説明

半導体上での光誘導めっき方法

【課題】太陽光発電および太陽電池のような半導体上にニッケルを光誘導めっきする方法において、均一であり、かつドープされた半導体基体への許容できる接着性を有する、厚みの薄いニッケル堆積物を提供する。
【解決手段】めっきプロセスを開始するために、半導体に初期光強度8000ルクス〜20,000ルクス、または例えば10,000ルクス〜15,000ルクスの光を、典型的には、0.25秒〜15秒間、より典型的には2秒〜15秒間、最も典型的には5秒〜10秒間適用し、続いて、残りの期間、光の強度を典型的には、初期光強度の20%〜50%、または例えば30%〜40%低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体上での光誘導めっき(light induced plating)方法に関する。より詳細には、本発明は、光が最初に高い強度で限定された期間で適用され、続いて残りのめっきサイクルについて光の強度を低減させる、半導体上での光誘導めっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電および太陽電池のような半導体の金属めっきは、その半導体の前面および裏面での電気伝導性接点の形成を伴う。干渉することなく半導体から電気伝導性接点に電荷キャリアが現れるのを確実にするために、金属被膜は半導体とのオーム接触を確立することができなければならない。電流損失を回避するために、金属化接点グリッドは適切な電流伝導性、すなわち高い伝導性または充分に高い導体トラック断面を有しなければならない。
【0003】
太陽電池の裏面を被覆する金属について、上記要求を満たす多くのプロセスが存在する。例えば、太陽電池の裏面で電流伝導を向上させるために、その裏面直下のpドーピングが強化される。通常、この目的にはアルミニウムが使用される。アルミニウムは、例えば、蒸着によるか、または、それぞれ、その裏面上に印刷されおよび打ち込まれるか、もしくは合金化されることにより適用される。その前面または光入射面を金属被覆する場合、その目的は光子を捕捉するためのできるだけ多くの表面を使用するために、活性半導体表面の影の最も少ない量を達成することである。
【0004】
厚膜技術を使用する金属コーティングは導体トラックを金属化するための従来法である。使用されるペーストは金属粒子を含み、その結果として電気伝導性である。そのペーストはスクリーン、マスク、パッド印刷またはペーストライティングによって適用される。一般に使用される方法は、最小線幅が80μm〜100μmの指形の金属被膜が製造されるスクリーン印刷方法である。このグリッド幅においてさえ、電気伝導性損失は純粋な金属構造と比べて明らかである。このことは、直列抵抗に、並びに太陽電池の充填率(filling factor)および効率に悪影響を有しうる。この効果はより小さな印刷された導体トラック幅で増強される、なぜならその方法は導体トラックをより平坦にさせるからである。金属粒子間の非導電性酸化物およびガラス成分は、この低減された導電性の根本的要因を構成する。
【0005】
前面接点を製造するより複雑な方法は、導体トラック構造の画定のためのレーザーまたは写真技術を使用する。導体トラックは次いで金属化される。一般に、電気伝導性のために充分な接着強度および所望の厚みを達成しようとして金属コーティングを適用するために、様々な金属コーティング工程が多くの場合使用される。例えば、湿潤化学金属コーティング方法が使用される場合には、パラジウム触媒を用いて、最初の微細な金属コーティングが電流トラック上に堆積される。これは多くの場合ニッケルの無電解堆積で強化される。導電性を増大させるために、無電解または電解堆積によってニッケル上に銅が堆積されることができる。次いで、その銅は酸化からそれを保護するために、スズまたは銀の微細層で被覆されうる。
【0006】
あるいは、電流トラックは、米国特許第5,543,333号に開示されるような光誘導めっき法を用いて金属化されうる。金属化方法は、不活性ガス雰囲気中で電気伝導性ペーストを印刷および焼結する従来の方法を用いて、太陽電池の裏側を最初に金属化することを伴う。次いで、前面の電流トラックは、光誘導めっきによってニッケルでめっきされる。太陽電池はニッケルめっき浴中に配置され、光が太陽電池に適用され、約1〜2分後に半導体基体上にニッケル層が形成される。強化のために、さらなる金属層がこのニッケル層上に直接形成させられうる。1〜3分の堆積時間の後で、0.2〜2ミクロンの厚みを有するニッケル層が得られうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,543,333号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光誘導めっきを使用して半導体上にニッケルのような金属を堆積する方法があるが、この技術分野の作業者は半導体上での光誘導めっきに関連する多くの問題を見いだした。1つの問題は、比較的薄い層、例えば、20nm〜300nmが望まれる場合に、均一なカバレッジ(coverage)を達成することである。多くの場合、ニッケルカバレッジの均一性は、これら薄い厚み値で、産業的に受け入れられない。ニッケルめっきは、半導体のいくつかの領域において他よりも素早く始まり、結果的に、所望のニッケル厚さを堆積させるのに必要な非常に短いサイクル時間内で、めっきが始まるのに充分な時間を有しない領域を生じさせる。無電解ニッケルめっき中に半導体を照明することにより、カバレッジは光なしでめっきされる同じ部品についてよりも均一であることが認められる。しかし、均一な開始を確実にするのに必要な強度で光が維持される場合には、得られる促進されためっき速度は応力のかかったニッケル堆積物をもたらし、半導体へのニッケル接着の損失の可能性を非常に高くする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様においては、方法は、前面および裏面を含むドープされた(doped)半導体であって、前面はnドープされ、かつ反射防止層を含み、当該反射防止層は、半導体のnドープされた前面の一部分を露出させるパターン形成された開口を含み、裏面は金属被膜を含む、ドープされた半導体を提供し;ドープされた半導体をニッケルめっき組成物と接触させ;および、ドープされた半導体に、初期光強度で所定の期間で光を適用し、続いて、残りのめっきサイクルについて、当該初期強度を所定量まで低減させて、ドープされた半導体のnドープされた前面の露出部分上にニッケルを堆積させることを含む。
【0010】
別の態様においては、ドープされた半導体のnドープされた前面の露出部分上にニッケルが堆積された後で、ニッケル堆積物を有するドープされた半導体が焼結され、ニッケルシリサイドを形成する。焼結は典型的には不活性ガス雰囲気中でなされる。シリサイドを形成しない焼結後のニッケルは、典型的には別の金属の1以上の層でめっきされる。
【0011】
さらなる態様において、ニッケルシリサイドを形成しないニッケルははぎ取られうる。露出したニッケルシリサイドは次いで別の金属でめっきされうる。
【発明の効果】
【0012】
本方法は、均一であり、かつドープされた半導体基体への許容できる接着性を有する、厚みの薄いニッケル堆積物を提供する。本方法は基体上での、スクリーン印刷導電性ペースト技術によるよりも小さなフィーチャー(feature)サイズパターン形成を可能にする。基体上のフィーチャーサイズを低減させることにより、フィーチャーの数を増加させることができる。半導体が太陽電池のような光起電力デバイスで使用される場合に、これは非常に望ましい。光起電力デバイスの前面における電流トラックの幅を低減させることにより、電流トラックの数を増加させることができ、これにより電流トラックは緊密に位置することができ、結果的に太陽電池効率を向上させる。さらに、本方法は、多くの従来の光誘導めっき方法と対照的に、ニッケル堆積物においてボイドを低減もしくは除去する、ドープされた半導体の実質的に完全なニッケルカバレッジを提供する。実質的に完全なカバレッジは、均一なニッケルシリサイド形成を促進するのに必須であり、焼結されたニッケル堆積物上にめっきされうるその後の金属層の接着を確実にするのにも必須である。さらに、本方法は、多くの従来の光誘導めっき方法とは対照的に、焼結されたニッケル堆積物とニッケルシリサイド上に堆積される1以上の追加の金属層との間の向上した接着性を提供する。さらに、光誘導めっき方法は、多くの従来の光誘導めっき方法よりも、広範囲の基体上に良好な接着性を伴った、より一貫したニッケルカバレッジを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書を通じて使用される場合、用語「堆積」および「めっき」は交換可能に使用される。用語「電流トラック」および「電流ライン」は交換可能に使用される。用語「組成物」および「浴」は交換可能に使用される。用語「選択的に堆積する」は基体上の特定の所望の領域に金属堆積が起こることを意味する。用語「ルクス=lx」は、1ルーメン/mに等しい照明の単位であり;1ルクス=540テトラヘルツの周波数で1.46ミリワットの放射電磁(EM)力(radiant electromagnetic power)である。次の略語は、文章が他に明確に示さない限りは次の意味を有する:℃=摂氏度;g=グラム;mL=ミリリットル;L=リットル;A=アンペア;dm=デシメートル;cm=センチメートル;μm=マイクロメートル;nm=ナノメートル;min.=分;sec.=秒;UV=紫外;IR=赤外;およびSEM=走査型電子顕微鏡。全てのパーセンテージおよび比率は、他に示されない限りは重量基準である。全ての範囲は、境界値を含み、数値範囲が合計100%になることを制約されることが明らかである場合を除き、如何なる順でも組み合わせ可能である。
【0014】
太陽光発電および太陽電池は単結晶性または多結晶性または非晶質シリコン半導体ウェハから構成されうる。下の記載はシリコン半導体ウェハに関するものであるが、他の好適な半導体ウェハ、例えばガリウム−ヒ素、シリコン−ゲルマニウムおよびゲルマニウムも使用されうる。シリコンウェハが使用される場合、それらは典型的にはp型ベースドーピングを有する。
【0015】
半導体ウェハは円形、正方形もしくは矩形の形状であることができ、または如何なる他の好適な形状であることができる。このようなウェハは様々な寸法および表面抵抗を有しうる。例えば、円形ウェハは150nm以上、200nm以上、300nm以上、400nm以上の直径を有しうる。
【0016】
ウェハの裏面は金属化され、低抵抗性ウェハを提供する。あらゆる従来の方法が使用されうる。典型的には、半導体ウェハの表面抵抗は、シート抵抗としても知られ、40〜90オーム/スクエア、または例えば40オーム/スクエア〜60オーム/スクエア、または例えば60オーム/スクエア〜80オーム/スクエアである。
【0017】
裏面全体が金属被覆されうるか、または裏面の一部分が、例えばグリッドを形成するように金属被覆されうる。このような裏面金属化は様々な技術によって提供されることができ、ウェハの前面の金属化の前になされうる。ある実施形態においては、金属コーティングは、電気伝導ペースト、例えば、銀含有ペースト、アルミニウム含有ペーストもしくは銀およびアルミニウム含有ペーストの形態で裏面に適用されるが;ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛もしくはスズのような金属を含む他のペーストも使用されうる。このような導電性ペーストは典型的にはガラスマトリックスおよび有機バインダー中に埋め込まれた導電性粒子を含む。導電性ペーストは、様々な技術、例えばスクリーン印刷によってウェハに適用されうる。ペーストが適用された後、それは有機バインダーを除去するために焼かれる。アルミニウムを含む導電性ペーストが使用される場合、アルミニウムは部分的にウェハの裏面に拡散するか、または銀も含むペースト中で使用される場合には、銀との合金を形成しうる。このようなアルミニウム含有ペーストの使用は抵抗接触を向上させることができ、「p+」ドープされた領域を提供しうる。以前のアルミニウムまたはホウ素の適用と、それに続く相互拡散により、重度にドープされた「p+」型領域も生産されうる。ある実施形態においては、アルミニウム含有ペーストは裏面に適用されることができ、裏面金属コーティングの適用前に焼かれうる。焼かれたアルミニウム含有ペーストの残留物は場合によって、裏面金属コーティングの適用前に除去されうる。別の実施形態においては、シード層がウェハの裏面に堆積されることができ、無電解または電解めっきによって金属コーティングがシード層上に堆積されうる。
【0018】
表面に、反射を低減させる向上された光入射形状を付与するために、ウェハの前面が場合によって結晶配向テクスチャーエッチングにかけられうる。半導体接合を生じさせるため、リン拡散またはイオン注入が、ウェハの前面で起こり、nドープされた(n+もしくはn++)領域を生じさせ、PN接合を有するウェハを提供する。nドープされた領域はエミッタ層と称されうる。
【0019】
反射防止層はウェハの前面もしくはエミッタ層に追加される。さらに、反射防止層は不動態化(passivation)層として機能しうる。好適な反射防止層には、限定されるものではないが、SiOのような酸化ケイ素層、Siのような窒化ケイ素層、酸化ケイ素層と窒化ケイ素層との組み合わせ、酸化ケイ素層と窒化ケイ素層とTiOのような酸化チタン層との組み合わせが挙げられる。上記式において、xは酸素原子の数である。このような反射防止層は、様々な蒸着法、例えば、化学蒸着および物理蒸着をはじめとする多くの技術によって堆積されることができる。
【0020】
ウェハの前面は金属化パターンを含む。例えば、ウェハの前面は集電ラインおよび電流バスバー(current busbar)から構成されうる。集電ラインは典型的にはバスバーを横断し、典型的には電流バスバーと比較して相対的に微細な構造(すなわち、寸法)を有する。
【0021】
ある実施形態においては、ウェハの前面またはエミッタ層は窒化ケイ素のような反射防止層で被覆される。次いで、前面上に開口またはパターンが画定される。そのパターンは反射防止層を貫通してウェハの半導体本体の表面を露出させる。あるいは、ウェハの半導体本体の中の1〜100μmの深さまでウェハの表面に入り込む開口に溝が形成されうる。より深いまたはより浅い溝の深さが使用されうる。様々な方法、例えば、これに限定されないが、その全ては当業者に周知である、レーザーアブレーション、機械的手段およびリソグラフィックプロセスなどが、パターンを形成するために使用されうる。このような機械的手段にはソーイング(sawing)およびスクラッチングが挙げられる。典型的なフォトリソグラフィックプロセスは、画像形成可能な物質をウェハの表面上に配置し、その画像形成可能な物質をパターン形成して、反射防止層に開口を形成し、そのパターンをウェハに移し、金属層をその開口内に堆積させ、画像形成可能な物質を除去することを含む。ある実施形態においては、画像形成可能な物質は、開口内にニッケル層を堆積する工程の前に除去される。別の実施形態においては、画像形成可能な物質は開口内にニッケル層を堆積する工程の後に除去される。画像形成可能な物質がニッケル堆積工程中に存在する場合には、典型的には、このような画像形成可能な物質は、ニッケル堆積工程中に使用される放射線の波長を吸収する如何なる染料、例えば、コントラストダイも回避する。めっき工程中に存在する画像形成可能な物質は、典型的には、40〜60%の最小光線透過率を有する染料を含む。
【0022】
画像形成可能な物質が液体である場合には、このような物質は、例えば、これらに限定されないが、スピンコーティング、インクジェット印刷、カーテンコーティング、およびローラーコーティングによるような、どのような好適な技術によってもウェハの表面上に配置されうる。画像形成可能な物質がドライフィルムである場合には、このような物質は真空ラミネーションによってウェハの表面上に配置されうる。
【0023】
画像形成可能な物質は、マスクを通った化学線にその画像形成可能な物質を曝露することによりパターン形成される。化学線の選択は、選択される特定の画像形成可能な物質に依存するであろう。レーザー並びに他の従来の化学線源が、画像形成可能な物質をパターン形成するために使用されうる。
【0024】
画像形成可能な物質におけるパターンは、次いで半導体ウェハ基体に転写される。パターン転写は、湿潤化学エッチング技術を用いて、または乾燥エッチング技術を用いて行われうる。好適な乾燥エッチングには、限定されないが、反応性イオンエッチングのようなプラズマエッチングが挙げられる。そのパターンは典型的には、集電ラインである相対的に狭い断面寸法の線と、バスバーである相対的に厚い断面寸法の線とから構成される。バスバーは集電ラインを横断する。
【0025】
画像形成可能な物質はロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ(マサチューセッツ州、マルボロ)により販売されるもののような、あらゆる好適なポリマー除去剤を用いて除去されうる。このような除去剤はアルカリ性、酸性または本質的に中性であり得る。
【0026】
パターンを形成するために使用される技術に関係なく、このような開口を任意選択的に酸(例えばフッ化水素酸)またはアルカリと接触させて、露出した半導体の表面をテクスチャー化または粗化することができる。場合によって、n型ドーパントを用いる別の拡散プロセスが行われてもよく、結果として、その開口領域内に「n++」ドーピングを生じさせうる。
【0027】
次いで、ニッケルの層が、前面導電性パターン上に光誘導ニッケル堆積によって堆積される。ニッケルのソースが無電解ニッケル組成物である場合、外部電流の適用なしにめっきが行われる。ニッケルのソースが電解ニッケル組成物からのものである場合には、裏面電位(整流)が半導体ウェハ基体に適用される。光は連続的であってもパルスにされていてもよい。半導体はニッケルめっき組成物中に浸漬され、光が初期強度で所定の期間で、続いて、残りのめっきサイクルについて初期光強度を所定の量まで低減させて半導体に適用され、ドープされた半導体のnドープされた前面の露出部分上にニッケル層を堆積させる。初期光強度に続いて半導体基体に適用され、残りのめっきサイクルについて適用される光強度は常に初期強度未満である。初期光強度の絶対値および初期期間に続く低減された光強度の絶対値は変化し、それらは、初期光強度が残りのめっきサイクルについての光強度よりも高い限りは、最適なめっき結果を達成するためにめっきプロセス中で変化されうる。初期期間中に初期光強度が変化する場合には、残りのめっきサイクルについて適用される光強度は初期光強度の平均を基準にされうる。好適な初期光強度、初期光強度を適用するために適する初期期間、および残りのめっきサイクルについて適用される光強度を決定するために、わずかな実験が行われうる。初期光強度が非常に長く維持される場合には、比較的高いニッケル堆積物応力のために、劣ったニッケル堆積物接着およびフレーキング(flaking)が起こりうる。光が消される場合には、ウェハの裏面上で望まれないニッケルめっきが起こりうる。
【0028】
一般的に、初期光強度を適用するための初期期間は0秒より大きく15秒までである。典型的には、初期光強度は0.25秒〜15秒間、より典型的には2秒〜15秒間、最も典型的には5秒〜10秒間半導体に適用される。
【0029】
概して、低減された光強度は初期光強度の5%〜50%である。典型的には、低減された光強度は、初期光強度の20%〜50%、または例えば30%〜40%である。
【0030】
めっきプロセスを開始するために使用されうる光には、これらに限定されないが、可視光、赤外線、紫外線およびX線が挙げられる。光源には、これらに限定されないが、白熱灯、LED光(発光ダイオード)、赤外線ランプ、蛍光ランプ、ハロゲンランプおよびレーザーが挙げられる。一般的に、半導体に最初に適用される光の量は8000ルクス〜20,000ルクス、または例えば10,000ルクス〜15,000ルクスでありうる。一般的に、残りのめっきサイクルについて半導体ウェハに適用される光の量は400ルクス〜10,000ルクス、または例えば500ルクス〜7,500ルクスであり得る。
【0031】
典型的には、ニッケルは、無電解ニッケルめっき組成物を用いて、反射防止層における開口を通して、半導体ウェハの露出した表面上に堆積される。無電解ニッケルめっき組成物は還元剤を含んでもよいし、含んでいなくてもよい。典型的には、無電解ニッケルめっき組成物は還元剤を含まない。市販の無電解ニッケル組成物の例としては、Duraposit(商標)SMT88並びにNiPosit(商標)PM980およびPM988が挙げられる。すべてはロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズLLC(米国、マサチューセッツ州、マルボロ)から入手可能である。
【0032】
代替的には、電解ニッケル組成物が使用されうるが;典型的にはニッケルを堆積するための光に加えて、適用裏面電位(整流)が使用される。典型的な電流密度は0.1A/dm〜2A/dm、より典型的には0.5A/dm〜1.5A/dmである。特定の電流要求は使用されるウェハの特定のサイズに依存する。使用される電気めっきプロセスは従来のものである。好適な電解ニッケルめっき浴は市販されており、並びに文献に開示されている多くのものである。市販の電解ニッケル浴の例は、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ、LLCから入手できるNickel Gleam(商標)シリーズの電解製品である。好適な電解ニッケルめっき浴の他の例は米国特許第3,041,255に開示されるワットタイプ(Watts−type)浴である。
【0033】
一般に、パターン形成された半導体ウェハはめっきセル内のニッケルめっき組成物中に浸漬される。光源は光エネルギーで半導体ウェハを照明する様に配置される。パターン形成された半導体ウェハがシリコン太陽電池である場合には、光源は例えば、シリコン太陽電池が光起電力的に感受性である波長内でエネルギーを提供する蛍光ランプまたはLEDランプであることができる。75ワットおよび250ワットランプのような白熱灯、水銀ランプ、ハロゲンランプおよび150ワット赤外線ランプをはじめとする様々な他の光源が使用されることができるがこれらに限定されない。光エネルギーは連続であってもよく、パルスにされていてもよい。例えば、機械的なチョッパーで光を遮ることにより、または所望のサイクルに基づいて光を断続的にする出力を切り替えるために使用されうる電子装置によりパルスにされた照明が達成されうる。
【0034】
めっきセルは、ニッケルめっき組成物に対して化学的に不活性であるような物質のものであり、40〜60%の最小光線透過率を有する。あるいは、ウェハはめっきセル中で水平に配置され、ニッケルめっき組成物上から照明されることができ、この場合には、そのめっきセルは少なくとも最小光線透過率を有する必要はない。
【0035】
半導体ウェハの前面を光エネルギーで照明することにより、その前面上でめっきが起こる。衝突する光エネルギーは太陽電池に電流を生じさせる。前面でのめっきの速度は、光強度、浴温度、還元剤活性、最初のウェハ条件、ドーピングレベル、並びに当業者に知られる他のパラメータを調節することにより制御可能である。厚さ20nm〜300nm、または例えば50nm〜150nmのニッケル層が、その用途、セルサイズ、パターンおよび形状のような様々な要因に依存して厳密な厚みを伴って、典型的に太陽電池に望まれる。
【0036】
めっき組成物におけるニッケルイオンは、あらゆる好適な溶液可溶性ニッケル化合物、典型的にはニッケル塩を用いて提供されうる。このようなニッケル化合物には、これらに限定されないが、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケルおよびリン酸ニッケルが挙げられる。ニッケル化合物の混合物がめっき組成物に使用されてもよい。そのような混合物は同じ金属を有するが異なる化合物である金属化合物、例えば、硫酸ニッケルと塩化ニッケルとの混合物であってよい。ニッケル化合物はめっき組成物に、めっき組成物中0.1〜150g/L、典型的には0.5〜100g/L、より典型的には1〜70g/Lのニッケルイオン濃度を提供するのに充分な量で添加される。
【0037】
ニッケル化合物はめっき組成物に、めっき組成物中0.1〜150g/L、より典型的には0.5〜100g/L、さらにより典型的には1〜70g/Lのニッケルイオン濃度を提供するのに充分な量で添加される。
【0038】
典型的には、無電解ニッケル組成物が使用されるが;ニッケルめっき組成物が電気めっき組成物である場合には、電解質が含まれる。酸および塩基をはじめとする任意の様々な電解質がニッケルめっき組成物中で使用されることができる。典型的な電解質としては、これらに限定されないが、アルカンスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸およびプロパンスルホン酸;アルキロールスルホン酸;アリールスルホン酸、例えば、トルエンスルホン酸、フェニルスルホン酸およびフェノールスルホン酸;アミノ含有スルホン酸、例えば、アミドスルホン酸;スルファミン酸;鉱酸;カルボン酸、例えば、ギ酸およびハロ酢酸;ハロゲン化水素酸;およびピロリン酸塩が挙げられる。酸および塩基の塩も電解質として使用されうる。さらに、電解質は酸の混合物、塩基の混合物または1種以上の酸と1種以上の塩基との混合物を含みうる。このような電解質は概して、アルドリッチケミカルカンパニーのような様々なソースから市販されている。
【0039】
場合によっては、様々な界面活性剤がニッケルめっき組成物中で使用されうる。ニッケルめっきの性能を妨げない限りは、あらゆるアニオン性、カチオン性、両性、および非イオン性界面活性剤が使用されうる。界面活性剤は従来の量で含まれうる。
【0040】
場合によっては、めっき組成物は1種以上の追加の成分を含むことができる。このような追加の成分には、限定されないが、光沢剤、グレインリファイナー(grain refiner)、および延性増強剤(ductility enhancer)が挙げられる。このような追加の成分は当該技術分野において周知であり、従来の量で使用される。
【0041】
ニッケルめっき組成物が無電解ニッケル組成物である場合には、還元剤が含まれうる。様々な還元剤が、そのようなニッケルめっき組成物についての当該技術分野において知られている。そのような還元剤としては、これらに限定されないが、ジ亜リン酸ナトリウム、ジ亜リン酸ナトリウム、ジ亜リン酸カリウム、チオウレアおよびチオウレア誘導体、ヒダントインおよびヒダントイン誘導体、ヒドロキノンおよびヒドロキノン誘導体、レゾルシノール、およびホルムアルデヒド、およびホルムアルデヒド誘導体、DEA(n−ジエチル−アミンボラン)、水素化ホウ素ナトリウム並びにヒドラジンが挙げられる。このような還元剤は従来の量、例えば、0.1g/L〜40g/Lで使用されうる。
【0042】
ニッケルめっき組成物は場合によっては、緩衝剤を含みうる。典型的な緩衝剤としては、これに限定されないが、ホウ酸塩緩衝剤(例えば、ボラックス)、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、炭酸塩緩衝剤および水酸化物緩衝剤が挙げられる。使用される緩衝剤の量は、めっき組成物のpHを所望のレベルに維持するのに充分な量であり、そのような量は当業者に周知である。
【0043】
ニッケルめっき組成物は1〜14、典型的には1〜12、より典型的には1〜8の範囲のpHを有しうる。めっき中のニッケルめっき組成物の作業温度は、10〜100℃、または例えば20℃〜50℃であり得る。
【0044】
ニッケルが開口を通じて、半導体ウェハ基体の露出した表面上に堆積された後、そのウェハは焼結されニッケルシリサイドの層を形成する。典型的には、焼結中に全てのニッケル堆積物が半導体物質と反応してニッケルシリサイドを形成するわけではない。よって、ニッケル層はニッケルシリサイドに隣接して、その頂部上に残っている。ニッケルシリサイドはニッケル層と隣接する半導体物質との間にある。焼結は、400℃〜600℃のウェハピーク温度を達成するランプベースの炉(lamp based furnace)(IR)中で行われる。適用される焼結温度がより高くなると、半導体がオーブン中にとどまっている焼結サイクルまたは期間がより短くなる。半導体が所与の温度でオーブン中に長くとどまりすぎる場合には、ニッケルはウェハ中に非常に深くまで拡散し、エミッタ層に浸透し、これによりセルをシャント(shunting)しうる。このような焼結プロセスは当該技術分野において周知であり、最適な焼結サイクルを達成するためにはわずかな実験しか必要としない場合がある。
【0045】
露出した半導体上にニッケルシリサイドが形成された後、1以上の追加の金属層が、ニッケルシリサイドに隣接するニッケル層の未反応ニッケル上に堆積され、パターンの金属化を完了し、電流トラックを形成することができる。このような追加の金属層は銅または銀であることができる。追加の金属が銅の場合には、酸化を妨げるために、スズストライク層が銅の上に堆積されうる。このような追加の金属層は、従来のめっき浴および方法を使用する、無電解、浸漬、電解、光誘導金属めっきによって堆積されうる。典型的には、このような金属層は1μm〜50μm、より典型的には5μm〜25μmの範囲である。スズのストライク被膜は0.25μmから2μmの範囲であることができる。追加の金属層が電解的に堆積される場合には、典型的な電流密度は0.1A/dm〜3A/dm、より典型的には1A/dm〜3A/dmである。トータルの電流要求は使用されるウェハの特定のサイズに依存する。
【0046】
場合によっては、ニッケルシリサイドが形成された後、未反応ニッケルは無機酸、例えば硝酸を用いてニッケルシリサイドからはぎ取られうる。未反応ニッケルがはぎ取られた後、未反応ニッケル上に金属を堆積するのに使用されるのと同じ方法で追加の金属層がニッケルシリサイド上に堆積されうる。銅および銀に加えて、ニッケルの層がニッケルシリサイド上に堆積されうる。また、銅がニッケルシリサイド上に堆積される場合には、銅の酸化を抑制するためにスズストライク層が銅上にめっきされうる。
【0047】
追加の金属層についてのこのような金属のソースには、限定されないが、金属ハロゲン化物、硝酸金属塩、カルボン酸金属塩、例えば、酢酸塩、ギ酸金属塩、およびグルコン酸金属塩;金属アミノ酸錯体、例えば、金属システイン錯体;アルキルスルホン酸金属塩、例えばメタンスルホン酸金属塩およびエタンスルホン酸金属塩;アルキロールスルホン酸金属塩、トルイルスルホン酸金属塩およびフェノールスルホン酸金属塩およびシアン化金属が挙げられうる。金属が銀の場合には、その塩の限定された溶解性のために、金属塩は典型的にはハロゲン化銀ではない。銅化合物の例としては、これに限定されないが、ピロリン酸銅、グルコン酸銅、硫酸銅および塩化銅が挙げられる。スズ化合物の例としては、これに限定されないが、塩化スズ、硫酸スズ、およびメタンスルホン酸スズが挙げられる。金属化合物の混合物が使用されうる。このような混合物は、同じ金属を有するが異なる化合物である金属化合物、例えば、硝酸銀および銀システイン錯体の混合物であることができる。
【0048】
金属化合物は、めっき組成物中で0.1〜150g/Lの金属イオン濃度を提供するのに充分な量でめっき浴に添加される。金属イオンが銀イオンである場合には、浴中での銀イオンの濃度は典型的には2〜40g/Lの量である。このような金属化合物は、概して、様々なソース、例えば、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチケミカルカンパニーから市販されている。市販の銅電解めっき浴の例には、マサチューセッツ州マルボロのロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズLLCから入手可能なCopper Gleam(商標)ST901および901Aがある。市販の有用な銀めっき浴の例は、マサチューセッツ州マルボロのロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズLLCからENLIGHT(商標)銀めっき620として入手可能である。
【0049】
様々な従来の界面活性剤が金属めっき浴中に使用されうる。アニオン性、カチオン性、両性および非イオン性界面活性剤のいずれも使用されうる。界面活性剤は従来の量で含まれうる。
【0050】
金属めっき浴は1種以上の追加の従来成分を含むことができる。このような追加の成分には、限定されないが、電解質、緩衝剤、光沢剤、グレインリファイナー、キレート剤、錯化剤、還元剤、レベラーおよび延性増強剤が挙げられる。このような追加の成分は、当該技術分野において周知であり、従来の量で使用される。
【0051】
本方法は、ドープされた半導体基体に対する許容できる接着性および均一なカバレッジを示す薄い厚さのニッケル堆積物を提供する。本方法はスクリーン印刷導電性ペースト技術を用いるよりも、基体上でのより小さなフィーチャーサイズをパターン形成するのを可能にする。基体上でのフィーチャーサイズを低減させることにより、フィーチャーの数を増加させることができる。これは、半導体が光起電力デバイス、例えば太陽電池に使用される場合に非常に望ましい。光起電力デバイスの前面上の電流トラックの幅を低減させることにより、電流トラックの数が増加されることができ、これにより電流トラックが緊密に配置されることができ、その結果向上された太陽電池効率をもたらす。さらに、本方法は、多くの従来の光誘導めっきプロセスと比較して、ドープされた半導体の実質的に完全なニッケルカバレッジを提供し、ニッケル堆積物におけるボイドを低減または除去する。実質的に完全なカバレッジは、下地ニッケル堆積物がない領域におけるその後のめっき層の許容できない接着性についての潜在性を除去するかまたは少なくとも低減する。さらに、本方法は、多くの従来の光誘導めっきプロセスと対比して、焼結ニッケル堆積物と1以上の追加の金属層との間の向上された接着性を提供する。また、光誘導めっき方法は、多くの従来の光誘導めっきプロセスよりも、基体のより広範囲にわたってより一貫した性能を提供する。
【0052】
光誘導ニッケルめっき方法は、太陽電池に使用されるシリコンウェハを特に参照して記載されてきたが;シリコン以外の物質から製造された光起電力デバイスが、必要な場合には、例えば、使用される光エネルギー源において、好適な変更を伴って使用されてもよい。
【0053】
次の実施例は本発明の様々な態様を例示するために含まれるのであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0054】
例1−9(比較)
その前面上にピラミッド状エレベーション(pyramidal elevation)を有する1つのドープされた多結晶性シリコンウェハおよび8つのドープされた単結晶性シリコンウェハが提供された。それぞれのドープされたシリコンウェハは、エミッタ層を形成するウェハの前面上にn+ドープされた領域を有していた。それぞれのウェハはエミッタ層の下にpn接合を有していた。それぞれのウェハの前面は、Siからなる不動態化または反射防止層で被覆されていた。それぞれのウェハの前面は、反射防止層を貫通しシリコンウェハの表面を露出させた電流トラックのためのパターンを有していた。それぞれの電流トラックはウェハの全長を横切っていた。電流トラックはそれぞれのウェハの端でおよびそれぞれのウェハの中心でバスバーと接続していた。それぞれのウェハの裏面はp+ドープされており、アルミニウム電極を含んでいた。
【0055】
それぞれのドープされた単結晶性シリコンウェハは、光に対して透明でない化学的に不活性のめっきセル中に収容された高温水性無電解ニッケルめっき組成物(Duraposit(商標)SMT88)に浸漬された。めっき温度は75℃〜85℃の範囲であった。ドープされた多結晶性ウェハは、光に対して透明でない化学的に不活性なめっきセルに収容された低温水性無電解ニッケルめっき組成物(NiPosit(商標)PM988)に浸漬された。めっき温度は35℃〜45℃の範囲であった。ニッケル堆積中、人工光源からの光はめっきセルに適用されなかったが;定常光(ambient light)は200 lx未満と測定された。その定常光は従来のFisher Scientific露出計で測定された。ニッケルは従来の無電解堆積によって堆積された。下記の表1はめっき時間およびそれぞれのウェハ上でのニッケル堆積カバレッジを開示する。
【0056】
【表1】

【0057】
それぞれのウェハがニッケルめっきされた後、従来の走査型電子顕微鏡を用いて、それらは電流トラック上のニッケルカバレッジについて検査された。ウェハ上のめっきが正しい厚み範囲でなされたことを確認するために、ニッケル堆積物の厚みが例3および7のウェハ上でSEMを用いて測定された。SEM画像は、めっきされたウェハの全ての上での電流トラックのピラミッド状構造上に粗く不連続の表面を示した。これは不完全なニッケルカバレッジを示した。
【0058】
例10−16(比較)
6つのドープされた単結晶性半導体ウェハおよび1つのドープされた多結晶性ウェハを用いて、上記例1−9に開示された方法が繰り返された。例10−13の単結晶性ウェハは例1−9におけるのと同じタイプの無電解ニッケル組成物を用いてニッケルめっきされた。例14の多結晶性ウェハ並びに例15および16の単結晶性ウェハは35℃〜45℃の温度でNiPosit(商標)PM988を用いてニッケルめっきされた。めっきサイクル中ずっと、ウェハに人工光が適用された。その光源は250ワットのハロゲンランプであった。
【0059】
それぞれのウェハは化学的に不活性なめっきセル中に収容された無電解ニッケル組成物の1種中に浸漬された。めっきセルは光エネルギーに対して透明であった。光はそれぞれのウェハに適用され、ウェハ上での8つの点での光の強度が測定され、ニッケル堆積中のそれぞれのウェハ上での平均光強度を決定した。8つの点はそれぞれのウェハ上で同じであった。その点のうちの3つは、それぞれのウェハの第1の端から1−2cmに位置していた。その3つの中心点は他の2つの点から等距離にあった。他の3つの点は、前記第1の3つの点の組の端と反対の端から1−2cmに位置していた。その第2の3つの点の組の中心点は他の2つの点から等距離にあった。最後の2つの点は、それぞれのウェハの端に近い3つの点の前記2つの組のそれぞれの想像上の垂直面から等距離に位置していた。双方の点はそれぞれのウェハの中心から等距離にあった。それぞれのウェハについての点のそれそれにおける光が、従来のFisher Scientific露出計を用いて測定された。それぞれのウェハにわたって適用された平均強度は13786ルクスであると決定された。光の平均強度はニッケルめっき中に増加または減少せず、13786ルクスに維持された。下記の表2はめっき時間、めっき後のニッケル堆積物厚みおよびニッケル堆積物状態を開示する。
【0060】
【表2】

【0061】
めっきした後、それぞれのウェハはニッケル堆積物の品質について検査された。それぞれのウェハはSEMを用いて検査された。例10−13のウェハの全ては、電流トラックのピラミッド状構造からのニッケルの分離を示した。例15および16は有意なニッケル堆積物クラッキングを示した。これらの欠陥は、結果として増加した堆積物応力を生じさせた過剰なニッケルめっき速度によってもたらされたと考えられた。多結晶性ウェハ上のニッケル堆積物はほとんど完全な初期カバレッジを示したが、ニッケルが剥がれまたはある場合には初期のフレーキングの領域において再度ニッケルがめっきし始めたような露出したシリコン基体の領域を伴っており、ニッケルフレーキングは明らかであった。
【0062】
実施例17−24
4つの単結晶性ウェハおよび4つの多結晶性ウェハが上記例1−9に記載されるようにドープされた。それぞれのウェハは、化学的に不活性のめっきセル中に収容された無電解ニッケル組成物中に浸漬された。めっきセルは光に対して透明であった。実施例17−18の単結晶性ウェハはDuraposit(商標)SMT88を用いてニッケルでめっきされた。残りのウェハはNiPosit(商標)PM988でニッケルめっきされた。ニッケル堆積中ずっと、人工光が適用された。光源は、例2において使用されたような250ワットのハロゲンランプであった。例10−16に開示されるように、ウェハについての平均光強度が決定された。この実施例の全てについての初期光強度は13786ルクスであると決定された。所定の期間後、残りのめっきサイクルについては、初期光強度が、初期光強度の所定量(パーセンテージ)まで低減された。下記の表3はめっき時間、光強度、ウェハのニッケル堆積物厚みおよびめっきの結果を開示する。
【0063】
【表3】

【0064】
それぞれのウェハはそのそれぞれのめっきセルから取り出され、電子顕微鏡を用いて電流トラック上のニッケル堆積物カバレッジについて検査した。SEMは全てのウェハ上で良好なニッケルカバレッジを示した。全てのニッケル堆積物は均一で滑らかに見えた。さらに、実施例17−19および23−24はウェハに対するニッケルの良好な接着性を示した。実施例20および21は良好なニッケル堆積物カバレッジを示し、ニッケルフレーキングまたはふくれ(blistering)を示さなかった。ニッケル堆積物のクラッキングはいずれのウェハ上でも認められなかった。
【0065】
これに対して、人工光が適用されなかった例1−9のニッケル堆積物の全ては欠陥を示した。ニッケルカバレッジはその全てのめっきされたウェハにおいて不完全であった。人工光がめっきサイクル全体にわたって光強度の何らの低減なく適用された例10−16においては、そのめっきされたウェハの全ては欠陥を有していた。ニッケル層の劣った接着性、ニッケルのフレーキング、およびニッケル堆積物のクラッキングが観察された。よって、所定の期間で初期強度で、続いて残りのめっきサイクルについて所定量まで強度を低減して光を適用する方法は、向上したニッケル堆積物を半導体ウェハ上にもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)前面および裏面を含むドープされた半導体であって、当該前面がnドープされ、かつ反射防止層を含み、当該反射防止層は、反射防止層の下の半導体のnドープされた前面の一部分を露出させるパターン形成された開口を含み、裏面が金属被膜を含む、ドープされた半導体を提供し;
b)ドープされた半導体をニッケルめっき組成物と接触させ;および
c)ドープされた半導体に初期光強度で所定の期間で光を適用し、続いて、残りのめっきサイクルについて、当該初期光強度を所定量まで低減させて、ドープされた半導体のnドープされた前面の露出部分上にニッケル層を堆積させること;
を含む方法。
【請求項2】
ニッケル層を焼結してニッケルシリサイド上にニッケルを形成させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ニッケルシリサイド上のニッケル上に1以上の金属層を堆積させる工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ニッケルシリサイドからニッケルをはぎ取る工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ニッケルシリサイド上に1以上の金属層を堆積させる工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
初期光強度が、残りのめっきサイクルについて初期光強度の5%〜50%まで低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
初期光強度の所定の期間が0秒より大きく15秒までである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ニッケル層の厚みが20nm〜300nmである請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ドープされた半導体が太陽電池または光起電力デバイスのためのものである、請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2010−59536(P2010−59536A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−149616(P2009−149616)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】