説明

医薬組成物

【課題】 優れたタキキニン受容体拮抗活性を有するピペリジン化合物を有効成分としてなる医薬組成物を提供する。
【解決手段】 一般式〔I〕


(式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
は水素原子またはアミノ基の置換基を表す。
は水素原子、置換基を有していてもよい水酸基等を表す。
Zは酸素原子または−N(R)−で示される基を表す。
は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
4a及びR4bは、同一または異なって、水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、または末端で結合してアルキレン基を形成する基を表す。)
で示されるピペリジン化合物またはその薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたタキキニン受容体拮抗活性を有するピペリジン化合物を有効成分としてなる医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タキキニンとは、一群の神経ペプチドの総称であり、哺乳類ではサブスタンスP(以下、SP)、ニューロキニンA、ニューロキニンBが知られており、これらのペプチドは生体内に存在するそれぞれの受容体(ニューロキニン1、ニューロキニン2、ニューロキニン3)に結合することによって、様々な生物活性を発揮することが知られている。その中で、SPは神経ペプチドの中でももっとも歴史が長く詳細に研究されているものの1つであり、1931年にウマ腸管抽出物中に存在が確認され、1971年に構造決定されたアミノ酸11個からなるペプチドである。
【0003】
SPは中枢および末梢の神経系に広く分布しており、一次知覚ニューロンの伝達物質としての機能の他、血管拡張作用、血管透過性亢進作用、平滑筋収縮作用、神経細胞興奮作用、唾液分泌作用、利尿亢進作用、免疫作用などの生理活性を有する。特に、痛みインパルスにより脊髄後角の終末から遊離されたSPが2次ニューロンに痛み情報を伝えること、末梢終末より遊離されたSPがその受容体に炎症反応を惹起することが知られている。このようなことから、SPは種々の病態(例えば、痛み、炎症、アレルギー、頻尿および尿失禁などの排尿障害、気道疾患、精神病、うつ病、不安、嘔吐など)に関与していると考えられており、またSPはアルツハイマー型痴呆にも関与していると考えられている〔総説:フィジオロジカル・レビューズ(Physiological Reviews)、73巻、229−308頁(1993年)(非特許文献1)、ジャーナル・オブ・オートノミック・ファーマコロジー(Journal of Autonomic Pharmacology)、13巻、23−93頁(1993年)(非特許文献2)〕。
【0004】
【非特許文献1】フィジオロジカル・レビューズ(Physiological Reviews)、73巻、229−308頁(1993年)。
【0005】
【非特許文献2】ジャーナル・オブ・オートノミック・ファーマコロジー(Journal of Autonomic Pharmacology)、13巻、23−93頁(1993年)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、前記種々病態(特に嘔吐、うつ病または排尿異常など)の治療薬として、優れたタキキニン受容体拮抗作用(特にSP受容体拮抗作用)を有し、かつ安全性、持続性(代謝、体内動態、吸収性)などの点から十分に満足できる化合物は未だ見出されていない。そこで、優れたタキキニン受容体拮抗作用を有し、該病態の治療薬として臨床上の効果が十分に満足できる化合物の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一般式〔I〕
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
は水素原子またはアミノ基の置換基を表し、Rは水素原子、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有しているカルボニル基、オキソ基またはハロゲン原子を表す。
Zは酸素原子または−N(R)−で示される基を表す。
は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
4a及びR4bは、同一または異なって、水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、または末端で結合してアルキレン基を形成する基を表す。)
で示されるピペリジン化合物またはその薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、優れたタキキニン受容体拮抗作用を有し、かつ安全性、特に持続性(代謝、体内動態、吸収性)などの点から臨床上十分に満足できる化合物を有効成分としてなる医薬組成物を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において、有効成分である化合物〔I〕の環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を表し、ベンゼン環の置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、保護されていてもよい水酸基またはアルコキシ基が挙げられる。環Aはこれら置換基を同一または異なって1〜3個有していてもよい。
【0012】
本発明において、有効成分である化合物〔I〕の環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表し、ベンゼン環の置換基としては、ハロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基、アルキル基、保護されていてもよい水酸基またはアルコキシ基が挙げられる。環Bはこれら置換基を同一または異なって1〜3個有していてもよい。
【0013】
本発明の有効成分である化合物における環Aおよび環Bの好ましい例としては、例えば、環Aが、式:
【0014】
【化2】

【0015】
で示されるベンゼン環であり、環Bが、式:
【0016】
【化3】

【0017】
で示されるベンゼン環であり、A、AおよびAは、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、保護されていてもよい水酸基またはアルコキシ基であり、B、BおよびBは、同一または異なって、水素原子、ハロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基、アルキル基、保護されていてもよい水酸基またはアルコキシ基である化合物が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子などが挙げられる。ハロアルキル基としては、ハロゲン原子が同一または異なって、1〜3個置換されたアルキル基が挙げられ、例えば、トリハロゲノアルキル基が挙げられる。トリハロゲノアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基またはトリクロロメチル基等が挙げられる。ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基としては、例えば、テトラゾリル基が挙げられる。
【0018】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、保護されていてもよい水酸基の保護基としては、置換基を有していてもよいアリールアルキル基、置換基を有していてもよいシリル基、アシル基等の慣用の保護基が挙げられる。このうち好ましいものとしては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のアリールアルキル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等の置換基を有しているシリル基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、マロニル基、アクリロイル基、ベンゾイル基等のアシル基が挙げられる。
【0019】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rは水素原子またはアミノ基の置換基を表し、Rにおけるアミノ基の置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有しているカルボニル基、置換基を有しているスルホニル基または置換基を有していてもよい複素環式基が挙げられる。このうち、Rとしては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいカルボニル基または置換基を有していてもよい複素環式基が好ましく、さらにRとしては、置換基を有していてもよいカルボニル基または置換基を有していてもよい複素環式基が好ましい。また、Rとしては、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有しているカルボニル基または置換基を有しているスルホニル基が好ましい。
【0020】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rの置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、モルホリノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよい複素環式基、水酸基、ヒドロキシアルキルアミノカルボニルオキシ基またはアルキルピペラジノカルボニル基が挙げられる。当該複素環式基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルカノイル基またはオキソ基が挙げられる。当該複素環式基の置換基は同一または異なって、1〜2個有していてもよい。当該複素環式基としては、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基が挙げられる。当該複素環式基としては、飽和もしくは不飽和単環または二環複素芳香環式基が挙げられ、例えば、チエニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基などが挙げられる。
【0021】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rの置換基を有していてもよいシクロアルキル基の置換基としては、アルキル基、水酸基等が挙げられる。
【0022】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rの置換基を有していてもよいアリール基の置換基としては、水酸基、アルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。当該アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基またはフェナトレニル基等が挙げられる。
【0023】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rの置換基を有していてもよいアミノ基の置換基としては、
(1)置換基を有していてもよいアルキル基、
(2)置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
(3)置換基を有していてもよいアリール基もしくは、
(4)ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基であって、当該複素環式基は置換基を有していてもよい基
が挙げられる。
【0024】
上記(1)置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基、ジアルキルアミノカルボニル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、シアノ基、モルホリノ基、ピリジル基またはハロゲン原子が挙げられる。
【0025】
上記(2)置換基を有しているシクロアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0026】
上記(3)置換基を有していてもよいアリール基の置換基としては、水酸基、アルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。当該アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基またはフェナトレニル基等が挙げられる。
【0027】
上記(4)ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基としては、飽和もしくは不飽和単環または二環複素芳香環式基が挙げられ、例えば、チエニル基、フリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基などが挙げられる。これら複素環式基の中でも、ピリジル基、ピロリル基、ピペラジニル基、キノリル基、ピペリジニル基、ピリミジニル基、チアゾリル基、ピラジニル基、モルホリノ基、インドリル基、シンノリニル基、フリル基、チエニル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基などが好適に用いられる。当該複素環式基の置換基としては、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキル基、アルコキシ基、オキソ基、水酸基またはハロゲン原子等が挙げられる。
【0028】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rの置換基を有しているカルボニル基の置換基としては、
(1)置換基を有していてもよいアルキル基、
(2)置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
(3)置換基を有していてもよいアリール基、
(4)置換基を有していてもよい複素環式基、
(5)置換基を有していてもよいアミノ基または
(6)置換基を有していてもよいアルコキシ基
が挙げられる。
【0029】
上記(1)置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、
(I)水酸基、
(II)置換基を有しているカルボニルアミノ基、
(III)置換基を有していてもよいアミノカルボニル基、
(IV)アルキルスルホニル基、
(V)複素環式基または
(VI)ニトロ基
が挙げられる。
【0030】
上記(II)の置換基を有しているカルボニルアミノ基の置換基としては、(i)水酸基、(ii)置換基を有していてもよいアルキル基または(iii)置換基を有していてもよい複素環式基等が挙げられる。上記(ii)の置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基またはヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基であって、当該複素環式基は置換基を有していてもよい基が挙げられる。当該複素環式基の置換基としては、オキソ基、水酸基、アルカノイル基またはアルキル基が挙げられる。当該複素環式基としては、飽和もしくは不飽和単環または二環複素芳香環式基が挙げられ、例えば、チエニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基などが挙げられる。上記(iii)の置換基を有していてもよい複素環式基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルカノイル基、オキソ基または水酸基等が挙げられる。当該複素環式基としては、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基が挙げられる。当該複素環式基としては、飽和もしくは不飽和単環または二環複素芳香環式基が挙げられ、例えば、チエニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基などが挙げられる。
【0031】
上記(III)の置換基を有していてもよいアミノカルボニル基の置換基としては、(i)置換基を有していてもよいアルキル基または(ii)置換基を有していてもよい複素環式基等が挙げられる。上記(i)の置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基またはヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基であって、当該複素環式基は置換基を有していてもよい基が挙げられる。当該複素環式基の置換基としては、オキソ基、水酸基、アルカノイル基またはアルキル基が挙げられる。当該複素環式基としては、飽和もしくは不飽和単環または二環複素芳香環式基が挙げられ、例えば、チエニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基などが挙げられる。上記(ii)の置換基を有していてもよい複素環式基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルカノイル基、オキソ基または水酸基等が挙げられる。当該複素環式基としては、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基が挙げられる。当該複素環式基としては、飽和もしくは不飽和単環または二環複素芳香環式基が挙げられ、例えば、チエニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基などが挙げられる。
【0032】
上記(V)の複素環式基としては、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基が挙げられる。当該複素環式基としては、飽和もしくは不飽和単環または二環複素芳香環式基が挙げられ、例えば、チエニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、テトラヒドロピラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基などが挙げられる。
【0033】
上記(2)置換基を有してもよいシクロアルキル基の置換基としては、置換基を有していてもよい水酸基、アルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。当該シクロアルキル基の置換基は、1〜2個有していてもよい。置換基を有していてもよい水酸基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルキル基等が挙げられる。
【0034】
上記(3)置換基を有していてもよいアリール基の置換基としては、水酸基、アルキル基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。当該アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基またはフェナトレニル基等が挙げられる。
【0035】
上記(4)置換基を有していてもよい複素環式基の置換基としては、
(I)オキソ基、
(II)置換基を有していてもよいアルカノイル基、
(III)置換基を有していてもよいアルキル基、
(IV)置換基を有していてもよい水酸基または
(V)アルコキシカルボニル基
が挙げられる。当該複素環式基の置換基は、同一または異なって、1〜2個有していてもよい。当該複素環式基としては、ヘテロ原子として硫黄原子、窒素原子および酸素原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する単環複素環式基が挙げられ、このうち、飽和単環複素環式基が好ましい。当該単環複素環式基としては、ピラジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ピリジル基、テトラゾリジル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、アゼチジニル基またはチエタニル基等が挙げられ、このうち、ピラジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ピロリジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基またはアゼチジニル基が好ましい。
【0036】
上記(II)の置換基を有していてもよいアルカノイル基の置換基としては、水酸基等が挙げられる。
【0037】
上記(III)の置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基またはヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基であって、当該複素環式基は置換基を有していてもよい基が挙げられる。当該複素環式基の置換基としては、オキソ基、水酸基、アルカノイル基またはアルキル基が挙げられる。当該複素環式基としては、飽和もしくは不飽和単環または二環複素芳香環式基が挙げられ、例えば、チエニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基などが挙げられる。
【0038】
上記(IV)の置換基を有していてもよい水酸基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルキル基等が挙げられる。
【0039】
上記(5)置換基を有していてもよいアミノ基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルキル基、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基であって、当該複素環式基は置換基を有していてもよい基などが挙げられる。当該複素環式基の置換基としては、オキソ基、水酸基、アルカノイル基またはアルキル基が挙げられる。当該複素環式基としては、飽和もしくは不飽和単環または二環複素芳香環式基が挙げられ、例えば、チエニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基などが挙げられる。当該アミノ基の置換基は、アミノ基に1〜2個置換していてもよい。
【0040】
上記(6)置換基を有していてもよいアルコキシ基の置換基としては、水酸基が挙げられる。
【0041】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rの置換基を有しているスルホニル基の置換基としては、置換基を有していてもよいアルキル基が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基またはアルカノイルオキシ基が挙げられる。
【0042】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rが置換基を有していてもよい複素環式基の置換基としては、
(I)置換基を有していてもよいアルカノイル基、
(II)置換基を有しているカルボニル基、
(III)置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、
(IV)置換基を有していてもよいアルキル基、
(V)水酸基または
(VI)オキソ基
などが挙げられる。当該複素環式基の置換基は、同一または異なって、1〜2個有していてもよい。当該複素環式基としては、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる原子を1乃至4個含有する複素環式基が挙げられる。当該複素環式基としては、飽和もしくは不飽和単環または二環複素芳香環式基が挙げられ、例えば、チエニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、ピラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、アゼチジニル基、チエタニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、プテリジニル基、ピリドピリミジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、テトラヒドロキノリル基、テトラヒドロイソキノリル基、テトラヒドロキノキサリニル基、ジヒドロフタラジニル基などが挙げられる。これら複素環式基の中でも、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、アゼチジニル基またはチエタニル基などが好適に用いられる。
【0043】
上記(I)の置換基を有していてもよいアルカノイル基の置換基としては、水酸基、アルコキシ基、フェニルアルコキシ基、アルカノイルアミノ基、アルキルスルホニル基、アルカノイル基またはアミノカルボニル基などが挙げられる。当該アルカノイル基の置換基は、同一または異なって、1〜2個有していてもよい。
【0044】
上記(II)の置換基を有しているカルボニル基の置換基としては、フェニル基、ヒドロキシシクロアルキル基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、アミノ基、テトラヒドロフリル基、アルカノイル基、アミノカルボニル基またはオキソ基及びアルキル基から選ばれる基で1〜2個置換されていてもよいピロリジニル基などが挙げられる。
【0045】
上記(III)の置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基の置換基としては、水酸基、アミノ基、複素環式基などが挙げられる。
【0046】
上記(IV)の置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、アルキルスルホニル基またはカルボキシル基などが挙げられる。
【0047】
本発明において、Rとしては、水素原子、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有しているカルボニル基、オキソ基またはハロゲン原子を表す。
【0048】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rの置換基を有していてもよい水酸基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルキル基が挙げられる。
【0049】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rの置換基を有していてもよいアミノ基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルキル基が挙げられる。
【0050】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rの置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基で置換されていてもよいアルコキシ基または水酸基が挙げられる。
【0051】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rの置換基を有しているカルボニル基の置換基としては、水酸基、水酸基で置換されていてもよいアルコキシ基または水酸基で置換されていてもよいアルキルアミノ基が挙げられる。
【0052】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Zとしては、酸素原子または−N(R)−で示される基が挙げられる。
【0053】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、Rとしては、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基が挙げられる。Rの置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基、アルカノイル基、ハロゲン原子、アルコキシ基またはアルキルアミノ基が挙げられる。
【0054】
本発明の有効成分である化合物〔I〕において、R4a及びR4bとしては、同一または異なって、水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、または末端で結合してアルキレン基を形成する基が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、水酸基などが挙げられる。
【0055】
本発明の有効成分である化合物としては、Rが置換基を有していてもよいアルキル基であるものが好ましい。当該アルキル基の置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノカルボニル基、オキソピリジル基、ジオキソピロジニル基、モルホリノカルボニル基、水酸基、アルコキシカルボニル基またはヒドロキシアルキルアミノカルボニルオキシ基が好ましく、さらにアルコキシ基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノカルボニル基、オキソピリジル基またはジオキソピロジニル基が好ましい。
【0056】
本発明の化合物としては、Rが置換基を有しているカルボニル基であるものが好ましい。当該カルボニル基の置換基としては、水酸基、アルキル基で置換されていてもよいアルカノイルアミノ基、アルキルスルホニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラゾリル基もしくはニトロ基で置換されているアルキル基;アルコキシ基;ヒドロキシアルキルアミノ基;水酸基およびアルキル基から選ばれる基で1〜2個置換されているシクロアルキル基;アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、オキソ基およびアルキル基から選ばれる基で1〜2個置換されているピペリジニル基;テトラヒドロピラニル基;硫黄原子がオキソ基でジ置換されているテトラヒドロチオピラニル基;アルカノイル基、水酸基、アルキル基およびオキソ基から選ばれる基で1〜2個置換されているピロリジニル基;ピラジニル基;モルホリノ基;硫黄原子がオキソ基で置換されていてもよいチオモルホリノ基;または水酸基で置換されていてもよいアルキル基もしくはアルカノイル基で置換されているピペラジノ基が好ましい。
【0057】
本発明の有効成分である化合物としては、Rが置換基を有しているスルホニル基であるものが好ましい。当該スルホニル基の置換基としては、アルキル基が好ましい。
【0058】
本発明の有効成分である化合物としては、Rが置換基を有していてもよい複素環式基が好ましい。当該複素環式基としては、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、チエタニル基またはアゼチジニル基が好ましい。また、当該複素環式基の置換基としては、アルカノイル基、ヒドロキシアルカノイル基、ジヒドロキシアルカノイル基、アルコキシアルカノイル基、アルカノイルアミノアルカノイル基、アルキルスルホニルアルカノイル基、アルカノイルアルカノイル基、アミノカルボニルアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、オキソ基、フェニルアルコキシカルボニル基、ジアルキルカルボニル基、ヒドロキシシクロアルキルカルボニル基、ヒドロキシアルキルアミノカルボニル基、アミノカルボニル基、テトラヒドロフリルカルボニル基、アルキルジケトニル基、アミノジケトニル基、アルキルスルホニルアルキル基、カルボキシルアルキル基またはオキソ基及びアルキル基から選ばれる基で1〜2個置換されていてもよいピロリジニルカルボニル基が好ましい。当該複素環式基の置換基は、同一または異なって、1〜2個有していてもよい。
【0059】
本発明の有効成分である化合物〔I〕としては、環Aが、式:
【0060】
【化4】

【0061】
で示されるベンゼン環であり、環Bが、式:
【0062】
【化5】

【0063】
で示されるベンゼン環であり、Aが水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基であり、Aが水素原子またはハロゲン原子であり、Bが水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基またはトリハロゲノアルキル基であり、Bが水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基またはトリハロゲノアルキル基であり、Rが水素原子;アルコキシ基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノカルボニル基、オキソピリジル基、ジオキソピロジニル基、モルホリノカルボニル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、モルホリノアミノカルボニル基、ヒドロキシアルキルアミノカルボニルオキシ基もしくはアルキルピペラジノカルボニル基で置換されているアルキル基;ヒドロキシシクロアルキル基;カルボキシル基;水酸基、アルキル基で置換されていてもよいアルカノイルアミノ基、アルキルスルホニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラゾリル基もしくはニトロ基で置換されているアルカノイル基;水酸基で置換されていてもよいアルコキシカルボニル基;ピリミジニルアミノカルボニル基;水酸基またはシアノ基でアルキル基部分が置換されていてもよいアルキルアミノカルボニル基;ジ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基;水酸基およびアルキル基から選ばれる基で1〜2個置換されているシクロアルキルカルボニル基;水酸基でピリジル基部分が置換されているピリジルアミノカルボニル基;アルキルピリド基およびアルキル基で置換されているアミノカルボニル基;アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、オキソ基およびアルキル基から選ばれる基で1〜2個置換されているピペリジニルカルボニル基;テトラヒドロピラニルカルボニル基;硫黄原子がオキソ基でジ置換されているテトラヒドロチオピラニルカルボニル基;オキソ基、水酸基で置換されていてもよいアルキル基、ピリミジニル基、アルキルスルホニル基もしくはアルカノイル基で置換されているピペラジノカルボニル基;ピラジニルカルボニル基;モルホリノカルボニル基;硫黄原子がオキソ基で置換されていてもよいチオモルホリノカルボニル基;アルカノイル基、水酸基、アルキル基およびオキソ基から選ばれる基で1〜2個置換されているピロリジニルカルボニル基;水酸基もしくはアルカノイルオキシ基で置換されていてもよいアルキルスルホニル基;アルカノイル基、アルコキシカルボニル基もしくはアルキルスルホニル基で置換されているピペリジニル基;テトラヒドロピラニル基;硫黄原子がオキソ基で1〜2個置換されていてもよいテトラヒドロチオピラニル基;硫黄原子がオキソ基でジ置換されていてもよいチエタニル基;またはフェニルアルコキシカルボニル基、アルカノイル基、ヒドロキシアルカノイル基、ジヒドロキシアルカノイル基、アルコキシアルカノイル基、アルカノイルアミノアルカノイル基、アルキルスルホニルアルカノイル基、アルカノイルアルカノイル基、アミノカルボニルアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、ヒドロキシアルキルアミノカルボニル基、アミノカルボニル基、ヒドロキシシクロアルキルカルボニル基、テトラヒドロフリルカルボニル基、アルキルジケトニル基、アミノジケトニル基、アルキルスルホニルアルキル基、カルボキシルアルキル基もしくはオキソ基及びアルキル基から選ばれる基で1〜2個置換されていてもよいピロリジニルカルボニル基で置換されていてもよいアゼチジニル基であり、Rが水素原子であり、Zが酸素原子または−N(R)−で示される基であり、Rが水酸基で置換されていてもよいアルキル基であり、R4aが水素原子または水酸基で置換されていてもよいアルキル基であり、R4bが水素原子または水酸基で置換されていてもよいアルキル基である化合物が挙げられる。
【0064】
また、環Aが、式:
【0065】
【化6】

【0066】
で示されるベンゼン環であり、環Bが、式:
【0067】
【化7】

【0068】
で示されるベンゼン環であり、Aが水素原子、アルキル基またはハロゲン原子であり、Aが水素原子またはハロゲン原子であり、Bがトリハロゲノメチル基、ハロゲン原子またはアルキル基であり、Bがトリハロゲノメチル基、ハロゲン原子またはアルキル基であり、Rが水素原子;アルコキシ基、ハロゲン原子、ジアルキルアミノカルボニル基、オキソピリジル基もしくはジオキソピロジニル基で置換されているアルキル基;水酸基、アルキル基で置換されていてもよいアルカノイルアミノ基、アルキルスルホニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラゾリル基もしくはニトロ基で置換されているアルカノイル基;アルコキシカルボニル基;ヒドロキシアルキルアミノカルボニル基;水酸基およびアルキル基から選ばれる基で1〜2個置換されているシクロアルキルカルボニル基;アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、オキソ基およびアルキル基から選ばれる基で1〜2個置換されているピペリジニルカルボニル基;テトラヒドロピラニルカルボニル基;硫黄原子がオキソ基でジ置換されているテトラヒドロチオピラニルカルボニル基;アルカノイル基、水酸基、アルキル基およびオキソ基から選ばれる基で1〜2個置換されているピロリジニルカルボニル基;ピラジニルカルボニル基;モルホリノカルボニル基;硫黄原子がオキソ基で置換されていてもよいチオモルホリノカルボニル基;水酸基で置換されていてもよいアルキル基もしくはアルカノイル基で置換されているピペラジノカルボニル基;アルカノイル基、アルコキシカルボニル基もしくはアルキルスルホニル基で置換されているピペリジニル基;テトラヒドロピラニル基;硫黄原子がオキソ基で1〜2個置換されていてもよいテトラヒドロチオピラニル基;硫黄原子がオキソ基でジ置換されていてもよいチエタニル基;またはフェニルアルコキシカルボニル基、アルカノイル基、ヒドロキシアルカノイル基、ジヒドロキシアルカノイル基、アルコキシアルカノイル基、アルカノイルアミノアルカノイル基、アルキルスルホニルアルカノイル基、アルカノイルアルカノイル基、アミノカルボニルアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、ヒドロキシアルキルアミノカルボニル基、アミノカルボニル基、ヒドロキシシクロアルキルカルボニル基、テトラヒドロフリルカルボニル基、アルキルジケトニル基、アミノジケトニル基、アルキルスルホニルアルキル基、カルボキシルアルキル基もしくはオキソ基及びアルキル基から選ばれる基で1〜2個置換されていてもよいピロリジニルカルボニル基で置換されていてもよいアゼチジニル基であり、Rが水素原子、Zが−N(R)−で示される基であり、Rがアルキル基であり、R4aが水素原子またはアルキル基であり、R4bが水素原子またはアルキル基である化合物が好ましい。
【0069】
さらに、環Aが、式:
【0070】
【化8】

【0071】
で示されるベンゼン環であり、環Bが、式:
【0072】
【化9】

【0073】
で示されるベンゼン環であり、Aが水素原子またはアルキル基であり、Aがハロゲン原子であり、Bがトリハロゲノメチル基であり、Bがトリハロゲノメチル基であり、Rがアルカノイルアミノアルカノイル基;アルカノイル基、オキソ基およびアルキル基から選ばれる基で1〜2個置換されているピペリジニルカルボニル基;アルカノイル基で置換されているピペリジニル基;硫黄原子がオキソ基でジ置換されているテトラヒドロチオピラニル基;硫黄原子がオキソ基でジ置換されていてもよいチエタニル基;または水酸基で置換されていてもよいアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基もしくはジアルキルアミノカルボニル基で置換されているアゼチジニル基であり、Rが水素原子、Zが−N(R)−で示される基であり、Rがアルキル基であり、R4aが水素原子またはアルキル基であり、R4bが水素原子またはアルキル基である化合物が好ましい。
【0074】
さらに本発明の有効成分である化合物において、好ましい化合物としては、以下の(A)〜(T)の中から選ばれる化合物またはその薬理的に許容し得る塩である。
【0075】
(A)(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}−1−(テトラヒドロチオピラン−1,1−ジオキシド−4−イル)ピペリジン、
(B)(3S,4S)−1−(アセチルピペリジン−4−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(C)(3R,4R)−1−(アセチルピペリジン−4−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(D)(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}−1−(チエタン−3−イル)ピペリジン、
(E)(3S,4S)−1−(1,1−ジオキソチエタン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(F)(3S,4S)−1−(1−アセチルアゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(G)(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(1−プロピオニルアゼチジン−3−イル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(H)(3R,4R)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(1−プロピオニルアゼチジン−3−イル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(I)(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(1−ヒドロキシアセチルアゼチジン−3−イル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(J)(3R,4R)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(1−ヒドロキシアセチルアゼチジン−3−イル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(K)(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}−1−(2−メチルプロピオニルアゼチジン−3−イル)ピペリジン、
(L)(3R,4R)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}−1−(2−メチルプロピオニルアゼチジン−3−イル)ピペリジン、
(M)(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(メトキシカルボニルアゼチジン−3−イル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(N)(3S,4S)−1−(2−アセチルアミノアセチル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(O)(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(メタンスルホニルアゼチジン−3−イル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(P)(3R,4R)−1−(2−アセチルアミノアセチル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(Q)(3S,4S)−1−(ジメチルアミノカルボニルアゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(R)(3R,4R)−1−(ジメチルアミノカルボニルアゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、
(S)(3S,4S)−1−((S)−1−メチル−6−オキソピペリジン−2−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン、および
(T)(3R,4R)−1−(ヒロドキシアセチルアゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン。
【0076】
本発明の有効成分である化合物〔I〕は、遊離の形でも、また薬理的に許容し得る塩の形でも医薬用途に使用することができる。
【0077】
本発明の有効成分である化合物〔I〕の薬理的に許容し得る塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩の如き無機酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩の如き有機酸塩等が挙げられる。
【0078】
また、本発明の有効成分である化合物〔I〕またはその薬理的に許容しうる塩とは、その分子内塩やそれらの溶媒和物あるいは水和物等をいずれも含む。
【0079】
本発明の有効成分である化合物〔I〕は、不斉原子に基づく光学異性体として存在しうるが、本発明はこれらの光学異性体およびその混合物のいずれも含むものである。
【0080】
本発明の有効成分である化合物〔I〕またはその薬理的に許容し得る塩は、優れたタキキニン受容体拮抗作用、特にSP受容体拮抗作用を有し、哺乳動物(例えば、マウス、モルモット、スナネズミ、フェレット、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対する、炎症もしくはアレルギー性疾患(例えば、アトピー、皮膚炎、ヘルペス、乾癬、喘息、気管支炎、喀痰、鼻炎、リューマチ関節炎、変形性関節炎、骨粗鬆症、多発性硬化症、結膜炎、眼炎、膀胱炎など)、疼痛、偏頭痛、神経痛、掻痒、咳、さらに中枢神経系の疾患〔例えば、精神分裂症、パーキンソン病、うつ病、不安、心身症、モルヒネ依存症、痴呆(例えば、アルツハイマー病など)など〕、消化器疾患[例えば、過敏性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ウレアーゼ陽性のラセン状グラム陰性菌(例えば、ヘリコバクター・ピロリなど)に起因する異常(例えば、胃炎、胃潰瘍など)など]、悪心、嘔吐、排尿異常(例えば、頻尿、尿失禁など)、循環器疾患(例えば、狭心症、高血圧、心不全、血栓症など)および免疫異常などの安全な予防、治療薬として有用である。とりわけ、本発明の有効成分である化合物〔I〕またはその薬理的に許容し得る塩は、脳内移行性が高く、且つ毒性発現に繋がる可能性が低く(安全性が高く)、副作用を殆ど示さないため、嘔吐、うつ病などの中枢神経系疾患、頻尿などの排尿異常の予防、治療薬として有用である。
【0081】
本発明の有効成分である化合物またはその薬理的に許容し得る塩は、例えば、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology)254巻、221−227頁(1994年)記載の方法に準じて、ニューロキニン−1受容体結合作用を測定することができ、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology)265巻、179−183頁(1994年)記載の方法に準じて、ニューロキニン−1受容体作動薬誘発行動に対する作用を測定することができ、また、ジャーナル・オブ・ウロロジー(Journal of Urology)、155巻、1号、355−360頁(1996年)記載の方法に準じて、頻尿抑制作用を測定することができる。
【0082】
本発明の有効成分である化合物〔I〕およびその薬理的に許容しうる塩は、経口的にも非経口的にも投与することができ、経口もしくは非経口投与に通常用いられる医薬担体を用いて、適当な製剤とすることができる。かかる医薬担体としては、例えば、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガント、ポリビニルピロリドン等)、賦形剤(乳糖、砂糖、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビット、グリシン等)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(バレイショデンプン等)および湿潤剤(ラウリル無水硫酸ナトリウム等)等をあげることができる。また、これら医薬製剤は、経口投与する場合には、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤の如き固形製剤であってもよく、溶液、懸濁液、乳液の如き液体製剤であってもよい。一方、非経口投与する場合には、例えば、注射用蒸留水、生理的食塩水、ブドウ糖水溶液等を用いて注射剤や点滴剤として、あるいは坐剤等とすることができる。
【0083】
本発明の有効成分である化合物〔I〕またはその薬理的に許容しうる塩の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、状態あるいは疾患の程度によって異なるものの、通常、1日あたりの投与量は、経口投与の場合には、0.1〜20mg/kg、とりわけ0.1〜10mg/kg、非経口投与の場合には、0.01〜10mg/kg、とりわけ0.01〜1mg/kgであるのが好ましい。
〔A法〕
本発明の有効成分である化合物の一般式〔I〕
【0084】
【化10】

【0085】
(式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
は水素原子またはアミノ基の置換基を表す。
は水素原子、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有しているカルボニル基またはハロゲン原子を表す。
Zは酸素原子または−N(R)−で示される基を表す。
は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
4a及びR4bは、同一または異なって、水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、または末端で結合してアルキレン基を形成する基を表す。)
で示される化合物は、例えば、一般式〔II〕
【0086】
【化11】

【0087】
(式中、環A、Z、RおよびRは前記と同一意味を有する。)
で示される化合物と一般式〔III〕
【0088】
【化12】

【0089】
(式中、環B、R4aおよびR4bは前記と同一意味を有する。)
で示される化合物またはその反応性誘導体とを反応させることにより製することができる。
【0090】
この〔A法〕は、以下のようにして実施することができる。
〔A法〕
化合物〔II〕と化合物〔III〕との反応は、縮合剤の存在下、溶媒中で反応させるか、化合物〔II〕と化合物〔III〕の反応性誘導体(酸ハライド、酸無水物、活性アミド、活性エステル、混合酸無水物等)とを、塩基の存在下または非存在下、縮合剤の存在下または非存在下、溶媒中で反応させることにより製することもできる。塩基としては、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセ−7−エン等の有機塩基、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基等を用いることができる。縮合剤としては、1,1’−カルボニルジイミダゾール、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、プロパンホスホン酸無水物、ベンゾトリアゾール−1−イロキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム6フッ化リン等を用いることができる。溶媒としては、反応に悪影響を与えるものでなければいずれのものでも使用することができ、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを用いることができる。本反応は、例えば、−20℃〜60℃、とりわけ5℃〜50℃で好適に進行する。化合物〔III〕の活性エステルとしては、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはp−ニトロフェノールとのエステル等を用いることができる。化合物〔III〕の酸ハライドとしては、酸塩化物、酸臭化物等を好適に用いることができる。また化合物〔III〕の活性アミドとしては、イミダゾール等とのアミドを用いることができる。
【0091】
本発明の有効成分である化合物〔I〕は、上記の如くして得られる化合物の基Rを目的とする他の置換基へ変換することによっても製造することができる。このような置換基の変換方法は、目的とする置換基の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば、次の(a法)〜(i法)の如く実施することができる。
【0092】
(a法):一般式〔I〕において、基Rが水素原子である目的化合物〔I〕は、基Rがアミノ基の保護基である対応化合物〔I〕から当該保護基を除去することにより製することができる。当該保護基の除去は常法(例えば、酸処理、塩基処理、接触還元等)によって実施することができる。本反応のうち、酸処理による反応は、例えば、5℃〜120℃、塩基処理による反応は5℃〜40℃、接触還元による反応は、10℃〜40℃で実施することができる。
【0093】
(b法):一般式〔I〕において、基Rが置換基を有しているカルボニル基である目的化合物〔I〕は、基Rが水素原子である対応化合物〔I〕と対応するカルボン酸化合物またはその活性エステルとを縮合剤の存在下、または非存在下反応させることにより製するか、化合物〔I〕と対応するカルボン酸化合物の反応性誘導体(酸ハライド、酸無水物、活性アミド、活性エステル、混合酸無水物等)とを、塩基の存在下または非存在下、縮合剤の存在下または非存在下、溶媒中で反応させることにより製することができる。縮合剤としては、カルボン酸とアミンからアミド結合形成反応に通常用いられる、1,1’−カルボニルジイミダゾール、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、クロロギ酸イソブチル、N−メチルモルホリンまたはベンゾトリアゾール−1−イロキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム6フッ化リン等を用いることができる。カルボン酸化合物の活性エステルとしては、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはp−ニトロフェノールとのエステル等を用いることができる。本反応は、例えば、−20℃〜50℃で実施することができる。対応するカルボン酸化合物の酸ハライドとしては、酸塩化物、酸臭化物等を好適に用いることができる。また対応するカルボン酸化合物の活性アミドとしては、イミダゾール等とのアミドを用いることができる。
【0094】
(c法):一般式〔I〕において、基Rが置換基を有していてもよい複素環式基である目的化合物〔I〕は、基Rが水素原子である対応化合物〔I〕と対応するオキソ基を持った複素環式基とを還元的縮合反応に付すことにより製造することができる。還元的縮合反応は、例えば、(a)テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)、31巻、5595頁、1990年、(b)ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、28巻、3259頁、1963年等に記載の方法に従い、還元剤の存在下、適当な溶媒中で好適に実施することができる。還元剤としては、還元的アミノ化に好適に使用することができるものであればいずれも使用することができる。そのような還元剤としては、金属還元剤、例えば、金属水素化物〔ボラン水素化物(ジボラン等)〕、金属水素化物錯体〔水素化リチウムアルミニウム、ナトリウムボロヒドリド等〕、有機金属錯体〔ボラン−メチルサルファイド、9−ボラビシクロノナン(9−BBN)、トリエチルシラン、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、ナトリウムシアノボロヒドリド等〕等を使用することができる。さらに必要により、ルイス酸(チタンテトラクロライド等)や有機酸(酢酸等)を添加剤として使用することができる。また、還元的縮合反応において、還元剤を存在させるかわりに、接触水素化条件下で実施することもできる。例えば、白金触媒、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム等の適当な触媒を用いて、適当な溶媒中、水素気流下に実施することもできる。また、還元的縮合反応には、酸類を触媒量添加することが好ましく、そのような酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸があげられる。本反応は、冷却下から加熱下、好ましくは0℃〜100℃、より好ましくは10℃〜50℃で好適に実施することができる。一般式〔I〕において、基Rが置換されていてもよいアルキル基である目的化合物〔I〕は、基Rが水素原子である対応化合物〔I〕を常法により、アルキル化することにより製することができる。本反応は、20℃〜80℃で実施することができる。
【0095】
(d法):一般式〔I〕において、基Rが置換基を有しているカルボニル基である目的化合物〔I〕がウレア結合を有している化合物の場合、基Rが水素原子である対応化合物〔I〕と対応するアミン化合物とウレア化剤を用いて反応することにより製することができる。ウレア化剤としては、1,1’−カルボニルジイミダゾール、ホスゲンのようなものが好ましく、例えば、1,1’−カルボニルジイミダゾール、トリホスゲンまたはホスゲン等のカルボニルジハライドを用いることができる。本反応は、例えば、0℃〜80℃、好ましくは、0℃〜50℃で実施することができる。また、本反応は、特開平10−195037号記載の方法に準じることにより製することができる。
【0096】
(e法):一般式〔I〕において、基Rにおける置換基の硫黄原子がオキソ基で置換された基を含有する基(例えば、スルホニル基等)である目的化合物〔I〕、または基Rが置換基を有しているスルホニル基である目的化合物〔I〕は、基Rが水素原子である対応化合物〔I〕と対応化合物であるハロゲノスルホニル化合物とを塩基の存在下、反応することにより製することができる。塩基としては、トリエチルアミンなどが用いることができる。さらに、本反応は、例えば、0℃〜50℃で実施することができる。一般式〔I〕において、基Rにおける置換基の硫黄原子がオキソ基で2つ置換された基を含有する基(例えば、スルホニル基等)である目的化合物〔I〕は、基Rがチオ基を含有している基である対応化合物〔I〕を酸化剤(例えば、3−クロロ過安息香酸、過酢酸、過ヨウ素酸ナトリウム、オキソン等)で処理することにより製することができる。本反応は、例えば、−80℃〜150℃、とりわけ0℃〜40℃で好適に進行する。
【0097】
(f法):一般式〔I〕において、基Rが置換されていてもよいアルキル基である目的化合物〔I〕は、基Rが水素原子である対応化合物〔I〕を常法により、アルキル化することにより製することができる。本反応は、20℃〜80℃で実施することができる。
【0098】
(g法):一般式〔I〕において、基Rが置換基を有しているウレタン結合を含有する基である目的化合物〔I〕は、対応化合物〔I〕と対応するアルコール化合物とウレタン化剤を用いて反応することにより製することができる。ウレタン化剤としては、例えば、1,1’−カルボニルジイミダゾール、トリホスゲンまたはホスゲン等のカルボニルジハライドを用いることができる。本反応は、例えば、0℃〜80℃、好ましくは、0℃〜50℃で実施することができる。また、本反応は、特開平10−195037号記載の方法に準じることにより製することができる。
【0099】
(h法):一般式〔I〕において、基Rが置換基を有しているカルボニル基を含有している目的化合物〔I〕は、上記(b法)と同様にして製することができる。また、カルボン酸化合物の反応性誘導体として、イソシアナート化合物(例えば、トリメチルシリルイソシアナート等)を用いることができる。本反応は、例えば、0℃〜80℃、好ましくは、0℃〜50℃で実施することができる。
【0100】
(i法):一般式〔I〕において、基Rが置換基を有しているアミド結合を含有する目的化合物〔I〕は、基Rが遊離のカルボキシル基を含有している対応化合物〔I〕と対応するアミン化合物、または基Rが遊離のアミノ基を含有している対応化合物〔I〕と対応するカルボン酸化合物とを、塩基の存在下、または非存在下、縮合剤の存在下、または非存在下反応させることにより製することができる。塩基としては、カルボン酸とアミンからアミド結合形成反応に通常用いられる、トリエチルアミン等を用いることができる。縮合剤としては、カルボン酸とアミンからアミド結合形成反応に通常用いられる、1,1’−カルボニルジイミダゾール、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、クロロギ酸イソブチルまたはN−メチルモルホリン等を用いることができる。本反応は、例えば、−20℃〜50℃で実施することができる。
【0101】
上記(a法)〜(i法)に記載の反応に用いる溶媒は、反応を阻害しない溶媒であれば、特に限定されず、例えば、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホラアミド、ベンゼン、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、アルコール、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、酢酸、ジエチルエーテル、メトキシエタン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、水またはこれらの混合溶媒を適宜選択して用いることができる。
【0102】
なお、本発明の有効成分である化合物の原料化合物〔II〕のうち、下記化合物〔II−a〕及び化合物〔II−b〕は新規化合物であり、例えば、下式化学反応式のようにして製造することができる。
【0103】
【化13】

【0104】
(式中、R51はアルキル基を表す。
61はアミノ基の保護基を表す。
は脱離基を表す。
は脱離基を表す。
環AおよびRは前記と同一意味を有する。)
つまり、ピリジン化合物〔IV〕をアニリンと縮合して、化合物〔V〕を得、次いでハロゲン化を行うことにより、化合物〔VI〕を得た後、アニリンを脱離して化合物〔VII〕を得る。さらに化合物〔VII〕のカルボキシル基をエステル化するか、化合物〔VIII〕を増炭反応に付すか、または、化合物〔IV〕のアシル基をエステル化した後にハロゲン化を行うことにより、化合物〔IX〕を得る。得られる化合物〔IX〕と化合物〔X〕をカップリングするか、化合物〔VI〕と化合物〔X〕をカップリングした後、化合物〔XI〕からアニリンを脱離し、カルボキシル基をエステル化することにより、化合物〔XII〕を得、得られる化合物〔XII〕を還元反応に付し、ついでアミノ基の置換基を導入することにより、化合物〔XIII〕を得る。得られる化合物〔XIII〕のエステル基をカルボキシル基に変換することにより、化合物〔XIV〕を得る。さらに、得られた化合物〔XIV〕のカルボキシル基を転位反応等を用いることにより、化合物〔II−a〕を得るか、化合物〔XIII〕または化合物〔XIV〕をケトンに変換後、酸化、加水分解することにより、化合物〔II−b〕を得る。
【0105】
また、化合物〔II−a〕は、下記化学反応式により、下記化合物〔II−c〕へ変換することができる。

【0106】
(式中、環A、R、R及びR61は前記と同一意味を有する。)
つまり、化合物〔II−a〕のアミノ基をRで置換することにより、化合物〔XV〕を得た後、アミノ基の保護基を除去することにより、化合物〔II−c〕を得る。
【0107】
化合物〔II〕(例えば、化合物〔II−a〕、化合物〔II−b〕または化合物〔II−c〕など)は、不斉炭素を有しており、当該不斉炭素に基づく光学異性体が存在するが、例えば、シス体及びトランス体が混合物として得られた場合は、シリカゲルクロマトグラフィー等の常法によりシス体及びトランス体をそれぞれ得ることができる。また、化合物〔II〕の光学異性体は、例えば、化合物〔II〕のラセミ混合物を常法により光学分割することにより得るか、または、化合物〔XIII〕のRが水素原子である化合物もしくは化合物〔XIV〕のラセミ混合物を常法により光学分割して対応する光学活性化合物を得た後、上記反応に付すことにより得ることができる。
【0108】
化合物〔XIII〕のRが水素原子である化合物の場合、光学分割は、例えば、化合物〔XIII〕とN−アシル−光学活性アミノ酸、N−スルホニル−光学活性アミノ酸または光学活性カルボン酸を作用させ、生成する2種のジアステレオマー塩の溶解度差を利用して、一方のジアステレオマー塩を分離・採取することことにより実施することができる。N−アシル−光学活性アミノ酸のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、トシル基またはベンジルオキシカルボニル基が挙げられ、光学活性アミノ酸としては、例えば、L−フェニルアラニン、L−ロイシン、L−グルタミン、L−メチオニン、L−バリン、L−トレオニン、D−フェニルアラニンまたはD−フェニルグリシンが挙げられる。また、光学活性カルボン酸としてはマンデル酸、リンゴ酸または酒石酸誘導体等が挙げられる。当該酒石酸誘導体としては、L−酒石酸ジベンゾイル、L−酒石酸ジ−p−トルオイル、D−酒石酸ジベンゾイル、D−酒石酸ジ−p−トルオイル等が挙げられる。
【0109】
また、化合物〔XIV〕の場合、光学分割は、例えば、化合物〔XIV〕とO−アルキル−光学活性アミノ酸または光学活性アミン誘導体を作用させ、生成する2種のジアステレオマー塩の溶解度差を利用して、一方のジアステレオマー塩を分離・採取することことにより実施することができる。光学活性アミノ酸としては、例えば、L−フェニルアラニン、L−ロイシン、L−グルタミン、L−メチオニン、L−バリン、L−トレオニン、D−フェニルアラニンまたはD−フェニルグリシンが挙げられる。O−アルキル−光学活性アミノ酸のアルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。光学活性アミン誘導体としては、ブルシン、キニジン、(S)−α−フェネチルアミン、(R)−β−フェネチルアミン、(R)−(−)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(S)−(+)−1−シクロヘキシルエチルアミン等が挙げられる。
【0110】
さらに、本発明の有効成分である化合物およびその原料化合物の製造に際し、原料化合物ないし各中間体化合物が官能基を有する場合、上記で示した以外にも合成化学の常法により各官能基に適切な保護基を導入し、また、必要がなければ、それら保護基を、適宜、除去してもよい。
【0111】
例えば、本明細書において、アミノ基の保護基としては、通常、反応に付すときにアミノ基を保護するのに用いられる保護基が挙げられるが、具体的には、例えば、tert−ブトキシカルボニル基の如きアルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の如きアリルアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
【0112】
本明細書において、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基等、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味し、好ましくは炭素数1〜4のものを意味する。アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリール基、プロペニル基、イソプロペニル基等、炭素数2〜7の直鎖または分岐鎖のアルケニル基を意味し、好ましくは炭素数2〜4のものを意味する。アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルコキシ基を意味し、好ましくは炭素数1〜4のものを意味する。アルカノイル基とは、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、tert−ブチルカルボニル基等、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルカノイル基を意味し、好ましくは炭素数1〜4のものを意味する。アルキレン基とは、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を意味し、好ましくは炭素数1〜4のものを意味する。シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等、炭素数3〜8のシクロアルキル基を意味し、好ましくは炭素数3〜6のものを意味する。さらに、ハロゲン原子としては、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素が挙げられる。アリル基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基等不飽和炭化水素環式基が挙げられる。
【実施例】
【0113】
実験例1 ニューロキニン−1(NK1)受容体結合阻害作用
ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology)254巻、221−227頁(1994)記載の方法に準じて、IM−9細胞(4×10cell/tube)を0.3nM[H](Sar,Met11(O))サブスタンスP(Kd値:0.17nM)および10nMに調製した検体化合物とともに150mM NaCl、3mM MnCl、40μg/mlバシトラシン、4μg/mlロイペプチン、4μg/mlキモスタチン、4μg/mlホスホラミドン、0.02%ウシ血清アルブミンを含む50mM Tris−HCl(pH7.4,25℃)0.5ml中にて室温で60分間反応させた。予め0.3%ポリエチレンイミン処置したGF/Cガラスフィルターで吸引ろ過し、ウシ血清アルブミンおよび各種蛋白分解酵素阻害剤を含まない氷冷反応緩衝液3mlで2回洗浄し、液体シンチレーションカウンターにてフィルター上の放射能(dpm)を測定した。特異的結合量は、総結合量から非特異的結合量(NK1受容体拮抗作用を持つL−703606(2μM))を差し引いて求め、検体化合物10nMの標識リガンドの特異的結合に対する阻害率を算出した。
【0114】
結果は、下記表A1〜表A3の通りであった。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
【表3】

【0118】
実験2 ニューロキニン−1受容体作動薬誘発行動に対する作用
ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology)265巻、179−183頁(1994)記載の方法に準じて、雄性スナネズミ(日本エスエルシー(株):40−80g)に、被検薬1mg/kgを経口投与した。経口投与1時間後、ハロタン麻酔下にて、頭部ブレクマの側方1mm、4.5mm深部に蒸留水に溶解させたNK1受容体作動薬であるGR73632(5pmol/5μl/head)を脳室内へ投与した。脳室内投与後、観察ゲージにスナネズミを移動し、正向反射回復後5分間のフットタッピング(foot tapping)を起こしている時間を測定した。被験薬のフットタッピングの抑制率(%)は次式により計算した。
フットタッピングの抑制率(%)={1−(被験薬投与でのタッピング時間)/(溶媒投与でのタッピング時間)}×100
結果は、下記表Bの通りであった。
【0119】
【表4】

【0120】
表Bから明らかな通り、本発明の有効成分である化合物は、中枢への移行性が高いことがわかる。
【0121】
実験例3 頻尿に対する作用
ジャーナル・オブ・ウロロジー(Journal of Urology)、155巻、1号、355−360頁(1996年)記載の方法に準じて、雌モルモットにウレタンの皮下投与(1.2g/kg)により麻酔導入し背位に固定後、下腹部を正中線で切開し膀胱および尿道を露出した。排尿路を確保するためにカニューレを両輸尿管に挿入した。膀胱頂部から内腔に向かって18Gの注射針を介して膀胱内にカニューレを挿入し固定した。このカニューレを三方活栓につなぎ、一端より生理食塩液を持続注入(室温、12ml/hr)し、もう一方から膀胱内圧を測定した。外尿道口に採尿管を留置し、尿をアイソトニックトランスジューサーにつなげた容器で受ける事により排尿量を測定した。また、十二指腸内投与用のカニューレを22Gの注射針を介して十二指腸内に挿入し固定後、下腹部を縫合した。さらに頚部を切開し、カニューレを気管および右頚動脈に挿入した。30分ごとに生理食塩液の持続注入を行い排尿動態のパラメーターを計測した。排尿動態が安定した後に生食から0.1%酢酸含有の生理食塩液に交換し同様に排尿動態を観察した。薬物投与前値を得た後に製造例118及び製造例127で製造された薬物(0.3mg/kg)を十二指腸内投与し、薬物による膀胱容量の増加を投与前値に対する%で評価した。
【0122】
結果は製造例118の薬物が91.9%増加率を示し、製造例127の薬物が70.9%の増加率を示した。
【0123】
上記結果から明らかな通り、本発明の有効成分である化合物は、膀胱容量増加作用が強いことがわかる。
【0124】
製造例1
2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)−2−メチルプロピオン酸1.42gのテトラヒドロフラン27ml溶液に触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドと塩化チオニル1.07gを加え、加熱還流下に2時間攪拌した後、反応液を減圧濃縮した。(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−(N−メチルアミノ)ピペリジン1.45gのジクロロメタン10ml溶液を0℃に冷却し、トリエチルアミン0.51gと上記で減圧濃縮した残渣のジクロロメタン3ml溶液を加え、0℃で1時間攪拌した。反応液にジクロロメタンと水を加えて分液、有機層を食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=19:1→4:1)で精製することにより、下記第1表記載の(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン2.12gを得た。
【0125】
製造例2−5
対応原料化合物を用いて、製造例1と同様に処理することにより、下記第1表および第2表記載の化合物を得た。
【0126】
製造例6
2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)プロピオン酸0.95gのテトラヒドロフラン20ml溶液に触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドと塩化チオニル0.80gを加え、加熱還流下に3時間攪拌した後、反応液を減圧濃縮した。(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−(N−メチルアミノ)ピペリジン0.97gのジクロロメタン6ml溶液を0℃に冷却し、トリエチルアミン0.36gと上記で減圧濃縮した残渣のジクロロメタン1ml溶液を加え、0℃で3時間攪拌した。反応液にクロロホルムと水を加えて分液、有機層を食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1→2:1)で精製することにより、下記第3表記載の(a)(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{(R)−N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)プロピオニルアミノ}ピペリジン0.76g、および(b)(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{(S)−N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)プロピオニルアミノ}ピペリジン0.82gを得た。
【0127】
製造例7
対応原料化合物を用いて、製造例6と同様に処理することにより、下記第3表記載の化合物を得た。
【0128】
製造例8
トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−(N−メチルアミノ)ピペリジン484mg、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル酢酸449mg、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物253mg、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩316mgのN,N−ジメチルホルムアミド15ml溶液を室温で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと半飽和食塩水を加えて分液した後、有機層を半飽和食塩水と炭酸水素ナトリウム水溶液とで順次洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮して、得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=19:1→2:1)で精製することにより、下記第4表記載のトランス−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)アセチルアミノ}ピペリジン380mgを得た。
【0129】
製造例9
(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン2.12gの酢酸エチル8ml溶液に塩酸の4M酢酸エチル溶液26mlを加えて室温で1時間攪拌した後、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルと水を加え、水層を炭酸ナトリウム水溶液とアンモニア水を用いて塩基性にした後に分液した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮することにより、下記第4表記載の(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン1.39gを得た。
【0130】
製造例10−18
対応原料化合物を用いて、製造例9と同様に処理することにより、下記第4表〜第6表記載の化合物を得た。
【0131】
製造例19
(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン127mg、β−ヒドロキシイソ吉草酸37mg、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和物48mgと1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩60mgのN,N−ジメチルホルムアミド3.3ml溶液を40℃で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと半飽和食塩水を加えて分液した後、有機層を半飽和食塩水と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とで順次洗浄した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をNH薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=20:1)で精製することにより、下記第7表記載の(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチリル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン148mgを得た。
【0132】
製造例20−74
対応原料化合物を用いて、製造例19と同様に処理することにより、下記第7表〜第17表記載の化合物を得た。
【0133】
製造例75
製造例26で得られた化合物30mgのN,N−ジメチルホルムアミド1.5ml溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム2mgを加えて0℃で30分間攪拌した後、ヨウ化メチル8mgを加え室温で2時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと半飽和食塩水を加えて分液した後、有機層を半飽和食塩水で洗浄した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を塩基性薄層シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1:1)で精製することにより、下記第18表記載の(3S,4S)−1−(N−アセチル−N−メチルアミノ)アセチル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン11mgを得た。
【0134】
製造例76−86
対応原料化合物を用いて、製造例75と同様に処理することにより、下記第18表および第19表記載の化合物を得た。
【0135】
製造例87
(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン127mgと1−アセチル−4−ピペリドン42mgのジクロロメタン3.3ml溶液に酢酸1滴を加えて室温で1時間攪拌した後、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド106mgを加えて40℃で16時間攪拌した。反応液にクロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて分液した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をNH薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=20:1)で精製することにより、下記第20表記載の(3S,4S)−1−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン86mgを得た。
【0136】
製造例88−92
対応原料化合物を用いて、製造例87と同様に処理することにより、下記第20表記載の化合物を得た。
【0137】
製造例93
(1)(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン0.5gと1−ベンジロキシカルボニルアゼチジン−3−オン0.25gのジクロロメタン15ml溶液に酢酸30mgを加えて室温で0.5時間攪拌した後、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド0.42gを加えて室温で16時間攪拌した。反応液にクロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて分液した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=19:1→2:1)で精製することにより、下記第20表記載の(3S,4S)−1−(1−ベンジロキシカルボニルアゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン0.54gを得た。
【0138】
(2)上記(1)で得られた化合物0.54gのメタノール25ml溶液に10%パラジウム炭素0.14gを加えて水素雰囲気下、室温で16時間攪拌した。反応液をメンブランフィルターでろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより、下記第20表記載の(3S,4S)−1−(アゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン0.41gを得た。
【0139】
製造例94−96
対応原料化合物を用いて、製造例87と同様に処理することにより、下記第21表記載の化合物を得た。
【0140】
製造例97
対応原料化合物を用いて、製造例93と同様に処理することにより、下記第21表記載の化合物を得た。
【0141】
製造例98−100
対応原料化合物を用いて、製造例87と同様に処理することにより、下記第22表および第23表記載の化合物を得た。
【0142】
製造例101
(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン35mgのN,N−ジメチルホルムアミド1.5ml溶液にトリエチルアミン14mgと2−ブロモエチルメチルエーテル15mgを加えて室温で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと半飽和食塩水を加えて分液した後、有機層を半飽和食塩水で洗浄した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=19:1)で精製することにより、下記第24表記載の(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン22mgを得た。
【0143】
製造例102
対応原料化合物を用いて、製造例101と同様に処理することにより、下記第24表記載の化合物を得た。
【0144】
製造例103
(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン35mg、2−クロロ−N,N’−ジメチルアセトアミド13mg、および炭酸カリウム21mgのアセトニトリル1.5ml溶液を加熱還流下に16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと水を加えて分液し、得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を塩基性薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製することにより、下記第24表記載の(3S,4S)−1−(1,1−ジメチルカルバモイルメチル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン31mgを得た。
【0145】
製造例104−105
対応原料化合物を用いて、製造例103と同様に処理することにより、下記第24表記載の化合物を得た。
【0146】
製造例106
(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン35mgのエタノール1.5ml溶液にN,N−ジメチルアクリルアミド10mgを加えて加熱還流下に16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと半飽和食塩水を加えて分液した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をNH薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製することにより、下記第24表記載の(3S,4S)−1−(2,2−ジメチルカルバモイルエチル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン30mgを得た。
【0147】
製造例107
N−(2−ヒドロキシエチル)スクシンイミド20mgのジクロロメタン1.5ml溶液にトリエチルアミン21mgを加えて0℃に冷却し、メタンスルホニルクロリド24mgを加えて室温で16時間攪拌して、その後反応液を減圧濃縮した。(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン35mg、炭酸カリウム31mg、上記で減圧濃縮した残渣のアセトニトリル2ml溶液を加熱還流下に16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと水を加えて分液し、得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をNH薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製することにより、下記第24表記載の(3S,4S)−1−{2−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)エチル}−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン16mgを得た。
【0148】
製造例108−110
対応原料化合物を用いて、製造例103と同様に処理することにより、下記第25表記載の化合物を得た。
【0149】
製造例111
対応原料化合物を用いて、製造例106と同様に処理することにより、下記第25表記載の化合物を得た。
【0150】
製造例112
(3S,4S)−1−(アゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン35mgのジクロロメタン2ml溶液を0℃に冷却し、トリエチルアミン8mgとアセチルクロリド6mgを加えて0℃で2時間攪拌した。反応液にクロロホルムと水を加えて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=19:1)で精製することにより、下記第26表記載の(3S,4S)−1−(1−アセチルアゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン33mgを得た。
【0151】
製造例113−117
対応原料化合物を用いて、製造例112と同様に処理することにより、下記第26表記載の化合物を得た。
【0152】
製造例118
対応原料化合物を用いて、製造例19と同様に処理することにより、下記第26表記載の化合物を得た。
【0153】
製造例119−124
対応原料化合物を用いて、製造例112と同様に処理することにより、下記第27表記載の化合物を得た。
【0154】
製造例125
対応原料化合物を用いて、製造例19と同様に処理することにより、下記第27表記載の化合物を得た。
【0155】
製造例126
製造例91で得られた化合物40mgのジクロロメタン1ml溶液を0℃に冷却し、メタクロロ過安息香酸23mgを加えて室温で16時間攪拌した。反応液に亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加えて室温で30分間攪拌した後、クロロホルムと水を加えて分液した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=19:1)で精製することにより、下記第28表記載の(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(テトラヒドロチオピラン−1−オキシド−4−イル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン24mgを得た。
【0156】
製造例127
製造例91で得られた化合物24mgのジクロロメタン1.5ml溶液にメタンスルホン酸18mgを加えて室温で10分間攪拌した後、0℃に冷却し、メタクロロ過安息香酸14mgを加えて室温で3時間攪拌した。反応液に亜硫酸水素ナトリウム水溶液、1M水酸化ナトリウム水溶液を加えて室温で30分間攪拌した後、クロロホルムと水を加えて分液した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製することにより、下記第28表記載の(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−1−(テトラヒドロチオピラン−1,1−ジオキシド−4−イル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン20mgを得た。
【0157】
製造例128
対応原料化合物を用いて、製造例127と同様に処理することにより、下記第28表記載の化合物を得た。
【0158】
製造例129
対応原料化合物を用いて、製造例126と同様に処理することにより、下記第29表記載の化合物を得た。
【0159】
製造例130−131
対応原料化合物を用いて、製造例127と同様に処理することにより、下記第29表記載の化合物を得た。
【0160】
製造例132
(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン127mgのジクロロメタン1ml溶液を0℃に冷却し、4−モルホリンカルボニルクロリド11mgとトリエチルアミン7.4mgを加えて0℃で2時間攪拌した。反応液にジクロロメタンと水を加えて分液した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を塩基性薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:酢酸エチル=20:1)で精製することにより、下記第30表記載の(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}−1−(4−モルホリンカルボニル)ピペリジン39mgを得た。
【0161】
製造例133
対応原料化合物を用いて、製造例132と同様に処理することにより、下記第30表記載の化合物を得た。
【0162】
製造例134
(3S,4S)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン50mgと1,1’−カルボニルジイミダゾール16mgのテトラヒドロフラン1.5ml溶液を50℃で1時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと水を加えて分液した後、有機層を水で洗浄した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル2mlとヨウ化メチル0.85gを加え70℃で1時間攪拌し、減圧濃縮した。得られた残渣にテトラヒドロフラン1.5mlと1−アセチルピペラジン14mgとトリエチルアミン0.61gを加え室温で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと水を加えて分液した。有機層をケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を塩基性薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することにより、下記第30表記載の(3S,4S)−1−(1−アセチルピペラジンカルボニル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン39mgを得た。
【0163】
製造例135−140
対応原料化合物を用いて、製造例134と同様に処理することにより、下記第30表および第31表記載の化合物を得た。
【0164】
製造例141
対応原料化合物を用いて、製造例126と同様に処理することにより、下記第31表記載の化合物を得た。
【0165】
製造例142−143
対応原料化合物を用いて、製造例134と同様に処理することにより、下記第31表および第32表記載の化合物を得た。
【0166】
製造例144−147
対応原料化合物を用いて、製造例19と同様に処理することにより、下記第33表記載の化合物を得た。
【0167】
製造例148−149
対応原料化合物を用いて、製造例87と同様に処理することにより、下記第33表記載の化合物を得た。
【0168】
製造例150−153
対応原料化合物を用いて、製造例19と同様に処理することにより、下記第34表記載の化合物を得た。
【0169】
製造例154−155
対応原料化合物を用いて、製造例87と同様に処理することにより、下記第34表記載の化合物を得た。
【0170】
製造例156−173
対応原料化合物を用いて製造例1と同様に処理することにより、下記第35表〜第39表記載の化合物を得た。
【0171】
製造例174−191
対応原料化合物を用いて製造例9と同様に処理することにより、下記第40表〜第44表記載の化合物を得た。
【0172】
製造例192
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第45表記載の化合物を得た。
【0173】
製造例193−194
対応原料化合物を用いて製造例87と同様に処理することにより、下記第45表記載の化合物を得た。
【0174】
製造例195
対応原料化合物を用いて製造例127と同様に処理することにより、下記第45表記載の化合物を得た。
【0175】
製造例196
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第46表記載の化合物を得た。
【0176】
製造例197−198
対応原料化合物を用いて製造例87と同様に処理することにより、下記第46表記載の化合物を得た。
【0177】
製造例199
対応原料化合物を用いて製造例127と同様に処理することにより、下記第46表記載の化合物を得た。
【0178】
製造例200−202
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第47表記載の化合物を得た。
【0179】
製造例203−208
対応原料化合物を用いて製造例87と同様に処理することにより、下記第47表および第48表記載の化合物を得た。
【0180】
製造例209−211
対応原料化合物を用いて製造例127と同様に処理することにより、下記第48表記載の化合物を得た。
【0181】
製造例212−214
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第49表記載の化合物を得た。
【0182】
製造例215−220
対応原料化合物を用いて製造例87と同様に処理することにより、下記第49表および第50表記載の化合物を得た。
【0183】
製造例221−223
対応原料化合物を用いて製造例127と同様に処理することにより、下記第50表記載の化合物を得た。
【0184】
製造例224−225
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第51表記載の化合物を得た。
【0185】
製造例226−229
対応原料化合物を用いて製造例87と同様に処理することにより、下記第51表記載の化合物を得た。
【0186】
製造例230−231
対応原料化合物を用いて製造例127と同様に処理することにより、下記第51表記載の化合物を得た。
【0187】
製造例232−233
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第52表記載の化合物を得た。
【0188】
製造例234−237
対応原料化合物を用いて製造例87と同様に処理することにより、下記第52表記載の化合物を得た。
【0189】
製造例238−239
対応原料化合物を用いて製造例127と同様に処理することにより、下記第52表記載の化合物を得た。
【0190】
製造例240
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第53表記載の化合物を得た。
【0191】
製造例241−242
対応原料化合物を用いて製造例87と同様に処理することにより、下記第53表記載の化合物を得た。
【0192】
製造例243
対応原料化合物を用いて製造例127と同様に処理することにより、下記第53表記載の化合物を得た。
【0193】
製造例244−246
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第54表および第55表記載の化合物を得た。
【0194】
製造例247−252
対応原料化合物を用いて製造例87と同様に処理することにより、下記第55表〜第58表記載の化合物を得た。
【0195】
製造例253−255
対応原料化合物を用いて製造例127と同様に処理することにより、下記第58表および第59表記載の化合物を得た。
【0196】
製造例256
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第60表記載の化合物を得た。
【0197】
製造例257−258
対応原料化合物を用いて製造例87と同様に処理することにより、下記第60表記載の化合物を得た。
【0198】
製造例259
対応原料化合物を用いて製造例127と同様に処理することにより、下記第60表記載の化合物を得た。
【0199】
製造例260
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第61表記載の化合物を得た。
【0200】
製造例261
対応原料化合物を用いて製造例87と同様に処理することにより、下記第61表記載の化合物を得た。
【0201】
製造例262−279
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第62表および第63表記載の化合物を得た。
【0202】
製造例280−281
対応原料化合物を用いて製造例75と同様に処理することにより、下記第64表記載の化合物を得た。
【0203】
製造例282−284
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第64表記載の化合物を得た。
【0204】
製造例285
(3S,4S)−1−(アゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン78mgのジクロロメタン2ml溶液にトリエチルアミン21mgとエチルオキサリルクロリド29mgを加えて室温で16時間攪拌した。反応液にクロロホルムと水を加えて分液した後、有機層を飽和食塩水で洗浄、ケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣にエタノール1mlと28%アンモニア水1mlを加え100℃で4.5時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと水を加えて分液した後、有機層を食塩水で洗浄、ケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=19:1)で精製することにより、下記第64表記載の(3S,4S)−1−(1−アミノオキサリルアゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン50mgを得た。
【0205】
製造例286−287
対応原料化合物を用いて製造例19と同様に処理することにより、下記第65表記載の化合物を得た。
【0206】
製造例288
(3S,4S)−1−(アゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン45mgのジクロロメタン1ml溶液にトリエチルアミン0.041mlを加えて0℃に冷却後、トリホスゲン9.5mgを加えて室温で2時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと半飽和食塩水を加えて分液した後、有機層を飽和食塩水で洗浄、ケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣にジメチルアミノピリジン0.5mg、テトラヒドロフラン1ml、エチレングリコール0.15ml、およびトリエチルアミン0.11mlを加え、室温で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと水を加えて分液した後、有機層を飽和食塩水で洗浄、ケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1)で精製することにより、下記第65表記載の(3S,4S)−1−{1−(2−ヒドロキシエチルアミノカルボニル)アゼチジン−3−イル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン38mgを得た。
【0207】
製造例289
(3S,4S)−1−(アゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン45mgのジクロロメタン2ml溶液にトリメチルシリルイソシアナート41mgを加えて室温で16時間攪拌した。反応液にクロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて分液した後、有機層を飽和食塩水で洗浄、ケムエリュート(CHEM ELUT;バリアン(VARIAN)社製)を用いて乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を薄層シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1)で精製することにより、下記第65表記載の(3S,4S)−1−(1−アミノカルボニルアゼチジン−3−イル)−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−{N−メチル−2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)イソブチリルアミノ}ピペリジン40mgを得た。
【0208】
製造例290
対応原料化合物を用いて、製造例134と同様に処理することにより、下記第65表記載の化合物を得た。
【0209】
製造例291−292
対応原料化合物を用いて、製造例106と同様に処理することにより、下記第65表記載の化合物を得た。
【0210】
参考例1
(1)3,5−ビストリフルオロメチルフェニル酢酸3.3gのメタノール1.5mlとジクロロメタン3.6ml溶液に濃硫酸36μlを加え、加熱還流下に16時間攪拌した。反応液にジクロロメタンと水を加えて分液した後、有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣にテトラヒドロフラン100mlを加え−78℃に冷却した後、tert−ブトキシカリウム3.37gを加えて同温で30分間攪拌した。さらにヨウ化メチル5.09gを加え、室温で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと水を加えて分液した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=100:0→19:1)で精製することにより、下記第66表記載の2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)−2−メチルプロピオン酸メチル2.9gを得た。
【0211】
(2)上記(1)で得られた化合物2.86gのメタノール40ml溶液に2M水酸化ナトリウム水溶液42mlを加え80℃で16時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、6M塩酸水溶液14mlと酢酸エチル、水を加えて分液した後、有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をジクロロメタンとヘキサンから再結晶することにより、下記第66表記載の2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)−2−メチルプロピオン酸2.50gを得た。
【0212】
参考例2
(1)3,5−ビストリフルオロメチルフェニル酢酸4.8gのメタノール2.2mlとジクロロメタン5.5ml溶液に濃硫酸54μlを加え、加熱還流下に16時間攪拌した。反応液にジクロロメタンと水を加えて分液し、得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣にテトラヒドロフラン300mlを加え−20℃に冷却した後、水素化ナトリウム0.70gを加えて同温で0.5時間攪拌した。さらにヨウ化メチル2.5gを加え、室温で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと半飽和食塩水を加えて分液し、得られた有機層を半飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1→15:1)で精製することにより、下記第66表記載の2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)プロピオン酸メチル2.4gを得た。
【0213】
(2)2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)プロピオン酸メチル6.7gのメタノール90ml溶液に2M水酸化ナトリウム水溶液100mlを加え80℃で6時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、6M塩酸水溶液33mlと酢酸エチル、水を加えて分液した後、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をジクロロメタンとヘキサンから再結晶することにより、下記第66表記載の2−(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)プロピオン酸4.1gを得た。
【0214】
参考例3
(1)ジイソプロピルアミン22.4mlのテトラヒドロフラン320ml溶液をドライアイス−アセトンバスで−70℃以下に冷却した後、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)100mlを滴下し、同温にて30分間攪拌した。この溶液に3−ブロモピリジン25gのテトラヒドロフラン250ml溶液を4時間かけて滴下し、さらに−70℃以下で1時間攪拌した。この溶液に表面をよく拭いた後で細かく砕いたドライアイス8.8gを加えて1時間攪拌した後、ゆっくり室温へ昇温した。溶媒と過剰の二酸化炭素を全て減圧留去した後、残渣をN,N−ジメチルホルムアミド300mlに溶解し、炭酸カリウム27.6gとヨウ化メチル12.6mlを加えて室温で16時間攪拌した。酢酸エチルと重炭酸ナトリウム水溶液を加えて分液、有機層を水と食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、下記第66表記載の3−ブロモイソニコチン酸メチル13.5gを得た。
【0215】
(2)上記(1)で得られた化合物12gのN,N−ジメチルホルムアミド120ml溶液に4−フルオロ−2−メチルフェニルボロン酸9.3g、炭酸セシウム19.6g、酢酸パラジウム1.12g、トリフェニルホスフィン2.63gを加え70℃で1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルと食塩水を加え、不溶物をろ過除去した。ろ液を食塩水と水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、下記第66表記載の3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)イソニコチン酸メチル7.9gを得た。
【0216】
(3)上記(2)で得られた化合物2.5gのメタノール100ml溶液に酸化白金600mgと濃塩酸8mlを加えて水素置換を5回繰り返した。次いで、101kPaの水素雰囲気下、室温で24時間攪拌した。この溶液に水100mlを加えてセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残った水溶液を炭酸ナトリウムで中和、さらにアンモニア水を加えた後、クロロホルムで2回抽出した。併せた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣のジクロロメタン25ml溶液にジ−tert−ブチルジカーボネート5gを加え室温で1時間攪拌した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=85:15)で精製することにより、下記第67表記載のシス−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−メトキシカルボニルピペリジン1.3gを得た。
【0217】
(4)上記(3)と同様にして得られたシス−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−メトキシカルボニルピペリジン54.9gのメタノール500ml溶液にナトリウムメチラート(28%メタノール溶液)59.8mlを加えて加熱還流下で3時間攪拌した。室温まで冷却した後、2M水酸化ナトリウム水溶液390mlとテトラヒドロフラン200mlを加え、さらに2時間攪拌した。反応液に2M塩酸水溶液を加えて中和後、溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣にクロロホルムを加えて分液した。有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチル−n−ヘキサンから再結晶することにより、下記第67表記載のトランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン42.3gを得た。
【0218】
(5)上記(4)で得られた化合物40.5gの酢酸エチル1000ml溶液に室温で(S)−α−フェネチルアミン7.27gの酢酸エチル100ml溶液を5分以上かけて加えた後、20分間攪拌した。析出した塩をろ取、酢酸エチルで2回洗浄後、洗浄した塩を飽和クエン酸水溶液で酸性とした。溶液にクロロホルムを加えて分液後、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣を、酢酸エチル1000mlに溶解し、この溶液に室温で(S)−α−フェネチルアミン6.12gの酢酸エチル100ml溶液を5分以上かけて加えた後、15分間攪拌した。析出した塩をろ取、酢酸エチルで2回洗浄後、洗浄した塩を飽和クエン酸水溶液で酸性とした。溶液にクロロホルムを加えて分液後、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮することにより、下記第68表記載の(a)(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン14.9gを得た。さらに上記操作で得られた母液にクエン酸水溶液で酸性とした。溶液にクロロホルムを加えて分液後、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣を、酢酸エチル800mlに溶解し、この溶液に室温で(R)−α−フェネチルアミン7.27gの酢酸エチル100ml溶液を5分以上かけて加えた後、20分間攪拌した。析出した塩をろ取、酢酸エチルで2回洗浄後、洗浄した塩を飽和クエン酸水溶液で酸性とした。溶液にクロロホルムを加えて分液後、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮することにより、下記第68表記載の(b)(3R,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン17.4gを得た。なお、得られた(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン、および(3R,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジンの光学純度はそれぞれ99.0%eeおよび94.8%eeであった。
【0219】
(6)上記(5)で得られた(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン5gのトルエン150ml溶液を0℃に冷却し、ジフェニルリン酸アジド4.49gとトリエチルアミン1.80gを加えて室温で1時間、次いで80℃で2時間攪拌した。反応液を0℃まで冷却した後、ベンジルアルコール3.53gとジメチルアミノピリジン90mgを加え80℃で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて分液した後、有機層を水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=19:1→2:1)で精製することにより、下記第69表記載の(3S,4S)−4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン5.23gを得た。
【0220】
(7)上記(6)で得られた化合物5.23gのN,N−ジメチルホルムアミド45ml溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム497mgを加えて0℃で30分間攪拌した後、ヨウ化メチル2.02gを加え室温で1時間攪拌した。反応液に酢酸エチルと半飽和食塩水を加えて分液した後、有機層を半飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=19:1→2:1)で精製することにより、下記第69表記載の(3S,4S)−4−(N−ベンジルオキシカルボニル−N−メチルアミノ)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン3.15gを得た。
【0221】
(8)上記(7)で得られた化合物1.86gのメタノール20ml溶液に10%パラジウム炭素372mgを加えて水素雰囲気下、室温で2時間攪拌した。反応液をメンブランフィルターでろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより下記第69表記載の(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−(N−メチルアミノ)ピペリジン1.45gを得た。
【0222】
参考例4
(1)(3R,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン2.5gを用いて、参考例3(6)と同様に処理することにより、(3R,4R)−4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン2.8gを得た。
【0223】
(2)上記(1)で得られた化合物2.8gを用いて、参考例3(7)と同様に処理することにより、(3R,4R)−4−(N−ベンジルオキシカルボニル−N−メチルアミノ)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン2.2gを得た。
【0224】
(3)上記(2)で得られた化合物2.2gを用いて、参考例3(8)と同様に処理することにより、下記第70表記載の(3R,4R)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−(N−メチルアミノ)ピペリジン1.6gを得た。
【0225】
参考例5
(1)トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン5.66gを用いて、参考例3(6)と同様に処理することにより、トランス−4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン5.5gを得た。
【0226】
(2)上記(1)で得られた化合物4.63gを用いて、参考例3(7)と同様に処理することにより、トランス−4−(N−ベンジルオキシカルボニル−N−メチルアミノ)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン4.8gを得た。
【0227】
(3)上記(2)で得られた化合物4.8gを用いて、参考例3(8)と同様に処理することにより、下記第70表記載のトランス−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−(N−メチルアミノ)ピペリジン3.2gを得た。
【0228】
参考例6
(1)シス−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−メトキシカルボニルピペリジン1.3gをメタノール5mlとテトラヒドロフラン5mlに溶解し、2M水酸化ナトリウム水溶液5mlを加えて室温で16時間攪拌した。2M塩酸水溶液で中和した後、クロロホルムで2回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を減圧下で乾燥することにより、(a)シス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン、および(b)トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン(シス体:トランス体=56:44)の混合物560mgを得た。
【0229】
(2)上記(1)と同様にして得られた1−tert−ブトキシカルボニル−4−カルボキシル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン2.65gを用いて、参考例3(6)と同様に処理することにより、4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン2.4gを得た。
【0230】
(3)上記(2)で得られた化合物2.37gを用いて、参考例3(7)と同様に処理することにより、4−(N−ベンジルオキシカルボニル−N−メチルアミノ)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン2.2gを得た。
【0231】
(4)上記(3)で得られた化合物2.17gを用いて、参考例3(8)と同様に処理し、得られた残渣を塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=19:1→2:1)で精製することにより、下記第70表記載の(a)シス−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−(N−メチルアミノ)ピペリジン500mg、および下記第71表記載の(b)トランス−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−(N−メチルアミノ)ピペリジン570mgを得た。
【0232】
参考例7
トランス−4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン3.5gを用いて、参考例3(8)と同様に処理することにより、下記第71表記載のトランス−4−アミノ−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン2.4gを得た。
【0233】
参考例8
(1)トリメチルアルミニウムの2Mヘキサン溶液60mlのトルエン100ml溶液に0℃で4−エトキシカルボニルシクロヘキサノン10.2gのトルエン40ml溶液を滴下し、30分間攪拌した。反応液に水と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え分液した。有機層を水で2回、飽和食塩水で1回洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=85:15→75:25)で精製することにより、下記第71表記載のトランス−4−エトキシカルボニル−1−メチルシクロヘキサノール3.43gを得た。
【0234】
(2)上記(1)で得られた化合物2.24gのエタノール24ml溶液に水酸化ナトリウム580mgおよび水12mlを加え、室温で一終夜攪拌した。反応液を減圧濃縮後、2M塩酸水溶液で酸性とし、クロロホルムから3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮することにより、下記第71表記載のトランス−4−カルボキシル−1−メチルシクロヘキサノール1.65gを得た。
【0235】
参考例9
(1)3,5−ジクロロベンジルアルコール10.0gのジクロロメタン100ml溶液に三臭化リン15.3gを加え室温で16時間攪拌した。反応液にクロロホルムと水を加えて分液、有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮し、下記第72表記載の3,5−ジクロロベンジルブロミド13.6gを得た。
【0236】
(2)塩化コバルト2.6gのテトラヒドロフラン120ml溶液を0℃に冷却し、一酸化炭素を吹き込みながらナトリウムボロヒドリド1.5gを10分かけて加えた。この溶液を一酸化炭素雰囲気下、室温で1時間攪拌した後、5N水酸化ナトリウム水溶液20mlを少しずつ加え、上記(1)で得られた化合物4.8gのテトラヒドロフラン20ml溶液を10分かけて加え、55℃で3時間攪拌した。反応液を室温に戻した後、沈殿物をろ別、ろ液に水40mlを加え、6N塩酸水溶液を加えて酸性にした。反応液に酢酸エチルを加えて分液、有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→98:2)で精製することにより、下記第72表記載の3,5−ジクロロフェニル酢酸1.6gを得た。
【0237】
参考例10−13
対応原料化合物を用いて参考例1と同様に処理することにより、下記第72表記載の化合物を得た。
【0238】
参考例14
対応原料化合物を用いて参考例2と同様に処理することにより、下記第72表記載の化合物を得た。
【0239】
参考例15

【0240】
(2)上記(1)で得られた化合物1.5gを用いて参考例3(4)、および(6)−(8)と同様に処理することにより、下記第73表記載のトランス−4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロフェニル)ピペリジン1.0gを得た。
【0241】
参考例16−17
対応原料化合物を用いて参考例15(1)、参考例3(4)、および(6)−(8)と同様に処理することにより、下記第74表記載の化合物を得た。
【0242】
参考例18−19
対応原料化合物を用いて参考例3(7)−(8)と同様に処理することにより、下記第74表及び第75表記載の化合物を得た。
【0243】
参考例20
(3S,4S)−4−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン1.15gのメタノール12ml溶液に10%パラジウム炭素115mgを加えて水素雰囲気下、室温で2時間攪拌した。反応液をメンブランフィルターでろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣のジクロロメタン13ml溶液に酢酸31mgおよびアセトン0.17mlを加えて室温で16時間攪拌した後、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド658mgを加えて室温で5時間攪拌した。反応液にクロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて分液した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5→4:1)で精製することにより、下記第75表記載の(3S,4S)−1−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−4−(N−イソプロピルアミノ)ピペリジン0.56gを得た。
【0244】
参考例21
対応原料化合物を用いて参考例20と同様に処理することにより、下記第75表記載の化合物を得た。
【0245】
【表5】

【0246】
【表6】

【0247】
【表7】

【0248】
【表8】

【0249】
【表9】

【0250】
【表10】

【0251】
【表11】

【0252】
【表12】

【0253】
【表13】

【0254】
【表14】

【0255】
【表15】

【0256】
【表16】

【0257】
【表17】

【0258】
【表18】

【0259】
【表19】

【0260】
【表20】

【0261】
【表21】

【0262】
【表22】

【0263】
【表23】

【0264】
【表24】

【0265】
【表25】

【0266】
【表26】

【0267】
【表27】

【0268】
【表28】

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【表29】

【0270】
【表30】

【0271】
【表31】

【0272】
【表32】

【0273】
【表33】

【0274】
【表34】

【0275】
【表35】

【0276】
【表36】

【0277】
【表37】

【0278】
【表38】

【0279】
【表39】

【0280】
【表40】

【0281】
【表41】

【0282】
【表42】

【0283】
【表43】

【0284】
【表44】

【0285】
【表45】

【0286】
【表46】

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【表47】

【0288】
【表48】

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【表49】

【0290】
【表50】

【0291】
【表51】

【0292】
【表52】

【0293】
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【0294】
【表54】

【0295】
【表55】

【0296】
【表56】

【0297】
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【0298】
【表58】

【0299】
【表59】

【0300】
【表60】

【0301】
【表61】

【0302】
【表62】

【0303】
【表63】

【0304】
【表64】

【0305】
【表65】

【0306】
【表66】

【0307】
【表67】

【0308】
【表68】

【0309】
【表69】

【産業上の利用可能性】
【0310】
本発明の有効成分である化合物は、優れたタキキニン受容体拮抗作用を有する。また、本発明の有効成分である化合物は、安全性が高く、また吸収性、脳内移行性、代謝安定性、血中濃度、持続性等の点で優れ、このため優れた薬効を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式〔I〕
【化1】

(式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
環Bは置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。
は水素原子またはアミノ基の置換基を表す。
は水素原子、置換基を有していてもよい水酸基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有しているカルボニル基、オキソ基またはハロゲン原子を表す。
Zは酸素原子または−N(R)−で示される基を表す。
は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
4a及びR4bは、同一または異なって、水素原子もしくは置換基を有していてもよいアルキル基を表すか、または末端で結合してアルキレン基を形成する基を表す。)
で示されるピペリジン化合物またはその薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組成物。
【請求項2】
が置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有しているカルボニル基または置換基を有しているスルホニル基である請求項1記載の化合物またはその薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組成物。
【請求項3】
タキキニン受容体拮抗剤である請求項1または2項記載の医薬組成物。
【請求項4】
炎症、アレルギー性疾患、疼痛、偏頭痛、神経痛、掻痒、咳、中枢神経系疾患、消化器疾患、悪心、嘔吐、排尿異常、循環器疾患及び免疫異常から選ばれる疾患の予防・治療剤である請求項1または2項記載の医薬組成物。
【請求項5】
疾患が、排尿異常である請求項4記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2007−277231(P2007−277231A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65971(P2007−65971)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000002956)田辺製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】