説明

半導体発光素子、ランプおよび半導体発光素子の製造方法

【課題】光取り出し効率が良好で、パッド電極が剥がれにくく、さらに反射層とそれを挟む層との間の密着性を考慮せずに高い反射性を有する材料からなる反射層を選択できる半導体発光素子およびこれを用いたランプを提供する。
【解決手段】n型半導体層12と発光層13とp型半導体層14とがこの順に積層された半導体層10と、p型半導体層14上に形成された第1透明導電層15aと、第1透明導電層15a上に部分的に形成された金属反射層2aと、金属反射層2a上を覆うように形成された第2透明導電層15bと、金属反射層2aと平面視で重なる位置の第2透明導電層15b上に形成された正極17とを備え、第1透明導電層15aおよび第2透明導電層15bが、Inを80質量%以上含む半導体発光素子1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子、ランプおよび半導体発光素子の製造方法に関し、特に、優れた光取り出し効率が得られる半導体発光素子、ランプおよび半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光ダイオード(LED)などのランプに用いられる半導体発光素子として、基板上に、n型半導体層と発光層とp型半導体層とがこの順で積層され、p型半導体層上に正極が形成され、n型半導体層上に負極が形成されたものがある。
また、半導体発光素子として、p型半導体層上と正極であるパッド電極との間に、ITO(酸化インジウム錫(In−SnO))等の透明導電膜が設けられているものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
半導体発光素子、特に、GaN系化合物半導体を発光材料に用いた半導体発光素子では、横方向への電流拡散が小さい。p型半導体層上と正極であるパッド電極との間に、透明導電膜を設けることで、横方向に電流が拡散しやすくなり、パッド電極の直下に発光が集中することを防止できるとともに、透明導電膜の直下で発生した発光を、透明導電膜を介して外部に取り出すことができる。なお、透明導電膜は、直接ワイヤボンディングを行うことが困難なものであるが、透明導電膜上にパッド電極を設けることで、容易にワイヤボンディングを行うことができる。
【0004】
しかし、このような半導体発光素子においては、発光層からの光がパッド電極に吸収されてしまうため、光取り出し効率が低下するという問題がある。そのため、電極の材料のうちp型半導体層側に、発光層からの光がパッド電極に入射するのを阻止し、発光層からの光を反射させる反射層が設けられているものがある(例えば、特許文献2〜特許文献4参照)。
【0005】
具体的には、例えば、特許文献2では、p型窒化物半導体の上面の略全面に、ITO(酸化インジウム錫(In−SnO))などからなる第一の層と、透光性を有し第一の層に含まれる第一の金属と異なる金属を含む金属酸化物からなる第二の層と、光反射層である第三の層とを含むp側電極を有し、p側電極の上にp側パッド電極を有する半導体発光素子が提案されている。
【0006】
また、特許文献3では、第2導電型半導体層の上面の略全面に、一部が絶縁層を介して形成された透光性導電膜と、絶縁層の上に透光性導電膜を介して形成されたパッド電極とを備え、絶縁層と第2導電型半導体層との間に、発光層からの光を反射する反射層を有する半導体発光素子が提案されている。
【0007】
また、特許文献4では、p型窒化物半導体の上面の略全面に、透明導電膜よりなる第一の層と、透明導電膜からの光を反射させる第二の層とからなる光反射部が設けられ、光反射部の第二の層上に、ITO(酸化インジウム錫(In−SnO))などからなるpパッド部の第一の層が設けられている窒化物半導体発光素子が提案されている。
【0008】
特許文献2〜特許文献4に記載の半導体発光素子では、p型半導体層とパッド電極との間に反射層が設けられているので、発光層からの光がパッド電極に達するのを阻止することができるとともに、発光層からの光を反射させて光を取り出すことができるので、光取り出し効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−66903号公報
【特許文献2】特開2005−191326号公報
【特許文献3】特開2008−300719号公報
【特許文献4】特開2005−45038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載の半導体発光素子では、金属の相性の関係で、p側パッド電極(金属)と光反射層である第三の層(金属)との間の密着性が低く、p側パッド電極にワイヤボンディングをする際にp側パッド電極が剥がれやすいという問題があった。また、特許文献2では、その背景技術としてITO層上にAl膜などの金属電極を形成し、ITO層とAl膜との界面が加熱されると、拡散が生じ、隔離する恐れがあって安定性が得られ難いという問題も開示していた。
これに対して、特許文献3に記載の半導体発光素子では、パッド電極と透光性導電膜とは密着性は高いものの、透光性導電膜を形成した後に熱処理を行うと、その下方に配置する反射層にダメージを与えてしまうため、透光性導電膜の導電性及びp型半導体層とのオーミックコンタクトを向上させるための熱処理を実施できないという問題があった。
【0011】
また、特許文献4に記載の半導体発光素子は、透明導電膜よりなる第一の層とITOからなるpパッド部の第一の層との間に光を反射させる第二の層を有する積層構造は示されているものの、フェイスアップ型において光を反射させる第二の層のサイズを適切にしつつ、光を反射させる第二の層と、透明導電膜よりなる第一の層および/またはITOからなるpパッド部の第一の層との間の密着性を考慮せずに済む構成については何ら開示も示唆もない。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、パッド電極での光の吸収が低減されているため光取り出し効率が良好であると共に、パッド電極が剥がれにくく、さらに反射層とそれを挟む層との間の密着性を考慮せずに高い反射性を有する材料からなる反射層を選択できる半導体発光素子およびこれを用いたランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記問題を解決するために、鋭意検討を重ねた。その結果、例えば、特許文献2の課題欄に記載のITO層(第1透明導電層)上にAl膜(反射層)を形成した構成であっても、反射層上を覆うように第2透明導電層を形成して反射層を第1透明導電層と第2透明導電層との間に埋め込まれた状態で配置し、反射層と平面視で重なる位置の第2透明導電層上にパッド電極を形成することにより、反射層と第1透明導電層および/または第2透明導電層との密着性を向上させることができることを見出した。
【0014】
また、このような半導体発光素子では、反射層によってパッド電極での光の吸収を低減できる。さらに、このような半導体発光素子は、第2透明導電層とパッド電極との密着性が優れているため、ワイヤボンディングの際にパッド電極が剥がれにくいものとなる。また、半導体発光素子の第1透明導電層と第2透明導電層の材料を同一組成又は類似しているものとすることで、第1透明導電層と第2透明導電層との密着性が良好であるものとなる。したがって、密着性の優れた第1透明導電層と第2透明導電層との間に埋め込まれた状態で配置されている反射層は、第1透明導電層および/または第2透明導電層との密着性を考慮せずに材料を決定できる。さらに、反射層がパッド電極と接触しないので、反射層の導電率を考慮する必要はない。したがって、反射層の材料として、反射層とそれを挟む層との間の密着性や導電率を考慮せず、高い反射性を有する材料を選択できる。
【0015】
しかし、第1透明導電層の材料と第2透明導電層の材料とが十分に類似(近似ともいう)していない場合には、第1透明導電層と第2透明導電層との密着性が不十分となる場合がある。そこで、本発明者は、十分な密着性の得られる第1透明導電層および第2透明導電層の材料について検討を重ねた。その結果、第1透明導電層および第2透明導電層として、Inを80質量%以上含むものを用いればよいことを見出し、本発明を想到した。
【0016】
即ち、本発明は以下に関する。
(1)n型半導体層と発光層とp型半導体層とがこの順に積層された半導体層と、前記p型半導体層上に形成された第1透明導電層と、前記第1透明導電層上に部分的に形成された反射層と、前記反射層上を覆うように形成された第2透明導電層と、前記反射層と平面視で重なる位置の前記第2透明導電層上に形成されたパッド電極とを備え、前記第1透明導電層および前記第2透明導電層が、Inを80質量%以上含むものであることを特徴とする半導体発光素子。
【0017】
(2)前記第1透明導電層が結晶化されているものであり、前記第2透明導電層が非結晶状態であることを特徴とする(1)に記載の半導体発光素子。
(3)前記第1透明導電層および前記第2透明導電層が、同じ材料からなるものことを特徴とする(1)または(2)に記載の半導体発光素子。
【0018】
(4)前記第1透明導電層の膜厚が50nm〜300nmの範囲であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の半導体発光素子。
(5)前記第2透明導電層の膜厚が30nm〜200nmの範囲であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の半導体発光素子。
【0019】
(6)前記反射層の膜厚が100nm〜300nmの範囲であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の半導体発光素子。
(7)前記反射層が、Pt、Al、Ag、Ru、Rh,Ndから選ばれた1種または2種以上の元素を含むことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の半導体発光素子。
【0020】
(8)(1)に記載の半導体発光素子を備えたことを特徴とするランプ。
【0021】
(9)基板上にn型半導体層と発光層とp型半導体層とをこの順に積層する工程と、前記p型半導体層上に、Inを80質量%以上含む材料を用いて第1透明導電層を形成する工程と、前記第1透明導電層上に、部分的に反射層を積層する工程と、前記反射層上を覆うようにInを80質量%以上含む材料を用いて第2透明導電層を形成する工程と、前記反射層と平面視で重なる位置の前記第2透明導電層上にパッド電極を形成する工程とを備えることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【0022】
(10)前記第1透明導電層を形成する工程が、スパッタ法により第1透明導電層を形成する工程であり、前記第2透明導電層を形成する工程が、前記第1透明導電層を形成する工程において使用したスパッタターゲットと同じ組成のスパッタターゲットを用いて、スパッタ法により第2透明導電層を形成する工程であることを特徴とする(9)に記載の半導体発光素子の製造方法。
(11)前記第1透明導電層を形成する工程において、前記第1透明導電層を熱処理することを特徴とする(9)または(10)に記載の半導体発光素子の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明の半導体発光素子は、n型半導体層と発光層とp型半導体層とがこの順に積層された半導体層と、p型半導体層上に形成された第1透明導電層と、第1透明導電層上に部分的に形成された反射層と、反射層上を覆うように形成された第2透明導電層と、前記反射層と平面視で重なる位置の前記第2透明導電層上に形成されたパッド電極とを備えたものであり、発光層からの光が反射層に反射されるものであるため、発光層からの光がパッド電極に達してパッド電極に吸収されることを防止できる。その結果、本実施形態の半導体発光素子は、優れた光取り出し効率が得られるものとなる。また、本発明の半導体発光素子は、パッド電極と第2透明導電層との密着性が高いためにパッド電極が剥がれにくいものとなる。
【0024】
しかも、本発明の半導体発光素子は、p型半導体層上に形成された第1透明導電層と、第1透明導電層上に部分的に形成された反射層と、反射層上を覆うように形成された第2透明導電層とを備え、第1透明導電層および第2透明導電層が、Inを80質量%以上含むものであるので、反射層が、密着性の優れた第1透明導電層と第2透明導電層との間に埋め込まれた状態で配置されているものとなる。したがって、本発明の半導体発光素子では、第1透明導電層および/または第2透明導電層との密着性を考慮せずに、反射層の材料を決定できる。また、反射層がパッド電極と接触しないので、反射層の導電率を考慮する必要はない。したがって、反射層の材料として、反射層を挟む層との間の密着性や導電率を考慮せずに高い反射性を有する材料を選択することができる。
【0025】
また、本発明の半導体発光素子の製造方法の第1透明導電層を形成する工程において、第1透明導電層を熱処理した場合、第1透明導電層の導電性およびp型半導体層とのオーミックコンタクトを良好なものとすることができる。この場合、本発明の半導体発光素子の製造方法の第2透明導電層を形成する工程において、第2透明導電層を熱処理しなくても済むので、その下の反射層にダメージを与えることがない。
【0026】
また、本発明のランプは、本発明の半導体発光素子を備えたものであるので、優れた光取り出し効率を有する半導体発光素子を備えるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の半導体発光素子の一例を示した平面図である。
【図2】図2は、図1に示す半導体発光素子のA−A’線における断面図である。
【図3】図3は、図1および図2に示す半導体発光素子の一部(一例)を示した拡大断面図であり、半導体発光素子の半導体層を説明するための図である。
【図4】図4は、図1および図2に示す半導体発光素子の一部(一例)を示した拡大断面図である。
【図5】本発明のランプの一例を示した断面模式図である。
【図6】図6は、比較例1の半導体発光素子を説明するための図であり、半導体発光素子の一部を示した拡大断面図である。
【図7】図7は、比較例2の半導体発光素子を説明するための図であり、半導体発光素子の一部を示した拡大断面図である。
【図8】図8は、比較例3の半導体発光素子を説明するための図であり、半導体発光素子の一部を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明を説明するために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
「半導体発光素子」
図1は、本発明の半導体発光素子の一例を示した平面図であり、図2は、図1に示す半導体発光素子のA−A’線における断面図である。また、図3および図4は、図1および図2に示す半導体発光素子の一部(一例)を示した拡大断面図である。
【0029】
図1および図2に示す半導体発光素子1は、基板11とは反対側の面が光取り出し面とされているフェイスアップ型の半導体発光素子1である。半導体発光素子1は、図2に示すように、基板11の一面(図2においては上面)に、中間層31と、下地層32と、n型半導体層12と発光層13とp型半導体層14とからなる半導体層10と、第1透明導電層15aと、第2透明導電層15bとがこの順で積層されているものである。
【0030】
半導体発光素子1の第2透明導電層15b上には、平面視円形状の正極17(パッド電極)が形成されている。また、図2および図4に示すように、本実施形態においては、第1透明導電層15aと第2透明導電層15bとの間であって、図1に示すように、平面視で正極17と重なる位置に金属反射層(反射層)2aが配置されている。
また、本実施形態の半導体発光素子1では、発光層13とp型半導体層14とn型半導体層12の一部が切り欠けられて、n型半導体層12の一部が露出されており、図1および図2に示すように、n型半導体層12の露出面12a上に平面視円形状の負極18が形成されている。
【0031】
<基板>
基板11としては、サファイア単結晶(Al;A面、C面、M面、R面)、スピネル単結晶(MgAl)、ZnO単結晶、LiAlO単結晶、LiGaO単結晶、MgO単結晶等の酸化物単結晶、Si単結晶、SiC単結晶、GaAs単結晶、AlN単結晶、GaN単結晶及びZrB等のホウ化物単結晶等の周知の基板材料を何ら制限なく用いることができる。これらの基板材料の中でも、特に、基板11としてサファイア単結晶及びSiC単結晶を用いることが好ましい。なお、基板の面方位は特に限定されない。また、ジャスト基板でも良いし、オフ角を付与した基板であっても良い。
【0032】
本実施形態の半導体発光素子1においては、基板11と半導体層10のn型半導体層12との間に、基板11側から順に中間層31および下地層32が形成されている。なお、中間層31および下地層32は、形成されていることが好ましいが、形成されていなくてもよいし、いずれか一方のみ形成されていてもよい。
【0033】
<中間層(バッファ層)>
中間層31は、多結晶のAlGa1―XN(0≦x≦1)からなるものが好ましく、単結晶のAlGa1―XN(0≦x≦1)のものがより好ましく、例えば、AlGa1―XN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのものとすることができる。なお、中間層31は、基板11と下地層との格子定数の違いを緩和し、基板11の(0001)面(C面)上にc軸配向した単結晶層の形成を容易にする働きがある。
【0034】
<下地層>
下地層32は、中間層31上に形成されるものであり、AlGa1―XN層(0≦x≦1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)からなるものであることが好ましい。下地層32の膜厚は0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることが最も好ましい。下地層32の膜厚を1μm以上とすることにより、結晶性の良好なAlGa1―XN層が得られやすくなる。また、下地層32の膜厚は12μm以下とするのが好ましい。下地層32の膜厚が12μmを超えると成長時間が長くなり、製造コストアップとなるため、好ましくない。
【0035】
下地層32は、アンドープ(<1×1017/cm)であることが好ましい。下地層32がアンドープである場合、良好な結晶性を維持できる。また、下地層32にn型不純物をドープする場合、1×1017〜1×1019/cmの範囲内であることが好ましい。下地層32にドープされるn型不純物としては、特に限定されないが、例えば、Si、Ge及びSn等を挙げることができ、Si及びGeが好ましい。
【0036】
<半導体層>
図2に示すように、基板11上には、n型半導体層12と発光層13とp型半導体層14とが積層されてなる半導体層10が形成されている。半導体層10は、窒化物系化合物半導体からなるものであることが好ましく、GaN系化合物半導体からなるものであることがより好ましい。GaN系化合物半導体としては、例えば、一般式AlGaIn1−A(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦Z≦1で且つ、X+Y+Z=1。記号Mは窒素(N)とは別の第V族元素を表し、0≦A<1である。)で表わされるものを用いることができる。
【0037】
GaN系化合物半導体は、Al、GaおよびIn以外に他のIII族元素を含有していてもよい。さらに、GaN系化合物半導体には、意図的に添加した元素に限らず、成膜条件等に依存して必然的に含まれる不純物、並びに原料、反応管材質に含まれる微量不純物が含まれている場合がある。
【0038】
<n型半導体層>
n型半導体層12は、n型コンタクト層33と、n型クラッド層34とから構成されていることが好ましい。n型コンタクト層33は、n型クラッド層34を兼ねてもよい。
【0039】
n型コンタクト層33は、下地層32と同様にAlGa1―XN層(0≦x≦1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)からなるものであることが好ましい。n型コンタクト層33は、n型不純物がドープされたものであることが好ましい。n型コンタクト層33のn型不純物の濃度は1×1017〜1×1019/cmであることが好ましく、1×1018〜1×1019/cmであることがより好ましい。n型コンタクト層33のn型不純物の濃度が1×1017〜1×1019/cmである場合、負極と良好なオーミック接触を維持できるとともに、クラックの発生を抑制でき、良好な結晶性を維持できる。n型コンタクト層33のn型不純物としては、特に限定されないが、例えば、Si、Ge及びSn等を挙げることができ、Si及びGeが好ましい。
【0040】
n型コンタクト層33と下地層32の合計の膜厚は、1〜20μmであることが好ましく、2〜15μmであることがより好ましく、3〜12μmであることがさらに好ましい。n型コンタクト層33と下地層32との合計の膜厚が1〜20μmである場合、GaN系化合物半導体の結晶性をより良好に維持できる。
【0041】
n型コンタクト層33と発光層13との間には、n型クラッド層34を設けることが好ましい。n型クラッド層34は、AlGaN、GaN、GaInN等によって形成できる。なお、明細書中、各元素の組成比を省略してAlGaN、GaInNに記述することがある。n型クラッド層34は、これらの組成から選択される2つ以上の組成を複数回積層した超格子構造であってもよい。また、n型クラッド層34のバンドギャップは、発光層13のバンドギャップよりも大きいものとされている。
【0042】
n型クラッド層34の膜厚は、特に限定されないが、0.005〜1μmであることが好ましく、0.005〜0.5μmであることがより好ましい。n型クラッド層34のn型ドープ濃度は1×1017〜1×1020/cmであることが好ましく、1×1018〜1×1019/cmであることがより好ましい。n型クラッド層34のn型ドープ濃度が1×1017〜1×1020/cmである場合、良好な結晶性を維持できるとともに、半導体発光素子1の動作電圧を低減できる。
【0043】
<発光層>
発光層13に用いられるGaN系化合物半導体としては、Ga1−sInN(0<s<0.4)が挙げられる。発光層13の膜厚は、特に限定されないが、量子効果の得られる程度の膜厚、即ち臨界膜厚とすることが好ましい。具体的には、発光層13の膜厚は1〜10nmであることが好ましく、2〜6nmであることがより好ましい。発光層13の膜厚を1〜10nmとすることにより、発光出力を向上させることができる。
【0044】
<p型半導体層>
p型半導体層14は、pクラッド層37とpコンタクト層38とからなるものであることが好ましい。pコンタクト層38は、pクラッド層37を兼ねるものであってもよい。
pクラッド層37は、発光層13のバンドギャップエネルギーより大きくなる組成であり、発光層13へキャリアを閉じ込められるものであればよく、特に限定されない。例えば、pクラッド層37として、AlGa1−dN(0≦d≦0.4、好ましくは0.1≦d≦0.3)からなるものが挙げられる。pクラッド層37の膜厚は、特に限定されないが、1〜400nmであることが好ましく、5〜100nmであることがより好ましい。pクラッド層37は、AlGaN、GaN等によって形成できる。pクラッド層37は、これらの組成から選択される2つ以上の組成を複数回積層した超格子構造であってもよい。
pクラッド層37のp型ドープ濃度は1×1018〜1×1021/cmであることが好ましく、1×1019〜1×1020/cmであることがより好ましい。pクラッド層37のp型ドープ濃度を1×1018〜1×1021/cmとすることにより、結晶性を低下させることなく良好なp型結晶が得られる。
【0045】
pコンタクト層38としては、AlGa1−eN(0≦e<0.5、好ましくは0≦e≦0.2、より好ましくは0≦e≦0.1)を含むGaN系化合物半導体を用いることが好ましい。AlGa1−eNにおけるAl組成を0≦e<0.5とすることにより、良好な結晶性を維持できるとともに、pオーミック電極と良好にオーミック接触させることができる。また、pコンタクト層38のp型ドーパントの濃度は1×1018〜1×1021/cmであることが好ましく、5×1019〜5×1020/cmであることがより好ましい。pコンタクト層38のp型ドーパントの濃度を1×1018〜1×1021/cmとすることで、良好なオーミック接触を維持できるとともに、クラックの発生を防止でき、良好な結晶性を維持できる。pコンタクト層38のp型ドーパント(p型不純物)としては、特に限定されないが、例えば、Mgが挙げられる。pコンタクト層38の膜厚は、特に限定されないが、10〜500nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。pコンタクト層38の膜厚を10〜500nmとすることにより、発光出力を向上させることができる。
【0046】
<第1透明導電層>
図2および図4に示すように、第1透明導電層15aは、半導体層10のp型半導体層14上を覆うように設けられている。第1透明導電層15aは、図2および図4に示すように、効率よく電流を拡散させるために、p型半導体層14上の全域に設けられていることが好ましいが、p型半導体層14上の一部にのみ設けられていてもよい。
【0047】
第1透明導電層15aは、発光層13からの光を効率良く半導体発光素子1の外部に取り出すために、光透過性に優れたものであることが好ましい。さらに、第1透明導電層15aは、p型半導体層14の全面に渡って均一に電流を拡散させるために、優れた導電性を有していることが好ましい。
本実施形態の第1透明導電層15aは、Inを80質量%以上含むものである。具体的には、第1透明導電層15aの材料として、IZO(酸化インジウム亜鉛(In−ZnO);ZnOは例えば、材料中10質量%程度を含有する。)、ITO(酸化インジウム錫(In−SnO);SnOは例えば、材料中10質量%程度を含有する。)を含むものなどが挙げられる。
【0048】
また、第1透明導電層15aは、400〜600℃の温度で熱処理されることにより結晶化されているものであることが好ましい。第1透明導電層15aが熱処理により結晶化されているものである場合、導電性および光透過性に優れたものとなり、p型半導体層14とのオーミックコンタクトが良好であるとともに、より一層優れた光取り出し効率を有するものとなる。
【0049】
第1透明導電層15aの膜厚は、半導体発光素子1の駆動電圧を低くできる十分な導電性を確保しつつ、光取り出し効率に優れた半導体発光素子1とするために、50nm〜300nmであることが好ましく、70nm〜200nmであることがより好ましい。第1透明導電層15aの膜厚が50nm未満であると、p型半導体層への電流拡散層として十分な導電性を付与できない場合がある。また、第1透明導電層15aの膜厚が300nmを超えると、透過率が低下して光取り出し効率が低下し、半導体発光素子1の出力が不十分となる恐れがある。
【0050】
<金属反射層>
金属反射層2aは、第1透明導電層15a上に部分的に形成されたものであり、高い反射率を有する材料からなるものであることが好ましい。具体的には、金属反射層2aは、Pt、Al、Ag、Ru、Rh,Ndから選ばれた1種または2種以上の元素を含むことが好ましく、特に、高い反射率の得られるAg、Al、Ptから選ばれた1種または2種以上の元素を含むものであることがより好ましい。
【0051】
このような金属反射層2aの膜厚は、20nm〜300nmの範囲とされていることが好ましく、40nm以上であることがより好ましい。金属反射層2aの膜厚が20nm未満であるとマイグレーション等により反射特性の劣化等の影響を受けやすい。また、金属反射層2aの膜厚は、生産性の点から、250nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましい。
【0052】
金属反射層2a膜厚が20nm未満であると、反射率が十分に得られない場合がある。また、金属反射層2aの膜厚が300nmを超えると、金属反射層2aを設けることによって形成される段差が大きいものとなり、好ましくない。金属反射層2aに起因する段差が大きいと、金属反射層2aの密着性が不十分とならないように、金属反射層2a上を覆う第2透明導電層15bの段差被覆性(ステップカバレッジ)を確保すべく、第2透明導電層15bの厚みを十分に確保しなければならなくなる。その結果、第2透明導電層15bの透過率が低下して、光取り出し効率が不十分となる恐れがある。
【0053】
また、金属反射層2aは、第1透明導電層15aおよび第2透明導電層15bとの熱膨張係数の差が小さいものであることが好ましく、具体的には、第1透明導電層15aおよび第2透明導電層15bとの熱膨張係数の差が15.0×10−6(1/K)以下であることが好ましい。
【0054】
また、金属反射層2aは、図1に示すように、平面視円形状であり、図2および図4に示すように、金属反射層2aの縁部が、第1透明導電層15aに向かって連続して広がる傾斜面2bとされている。したがって、本実施形態の半導体発光素子1においては、金属反射層2aを設けることによって形成される段差が、金属反射層2a上を覆う第2透明導電層15bの段差被覆性(ステップカバレッジ)に与える影響を低減することができる。その結果、本実施形態の半導体発光素子1は、金属反射層2aと第1透明導電層15aおよび第2透明導電層15bとの密着性がより一層良好なものとなり、信頼性に優れた半導体発光素子1となる。
【0055】
また、金属反射層2aは、図1および図4に示すように、p型半導体側から見た平面視で正極17を遮蔽した形状(正極17の輪郭の外側)とされている。したがって、本実施形態の半導体発光素子1においては、例えば、金属反射層2aが当該平面視で正極17の輪郭の内側に形成されている場合と比較して、発光層13からの光が正極17に達して正極17に吸収されるのを防止でき、発光素子の光取り出し効率を向上させることができる。
【0056】
なお、本実施形態においては、金属反射層2aおよび正極17が、いずれも平面視円形状である場合を例に挙げて説明したが、これらの平面形状は円形状でなくてもよく、例えば、楕円形状や多角形状であってもよい。また、金属反射層2aと正極17とは、発光層13で発光した光のうち正極17に吸収される光をより一層少なくするために、相似形状であることが好ましいが、遮蔽効果(光の反射)が損なわれない限り相似形状でなくてもよい。
【0057】
なお、本実施形態においては、反射層が金属である場合を例に挙げて説明したが、本発明における反射層は発光層からの光を反射できるものであればよく、金属からなるものに限定されない。例えば、金属材料以外に光学的反射多層膜を用いても良い。
【0058】
<第2透明導電層>
図2および図4に示すように、第2透明導電層15bは、金属反射層2a上を覆うように設けられている。第2透明導電層15bは、図2に示すように、効率よく電流を拡散させるために、p型半導体層14上の全域に設けられていることが好ましいが、金属反射層2a上を覆うことができれば、p型半導体層14上の一部にのみ設けられていてもよい。
【0059】
第2透明導電層15bは、第1透明導電層15aと同様に、発光層13からの光を効率良く半導体発光素子1の外部に取り出すために、光透過性に優れたものであることが好ましく、p型半導体層14の全面に渡って均一に電流を拡散させるために、優れた導電性を有していることが好ましい。
第2透明導電層15bは、Inを80質量%以上含むものである。具体的には、第2透明導電層15bの材料として、IZO(酸化インジウム亜鉛(In−ZnO))、ITO(酸化インジウム錫(In−SnO))を含むものなどが挙げられる。
【0060】
本実施形態においては、第1透明導電層15aおよび第2透明導電層15bがともに、Inを80質量%以上含むものであるので、第1透明導電層15aと第2透明導電層15bとの密着性が良好なものとなる。
なお、第1透明導電層15aと第2透明導電層15bのいずれか一方または両方が、Inを80質量%未満含むものである場合、第1透明導電層15aの材料組成と第2透明導電層15bの材料組成とが十分に類似(又は共通化)していないため、第1透明導電層15aと第2透明導電層15bとの密着性が不足して、第1透明導電層15aと第2透明導電層15bとの界面で剥離が生じる場合がある。第1透明導電層15aと第2透明導電層15bとの界面で剥離が生じると、金属反射層2aが、第1透明導電層15aと第2透明導電層15bとの間に埋め込まれた状態ではなくなり、金属反射層2aが第1透明導電層15aおよび/または第2透明導電層15bとの界面で剥離しやすくなり、金属反射層2aの密着性が不十分となる。
【0061】
また、本実施形態においては、第1透明導電層15aおよび第2透明導電層15bがInを80質量%以上含む同じ材料からなるものであることが好ましい。この場合、第1透明導電層15aと第2透明導電層15bとの密着性が非常に良好となり、金属反射層2aの密着性も非常に良好となる。
【0062】
また、第2透明導電層15bは、第1透明導電層15aと異なり、熱処理されていない非結晶状態(アモルファス構造)のものであることが好ましい。第2透明導電層15bが熱処理により結晶化されているものである場合、第2透明導電層15bを熱処理することにより、第2透明導電層15bの下に配置されている金属反射層2aの反射率が低下して、反射率が不足する恐れがある。
【0063】
第2透明導電層15bの膜厚は、金属反射層2a上における機械強度を確保しつつ、光取り出し効率に優れた半導体発光素子1とするために、30nm〜200nmであることが好ましく、50nm〜150nmであることがより好ましい。第2透明導電層15bの膜厚が30nm未満である場合、第2透明導電層15bの機械強度が不十分となり、ワイヤボンディングをする際に金属反射層2aから剥離する恐れがある。また、第2透明導電層15bの膜厚が200nmを超える場合、透過率が低下して光取り出し効率が低下し、半導体発光素子1の出力が不十分となる恐れがある。
【0064】
<正極>
正極17は、図1および図4に示すように、金属反射層2aと平面視で重なる位置の第2透明導電層15b上に形成されている。本実施形態において、正極17は、ボンディングパッドとして使用される。本実施形態では、正極17が、正極17との密着性に優れた第2透明導電層15b上に形成されているので、正極17にワイヤボンディングをする際に正極17が剥がれにくいものとなる。
また、正極17の平面積は、小さいほど正極17に吸収される発光層13からの光の量が少なくなり、光取り出し性が向上するため好ましい。しかし、正極17をボンディングパッドとして使用するためには、十分な平面積を確保する必要がある。具体的には、例えば、正極17が平面視円形である場合、直径を80nm以上とすることが好ましい。
【0065】
正極17としては、Au、Al、NiおよびCu等の周知の材料を用いた各種構造を何ら制限無く用いることができる。正極17の厚さは100nm〜10μmであることが好ましく、300nm〜3μmであることがより好ましい。正極17の厚さを300nm以上とすることにより、ボンディングパッドとしてのボンダビリティーを向上させることができる。また、正極17の厚さを3μm以下にすることで、製造コストを低減できる。
【0066】
<負極>
負極18は、n型半導体層12の露出面12a上に形成されることにより、n型半導体層12に接している。負極18は、ボンディングパッドとして使用される。負極18としては、周知の各種組成および構造を何ら制限無く用いることができる。
【0067】
「半導体発光素子の製造方法」
図1〜図4に示す半導体発光素子1を製造するには、まず、図3に示すように、基板11の一面上に、中間層31と下地層32とn型半導体層12と発光層13とp型半導体層14とをこの順で積層する。
【0068】
n型半導体層12と発光層13とp型半導体層14とを構成するGaN系化合物半導体の形成方法は、特に限定されず、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)などの方法を適用できる。GaN系化合物半導体の形成方法としては、膜厚制御性、量産性の観点からMOCVD法を用いることが好ましい。
【0069】
GaN系化合物半導体の形成方法としてMOCVD法を用いる場合、キャリアガスとして水素(H)または窒素(N)などを用いることができ、III族原料であるGa源としてトリメチルガリウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMA)またはトリエチルアルミニウム(TEA)、In源としてトリメチルインジウム(TMI)またはトリエチルインジウム(TEI)、V族原料であるN源としてアンモニア(NH)、ヒドラジン(N)などを用いることができる。
【0070】
また、MOCVD法を用いてGaN系化合物半導体を形成する場合、n型ドーパントとしてSi原料であるモノシラン(SiH)またはジシラン(Si)や、Ge原料であるゲルマンガス(GeH)や、テトラメチルゲルマニウム((CHGe)やテトラエチルゲルマニウム((CGe)等の有機ゲルマニウム化合物などを用いることができる。
また、MOCVD法を用いる場合、p型ドーパントとしてMg原料であるビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)やビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム(EtCpMg)などを用いることができる。
【0071】
また、GaN系化合物半導体の形成方法としてMBE法を用いる場合、n型ドーパントとして元素状のゲルマニウムを用いることができる。
【0072】
次に、p型半導体層14上に、スパッタ法によりITOやIZOなどのInを80質量%以上含む材料を用いて、図4に示すように、第1透明導電層15aを形成する。次いで、導電性および光透過性を向上させるために第1透明導電層15aの熱処理を行う。第1透明導電層15aの熱処理は、例えば、400〜600℃の温度で、1〜60分間行うことが好ましい。なお、第1透明導電層15aの熱処理は、金属反射層2aを形成する前に行うことが好ましい。金属反射層2aを形成した後に、第1透明導電層15aの熱処理を行った場合、熱処理によって金属反射層2aの反射率が低下して、反射率が不足する恐れがある。
【0073】
次に、第1透明導電層15a上に、高周波(RF)スパッタ法などを用いて部分的に金属反射層2aを形成する。
本実施形態においては、図4に示すように、金属反射層2aとして、縁部が第1透明導電層15aに向かって連続して広がる傾斜面2bとされているものを形成する。このような外周側に向けて膜厚が漸次薄くなる傾斜面2bを有する金属反射層2aの形成方法は、特に限定されるものではなく、例えば、逆テーパー型マスクを利用する方法などにより形成できる。
【0074】
次に、金属反射層2a上を覆うように、スパッタ法によりITOやIZOなどのInを80質量%以上含む材料を用いて、図4に示すように、第2透明導電層15bを形成する。なお、本実施形態においては、第1透明導電層15aを形成する工程において使用したスパッタターゲットと同じ組成のスパッタターゲットを用いて、スパッタ法により第2透明導電層15bを形成することにより、第1透明導電層15aおよび第2透明導電層15bを、Inを80質量%以上含む同じ材料からなるものとすることが好ましい。この場合、第1透明導電層15aおよび第2透明導電層15bを、同じスパッタ装置およびスパッタターゲットを用いて効率よく形成できる。
【0075】
次に、例えば、一般に知られたフォトリソグラフィーの手法によって所定の領域以外の第1透明導電層15aおよび第2透明導電層15bを除去する。
【0076】
続いて、例えばフォトリソグラフィーの手法によりパターニングして、図1および図2に示すように、所定の領域の半導体層10(p型半導体層14、発光層13、n型半導体層12)の一部をエッチングして、n型コンタクト層33からなる露出面12aを露出させる。
次に、図1および図2に示すように、n型コンタクト層33からなる露出面12aに負極18を形成する。負極(n型電極)18としては、露出面12a側からTi/Auの二層構造のものを形成することが好ましい。
【0077】
その後、図1および図2に示すように、金属反射層2aと平面視で重なる位置の第2透明導電層15b上に正極17を形成する。正極(p型電極)17としては、第2透明導電層15b側から例えば、Alからなる金属反射層とTiからなるバリア層とAuからなるボンディング層とからなる3層構造のものを、フォトリソグラフィの手法を用いて形成することが好ましい。
【0078】
また、正極17と負極18とは、同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。正極17と負極18とが、同じ構造である場合、例えば、Auからなる第1の層、Tiからなる第2の層、Alからなる第3の層、Tiからなる第4の層、Auからなる第5の層を順に積層してなる5層構造のものとしてもよい。
【0079】
その後、正極17および負極18の形成された基板を分割(チップ化)することにより、図1および図2に示す半導体発光素子1が得られる。
【0080】
本実施形態の半導体発光素子1は、n型半導体層12と発光層13とp型半導体層14とがこの順に積層された半導体層10と、p型半導体層14上に形成された第1透明導電層15aと、第1透明導電層15a上に部分的に形成された金属反射層2aと、金属反射層2a上を覆うように形成された第2透明導電層15bと、金属反射層2aと平面視で重なる位置の第2透明導電層15b上に形成された正極17とを備えたものであり、発光層13からの光が金属反射層2aに反射されるものであるため、発光層13からの光が正極17に達して正極17に吸収されることを防止できる。
【0081】
しかも、本実施形態の半導体発光素子1は、p型半導体層14上に形成された第1透明導電層15aと、第1透明導電層15a上に部分的に形成された金属反射層2aと、金属反射層2a上を覆うように形成された第2透明導電層15bとを備え、第1透明導電層15aおよび第2透明導電層15bが、Inを80質量%以上含むものであるので、金属反射層2aが、密着性の優れた第1透明導電層15aと第2透明導電層15bとの間に埋め込まれた状態で配置されているものとなり、第1透明導電層15aと第2透明導電層15bとの密着性によって、半導体発光素子1における金属反射層2aの密着性が確保される。したがって、第1透明導電層15aおよび/または第2透明導電層15bとの密着性を考慮せずに、金属反射層2aの材料を決定できる。また、金属反射層2aが正極17と接触しないので、金属反射層2aの導電率を考慮する必要はない。したがって、金属反射層2aの材料として、金属反射層2aを挟む層との間の密着性や導電率を考慮せずに高い反射性を有する材料を選択することができる。
【0082】
「ランプ」
次に、本発明のランプとして、図1〜図4に示す半導体発光素子1を備えたランプを例に挙げて説明する。
図5は、本発明のランプの一例を示した断面模式図である。図5に示すランプ5(LED)においては、図1〜図4に示す半導体発光素子1がフレーム51、52にワイヤー53、54により接合され、透明な樹脂からなるモールド55で砲弾型に封止されている。
【0083】
本実施形態のランプ5は、図1〜図4に示す半導体発光素子1を用いて、従来公知の方法により製造でき、例えば、以下に示す方法などにより製造できる。
まず、半導体発光素子1を、2本のフレーム51、52の内の一方(図5ではフレーム51)に樹脂等を用いて接着し、半導体発光素子1の正極17及び負極18を、金等の材質からなるワイヤー53、54でそれぞれフレーム51、52に接合することにより、半導体発光素子1を実装する。その後、半導体発光素子1の周辺を、モールド55で封止することにより、ランプ5とする方法などにより得られる。
【0084】
なお、本発明のランプは、図5に示すランプ5に限定されるものではない。例えば、本発明のランプは、半導体発光素子1の発光色と蛍光体の発光色とが混色されることにより、白色光を出射するランプとされていてもよい。また、本発明のランプは、一般用途の砲弾型であってもよいし、携帯のバックライト用途のサイドビュー型、表示器に用いられるトップビュー型等であってもよい。
【0085】
本実施形態のランプ5は、図1〜図4に示す半導体発光素子1を備えたものであるので、優れた光取り出し効率を有する半導体発光素子1を備えるものとなる。
【実施例】
【0086】
以下に、本発明を、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
なお、実施例に関連する評価については、下記の方法で行なった。
<密着性評価(剥れ数)>
以下に示す実施例1〜6及び比較例1〜4の半導体発光素子の正極(パッド電極)について、密着性試験(テープ剥れ試験)を実施した。テープ剥がれ試験は、それぞれ1000箇所のテストパッド箇所に対して実施し、1000箇所中の剥がれを生じたパッド部の個数を数えた。各実施例及び比較例における結果を表2に記載した。
【0087】
<発光出力Po評価方法>
実施例1〜6及び比較例1〜4の半導体発光素子をTO−18缶パッケージに実装し、テスターによって印加電流20mAにおける発光出力を計測した。その結果を表2に記載した。
【0088】
(実施例1)
以下に示す方法により、図1〜図4に示す半導体発光素子1を製造した。
まず、MOCVD法を用いて、図3に示すように、基板11の一面に、AlNからなる中間層31と、アンドープGaNからなる下地層32とを形成した。
【0089】
その後、下地層32上に、Siドープn型GaNからなるn型コンタクト層33と、In0.03Ga0.97Nからなるn型クラッド層34とをこの順に積層して、n型半導体層12を形成した。次に、n型半導体層12上に、AlGaN障璧層とGaInN井戸層とを6回積層し、最後にAlGaN障璧層を積層して多重量子井戸構造からなる発光層13を形成した。次に、発光層13上に、MgドープAlGaNからなるp型クラッド層37と、Mgドープp型GaNからなるp型コンタクト層38とを積層してp型半導体層14を形成した。これにより、基板11上に、n型半導体層12と発光層13とp型半導体層14とからなる半導体層10を形成した。
【0090】
次に、p型半導体層14上の全面に、スパッタ法により、図4に示すように、膜厚150nmの第1透明導電層15aを形成した。スパッタターゲットとしては、ZnOを10質量%含むIZO(In−ZnO)を用いた。
次いで、600℃の温度で、1分間、第1透明導電層15aの熱処理を行なって結晶性IZO(六方晶)を得た。
【0091】
次に、第1透明導電層15a上の所定の位置に、逆テーパー型マスクを利用した高周波(RF)スパッタ法を用いてアルミニウム(Al)からなる、膜厚100nmの金属反射層2aを形成し、縁部が第1透明導電層15aに向かって連続して広がる傾斜面2bとされている金属反射層2aを形成した。
【0092】
次に、第1透明導電層15aを形成する工程において使用したスパッタターゲットを用いて、スパッタ法により膜厚100nmの第2透明導電層15b(アモルファスIZO)を、金属反射層2a上を覆うように形成した。このことにより、Inを80質量%以上含む同じ組成材料からなる第1透明導電層15aおよび第2透明導電層15bを得た。
次に、一般に知られたフォトリソグラフィーの手法によって所定の領域以外の第1透明導電層15aおよび第2透明導電層15bを除去した。
【0093】
続いて、フォトリソグラフィーの手法によりパターニングして、図1および図2に示すように、所定の領域の半導体層(p型半導体層14、発光層13、n型半導体層12)の一部をエッチングしてn型コンタクト層33からなる露出面12aを露出させた。
次に、n型コンタクト層33からなる露出面12aに、負極18を形成した。その後、第2透明導電層15b上の金属反射層2aと平面視で重なる位置に、正極17を形成した。
【0094】
なお、正極17および負極18としては、Tiからなる第1の層、Ptからなる第2の層、Auからなる第3の層を順に積層してなる3層構造のものを形成した。
その後、正極17および負極18の形成された基板を分割(チップ化)することにより、図1〜図4に示す実施例1の半導体発光素子1を得た。
【0095】
(実施例2)
第1透明導電層15aの膜厚を250nmとし、第2透明導電層15bの膜厚を50nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の半導体発光素子を得た。
(実施例3)
第1透明導電層15aの膜厚を50nmとし、第2透明導電層15bの膜厚を200nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の半導体発光素子を得た。
【0096】
(実施例4)
金属反射層2aの膜厚を50nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の半導体発光素子を得た。
(実施例5)
第1透明導電層15aを膜厚150nmのITOからなるものとし、第1透明導電層15aの熱処理温度を400℃とした以外は、実施例1と同様にして実施例5の半導体発光素子を得た。
【0097】
(実施例6)
金属反射層2aをAPC系合金(Ag/Pd/Cu合金)(株)フルヤ金属製)にしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例6の半導体発光素子を得た。
【0098】
(比較例1)
以下に示す方法により、図6に示す半導体発光素子1aを製造した。図6は、比較例1の半導体発光素子1aを説明するための図であり、半導体発光素子1aの一部を示した拡大断面図である。なお、図6に示す半導体発光素子1aの半導体層10は、図1〜図4に示す実施例1の半導体発光素子1と同じであるので、同じ符号を付し、製造方法の説明を省略する。
【0099】
比較例1においては、図6に示すように、p型半導体層14上の全面に、スパッタ法により膜厚250nmの透明導電層41を形成した。スパッタターゲットとしては、実施例1と同様に、ZnOを10質量%含むIZO(In−ZnO)を用いた。次いで、600℃の温度で、1分間、透明導電層41の熱処理を行った。
【0100】
次に、透明導電層41上の所定の位置に、逆テーパー型マスクを利用した高周波(RF)スパッタ法を用いてAlからなる膜厚200nmの金属反射層21を形成し、縁部が、透明導電層41に向かって連続して広がる傾斜面とされている金属反射層21を形成した。
次に、一般に知られたフォトリソグラフィーの手法によって所定の領域以外の透明導電層41を除去した。
【0101】
続いて、実施例1と同様にして、所定の領域の半導体層(p型半導体層14、発光層13、n型半導体層12)の一部をエッチングしてn型コンタクト層33からなる露出面12aを露出させた。
次に、n型コンタクト層33からなる露出面12aに、実施例1と同様にして負極18を形成した。その後、金属反射層21上に、実施例1と同様にして正極17を形成した。
【0102】
その後、正極17および負極18の形成された基板を分割(チップ化)することにより、図6に示す比較例1の半導体発光素子1aを得た。
【0103】
(比較例2)
以下に示す方法により、図7に示す半導体発光素子1bを製造した。図7は、比較例2の半導体発光素子を説明するための図であり、半導体発光素子の一部を示した拡大断面図である。なお、図7に示す半導体発光素子1bの半導体層10は、図1〜図4に示す実施例1の半導体発光素子1と同じであるので、同じ符号を付し、製造方法の説明を省略する。
【0104】
比較例2においては、図7に示すように、p型半導体層14上の所定の位置に、逆テーパー型マスクを利用した高周波(RF)スパッタ法を用いてAlからなる膜厚100nmの金属反射層22を形成し、縁部がp型半導体層14に向かって連続して広がる傾斜面とされている金属反射層22を形成した。
【0105】
次に、金属反射層22上を覆うようにp型半導体層14上の全面に、スパッタ法により膜厚200nmの透明導電層42を形成した。スパッタターゲットとしては、実施例1と同一のものを用いた。
次に、一般に知られたフォトリソグラフィーの手法によって所定の領域以外の透明導電層42を除去した。
【0106】
続いて、実施例1と同様にして、所定の領域の半導体層(p型半導体層14、発光層13、n型半導体層12)の一部をエッチングしてn型コンタクト層33からなる露出面12aを露出させた。
次に、n型コンタクト層33からなる露出面12aに、実施例1と同様にして負極18を形成した。その後、金属反射層22と平面視で重なる位置の透明導電層42上に、実施例1と同様にして正極17を形成した。
【0107】
その後、正極17および負極18の形成された基板を分割(チップ化)することにより、図7に示す比較例2の半導体発光素子1bを得た。
【0108】
(比較例3)
以下に示す方法により、図8に示す半導体発光素子1cを製造した。図8は、比較例3の半導体発光素子を説明するための図であり、半導体発光素子の一部を示した拡大断面図である。なお、図8に示す半導体発光素子1cの半導体層10は、図1〜図4に示す実施例1の半導体発光素子1と同じであるので、同じ符号を付し、製造方法の説明を省略する。
【0109】
比較例3においては、図8に示すように、p型半導体層14上の全面に、スパッタ法により膜厚250nmの透明導電層43aを形成した。スパッタターゲットとしては、実施例1と同一のものを用いた。
次いで、600℃の温度で、1分間、透明導電層43aの熱処理を行った。
【0110】
次に、一般に知られたフォトリソグラフィーの手法によって所定の領域以外の透明導電層43aを除去した。
次いで、透明導電層43a上の所定の位置に公知な方法で正極170を形成した。正極170としては、透明導電層43a側からAlからなる第1の層17a(反射層)、Tiからなる第2の層17b(拡散防止層)、Auからなる第3の層17c(ボンデイングパッド層)をこの順に積層してなる3層構造のものを形成した。
【0111】
続いて、実施例1と同様にして、所定の領域の半導体層(p型半導体層14、発光層13、n型半導体層12)の一部をエッチングしてn型コンタクト層33からなる露出面12aを露出させた。
次に、n型コンタクト層33からなる露出面12aに、実施例1と同様にして負極18を形成した。
【0112】
その後、正極17および負極18の形成された基板を分割(チップ化)することにより、図8に示す比較例3の半導体発光素子1cを得た。
【0113】
(比較例4)
金属反射層2aを形成しないことと、第1透明導電層15aを形成し後、410℃の温度で、1分間、第1透明導電層15aの熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして比較例4の半導体発光素子を得た。
【0114】
このようにして得られた実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例4の半導体発光素子の第1透明導電層、金属反射層、第2透明導電層の材料および膜厚と、第1透明導電層の熱処理温度を表1に示す。
また、実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例4の半導体発光素子について、上述した方法により密着性、発光出力を評価した。その結果を表2に示す。
【0115】
【表1】

【0116】
【表2】

【0117】
表1および表2に示すように、実施例1〜実施例6は、密着性および発光出力が優れていることが確認できた。
これに対し、比較例1〜比較例4では、密着性と発光出力の一方または両方の評価が不十分であった。より詳細には、透明導電層が1層であり、金属反射層が第1透明導電層と第2透明導電層との間に埋め込まれた状態で配置されているものではない比較例1〜比較例3では、実施例1〜実施例6と比較して、1000箇所中の剥がれ数が多かった。また、金属反射層のない比較例4では、発光出力が小さかった。
【符号の説明】
【0118】
1…半導体発光素子、2a…金属反射層(反射層)、5…ランプ、10…半導体層、11…基板、12…n型半導体層、13…発光層、14…p型半導体層、15a…第1透明導電層、15b…第2透明導電層、17…正極(パッド電極)、18…負極、31…中間層、32…下地層、33…n型コンタクト層、34…n型クラッド層、37…p型クラッド層、38…p型コンタクト層、51、52…フレーム、53、54…ワイヤー、55…モールド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型半導体層と発光層とp型半導体層とがこの順に積層された半導体層と、
前記p型半導体層上に形成された第1透明導電層と、
前記第1透明導電層上に部分的に形成された反射層と、
前記反射層上を覆うように形成された第2透明導電層と、
前記反射層と平面視で重なる位置の前記第2透明導電層上に形成されたパッド電極とを備え、
前記第1透明導電層および前記第2透明導電層が、Inを80質量%以上含むものであることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記第1透明導電層が結晶化されているものであり、前記第2透明導電層が非結晶状態であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子
【請求項3】
前記第1透明導電層および前記第2透明導電層が、同じ材料からなるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記第1透明導電層の膜厚が50nm〜300nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記第2透明導電層の膜厚が30nm〜200nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記反射層の膜厚が100nm〜300nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記反射層が、Pt、Al、Ag、Ru、Rh,Ndから選ばれた1種または2種以上の元素を含むことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体発光素子を備えたことを特徴とするランプ。
【請求項9】
基板上にn型半導体層と発光層とp型半導体層とをこの順に積層する工程と、
前記p型半導体層上に、Inを80質量%以上含む材料を用いて第1透明導電層を形成する工程と、
前記第1透明導電層上に、部分的に反射層を積層する工程と、
前記反射層上を覆うようにInを80質量%以上含む材料を用いて第2透明導電層を形成する工程と、
前記反射層と平面視で重なる位置の前記第2透明導電層上にパッド電極を形成する工程とを備えることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記第1透明導電層を形成する工程において、前記第1透明導電層を熱処理することを特徴とする請求項9に記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記第1透明導電層を形成する工程が、スパッタ法により第1透明導電層を形成する工程であり、
前記第2透明導電層を形成する工程が、前記第1透明導電層を形成する工程において使用したスパッタターゲットと同じ組成のスパッタターゲットを用いて、スパッタ法により第2透明導電層を形成する工程であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の半導体発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−58608(P2013−58608A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196039(P2011−196039)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】