説明

半導体レーザ装置および光ピックアップ装置

【課題】レーザ共振器端面近傍に不純物拡散により窓構造を形成する際に、活性層に不純物が蓄積されることを抑制し、CODレベルが高く、発光効率が高い半導体レーザを提供する。
【解決手段】CODレベルが高く、発光効率が高い半導体レーザにおいて、活性層5の基板側に隣接するクラッド層4に、拡散不純物Znをドーピングさせておくことによって、拡散不純物がドーピングされた部分で、拡散不純物の拡散係数が大きくなり、活性層5への不純物蓄積が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVDなどの光ディスクに対して、情報書き込み用光源や情報読み出し用光源として用いられる半導体レーザ装置に関し、特に、高出力時の動作特性に優れた窓構造を有する半導体レーザ装置および、これを用いて情報を光ディスクに記録するかまたは、この光ディスクから情報を読み出し可能とする光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の高出力半導体レーザ装置は、従来の情報記録再生装置などに用いられる光ピックアップ装置において、CDやDVDなどの情報書き込み用光源や情報読み出し用光源として用いられている。特に、書き込み速度を高速化させるために、従来の半導体レーザ装置の更なる高出力化が求められている。
【0003】
この従来の半導体レーザ装置の高出力化を制限している要因の一つとして、レーザ共振器端面近傍の活性層領域において、光出力密度の増加に伴って発生する光学損傷(COD)が挙げられる。この光学損傷(COD)の発生原因は、レーザ共振器端面近傍の活性層領域がレーザ光に対する吸収領域になることである。レーザ共振器端面では、表面準位または界面準位と呼ばれる非発光再結合中心が存在する。注入されたキャリアがこの非発光再結合中心にて消滅する結果として発熱が生じ、レーザ共振器端面近傍におけるバンドギャップが縮小される。その結果、レーザ共振器端面の活性層領域において、さらにレーザ光が吸収されるようになり、さらに、温度が上昇するという正帰還がかかり、最終的にはレーザ共振器端面近傍の温度が融点まで達して光学損傷(COD)が発生することになる。
【0004】
従来、光学損傷(COD)レベルを改善させるためには、例えば特許文献1〜特許文献5に開示されているような、不純物拡散による窓構造を利用する手法が採用されてきている。
【0005】
これは、例えばGaAs/AlGaAsからなる超格子構造を活性層とする半導体レーザ装置において、Znなどの不純物を表面から拡散させることにより、レーザ共振器端面近傍に超格子構造を混晶化させるという技術である。これによって、レーザ共振器端面近傍において活性層のバンドギャップが広がった窓構造が形成され、レーザ光の吸収がなくなり、光学損傷(COD)レベルの改善が図られる。
【特許文献1】特開2000−323788号公報
【特許文献2】特開2001−210907号公報
【特許文献3】特開2006−319120号公報
【特許文献4】特開平10−321947号公報
【特許文献5】特開2002−26447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には、以下のような問題がある。
【0007】
図4は、従来の半導体レーザ装置における窓部において、拡散不純物Znの層方向における分布の一例を示す図である。
【0008】
図4に示すように、従来の半導体レーザ装置における窓部において、拡散不純物Znは、表面側から活性層が設けられた内部へ向かって拡散されているが、その際に、活性層に不純物Znが蓄積されている。活性層の不純物濃度が増加すると、結晶のバンドギャップ自体は広がっても、多量の不純物によるバンドギャップ内の不純物帯による吸収、あるいは不純物による非発光過程の増加により、逆に窓部における吸収が増加してしまう。その結果、半導体レーザ装置の光学損傷(COD)レベルの改善低下や発光効率の低下が生じ、信頼性が低下するという問題がある。
【0009】
一方、窓部以外の領域でも、例えばp型ドーパントとして拡散係数が大きい不純物Znを用いた従来の半導体レーザ装置では、窓構造形成のために不純物を拡散させる熱プロセスによって、不純物Znが活性層へ拡散され、窓部と同様に活性層へのZn蓄積が生じる。この場合にも、活性層においてレーザ光の吸収が増加され、しきい値電流の増加や発光効率の低下などという問題が生じる。
【0010】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、レーザ共振器端面近傍に不純物拡散により窓構造を形成する際に、活性層に不純物が蓄積されることを抑制させて、CODレベルを改善でき、発光効率が高い半導体レーザ装置およびこれを用いた光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の半導体レーザ装置は、半導体基板上に、クラッド層に挟まれた活性層が設けられ、不純物拡散により該活性層のレーザ共振器端面近傍領域が混晶化されて、該活性層のレーザ共振器端面近傍領域におけるフォトルミネッセンスピーク波長が、該活性層のレーザ共振器内部領域におけるフォトルミネッセンスピーク波長よりも小さくされている半導体レーザ装置において、該活性層の半導体基板側に設けられたクラッド層は、該不純物拡散に用いられる不純物の拡散係数が、活性層の近傍で大きく設定されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0012】
本発明の半導体レーザ装置は、半導体基板上に、超格子構造がガイド層で挟まれた活性層が設けられ、不純物拡散により該活性層のレーザ共振器端面近傍領域が混晶化されて、その部分のフォトルミネッセンスピーク波長が、該活性層のレーザ共振器内部領域におけるフォトルミネッセンスピーク波長よりも小さくされている半導体レーザ装置において、 該超格子構造よりも半導体基板側に設けられたガイド層は、該不純物拡散に用いられる不純物の拡散係数が、該半導体基板とは反対側のガイド層における拡散係数と同等以上に設定されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0013】
本発明の半導体レーザ装置は、半導体基板上に、超格子構造がガイド層で挟まれた活性層が設けられ、不純物拡散により該活性層のレーザ共振器端面近傍領域が混晶化されて、その部分のフォトルミネッセンスピーク波長が、該活性層のレーザ共振器内部領域におけるフォトルミネッセンスピーク波長よりも小さくされている半導体レーザ装置において、 該超格子構造よりも半導体基板側に設けられたガイド層は、該不純物拡散に用いられる不純物の拡散係数が、該活性層の近傍で大きく設定されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0014】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における不純物が一導電型不純物であり、前記活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層に該一導電型不純物がドーピングされている。
【0015】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における不純物が一導電型不純物であり、前記超格子構造に隣接する半導体基板側のガイド層に該一導電型不純物がドーピングされている。
【0016】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層において、前記一導電型不純物がドーピングされている部分の厚さが50nm以上200nm以下の範囲である。
【0017】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置において、前記活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層の厚さが1000nm以上3000nm以下であって、該クラッド層に前記一導電型不純物がドーピングされている部分が前記活性層の近傍である。
【0018】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における超格子構造に隣接する半導体基板側のガイド層において、前記一導電型不純物がドーピングされている部分の厚さが50nm以上200nm以下の範囲である。
【0019】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層において、前記一導電型不純物がドーピングされている部分の一導電型不純物濃度が5×1017cm−3以上2×1018cm−3以下の範囲である。
【0020】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における超格子構造に隣接する半導体基板側のガイド層において、前記一導電型不純物がドーピングされている部分の一導電型不純物濃度が5×1017cm−3以上2×1018cm−3以下の範囲である。
【0021】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における一導電型不純物は、p型不純物である。
【0022】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置におけるp型不純物は、ZnまたはMgである。
【0023】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層に他導電型不純物がドーピングされ、その少なくとも一部で他導電型不純物濃度が所定値以下に低減されている。
【0024】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における活性層に隣接する基板側のクラッド層において、前記他導電型不純物濃度が低減されている部分の厚みが50nm以上200nm以下の範囲である。
【0025】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層において、他導電型不純物濃度が低減されている部分の該他導電型不純物濃度が1×1017cm−3以上5×1017cm−3以下の範囲である。
【0026】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における活性層に隣接する基板側のクラッド層に不純物として前記他導電型不純物がドーピングされ、その少なくとも一部に該他導電型不純物がドーピングされていない部分が設けられている。
【0027】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層において、前記他導電型不純物がドーピングされていない部分の厚みが50nm以上200nm以下の範囲である。
【0028】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における他導電型不純物は、n型不純物である。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置におけるn型不純物は、Si、SeおよびTeのいずれかである。
【0030】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置におけるクラッド層がAlGaInP系材料からなり、前記活性層がAlGaInP系材料またはAlGaAs系材料からなる。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における活性層の超格子構造は、ウェル層とバリア層とが交互に配置されている。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における超格子構造は、上下の前記ウェル層の間に前記バリア層が挟み込まれている。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における活性層の半導体基板側に設けられたクラッド層の一部または全部が、前記不純物拡散に用いられる不純物と同じ不純物により拡散されている。
【0034】
さらに、好ましくは、本発明の半導体レーザ装置における超格子構造よりも半導体基板側に設けられたガイド層の一部または全部が、前記不純物拡散に用いられる不純物と同じ不純物により拡散されている。
【0035】
本発明の光ピックアップ装置は、本発明の上記半導体レーザ装置を用いて情報を光ディスクに記録するかまたは、該光ディスクから情報を読み出し可能とするものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0036】
上記構成により、以下に、本発明の作用について説明する。
【0037】
本発明にあっては、レーザ共振器端面近傍に不純物拡散により窓構造を形成する際に、活性層に不純物が蓄積されることを抑制する。このためには、活性層に隣接する半導体基板側の領域(基板側クラッド層)や活性層の半導体基板側の領域(基板側ガイド層)において、一導電型不純物、例えばZnの拡散係数を大きくすればよい。
【0038】
従来の半導体レーザ装置において、活性層の基板側にはクラッド層が設けられており、他導電型不純物(n型不純物)、例えばSiが不純物としてドーピングされている。一方、窓構造形成のための拡散不純物としては、一導電型不純物、例えばZnが用いられ、これはp型不純物である。このp型不純物Znとn型不純物Siとは、イオン結合によって相互に引き合うため、p型不純物Znは、n型不純物Siが存在するn型領域に拡散され難くなっている。その結果として、表面から拡散されてきたp型不純物Znは、拡散しにくい領域であるn型クラッド層の手前に存在する活性層に蓄積される。
【0039】
一般に、半導体中の不純物の拡散係数は、その不純物濃度に依存し、不純物濃度が大きいほど、拡散係数が大きくなる。したがって、例えば、p型不純物Znを拡散させる場合には、予めp型不純物Znを高濃度にドーピングさせておくことによって、その領域における拡散係数を大きくすることが可能となる。
【0040】
また、上述したように、n型ドーパントとp型ドーパントとのイオン結合によって拡散係数が小さくなる作用を抑えるためには、活性層に近い領域において、n型ドーパントを低濃度に設定することによっても、その領域における拡散係数を大きくすることが可能となる。
【0041】
そこで、本発明では、活性層に隣接する半導体基板側の領域(基板側クラッド層)や活性層の半導体基板側の領域(基板側ガイド層)に、拡散不純物をドーピングさせておくかまたは、基板側クラッド層の領域において、n型不純物濃度を低減させるかまたは、n型不純物をドーピングさせないようにしておく。これによって、n型不純物濃度が低減された領域またはp型不純物がドーピングされた領域で拡散不純物の拡散係数が大きくなり、活性層への不純物蓄積が抑制される。
【発明の効果】
【0042】
以上により、本発明によれば、活性層に隣接する半導体基板側の領域(基板側クラッド層)や活性層の半導体基板側の領域(基板側ガイド層)における拡散不純物の拡散係数を大きくするため、窓構造形成の際に、拡散させた不純物が活性層に蓄積されることを抑制することができて、よりCODレベルを改善でき、発光効率が高い高出力半導体レーザ装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に、本発明の半導体レーザ装置の実施形態1〜3について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)
図1(a)は、本発明の実施形態1に係る半導体レーザ装置に用いられるエピタキシャル層の要部構成例を示す縦断面図であり、図1(b)は、図1(a)の活性層部分の層構成例を示す拡大縦断面図である。
【0044】
図1(a)に示すように、本実施形態1の半導体レーザ装置100は、n型GaAs基板1上に、n型GaAsバッファ層2、n型GaInPバッファ層(図示せず)、n型AlGaInP第1クラッド層3、p型AlGaInP第2クラッド層4、un(アンドープ)−AlGaInP MQW活性層5、p型AlGaInP第3クラッド層6、GaInPエッチングストップ層7、p型AlGaInP第4クラッド層8、p型GaInP中間層9およびp型GaAsキャップ層10がこの順で順次積層されている。なお、上記n型GaInPバッファ層(図示せず)はなくてもよい。
【0045】
図1(b)に示すように、un−AlGaInP MQW活性層5は、un−GaInPウェル層51とun−AlGaInPバリア層52が交互に配され、例えば上下のun−GaInPウェル層51でun−AlGaInPバリア層52を挟み込んで超格子構造が構成され、更にそれが上下のun−AlGaInPガイド層53により挟み込まれた構成になっている。
【0046】
このような層構成のウェハに対して、レーザ共振器端面となる領域(例えば幅40μm)上に、フォトリソグラフィー工程によって不純物拡散源として例えばZnO膜が選択的に形成され、ウェハ表面がSiO膜によりカバーされた後に、窒素雰囲気中で熱処理が行われることによって、p型不純物Znが拡散処理される。これによって、レーザ共振器端面近傍領域のun−AlGaInP MQW活性層5が混晶化されてバンドギャップが広げられ、窓構造が形成される。
【0047】
本実施形態1では、この窓構造形成の際に、表面側から拡散されてきたp型不純物Znがun−AlGaInP MQW活性層5に溜まらず、これを通り抜け、第2クラッド層4へ抜けて行くようにするために、un−AlGaInP MQW活性層5の基板側に設けられたp型AlGaInP第2クラッド層4には、上記拡散不純物Znがドーピングされている。この場合に、un−AlGaInP MQW活性層5のn型GaAs基板1側に設けられたp型AlGaInP第2クラッド層4は、不純物拡散に用いられるp型不純物Znの拡散係数が、un−AlGaInP MQW活性層5の近傍位置(基板側端面部よりも近傍)でその基板側端面部に比べて大きく設定されている。なお、この第2クラッド層4において、p型不純物Znの拡散係数が、上記活性層5の近傍位置で大きく設定されていれば、第2クラッド層4は、拡散不純物Znの拡散係数が、上記活性層5の基板側とは反対側に設けられたp型AlGaInP第3クラッド層6およびp型AlGaInP第4クラッド層7におけるZn拡散係数と比べて同等以下に設定されていてもよい。
【0048】
窓構造形成時に、表面側から拡散されてきた拡散不純物Znが活性層5には溜まらず、これを通り抜け、拡散係数が大きくされた第2クラッド層4へ抜けて行く効果を十分得るためには、第2クラッド層4のp型不純物Znがドーピングされている部分の厚みは、50nm以上であることが望ましい。一方、この第2クラッド4にp型不純物Znがドーピングされている部分の厚みが厚すぎると、電子が、un−AlGaInP MQW活性層5へ注入されにくくなるため、動作電圧の増大または発光効率の低下という不都合が生じる。このため、第2クラッド層4のp型不純物Znがドーピングされている部分の厚みは、200nm以下であることが望ましい。要するに、un−AlGaInP MQW活性層5に隣接するn型GaAs基板1側のp型AlGaInP第2クラッド層4において、一導電型不純物のp型不純物Znがドーピングされている部分の厚さが50nm以上200nm以下の範囲である。この場合に、un−AlGaInP MQW活性層5に隣接するn型GaAs基板1側のp型AlGaInP第2クラッド層4の厚さが1000nm以上3000nm以下であって、p型不純物Znがドーピングされている部分の厚さが、上記活性層5の近傍位置である。本実施形態1では、第2クラッド層4の厚みが、例えば100nmとされている。
【0049】
また、第2クラッド層4は、拡散不純物Znの濃度が5×1017cm−3以上2×1018cm−3以下であることが望ましい。Zn濃度が5×1017cm−3未満の場合には不純物拡散係数を上げるという本発明の効果が少なくなり、2×1018cm−3を超える場合には活性層自体に不純物が入ってしまい発光効率が低下するという不都合が生じるからである。本実施形態1では、第2クラッド層4に、拡散不純物Znが例えば濃度1×1018cm−3濃度でドーピングされている。
【0050】
以上のように、本実施形態1の半導体レーザ装置100では、un−AlGaInP MQW活性層5の基板側に隣接する第2クラッド層4に対して、窓構造形成のために用いられる拡散不純物と同じZnが予めドーピングされているため、第2クラッド層4においてZn拡散係数が大きくなり、窓部において活性層5へのZn蓄積を抑制することができた。この結果、窓部での光吸収がより小さくなり、半導体レーザ装置100の発光効率およびCODレベルが改善された。
(実施形態2)
上記実施形態1では、活性層5の半導体基板1側に設けられたクラッド層4は、拡散不純物Znがドーピングされており、拡散不純物Znの拡散係数が、活性層5の近傍位置(基板側端面部よりも近傍)でその基板側端面部に比べて大きく設定されている場合について説明したが、本実施形態2では、活性層5の半導体基板1側に設けられたクラッド層4は、n型不純物であるSiがドーピングされていないかまたは、Si濃度を5×1017cm−3以下の低濃度として、拡散不純物Znの拡散係数が、活性層5の近傍位置(基板側端面部よりも近傍)でその基板側端面部に比べて大きく設定されている場合について説明する。
【0051】
図2(a)は、本発明の実施形態2に係る半導体レーザ装置に用いられるエピタキシャル層の要部構成例を示す縦断面図であり、図2(b)は、図2(a)の活性層部分の層構成を示す拡大縦断面図である。
【0052】
図2(a)に示すように、本実施形態2の半導体レーザ装置100Aは、n型GaAs基板1上に、n型GaAsバッファ層2、n型GaInPバッファ層(図示せず)、n型AlGaInP第1クラッド層3、un−AlGaInP第2クラッド層4A、un−AlGaAs MQW活性層5A、p型AlGaInP第3クラッド層6、GaInPエッチングストップ層7、p型AlGaInP第4クラッド層8、p型GaInP中間層9およびp型GaAsキャップ層10がこの順に順次積層されている。本実施形態2では、n型不純物としてSiを用い、p型不純物としてZnを用いた場合である。なお、上記n型GaInPバッファ層(図示せず)はなくてもよい。
【0053】
図2(b)に示すように、un−AlGaAs MQW活性層5Aは、un−GaAsウェル層51Aとun−AlGaAsバリア層52Aが交互に配され、例えば上下のun−GaAsウェル層51Aでun−AlGaAsバリア層52Aを挟み込んで超格子構造が構成され、更にそれが上下のun−AlGaAsガイド層53Aにより挟み込まれた構成になっている。
【0054】
このような層構成のウェハに対して、レーザ共振器端面となる領域(例えば幅40μm)上に、フォトリソグラフィー工程によって不純物拡散源として例えばZnO膜が選択的に形成され、ウェハ表面がSiO膜によりカバーされた後に、窒素雰囲気中で熱処理が行われることによって、p型不純物Znが拡散される。これにより、レーザ共振器端面近傍領域のun−AlGaAs MQW活性層5Aが混晶化されてバンドギャップが広げられ、窓構造が形成される。
【0055】
本実施形態2では、この窓構造形成の際に、表面側から拡散されてきたp型不純物Znがun−AlGaAs MQW活性層5Aに溜まらず、これを通り抜け、第2クラッド層4Aへ抜けて行くようにするために、un−AlGaAs MQW活性層5Aの基板側に設けられたun−AlGaInP第2クラッド層4Aには、n型不純物であるSiがドーピングされていない。この場合に、un−AlGaInP MQW活性層5Aのn型GaAs基板1側に設けられたun-AlGaInP第2クラッド層4Aは、不純物拡散に用いられるp型不純物Znの拡散係数が、un−AlGaInP MQW活性層5Aの近傍位置(基板側端面部よりも近傍)でその基板側端面部に比べて大きく設定されている。なお、この第2クラッド層4Aにおいて、p型不純物Znの拡散係数が、上記活性層5Aの近傍位置で大きく設定されていれば、第2クラッド層4Aは、拡散不純物Znの拡散係数が、上記活性層5Aの基板側とは反対側に設けられたp型AlGaInP第3クラッド層6およびp型AlGaInP第4クラッド層7におけるZn拡散係数と比べて同等以下に設定されていてもよい。
【0056】
窓構造形成時に、表面側から拡散されてきたp型不純物Znがun−AlGaAs MQW活性層5Aに溜まらず、これを通り抜け、拡散係数が大きくされた第2クラッド層4Aへ抜けて行く効果を十分得るためには、第2クラッド層4Aの厚みは、50nm以上であることが望ましい。一方、この第2クラッド4Aの厚みが厚すぎると、抵抗体となり、電子が、un−AlGaAs MQW活性層5Aへ注入されにくくなるため、動作電圧の増大または発光効率の低下という不都合が生じる。このため、第2クラッド層4Aの厚みは、200nm以下であることが望ましい。要するに、上記活性層5Aに隣接するn型GaAs基板1側のun-AlGaInP第2クラッド層4Aにおいて、厚さが50nm以上200nm以下の範囲である。この場合に、上記活性層5Aに隣接するn型GaAs基板1側のun-AlGaInP第2クラッド層4Aの厚さが1000nm以上3000nm以下であって、第2クラッド層4Aが、上記活性層5Aの近傍位置である。本実施形態2では、第2クラッド層4Aの厚みが、例えば100nmとされている。
【0057】
以上のように、本実施形態2の半導体レーザ100Aでは、un−AlGaAs MQW活性層5Aの基板側に隣接する第2クラッド層4Aに対して、n型不純物Siがドーピングされていないため、第2クラッド層4Aにおいてp型不純物Znとのイオン結合による妨げが生じることなく、Zn拡散係数が大きくなり、窓部においてun−AlGaAs MQW活性層5AへのZn蓄積を抑制することができた。この結果、窓部での光吸収がより小さくなり、半導体レーザ装置100Aの発光効率およびCODレベルが改善された。さらに、窓構造が形成されていないレーザ共振器内部においても、窓構造形成時の熱処理によるun−AlGaAs MQW活性層5AへのZn蓄積が抑制され、この結果、従来の半導体レーザ装置に比べて、発光効率を改善させ、信頼性を向上させることができた。
【0058】
なお、本実施形態2では、un−AlGaAs MQW活性層5Aの基板側にある第2クラッド層4Aにシリコン(Si)をドーピングさせない構造としたが、Si濃度を1×1017cm−3以上5×1017cm−3以下の低濃度とすることによっても、これと同様の作用効果を得ることができる。この場合、1×1017cm−3以下になれば抵抗が上がるし、5×1017cm−3以上になれば本発明の作用効果として発光効率が悪くなる。
(実施形態3)
本実施形態3では、超格子構造に隣接する半導体基板1側のガイド層に拡散不純物Znがドーピングされており、拡散不純物Znの拡散係数が、半導体基板1とは反対側のガイド層における拡散係数と比べて同等以上に設定されている場合について説明する。
【0059】
図3(a)は、本発明の実施形態3に係る半導体レーザ装置に用いられるエピタキシャル層の要部構成例を示す縦断面図であり、図3(b)は、図3(a)の活性層部分の層構成を示す拡大縦断面図である。
【0060】
図3(a)に示すように、本実施形態3の半導体レーザ100Bは、n型GaAs基板1の上にn型GaAsバッファ層2、n型GaInPバッファ層(図示せず)、n型AlGaInP第1クラッド層3B、un−AlGaInP MQW活性層5B、p型AlGaInP第2クラッド層6B、GaInPエッチングストップ層7、p型AlGaInP第3クラッド層8B、p型GaInP中間層9およびp型GaAsキャップ層10がこの順に順次積層されている。なお、上記n型GaInPバッファ層(図示せず)はなくてもよい。
【0061】
図3(b)に示すように、un−AlGaInP MQW活性層5Bは、un−GaInPウェル層51とun−AlGaInPバリア層52が交互に配され、例えば上下のun−GaInPウェル層51でun−AlGaInPバリア層52を挟み込んで超格子構造が構成され、更にこれが上部のun−AlGaInPガイド層53と下部のp型AlGaInPガイド層53Bにより挟み込まれた構成になっている。
【0062】
このような層構成のウェハに対して、レーザ共振器端面となる領域(例えば幅40μm)上に、フォトリソグラフィー工程によって不純物拡散源として例えばZnO膜が選択的に形成され、ウェハ表面がSiO膜によりカバーされた後に、窒素雰囲気中で熱処理が行われることによって、p型不純物Znが拡散される。これにより、レーザ共振器端面近傍領域のun−AlGaInP MQW活性層5Bが混晶化されてバンドギャップが広げられ、窓構造が形成される。
【0063】
本実施形態3では、この窓構造形成の際に、表面側から拡散されてきたp型不純物Znが、un−AlGaInP MQW活性層5Bの超格子構造に溜まらず、これを通り抜け、ガイド層53Bへ抜けて行くようにするために、un−AlGaInP MQW活性層5Bにおいてウェル層51とバリア層52により構成される超格子構造よりも半導体基板1側に設けられたAlGaInPガイド層53Bは、上記拡散不純物Znがドーピングされてp型とされている。これにより、p型AlGaInPガイド層53Bは、拡散不純物Znの拡散係数が、超格子構造の基板側とは反対側に設けられたun−AlGaInPガイド層53におけるZn拡散係数と同等以上に設定される。この場合に、超格子構造よりもn型GaAs基板1側に設けられたAlGaInPガイド層53Bは、不純物拡散に用いられるp型不純物Znの拡散係数が、上記活性層5Bの近傍位置(基板側端面部よりも近傍)でその基板側端面部に比べて大きく設定されている。
【0064】
超格子構造に隣接する半導体基板側のAlGaInPガイド層53Bにおいて、一導電型不純物である拡散不純物Znがドーピングされている部分の厚さが50nm以上200nm以下の範囲である。
【0065】
ガイド層53Bは、Zn濃度が5×1017cm−3以上2×1018cm−3以下であることが望ましい。これは、Zn濃度が5×1017cm−3未満の場合には不純物拡散係数を上げるという本発明の効果が少なくなり、2×1018cm−3を超える場合には活性層自体に不純物が入ってしまい発光効率が低下するという不都合が生じるからである。本実施形態3では、ガイド層13Bの厚みが例えば50nmとされており、拡散不純物Znが、例えば濃度1×1018cm−3でドーピングされている。
【0066】
以上のように、本実施形態3の半導体レーザ装置100Bでは、超格子構造の基板側に隣接するガイド層53Bに対して、窓構造形成のために用いられる拡散不純物と同じZnがドーピングされているため、ガイド層53BにおいてZn拡散係数が大きくなり、窓部において活性層5BへのZn蓄積を抑制することができた。この結果、窓部での光吸収がより小さくなり、半導体レーザの発光効率およびCODレベルが改善された。
【0067】
なお、本実施形態3では、活性層にAlGaInP系材料を用いたが、AlGaAs系材料を用いた場合にも、本発明は適用可能である。
【0068】
以上により、上記実施形態1〜3によれば、活性層からみて半導体基板1側の領域における拡散不純物の拡散係数をその反対側の領域の拡散係数よりも大きくすることによって、窓形成での活性層への拡散不純物の蓄積を抑制するため、CODレベルを改善し、発光効率が高い半導体レーザ装置を得ることができる。即ち、活性層の基板側に隣接するクラッド層に、p型不純物Znをドーピングさせておくか、または、n型不純物Siの濃度を所定値以下に低減させておくか、n型不純物Siをドーピングさせないか、あるいは、活性層を構成する基板側ガイド層に拡散不純物Znをドーピングさせておくことによって、拡散不純物がドーピングされた部分やn型不純物濃度が低減されたり、ドーピングされていない部分で、拡散不純物の拡散係数が大きくなり、活性層への不純物蓄積が抑制される。このように、レーザ共振器端面近傍に、不純物拡散により窓構造を形成する際に、活性層に不純物が蓄積されることを抑制し、これによって、CODレベルを改善し、発光効率が高い半導体レーザ装置100、100Aまたは100Bを得ることができる。
【0069】
要するに、詳細に前述したが、本発明では、活性層の基板側について、窓形成に用いる不純物の拡散係数を大きくすることについて、(1)基板側クラッド層については、活性層近傍で拡散係数を大きくする(方法は、例えばZnドープすること、または、Si濃度を下げることの二つ)ことと、(2)基板側ガイド層での拡散係数を大きくする(方法は、例えばZnドープ)ことがある。
【0070】
なお、上記実施形態1〜3では、特に、説明しなかったが、半導体基板上に、クラッド層に挟まれた活性層が設けられ、不純物拡散により活性層のレーザ共振器端面近傍領域が混晶化されて、活性層のレーザ共振器端面近傍領域におけるフォトルミネッセンスピーク波長が、活性層のレーザ共振器内部領域におけるフォトルミネッセンスピーク波長よりも小さくされている半導体レーザ装置において、活性層の半導体基板側に設けられたクラッド層において、該不純物拡散に用いられる不純物の拡散係数が、活性層の近傍で大きく設定されている。または、半導体基板上に、超格子構造がガイド層で挟まれた活性層が設けられ、不純物拡散により該活性層のレーザ共振器端面近傍領域が混晶化されて、その部分のフォトルミネッセンスピーク波長が、活性層のレーザ共振器内部領域におけるフォトルミネッセンスピーク波長よりも小さくされている半導体レーザ装置において、超格子構造よりも半導体基板側に設けられたガイド層は、不純物拡散に用いられる不純物の拡散係数が、活性層の近傍で大きく設定されている。これによって、レーザ共振器端面近傍に不純物拡散により窓構造を形成する際に、活性層に不純物が蓄積されることを抑制させて、CODレベルを改善でき、発光効率が高い半導体レーザ装置およびこれを用いた光ピックアップ装置を得ることができる本発明の目的を達成することができる。
【0071】
また、上記実施形態1〜3では、特に、説明しなかったが、半導体基板上に、超格子構造がガイド層で挟まれた活性層が設けられ、不純物拡散により該活性層のレーザ共振器端面近傍領域が混晶化されて、その部分のフォトルミネッセンスピーク波長が、活性層のレーザ共振器内部領域におけるフォトルミネッセンスピーク波長よりも小さくされている半導体レーザ装置において、超格子構造よりも半導体基板側に設けられたガイド層は、不純物拡散に用いられる不純物の拡散係数が、半導体基板とは反対側のガイド層における拡散係数と比べて同等以上に設定されている。これによっても、レーザ共振器端面近傍に不純物拡散により窓構造を形成する際に、活性層に不純物が蓄積されることを抑制させて、CODレベルを改善でき、発光効率が高い半導体レーザ装置およびこれを用いた光ピックアップ装置を得ることができる本発明の目的を達成することができる。
【0072】
これらの場合の光ピックアップ装置は、本発明の上記半導体レーザ装置を用いて情報を光ディスクに記録するかまたは、光ディスクから情報を読み出し可能としている。
【0073】
なお、上記実施形態1、3では、不純物が一導電型不純物であり、活性層に隣接する半導体基板1側のクラッド層に一導電型不純物がドーピングされているかまたは、不純物が一導電型不純物であり、活性層の超格子構造に隣接する半導体基板側のガイド層に一導電型不純物がドーピングされているが、一導電型不純物は、p型不純物でZnの場合についいて説明したが、これに限らず、p型不純物としてMgであってもよい。また、この場合に、一導電型不純物としてn型不純物であってもよい。また、上記実施形態2では、活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層に他導電型不純物がドーピングされ、その少なくとも一部で他導電型不純物濃度が所定値以下に低減されているかまたは、その少なくとも一部に他導電型不純物がドーピングされていない部分が設けられているが、他導電型不純物はn型不純物でSiの場合について説明したが、これに限らず、n型不純物としてSeまたはTeでもよい。また、この場合に、他導電型不純物としてp型不純物であってもよい。
【0074】
さらに、上記実施形態1〜3はそれぞれを組み合わせてもよく、いっそうの効果を奏する。
【0075】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜3を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜3に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜3の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、CDやDVDなどの光ディスクに対して、情報書き込み用光源や情報読み出し用光源として用いられる半導体レーザ装置に関し、特に、高出力時の動作特性に優れた窓構造を有する半導体レーザ装置および、これを用いて情報を光ディスクに記録するかまたは、この光ディスクから情報を読み出し可能とする光ピックアップ装置の分野において、活性層に隣接する半導体基板側の領域(基板側クラッド層)や活性層の半導体基板側の領域(基板側ガイド層)における拡散不純物の拡散係数を大きくするため、窓構造形成の際に、拡散させた不純物が活性層に蓄積されることを抑制することができて、よりCODレベルを改善でき、発光効率が高い高出力半導体レーザ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】(a)は、本発明の実施形態1に係る半導体レーザ装置に用いられるエピタキシャル層の要部構成例を示す縦断面図であり、(b)は、(a)の活性層部分の層構成を示す拡大縦断面図である。
【図2】(a)は、本発明の実施形態2に係る半導体レーザ装置に用いられるエピタキシャル層の要部構成例を示す縦断面図であり、(b)は、(a)の活性層部分の層構成を示す拡大縦断面図である。
【図3】(a)は、本発明の実施形態3に係る半導体レーザ装置に用いられるエピタキシャル層の要部構成例を示す縦断面図であり、(b)は、(a)の活性層部分の層構成を示す拡大縦断面図である。
【図4】従来の半導体レーザ装置における窓部において、拡散不純物Znの層方向における分布の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1 n型GaAs基板
2 n型GaAsバッファ層
3 n型AlGaInP第1クラッド層
3B n型AlGaInP第1クラッド層
4 p型AlGaInP第2クラッド層
4A p型AlGaAs第2クラッド層
5 un−AlGaInP MQW活性層
51 un−GaInPウェル層
52 un−AlGaInPバリア層
53 un−AlGaInPガイド層
5A un−AlGaAs MQW活性層
51A un−AlGaAsウェル層
52A un−GaAsバリア層
53A un−AlGaAsガイド層
5B un−AlGaInP MQW活性層
53B p型AlGaInPガイド層
6 p型AlGaInP第3クラッド層
6B p型AlGaInP第2クラッド層
7 GaInPエッチングストップ層
8 p型AlGaInP第4クラッド層
8B p型AlGaInP第3クラッド層
9 p型GaInP中間層
10 p型GaAsキャップ層
100、100A、100B 半導体レーザ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に、クラッド層に挟まれた活性層が設けられ、不純物拡散により該活性層のレーザ共振器端面近傍領域が混晶化されて、該活性層のレーザ共振器端面近傍領域におけるフォトルミネッセンスピーク波長が、該活性層のレーザ共振器内部領域におけるフォトルミネッセンスピーク波長よりも小さくされている半導体レーザ装置で、該活性層の半導体基板側に設けられたクラッド層において、該不純物拡散に用いられる不純物の拡散係数が、該活性層の近傍で大きく設定されている半導体レーザ装置。
【請求項2】
半導体基板上に、超格子構造がガイド層で挟まれた活性層が設けられ、不純物拡散により該活性層のレーザ共振器端面近傍領域が混晶化されて、その部分のフォトルミネッセンスピーク波長が、該活性層のレーザ共振器内部領域におけるフォトルミネッセンスピーク波長よりも小さくされている半導体レーザ装置において、
該超格子構造よりも半導体基板側に設けられたガイド層は、該不純物拡散に用いられる不純物の拡散係数が、該半導体基板とは反対側のガイド層における拡散係数と比べて同等以上に設定されている半導体レーザ装置。
【請求項3】
半導体基板上に、超格子構造がガイド層で挟まれた活性層が設けられ、不純物拡散により該活性層のレーザ共振器端面近傍領域が混晶化されて、その部分のフォトルミネッセンスピーク波長が、該活性層のレーザ共振器内部領域におけるフォトルミネッセンスピーク波長よりも小さくされている半導体レーザ装置において、
該超格子構造よりも半導体基板側に設けられたガイド層は、該不純物拡散に用いられる不純物の拡散係数が、該活性層の近傍で大きく設定されている半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記不純物が一導電型不純物であり、前記活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層に該一導電型不純物がドーピングされている請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記不純物が一導電型不純物であり、前記超格子構造に隣接する半導体基板側のガイド層に該一導電型不純物がドーピングされている請求項2または3に記載の半導体レーザ装置。
【請求項6】
前記活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層において、前記一導電型不純物がドーピングされている部分の厚さが50nm以上200nm以下の範囲である請求項4に記載の半導体レーザ装置。
【請求項7】
前記活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層の厚さが1000nm以上3000nm以下であって、該クラッド層に前記一導電型不純物がドーピングされている部分が前記活性層の近傍である請求項6に記載の半導体レーザ装置。
【請求項8】
前記超格子構造に隣接する半導体基板側のガイド層において、前記一導電型不純物がドーピングされている部分の厚さが50nm以上200nm以下の範囲である請求項5に記載の半導体レーザ装置。
【請求項9】
前記活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層において、前記一導電型不純物がドーピングされている部分の一導電型不純物濃度が5×1017cm−3以上2×1018cm−3以下の範囲である請求項4に記載の半導体レーザ装置。
【請求項10】
前記超格子構造に隣接する半導体基板側のガイド層において、前記一導電型不純物がドーピングされている部分の一導電型不純物濃度が5×1017cm−3以上2×1018cm−3以下の範囲である請求項5に記載の半導体レーザ装置。
【請求項11】
前記一導電型不純物は、p型不純物である請求項4〜10のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
【請求項12】
前記p型不純物は、ZnまたはMgである請求項11に記載の半導体レーザ装置。
【請求項13】
前記活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層に他導電型不純物がドーピングされ、その少なくとも一部で他導電型不純物濃度が所定値以下に低減されている請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項14】
前記活性層に隣接する基板側のクラッド層において、前記他導電型不純物濃度が低減されている部分の厚みが50nm以上200nm以下の範囲である請求項13に記載の半導体レーザ装置。
【請求項15】
前記活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層において、前記他導電型不純物濃度が低減されている部分の該他導電型不純物濃度が1×1017cm−3以上5×1017cm−3以下の範囲である請求項13または14に記載の半導体レーザ装置。
【請求項16】
前記活性層に隣接する基板側のクラッド層に不純物として他導電型不純物がドーピングされ、その少なくとも一部に該他導電型不純物がドーピングされていない部分が設けられている請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項17】
前記活性層に隣接する半導体基板側のクラッド層において、前記他導電型不純物がドーピングされていない部分の厚みが50nm以上200nm以下の範囲である請求項16に記載の半導体レーザ装置。
【請求項18】
前記他導電型不純物は、n型不純物である請求項13〜17のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
【請求項19】
前記n型不純物は、Si、SeおよびTeのいずれかである請求項18に記載の半導体レーザ装置。
【請求項20】
前記クラッド層がAlGaInP系材料からなり、前記活性層がAlGaInP系材料またはAlGaAs系材料からなる請求項1〜3のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
【請求項21】
前記活性層の超格子構造は、ウェル層とバリア層とが交互に配置されている請求項1〜3のいずれかに記載の半導体レーザ装置。
【請求項22】
前記超格子構造は、上下の前記ウェル層の間に前記バリア層が挟み込まれている請求項21に記載の半導体レーザ装置。
【請求項23】
前記活性層の半導体基板側に設けられたクラッド層の一部または全部が、前記不純物拡散に用いられる不純物と同じ不純物により拡散されている請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項24】
前記超格子構造よりも半導体基板側に設けられたガイド層の一部または全部が、前記不純物拡散に用いられる不純物と同じ不純物により拡散されている請求項2または3に記載の半導体レーザ装置。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれかに記載の半導体レーザ装置を用いて情報を光ディスクに記録するかまたは、該光ディスクから情報を読み出し可能とする光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−27012(P2009−27012A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189611(P2007−189611)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】