説明

半導体ウェハカバー

【課題】半導体ウェハを傷つけることなく、半導体ウェハの裏面に材料が堆積されることを抑制することができる半導体ウェハカバーを提供する。
【解決手段】半導体ウェハカバーは、第1のカバー部と、第2のカバー部とを備える。第1のカバー部は、半導体ウェハの表面を露出させつつ半導体ウェハの裏面の少なくとも外縁部を被覆するように半導体ウェハを収容し、半導体ウェハの裏面の中心部分において第1の開口部を有する。第2のカバー部は、第1の開口部に嵌合し、半導体ウェハの裏面の中心部分を被覆する。第1の開口部の径が半導体ウェハの搭載面から半導体ウェハの非搭載面に向かって小さくなるように該第1の開口部の内側面はテーパーを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体ウェハカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路の動作に悪影響を与えるダストまたはパーティクルの大きさは、集積回路の微細化に伴い小さくなってきている。ダストまたはパーティクルの多くは、成膜工程において半導体ウェハの裏面に堆積された膜が剥れることによって発生する。そこで、ダストまたはパーティクルの発生を抑制するために、成膜工程時に半導体ウェハの裏面をケースで被覆する手法があった。
【0003】
例えば、単一の円形型ケースに半導体ウェハを収容することによって、その円形型ケースによって半導体ウェハの裏面全体を覆うことが考えられる。あるいは、2個の半円型部材をヒンジで接続し、その半円形部材を開閉することによって半導体ウェハを収容可能または取出可能にすることが考えられる。
【0004】
しかし、半導体ウェハの裏面全体を単一の円形型ケースに収容すると、半導体ウェハの裏面とケースとが静電力で密着し、ケースから半導体ウェハを取り出し難くなる。また、2個の半円型部材をヒンジで接続したケースに半導体ウェハを収容すると、半円型部材を開閉する際に摩擦により半導体ウェハの裏面に傷が付き易くなる。半導体ウェハの裏面の傷は、クラックや膜剥がれの原因となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−237516号公報
【特許文献2】特開2005−223142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体ウェハを傷つけること、および半導体ウェハの裏面に材料が堆積されることを抑制することができる半導体ウェハカバーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態による半導体ウェハカバーは、第1のカバー部と、第2のカバー部とを備える。第1のカバー部は、半導体ウェハの表面を露出させつつ半導体ウェハの裏面の少なくとも外縁部を被覆するように半導体ウェハを収容し、半導体ウェハの裏面の中心部分において第1の開口部を有する。第2のカバー部は、第1の開口部に嵌合し、半導体ウェハの裏面の中心部分を被覆する。第1の開口部の径が半導体ウェハの搭載面から半導体ウェハの非搭載面に向かって小さくなるように該第1の開口部の内側面はテーパーを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に従った半導体ウェハカバー100の斜視図。
【図2】半導体ウェハカバー100および半導体ウェハカバー100に収容された半導体ウェハ110の概略断面図。
【図3】第1の実施形態の変形例を示す断面図。
【図4】第2の実施形態に従った半導体ウェハカバー100の斜視図。
【図5】第2の実施形態に従った半導体ウェハカバー100および半導体ウェハカバー100に収容された半導体ウェハ110の概略断面図。
【図6】第2の実施形態の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1(A)および図1(B)は、第1の実施形態に従った半導体ウェハカバー100の斜視図である。図1(A)は、第1のカバー部10を示し、図1(B)は、第2のカバー部20を示す。
【0011】
第1のカバー部10は、半導体ウェハの外縁に沿って円形に縁取りされた外縁部11と、半導体ウェハの裏面の一部を被覆する底部12とを備える。外周部11の内径は、半導体ウェハの外径とほぼ同じかそれより僅かに大きく、第1のカバー部10に半導体ウェハを収容することができる。底部12は、収容された半導体ウェハをその裏面において支持する。半導体ウェハが第1のカバー部10に収容されたとき、半導体ウェハの表面は、成膜のために露出されている。
【0012】
第1のカバー部10は、その中心部分において第1の開口部13を有する。開口部13の径は、半導体ウェハの搭載面から半導体ウェハの非搭載面に向かって次第に小さくなっている。即ち、半導体ウェハの非搭載面(第1のカバー部10の裏面側)における開口部13の径R2は、半導体ウェハの搭載面(第1のカバー部10の表面側)における開口部13の径R1よりも小さい。それにより、開口部13の内側面15はテーパーを有する。開口部13の内側面15がこのようにテーパーを有することによって、図1(B)に示す第2のカバー部20が開口部13を通して第1のカバー部10の表面側から裏面側へ抜け落ちてしまうことを防止できる。
【0013】
図1(B)に示す第2のカバー部20は、開口部13に嵌合し、半導体ウェハの裏面の中心部分を被覆する。第2のカバー部20は、円錐台の形状を有し、開口部13とほぼ同じ大きさを有する。また、第2のカバー部20の外側面25は、開口部13の内側面15に適合するようにテーパーを有する。
【0014】
より詳細には、第2のカバー部20の径は、半導体ウェハの搭載面から半導体ウェハの非搭載面に向かって次第に小さくなっている。即ち、半導体ウェハの非搭載面(第2のカバー部20の裏面側)における第2のカバー部20の径R4は、半導体ウェハの搭載面(第2のカバー部20の表面側)における第2のカバー部20の径R3よりも小さい。第2のカバー部20の表面側の径R3は、開口部13の径R1とほぼ同じかそれよりも僅かに小さい。それにより、第2のカバー部20は、開口部13に適合し、開口部13から重力によって抜け落ちることがない。さらに、第2のカバー部20が開口部13から抜け落ちることを防止するためには、少なくとも第2のカバー部20の表面側の径R3が、開口部13の径R2よりも大きくなければならない。即ち、第2のカバー部20が開口部13に嵌合し、かつ、第2のカバー部20が開口部13から抜け落ちないためには、R1≧R3>R2が成り立つ必要がある。
【0015】
第1および第2のカバー部10、20は、成膜工程での温度により変形しないように耐熱性のある材料(例えば石英、セラミック、金属、シリコン等)を用いて形成されることが好ましい。さらに、第1および第2のカバー部10、20は、成膜工程時に半導体ウェハの温度を短時間で上昇させるために、熱伝導率の高い材料を用いて形成されることが好ましい。
【0016】
図2は、半導体ウェハカバー100および半導体ウェハカバー100に収容された半導体ウェハ110の概略断面図である。図2に示すように第2のカバー部20を開口部13に嵌めて半導体ウェハカバー100として用いる。これにより、或る材料を半導体ウェハ110の表面上に成膜する際、半導体ウェハカバー100は、半導体ウェハの裏面にその材料が堆積することを抑制しつつ、半導体ウェハの表面に材料を堆積させることができる。
【0017】
半導体ウェハカバー100に半導体ウェハ110を収容するときには、第2のカバー部20を開口部13に嵌合させた後、半導体ウェハ110を半導体ウェハカバー100に収容する。
【0018】
代替的に、半導体ウェハ110を第2のカバー部20とともに第1のカバー部10に収容してもよい。より詳細には、第1のカバー部10の開口部13を通してアーム(図示せず)で第2のカバー部20の裏面を水平に支持し、次に、第2のカバー部20の表面上に半導体ウェハ110を搭載する。このとき、第2のカバー部20の中心と半導体ウェハ110の中心とが一致するように、第2のカバー部20上に半導体ウェハ110を搭載する。これにより、アームは、第2のカバー部20を介して半導体ウェハ110をその中心部で支持することができる。つまり、第2のカバー部20を過度に傾斜させない限り、アームは、第2のカバー部20を介して半導体ウェハ110を支持することができる。
【0019】
第2のカバー部20は第1のカバー部10の中心部にある開口部13に嵌合するので、アームは、第2のカバー部20の水平状態を維持したまま、第2のカバー部20を半導体ウェハ110とともに開口部13へ向かって下降させればよい。これにより、第2のカバー部20が開口部13に嵌合するとともに、半導体ウェハ110が半導体ウェハカバー100に収容され得る。ここで、アームは、ロボットのアームでもよく、オペレータの手であってもよい。
【0020】
半導体ウェハ110を半導体ウェハカバー100から取り外すときには、アームを用いて第2のカバー部20をその裏面から押し上げる。第2のカバー部20は、半導体ウェハ110を搭載した状態のままで第1のカバー部10から取り外される。このとき、第2のカバー部20は半導体ウェハカバー100の中心部にあるので、アームは、第2のカバー部20を介して半導体ウェハ110をその中心部で支持する。これにより、第2のカバー部20を過度に傾斜させない限り、アームは、第2のカバー部20を介して半導体ウェハ110を支持することができる。
【0021】
そして、半導体ウェハ110を第2のカバー部20から搬送する。これにより、半導体ウェハ110を半導体ウェハカバー100から取り外すことができる。
【0022】
本実施形態によれば、第2のカバー部20は、第1のカバー部10の開口部13に着脱可能なように取り付けることができる。また、第2のカバー部20の外側面25および第1のカバー部10の開口部13の内側面15は、互いに適合するようにテーパーを有する。これにより、第2のカバー部20が自重で開口部13から抜け落ちることを防止することができる。その結果、本実施形態による半導体ウェハカバー100は、半導体ウェハ110を容易に収容し、かつ、容易に取り外すことができる。
【0023】
半導体ウェハカバー100は、半導体ウェハ110の裏面を被覆し、その表面を露出させた状態で半導体ウェハ110を収容する。これにより、成膜工程時に、半導体ウェハ110の裏面に材料が堆積されることを抑制することができる。
【0024】
さらに、成膜工程後、半導体ウェハ110を半導体ウェハカバー100から取り外す際に、アームは、半導体ウェハ110に直接触れることなく、半導体ウェハ110を第1のカバー部10から取り外すことができる。これにより、半導体ウェハ100に傷が付くことを抑制することができる。尚且つ、半導体ウェハ110に余計なダストやパーティクルが付着することを抑制することができる。
さらに、成膜工程においては、多くの材料が第1のカバー部10に堆積される。従って、半導体ウェハ110および半導体ウェハカバー100の水平状態を維持したまま、かつ、半導体ウェハ110に直接触れることなく、半導体ウェハ110を第1のカバー部10から容易に取り外すことができることは、ダストおよびパーティクルの発生を抑制することに繋がる。
【0025】
第2のカバー部20は、半導体ウェハカバー100の中心部分に取り付けられる。これにより、アームは、半導体ウェハ110を安定した状態で第2のカバー部20を介して支持することができる。
【0026】
尚、第1のカバー部10の周縁部の高さは、半導体ウェハ110の表面に堆積された材料の膜厚を均一にするために半導体ウェハ110の高さ(厚み)より低くしてもよい。また、第1のカバー部10の周縁部の高さを半導体ウェハ110の高さ(厚み)より低くすることによって、半導体ウェハ110を第1のカバー部10から取り外すときに、ダストおよびパーティクルの発生をさらに抑制することができる。
【0027】
さらに、半導体ウェハカバー100の外寸は、ウェハキャリアボックス(図示せず)の内寸未満にしてもよい。これにより、半導体ウェハカバー100は、半導体ウェハ110を収容した状態で、ウェハキャリアボックス内に収納することができる。これにより、半導体ウェハカバー100および半導体ウェハ110の搬送が容易になる。
【0028】
第2のカバー部20の半導体ウェハ110の搭載面は、凸凹を有するように粗面加工されていてもよい。例えば、第2のカバー部20の表面に複数の溝または複数の突起を形成してもよい。これにより、第2のカバー部20と半導体ウェハ110との間の接触面積が低減し、第2のカバー部20と半導体ウェハ110との間の静電力が小さくなる。その結果、半導体ウェハ110を第2のカバー部20から取り外しやすくなる。勿論、第1のカバー部10から半導体ウェハ110を取り外しやすくするために、第1のカバー部10の半導体ウェハ110の搭載面を粗面加工してもよい。
【0029】
第2のカバー部20の外側面25および開口部13の内側面15がテーパー形状であるので、単一の半導体ウェハカバーの材料に切り込みを入れるだけで、第1のカバー部10および第2のカバー部20を形成することができる。即ち、外側面25および内側面15がテーパー形状であることによって、第1のカバー部10および第2のカバー部20を製造し易い。さらに、外側面25および内側面15がテーパー形状であることによって、第1のカバー部10および第2のカバー部20の洗浄も容易となる。
【0030】
(第1の実施形態の変形例)
図3(A)および図3(B)は、第1の実施形態の変形例を示す断面図である。本変形例では、第2のカバー部20を第1のカバー部10の開口部13に取り付けたときに、第2のカバー部20の半導体ウェハ110の搭載面は、第1のカバー部10の半導体ウェハ110の搭載面から窪んでいる。即ち、第2のカバー部20の表面は、第1のカバー部10の表面よりも低い。これにより、第2のカバー部20の表面と半導体ウェハ110の裏面との間にギャップGが形成され、半導体ウェハカバー100と半導体ウェハ110との接触面積が低減する。その結果、半導体ウェハカバー100と半導体ウェハ110との間の静電力を低減させることができ、半導体ウェハ110を半導体ウェハカバー100から容易にかつ短時間に分離させることができる。
【0031】
さらに、半導体ウェハカバー100と半導体ウェハ110との間の静電力を低減させることによって、半導体ウェハ110を半導体ウェハカバー100から取り外すときに半導体ウェハカバー100に印加される応力が小さくなる・よって、半導体ウェハカバー100自体の厚みを薄くすることができる。
【0032】
尚、図3(A)に示すように、第2のカバー部20の厚みは、第1のカバー部10の厚みとほぼ等しくてもよく、図3(B)に示すように、第2のカバー部20の厚みは、第1のカバー部10の厚みよりも薄くてもよい。第2のカバー部20が第1のカバー部10より薄いことによって、第2のカバー部20が半導体ウェハカバー100の裏面から突出しない。これにより、半導体ウェハカバー100を平坦面に置いても、ギャップGを維持することができる。
【0033】
(第2の実施形態)
図4(A)から図4(C)は、第2の実施形態に従った半導体ウェハカバー100の斜視図である。図4(A)は、第1のカバー部10を示し、図4(B)は、第2のカバー部20を示し、図4(C)は、第3のカバー部30を示す。
【0034】
第2の実施形態では、半導体ウェハカバー100は、第3のカバー部30をさらに備えている。
【0035】
第1のカバー部10の構成および機能、並びに、第1のカバー部10と第2のカバー部20との関係は、第1の実施形態で説明した通りである。従って、それらの説明を省略する。
【0036】
第2のカバー部20は、その中心部分において第2の開口部23を有する。そして、第3のカバー部30が第2の開口部23に嵌合するように構成されている。開口部23の径は、半導体ウェハの搭載面から半導体ウェハの非搭載面に向かって次第に小さくなっている。即ち、半導体ウェハの非搭載面(第2のカバー部20の裏面側)における開口部23の径R6は、半導体ウェハの搭載面(第2のカバー部20の表面側)における開口部23の径R5よりも小さい。それにより、開口部23の内側面26はテーパーを有する。
【0037】
開口部23の内側面15がこのようにテーパーを有することによって、図4(C)に示す第3のカバー部30が開口部23を通して第2のカバー部20の表面側から裏面側へ抜け落ちてしまうことを防止できる。
【0038】
図4(C)に示す第3のカバー部30は、開口部23に嵌合し、半導体ウェハの裏面のさらに中心部分を被覆する。第3のカバー部30は、円錐台の形状を有し、開口部23とほぼ同じ大きさを有する。また、第3のカバー部30の外側面35は、開口部23の内側面26に適合するようにテーパーを有する。
【0039】
より詳細には、第3のカバー部30の径は、半導体ウェハの搭載面から半導体ウェハの非搭載面に向かって次第に小さくなっている。即ち、半導体ウェハの非搭載面(第3のカバー部30の裏面側)における第3のカバー部30の径R8は、半導体ウェハの搭載面(第3のカバー部30の表面側)における第3のカバー部30の径R7よりも小さい。第3のカバー部30の表面側の径R7は、開口部23の径R5とほぼ同じかそれよりも僅かに小さい。それにより、第3のカバー部30は、開口部23に適合し、開口部23から重力によって抜け落ちることがない。さらに、第3のカバー部30が開口部23から抜け落ちることを防止するためには、少なくとも第3のカバー部30の表面側の径R7が、開口部23の径R6よりも大きくなければならない。即ち、第3のカバー部30が開口部23に勘合し、かつ、第3のカバー部30が開口部23から抜け落ちないためには、R5≧R7>R6が成り立つ必要がある。
【0040】
第3のカバー部30の材料は、第1および第2のカバー部10、20の材料と同様でよい。
【0041】
図5は、第2の実施形態に従った半導体ウェハカバー100および半導体ウェハカバー100に収容された半導体ウェハ110の概略断面図である。図5に示すように第2および第3のカバー部20、30を開口部13に嵌めて半導体ウェハカバー100として用いる。これにより、或る材料を半導体ウェハ110の表面上に成膜する際、半導体ウェハカバー100は、半導体ウェハの裏面にその材料が堆積することを抑制し、半導体ウェハの表面に材料を堆積させることができる。
【0042】
半導体ウェハカバー100に半導体ウェハ110を収容するときには、第3のカバー部30を第2のカバー部20の開口部23に嵌合させ、第2のカバー部20を開口部13に嵌合させる。その後、半導体ウェハ110を半導体ウェハカバー100に収容する。
【0043】
代替的に、半導体ウェハ110を第3のカバー部30および第2のカバー部20とともに第1のカバー部10に収容してもよい。より詳細には、第3のカバー部30を第2のカバー部20の開口部23に嵌める。そして、第1のカバー部10の開口部13を通してアームで第2および第3のカバー部20、30の裏面を水平に支持し、次に、第2および第3のカバー部20、30の表面上に半導体ウェハ110を搭載する。このとき、第2および第3のカバー部20、30の中心と半導体ウェハ110の中心とが一致するように、第2および第3のカバー部20、30上に半導体ウェハ110を搭載する。これにより、アームは、第2および第3のカバー部20、30を介して半導体ウェハ110をその中心部で支持することができる。つまり、第2および第3のカバー部20、30を過度に傾斜させない限り、アームは、第2および第3のカバー部20、30を介して半導体ウェハ110を支持することができる。
【0044】
第2のカバー部20は第1のカバー部10の中心部にある開口部13に嵌合するので、アームは、第2および第3のカバー部20、30の水平状態を維持したまま、第2および第3のカバー部20、30を半導体ウェハ110とともに開口部13へ向かって下降させればよい。これにより、第2のカバー部20が開口部13に嵌合するとともに、半導体ウェハ110が半導体ウェハカバー100に収容され得る。
【0045】
さらに代替的に、半導体ウェハ110を第3のカバー部30とともに第1および第2のカバー部10、20に収容してもよい。より詳細には、第1のカバー部10に取り付けられた第2のカバー部20の開口部23を通してアームで第3のカバー部30の裏面を水平に支持し、次に、第3のカバー部30の表面上に半導体ウェハ110を搭載する。このとき、第3のカバー部30の中心と半導体ウェハ110の中心とが一致するように、第3のカバー部30上に半導体ウェハ110を搭載する。
【0046】
そして、アームが半導体ウェハ110とともに第3のカバー部30を開口部23に嵌合させることによって、半導体ウェハ110が半導体ウェハカバー100に収容される。
【0047】
半導体ウェハ110を半導体ウェハカバー100から取り外すときには、アームを用いて第2および第3のカバー部20、30をその裏面から押し上げる。第2および第3のカバー部20、30は、半導体ウェハ110を搭載した状態のままで第1のカバー部10から取り外される。このとき、第2のカバー部20は、半導体ウェハカバー100の中心部にある開口部13に嵌合しているので、アームは、第2および第3のカバー部20、30を介して半導体ウェハ110をその中心部で支持する。これにより、第2および第3のカバー部20、30を過度に傾斜させない限り、アームは、第2および第3のカバー部20、30を介して半導体ウェハ110を支持することができる。そして、半導体ウェハ110を第2および第3のカバー部20、30から搬送する。これにより、半導体ウェハ110を半導体ウェハカバー100から取り外すことができる。
【0048】
代替的に、アームを用いて第3のカバー部30をその裏面から押し上げてもよい。第3のカバー部30は、半導体ウェハ110を搭載した状態のままで第1および第2のカバー部10、20から取り外される。このとき、第2のカバー部20は、開口部13に嵌合した状態を維持している。アームは、第3のカバー部30を介して半導体ウェハ110をその中心部で支持する。これにより、第3のカバー部30を過度に傾斜させない限り、アームは、第3のカバー部30を介して半導体ウェハ110を支持することができる。そして、半導体ウェハ110を第3のカバー部30から搬送する。これにより、半導体ウェハ110を半導体ウェハカバー100から取り外すことができる。
【0049】
第2の実施形態によれば、第2のカバー部20は、第1のカバー部10の開口部13に着脱可能なように取り付けることができる。さらに、第3のカバー部30は、第2のカバー部20の開口部23に着脱可能なように取り付けることができる。第3のカバー部30の外側面35および第2のカバー部20の開口部23の内側面26は、互いに適合するようにテーパーを有する。これにより、第3のカバー部30が自重で開口部23から抜け落ちることを防止することができる。その結果、第2の実施形態による半導体ウェハカバー100も、半導体ウェハ110を容易に収容し、かつ、容易に取り外すことができる。
【0050】
第2の実施形態は、さらに、第1の実施形態の他の効果も得ることができる。
【0051】
第3のカバー部30は、半導体ウェハカバー100のさらに中心部分に取り付けられる。これにより、アームは、半導体ウェハ110を安定した状態で第2のカバー部20および/または第3のカバー部30を介して支持することができる。
【0052】
第3のカバー部30の半導体ウェハ110の搭載面は、凸凹を有するように粗面加工されていてもよい。例えば、第3のカバー部30の表面に複数の溝または複数の突起を形成してもよい。これにより、第3のカバー部30と半導体ウェハ110との間の接触面積が低減し、第3のカバー部30と半導体ウェハ110との間の静電力が小さくなる。その結果、半導体ウェハ110を第3のカバー部30から取り外しやすくなる。
【0053】
第3のカバー部30の外側面35および開口部23の内側面26がテーパー形状であることによって、第2のカバー部20および第3のカバー部30も形成し易い。さらに、外側面35および内側面26がテーパー形状であることによって、第2のカバー部20および第3のカバー部30の洗浄も容易となる。
【0054】
(第2の実施形態の変形例)
図6(A)および図6(B)は、第2の実施形態の変形例を示す断面図である。本変形例では、第2および第3のカバー部20、30を第1のカバー部10の開口部13に取り付けたときに、第2および第3のカバー部20、30の半導体ウェハ110の搭載面は、第1のカバー部10の半導体ウェハ110の搭載面から窪んでいる。即ち、第2および第3のカバー部20、30の表面は、第1のカバー部10の表面よりも低い。これにより、第2および第3のカバー部20、30の表面と半導体ウェハ110の裏面との間にギャップGが形成され、第2および第3のカバー部20、30と半導体ウェハ110との接触面積が低減する。その結果、半導体ウェハカバー100と半導体ウェハ110との間の静電力を低減させることができ、半導体ウェハ110を半導体ウェハカバー100から容易にかつ短時間に分離させることができる。
【0055】
尚、図6(A)に示すように、第2および第3のカバー部20、30の厚みは、第1のカバー部10の厚みとほぼ等しくてもよく、図6(B)に示すように、第2および第3のカバー部20、30の厚みは、第1のカバー部10の厚みよりも薄くてもよい。第2および第3のカバー部20、30が第1のカバー部10より薄いことによって、第2および第3のカバー部20、30が半導体ウェハカバー100の裏面から突出しない。これにより、半導体ウェハカバー100を平坦面に置いても、ギャップGを維持することができる。
【0056】
尚、半導体ウェハカバー100は、第3のカバー部30の中心部にさらに第4のカバー部を備えてもよい。さらに、半導体ウェハカバー100は、5つ以上のカバー部で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
100・・・半導体ウェハカバー、110・・・半導体ウェハ、10・・・第1のカバー部、11・・・外周部、12・・・底部、13・・・開口部、15・・・内側面、20・・・第2のカバー部、25・・・外側面、26・・・内側面、30・・・第3のカバー部、23・・・第2の開口部、35・・・外側面、G・・・ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハの表面を露出させつつ該半導体ウェハの裏面の少なくとも外縁部を被覆するように該半導体ウェハを収容し、該半導体ウェハの裏面の中心部分において第1の開口部を有する第1のカバー部と、
前記第1の開口部に嵌合し、前記半導体ウェハの裏面の中心部分を被覆する第2のカバー部とを備え、
前記第1の開口部の径が前記半導体ウェハの搭載面から該半導体ウェハの非搭載面に向かって小さくなるように該第1の開口部の内側面はテーパーを有することを特徴とする半導体ウェハカバー。
【請求項2】
前記第2のカバー部の外側面は、前記第1の開口部の内側面に嵌合するようにテーパーを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体ウェハカバー。
【請求項3】
前記第2のカバー部の前記半導体ウェハの搭載面は、粗面加工されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体ウェハカバー。
【請求項4】
前記第2のカバー部を前記第1のカバー部の前記第1の開口部に取り付けたときに、前記第2のカバー部の前記半導体ウェハの搭載面は、前記第1のカバー部の前記半導体ウェハの搭載面から窪んでいることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体ウェハカバー。
【請求項5】
前記第2のカバー部は、その中心部分において第2の開口部を有し、
前記第2の開口部に嵌合する第3のカバー部をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の半導体ウェハカバー。
【請求項6】
前記第2の開口部の径が前記半導体ウェハの搭載面から該半導体ウェハの非搭載面に向かって小さくなるように該第2の開口部の内側面はテーパーを有することを特徴とする請求項5に記載の半導体ウェハカバー。
【請求項7】
前記第3のカバー部の外側面は、前記第2の開口部の内側面に嵌合するようにテーパーを有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の半導体ウェハカバー。
【請求項8】
前記第3のカバー部の前記半導体ウェハの搭載面は、粗面加工されていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の半導体ウェハカバー。
【請求項9】
前記第3のカバー部を前記第2のカバー部の前記第2の開口部に嵌めたときに、前記第3のカバー部の前記半導体ウェハの搭載面は、前記第1のカバー部の前記半導体ウェハの搭載面から窪んでいることを特徴とする請求項5から請求項8のいずれかに記載の半導体ウェハカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−227246(P2012−227246A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91770(P2011−91770)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】