説明

半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法

【課題】微細で密着力のある外層回路が形成可能であり、歩留まりの向上および半導体素子との接続信頼性を確保可能な半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法を提供する。
【解決手段】多層金属箔9と基材16とを積層してコア基板17を形成する工程と、多層金属箔9の第1キャリア金属箔10を物理的に剥離する工程と、第2キャリア金属箔上11にパターンめっき18を行い、絶縁層を積層して積層体を形成する工程と、積層体を第2キャリア金属箔11とともにコア基板17から分離する工程と、エッチングによりパターンめっき18の表面が絶縁層の表面に対して凹みを形成するようにする工程と、凹みに貴金属めっきを行い絶縁層の表面に対して平坦とする工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度化が可能な半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の小型化や高密度化に伴い、システム化された半導体素子搭載用パッケージ基板(以下、「パッケージ基板」ということがある。」が求められている。SiP(System in Package)に代表されるPoP(Package on Package)では、近年、一つのパッケージ基板に半導体素子を複数積み重ねたパッケージが主流となってきている。これに伴い、PoP用のパッケージ基板では、半導体素子との接続端子を高密度に配置する必要が生じ、外層回路の微細化が要求されている。
【0003】
また、半導体素子とパッケージ基板の接続端子との電気的接続は、フリップチップ接続やワイヤーボンディング接続が用いられるが、接続端子が微細になるほど接続信頼性の確保が困難になる傾向がある。具体的には、はんだを用いるフリップチップ接続では、接続端子の表面と側面が露出していると、接続端子の側面にはんだが回りこむことによって、接続端子間が短絡する場合があるため、接続端子が絶縁層に埋め込まれ、接続端子と絶縁層とが平坦であることが要求される。一方で、ワイヤーボンディング接続では下地めっきとしてのニッケルめっきがある程度の厚みを有することが要求されている。しかし、下地めっきとしてのニッケルめっきの厚みを満足すると、接続端子が厚くなり、絶縁層の表面に対して平坦性が失われることになる。このため、フリップチップ接続とワイヤーボンド接続が混在するパッケージ基板では、これら両者の接続信頼性を満足するのが困難となっており、接続端子の微細化とともに、接続端子と絶縁層との平坦性及び下地めっき厚みの確保が要求されている。
【0004】
微細な外層回路を形成する方法として、厚さが2μm程度の薄い銅箔を備えた絶縁基材に層間接続孔を設け、薄い銅箔上及び層間接続孔内に厚さ0.1μm程度の薄付け無電解銅めっきを行い、その上にめっきレジストを形成して外層回路となる部分をパターン電気めっきで厚付けした後、めっきレジストを除去し、全面をエッチングすることによって、パターン電気めっきしていない部分のみ(即ち、導体の薄い部分のみ)を除去して外層回路を形成する方法がある(特許文献1)。
【0005】
また、外層回路と絶縁層との平坦性を得る方法として、物理的に剥離可能なキャリア銅箔付きの極薄銅箔(厚さ1〜5μm)面に絶縁樹脂を設けて支持基板を形成し、この支持基板の極薄銅箔上にパターン銅めっきにより外層回路となる導体パターンを形成し、その上に絶縁樹脂や層間接続を形成した後、キャリア銅箔を含む支持基板を物理的に剥離し、さらに極薄銅箔をエッチングにより除去することで微細な外層回路を形成する方法がある(特許文献2)。
【0006】
さらに、外層回路と絶縁層との平坦性を得る方法として、キャリア膜の中間膜の表面に所定パターンの配線膜を形成し、配線膜の表面にパターンめっきにより導電性ピラーを形成し、層間絶縁膜を形成した配線部材を2つ用意し、導電性ピラーの先端面どうしが接するように積層一体化し、中間膜をエッチングストップ層としてキャリア膜をエッチング除去し、さらに中間膜をエッチングにより除去することで配線を形成する方法がある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−140176号公報
【特許文献2】特開2005−101137号公報
【特許文献3】特開2006−135277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では、パターン電気銅めっきの給電層として、絶縁基材上に設けられた薄い銅箔と薄付け無電解銅めっきとを用いるため、パターン電気めっき後に全面をエッチングする際には、給電層(薄い銅箔と薄付け無電解銅めっきとを合わせた層)の厚さ分のエッチングが必要になる。このエッチングによって給電層を除去する際に、アンダーカットが生じる傾向がある。このため、形成される外層回路と絶縁基材との実質的な密着幅が減少し、例えばライン/スペースが15μm/15μm以下レベルの微細な外層回路の形成は難しい。また、外層回路がその厚み分だけ絶縁基材より出っ張っており、外層回路と絶縁基材との平坦性を満足できない問題があった。
【0009】
また、特許文献2の方法では、キャリア銅箔付きの極薄銅箔(厚さ1〜5μm)面に絶縁樹脂を積層して支持基板を形成する際、支持基板の表面側に露出した極薄銅箔の表面に絶縁樹脂の樹脂粉が付着することがあり、この極薄銅箔に付着した樹脂粉が、極薄銅箔を加工して微細な外層回路を形成する際に、歩留まり低下の要因になる可能性がある。また、外層回路は絶縁層に埋め込まれてはいるが、外層回路上にワイヤボンディング用の下地ニッケルめっきと金めっきを行うと、これらの厚みだけ絶縁層より外層回路が出っ張るため、外層回路と絶縁基材との平坦性が十分ではない問題があった。
【0010】
また、特許文献3の方法は、中間膜をエッチングストップ層としてキャリア膜をエッチング除去し、さらに中間膜をエッチングにより除去するが、エッチングストップ層にピンホール等の欠陥が生じ易いため歩留まりが低下する可能性があり、またエッチングを2段階に行うため、形成された外層回路の表面の凹凸が増大し、半導体素子との接続信頼性が低下する可能性がある。また、引用文献2と同様に、ワイヤボンディング用の下地ニッケルめっきと金めっきの厚みだけ、絶縁層より外層回路が出っ張るため、やはり外層回路と絶縁基材との平坦性が十分ではない問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、アンダーカットが生じ難いことにより微細で密着力のある外層回路が形成可能であり、絶縁層と積層する際の樹脂粉の付着を抑制することにより歩留まり向上が可能であり、外層回路が絶縁層に対して平坦でかつ表面に貴金属めっきを備えていることにより半導体素子との接続信頼性を確保可能な半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下のものに関する。
(1) 第1キャリア金属箔と第2キャリア金属箔とベース金属箔とをこの順に積層した多層金属箔を準備し、この多層金属箔のベース金属箔側と基材とを積層してコア基板を形成する工程と、前記多層金属箔の第1キャリア金属箔と第2キャリア金属箔との界面で、第1キャリア金属箔を物理的に剥離する工程と、前記コア基板に残った第2キャリア金属箔上にパターンめっきを行う工程と、前記パターンめっきを含む第2キャリア金属箔上に絶縁層を積層して積層体を形成する工程と、前記多層金属箔の第2キャリア金属箔とベース金属箔との界面で、前記積層体を第2キャリア金属箔とともにコア基板から物理的に剥離して分離する工程と、前記分離した積層体の第2キャリア金属箔側からエッチングを行い、少なくとも前記第2キャリア金属箔の一部を除去するとともに、前記パターンめっきの表面が前記絶縁層の表面に対して凹みを形成するようにする工程と、前記凹みを形成したパターンめっきの表面上に、下地めっきと貴金属めっきとを行い、前記貴金属めっきの表面が前記絶縁層の表面に対して面一となるようにする工程と、を有する半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
(2) 上記(1)において、下地めっきがニッケルめっきまたはニッケルめっきとパラジウムめっきであり、貴金属めっきが金めっきまたは銀めっきである半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
(3) 上記(1)または(2)において、多層金属箔は、第2キャリア金属箔とベース金属箔との界面の剥離強度が、第1キャリア金属箔と第2キャリア金属箔との界面の剥離強度よりも大きく形成された多層金属箔である半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
(4) 上記(1)から(3)の何れかにおいて、多層金属箔は、平均粗さ(Ra)0.3μm〜1.2μmの凹凸を予め設けた第2キャリア銅箔の表面に、第1キャリア銅箔が積層された多層金属箔である半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アンダーカットが生じ難いことにより微細で密着力のある外層回路が形成可能であり、絶縁層と積層する際の樹脂粉の付着を抑制することにより歩留まり向上が可能であり、外層回路が絶縁層に対して平坦でかつ表面に貴金属めっきを備えていることにより半導体素子との接続信頼性を確保可能な半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に用いる多層金属箔の断面図である。
【図2】本発明のパッケージ基板の製造方法の一部を表すフロー図である。
【図3】本発明のパッケージ基板の製造方法の一部を表すフロー図である。
【図4】本発明のパッケージ基板の製造方法の一部を表すフロー図である。
【図5】本発明のパッケージ基板の製造方法の一部を表すフロー図である。
【図6】本発明のパッケージ基板の製造方法の一部を表すフロー図である。
【図7】本発明のパッケージ基板の製造方法の一部を表すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のパッケージ基板の製造方法の一例について、図1〜図7を用いて以下に説明する。
【0016】
まず、図1に示すように、第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11とベース金属箔12とをこの順に積層した多層金属箔9を準備する。
【0017】
第1キャリア金属箔10は、第2キャリア金属箔11の表面(第1キャリア金属箔10との界面)を保護するためのものであり、第2キャリア金属箔11との界面で物理的に剥離可能とされる。第2キャリア金属箔11の表面を保護できれば、特に材質や厚みは問わないが、汎用性や取り扱い性の点で、材質としては銅箔やアルミニウム箔が好ましく、厚みとしては1〜35μmが好ましい。また、第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11との界面には、界面での剥離強度を安定化するための剥離層(図示しない。)を設けるのが好ましく、剥離層としては、絶縁樹脂と積層する際の加熱・加圧を複数回行っても剥離強度が安定化しているものが好ましい。このような剥離層としては、特開2003−181970号公報に開示された金属酸化物層と有機剤層を形成したものや、特開2003−094553号公報に開示されたCu−Ni−Mo合金からなるもの、再公表特許WO2006/013735号公報に示されたNi及びWの金属酸化物又はNi及びMoの金属酸化物を含有するものが挙げられる。なお、この剥離層は、第1キャリア金属箔10を第2キャリア金属箔11との界面で物理的に剥離する際には、第1キャリア金属箔10側に付着した状態で剥離し、第2キャリア金属箔11の表面には残留しないものが望ましい。
【0018】
第2キャリア金属箔11は、第1キャリア金属箔10を剥離した後の表面にパターンめっき18を行うために電流を供給するシード層となるものであり、第1キャリア金属箔10との界面およびベース金属箔12との界面で物理的に剥離可能とされる。ベース金属箔12とともにシード層として機能すればよく、特に材質や厚みは問わないが、汎用性や取り扱い性の点で、材質としては銅箔やアルミニウム箔が好ましく、厚みとしては1から18μmのものを使用できる。ただ、後述するように外層回路2を形成する際(図7(12)、(13))にはエッチングで除去されるので、エッチング量のばらつきを極力低減して高精度な微細回路を形成するためには1〜5μmの極薄金属箔が好ましい。また、第1キャリア金属箔10との界面およびベース金属箔12との界面には、界面での剥離強度を安定化するため、上述したような剥離層(図示しない。)を設けるのが好ましい。なお、この剥離層は、第2キャリア金属箔11とベース金属箔12とが一体となってシード層として作用するようにするため、導電性を有するものが望ましい。
【0019】
ベース金属箔12は、多層金属箔9を基材16と積層してコア基板17を作製する際に、基材16と積層される側に位置するものであり、第2キャリア金属箔11との界面で物理的に剥離可能とされる。基材16と積層される際に、基材16との接着性を有していれば特に材質や厚みは問わないが、汎用性や取り扱い性の点で、材質としては銅箔やアルミニウム箔が好ましく、厚みとしては9〜70μmが好ましい。また、第2キャリア金属箔11との界面には、界面での剥離強度を安定化するため、上述したような剥離層(図示しない。)を設けるのが好ましい。
【0020】
多層金属箔9としては、3層以上の金属箔(例えば、上述したように、第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11とベース金属箔12)を有する多層金属箔9であって、少なくとも2箇所の界面(例えば、上述したように、第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11との界面および第2キャリア金属箔11とベース金属箔12との界面)が物理的に剥離可能なものを用いる。多層金属箔9のベース金属箔12側に基材16を積層してコア基板17を形成する工程の際には、第1キャリア金属箔10の表面に樹脂粉等の異物が付着することがあるが、このような異物が付着したとしても、第1キャリア金属箔10を第2キャリア金属箔11との界面で物理的に剥離することで、樹脂粉等の異物の影響のない第2キャリア金属箔11の表面が形成されるので、高品質な金属箔表面を確保することができる。したがって、第2キャリア金属箔11をシード層として使用してパターンめっき18を行う場合にも、欠陥の発生を抑制することができるので、歩留りの向上を図ることが可能になる。
【0021】
次に、図2(1)に示すように、多層金属箔9のベース金属箔12側と基材16とを積層してコア基板17を形成する。基材16は、多層金属箔9と積層一体化してコア基板17を形成するものであり、基材16としては、一般的に半導体素子搭載用パッケージ基板1の絶縁層3として使用されるものを用いることができる。このような基材16として、ガラスエポキシ、ガラスポリイミド等が挙げられる。コア基板17は、多層金属箔9を用いて、パッケージ基板1を製造する際に支持基板となるものであり、剛性を確保することによって、作業性を向上させること、およびハンドリング時の損傷を防いで歩留りを向上させるのを主な役割とするものである。このため、基材16としては、ガラス繊維等の補強材を有するものが望ましく、例えば、ガラスエポキシ、ガラスポリイミド等のプリプレグを、多層金属箔9と重ねて、熱プレス等を用いて加熱・加圧して積層一体化することで形成できる。基材16の両側(図2(1)の上下両側)に多層金属箔9を積層し、この後の工程を行うことで、1回の工程で2つのパッケージ基板1を製造する工程を進めることができるので、工数低減を図ることができる。また、コア基板17の両側に対称な構成の積層板を構成できるので、反りを抑制することができ、作業性や製造設備への引っ掛かり等による損傷も抑制できる。
【0022】
次に、図2(2)に示すように、多層金属箔9の第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11との界面で、第1キャリア金属箔を物理的に剥離する。第1キャリア金属箔10の表面には、積層時に基材16の材料となるプリプレグ等からの樹脂粉等の異物が付着する場合がある。このため、この第1キャリア金属箔10を用いて回路を形成する場合は、表面に付着した樹脂粉等の異物によって、回路に断線や短絡等の欠陥が生じることがあり、歩留りの低下に繋がる可能性がある。しかし、このように、第1キャリア金属箔10を剥離し除去することにより、樹脂粉等の異物が付着していない第2キャリア金属箔11を使用して回路を形成することができるので、回路欠陥の発生を抑制することができ、歩留りを改善することが可能になる。また、第1キャリア金属箔を物理的に剥離可能であるため、第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11との界面の剥離強度を調整することで、剥離作業を容易に行うことができる。このとき、多層金属箔9の第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11との界面の剥離層(図示しない。)は、第1キャリア金属箔10側に移行するのが望ましい。これにより、第1キャリア金属箔10を剥離した後の第2キャリア金属箔11側には、第2キャリア金属箔11の表面が露出するので、後工程で行う第2キャリア金属箔11上へのめっきレジスト形成やパターンめっき18の形成が、剥離層によって阻害されることがない。
【0023】
ここで、多層金属箔9は、第2キャリア金属箔11とベース金属箔12との界面の剥離強度が、第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11との界面の剥離強度よりも大きく形成された多層金属箔9であるのが望ましい。これにより、第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11との界面で物理的に剥離する際に、第2キャリア金属箔11とベース金属箔12との界面が同時に剥離するのを抑制することができる。剥離強度としては、加熱・加圧する前の初期において、第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11との界面では2N/m〜50N/m、第2キャリア金属箔11とベース金属箔12との界面では10N/m〜70N/mとし、第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11との界面の剥離強度が、第2キャリア金属箔11とベース金属箔12との界面の剥離強度よりも5N/m〜20N/m小さくなるようにすると、製造工程でのハンドリングで剥離することがなく、一方で剥離する際は容易であり、しかも第1キャリア金属箔10を剥離する際に、第2キャリア金属箔11が同時に剥れるのを抑制することができるので作業性がよい。
【0024】
剥離強度の調整は、例えば、特開2003−181970号公報や特開2003−094553号公報、再公表特許WO2006/013735号公報に示されるように、剥離層の下地となる第2キャリア金属箔11の表面(第1キャリア金属箔10との界面)の粗さを調整したり、剥離層となる金属酸化物や合金めっき層を形成するためのめっき液組成や条件を調整することにより可能となる。
【0025】
次に、図2(3)に示すように、コア基板17に残った第2キャリア金属箔11上にパターンめっき18を行う。上述したように、第2キャリア金属箔11の表面(第1キャリア金属箔10との界面)には、積層時に使用するプリプレグ等からの樹脂粉等の異物は付着しないので、これに起因する回路欠陥を抑制可能となる。パターンめっき18は、第2キャリア金属箔11上に、めっきレジスト(図示しない。)を形成した後、電気めっきを用いて行うことができる。めっきレジストとしては、パッケージ基板1の製造プロセスで用いられる感光性レジストを使用することができる。電気めっきとしては、パッケージ基板1の製造プロセスで用いられる硫酸銅めっきを用いることができる。
【0026】
多層金属箔9は、平均粗さ(Ra)が0.3μm〜1.2μmの凹凸を予め設けた第2キャリア金属箔11の表面に、剥離層(図示しない。)を介して第1キャリア金属箔10が積層された多層金属箔9であるのが望ましい。これにより、第1キャリア金属箔10を剥離層とともに物理的に剥離した後の第2キャリア金属箔11の表面は、予め設けた平均粗さ(Ra)が0.3μm〜1.2μmの凹凸を有する。このため、第2キャリア金属箔11の表面(第1キャリア金属箔10との界面)に、パターンめっき18用のめっきレジストを形成する際に、めっきレジストの密着や解像性を向上させることができ、高密度回路の形成に有利となる。また、第2キャリア金属箔11の表面に予め凹凸を設けておくことで、第1キャリア金属箔10を剥離した後に、第2キャリア金属箔11の表面に粗面化処理を行う必要がないため、工数の低減を図ることができる。
【0027】
第2キャリア金属箔11の表面に設ける凹凸の表面粗さは、平均粗さ(Ra)が0.3〜1.2μmであるのが、めっきレジストの密着や解像性を改善しつつ、パターンめっき18後の剥離性を確保できる点で望ましい。平均粗さ(Ra)が0.3μm未満の場合、めっきレジストの密着不足が生じる傾向があり、平均粗さ(Ra)が1.2μmを超える場合、めっきレジストが追従し難くなりやはり密着不足が生じる傾向がある。さらに、めっきレジストのライン/スペースが15μm/15μmよりも微細になる場合には、平均粗さ(Ra)が0.5μm〜0.9μmであるのが望ましい。ここで、平均粗さ(Ra)とは、JIS B 0601(2001)で規定される平均粗さ(Ra)であり、触針式表面粗さ計などを用いて測定することが可能である。なお、平均粗さ(Ra)の調整は、第2キャリア金属箔11が銅箔であれば、第2キャリア金属箔としての銅箔を形成する際の電気銅めっきの組成(添加剤等を含む)や条件を調整することで可能となる。
【0028】
次に、図3(4)に示すように、パターンめっき18を含む第2キャリア金属箔11上に絶縁層3を積層して積層体22を形成する。絶縁層3としては、一般的に半導体素子搭載用パッケージ基板1の絶縁層3として使用されるものを用いることができる。このような絶縁層3として、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられ、例えば、エポキシ系やポリイミド系の接着シート、ガラスエポキシやガラスポリイミド等のプリプレグを、熱プレス等を用いて加熱・加圧して積層一体化することで形成できる。ここで、積層体22とは、このように積層一体化した状態のもののうち、パターンめっき18を含む第2キャリア金属箔11上に積層されたものをいう。絶縁層3となるこれらの樹脂の上に、さらに導体層20となる金属箔と重ねて同時に加熱・加圧して積層一体化した場合は、この導体層20も含む。また、後述するように、導体層20により内層回路6を形成したり、導体層20を接続する層間接続5を形成した場合は、これらの内層回路6や層間接続5も含む。即ち、積層体22とは、コア基板17とともに積層一体化されたもののうち、パターンめっき18を含む第2キャリア金属箔11上に形成されたものをいう。
【0029】
次に、図3(5)、(6)に示すように、層間接続孔21を形成し、層間接続5や内層回路6を形成してもよい。層間接続5は、例えば、いわゆるコンフォーマル工法を用いて層間接続孔21を形成した後、この層間接続孔21内をめっきすることで形成することができる。このめっきには、下地めっきとして薄付け無電解銅めっきを行った後、厚付けめっきとして無電解銅めっきや電気銅めっき、フィルドビアめっき等を用いることができる。エッチングする導体層20の厚みを薄くして微細回路を形成し易くするためには、薄付けの下地めっきの後、めっきレジストを形成し、厚付けめっきを電気銅めっきやフィルドビアめっきで行うのが望ましい。内層回路6は、例えば、層間接続孔21へのめっきを行った後、エッチングによって不要部分の導体層20を除去することにより形成することができる。
【0030】
次に、図4(7)、(8)および図5(9)、(10)に示すように、内層回路6や層間接続5の上に、さらに絶縁層3と導体層20を形成し、図3(5)、(6)のときと同様にして、所望の層数となるように、内層回路6や外層回路2、7、層間接続5を形成することもできる。
【0031】
次に、図6(11)に示すように、多層金属箔9の第2キャリア金属箔11とベース金属箔12との界面で、積層体22を第2キャリア金属箔11とともにコア基板17から物理的に剥離して分離する。このとき、多層金属箔9の第2キャリア金属箔11とベース金属箔12との界面の剥離層(図示しない。)は、ベース金属箔12側に移行するのが望ましい。これにより、ベース金属箔12を剥離した後の積層体22側には、第2キャリア金属箔11の表面が露出するので、後工程で行う第2キャリア金属箔11のエッチングが、剥離層によって阻害されることがない。
【0032】
次に、図7(12)、(13)に示すように、分離した積層体22の第2キャリア金属箔11側からエッチングを行い、少なくとも第2キャリア金属箔11の一部を除去するとともに、パターンめっき18の表面が絶縁層3の表面に対して凹みを形成するようにする。なお、図7(12)〜(14)は、図6(11)のように分離した積層体22のうち、下側の部分のみを表している。これにより、外層回路2を形成する際に、外層回路2の側面がエッチングによって侵食されないため、アンダーカットを生じないので、微細な外層回路2を形成することができる。また、本発明で形成される外層回路2は、絶縁層3に埋め込まれた状態となるため、外層回路2の底面だけでなく、両側の側面も絶縁層3と密着しているため、微細回路であっても、十分な密着性を確保することができる。さらに、第2キャリア金属箔11として厚さ1μm〜5μmの極薄銅箔を用いた場合は、僅かなエッチング量でも第2キャリア金属箔11を除去することができるため、絶縁層3に埋め込まれ、絶縁層3の表面に対して凹みを形成した外層回路2の表面(貴金属めっき8の表面に相当。)は平坦であり、この上に後述する下地めっき23や貴金属めっき8を行ったときのワイワーボンディングやフリップチップ接続の際の接続信頼性を確保することができ、半導体素子との接続端子として用いられるのに適している。また、さらに、半導体素子との接続端子を、層間接続5と平面視において重なる位置の外層回路2に設けることが可能であるため、半導体素子との接続端子を層間接続5の直上または直下に設けることが可能であり、小型化・高密度化にも対応が可能である。絶縁層3の表面に対する凹みの深さは、3μm〜7μm程度であると、後述する下地めっきと貴金属めっきの厚みを確保することができるので望ましい。
【0033】
次に、図7(14)に示すように、絶縁層3の表面に対して凹みを形成したパターンめっき18の表面上に、下地めっき23と貴金属めっき8とを行い、貴金属めっき8の表面が絶縁層3の表面に対して面一となるようにする。はんだを用いるフリップチップ接続では、接続端子となる外層回路2の表面と側面が露出していると、接続端子の側面にはんだが回りこむことによって、接続端子間が短絡する場合があるため、接続端子となる外層回路2が絶縁層3に埋め込まれ、接続端子と絶縁層3とが平坦であることが要求される。一方で、ワイヤーボンディング接続では下地めっき23としてのニッケルめっきがある程度の厚みを有することが要求されている。本発明では、絶縁層3の表面に対して凹みを形成したパターンめっき18の表面上に、下地めっき23と貴金属めっき8とを行ので、ニッケルめっきの厚みを厚くしても、接続端子の表面が絶縁層3の表面に対して平坦性を失わない。このため、フリップチップ接続とワイヤーボンド接続が混在するパッケージ基板においても、これら両者の接続信頼性を満足することが可能になる。したがって、接続端子の微細化とともに、接続端子と絶縁層3との平坦性と下地めっき23厚みを確保したパッケージ基板を提供できる。下地めっき23としては、ニッケルめっきまたはニッケルめっきとパラジウムめっきを用いるのが望ましい。まためっきの厚みは、ニッケルが3μm〜7μm、パラジウムめっきが0.1μm〜0.5μmとすると、外層回路2が銅で構成される場合に、半導体素子を実装する際の加熱によっても、貴金属めっき8層への拡散を抑制し、接続信頼性を確保できる点で望ましい。貴金属めっき8としては、金めっきまたは銀めっきを用いるのが望ましい。また、これらの厚みは、0.03μm〜、0.5μmであるのが望ましい。なお、ニッケルめっき、パラジウムめっき、金めっきは、何れも電解めっき及び無電解めっきの何れも使用できる。
【0034】
本発明のパッケージ基板の製造方法によれば、層間接続5と重なる位置に平坦でかつ表面に貴金属めっきを備える微細な埋め込み回路を有するパッケージ基板を形成することができ、ワイヤーボンディング接続とフリップチップ接続が混在する場合でも、接続信頼性を確保することが可能なパッケージ基板1を形成することができる。
【実施例】
【0035】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明は本実施例に限定されない。
【0036】
(実施例1)
まず、図1に示すように、第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11とベース金属箔12とをこの順に積層した多層金属箔9を準備した。第1キャリア金属箔10は9μmの銅箔を、第2キャリア金属箔11は3μmの極薄銅箔を、ベース金属箔12は18μmの銅箔を用いている。ベース金属箔12の表面(第2キャリア金属箔11との界面)には、物理的な剥離が可能になるように、剥離層を設けた。また、第2キャリア金属箔11の表面(第1キャリア金属箔10との界面)には、平均粗さ(Ra)0.3μm〜1.2μmの凹凸を予め設けた。また、この凹凸の上、つまり第1キャリア金属箔10との界面には、物理的な剥離が可能になるように、剥離層を設けた。ベース金属箔12と第2キャリア金属箔11との界面、及び第2キャリア金属箔11と第1キャリア金属箔10との界面の剥離層は、何れもNi30g/L、Mo3.0g/L、クエン酸30g/Lの組成を持つめっき浴を用いて金属酸化物層を形成することで形成した。なお、剥離強度の調整は、電流を調整することで、剥離層を形成する金属酸化物量を調整して行った。このときの剥離強度は、ベース金属箔12と第2キャリア金属箔11との界面が47N/m、第2キャリア金属箔11と第1キャリア金属箔10との界面が29N/mであった。
【0037】
次に、図2(1)に示すように、多層金属箔9のベース金属箔12側と基材16とを積層してコア基板17を形成した。基材16としてガラスエポキシのプリプレグを用い、このプリプレグの上下両側に多層金属箔9を重ねて、熱プレスを用いて加熱・加圧して積層一体化した。
【0038】
次に、図2(2)に示すように、多層金属箔9の第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11との界面で、第1キャリア金属箔10を物理的に剥離した。
【0039】
次に、図2(3)に示すように、コア基板17に残った第2キャリア金属箔11上にパターンめっき18を行った。パターンめっき18は、第2キャリア金属箔11上に、感光性のめっきレジストを形成した後、硫酸銅電気めっきを用いて形成した。形成したパターンめっき18のライン/スペースは、10μm/10μm、15μm/15μm、20μm/20μmであり、厚みは10μmである。
【0040】
次に、図3(4)に示すように、パターンめっき18を含む第2キャリア金属箔11上に絶縁層3を積層して積層体22を形成した。絶縁層3としては、エポキシ系の接着シートを熱プレスを用い、加熱・加圧して積層一体化することで形成した。
【0041】
次に、図3(5)、(6)に示すように、層間接続5や内層回路6を形成した。層間接続5は、コンフォーマル工法を用いて層間接続孔21を形成した後、この層間接続孔21内をめっきすることで形成した。このめっきには、下地めっきとして薄付け無電解銅めっきを行った後、感光性のめっきレジストを形成し、厚付けめっきを硫酸銅電気めっきで行った。この後、エッチングによって不要部分の導体層20を除去することにより内層回路6を形成した。
【0042】
次に、図4(7)、(8)および図5(9)、(10)に示すように、内層回路6や層間接続5の上に、さらに絶縁層3と導体層20を形成し、内層回路6や外層回路2、7、層間接続5を形成して、4層の導体層20を有する積層体22を形成した。
【0043】
次に、図6(11)に示すように、多層金属箔9の第2キャリア金属箔11とベース金属箔12との界面で、積層体22を第2キャリア金属箔11とともにコア基板17から物理的に剥離して分離した。
【0044】
次に、図7(12)、(13)に示すように、分離した積層体22の第2キャリア金属箔11側からエッチングを行い、少なくとも第2キャリア金属箔11の一部を除去するとともに、パターンめっき18の表面が絶縁層3の表面に対して凹みを形成した。絶縁層3の表面に対する凹みの深さは、約5.3μmであった。
【0045】
次に、図7(14)に示すように、絶縁層3の表面に対して凹みを形成したパターンめっき18の表面上に、下地めっき23と貴金属めっき8とを行い、貴金属めっき8の表面が絶縁層3の表面に対して面一となるようにした。下地めっき23としては、無電解ニッケルめっき(厚さ5μm)と無電解パラジウムめっき(厚さ0.2μm)を行った。また、貴金属めっき8として、無電解金めっき(厚さ0.1μm)行った。
【0046】
(実施例2)
ベース金属箔12と第2キャリア金属箔11との界面、及び第2キャリア金属箔11と第1キャリア金属箔10との界面の剥離強度を、何れもNi30g/L、Mo3.0g/L、クエン酸30g/Lの組成を持つめっき浴を用いて金属酸化物層を形成する際の電流を変えることで、剥離層を形成する金属酸化物量を調整して変化させた。このときの剥離強度は、ベース金属箔12と第2キャリア金属箔11との界面が23N/m、第2キャリア金属箔11と第1キャリア金属箔10との界面が18N/mであった。
【0047】
実施例1と同様にして作製した分離後の積層体22の第2キャリア金属箔11側からのエッチング量を変えて、絶縁層3の表面に対するパターンめっき18の表面(外層回路2の表面に相当。)の凹みの深さを約3.1μmとした。
【0048】
次に、図7(14)に示すように、絶縁層3の表面に対して凹みを形成したパターンめっき18の表面上に、下地めっき23として、無電解ニッケルめっき(厚さ3μm)と無電解パラジウムめっき(厚さ0.1μm)を行った。また、貴金属めっき8として、無電解金めっき(厚さ0.1μm)を行った。これ以外は、実施例1と同様にしてパッケージ基板を作製した。
【0049】
(実施例3)
ベース金属箔12と第2キャリア金属箔11との界面、及び第2キャリア金属箔11と第1キャリア金属箔10との界面の剥離強度を、何れもNi30g/L、Mo3.0g/L、クエン酸30g/Lの組成を持つめっき浴を用いて金属酸化物層を形成する際の電流を変えることで、剥離層を形成する金属酸化物量を調整して変化させた。このときの剥離強度は、ベース金属箔12と第2キャリア金属箔11との界面が15N/m、第2キャリア金属箔11と第1キャリア金属箔10との界面が2N/mであった。
【0050】
実施例1と同様にして作製した分離後の積層体22の第2キャリア金属箔11側からのエッチング量を変えて、絶縁層3の表面に対するパターンめっき18の表面(外層回路2の表面に相当。)の凹みの深さを約8μmとした。
【0051】
次に、図7(14)に示すように、絶縁層3の表面に対して凹みを形成したパターンめっき18の表面上に、下地めっき23として、無電解ニッケルめっき(厚さ7μm)と無電解パラジウムめっき(厚さ0.5μm)を行った。また、貴金属めっき8として、無電解金めっき(厚さ0.5μm)を行った。これ以外は、実施例1と同様にしてパッケージ基板を作製した。
【0052】
(実施例4)
ベース金属箔12と第2キャリア金属箔11との界面、及び第2キャリア金属箔11と第1キャリア金属箔10との界面の剥離強度を、何れもNi30g/L、Mo3.0g/L、クエン酸30g/Lの組成を持つめっき浴を用いて金属酸化物層を形成する際の電流を変えることで、剥離層を形成する金属酸化物量を調整して変化させた。このときの剥離強度は、ベース金属箔12と第2キャリア金属箔11との界面が68N/m、第2キャリア金属箔11と第1キャリア金属箔10との界面が48N/mであった。
【0053】
実施例1と同様にして作製した分離後の積層体22のキャリア金属箔11側からのエッチング量を変えて、絶縁層3の表面に対するパターンめっき18の表面(外層回路2の表面に相当。)の凹みの深さを約5.3μmとした。
【0054】
次に、図7(14)に示すように、絶縁層3の表面に対して凹みを形成したパターンめっき18の表面上に、下地めっき23として、無電解ニッケルめっき(厚さ5μm)と無電解パラジウムめっき(厚さ0.2μm)を行った。また、貴金属めっき8として、無電解金めっき(厚さ0.1μm)を行った。これ以外は、実施例1と同様にしてパッケージ基板を作製した。
【0055】
(実施例5)
ベース金属箔12と第2キャリア金属箔11との界面、及び第2キャリア金属箔11と第1キャリア金属箔10との界面の剥離強度を、何れもNi30g/L、Mo3.0g/L、クエン酸30g/Lの組成を持つめっき浴を用いて金属酸化物層を形成する際の電流を変えることで、剥離層を形成する金属酸化物量を調整して変化させた。このときの剥離強度は、ベース金属箔12と第2キャリア金属箔11との界面が43N/m、第2キャリア金属箔11と第1キャリア金属箔10との界面が28N/mであった。
【0056】
実施例1と同様にして作製した分離後の積層体22の第2キャリア金属箔11側からのエッチング量を変えて、絶縁層3の表面に対するパターンめっき18の表面(外層回路2の表面に相当。)の凹みの深さを約3.1μmとした。
【0057】
次に、図7(14)に示すように、絶縁層3の表面に対して凹みを形成したパターンめっき18の表面上に、下地めっき23として、無電解ニッケルめっき(厚さ3μm)と無電解パラジウムめっき(厚さ0.1μm)を行った。また、貴金属めっき8として、無電解金めっき(厚さ0.03μm)を行った。これ以外は、実施例1と同様にしてパッケージ基板を作製した。
【0058】
(実施例6)
ベース金属箔12と第2キャリア金属箔11との界面、及び第2キャリア金属箔11と第1キャリア金属箔10との界面の剥離強度を、何れもNi30g/L、Mo3.0g/L、クエン酸30g/Lの組成を持つめっき浴を用いて金属酸化物層を形成する際の電流を変えることで、剥離層を形成する金属酸化物量を調整して変化させた。このときの剥離強度は、ベース金属箔12と第2キャリア金属箔11との界面が22N/m、第2キャリア金属箔11と第1キャリア金属箔10との界面が4N/mであった。
【0059】
実施例1と同様にして作製した分離後の積層体22の第2キャリア金属箔11側からのエッチング量を変えて、絶縁層3の表面に対するパターンめっき18の表面(外層回路2の表面に相当。)の凹みの深さを約8μmとした。
【0060】
次に、図7(14)に示すように、絶縁層3の表面に対して凹みを形成したパターンめっき18の表面上に、下地めっき23として、無電解ニッケルめっき(厚さ7μm)と無電解パラジウムめっき(厚さ0.5μm)を行った。また、貴金属めっき8として、無電解金めっき(厚さ0.5μm)を行った。これ以外は、実施例1と同様にしてパッケージ基板を作製した。
【0061】
表1に、実施例1〜6について、第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11との界面の剥離強度、第2キャリア金属箔11とベース金属箔12との界面の剥離強度、ハンドリング時の第1キャリア金属箔10及び第2キャリア金属箔11の剥れの有無を示す。なお、表1のハンドリング時の金属箔の剥れの欄の“○”の記号は、剥れがなかったことを示す。実施例1〜6の何れも製造工程でのハンドリングで第1キャリア金属箔10と第2キャリア金属箔11との界面や、第2キャリア金属箔11とベース金属箔12との界面が剥離することはなかった。
【0062】
【表1】

【符号の説明】
【0063】
1:半導体素子搭載用パッケージ基板
2:外層回路または埋め込み回路
3:絶縁層
4:ソルダーレジスト
5:層間接続
6:内層回路
7:外層回路
8:貴金属めっき
9:多層金属箔
10:第1キャリア金属箔
11:第2キャリア金属箔
12:ベース金属箔
16:基材
17:コア基板
18:パターンめっき
20:導体層
21:層間接続孔
22:積層体
23:下地めっき

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1キャリア金属箔と第2キャリア金属箔とベース金属箔とをこの順に積層した多層金属箔を準備し、この多層金属箔のベース金属箔側と基材とを積層してコア基板を形成する工程と、
前記多層金属箔の第1キャリア金属箔と第2キャリア金属箔との界面で、第1キャリア金属箔を物理的に剥離する工程と、
前記コア基板に残った第2キャリア金属箔上にパターンめっきを行う工程と、
前記パターンめっきを含む第2キャリア金属箔上に絶縁層を積層して積層体を形成する工程と、
前記多層金属箔の第2キャリア金属箔とベース金属箔との界面で、前記積層体を第2キャリア金属箔とともにコア基板から物理的に剥離して分離する工程と、
前記分離した積層体の第2キャリア金属箔側からエッチングを行い、少なくとも前記第2キャリア金属箔の一部を除去するとともに、前記パターンめっきの表面が前記絶縁層の表面に対して凹みを形成するようにする工程と、
前記凹みを形成したパターンめっきの表面上に、下地めっきと貴金属めっきとを行い、前記貴金属めっきの表面が前記絶縁層の表面に対して面一となるようにする工程と、
を有する半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
下地めっきがニッケルめっきまたはニッケルめっきとパラジウムめっきであり、貴金属めっきが金めっきまたは銀めっきである半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
多層金属箔は、第2キャリア金属箔とベース金属箔との界面の剥離強度が、第1キャリア金属箔と第2キャリア金属箔との界面の剥離強度よりも大きく形成された多層金属箔である半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れかにおいて、
多層金属箔は、平均粗さ(Ra)0.3μm〜1.2μmの凹凸を予め設けた第2キャリア銅箔の表面に、第1キャリア銅箔が積層された多層金属箔である半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−74576(P2012−74576A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218900(P2010−218900)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】