半導体ウエハのウエハトレイ
【課題】半導体ウエハを裏面研削した後の極薄ウエハ(10〜200μmウエハ厚み)は強度が小さく破損しやすい。また、変形しやすくその後のプロセスの自動化が困難である。
【解決手段】極薄化ウエハを真空吸着し固定できるウエハ処理トレイを用いる。トレイの真空吸着部は、ウエハを載置するウエハ吸着面、吸着面上に開口したウエハを真空吸着する複数の吸着孔、吸着孔が接続する減圧室、外部真空ラインと接続する吸引口、および減圧室と吸引口とを接続する吸気孔を持つ。ウエハが吸着面に載置された後に、吸引口から真空吸着部が真空引きされウエハが吸着面に吸着固定される。切替弁を閉じることにより真空吸着部の真空度が保持される。処理トレイの搬送やプロセスも自動化が可能となる。また、トレイ周縁部が吸着されたウエハより高いので、トレイの積み重ねもできる。トレイは繰り返し使用できるため、環境負荷も少ない。
【解決手段】極薄化ウエハを真空吸着し固定できるウエハ処理トレイを用いる。トレイの真空吸着部は、ウエハを載置するウエハ吸着面、吸着面上に開口したウエハを真空吸着する複数の吸着孔、吸着孔が接続する減圧室、外部真空ラインと接続する吸引口、および減圧室と吸引口とを接続する吸気孔を持つ。ウエハが吸着面に載置された後に、吸引口から真空吸着部が真空引きされウエハが吸着面に吸着固定される。切替弁を閉じることにより真空吸着部の真空度が保持される。処理トレイの搬送やプロセスも自動化が可能となる。また、トレイ周縁部が吸着されたウエハより高いので、トレイの積み重ねもできる。トレイは繰り返し使用できるため、環境負荷も少ない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体用ウエハを搭載するウエハトレイに関する。特に極薄化したウエハを安全に確実に搭載するウエハトレイに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用ウエハの一方の面(以下、表面)に、トランジスタ、不純物拡散層および導電体層等の素子を形成した後で、ウエハの裏面を研削しウエハ厚みを所望の厚みに加工することが一般に行われている。この加工の後で、所望の形状(大きさ)にダイシングされ、半導体チップ加工される。このチップが半導体パッケージや、回路基板等に搭載される。この半導体パッケージや回路基板等に、極めて薄いものが要求されてきていて、その場合には最終のウエハ厚みを極薄化する必要がある。半導体素子形成時における初期のウエハの厚みは、300〜1000μmであるが、最終のウエハ厚み(チップ厚み)は10〜200μmになる場合もある。このような薄いウエハになると、何ら支持のない単独のウエハでは、ウエハの表面と裏面の応力差により激しく湾曲したり(いわゆる、反りが大きくなり)、またウエハの強度が小さくなり、ウエハに傷や欠陥を誘発する可能性が高くなる。あるいは、最終のウエハ厚みが上記ほど薄くない場合であっても(たとえば、ウエハ厚み200〜400μm)、ウエハが大口径化した場合(たとえば、200mm以上)にも、ウエハが激しく湾曲したり、ウエハに傷や欠陥を誘発する可能性が高くなる。この結果、ウエハが極薄化した後は、ウエハの搬送やプロセスが非常に困難である。
【0003】
上記の問題に対して、平板上より極薄ウエハの直径より僅かに大きい直径の半円弧状ガイドを起立させた収納棚の複数を、支柱を介して等間隔で上下に平行に並べた多段式収納カセットが提案されている(たとえば、特開2004-273867)。また、互いに嵌合して積層可能なトレイの間に極薄ウエハをスペーサーシートで挟持して収納するものも提案されている(たとえば、特開2005-191419)。さらには、ウエハ裏面研削工程で用いたウエハ表面保護フィルムを付着させた状態で、ウエハ裏面研削工程の後に、ウエハ裏面にダイシングテープを貼合し、その後で前記ウエハ表面保護フィルムを剥離し、ダイシングすることが提案されている(たとえば、特開2002-246345号公報、特開2004-186296号公報)。
【0004】
また、ウエハ裏面研削後のウエハは、たとえウエハ表面保護フィルムやダイシングテープが付着しウエハを支持していても、そのままでは平坦な状態を維持できないため、工程間搬送や工程内搬送を自動で行うことができず、大半はマニュアルで行っている。たとえば、ウエハ切断前後の外観検査も一枚一枚手動で搬送している。
【0005】
【特許文献1】特開2004-273867
【特許文献2】特開2005-191419
【特許文献3】特開2002-246345号公報
【特許文献4】特開2004-186296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、提案された収納カセットにおいては、開閉機構が大掛かりになる上に、常にウエハを平坦な状態で取り扱うことが困難である。この結果、容器の高価格化を招くと同時に、ウエハの変形によるマイクロクラックの発生や作業性の困難さなどが原因となるウエハの損傷が発生するという課題を有している。また、スペーサーシートを有する容器においては、消耗品であるスペーサーが必要となるために、ランニングコストが高くなり、地球に優しい構造となっていない。さらに、搬送時にウエハが動きやすい構造になっているために、搬送時にウエハを損傷し易いという問題もある。ウエハ裏面研削後にウエハ厚みが極薄になった場合、または/及びウエハが大口径の場合には、ウエハ裏面研削後にウエハ表面保護フィルムを剥離すると、ウエハが反ったり、破損しやすくなるという問題がある。
【0007】
また、ウエハ裏面研削後にウエハ厚みが極薄になった場合、または/及びウエハが大口径の場合には、たとえウエハ表面保護フィルムが付着していても、ダイシングテープが付着していても、ウエハはフレキシビリティ(柔軟性)があり、ウエハ単独で平坦な状態を維持することは困難である。このため、ウエハ裏面研削後の工程を自動で搬送または処理することができず、人手が介在したり、ウエハに損傷を与える危険性が高いという問題がある。このため極めて高価なプロセスとなっている。
【0008】
さらに、良品判定の電気特性検査は、ウエハの裏面研削前に行うため、ウエハ裏面研削後に変動した電気特性の変化を検出できなかったり、不良化したチップを良品として製品に搭載してしまうという問題がある。これを防止する一つの方法として、ウエハ裏面研削前の検査では、ある程度厳しい検査をして、ウエハ裏面研削後に変動した電気特性の変化に対応しているが、歩留まりを落とす原因となり、コストアップの要因となっている。ウエハ裏面研削後に破壊したり損傷を受けたウエハは、電気特性検査を全くする必要がないにも関わらず、ウエハ裏面検査前に電気特性検査をしなければならず、高価な半導体検査装置(テスター)を使うため、これもコストアップの要因となっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ウエハを真空吸着し固定できるウエハ処理トレイ(以下、処理トレイと記載)を用いる。処理トレイは真空吸着部を有していて、ウエハ裏面を真空吸着できるようになっている。真空吸着部は、ウエハを載置する吸着面、ウエハを真空吸着する吸着孔、真空を保持する減圧室、外部の真空引き装置に接続する吸引口、および吸引口と減圧室を結ぶ吸気孔を含む。吸引口には、外部と真空吸着部との接続を開閉する切替弁や逆止弁がついている。
【発明の効果】
【0010】
処理トレイの吸引口が外部の真空引き装置に接続し、ウエハが処理トレイに載置されると、真空引き装置によって吸引口および吸気孔を通して、減圧室の空気が吸引され、さらに吸着口を通してウエハが吸着面に吸着される。ウエハが確実に吸着され、処理トレイに固定された後に、切替弁等が閉じられ、処理トレイの真空吸着部が真空に保持される。また、切替弁等が閉じられた後には、処理トレイは外部の真空引き装置と切り離される。ウエハは大気圧と真空吸着部との圧力差によって、処理トレイに固定され平坦状に保持されているので、処理トレイの搬送やプロセスなどにおいても、ウエハは処理トレイから動くことはない。また、ウエハを処理トレイに吸着した後は、ウエハが平坦な状態を維持できる。従って、ウエハが極薄になった後でも、搬送を自動化できる。
【0011】
処理トレイは、ステンレス鋼等の金属またはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂から構成され一定の強度を有するので、たとえ、ウエハが極薄(たとえば、ウエハ厚み10〜200μm)であっても、または大口径(ウエハ厚みが200〜400μmで、ウエハ直径が200mm以上)であっても、ウエハが破損したりすることはない。
【0012】
以上から、本発明の処理トレイを用いることにより、歩留まりの高いプロセスを構築できる。
以上の他にも、本発明は以下のような効果もある。
【0013】
ウエハを吸着した処理トレイが工程中で滞留しても、工程間で清浄かつ安全にストックできるために、加工効率を向上させることができ、工程設計が容易になる。すなわち、ウエハの表面が他のものに接触しないように、ウエハ(トレイ)ケースに収納できるとともに、そのケースの機密性を確実にすることもできる。あるいは、ウエハが重ならないようなトレイを用いることにより、トレイの上積み保管も可能となる。このことにより、工程間にウエハ(トレイ)やウエハ(トレイ)ケースをストックできるため、装置効率や処理効率を高めることができ、フレキシブル(柔軟)に工程設計が可能となる。
処理トレイ等に、バーコードや、RFタグ(Radio Frequency Tag)のような無線タグなどの情報表示手段を取り付けることが容易となり、ウエハの枚葉管理ができ、的確かつ正確な処理をウエハに施すことができる。また、ウエハのトレーサビリティを向上させることが可能となる。
【0014】
また、繰り返しになるが、工程間および工程内搬送や処理が自動化できるため、ウエハ(トレイ)検査や処理において、ウエハを破損することなく安全に行うことができ、加工歩留まりを向上させることができる。
処理トレイは洗浄することで繰り返し使用することが可能であり、消耗品を極力少なくし、環境にやさしく、安価な製造が可能となるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明において、ウエハとは主には半導体ウエハを指す。たとえば、半導体ウエハの材料は、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などの単元素半導体材料や、シリコンゲルマニム(SiGe)や砒化ガリウム(GaAs)やインジウムリン(InP)等の化合物半導体材料や、GaAlAs等の3元系以上の半導体材料である。しかし、これらにかかわらず、絶縁物の上に半導体デバイスを形成したものも含まれる。たとえば、ガラスや石英やプラスチックなどの上に薄膜デバイスを作成したもの、ガラスや石英やプラスチックなどの上に半導体材料を貼りあわせたものである。あるいは、金属の上に絶縁物・半導体材料を貼りあわせたものも含まれる。さらには、プラスチック等の高分子材料も含まれる。
【0016】
半導体プロセスにおいて、ウエハの表面にトランジスタ等の能動素子、抵抗・コンデンサ・インダクタンス等の受動素子や配線・絶縁層等を形成し、半導体デバイスが作製される。本発明に適用される半導体デバイスとして、メモリ、CPU、システムIC、アナログIC、デジタルICなどがあるが、広義には単体の能動素子や受動素子も含まれる。すなわち、能動素子や受動素子を少なくとも1個以上含むものを表す。一般に半導体ウエハ上には、これらの半導体デバイスが多数形成され、個片(いわゆる、チップ)に切断された後に、用途に応じて種々の製品に搭載される。たとえば、半導体パッケージの場合には、リードフレームに搭載される。また回路基板に搭載され、携帯電話やICカードやPCなど種々の機器に用いられる場合もある。さらに、液晶や有機EL(エレクトロルミネッセンス)等の表示素子も含まれる。
【0017】
近年の最終製品は超小型化を要求されるものが多く、その傾向は今後も益々進化していくと予想できる。従って、それらの最終製品に搭載されるチップは非常に薄い厚みのものであることを要求される。チップの厚みを薄くするには、その前段階であるウエハを薄くする必要がある。ウエハを薄くするには、ウエハ上にデバイスが形成された後に、ウエハ裏面加工研削を行う。
【0018】
本発明は、ウエハ裏面研削等により、薄くなったウエハを搭載できる処理トレイに関する。本発明で記載する「処理トレイ」とは、「ウエハを支持または保持可能で、ウエハを搭載した状態でウエハを搬送しプロセスを行うこと(いわゆる、ウエハを処理すること)ができるもの」である。従って、このようなものとして考えるならば、「ウエハ支持トレイ」、「ウエハ保持トレイ」、「ウエハ支持容器」、あるいは「ウエハキャリヤ」と呼んでも良い。
【0019】
裏面研削工程とは所望の厚みのウエハにするために、半導体デバイスが形成されているウエハ表面と反対側のウエハ裏面を研削し、ウエハを薄くする工程である。この工程では、ウエハ表面に形成されている半導体デバイスを保護するために、ウエハ表面に保護フィルムを貼合する。この保護フィルムとして、たとえばリンテック製E-seriesや三井化学製イクロステープがある。保護フィルムを貼合したウエハを裏面研削装置(いわゆる、バックグラインド装置)に配置し、砥粒を含んだ水を加えながら砥石でウエハ裏面を研削する。所望のウエハ厚みを得た時点で裏面研削を終了する。裏面研削は、一般に粗研削と仕上げ研削とからなる。粗研削は、粗い砥粒を用いて早くウエハ裏面を削る方法である。従って、ウエハ裏面には粗い研磨後に大きな歪や応力が残る。仕上げ研削は粗研削の後で行い、より細かい砥粒を用いて、前記の歪や応力を緩和する。しかし、歪や応力は完全には除去できないので、裏面加工歪除去を行う場合もある。
【0020】
ウエハ裏面研削を行った後や裏面加工歪除去を行った後に、本発明である処理トレイを使用できる。すなわち、ウエハ表面保護フィルムを付着したままの状態で、本発明の処理トレイに載置する。処理トレイには真空吸着部があり、ウエハはその真空吸着部に載り、真空で吸着される。ウエハ裏面が真空吸着面となる。処理トレイに載置するまではウエハにはウエハ表面保護フィルムで支持されているが、ウエハ表面保護フィルムは柔らかいので、ウエハが極薄の場合(たとえば、10〜200μmの厚みのウエハ)、または/及びウエハが大口径化の場合(たとえば、ウエハ厚みが200〜400μmで、ウエハ直径が200mm以上)には、ウエハ表面保護フィルムを付着したままのウエハでは、柔軟な状態となっていて平坦な状態を保つことはできない。従って、処理トレイにウエハを載せるまでは、自動搬送が困難であり、マニュアル搬送が望ましい。もちろん、手動搬送と同程度の配慮のされた自動搬送なら自動でも良い。処理トレイに載置した後は、処理トレイに吸着されているので、ウエハが反ることはなく、平坦な状態を維持できる。
【0021】
本発明の処理トレイの一例を図1に示す。図1(a)に示されるように、処理トレイ1は、減圧室2、吸着孔3、吸着面4、吸気孔5及び吸引口6を含んでいる。減圧室2、吸着孔3、吸着面4、吸気孔5及び吸引口6を処理トレイ1の真空吸着部と考えることができる。この実施形態においては、減圧室2の下側に吸気孔5との接続口である吸引開口10があり、吸気孔5は処理トレイ下側部分7に伸び、中途で曲がり、処理トレイ横側部分8で処理トレイの外部へ出ていて、吸気孔5は吸引口6で終端になっている。減圧室2は吸着面4の裏面である上側部分9と吸着トレイの下方に位置する下側部分7とで主に囲まれて構成されてなるトレイ内部に配置している。処理トレイ下側部分7とは、減圧室2を構成する処理トレイの下側部分を指す。また、処理トレイ横側部分8とは、上側部分9と下側部分7とで主に構成される減圧室2の内、減圧室の側面を構成して減圧室2を完全ならしめる部分を指す。処理トレイ上側部分9とは、吸着面4の裏面であって減圧室2の一部を構成する部分を指す。
【0022】
ウエハの吸着方法について、図1(a)〜(d)に基づいて説明する。吸引口6は真空引き装置に接続されている(図には示されていない)。ウエハ11が処理トレイ1の吸着面4に載置される。裏面研削後に厚みが極薄化したウエハは一般には反っているので、図1(b)に示すように、ウエハ11が真空に引かれる前には、平坦な面である処理トレイ1の吸着面4とウエハ11との間には隙間12があいている。真空引き装置によって真空引きされると、吸引口6において真空引き装置に接続した吸気孔5を通って、吸引開口10で吸気孔5と連結した減圧室2が真空引きされる。さらに、減圧室2と吸着面4とを連結した吸着孔3を通ってウエハ11が真空に引かれ、図1(c)に示すように、隙間12がなくなってウエハ11が処理トレイ1の吸着面4にしっかりと吸着される。処理トレイ1の吸着面4において、吸着孔3はウエハが載置および吸着される場所以外の場所には存在しないように配置されている。また、吸着孔3は図1(d)に示すように、ウエハの載置および吸着される場所に多数存在している。吸着孔の大きさと数は、ウエハが吸着され固定されるために充分な程度に設計される。好ましくは、吸着孔3の大きさは、直径が0.5mm以上である。0.5mm未満の大きさの吸着孔では、吸着孔の数にもよるが、真空引きに時間がかかるととともに、十分にウエハ11が吸着されない場合がある。また、0.5mm未満の大きさの吸着孔では、異物で塞がる場合もある。吸着孔の大きさの最大値は、ウエハサイズ、ウエハの厚み、ウエハの反り量あるいはウエハ吸着面の粗さによって変化する。しかし、一般にウエハ厚みが極薄の場合には、50mmを越える大きさの吸着孔3では真空引きのスピードが速すぎて、ウエハが破損する可能性もある。また、ウエハ側の吸着面の微小な凹凸により真空がリークしやすくなる場合もある。吸着孔3の大きさは、そろっている必要はない。たとえば、中心の吸着孔3のサイズを大きくし、周辺側に向かう吸着孔3のサイズを徐々に小さくすると、ウエハの吸着が好ましい場合がある。一般にウエハの中心付近は反り量が大きく、周辺は反り量が小さい場合が多いからである。ウエハ11上に形成される個々のチップの下にのみ吸着孔3を配置し、ウエハ11上のスクライブラインにあたる位置には吸着孔を配置しないことが効果的な場合もある。たとえば、スクライブライン上をダイシングした後にも、個々のチップを確実に吸着する場合である。このような場合には、処理トレイをチップの大きさや配置によって変更することが必要となる。処理トレイには、容易に情報表示手段を取り付けることができるので、処理トレイをウエハ毎に変更することは、工程管理上も特に問題なく可能である。また、図1(d)に示されるように、吸気孔5の1部および吸引口6はウエハ処理トレイの外側に出ている。
【0023】
吸気孔5または吸引口6には切替弁あるいは逆止弁が付いていて(図示されていない)、処理トレイ1の真空吸着部が真空になりウエハを完全に吸着した後で、それらの弁を閉じると真空が保持されるようになっている。従って、真空が保持された後には、真空引き装置を処理トレイの吸引口6から取り外しても、ウエハ11は処理トレイ1に確実に吸着されていて、その後に処理トレイを使用して搬送やプロセスを行っても、ウエハ11は、処理トレイ1から離脱したり、処理トレイ1の吸着面4上で動くことはない。尚、切替弁や逆止弁の他にも、真空を保持できるような方法であれば、本発明の処理トレイに適用できる。たとえば、吸引口6に蓋をする方法や吸引口6に栓をする方法が挙げられる。切替弁等の開閉や、蓋や栓をすることは、自動化も可能である。
【0024】
減圧室2は複数の吸着孔3がつながり、吸着孔3の真空引きの源となる。いわば、真空のダムのような存在であるから、ある程度の容積が必要である。
【0025】
図2に別の処理トレイの実施形態を示す。図1に示す処理トレイ1の吸気孔5は、処理トレイ下側部分7に伸びていたが、図2に示す処理トレイにおいては、吸気孔25は減圧室22の横側部分28に伸び、そのまま外部に出ている。このような構造になっている場合には、処理トレイの下側部分27を薄くできるため、処理トレイ21を薄くすることが可能となる。処理トレイケースに処理トレイ21を収納する場合には、処理トレイケースも小さくすることができる。
【0026】
図3にさらに別の処理トレイの実施形態を示す。吸気孔35の高さが、減圧室32の高さと同じ場合における処理トレイ31の横方向断面図である。この場合はさらに、処理トレイ31の厚みを減らすことができる。減圧室32の高さを少なくして減圧室32の容積を減らすと、真空の保持に問題が発生する場合は、このようにすることは望ましくはないが、切替弁等の真空シール性能を向上させたり、吸着孔の最適化、吸着面やウエハ吸着面の改善などを行うことにより、達成できる。
【0027】
図4に別の処理トレイの実施形態を示す。図3に示した処理トレイにおける吸気孔45や吸引口46が、処理トレイ41の横側部分48の外部へ出ない場合である。吸気孔45や吸引口46が外部へ出ると、吸気孔45や吸引口46が破損したり変形したりして、使用不可能になる場合もある。図4に示す処理トレイは、このような恐れを解消する処理トレイの実施形態である。
【0028】
尚、吸引口が処理トレイの内部にあるものでも良い。この場合は、真空引き装置との接続に工夫が必要である。また、切替弁等の真空を閉じ込める方法にも工夫が必要であるが、本発明の処理トレイとして適用可能である。
【0029】
図5は、処理トレイの別の実施形態である。図5(a)は横方向断面図、図5(b)は平面図である。図1〜4に示す場合と異なるのは、ウエハを載置する場所(ウエハ載置部またはウエハ吸着面54)が周辺に比較し窪んでいることである。尚、ウエハ吸着面54はもちろん平坦な形状である。ウエハの載置部54には、図5(b)に示すように、吸着孔53が多数存在し、ウエハ57を確実に吸着できるようになっている。図5(b)の吸着孔は小さな円形で示しているが、他の形状、たとえば四角形や楕円形や三角形やそれらに類似した形状でも良い。あるいは、それらの組合わせでも良い。あるいは、ウエハ67を吸着できるその他の形状でも良い。ウエハ57を平坦状に維持でき、かつ確実に固定できる程度に吸着孔の数と形状と大きさを選択することができる。尚、吸着孔はウエハ搭載位置の範囲内にあることが必要であることは、図1〜4に示す処理トレイと同様である。
【0030】
図5に示す処理トレイ51の周辺部から載置部(吸着面)54への傾斜は、図5のテーパー部58で示されるように、テーパー状になっている。ウエハ57が処理トレイ51の載置部54に置かれる時に、多少位置ずれしてウエハの端がテーパー部58にかかっても、ウエハはテーパー部58から滑って載置部54に載置される。すなわち、図1〜4の場合の処理トレイに比較し、ウエハ57の載置場所が安定化するという利点がある。また、ウエハの破損を防止するという利点もある。処理トレイ51の周縁部59はある程度平坦となっている。周縁部59の高さが、ウエハを載置部54に吸着した場合のウエハ57の表面(最上面)の高さよりも高くしておくことにより、処理トレイ51を重ねて積層しても、ウエハ57への接触がないという利点もある。周縁平坦部59の面積は、積み重ねても安定する程度の面積を確保する必要がある。従って、この場合は、特別のウエハ(処理トレイ)ケースを使う必要がない。その他は、図1〜4に示す処理トレイと同様である。
【0031】
図5に示す処理トレイ51の吸気孔55および吸引口56のタイプは、図1に示した処理トレイ1の吸気孔5および吸引口6のタイプと同様であるが、図2〜4に示すものと組合わせることは容易である。これらを組合わせたテーパー部を有する処理トレイは、図5に示す処理トレイ51よりも薄くできることも自明である。
【0032】
尚、処理トレイ51のような処理トレイを積み重ねができるような処理トレイの場合には、処理トレイの裏にもウエハを吸着し載置可能である。この表裏一体のトレイにおいては、下向きになるウエハも存在するが、処理トレイの吸着面に確実に吸着されているので、落下することはない。
【0033】
さらに、テーパー部が少ない垂直に近い段差を有するものでも良い。ウエハの位置ずれに対しては余裕度が小さいが、精度良くウエハを載置部(吸着部)に載置できれば特に問題が発生することもない。
【0034】
処理トレイ全体または一部の材質は、鉄、チタン、アルミ、銅、ニッケル、コバルト、亜鉛、モリブテン、タングステンまたは他の元素を含む金属から構成することができる。あるいは、これらの元素を主体にした合金であっても良い。処理トレイの重量がある程度必要な場合は、重い金属元素を含む金属や合金であることが望ましい。たとえば、ステンレス鋼やニッケル鋼やクロム鋼などである。処理トレイを軽くする必要がある場合には、アルミやチタンなどの軽い金属元素を含む金属や合金であることが望ましい。金属や合金は、一般に下記の有機系の材料よりも高温耐性や強度があるので、高温で処理する必要がある時などに、使用することが望ましい。
【0035】
あるいは、処理トレイ全体または一部の材質は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロエチレンプロペンコポリマ)等のフッ素樹脂またはその他の有機系材料であっても良い。上記の金属系の処理トレイに比較して、軽く、ウエットエッチング液耐性があるという利点がある。
【0036】
あるいは、金属と有機系材料との複合体であっても良い。あるいは、金属系材料を有機系材料で被覆したものでも良い。処理トレイの材質は、その後のプロセスの条件に適合した材料で構成することが望ましい。
【0037】
ウエハ裏面研削を行い、極薄化したウエハについては、ウエハ表面保護用フィルムをウエハに付着した状態で処理トレイに載置した方が、ウエハの反りの影響が少ないこととウエハの破損を少なくできることから、望ましい場合が多い。
【0038】
裏面研削用ウエハ表面保護用フィルムのついたウエハを処理トレイに載置する方法について図6(a)〜(d)を用いて説明する。図6(a)は、ウエハを吸着前の処理トレイを示す図である。図6(b)に示すように、ウエハ表面保護用フィルム68が付いたままの状態でウエハ67の裏面が吸着面64の上に置かれる。吸引口66は外部の真空引き装置に接続していて、ウエハ67が置かれると、吸気孔65を通して減圧室62が真空引きされ、さらに吸着孔63を通してウエハ67が吸引され吸着面64にウエハ裏面69が吸着される。処理トレイ61の吸着面64には、図6(d)に示すように、吸着孔63が多数存在し、ウエハ67を確実に吸着できるようになっている。図6(d)の吸着孔は小さな円形で示しているが、他の形状、たとえば四角形や楕円形や三角形やそれらに類似した形状でも良い。あるいは、それらの組合わせでも良い。あるいは、ウエハ67を吸着できるその他の形状でも良い。ウエハ67を平坦状に維持でき、かつ確実に固定できる程度に吸着孔の数と形状と大きさを選択することができる。吸着孔63はウエハ搭載位置の範囲内にあることが必要である。何故なら、ウエハが真空吸着されてもウエハを吸着していない吸着孔63が存在し、真空度が安定しないからである。尚、真空引きに関しては、ウエハ67を置く前から吸引しても良い。ウエハ67を処理トレイに吸着した後に、図6(c)に示すように、ウエハ表面保護フィルム68を剥離する。剥離する前に、保護フィルムとウエハ表面との密着性を減じたり、ウエハ表面に保護フィルムからの接着剤(いわゆる、糊残り)が残らないようにするために、UV(紫外線)照射を行っても良い。保護フィルムの剥離は、保護テープ剥離マシーンを用いても良いし、マニュアル(手)で剥離することもできる。保護フィルム68を剥離しても、ウエハ67は処理トレイ61にしっかりと吸着され固定されているので、たとえ、ウエハが極薄になっても、または/及びウエハが大口径になっても、ウエハが反ることはなく、平坦な状態を維持できる。従って、本発明の処理トレイ61を用いれば、保護テープ剥離マシーンにおいても自動化可能である。
【0039】
ウエハ67をしっかりと吸着した後に、吸引口66を閉じ、真空吸着部の気密性(真空度)を確保する。この気密性を確保する方法として、吸引口66に蓋や栓をしシールする方法や吸引口66に切替弁や逆止弁を設けてその弁で閉じる方法などがある。このようにすることにより、処理トレイを真空引き装置と切り離して、その後のプロセスを行うことができる。もちろん、その後のプロセスにおいても当初の真空引き装置を連続して処理トレイに接続できる場合は、上記の気密性を確保する方法を用いなくても、真空吸着部の真空度を確保できることは自明である。
【0040】
処理トレイはウエハ1枚ごとに1枚対応する。ウエハに接触しないように注意すれば処理トレイ1枚ごとに搬送や処理が可能である。自動化をそのように設計すれば良いので、自動化も可能である。あるいは、この処理トレイを複数枚処理トレイケース等に入れ移動や運搬も可能である。これも自動化をそのように設計すれば良いので、自動化も容易である。
【0041】
図6では、吸気孔が減圧室の下側から入るように描かれているが、横側からストレートに入っても良い。この場合には、減圧室の下側に位置する処理トレイの肉厚を薄くできるので、処理トレイ全体を薄くすることが可能となる。また、処理トレイは、ウエハが吸着できるような構造であれば良い。さらに、図1〜6で示す形状(円板状)でなくても良い。たとえば、処理トレイは、平面図が長方形、全体形状が直方体であっても良いし、平面図が正方形、全体形状が直方体であっても良い。直方体の形状の場合は積み重ねが容易であり、処理トレイケースへの保管も簡単である。また、ある程度強度があり、繰り返し使用できる構造であれば良い。
【0042】
本発明の処理トレイをウエハ切断工程に用いる方法について説明する。
【0043】
ウエハ切断方法として、ダイシングブレードを用いたダイシング装置(いわゆる、ダイサー)を用いる方法がある。これは、処理トレイ上に載置されたウエハを所望の大きさにダイシングブレードで切断する方法である。一般にウエハ上にパターン形成されたスクライブラインに沿って切断する。ウエハの厚みや、ウエハの材質、ウエハ上に形成された薄膜等に応じてダイシングの条件を変化させてウエハ切断(ダイシング)を行う。また、ダイシングをするウエハの量によって、フルカット、セミフルカット及びハーフカット等の方法がある。
【0044】
フルカットとは、ウエハを完全に切断する方法である。従って、切込みが処理トレイ側に入る。また、セミフルカットとはウエハ厚み量程度を切断する方法であり、ウエハはほぼ完全に切断されるが、できるだけ切込みを処理トレイ側に入れないようにする方法である。これらのフルカット及びセミフルカットでは、処理トレイ側にダイシングの切込みが入り、傷がつくので、処理トレイを繰り返し使うことが困難である場合が多い。処理トレイも比較的高価であるため、ダイシング時に処理トレイに傷が入らないようにし、処理トレイを繰り返し使用することが望ましい。
【0045】
この方法の一つとして、図7に示すように、処理トレイ71の吸着面74とウエハ77との間に薄いシート78を挟む方法がある。このシート78は特に、ダイシング等のウエハ切断の時に、処理トレイに損傷を与えないという役割を持たせることができる。このシートは、処理トレイに損傷を与えないことが達成できれば、トレイの薄型化や材料コストの面で、薄い方が望ましい。また、ウエハ77が処理トレイ71の真空吸着部に吸着されるために、シート78に小孔をあけておいても良い。あるいは、シート自体がポーラスな(間隙の多い)ものであれば、特にシートに小孔をあけなくてもウエハを真空吸着できる。あるいは、網目状のシートも使用できる。この網目状のシートは、網目部の部分が真空シールの役割を果たすので、真空の気密性を保つことができる。
【0046】
薄いシートには切込みは入るが、処理トレイまでは切込みが入らないような条件でダイシングを行えば、薄いシートは何回も使用できないが、比較的高価な処理トレイは何回でも繰り返し使用できる。たとえば、ダイシングの切断厚み制御は最小10μm程度は可能なので、フルカットの切断量をウエハ厚みより50μm厚く設定する場合には、薄いシート78の厚みを100μm程度にすれば、ダイシング時の切込みは、薄いシート内で留まり、処理トレイに入ることはない。薄いシートの厚みをさらに薄くしたい時には、厚み制御が優れたダイシング装置を使用したり、フルカット量の切断量をさらに小さくするなどして対応できる。フルカットの場合には、後述のロールなどを用いたウエハの完全切断法を用いる必要がないが、セミフルカットの場合は、完全に切断されていないチップも存在する可能性があるので、後述のロールなどを用いたウエハの完全切断法を用いる必要がある場合がある。いずれにしても、薄いシートを挟むことにより、ウエハは完全に切断され、しかも処理トレイには切込み等のダメッジが入らないので、処理トレイを繰り返し使用できる。
【0047】
フルカットを用いて完全にウエハを切断しながら、処理トレイに損傷を与えない別の方法として、ダイシングテープを用いる方法がある。これは、処理トレイ吸着前に、ウエハ表面保護フィルムが付着したウエハの裏面にダイシングテープを付着させ、その後で処理トレイに載置し吸着する方法である。これを図8(a)に示す。ダイシングテープ88が処理トレイ81の吸着面84に吸着されている。図8ではウエハ表面保護フィルムは示されていないが、このフィルムを残しても問題ない製品であれば、ウエハ表面保護フィルムを残しておいても良い。一般には、ウエハ表面保護フィルムは処理トレイに吸着した後で剥離することができる。あるいは、ダイシングテープ88を付着させた後に、処理トレイ吸着工程に入る前に、ウエハ表面保護フィルムを剥離しても良い。図6において説明したように、保護フィルムの剥離の前にUV照射を行っても良い。ウエハ表面保護フィルムを剥離した場合でも、処理トレイやダイシングテープがウエハを支持しているので、たとえウエハが極薄でも、または/及びウエハが大口径であっても、ウエハが反ることはなくウエハを平坦な状態でプロセスできる。図8(b)は、図8(a)のダイシングテープ付のウエハ87をダイシングする場合の様子を示す模式図である。ダイシングブレード80がウエハの所望の位置を切断し、切断部89を形成する。フルカットの場合、切断部89はウエハを完全に分離し、しかもダイシングテープ88にも切込み部90が入る。しかし、処理トレイ81には切込みは入らず、処理トレイ81は損傷しないので、処理トレイ81を繰返し使用できる。
【0048】
次にハーフカットについて説明する。ハーフカットとは、完全に切断しないで、切込みをウエハ内で留める切断方法である。この場合には、処理トレイ側には切込みは入らないので、処理トレイに損傷はなく、処理トレイを繰り返し使用できる。また薄いシートやダイシングテープも必要がない。ただし、ウエハが完全に切断されていないので、ダイシング後にウエハ上から少し圧力をかけて、ウエハを切断する必要がある。たとえば、ウエハ上をロール等で軽くなぞることにより、切断できる。ウエハがシリコンウエハの場合には、(111)面でへき壊することは周知である。尚、ハーフカットの場合でも緩衝材として、薄いシートを挟んでも良い。また、ダイシングテープをウエハ裏面に貼合して処理トレイに吸着することもできる。
【0049】
上記のブレード型ダイシング装置では、水を使用するため、処理トレイやシートは水に濡れるが、ダイシング後に脱水・乾燥することにより、水分を除去可能である。処理トレイの材料は、上記した様な材料であるから、水分を内部に吸着することもない。シートについても、水分吸着や水分吸収のしない材料を用いることにより、水分を内部に吸着することもない。また、シートが水分を少し吸着したとしても、乾燥時多少暖めることにより、水分を除去できる。或いは、完全に水分を除去できなくとも、チップ移載時またはチップ移載後に水分を除去すれば特に問題が発生しない場合もある。
【0050】
ウエハ切断に関する他の方法として、レーザーによる切断方法(レーザーダイシング)がある。この場合も上述のフルカット、セミフルカットやハーフカットを用いることができ、切断時の問題点として、ダイシングによる方法と同じことが言える。ただし、レーザーによる切断の場合には、材料による選択性を利用することができる。たとえば、ウエハを完全に切断できるが、処理トレイやシートに損傷を与えないレーザー光の条件を設定可能である。また、水などを用いないでドライ状態で切断することができるので、水分残りなど水に関する問題も発生しない。
【0051】
ウエハ切断に関する他の方法として、高圧水による切断方法がある。この場合も上述のフルカット、セミフルカットやハーフカットを用いることができ、切断時の問題点として、ダイシングによる方法と同じことが言える。ただし、高圧水による切断の場合にも、材料による選択性を利用することができる。たとえば、ウエハを切断できるが、処理トレイやシートに損傷を与えない高圧水の条件を設定可能である。
【0052】
本発明の処理トレイはウエハ切断工程後にチップ移載工程にも適用可能である。すなわち、処理トレイに吸着されたウエハを所望のサイズのチップに切断した後で、チップをピックアップして所定の場所に移載することができる。所定の場所とは、チップのその後の使用方法によって異なる。たとえば、ICパッケージの場合には、リードフレームやCOB基板上に搭載する。チップトレイに移載する場合もある。回路基板上に移載する場合もある。
【0053】
チップのピックアップはたとえばコレットをチップにあて真空吸引して行う。チップをピックアップする前に、処理トレイ側の真空を破るか、真空度を少し弱めるかすることが好ましい場合がある。一般には、ピックアップ時にウエハ表面から真空吸着するが、このピックアップ側の真空度が、処理トレイの真空度より強ければ、チップはピックアップできる。しかし、ピックアップ側の真空度が強すぎると、ピックアップ後に、チップに大気圧と真空度との圧力差による力がチップに加わるので、チップにダメッジが入る場合もある。そのような恐れのある場合(チップ厚みが薄い場合や、チップサイズが大きい場合など)には、チップをピックアップする前に、真空を破るか、真空度を少し弱めるかすることが好ましい。
【0054】
また、チップの下に吸着孔がある場合などには、チップをピックアップ後などに、切替弁や逆止弁を用いて減圧室82の真空を保持している場合は、真空が破れる可能性があるので、ピックアップ時に処理トレイの真空部分を真空に引く必要がある場合もある。このように処理トレイの真空部分を真空に引くことにより、一部のチップをピックアップ後もチップは処理トレイ側に引かれるので、真空が破れたりすることによるチップの位置ずれ等の問題も発生しない。また、ピックアップ装置側や移載側等に位置ずれ補正が装備されている場合には、真空が破れることによる問題の発生は少ない。
【0055】
前述のダイシングテープを用いてウエハを吸着する場合も、たとえフルカット法を用いても、ダイシングテープは深さ方向には完全に切断されていないので、チップのピックアップによる処理トレイの真空が破れるという問題は発生しない。
【0056】
以上説明したように、チップ移載においても本発明の処理トレイを用いているので、チップ移載工程の自動化もできるし、ウエハ切断工程の自動化およびウエハ切断からチップ移載工程との工程間の連結も自動(たとえば、自動移送)化が可能となる。
【0057】
ダイシングテープとチップの密着性を減少させるために、チップを移載する前に、UV照射を行うこともできる。UV照射はダイシングテープの糊残り対策として有効である。本発明の処理トレイを用いて、UV照射も可能であるから、UV照射工程の自動化はもちろん、その前後工程との工程間の連結も自動(たとえば、自動移送)化が可能である。
【0058】
本発明の処理トレイは、裏面研削後のウエハ裏面の加工歪除去にも適用できる。そのウエハ裏面研削適用方法について、詳細に説明する。ウエハ裏面研削工程後に、図9に示すように、ウエハ表面保護フィルム98を付着した状態でウエハ97を処理トレイ91の吸着面94に載置する。この時、図9に示すように吸着面94に接するのは、ウエハ表面保護フィルム98側である。ウエハ97の裏面99は処理トレイ91の最上面にむき出しとなっている。ウエハ裏面研削工程から処理トレイ91に移載する方法として、自動で行う方法とマニュアルで行う方法がある。吸引口96は外部の真空引き装置に接続していて、ウエハ97が置かれると、吸気孔95を通して減圧室92が真空引きされ、さらに吸着孔93を通してウエハ97が吸引され吸着面94にウエハ表面保護フィルム98が吸着される。吸着される前は、極薄ウエハ、または/及び大口径ウエハの場合には、比較的柔軟な(フレキシブルな)状態にあるが、吸着後はウエハがしっかりと固定され、平坦な状態を維持できる。
【0059】
ウエハ裏面加工歪除去工程に用いることができる処理トレイの形状として、図5に示した場合と同様に、周辺がテーパー部を有するトレイを使用することもできる。また、周辺が正方形や長方形などの形状のエッチングトレイも使用できる。この場合の全体形状としては、直方体になる。
【0060】
ウエハを吸着した処理トレイを用いて裏面加工歪除去工程を行う。裏面加工歪除去方法として、ドライエッチングによる方法とウエットエッチングによる方法とがある。従って、ウエハ加工歪除去工程で用いる処理トレイを以下の説明においてエッチングトレイと呼ぶ。
【0061】
ドライエッチング方法としては、プラズマエッチングや光エッチングがある。ウエハの裏面加工歪除去をドライエッチングで行う場合には、エッチングトレイをステンレス鋼等の金属系のトレイにすることが望ましい。ドライエッチングに用いるエッチング用ガスとしては、ウエハ材料がシリコン(Si)や砒化ガリウム等の化合物半導体などの場合には、CF4やC2F6やSF6やCCl4やCHF3等のエッチングガスが用いられるが、テフロン(登録商標)系の材料を主体とする処理トレイでは、エッチングトレイも反応したりして損傷を受ける可能性があり、エッチングトレイを何回も使用することが困難となる場合がある。従って、ドライエッチングの場合には、エッチングトレイの材料はドライエッチング用ガスと反応しないか、反応しにくい材料である金属系の材料が望ましい。特にステンレス鋼やニッケル鋼やクロム鋼の場合には、ドライエッチングガス耐性が大きいので、さらに望ましく、エッチングトレイの繰返し使用が可能となる。
【0062】
裏面加工歪除去をウエットエッチングで行う場合には、エッチングトレイをPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロエチレンプロペンコポリマ)等のフッ素系樹脂材料やその他の有機系材料などのトレイにすることが望ましい。ウエットエッチングプロセスのウエハのエッチング液としては、アルカリ系水溶液やフッ硝酸系水溶液がある。これらの水溶液は金属系の材料をわずかでも侵す可能性があり、エッチングトレイを何回も使用することが困難となる場合がある。従って、ウエットエッチングの場合には、ウエットエッチング液と反応しないか、反応しにくい材料である上記のフッ素系樹脂材料が望ましい。
【0063】
従来、ウエハが極薄のウエハ厚の場合、または/及び大口径のウエハの場合は、ウエハの平坦状態の維持が困難などのために、ウエハ裏面加工歪除去工程におけるウエハ搬送はマニュアルが多かったが、本発明のエッチングトレイを用いれば、ドライエッチングでもウエットエッチングでもウエハの搬送を容易に自動化でき、工程間および工程内自動化が可能となる。これによって、大幅なコストダウンが可能となる。
【0064】
ウエハ裏面加工歪除去工程後のプロセスはウエハ表面からの加工が必要な場合が多いので、裏面加工歪除去を行ったウエハ表面保護フィルムの付着したウエハを、エッチングトレイから処理トレイ(この場合は、これまでに説明したものと同様の処理トレイのことである)へ移載する必要がある。図9において、エッチングトレイ91の吸着面94にウエハ97が真空吸着されているので、吸引口からエアー等を入れ真空吸着部の真空を破る。その後で、ウエハ97を処理トレイに移載する。ウエハの移載は、マニュアルまたは自動で行うことができる。
【0065】
ウエハ表面に形成されたデバイスの最終電気特性検査は、ウエハ切断前に行うことが望ましい。さらに望ましくは、ウエハ切断後、チップ移載前に行うことがさらに望ましい。何故ならウエハの電気特性は前の工程の影響を受けるからである。しかし、ウエハ裏面研削後において、ウエハが200μm以下の厚みになった場合、またはウエハ厚みが200〜400μmでもウエハ径が200mm以上(たとえば、200〜1000mm)と大口径になった場合には、ウエハの反りが大きくなったり、強度不足によるウエハ損傷の恐れがあるために、従来は、ウエハ裏面研削後はウエハの電気特性検査を行うことが困難であった。しかし、本発明の処理トレイを用いることにより、ウエハ切断前に電気特性検査を行うことが可能となる。すなわち、処理トレイにウエハを吸着した状態で、電気特性検査を行うことができる。しかも自動化にも対応できる。たとえば、処理トレイを処理トレイケースに複数枚セットしておけば、あるいは、積み重ねの可能な処理トレイを使えば、複数枚の処理トレイを重ねてテスターにセットしておけば、やはり電気特性検査装置(テスターなど)で自動的に処理可能である。
【0066】
さらに、本発明の処理トレイを用いれば、ウエハ切断後にも電気特性検査を行うことができる。すなわち、ウエハ切断後にもチップとして処理トレイに吸着させることも可能であるから、電気特性検査が可能となる。たとえば、ウエハのチップ配列に合わせて、吸着孔を配置しておけばよい。ウエハのチップ配列に合わせた処理トレイをデバイス毎に用意しておけば良い。あるいはウエハのチップ配列に合わせた吸着板を用意して、デバイス毎に吸着板を変更するということもできる。このことにより、ウエハが切断場所(いわゆる、スクライブライン)に沿って完全に切断されたとしても、チップはチップ毎に配列した吸着孔によって吸着されているので、切断後もチップ位置が変化することはない。また、ダイシングテープに付着したウエハを処理トレイに吸着させ、かつダイシングテープの内部で切込み部を留めておけば、ウエハを切断してもダイシングテープは処理トレイに吸着されており、処理トレイの真空は破られないから切断後のチップは固定されていて、チップの電気特性検査を行うことが可能となる。また、ハーフカット方式を用いれば、ウエハ切断後も処理トレイの真空は破られないので、ウエハ(チップ)の電気特性検査を行うことが可能となる。尚、ダイシングテープがあった場合でも、ハーフカット方式の場合でも、ウエハのチップ配列に合わせた吸着孔があれば、ウエハ切断後にもチップの位置ずれが少ない場合もあり、安全性が高いということが言える。
【0067】
図10に処理トレイの別の実施形態を示す。この処理トレイ101は吸着面104を有する吸着板109が取り外しできるようになっている。吸着面104上に多数の吸着孔103が存在する。この吸着孔103はウエハ上の個々のチップに対応するように配置することもできるので、上述したように、ウエハがチップ毎に完全に切断されてもチップが個々に吸着面に吸着される。吸着板109は、処理トレイ101に保持部108で連結されるようになっている。デバイスが変わり、ウエハ内のチップ位置が異なる場合は、そのチップ位置に合わせた吸着板に変更することができる。吸着板が処理トレイ101と連結すると、支持隔壁に支持されるようになっている。吸着板109や処理トレイ101に情報表示手段を取り付ければデバイスや吸着板や処理トレイの管理も容易になる。このような処理トレイを使用することにより、種々のデバイスについて、ウエハ切断後に電気特性検査や外観検査などを行うことが可能となる。
【0068】
エッチングトレイや処理トレイには、バーコードやRFタグのような無線タグなどの情報表示手段を取り付けることができる。たとえば、これらのトレイ(以下、単にトレイと言う)の側面や底面などに取り付けることができる。また、図5で示すような周辺部が高くなっているトレイでは、周辺部のウエハが載置されない平坦な場所にも取り付けることができるし、テーパー部にも取り付けることが可能である。さらに、図1〜4に示すような上面が平坦なトレイでも、ウエハの周辺または、ウエハのファセットの外側部分などウエハが載置されない場所にも取り付けることができる。最近の情報表示手段は非常に小さくなっているので、少しのスペースがあれば取付けが可能である。これらの表示手段を取り付けることにより、種々のプロセス情報を書き込んだり、読み込んだりできる。その情報に従って、プロセスの条件を変更することも可能となる。トレイ毎に情報表示手段を取り付けることができるので、ウエハの枚葉管理もできる。従って、種々のデバイスを混在して流動が可能となる。たとえば、本発明の処理トレイを用いると、ダイシング工程においても、ウエハ1枚ごとに、ダイシングの条件を変更可能である。また、電気特性検査においても、1枚ごとに異なったデバイスの検査が可能となる。さらに、1枚のウエハ内のチップ毎に検査条件の変更も可能である。加工処理能力の異なる場合などによりウエハが工程間で滞留しても、1枚ごとに誤りなく情報を把握できる。また、情報を保管することも容易となるので、処理トレイを使用してプロセスを行ったウエハについては、トレーサビリティも高くなり、信頼性の高い製品を作製できる。
【0069】
また、本発明の処理トレイはトレイケースに収納もできるし、クリーンボックスなどにも保管できる。また、積み重ねが可能な処理トレイの場合には、単純積み重ねも可能なので、スペースを最小化もできる。従って、工程内および工程間に清浄かつ安全に、または/及び大量にストックでき、工程設計が容易になる。
【0070】
さらに、極薄ウエハまたは/及び大口径ウエハでは工程間搬送時に破損しやすいという問題を防止するために、ウエハを積層する時に各ウエハの間に消耗品である層間紙を挿入していたが、本発明の処理トレイを使用する場合は、このような層間紙は不要となり、これもコストダウンにつながるという利点もある。
【0071】
これまでも説明したように、処理トレイにウエハを吸着後は、処理トレイの自動搬送が可能となるので、処理トレイ吸着工程に続けて、ウエハ切断工程に、さらにチップ移載工程へと工程間搬送が自動で可能となる。従って、これらの一貫ラインを構築できる。さらに、これらの工程の間にウエハ電気特性検査工程やウエハ外観検査工程が入っても、同様に一貫した自動化ラインを構築でき、非常にコストの安い製造ラインを作ることが可能となる。また、処理トレイに情報表示手段を容易に付置できるので、ウエハの枚葉管理ができ自由度の高い製造ラインを作ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、半導体プロセスにおけるウエハ裏面研削工程以降のチップ加工プロセスにおいて、利用することができる。特に、極薄ウエハや極薄チップや大口径ウエハを用いる半導体産業において、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1(a)】図1(a)は、本発明の処理トレイに係る好適な実施形態を示す図である。
【図1(b)】図1(b)は、本発明の処理トレイに係る好適な実施形態を示す図である。
【図1(c)】図1(c)は、本発明の処理トレイに係る好適な実施形態を示す図である。
【図1(d)】図1(d)は、本発明の処理トレイに係る好適な実施形態を示す図である。
【図2】図2は、本発明の処理トレイに係る別の実施形態を示す図である。
【図3】図3は、本発明の処理トレイに係る別の実施形態を示す図である。
【図4】図4は、本発明の処理トレイに係る別の実施形態を示す図である。
【図5(a)】図5(a)は、本発明の処理トレイに係る別の実施形態を示す図である。
【図5(b)】図5(b)は、本発明の処理トレイに係る別の実施形態を示す図である。
【図6(a)】図6(a)は、本発明の処理トレイを用いて、ウエハを吸着する方法について示した図である。
【図6(b)】図6(b)は、本発明の処理トレイを用いて、ウエハを吸着する方法について示した図である。
【図6(c)】図6(c)は、本発明の処理トレイを用いて、ウエハを吸着する方法について示した図である。
【図6(d)】図6(d)は、本発明の処理トレイを用いて、ウエハを吸着する方法について示した図である。
【図7】図7は、薄いシートを本発明の処理トレイに用いた実施形態を示す図である。
【図8(a)】図8(a)は、ダイシングテープ付ウエハを本発明の処理トレイに用いた実施形態を示す図である。
【図8(b)】図8(b)は、ダイシングテープ付ウエハを本発明の処理トレイに用いた実施形態を示す図である。
【図9】図9は、本発明の処理トレイ(エッチングトレイ)にウエハを吸着した状態を示す図である。
【図10】図10は、取り外し可能な吸着板を有する本発明の処理トレイを示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1・・・処理トレイ、2・・・減圧室、3・・・吸着孔、4・・・吸着面、
5・・・吸気孔、6・・吸引口、7・・処理トレイ下側部分、8・・処理トレイ横側部分、
9・・処理トレイ上側部分、10・・吸引開口、11・・ウエハ、12・・隙間
21・・・処理トレイ、22・・・減圧室、23・・・吸着孔、24・・・吸着面、
25・・・吸気孔、26・・吸引口、27・・処理トレイ下側部分、28・・横側部分、
31・・・処理トレイ、32・・・減圧室、33・・・吸着孔、34・・・吸着面、
35・・・吸気孔、36・・吸引口、37・・処理トレイ下側部分、38・・横側部分、
41・・・処理トレイ、42・・・減圧室、43・・・吸着孔、45・・・吸気孔、
46・・・吸引口、47・・処理トレイ下側部分、48・・処理トレイ横側部分、
51・・・処理トレイ、52・・・減圧室、53・・・吸着孔、54・・・吸着面、
55・・・吸気孔、56・・・吸引口、57・・・ウエハ、58・・・テーパー部、
59・・・周縁平坦部、61・・・処理トレイ、62・・・減圧室、63・・・吸着孔、
64・・・吸着面、65・・・吸気孔、66・・吸引口、67・・ウエハ、
68・・・ウエハ表面保護フィルム、69・・・ウエハ裏面、
71・・・処理トレイ、72・・・減圧室、73・・・吸着孔、74・・・吸着面、
75・・・吸気孔、76・・・吸引口、77・・・ウエハ、78・・・薄いシート、
80・・ダイシングブレード、81・・処理トレイ、82・・減圧室、83・・吸着孔、
84・・・吸着面、85・・・吸気孔、86・・・吸引口、87・・・ウエハ、
88・・・ダイシングテープ、89・・・切断部、
90・・・(ダイシングテープへの)切込み部、91・・・処理トレイ、
92・・・減圧室、93・・・吸着孔、94・・・吸着面、95・・・吸気孔、
96・・・吸引口、97・・・ウエハ、98・・・ウエハ表面保護フィルム、
99・・・ウエハ裏面、101・・・処理トレイ、42・・・減圧室、
103・・・吸着孔、104・・・吸着面、105・・・吸気孔、106・・・吸引口、
108・・・保持部、109・・・吸着板
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体用ウエハを搭載するウエハトレイに関する。特に極薄化したウエハを安全に確実に搭載するウエハトレイに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用ウエハの一方の面(以下、表面)に、トランジスタ、不純物拡散層および導電体層等の素子を形成した後で、ウエハの裏面を研削しウエハ厚みを所望の厚みに加工することが一般に行われている。この加工の後で、所望の形状(大きさ)にダイシングされ、半導体チップ加工される。このチップが半導体パッケージや、回路基板等に搭載される。この半導体パッケージや回路基板等に、極めて薄いものが要求されてきていて、その場合には最終のウエハ厚みを極薄化する必要がある。半導体素子形成時における初期のウエハの厚みは、300〜1000μmであるが、最終のウエハ厚み(チップ厚み)は10〜200μmになる場合もある。このような薄いウエハになると、何ら支持のない単独のウエハでは、ウエハの表面と裏面の応力差により激しく湾曲したり(いわゆる、反りが大きくなり)、またウエハの強度が小さくなり、ウエハに傷や欠陥を誘発する可能性が高くなる。あるいは、最終のウエハ厚みが上記ほど薄くない場合であっても(たとえば、ウエハ厚み200〜400μm)、ウエハが大口径化した場合(たとえば、200mm以上)にも、ウエハが激しく湾曲したり、ウエハに傷や欠陥を誘発する可能性が高くなる。この結果、ウエハが極薄化した後は、ウエハの搬送やプロセスが非常に困難である。
【0003】
上記の問題に対して、平板上より極薄ウエハの直径より僅かに大きい直径の半円弧状ガイドを起立させた収納棚の複数を、支柱を介して等間隔で上下に平行に並べた多段式収納カセットが提案されている(たとえば、特開2004-273867)。また、互いに嵌合して積層可能なトレイの間に極薄ウエハをスペーサーシートで挟持して収納するものも提案されている(たとえば、特開2005-191419)。さらには、ウエハ裏面研削工程で用いたウエハ表面保護フィルムを付着させた状態で、ウエハ裏面研削工程の後に、ウエハ裏面にダイシングテープを貼合し、その後で前記ウエハ表面保護フィルムを剥離し、ダイシングすることが提案されている(たとえば、特開2002-246345号公報、特開2004-186296号公報)。
【0004】
また、ウエハ裏面研削後のウエハは、たとえウエハ表面保護フィルムやダイシングテープが付着しウエハを支持していても、そのままでは平坦な状態を維持できないため、工程間搬送や工程内搬送を自動で行うことができず、大半はマニュアルで行っている。たとえば、ウエハ切断前後の外観検査も一枚一枚手動で搬送している。
【0005】
【特許文献1】特開2004-273867
【特許文献2】特開2005-191419
【特許文献3】特開2002-246345号公報
【特許文献4】特開2004-186296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、提案された収納カセットにおいては、開閉機構が大掛かりになる上に、常にウエハを平坦な状態で取り扱うことが困難である。この結果、容器の高価格化を招くと同時に、ウエハの変形によるマイクロクラックの発生や作業性の困難さなどが原因となるウエハの損傷が発生するという課題を有している。また、スペーサーシートを有する容器においては、消耗品であるスペーサーが必要となるために、ランニングコストが高くなり、地球に優しい構造となっていない。さらに、搬送時にウエハが動きやすい構造になっているために、搬送時にウエハを損傷し易いという問題もある。ウエハ裏面研削後にウエハ厚みが極薄になった場合、または/及びウエハが大口径の場合には、ウエハ裏面研削後にウエハ表面保護フィルムを剥離すると、ウエハが反ったり、破損しやすくなるという問題がある。
【0007】
また、ウエハ裏面研削後にウエハ厚みが極薄になった場合、または/及びウエハが大口径の場合には、たとえウエハ表面保護フィルムが付着していても、ダイシングテープが付着していても、ウエハはフレキシビリティ(柔軟性)があり、ウエハ単独で平坦な状態を維持することは困難である。このため、ウエハ裏面研削後の工程を自動で搬送または処理することができず、人手が介在したり、ウエハに損傷を与える危険性が高いという問題がある。このため極めて高価なプロセスとなっている。
【0008】
さらに、良品判定の電気特性検査は、ウエハの裏面研削前に行うため、ウエハ裏面研削後に変動した電気特性の変化を検出できなかったり、不良化したチップを良品として製品に搭載してしまうという問題がある。これを防止する一つの方法として、ウエハ裏面研削前の検査では、ある程度厳しい検査をして、ウエハ裏面研削後に変動した電気特性の変化に対応しているが、歩留まりを落とす原因となり、コストアップの要因となっている。ウエハ裏面研削後に破壊したり損傷を受けたウエハは、電気特性検査を全くする必要がないにも関わらず、ウエハ裏面検査前に電気特性検査をしなければならず、高価な半導体検査装置(テスター)を使うため、これもコストアップの要因となっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ウエハを真空吸着し固定できるウエハ処理トレイ(以下、処理トレイと記載)を用いる。処理トレイは真空吸着部を有していて、ウエハ裏面を真空吸着できるようになっている。真空吸着部は、ウエハを載置する吸着面、ウエハを真空吸着する吸着孔、真空を保持する減圧室、外部の真空引き装置に接続する吸引口、および吸引口と減圧室を結ぶ吸気孔を含む。吸引口には、外部と真空吸着部との接続を開閉する切替弁や逆止弁がついている。
【発明の効果】
【0010】
処理トレイの吸引口が外部の真空引き装置に接続し、ウエハが処理トレイに載置されると、真空引き装置によって吸引口および吸気孔を通して、減圧室の空気が吸引され、さらに吸着口を通してウエハが吸着面に吸着される。ウエハが確実に吸着され、処理トレイに固定された後に、切替弁等が閉じられ、処理トレイの真空吸着部が真空に保持される。また、切替弁等が閉じられた後には、処理トレイは外部の真空引き装置と切り離される。ウエハは大気圧と真空吸着部との圧力差によって、処理トレイに固定され平坦状に保持されているので、処理トレイの搬送やプロセスなどにおいても、ウエハは処理トレイから動くことはない。また、ウエハを処理トレイに吸着した後は、ウエハが平坦な状態を維持できる。従って、ウエハが極薄になった後でも、搬送を自動化できる。
【0011】
処理トレイは、ステンレス鋼等の金属またはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂から構成され一定の強度を有するので、たとえ、ウエハが極薄(たとえば、ウエハ厚み10〜200μm)であっても、または大口径(ウエハ厚みが200〜400μmで、ウエハ直径が200mm以上)であっても、ウエハが破損したりすることはない。
【0012】
以上から、本発明の処理トレイを用いることにより、歩留まりの高いプロセスを構築できる。
以上の他にも、本発明は以下のような効果もある。
【0013】
ウエハを吸着した処理トレイが工程中で滞留しても、工程間で清浄かつ安全にストックできるために、加工効率を向上させることができ、工程設計が容易になる。すなわち、ウエハの表面が他のものに接触しないように、ウエハ(トレイ)ケースに収納できるとともに、そのケースの機密性を確実にすることもできる。あるいは、ウエハが重ならないようなトレイを用いることにより、トレイの上積み保管も可能となる。このことにより、工程間にウエハ(トレイ)やウエハ(トレイ)ケースをストックできるため、装置効率や処理効率を高めることができ、フレキシブル(柔軟)に工程設計が可能となる。
処理トレイ等に、バーコードや、RFタグ(Radio Frequency Tag)のような無線タグなどの情報表示手段を取り付けることが容易となり、ウエハの枚葉管理ができ、的確かつ正確な処理をウエハに施すことができる。また、ウエハのトレーサビリティを向上させることが可能となる。
【0014】
また、繰り返しになるが、工程間および工程内搬送や処理が自動化できるため、ウエハ(トレイ)検査や処理において、ウエハを破損することなく安全に行うことができ、加工歩留まりを向上させることができる。
処理トレイは洗浄することで繰り返し使用することが可能であり、消耗品を極力少なくし、環境にやさしく、安価な製造が可能となるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明において、ウエハとは主には半導体ウエハを指す。たとえば、半導体ウエハの材料は、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などの単元素半導体材料や、シリコンゲルマニム(SiGe)や砒化ガリウム(GaAs)やインジウムリン(InP)等の化合物半導体材料や、GaAlAs等の3元系以上の半導体材料である。しかし、これらにかかわらず、絶縁物の上に半導体デバイスを形成したものも含まれる。たとえば、ガラスや石英やプラスチックなどの上に薄膜デバイスを作成したもの、ガラスや石英やプラスチックなどの上に半導体材料を貼りあわせたものである。あるいは、金属の上に絶縁物・半導体材料を貼りあわせたものも含まれる。さらには、プラスチック等の高分子材料も含まれる。
【0016】
半導体プロセスにおいて、ウエハの表面にトランジスタ等の能動素子、抵抗・コンデンサ・インダクタンス等の受動素子や配線・絶縁層等を形成し、半導体デバイスが作製される。本発明に適用される半導体デバイスとして、メモリ、CPU、システムIC、アナログIC、デジタルICなどがあるが、広義には単体の能動素子や受動素子も含まれる。すなわち、能動素子や受動素子を少なくとも1個以上含むものを表す。一般に半導体ウエハ上には、これらの半導体デバイスが多数形成され、個片(いわゆる、チップ)に切断された後に、用途に応じて種々の製品に搭載される。たとえば、半導体パッケージの場合には、リードフレームに搭載される。また回路基板に搭載され、携帯電話やICカードやPCなど種々の機器に用いられる場合もある。さらに、液晶や有機EL(エレクトロルミネッセンス)等の表示素子も含まれる。
【0017】
近年の最終製品は超小型化を要求されるものが多く、その傾向は今後も益々進化していくと予想できる。従って、それらの最終製品に搭載されるチップは非常に薄い厚みのものであることを要求される。チップの厚みを薄くするには、その前段階であるウエハを薄くする必要がある。ウエハを薄くするには、ウエハ上にデバイスが形成された後に、ウエハ裏面加工研削を行う。
【0018】
本発明は、ウエハ裏面研削等により、薄くなったウエハを搭載できる処理トレイに関する。本発明で記載する「処理トレイ」とは、「ウエハを支持または保持可能で、ウエハを搭載した状態でウエハを搬送しプロセスを行うこと(いわゆる、ウエハを処理すること)ができるもの」である。従って、このようなものとして考えるならば、「ウエハ支持トレイ」、「ウエハ保持トレイ」、「ウエハ支持容器」、あるいは「ウエハキャリヤ」と呼んでも良い。
【0019】
裏面研削工程とは所望の厚みのウエハにするために、半導体デバイスが形成されているウエハ表面と反対側のウエハ裏面を研削し、ウエハを薄くする工程である。この工程では、ウエハ表面に形成されている半導体デバイスを保護するために、ウエハ表面に保護フィルムを貼合する。この保護フィルムとして、たとえばリンテック製E-seriesや三井化学製イクロステープがある。保護フィルムを貼合したウエハを裏面研削装置(いわゆる、バックグラインド装置)に配置し、砥粒を含んだ水を加えながら砥石でウエハ裏面を研削する。所望のウエハ厚みを得た時点で裏面研削を終了する。裏面研削は、一般に粗研削と仕上げ研削とからなる。粗研削は、粗い砥粒を用いて早くウエハ裏面を削る方法である。従って、ウエハ裏面には粗い研磨後に大きな歪や応力が残る。仕上げ研削は粗研削の後で行い、より細かい砥粒を用いて、前記の歪や応力を緩和する。しかし、歪や応力は完全には除去できないので、裏面加工歪除去を行う場合もある。
【0020】
ウエハ裏面研削を行った後や裏面加工歪除去を行った後に、本発明である処理トレイを使用できる。すなわち、ウエハ表面保護フィルムを付着したままの状態で、本発明の処理トレイに載置する。処理トレイには真空吸着部があり、ウエハはその真空吸着部に載り、真空で吸着される。ウエハ裏面が真空吸着面となる。処理トレイに載置するまではウエハにはウエハ表面保護フィルムで支持されているが、ウエハ表面保護フィルムは柔らかいので、ウエハが極薄の場合(たとえば、10〜200μmの厚みのウエハ)、または/及びウエハが大口径化の場合(たとえば、ウエハ厚みが200〜400μmで、ウエハ直径が200mm以上)には、ウエハ表面保護フィルムを付着したままのウエハでは、柔軟な状態となっていて平坦な状態を保つことはできない。従って、処理トレイにウエハを載せるまでは、自動搬送が困難であり、マニュアル搬送が望ましい。もちろん、手動搬送と同程度の配慮のされた自動搬送なら自動でも良い。処理トレイに載置した後は、処理トレイに吸着されているので、ウエハが反ることはなく、平坦な状態を維持できる。
【0021】
本発明の処理トレイの一例を図1に示す。図1(a)に示されるように、処理トレイ1は、減圧室2、吸着孔3、吸着面4、吸気孔5及び吸引口6を含んでいる。減圧室2、吸着孔3、吸着面4、吸気孔5及び吸引口6を処理トレイ1の真空吸着部と考えることができる。この実施形態においては、減圧室2の下側に吸気孔5との接続口である吸引開口10があり、吸気孔5は処理トレイ下側部分7に伸び、中途で曲がり、処理トレイ横側部分8で処理トレイの外部へ出ていて、吸気孔5は吸引口6で終端になっている。減圧室2は吸着面4の裏面である上側部分9と吸着トレイの下方に位置する下側部分7とで主に囲まれて構成されてなるトレイ内部に配置している。処理トレイ下側部分7とは、減圧室2を構成する処理トレイの下側部分を指す。また、処理トレイ横側部分8とは、上側部分9と下側部分7とで主に構成される減圧室2の内、減圧室の側面を構成して減圧室2を完全ならしめる部分を指す。処理トレイ上側部分9とは、吸着面4の裏面であって減圧室2の一部を構成する部分を指す。
【0022】
ウエハの吸着方法について、図1(a)〜(d)に基づいて説明する。吸引口6は真空引き装置に接続されている(図には示されていない)。ウエハ11が処理トレイ1の吸着面4に載置される。裏面研削後に厚みが極薄化したウエハは一般には反っているので、図1(b)に示すように、ウエハ11が真空に引かれる前には、平坦な面である処理トレイ1の吸着面4とウエハ11との間には隙間12があいている。真空引き装置によって真空引きされると、吸引口6において真空引き装置に接続した吸気孔5を通って、吸引開口10で吸気孔5と連結した減圧室2が真空引きされる。さらに、減圧室2と吸着面4とを連結した吸着孔3を通ってウエハ11が真空に引かれ、図1(c)に示すように、隙間12がなくなってウエハ11が処理トレイ1の吸着面4にしっかりと吸着される。処理トレイ1の吸着面4において、吸着孔3はウエハが載置および吸着される場所以外の場所には存在しないように配置されている。また、吸着孔3は図1(d)に示すように、ウエハの載置および吸着される場所に多数存在している。吸着孔の大きさと数は、ウエハが吸着され固定されるために充分な程度に設計される。好ましくは、吸着孔3の大きさは、直径が0.5mm以上である。0.5mm未満の大きさの吸着孔では、吸着孔の数にもよるが、真空引きに時間がかかるととともに、十分にウエハ11が吸着されない場合がある。また、0.5mm未満の大きさの吸着孔では、異物で塞がる場合もある。吸着孔の大きさの最大値は、ウエハサイズ、ウエハの厚み、ウエハの反り量あるいはウエハ吸着面の粗さによって変化する。しかし、一般にウエハ厚みが極薄の場合には、50mmを越える大きさの吸着孔3では真空引きのスピードが速すぎて、ウエハが破損する可能性もある。また、ウエハ側の吸着面の微小な凹凸により真空がリークしやすくなる場合もある。吸着孔3の大きさは、そろっている必要はない。たとえば、中心の吸着孔3のサイズを大きくし、周辺側に向かう吸着孔3のサイズを徐々に小さくすると、ウエハの吸着が好ましい場合がある。一般にウエハの中心付近は反り量が大きく、周辺は反り量が小さい場合が多いからである。ウエハ11上に形成される個々のチップの下にのみ吸着孔3を配置し、ウエハ11上のスクライブラインにあたる位置には吸着孔を配置しないことが効果的な場合もある。たとえば、スクライブライン上をダイシングした後にも、個々のチップを確実に吸着する場合である。このような場合には、処理トレイをチップの大きさや配置によって変更することが必要となる。処理トレイには、容易に情報表示手段を取り付けることができるので、処理トレイをウエハ毎に変更することは、工程管理上も特に問題なく可能である。また、図1(d)に示されるように、吸気孔5の1部および吸引口6はウエハ処理トレイの外側に出ている。
【0023】
吸気孔5または吸引口6には切替弁あるいは逆止弁が付いていて(図示されていない)、処理トレイ1の真空吸着部が真空になりウエハを完全に吸着した後で、それらの弁を閉じると真空が保持されるようになっている。従って、真空が保持された後には、真空引き装置を処理トレイの吸引口6から取り外しても、ウエハ11は処理トレイ1に確実に吸着されていて、その後に処理トレイを使用して搬送やプロセスを行っても、ウエハ11は、処理トレイ1から離脱したり、処理トレイ1の吸着面4上で動くことはない。尚、切替弁や逆止弁の他にも、真空を保持できるような方法であれば、本発明の処理トレイに適用できる。たとえば、吸引口6に蓋をする方法や吸引口6に栓をする方法が挙げられる。切替弁等の開閉や、蓋や栓をすることは、自動化も可能である。
【0024】
減圧室2は複数の吸着孔3がつながり、吸着孔3の真空引きの源となる。いわば、真空のダムのような存在であるから、ある程度の容積が必要である。
【0025】
図2に別の処理トレイの実施形態を示す。図1に示す処理トレイ1の吸気孔5は、処理トレイ下側部分7に伸びていたが、図2に示す処理トレイにおいては、吸気孔25は減圧室22の横側部分28に伸び、そのまま外部に出ている。このような構造になっている場合には、処理トレイの下側部分27を薄くできるため、処理トレイ21を薄くすることが可能となる。処理トレイケースに処理トレイ21を収納する場合には、処理トレイケースも小さくすることができる。
【0026】
図3にさらに別の処理トレイの実施形態を示す。吸気孔35の高さが、減圧室32の高さと同じ場合における処理トレイ31の横方向断面図である。この場合はさらに、処理トレイ31の厚みを減らすことができる。減圧室32の高さを少なくして減圧室32の容積を減らすと、真空の保持に問題が発生する場合は、このようにすることは望ましくはないが、切替弁等の真空シール性能を向上させたり、吸着孔の最適化、吸着面やウエハ吸着面の改善などを行うことにより、達成できる。
【0027】
図4に別の処理トレイの実施形態を示す。図3に示した処理トレイにおける吸気孔45や吸引口46が、処理トレイ41の横側部分48の外部へ出ない場合である。吸気孔45や吸引口46が外部へ出ると、吸気孔45や吸引口46が破損したり変形したりして、使用不可能になる場合もある。図4に示す処理トレイは、このような恐れを解消する処理トレイの実施形態である。
【0028】
尚、吸引口が処理トレイの内部にあるものでも良い。この場合は、真空引き装置との接続に工夫が必要である。また、切替弁等の真空を閉じ込める方法にも工夫が必要であるが、本発明の処理トレイとして適用可能である。
【0029】
図5は、処理トレイの別の実施形態である。図5(a)は横方向断面図、図5(b)は平面図である。図1〜4に示す場合と異なるのは、ウエハを載置する場所(ウエハ載置部またはウエハ吸着面54)が周辺に比較し窪んでいることである。尚、ウエハ吸着面54はもちろん平坦な形状である。ウエハの載置部54には、図5(b)に示すように、吸着孔53が多数存在し、ウエハ57を確実に吸着できるようになっている。図5(b)の吸着孔は小さな円形で示しているが、他の形状、たとえば四角形や楕円形や三角形やそれらに類似した形状でも良い。あるいは、それらの組合わせでも良い。あるいは、ウエハ67を吸着できるその他の形状でも良い。ウエハ57を平坦状に維持でき、かつ確実に固定できる程度に吸着孔の数と形状と大きさを選択することができる。尚、吸着孔はウエハ搭載位置の範囲内にあることが必要であることは、図1〜4に示す処理トレイと同様である。
【0030】
図5に示す処理トレイ51の周辺部から載置部(吸着面)54への傾斜は、図5のテーパー部58で示されるように、テーパー状になっている。ウエハ57が処理トレイ51の載置部54に置かれる時に、多少位置ずれしてウエハの端がテーパー部58にかかっても、ウエハはテーパー部58から滑って載置部54に載置される。すなわち、図1〜4の場合の処理トレイに比較し、ウエハ57の載置場所が安定化するという利点がある。また、ウエハの破損を防止するという利点もある。処理トレイ51の周縁部59はある程度平坦となっている。周縁部59の高さが、ウエハを載置部54に吸着した場合のウエハ57の表面(最上面)の高さよりも高くしておくことにより、処理トレイ51を重ねて積層しても、ウエハ57への接触がないという利点もある。周縁平坦部59の面積は、積み重ねても安定する程度の面積を確保する必要がある。従って、この場合は、特別のウエハ(処理トレイ)ケースを使う必要がない。その他は、図1〜4に示す処理トレイと同様である。
【0031】
図5に示す処理トレイ51の吸気孔55および吸引口56のタイプは、図1に示した処理トレイ1の吸気孔5および吸引口6のタイプと同様であるが、図2〜4に示すものと組合わせることは容易である。これらを組合わせたテーパー部を有する処理トレイは、図5に示す処理トレイ51よりも薄くできることも自明である。
【0032】
尚、処理トレイ51のような処理トレイを積み重ねができるような処理トレイの場合には、処理トレイの裏にもウエハを吸着し載置可能である。この表裏一体のトレイにおいては、下向きになるウエハも存在するが、処理トレイの吸着面に確実に吸着されているので、落下することはない。
【0033】
さらに、テーパー部が少ない垂直に近い段差を有するものでも良い。ウエハの位置ずれに対しては余裕度が小さいが、精度良くウエハを載置部(吸着部)に載置できれば特に問題が発生することもない。
【0034】
処理トレイ全体または一部の材質は、鉄、チタン、アルミ、銅、ニッケル、コバルト、亜鉛、モリブテン、タングステンまたは他の元素を含む金属から構成することができる。あるいは、これらの元素を主体にした合金であっても良い。処理トレイの重量がある程度必要な場合は、重い金属元素を含む金属や合金であることが望ましい。たとえば、ステンレス鋼やニッケル鋼やクロム鋼などである。処理トレイを軽くする必要がある場合には、アルミやチタンなどの軽い金属元素を含む金属や合金であることが望ましい。金属や合金は、一般に下記の有機系の材料よりも高温耐性や強度があるので、高温で処理する必要がある時などに、使用することが望ましい。
【0035】
あるいは、処理トレイ全体または一部の材質は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロエチレンプロペンコポリマ)等のフッ素樹脂またはその他の有機系材料であっても良い。上記の金属系の処理トレイに比較して、軽く、ウエットエッチング液耐性があるという利点がある。
【0036】
あるいは、金属と有機系材料との複合体であっても良い。あるいは、金属系材料を有機系材料で被覆したものでも良い。処理トレイの材質は、その後のプロセスの条件に適合した材料で構成することが望ましい。
【0037】
ウエハ裏面研削を行い、極薄化したウエハについては、ウエハ表面保護用フィルムをウエハに付着した状態で処理トレイに載置した方が、ウエハの反りの影響が少ないこととウエハの破損を少なくできることから、望ましい場合が多い。
【0038】
裏面研削用ウエハ表面保護用フィルムのついたウエハを処理トレイに載置する方法について図6(a)〜(d)を用いて説明する。図6(a)は、ウエハを吸着前の処理トレイを示す図である。図6(b)に示すように、ウエハ表面保護用フィルム68が付いたままの状態でウエハ67の裏面が吸着面64の上に置かれる。吸引口66は外部の真空引き装置に接続していて、ウエハ67が置かれると、吸気孔65を通して減圧室62が真空引きされ、さらに吸着孔63を通してウエハ67が吸引され吸着面64にウエハ裏面69が吸着される。処理トレイ61の吸着面64には、図6(d)に示すように、吸着孔63が多数存在し、ウエハ67を確実に吸着できるようになっている。図6(d)の吸着孔は小さな円形で示しているが、他の形状、たとえば四角形や楕円形や三角形やそれらに類似した形状でも良い。あるいは、それらの組合わせでも良い。あるいは、ウエハ67を吸着できるその他の形状でも良い。ウエハ67を平坦状に維持でき、かつ確実に固定できる程度に吸着孔の数と形状と大きさを選択することができる。吸着孔63はウエハ搭載位置の範囲内にあることが必要である。何故なら、ウエハが真空吸着されてもウエハを吸着していない吸着孔63が存在し、真空度が安定しないからである。尚、真空引きに関しては、ウエハ67を置く前から吸引しても良い。ウエハ67を処理トレイに吸着した後に、図6(c)に示すように、ウエハ表面保護フィルム68を剥離する。剥離する前に、保護フィルムとウエハ表面との密着性を減じたり、ウエハ表面に保護フィルムからの接着剤(いわゆる、糊残り)が残らないようにするために、UV(紫外線)照射を行っても良い。保護フィルムの剥離は、保護テープ剥離マシーンを用いても良いし、マニュアル(手)で剥離することもできる。保護フィルム68を剥離しても、ウエハ67は処理トレイ61にしっかりと吸着され固定されているので、たとえ、ウエハが極薄になっても、または/及びウエハが大口径になっても、ウエハが反ることはなく、平坦な状態を維持できる。従って、本発明の処理トレイ61を用いれば、保護テープ剥離マシーンにおいても自動化可能である。
【0039】
ウエハ67をしっかりと吸着した後に、吸引口66を閉じ、真空吸着部の気密性(真空度)を確保する。この気密性を確保する方法として、吸引口66に蓋や栓をしシールする方法や吸引口66に切替弁や逆止弁を設けてその弁で閉じる方法などがある。このようにすることにより、処理トレイを真空引き装置と切り離して、その後のプロセスを行うことができる。もちろん、その後のプロセスにおいても当初の真空引き装置を連続して処理トレイに接続できる場合は、上記の気密性を確保する方法を用いなくても、真空吸着部の真空度を確保できることは自明である。
【0040】
処理トレイはウエハ1枚ごとに1枚対応する。ウエハに接触しないように注意すれば処理トレイ1枚ごとに搬送や処理が可能である。自動化をそのように設計すれば良いので、自動化も可能である。あるいは、この処理トレイを複数枚処理トレイケース等に入れ移動や運搬も可能である。これも自動化をそのように設計すれば良いので、自動化も容易である。
【0041】
図6では、吸気孔が減圧室の下側から入るように描かれているが、横側からストレートに入っても良い。この場合には、減圧室の下側に位置する処理トレイの肉厚を薄くできるので、処理トレイ全体を薄くすることが可能となる。また、処理トレイは、ウエハが吸着できるような構造であれば良い。さらに、図1〜6で示す形状(円板状)でなくても良い。たとえば、処理トレイは、平面図が長方形、全体形状が直方体であっても良いし、平面図が正方形、全体形状が直方体であっても良い。直方体の形状の場合は積み重ねが容易であり、処理トレイケースへの保管も簡単である。また、ある程度強度があり、繰り返し使用できる構造であれば良い。
【0042】
本発明の処理トレイをウエハ切断工程に用いる方法について説明する。
【0043】
ウエハ切断方法として、ダイシングブレードを用いたダイシング装置(いわゆる、ダイサー)を用いる方法がある。これは、処理トレイ上に載置されたウエハを所望の大きさにダイシングブレードで切断する方法である。一般にウエハ上にパターン形成されたスクライブラインに沿って切断する。ウエハの厚みや、ウエハの材質、ウエハ上に形成された薄膜等に応じてダイシングの条件を変化させてウエハ切断(ダイシング)を行う。また、ダイシングをするウエハの量によって、フルカット、セミフルカット及びハーフカット等の方法がある。
【0044】
フルカットとは、ウエハを完全に切断する方法である。従って、切込みが処理トレイ側に入る。また、セミフルカットとはウエハ厚み量程度を切断する方法であり、ウエハはほぼ完全に切断されるが、できるだけ切込みを処理トレイ側に入れないようにする方法である。これらのフルカット及びセミフルカットでは、処理トレイ側にダイシングの切込みが入り、傷がつくので、処理トレイを繰り返し使うことが困難である場合が多い。処理トレイも比較的高価であるため、ダイシング時に処理トレイに傷が入らないようにし、処理トレイを繰り返し使用することが望ましい。
【0045】
この方法の一つとして、図7に示すように、処理トレイ71の吸着面74とウエハ77との間に薄いシート78を挟む方法がある。このシート78は特に、ダイシング等のウエハ切断の時に、処理トレイに損傷を与えないという役割を持たせることができる。このシートは、処理トレイに損傷を与えないことが達成できれば、トレイの薄型化や材料コストの面で、薄い方が望ましい。また、ウエハ77が処理トレイ71の真空吸着部に吸着されるために、シート78に小孔をあけておいても良い。あるいは、シート自体がポーラスな(間隙の多い)ものであれば、特にシートに小孔をあけなくてもウエハを真空吸着できる。あるいは、網目状のシートも使用できる。この網目状のシートは、網目部の部分が真空シールの役割を果たすので、真空の気密性を保つことができる。
【0046】
薄いシートには切込みは入るが、処理トレイまでは切込みが入らないような条件でダイシングを行えば、薄いシートは何回も使用できないが、比較的高価な処理トレイは何回でも繰り返し使用できる。たとえば、ダイシングの切断厚み制御は最小10μm程度は可能なので、フルカットの切断量をウエハ厚みより50μm厚く設定する場合には、薄いシート78の厚みを100μm程度にすれば、ダイシング時の切込みは、薄いシート内で留まり、処理トレイに入ることはない。薄いシートの厚みをさらに薄くしたい時には、厚み制御が優れたダイシング装置を使用したり、フルカット量の切断量をさらに小さくするなどして対応できる。フルカットの場合には、後述のロールなどを用いたウエハの完全切断法を用いる必要がないが、セミフルカットの場合は、完全に切断されていないチップも存在する可能性があるので、後述のロールなどを用いたウエハの完全切断法を用いる必要がある場合がある。いずれにしても、薄いシートを挟むことにより、ウエハは完全に切断され、しかも処理トレイには切込み等のダメッジが入らないので、処理トレイを繰り返し使用できる。
【0047】
フルカットを用いて完全にウエハを切断しながら、処理トレイに損傷を与えない別の方法として、ダイシングテープを用いる方法がある。これは、処理トレイ吸着前に、ウエハ表面保護フィルムが付着したウエハの裏面にダイシングテープを付着させ、その後で処理トレイに載置し吸着する方法である。これを図8(a)に示す。ダイシングテープ88が処理トレイ81の吸着面84に吸着されている。図8ではウエハ表面保護フィルムは示されていないが、このフィルムを残しても問題ない製品であれば、ウエハ表面保護フィルムを残しておいても良い。一般には、ウエハ表面保護フィルムは処理トレイに吸着した後で剥離することができる。あるいは、ダイシングテープ88を付着させた後に、処理トレイ吸着工程に入る前に、ウエハ表面保護フィルムを剥離しても良い。図6において説明したように、保護フィルムの剥離の前にUV照射を行っても良い。ウエハ表面保護フィルムを剥離した場合でも、処理トレイやダイシングテープがウエハを支持しているので、たとえウエハが極薄でも、または/及びウエハが大口径であっても、ウエハが反ることはなくウエハを平坦な状態でプロセスできる。図8(b)は、図8(a)のダイシングテープ付のウエハ87をダイシングする場合の様子を示す模式図である。ダイシングブレード80がウエハの所望の位置を切断し、切断部89を形成する。フルカットの場合、切断部89はウエハを完全に分離し、しかもダイシングテープ88にも切込み部90が入る。しかし、処理トレイ81には切込みは入らず、処理トレイ81は損傷しないので、処理トレイ81を繰返し使用できる。
【0048】
次にハーフカットについて説明する。ハーフカットとは、完全に切断しないで、切込みをウエハ内で留める切断方法である。この場合には、処理トレイ側には切込みは入らないので、処理トレイに損傷はなく、処理トレイを繰り返し使用できる。また薄いシートやダイシングテープも必要がない。ただし、ウエハが完全に切断されていないので、ダイシング後にウエハ上から少し圧力をかけて、ウエハを切断する必要がある。たとえば、ウエハ上をロール等で軽くなぞることにより、切断できる。ウエハがシリコンウエハの場合には、(111)面でへき壊することは周知である。尚、ハーフカットの場合でも緩衝材として、薄いシートを挟んでも良い。また、ダイシングテープをウエハ裏面に貼合して処理トレイに吸着することもできる。
【0049】
上記のブレード型ダイシング装置では、水を使用するため、処理トレイやシートは水に濡れるが、ダイシング後に脱水・乾燥することにより、水分を除去可能である。処理トレイの材料は、上記した様な材料であるから、水分を内部に吸着することもない。シートについても、水分吸着や水分吸収のしない材料を用いることにより、水分を内部に吸着することもない。また、シートが水分を少し吸着したとしても、乾燥時多少暖めることにより、水分を除去できる。或いは、完全に水分を除去できなくとも、チップ移載時またはチップ移載後に水分を除去すれば特に問題が発生しない場合もある。
【0050】
ウエハ切断に関する他の方法として、レーザーによる切断方法(レーザーダイシング)がある。この場合も上述のフルカット、セミフルカットやハーフカットを用いることができ、切断時の問題点として、ダイシングによる方法と同じことが言える。ただし、レーザーによる切断の場合には、材料による選択性を利用することができる。たとえば、ウエハを完全に切断できるが、処理トレイやシートに損傷を与えないレーザー光の条件を設定可能である。また、水などを用いないでドライ状態で切断することができるので、水分残りなど水に関する問題も発生しない。
【0051】
ウエハ切断に関する他の方法として、高圧水による切断方法がある。この場合も上述のフルカット、セミフルカットやハーフカットを用いることができ、切断時の問題点として、ダイシングによる方法と同じことが言える。ただし、高圧水による切断の場合にも、材料による選択性を利用することができる。たとえば、ウエハを切断できるが、処理トレイやシートに損傷を与えない高圧水の条件を設定可能である。
【0052】
本発明の処理トレイはウエハ切断工程後にチップ移載工程にも適用可能である。すなわち、処理トレイに吸着されたウエハを所望のサイズのチップに切断した後で、チップをピックアップして所定の場所に移載することができる。所定の場所とは、チップのその後の使用方法によって異なる。たとえば、ICパッケージの場合には、リードフレームやCOB基板上に搭載する。チップトレイに移載する場合もある。回路基板上に移載する場合もある。
【0053】
チップのピックアップはたとえばコレットをチップにあて真空吸引して行う。チップをピックアップする前に、処理トレイ側の真空を破るか、真空度を少し弱めるかすることが好ましい場合がある。一般には、ピックアップ時にウエハ表面から真空吸着するが、このピックアップ側の真空度が、処理トレイの真空度より強ければ、チップはピックアップできる。しかし、ピックアップ側の真空度が強すぎると、ピックアップ後に、チップに大気圧と真空度との圧力差による力がチップに加わるので、チップにダメッジが入る場合もある。そのような恐れのある場合(チップ厚みが薄い場合や、チップサイズが大きい場合など)には、チップをピックアップする前に、真空を破るか、真空度を少し弱めるかすることが好ましい。
【0054】
また、チップの下に吸着孔がある場合などには、チップをピックアップ後などに、切替弁や逆止弁を用いて減圧室82の真空を保持している場合は、真空が破れる可能性があるので、ピックアップ時に処理トレイの真空部分を真空に引く必要がある場合もある。このように処理トレイの真空部分を真空に引くことにより、一部のチップをピックアップ後もチップは処理トレイ側に引かれるので、真空が破れたりすることによるチップの位置ずれ等の問題も発生しない。また、ピックアップ装置側や移載側等に位置ずれ補正が装備されている場合には、真空が破れることによる問題の発生は少ない。
【0055】
前述のダイシングテープを用いてウエハを吸着する場合も、たとえフルカット法を用いても、ダイシングテープは深さ方向には完全に切断されていないので、チップのピックアップによる処理トレイの真空が破れるという問題は発生しない。
【0056】
以上説明したように、チップ移載においても本発明の処理トレイを用いているので、チップ移載工程の自動化もできるし、ウエハ切断工程の自動化およびウエハ切断からチップ移載工程との工程間の連結も自動(たとえば、自動移送)化が可能となる。
【0057】
ダイシングテープとチップの密着性を減少させるために、チップを移載する前に、UV照射を行うこともできる。UV照射はダイシングテープの糊残り対策として有効である。本発明の処理トレイを用いて、UV照射も可能であるから、UV照射工程の自動化はもちろん、その前後工程との工程間の連結も自動(たとえば、自動移送)化が可能である。
【0058】
本発明の処理トレイは、裏面研削後のウエハ裏面の加工歪除去にも適用できる。そのウエハ裏面研削適用方法について、詳細に説明する。ウエハ裏面研削工程後に、図9に示すように、ウエハ表面保護フィルム98を付着した状態でウエハ97を処理トレイ91の吸着面94に載置する。この時、図9に示すように吸着面94に接するのは、ウエハ表面保護フィルム98側である。ウエハ97の裏面99は処理トレイ91の最上面にむき出しとなっている。ウエハ裏面研削工程から処理トレイ91に移載する方法として、自動で行う方法とマニュアルで行う方法がある。吸引口96は外部の真空引き装置に接続していて、ウエハ97が置かれると、吸気孔95を通して減圧室92が真空引きされ、さらに吸着孔93を通してウエハ97が吸引され吸着面94にウエハ表面保護フィルム98が吸着される。吸着される前は、極薄ウエハ、または/及び大口径ウエハの場合には、比較的柔軟な(フレキシブルな)状態にあるが、吸着後はウエハがしっかりと固定され、平坦な状態を維持できる。
【0059】
ウエハ裏面加工歪除去工程に用いることができる処理トレイの形状として、図5に示した場合と同様に、周辺がテーパー部を有するトレイを使用することもできる。また、周辺が正方形や長方形などの形状のエッチングトレイも使用できる。この場合の全体形状としては、直方体になる。
【0060】
ウエハを吸着した処理トレイを用いて裏面加工歪除去工程を行う。裏面加工歪除去方法として、ドライエッチングによる方法とウエットエッチングによる方法とがある。従って、ウエハ加工歪除去工程で用いる処理トレイを以下の説明においてエッチングトレイと呼ぶ。
【0061】
ドライエッチング方法としては、プラズマエッチングや光エッチングがある。ウエハの裏面加工歪除去をドライエッチングで行う場合には、エッチングトレイをステンレス鋼等の金属系のトレイにすることが望ましい。ドライエッチングに用いるエッチング用ガスとしては、ウエハ材料がシリコン(Si)や砒化ガリウム等の化合物半導体などの場合には、CF4やC2F6やSF6やCCl4やCHF3等のエッチングガスが用いられるが、テフロン(登録商標)系の材料を主体とする処理トレイでは、エッチングトレイも反応したりして損傷を受ける可能性があり、エッチングトレイを何回も使用することが困難となる場合がある。従って、ドライエッチングの場合には、エッチングトレイの材料はドライエッチング用ガスと反応しないか、反応しにくい材料である金属系の材料が望ましい。特にステンレス鋼やニッケル鋼やクロム鋼の場合には、ドライエッチングガス耐性が大きいので、さらに望ましく、エッチングトレイの繰返し使用が可能となる。
【0062】
裏面加工歪除去をウエットエッチングで行う場合には、エッチングトレイをPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロエチレンプロペンコポリマ)等のフッ素系樹脂材料やその他の有機系材料などのトレイにすることが望ましい。ウエットエッチングプロセスのウエハのエッチング液としては、アルカリ系水溶液やフッ硝酸系水溶液がある。これらの水溶液は金属系の材料をわずかでも侵す可能性があり、エッチングトレイを何回も使用することが困難となる場合がある。従って、ウエットエッチングの場合には、ウエットエッチング液と反応しないか、反応しにくい材料である上記のフッ素系樹脂材料が望ましい。
【0063】
従来、ウエハが極薄のウエハ厚の場合、または/及び大口径のウエハの場合は、ウエハの平坦状態の維持が困難などのために、ウエハ裏面加工歪除去工程におけるウエハ搬送はマニュアルが多かったが、本発明のエッチングトレイを用いれば、ドライエッチングでもウエットエッチングでもウエハの搬送を容易に自動化でき、工程間および工程内自動化が可能となる。これによって、大幅なコストダウンが可能となる。
【0064】
ウエハ裏面加工歪除去工程後のプロセスはウエハ表面からの加工が必要な場合が多いので、裏面加工歪除去を行ったウエハ表面保護フィルムの付着したウエハを、エッチングトレイから処理トレイ(この場合は、これまでに説明したものと同様の処理トレイのことである)へ移載する必要がある。図9において、エッチングトレイ91の吸着面94にウエハ97が真空吸着されているので、吸引口からエアー等を入れ真空吸着部の真空を破る。その後で、ウエハ97を処理トレイに移載する。ウエハの移載は、マニュアルまたは自動で行うことができる。
【0065】
ウエハ表面に形成されたデバイスの最終電気特性検査は、ウエハ切断前に行うことが望ましい。さらに望ましくは、ウエハ切断後、チップ移載前に行うことがさらに望ましい。何故ならウエハの電気特性は前の工程の影響を受けるからである。しかし、ウエハ裏面研削後において、ウエハが200μm以下の厚みになった場合、またはウエハ厚みが200〜400μmでもウエハ径が200mm以上(たとえば、200〜1000mm)と大口径になった場合には、ウエハの反りが大きくなったり、強度不足によるウエハ損傷の恐れがあるために、従来は、ウエハ裏面研削後はウエハの電気特性検査を行うことが困難であった。しかし、本発明の処理トレイを用いることにより、ウエハ切断前に電気特性検査を行うことが可能となる。すなわち、処理トレイにウエハを吸着した状態で、電気特性検査を行うことができる。しかも自動化にも対応できる。たとえば、処理トレイを処理トレイケースに複数枚セットしておけば、あるいは、積み重ねの可能な処理トレイを使えば、複数枚の処理トレイを重ねてテスターにセットしておけば、やはり電気特性検査装置(テスターなど)で自動的に処理可能である。
【0066】
さらに、本発明の処理トレイを用いれば、ウエハ切断後にも電気特性検査を行うことができる。すなわち、ウエハ切断後にもチップとして処理トレイに吸着させることも可能であるから、電気特性検査が可能となる。たとえば、ウエハのチップ配列に合わせて、吸着孔を配置しておけばよい。ウエハのチップ配列に合わせた処理トレイをデバイス毎に用意しておけば良い。あるいはウエハのチップ配列に合わせた吸着板を用意して、デバイス毎に吸着板を変更するということもできる。このことにより、ウエハが切断場所(いわゆる、スクライブライン)に沿って完全に切断されたとしても、チップはチップ毎に配列した吸着孔によって吸着されているので、切断後もチップ位置が変化することはない。また、ダイシングテープに付着したウエハを処理トレイに吸着させ、かつダイシングテープの内部で切込み部を留めておけば、ウエハを切断してもダイシングテープは処理トレイに吸着されており、処理トレイの真空は破られないから切断後のチップは固定されていて、チップの電気特性検査を行うことが可能となる。また、ハーフカット方式を用いれば、ウエハ切断後も処理トレイの真空は破られないので、ウエハ(チップ)の電気特性検査を行うことが可能となる。尚、ダイシングテープがあった場合でも、ハーフカット方式の場合でも、ウエハのチップ配列に合わせた吸着孔があれば、ウエハ切断後にもチップの位置ずれが少ない場合もあり、安全性が高いということが言える。
【0067】
図10に処理トレイの別の実施形態を示す。この処理トレイ101は吸着面104を有する吸着板109が取り外しできるようになっている。吸着面104上に多数の吸着孔103が存在する。この吸着孔103はウエハ上の個々のチップに対応するように配置することもできるので、上述したように、ウエハがチップ毎に完全に切断されてもチップが個々に吸着面に吸着される。吸着板109は、処理トレイ101に保持部108で連結されるようになっている。デバイスが変わり、ウエハ内のチップ位置が異なる場合は、そのチップ位置に合わせた吸着板に変更することができる。吸着板が処理トレイ101と連結すると、支持隔壁に支持されるようになっている。吸着板109や処理トレイ101に情報表示手段を取り付ければデバイスや吸着板や処理トレイの管理も容易になる。このような処理トレイを使用することにより、種々のデバイスについて、ウエハ切断後に電気特性検査や外観検査などを行うことが可能となる。
【0068】
エッチングトレイや処理トレイには、バーコードやRFタグのような無線タグなどの情報表示手段を取り付けることができる。たとえば、これらのトレイ(以下、単にトレイと言う)の側面や底面などに取り付けることができる。また、図5で示すような周辺部が高くなっているトレイでは、周辺部のウエハが載置されない平坦な場所にも取り付けることができるし、テーパー部にも取り付けることが可能である。さらに、図1〜4に示すような上面が平坦なトレイでも、ウエハの周辺または、ウエハのファセットの外側部分などウエハが載置されない場所にも取り付けることができる。最近の情報表示手段は非常に小さくなっているので、少しのスペースがあれば取付けが可能である。これらの表示手段を取り付けることにより、種々のプロセス情報を書き込んだり、読み込んだりできる。その情報に従って、プロセスの条件を変更することも可能となる。トレイ毎に情報表示手段を取り付けることができるので、ウエハの枚葉管理もできる。従って、種々のデバイスを混在して流動が可能となる。たとえば、本発明の処理トレイを用いると、ダイシング工程においても、ウエハ1枚ごとに、ダイシングの条件を変更可能である。また、電気特性検査においても、1枚ごとに異なったデバイスの検査が可能となる。さらに、1枚のウエハ内のチップ毎に検査条件の変更も可能である。加工処理能力の異なる場合などによりウエハが工程間で滞留しても、1枚ごとに誤りなく情報を把握できる。また、情報を保管することも容易となるので、処理トレイを使用してプロセスを行ったウエハについては、トレーサビリティも高くなり、信頼性の高い製品を作製できる。
【0069】
また、本発明の処理トレイはトレイケースに収納もできるし、クリーンボックスなどにも保管できる。また、積み重ねが可能な処理トレイの場合には、単純積み重ねも可能なので、スペースを最小化もできる。従って、工程内および工程間に清浄かつ安全に、または/及び大量にストックでき、工程設計が容易になる。
【0070】
さらに、極薄ウエハまたは/及び大口径ウエハでは工程間搬送時に破損しやすいという問題を防止するために、ウエハを積層する時に各ウエハの間に消耗品である層間紙を挿入していたが、本発明の処理トレイを使用する場合は、このような層間紙は不要となり、これもコストダウンにつながるという利点もある。
【0071】
これまでも説明したように、処理トレイにウエハを吸着後は、処理トレイの自動搬送が可能となるので、処理トレイ吸着工程に続けて、ウエハ切断工程に、さらにチップ移載工程へと工程間搬送が自動で可能となる。従って、これらの一貫ラインを構築できる。さらに、これらの工程の間にウエハ電気特性検査工程やウエハ外観検査工程が入っても、同様に一貫した自動化ラインを構築でき、非常にコストの安い製造ラインを作ることが可能となる。また、処理トレイに情報表示手段を容易に付置できるので、ウエハの枚葉管理ができ自由度の高い製造ラインを作ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、半導体プロセスにおけるウエハ裏面研削工程以降のチップ加工プロセスにおいて、利用することができる。特に、極薄ウエハや極薄チップや大口径ウエハを用いる半導体産業において、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1(a)】図1(a)は、本発明の処理トレイに係る好適な実施形態を示す図である。
【図1(b)】図1(b)は、本発明の処理トレイに係る好適な実施形態を示す図である。
【図1(c)】図1(c)は、本発明の処理トレイに係る好適な実施形態を示す図である。
【図1(d)】図1(d)は、本発明の処理トレイに係る好適な実施形態を示す図である。
【図2】図2は、本発明の処理トレイに係る別の実施形態を示す図である。
【図3】図3は、本発明の処理トレイに係る別の実施形態を示す図である。
【図4】図4は、本発明の処理トレイに係る別の実施形態を示す図である。
【図5(a)】図5(a)は、本発明の処理トレイに係る別の実施形態を示す図である。
【図5(b)】図5(b)は、本発明の処理トレイに係る別の実施形態を示す図である。
【図6(a)】図6(a)は、本発明の処理トレイを用いて、ウエハを吸着する方法について示した図である。
【図6(b)】図6(b)は、本発明の処理トレイを用いて、ウエハを吸着する方法について示した図である。
【図6(c)】図6(c)は、本発明の処理トレイを用いて、ウエハを吸着する方法について示した図である。
【図6(d)】図6(d)は、本発明の処理トレイを用いて、ウエハを吸着する方法について示した図である。
【図7】図7は、薄いシートを本発明の処理トレイに用いた実施形態を示す図である。
【図8(a)】図8(a)は、ダイシングテープ付ウエハを本発明の処理トレイに用いた実施形態を示す図である。
【図8(b)】図8(b)は、ダイシングテープ付ウエハを本発明の処理トレイに用いた実施形態を示す図である。
【図9】図9は、本発明の処理トレイ(エッチングトレイ)にウエハを吸着した状態を示す図である。
【図10】図10は、取り外し可能な吸着板を有する本発明の処理トレイを示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1・・・処理トレイ、2・・・減圧室、3・・・吸着孔、4・・・吸着面、
5・・・吸気孔、6・・吸引口、7・・処理トレイ下側部分、8・・処理トレイ横側部分、
9・・処理トレイ上側部分、10・・吸引開口、11・・ウエハ、12・・隙間
21・・・処理トレイ、22・・・減圧室、23・・・吸着孔、24・・・吸着面、
25・・・吸気孔、26・・吸引口、27・・処理トレイ下側部分、28・・横側部分、
31・・・処理トレイ、32・・・減圧室、33・・・吸着孔、34・・・吸着面、
35・・・吸気孔、36・・吸引口、37・・処理トレイ下側部分、38・・横側部分、
41・・・処理トレイ、42・・・減圧室、43・・・吸着孔、45・・・吸気孔、
46・・・吸引口、47・・処理トレイ下側部分、48・・処理トレイ横側部分、
51・・・処理トレイ、52・・・減圧室、53・・・吸着孔、54・・・吸着面、
55・・・吸気孔、56・・・吸引口、57・・・ウエハ、58・・・テーパー部、
59・・・周縁平坦部、61・・・処理トレイ、62・・・減圧室、63・・・吸着孔、
64・・・吸着面、65・・・吸気孔、66・・吸引口、67・・ウエハ、
68・・・ウエハ表面保護フィルム、69・・・ウエハ裏面、
71・・・処理トレイ、72・・・減圧室、73・・・吸着孔、74・・・吸着面、
75・・・吸気孔、76・・・吸引口、77・・・ウエハ、78・・・薄いシート、
80・・ダイシングブレード、81・・処理トレイ、82・・減圧室、83・・吸着孔、
84・・・吸着面、85・・・吸気孔、86・・・吸引口、87・・・ウエハ、
88・・・ダイシングテープ、89・・・切断部、
90・・・(ダイシングテープへの)切込み部、91・・・処理トレイ、
92・・・減圧室、93・・・吸着孔、94・・・吸着面、95・・・吸気孔、
96・・・吸引口、97・・・ウエハ、98・・・ウエハ表面保護フィルム、
99・・・ウエハ裏面、101・・・処理トレイ、42・・・減圧室、
103・・・吸着孔、104・・・吸着面、105・・・吸気孔、106・・・吸引口、
108・・・保持部、109・・・吸着板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを真空吸着する真空吸着部を有するウエハ処理トレイであって、前記真空吸着部は、ウエハを載置する吸着面、前記吸着面上に開口したウエハを真空吸着する複数の吸着孔、複数の吸着孔が接続する減圧室、外部真空ラインと接続する吸引口、および前記減圧室と吸引口とを接続する吸気孔を有することを特徴とするウエハ処理トレイ。
【請求項2】
吸気孔または吸引口に、ウエハ処理トレイの真空吸着部に真空を保持するための切替弁または逆止弁が装備されていることを特徴とする、請求項1記載のウエハ処理トレイ。
【請求項3】
ウエハ処理トレイは、ウエハ吸着面およびその周辺が平坦であることを特徴とする、請求項1または2記載のウエハ処理トレイ。
【請求項4】
ウエハ処理トレイは、ウエハ吸着部がウエハ処理トレイの周辺に比較し窪んだ平坦部であり、ウエハ処理トレイの周縁部分がウエハ吸着部に比較し高い平坦部を有していていることを特徴とする、請求項1または2記載のウエハ処理トレイ。
【請求項5】
ウエハ処理トレイ周縁部分からウエハ吸着部までの斜面はテーパー形状であることを特徴とする、請求項4記載のウエハ処理トレイ。
【請求項6】
ウエハをウエハ処理トレイに吸着した状態において、ウエハの最上面がウエハ処理トレイの周縁平坦部より低いことを特徴とする、請求項4または5記載のウエハ処理トレイ。
【請求項7】
ウエハ処理トレイの平面形状が、正方形、長方形、円形またはこれらに類似した形状であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項8】
ウエハ処理トレイの1部または全部がステンレス鋼であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項9】
ウエハ処理トレイの1部または全部が、ポリテトラフルオロエチレンまたはパーフルオロエチレンプロペンコポリマーであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項10】
ウエハ処理トレイの吸着面の吸着孔はウエハのチップ位置ごとに存在していて、ウエハのスクライブライン上には存在していないことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項11】
ウエハ処理トレイをウエハ電気特性検査またはウエハダイシング工程にて用いることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項12】
ウエハ処理トレイをウエハ裏面加工歪除去工程に用いることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項13】
ウエハ処理トレイの吸着面を含む上側部分の1部または全部が、ウエハ処理トレイから分離可能であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項14】
ウエハ処理トレイに情報表示手段を付置していることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項15】
情報表示手段は、ウエハ処理トレイの側面部、底面部または上面部の少なくともいずれかの部分に付置していることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項1】
ウエハを真空吸着する真空吸着部を有するウエハ処理トレイであって、前記真空吸着部は、ウエハを載置する吸着面、前記吸着面上に開口したウエハを真空吸着する複数の吸着孔、複数の吸着孔が接続する減圧室、外部真空ラインと接続する吸引口、および前記減圧室と吸引口とを接続する吸気孔を有することを特徴とするウエハ処理トレイ。
【請求項2】
吸気孔または吸引口に、ウエハ処理トレイの真空吸着部に真空を保持するための切替弁または逆止弁が装備されていることを特徴とする、請求項1記載のウエハ処理トレイ。
【請求項3】
ウエハ処理トレイは、ウエハ吸着面およびその周辺が平坦であることを特徴とする、請求項1または2記載のウエハ処理トレイ。
【請求項4】
ウエハ処理トレイは、ウエハ吸着部がウエハ処理トレイの周辺に比較し窪んだ平坦部であり、ウエハ処理トレイの周縁部分がウエハ吸着部に比較し高い平坦部を有していていることを特徴とする、請求項1または2記載のウエハ処理トレイ。
【請求項5】
ウエハ処理トレイ周縁部分からウエハ吸着部までの斜面はテーパー形状であることを特徴とする、請求項4記載のウエハ処理トレイ。
【請求項6】
ウエハをウエハ処理トレイに吸着した状態において、ウエハの最上面がウエハ処理トレイの周縁平坦部より低いことを特徴とする、請求項4または5記載のウエハ処理トレイ。
【請求項7】
ウエハ処理トレイの平面形状が、正方形、長方形、円形またはこれらに類似した形状であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項8】
ウエハ処理トレイの1部または全部がステンレス鋼であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項9】
ウエハ処理トレイの1部または全部が、ポリテトラフルオロエチレンまたはパーフルオロエチレンプロペンコポリマーであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項10】
ウエハ処理トレイの吸着面の吸着孔はウエハのチップ位置ごとに存在していて、ウエハのスクライブライン上には存在していないことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項11】
ウエハ処理トレイをウエハ電気特性検査またはウエハダイシング工程にて用いることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項12】
ウエハ処理トレイをウエハ裏面加工歪除去工程に用いることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項13】
ウエハ処理トレイの吸着面を含む上側部分の1部または全部が、ウエハ処理トレイから分離可能であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項14】
ウエハ処理トレイに情報表示手段を付置していることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【請求項15】
情報表示手段は、ウエハ処理トレイの側面部、底面部または上面部の少なくともいずれかの部分に付置していることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかの項記載のウエハ処理トレイ。
【図1(a)】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図1(d)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【図6(d)】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9】
【図10】
【図1(b)】
【図1(c)】
【図1(d)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【図6(d)】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−281050(P2007−281050A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102756(P2006−102756)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】
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