説明

半導体ウエハのチップ加工方法

【課題】半導体ウエハを裏面研削した後の極薄ウエハ(10〜200μmウエハ厚み)は強度が小さく破損しやすい。また、変形しやすくその後のプロセスの自動化が困難である。
【解決手段】裏面研削後に、ウエハ表面保護フィルムを付着させたまま処理トレイに真空吸着させウエハを固定する。処理トレイは真空吸着部を持ち、ウエハ搭載面に真空吸着孔がある。保護フィルムを剥離後、ウエハ切断、チップ移載を行う。ウエハは処理トレイで固定されていて、平坦な状態を維持できるので、処理トレイ吸着後の工程を自動化できる。ウエハの破損もなくなり各種検査もできるので、コストの低いプロセスを構築できる。また、裏面加工歪除去をエッチングトレイを用いて処理可能である。トレイは繰り返し使用できるため、環境負荷も少ない。トレイには情報表示手段を載せ枚葉管理もでき、トレーサビリティ等の製品信頼性も向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体用ウエハを裏面研削後にチップ加工する方法に関する。特に極薄化したウエハのチップ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用ウエハの一方の面(以下、表面)に、トランジスタ、不純物拡散層および導電体層等の素子を形成した後で、ウエハの裏面を研削しウエハ厚みを所望の厚みに加工することが一般に行われている。この加工の後で、所望の形状(大きさ)にダイシングされ、半導体チップ加工される。このチップが半導体パッケージや、回路基板等に搭載される。この半導体パッケージや回路基板等が、極めて薄いものが要求されてきていて、その場合には最終のウエハ厚みを極薄化する必要がある。半導体素子形成時における初期のウエハの厚みは、300〜1000μmであるが、最終のウエハ厚み(チップ厚み)は10〜200μmになる場合もある。このような薄いウエハになると、何ら支持のない単独のウエハでは、ウエハの表面と裏面の応力差により激しく湾曲したり(いわゆる、反りが大きくなり)、またウエハの強度が小さくなり、ウエハに傷や欠陥を誘発する可能性が高くなる。あるいは、最終のウエハ厚みが上記ほど薄くない場合であっても(たとえば、200〜400μm)、ウエハが大口径化した場合(たとえば、200mm以上)にも、ウエハが激しく湾曲したり、ウエハに傷や欠陥を誘発する可能性が高くなる。これを防止するために、ウエハ裏面研削工程で用いたウエハ表面保護フィルムを付着させた状態で、ウエハ裏面研削工程の後に、ウエハ裏面にダイシングテープを貼合し、その後で前記ウエハ表面保護フィルムを剥離し、ダイシングすることが提案されている(たとえば、特開2002-246345号公報、特開2004-186296号公報)。
【0003】
さらに、極薄ウエハ、または/及び大口径化したウエハは、その強度不足によるウエハの損傷の恐れやウエハの変形による工程間内搬送等の困難さなどのために、ウエハの最終電気特性検査ができないために、ウエハの裏面研削前に最終電気特性検査を行い、そのデータをもとにして良品(Good Die)としてチップ選別している。また、ウエハの裏面研削前の検査であるため、ウエハの不良品チップにインクやスクラッチ等の外観検査で認識可能な印(バッドマーク)をつけることができず、ウエハ内の良品チップをコンピュータに記憶させ、チップのピックアップの際にウエハ内の位置を割り出すという方法を用いている。
【0004】
また、ウエハ裏面研削後のウエハは、たとえウエハ表面保護フィルムやダイシングテープが付着しウエハを支持していても、そのままでは平坦な状態を維持できないため、工程間搬送や工程内搬送を自動で行うことができず、大半はマニュアルで行っている。たとえば、ウエハ切断前後の外観検査も一枚一枚手動で搬送している。
【0005】
【特許文献1】特開2002-246345号公報
【特許文献2】特開2004-186296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ウエハ裏面研削後にウエハ厚みが極薄になった場合、または/及びウエハが大口径の場合には、ウエハ裏面研削後にウエハ表面保護フィルムを剥離すると、ウエハが反ったり、破損しやすくなるという問題がある。また、このウエハの反りや破損を防止するために、ウエハ表面保護フィルムをウエハに付着させた状態で、ダイシングテープに付着させる方法では、ダイシングテープという高価なフィルムを用いなければならない。また、このダイシングテープは消耗品であるため、リサイクルやリユースが困難となり、大きな環境負荷となる。さらに、ダイシングテープの粘着層がチップの裏面に残る(いわゆる、糊残り)ために、歩留まりを低下させる原因ともなる。さらに、このチップ裏面の糊残りを防止し、チップのピックアップをしやすくするために、ダイシング後にUV照射を行う場合があり、UV照射機という高価な装置を使用し、コストの高いプロセスとなっている。
【0007】
また、ウエハ裏面研削後にウエハ厚みが極薄になった場合、または/及びウエハが大口径の場合には、たとえウエハ表面保護フィルムが付着していても、ダイシングテープが付着していても、ウエハはフレキシビリティ(柔軟性)があり、ウエハ単独で平坦な状態を維持することは困難である。このため、ウエハ裏面研削後の工程を自動で搬送または処理することができず、人手が介在したり、ウエハに損傷を与える危険性が高いという問題がある。このため極めて高価なプロセスとなっている。
【0008】
さらに、良品判定の電気特性検査は、ウエハの裏面研削前に行うため、ウエハ裏面研削後に変動した電気特性の変化を検出できなかったり、不良化したチップを良品として製品に搭載してしまうという問題がある。これを防止する一つの方法として、ウエハ裏面研削前の検査では、ある程度厳しい検査をして、ウエハ裏面研削後に変動した電気特性の変化に対応しているが、歩留まりを落とす原因となり、コストアップの要因となっている。ウエハ裏面研削後に破壊したり損傷を受けたウエハは、電気特性検査を全くする必要がないにも関わらず、ウエハ裏面検査前に電気特性検査をしなければならず、高価な半導体検査装置(テスター)を使うため、これもコストアップの要因となっている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明では、ウエハ裏面研削後に、ウエハ表面保護フィルムを付着した状態で、ウエハ研削面であるウエハ裏面を処理トレイに吸着する。処理トレイは真空吸着部を有していて、ウエハ裏面を真空吸着できるようになっている。その後で、処理トレイに吸着した状態で、搬送し、ウエハ切断工程を行い、チップをピックアップし、チップをリードフレームや回路基板等の所定の場所に搭載する。
【0010】
第2の発明では、ウエハ裏面研削後に、ウエハ表面保護フィルムを付着した状態で、ウエハ表面保護フィルム側をエッチングトレイに吸着する。エッチングトレイに吸着したウエハ裏面の加工歪を除去した後に、ウエハ表面保護フィルムを付着した状態で、ウエハをエッチングトレイから処理トレイに移載し、ウエハ研削面であるウエハ裏面を処理トレイに吸着する。その後の工程は第1の発明と同様である。
【発明の効果】
【0011】
ウエハ表面保護フィルムを付着した状態で処理トレイに吸着し搭載するので、たとえ、ウエハが極薄(たとえば、ウエハ厚み10〜200μm)であっても、または大口径(ウエハ厚みが200〜400μmで、ウエハ直径が200mm以上)であっても、ウエハが反ったり破損したりすることはなくなる。処理トレイに吸着後に、ウエハ表面保護フィルムを剥離した場合でも、既に処理トレイが確実にウエハを支持しているので、ウエハが反ったり破損したりすることはない。また、処理トレイが強度を有していてウエハを保護しているので、やはりウエハが反ったり破損したりすることはない。
【0012】
ダイシングテープという高価な消耗品を使用しないので、安価でかつ環境負荷が小さい。さらに、糊残りという問題が発生しないので、糊残りによる歩留まり低下や信頼性低下という問題がなくなる。また、ダイシングテープ貼り装置やUV(紫外線)照射装置という高価な装置を用いる必要がなくなり、またそのプロセスもなくなるので、安価なプロセスを構築できる。処理トレイは何回でも繰り返し使用できるので、処理トレイによる環境負荷はなく、コスト増も非常に小さいという利点もある。
【0013】
ウエハを処理トレイに吸着した後は、ウエハが平坦な状態を維持できるので、ウエハ裏面研削工程後や裏面加工歪除去工程後に、電気特性検査を行うことができる。従って、前工程において生じた電気特性の変化や、傷などで不良化したチップの検出も容易にできる。さらに言えば、本発明を用いれば、ダイシング後にもウエハ状態での検査も可能となり、これまで不可能であるとされたダイシング後の電気特性検査も可能となる。ウエハの電気特性検査は、チップが製品に搭載される直前に行うことが最も望ましいが、本発明を用いることにより、それが可能となる。このことにより、不良チップを製品に搭載することがなくなり、極めて歩留まりの高いプロセスを構築でき、製品のコストダウンが可能となる。また、種々の電気特性検査が、ウエハ裏面研削工程後や裏面加工歪除去工程後に、あるいはダイシング工程後に可能となるので、極めて信頼性の高いチップを得ることができるという利点もある。
【0014】
従来のウエハ電気特性試験では、ウエハ裏面研削前に行うため、バッドマクーク等をウエハに付けることができなかったが、本発明ではウエハ裏面研削後等にウエハ電気特性検査を行うことができるため、バッドマーク等をウエハに付けることが可能となる。従って、チップピックアップ時に外観検査(自動または手動)を行うことができ、良品と不良品の判別の誤りがなくなる。また、肉眼または顕微鏡等で良品と不良品を判別できるので、不良解析を早くでき、その結果を工程にフィードバックでき、不良品の大量発生を防止できるという利点もある。
【0015】
さらに、ウエハを処理トレイに吸着した後は、ウエハが平坦な状態を維持できるので、工程内や工程間の搬送が自動化できる。この結果、ウエハを損傷したりするという危険性を減らすことができ、歩留まりの高いプロセスを構築できる。
【0016】
ウエハのダイシング工程前後には、従来はマニュアル搬送でしか検査できなかったが、本発明においては処理トレイを用いるので、自動搬送が可能となり、外観検査を容易に行うことが可能となる。この外観検査もチップが製品に搭載される直前に行うことが最も望ましい(直前のウエハやチップの欠陥を検出可能である)が、本発明を用いることにより、それが容易にできるようになる。
【0017】
第2の発明においては、エッチングトレイがウエハを支持し、保護しているので、処理トレイの場合と同様に、ウエハが反ったり破損したりすることはなくなる。従って、ウエハ裏面研削工程によって発生したウエハ裏面加工歪の除去工程も、ウエハの反りや破損を心配することなくプロセスが可能となり、ウエハ裏面加工歪除去工程の自動化も問題なく行うことができる。
【0018】
以上の他にも、本発明は以下のような効果もある。
ウエハを吸着したトレイが工程中で滞留しても、工程間で清浄かつ安全にストックできるために、加工効率を向上させることができ、工程設計が容易になる。すなわち、ウエハの表面が他のものに接触しないように、ウエハ(トレイ)ケースに収納できるとともに、そのケースの機密性を確実にすることもできる。あるいは、ウエハが重ならないようなトレイを用いることにより、トレイの上積み保管も可能となる。このことにより、工程間にウエハ(トレイ)やウエハ(トレイ)ケースをストックできるため、装置効率や処理効率を高めることができ、フレキシブル(柔軟)に工程設計が可能となる。
【0019】
処理トレイ等に、バーコードや、RFタグのような無線タグなどの情報表示手段を取り付けることが容易となり、ウエハの枚葉管理ができ、的確かつ正確な処理をウエハに施すことができる。また、ウエハのトレーサビリティを向上させることが可能となる。
【0020】
また、繰り返しになるが、工程間および工程内搬送や処理が自動化できるため、ウエハ(トレイ)検査や処理において、ウエハを破損することなく安全に行うことができ、加工歩留まりを向上させることができる。
【0021】
処理トレイは洗浄することで繰り返し使用することが可能であり、消耗品を極力少なくし、環境にやさしく、安価な製造が可能となるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明において、ウエハとは主には半導体ウエハを指す。たとえば、半導体ウエハの材料は、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)などの単元素半導体材料や、シリコンゲルマニム(SiGe)や砒化ガリウム(GaAs)やインジウムリン(InP)等の化合物半導体材料や、GaAlAs等の3元系以上の半導体材料である。しかし、これらにかかわらず、絶縁物の上に半導体デバイスを形成したものも含まれる。たとえば、ガラスや石英やプラスチックなどの上に薄膜デバイスを作成したもの、ガラスや石英やプラスチックなどの上に半導体材料を貼りあわせたものである。さらに、金属の上に絶縁物・半導体材料を貼りあわせたものも含まれる。さらには、プラスチック等の高分子材料も含まれる。
【0023】
本発明は、半導体デバイスをウエハ上に形成した後、チップにして種々の機器にチップを搭載するまでの、主にチップ加工工程に関する。ウエハの表面にトランジスタ等の能動素子、抵抗・コンデンサ・インダクタンス等の受動素子や配線・絶縁層等を形成し、半導体デバイスが作製される。本発明に適用される半導体デバイスとして、メモリ、CPU、システムIC、アナログIC、デジタルICなどがあるが、広義には単体の能動素子や受動素子も含まれる。すなわち、能動素子や受動素子を少なくとも1個以上含むものを表す。一般に半導体ウエハ上には、これらの半導体デバイスが多数形成され、個片(いわゆる、チップ)に切断された後に、用途に応じて種々の製品に搭載される。たとえば、半導体パッケージの場合には、リードフレームに搭載される。また回路基板に搭載され、携帯電話やICカードやPCなど種々の機器に用いられる場合もある。さらに、液晶や有機EL(エレクトロルミネッセンス)等の表示素子も含まれる。
【0024】
本発明の一つ(第一の発明)の実施形態であるチップ加工工程を図1に基づいて詳細に説明する。すなわち、図1に示すように、第一の発明は、ウエハ裏面研削工程101と、裏面研削加工によって発生したウエハ裏面加工歪除去工程102と、ウエハの処理トレイ吸着工程103と、ウエハの切断工程104と、チップ移載工程105とからなる。
【0025】
裏面研削工程101とは所望の厚みのウエハにするために、半導体デバイスが形成されているウエハ表面と反対側のウエハ裏面を研削し、ウエハを薄くする工程である。この工程では、ウエハ表面に形成されている半導体デバイスを保護するために、ウエハ表面に保護フィルムを貼合する。この保護フィルムとして、たとえばリンテック製E-seriesや三井化学製イクロステープがある。保護フィルムを貼合したウエハを裏面研削装置(いわゆる、バックグラインド装置)に配置し、砥粒を含んだ水を加えながら砥石でウエハ裏面を研削する。所望のウエハ厚みを得た時点で裏面研削を終了する。裏面研削は、一般に粗研削と仕上げ研削とからなる。粗研削は、粗い砥粒を用いて早くウエハ裏面を削る方法である。従って、ウエハ裏面には粗い研磨後に大きな歪や応力が残る。仕上げ研削は粗研削の後で行い、より細かい砥粒を用いて、前記の歪や応力を緩和する。しかし、歪や応力は完全には除去できないので、次の裏面加工歪除去を行う場合もある。
【0026】
裏面研削工程101後に、裏面加工歪の除去を行う。前記の歪や応力は、ウエハを反らせたり、損傷しやすくするというウエハに機械的な悪影響を及ぼすだけでなく、デバイスの電気特性や信頼性に悪影響を与えるため、この裏面加工歪除去工程102は、それらの悪影響を極力小さくすることを目的とする。この裏面加工歪除去工程102では、ウエハ表面保護フィルムを付着したままでプロセスを行う。ウエハの厚みが200μm以下に薄くなった場合または/及びウエハが200mm以上の大口径になった場合には、ウエハ表面保護フィルムを剥離すると、ウエハ単独ではウエハの反りが大きくなったり、ウエハの強度不足によるウエハの損傷が発生しやすくなり、裏面加工歪除去工程102を行うことが困難となる。また、裏面加工歪除去プロセスによるウエハへの影響を極力減らすためにも、ウエハ表面保護フィルムは必要である。
【0027】
裏面加工歪除去を行う方法としてドライ方式とウエット方式とがある。
ウエット方式とは、ウエハの裏面をエッチング溶液にさらし、ウエハ裏面を少しエッチング除去し、ウエハ裏面の加工歪層を取る方式である。ウエハがシリコン(Si)の場合や砒化ガリウム(GaAs)のような化合物半導体などの場合には、これらのエッチング液として、たとえば、フッ硝酸系エッチング溶液やKOHなどのアルカリ水溶液がある。ウエハをエッチング液に完全に浸した場合でも、ウエハ表面には裏面研削で用いたウエハ表面保護フィルムが存在するので、ウエハ表面はエッチングされない。しかし、裏面研削工程においてウエハ表面保護フィルムとウエハ表面との密着性が悪くなった場合や、ウエハ表面保護フィルムがエッチング液により変質したりする恐れがある場合、ウエハをエッチング液に完全に浸した場合には、エッチング液がウエハ表面をエッチングする可能性がある。これらの場合にはエッチング液に完全に浸さずに、露出したウエハ裏面だけにエッチング液を浸す方法もある。たとえば、スプレー方式でウエハ裏面に吹き付ける方法やエッチング液の蒸気をウエハ裏面だけに当てる方法もある。
【0028】
ドライ方式とは、上記のようなエッチング液を用いない方式である。たとえば、ウエハ裏面をプラズマエッチングしたり、光エッチングする方法がある。この場合もウエハ全体をドライエッチング雰囲気にさらすと、ウエハ表面には裏面研削で用いたウエハ表面保護フィルムが存在するので、ウエハ表面はエッチングされない。しかし、裏面研削工程においてウエハ表面保護フィルムとウエハ表面との密着性が悪くなった場合や、ウエハ表面保護フィルムがエッチング液により変質したりする恐れがある場合、ウエハ全体をドライエッチング雰囲気にさらすと、ウエハ表面をエッチングする可能性がある。これらの場合には、ウエハ全体をドライエッチング雰囲気にさらさずに、露出したウエハ裏面だけをドライエッチング雰囲気にさらす方法もある。たとえば、プラズマエッチングの場合において、一方の電極の上にウエハ表面保護フィルムの付着したウエハ表面を搭載することにより、プラズマ雰囲気中にはウエハの裏面だけをさらすという方法がある。また、光エッチングの場合には、ウエハ裏面だけに光を照射するという方法もある。
【0029】
次に、処理トレイ吸着工程103を行う。ウエハ表面保護フィルムを付着したままの状態で、処理トレイに載置する。処理トレイには真空吸着部があり、ウエハはその真空吸着部に載り、真空で吸着される。ウエハ裏面が真空吸着面となる。処理トレイに載置するまではウエハにはウエハ表面保護フィルムで支持されているが、ウエハ表面保護フィルムは柔らかいので、ウエハが極薄の場合(たとえば、10〜200μmの厚みのウエハ)、または/及びウエハが大口径化の場合(たとえば、ウエハ厚みが200μm〜400μmで、ウエハ直径が200mm以上)には、ウエハ表面保護フィルムを付着したままのウエハでは、柔軟な状態となっていて平坦な状態を保つことはできない。従って、処理トレイにウエハを載せるまでは、自動搬送が困難であり、マニュアル搬送が望ましい。もちろん、手動搬送と同程度の配慮のされた自動搬送なら自動でも良い。処理トレイに載置した後は、処理トレイに吸着されているので、ウエハが反ることはなく、平坦な状態を維持できる。処理トレイの一例を図2に示す。図2で示されるように、処理トレイ21は、減圧室22、吸着孔23、吸着面24、吸気孔25及び吸引口26を含んでいる。減圧室22、吸着孔23、吸着面24、吸気孔25及び吸引口26を処理トレイ21の真空吸着部と考えることができる。図2(a)は、ウエハを吸着前の処理トレイを示す図である。裏面研削用ウエハ表面保護用フィルムのついたウエハを処理トレイに載置する方法について図2(a)〜(d)を用いて説明する。図2(b)に示すように、ウエハ表面保護用フィルム28が付いたままの状態でウエハ27の裏面が吸着面24の上に置かれる。吸引口26は外部の真空引き装置に接続していて、ウエハ27が置かれると、吸気孔25を通して減圧室22が真空引きされ、さらに吸着孔23を通してウエハ27が吸引され吸着面24にウエハ裏面29が吸着される。処理トレイ21の吸着面24には、図2(d)に示すように、吸着孔23が多数存在し、ウエハ27を確実に吸着できるようになっている。図2(d)の吸着孔は小さな円形で示しているが、他の形状、たとえば四角形や楕円形や三角形やそれらに類似した形状でも良い。あるいは、それらの組合わせでも良い。あるいは、ウエハ67を吸着できるその他の形状でも良い。
【0030】
ウエハ27を平坦状に維持でき、かつ確実に固定できる程度に吸着孔の数と形状と大きさを選択することができる。吸着孔はウエハ搭載位置の範囲内にあることが必要である。何故なら、ウエハが真空吸着されてもウエハを吸着していない吸着孔が存在し、真空度が安定しないからである。尚、真空引きに関しては、ウエハ27を置く前から吸引しても良い。ウエハ27を処理トレイに吸着した後に、図2(c)に示すように、ウエハ表面保護フィルムを剥離する。剥離する前に、フィルムとウエハ表面との密着性を減じたり、ウエハ表面に保護フィルムからの接着剤(いわゆる、糊残り)が残らないようにするために、UV(紫外線)照射を行っても良い。フィルムの剥離は、保護テープ剥離マシーンを用いても良いし、マニュアル(手)で剥離することもできる。保護フィルムを剥離しても、ウエハは処理トレイにしっかりと吸着され固定されているので、たとえ、ウエハが極薄になっても、または/及びウエハが大口径になっても、ウエハが反ることはなく、平坦な状態を維持できる。従って、本発明の処理トレイを用いれば、保護テープ剥離マシーンにおいても自動化可能である。
【0031】
ウエハ27をしっかりと吸着した後に、吸引口26を閉じ、真空吸着部の気密性(真空度)を確保する。この気密性を確保する方法として、吸引口26に蓋や栓をしシールする方法や吸引口26に切替弁や逆止弁を設けてその弁で閉じる方法などがある。このようにすることにより、処理トレイを真空引き装置と切り離して、その後のプロセスを行うことができる。もちろん、その後のプロセスにおいても当初の真空引き装置を連続して処理トレイに接続できる場合は、上記の気密性を確保する方法を用いなくても、真空吸着部の真空度を確保できることは自明である。
【0032】
尚、ウエハ表面保護フィルムを剥離しないで、その後のプロセスを行うことができる場合は、保護フィルムを剥離する必要はない。たとえば、ウエハレベルパッケージやウエハレベルCSPの場合には、すでに最終製品まで完成しているので、保護フィルムを剥離しなくてもその後のプロセスを行うことができる場合がある。保護フィルムを剥離しない場合には、この後の工程であるウエハ切断工程においても、保護フィルムを付着させたままウエハ切断を行う。所望の形状に切断するために、保護フィルムは、ウエハのパターン、特に切断部分であるスクライブラインを認識できるような、切断装置にとって透明な材料であることが望ましい。あるいは、ウエハ表面のパターン状態をあらかじめ記憶させ、その情報によってウエハ切断を行うことができるウエハ切断装置であれば、保護フィルムを付着させたままでウエハ切断を行うことができる。
【0033】
図3は、処理トレイの別の実施形態である。図3(a)は横方向断面図、図3(b)は平面図である。図2に示す場合と異なるのは、ウエハを載置する場所(ウエハ載置部またはウエハ吸着面34)が周辺に比較しへこんでいることである。ウエハの載置部34には、図3(b)に示すように、吸着孔33が多数存在し、ウエハ37を確実に吸着できるようになっている。図2(b)の吸着孔は小さな円形で示しているが、他の形状、たとえば四角形や楕円形や三角形やそれらに類似した形状でも良い。ウエハ27を平坦状に維持でき、かつ確実に固定できる程度に吸着孔の数と形状と大きさを選択することができる。尚、吸着孔はウエハ搭載位置の範囲内にあることが必要であることは、図2に示す処理トレイと同様である。
【0034】
図3に示す処理トレイの周縁部から載置部への傾斜は、図3のテーパー部38で示されるように、テーパー状になっている。保護フィルム付ウエハが処理トレイの載置部に置かれる時に、多少位置ずれしてウエハの端がテーパー部38にかかっても、ウエハはテーパー部から滑って載置部にセットされる。すなわち、図2の場合の処理トレイに比較し、ウエハの載置場所が安定化するという利点がある。処理トレイ31の周縁部39はある程度平坦となっている。周縁部39の高さが、ウエハを載置部34に吸着した場合のウエハ表面の高さよりも高くしておくことにより、処理トレイを重ねて積層しても、ウエハへの接触がないという利点もある。周縁部39の平坦部の面積は、積み重ねても安定する程度の面積を確保する必要がある。従って、この場合は、特別のウエハ(処理トレイ)ケースを使う必要がない。その他は、図2に示す処理トレイと同様である。
【0035】
処理トレイ全体または一部の材質は、鉄、チタン、アルミ、銅、ニッケル、コバルト、クロム、亜鉛、モリブテン、タングステンまたは他の元素を含む金属から構成することができる。あるいは、これらの元素を主体にした合金であっても良い。処理トレイの重量がある程度必要な場合は、重い金属元素を含む金属や合金であることが望ましい。たとえば、ステンレス鋼やニッケル鋼やクロム鋼などである。処理トレイを軽くする必要がある場合には、アルミやチタンなどの軽い金属元素を含む金属や合金であることが望ましい。金属や合金は、一般に下記の有機系の材料よりも高温耐性や強度があるので、高温で処理する必要がある時などに、使用することが望ましい。
【0036】
あるいは、処理トレイ全体または一部の材質は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロエチレンプロペンコポリマ)等のフッ素樹脂またはその他の有機系材料であっても良い。上記の金属系の処理トレイに比較して、軽く、ウエットエッチング液耐性があるという利点がある。
【0037】
図4に示すように、処理トレイとウエハとの間に薄いシート48を挟む場合もある。このシート48は特に、ダイシング等のウエハ切断の時に、処理トレイに損傷を与えないという役割を持たせることができる。(詳細は、後述)このシートは、処理トレイに損傷を与えないことが達成できれば、トレイの薄型化や材料コストの面で、薄い方が望ましい。また、ウエハが処理トレイの真空吸着部に吸着されるために、シートに小孔をあけておいても良い。あるいは、シート自体がポーラスな(間隙の多い)ものであれば、特にシートに小孔をあけなくてもウエハを真空吸着できる。あるいは、網目状のシートも使用できる。この網目状のシートは、網目部の部分が真空シールの役割を果たすので、真空の気密性を保つことができる。
【0038】
処理トレイはウエハ1枚ごとに1枚対応する。ウエハに接触しないように注意すれば処理トレイ1枚ごとに搬送や処理が可能である。自動化をそのように設計すれば良いので、自動化も可能である。あるいは、この処理トレイを複数枚処理トレイケース等に入れ移動や運搬も可能である。これも自動化をそのように設計すれば良いので、自動化も容易である。
【0039】
図2や図3では、吸気孔が減圧室の下側から入るように描かれているが、横側からストレートに入っても良い。この場合には、減圧室の下側に位置する処理トレイの肉厚を薄くできるので、処理トレイ全体を薄くすることが可能となる。また、処理トレイは、ウエハが吸着できるような構造であれば良い、図2や図3で示す形状でなくても良い。たとえば、処理トレイは、平面図が長方形、全体形状が直方体であっても良いし、平面図が正方形、全体形状が直方体であっても良い。後者の形状の場合は積み重ねが容易であり、処理トレイケースへの保管も簡単である。また、ある程度強度があり、繰り返し使用できる構造であれば良い。
【0040】
本発明では、処理トレイ吸着工程114の後にウエハ切断工程115を行う(図1参照)。ウエハ切断方法として、ダイシングブレードを用いたダイシング装置(いわゆる、ダイサー)を用いる方法がある。これは、処理トレイ上に載置されたウエハを所望の大きさにダイシングブレードで切断する方法である。一般にウエハ上にパターン形成されたスクライブラインに沿って切断する。ウエハの厚みや、ウエハの材質、ウエハ上に形成された薄膜等に応じてダイシングの条件を変化させてウエハ切断(ダイシング)を行う。また、ダイシングをするウエハの量によって、フルカット、セミフルカット及びハーフカット等の方法がある。
【0041】
フルカットとは、ウエハを完全に切断する方法である。従って、切込みが処理トレイ側に入る。また、セミフルカットとはウエハ厚み量程度を切断する方法であり、ウエハはほぼ完全に切断されるが、できるだけ切込みを処理トレイ側に入れないようにする方法である。これらのフルカット及びセミフルカットでは、処理トレイ側にダイシングの切込みが入り、傷がつくので、処理トレイを繰り返し使うことが困難である場合が多い。処理トレイも比較的高価であるため、ダイシング時に処理トレイに傷が入らないようにし、処理トレイを繰り返し使用することが望ましい。この方法の一つとして、上述したように、薄いシートを処理トレイとウエハとの間に挟む方法がある。薄いシートには切込みは入るが、処理トレイまでは切込みが入らないような条件でダイシングを行えば、薄いシートは何回も使用できないが、比較的高価な処理トレイは何回でも繰り返し使用できる。たとえば、ダイシングの切断厚み制御は最小10μm程度は可能なので、フルカットの切断量をウエハ厚み+50μmに設定する場合には、薄いシートの厚みを100μm程度にすれば、ダイシング時の切込みは、薄いシート内で留まり、処理トレイに入ることはない。薄いシートの厚みをさらに薄くしたい時には、厚み制御が優れたダイシング装置を使用したり、フルカット量の切断量をさらに小さくするなどして対応できる。フルカットの場合には、後述のロールなどを用いたウエハの完全切断法を用いる必要がないが、セミフルカットの場合は、完全に切断されていないチップも存在する可能性があるので、後述のロールなどを用いたウエハの完全切断法を用いる必要がある場合がある。いずれにしても、薄いシートを挟むことにより、ウエハは完全に切断され、しかも処理トレイには切込み等のダメッジが入らないので、処理トレイを繰り返し使用できる。
【0042】
フルカットを用いて完全にウエハを切断しながら、処理トレイに損傷を与えない別の方法として、ダイシングテープを用いる方法がある。これは、処理トレイ吸着前に、ウエハ表面保護フィルムが付着したウエハの裏面にダイシングテープを付着させ、その後で処理トレイに載置し吸着する方法である。これを図5(a)に示す。ダイシングテープ58が処理トレイ51の吸着面54に吸着されている。図5ではウエハ表面保護フィルムは示されていないが、このフィルムを残しても問題ない製品であれば、前述したように、ウエハ表面保護フィルムを残しておいても良い。一般には、ウエハ表面保護フィルムは処理トレイに吸着した後で剥離することができる。あるいは、ダイシングテープ58を付着させた後に、処理トレイ吸着工程に入る前に、ウエハ表面保護フィルムを剥離しても良い。図2において説明したように、保護フィルムの剥離の前にUV照射を行っても良い。ウエハ表面保護フィルムを剥離した場合でも、処理トレイやダイシングテープがウエハを支持しているので、たとえウエハが極薄でも、または/及びウエハが大口径であっても、ウエハが反ることはなくウエハを平坦な状態でプロセスできる。図5(b)は、図5(a)のダイシングテープ付のウエハをダイシングする場合の様子を示す模式図である。ダイシングブレード50がウエハの所望の位置を切断し、切断部59を形成する。フルカットの場合、切断部59はウエハを完全に分離し、しかもダイシングテープ58にも切込み部60が入る。しかし、処理トレイ51には切込みは入らず、処理トレイは損傷しないので、処理トレイ51を繰返し使用できる。
【0043】
次にハーフカットについて説明する。ハーフカットとは、完全に切断しないで、切込みをウエハ内で留める切断方法である。この場合には、処理トレイ側には切込みは入らないので、処理トレイに損傷はなく、処理トレイを繰り返し使用できる。また薄いシートやダイシングテープも必要がない。ただし、ウエハが完全に切断されていないので、ダイシング後にウエハ上から少し圧力をかけて、ウエハを切断する必要がある。たとえば、ウエハ上をロール等で軽くなぞることにより、切断できる。ウエハがシリコンウエハの場合には、(111)面でへき壊することは周知である。尚、ハーフカットの場合でも緩衝材として、薄いシートを挟んでも良い。また、ダイシングテープをウエハ裏面に貼合して処理トレイに吸着することもできる。
【0044】
上記のブレード型ダイシング装置では、水を使用するため、処理トレイやシートは水に濡れるが、ダイシング後に脱水・乾燥することにより、水分を除去可能である。処理トレイの材料は、上記した様な材料であるから、水分を内部に吸着することもない。シートについても、水分吸着や水分吸収のしない材料を用いることにより、水分を内部に吸着することもない。また、シートが水分を少し吸着したとしても、乾燥時多少暖めることにより、水分を除去できる。或いは、完全に水分を除去できなくとも、チップ移載時またはチップ移載後に水分を除去すれば特に問題が発生しない場合もある。
【0045】
ウエハ切断に関する他の方法として、レーザーによる切断方法(レーザーダイシング)がある。この場合も上述のフルカット、セミフルカットやハーフカットを用いることができ、切断時の問題点として、ダイシングによる方法と同じことが言える。ただし、レーザーによる切断の場合には、材料による選択性を利用することができる。たとえば、ウエハを完全に切断できるが、処理トレイやシートに損傷を与えないレーザー光の条件を設定可能である。また、水などを用いないでドライ状態で切断することができるので、水分残りなど水に関する問題も発生しない。
【0046】
ウエハ切断に関する他の方法として、高圧水による切断方法がある。この場合も上述のフルカット、セミフルカットやハーフカットを用いることができ、切断時の問題点として、ダイシングによる方法と同じことが言える。ただし、高圧水による切断の場合にも、材料による選択性を利用することができる。たとえば、ウエハを切断できるが、処理トレイやシートに損傷を与えない高圧水の条件を設定可能である。
ウエハ切断工程104の後にチップ移載工程105に入る。(図1参照)
ウエハを所望のサイズのチップに切断した後で、チップをピックアップして所定の場所に移載する。所定の場所とは、チップのその後の使用方法によって異なる。たとえば、ICパッケージの場合には、リードフレームやCOB基板上に搭載する。チップトレイに移載する場合もある。回路基板上に移載する場合もある。
チップのピックアップはたとえばコレットをチップにあて真空吸引して行う。
【0047】
チップをピックアップする前に、処理トレイ側の真空を破るか、真空度を少し弱めるかすることが好ましい場合がある。一般には、ピックアップ時にウエハ表面から真空吸着するが、このピックアップ側の真空度が、処理トレイの真空度より強ければ、チップはピックアップできる。しかし、ピックアップ側の真空度が強すぎると、ピックアップ後に、チップに大気圧と真空度との圧力差による力がチップに加わるので、チップにダメッジが入る場合もある。そのような恐れのある場合(チップ厚みが薄い場合や、チップサイズが大きい場合など)には、チップをピックアップする前に、真空を破るか、真空度を少し弱めるかすることが好ましい。
【0048】
また、チップの下に吸着孔がある場合などには、チップをピックアップ後などに、真空が破れる可能性があるので、ピックアップ時に処理トレイの真空部分を真空に引く必要がある場合もある。このように処理トレイの真空部分を真空に引くことにより、一部のチップをピックアップ後もチップは処理トレイ側に引かれるので、真空が破れたりすることによるチップの位置ずれ等の問題も発生しない。ピックアップ装置側や移載側等に位置ずれ補正が装備されている場合には、真空が破れることによる問題の発生は少ない。また、前述のダイシングテープを用いてウエハを吸着する場合も、たとえ、フルカット法を用いても、ダイシングテープは深さ方向には完全に切断されていないので、チップのピックアップによる処理トレイの真空が破れるという問題は発生しない。
【0049】
以上説明したように、チップ移載においても処理トレイを用いているので、チップ移載工程の自動化もできるし、ウエハ切断工程の自動化およびウエハ切断からチップ移載工程との工程間の連結も自動(たとえば、自動移送)化が可能となる。
【0050】
ダイシングテープとチップの密着性を減少させるために、チップを移載する前に、UV照射を行っても良い。UV照射はダイシングテープの糊残り対策として有効である。
【0051】
以上のように、ダイシングテープを本発明で用いると有効な場合があるが、この時は本発明の効果で説明したダイシングテープの消耗品をなくしたり、ダイシングテープ貼り工程をなくしたり、ダイシングテープを使用しないことによるメリットはなくなる。しかし、それに勝るメリットも出てくるので、全体のメリットを総合的に考慮して工程設計する必要がある。
【0052】
第1の発明は、裏面研削後に保護フィルム付ウエハを単独で加工歪工程102において処理する。しかし、ウエハは既に薄くなっていて、たとえウエハ表面保護フィルムが付着していたとしても、強度が弱く衝撃に弱いという問題がある。また、平坦状態を維持することが困難である場合もある。そこで、第1の発明の問題点を解決することが、第2の発明の目的である。
【0053】
第2の発明の実施形態を図6に基づいて説明する。第2の発明は、ウエハ裏面研削工程111後に、ウエハ裏面加工歪除去工程113の前に、エッチングトレイ吸着工程112を行うことを特徴とする。その後で、ウエハ裏面加工歪除去工程113に続き、処理トレイ吸着工程114を行う。処理トレイ吸着工程114以降は第1の発明と同様である。第1の発明と異なる所を詳細に説明する。
【0054】
第2の発明におけるエッチングトレイ吸着工程112について、詳細に説明する。ウエハ裏面研削工程111後に、図7に示すように、ウエハ表面保護フィルム78を付着した状態でウエハ77をエッチングトレイ71に載置する。エッチングトレイの基本構造は、第1の発明における処理トレイと同様であり、真空吸着部がある。真空吸着部とは、減圧室72、吸着孔73、吸着面74、吸気孔75及び吸引口76を含む。ウエハ表面保護フィルム78付ウエハ77をエッチングトレイ71の吸着面74に載置する。この時、図7に示すように吸着面74に接するのは、ウエハ表面保護フィルム78側である。ウエハ77の裏面79はエッチングトレイ71の最上面にむき出しとなっている。ウエハ裏面研削工程111からエッチングトレイ71に移載する方法として、自動で行う方法とマニュアルで行う方法がある。吸引口76は外部の真空引き装置に接続していて、ウエハ77が置かれると、吸気孔75を通して減圧室72が真空引きされ、さらに吸着孔73を通してウエハ77が吸引され吸着面74にウエハ表面保護フィルム78が吸着される。吸着される前は、極薄ウエハ、または/及び大口径ウエハの場合には、比較的柔軟な(フレキシブルな)状態にあるが、吸着後はウエハがしっかりと固定され、平坦な状態を維持できる。
【0055】
エッチングトレイの形状として、第1の発明と同様に、周辺がテーパー部を有するトレイを使用することもできる(図3参照)。また、周辺が正方形や長方形などの形状のエッチングトレイも使用できる。
【0056】
エッチングトレイ吸着工程後に、ウエハを吸着したエッチングトレイを用いて裏面加工歪除去工程113を行う。裏面加工歪除去方法として、第1の発明においても説明したように、ドライエッチングによる方法とウエットエッチングによる方法とがある。
【0057】
ドライエッチング方法としては、プラズマエッチングや光エッチングがある。ウエハの裏面加工歪除去をドライエッチングで行う場合には、エッチングトレイをステンレス鋼等の金属系のトレイにすることが望ましい。ドライエッチングに用いるエッチング用ガスとしては、ウエハ材料がシリコン(Si)や砒化ガリウム等の化合物半導体などの場合には、CF4やC2F6やSF6やCClやCHF等のエッチングガスが用いられるが、テフロン(登録商標)系の材料を主体とするエッチングトレイでは、エッチングトレイも反応したりして損傷を受ける可能性があり、エッチングトレイを何回も使用することが困難となる場合がある。従って、ドライエッチングの場合には、エッチングトレイの材料はドライエッチング用ガスと反応しないか、反応しにくい材料である金属系の材料が望ましい。特にステンレス鋼やニッケル鋼やクロム鋼の場合には、ドライエッチングガス耐性が大きいので、さらに望ましく、エッチングトレイの繰返し使用が可能となる。
【0058】
裏面加工歪除去をウエットエッチングで行う場合には、処理トレイをPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(パーフルオロエチレンプロペンコポリマ)等のフッ素系樹脂材料やその他の有機系材料などのトレイにすることが望ましい。ウエットエッチングプロセスのウエハのエッチング液としては、アルカリ系水溶液やフッ硝酸系水溶液がある。これらの水溶液は金属系の材料をわずかでも侵す可能性があり、処理トレイを何回も使用することが困難となる場合がある。従って、ウエットエッチングの場合には、ウエットエッチング液と反応しないか、反応しにくい材料である上記のフッ素系樹脂材料が望ましい。
【0059】
従来、ウエハが極薄のウエハ厚の場合、または/及び大口径のウエハの場合は、ウエハの平坦状態の維持が困難などのために、ウエハ裏面加工歪除去工程におけるウエハ搬送はマニュアルが多かったが、本発明のエッチングトレイを用いれば、ドライエッチングでもウエットエッチングでもウエハの搬送を容易に自動化でき、工程間および工程内自動化が可能となる。これによって、大幅なコストダウンが可能となる。
【0060】
ウエハ裏面加工歪除去工程113に続いて、処理トレイ吸着工程114を行う。処理トレイ吸着工程114は第1の発明と同様であるが、裏面加工歪除去を行ったウエハ表面保護フィルムの付着したウエハを、エッチングトレイから処理トレイへ移載する必要がある。図7において、エッチングトレイ71の吸着面74にウエハが真空吸着しているので、吸引口からエアー等を入れ真空吸着部の真空を破る。その後で、ウエハ77を処理トレイ吸着工程114に移載する。ウエハの移載は、マニュアルまたは自動で行うことができる。
この後の処理トレイ吸着工程以降は、第1の発明と同様である。
【0061】
裏面加工歪除去工程113をなくすことができる場合もある。裏面研削時に裏面へのダメッジの小さい研削を行えば良い。たとえば、最終裏面研削時の塗粒を仕上げ研削よりさらに小さいサイズのものを用いたり、最終裏面研削をウエットエッチング液だけで行ったり、あるいは裏面研削装置にドライエッチング機構も取り付けて、最終裏面研削をドライエッチングで行ったりした場合である。あるいは、デバイスによっては、裏面加工歪を除去しなくとも、デバイスの性能や信頼性に問題がないものもあるので、このようなデバイスの場合には裏面加工歪除去工程113は必要がない。ウエハ裏面加工歪除去工程113がなくとも、本発明においては、ウエハ状態の時にはウエハ表面保護フィルムが付着しているか、処理トレイに吸着されているので、ウエハの反りやウエハの損傷は特に問題とならない。また、チップピックアップ時にはウエハに比較しチップは小さいので、裏面加工歪除去をしないことによるチップへの反りの影響は、裏面加工歪除去をしたことによる場合に比較して特に問題になるほどではない。裏面加工歪除去工程102(第1の発明、図1参照)または113(第2の発明、図6参照)を用いる必要がない場合は、第1の発明においては、裏面研削工程101から処理トレイ吸着工程103に入る。第2の発明においては、エッチングトレイ吸着工程112も必要なくなるので、結局第1の発明と同じものとなる。
【0062】
ウエハ表面に形成されたデバイスの最終電気特性検査は、ウエハ切断前に行うことが望ましい。さらに望ましくは、ウエハ切断後、チップ移載前に行うことがさらに望ましい。何故ならウエハの電気特性は前の工程の影響を受けるからである。しかし、ウエハ裏面研削後において、ウエハが200μm以下の厚みになった場合、またはウエハ厚みが200μm〜400μmでもウエハ径が200mm以上(たとえば、200〜1000mm)と大口径になった場合には、ウエハの反りが大きくなったり、強度不足によるウエハ損傷の恐れがあるために、従来は、ウエハ裏面研削後はウエハの電気特性検査を行うことが困難であった。しかし、本発明を用いることにより、ウエハ切断前に電気特性検査を行うことが可能となる。すなわち、処理トレイにウエハを吸着した状態で、電気特性検査を行うことができる。しかも自動化にも対応できる。たとえば、処理トレイを処理トレイケースに複数枚セットしておけば、あるいは、積み重ねの可能な処理トレイを使えば、複数枚の処理トレイを重ねてテスターにセットしておけば、やはり電気特性検査装置(テスターなど)で自動的に処理可能である。
【0063】
さらに、本発明を用いれば、ウエハ切断後にも電気特性検査を行うことができる。すなわち、ウエハ切断後にもチップとして処理トレイに吸着させることも可能であるから、電気特性検査が可能となる。たとえば、ウエハのチップ配列に合わせて、吸着孔を配置しておけばよい。ウエハのチップ配列に合わせた処理トレイをデバイス毎に用意しておけば良い。あるいはウエハのチップ配列に合わせた吸着板を用意して、デバイス毎に吸着板を変更するということもできる。このことにより、ウエハが切断場所(いわゆる、スクライブライン)に沿って完全に切断されたとしても、チップはチップ毎に配列した吸着孔によって吸着されているので、切断後もチップ位置が変化することはない。また、ダイシングテープに付着したウエハを処理トレイに吸着させ、かつダイシングテープの内部で切込み部を留めておけば、ウエハを切断してもダイシングテープは処理トレイに吸着されており、処理トレイの真空は破られないから切断後のチップは固定されていて、チップの電気特性検査を行うことが可能となる。また、ハーフカット方式を用いれば、ウエハ切断後も処理トレイの真空は破られないので、ウエハ(チップ)の電気特性検査を行うことが可能となる。尚、ダイシングテープがあった場合でも、ハーフカット方式の場合でも、ウエハのチップ配列に合わせた吸着孔があれば、ウエハ切断後にもチップの位置ずれが少ない場合もあり、安全性が高いということが言える。
【0064】
図8に処理トレイの別の実施形態を示す。この処理トレイ81は吸着面84を有する吸着板89が取外しできるようになっている。吸着面84上に多数の吸着孔83が存在する。この吸着孔83はウエハ上の個々のチップに対応するように配置されているので、上述したように、ウエハがチップ毎に完全に切断されてもチップが個々に吸着面に吸着される。吸着板89は、処理トレイ81に保持部88で連結されるようになっている。デバイスが変わり、ウエハ内のチップ位置が異なる場合は、そのチップ位置に合わせた吸着板に変更することができる。吸着板89や処理トレイ81に情報表示手段を取り付ければデバイスや吸着板や処理トレイの管理も容易になる。このような処理トレイを使用することにより、種々のデバイスについて、ウエハ切断後に電気特性検査や外観検査などを行うことが可能となる。
【0065】
エッチングトレイや処理トレイには、バーコードやRFタグのような無線タグなどの情報表示手段を取り付けることができる。たとえば、これらのトレイ(以下、単にトレイと言う)の側面や底面などに取り付けることができる。また、図3で示すような周辺部が高くなっているトレイでは、周辺部のウエハが載置されない平坦な場所にも取り付けることができるし、テーパー部にも取り付けることが可能である。さらに、図2に示すような上面が平坦なトレイでも、ウエハの周辺または、ウエハのファセットの外側部分などウエハが載置されない場所にも取り付けることができる。最近の情報表示手段は非常に小さくなっているので、少しのスペースがあれば取付けが可能である。これらの表示手段を取り付けることにより、種々のプロセス情報を書き込んだり、読み込んだりできる。その情報に従って、プロセスの条件を変更することも可能となる。トレイ毎に情報表示手段を取り付けることができるので、ウエハの枚葉管理もできる。従って、種々のデバイスを混在して流動が可能となる。たとえば、本発明におけるダイシング工程においても、1枚ごとに、ダイシングの条件を変更可能である。また、電気特性検査においても、1枚ごとに異なったデバイスの検査が可能となる。さらに、1枚のウエハ内のチップ毎に検査条件の変更も可能である。加工処理能力の異なる場合などによりウエハが工程間で滞留しても、1枚ごとに誤りなく情報を把握できる。また、情報を保管することも容易となるので、トレイ処理を行ったウエハについては、トレーサビリティも高くなり、信頼性の高い製品を作成できる。
【0066】
また、トレイはトレイケースに収納もできるし、クリーンボックスなどにも保管できる。また、積み重ねが可能なトレイの場合には、単純積み重ねも可能なので、スペースを最小化もできる。従って、工程内および工程間に清浄かつ安全に、または/及び大量にストックでき、工程設計が容易になる。
【0067】
さらに、極薄ウエハまたは及び大口径ウエハでは工程間搬送時に破損しやすいという問題を防止するために、ウエハを積層する時に各ウエハの間に消耗品である層間紙を挿入していたが、本発明ではトレイを使用するためこのような層間紙は不要となり、これもコストダウンにつながるという利点もある。
【0068】
これまでも各工程の所でも説明したように、処理トレイにウエハを吸着後は、処理トレイの自動搬送が可能となるので、処理トレイ吸着工程に続けて、ウエハ切断工程に、さらにチップ移載工程へと工程間搬送が自動で可能となる。従って、これらの一貫ラインを構築できる。さらに、これらの工程の間にウエハ電気特性検査工程やウエハ外観検査工程が入っても、同様に一貫した自動化ラインを構築でき、非常にコストの安い製造ラインを作ることが可能となる。また、処理トレイに情報表示手段を容易に付置できるので、ウエハの枚葉管理ができ自由度の高い製造ラインを作ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、半導体プロセスにおけるウエハ裏面研削工程以降のチップ加工プロセスにおいて、利用することができる。特に、極薄ウエハや極薄チップや大口径ウエハを用いる半導体産業において、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、本発明の好適な実施形態(第1の発明)を示す工程流れ図である。
【図2(a)】図2(a)は、本発明の処理トレイの実施形態を示す図である。
【図2(b)】図2(b)は、本発明の処理トレイの実施形態を示す図である。
【図2(c)】図2(c)は、本発明の処理トレイの実施形態を示す図である。
【図2(d)】図2(d)は、本発明の処理トレイの実施形態を示す図である。
【図3(a)】図3(a)は、本発明の処理トレイの別の実施形態を示す図である。
【図3(b)】図3(b)は、本発明の処理トレイの別の実施形態を示す図である。
【図4】図4は、薄いシートを本発明の処理トレイに用いた実施形態を示す図である。
【図5(a)】図5(a)は、ダイシングテープ付ウエハを本発明の処理トレイに用いた実施形態を示す図である。
【図5(b)】図5(b)は、ダイシングテープ付ウエハを本発明の処理トレイに用いた実施形態を示す図である。
【図6】図6は、本発明の好適な実施形態(第2の発明)を示す工程流れ図である。
【図7】図7は、本発明のエッチングトレイを用いた実施形態を示す図である。
【図8】図8は、本発明の処理トレイの別の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
21・・・処理トレイ、22・・・減圧室、23・・・吸着孔、24・・・吸着面、
25・・・吸気孔、26・・吸引口、27・・ウエハ、28・・表面保護フィルム、
29・・・ウエハ裏面、31・・・処理トレイ、32・・・減圧室、33・・・吸着孔、
34・・・吸着面、35・・・吸気孔、36・・・吸引口、37・・・ウエハ、
38・・・テーパー部、39・・・周縁部、41・・・処理トレイ、42・・・減圧室、
43・・・吸着孔、44・・・吸着面、45・・・吸気孔、46・・・吸引口、
47・・・ウエハ、48・・・薄いシート、50・・・ダイシングブレード、
51・・・処理トレイ、52・・・減圧室、53・・・吸着孔、54・・・吸着面、
55・・・吸気孔、56・・・吸引口、57・・・ウエハ、58・・・ダイシングテープ、
59・・・切断部、60・・・(ダイシングテープへの)切込み部、71・・・処理トレイ、
72・・・減圧室、73・・・吸着孔、74・・・吸着面、75・・・吸気孔、
76・・・吸引口、77・・・ウエハ、78・・・ウエハ表面保護フィルム、
79・・・ウエハ裏面、81・・・処理トレイ、82・・・減圧室、83・・・吸着孔、
84・・・吸着面、85・・・吸気孔、86・・・吸引口、88・・・保持部、
89・・・吸着板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子形成用ウエハの素子を形成しているウエハ表面に表面保護用フィルムを貼合する工程と、
前記ウエハ表面に対向したウエハ裏面を加工して所定のウエハ厚みとする工程と、
前記ウエハ裏面を吸着し、ウエハを処理トレイに搭載する工程と、
処理トレイに搭載された前記ウエハを所望のチップ形状にダイシングする工程と、
前記チップを所定の場所に移載する工程と
を含むことを特徴とする半導体チップの形成方法。
【請求項2】
ウエハ裏面を処理トレイに吸着し搭載する工程の前に、ウエハ裏面の加工歪層を除去する工程を含むことを特徴とする、請求項1記載の半導体チップの形成方法。
【請求項3】
半導体素子形成用ウエハの素子を形成しているウエハ表面に表面保護用フィルムを貼合する工程と、
前記ウエハ表面のウエハ裏面を研削加工して所定のウエハ厚みとする工程と、
所定のウエハ厚みを得た前記ウエハの付着した表面保護用フィルム側を吸着し、ウエハをエッチングトレイに搭載する工程と、
前記ウエハの裏面の加工歪層を除去する工程と、
前記ウエハ裏面を吸着し、ウエハを処理トレイに搭載する工程と、
処理トレイに搭載された前記ウエハを所望のチップ形状にダイシングする工程と、
前記チップを所定の場所に搭載する工程と
を含むことを特徴とする半導体チップの形成方法。
【請求項4】
ウエハを処理トレイに搭載する工程の後に、ウエハ表面に付着している表面保護用フィルムを剥離する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項5】
ウエハ裏面を研削して所定のウエハ厚みとする工程の後に、ウエハ裏面にダイシングテープを貼合する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項6】
ウエハを所望のチップ形状にダイシングする工程の前に、ウエハ表面を検査する検査工程を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項7】
ウエハを所望のチップ形状にダイシングする工程の後に、ウエハ表面を検査する検査工程を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項8】
ウエハを処理トレイに搭載する工程の後に、ウエハ表面に形成されたデバイスのウエハ電気特性検査工程を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項9】
ウエハを所望のチップ形状にダイシングする工程の後に、ウエハ表面に形成されたデバイスのウエハ電気特性検査工程を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項10】
ウエハ裏面の加工歪層除去する方法は、ドライエッチングまたはウエットエッチングにより行うことを特徴とする、請求項2〜9のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項11】
ウエハ裏面の加工歪を除去する工程において、前記加工歪除去方法がドライエッチングである場合は、エッチングトレイの一部または全部がステンレス鋼で形成されていることを特徴とする、請求項3〜10のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項12】
ウエハ裏面の加工歪を除去する工程において、前記加工歪除去方法がウエットエッチングである場合は、エッチングトレイの一部または全部がポリテトラフルオロエチレンまたはパーフルオロエチレンプロペンコポリマー等のフッソ系樹脂で形成されていることを特徴とする、請求項3〜10のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項13】
処理トレイは真空吸着部を装備していて、ウエハを真空吸着することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項14】
処理トレイの吸着面の吸着孔はウエハのチップ位置ごとに存在していて、ウエハのスクライブライン上には存在していないことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項15】
処理トレイは、ウエハ吸着部が窪んだ平坦部であり、ウエハ吸着部の周辺はテーパー状に傾斜し、処理トレイの周辺部分がウエハ吸着部に比較し高い平坦部を有していることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項16】
処理トレイは、ウエハ吸着面およびその周辺が平坦であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項17】
エッチングトレイは、ウエハ吸着部が窪んだ平坦部であり、ウエハ吸着部の周辺はテーパー状に傾斜し、処理トレイの周辺部がウエハ吸着部に比較し高い平坦部を有していることを特徴とする、請求項3〜16のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項18】
エッチングトレイは、ウエハ吸着面およびその周辺が平坦であることを特徴とする、請求項3〜16のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項19】
処理トレイに情報表示手段を付置していることを特徴とする、請求項1〜18のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項20】
エッチングトレイに情報表示手段を付置していることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項21】
処理トレイおよびエッチングトレイの形状は、正方形、長方形、円形またはこれらに類似する形状であることを特徴とする、請求項1〜20のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項22】
処理トレイにウエハを吸着した後の工程以降は、全自動のプロセスであることを特徴とする、請求項1〜21のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。
【請求項23】
エッチングトレイにウエハを吸着した後の工程以降は、全自動のプロセスであることを特徴とする、請求項3〜21のいずれかの項記載の半導体チップの形成方法。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図2(d)】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−281051(P2007−281051A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102757(P2006−102757)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000140890)ミライアル株式会社 (74)
【Fターム(参考)】