説明

半導体素子用シリコーン接着剤

【課題】 隠蔽性が高く、LEDチップから出る光を効果的に反射し、かつチップの収まり性が良好で、接着力も高く、耐久性に優れるダイボンド材として使用される、半導体素子用シリコーン接着剤を提供する。
【解決手段】 a)25℃で粘度が100Pa.s以下であり、150℃で3時間の加熱により得られる硬化物のJISK6253に規定のタイプD硬度が30度以上である付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、
b)平均粒子径が1μm未満の白色顔料粉、及び
c)白色または無色透明の平均粒子径が1μm以上、10μm未満の粉
を含み、b)成分及びc)成分の合計がa)成分100質量部に対して12〜600質量部である半導体素子用シリコーン接着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金メッキ基板への発光ダイオード(LED)チップの固定に適した白色ダイボンド材に関するもので、詳しくは、基板にチップを押し付けた場合のチップ収まり性が良好で、隠蔽性が高く、接着力も高く、耐久性に優れ、チップから発生した光を効果的に反射する半導体素子用加熱硬化型シリコーン接着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LED発光素子(チップ)の固定用ダイボンド材にはエポキシレジンが使用されてきたが、青色や白色のLED発光素子(チップ)を固定したダイボンド材は長期使用により経時的に黄変し、エポキシ封止材と同様にダイボンド材が光を吸収することにより輝度低下を招いている(特許文献1)。
【0003】
現在、モジュールとしてのLEDを利用する発光装置の耐久性に対する要求は更に高まり、LED封止材がシリコーン系に代わってきているが、ダイボンド材にも封止材と同様に耐久性が求められている。特に耐熱性の向上は輝度向上と共に更に求められるものと予想される。
【0004】
LEDの電極には銀電極又は金電極が使用されているが、銀電極を使用した場合、封止材料の酸素透過性等によって銀電極の表面が酸化して黒くなり、光の反射効率が落ちる恐れがある。これに対し、金電極を使用した場合、電極自身が不活性であるため周りの雰囲気に影響されない特長が発揮される。しかしながら、銀電極に使用されるような透明シリコーンダイボンド材を金電極に使用すると、LEDチップから発生する光が金表面に吸収され、光の取り出し効率が悪くなるという問題がある。
【特許文献1】特開2006−342200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、隠蔽性が高く、LEDチップから出る光を効果的に反射し、かつチップの収まり性が良好で、接着力も高く、耐久性に優れるダイボンド材として使用される、半導体素子用シリコーン接着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意努力を行った結果、下記のa)、b)及びc)成分:
a)25℃で粘度が100Pa.s以下であり、150℃で3時間の加熱により得られる硬化物のJISK6253に規定のタイプD硬度が30度以上である付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、
b)平均粒子径が1μm未満の白色顔料粉、及び
c)白色または無色透明の平均粒子径が1μm以上、10μm未満の粉
を含み、b)成分及びc)成分の合計がa)成分100質量部に対して12〜600質量部であることを特徴とする半導体素子用シリコーン接着剤により、上記の目的が達成されることを見出した。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、隠蔽性が高く、LEDチップから出る光を効果的に反射し、チップの収まり性が良好で、接着力も高く、かつ耐久性に優れる半導体素子用シリコーン接着剤が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、各成分について詳細に説明を行なう。以下の説明及び特許請求の範囲における説明において、「タイプD硬度」とはJISK6253に規定のデュロメータDタイプを用いて測定された硬さを意味する。また、以下の説明において、粘度は特記しない限り25℃においてBM型回転粘度計等の回転粘度計により測定した値である。また、Viはビニル基を、Meはメチル基を示す。
[a)成分]
a)成分は、25℃で粘度が100Pa.s以下、通常1〜100Pa・s、好ましくは1〜10Pa.sであり、150℃、3時間硬化による硬化物のJISK6253に規定のタイプD硬度が30度以上、通常30〜90、好ましくは40〜90である付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物である。該樹脂組成物は通常、2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンから成る主剤と、2個以上のSiH結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンから成る架橋剤と、白金族金属系触媒から成る反応触媒とを含む。
【0009】
本発明の好ましい一態様において、a)成分は下記の(A)、(B)、(C)及び(D)成分を含有してなる組成物から成る。
(A)一分子中に珪素原子に結合するアルケニル基を少なくても2個有し、25℃における粘度が1000mPa.s以下であるオルガノポリシロキサン、
(B)下記平均組成式(1):
(R1R22SiO1/2)(R1R2SiO2/2)(R22SiO2/2)(R1SiO3/2)(SiR2(OR3)SiO2/2(SiO4/2) (1)
(式中、Rはアルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等の炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルケニル基)又はアルケニル基以外の1価の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の1価炭化水素基)であり;Rはアルケニル基を含まない1価の炭化水素基であって、少なくとも80%以上はメチル基であり;Rは水素原子またはアルキル基であり;m≧0、n≧0、p≧0、q≧0、r≧0、s≧0の数であり、m+n>0、q+r+s>0、m+n+p+q+r=1を満足する数であり、好ましくはmは0〜0.65の数、nは0〜0.5の数、pは0〜0.5の数、qは0〜0.8の数、rは0〜0.8の数、そしてsは0〜0.6の数を示す)で表され、25℃において粘度が1000Pa・s以上の液体もしくは固体であるポリオルガノシロキサン、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して(B)成分が60〜90質量部となる量、
(C)下記平均組成式(2):
SiO(4−a−b)/2 (2)
(式中、Rはアルケニル基を除く1価の炭化水素基であり、少なくとも50%以上はメチル基であり;a及びbは、0.7≦a≦2.1、0.001≦b≦1.0、かつ0.8≦a+b≦3.0、好ましくは1.0≦a≦2.0、0.01≦b≦1.0、かつ1.1≦a+b≦2.6を満たす正数である。)で表され、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のSiH結合を有し、かつ25℃での粘度が1000mPa.s以下であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、上記(A)成分および(B)成分の総アルケニル基数に対して総SiH数が0.5〜5.0倍となる量、及び、
(D)有効量の白金族金属系触媒。
【0010】
以下、各成分について説明する。
−(A)成分−
(A)成分は、本発明のシリコーン接着剤のa)成分であるシリコーン樹脂組成物中、硬化後の応力緩和をもたらすために必要な成分である。該成分は、一分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を少なくとも2個有する、基本的に主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された、直鎖状のオルガノポリシロキサンである。具体的には、:
ViRSiO(SiRO)SiRVi、及び
ViRSiO(SiRVi)(SiRO)SiRVi
(Vi)(R)SiO[Si(R)O]Si(R)(Vi)
(Vi)SiO[Si(R)O]Si(Vi)
(Vi)(R)SiO[Si(R)(Vi)O][Si(R)O]Si(R)(Vi)
(Vi)SiO[Si(R)(Vi)O][Si(R)O]Si(Vi)
(R)SiO[Si(R)(Vi)O][Si(R)O]Si(R)
(式中、Rは脂肪族不飽和基及びアリール基のいずれも含まない一価の炭化水素基で、好ましくは炭素原子数は10以下のものを示す。mは0〜5の整数であり、nは0〜200の整数である。)で表されるオルガノポリシロキサンが例示される。耐光性、耐熱性の観点から、Rはメチル基であるのが更に好ましい。
(A)成分の具体例としては、
【0011】
【化1】


が挙げられる。
【0012】
(A)成分の粘度は、25℃において1000mPa.s以下であることが必要である。これを超える粘度のものを使用すると、本発明の接着剤を硬化して得られる硬化物の架橋密度が不十分で、所要の高硬度の硬化物が得がたい。好ましくは700mPa.s以下(通常10〜700Pa・s)のもの、更に好ましくは20〜200mPa.sのものを使用する。
【0013】
−(B)成分−
(B)成分は(a)成分のシリコーン樹脂組成物の無色透明性を維持したまま、補強性を得るために必要な成分である。具体的には平均組成式(1):
(R1R22SiO1/2)(R1R2SiO2/2)(R22SiO2/2)(R1SiO3/2)(R2(OR3)SiO2/2(SiO4/2) (1)
(式中、R、R、R、m、n、p、q、r及びsは、式(1)で前に定義した通りである)で示され、25℃において粘度が1000Pa・s以上の液体もしくは固体のポリオルガノシロキサンである。本成分中アルケニル基としては、入手のしやすさ、価格の面よりビニル基が最も適している。アルケニル基の量は、(B)成分の固形分に対して0.01〜1mol/100gの範囲であることが好ましい。0.01mol/100g未満の値では、本成分が架橋に充分取り込まれず、結果として所要の高硬度の硬化物を与えるシリコーン接着剤を得ることができない。また、1mol/100gを超える値では系内のアルケニル基が多くなるために、以下に説明する架橋剤((C)成分)の添加量が低いレベルでは、架橋が充分に進行せず所要の硬度が得られず、架橋剤を増加させると、結果として本成分の濃度が低下してしまい、得られた硬化物が脆くなってしまう。この観点から、アルケニル基の量は更に0.05〜0.5mol/100gであることが好ましい。
【0014】
(B)成分の(A)成分に対する比率も本組成物においては重要なファクターであり、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して(B)成分が60〜90質量部であることが必要であり、70〜80質量部であるのが好ましい。(B)成分が60質量部未満では所用の硬さを得ることが出来ず、90質量部を超えると、得られるシリコーン樹脂組成物の硬化物が極端に脆くなり、本組成物を含むシリコーン接着剤は、LED素子のダイボンド材の用途に適さなくなる。
【0015】
−(C)成分−
(C)成分は、下記平均組成式(2):
SiO(4−a−b)/2 (2)
(式中、Rは、a及びbは、式(2)で前に定義した通りである)で表され、1分子中に少なくとも2個のSiH結合(即ち、ケイ素原子に結合した水素原子、あるいはヒドロシリル基)を有し、かつ25℃での粘度が1000mPa.s以下であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
本成分は、(A)および(B)成分中に含まれるアルケニル基とヒドロシリル化反応により反応して架橋させる架橋剤として働くと共に、(B)成分を希釈して使用用途に適した粘度にするという反応性希釈剤でもある。
【0016】
この様な観点から、本成分の粘度は25℃での粘度が1000mPa.s以下、通常0.5〜1000mPa・s、好ましくは2〜200mPa・sであることが好ましい。また、架橋のバランスの上から、(A)成分および(B)成分中の総アルケニル基数に対して総SiH数が0.5〜5.0倍、好ましくは0.7〜3.0倍となる量にコントロールする。
【0017】
一分子中に少なくとも2個(通常、2〜200個)、好ましくは3個以上(例えば、3〜100個)、より好ましくは4〜50個程度含有されるSiH基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置してもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、一分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は通常2〜200個、好ましくは3〜100個、より好ましくは4〜50個程度のものが望ましい。
【0018】
上記式(2)において、Rはアルケニル基を除く1価の炭化水素基であり、このRとしては、炭素原子数1〜10、特に1〜8のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられるが、特にメチル基又はフェニル基が好ましい。
【0019】
上記式(2)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンジ、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH3SiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C653SiO1/2単位とから成る共重合体や、上記各例示化合物においてメチル基の一部又は全部がフェニル基で置換されたもの等が挙げられる。
【0020】
(C)成分の具体的なものの例としては、
MeSiO(MeHSiO)SiMe
(式中、nは2〜100、好ましくは2〜20の整数)
及び
式:
【0021】
【化2】


で表される環状シロキサンが例示される。
【0022】
−(D)成分−
(D)成分は(A)および(B)成分と(C)成分との反応を促進する反応触媒で、有効量の白金族金属系触媒である。
この白金族金属系触媒としては、ヒドロシリル化反応触媒として公知のものが全て使用できる。例えば、白金黒、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O(式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である)等の塩化白金、塩化白金酸および塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。これらの中で、好ましいものとして、相溶性の観点および塩素不純物の観点から、塩化白金酸をシリコーン変性したものが挙げられ、具体的には例えば塩化白金酸をテトラメチルビニルジシロキサンで変性した白金触媒が挙げられる。添加量は、白金原子にしてa)成分中、重量換算で1〜500ppm、好ましくは3〜100ppm、より好ましくは5〜40ppmである。
【0023】
本発明の別の好ましい態様において、a)成分は下記の(P)、(Q)及び(R)成分を含有してなる組成物から成る:
(P)下記平均組成式(3):
x(C65ySiO(4-x-y)/2 (3)
(式中、Rは同一又は異種の置換又は非置換の一価炭化水素基、アルコキシ基又は水酸基で、全Rの0.1〜80モル%がアルケニル基であり;x及びyは、1≦x+y<2、0.20≦y/(x+y)≦0.95を満たす正数である。)
で表される、25℃での粘度が100mPa.s以上の液状又は固体状のオルガノポリシロキサン、及び
(Q)下記平均組成式(4):
R’cdSiO(4-c-d)/2 (4)
(式中、R’は脂肪族不飽和炭化水素基を除く同一又は異種の置換又は非置換の一価炭化水素基であり;c及びdは、0.7≦c≦2.1、0.002≦d≦1.0、かつ0.8≦c+d≦2.6を満たす正数である。)
で表され、1分子中に少なくとも2個のSi−H結合を有し、前記組成式(4)中の全R’と珪素原子に結合するHの合計量のうち5モル%以上がフェニル基であり、かつ25℃での粘度が1,000mPa.s以下のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(R)有効量の白金族金属系触媒。
【0024】
−(P)成分−
(P)成分は、本発明のシリコーン接着剤を硬化させて得られる硬化物の機械強度を上げるための成分である。本成分は平均組成式(3):
x(C65ySiO[(4-x-y)/2] (3)
(式中、R、x及びyは、前に式(3)で定義した通りである)で示される、25℃での粘度が100mPa.s以上、好ましくは100Pa・s以上の液状又は固体のオルガノポリシロキサンである。
【0025】
このオルガノポリシロキサンは、式(3)において1≦x+y<2であることから理解されるように、分子中にRSiO3/2単位、(C65)SiO3/2単位、及びSiO2単位の1種又は2種以上を含有する分岐状或いは三次元網状構造のものである。
【0026】
式(3)において、Rは好ましくは炭素原子数1〜20、特に好ましくは1〜10の同一又は異種の置換又は非置換の一価炭化水素基若しくはアルコキシ基、又は水酸基である。このような炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基などの飽和炭化水素基;トリル基、キシリル基、ナフチル基等の、フェニル基以外のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基などの不飽和炭化水素基;3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基;シアノ置換炭化水素基などが挙げられる。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基等の非置換のアルコキシ基の他、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基などが挙げられる。これら全Rのうち0.1〜80モル%、好ましくは0.5〜50モル%がアルケニル基である。アルケニル基の含有量が0.1モル%よりも少ないとシリコーン接着剤として硬化後に硬度が不十分で、80モル%より多いと架橋点が多過ぎるため硬化物が脆くなってしまう。また、x,yは1≦x+y<2、好ましくは1.2≦x+y≦1.9、且つ0.20≦y/(x+y)≦0.95、好ましくは0.25≦y/(x+y)≦0.90を満たす正数である。x+yが1より小さくても2以上でも、硬化物の硬度・強度が不十分となる。また、フェニル基の含有量を示すy/(x+y)が0.25より少なくても硬化物の硬度・強度が不十分となる。y/(x+y)が0.90を超えると、硬化物の強度が低下する。
【0027】
−(Q)成分−
(Q)成分は(P)成分に含まれるアルケニル基とヒドロシリル化反応により架橋を形成するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。(Q)成分は、架橋剤として作用するとともに反応性希釈剤としても働く。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、平均組成式(4):
R'SiO(4-c-d)/2 (4)
(式中、R'、c及びdは、前に式(4)で定義した通りである)で示される、1分子中に少なくとも2個(通常2〜200個)、好ましくは3個以上(例えば3〜100個)、より好ましくは4〜50個程度のSi−H結合(即ち、ケイ素原子に結合した水素原子)を有し、好ましくは、ケイ素原子に結合したR'とHの合計の5モル%以上がフェニル基であり、かつ25℃での粘度が1000mPa.s以下である、好ましくは主として直鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであるが、環状、分岐状、三次元網状構造のものであってもよい。また、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は、通常4〜200個、好ましくは4〜100個、より好ましくは4〜50個程度のものが望ましい。
【0028】
ここで、R'は脂肪族不飽和炭化水素基を除く、好ましくは炭素原子数1〜20、特に好ましくは1〜10の、同一又は異種の置換又は非置換の一価炭化水素基である。このような炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基などの飽和炭化水素基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基;シアノ置換炭化水素基などが挙げられる。R’として好ましい基は、フェニル基及びメチル基である。
【0029】
また、cは、0.7≦c≦2.1、好ましくは1.0≦c≦1.8である。dは、0.002≦d≦1.0、好ましくは0.02≦d≦1.0、より好ましくは0.10≦d≦1.0である。更にc及びdは0.8≦c+d≦2.6、好ましくは1.01≦c+d≦2.4、より好ましくは1.6≦c+d≦2.2を満たす正数である。dが0.002未満では本発明の接着剤を硬化させた際に十分な硬度が得られなくなる。一方、dが1.0を超えると、(P)成分との相溶性が悪くなり相分離する恐れがある。c+dが0.82未満では粘度が極端に上昇し、反応性希釈剤としての作用が損なわれる。一方、c+dが2.6を超えると、硬化物が脆くなってしまう。
【0030】
この場合、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(P)成分との相溶性、硬化物の物性等の点から、ケイ素原子に結合した全R'とH(水素原子)のうち5モル%以上、好ましくは10〜50モル%がフェニル基であるものが好適に用いられる。或いは、ケイ素原子に結合した全R'とH(水素原子)のうち15モル%以上、通常15〜70モル%、好ましくは20〜50モル%がフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した全R'とH(水素原子)のうち15モル%未満、通常0〜14モル%、特に1〜10モル%がフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを重量比1:9〜9:1、特に2:8〜8:2の割合で混合したオルガノハイドロジェンポリシロキサン混合物も好適に使用することができる。なお、R'において、フェニル基以外の場合には、メチル基であることが好ましい。
【0031】
また、(Q)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの粘度は上記の通りであるが、その下限は通常25℃において0.5mPa.s以上、即ち、25℃において通常0.5〜1000mPa.s、好ましくは1〜500mPa.sである。
【0032】
上記(Q)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(P)成分100質量部に対して10〜100質量部、好ましくは15〜80質量部である。配合量が10質量部未満では、成形に適する低粘度とすることができず、100質量部を超えると、本発明の接着剤を硬化させた時に十分な硬度・強度の硬化物が得られない。
【0033】
また、この(Q)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(P)成分中のアルケニル基に対する(Q)成分中のケイ素原子結合水素原子(即ち、SiH基)のモル比が0.5〜5モル/モル、特には1〜3モル/モルとなる量で配合するようにしてもよい。(Q)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、前記(C)成分として例示したものと同じもの(但し、ケイ素原子数が4個以上のもの)を挙げることができる。
【0034】
−(R)成分−
(R)成分は(P)と(Q)成分との反応を促進するためのもので、有効量の白金族金属系触媒である。該白金族金属系触媒としては、(D)成分で述べたものが使用できるが、好ましくは相溶性の観点および塩素不純物の観点から、塩化白金酸をシリコーン変性したものが挙げられ、具体的には例えば塩化白金酸をテトラメチルビニルジシロキサンで変性した白金触媒が挙げられる。添加量は、白金原子としてa)成分中、重量換算で1〜500ppm、好ましくは3〜100ppm、より好ましくは5〜40ppmである。
【0035】
[b)成分]
b)成分は、得られるシリコーン接着剤を白色に着色するための顔料粉体であり、本発明の組成物に含めた際に透明化するものは不適である。
【0036】
白色に着色するための白色顔料粉としては、酸化チタン、酸化亜鉛、鉛白、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、カオリン等があるが、隠蔽力、着色力及び光反射性のバランスから、酸化チタン及び酸化亜鉛が好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
【0037】
白色顔料粉の平均粒子径は、隠蔽性の点から、1μm未満であることが必要であり、0.01〜0.9μmが好ましく、0.1〜0.3μmの範囲がより好ましい。ここで、「平均粒子径」とは、レーザー回折法による粒度分布測定装置における累積重量平均径D50(又はメジアン径)である。
【0038】
b)成分の配合量は、a)成分100質量部に対し、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは20〜150質量部である。b)成分が多過ぎると得られるシリコーン接着剤の粘度が高くなりすぎて糸引き性が現われ、スタンピングによる接着剤の塗布が困難となる。また、白色顔料粉が少なすぎると、着色性が弱く、目的とする隠蔽性が得がたい。
【0039】
c)成分は、白色シリコーン接着剤層の厚さを基板間で一定とするためのスペーサーとして使用される粉体であり、接着剤層が薄くなった場合でも白色を維持することを目的とする。合わせて、接着剤にLED発光素子を載せて押し付けた場合の収まり性を高める目的にも添加される。c)成分は接着剤層の厚みを決定することから、b)成分と比較して粒子径を大きくする必要があり、平均粒子径が1μmのものが使用される。一方、c)成分の平均粒子径は最大でも10μm未満であり、通常9μm以下が好ましく、より好ましくは1〜5μmである。ここで、「平均粒子径」とは、b)成分と同様に、レーザー回折法による粒度分布測定装置における累積重量平均径D50(又はメジアン径)である。粒子径が大き過ぎる場合、接着剤厚みが厚くなり隠蔽性が高くなるものの、接着させるLED素子から発生する熱の放熱特性が悪化する欠点がある。発光素子を押し付け接着させる際の接着剤層の厚みは30以下が好ましく、より好ましくは5〜10μmである。該粉体としては結晶性シリカ、溶融シリカやアルミナのような金属酸化物粉体等のセラミック粉体などが挙げられるが、添加することにより得られるシリコーン接着剤層が白色でなくなるものは好ましくなく、白色または無色であることが好ましい。また、隠蔽性と放熱特性を考慮した場合、特にアルミナ粉末を使用することが好ましい。アルミナについては、角丸型・扁平状・真球状のいずれのものも使用可能であるが、シリコーンへの充填性、発光素子の収まり性について、扁平状のものが有効とされる。
【0040】
c)成分の配合量はa)成分100質量部に対し2〜400質量部、更に好ましくは5〜200質量部である。
b)成分とc)成分の配合比は、c)成分に対するb)成分の質量比で0.1〜20、特に0.2〜10、更に0.5〜5程度であるのが望ましい。粒子径の小さいb)成分の割合が増えると糸引き性が大きくなり、粒子径の大きいc)成分の割合が増えると、アルミナ粉等のc)成分がb)成分である酸化チタン等の白色粉と比較して白色度が弱いため、隠蔽性が低下する。a)成分100質量部に対し、b)成分とc)成分が合計で12〜600質量部、より好ましくは25〜350質量部、更に好ましくは40〜350質量部が好ましい。
【0041】
b)成分、c)成分はそれぞれ単独で使用した場合、隠蔽硬化が全く発揮されないため、b)成分、c)成分は併用して配合しなければならない。b)成分のみをa)成分に添加した場合、きわめて白い接着剤になるものの、発光素子を押し付けて接着させた場合、接着剤厚みがないため、殆ど隠蔽性がない。また、c)成分のみをa)成分に添加した場合、白〜灰色の接着剤となり、同様に発光素子を接着させた場合、隠蔽性がない。
【0042】
[その他の成分]
本発明のシリコーン接着剤には、その目的を損なわない限り、以下に例示するようなものを添加してもよい:粘度調整剤として石油系溶剤及びシリコーン系無官能オイル;接着性向上を目的としたカーボンファンクショナルシラン、エポキシ基・Si-H基・Si-Vi基・アルコキシ基などで変性された(一種又は複数種の基で変性されてもよい)シリコーン化合物;並びに硬化速度を制御する成分、例えばテトラメチルテトラビニルシクロシロキサン、エチニルシクロヘキサノールに代表されるアセチレンアルコール化合物、トリアリルイソシナヌレートやその変性品。また、耐熱耐久性を上げるために、ヒンダードアミンや酸化防止剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
【0043】
なお、本発明のシリコーン接着剤の硬化条件は特に制限されないが、120〜180℃、60〜180分の条件とすることが好ましい。
【0044】
本発明のシリコーン接着剤が適用される半導体素子としては、発光ダイオード(LED)チップが挙げられる。
【0045】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0046】
[実施例1]
(1)・両末端がビニル基で封鎖された25℃における粘度が70mPa.sである直鎖状のジメチルポリシロキサン(A1)と、
・Me3SiO1/2、ViMe2SiO1/2(Viはビニル基を示す。以下同じ。)、及びSiO4/2単位で構成され、SiO4/2に対してMe3SiO1/2およびViMe2SiO1/2のモル比が0.8で、固形分に対するビニル基量が0.085モル/100gであるシリコーンレジン(B1)のトルエン溶液と、
前記平均組成式(2):RSiO(4−a−b)/2において、Rがメチル基、a=1.44、b=0.78であり、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された、25℃における粘度が7.5mPa・sのメチルハイドロジェンシロキサン(C1)と、
を、固形分換算にて質量比で25:75:10の割合で混合した。この混合物から120℃で10mmHg以下の減圧下でトルエンを除去し、室温で粘ちょうな液体を得た。
【0047】
(2)この液体100質量部に、テトラメチルテトラビニルテトラシクロシロキサン3質量部、及び以下の構造式(5)で示されるエポキシ基含有シロキサン化合物5質量部:
【0048】
【化3】

【0049】
を混合し、粘度が5Pa.sの透明液体を得た(シリコーンベース1、組成物中の総アルケニル基に対する総SiH基のモル比は1.65)。
【0050】
(3)更に、シリコーンベース1の100質量部に平均粒子径0.26μmの球形状の酸化チタン粉(石原産業(株)製、製品名R−820)(b1)50質量部、平均粒子径2.0μmの結晶性シリカ(製品名NIN−SIL−5、U.S.SILICA Company製)(c1)10質量部、塩化白金酸から誘導した、テトラメチルビニルジシロキサンを配位子として有する白金触媒(D1)を白金原子換算でシリコーン分に対し10ppm添加し、これを均一に混合して、粘度が20Pa.sの白色ペーストを得た。
【0051】
[実施例2]
実施例1と同様にシリコーンベース1を調製し、さらにシリコーンベース1の100質量部に、実施例1で用いたものと同じ酸化チタン粉(b1)50質量部、平均粒子径4.0μmのアルミナ粉(昭和電工(株)製、製品名AL−43PC)(c2)90質量部、及び実施例1で用いたのと同じ白金触媒(D1)を白金原子換算でシリコーン分に対し10ppm添加し、これを均一に混合し、さらに沸点が200℃以上の炭化水素系溶剤を3質量部添加することで、粘度が20Pa.sの白色ペーストを得た。
【0052】
[実施例3]
ビニルメチルジクロロシラン45.8g、フェニルトリクロロシラン111.0g(モル比で38:62)(平均仕込み組成が(CH30.38(C650.62(CH2=CH)0.38SiO1.31)及びトルエン20gの混合物を、フラスコ内で攪拌されているトルエン120gと水320gとの混合物に、フラスコ内が50℃を越えないようにゆっくりと滴下・共加水分解し、さらに70℃以下で2時間重縮合して、150℃で30分加熱した時の不揮発分が70%である三次元網状構造のオルガノポリシロキサン(シリコーンレジン)(P1)のトルエン溶液を調製した。尚、この溶液中の固形分(P1)は、25℃において流動性のないガム状であった。このオルガノポリシロキサン溶液を80℃/15mmHg以下で1時間ストリップした後、オルガノポリシロキサン分100質量部に対して、前記式(4):R'SiO(4-c-d)/2において、R'がメチル基、c=1.67、d=0.67である25℃での粘度が30mPa・sであるメチルハイドロジェンポリシロキサン(Q1)43質量部、及び下記式(6)で示されるエポキシ基とメトキシ基を有するハイドロジェンシロキサン10質量部を添加して、室温で粘度が5.0Pa.sの透明な液体を得た(シリコーンベース2、組成物中の総アルケニル基に対する総SiH基のモル比は0.91)
【0053】
【化4】

【0054】
シリコーンベース2の100質量部に、実施例1で用いたものと同じ酸化チタン粉(b1)60質量部、実施例1で用いたものと同じ結晶性シリカ(c1)12質量部、及び塩化白金酸から誘導した、テトラメチルビニルジシロキサンを配位子として有する白金触媒(R1)を白金原子換算でシリコーン分に対し10ppm添加し、これを均一に混合し、粘度が10Pa.sの白色ペーストを得た。
【0055】
[比較例1]
(b)成分である酸化チタン粉末を添加しなかった以外は実施例1と同様にして粘度が15Pa.sの白色ペーストを得た。
【0056】
[比較例2]
(c)成分であるアルミナ粉を添加しなかった以外は実施例2と同様にして、粘度が大よそ10Pa.sの白色ペーストを得た。
【0057】
上記のようにして調製した白色ペーストについて、以下のような試験を行なった。試験の結果を表1に示す。
i. a)成分の硬化物の硬さ:
各実施例及び各比較例において、b)成分もc)成分も添加しない以外は同様にしてペーストを調製し、150℃で3時間加熱した。得られた硬化物のタイプD硬度は、JISK6253に準拠して測定した。
ii. 隠蔽性:各白色ペーストをガラス板の上に載せ、1mm角で厚み300μmのシリコンウェハー片を押し当て、裏面よりウェハー片を観察し、どれだけ隠蔽性があるか肉眼で調べた。その結果を次の基準で評価した。
◎:ウェハーが全く確認できない(隠蔽性が大きい)。
○:ウェハーがぼんやり確認できる(隠蔽性がややある)。
×:ウェハーがはっきり確認できる(隠蔽性がない)。
iii. 接着力:各白色ペーストを平坦なニッケルに銀メッキを施したテストピースの上に載せ、1mm角で厚み300μmのシリコンウェハー片を押しつけた後、150℃で3時間加熱して硬化させた後、ダイボンドテスターにより引っ掻きせん断接着力を測定した。
【0058】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のa)、b)及びc)成分:
a)25℃で粘度が100Pa.s以下であり、150℃で3時間の加熱により得られる硬化物のJISK6253に規定のタイプD硬度が30度以上である付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、
b)平均粒子径が1μm未満の白色顔料粉、及び
c)白色または無色透明の平均粒子径が1μm以上、10μm未満の粉
を含み、b)成分及びc)成分の合計がa)成分100質量部に対して12〜600質量部であることを特徴とする半導体素子用シリコーン接着剤。
【請求項2】
b)成分の白色顔料が、酸化チタン、酸化亜鉛、鉛白、硫化亜鉛、炭酸カルシウム及びカオリンから選ばれる1種又は2種以上の物質から成ることを特徴とする請求項1に係るシリコーン接着剤。
【請求項3】
c)成分がアルミナであることを特徴とする請求項1に係るシリコーン接着剤。
【請求項4】
a)成分が、下記の(A)、(B)、(C)及び(D)成分:
(A)一分子中に珪素基に結合するアルケニル基を少なくても二個有し、25℃における粘度が1000mPa.s以下であるオルガノポリシロキサン、
(B)下記平均組成式(1):
(R1R22SiO1/2)(R1R2SiO2/2)(R22SiO2/2)(R1SiO3/2)(SiR2(OR3)SiO2/2(SiO4/2) (1)
(式中、Rはアルケニル基又はアルケニル基以外の1価の炭化水素基であり;Rはアルケニル基を含まない1価の炭化水素基であって、少なくとも80%以上はメチル基であり;Rは水素原子またはアルキル基であり;m≧0、n≧0、p≧0、q≧0、r≧0、s≧0の数であり、m+n>0、q+r+s>0、m+n+p+q+r=1を満足する数を示す。)で表され、25℃において粘度が1000Pa・s以上の液体もしくは固体であるポリオルガノシロキサン、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して(B)成分が60〜90質量部となる量、
(C)下記平均組成式(2):
SiO(4−a−b)/2 (2)
(式中、Rはアルケニル基を除く1価の炭化水素基であり、少なくとも50%以上はメチル基であり;a及びbは、0.7≦a≦2.1、0.001≦b≦1.0、かつ0.8≦a+b≦3.0を満たす正数である。)で表され、1分子中に少なくとも2個のSiH結合を有し、かつ25℃での粘度が1000mPa.s以下であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを、上記(A)成分および(B)成分の総アルケニル基数に対して総SiH数が0.5〜5.0倍となる量、及び、
(D)有効量の白金族金属系触媒
を含有することを特徴とする請求項1に係るシリコーン接着剤。
【請求項5】
a)成分が、下記の(P)、(Q)及び(R)成分:
(P)下記平均組成式(3):
x(C65ySiO(4-x-y)/2 (3)
(式中、Rは同一又は異種の置換又は非置換の一価炭化水素基、アルコキシ基又は水酸基で、全Rの0.1〜80モル%がアルケニル基であり;x及びyは、1≦x+y<2、0.20≦y/(x+y)≦0.95を満たす正数である。)
で表される、25℃での粘度が100mPa.s以上の液状又は固体状のオルガノポリシロキサン、及び
(Q)下記平均組成式(4):
R’cdSiO(4-c-d)/2 (4)
(式中、R’は脂肪族不飽和炭化水素基を除く同一又は異種の置換又は非置換の一価炭化水素基であり;c及びdは、0.7≦c≦2.1、0.002≦d≦1.0、かつ0.8≦c+d≦2.6を満たす正数である。)
で表され、1分子中に少なくとも2個のSi−H結合を有し、前記組成式(4)中の全R’と珪素原子に結合するHの合計量のうち5モル%以上がフェニル基であり、かつ25℃での粘度が1,000mPa.s以下のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び
(R)有効量の白金族金属系触媒
を含有することを特徴とする請求項1に係るシリコーン接着剤。

【公開番号】特開2009−256400(P2009−256400A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103740(P2008−103740)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】