説明

半導体チップおよびその製造方法

【課題】半導体チップ本体を貫通する電極を有する半導体チップにおいて、半導体チップ本体が厚い場合であっても、電極と半導体チップ本体との間に介在する絶縁部を容易に形成でき、且つ電極の信頼性を高くすることができるようにする。
【解決手段】半導体チップ1は、第1の面2aおよび第2の面2bと、4つの側面を有する半導体チップ本体2を備えている。半導体チップ1は、更に、半導体チップ本体2を貫通する電極収容部4と、少なくとも一部が電極収容部4内に収容された電極7と、電極収容部4内において、電極7と半導体チップ本体2との間に介在する絶縁部5とを備えている。絶縁部5に接する電極収容部4の壁面4Wは、第1の面2aに垂直な方向に対して傾いている。電極7と絶縁部5の界面が第1の面2aに垂直な方向に対してなす角度は、壁面4Wが第1の面2aに垂直な方向に対してなす角度よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ本体を貫通する電極を有する半導体チップおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に対する薄型化、軽量化の要求が強いことに伴って、半導体装置の高集積化が求められている。半導体装置の高集積化を実現する技術の一つとして、貫通電極を有する半導体チップを用いる技術が知られている。貫通電極は、半導体チップ本体に形成された貫通孔内に配置され、半導体チップ本体の両面に配置された導体同士を電気的に接続する配線として機能する。
【0003】
従来の一般的な貫通電極の形成方法は、以下の通りである。まず、後に半導体チップ本体となる半導体基板に対して、半導体基板の上面側から、貫通電極を収容するための穴を形成する。この穴は、例えば反応性イオンエッチングによって、半導体基板の下面に達しないように形成される。次に、上記穴内および半導体基板の上面上に絶縁層とバリア層とシード層を順に形成する。次に、めっき法によって上記穴内にCu等の金属を充填して貫通電極を形成する。次に、余分なシード層を除去する。次に、半導体基板の下面から貫通電極が露出するように、半導体基板の下面を研磨する。
【0004】
上記の貫通電極の形成方法では、工程数が多いため、リードタイムが長く、また半導体チップの製造コストが高くなるという問題点がある。また、この貫通電極の形成方法では、深い穴を形成することが難しいことから、厚みの大きな半導体チップの製造には適用できないという問題点がある。
【0005】
上記の問題点を解決する技術として、特許文献1には、以下のような貫通電極の形成方法が記載されている。この貫通電極の形成方法では、まず、半導体ウェハ(半導体基板)に対して、貫通電極を収容するための貫通孔を形成する前に、貫通孔を包含する大きさの表裏貫通部を形成する。次に、表裏貫通部に絶縁材を充填する。次に、この絶縁材に貫通孔を形成する。次に、この貫通孔内に貫通電極を形成する。
【0006】
特許文献2には、スルーホールが設けられたプリント基板のコア材にシート状の樹脂をラミネートし、スルーホール内部の圧力を減圧することによって、スルーホールに樹脂を充填する技術が記載されている。
【0007】
特許文献3,4には、半導体基板に、半導体基板の1つの面に近づくに従って断面積が増加するテーパ形状の貫通孔を形成し、この貫通孔内に絶縁層を介して貫通電極を形成する技術が記載されている。
【0008】
特許文献5には、化合物半導体の基板に、基板の1つの面に近づくに従って断面積が増加するテーパ形状の貫通孔を形成し、この貫通孔内に貫通電極を形成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−111063号公報
【特許文献2】特開2001−144434号公報
【特許文献3】特開2001−44197号公報
【特許文献4】特開2003−318178号公報
【特許文献5】特開2005−85926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載された貫通電極の形成方法によれば、少ない工程数および短い時間で貫通電極を形成でき、その結果、半導体チップの製造コストを低減できると共に、ある程度大きな厚みの半導体チップの製造も可能になる。特許文献1には、直径30μm程度の貫通孔であれば、300μm程度の厚みの半導体ウェハに対して形成可能である旨が記載されている。ここで、表裏貫通部や貫通孔のような孔に関して、孔の直径に対する孔の長さの比をアスペクト比と定義する。半導体ウェハの厚みが300μmで、貫通孔の直径が30μmの場合、貫通孔のアスペクト比は10である。この場合、表裏貫通部の直径は貫通孔の直径よりも大きいので、表裏貫通部のアスペクト比は10よりも小さくなる。
【0011】
特許文献1には、表裏貫通部に絶縁材を充填する方法として、ペースト状の絶縁材を、スクリーン印刷方式、スキージ方式あるいはディスペンサ方式によって表裏貫通部に充填する方法が記載されている。しかし、これらの方法では、アスペクト比が10以上となる表裏貫通部に対しては、ボイドを発生させることなく絶縁材を充填することは困難である。
【0012】
特許文献1には、焼結ステージによって半導体ウェハを吸着保持することにより、表裏貫通部の内部が負圧になり、絶縁材の充填のための補助になる旨が記載されている。しかし、この方法では、焼結ステージの空隙内に絶縁材が入り込んで吸引力が低下し、その結果、絶縁材の充填が不十分になるという問題点がある。
【0013】
また、特許文献1に記載された方法を適用できる半導体ウェハの厚みの上限は、300μm程度である。そのため、この方法を用いる場合には、半導体ウェハの厚みが例えば300μm以下になるように、予め研磨によって半導体ウェハを薄くする必要があり、そのための余分な工程が必要になるという問題点がある。また、この方法は、大きな強度を必要とする等の理由から厚くする必要がある半導体チップの製造には適用できないという問題点もある。
【0014】
特許文献2に記載された技術を用いても、アスペクト比が10以上となるスルーホールに樹脂を充填することは容易ではない。
【0015】
特許文献3,4に記載された技術を用いれば、貫通孔をテーパ形状にしたことにより、貫通孔内に絶縁層および貫通電極を容易に形成することが可能になる。同様に、特許文献5に記載された技術を用いれば、貫通孔をテーパ形状にしたことにより、貫通孔内に貫通電極を容易に形成することが可能になる。しかし、これらの技術では、以下のような問題点がある。すなわち、これらの技術によると、貫通電極は、テーパ形状の貫通孔の壁面に沿って形成されるため、貫通電極の中心軸方向の位置によって、中心軸に垂直な貫通電極の断面の面積が大きく変化する。これにより、貫通電極の中心軸方向の位置によって、貫通電極の抵抗値も大きく変化する。そして、貫通電極には、必ず、断面の面積が最小となり、抵抗値が最大となる部分が存在する。貫通電極の中心軸方向の位置によって貫通電極の抵抗値が大きく変化したり、貫通電極において抵抗値が非常に大きい部分が存在したりすると、配線としての貫通電極の特性および信頼性が劣る。一方、貫通電極において、断面の面積が最小となる部分の抵抗値を小さくするために、その部分の直径を大きくすると、断面の面積が最大となる部分の直径がより大きくなり、半導体チップにおいて貫通電極が占める領域が大きくなり、半導体装置の高集積化の要求に反することになる。
【0016】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、半導体チップ本体を貫通する電極を有する半導体チップにおいて、半導体チップ本体が厚い場合であっても、電極と半導体チップ本体との間に介在する絶縁部を容易に形成することが可能で、且つ電極の信頼性を高くすることができるようにした半導体チップおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の半導体チップは、互いに反対側を向いた第1の面および第2の面と、第1の面と第2の面を接続する側面とを有する半導体チップ本体を備えている。半導体チップは、更に、半導体チップ本体を貫通する電極収容部と、半導体チップ本体を貫通するように、少なくとも一部が電極収容部内に収容された電極と、電極収容部内において、電極と半導体チップ本体との間に介在する絶縁部とを備えている。電極収容部は、絶縁部に接する壁面を有し、この壁面は、第1の面に垂直な方向に対して傾いている。電極と絶縁部の界面が第1の面に垂直な方向に対してなす角度は、前記壁面が第1の面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さい。
【0018】
本発明の半導体チップにおいて、絶縁部は、樹脂によって構成されていてもよい。また、電極は、半導体チップ本体の側面に露出していなくてもよい。あるいは、電極および絶縁部が、半導体チップ本体の側面に露出していてもよい。
【0019】
本発明の半導体チップの製造方法は、半導体チップ本体の第1および第2の面に対応する第1および第2の面を有し、後に半導体チップ本体となる半導体基板に対して、電極収容部に対応する第1の貫通孔を形成する工程と、第1の貫通孔内に絶縁材料を充填して、絶縁部に対応する予備絶縁部を形成する工程と、予備絶縁部を貫通するように第2の貫通孔を形成する工程と、第2の貫通孔内に、電極に対応する予備電極を形成する工程とを備えている。
【0020】
第1の貫通孔は、半導体基板の第1の面において開口する第1の開口部と、半導体基板の第2の面において開口する第2の開口部とを有している。第2の開口部の面積は、第1の開口部の面積よりも大きい。半導体基板の第1の面に平行な第1の貫通孔の断面の面積は、第2の開口部に近づくに従って大きくなっている。予備絶縁部を形成する工程は、第2の開口部側から、第1の貫通孔内に絶縁材料を充填する。第2の貫通孔の壁面が半導体基板の第1の面に垂直な方向に対してなす角度は、第1の貫通孔の壁面が半導体基板の第1の面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さい。
【0021】
本発明の半導体チップの製造方法において、予備絶縁部を形成する工程は、半導体基板の第2の面に接するように、加熱されることによって軟化する樹脂フィルムを配置する工程と、樹脂フィルムを加熱し軟化させて、樹脂フィルムを構成する樹脂を、絶縁材料として第1の貫通孔内に充填する工程とを含んでいてもよい。
【0022】
樹脂を充填する工程では、加熱された樹脂フィルムを第1の貫通孔に向けて加圧してもよいし、第1の貫通孔内を減圧してもよい。
【0023】
また、樹脂フィルムは、軟化する第1の温度よりも高い第2の温度で加熱されることによって硬化する熱硬化性樹脂によって構成されていてもよい。この場合、樹脂を充填する工程では、第1の温度で樹脂フィルムを加熱する。また、予備絶縁部を形成する工程は、更に、樹脂を充填する工程の後で、樹脂を第2の温度で加熱して硬化させる工程を含んでいてもよい。
【0024】
また、本発明の半導体チップの製造方法において、電極は、半導体チップ本体の側面に露出していなくてもよい。
【0025】
また、本発明の半導体チップの製造方法は、更に、予備電極を形成する工程の後で、半導体基板を切断して、半導体チップの側面を形成する工程を含んでいてもよい。この場合、側面を形成する工程では、予備絶縁部と予備電極が切断され、切断後の予備絶縁部によって、側面に露出した絶縁部が形成され、切断後の予備電極によって、側面に露出した電極が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の半導体チップでは、電極収容部の壁面が、半導体チップ本体の第1の面に垂直な方向に対して傾いている。これにより、本発明によれば、半導体チップ本体が厚い場合であっても、電極と半導体チップ本体との間に介在する絶縁部を容易に形成することが可能になるという効果を奏する。また、本発明では、電極と絶縁部の界面が第1の面に垂直な方向に対してなす角度は、電極収容部の壁面が第1の面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さい。これにより、本発明によれば、電極の信頼性を高くすることが可能になるという効果を奏する。
【0027】
本発明の半導体チップの製造方法では、電極収容部に対応する第1の貫通孔は、第1および第2の開口部を有し、第2の開口部の面積は、第1の開口部の面積よりも大きく、半導体基板の第1の面に平行な第1の貫通孔の断面の面積は、第2の開口部に近づくに従って大きくなっている。そして、予備絶縁部を形成する工程は、第2の開口部側から、第1の貫通孔内に絶縁材料を充填する。これにより、本発明によれば、半導体チップ本体が厚い場合であっても、絶縁部に対応する予備絶縁部を容易に形成することが可能になる。また、本発明では、第2の貫通孔の壁面が半導体基板の第1の面に垂直な方向に対してなす角度は、第1の貫通孔の壁面が半導体基板の第1の面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さい。これにより、電極と絶縁部の界面が半導体チップ本体の第1の面に垂直な方向に対してなす角度は、電極収容部の壁面が半導体チップ本体の第1の面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さくなる。以上のことから、本発明の半導体チップの製造方法によれば、半導体チップ本体が厚い場合であっても、電極と半導体チップ本体との間に介在する絶縁部を容易に形成することが可能になり、且つ電極の信頼性を高くすることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体チップの断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る半導体チップの製造方法を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る半導体チップの製造方法を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る半導体チップの製造方法を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る半導体チップの製造方法における予備絶縁部を形成する工程を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る半導体チップの製造方法において用いられる熱硬化性樹脂の温度変化に対する粘度変化の特性を示す特性図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る半導体チップの製造方法における予備絶縁部を形成する工程を示す説明図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る半導体チップの断面図である。
【図9】図8における電極と絶縁部を示す斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係る半導体チップの製造方法における半導体チップの側面を形成する工程を示す説明図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る半導体チップの断面図である。
【図12】図11における電極と絶縁部を示す斜視図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係る半導体チップの製造方法における半導体チップの側面を形成する工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る半導体チップの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る半導体チップの断面図である。図1に示したように、本実施の形態に係る半導体チップ1は、ほぼ直方体形状の半導体チップ本体2を備えている。半導体チップ本体2は、互いに反対側を向いた第1の面2aおよび第2の面2bと、第1の面2aと第2の面2bを接続する4つの側面とを有している。第1の面2aと第2の面2bは平行である。図1には、4つの側面のうち、互いに反対側を向いた2つの側面2c,2dを示している。半導体チップ本体2の厚み(第1の面2aと第2の面2bの間の距離)は、例えば、100〜625μmの範囲内である。
【0030】
半導体チップ本体2は、主に、シリコン等の半導体によって構成された主要部分20を有している。主要部分20は、互いに反対側を向いた第1の面20aおよび第2の面20bと、第1の面20aと第2の面20bを接続する4つの側面とを有している。主要部分20の4つ側面は、半導体チップ本体2の4つの側面を形成している。
【0031】
図示しないが、主要部分20は、第1の面20aと第2の面20bの少なくとも一方の近傍に形成された、トランジスタ等の半導体デバイスを含んでいる。半導体チップ本体2は、更に、主要部分20の第1の面20aと第2の面20bの少なくとも一方に配置された電極パッド21と絶縁層22とを備えている。電極パッド21は、上記半導体デバイスに電気的に接続されている。絶縁層22は、電極パッド21の周囲に配置されている。電極パッド21は、導電材料によって構成されている。絶縁層22は、絶縁材料によって構成されている。
【0032】
図1には、主要部分20において、第1の面20aの近傍に半導体デバイスが形成され、第1の面20aに電極パッド21と絶縁層22が配置された例を示している。この例では、電極パッド21および絶縁層22の表面が半導体チップ本体2の第1の面2aを形成し、主要部分20の第2の面20bが半導体チップ本体2の第2の面2bを形成している。また、この例では、半導体チップ1は、更に、半導体チップ本体2の第2の面2bを覆う絶縁層3を備えている。絶縁層3は、絶縁材料によって構成されている。
【0033】
半導体チップ1は、更に、半導体チップ本体2を貫通する電極収容部4と、半導体チップ本体2を貫通するように、少なくとも一部が電極収容部4内に収容された電極7と、電極収容部4内において、電極7と半導体チップ本体2との間に介在する絶縁部5とを備えている。本実施の形態では、特に、電極7は、絶縁層3も貫通して、絶縁層3の表面まで延びている。従って、本実施の形態では、電極7の一部が電極収容部4内に収容されている。絶縁部5は、絶縁材料によって構成されている。電極7は、銅等の導電材料によって構成されている。
【0034】
本実施の形態では、電極収容部4は、第1の面2aから第2の面2bにかけて半導体チップ本体2を貫通する孔である。絶縁部5は、電極収容部4内に配置されている。絶縁部5および絶縁層3には、貫通孔6が形成されている。電極7は、この貫通孔6内に配置されている。絶縁部5は、筒形状を有している。絶縁部5と電極7は、半導体チップ本体2の側面に露出していない。従って、本実施の形態における電極7は、貫通電極の形態である。
【0035】
電極7は、筒形状または柱形状を有している。いずれの場合においても、第1の面2aに平行な電極7の断面の形状は、例えば円、楕円、四角のいずれかであってもよい。電極7が筒形状を有している場合、半導体チップ1は、更に、電極7の内壁で囲まれた空間内に配置された充填部8を備えている。充填部8は、絶縁材料によって構成されている。電極7が柱形状を有している場合には、充填部8は設けられない。
【0036】
半導体チップ1は、更に、電極パッド21および絶縁層22の表面上に配置された配線層11と、絶縁層3の表面上に配置された配線層12とを備えている。配線層11,12は、銅等の導電材料によって構成されている。配線層11は、電極7と電極パッド21とを電気的に接続している。配線層12は、電極7に電気的に接続されている。半導体チップ1は、更に、配線層12に接合され、且つ電気的に接続された端子(バンプ)13を備えている。端子13は、半田等の導電材料によって構成されている。
【0037】
本実施の形態では、絶縁層3と絶縁部5は、同じ絶縁材料、特に樹脂によって、連続するように形成されている。図1では、絶縁層3と絶縁部5の境界を点線で示している。また、電極7と配線層11,12は、同じ導電材料によって、連続するように形成されている。図1では、電極7と配線層11の境界、および電極7と配線層12の境界を、それぞれ点線で示している。
【0038】
電極収容部4は、絶縁部5に接する壁面4Wを有している。この壁面4Wは、第1の面2aに垂直な方向に対して傾いている。本実施の形態では、特に、電極収容部4は、第1の面2aにおいて開口する第1の開口部4aと、第2の面2bにおいて開口する第2の開口部4bとを有し、第2の開口部4bの面積は、第1の開口部4aの面積よりも大きい。第1の面2aに平行な電極収容部4の断面の面積は、第2の開口部4bに近づくに従って大きくなっている。第1の開口部4aの中心と第2の開口部4bの中心は、第1の面2aに垂直な仮想の直線上に位置する。以下、このような本実施の形態における電極収容部4の形状をテーパ形状と言う。
【0039】
図1において、壁面4Wが第1の面2aに垂直な方向に対してなす角度を記号θ1で示している。角度θ1は、1°〜7°の範囲内であることが好ましい。また、電極7と絶縁部5の界面が第1の面2aに垂直な方向に対してなす角度θ2(図示せず)は、角度θ1よりも小さい。角度θ2は、0°〜6°の範囲内であることが好ましい。図1には、角度θ2が0°である例を示している。第1の開口部4aにおける最小の径は、例えば、40〜80μmの範囲内である。第2の開口部4bにおける最小の径は、例えば、80〜200μmの範囲内である。また、第1の面2aに平行な断面における電極7の外周の最小の径は、例えば、30〜70μmの範囲内である。なお、「最小の径」とは、両端が周上にあり中心を通る線分のうちの最も短いものの長さを言う。
【0040】
なお、図1には、電極パッド21、電極収容部4、絶縁部5、電極7、端子13を、それぞれ1つずつ示しているが、これらは、それぞれ複数設けられていてもよい。
【0041】
次に、図2ないし図4を参照して、本実施の形態に係る半導体チップ1の製造方法について説明する。図2ないし図4は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体チップの製造方法を示す説明図である。
【0042】
半導体チップ1の製造方法では、まず、図2(a)に示したように、後に半導体チップ本体2となる本体予定部2Pを1つ以上含む半導体基板(ウェハ)102を用意する。ここでは、半導体基板102が本体予定部2Pを2つ以上含む場合を例にとって説明する。この場合、半導体基板102において、隣接する2つの本体予定部2Pの間には、後に切断される位置である切断予定部(スクライブライン)102Cが設けられている。なお、切断予定部102Cは、所定の幅を有している。
【0043】
半導体基板102は、半導体チップ本体2の第1および第2の面2a,2bに対応する第1および第2の面102a,102bを有している。また、半導体基板102は、半導体チップ本体2の主要部分20に対応する主要部分120と、この主要部分120の1つの面上に配置された複数の電極パッド21および絶縁層22を有している。以下、1つの本体予定部2Pに着目して説明する。
【0044】
図2(b)は、次の工程を示す。この工程では、半導体基板102に対して、電極収容部4に対応する第1の貫通孔104を形成する。本実施の形態では、第1の貫通孔104は、そのまま電極収容部4になる。従って、第1の貫通孔104の形状は、電極収容部4と同じテーパ形状である。すなわち、第1の貫通孔104は、半導体基板102の第1の面102aにおいて開口する第1の開口部104aと、半導体基板の第2の面102bにおいて開口する第2の開口部104bとを有している。第2の開口部104bの面積は、第1の開口部104aの面積よりも大きい。半導体基板102の第1の面102aに平行な第1の貫通孔104の断面の面積は、第2の開口部104bに近づくに従って大きくなっている。第1の開口部104aの中心と第2の開口部104bの中心は、第1の面102aに垂直な仮想の直線上に位置する。
【0045】
第1の貫通孔104は、例えばレーザ加工や反応性イオンエッチング(RIE)によって形成される。レーザ加工によれば、容易に、テーパ形状の第1の貫通孔104を形成することができる。また、反応性イオンエッチングを用いる場合も、半導体基板102がテーパエッチングされる条件を選択することで、容易に、テーパ形状の第1の貫通孔104を形成することができる。
【0046】
次に、第2の開口部104b側から第1の貫通孔104内に絶縁材料を充填して、絶縁部5に対応する予備絶縁部を形成する。本実施の形態では、この予備絶縁部を形成する工程は、図2(c)、(d)に示した2つの工程を含んでいる。図2(c)に示した工程では、半導体基板102の第2の面102bに接するように、加熱されることによって軟化する樹脂フィルム105Pを配置する。樹脂フィルム105Pは、熱可塑性樹脂によって構成されていてもよいし、軟化する第1の温度よりも高い第2の温度で加熱されることによって硬化する熱硬化性樹脂によって構成されていてもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば熱硬化性ポリイミド樹脂を用いることができる。
【0047】
次に、図2(d)に示した工程で、樹脂フィルム105Pを加熱し軟化させて、樹脂フィルム105Pを構成する樹脂を、絶縁材料として第1の貫通孔104内に充填する。この場合、樹脂は、第2の開口部104b側から第1の貫通孔104内に充填される。第1の貫通孔104内に充填された樹脂によって、予備絶縁部105が形成される。本実施の形態では、予備絶縁部105は、そのまま絶縁部5になる。また、この工程では、当初の樹脂フィルム105Pの一部が第2の面102b上に残り、これが絶縁層3を形成する。このようにして、絶縁層3と予備絶縁部105は、同じ材料、特に樹脂によって、連続するように形成される。図2(d)では、絶縁層3と予備絶縁部105の境界を点線で示している。樹脂フィルム105Pが熱硬化性樹脂によって構成されている場合には、第1の貫通孔104内に樹脂を充填する工程では、樹脂フィルム105Pが軟化する第1の温度で樹脂フィルムを加熱する。この場合、予備絶縁部105を形成する工程は、第1の貫通孔104内に樹脂を充填する工程の後で、樹脂を、第1の温度よりも高い第2の温度で加熱して硬化させて、予備絶縁部105と絶縁層3を完成させる工程を含む。予備絶縁部105を形成する工程については、後で更に詳しく説明する。
【0048】
図3(a)は、次の工程を示す。この工程では、予備絶縁部105および絶縁層3を貫通するように第2の貫通孔106を形成する。本実施の形態では、第2の貫通孔106は、そのまま貫通孔6になる。第2の貫通孔106は、例えばレーザ加工によって形成される。第2の貫通孔106の壁面が半導体基板102の第1の面102aに垂直な方向に対してなす角度は、第1の貫通孔104の壁面が第1の面102aに垂直な方向に対してなす角度よりも小さい。
【0049】
図3(b)は、次の工程を示す。この工程では、第2の貫通孔106内に、電極7に対応する予備電極107を形成する。具体的には、予備電極107は、例えば以下のようにして形成される。まず、無電解めっき法によって、図3(a)に示した構造体の表面全体に、金属膜よりなるシード層を形成する。シード層は、第2の貫通孔106の壁面にも形成される。次に、電解めっき法によって、シード層の上にめっき膜を形成する。シード層およびめっき層のうち、第2の貫通孔106内に形成された部分は、予備電極107を構成する。本実施の形態では、予備電極107は、そのまま電極7になる。めっき層の厚みは、電極7の十分な特性が得られる厚みとし、例えば1〜10μm程度である。予備電極107は、第2の貫通孔106を完全に埋めずに筒形状になっていてもよいし、第2の貫通孔106を完全に埋めて柱形状になっていてもよい。図3(b)には、予備電極107が筒形状になっている例を示している。この工程では、上記シード層およびめっき層によって、予備電極107の他に、この予備電極107に連続する導体層111,112も形成される。導体層111は、電極パッド21および絶縁層22の表面上に形成され、導体層112は、絶縁層3の表面上に形成される。
【0050】
図3(c)は、次の工程を示す。この工程では、筒形状の予備電極107の内壁で囲まれた空間内に、絶縁材料例えば樹脂を充填して、予備充填部108を形成する。本実施の形態では、予備充填部108は、そのまま充填部8になる。予備充填部108は、以下のように、予備絶縁部105と同様の方法で形成してもよい。すなわち、この方法では、まず、導体層111または導体層112の表面に接するように、加熱されることによって軟化する樹脂フィルムを配置する。図3(c)には、導体層111の表面に接するように樹脂フィルムを配置した例を示している。次に、樹脂フィルムを加熱し軟化させて、樹脂フィルムを構成する樹脂を、予備電極107の内壁で囲まれた空間内に充填する。この充填された樹脂によって、予備充填部108が形成される。この方法では、当初の樹脂フィルムの一部が導体層111または導体層112の表面上に残る。図3(c)において、符号109は、導体層111の表面上に残った樹脂を示している。
【0051】
図3(d)は、次の工程を示す。この工程では、例えば化学機械研磨(CMP)によって、樹脂109を除去する。なお、図3(b)に示した工程において、予備電極107が柱形状に形成された場合には、図3(c)、(d)に示した工程は不要である。
【0052】
図4(a)は、次の工程を示す。この工程では、導体層111をパターニングして配線層11を形成し、導体層112をパターニングして配線層12を形成する。具体的には、この工程では、まず、導体層111,112の上に、それぞれエッチングマスクを形成する。エッチングマスクは、導体層111,112のうち、配線層11,12となる部分を覆う。エッチングマスクは、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして形成する。次に、導体層111,112のうち、エッチングマスクによって覆われていない部分を、ウェットエッチングまたはドライエッチングによって除去する。これにより、残った導体層111,112が配線層11,12となる。
【0053】
図4(b)は、次の工程を示す。この工程では、配線層12の上に端子13を形成する。端子13は、導体層をパターニングして形成してもよいし、所定の位置にのみ導電材料を配置することによって形成してもよい。
【0054】
図4(c)は、次の工程を示す。この工程では、図4(b)に示した構造体における半導体基板102および絶縁層3を、図4(b)に示した切断予定部102Cの位置で切断する。これにより、複数の半導体チップ1が形成される。半導体基板102および絶縁層3が切断されることによって、本体予定部2Pは本体2となり、また、半導体チップ本体2の第1の面2a、第2の面2bおよび4つの側面が形成される。
【0055】
次に、図5を参照して、本実施の形態に係る半導体チップ1の製造方法における予備絶縁部105を形成する工程(図2(c)、(d))について詳しく説明する。図5は、予備絶縁部105を形成する工程を示す説明図である。本実施の形態では、図5(a)〜(c)に示した真空ラミネータ200を用いて、予備絶縁部105を形成する。始めに、真空ラミネータ200の構成について説明する。真空ラミネータ200は、下枠210と上枠220とを備えている。上枠220は、下枠210の上方に配置され、図示しない駆動装置によって駆動されて上下方向に移動可能になっている。下枠210と上枠220は、それぞれ、上枠220が下方に移動したときに接触する接触面を有している。上枠220の接触面には、シール部材221が設けられている。下枠210と上枠220の接触面同士が接触した状態では、下枠210と上枠220によって囲まれた空間が形成されるようになっている。下枠210には通気路212が設けられ、上枠220には通気路222が設けられている。
【0056】
真空ラミネータ200は、更に、下枠210と上枠220の間に配置された下ヒーター213と上ヒーター223とを備えている。下ヒーター213と上ヒーター223は、いずれも板状である。下ヒーター213は、位置が固定されている。上ヒーター223は、下ヒーター213の上方に配置され、且つ上下方向に移動可能になっている。
【0057】
真空ラミネータ200は、更に、下ヒーター213の上面上に固定されたゴム製の弾性板214と、上枠220に固定されたゴム製のダイヤフラム224とを備えている。ダイヤフラム224は、上ヒーター223と弾性板214との間に配置されている。図5(b)に示したように、下枠210と上枠220の接触面同士が接触した状態では、下枠210と上枠220によって囲まれた空間は、ダイヤフラム224よりも下側の下空間215と、ダイヤフラム224よりも上側の上空間225とに区画される。通気路212は下空間215に通じ、通気路222は上空間225に通じる。
【0058】
次に、真空ラミネータ200を用いて予備絶縁部105を形成する工程について説明する。この工程では、まず、図5(a)に示したように、上枠220を上方に移動させて、下枠210から離す。この状態で、弾性板214の上に、図2(c)に示した、第1の貫通孔104形成後の半導体基板102と樹脂フィルム105Pを載置する。このとき、第2の開口部104bが上に向くように半導体基板102を配置し、樹脂フィルム105Pを半導体基板102の上に配置する。半導体基板102が弾性板214に接着することを防止するために、弾性板214と半導体基板102の間に保護シートを配置することが好ましい。また、樹脂フィルム105Pがダイヤフラム224に接着することを防止するために、樹脂フィルム105Pの上にも保護シートを配置することが好ましい。
【0059】
次に、図5(b)に示したように、上枠220を下方に移動させて、下枠210と上枠220の接触面同士を接触させて、下空間215と上空間225を形成する。このとき、半導体基板102と樹脂フィルム105Pは、下空間215内に位置する。次に、通気路212を通して下空間215内の気体を吸引して下空間215内を減圧すると共に、通気路222を通して上空間225内の気体を吸引して上空間225内を減圧する。下空間215内が減圧されることにより、第1の貫通孔104内は減圧される。この状態では、ダイヤフラム224は、樹脂フィルム105Pに接していない。
【0060】
次に、図5(c)に示したように、下ヒーター213と上ヒーター223の温度を上昇させると共に、下空間215内を減圧したままで、通気路222を通して上空間225内に気体を送り上空間225内の圧力を大気圧以上にする。これにより、ダイヤフラム224と上ヒーター223は下方に向けて加圧され、ダイヤフラム224の一部は、上ヒーター223と樹脂フィルム105Pの間に挟まれる。その結果、樹脂フィルム105Pは、上ヒーター223とダイヤフラム224によって、第1の貫通孔104に向けて加圧されると共に、上ヒーター223によって加熱される。このとき、樹脂フィルム105Pの温度は、樹脂フィルム105Pが軟化する温度に設定される。予備絶縁部105を形成する工程において、加熱されたときの樹脂フィルム105Pの粘度は、1000Pa・s以下であることが好ましい。このようにして、樹脂フィルム105Pが軟化し、樹脂フィルム105Pを構成する樹脂が第1の貫通孔104内に充填される。
【0061】
次に、図6を参照して、樹脂フィルム105Pが熱硬化性樹脂によって構成されている場合に関して、温度変化に対する熱硬化性樹脂の粘度変化の特性と前述の第1および第2の温度との関係について説明する。図6は、温度変化に対する熱硬化性樹脂の粘度変化の特性を概念的に示す特性図である。図6において、横軸は温度を示し、右側ほど温度が高い。また、図6において、縦軸は粘度を示し、上側ほど粘度が大きい。図6に示したように、熱硬化性樹脂の温度を室温から徐々に上げてゆくと、熱硬化性樹脂の粘度は、徐々に減少して最小値をとった後、増加に転じる。そして、熱硬化性樹脂の粘度は、やがて十分に大きくなって、熱硬化性樹脂は硬化する。第1の貫通孔104内に樹脂を充填する工程において、樹脂フィルム105Pを軟化させるときの樹脂フィルム105Pの加熱温度である第1の温度は、熱硬化性樹脂の粘度が最小値をとる温度とその近傍の温度とを含む温度範囲T1内の温度とする。温度範囲T1は、例えば100〜120℃の範囲内である。また、熱硬化性樹脂を硬化させるときの樹脂フィルム105Pの加熱温度である第2の温度は、熱硬化性樹脂が硬化する最低温度以上の温度範囲T2内の温度とする。温度範囲T2は、例えば170〜200℃の範囲内である。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態に係る半導体チップ1では、電極収容部4の壁面4Wが、半導体チップ本体2の第1の面2aに垂直な方向に対して傾いている。本実施の形態では、特に、電極収容部4は、半導体チップ本体2を貫通する孔である。そのため、電極収容部4は、第1の面2aにおいて開口する第1の開口部4aと、第2の面2bにおいて開口する第2の開口部4bとを有している。第2の開口部4bの面積は、第1の開口部4aの面積よりも大きく、第1の面2aに平行な電極収容部4の断面の面積は、第2の開口部4bに近づくに従って大きくなっている。
【0063】
本実施の形態に係る半導体チップ1の製造方法は、半導体基板102に対して第1の貫通孔104を形成する工程と、第1の貫通孔104内に絶縁材料を充填して、予備絶縁部105を形成する工程と、予備絶縁部105を貫通するように第2の貫通孔106を形成する工程と、第2の貫通孔106内に予備電極107を形成する工程とを備えている。
【0064】
第1の貫通孔104は、半導体基板102の第1の面102aにおいて開口する第1の開口部104aと、半導体基板102の第2の面102bにおいて開口する第2の開口部104bとを有している。第2の開口部104bの面積は、第1の開口部104aの面積よりも大きく、半導体基板102の第1の面102aに平行な第1の貫通孔104の断面の面積は、第2の開口部104bに近づくに従って大きくなっている。予備絶縁部105を形成する工程は、第1の開口部104aよりも面積が大きい第2の開口部104b側から、第1の貫通孔104内に絶縁材料を充填する。
【0065】
これらのことから、本実施の形態によれば、電極収容部4の壁面4Wが半導体チップ本体2の第1の面2aに垂直で、第1の面2aに平行な電極収容部4の断面の面積ならびに第1の面102aに平行な第1の貫通孔104の断面の面積が、それぞれ面2a,102aからの距離によらずに一定の場合に比べて、絶縁部5(予備絶縁部105)を容易に形成することが可能になる。これにより、本実施の形態によれば、半導体チップ本体2(半導体基板102)が厚い場合であっても、ボイドを発生させることなく、容易に絶縁部5(予備絶縁部105)を形成することが可能になる。具体的には、本実施の形態によれば、半導体チップ本体2(半導体基板102)の厚みが300μm以上であって、第1の開口部4a(104a)における最小の径に対する電極収容部4(第1の貫通孔104)の長さの比が10以上であっても、ボイドを発生させることなく絶縁部5(予備絶縁部105)を形成することが可能である。
【0066】
また、本実施の形態に係る半導体チップ1では、電極7と絶縁部5の界面が第1の面2aに垂直な方向に対してなす角度は、電極収容部4の壁面4Wが第1の面2aに垂直な方向に対してなす角度よりも小さい。これに対応して、本実施の形態に係る半導体チップ1の製造方法では、第2の貫通孔106の壁面が半導体基板102の第1の面102aに垂直な方向に対してなす角度は、第1の貫通孔104の壁面が第1の面102aに垂直な方向に対してなす角度よりも小さい。これにより、本実施の形態では、第1の面2aに平行な電極7の断面の面積は、第1の面2aに垂直な方向の位置によって大きく変化しない。特に、電極7と絶縁部5の界面が第1の面2aに垂直な方向に対してなす角度が0°の場合には、第1の面2aに平行な電極7の断面の面積は、第1の面2aに垂直な方向の位置によらずに一定である。従って、本実施の形態によれば、第1の面2aに垂直な方向の位置によって、電極7の抵抗値は大きく変化しない。そのため、本実施の形態によれば、配線としての電極7の特性および信頼性を高くすることが可能になる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、ボイドを発生させることなく絶縁部5(予備絶縁部105)を形成できることから、半導体チップ1の電極7およびその周辺における機械的および電気的特性の劣化を防止することができる。
【0068】
また、本実施の形態において、予備絶縁部105を形成する工程は、半導体基板102の第2の面102bに接するように、加熱されることによって軟化する樹脂フィルム105Pを配置する工程と、樹脂フィルム105Pを加熱し軟化させて、樹脂フィルム105Pを構成する樹脂を、絶縁材料として第1の貫通孔104内に充填する工程とを含んでいる。本実施の形態によれば、ペーストのような流動体ではなく、樹脂フィルム105Pの形態で絶縁材料を用意することができるので、絶縁材料の取り扱いが容易になる。しかも、予備絶縁部105を形成する際には、樹脂フィルム105Pが加熱されて軟化するため、容易に、またボイドを発生させることなく、第1の貫通孔104内に絶縁材料(樹脂)を充填することが可能になる。
【0069】
特に、図5を参照して説明した工程によれば、第1の貫通孔104内に樹脂を充填する際に、加熱された樹脂フィルム105Pを第1の貫通孔104に向けて加圧すると共に、第1の貫通孔104内を減圧しているため、より容易に、ボイドを発生させることなく、第1の貫通孔104内に樹脂を充填することが可能になる。ただし、本発明では、上記の樹脂フィルム105Pに対する加圧と第1の貫通孔104内の減圧は、必須ではない。第1の貫通孔104内に樹脂を充填する際には、樹脂フィルム105Pに対する加圧と第1の貫通孔104内の減圧の一方のみを行ってもよい。また、加熱されたときの樹脂フィルム105Pの粘度が十分に小さい場合には、樹脂フィルム105Pに対する加圧と第1の貫通孔104内の減圧の両方とも行わずに、大気圧の雰囲気内で、樹脂の流動性と重力とを利用して、あるいは毛細管現象を利用して、第1の貫通孔104内に樹脂を充填してもよい。
【0070】
また、本実施の形態によれば、半導体基板102が厚い場合であっても、予備絶縁部105を容易に形成することが可能であることから、例えば半導体基板102の厚みが300μm以下になるように、予め研磨によって半導体基板102を薄くする工程は必要ない。これにより、電極7の形成に要する時間を短縮することができると共に、半導体チップ1の製造コストを低減することができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、半導体基板102を薄くする必要がないことから、支持基板を使用することなく、半導体基板102の剛性をある程度大きく維持することができる。これにより、半導体チップ1の製造過程における半導体基板102の割れ等の損傷の発生を防止することができる。
【0072】
また、本実施の形態は、大きな強度を必要とする等の理由から厚くする必要がある半導体チップ1の製造にも適用することができる。
【0073】
また、本実施の形態では、半導体基板102の第1および第2の面102a,102bのうち、半導体デバイスが形成されていない第2の面102b上に樹脂フィルム105Pを配置することによって、予備絶縁部105と同時に、半導体チップ本体2の第2の面2b上の絶縁層3を形成することができる。これにより、絶縁層3の形成に要する時間を短縮することができると共に、半導体チップ1の製造コストを低減することができる。
【0074】
また、本実施の形態では、例えば、無電解めっき法によって第2の貫通孔106の壁面にシード層を形成した後、電解めっき法によってシード層の上にめっき膜を形成することによって、予備電極107を形成する。この方法によれば、電極7(予備電極107)を必要最低限の厚みに形成することができる。これにより、電極7の形成に要する時間を短縮することができると共に、半導体チップ1の製造コストを低減することができる。
【0075】
また、本実施の形態では、電極7(予備電極107)を筒形状に形成し、その内側に絶縁材料例えば樹脂を充填して、充填部8(予備充填部108)を形成することができる。これにより、電極7(予備電極107)の形成のためのめっき時間を短縮することができる。
【0076】
また、本実施の形態では、導体層111,112を、予備電極107と同時に形成し、その後、導体層111,112をパターニングして配線層11,12を形成する。これにより、配線層11,12の形成に要する時間を短縮することができると共に、半導体チップ1の製造コストを低減することができる。
【0077】
なお、本実施の形態に係る半導体チップ1は、単独の素子として使用されてもよいし、複数の半導体チップ1を積層して積層パッケージを構成するために使用されてもよい。
【0078】
[第2の実施の形態]
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図7は、本実施の形態に係る半導体チップ1の製造方法における予備絶縁部105を形成する工程を示す説明図である。本実施の形態に係る半導体チップ1の構成は、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態に係る半導体チップ1の製造方法では、図7に示したラミネータ300を用いて、予備絶縁部105を形成する。
【0079】
ラミネータ300は、一対のフィルム収容ローラー311,321と、一対の入口ローラー312,322と、一対の出口ローラー313,323とを備えている。入口ローラー312,322は、それぞれの回転軸が平行になるように近接した位置に配置され、互いに反対方向に回転するように駆動される。入口ローラー312,322は、それぞれヒーターを内蔵している。出口ローラー313,323も、それぞれの回転軸が平行になるように近接した位置に配置され、互いに反対方向に回転するように駆動される。入口ローラー312は入口ローラー322の上方に配置され、出口ローラー313は出口ローラー323の上方に配置されている。本実施の形態では、フィルム収容ローラー311には、長尺の樹脂フィルム105Pが巻回されて収容され、フィルム収容ローラー321には、長尺の保護フィルム325が巻回されて収容されている。
【0080】
フィルム収容ローラー311から取り出された樹脂フィルム105Pは、入口ローラー312と出口ローラー313を順に経由するように送られる。フィルム収容ローラー321から取り出された保護フィルム325は、入口ローラー322と出口ローラー323を順に経由するように送られる。また、樹脂フィルム105Pと保護フィルム325は、入口ローラー312,322の間と、出口ローラー313,323の間を通過する。
【0081】
本実施の形態における予備絶縁部105を形成する工程では、図2(b)に示した、第1の貫通孔104形成後の半導体基板102を、第2の開口部104bが上に向くように、支持板330上に載置する。そして、この支持板330および半導体基板102を、樹脂フィルム105Pと保護フィルム325の間に挟まれるように、入口ローラー312,322の間に供給する。これにより、樹脂フィルム105Pは、半導体基板102の第2の面102bに接するように配置される。また、樹脂フィルム105Pと保護フィルム325の間に挟まれた支持板330および半導体基板102は、入口ローラー312,322の間を通過する。その際、樹脂フィルム105Pは、第1の貫通孔104に向けて加圧されると共に、入口ローラー312のヒーターによって加熱される。このとき、樹脂フィルム105Pの温度は、樹脂フィルム105Pが軟化する温度に設定される。このようにして、樹脂フィルム105Pが軟化し、樹脂フィルム105Pを構成する樹脂が第1の貫通孔104内に充填される。次に、樹脂フィルム105Pと保護フィルム325の間に挟まれた支持板330および半導体基板102は、出口ローラー313,323の間を通過する。その後、半導体基板102の大きさに合わせて樹脂フィルム105Pを切断することによって、図2(d)に示した構造体が得られる。
【0082】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0083】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。始めに、図8および図9を参照して、本実施の形態に係る半導体チップ31の構成について説明する。図8は、半導体チップ31の断面図である。図9は、図8における電極と絶縁部を示す斜視図である。図8および図9に示したように、本実施の形態に係る半導体チップ31では、絶縁部5、電極7および充填部8は、半導体チップ本体2を貫通していると共に、半導体チップ本体2の側面2dに露出している。なお、図8は充填部8を含む断面を示しているため、図8に示した断面では、絶縁部5および電極7が側面2dに露出していない。しかし、図9に示したように、側面2dでは、充填部8の両側の位置で、絶縁部5および電極7が側面2dに露出している。
【0084】
本実施の形態では、電極収容部4は、完全な孔ではなく、筒を、その中心軸に平行な面に沿って切断した形状を有している。また、本実施の形態では、絶縁部5および絶縁層3には、貫通孔6の代わりに貫通部60が形成されている。貫通部60も、筒を、その中心軸に平行な面に沿って切断した形状を有している。更に、絶縁部5および電極7も、それぞれ、筒を、その中心軸に平行な面に沿って切断した形状を有している。本実施の形態における電極7は、側面電極の形態である。なお、電極7は、柱形状、例えば円柱を、その中心軸に平行な面に沿って切断した形状であってもよい。この場合には、充填部8は設けられない。また、本実施の形態では、電極7が、筒を、その中心軸に平行な面に沿って切断した形状を有している場合においても、充填部8を設けなくてもよい。この場合には、側面2dにおいて、電極7の凹形状の表面が露出する。
【0085】
次に、図10を参照して、半導体チップ31の製造方法について説明する。半導体チップ31の製造方法は、端子13を形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。図10(a)は、図4(b)に対応し、端子13が形成された後の構造体を示している。ただし、本実施の形態では、図10(a)に示したように、半導体基板102における切断予定部(スクライブライン)102Cは、切断により予備絶縁部105、予備電極107および予備充填部108のそれぞれの一部が除去される位置に設定されている。
【0086】
図10(b)は、端子13形成後の工程を示す。この工程では、図10(a)に示した構造体を切断予定部102Cの位置で切断する。これにより、複数の半導体チップ31が形成される。この工程では、半導体基板102、絶縁層3、第1の貫通孔104、予備絶縁部105、第2の貫通孔106、予備電極107および予備充填部108が切断される。これにより、本体予定部2Pは本体2となり、半導体チップ本体2の第1の面2a、第2の面2bおよび4つの側面が形成される。また、第1の貫通孔104のうち、切断後に半導体チップ31に残った部分が電極収容部4となり、第2の貫通孔106のうち、切断後に半導体チップ31に残った部分が貫通部60となる。また、切断後に半導体チップ31に残った予備絶縁部105によって、側面2dに露出した絶縁部5が形成される。また、切断後に半導体チップ31に残った予備電極107によって、側面2dに露出した電極7が形成される。また、切断後に半導体チップ31に残った予備充填部108によって、側面2dに露出した充填部8が形成される。
【0087】
本実施の形態において、予備絶縁部105は、第1または第2の実施の形態と同じ方法で形成してもよいし、他の方法で形成してもよい。
【0088】
本実施の形態では、電極7は半導体チップ本体2の側面に露出している。電極7が半導体チップ本体2の側面に露出していない場合と、半導体チップ本体2の大きさを同じにして比較すると、本実施の形態によれば、半導体チップ本体2において、電極7の近傍のデッドスペースを小さくでき、その分、半導体デバイスの形成等のための有効な領域を大きくすることができる。これにより、半導体チップ1の高集積化が可能になる。あるいは、本実施の形態によれば、電極7が半導体チップ本体2の側面に露出していない場合と比較して、第1の面2aに垂直な方向から見たときの半導体チップ1の形状を小さくすることが可能になる。
【0089】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1または第2の実施の形態と同様である。
【0090】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。始めに、図11および図12を参照して、本実施の形態に係る半導体チップ41の構成について説明する。図11は、半導体チップ41の断面図である。図12は、図11における電極と絶縁部を示す斜視図である。図11に示したように、本実施の形態に係る半導体チップ41は、少なくとも第1および第2の組の電極収容部4、絶縁部5、貫通部60、電極7および充填部8を備えている。第1の組における絶縁部5、電極7および充填部8は、半導体チップ本体2の側面2cの近傍に位置し、半導体チップ本体2を貫通していると共に、側面2cに露出している。第2の組における絶縁部5、電極7および充填部8は、半導体チップ本体2の側面2dの近傍に位置し、半導体チップ本体2を貫通していると共に、側面2dに露出している。なお、図11は充填部8を含む断面を示しているため、図11に示した断面では、第1の組の絶縁部5および電極7は側面2cに露出しておらず、第2の組の絶縁部5および電極7は2dに露出していない。しかし、図12に示したように、側面2cまたは2dでは、充填部8の両側の位置で、絶縁部5および電極7が側面2cまたは2dに露出している。
【0091】
本実施の形態における電極収容部4、絶縁部5、貫通部60、電極7および充填部8の形状は、第3の実施の形態と同様である。第3の実施の形態と同様に、本実施の形態においても、電極7は、柱形状であってもよく、その場合には、充填部8は設けられない。本実施の形態における電極7は、側面電極の形態である。
【0092】
次に、図13を参照して、半導体チップ41の製造方法について説明する。半導体チップ41の製造方法は、端子13を形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。図12(a)は、図4(b)に対応し、端子13が形成された後の構造体を示している。ただし、本実施の形態では、1つの本体予定部2Pにつき、電極パッド21と端子13は少なくとも2組設けられている。また、本実施の形態では、図12(a)に示したように、半導体基板102における切断予定部(スクライブライン)102Cは、第1の貫通孔104、予備絶縁部105、第2の貫通孔106、予備電極107および予備充填部108が、2組の電極収容部4、絶縁部5、貫通部60、電極7および充填部8に分断される位置に設定されている。
【0093】
図13(b)は、端子13形成後の工程を示す。この工程では、図13(a)に示した構造体を切断予定部102Cの位置で切断する。これにより、複数の半導体チップ41が形成される。この工程では、半導体基板102、絶縁層3、第1の貫通孔104、予備絶縁部105、第2の貫通孔106、予備電極107および予備充填部108が切断される。これにより、本体予定部2Pは本体2となり、半導体チップ本体2の第1の面2a、第2の面2bおよび4つの側面が形成される。また、第1の貫通孔104、予備絶縁部105、第2の貫通孔106、予備電極107および予備充填部108は、1つの半導体チップ41の側面2cの近傍に位置する電極収容部4、絶縁部5、貫通部60、電極7および充填部8の組と、他の1つの半導体チップ41の側面2dの近傍に位置する電極収容部4、絶縁部5、貫通部60、電極7および充填部8の組とに分断される。
【0094】
本実施の形態において、予備絶縁部105は、第1または第2の実施の形態と同じ方法で形成してもよいし、他の方法で形成してもよい。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1ないし第3の実施の形態と同様である。
【0095】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、各実施の形態では、電極7の一部が電極収容部4内に収容されているが、本発明の半導体チップでは、例えば、絶縁層3と、電極7のうちの絶縁層3を貫通する部分とが設けられず、電極7の全体が電極収容部4内に収容されていてもよい。
【0096】
また、本発明の半導体チップは、半導体チップ本体の3つまたは4つの側面において露出する3組以上の電極および絶縁部を備えていてよい。
【符号の説明】
【0097】
1…半導体チップ、2…半導体チップ本体、3…絶縁層、4…電極収容部、5…絶縁部、6…貫通孔、7…電極、8…充填部、11,12…配線層、13…端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対側を向いた第1の面および第2の面と、前記第1の面と第2の面を接続する側面とを有する半導体チップ本体と、
前記半導体チップ本体を貫通する電極収容部と、
前記半導体チップ本体を貫通するように、少なくとも一部が前記電極収容部内に収容された電極と、
前記電極収容部内において、前記電極と前記半導体チップ本体との間に介在する絶縁部とを備えた半導体チップであって、
前記電極収容部は、前記絶縁部に接する壁面を有し、この壁面は、前記第1の面に垂直な方向に対して傾いており、
前記電極と前記絶縁部の界面が前記第1の面に垂直な方向に対してなす角度は、前記壁面が前記第1の面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さいことを特徴とする半導体チップ。
【請求項2】
前記絶縁部は、樹脂によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記電極は、前記側面に露出していないことを特徴とする請求項1または2記載の半導体チップ。
【請求項4】
前記電極および絶縁部は、前記側面に露出していることを特徴とする請求項1または2記載の半導体チップ。
【請求項5】
請求項1記載の半導体チップを製造する方法であって、
前記半導体チップ本体の第1および第2の面に対応する第1および第2の面を有し、後に前記半導体チップ本体となる半導体基板に対して、前記電極収容部に対応する第1の貫通孔を形成する工程と、
前記第1の貫通孔内に絶縁材料を充填して、前記絶縁部に対応する予備絶縁部を形成する工程と、
前記予備絶縁部を貫通するように第2の貫通孔を形成する工程と、
前記第2の貫通孔内に、前記電極に対応する予備電極を形成する工程とを備え、
前記第1の貫通孔は、前記半導体基板の第1の面において開口する第1の開口部と、前記半導体基板の第2の面において開口する第2の開口部とを有し、
前記第2の開口部の面積は、前記第1の開口部の面積よりも大きく、
前記半導体基板の第1の面に平行な前記第1の貫通孔の断面の面積は、前記第2の開口部に近づくに従って大きくなっており、
前記予備絶縁部を形成する工程は、前記第2の開口部側から、前記第1の貫通孔内に前記絶縁材料を充填し、
前記第2の貫通孔の壁面が前記半導体基板の第1の面に垂直な方向に対してなす角度は、前記第1の貫通孔の壁面が前記半導体基板の第1の面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さいことを特徴とする半導体チップの製造方法。
【請求項6】
前記予備絶縁部を形成する工程は、前記半導体基板の第2の面に接するように、加熱されることによって軟化する樹脂フィルムを配置する工程と、前記樹脂フィルムを加熱し軟化させて、前記樹脂フィルムを構成する樹脂を、前記絶縁材料として前記第1の貫通孔内に充填する工程とを含むことを特徴とする請求項5記載の半導体チップの製造方法。
【請求項7】
前記樹脂を充填する工程では、加熱された前記樹脂フィルムを前記第1の貫通孔に向けて加圧することを特徴とする請求項6記載の半導体チップの製造方法。
【請求項8】
前記樹脂を充填する工程では、前記第1の貫通孔内を減圧することを特徴とする請求項6または7記載の半導体チップの製造方法。
【請求項9】
前記樹脂フィルムは、軟化する第1の温度よりも高い第2の温度で加熱されることによって硬化する熱硬化性樹脂によって構成され、
前記樹脂を充填する工程では、前記第1の温度で前記樹脂フィルムを加熱し、
前記予備絶縁部を形成する工程は、更に、前記樹脂を充填する工程の後で、前記樹脂を前記第2の温度で加熱して硬化させる工程を含むことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の半導体チップの製造方法。
【請求項10】
前記電極は、前記側面に露出していないことを特徴とする請求項5ないし9のいずれかに記載の半導体チップの製造方法。
【請求項11】
更に、前記予備電極を形成する工程の後で、前記半導体基板を切断して、前記半導体チップの前記側面を形成する工程を含み、
前記側面を形成する工程では、前記予備絶縁部と予備電極が切断され、切断後の前記予備絶縁部によって、前記側面に露出した前記絶縁部が形成され、切断後の前記予備電極によって、前記側面に露出した前記電極が形成されることを特徴とする請求項5ないし9のいずれかに記載の半導体チップの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−253254(P2012−253254A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125950(P2011−125950)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】