説明

半導体ウエハ等加工用粘着テープ

【課題】安定して帯電を抑制することができる半導体ウエハ等加工用粘着テープを提供する。
【解決手段】半導体ウエハ等加工用粘着テープ(ダイシングテープ)100は、基層200と、粘着層300とを備える。粘着層300は、基層200上に形成される。また、粘着層300は、該粘着層300を硬化させる硬化成分を含有する。基層200は、主に、樹脂から成る。樹脂には、高分子型帯電防止剤が練り込まれている。高分子型帯電防止剤のMFRが、JIS K7210に準拠して190℃、21.18Nの測定条件で測定したとき、10.0g/10min以上15.0g/10min以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等加工用粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、半導体ウエハやパッケージ品のダイシング加工に用いられる半導体ウエハ等の加工用粘着テープ(以下、「ダイシングテープ」という)が種々提案されている。一般に、ダイシングテープでは基層上に粘着層が形成されており、この粘着層により半導体ウエハ等が固定される。半導体ウエハ等のダイシング加工後、半導体チップを容易にピックアップすることができるように、粘着層には通常、光硬化型樹脂、光重合開始剤、および架橋剤などが添加されている。つまり、ダイシング加工後、粘着層に光が照射されると、これらの成分が硬化して粘着層の粘着性が低下し、半導体チップのピックアップが容易となる。
【0003】
ところで、半導体チップ等の製造工程において、ダイシングテープが帯電すると、製品破壊または作業上の不具合が発生するという問題がある。例えば、セパレータをダイシングテープから剥離するときや、ダイシング時のブレードとダイシングテープとが接触したときにダイシングテープが帯電しやすい。また、ダイシング後にダイシングテープを吸着テーブルから取り外すときや、チップまたはパッケージをピックアップするときにダイシングテープが帯電することもある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、基材層の片面に粘着層を有し、他方の面に摩擦低減剤を含有する帯電防止層を有するダイシングテープが開示されている。このダイシングテープは、帯電防止層によって帯電を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−99984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、外部に露出する層である帯電防止層は、機械などと接触して擦れることにより、基材層から剥離するおそれがある。そのため、上記のダイシングテープでは、安定して帯電を抑制することができないおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、安定して帯電を抑制することができる半導体ウエハ等加工用粘着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係る半導体ウエハ等加工用粘着テープは、基層と、粘着層とを備える。粘着層は、基層上に形成される。また、粘着層は、該粘着層を硬化させる硬化成分を含有する。基層は、主に、樹脂から成る。樹脂には、高分子型帯電防止剤が練り込まれ、分散している。高分子型帯電防止剤のMFRが、JIS K7210に準拠して190℃、21.18Nの測定条件で測定したとき、10.0g/10min以上15.0g/10min以下である。
【0009】
この高分子型帯電防止剤は、樹脂に練り込まれ、基層中に分散している。そのため、基層が機械などと接触して擦れても、基層から高分子型帯電防止剤が脱落しにくい。よって、この半導体ウエハ等加工用粘着テープは、安定して帯電を抑制することができる。さらに、この高分子型帯電防止剤は、高分子型ではない従来の帯電防止剤に比べて、帯電防止効果を発現する分子鎖が長い。そのため、この半導体ウエハ等加工用粘着テープは、良好な帯電防止性能を有する。
【0010】
高分子型帯電防止剤のMFRの値が10.0g/10min以上である半導体ウエハ等加工用粘着テープは、加工性の低下を抑制することができることが明らかとなった。また、高分子型帯電防止剤のMFRの値が15.0g/10min以下である半導体ウエハ等加工用粘着テープは、粘着層の粘着力の低下を抑制することができる。
【0011】
(2) 上述(1)の半導体ウエハ等加工用粘着テープでは、印加電圧±5000Vにおける1%減衰時間が0.15秒以内であることが好ましい。
【0012】
この半導体ウエハ等加工用粘着テープの印加電圧±5000Vにおける1%減衰時間は、0.15秒以内である。1%減衰時間とは、半導体ウエハ等加工用粘着テープの電圧が5000Vから50Vまで減衰するのにかかる時間、または−5000Vから−50Vまで減衰するのにかかる時間をいう。この半導体ウエハ等加工用粘着テープは、従来の半導体ウエハ等加工用粘着テープに比べて減衰時間が短くなりやすい。そのため、この半導体ウエハ等加工用粘着テープは、帯電をより抑制することができる。
【0013】
(3) 上述(1)または(2)の半導体ウエハ等加工用粘着テープでは、高分子型帯電防止剤の融点は、140℃以上であることが好ましい。
【0014】
この高分子型帯電防止剤は、従来の高分子型帯電防止剤に比べて融点が高い。この高分子型帯電防止剤によって、基層の溶融粘度が高くなることで基層の押出加工性が良好となる。さらに、低分子量成分のブリードまたは汚染の発生を抑制する。
【0015】
(4)上述(1)〜(3)の半導体ウエハ等加工用粘着テープでは、樹脂がポリプロピレンとエラストマーとの混合物であることが好ましい。
【0016】
(5)上述(1)〜(3)の半導体ウエハ等加工用粘着テープでは、樹脂が、ポリエチレンとエラストマーとの混合物であることが好ましい。
【0017】
(6)上述(1)〜(5)の半導体ウエハ等加工用粘着テープでは、高分子型帯電防止剤に対して重量比率で、カチオンを100ppm以下およびアニオンを100ppm以下含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る半導体ウエハ等加工用粘着テープは、安定して帯電を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るダイシングテープの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る半導体ウエハ等加工用粘着テープ(以下、「ダイシングテープ」という)100は、主に、基層200および粘着層300から構成される。以下、基層200および粘着層300について、それぞれ詳しく説明する。
【0021】
<基層>
基層200は、主に、高分子型帯電防止剤が練り込まれた材料樹脂から成る。この基層200は、粘着層300を支持する役目を担っている。また、この基層200は、ダイシング工程後に実施されるエキスパンド工程において、引延しに耐え得るだけの強度を有する。エキスパンド工程とは、ダイシングテープ100を引き伸ばし、チップ間隔を拡張する工程である。このエキスパンド工程の目的は、ピックアップの際にチップの認識性を高めること、および隣接するチップ同士の接触によるデバイスの破損を防止することである。
【0022】
材料樹脂は、通常のフィルム成形方法によってフィルムに成形される。この材料樹脂として、光(可視光線、近赤外線、紫外線、X線、電子線など)を透過するものであれば特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリビニルイソプレン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂の混合物が用いられる。
【0023】
特に、材料樹脂として、高分子型帯電防止剤との相性から、ポリプロピレンとエラストマーとの混合物、またはポリエチレンとエラストマーとの混合物が用いられることが好ましい。ポリプロピレンとエラストマーとの混合物、またはポリエチレンとエラストマーとの混合物は、ダイシングテープに特に優れた伸びを与え、エキスパンド工程時の破断を抑える効果が高いため、特に好適に用いられる。また、ポリプロピレンとエラストマーとの混合物、またはポリエチレンとエラストマーとの混合物を用いたダイシングテープは、耐熱性に優れ、80℃などの環境下においても溶融しにくく、かつ高温保管(60℃、3日程度)後でも、基層が切れにくい。
また、このエラストマーとして、一般式(1)で示されるポリスチレンセグメントと一般式(2)で示されるビニルポリイソプレンセグメントとから成るブロック共重合体が好ましい。
【0024】
【化1】


(式(1)中、nは2以上の整数)
【0025】
【化2】


(式(2)中、nは2以上の整数)
【0026】
高分子型帯電防止剤は、該高分子型帯電防止剤に対して重量比率で、カチオンを100ppm以下含有し、かつ、アニオンを100ppm以下含有するポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー等である。なお、高分子型帯電防止剤は、該高分子型帯電防止剤に対して重量比率で、カチオンを90ppm以下含有し、かつ、アニオンを90ppm以下含有することが好ましく、カチオンを80ppm以下含有し、かつ、アニオンを80ppm以下含有することがより好ましい。高分子型帯電防止剤は、該高分子型帯電防止剤に対して重量比率で、カチオンを100ppm以下含有し、かつ、アニオンを100ppm以下含有するとき、粘着層300は高分子型帯電防止剤のイオンによって汚染されにくい。また、カチオンを100ppm以下含有し、かつ、アニオンを100ppm以下含有することにより、半導体での回路不良が低減され、輸送等における高温保管時の粘着力が安定する。この高分子型帯電防止剤には、従来の高分子型帯電防止剤と比べてイオンの溶出が少ない低イオン溶出タイプ、または実質的にイオンが溶出しないイオンフリータイプがある。高分子型帯電防止剤に含有されるカチオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン等であり、アニオンは、硫酸イオン等である。
【0027】
高分子型帯電防止剤のメルトマスフローレート(以下、「MFR」という)は、JIS K7210に準拠して190℃、21.18Nの測定条件で測定したとき、10.0g/10min以上15.0g/10min以下であることが好ましく、12.0g/10min以上14.0g/10min以下であることがより好ましい。高分子型帯電防止剤のMFRは10.0g/10min以上15.0g/10min以下であるとき、ダイシングテープ100の加工性の低下が抑制され、かつ、粘着層300の粘着力の低下が抑制される。高分子型帯電防止剤の融点は、140℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、160℃以上であることがさらに好ましい。高分子型帯電防止剤の融点は140℃以上であるとき、基層200の押出加工性が良好となる。
【0028】
基層200の厚みは、特に限定されないが、50μm以上300μm以下であるのが好ましく、80μm以上200μm以下であるのがより好ましい。基層200の厚みが50μm以上300μm以下であるとき、ダイシングテープ100はダイシング工程またはエキスパンド工程における作業性に優れる。
【0029】
基層200の製法として、特に限定されないが、カレンダー法、押出成形法などの一般的な成形方法が用いられる。基層200の表面には、粘着層300を構成する材料と反応する官能基、例えば、ヒドロキシル基またはアミノ基などが露出していることが好ましい。また、基層200と粘着層300との密着性を向上するために、基層200の表面をコロナ処理またはアンカーコート等で表面処理しておくのが好ましい。
【0030】
<粘着層>
粘着層300は、ダイシング工程において半導体ウエハ等を粘着して支持する役目を担っている。この粘着層300は、ダイシング工程後、光が照射されると、半導体ウエハ等の切断片を容易に剥離させることができる状態となる。なお、使用前のダイシングテープ100では、通常、粘着層300が離型フィルムで保護されている。
【0031】
粘着層300は、基層200の片側の面上に形成されている(図1参照)。なお、粘着層300の材料である樹脂溶液は、通常、ダイコート、カーテンダイコート、グラビアコート、コンマコート、バーコート、またはリップコート等の塗布方法により基層200に塗布される。乾燥後の粘着層300の厚みは、特に限定されないが、5μm以上30μm以下であるのが好ましく、10μm以上20μm以下であるのがより好ましい。乾燥後の粘着層300の厚みは5μm以上30μm以下であるとき、粘着層300は、良好な粘着力を有し、かつ、紫外線または電子線などを照射された後では、良好な剥離性を有する。
【0032】
粘着層300は、主に、ベース樹脂、および粘着層300を硬化させる硬化成分から構成されている。なお、この粘着層300には、任意成分として、帯電防止剤、および粘着付与剤などが含まれていてもよい。以下、各成分についてそれぞれ詳述する。
【0033】
(1)ベース樹脂
ベース樹脂としては、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂またはウレタン系樹脂等の粘着層成分として用いられる公知のものを用いることができるが、耐熱性およびコストの観点からアクリル系樹脂を用いることが好ましい。
【0034】
(2)硬化成分
硬化成分は、例えば、光が照射されると硬化する。この硬化によってベース樹脂が硬化成分の架橋構造に取り込まれた結果、粘着層300の粘着力が低下する。このような硬化成分として、例えば、紫外線、電子線などのエネルギー線の照射によって三次元架橋可能な重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上分子内に有する低分子量化合物が用いられる。具体的に、硬化成分として、特に限定されないが、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート等、芳香族系、脂肪族系等のウレタンアクリレート(オリゴマー)等が用いられる。なお、これらの中でもウレタンアクリレートが好ましい。
【0035】
また、硬化成分には、特に限定されないが、重量平均分子量の異なる2つ以上の硬化成分が混合されているのが好ましい。このような硬化成分を利用すれば、光照射による樹脂の架橋度を制御し、ピックアップ性を向上させることができるからである。また、このような硬化成分として、例えば、第1の硬化成分と、第1の硬化成分よりも重量平均分子量が大きい第2の硬化成分との混合物などが用いられてもよい。
【0036】
さらに、硬化成分には、光重合開始剤、架橋剤などが含まれていてもよい。光重合開始剤は、硬化成分の重合開始を容易とするために添加される。光重合開始剤として、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン等が挙げられる。
【0037】
硬化成分は、ベース樹脂100重量部に対して20重量部以上200重量部以下で配合されることが好ましく、50重量部以上150重量部以下で配合されることがさらに好ましい。上記のように硬化成分の配合量を調整することによって、ダイシングテープ100のピックアップ性は好適なものとなる。
【0038】
架橋剤として、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メチロール系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、多価金属キレート系架橋剤などが挙げられる。これらの中でもイソシアネート系架橋剤が好ましい。
【0039】
イソシアネート系架橋剤として、特に限定されないが、例えば、多価イソシアネートのポリイソシアネート化合物およびポリイソシアネート化合物の三量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート化合物の三量体または末端イソシアネートウレタンプレポリマーをフェノール、オキシム類などで封鎖したブロック化ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0040】
多価イソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート等が用いられる。これらの中でも2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートから成る群より選択される少なくとも1種の多価イソシアネートが好ましい。
【0041】
架橋剤は、ベース樹脂100重量部に対して5重量部以上50重量部以下で配合されることが好ましい。上記のように架橋剤の配合量を調整することによって、ダイシングテープ100のピックアップ性は好適なものとなる。
【0042】
(3)帯電防止剤
帯電防止剤として、特に限定されないが、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤などの界面活性剤が用いられる。また、温度依存性を示さない帯電防止剤として、例えば、カーボンブラック、銀、ニッケル、アンチモンドープスズ酸化物、スズドープインジウム酸化物などの粉体が用いられる。これらの中でも、カーボンブラック、銀、アンチモンドープスズ酸化物、スズドープインジウム酸化物が好ましい。
【0043】
(4)粘着付与剤
粘着付与剤として、特に限定されないが、例えば、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂などが用いられる。これらの中でも、フェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂が好ましい。
【0044】
<ダイシングテープの1%減衰時間>
ダイシングテープ100では、印加電圧±5000Vにおける1%減衰時間が0.15秒以内であり、好ましくは0.10秒以内であり、より好ましくは0.05秒以内である。1%減衰時間とは、ダイシングテープ100の電圧が5000Vから50Vまで減衰するのにかかる時間、または−5000Vから−50Vまで減衰するのにかかる時間をいう。
【0045】
<使用方法>
ダイシングテープ100の使用方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、ダイシングテープ100を半導体ウエハに貼り付けて固定した後、回転丸刃で半導体デバイスを素子小片ごとに切断する。切断後、ダイシングテープ100の基層200側から紫外線または電子線などを照射する。紫外線または電子線などを照射後、専用治具を用いてダイシングテープ100を放射状に拡張してチップ間を一定間隔に広げた後、半導体デバイスをニードル等で突き上げる。突き上げられた半導体デバイスは、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着などでピックアップされた後、マウンティングされるか、またはトレイに収納される。
本発明の半導体ウェハ等加工用粘着テープは、ダイシングテープ以外に、バックグラインドテープ、プリント基板保護テープなどのエレクトロニクス用途、窓ガラス保護用フィルム、装飾用マーキングフィルム、医療、衛生用薬剤の基材などが挙げられる。
【0046】
<本実施形態における効果>
この高分子型帯電防止剤は、樹脂に練り込まれ、基層200中に分散している。そのため、基層200が機械などと接触して擦れても、基層200から高分子型帯電防止剤が脱落しにくい。よって、ダイシングテープ100は、安定して帯電を抑制することができる。さらに、この高分子型帯電防止剤は、高分子型ではない従来の帯電防止剤に比べて、帯電防止効果を発現する分子鎖が長い。そのため、ダイシングテープ100は、良好な帯電防止性能を有する。
【0047】
高分子型帯電防止剤のMFRの値が10.0g/10min以上であるダイシングテープ100は、加工性の低下を抑制することができる。さらに、高分子型帯電防止剤のMFRの値が15.0g/10min以下であるダイシングテープ100は、粘着層300の粘着力の低下を抑制することができる。
【0048】
ダイシングテープ100の印加電圧±5000Vにおける1%減衰時間は、0.15秒以内である。1%減衰時間とは、ダイシングテープ100の電圧が5000Vから50Vまで減衰するのにかかる時間、または−5000Vから−50Vまで減衰するのにかかる時間をいう。ダイシングテープ100は、従来のダイシングテープに比べて減衰時間が短くなりやすい。そのため、ダイシングテープ100は、帯電をより抑制することができる。
【0049】
この高分子型帯電防止剤は、従来の高分子型帯電防止剤に比べて融点が高い。この高分子型帯電防止剤によって、基層200の溶融粘度が高くなることで基層200の押出加工性が良好となる。さらに、低分子量成分のブリードまたは汚染の発生を抑制する。
【実施例】
【0050】
次に、本発明のダイシングテープ100に係る実施例1、2と、比較例1〜5とについて説明する。なお、実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)
<ダイシングテープの作製>
基層200を構成する材料として、ポリプロピレン60重量部、一般式(1)で示されるポリスチレンセグメントと一般式(2)で示されるビニルポリイソプレンセグメントとから成るブロック共重合体40重量部、MFRが12g/10minである高分子型帯電防止剤のポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー(三洋化成工業株式会社製、品名:ペレスタット230)15重量部を準備した。なお、MFRの測定は、JIS K7210に準拠して190℃、21.18Nの測定条件で行った。
【0052】
【化3】


(式(1)中、nは2以上の整数)
【0053】
【化4】


(式(2)中、nは2以上の整数)
【0054】
上記の基層200を構成する材料を2軸混練機で混練した後、混練したものを押出し機で押し出して、厚み100μmの基層200を作製した。
【0055】
粘着層300のベース樹脂として、第1の共重合体を10重量部と、第2の共重合体を90重量部とを準備した。第1の共重合体として、アクリル酸ブチル70重量部と、アクリル酸2−エチルヘキシル25重量部と、酢酸ビニル5重量部とを共重合させて得られた重量平均分子量が500000の共重合体を用いた。第2の共重合体として、アクリル酸2−エチルヘキシル50重量部と、アクリル酸ブチル10重量部と、酢酸ビニル37重量部と、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル3重量部とを共重合させて得られた重量平均分子量が300000の共重合体を用いた。
【0056】
粘着層300の硬化成分として、重量平均分子量が11000の2官能ウレタンアクリレートと、重量平均分子量が500の5官能アクリレートモノマーとを、ベース樹脂100重量部に対してそれぞれ30重量部ずつ準備した。粘着層300の光重合開始剤として、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを、ベース樹脂100重量部に対して5重量部準備した。粘着層300の架橋剤として、ポリイソシアネート系架橋剤を、ベース樹脂100重量部に対して6重量部準備した。
【0057】
上記の粘着層300のベース樹脂、硬化成分、光重合開始剤、および架橋剤が配合された樹脂溶液を作製した。この樹脂溶液を、乾燥後の粘着層300の厚みが10μmになるようにして基層200にバーコート塗工した後、80℃で5分間乾燥させて、所望のダイシングテープ100を得た。
【0058】
<帯電防止剤の脱落性の評価>
得られたダイシングテープ100について、JIS K 5600−5−6に準拠して、クロスカット法による帯電防止剤の脱落性の評価を行った。クロスカット法では、ダイシングテープ100に1mm間隔の碁盤目状の切り込みを入れた後、ダイシングテープ100に既定のテープを貼付けてから剥離し、その試験結果を分類した。規格に基づき、どの格子の目も剥がれない場合は「分類0」とし、剥がれた場合は「分類1〜5」とした。そして、クロスカット法の結果が「分類0」であれば○、それ以外であれば×とした。
【0059】
上記の評価を行った結果、ダイシングテープ100のクロスカット法の結果は、「分類0」であった。そのため、ダイシングテープ100の帯電防止剤の脱落性の評価は○であった(下記表1参照)。
【0060】
<表面抵抗値および体積抵抗値の測定>
粘着層300が設けられる前の基層200について、静電気減衰時間測定器(electro-tech system社製、品名:STATIC DECAY METER MODEL406C)を用いて、表面抵抗値および体積抵抗値の測定を行った。表面抵抗値については、基層200の粘着層300が設けられる面の表面抵抗値、およびその面と反対側の面の表面抵抗値をそれぞれ測定した。
【0061】
上記の測定を行った結果、基層200のいずれの面の表面抵抗値も1.0E+10Ω/□であり、体積抵抗値が1.0E+12Ωmであった(下記表1参照)。
【0062】
<1%減衰時間の測定>
得られたダイシングテープ100について、MIL−B−81705Cに準拠して、1%減衰時間の測定を行った。具体的には、静電気減衰時間測定器(electro-tech system社製、品名:STATIC DECAY METER MODEL406C)を用いて、ダイシングテープ100に5000Vの電圧を印加し、ダイシングテープ100の電圧が5000Vから50Vまで減衰するのにかかる時間の測定を行った。この測定を、ダイシングテープ100の基層200側の面、粘着層300側の面についてそれぞれ行った。
【0063】
上記の測定を行った結果、基層200側の面の1%減衰時間が0.04秒であり、粘着層300側の面の1%減衰時間が0.04秒であった(下記表1参照)。
【0064】
<粘着力比率の評価>
作製後7日間以上が経過したダイシングテープ100を半導体ウエハに貼着した。半導体ウエハを貼着後、常温で20分間保管したダイシングテープ100の半導体ウエハに対する粘着力(以下、「第1の粘着力」という)を180°剥離試験により測定した。さらに、40℃で1週間保管したダイシングテープ100を半導体ウエハに貼着後、常温で20分間保管した際の半導体ウエハに対する粘着力(以下、「第2の粘着力」という)を180°剥離試験により測定した。
【0065】
180°剥離試験は、万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、品名:テンシロン)を用いて、環境温度:23℃、環境圧力:常圧、引張速度:300mm/minの条件下で行われた。そして、得られた粘着力チャートの平均値を粘着層300の粘着力(cN/25mm)とした。測定した第1の粘着力と第2の粘着力との比(第1の粘着力/第2の粘着力)が、0.5以上2.0以下のものを○、それ以外のものを×で評価した。粘着力比率の評価が○のダイシングテープ100では、40℃の高温で保管しても基層200から低分子量成分がブリードしにくく、粘着層300の粘着力が下がりにくい。
【0066】
上記の評価を行った結果、第1の粘着力が160cN/25mmであり、第2の粘着力が120cN/25mmであった。そのため、ダイシングテープ100の粘着力比率の評価は○であった(下記表1参照)。
【0067】
<半導体ウエハの帯電圧の評価>
除電した半導体ウエハを除電したダイシングテープ100に貼付けた後、半導体ウエハの表面から10mmの距離で、表面電位計(SUNX社製、品名:S1HS)を用いて帯電圧を測定した。測定した帯電圧の絶対値が、50V未満であれば○、50V以上100V未満であれば△、100V以上であれば×で評価した。
【0068】
上記の評価を行った結果、半導体ウエハの帯電圧が−6Vであった。そのため、半導体ウエハの帯電圧の評価は○であった(下記表1参照)。
【0069】
<フィルム加工性の評価>
ダイシングテープ100について、目視での外観が均一であり、かつ、1m×1m範囲の厚み公差が5μm未満であれば○、目視での外観が均一であり、1m×1m範囲の厚み公差が5μm以上であれば△、目視での外観が不均一であれば×で評価した。
【0070】
上記の評価を行った結果、目視でのダイシングテープ100の外観が均一であり、かつ、1m×1m範囲の厚み公差が3μmであった。そのため、フィルム加工性の評価は○であった(下記表1参照)。
【0071】
(実施例2)
下記以外については実施例1と同様にして、ダイシングテープ100を得た。基層200を構成する材料として、MFRが12g/10minである高分子型帯電防止剤のポリエーテル/ポリオレフィンブロックポリマー(三洋化成工業株式会社製、品名:ペレスタット212)を準備した。
【0072】
このダイシングテープ100について、実施例1と同様にして、帯電防止剤の脱落性の評価、表面抵抗値および体積抵抗値の測定、1%減衰時間の測定、粘着力比率の評価、半導体ウエハの帯電圧の評価、フィルム加工性の評価を行った。
【0073】
その結果、本実施例に係るダイシングテープ100のクロスカット法の結果は「分類0」であり、帯電防止剤の脱落性の評価は○であった。基層200のいずれの面の表面抵抗値も1.0E+11Ω/□であり、体積抵抗値が1.0E+13Ωmであった。基層200側の面の1%減衰時間が0.02秒であり、粘着層300側の面の1%減衰時間が0.02秒であった。第1の粘着力が150cN/25mmであり、第2の粘着力が110cN/25mmであり、ダイシングテープ100の粘着力比率の評価は○であった。半導体ウエハの帯電圧が−4Vであり、半導体ウエハの帯電圧の評価は○であった。目視でのダイシングテープ100の外観が均一であり、かつ、1m×1m範囲の厚み公差が3μmであり、フィルム加工性の評価は○であった(下記表1参照)。
【0074】
(比較例1)
下記以外については実施例1と同様にして、ダイシングテープを得た。基層200を構成する材料として、帯電防止剤(花王株式会社製、品名:エレクトロストリッパーAC)を準備した。この帯電防止剤を、基層200中に練り込むのではなく、基層200の粘着層300が設けられる面と反対側の面に塗布した。
【0075】
このダイシングテープについて、実施例1と同様にして、帯電防止剤の脱落性の評価、表面抵抗値および体積抵抗値の測定、1%減衰時間の測定、粘着力比率の評価、半導体ウエハの帯電圧の評価、フィルム加工性の評価を行った。なお、表面抵抗値および体積抵抗値の測定は、帯電防止剤が塗布された状態の基層200について行った。
【0076】
その結果、本比較例に係るダイシングテープのクロスカット法の結果は「分類5」であり、帯電防止剤の脱落性の評価は×であった。基層200の粘着層300が設けられる面の表面抵抗値が1.0E+14Ω/□であり、反対側の面の表面抵抗値が1.0E+10Ω/□であり、体積抵抗値が1.0E+15Ωmであった。基層200側の面の1%減衰時間が0.06秒であり、粘着層300側の面は減衰しなかった。第1の粘着力が165cN/25mmであり、第2の粘着力が145cN/25mmであり、ダイシングテープ100の粘着力比率の評価は○であった。半導体ウエハの帯電圧が−78Vであり、半導体ウエハの帯電圧の評価は△であった。目視でのダイシングテープ100の外観が不均一であり、かつ、1m×1m範囲の厚み公差が2μmであり、フィルム加工性の評価は○であった(下記表1参照)。
【0077】
(比較例2)
下記以外については実施例1と同様にして、ダイシングテープを得た。基層200を構成する材料として、帯電防止剤(花王株式会社製、品名:エレクトロストリッパーAC)を準備した。この帯電防止剤を、基層200中に練り込むのではなく、基層200の両面に塗布した。
【0078】
このダイシングテープについて、実施例1と同様にして、帯電防止剤の脱落性の評価、表面抵抗値および体積抵抗値の測定、1%減衰時間の測定、粘着力比率の評価、半導体ウエハの帯電圧の評価、フィルム加工性の評価を行った。なお、表面抵抗値および体積抵抗値の測定は、帯電防止剤が塗布された状態の基層200について行った。
【0079】
その結果、本比較例に係るダイシングテープのクロスカット法の結果は「分類5」であり、帯電防止剤の脱落性の評価は×であった。基層200のいずれの面の表面抵抗値も1.0E+10Ω/□であり、体積抵抗値が1.0E+15Ωmであった。基層200側の面の1%減衰時間が0.06秒であり、粘着層300側の面の1%減衰時間が0.06秒であった。第1の粘着力が155cN/25mmであり、第2の粘着力が60cN/25mmであり、ダイシングテープ100の粘着力比率の評価は×であった。半導体ウエハの帯電圧がー53Vであり、半導体ウエハの帯電圧の評価は△であった。目視でのダイシングテープ100の外観が不均一であり、かつ、1m×1m範囲の厚み公差が2μmであり、フィルム加工性の評価は○であった(下記表1参照)。
【0080】
(比較例3)
下記以外については実施例1と同様にして、ダイシングテープを得た。基層200を構成する材料として、帯電防止剤を用いなかった。すなわち、ダイシングテープに帯電防止処理を施さなかった。
【0081】
このダイシングテープについて、実施例1と同様にして、表面抵抗値および体積抵抗値の測定、1%減衰時間の測定、粘着力比率の評価、半導体ウエハの帯電圧の評価、フィルム加工性の評価を行った。なお、比較例3においては、ダイシングテープに帯電防止処理を施していないので、帯電防止剤の脱落性の評価は行わなかった。
【0082】
その結果、本比較例に係る基層200のいずれの面の表面抵抗値も1.0E+14Ω/□であり、体積抵抗値が1.0E+16Ω/□であった。基層200側の面、および粘着層300側の面はいずれも減衰しなかった。第1の粘着力が170cN/25mmであり、第2の粘着力が165cN/25mmであり、ダイシングテープ100の粘着力比率の評価は○であった。半導体ウエハの帯電圧がー245Vであり、半導体ウエハの帯電圧の評価は×であった。目視でのダイシングテープ100の外観が均一であり、かつ、1m×1m範囲の厚み公差が2μmであり、フィルム加工性の評価は○であった(下記表1参照)。
【0083】
(比較例4)
下記以外については実施例1と同様にして、ダイシングテープを得た。基層200を構成する材料として、MFRが30g/10minである帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製、品名:ペレスタット300)を準備した。
【0084】
このダイシングテープについて、実施例1と同様にして、帯電防止剤の脱落性の評価、表面抵抗値および体積抵抗値の測定、1%減衰時間の測定、粘着力比率の評価、半導体ウエハの帯電圧の評価、フィルム加工性の評価を行った。
【0085】
その結果、本比較例に係るダイシングテープのクロスカット法の結果は「分類0」であり、帯電防止剤の脱落性の評価は○であった。基層200のいずれの面の表面抵抗値も1.0E+10Ω/□であり、体積抵抗値が1.0E+12Ωmであった。基層200側の面の1%減衰時間が0.04秒であり、粘着層300側の面の1%減衰時間が0.04秒であった。第1の粘着力が140cN/25mmであり、第2の粘着力が55cN/25mmであり、ダイシングテープ100の粘着力比率の評価は×であった。半導体ウエハの帯電圧が−23Vであり、半導体ウエハの帯電圧の評価は○であった。目視でのダイシングテープ100の外観が均一であり、かつ、1m×1m範囲の厚み公差が3μmであり、フィルム加工性の評価は○であった(下記表1参照)。
【0086】
(比較例5)
下記以外については実施例1と同様にして、ダイシングテープを得た。基層200を構成する材料として、MFRが7g/10minである帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製、品名:ペレスタットVH2)を準備した。
【0087】
このダイシングテープについて、実施例1と同様にして、帯電防止剤の脱落性の評価、表面抵抗値および体積抵抗値の測定、1%減衰時間の測定、粘着力比率の評価、半導体ウエハの帯電圧の評価、フィルム加工性の評価を行った。
【0088】
その結果、本比較例に係るダイシングテープのクロスカット法の結果は「分類0」であり、帯電防止剤の脱落性の評価は○であった。基層200のいずれの面の表面抵抗値が1.0E+10Ω/□であり、体積抵抗値が1.0E+12Ωmであった。基層200側の面の1%減衰時間が0.04秒であり、粘着層300側の面の1%減衰時間が0.04秒であった。第1の粘着力が165cN/25mmであり、第2の粘着力が130cN/25mmであり、ダイシングテープの粘着力比率が○であった。半導体ウエハの帯電圧が−18Vであり、半導体ウエハの帯電圧の評価は○であった。目視でのダイシングテープ100の外観が不均一であり、かつ、1m×1m範囲の厚み公差が7μmであり、フィルム加工性の評価は△であった(下記表1参照)。
【0089】
【表1】

【0090】
実施例1、2に係るダイシングテープ100では、基層200側の面の1%減衰時間および粘着層300側の面の1%減衰時間の両方とも0.04秒以内であり、かつ、帯電防止剤の脱落性の評価、粘着力比率の評価、半導体ウエハの帯電圧の評価、フィルム加工性の評価が全て○であった。これに対して、比較例1〜3に係るダイシングテープでは、基層200側の面の1%減衰時間および粘着層300側の面の1%減衰時間の両方とも0.04秒を超えていた。また、比較例1〜5に係るダイシングテープでは、帯電防止剤の脱落性の評価、粘着力比率の評価、半導体ウエハの帯電圧の評価、フィルム加工性の評価のうちの少なくとも1つが△または×であった。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明に係る半導体ウエハ等加工用粘着テープは、安定して帯電を抑制することができる。
【符号の説明】
【0092】
100 半導体ウエハ等加工用粘着テープ(ダイシングテープ)
200 基層
300 粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基層と、
前記基層上に形成される粘着層とを備え、
前記粘着層は、該粘着層を硬化させる硬化成分を含有し、
前記基層は、主に、高分子型帯電防止剤が練り込まれた樹脂から成り、
前記高分子型帯電防止剤のメルトマスフローレート(MFR)が、JIS K7210に準拠して190℃、21.18Nの測定条件で測定したとき、10.0g/10min以上15.0g/10min以下である半導体ウエハ等加工用粘着テープ。
【請求項2】
基層と、
前記基層上に形成される粘着層とを備え、
前記粘着層は、該粘着層を硬化させる硬化成分を含有し、
前記基層は、主に、高分子型帯電防止剤が分散した樹脂から成り、
前記高分子型帯電防止剤のメルトマスフローレート(MFR)が、JIS K7210に準拠して190℃、21.18Nの測定条件で測定したとき、10.0g/10min以上15.0g/10min以下である半導体ウエハ等加工用粘着テープ。
【請求項3】
印加電圧±5000Vにおける1%減衰時間が0.15秒以内である請求項1または2に記載の半導体ウエハ等加工用粘着テープ。
【請求項4】
前記高分子型帯電防止剤の融点は、140℃以上である請求項1または2に記載の半導体ウエハ等加工用粘着テープ。
【請求項5】
前記樹脂が、ポリプロピレンとエラストマーとの混合物である請求項1または2に記載の半導体ウエハ等加工用粘着テープ。

【請求項6】
前記樹脂が、ポリエチレンとエラストマーとの混合物である請求項1または2に記載の半導体ウエハ等加工用粘着テープ。
【請求項7】
前記高分子型帯電防止剤に対して重量比率で、カチオンを100ppm以下およびアニオンを100ppm以下含有する請求項1または2に記載の半導体ウエハ等加工用粘着テープ。

【図1】
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【公開番号】特開2012−211314(P2012−211314A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−65317(P2012−65317)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】