説明

半導体素子及びその製造方法

【課題】半導体素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】この半導体素子の製造方法は、半導体基板に第1導電型不純物を注入する第1インプラント工程を行い、第1導電型の第1ウェルを形成する段階と、第2導電型不純物を第1導電型の第1ウェルに注入する第2インプラント工程を行い、第1導電型の第2ウェルを形成する段階と、第2導電型不純物を第1導電型の第2ウェルに注入する第3インプラント工程を行い、第2導電型不純物領域を形成する段階と、半導体基板上にゲートを形成する段階と、第2導電型不純物を注入する第4インプラント工程を行い、ゲートの一側の第2導電型不純物領域内にドレイン領域を形成する段階と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子に係り、より詳細には、高電圧半導体素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LCD(liquid crystal display)、PDP(plasma display panel)、OLED(organic light-emitting diode)などの平板ディスプレイ用駆動LSI(large-scale integration)、自動車用LSI、OA(office automation)及び周辺機器用LSI、並びにモーター駆動LSIに用いられる回路は、高電圧素子と低電圧ロジック素子を一つのチップ内に集積している。
【0003】
高電圧素子と低電圧ロジック素子が一つのチップに集積されるPMIC(Power Management Integrated Circuit)製品は日々発展しつつあり、その応用分野も増加の一路をたどっている。
【0004】
一般に、高電圧素子を形成するために、ロジック素子を形成する前に、高電圧素子のためのウェル形成工程と拡張ドレイン(extended drain)領域形成工程を行う。または、ロジック素子のためのウェル及び高電圧素子のためのウェルを、一つの素子チャネル領域で混用することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの高電圧素子形成のための工程ステップは、全体の製造工程ステップの増加をもたらすことができ、製造工程の増加に伴って製造コストが増加する恐れがある。高電圧用ウェル及びロジック用ウェルの混用は、素子のしきい電圧の不安定性を誘発することができる。また、高電圧素子と低電圧ロジック素子とが一つのチップに集積されるから、素子の小型化には限界がある。
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、ロジック素子のドレイン領域に一つの工程ステップのみを追加することによって局部的に低濃度のウェル領域及び低濃度の拡張ドレイン領域を形成し、局部的な低濃度のウェルタイプを有する高電圧素子及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するための本発明の実施例に係る半導体素子の製造方法は、半導体基板に第1導電型不純物を注入する第1インプラント工程を行い、第1導電型の第1ウェルを形成する段階と、第2導電型不純物を第1導電型の第1ウェルに注入する第2インプラント工程を行い、第1導電型の第2ウェルを形成する段階、第2導電型不純物を第1導電型の第2ウェルに注入する第3インプラント工程を行い、第2導電型不純物領域を形成する段階、半導体基板上にゲートを形成する段階、及び第2導電型不純物を注入する第4インプラント工程を行い、ゲートの一側の第2導電型不純物領域にドレイン領域を形成する段階を含む。
【0008】
上記の課題を達成するための本発明の実施例に係る半導体素子は、半導体基板に形成される第1不純物濃度を有する第1導電型の第1ウェル、第1ウェル内に形成される、第2不純物濃度を有する第1導電型の第2ウェル、第2ウェル内に形成される、第3不純物濃度を有する第2導電型不純物領域、半導体基板上に形成されるゲート、及びゲートの一側の第2導電型不純物領域に形成される、第4不純物濃度を有する第1導電型ドレイン領域を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の半導体素子及びその製造方法によれば、一つのマスクとイオン注入工程を用いて高電圧素子の製造が可能となり、高電圧素子の大きさを小さくすることによってドレイン及びソース間のパンチスルー(punchthrough)を抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明の実施例による半導体素子の製造方法を示す図である。
【図1B】本発明の実施例による半導体素子の製造方法を示す図である。
【図1C】本発明の実施例による半導体素子の製造方法を示す図である。
【図1D】本発明の実施例による半導体素子の製造方法を示す図である。
【図1E】本発明の実施例による半導体素子の製造方法を示す図である。
【図2】図1Eにおける半導体素子の垂直ドーピングプロファイルを示す図である。
【図3】図1Eにおける半導体素子の水平ドーピングプロファイルを示す図である。
【図4】ロジック素子と高電圧素子のドレイン電流及び電圧特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の技術的課題及び特徴は、添付の図面及び実施例についての説明から明白になる。本発明について具体的に説明すると、下記の通りである。
【0012】
図1A〜図1Eは、本発明の実施例による半導体素子の製造方法を示す図である。
【0013】
まず、図1Aに示すように、半導体基板110に第1導電型不純物を注入する第1インプラント工程を行い、高農度の第1導電型の第1ウェル115を形成する。半導体基板110は、第1導電型または第2導電型の基板とすることができる。ここで、半導体基板110の不純物濃度は、5E16atoms/cm2以下とすることができ、高農度の第1ウェル115の不純物濃度は、5E16〜1E18 atoms/cm2とすることができる。
【0014】
ここで、第1導電型はp型であり、第2導電型はn型でありうる。しかし、これに本発明が限定されることはなく、第1導電型をn型とし、第2導電型をp型とすることもできる。
【0015】
次に、第1導電型の第1ウェル115が形成されている半導体基板110にフォトリソグラフィ(photolithography)工程を行い、半導体基板110の一部を露出させる第1フォトレジストパターン120を形成する。そして、第1フォトレジストパターン120をマスクとして第2導電型不純物を第1導電型の第1ウェル115に注入する第2インプラント工程を行い、第1導電型の第1ウェル115内に第1導電型の第2ウェル130を形成する。
【0016】
例えば、第2導電型の不純物を高エネルギーで第1導電型の第1ウェル115に注入すると、補償(compensation)によって第1導電型の第1ウェル115よりも低濃度となった第1導電型の第2ウェル130を第1導電型の第1ウェル115内に形成することができる。
【0017】
この時、第1フォトレジストパターン120をマスクとして第2導電型不純物を斜めにイオン注入し、濃度の低くなった第1導電型の第2ウェル130を形成することができる。このような斜めイオン注入により、後で形成されるチャネル方向への第1導電型の第2ウェル130の幅が決定されることができる。
【0018】
次に、図1Cに示すように、第1フォトレジストパターン120をマスクとして第2導電型不純物を第1導電型の第2ウェル130に注入する第3インプラント工程を行い、第2導電型不純物領域140を形成する。第3インプラント工程のためのイオン注入エネルギーは、第2インプラント工程のためのイオン注入エネルギーよりも小さくすることができる。その後、第1フォトレジストパターン120をアッシングまたはストリッピング工程によって除去する。
【0019】
続いて、図1Dに示すように、第1導電型の第1ウェル115、第1導電型の第2ウェル130、及び第2導電型不純物領域140の形成されている半導体基板110上に、ゲート絶縁膜152及びゲート電極154が順に積層されてなるゲート150を形成する。
【0020】
このゲート150は、第1導電型の第2ウェル130及び第2導電型不純物領域140とそれぞれ部分的にオーバーラップするように第1導電型の第1ウェル115上に形成されることができる。
【0021】
図1Dと違い、ゲート150は、第2導電型不純物領域140とはオーバーラップせずに、第1導電型の第2ウェル130のみと一部がオーバーラップするように第1導電型の第1ウェル115上に形成されることもできる。
【0022】
次に、図1Eに示すように、フォトリソグラフィ工程を行うことで、ゲート150の形成されている半導体基板110上に、第2フォトレジストパターン160を形成する。第2フォトレジストパターン160は、第2導電型不純物領域140のうち、ゲート150と隣接した一部は覆い、残りの他部は露出させる。
【0023】
続いて、第2フォトレジストパターン160をマスクとして第2導電型不純物を注入する第4インプラント工程を行い、ゲート150の両側の半導体基板110にソース領域172及びドレイン領域174を形成する。
【0024】
すなわち、ソース領域172は、ゲート150の一側における第1導電型の第1ウェル115に形成される。そして、ドレイン領域174は、ゲート150の他側における第2導電型不純物領域140の上記露出された残りの他部に形成される。ソース領域172及びドレイン領域174の形成後に、第2フォトレジストパターン160を除去する。
【0025】
高電圧素子の降伏電圧を調節する目的として、ドレイン領域174をゲート150から一定の距離離間して第2導電型不純物領域に形成することによって、低濃度の拡張ドレイン領域180を形成することができる。
【0026】
図1Eに示すように、本発明の実施例による半導体素子は、半導体基板110に形成される、第1不純物濃度を有する第1導電型の第1ウェル115、第1導電型の第1ウェル115内に形成される、第2不純物濃度を有する第1導電型の第2ウェル130、第1導電型の第2ウェル130内に形成される、第3不純物濃度を有する第2導電型不純物領域140、半導体基板110上に形成されるゲート150、ゲート150の一側における第1導電型の第1ウェル115に形成されるソース領域172、及びゲート150の他側における第2導電型不純物領域140に形成される、第4不純物濃度を有する第2導電型ドレイン領域174を含む。
【0027】
ここで、第2不純物の濃度は、第1不純物の濃度よりも低い。また、ドレイン領域174は、降伏電圧を調節する目的で、ゲート150から一定の距離離間して形成されることができる。
【0028】
図2は、図1Eに示す半導体素子の垂直ドーピングプロファイルを示し、図3は、図1Eに示す半導体素子の水平ドーピングプロファイルを示す。
【0029】
図2に示すように、ドレイン領域174の不純物濃度n+が、第2導電型不純物領域140の濃度n0よりも高く、第1導電型の第1ウェル115の不純物濃度P0が、第1導電型の第2ウェル130の不純物濃度P−よりも高い。また、図3に示すように、ソース領域172の濃度n+及びドレイン領域174の濃度n+は同一である。
【0030】
図4は、ロジック素子と高電圧素子のドレイン電流及び電圧特性を示すグラフである。第1グラフg1は、ロジック素子のドレイン電圧−電流特性を示し、第2グラフg2は、本発明の実施例による高電圧素子のドレイン電圧−電流特性を示す。
【0031】
図4を参照すると、ドレイン電圧Vdが小さい領域(Vd<Vd)では、ロジック素子も高電圧素子もそれぞれのドレイン電流Idが一定である。しかし、ドレイン電圧Vdが第1電圧Vdを越えると、ロジック素子のドレイン電流は次第に増加し、第2電圧Vdになると正常でないドレイン電流が流れることになり、ロジック素子は破壊される。これに対し、ドレイン電圧Vdが第2電圧Vdになっても、高電圧素子のドレイン電流Idは一定である。さらに、高電圧素子のドレイン電流は第3電圧Vdまで一定である。以降、そのドレイン電圧が第3電圧Vdを超えると高電圧素子のドレイン電流も次第に増加し、第4電圧Vdになると正常でないドレイン電流が流れ、高電圧素子が破壊される。
【0032】
以上では具体的な実施例及び添付の図面を挙げて本発明を説明したが、これに限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であるということは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとっては明白である。したがって、本発明の技術的範囲は明細書中の詳細な説明に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲により定められるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に第1導電型不純物を注入する第1インプラント工程を行い、第1導電型の第1ウェルを形成する段階と、
第2導電型不純物を前記第1導電型の第1ウェルに注入する第2インプラント工程を行い、第1導電型の第2ウェルを形成する段階と、
第2導電型不純物を前記第1導電型の第2ウェルに注入する第3インプラント工程を行い、第2導電型不純物領域を形成する段階と、
前記半導体基板上にゲートを形成する段階と、
第2導電型不純物を注入する第4インプラント工程を行い、前記ゲートの一側における第2導電型不純物領域にドレイン領域を形成する段階と、
を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記第1導電型の第2ウェルを形成する段階は、
前記第1導電型の第1ウェルの形成されている半導体基板に第1フォトレジストパターンを形成する段階と、
前記第1フォトレジストパターンをマスクとして前記第2インプラント工程を行う段階と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記第2導電型不純物領域を形成する段階は、
前記第1フォトレジストパターンをマスクとして前記第3インプラント工程を行うことを特徴とする、請求項2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記第1導電型の第2ウェルを形成する段階は、
前記第1フォトレジストパターンをマスクとして前記第2導電型不純物を斜めにイオン注入することを特徴とする、請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記第4インプラント工程によって前記ゲートの他側における第1導電型の第1ウェルにソース領域を形成する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項6】
降伏電圧を調節するために、前記ドレイン領域を前記ゲートから一定の距離離間して形成することを特徴とする、請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記第1導電型の第1ウェルの不純物濃度は、前記第1導電型の第2ウェルの不純物濃度よりも高いことを特徴とする、請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項8】
半導体基板に形成される、第1不純物濃度を有する第1導電型の第1ウェルと、
前記第1ウェル内に形成される、第2不純物濃度を有する第1導電型の第2ウェルと、
前記第2ウェル内に形成される、第3不純物濃度を有する第2導電型不純物領域と、
前記半導体基板上に積層されるゲート絶縁膜及びゲート電極と、
前記ゲート電極の一側の第2導電型不純物領域に形成される、第4不純物濃度を有する第1導電型ドレイン領域を含むことを特徴とする半導体素子。
【請求項9】
前記第2不純物度は、前記第1不純物度よりも低いことを特徴とする、請求項8に記載の半導体素子。
【請求項10】
前記ドレイン領域は、
降伏電圧を調節するために、前記ゲート電極から一定の距離離間して形成されることを特徴とする、請求項8に記載の半導体素子。
【請求項11】
前記ゲート電極の他側における第1導電型の第1ウェルに形成されるソース領域をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の半導体素子。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−153866(P2010−153866A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290158(P2009−290158)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(507246796)ドンブ ハイテック カンパニー リミテッド (189)
【氏名又は名称原語表記】Dongbu HiTeK Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】Dongbu Finance Center,891−10,Daechi−dong,Gangnam−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】