下端が摺動自在なため、第1のプーリー12aを軸支している部材を押し下げることとなり、重り12を使用したと同様な作用を得ることができる。
【0070】
以下、枠体51の高さ位置を決定した位置でロックするためのロック機構14の一例を説明する。
このロック機構14は本出願人が出願した理美容用椅子のヘッドレスト装置(特開2000−270959号公報)において開示したものであり、以下、その概略について説明する。なお、前記椅子のヘッドレスト装置はヘッドレストを手動によって上下動させた位置でヘッドレストをロックする装置であるが、このロック装置を本発明の枠体51を上下動させた位置で該枠体51をロックするのに応用したものである。
【0071】
次に、前記開示されているロック機構14を図25と共について説明するに、141は前記枠体51の下方内部に固定された取付片51bに取付けられたガイドパイプで、該ガイドパイプ141内にはスライドパイプ142が挿入され、ガイドパイプ141に固定されたガイド片141a、スライドパイプ142に固定された支点プレート142aによって、スライドパイプ142はガイドパイプ141に対してスライド自在となっている。
【0072】
前記ガイドパイプ141の下端に取付けられたブラケット141bには心棒143が固定されている。そして、先端は支点プレート142aに形成された孔内に貫通されている。この心棒143にはクランプチェーン144が嵌合され、該クランプチェーン144は前記スライドパイプ142内に収容されると共に、一端はスライドパイプ142の凹部142bに支持され、また、他端はスライドパイプ142内に挿入された操作パイプ145と一体的に上下動するスライド片146の溝146a内に支持されている。
【0073】
前記スライド片146は前記スライドパイプ142内を移動可能に嵌挿されると共に心棒143が挿通されたスライダ147に係合されており、該スライダ147が図17の状態から下方に移動することにより、スライド片146も移動して、クランプチェーン144を該クランプチェーン144が伸びる方向にバネ付勢している図示しないスプリングを圧縮する方向に移動させる。これにより、クランプチェーン144は心棒143より離れる方向に変位する。
【0074】
前記操作パイプ145の上端には押下摘み148が取付けられ、この押下摘み148と前記スライドパイプ142の上端に固定されたスライド筒142cとの間にはスプリング149が配置されていて、その結果、操作パイプ145は上方にバネ付勢されている。
【0075】
このように構成したロック機構14は、スライドパイプ142を上昇方向に引き上げると、スライド片146が引き上げられることによりクランプチェーン144の下端をクランプチェーン144の図示しないスプリングのバネ力に抗して押し上げ、これにより、クランプチェーン144は縮むこととなって、心棒143との係合が解除されスライドパイプ142は上昇する。
【0076】
そして、下降方向に対しては心棒143がクランプチェーン144によってロックされた状態となっているので、スライドパイプ142を上昇させ停止させた状態においてスライドパイプ142はロックされることから、スライドパイプ142を引き上げ、該引上げ力を解除すると、その位置でロック固定される。
【0077】
そして、スライドパイプ142を下降させるには、押下摘み148を前記スプリング149のバネ力に抗して押すと、操作パイプ145が図18において下降する。これにより、スライダ147が下方に移動してクランプチェーン144と心棒143とは離れ、従って、スライドパイプ142はガイドパイプ141に対して摺動自在となるので、スライドパイプ142を下降させることが可能となる。
【0078】
なお、図18,20,22に示すロック機構14は概略を示しているので、ロック機構14の詳細は図25を参照されたい。また、ロック機構については前記した実施例に限定されるものではなく、例えば、前記ガイドバー51bにラック歯を形成し、このラック歯と噛合するロック歯を背凭れ基台5aに取付け、枠体51の下降時には前記ロック歯とラック歯との噛合は行われず、枠体51の下降時には前記ロック歯との噛合を解除できるようにロック歯をスプリングのバネ力に抗して引くことで行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 基台
2 油圧シリンダ
3 座部
4 背凭れ支持台
5 背凭れ
51 枠体
6 回動リンク
7 レッグレスト
8 足載せ台
9 ヘッドレスト
10 背凭れ昇降用スイッチ
11 オート用スイッチ
12 肘掛け
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降自在な座部と、座部後方下部に収容可能とする背凭れ昇降手段を備え、かつ前記座部の昇降に伴って起伏する背凭れと、前記座部の昇降に伴って起伏するレッグレストとを具備し、
前記背凭れを座部後方下部に収容した状態と、前記背凭れを前記背凭れ昇降手段によって上昇させた椅子状態と、前記座部が上昇して前記背凭れとレッグレストを伏倒させベッド状態に変移することを特徴とする医療用診察椅子。
【請求項2】
下端が床面に設置される基台に固定された背凭れ支持台と、該背凭れ支持台の上端に回動自在に軸支された背凭れ基台と、該背凭れ基台に対して背凭れ昇降手段によって昇降する背凭れと、前記背凭れ基台と回動自在に座部基板に形成された起立片が軸支された座部と、該座部を昇降するための油圧シリンダと、前記座部の前端側と回動自在に軸支されたレッグレストと、前記背凭れ支持台に一端が軸支された回動リンクと、前記レッグレストに回動自在に軸支されたレッグレストリンクとより構成したことを特徴とする医療用診察椅子。
【請求項3】
前記背凭れ昇降手段は、前記座部に対して起伏可能に取付けられた固定部材として作用する背凭れ基台に対して摺動可能となるガイド杆を有する背凭れの枠体と、前記背凭れ基台の下部において前記ガイド杆に対して摺動可能に取付けられた上下動板と、該上下動板にシリンダ側が取付けられラム側が前記枠体の上辺部に取付けられた油圧シリンダと、前記上下動板に取付けられたプーリーと、一端が前記枠体の上辺部に取付けられ中間が前記プーリーに巻回され他端が前記背凭れ基台に取付けられたワイヤーとから構成したことを特徴とする請求項1または2記載の医療用診察椅子。
【請求項4】
前記背凭れ昇降手段は、前記座部に対して起伏可能に取付けられた固定部材として作用する背凭れ基台に対して摺動可能となるガイド杆を有する背凭れの枠体と、前記背凭れ支持台に対して上下動可能に取付けたアシスト手段と、該アシスト手段に取付けられた第1のプーリーと、前記背凭れ基台側に取付けられた第2のプーリーと、一端が前記背凭れ基台側に固定され、前記第1のプーリーに巻回した後に前記第2のプーリーに巻回し他端が前記枠体側に固定されたワイヤーとから構成し、前記アシスト手段の力を前記枠体とのバランスが採れる力としたことを特徴とする請求項1または2記載の医療用診察椅子。
【請求項5】
前記枠体は外部よりの操作によってロック機構によって背凭れ基台に対して固定状態とし、この固定状態において不意の外力が加わっても枠体の上下動が行われないようにしたことを特徴とする請求項4記載の医療用診察椅子。
【請求項1】
昇降自在な座部と、座部後方下部に収容可能とする背凭れ昇降手段を備え、かつ前記座部の昇降に伴って起伏する背凭れと、前記座部の昇降に伴って起伏するレッグレストとを具備し、
前記背凭れを座部後方下部に収容した状態と、前記背凭れを前記背凭れ昇降手段によって上昇させた椅子状態と、前記座部が上昇して前記背凭れとレッグレストを伏倒させベッド状態に変移することを特徴とする医療用診察椅子。
【請求項2】
下端が床面に設置される基台に固定された背凭れ支持台と、該背凭れ支持台の上端に回動自在に軸支された背凭れ基台と、該背凭れ基台に対して背凭れ昇降手段によって昇降する背凭れと、前記背凭れ基台と回動自在に座部基板に形成された起立片が軸支された座部と、該座部を昇降するための油圧シリンダと、前記座部の前端側と回動自在に軸支されたレッグレストと、前記背凭れ支持台に一端が軸支された回動リンクと、前記レッグレストに回動自在に軸支されたレッグレストリンクとより構成したことを特徴とする医療用診察椅子。
【請求項3】
前記背凭れ昇降手段は、前記座部に対して起伏可能に取付けられた固定部材として作用する背凭れ基台に対して摺動可能となるガイド杆を有する背凭れの枠体と、前記背凭れ基台の下部において前記ガイド杆に対して摺動可能に取付けられた上下動板と、該上下動板にシリンダ側が取付けられラム側が前記枠体の上辺部に取付けられた油圧シリンダと、前記上下動板に取付けられたプーリーと、一端が前記枠体の上辺部に取付けられ中間が前記プーリーに巻回され他端が前記背凭れ基台に取付けられたワイヤーとから構成したことを特徴とする請求項1または2記載の医療用診察椅子。
【請求項4】
前記背凭れ昇降手段は、前記座部に対して起伏可能に取付けられた固定部材として作用する背凭れ基台に対して摺動可能となるガイド杆を有する背凭れの枠体と、前記背凭れ支持台に対して上下動可能に取付けたアシスト手段と、該アシスト手段に取付けられた第1のプーリーと、前記背凭れ基台側に取付けられた第2のプーリーと、一端が前記背凭れ基台側に固定され、前記第1のプーリーに巻回した後に前記第2のプーリーに巻回し他端が前記枠体側に固定されたワイヤーとから構成し、前記アシスト手段の力を前記枠体とのバランスが採れる力としたことを特徴とする請求項1または2記載の医療用診察椅子。
【請求項5】
前記枠体は外部よりの操作によってロック機構によって背凭れ基台に対して固定状態とし、この固定状態において不意の外力が加わっても枠体の上下動が行われないようにしたことを特徴とする請求項4記載の医療用診察椅子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2011−120669(P2011−120669A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279175(P2009−279175)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)
【Fターム(参考)】
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