説明

半導体発光素子とその製造法

【課題】製造プロセスが簡易化された、光取り出し効率が良い発光素子及びその製造法を提供する。
【解決手段】基板上に形成されたp型半導体層と、p型半導体層上に形成された活性層と、1面を導波構造配置面として形成し、他面を活性層上に形成したn型半導体層と、それぞれn型半導体層及び基板に電気的に接続された第1の電極と第2の電極と、導波構造配置面から延伸して形成された互いにある間隔をおいた複数のナノロッドを有し、n型半導体層の導波構造配置面に形成された導波構造と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子及びその製造法に関し、特に複数のナノロッドをn型半導体層に形成した導波構造を有する半導体発光素子及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、UV光、青色、緑色の波長帯の光を出力する発光ダイオード(LED)や半導体レーザなどの発光素子が実用化されているが、基板上に形成されたn型層や、活性層、p型クラッド層などの積層構造によって発光素子の光取り出し効率が決まることが知られている。光取り出し効率とは、LEDにおいて、活性層で発生した光のうちLEDから空気中に発する割合である。従来のLEDにおいては、半導体の屈折率が空気より大きく、半導体と空気の界面での全反射により活性層からの光がLED内部に閉じ込められるので、光取り出し効率が低い。そこで、LEDの積層構造の表面に凹凸を形成することにより光取り出し効率を向上しようとする考えが出て来ている。しかし、このような構造では、なおも光の取り出し効率が十分とは言えない。即ち、p型クラッド層は抵抗率が高いため、高効率に発光させるためには、p型クラッド層の層厚を200nm程度に薄くしなければならないが、上記凹凸構造を設けるには層厚を大きくする必要があり、LEDの電気的性質にも好ましくない影響を及ぼす問題がある。
【0003】
この問題に対する解決策として、n型厚膜層上に積層構造を形成した複数のナノロッドが形成された発光素子が提案されている(特許文献2を参照)。
【特許文献1】米国特許第6825056号明細書
【特許文献2】米国特許第7132677号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記発光素子では、厚膜のn型半導体層上にそれぞれが、n型半導体層、活性層、p型半導体層を積層してなるナノロッドを突出形成させて光の取り出し効率を向上しようとするが、製造工程が煩雑で、製造コストが高くつく。
【0005】
本発明は、上記問題点を考慮してなされたものであり、製造が簡単で、光の取り出し効率が良い発光素子及びその製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、1つの観点によれば、本発明は、300nm〜550nmの波長の光を発することができる半導体発光素子において、基板と、基板上に形成されたp型半導体層と、p型半導体層上に形成された活性層と、1面を導波構造配置面として形成し、他面を活性層上に形成したn型半導体層と、それぞれn型半導体層及び基板に電気的に接続された第1の電極と第2の電極と、導波構造配置面から延伸して形成された互いにある間隔をおいた複数のナノロッドを有し、n型半導体層の導波構造配置面に形成された導波構造と、を有することを特徴とする。
【0007】
なお、前記p型半導体層は、200nm以下の厚さを有することが好ましい。
【0008】
さらに、前記ナノロッドのそれぞれは、円柱状に形成され、高さが200nm以上であることが好ましい。
【0009】
また、前記発光素子では、n型半導体層の上に形成された保護層をさらに有してもよく、該保護層は好ましくは、空気以上、n型半導体層以下の屈折率を有する。
【0010】
また、前記発光素子は、好ましくは、n型半導体層の上に導波構造を囲んで形成された保護層を有してもよく、該保護層は好ましくは、空気以上n型半導体層以下の屈折率を有する。
【0011】
また、前記保護層は、透明であることが好ましい。
【0012】
また、前記保護層は、絶縁体、具体的にはSiO又はSi系化合物を用いて形成されることが好ましい。
【0013】
また、前記発光素子では、基板が、導電性材料、具体的にはSi、SiC、GaAs、GaP、MgO、ZnO、GaN、AlN、InN、Cu、Mo、W、Al、Au、Zn、Snから選ばれた1又は2以上の組合せからなることが好ましい。
【0014】
前記発光素子ではさらに、基板とp型半導体層との間に反射層が形成され、反射層とp型半導体層との間に電流拡散層が形成されてもよい。
【0015】
なお、前記反射層は、金属からなることが好ましい。
【0016】
さらに、前記電流拡散層は、透明であることが好ましい。
【0017】
本発明の他の観点によれば、本発明は、300nm〜550nmの波長の光を発することができる半導体発光素子の製造法において、第1の基板と第2の基板を用意し、第1の基板上にn型半導体層と活性層とp型半導体層を上へ順に形成し、第1の基板を、一番上になるように第2の基板の上に設け、n型半導体層が露出するよう第1の基板をn型半導体層から分離し、n型半導体層をエッチングして、互いに間隔をおいてn型半導体層から突出した複数のナノロッドにより構成される導波構造を形成することにより、導波構造をそなえた半導体発光素子を製造することを特徴とする。
【0018】
なお、前記製造法では、p型半導体層が、200nm以下の厚さを有することが好ましい。
【0019】
さらに、前記製造法では、それぞれのナノロッドが、第2の基板に対して直角に突出して、200nm以上の高さを有するように形成されることが好ましい。
【0020】
また、前記製造法において、好ましくは、マスクとして粒子含有材料を用いたドライエッチング法によって、n型半導体層をパターン化し導波構造を形成する。
【0021】
なお、前記ドライエッチング法として好ましくは、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICPRIE)技術を用いる。
【0022】
また、前記粒子含有材料には、直径800nm以下の粒子が含まれることが好ましい。
【0023】
さらに、前記粒子として、無機酸化化合物例えば、TiO、SiO、Alの中から1又は2以上の組合せを用いることが好ましい。
【0024】
さらに、前記製造法では、好ましくは、p型半導体層、第2の基板上にそれぞれさらに第1、第2の合金層を形成し、金属接合法により、第1の基板が一番上になるように第1と第2の合金層を接合し、さらにまた、レーザ除去法を用い、第1の基板をn型半導体層から分離する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の発光素子及びその製造法によれば、簡単にn型半導体層から複数のナノロッドにより構成される導波構造を形成することができるので、製造プロセスが簡易化された、光の取り出し効率が良い発光素子及びその製造法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態にかかる発光素子の例の一部を示す側面図である。この実施の形態にかかる発光素子は、UV光、青光、緑光などの波長が300〜550nmの光を発する構成をする。
【0028】
この発光素子は、基板21(第1の基板)、基板21上に形成されたp型半導体層14と、p型半導体層14上に形成された活性層13と、1面を導波構造配置面18とし、他面を活性層13と接触するように活性層13上に形成したn型半導体層12と、n型半導体層12に電気的に接続され、n型半導体層12上に形成され、動作電圧を印加する第1の電極61と、基板21に電気的に接続され、基板21下に形成され、動作電圧を印加する第2の電極62とから構成されている。n型半導体層12の導波構造配置面18をパターン化して導波構造4を形成する。導波構造4としては、導波構造配置面18から複数のナノロッド41が突出て形成され、これらのナノロッド41は互いにある間隔をおいて導波構造配置面18に直立している。この実施の形態では、各ナノロッド41は、好ましくは200nm以上の長さを有する。p型半導体層14は、200nm以下の層厚を有する。
【0029】
この実施の形態では、それぞれのナノロッド41は、導波構造配置面18に連続的に垂直に突出して形成された周面43と導波構造配置面18から離れて該周面43に連続的に形成された自由端部42を有する。この例では、ナノロッド41を、好ましくは円柱体形状に形成する。
【0030】
前記発光素子では、好ましくは、n型半導体層12の上に導波構造4を囲んで形成された保護層81をさらに有し、保護層81は好ましくは、空気以上(n=1以上)、n型半導体層12以下(n=2.4〜2.5以上)の屈折率(n)を有する。保護層81を有することにより、半導体と空気の界面での全反射により活性層からの光がLED内部に閉じ込められることが低下できるので、光取り出し効率が高くなる。
【0031】
また、保護層81は、透明であることが好ましい。保護層81は、絶縁体、具体的にはSiO又はSi系化合物を用いて形成されることが好ましい。
【0032】
また、前記発光素子では、基板21が、導電性材料、具体的にはSi、SiC、GaAs、GaP、MgO、ZnO、GaN、AlN、InN、Cu、Mo、W、Al、Au、Zn、Snから選ばれた1又は2以上の組合せからなることが好ましい。この例では、基板21は、Siを用いて形成される。
【0033】
前記発光素子ではさらに、基板21とp型半導体層14との間に反射層16が形成され、反射層16とp型半導体層14との間に電流拡散層15が形成されてもよい。これにより、光の取り出し効率が良くなる。
【0034】
また、活性層13は、ほぼ450nmの波長の光を発することができる。反射層16は、金属からなることが好ましい。電流拡散層15は、透明であることが好ましい。n型半導体層12及びp型半導体層14は、GaN、AlN、InNからなることが好ましい。
【0035】
図2〜図8は、図1の発光素子の製造法を示す側面図である。
【0036】
本発明の製造法により製造される半導体発光素子は、300nm〜550nmの波長の光を発することができる。まず、第1の基板11と第2の基板21を用意する。第1の基板11上にn型半導体層12と活性層13とp型半導体層14と電流拡散層15と反射層16と第1のAu−Sn合金層17とをこの順に形成する。(図2参照)。他方、第2の基板21上に第2のAu−Sn合金層22を積層する(図3参照)。第1のAu−Sn合金層17と第2のAu−Sn合金層22を例えば350℃にて共晶接合することによってこの合金接合層を介して多層構造を有する第1の基板11が一番上になるように第2の基板21に設ける(図4参照)。n型半導体層12を露出させるように第1の基板11を分離する(図5参照)。n型半導体層12にパターンマスク3を設け(図6参照)、n型半導体層12をエッチングしてパターン化し、複数のナノロッド41が互いに間隔をおいてn型半導体層12から突出して導波構造4を形成する(図7及び図8参照)。
【0037】
この例では、好ましくは、p型半導体層14は、200nm以下の厚さを有する。
【0038】
この例では、好ましくは、ナノロッド41のそれぞれは、第2の基板21に対して直角に突出して、200nm以上の高さを有するように形成される。
【0039】
この例では、パターン化するためのマスクとしては好ましくは、粒子含有材料を用いるドライエッチング法を用いる。
【0040】
この例では、ドライエッチング法としては、例えば誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICPRIE)技術を用いることができる。
【0041】
前記粒子含有材料には、直径0.8μm以下の粒子30、30、…が含まれることが好ましい。また、粒子30、30、…としては、無機酸化化合物例えば、TiO、SiO、Alから1又は2以上の組合せを用いることが好ましい。この例では、粒子30として、TiO材料を用いる。
【0042】
この例では、n型半導体層12とp型半導体層14と活性層13は、好ましくは、エピタキシャル成長法により形成される。
【0043】
この例では好ましくは、金属接合法により、第1の基板11が一番上になるように第1と第2の合金層17、22を接合し、またレーザ除去法を用い、第1の基板11をn型半導体層12から分離する。
【0044】
保護層81を、例えばプラズマ増強化学気相堆積(PECVD)法或いはスピンオンガラス(spin−on−glass,SOG)コーティング法によりパターン化されたn型半導体層12上に形成する。
【0045】
電流拡散層15及び反射層16は、蒸着により形成される。
【0046】
― 実施例 ―
以下、上記製造法の実施の形態にかかる実施例及び比較例について説明する。
【0047】
〈実施例1〉
まず、サファイア(Al)基板(第1の基板)11上に、金属気相エピタキシャル成長法(MOVPE)により、n型GaN半導体層12と、InGaN/GaNを10回繰り返し規則的に積層された活性層13とp型GaN半導体層14(層厚が約100nm)とを成長させた。このサファイア基板は直径が約2インチで、層厚が500μmである。この成長は、MOVPE法のみならず、MBEやハイドライド気相エピタキシャル法を用いてもよい。
【0048】
次いで、p型GaN半導体層14上に電子ビーム蒸着装置により膜厚が約200nmのITOからなる電流拡散層15を形成する。電流拡散層15の上に、電子ビーム蒸着装置により膜厚が約500nmのAl金属層を反射層16として堆積させる。反射層16の上に蒸着により膜厚が約2μmの第1のAu−Sn合金層17が形成される。
【0049】
一方、図3に示すように、2インチ径、500μm厚のシリコン基板(第2の基板)21の上に蒸着により層厚が約2μmの第2のAu−Sn合金層22が形成される。
【0050】
図4に示すように、第1と第2のAu−Sn合金層17、22は、例えば350℃にて共晶接合により接合され、第1の基板11が一番上になるようにシリコン基板12に設けられる。波長が248nm(パルス周期:25×10−9s、レーザスポットサイズ:1.2mm×1.2mm)のレーザ装置を用い、サファイア基板11とn型GaN半導体層12の境界に向けて発光させることにより、当該境界における接合を破壊し、n型GaN半導体層12を露出させるようにサファイア基板11を除去する(図5参照)。塩酸液を用いてサファイア基板11上の残留物を除去すると共に、ICPRIE法によりn型半導体層12上の残留物を除去してn型半導体層12全体を露出させる。
【0051】
TiOを用いて形成された径0.8μm以下の複数の半球状粒子30、30、…をアルコール溶剤に分散させ、マスクとする粒子含有液を調製する。回転速度が6000rpsのスピンコーディング装置により、n型GaN半導体層12に塗布する。溶剤が蒸発した後、半球状粒子30、30、…がマスク3としてn型GaN半導体層12上に粘着される。なお、この例では、粒子30の、分散密度が3×10個(particles)/cmである。
【0052】
n型GaN半導体層12に対して、ICPRIE法により複数の半球状粒子30、30、…を有するマスク3を介してほぼ2分間エッチングをし、図7に示すように、複数の粒子30を載せたナノロッド41が所定の間隔をおいて形成される。この例では、ナノロッド41は、約200nmの長さを有する。次いで、HF酸を用いてナノロッド41上の粒子30を除去する(図8参照)。図9は、n型GaN半導体層12上に形成されたナノロッド41、41、…の20000倍率で撮ったSEM電子写真である。
【0053】
マスク3のスピンコーディングの前に、n型GaN半導体層12の一部に約3000Å厚のSiO層5を形成する。エッチングにより、図7を示すように、粒子30を載せたナノロッド41、41、…を形成すると共に、SiO層5を載せた突起60を形成する。HF酸により粒子30とSiO層5を除去する。次いで、突起60及びシリコン基板21の上にそれぞれ第1の電極61、第2の電極62を形成する。この例では、第1の電極61として、Ti−Al−Pt−Au合金を用いて蒸着によりn型電極を形成され、第2の電極62として、Ti−Au合金を用いてp型電極を形成する。
【0054】
〈実施例2〉
実施例2の発光素子は、実施例1の発光素子と同様に製造されるが、エッチング時間は5分間である。この例によるナノロッド41は約1000nmの長さを有する。
【0055】
〈比較例1〉
比較例1の発光素子は、実施例1の発光素子と同様に製造されるが、n型GaN半導体層12上に複数のナノロッド41が形成されていない。
【0056】
図10は、実施例1、2及び比較例1のパワー出力を示すグラフである。図10に示すように、実施例1と実施例2の発光素子の発光パワー出力は比較例1の発光素子よりも高い。とりわけ例えば、電流が20mAのとき、実施例2の発光パワー出力が22.3mWであり、実施例1の発光パワー出力が17.5mWであるように実施例2の発光パワー出力は実施例1よりも高いことが分かる。
【0057】
このように、n型GaN半導体層12上にナノロッド41、41、…が200nm以上形成されたことにより、発光パワー出力を高めることができる。
【0058】
図11は、実施例1、実施例2及び比較例1の発光素子のファーフィールドパターンを示す。実施例1と実施例2については破線で示し、比較例1について実線で描いた。図11の結果より、実施例1と実施例2は90度方向において比較例1よりも強度が高く、光取り出し効率が高いことが分かる。
【0059】
前記発光実験により、n型GaN半導体層12上に形成されたナノロッド41が長いほど、光取り出し効率を良くすることができる。
【0060】
―シミュレーション例(SE)―
保護層81の形成について図12から14を参照しながら説明する。
【0061】
半導体発光素子の光取り出し効率については、Breault Research Organizationにより開発されたソフトウェアASAP(登録商標)によるシミュレーション装置を用いて解析を行う。
【0062】
〈SE1〉
保護層81は、ナノロッド41の自由端を覆うように膜厚が2μmになるまで積層される。シミュレーション実験において、図12に示す構造を有する発光素子についてのパラメータは、半導体材料がGaN、p型半導体層14の層厚が200nm、活性層13の層厚がナノロッド41の高さ200nmを含めて2μmである。
【0063】
〈SE2〉
SE1とほぼ同様であるが、保護層81が、図13のようにナノロッド41の自由端部42と同一高さに形成される。
【0064】
〈SE3〉
保護層81が、SE1とSE2と違って、図14に示すように、ナノロッド41の自由端部42の上に載置するように設けられる。
【0065】
〈SE4〉
図示しないが、保護層81を形成していない半導体発光素子を用意する。
【0066】
〈SCE1(比較用)〉
図示しないが、ナノロッド41及び保護層81を形成していない半導体発光素子を用意する。
【0067】
表1は、SE1〜4及びSCE1の発光強度についてのシミュレーション結果を示す
【0068】
なお、改善度は下式により算出できる。
改善度(Improvement)=[(VSE−VSCE)/VSCE]×100%
ただし、VSEは、シミュレーションによるSEの強度(intensity)の計算値、VSCEは、シミュレーションによるSCE(Simulation Comparative Example)の強度の計算値である。
【0069】
【表1】

【0070】
表1から、保護層81を形成したSE1〜SE3は保護層81を形成しないSE4よりも強度が高く改善度もよいことが分かる。とりわけ図12の保護層81がナノロッド41を含めて厚くされた発光素子は光取り出し効率が良いことが分かる。このように、保護層81が形成されても半導体発光素子の光取り出し効率に悪い影響を与えないことが分かる。
【0071】
本発明の半導体発光素子によれば、n型半導体層12をバッファ層としてその上に導波構造として複数のナノロッド41を形成し且つ保護層81をナノロッド41を含めて厚く積層させたことにより、発光素子と空気との屈折率の差を小さくすることができ、光取り出し効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の半導体発光素子は、高発光効率の光源として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態にかかる発光素子例の一部を示す側面図である。
【図2】図1の発光素子の製造法を示す側面図である。
【図3】図1の発光素子の製造法を示す側面図である。
【図4】図1の発光素子の製造法を示す側面図である。
【図5】図1の発光素子の製造法を示す側面図である。
【図6】図1の発光素子の製造法を示す側面図である。
【図7】図1の発光素子の製造法を示す側面図である。
【図8】図1の発光素子の製造法を示す側面図である。
【図9】図1の発光素子におけるn型半導体層上に形成された複数のナノロッドを示す電子写真である。
【図10】図1の発光素子にかかる実施例1と2、比較例1の出力パワー/電流を示すグラフ図である。
【図11】図1の発光素子にかかる実施例1と2、比較例1のファーフィールドパターンを示すグラフ図である。
【図12】本発明のSE1による発光素子を示す側面図である。
【図13】本発明のSE2による発光素子を示す側面図である。
【図14】本発明のSE3による発光素子を示す側面図である。
【符号の説明】
【0074】
11 第1の基板(サファイア基板)
12 n型半導体層
13 活性層
14 p型半導体層
15 電流拡散層
16 反射層
17、22 合金層
18 導波構造配置面
21 第2の基板(シリコン基板)
3 マスク
30 粒子
4 導波構造
41 ナノロッド
42 自由端部
5 SiO
60 突起
61 第1の電極(n型)
62 第2の電極(p型)
81 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
300nm〜550nmの波長の光を発することができる半導体発光素子であって、
基板と、
前記基板上に形成されたp型半導体層と、
前記p型半導体層上に形成された活性層と、
1面を導波構造配置面として形成し、他面を前記活性層上に形成したn型半導体層と、
それぞれ前記n型半導体層及び前記基板に電気的に接続された第1の電極と第2の電極と、
前記導波構造配置面から延伸して形成された互いにある間隔をおいた複数のナノロッドを有し、前記n型半導体層の導波構造配置面に形成された導波構造と、
を有することを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記p型半導体層は、200nm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記ナノロッドのそれぞれは、高さが200nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記ナノロッドのそれぞれは、円柱状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記n型半導体層の上に形成された保護層をさらに有し、該保護層は空気以上、n型半導体層以下の屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記n型半導体層の上に前記導波構造を囲んで形成された保護層をさらに有し、該保護層は空気以上、n型半導体層以下の屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記保護層は、透明であることを特徴とする請求項6に記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記保護層は、絶縁体を用いて形成されたことを特徴とする請求項6に記載の半導体発光素子。
【請求項9】
前記保護層は、SiO又はSi系化合物を用いて形成されたことを特徴とする請求項6に記載の半導体発光素子。
【請求項10】
前記基板は、導電性材料からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項11】
前記基板は、Si、SiC、GaAs、GaP、MgO、ZnO、GaN、AlN、InN、Cu、Mo、W、Al、Au、Zn、Snから選ばれた1又は2以上の組合せからなることを特徴とする請求項10に記載の半導体発光素子。
【請求項12】
前記基板と前記p型半導体層との間に反射層がさらに形成され、前記反射層と前記p型半導体層との間に電流拡散層がさらに形成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項13】
前記反射層は、金属からなることを特徴とする請求項12に記載の半導体発光素子。
【請求項14】
前記電流拡散層は、透明であることを特徴とする請求項12に記載の半導体発光素子。
【請求項15】
300nm〜550nmの波長の光を発することができる半導体発光素子の製造法であって、
第1の基板と第2の基板を用意し、
前記第1の基板上にn型半導体層と活性層とp型半導体層を上へ順に形成し多層構造を積層し、
前記第1の基板を、一番上になるように前記第2の基板の上に設け、前記n型半導体層が露出するよう前記第1の基板を前記n型半導体層から分離し、
前記n型半導体層をエッチングして、互いに間隔をおいて前記n型半導体層から突出した複数のナノロッドにより構成される導波構造を形成することにより
導波構造をそなえた半導体発光素子を製造することを特徴とする半導体発光素子の製造法。
【請求項16】
前記p型半導体層は、200nm以下の厚さを有することを特徴とする請求項15に記載の製造法。
【請求項17】
それぞれの前記ナノロッドは、前記第2の基板に対して直角に突出して、200nm以上の高さを有するように形成されることを特徴とする請求項15に記載の製造法。
【請求項18】
マスクとして粒子含有材料を用いたドライエッチング法によって、前記n型半導体層をパターン化し前記導波構造を形成することを特徴とする請求項15に記載の製造法。
【請求項19】
前記ドライエッチング法として、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICPRIE)技術を用いることを特徴とする請求項18に記載の製造法。
【請求項20】
前記粒子含有材料には、直径800nm以下の粒子が含まれることを特徴とする請求項18に記載の製造法。
【請求項21】
前記粒子として、無機酸化化合物を用いることを特徴とする請求項20に記載の製造法。
【請求項22】
前記粒子としては、TiO、SiO、Alの中から1又は2以上の組合せを用いることを特徴とする請求項21に記載の製造法。
【請求項23】
前記p型半導体層、前記第2の基板上にそれぞれさらに第1、第2の合金層を形成し、金属接合法により、前記第1の基板が一番上になるように前記第1と第2の合金層を接合し、
また、レーザ除去法を用い、前記第1の基板を前記n型半導体層から分離することを特徴とする請求項15に記載の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−27128(P2009−27128A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3654(P2008−3654)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(503443599)光寶科技股▲ふん▼有限公司 (20)
【出願人】(598139748)國立交通大學 (92)
【Fターム(参考)】