半導体デバイスおよびその構造体の製造方法
【課題】集積回路におけるRC遅延の容量成分Cを低くするための改良された方法の提供。
【解決手段】基板上に犠牲膜となる第1の絶縁材が堆積され、該第1の絶縁材上に、犠牲部分を有する第2の絶縁材が堆積される。上記第1および第2の絶縁層をパターニングして導電性材料を蒸着し余剰な導電材を除去して導電線が形成される。上記犠牲部分を除去するために上記第2の絶縁材の内部に気孔または開口部を形成して、透過性とする。この気孔または開口を通じて第1の絶縁材が除去され、上記導電線間に空隙が形成される。上記処理後に、第2の絶縁膜と導電膜の上にキャップ層を形成する。この結果、導電線間に空隙が形成される。
【解決手段】基板上に犠牲膜となる第1の絶縁材が堆積され、該第1の絶縁材上に、犠牲部分を有する第2の絶縁材が堆積される。上記第1および第2の絶縁層をパターニングして導電性材料を蒸着し余剰な導電材を除去して導電線が形成される。上記犠牲部分を除去するために上記第2の絶縁材の内部に気孔または開口部を形成して、透過性とする。この気孔または開口を通じて第1の絶縁材が除去され、上記導電線間に空隙が形成される。上記処理後に、第2の絶縁膜と導電膜の上にキャップ層を形成する。この結果、導電線間に空隙が形成される。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、一般的には半導体デバイスの製造、特に配線層の絶縁材の形成に関する。
【0002】
〔背景〕
半導体デバイスは、例えばコンピュータ、携帯電話、パーソナル演算装置、その他多くのアプリケーション等、様々な電子アプリケーションに使用されている。例えば家庭用、産業用、および車両用デバイスは、かつては機械部品のみを備えていたが、現在では半導体デバイスを必要とする電子部品を備えている。
【0003】
半導体デバイスは、一般的には、パターン形成された絶縁、導電性、および半導体材料の層をいくつか有していて、これらが集積回路(IC:integrated circuit)を形成している。1つのダイまたはチップ上には、複数のトランジスタ、メモリデバイス、スイッチ、導電線、ダイオード、キャパシタ、論理回路、およびその他の電子部品が形成されている。例えば、半導体が使用される最終アプリケーションに必要とされる製品サイズの縮小、デバイス性能の改善、そして所要電力の低減といった必要性に対応するために、半導体技術では微細化への傾向が見られる。
【0004】
かつての集積回路では、チップ毎のデバイス数が比較的少なかったため、デバイスを容易に配線することが可能であった。しかし最近の集積回路では、1つのチップ上に数百ものデバイスが形成されていることがある。このため、配線領域が2つ以上の材料間で共有される多層配線システムが必要となる。
【0005】
半導体デバイスを製造するためのプロセスには、一般的には、FEOL(front-end-of-line)およびBEOL(back-end-of-line)と称される2つの段階がある。FEOLは、ウェハから始まり、第1の金属層の形成に至るまでの複数のプロセス工程として規定されていて、BEOLは、これに続く全てのプロセス工程として規定されている。集積回路の配線は、一般的にはBEOLによって形成される。
【0006】
集積回路上の最小線幅の微小化に伴って能動デバイスの密度が増加し、トランジスタの切り替え速度が低下する一方、配線システムにおける信号の伝播遅延は、集積回路の性能を制限している。また、チップサイズの増大に伴って、配線路の長さが大きくなる。従って多くのULSI(ultra-large scale integration)集積回路は、配線伝播遅延時間によって制限される。
【0007】
回路速度を制限する、例えば0.25μm未満にまで最小寸法が微細化された場合は、配線のRC遅延によって集積回路の伝播遅延が制限される。RC遅延とは、導電線間の配線およびキャパシタンスのために用いられる導電線の抵抗を称している。
【0008】
半導体産業における課題の1つとして、デバイス性能を改善し、そしてデバイス速度を上げるために、集積回路のRC遅延を低減して最小にするという課題が挙げられる。RC遅延の抵抗成分(すなわちR成分)は、導電線の材料として、アルミニウムよりも抵抗が低い銅を用いることによって対処されている。RC遅延の容量成分(すなわちC成分)は、かつて層間絶縁(inter-metal dielectric; IMD)材料として用いられていたSiO2 などの材料よりも比誘電率(k)が低い絶縁材料を導電線間において用いるという試みによって対処されている。
【0009】
従って当技術分野では、集積回路におけるRC遅延の容量成分Cを低くするための、改良された方法が必要とされている。
【0010】
〔本発明の概要〕
本発明は、半導体デバイスおよびその構造体の導電線間に空隙を形成するための新規な方法であり、その好適な実施形態によれば、既述した問題を解決または回避することができ、且つ、技術的優位性を満たすことができる。
【0011】
本発明の半導体デバイスの製造方法の一実施形態によれば、基板を準備する準備工程と、上記基板の上に複数の導電線を形成する導電線形成工程と、上記基板の上に第1の絶縁材を堆積させる第1堆積工程と、上記第1の絶縁材の上に第2の絶縁材を堆積させる第2堆積工程とを含んでいる。上記の構成において、第1の絶縁材は、導電線と導電線との間に形成される。また、第2の絶縁材は、導電線と導電線との間に形成され、犠牲部分を有している。そして、上記第2の絶縁材の上記犠牲部分を除去し、上記第1の絶縁材の少なくとも一部を除去することによって、導電線と導電線との間に空隙が設けられる。
【0012】
本発明の半導体デバイスの製造方法の他の実施形態によれば、基板を準備する準備工程と、上記基板の上に第1の絶縁材を堆積させる第1堆積工程と、第1の絶縁材の上に第2の絶縁材を堆積させる第2堆積工程とを含んでいる。ここで、第2の絶縁材は、最上面を有しており、犠牲部分を含有している。そして、第1の絶縁材および第2の絶縁材はパターニングが施され、パターン形成された第1の絶縁材および第2の絶縁材の上に導電性材料が堆積する。上記第2の絶縁材の上記最上面から、上記導電性材料を除去し、パターニングされた第1の絶縁材および第2の絶縁材の内部に上記導電性材料を残す。そして、第2の絶縁材の上記犠牲部分を除去して、第1の絶縁材の少なくとも一部を除去する。
【0013】
また、本発明の半導体デバイスの実施形態によれば、本発明に係る半導体デバイスは、第1の領域および第2の領域を有する基板と、最上部を有する複数の第1の導電線を構成する、上記基板の上に設けられた複数の導電線とを備えている。さらに、上記第1の導電線と第1の導電線との間であって、上記最上部付近に設けられ、上記第1の領域では透過性であり、上記第2の領域では不透過性である第1の絶縁材を備えている。さらに、上記第1の絶縁材の真下であって、上記第1の領域における上記第1の導電線と第1の導電線との間に設けられた第2の絶縁材を備えている。そして、上記第1の絶縁材の真下であって、上記第2の領域における上記第1の導電線と第1の導電線との間には、空隙が設けられている。
【0014】
本発明によれば、導電性物質と導電性物質の間に空隙を形成するための新しい方法を提供することができる。本発明によれば、所望のあらゆる形状の空隙を、導電線と導電線との間に設けることができる。これにより、半導体デバイスに対して追加トポグラフィーを導入する必要がなくなり、且つ、プロセス工程の追加はほぼ必要ない。ある実施形態によれば、重要部分の内部の導電性物質と導電性物質との間に空隙を形成することができ、RC遅延が問題とならない非重要部分には形成されない。このように、空隙を有していない領域を設けているので、本発明の構成によれば、該領域が構造的強度に貢献し、集積回路のための機械的強度を与えることになる。犠牲部分を有する絶縁材の最上層は、上述したように、不透過性であるので、該最上層の最表面から余剰の導電性材料を除去するための化学的機械的研磨処理の間に様々な材料層の混入を回避することができる。
【0015】
以下では、本発明の実施形態の特徴点および技術的優位性をより理解し易くするために、本発明について詳細に説明するものである。尚、特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、置き換え、および修正を加えることができることについて理解されたい。例えば、本明細書に記載した多くの特徴、機能、プロセス、および材料は、本発明の範囲内において変更可能であることは、当業者であれば容易に理解できるであろう。さらに、本発明の応用範囲は、本明細書に記載したプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、および工程に限定されるものではない。当業者であれば、本発明の開示から容易に理解できるように、本明細書に記載の実施形態とほぼ同一に機能する、あるいはほぼ同一の結果を達成できる既存あるいは後発のプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、または工程を、本発明に従って利用することができる。
【0016】
〔図面の簡単な説明〕
本発明およびその利点をより完全に理解するために、添付図面と共に、以下の詳細な説明を参照されたい。添付図面は以下の通りである:
図1〜図4は、安定性を得るために比誘電率の高いキャップ層を必要とする、従来技術による方法を用いて空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図である。
【0017】
図5は、別の従来技術による空隙を有した導電線構造であって、広間隔の(widely-spaced)導電線領域において、リソグラフィプロセスに悪影響を及ぼす形状(トポグラフィー)が形成された状態を示す図である。
【0018】
図6〜図11は、本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【0019】
図12〜図13は、本発明の別の実施形態であって、広間隔の領域ではなくて、狭間隔の(closely-spaced)領域に空隙が形成される様子を示す図である。
【0020】
図14は、本発明の別の実施形態であって、空隙形成後に、導電性の最上表面上に導電性のキャップ層が選択的に形成された状態を示す図である。
【0021】
別段の記載がない限り、それぞれの図面における同様の番号および符号は、通常は同様の部分を示している。
【0022】
〔実施形態の詳細な説明〕
現時点において好ましい実施形態の実施および用法について以下に詳述する。しかし本発明は、様々な具体的状況において応用かつ実施可能な概念を提供していることについて理解されたい。本明細書において説明する具体的な実施形態は、本発明を実施および使用するための具体的な方法を単に例証したものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
BEOL配線におけるRC遅延のキャパシタンスCは、低誘電率材料を用いることによって低減できる。例えば、かつては配線絶縁材料として一般的に用いられた二酸化珪素(SiO2 )の比誘電率kは、約4.1または4.2である。密度の高い低誘電率材料のk値は、例えば約2.8であり、多孔質な低誘電率材料のk値は、例えば約2.2である。しかし、比誘電率を約2.2未満まで下げることは困難である。なぜなら、比誘電率の低下に伴って、絶縁材料の多孔率が上昇するからである。これによって、低誘電率の絶縁材料は弱くなる。
【0024】
理論的には、1.0の比誘電率を持つ空気が理想的な誘電体である。しかし、導電線間の絶縁材として空気を用いるに当たっては問題がある。つまり、例えば集積回路に対して追加的な製造処理を施している間、パッケージ化している間、あるいは輸送中における機械的応力によって構造が容易に崩壊し、集積回路が破損してしまう。配線システムは、例えば、チップを製造およびパッケージ化できるように、有用で信頼でき、かつ機械的に安定したものである必要がある。
【0025】
従って、当技術分野では、配線構造を崩壊させることなく導電線間に空気を導入し、そして導電線間に空隙を有していると共に容易には崩壊しない配線システムを製造する集積機構が必要とされている。
【0026】
空隙を形成するための従来技術による方法は、犠牲膜またはテンプレート膜を用いて、銅/低誘電率集積機構の内部に空隙を形成する工程を含んでいる。これについては、John Sudijono氏によるIEDM2004-Short Courseにおけるプレゼンテーション、「45nm BEOL」p.43に記載されている。上記は、本明細書に参照として援用される。しかし、これらの従来技術による方法には不都合点がある。つまり、犠牲膜またはテンプレートによって、銅線の最上部においてピンチオフが形成されやすくなり、これによって空隙の形状が三角形になり、さらに比誘電率が高くなる。
【0027】
空隙を形成するための別の従来技術による方法では、分解可能なポリオキシメチレン(POM)を用いて空隙を形成する。この方法については、John Sudijono氏によるIEDM2004-Short Courseにおけるプレゼンテーション、「45nm BEOL」p.44に記載されている。上記は、本明細書に参照として援用される。図1〜図4は、空隙を形成するための上記従来技術による方法による、様々な製造段階を示した断面図である。
【0028】
まず図1を参照すると、この空隙形成方法では、半導体ウェハを有した基板102上に、POMを含んだ犠牲材104が堆積される。犠牲材104上にハードマスク106が堆積される。ハードマスク106がパターン形成され、犠牲材104をパターン形成するためのマスクとして用いられる。図2を参照すると、パターン形成されたハードマスク106および犠牲材104上に、バリアシード層(barrier seed layer)108が形成される。図3に示されているように、化学機械研磨プロセスによって、銅110およびハードマスク106が犠牲材104から除去される。銅110およびバリアシード層108は、配線構造において導電線を有している。
【0029】
次に、図3に示されているように、導電線108/110および犠牲層材104上に、誘電体層112が堆積される。そして、図4に示されているように、基板102を高温および高圧に暴露することによって犠牲材104が分解される。このとき、誘電体層112の下において導電線108と導電線110との間に形成されていた空隙114は残される。
【0030】
低誘電率材料は多孔質であって、構造的に弱いため、図1〜図4に示した従来技術による方法および半導体デバイス100は、誘電体層112が比誘電率の高いSiNまたはSiONを含んでいるという問題がある。SiNまたはSiONの比誘電率は、例えば二酸化ケイ素の比誘電率よりも高い。低誘電率材料は、誘電体層112に用いることができない。なぜなら、低誘電率材料は、不安定化という問題をもたらし、そして後に堆積される材料層に施されるCMPプロセスに関する問題を引き起こすからである。従って一部の従来技術の応用においては、比較的厚みのある高誘電体材料は上部の誘電体層112に用いられなければならないため、導電線108と110との間にある空隙114の有益な効果が失われる。
【0031】
図5は、別の従来技術による空隙を有した導電線構造であって、広間隔の導電線領域において、リソグラフィプロセスに悪影響を及ぼす形状が形成された状態を示している。この方法では、基板102は、狭間隔の導電線110が形成された領域120とと、広間隔の導電線110が形成された領域122とを有している。図示されているように、領域120内において、狭間隔の導電線110間にある空隙114上に、薄いキャップ層124が形成されている。薄いキャップ層124は、例えばSiNまたはSiON、あるいは構造を支持する別の材料を含んでいてよい。空隙114は、例えば、図1〜図4に照らして説明した方法によって形成されてよい。空隙114は、一般的には、広間隔の導電線110を有した領域122内では不要である。なぜなら、領域122では、誘電体材料の比誘電率は問題ではないからである。
【0032】
薄いキャップ層124は、化学気相堆積法(chemical vapor deposition; CVD)によって堆積されるため、コンフォーマルである。従って薄いキャップ層124は、図示されているように、領域122内にある広間隔の導電線110上に、コンフォンフォーマルに形成される。上記半導体デバイスの形状内にある凹み126は、リソグラフィプロセスにおいては問題である。さらに、凹み126によって、例えば、後に堆積される材料層(図示せず)をパターン形成する際の焦点深度が小さくなる。従って、後にパターン形成する材料層の最小寸法(size of feature)を大きくしなければならない。なぜなら、構造の形状によって、リソグラフィプロセスに制限が加えられるからである。
【0033】
空隙を形成するための別の従来技術による方法では、犠牲として除去される材料上に透過性材料が堆積される。導電線のダマシン形成中では、この透過性材料によって、CMPプロセスからの汚染物が上記透過性材料内に侵入し、さらに上記犠牲材料に到達する可能性すらある。上記汚染は、例えば研磨または洗浄に使用される水および化学物質の取り込み、あるいは研磨剤粒子またはCMPの副産物の付着によるものである。この汚染によって二次汚染がもたらされ、導電線間の比誘電率が変化し、信頼性に関する問題が引き起こされ得る。
【0034】
従って当技術分野では、導電物質(conductive feature)間に空隙を形成するための方法であって、高誘電率のキャップ層が不要であり、構造に対してトポグラフィーを導入する必要がなく、そしてCMPプロセスおよび洗浄プロセスによる汚染物から下部の材料層を保護できる、改良された方法が必要とされている。
【0035】
本発明の実施形態は、集積回路の配線間に空隙を形成するための方法、およびその構造体を提供することによって、技術的な利点を達成する。基板上に第1の絶縁材を堆積させ、上記第1の絶縁材上に、犠牲部分を有する第2の絶縁材を堆積させる。上記第1および第2の絶縁層内に、導電線を形成する。犠牲部分を除去するために上記第2の絶縁材を処理し、そして上記第1の絶縁材の少なくとも一部を除去して、導電線間に空隙を設ける。上記第2の絶縁材は、堆積時には不透過性であるが、犠牲部分を除去するための処理を施した後は透過性である。
【0036】
一実施形態では、上記基板の第1の領域が処理中にマスクされる。この結果、上記第2の絶縁材は、上記基板の第2の領域内では透過性である一方、第1の領域では不透過性のままとなる。これによって、第2の領域内に空隙が形成されるが、第1の領域内には形成されない。この実施形態における空隙は、例えば、低誘電率材料が最も有益となるチップ領域に形成されることが好ましい。空隙は、RC遅延が危機的ではないチップ領域には形成されないことが好ましい。従って、空隙を有していない領域は、配線構造に対して高い機械的強度を与える。この結果、空隙を有していると同時に、構造が安定した集積回路が得られる。
【0037】
本明細書において、本発明の好ましい実施形態に従った集積回路を製造するための方法をいくつか説明する。本発明について、具体的な状況、すなわち配線層を1つ有した半導体デバイスにおける好ましい実施形態に関連して説明する。しかし本発明は、複数の配線層を有した半導体デバイスにも応用可能である。空隙は、例えば半導体デバイスの1つ以上の配線層内に形成してよい。また、図面における導電線はダマシンプロセスを用いて形成されているが、本発明の実施形態は、例えば減法エッチングプロセスによって導電線が形成された半導体デバイスにも応用できる。
【0038】
図6〜図11は、本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示している。図6を参照すると、半導体デバイス200が示されている。半導体デバイス200は、基板202を有している。基板202は、例えばシリコン、または絶縁層に覆われた別の半導体材料を含んだ半導体基板を含んでいる。基板202は、FEOL工程において形成された能動部品または回路(図示せず)を有していてよい。基板202は、例えば単結晶シリコンを酸化ケイ素で覆ったものを含んでいてよい。基板202は、別の導電層、またはトランジスタ、ダイオード等の別の半導体素子を有していてよい。シリコンの代わりに、例えばGaAs、InP、Si/Ge、またはSiCなどの化合物半導体を用いてもよい。
【0039】
基板202上に、第1の絶縁材230が形成される。第1の絶縁材230は、本発明の実施形態に従って、反応性イオンエッチング(reactive ion etch; RIE)、アニーリングによって除去することができ、あるいは高温で容易に分解される犠牲材料を含んでいることが好ましい。第1の絶縁材230は、例えばポリノルボルネンなどの有機ポリマーを含んでいることが好ましい。あるいは、第1の絶縁材230は、別の有機ポリマーまたは別の材料を含んでいてもよい。第1の絶縁材230は、例えばスピンオンプロセス(spin-on process)、物理的気相成長法(physical vapor deposition; PVD)、またはCVDによって堆積させてよく、あるいは別の方法によって堆積させてもよい。第1の絶縁材230の厚さd1 は、例えば約2,000オングストロームまたはそれ未満であることが好ましく、約1,000オングストロームであることが特に好ましいが、上記以外の厚さであってもよい。
【0040】
第1の絶縁材230上に、第2の絶縁材232が形成される。一実施形態では、第2の絶縁材232の厚さd2 は、第1の絶縁材230の厚さd1 より小さいことが好ましい。厚さd2 は、例えば約600オングストロームまたはそれ未満であることが好ましく、約200〜500オングストロームであることが特に好ましい。しかし第2の絶縁材232の厚さは、上記以外の厚さであってもよい。例えば、構造内に空隙242(図11を参照)が形成されるときに比誘電率を可能な限り低くするために、少なくともその一部が除去される第1の絶縁材230の厚さd1 は、可能な限り厚いことが好ましい。例えば、一実施形態では、第2の絶縁材232および第1の絶縁材230は、層間絶縁膜(inter-level dielectric; ILD)を有している。
【0041】
第1の絶縁材230の厚さd1 、および第2の絶縁材232の厚さd2 はそれぞれ、後述する方法により形成される導電線210の厚さに依存している。本発明の実施形態によると、最大空隙量(例えば第1の絶縁材230の厚さd1 によって決定されるもの)と、構造の安定性(第2の絶縁材232の厚さd2 によるもの)との間で良好な折り合いをつけることが望ましい。例えば、一部の実施形態では、第1の絶縁材232の厚さd1 が、導電線210の厚さの約66〜75%であり、そして第1の絶縁材230の厚さd2 が、導電線210の厚さの約34〜25%であることが好ましい。しかし別の実施形態では、例えば、後述するような、Siの含有量の低いポリマーを、酸素処理を介してSiO2 型のスケルトン/メッシュ構造へ変換することによって、第2の絶縁材232が透過性に形成されている場合は、厚さd2 は導電線210の厚みの約40〜50%であってよい。
【0042】
第2の絶縁材232の一部は、例えば、熱処理に暴露されたときに比較的変化しやすいポリオキシメチレンなどの有機ポリマーであるSiCO、あるいはSiO2 を含んでいることが好ましい。あるいは、第2の絶縁材232は、別の有機ポリマーまたは別の材料を含んでいてもよい。第2の絶縁材232は、例えばスピンオンプロセス、PVD、またはCVDによって堆積されてよいが、別の方法によって堆積されてもよい。
【0043】
第2の絶縁材232は、本発明の一実施形態によると、堆積時には不透過性であることが好ましい。第2の絶縁材232は、後に除去される犠牲部分を含んでいることが好ましい。これについては、本明細書においてさらに説明する。
【0044】
次に、ダマシンプロセスを用いて、第2の絶縁材232と第1の絶縁材230との間に導電線が形成される。第2の絶縁材232および第1の絶縁材230は、図7に示されているように、導電線に対する任意のパターンを用いてパターン形成される。例えば、フォトレジスト(図示せず)および任意のハードマスク(図示せず)が第2の絶縁材232上に堆積され、そして上記フォトレジストがパターン形成される。第2の絶縁材232および第1の絶縁材230の露光部分がエッチングされる間に、上記フォトレジストはマスクとして使用される。あるいは、ハードマスクが使用される場合は、このハードマスクをパターン形成するためのマスクとしてフォトレジストが用いられ、そしてこのフォトレジストが除去され、第2の絶縁材232および第1の絶縁材230の露光部分がエッチングされる間に、上記ハードマスクがマスクとして使用される。基板202および/またはパターンは、図示されているように、狭間隔の導電線の第1の領域220、および広間隔の導電線の第2の領域222を有していてよい。第2の領域222内にある導電線間の距離は、例えば、第1の領域220内にある導電線間の距離の約2倍、またはそれ以上であってよい。
【0045】
図7に示されているように、パターン形成された第2の絶縁材232および第1の絶縁材230上に、導電性材料210が堆積される。導電性材料210は、銅、アルミニウム、銅とアルミニウムとの合金、または別の材料、または材料の組み合わせを含んでいることが好ましい。例えば、導電性材料210を堆積する前に、基板202の露出部分と、パターン形成された第2の絶縁材232と、パターン形成された第1の絶縁材230との上に、1つ以上のバリア層、下地、および/または層(図示せず)が形成される。例えば、導電性材料210が、拡散率(diffusion rate)の高い銅を含んでいる場合は、近傍の材料へ銅が拡散することを防ぐために、1つ以上のバリア層を用いることが好ましい。図7に示されているように、導電性材料210は、第2の絶縁材232および第1の絶縁材230においてパターンを充填し、そして第2の絶縁材232の最上面に存在している。
【0046】
次に、CMPプロセスおよび/またはエッチングプロセスを用いて、第2の絶縁材232の最上面から導電性材料210を除去し、そして第2の絶縁材232および第1の絶縁材230内に導電線210を形成する。この結果、図8に示されている構造が得られる。例えば、導電線210は、本明細書では導電物質とも称されている。第2の絶縁材232は、例えばCMPプロセス、およびCMPプロセス後に行われる洗浄プロセス中に基板202が暴露される汚染物から、絶縁材料230を保護するように形成された材料を含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232は、堆積時には不透過性であることが好ましいため、起こり得る汚染から第1の絶縁材230を保護できるようになっていると有利である。上記起こり得る汚染とは、例えば、研磨および洗浄工程における水および化学物質の取り込み、および研磨剤粒子またはCMPの副産物の付着である。この汚染によって、例えば二次汚染、および/または比誘電率(k)の変化、あるいは信頼性に関する問題が発生し得る。
【0047】
本発明の好ましい実施形態によると、第2の絶縁材232は、第2の絶縁材232の犠牲部分236を除去するために、図8に示されているように、処理234によって処理される。処理234は、例えばRIEまたはアニーリングプロセスを含むものであってよい。露出している導電線210の最上面は、処理234によって悪影響を受けないことが好ましい。
【0048】
一実施形態では、除去された犠牲部分236は、第2の絶縁材232の一部を有している。この実施形態では、処理234は、複数の開口部238を有する第2の絶縁材232をパターン形成するために利用されるRIEを含んでいる。第2の絶縁材232をパターン形成するために、マスクが用いられる。このパターン形成は、例えば、まずフォトレジストを堆積してパターン形成し、そして第2の絶縁材232のエッチング工程中に上記フォトレジストをマスクとして用いることによって行われる。第2の絶縁材232は、上記実施形態では、例えばSiCO、SiO2 、またはポリオキシメチレンを含んでいるが、別の材料を含んでいてもよい。
【0049】
複数の開口部236は、例えば微小であって、半導体デバイス200の最小寸法を有していることが好ましい。一部の実施形態では、第1の絶縁材232内の開口部238の微小なサイズは、リソグラフィによって、例えばレジストリフロープロセス(resist reflow process)などの、いわゆる「縮小方法(shrink methods)」を応用することによって形成される。あるいは、開口部238は、三菱電機株式会社(Mitsubishi Electric Corporation)製のRELACSTM、またはシーメンス・アクチエンゲゼルシャフト社(Siemens Aktiengesellschaft)製のCARLTMなどの製品を用いても生成できる。レジストリフロープロセスでは、レジスト内にあるコンタクトホールのパターン層が、レジストが流れ始めるまで熱処理を受ける。これによって、例えば上記ホールの底部の限界寸法(critical dimension; CD)が縮小する。これらの縮小方法によって、例えば、光学系固有の分解能よりも小さい、開口部238の最小サイズを有利に達成することができる。これらの方法の化学バイアスまたはリフローバイアスは、プロセス制御を低減する代わりに、一般的に用いられる範囲(例えば、約30〜40nm/edge)を超過してもよい。しかし、有利にも、本発明の実施形態を応用する場合に必要なCD制御は、一般的なリソグラフィを使用する場合よりも緩やかである。従って、開口部238を形成するために上記のような縮小方法を用いることができる。
【0050】
別の実施形態では、犠牲部分236は、熱感受性である第2の絶縁材232の犠牲成分を含んでいる。上記実施形態では、第2の絶縁材232の犠牲部分236を除去するための処理は、アニーリングプロセスまたは熱処理を含むものであってよい。例えば、処理234は、約300〜400℃の温度で約0.5〜60分間アニーリングし、第2の絶縁材232の熱感受性成分(例えば犠牲成分236)を除去するように構成されたアニーリングプロセスを含んでいてよいが、上記以外の温度および時間を用いてもよい。
【0051】
第2の絶縁材232がSiCOを含んでいる場合は、熱感受性成分236は炭素を含んでいてよく、そして処理234によって、第2の絶縁材232から炭素が除去される。あるいは、第2の絶縁材232が有機ポリマーを含んでいる場合は、熱感受性成分236は、例えばポリノルボルネン、または別の材料を含んでいる。熱感受性成分236が第2の絶縁材232から除去されると、図9に示されているように、絶縁材232内に気孔238が形成される。
【0052】
従って、RIEまたは熱処理のいずれかからなる処理234を用いて、第2の絶縁材232の犠牲部分236を除去することによって、本発明の実施形態に従って、図9に示されているような第2の絶縁材232内に気孔または開口部238が形成されることが好ましい。図8に示されている第2の絶縁材232は、処理234後に変化し、例えば図9〜図11では232’で示されている。具体的には、第2の絶縁材232’は、堆積時には第2の絶縁材232内に存在していない開口部または気孔238を有している。例えば、第2の絶縁材232’は、上記気孔または開口部238を介して液体または気体が通過できるように形成されている。
【0053】
第2の絶縁材232’は、第1の絶縁材230の少なくとも一部あるいは全部が、第2の絶縁材232’の気孔または開口部238を介して通過できる程度の透過性を有していることが好ましい。例えば、処理234中に第2の絶縁材232の熱感受性成分が除去された場合は、図9〜図11に示されている第2の絶縁材232’は、堆積時における第2の絶縁材232の熱感受性成分の少なくとも一部には存在していない。
【0054】
次に、図10に示されているように、第1の絶縁材230の少なくとも一部が、第2の絶縁材232内の気孔または開口部238を介して除去される。この結果、図11に示されているように、第2の絶縁材232’の下において、導電線210間に空隙242が形成される。これは、図10に示されているように、例えばRIEまたは熱処理を含む別の処理プロセス240によっても達成できる。第1の絶縁材230を除去するためにRIEを用いる場合は、第2の絶縁材232は、例えば第1の絶縁材230を除去するためのRIEプロセスによってエッチングされないような材料を含んでいることが好ましい。第1の絶縁材230を除去するためにアニーリングプロセスを用いる場合は、このアニーリングプロセスは、例えば約400℃またはそれ以上の温度で約0.5〜60分間アニーリングするプロセスであってよいが、上記以外の温度および時間を用いてもよい。
【0055】
次に、本発明の実施形態に従って第1の絶縁材230および第2の絶縁材232をプロセスするための、5つの材料組み合わせ例および好ましい方法について説明する。第1の材料組み合わせ例では、第1の絶縁材230は、JSR Micro, Inc.製の非感光性の精製化学製品(non-photosensitive fine chemicals; NFC)である、芳香族炭化水素ベースのスピンオン材料を含んでいることが好ましい。上記材料は、スピンオンおよびベークされたBEOL材料としても知られている。第1の絶縁材230は、アプライドマテリアルズ社(Applied Materials, Inc.)製のblack diamondTMをさらに含んでいてもよい。black diamondTMは、CVDによって堆積可能な低誘電率材料である。第2の絶縁材232は、スピンコートされ、そして例えば約350℃でハードベークされたスピンオングラスを含んでいることが好ましい。次に、リフロー、RELACSTM、またはCARLTMなどの縮小方法を用いて、第2の絶縁材232に微小な開口部238がリソグラフィによってパターン形成される(この工程は、本実施形態では処理234を含んでいる)。次に、酸素プラズマ、および任意で熱補助をさらに用いて、例えば温度を約100〜300℃まで上昇させることによって、第1の絶縁材230が除去される。第1の絶縁材230および第2の絶縁材232に対して、上記材料をそれぞれ選択することによって、例えば、第1の絶縁材230が炭質となり、第2の絶縁材232が無炭素となるため有利である。
【0056】
第2の材料組み合わせ例では、第1の絶縁材230はポリノルボルネンを含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232は、スピンコートされ、そして例えば約350℃でハードベークされたスピンオンガラスを含んでいることが好ましい。次に、リフロー、RELACSTM、またはCARLTMなどの縮小方法を用いて、第2の絶縁材232に微小な開口部238がリソグラフィによってパターン形成される。そして、約400℃またはそれ以上での熱分解によって、絶縁材料230が除去される。上記材料を選択することによって、例えば、第1の絶縁材230が炭質となり、第2の絶縁材232が無炭素となるため有利である。
【0057】
第3の材料組み合わせ例では、第1の絶縁材230はポリノルボルネンを含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232は、第1の絶縁材230の分解温度よりも低い温度で分解し、かつポロゲン含有量の高い犠牲成分236を有した低誘電率材料を含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232は、例えば、ポリプロピレンまたはポリオキシメチレンを含んでいてよい。次に、熱処理234を用いて、例えば約200〜350℃で、ポロゲン犠牲成分236を熱によって除去する。そして、約400℃またはそれ以上の温度での熱分解によって、第1の絶縁材230が除去される。第2の絶縁材232が、熱によって変化しやすい成分を含む少なくとも2つ成分を含むため、上記の材料選択は有利である。
【0058】
第4の材料組み合わせ例では、第1の絶縁材230は、第1の材料組み合わせ例において説明したNFCまたはblack diamondTMを含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232は、適量(例えば、約10〜20%)のシリコンを含有した、シロキサン有機コポリマー(siloxane-organic co-polymer)を含んでいることが好ましい。次に、酸素プラズマ処理234熱処理234を利用して、第2の絶縁材232を、縦型チャネルまたは気孔238を有する多孔質の半導体材料232’へ変化させる。そして、酸素プラズマ、および任意で熱補助をさらに用いて、例えば温度を約100〜300℃まで上昇させることによって、第1の絶縁材230が除去される。上記実施形態では、第2の絶縁材232は、例えば不十分な2層レジスト(inadequate bi-layer resist)として機能できる。
【0059】
第5の材料組み合わせ例では、第1の絶縁材230は、ポリノルボルネンを含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232は、適量(例えば、約10〜20%)のシリコンを含有した、シロキサン有機コポリマーを含んでいることが好ましい。次に、酸素プラズマ処理234熱処理234を利用して、第2の絶縁材232を、縦型チャネルまたは気孔238を有する多孔質の半導体材料232’へ変化させる。そして、約400℃またはそれ以上の温度での熱分解によって、第1の絶縁材230が除去される。
【0060】
なお、上述した材料の組み合わせは単なる例である。第1の絶縁材230上に不透過性の第2の絶縁材232を形成し、不透過性の第2の絶縁材232を透過性の絶縁材232’へ変化させ、第1の絶縁材230を除去し、そして透過性の絶縁材232’の下に空隙242を形成するために、別の材料および処理を用いてもよい。
【0061】
導電線210の導電性材料210を堆積する前に堆積される任意のバリア層または下地(図示せず)によって、例えば第1の絶縁材230の除去中、および第2の絶縁材232の犠牲部分236の除去中において、導電線210の側壁が保護される。
【0062】
一部の実施形態では、図11に示されているように、第2の絶縁材232’の下から、第1の絶縁材230が全て除去されることが好ましい。これによって、導電線210間において達成し得る比誘電率が最低となるため、有利である。しかし別の実施形態では、例えば第2の絶縁材232’の下に、第1の絶縁材230の一部が残留することがある(図示せず)。例えば、残留したままの第1の絶縁材230は、例えば基板202/導電線210の底の角、基板202の最上面、または導電線210の側壁に存在している。空隙は、例えば、第1の絶縁材230によって予め占有された、導電線210間の領域の一部に形成されることが好ましい。また、本発明の一実施形態に従って、例えば、第2の絶縁材232’の下から、第1の絶縁材230の少なくとも80%が除去されて、導電線210間の空隙の少なくとも80%に空隙242が形成されることが好ましい。
【0063】
第2の絶縁材232の犠牲部分236は、第2の絶縁材232の下に、第1の絶縁材230の分解温度よりも分解温度の低い材料を含んでいることがやや好ましい。これによって、第2の絶縁材232が完全に透過性となる前に第1の絶縁材230が分解し始めることを防ぐことができる。第1の絶縁材230の分解開始が早すぎると、例えば第2の絶縁材232が剥離してしまうか、あるいは半導体デバイス200の構造全体に亀裂が生じる可能性がある。
【0064】
一部の実施形態では、第1の絶縁材230の少なくとも一部を除去して空隙242を形成した後に半導体デバイス200の製造を続けて、半導体デバイス200を完成させることが好ましい。例えば、導電線210と第2の絶縁材232’との最上面に、追加的な絶縁材料および導電性材料を堆積およびパターン形成して、追加的な配線層(図示せず)を形成してもよい。例えば、1つ以上の追加的な配線層上において、本明細書において説明する本発明の実施形態を繰り返してもよい。第2の絶縁材232’の気孔または開口部238は、この実施形態では、後に堆積される材料層が、第2の絶縁材232’の下において導電線210間に形成された空隙242内に入り込めないほどの十分に小さいサイズであることが好ましい。
【0065】
別の実施形態では、図11に示されているように、導電線210と第2の絶縁材232’との最上面にキャップ層244を堆積することが好ましい。キャップ層244は、絶縁材料を含んでいることが好ましい。キャップ層244は、例えば約500オングストロームまたはそれ未満のSiCNを含んでいることが好ましいが、これ以外の寸法および材料を有していてもよい。キャップ層244は、例えばSiNまたは酸化物を含んでいてよい。しかしキャップ層244の比誘電率が高い場合は、導電線210間の絶縁材料の効果的なk値が大幅に低下することを防ぐために、キャップ層244は可能な限り薄いことが好ましい。キャップ層244は、例えばコンフォーマルであって、かつCVD、PVD、または別の堆積方法によって堆積可能であることが好ましいが、しかし別の方法によって堆積してもよい。
【0066】
キャップ層244は、例えば、汚染物または後に堆積される材料が、第2の絶縁材232の気孔238を通って空隙242内に入り込まないように、不透過性の材料を含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232’の気孔または開口部238は、第2の絶縁材232’の下において導電線210間に形成された空隙242内にキャップ層244が入り込めないほどの十分に小さいサイズであることが好ましく、またキャップ層244は、空隙242内に入り込めない材料を含んでいることが好ましい。一部の実施形態では、例えば、第2の絶縁材232’は、薄いキャップ層244を用いることができるように、構造面において比較的強い材料を含んでいることが好ましい。上記薄いキャップ層244の主な機能は、例えば、第2の絶縁材232’内の気孔または開口部236を密封して、効果的なk値への影響を最小限にすることである。
【0067】
半導体デバイス200を完成させるために、半導体デバイス200の製造を継続する。例えば、キャップ層244の最上面上に、追加的な絶縁および導電性材料を堆積して、追加的な配線層(図示せず)を形成してもよい。そして、例えば、半導体デバイス200の1つ以上の追加的な配線層内において、本明細書に記載されている本発明の実施形態を繰り返す。
【0068】
図12および図13は、本発明の別の実施形態を示している。これらの図では、配線層の狭間隔の領域内に空隙342が形成されているが、広間隔の領域内には形成されていない。図6〜図11に示されている実施形態に照らして説明したプロセスフローおよび材料を用いることが好ましい。図12および図13に示されている様々な素子は、図6〜図11において用いられている符号と同様の符号によって示されている。ここでは、繰り返しを避けるために、図12および図13に示されている各符号の詳細な説明は省略する。図6〜図11に関して説明したように、図示されている材料層に対して、x02、x30、x32等という同様の材料および厚みを用いることが好ましい。図6〜図11ではx=2であり、図12および図13ではx=3である。
【0069】
この実施形態では、(図7および図8に示されている)第2の絶縁材232の最上面から余剰な導電性材料210が除去された後であって、かつ第2の絶縁材232の犠牲部分236を除去するために処理234を施す前に(図8を参照のこと)、基板302の一領域(例えば、図12に示されている領域322の一部分)がマスク350によって覆われるが、これは、別の領域320内の第2の絶縁材232を処理334に暴露する前に行われる。マスク350は、例えばフォトレジスト、ハードマスク、別の材料、あるいはこれらの組み合わせを含んでいてよい。この実施形態では、領域320内の第2の絶縁材(および、マスクによって覆われていない領域322の一部)を処理した後では、図13に示されているように、第2の絶縁材332’は、領域320内および領域322の一部において透過性であり、そして第2の絶縁材332は、領域322の一部において不透過性である。この実施形態では、第1の絶縁材332の少なくとも一部が、基板320の領域320の一部の第1の絶縁材332の少なくとも一部を除去することを含んでいるが、基板320の別の領域(領域322の一部)の第1の絶縁材332の少なくとも一部を除去することは含んでいない。次に、図示されているように、領域320の一部(および領域322の一部)の第2の絶縁材332’を介して第1の絶縁材330の少なくとも一部を除去し、その他の領域の第1の絶縁材330は除去せず、これによって、領域322の一部の第2の絶縁材332の下に位置している第1の絶縁材330を残すことによって、透過性の第2の絶縁材332’の下に空隙342が形成される。
【0070】
この実施形態では、図12および図13に示されているように、導電線310は、基板302の領域322内にある広間隔の導電線310を含んでいてよく、基板302の領域320内にある狭間隔の導電線310間には空隙342が形成されている。この実施形態は、空隙342が、最も有益となる場所(すなわち狭間隔の導電線310を有する領域320内)に形成されているため有利である。しかし本発明の別の実施形態では、例えば、空隙342が領域322内に形成されるように、上記処理が行われている間に、領域320内の導電線310がマスク350によって覆われてもよい(図示せず)。あるいは、一部の応用では、例えば、複数の様々な導電線間隔(図示せず)を有する半導体デバイス300の特定の機能ブロック内に空隙342を形成すると有利である。
【0071】
図13を再度参照すると、空隙342を有する領域320は、内部に空隙342を有していない領域322の一部と比べて、構造面における安定性および強度が必ずしも大幅に欠けている訳ではない。なぜなら、例えば、領域320内の導電線310の密度が高いため、領域320に追加的な機械的支持を与えるからである。内部に空隙342を有する領域322の一部は、図11に示されているように、例えばキャップ層244を使用することによって機械的に強度を高めることができる。
【0072】
図14は、本発明の別の実施形態を示している。この実施形態では、導電線410の最上面上に、任意の導電キャップ層460が選択的に形成されている。任意の導電キャップ層460は、空隙442の形成前に形成されてよく、あるいは空隙442の形成後に形成されてもよい。ここでもまた、図14の様々な素子は、前出の図において用いられている符号と同様の符号を用いて示されている。また、繰り返しを避けるために、図14に示されている符号に関する詳細な説明はここでは省略する。
【0073】
一部の実施形態では、例えば、導電線410の最上面を保護するために、空隙442形成前に導電キャップ層460が選択的に形成される。具体的には、導電キャップ層460は、気孔または開口部438を形成するための処理を第2の絶縁材438に施す前に形成される。なぜなら、例えば、RIEまたはその他の処理プロセスによって、導電線410の最上面が酸化するか、あるいは導電線410の最上面に悪影響を及ぼすからである。
【0074】
任意のキャップ層460を形成するためには、導電線410上にのみキャップ層460を形成して、第2の絶縁材層432’上には形成しないことが好ましい。キャップ層460は、例えば約200オングストロームまたはそれ未満のCoW、CoWP、またはTaNを含んでいてよいが、上記以外の寸法および材料を含んでいてもよい。次に、図示されているように、キャップ層460と第2の絶縁材432’との上に、キャップ層444が堆積される。
【0075】
本発明の実施形態を利用して、減法エッチングプロセス(subtractive etch process)によって導電線が形成された構造内に、空隙を形成することができる。例えば図8を参照すると、基板202が準備されていて、この基板202の表面全体に導電性材料210の層が堆積されている。次に、導電線210を形成するために、リソグラフィを用いて導電性材料210がパターン形成およびエッチングされる。導電線210間および基板202の最上面上に第1の絶縁材230が堆積されて、そして導電線210間にある第1の絶縁材230の上に第2の絶縁材232が堆積される。そして、図8〜図11に照らしながら説明した製造プロセス工程を、本明細書において説明した通りに続けて、第2の絶縁材232の犠牲部分236を除去することによって第2の絶縁材232を変化させ(図8および図9)、第2の絶縁材232を介して第1の絶縁材230を除去し(図10)、そして第2の絶縁材232’の下に空隙242を形成する(図11)。
【0076】
導電線210は、犠牲酸化層(図示せず)を用いたダマシンプロセスによって形成されてもよい。この実施形態では、基板202上に犠牲酸化層または別の絶縁材が堆積され、そして上記犠牲酸化層は、導電線210のための任意のパターンによってパターン形成される。パターン形成された上記犠牲酸化層上に導電性材料210が堆積され、そしてCMPプロセスを用いて上記犠牲酸化層の最上面から余剰な導電性材料が除去されて、導電線120が形成される。次に、導電線210間から上記犠牲酸化層が除去される。続いて、導電線210上に第1の絶縁材230が堆積され、所定の高さまでエッチバックされ、例えば導電線210の最上部の約3分の1から4分の1が露光される。次に、第1の絶縁材230と、露光された導電線210の最上部との上に、第2の絶縁材232が堆積される。CMPプロセスを用いて、導電線210の最上面から余剰な第2の絶縁材232が除去される。次に、前述したように、リソグラフィまたは熱処理を含む処理234を行って、第2の絶縁材232が透過性にされる。次に、第1の絶縁材230が除去されて、透過性の第2の絶縁材232と導電線210との最上面上に、薄いキャップ層が適宜形成される。
【0077】
本発明の実施形態は、多層配線構造において特に有用である。配線構造には、例えば8、9、12、またはそれ以上の金属層がある。しかし本発明の実施形態は、例えば1層の配線構造においても使用することができる。
【0078】
一部の実施形態では、配線構造のRC遅延を低減するために、密接に配置された導電線210、310、および410間において、本明細書に記載の空隙242、342、および442が形成される。例えばメモリチップでは、空隙242、342、および442は、密接に配置されたメモリアレイ上の配線間に形成されることが好ましい(例えば、導電線および導電線間の空間は、上記チップの最小寸法を含んでいる)。しかし空隙242、342、および442は、より低い密接度で配置された周辺回路または支持回路(support circuit)の配線領域内に形成される必要は必ずしもない。しかし一部の実施形態では、空隙242、342、および442は、これらの領域内に形成されてもよい。別の実施例として、マイクロプロセッサチップでは、密接に配線されている低い方の位置および/または中間の位置(例えば、第1の金属層〜第3の金属層)では、空隙242、342、および442は、導電線間に形成されることが好ましく、低い密接度で配線されている高い方の位置または最上位置では、空隙242、342、および442は形成されない。
【0079】
集積回路を具体的にどのように応用するかに関係なく、配線層の一部の領域に空隙242、342、および442を形成して、上記領域の比誘電率を極度に低くすることができる。本発明の一部の実施形態では、図12および図13に示されているように、(例えば領域322の一部において、)同一の配線層の別の領域において、導電線310間に高誘電率材料330を配置することが好ましい。これによって、より安定した構造が得られるため、機械的に安定し、かつ信頼性のある全体配線構造を製造することができる。
【0080】
本発明の実施形態は、例えば応用特有であって、高性能のBEOL工程を必要とし、RC遅延は低い必要があり、そして導電線の材料として銅を使用した集積回路に特に有用である。本発明の実施形態は、例えばマイクロプロセッサ、ゲームステーション用の集積回路(game station integrated circuit)、および携帯電話用の集積回路などのアプリケーションにおいて実施することができるが、しかし別の種類の集積回路にも使用することができる。さらに本発明の実施形態は、例えば金属層がより少なく、導電線の材料としてアルミニウムを使用した別のアプリケーションにも使用することができる。
【0081】
本発明の実施形態の利点は、空隙242、342、および442を形成して、導電線210、310、および410間において低誘電率を達成することを含んでいる。導電線210、310、および410間の空間の大部分は空隙242、342、および442を有しているため、導電線210、310、および410間において、約2.2またはそれ未満の比誘電率を達成することができる。
【0082】
本発明の好ましい実施形態の利点は、導電線210、310、および410間に空隙242、342、および442を形成するための新奇的な方法を提供することを含んでいる。予測可能な形状、および予め設定した高さを有する空隙242、342、および442が広範に渡って形成される。半導体デバイス200、300、および400に追加的な形状がもたらされることはなく、また追加的なプロセス工程も不要である。
【0083】
一部の実施形態では、空隙242、342、および442は、重要領域内の導電物質210、310、および410間に形成されるが、RC遅延が問題とならない非重要領域には形成されない。基板202、302、および402の一部の領域は、内部に空隙242、342、および442が形成されていないため、上記領域内の絶縁材料330は、集積回路に対して強力な構造的支持および機械的強度を与える。空隙242、342、および442は、配線層/ILD層の形状の平面性を維持しながら、一部の領域内に形成されて、別の領域には形成されないと有利である。
【0084】
犠牲部分236を有する絶縁材232、332、および432の最上層は、堆積時には不透過性であるから、ダマシンプロセスによって導電線210、310、および410を形成する一方で、絶縁材232、332、および432の最上層の最上面から余剰な導電性材料を除去するための化学機械研磨を施す間に、様々な材料層(例えば下部の材料層、および絶縁材層232、332、および432自体)による汚染を防ぐことができる。
【0085】
本発明の実施形態、およびその利点について詳述してきたが、特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、置き換え、および修正を加えることができることについて理解されたい。例えば、本明細書に記載した多くの特徴、機能、プロセス、および材料は、本発明の範囲内において変更可能であることは、当業者であれば容易に理解できるであろう。さらに、本発明の応用範囲は、本明細書に記載したプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、および工程に限定されるものではない。当業者であれば、本発明の開示から容易に理解できるように、本明細書に記載の実施形態とほぼ同一に機能する、あるいはほぼ同一の結果を達成できる既存あるいは後発のプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、または工程を、本発明に従って利用することができる。従って特許請求の範囲は、上記のようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、または工程を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】安定性を得るために比誘電率の高いキャップ層を必要とする、従来技術による方法を用いて空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図である。
【図2】安定性を得るために比誘電率の高いキャップ層を必要とする、従来技術による方法を用いて空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図である。
【図3】安定性を得るために比誘電率の高いキャップ層を必要とする、従来技術による方法を用いて空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図である。
【図4】安定性を得るために比誘電率の高いキャップ層を必要とする、従来技術による方法を用いて空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図である。
【図5】別の従来技術による空隙を有した導電線構造であって、広間隔の導電線領域において、リソグラフィプロセスに悪影響を及ぼす形状(トポグラフィー)が形成された状態を示す図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【図9】本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【図10】本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【図11】本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【図12】本発明の別の実施形態であって、広間隔の領域ではなくて、狭間隔の(closely-spaced)領域に空隙が形成される様子を示す図である。
【図13】本発明の別の実施形態であって、広間隔の領域ではなくて、狭間隔の領域に空隙が形成される様子を示す図である。
【図14】本発明の別の実施形態であって、空隙形成後に、導電性の最上表面上に導電性のキャップ層が選択的に形成された状態を示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、一般的には半導体デバイスの製造、特に配線層の絶縁材の形成に関する。
【0002】
〔背景〕
半導体デバイスは、例えばコンピュータ、携帯電話、パーソナル演算装置、その他多くのアプリケーション等、様々な電子アプリケーションに使用されている。例えば家庭用、産業用、および車両用デバイスは、かつては機械部品のみを備えていたが、現在では半導体デバイスを必要とする電子部品を備えている。
【0003】
半導体デバイスは、一般的には、パターン形成された絶縁、導電性、および半導体材料の層をいくつか有していて、これらが集積回路(IC:integrated circuit)を形成している。1つのダイまたはチップ上には、複数のトランジスタ、メモリデバイス、スイッチ、導電線、ダイオード、キャパシタ、論理回路、およびその他の電子部品が形成されている。例えば、半導体が使用される最終アプリケーションに必要とされる製品サイズの縮小、デバイス性能の改善、そして所要電力の低減といった必要性に対応するために、半導体技術では微細化への傾向が見られる。
【0004】
かつての集積回路では、チップ毎のデバイス数が比較的少なかったため、デバイスを容易に配線することが可能であった。しかし最近の集積回路では、1つのチップ上に数百ものデバイスが形成されていることがある。このため、配線領域が2つ以上の材料間で共有される多層配線システムが必要となる。
【0005】
半導体デバイスを製造するためのプロセスには、一般的には、FEOL(front-end-of-line)およびBEOL(back-end-of-line)と称される2つの段階がある。FEOLは、ウェハから始まり、第1の金属層の形成に至るまでの複数のプロセス工程として規定されていて、BEOLは、これに続く全てのプロセス工程として規定されている。集積回路の配線は、一般的にはBEOLによって形成される。
【0006】
集積回路上の最小線幅の微小化に伴って能動デバイスの密度が増加し、トランジスタの切り替え速度が低下する一方、配線システムにおける信号の伝播遅延は、集積回路の性能を制限している。また、チップサイズの増大に伴って、配線路の長さが大きくなる。従って多くのULSI(ultra-large scale integration)集積回路は、配線伝播遅延時間によって制限される。
【0007】
回路速度を制限する、例えば0.25μm未満にまで最小寸法が微細化された場合は、配線のRC遅延によって集積回路の伝播遅延が制限される。RC遅延とは、導電線間の配線およびキャパシタンスのために用いられる導電線の抵抗を称している。
【0008】
半導体産業における課題の1つとして、デバイス性能を改善し、そしてデバイス速度を上げるために、集積回路のRC遅延を低減して最小にするという課題が挙げられる。RC遅延の抵抗成分(すなわちR成分)は、導電線の材料として、アルミニウムよりも抵抗が低い銅を用いることによって対処されている。RC遅延の容量成分(すなわちC成分)は、かつて層間絶縁(inter-metal dielectric; IMD)材料として用いられていたSiO2 などの材料よりも比誘電率(k)が低い絶縁材料を導電線間において用いるという試みによって対処されている。
【0009】
従って当技術分野では、集積回路におけるRC遅延の容量成分Cを低くするための、改良された方法が必要とされている。
【0010】
〔本発明の概要〕
本発明は、半導体デバイスおよびその構造体の導電線間に空隙を形成するための新規な方法であり、その好適な実施形態によれば、既述した問題を解決または回避することができ、且つ、技術的優位性を満たすことができる。
【0011】
本発明の半導体デバイスの製造方法の一実施形態によれば、基板を準備する準備工程と、上記基板の上に複数の導電線を形成する導電線形成工程と、上記基板の上に第1の絶縁材を堆積させる第1堆積工程と、上記第1の絶縁材の上に第2の絶縁材を堆積させる第2堆積工程とを含んでいる。上記の構成において、第1の絶縁材は、導電線と導電線との間に形成される。また、第2の絶縁材は、導電線と導電線との間に形成され、犠牲部分を有している。そして、上記第2の絶縁材の上記犠牲部分を除去し、上記第1の絶縁材の少なくとも一部を除去することによって、導電線と導電線との間に空隙が設けられる。
【0012】
本発明の半導体デバイスの製造方法の他の実施形態によれば、基板を準備する準備工程と、上記基板の上に第1の絶縁材を堆積させる第1堆積工程と、第1の絶縁材の上に第2の絶縁材を堆積させる第2堆積工程とを含んでいる。ここで、第2の絶縁材は、最上面を有しており、犠牲部分を含有している。そして、第1の絶縁材および第2の絶縁材はパターニングが施され、パターン形成された第1の絶縁材および第2の絶縁材の上に導電性材料が堆積する。上記第2の絶縁材の上記最上面から、上記導電性材料を除去し、パターニングされた第1の絶縁材および第2の絶縁材の内部に上記導電性材料を残す。そして、第2の絶縁材の上記犠牲部分を除去して、第1の絶縁材の少なくとも一部を除去する。
【0013】
また、本発明の半導体デバイスの実施形態によれば、本発明に係る半導体デバイスは、第1の領域および第2の領域を有する基板と、最上部を有する複数の第1の導電線を構成する、上記基板の上に設けられた複数の導電線とを備えている。さらに、上記第1の導電線と第1の導電線との間であって、上記最上部付近に設けられ、上記第1の領域では透過性であり、上記第2の領域では不透過性である第1の絶縁材を備えている。さらに、上記第1の絶縁材の真下であって、上記第1の領域における上記第1の導電線と第1の導電線との間に設けられた第2の絶縁材を備えている。そして、上記第1の絶縁材の真下であって、上記第2の領域における上記第1の導電線と第1の導電線との間には、空隙が設けられている。
【0014】
本発明によれば、導電性物質と導電性物質の間に空隙を形成するための新しい方法を提供することができる。本発明によれば、所望のあらゆる形状の空隙を、導電線と導電線との間に設けることができる。これにより、半導体デバイスに対して追加トポグラフィーを導入する必要がなくなり、且つ、プロセス工程の追加はほぼ必要ない。ある実施形態によれば、重要部分の内部の導電性物質と導電性物質との間に空隙を形成することができ、RC遅延が問題とならない非重要部分には形成されない。このように、空隙を有していない領域を設けているので、本発明の構成によれば、該領域が構造的強度に貢献し、集積回路のための機械的強度を与えることになる。犠牲部分を有する絶縁材の最上層は、上述したように、不透過性であるので、該最上層の最表面から余剰の導電性材料を除去するための化学的機械的研磨処理の間に様々な材料層の混入を回避することができる。
【0015】
以下では、本発明の実施形態の特徴点および技術的優位性をより理解し易くするために、本発明について詳細に説明するものである。尚、特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、置き換え、および修正を加えることができることについて理解されたい。例えば、本明細書に記載した多くの特徴、機能、プロセス、および材料は、本発明の範囲内において変更可能であることは、当業者であれば容易に理解できるであろう。さらに、本発明の応用範囲は、本明細書に記載したプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、および工程に限定されるものではない。当業者であれば、本発明の開示から容易に理解できるように、本明細書に記載の実施形態とほぼ同一に機能する、あるいはほぼ同一の結果を達成できる既存あるいは後発のプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、または工程を、本発明に従って利用することができる。
【0016】
〔図面の簡単な説明〕
本発明およびその利点をより完全に理解するために、添付図面と共に、以下の詳細な説明を参照されたい。添付図面は以下の通りである:
図1〜図4は、安定性を得るために比誘電率の高いキャップ層を必要とする、従来技術による方法を用いて空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図である。
【0017】
図5は、別の従来技術による空隙を有した導電線構造であって、広間隔の(widely-spaced)導電線領域において、リソグラフィプロセスに悪影響を及ぼす形状(トポグラフィー)が形成された状態を示す図である。
【0018】
図6〜図11は、本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【0019】
図12〜図13は、本発明の別の実施形態であって、広間隔の領域ではなくて、狭間隔の(closely-spaced)領域に空隙が形成される様子を示す図である。
【0020】
図14は、本発明の別の実施形態であって、空隙形成後に、導電性の最上表面上に導電性のキャップ層が選択的に形成された状態を示す図である。
【0021】
別段の記載がない限り、それぞれの図面における同様の番号および符号は、通常は同様の部分を示している。
【0022】
〔実施形態の詳細な説明〕
現時点において好ましい実施形態の実施および用法について以下に詳述する。しかし本発明は、様々な具体的状況において応用かつ実施可能な概念を提供していることについて理解されたい。本明細書において説明する具体的な実施形態は、本発明を実施および使用するための具体的な方法を単に例証したものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
BEOL配線におけるRC遅延のキャパシタンスCは、低誘電率材料を用いることによって低減できる。例えば、かつては配線絶縁材料として一般的に用いられた二酸化珪素(SiO2 )の比誘電率kは、約4.1または4.2である。密度の高い低誘電率材料のk値は、例えば約2.8であり、多孔質な低誘電率材料のk値は、例えば約2.2である。しかし、比誘電率を約2.2未満まで下げることは困難である。なぜなら、比誘電率の低下に伴って、絶縁材料の多孔率が上昇するからである。これによって、低誘電率の絶縁材料は弱くなる。
【0024】
理論的には、1.0の比誘電率を持つ空気が理想的な誘電体である。しかし、導電線間の絶縁材として空気を用いるに当たっては問題がある。つまり、例えば集積回路に対して追加的な製造処理を施している間、パッケージ化している間、あるいは輸送中における機械的応力によって構造が容易に崩壊し、集積回路が破損してしまう。配線システムは、例えば、チップを製造およびパッケージ化できるように、有用で信頼でき、かつ機械的に安定したものである必要がある。
【0025】
従って、当技術分野では、配線構造を崩壊させることなく導電線間に空気を導入し、そして導電線間に空隙を有していると共に容易には崩壊しない配線システムを製造する集積機構が必要とされている。
【0026】
空隙を形成するための従来技術による方法は、犠牲膜またはテンプレート膜を用いて、銅/低誘電率集積機構の内部に空隙を形成する工程を含んでいる。これについては、John Sudijono氏によるIEDM2004-Short Courseにおけるプレゼンテーション、「45nm BEOL」p.43に記載されている。上記は、本明細書に参照として援用される。しかし、これらの従来技術による方法には不都合点がある。つまり、犠牲膜またはテンプレートによって、銅線の最上部においてピンチオフが形成されやすくなり、これによって空隙の形状が三角形になり、さらに比誘電率が高くなる。
【0027】
空隙を形成するための別の従来技術による方法では、分解可能なポリオキシメチレン(POM)を用いて空隙を形成する。この方法については、John Sudijono氏によるIEDM2004-Short Courseにおけるプレゼンテーション、「45nm BEOL」p.44に記載されている。上記は、本明細書に参照として援用される。図1〜図4は、空隙を形成するための上記従来技術による方法による、様々な製造段階を示した断面図である。
【0028】
まず図1を参照すると、この空隙形成方法では、半導体ウェハを有した基板102上に、POMを含んだ犠牲材104が堆積される。犠牲材104上にハードマスク106が堆積される。ハードマスク106がパターン形成され、犠牲材104をパターン形成するためのマスクとして用いられる。図2を参照すると、パターン形成されたハードマスク106および犠牲材104上に、バリアシード層(barrier seed layer)108が形成される。図3に示されているように、化学機械研磨プロセスによって、銅110およびハードマスク106が犠牲材104から除去される。銅110およびバリアシード層108は、配線構造において導電線を有している。
【0029】
次に、図3に示されているように、導電線108/110および犠牲層材104上に、誘電体層112が堆積される。そして、図4に示されているように、基板102を高温および高圧に暴露することによって犠牲材104が分解される。このとき、誘電体層112の下において導電線108と導電線110との間に形成されていた空隙114は残される。
【0030】
低誘電率材料は多孔質であって、構造的に弱いため、図1〜図4に示した従来技術による方法および半導体デバイス100は、誘電体層112が比誘電率の高いSiNまたはSiONを含んでいるという問題がある。SiNまたはSiONの比誘電率は、例えば二酸化ケイ素の比誘電率よりも高い。低誘電率材料は、誘電体層112に用いることができない。なぜなら、低誘電率材料は、不安定化という問題をもたらし、そして後に堆積される材料層に施されるCMPプロセスに関する問題を引き起こすからである。従って一部の従来技術の応用においては、比較的厚みのある高誘電体材料は上部の誘電体層112に用いられなければならないため、導電線108と110との間にある空隙114の有益な効果が失われる。
【0031】
図5は、別の従来技術による空隙を有した導電線構造であって、広間隔の導電線領域において、リソグラフィプロセスに悪影響を及ぼす形状が形成された状態を示している。この方法では、基板102は、狭間隔の導電線110が形成された領域120とと、広間隔の導電線110が形成された領域122とを有している。図示されているように、領域120内において、狭間隔の導電線110間にある空隙114上に、薄いキャップ層124が形成されている。薄いキャップ層124は、例えばSiNまたはSiON、あるいは構造を支持する別の材料を含んでいてよい。空隙114は、例えば、図1〜図4に照らして説明した方法によって形成されてよい。空隙114は、一般的には、広間隔の導電線110を有した領域122内では不要である。なぜなら、領域122では、誘電体材料の比誘電率は問題ではないからである。
【0032】
薄いキャップ層124は、化学気相堆積法(chemical vapor deposition; CVD)によって堆積されるため、コンフォーマルである。従って薄いキャップ層124は、図示されているように、領域122内にある広間隔の導電線110上に、コンフォンフォーマルに形成される。上記半導体デバイスの形状内にある凹み126は、リソグラフィプロセスにおいては問題である。さらに、凹み126によって、例えば、後に堆積される材料層(図示せず)をパターン形成する際の焦点深度が小さくなる。従って、後にパターン形成する材料層の最小寸法(size of feature)を大きくしなければならない。なぜなら、構造の形状によって、リソグラフィプロセスに制限が加えられるからである。
【0033】
空隙を形成するための別の従来技術による方法では、犠牲として除去される材料上に透過性材料が堆積される。導電線のダマシン形成中では、この透過性材料によって、CMPプロセスからの汚染物が上記透過性材料内に侵入し、さらに上記犠牲材料に到達する可能性すらある。上記汚染は、例えば研磨または洗浄に使用される水および化学物質の取り込み、あるいは研磨剤粒子またはCMPの副産物の付着によるものである。この汚染によって二次汚染がもたらされ、導電線間の比誘電率が変化し、信頼性に関する問題が引き起こされ得る。
【0034】
従って当技術分野では、導電物質(conductive feature)間に空隙を形成するための方法であって、高誘電率のキャップ層が不要であり、構造に対してトポグラフィーを導入する必要がなく、そしてCMPプロセスおよび洗浄プロセスによる汚染物から下部の材料層を保護できる、改良された方法が必要とされている。
【0035】
本発明の実施形態は、集積回路の配線間に空隙を形成するための方法、およびその構造体を提供することによって、技術的な利点を達成する。基板上に第1の絶縁材を堆積させ、上記第1の絶縁材上に、犠牲部分を有する第2の絶縁材を堆積させる。上記第1および第2の絶縁層内に、導電線を形成する。犠牲部分を除去するために上記第2の絶縁材を処理し、そして上記第1の絶縁材の少なくとも一部を除去して、導電線間に空隙を設ける。上記第2の絶縁材は、堆積時には不透過性であるが、犠牲部分を除去するための処理を施した後は透過性である。
【0036】
一実施形態では、上記基板の第1の領域が処理中にマスクされる。この結果、上記第2の絶縁材は、上記基板の第2の領域内では透過性である一方、第1の領域では不透過性のままとなる。これによって、第2の領域内に空隙が形成されるが、第1の領域内には形成されない。この実施形態における空隙は、例えば、低誘電率材料が最も有益となるチップ領域に形成されることが好ましい。空隙は、RC遅延が危機的ではないチップ領域には形成されないことが好ましい。従って、空隙を有していない領域は、配線構造に対して高い機械的強度を与える。この結果、空隙を有していると同時に、構造が安定した集積回路が得られる。
【0037】
本明細書において、本発明の好ましい実施形態に従った集積回路を製造するための方法をいくつか説明する。本発明について、具体的な状況、すなわち配線層を1つ有した半導体デバイスにおける好ましい実施形態に関連して説明する。しかし本発明は、複数の配線層を有した半導体デバイスにも応用可能である。空隙は、例えば半導体デバイスの1つ以上の配線層内に形成してよい。また、図面における導電線はダマシンプロセスを用いて形成されているが、本発明の実施形態は、例えば減法エッチングプロセスによって導電線が形成された半導体デバイスにも応用できる。
【0038】
図6〜図11は、本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示している。図6を参照すると、半導体デバイス200が示されている。半導体デバイス200は、基板202を有している。基板202は、例えばシリコン、または絶縁層に覆われた別の半導体材料を含んだ半導体基板を含んでいる。基板202は、FEOL工程において形成された能動部品または回路(図示せず)を有していてよい。基板202は、例えば単結晶シリコンを酸化ケイ素で覆ったものを含んでいてよい。基板202は、別の導電層、またはトランジスタ、ダイオード等の別の半導体素子を有していてよい。シリコンの代わりに、例えばGaAs、InP、Si/Ge、またはSiCなどの化合物半導体を用いてもよい。
【0039】
基板202上に、第1の絶縁材230が形成される。第1の絶縁材230は、本発明の実施形態に従って、反応性イオンエッチング(reactive ion etch; RIE)、アニーリングによって除去することができ、あるいは高温で容易に分解される犠牲材料を含んでいることが好ましい。第1の絶縁材230は、例えばポリノルボルネンなどの有機ポリマーを含んでいることが好ましい。あるいは、第1の絶縁材230は、別の有機ポリマーまたは別の材料を含んでいてもよい。第1の絶縁材230は、例えばスピンオンプロセス(spin-on process)、物理的気相成長法(physical vapor deposition; PVD)、またはCVDによって堆積させてよく、あるいは別の方法によって堆積させてもよい。第1の絶縁材230の厚さd1 は、例えば約2,000オングストロームまたはそれ未満であることが好ましく、約1,000オングストロームであることが特に好ましいが、上記以外の厚さであってもよい。
【0040】
第1の絶縁材230上に、第2の絶縁材232が形成される。一実施形態では、第2の絶縁材232の厚さd2 は、第1の絶縁材230の厚さd1 より小さいことが好ましい。厚さd2 は、例えば約600オングストロームまたはそれ未満であることが好ましく、約200〜500オングストロームであることが特に好ましい。しかし第2の絶縁材232の厚さは、上記以外の厚さであってもよい。例えば、構造内に空隙242(図11を参照)が形成されるときに比誘電率を可能な限り低くするために、少なくともその一部が除去される第1の絶縁材230の厚さd1 は、可能な限り厚いことが好ましい。例えば、一実施形態では、第2の絶縁材232および第1の絶縁材230は、層間絶縁膜(inter-level dielectric; ILD)を有している。
【0041】
第1の絶縁材230の厚さd1 、および第2の絶縁材232の厚さd2 はそれぞれ、後述する方法により形成される導電線210の厚さに依存している。本発明の実施形態によると、最大空隙量(例えば第1の絶縁材230の厚さd1 によって決定されるもの)と、構造の安定性(第2の絶縁材232の厚さd2 によるもの)との間で良好な折り合いをつけることが望ましい。例えば、一部の実施形態では、第1の絶縁材232の厚さd1 が、導電線210の厚さの約66〜75%であり、そして第1の絶縁材230の厚さd2 が、導電線210の厚さの約34〜25%であることが好ましい。しかし別の実施形態では、例えば、後述するような、Siの含有量の低いポリマーを、酸素処理を介してSiO2 型のスケルトン/メッシュ構造へ変換することによって、第2の絶縁材232が透過性に形成されている場合は、厚さd2 は導電線210の厚みの約40〜50%であってよい。
【0042】
第2の絶縁材232の一部は、例えば、熱処理に暴露されたときに比較的変化しやすいポリオキシメチレンなどの有機ポリマーであるSiCO、あるいはSiO2 を含んでいることが好ましい。あるいは、第2の絶縁材232は、別の有機ポリマーまたは別の材料を含んでいてもよい。第2の絶縁材232は、例えばスピンオンプロセス、PVD、またはCVDによって堆積されてよいが、別の方法によって堆積されてもよい。
【0043】
第2の絶縁材232は、本発明の一実施形態によると、堆積時には不透過性であることが好ましい。第2の絶縁材232は、後に除去される犠牲部分を含んでいることが好ましい。これについては、本明細書においてさらに説明する。
【0044】
次に、ダマシンプロセスを用いて、第2の絶縁材232と第1の絶縁材230との間に導電線が形成される。第2の絶縁材232および第1の絶縁材230は、図7に示されているように、導電線に対する任意のパターンを用いてパターン形成される。例えば、フォトレジスト(図示せず)および任意のハードマスク(図示せず)が第2の絶縁材232上に堆積され、そして上記フォトレジストがパターン形成される。第2の絶縁材232および第1の絶縁材230の露光部分がエッチングされる間に、上記フォトレジストはマスクとして使用される。あるいは、ハードマスクが使用される場合は、このハードマスクをパターン形成するためのマスクとしてフォトレジストが用いられ、そしてこのフォトレジストが除去され、第2の絶縁材232および第1の絶縁材230の露光部分がエッチングされる間に、上記ハードマスクがマスクとして使用される。基板202および/またはパターンは、図示されているように、狭間隔の導電線の第1の領域220、および広間隔の導電線の第2の領域222を有していてよい。第2の領域222内にある導電線間の距離は、例えば、第1の領域220内にある導電線間の距離の約2倍、またはそれ以上であってよい。
【0045】
図7に示されているように、パターン形成された第2の絶縁材232および第1の絶縁材230上に、導電性材料210が堆積される。導電性材料210は、銅、アルミニウム、銅とアルミニウムとの合金、または別の材料、または材料の組み合わせを含んでいることが好ましい。例えば、導電性材料210を堆積する前に、基板202の露出部分と、パターン形成された第2の絶縁材232と、パターン形成された第1の絶縁材230との上に、1つ以上のバリア層、下地、および/または層(図示せず)が形成される。例えば、導電性材料210が、拡散率(diffusion rate)の高い銅を含んでいる場合は、近傍の材料へ銅が拡散することを防ぐために、1つ以上のバリア層を用いることが好ましい。図7に示されているように、導電性材料210は、第2の絶縁材232および第1の絶縁材230においてパターンを充填し、そして第2の絶縁材232の最上面に存在している。
【0046】
次に、CMPプロセスおよび/またはエッチングプロセスを用いて、第2の絶縁材232の最上面から導電性材料210を除去し、そして第2の絶縁材232および第1の絶縁材230内に導電線210を形成する。この結果、図8に示されている構造が得られる。例えば、導電線210は、本明細書では導電物質とも称されている。第2の絶縁材232は、例えばCMPプロセス、およびCMPプロセス後に行われる洗浄プロセス中に基板202が暴露される汚染物から、絶縁材料230を保護するように形成された材料を含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232は、堆積時には不透過性であることが好ましいため、起こり得る汚染から第1の絶縁材230を保護できるようになっていると有利である。上記起こり得る汚染とは、例えば、研磨および洗浄工程における水および化学物質の取り込み、および研磨剤粒子またはCMPの副産物の付着である。この汚染によって、例えば二次汚染、および/または比誘電率(k)の変化、あるいは信頼性に関する問題が発生し得る。
【0047】
本発明の好ましい実施形態によると、第2の絶縁材232は、第2の絶縁材232の犠牲部分236を除去するために、図8に示されているように、処理234によって処理される。処理234は、例えばRIEまたはアニーリングプロセスを含むものであってよい。露出している導電線210の最上面は、処理234によって悪影響を受けないことが好ましい。
【0048】
一実施形態では、除去された犠牲部分236は、第2の絶縁材232の一部を有している。この実施形態では、処理234は、複数の開口部238を有する第2の絶縁材232をパターン形成するために利用されるRIEを含んでいる。第2の絶縁材232をパターン形成するために、マスクが用いられる。このパターン形成は、例えば、まずフォトレジストを堆積してパターン形成し、そして第2の絶縁材232のエッチング工程中に上記フォトレジストをマスクとして用いることによって行われる。第2の絶縁材232は、上記実施形態では、例えばSiCO、SiO2 、またはポリオキシメチレンを含んでいるが、別の材料を含んでいてもよい。
【0049】
複数の開口部236は、例えば微小であって、半導体デバイス200の最小寸法を有していることが好ましい。一部の実施形態では、第1の絶縁材232内の開口部238の微小なサイズは、リソグラフィによって、例えばレジストリフロープロセス(resist reflow process)などの、いわゆる「縮小方法(shrink methods)」を応用することによって形成される。あるいは、開口部238は、三菱電機株式会社(Mitsubishi Electric Corporation)製のRELACSTM、またはシーメンス・アクチエンゲゼルシャフト社(Siemens Aktiengesellschaft)製のCARLTMなどの製品を用いても生成できる。レジストリフロープロセスでは、レジスト内にあるコンタクトホールのパターン層が、レジストが流れ始めるまで熱処理を受ける。これによって、例えば上記ホールの底部の限界寸法(critical dimension; CD)が縮小する。これらの縮小方法によって、例えば、光学系固有の分解能よりも小さい、開口部238の最小サイズを有利に達成することができる。これらの方法の化学バイアスまたはリフローバイアスは、プロセス制御を低減する代わりに、一般的に用いられる範囲(例えば、約30〜40nm/edge)を超過してもよい。しかし、有利にも、本発明の実施形態を応用する場合に必要なCD制御は、一般的なリソグラフィを使用する場合よりも緩やかである。従って、開口部238を形成するために上記のような縮小方法を用いることができる。
【0050】
別の実施形態では、犠牲部分236は、熱感受性である第2の絶縁材232の犠牲成分を含んでいる。上記実施形態では、第2の絶縁材232の犠牲部分236を除去するための処理は、アニーリングプロセスまたは熱処理を含むものであってよい。例えば、処理234は、約300〜400℃の温度で約0.5〜60分間アニーリングし、第2の絶縁材232の熱感受性成分(例えば犠牲成分236)を除去するように構成されたアニーリングプロセスを含んでいてよいが、上記以外の温度および時間を用いてもよい。
【0051】
第2の絶縁材232がSiCOを含んでいる場合は、熱感受性成分236は炭素を含んでいてよく、そして処理234によって、第2の絶縁材232から炭素が除去される。あるいは、第2の絶縁材232が有機ポリマーを含んでいる場合は、熱感受性成分236は、例えばポリノルボルネン、または別の材料を含んでいる。熱感受性成分236が第2の絶縁材232から除去されると、図9に示されているように、絶縁材232内に気孔238が形成される。
【0052】
従って、RIEまたは熱処理のいずれかからなる処理234を用いて、第2の絶縁材232の犠牲部分236を除去することによって、本発明の実施形態に従って、図9に示されているような第2の絶縁材232内に気孔または開口部238が形成されることが好ましい。図8に示されている第2の絶縁材232は、処理234後に変化し、例えば図9〜図11では232’で示されている。具体的には、第2の絶縁材232’は、堆積時には第2の絶縁材232内に存在していない開口部または気孔238を有している。例えば、第2の絶縁材232’は、上記気孔または開口部238を介して液体または気体が通過できるように形成されている。
【0053】
第2の絶縁材232’は、第1の絶縁材230の少なくとも一部あるいは全部が、第2の絶縁材232’の気孔または開口部238を介して通過できる程度の透過性を有していることが好ましい。例えば、処理234中に第2の絶縁材232の熱感受性成分が除去された場合は、図9〜図11に示されている第2の絶縁材232’は、堆積時における第2の絶縁材232の熱感受性成分の少なくとも一部には存在していない。
【0054】
次に、図10に示されているように、第1の絶縁材230の少なくとも一部が、第2の絶縁材232内の気孔または開口部238を介して除去される。この結果、図11に示されているように、第2の絶縁材232’の下において、導電線210間に空隙242が形成される。これは、図10に示されているように、例えばRIEまたは熱処理を含む別の処理プロセス240によっても達成できる。第1の絶縁材230を除去するためにRIEを用いる場合は、第2の絶縁材232は、例えば第1の絶縁材230を除去するためのRIEプロセスによってエッチングされないような材料を含んでいることが好ましい。第1の絶縁材230を除去するためにアニーリングプロセスを用いる場合は、このアニーリングプロセスは、例えば約400℃またはそれ以上の温度で約0.5〜60分間アニーリングするプロセスであってよいが、上記以外の温度および時間を用いてもよい。
【0055】
次に、本発明の実施形態に従って第1の絶縁材230および第2の絶縁材232をプロセスするための、5つの材料組み合わせ例および好ましい方法について説明する。第1の材料組み合わせ例では、第1の絶縁材230は、JSR Micro, Inc.製の非感光性の精製化学製品(non-photosensitive fine chemicals; NFC)である、芳香族炭化水素ベースのスピンオン材料を含んでいることが好ましい。上記材料は、スピンオンおよびベークされたBEOL材料としても知られている。第1の絶縁材230は、アプライドマテリアルズ社(Applied Materials, Inc.)製のblack diamondTMをさらに含んでいてもよい。black diamondTMは、CVDによって堆積可能な低誘電率材料である。第2の絶縁材232は、スピンコートされ、そして例えば約350℃でハードベークされたスピンオングラスを含んでいることが好ましい。次に、リフロー、RELACSTM、またはCARLTMなどの縮小方法を用いて、第2の絶縁材232に微小な開口部238がリソグラフィによってパターン形成される(この工程は、本実施形態では処理234を含んでいる)。次に、酸素プラズマ、および任意で熱補助をさらに用いて、例えば温度を約100〜300℃まで上昇させることによって、第1の絶縁材230が除去される。第1の絶縁材230および第2の絶縁材232に対して、上記材料をそれぞれ選択することによって、例えば、第1の絶縁材230が炭質となり、第2の絶縁材232が無炭素となるため有利である。
【0056】
第2の材料組み合わせ例では、第1の絶縁材230はポリノルボルネンを含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232は、スピンコートされ、そして例えば約350℃でハードベークされたスピンオンガラスを含んでいることが好ましい。次に、リフロー、RELACSTM、またはCARLTMなどの縮小方法を用いて、第2の絶縁材232に微小な開口部238がリソグラフィによってパターン形成される。そして、約400℃またはそれ以上での熱分解によって、絶縁材料230が除去される。上記材料を選択することによって、例えば、第1の絶縁材230が炭質となり、第2の絶縁材232が無炭素となるため有利である。
【0057】
第3の材料組み合わせ例では、第1の絶縁材230はポリノルボルネンを含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232は、第1の絶縁材230の分解温度よりも低い温度で分解し、かつポロゲン含有量の高い犠牲成分236を有した低誘電率材料を含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232は、例えば、ポリプロピレンまたはポリオキシメチレンを含んでいてよい。次に、熱処理234を用いて、例えば約200〜350℃で、ポロゲン犠牲成分236を熱によって除去する。そして、約400℃またはそれ以上の温度での熱分解によって、第1の絶縁材230が除去される。第2の絶縁材232が、熱によって変化しやすい成分を含む少なくとも2つ成分を含むため、上記の材料選択は有利である。
【0058】
第4の材料組み合わせ例では、第1の絶縁材230は、第1の材料組み合わせ例において説明したNFCまたはblack diamondTMを含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232は、適量(例えば、約10〜20%)のシリコンを含有した、シロキサン有機コポリマー(siloxane-organic co-polymer)を含んでいることが好ましい。次に、酸素プラズマ処理234熱処理234を利用して、第2の絶縁材232を、縦型チャネルまたは気孔238を有する多孔質の半導体材料232’へ変化させる。そして、酸素プラズマ、および任意で熱補助をさらに用いて、例えば温度を約100〜300℃まで上昇させることによって、第1の絶縁材230が除去される。上記実施形態では、第2の絶縁材232は、例えば不十分な2層レジスト(inadequate bi-layer resist)として機能できる。
【0059】
第5の材料組み合わせ例では、第1の絶縁材230は、ポリノルボルネンを含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232は、適量(例えば、約10〜20%)のシリコンを含有した、シロキサン有機コポリマーを含んでいることが好ましい。次に、酸素プラズマ処理234熱処理234を利用して、第2の絶縁材232を、縦型チャネルまたは気孔238を有する多孔質の半導体材料232’へ変化させる。そして、約400℃またはそれ以上の温度での熱分解によって、第1の絶縁材230が除去される。
【0060】
なお、上述した材料の組み合わせは単なる例である。第1の絶縁材230上に不透過性の第2の絶縁材232を形成し、不透過性の第2の絶縁材232を透過性の絶縁材232’へ変化させ、第1の絶縁材230を除去し、そして透過性の絶縁材232’の下に空隙242を形成するために、別の材料および処理を用いてもよい。
【0061】
導電線210の導電性材料210を堆積する前に堆積される任意のバリア層または下地(図示せず)によって、例えば第1の絶縁材230の除去中、および第2の絶縁材232の犠牲部分236の除去中において、導電線210の側壁が保護される。
【0062】
一部の実施形態では、図11に示されているように、第2の絶縁材232’の下から、第1の絶縁材230が全て除去されることが好ましい。これによって、導電線210間において達成し得る比誘電率が最低となるため、有利である。しかし別の実施形態では、例えば第2の絶縁材232’の下に、第1の絶縁材230の一部が残留することがある(図示せず)。例えば、残留したままの第1の絶縁材230は、例えば基板202/導電線210の底の角、基板202の最上面、または導電線210の側壁に存在している。空隙は、例えば、第1の絶縁材230によって予め占有された、導電線210間の領域の一部に形成されることが好ましい。また、本発明の一実施形態に従って、例えば、第2の絶縁材232’の下から、第1の絶縁材230の少なくとも80%が除去されて、導電線210間の空隙の少なくとも80%に空隙242が形成されることが好ましい。
【0063】
第2の絶縁材232の犠牲部分236は、第2の絶縁材232の下に、第1の絶縁材230の分解温度よりも分解温度の低い材料を含んでいることがやや好ましい。これによって、第2の絶縁材232が完全に透過性となる前に第1の絶縁材230が分解し始めることを防ぐことができる。第1の絶縁材230の分解開始が早すぎると、例えば第2の絶縁材232が剥離してしまうか、あるいは半導体デバイス200の構造全体に亀裂が生じる可能性がある。
【0064】
一部の実施形態では、第1の絶縁材230の少なくとも一部を除去して空隙242を形成した後に半導体デバイス200の製造を続けて、半導体デバイス200を完成させることが好ましい。例えば、導電線210と第2の絶縁材232’との最上面に、追加的な絶縁材料および導電性材料を堆積およびパターン形成して、追加的な配線層(図示せず)を形成してもよい。例えば、1つ以上の追加的な配線層上において、本明細書において説明する本発明の実施形態を繰り返してもよい。第2の絶縁材232’の気孔または開口部238は、この実施形態では、後に堆積される材料層が、第2の絶縁材232’の下において導電線210間に形成された空隙242内に入り込めないほどの十分に小さいサイズであることが好ましい。
【0065】
別の実施形態では、図11に示されているように、導電線210と第2の絶縁材232’との最上面にキャップ層244を堆積することが好ましい。キャップ層244は、絶縁材料を含んでいることが好ましい。キャップ層244は、例えば約500オングストロームまたはそれ未満のSiCNを含んでいることが好ましいが、これ以外の寸法および材料を有していてもよい。キャップ層244は、例えばSiNまたは酸化物を含んでいてよい。しかしキャップ層244の比誘電率が高い場合は、導電線210間の絶縁材料の効果的なk値が大幅に低下することを防ぐために、キャップ層244は可能な限り薄いことが好ましい。キャップ層244は、例えばコンフォーマルであって、かつCVD、PVD、または別の堆積方法によって堆積可能であることが好ましいが、しかし別の方法によって堆積してもよい。
【0066】
キャップ層244は、例えば、汚染物または後に堆積される材料が、第2の絶縁材232の気孔238を通って空隙242内に入り込まないように、不透過性の材料を含んでいることが好ましい。第2の絶縁材232’の気孔または開口部238は、第2の絶縁材232’の下において導電線210間に形成された空隙242内にキャップ層244が入り込めないほどの十分に小さいサイズであることが好ましく、またキャップ層244は、空隙242内に入り込めない材料を含んでいることが好ましい。一部の実施形態では、例えば、第2の絶縁材232’は、薄いキャップ層244を用いることができるように、構造面において比較的強い材料を含んでいることが好ましい。上記薄いキャップ層244の主な機能は、例えば、第2の絶縁材232’内の気孔または開口部236を密封して、効果的なk値への影響を最小限にすることである。
【0067】
半導体デバイス200を完成させるために、半導体デバイス200の製造を継続する。例えば、キャップ層244の最上面上に、追加的な絶縁および導電性材料を堆積して、追加的な配線層(図示せず)を形成してもよい。そして、例えば、半導体デバイス200の1つ以上の追加的な配線層内において、本明細書に記載されている本発明の実施形態を繰り返す。
【0068】
図12および図13は、本発明の別の実施形態を示している。これらの図では、配線層の狭間隔の領域内に空隙342が形成されているが、広間隔の領域内には形成されていない。図6〜図11に示されている実施形態に照らして説明したプロセスフローおよび材料を用いることが好ましい。図12および図13に示されている様々な素子は、図6〜図11において用いられている符号と同様の符号によって示されている。ここでは、繰り返しを避けるために、図12および図13に示されている各符号の詳細な説明は省略する。図6〜図11に関して説明したように、図示されている材料層に対して、x02、x30、x32等という同様の材料および厚みを用いることが好ましい。図6〜図11ではx=2であり、図12および図13ではx=3である。
【0069】
この実施形態では、(図7および図8に示されている)第2の絶縁材232の最上面から余剰な導電性材料210が除去された後であって、かつ第2の絶縁材232の犠牲部分236を除去するために処理234を施す前に(図8を参照のこと)、基板302の一領域(例えば、図12に示されている領域322の一部分)がマスク350によって覆われるが、これは、別の領域320内の第2の絶縁材232を処理334に暴露する前に行われる。マスク350は、例えばフォトレジスト、ハードマスク、別の材料、あるいはこれらの組み合わせを含んでいてよい。この実施形態では、領域320内の第2の絶縁材(および、マスクによって覆われていない領域322の一部)を処理した後では、図13に示されているように、第2の絶縁材332’は、領域320内および領域322の一部において透過性であり、そして第2の絶縁材332は、領域322の一部において不透過性である。この実施形態では、第1の絶縁材332の少なくとも一部が、基板320の領域320の一部の第1の絶縁材332の少なくとも一部を除去することを含んでいるが、基板320の別の領域(領域322の一部)の第1の絶縁材332の少なくとも一部を除去することは含んでいない。次に、図示されているように、領域320の一部(および領域322の一部)の第2の絶縁材332’を介して第1の絶縁材330の少なくとも一部を除去し、その他の領域の第1の絶縁材330は除去せず、これによって、領域322の一部の第2の絶縁材332の下に位置している第1の絶縁材330を残すことによって、透過性の第2の絶縁材332’の下に空隙342が形成される。
【0070】
この実施形態では、図12および図13に示されているように、導電線310は、基板302の領域322内にある広間隔の導電線310を含んでいてよく、基板302の領域320内にある狭間隔の導電線310間には空隙342が形成されている。この実施形態は、空隙342が、最も有益となる場所(すなわち狭間隔の導電線310を有する領域320内)に形成されているため有利である。しかし本発明の別の実施形態では、例えば、空隙342が領域322内に形成されるように、上記処理が行われている間に、領域320内の導電線310がマスク350によって覆われてもよい(図示せず)。あるいは、一部の応用では、例えば、複数の様々な導電線間隔(図示せず)を有する半導体デバイス300の特定の機能ブロック内に空隙342を形成すると有利である。
【0071】
図13を再度参照すると、空隙342を有する領域320は、内部に空隙342を有していない領域322の一部と比べて、構造面における安定性および強度が必ずしも大幅に欠けている訳ではない。なぜなら、例えば、領域320内の導電線310の密度が高いため、領域320に追加的な機械的支持を与えるからである。内部に空隙342を有する領域322の一部は、図11に示されているように、例えばキャップ層244を使用することによって機械的に強度を高めることができる。
【0072】
図14は、本発明の別の実施形態を示している。この実施形態では、導電線410の最上面上に、任意の導電キャップ層460が選択的に形成されている。任意の導電キャップ層460は、空隙442の形成前に形成されてよく、あるいは空隙442の形成後に形成されてもよい。ここでもまた、図14の様々な素子は、前出の図において用いられている符号と同様の符号を用いて示されている。また、繰り返しを避けるために、図14に示されている符号に関する詳細な説明はここでは省略する。
【0073】
一部の実施形態では、例えば、導電線410の最上面を保護するために、空隙442形成前に導電キャップ層460が選択的に形成される。具体的には、導電キャップ層460は、気孔または開口部438を形成するための処理を第2の絶縁材438に施す前に形成される。なぜなら、例えば、RIEまたはその他の処理プロセスによって、導電線410の最上面が酸化するか、あるいは導電線410の最上面に悪影響を及ぼすからである。
【0074】
任意のキャップ層460を形成するためには、導電線410上にのみキャップ層460を形成して、第2の絶縁材層432’上には形成しないことが好ましい。キャップ層460は、例えば約200オングストロームまたはそれ未満のCoW、CoWP、またはTaNを含んでいてよいが、上記以外の寸法および材料を含んでいてもよい。次に、図示されているように、キャップ層460と第2の絶縁材432’との上に、キャップ層444が堆積される。
【0075】
本発明の実施形態を利用して、減法エッチングプロセス(subtractive etch process)によって導電線が形成された構造内に、空隙を形成することができる。例えば図8を参照すると、基板202が準備されていて、この基板202の表面全体に導電性材料210の層が堆積されている。次に、導電線210を形成するために、リソグラフィを用いて導電性材料210がパターン形成およびエッチングされる。導電線210間および基板202の最上面上に第1の絶縁材230が堆積されて、そして導電線210間にある第1の絶縁材230の上に第2の絶縁材232が堆積される。そして、図8〜図11に照らしながら説明した製造プロセス工程を、本明細書において説明した通りに続けて、第2の絶縁材232の犠牲部分236を除去することによって第2の絶縁材232を変化させ(図8および図9)、第2の絶縁材232を介して第1の絶縁材230を除去し(図10)、そして第2の絶縁材232’の下に空隙242を形成する(図11)。
【0076】
導電線210は、犠牲酸化層(図示せず)を用いたダマシンプロセスによって形成されてもよい。この実施形態では、基板202上に犠牲酸化層または別の絶縁材が堆積され、そして上記犠牲酸化層は、導電線210のための任意のパターンによってパターン形成される。パターン形成された上記犠牲酸化層上に導電性材料210が堆積され、そしてCMPプロセスを用いて上記犠牲酸化層の最上面から余剰な導電性材料が除去されて、導電線120が形成される。次に、導電線210間から上記犠牲酸化層が除去される。続いて、導電線210上に第1の絶縁材230が堆積され、所定の高さまでエッチバックされ、例えば導電線210の最上部の約3分の1から4分の1が露光される。次に、第1の絶縁材230と、露光された導電線210の最上部との上に、第2の絶縁材232が堆積される。CMPプロセスを用いて、導電線210の最上面から余剰な第2の絶縁材232が除去される。次に、前述したように、リソグラフィまたは熱処理を含む処理234を行って、第2の絶縁材232が透過性にされる。次に、第1の絶縁材230が除去されて、透過性の第2の絶縁材232と導電線210との最上面上に、薄いキャップ層が適宜形成される。
【0077】
本発明の実施形態は、多層配線構造において特に有用である。配線構造には、例えば8、9、12、またはそれ以上の金属層がある。しかし本発明の実施形態は、例えば1層の配線構造においても使用することができる。
【0078】
一部の実施形態では、配線構造のRC遅延を低減するために、密接に配置された導電線210、310、および410間において、本明細書に記載の空隙242、342、および442が形成される。例えばメモリチップでは、空隙242、342、および442は、密接に配置されたメモリアレイ上の配線間に形成されることが好ましい(例えば、導電線および導電線間の空間は、上記チップの最小寸法を含んでいる)。しかし空隙242、342、および442は、より低い密接度で配置された周辺回路または支持回路(support circuit)の配線領域内に形成される必要は必ずしもない。しかし一部の実施形態では、空隙242、342、および442は、これらの領域内に形成されてもよい。別の実施例として、マイクロプロセッサチップでは、密接に配線されている低い方の位置および/または中間の位置(例えば、第1の金属層〜第3の金属層)では、空隙242、342、および442は、導電線間に形成されることが好ましく、低い密接度で配線されている高い方の位置または最上位置では、空隙242、342、および442は形成されない。
【0079】
集積回路を具体的にどのように応用するかに関係なく、配線層の一部の領域に空隙242、342、および442を形成して、上記領域の比誘電率を極度に低くすることができる。本発明の一部の実施形態では、図12および図13に示されているように、(例えば領域322の一部において、)同一の配線層の別の領域において、導電線310間に高誘電率材料330を配置することが好ましい。これによって、より安定した構造が得られるため、機械的に安定し、かつ信頼性のある全体配線構造を製造することができる。
【0080】
本発明の実施形態は、例えば応用特有であって、高性能のBEOL工程を必要とし、RC遅延は低い必要があり、そして導電線の材料として銅を使用した集積回路に特に有用である。本発明の実施形態は、例えばマイクロプロセッサ、ゲームステーション用の集積回路(game station integrated circuit)、および携帯電話用の集積回路などのアプリケーションにおいて実施することができるが、しかし別の種類の集積回路にも使用することができる。さらに本発明の実施形態は、例えば金属層がより少なく、導電線の材料としてアルミニウムを使用した別のアプリケーションにも使用することができる。
【0081】
本発明の実施形態の利点は、空隙242、342、および442を形成して、導電線210、310、および410間において低誘電率を達成することを含んでいる。導電線210、310、および410間の空間の大部分は空隙242、342、および442を有しているため、導電線210、310、および410間において、約2.2またはそれ未満の比誘電率を達成することができる。
【0082】
本発明の好ましい実施形態の利点は、導電線210、310、および410間に空隙242、342、および442を形成するための新奇的な方法を提供することを含んでいる。予測可能な形状、および予め設定した高さを有する空隙242、342、および442が広範に渡って形成される。半導体デバイス200、300、および400に追加的な形状がもたらされることはなく、また追加的なプロセス工程も不要である。
【0083】
一部の実施形態では、空隙242、342、および442は、重要領域内の導電物質210、310、および410間に形成されるが、RC遅延が問題とならない非重要領域には形成されない。基板202、302、および402の一部の領域は、内部に空隙242、342、および442が形成されていないため、上記領域内の絶縁材料330は、集積回路に対して強力な構造的支持および機械的強度を与える。空隙242、342、および442は、配線層/ILD層の形状の平面性を維持しながら、一部の領域内に形成されて、別の領域には形成されないと有利である。
【0084】
犠牲部分236を有する絶縁材232、332、および432の最上層は、堆積時には不透過性であるから、ダマシンプロセスによって導電線210、310、および410を形成する一方で、絶縁材232、332、および432の最上層の最上面から余剰な導電性材料を除去するための化学機械研磨を施す間に、様々な材料層(例えば下部の材料層、および絶縁材層232、332、および432自体)による汚染を防ぐことができる。
【0085】
本発明の実施形態、およびその利点について詳述してきたが、特許請求の範囲によって規定された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、置き換え、および修正を加えることができることについて理解されたい。例えば、本明細書に記載した多くの特徴、機能、プロセス、および材料は、本発明の範囲内において変更可能であることは、当業者であれば容易に理解できるであろう。さらに、本発明の応用範囲は、本明細書に記載したプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、および工程に限定されるものではない。当業者であれば、本発明の開示から容易に理解できるように、本明細書に記載の実施形態とほぼ同一に機能する、あるいはほぼ同一の結果を達成できる既存あるいは後発のプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、または工程を、本発明に従って利用することができる。従って特許請求の範囲は、上記のようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、または工程を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】安定性を得るために比誘電率の高いキャップ層を必要とする、従来技術による方法を用いて空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図である。
【図2】安定性を得るために比誘電率の高いキャップ層を必要とする、従来技術による方法を用いて空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図である。
【図3】安定性を得るために比誘電率の高いキャップ層を必要とする、従来技術による方法を用いて空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図である。
【図4】安定性を得るために比誘電率の高いキャップ層を必要とする、従来技術による方法を用いて空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図である。
【図5】別の従来技術による空隙を有した導電線構造であって、広間隔の導電線領域において、リソグラフィプロセスに悪影響を及ぼす形状(トポグラフィー)が形成された状態を示す図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【図9】本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【図10】本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【図11】本発明の好ましい実施形態に係る方法に従って空隙を形成する際の様々な段階を示す断面図であって、第2の絶縁材の犠牲部分が除去された結果、第1の絶縁材が上記第2の絶縁材を介して除去されて空隙が形成される様子を示す図である。
【図12】本発明の別の実施形態であって、広間隔の領域ではなくて、狭間隔の(closely-spaced)領域に空隙が形成される様子を示す図である。
【図13】本発明の別の実施形態であって、広間隔の領域ではなくて、狭間隔の領域に空隙が形成される様子を示す図である。
【図14】本発明の別の実施形態であって、空隙形成後に、導電性の最上表面上に導電性のキャップ層が選択的に形成された状態を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの製造方法であって、
基板を準備する準備工程と、
上記基板の上に複数の導電線を形成する導電線形成工程と、
上記基板の上であって、上記導電線と導電線との間に、第1の絶縁材を堆積させる第1堆積工程と、
上記第1の絶縁材の上であって、上記導電線と導電線との間に、犠牲部分を有する第2の絶縁材を堆積させる第2堆積工程と、
上記第2の絶縁材の上記犠牲部分を除去する犠牲部分除去工程と、
上記第1の絶縁材の少なくとも一部を除去して、上記導電線と導電線との間に空隙を設ける第1除去工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
上記第2堆積工程には、不透過性の材料を堆積させる工程が含まれ、
上記犠牲部分除去工程には、上記第2の絶縁材の内部に気孔または開口部を形成して、上記第2堆積工程で堆積した上記第2の絶縁材を透過性にする工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
上記第1除去工程には、上記第2の絶縁材に形成された上記気孔または開口部を通じて上記第1の絶縁材を除去する工程が含まれることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
上記導電線形成工程では、減法エッチングまたはダマシンプロセスが用いられることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
上記導電線形成工程には、
上記基板の上に犠牲絶縁材料を蒸着させる工程と、
蒸着した該犠牲絶縁材料の層に、上記複数の導電線のためのパターンを形成する工程と、
上記パターンを形成する工程の後に、上記犠牲絶縁材料の層の上に導電性材料を蒸着する工程と、
上記犠牲絶縁材料の層の最上面から余剰な導電性材料を除去する工程と、
上記余剰な導電性材料を除去する工程の後に、上記犠牲絶縁材料を除去する工程とが含まれることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
上記第1除去工程では、上記第1の絶縁材を全て除去することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
上記第1除去工程の後に、
上記第2の絶縁材および上記複数の導電線の上に、第1キャップ層を形成する第1キャップ層形成工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
上記第1キャップ層形成工程には、500オングストローム以下のSiCN、SiNまたは酸化物を形成する工程が含まれることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
上記第1キャップ層形成工程の前、上記犠牲部分除去工程の前、もしくは、該第1キャップ層形成工程および犠牲部分除去工程の前に、各々の上記導電線の上に、第2キャップ層を形成する第2キャップ層形成工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
上記第2キャップ層形成工程には、各々の上記導電線の上に、200オングストローム以下のCoW、CoWPまたはTaNを形成する工程が含まれることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
上記第1堆積工程には、2,000オングストロームのポリノルボルネン、非感光性化学製品または他の有機ポリマーを形成する工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
上記第2堆積工程には、約600オングストローム以下のSiCO、有機ポリマー、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、SiO2 、スピンオンガラス、ポロゲン高含有の低誘電率材料、または、シリコンを10〜20%含有するシロキサン有機コポリマーを形成する工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
上記第1堆積工程で堆積させる上記第1の絶縁材の厚みを第1の厚みとし、上記第2堆積工程で堆積させる上記第2の絶縁材の厚みを第2の厚みとし、上記導電線形成工程で形成する上記複数の導電線の厚みを第3の厚みとした場合、該第1の厚みは、該第3の厚みの25〜50%であり、該第2の厚みは、第3の厚みの50〜75%であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
上記第2の絶縁材の犠牲部分は、複数の開口部を有する第2の絶縁材の部分を有しており、
上記犠牲部分除去工程では、反応性イオンエッチング(RIE)を行い、
上記RIEでは、上記第2の絶縁材に上記複数の開口部を形成することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
上記第2の絶縁材の犠牲部分は、該第2の絶縁材における熱感受性成分を含んでおり、
上記犠牲部分除去工程では、200〜400℃で0.5〜60分間アニーリングする工程を含んでおり、該アニーリングする工程では、上記熱感受性成分を除去することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
上記犠牲部分除去工程では、炭素、ポリノルボルネン、SiCO、SiO2 、有機ポリマーまたはポリオキシメチレンを除去することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
上記第1除去工程には、400℃以上で0.5〜60分間の、RIE工程もしくはアニーリング工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項18】
上記基板は、第1の領域及び第2の領域を有しており、
上記犠牲部分除去工程の前に、上記第1の領域をマスキングする工程を含んでおり、
上記犠牲部分除去工程の後には、該第2の領域における第2の絶縁材は透過性となっており、第1の領域における第2の絶縁材は不透過性となっていることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項19】
上記第1除去工程では、上記基板の上記第2の領域における上記第1の絶縁材の少なくとも一部を除去する一方、上記第1の領域における上記第1の絶縁材は除去しないことを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
導電性材料を用いて、上記基板の上記第1の領域では広間隔を設けて上記複数の導電線を形成し、且つ上記基板の上記第2の領域では狭間隔を設けて上記複数の導電線を形成する、もしくは、上記基板の上記第1の領域では狭間隔を設けて上記複数の導電線を形成し、且つ上記基板の上記第2の領域では広間隔を設けて上記複数の導電線を形成することを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
上記犠牲部分除去工程では、リソグラフィ法、縮小方法を利用したリソグラフィ法、加熱除去、O2 プラズマ処理、熱処理、アニール処理または反応性イオンエッチング(RIE)が行われることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項22】
上記第1除去工程では、反応性イオンエッチング(RIE)、加熱処理、O2 プラズマ処理、熱補助を用いたO2 プラズマ処理または熱分解処理によって、上記第1の絶縁材の少なくとも一部を除去することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項23】
半導体デバイスの製造方法であって、
基板を準備する準備工程と、
上記基板の上に、第1の絶縁材を堆積させる第1堆積工程と、
上記第1の絶縁材の上に、最上面を有し、且つ犠牲部分を有する第2の絶縁材を堆積させる第2堆積工程と
堆積した上記第1の絶縁材および第2の絶縁材をパターニングするパターニング工程と、
上記パターニング工程によってパターニングされた第1の絶縁材および第2の絶縁材に導電性材料を堆積させる導電性材料堆積工程と、
上記第2の絶縁材の上記最上面から、上記導電性材料を除去し、パターニングされた第1の絶縁材および第2の絶縁材の内部に上記導電性材料を残す導電性材料残留工程と、
上記第2の絶縁材の上記犠牲部分を除去する犠牲部分除去工程と、
上記第1の絶縁材の少なくとも一部を除去する第1除去工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項24】
上記パターニングされた第2の絶縁材の間にある上記導電性材料は、複数の導電線を構成しており、
上記第1除去工程には、上記第2の絶縁材の真下であって、上記導電線と導電線との間に、空隙を設ける工程が含まれることを特徴とする請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
第1の領域および第2の領域を有する基板と、
最上部を有する複数の第1の導電線を構成する、上記基板の上に設けられた複数の導電線と、
上記第1の導電線と第1の導電線との間であって、上記最上部付近に設けられ、上記第1の領域では透過性であり、上記第2の領域では不透過性である第1の絶縁材と、
上記第1の絶縁材の真下であって、上記第1の領域における上記第1の導電線と第1の導電線との間に設けられた第2の絶縁材と、
上記第1の絶縁材の真下であって、上記第2の領域における上記第1の導電線と第1の導電線との間の空隙と、が設けられていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項26】
上記複数の導電線は、上記基板の上記第1の領域において広間隔を設けて形成されているとともに、上記基板の上記第2の領域において狭間隔を設けて形成されている、もしくは、上記基板の上記第1の領域において狭間隔を設けて形成されているとともに、上記基板の上記第2の領域において広間隔を設けて形成されていることを特徴とする請求項25に記載の半導体デバイス。
【請求項27】
上記第1の絶縁材の上、および上記複数の導電線の上に、絶縁材料を含む第1キャップ層を備えていることを特徴とする請求項25に記載の半導体デバイス。
【請求項28】
上記第1キャップ層の真下であって上記複数の導電線の上に、絶縁材料を含む第1キャップ層を備えていることを特徴とする請求項27に記載の半導体デバイス。
【請求項1】
半導体デバイスの製造方法であって、
基板を準備する準備工程と、
上記基板の上に複数の導電線を形成する導電線形成工程と、
上記基板の上であって、上記導電線と導電線との間に、第1の絶縁材を堆積させる第1堆積工程と、
上記第1の絶縁材の上であって、上記導電線と導電線との間に、犠牲部分を有する第2の絶縁材を堆積させる第2堆積工程と、
上記第2の絶縁材の上記犠牲部分を除去する犠牲部分除去工程と、
上記第1の絶縁材の少なくとも一部を除去して、上記導電線と導電線との間に空隙を設ける第1除去工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
上記第2堆積工程には、不透過性の材料を堆積させる工程が含まれ、
上記犠牲部分除去工程には、上記第2の絶縁材の内部に気孔または開口部を形成して、上記第2堆積工程で堆積した上記第2の絶縁材を透過性にする工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
上記第1除去工程には、上記第2の絶縁材に形成された上記気孔または開口部を通じて上記第1の絶縁材を除去する工程が含まれることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
上記導電線形成工程では、減法エッチングまたはダマシンプロセスが用いられることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
上記導電線形成工程には、
上記基板の上に犠牲絶縁材料を蒸着させる工程と、
蒸着した該犠牲絶縁材料の層に、上記複数の導電線のためのパターンを形成する工程と、
上記パターンを形成する工程の後に、上記犠牲絶縁材料の層の上に導電性材料を蒸着する工程と、
上記犠牲絶縁材料の層の最上面から余剰な導電性材料を除去する工程と、
上記余剰な導電性材料を除去する工程の後に、上記犠牲絶縁材料を除去する工程とが含まれることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
上記第1除去工程では、上記第1の絶縁材を全て除去することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
上記第1除去工程の後に、
上記第2の絶縁材および上記複数の導電線の上に、第1キャップ層を形成する第1キャップ層形成工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
上記第1キャップ層形成工程には、500オングストローム以下のSiCN、SiNまたは酸化物を形成する工程が含まれることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
上記第1キャップ層形成工程の前、上記犠牲部分除去工程の前、もしくは、該第1キャップ層形成工程および犠牲部分除去工程の前に、各々の上記導電線の上に、第2キャップ層を形成する第2キャップ層形成工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
上記第2キャップ層形成工程には、各々の上記導電線の上に、200オングストローム以下のCoW、CoWPまたはTaNを形成する工程が含まれることを特徴とする請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
上記第1堆積工程には、2,000オングストロームのポリノルボルネン、非感光性化学製品または他の有機ポリマーを形成する工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
上記第2堆積工程には、約600オングストローム以下のSiCO、有機ポリマー、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン、SiO2 、スピンオンガラス、ポロゲン高含有の低誘電率材料、または、シリコンを10〜20%含有するシロキサン有機コポリマーを形成する工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
上記第1堆積工程で堆積させる上記第1の絶縁材の厚みを第1の厚みとし、上記第2堆積工程で堆積させる上記第2の絶縁材の厚みを第2の厚みとし、上記導電線形成工程で形成する上記複数の導電線の厚みを第3の厚みとした場合、該第1の厚みは、該第3の厚みの25〜50%であり、該第2の厚みは、第3の厚みの50〜75%であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
上記第2の絶縁材の犠牲部分は、複数の開口部を有する第2の絶縁材の部分を有しており、
上記犠牲部分除去工程では、反応性イオンエッチング(RIE)を行い、
上記RIEでは、上記第2の絶縁材に上記複数の開口部を形成することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
上記第2の絶縁材の犠牲部分は、該第2の絶縁材における熱感受性成分を含んでおり、
上記犠牲部分除去工程では、200〜400℃で0.5〜60分間アニーリングする工程を含んでおり、該アニーリングする工程では、上記熱感受性成分を除去することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
上記犠牲部分除去工程では、炭素、ポリノルボルネン、SiCO、SiO2 、有機ポリマーまたはポリオキシメチレンを除去することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
上記第1除去工程には、400℃以上で0.5〜60分間の、RIE工程もしくはアニーリング工程が含まれることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項18】
上記基板は、第1の領域及び第2の領域を有しており、
上記犠牲部分除去工程の前に、上記第1の領域をマスキングする工程を含んでおり、
上記犠牲部分除去工程の後には、該第2の領域における第2の絶縁材は透過性となっており、第1の領域における第2の絶縁材は不透過性となっていることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項19】
上記第1除去工程では、上記基板の上記第2の領域における上記第1の絶縁材の少なくとも一部を除去する一方、上記第1の領域における上記第1の絶縁材は除去しないことを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
導電性材料を用いて、上記基板の上記第1の領域では広間隔を設けて上記複数の導電線を形成し、且つ上記基板の上記第2の領域では狭間隔を設けて上記複数の導電線を形成する、もしくは、上記基板の上記第1の領域では狭間隔を設けて上記複数の導電線を形成し、且つ上記基板の上記第2の領域では広間隔を設けて上記複数の導電線を形成することを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
上記犠牲部分除去工程では、リソグラフィ法、縮小方法を利用したリソグラフィ法、加熱除去、O2 プラズマ処理、熱処理、アニール処理または反応性イオンエッチング(RIE)が行われることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項22】
上記第1除去工程では、反応性イオンエッチング(RIE)、加熱処理、O2 プラズマ処理、熱補助を用いたO2 プラズマ処理または熱分解処理によって、上記第1の絶縁材の少なくとも一部を除去することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項23】
半導体デバイスの製造方法であって、
基板を準備する準備工程と、
上記基板の上に、第1の絶縁材を堆積させる第1堆積工程と、
上記第1の絶縁材の上に、最上面を有し、且つ犠牲部分を有する第2の絶縁材を堆積させる第2堆積工程と
堆積した上記第1の絶縁材および第2の絶縁材をパターニングするパターニング工程と、
上記パターニング工程によってパターニングされた第1の絶縁材および第2の絶縁材に導電性材料を堆積させる導電性材料堆積工程と、
上記第2の絶縁材の上記最上面から、上記導電性材料を除去し、パターニングされた第1の絶縁材および第2の絶縁材の内部に上記導電性材料を残す導電性材料残留工程と、
上記第2の絶縁材の上記犠牲部分を除去する犠牲部分除去工程と、
上記第1の絶縁材の少なくとも一部を除去する第1除去工程とを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項24】
上記パターニングされた第2の絶縁材の間にある上記導電性材料は、複数の導電線を構成しており、
上記第1除去工程には、上記第2の絶縁材の真下であって、上記導電線と導電線との間に、空隙を設ける工程が含まれることを特徴とする請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
第1の領域および第2の領域を有する基板と、
最上部を有する複数の第1の導電線を構成する、上記基板の上に設けられた複数の導電線と、
上記第1の導電線と第1の導電線との間であって、上記最上部付近に設けられ、上記第1の領域では透過性であり、上記第2の領域では不透過性である第1の絶縁材と、
上記第1の絶縁材の真下であって、上記第1の領域における上記第1の導電線と第1の導電線との間に設けられた第2の絶縁材と、
上記第1の絶縁材の真下であって、上記第2の領域における上記第1の導電線と第1の導電線との間の空隙と、が設けられていることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項26】
上記複数の導電線は、上記基板の上記第1の領域において広間隔を設けて形成されているとともに、上記基板の上記第2の領域において狭間隔を設けて形成されている、もしくは、上記基板の上記第1の領域において狭間隔を設けて形成されているとともに、上記基板の上記第2の領域において広間隔を設けて形成されていることを特徴とする請求項25に記載の半導体デバイス。
【請求項27】
上記第1の絶縁材の上、および上記複数の導電線の上に、絶縁材料を含む第1キャップ層を備えていることを特徴とする請求項25に記載の半導体デバイス。
【請求項28】
上記第1キャップ層の真下であって上記複数の導電線の上に、絶縁材料を含む第1キャップ層を備えていることを特徴とする請求項27に記載の半導体デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−352124(P2006−352124A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−163346(P2006−163346)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163346(P2006−163346)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】
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