説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】配線の設計自由度を向上させた半導体装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、絶縁基材と、前記絶縁基材の上面側に設けられた第1配線層を構成する複数の配線と、前記絶縁基材の下面側に設けられた第2配線層を構成する複数の配線と、前記絶縁基材の前記上面から前記下面にまで貫通する複数のビアと、を有する回路基板と、前記回路基板の前記上面側に搭載された半導体素子と、前記半導体素子を封止し、前記回路基板の前記上面に設けられた封止樹脂層と、を備える。さらに、半導体装置は、前記封止樹脂層の上面と、前記封止樹脂層の側面の一部と、を覆う導電性シールド層と、前記封止樹脂層の前記側面の一部を覆う前記導電性シールド層と、前記第1配線層を構成する複数の配線の少なくとも1つと、を電気的に接続する導電部材と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置から発生するノイズ電波の遮蔽や、外部のノイズ電波から半導体装置を保護することは、重要である。例えば、携帯電話などの移動通信機器に用いられる高周波モジュールでは、主に、基板上の高周波の半導体素子と周辺回路とによって高周波回路が形成される。
【0003】
一般的に、半導体素子や周辺回路に電流が流れると、電流の周りに電界と磁界が誘導され、不要なノイズ電波(電磁ノイズ)が発生する。一例として、携帯電話などの移動通信機器に搭載された半導体装置から放出されたノイズ電波がアンテナに入射し、電波の受信障害を起こす場合がある。
【0004】
このようなノイズ電波の遮蔽および半導体素子の保護のために、半導体装置を覆う遮蔽板を設ける方法がある。しかし、半導体装置を遮蔽板によって覆う方法では、半導体装置の小型化が図れないという問題がある。
【0005】
これに対し、基板(インターポーザ基板)上に半導体素子を搭載し、半導体素子自体の外周に遮蔽膜を形成させた半導体装置(半導体パッケージ)がある。このような半導体素子を高周波モジュールに組み込めば、高周波モジュールの小型化を図ることができる。そして、このような半導体装置については、ますます小型化が要求され、それに伴い基板上に引き回す配線については、より高い設計自由度が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−103574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、配線の設計自由度を向上させた半導体装置、その半導体装置を製造する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の半導体装置は、絶縁基材と、前記絶縁基材の上面側に設けられた第1配線層を構成する複数の配線と、前記絶縁基材の下面側に設けられた第2配線層を構成する複数の配線と、前記絶縁基材の前記上面から前記下面にまで貫通する複数のビアと、を有する回路基板と、前記回路基板の前記上面側に搭載された半導体素子と、前記半導体素子を封止し、前記回路基板の前記上面に設けられた封止樹脂層と、を備える。さらに、半導体装置は、前記封止樹脂層の上面と、前記封止樹脂層の側面の一部と、を覆う導電性シールド層と、前記封止樹脂層の前記側面の一部を覆う前記導電性シールド層と、前記第1配線層を構成する複数の配線の少なくとも1つと、を電気的に接続する導電部材と、を備える。
【0009】
実施形態の半導体装置の製造方法は、絶縁基材と、前記絶縁基材の上面側に設けられた第1配線層を構成する複数の配線と、前記絶縁基材の下面側に設けられた第2配線層を構成する複数の配線と、前記絶縁基材の前記上面から前記下面にまで貫通する複数のビアと、を有する回路基板が前記回路基板の主面に対して平行な方向に複数連続して設けられた基板を準備する工程と、前記複数の回路基板のそれぞれに半導体素子を搭載する工程と、を備える。さらに、半導体装置の製造方法は、前記複数の回路基板の中、隣接する回路基板のそれぞれに設けられた前記第1配線層を構成する複数の配線のいずれか同士を導電部材を介して電気的に接続する工程と、複数の前記半導体素子および前記導電部材を封止する封止樹脂層を前記基板の上面側に形成する工程と、前記隣接する回路基板のそれぞれの間の前記封止樹脂層に溝を形成しつつ、前記導電部材を分断し、分断された前記導電部材のそれぞれの切断面を前記溝の内壁面から露出させる工程と、前記封止樹脂層の上面および前記溝に導電性シールド層を形成する工程と、前記溝内に形成された前記導電性シールド層および前記溝の下の前記基板を分断する工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の概要を説明する断面模式図である。
【図2】第1実施形態に係る半導体装置の平面模式図であり、(a)は、回路基板の上面側の平面模式図、(b)は、回路基板の下面側の平面模式図である。
【図3】半導体装置の製造過程を説明する断面模式図である。
【図4】半導体装置の効果を説明する模式図であり、(a)は、断面模式図、(b)は平面模式図である。
【図5】第2実施形態に係る半導体装置の断面模式図である。
【図6】第3実施形態に係る半導体装置の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。また、以下に説明する各実施形態は、適宜複合させることができる。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置の概要を説明する断面模式図である。
図1には、第1実施形態に係る半導体装置1のほかに、半導体装置1を実装する実装基板100が表示されている。
【0013】
半導体装置1は、FBGA(Fine pitch Ball Grid Array)型の半導体パッケージである。半導体装置1は、回路基板10を有する。回路基板10は、インターポーザ基板とも称される。回路基板10は、絶縁基材11と、絶縁基材11の上面側の外周に設けられた複数の配線層(第1配線層)12と、絶縁基材11の下面側に設けられた複数の配線層(第2配線層)13と、を有する。回路基板10は、さらに絶縁基材の上面(第1主面)から下面(第2主面)にまで貫通する複数のビア14を有する。ビア14については、図示する数に限らず、回路基板10に縦横になって複数設けられている。第1配線層は、複数の配線層12によって構成される。第2配線層は、複数の配線層13によって構成されれる。
【0014】
複数の配線層13のそれぞれは、ランド状の電極である。複数の配線層13のそれぞれには、半田ボールである外部接続端子17が接続されている。回路基板10の外周に位置する外部接続端子17からは、回路基板10の外側に引き出し線19が延在している。引き出し線19は、回路基板10の側面10wの近傍に位置するビア14の下端に接続されている。ビア14の上端には、配線層18が接続されている。回路基板10の上面および下面には、各配線層の一部および引き出し線の一部を被覆するためのソルダレジスト層16が形成されている。複数の外部接続端子17のそれぞれは、実装基板100の上面側に設けられた配線層101のそれぞれに接続されている。
【0015】
回路基板10の上面側には、半導体素子20が搭載されている。半導体素子20の上面には、ワイヤ(ボンディングワイヤ)21の一方の端が接続されている。ワイヤ21の他方の端は、配線層12に接続されている。ワイヤ21は、導電部材であり、複数の配線層12の少なくとも1つと、半導体素子の表面に設けられた電極(図示しない)と、を電気的に接続する。配線層12のいずれかは、回路基板10内のビア14を介して外部接続端子17のいずれかに接続されている。
【0016】
半導体素子20の外周およびワイヤ21は、回路基板10の上面側に設けられた封止樹脂層30によって封止されている。半導体素子20と回路基板10との間隙には、マウント材(ダイボンディング材)22が形成されている。
【0017】
封止樹脂層30の上面と封止樹脂層30の側面の一部とは、導電性シールド層40によって覆われている。封止樹脂層30の側面の一部を覆う導電性シールド層40の下端と、回路基板10の上面と、は接触していない。また、封止樹脂層30の側面の一部を覆う導電性シールド層40の下端と、複数の配線層18の表面の少なくとも1つと、の距離dは、100μm(マイクロメートル)以下である。
【0018】
導電性シールド層40と、複数の配線層18の少なくとも1つとは、導電部材25aまたは導電部材25bによって、電気的に接続されている。実施形態においては、導電部材25a、25bに接続された配線層18の電位をグランド(GND)電位にすることができる。
【0019】
例えば、配線層18に電気的に接続された外部接続端子17の電位をグランド電位にすることにより、配線層18の電位をグランド電位にする。これにより、配線層18から導電部材25a、25bを介して導電性シールド層40にグランド電位が供給されて、導電性シールド層40の電位をグランド電位にすることができる。
【0020】
半導体素子20は、例えば、フラッシュメモリ、DRAM等の記憶素子、マイクロプロセッサ等の演算素子である。ワイヤ21は、例えば、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属線である。
【0021】
配線層12、配線層13、配線層18、および引き出し線19は、銅(Cu)箔、銀(Ag)または銅(Cu)を含む導電性ペースト等である、配線層12、配線層13、配線層18には、必要に応じて表面にニッケル(Ni)、金(Au)等のめっき処理が施される。ビア14は、例えば、柱状電極である。ビア14は、全ての材が導電材で構成された柱状電極でもよく、この柱状電極のほか、筒状の円筒電極と、この円筒電極内の中空に埋設された樹脂等と、を含む形態でもよい。ビア14の材質は、銅(Cu)、タングステン(W)等である。
【0022】
導電性シールド層40は、半導体素子20から放出される高周波ノイズを遮断するために、なるべく抵抗率が低い材料であることが望ましい。導電性シールド層40の材質としては、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等が選択される。より具体的には、導電性シールド層40は、例えば、銀(Ag)ペーストを硬化させた銀(Ag)を含有する膜であり、そのシート抵抗が0.1(Ω/□)以下に調整されている。導電性シールド層40の厚さは、数10μmであり、より好ましくは、10〜90μmである。
【0023】
導電部材25a、25bは、導電性ワイヤ、導電性板、抵抗素子、導電性ペースト、導電膜等である。導電部材25a、25bの材質は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、半田材等である。
【0024】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の平面模式図であり、(a)は、回路基板の上面側の平面模式図、(b)は、回路基板の下面側の平面模式図である。図2は、絶縁基材11の上面(または、下面)に対し垂直な方向から回路基板10をみた図である。
【0025】
図2(a)に示すように、回路基板10の上面側においては、複数のビア14が設けられている。複数のビア14は、絶縁基材11の上面から下面にまで貫通している。符号23で囲う矩形状の領域は、半導体素子20の素子搭載領域23である。ビア14は、素子搭載領域23、または素子搭載領域23の領域外に複数配置されている。複数の配線層18は、素子搭載領域23外に設けられている。素子搭載領域23内のビア14から配線層12にかけては、引き出し線12aが設けられている。引き出し線12aは、ビア14および配線層12に接続されている。引き出し線12aは、半導体素子20の信号線、グランド配線等である。引き出し線12aは、銅(Cu)箔、銀(Ag)または銅(Cu)を含む導電性ペースト等であり、必要に応じて表面にニッケル(Ni)、金(Au)等のめっき処理が施されている。導電性シールド層40と、複数の配線層18の少なくとも1つとは、導電部材25a、25bによって、電気的に接続されている。それぞれの導電部材同士が隣接する距離は、半導体素子20等から放出されるノイズ電波(電磁ノイズ)の波長の半分以下に調整されている。
【0026】
図2(b)に示すように、回路基板10の下面側には、複数の外部接続端子17が縦横に列になって設けられている。複数の外部接続端子17の一部は、ビア14を介して、上面側の引き出し線12aに電気的に接続されている。すなわち、外部接続端子17の一部は、配線層13、ビア14、および引き出し線12aを経由して、配線層12に電気的に接続されている。図2(b)では、図1で例示した配線層13が表示されていないが、実際には、配線層13は、外部接続端子17に接触している(図1参照)。
【0027】
半導体装置1においては、複数の外部接続端子17のいくつかがグランド電位になることが可能である。例えば、半導体装置1が実装基板100に実装された後、実装基板100内に設けられたグランド配線によって、外部接続端子17のいくつかがグランド電位になる。例えば、縦横に配列する複数の外部接続端子17の中、4隅に位置する外部接続端子17がグランド電位になることが可能である。また、グランド電位になる外部接続端子17には、引き出し線19が電気的に接続されている。そして、引き出し線19に接続されたビア14は、回路基板10の上面側の配線層18に接続されている。すなわち、グランド電位になる外部接続端子17から導電部材25a、25bを介して、導電性シールド層40にグランド電位を供給することができる。
【0028】
なお、ビア14にグランド電位を供給する引き出し線19は、回路基板10の上面側に設けてよい。また、グランド電位になる外部接続端子17(または、これに接する配線層13)の数、配置は上述した例に限られない。
【0029】
次に、半導体装置1の製造過程について説明する。
図3は、半導体装置の製造過程を説明する断面模式図である。
図3には、(a)〜(d)の4つの段階の製造過程が例示されている。各段階の右側には、左側の破線200で囲まれた部分の拡大図が示されている。
【0030】
まず、図3(a)に示す段階において、回路基板10が回路基板10の主面に対して平行な方向に複数連続して設けられた基板10Aを準備する。続いて、複数の回路基板10のそれぞれに半導体素子20を搭載する。そして、複数の配線層12の少なくとも1つと、半導体素子の表面に設けられた電極と、をワイヤ21を介して電気的に接続する。
【0031】
さらに、複数の回路基板10の中、隣接する回路基板10のそれぞれに設けられた複数の配線層18のいずれか同士を導電部材25を介して電気的に接続する。導電部材25の形成は、例えば、導電部材25を金属ワイヤとするワイヤボンディング法に従う。続いて、複数の半導体素子20、ワイヤ21および導電部材25を封止する封止樹脂層30を基板10Aの上面側に形成する。この段階では、回路基板10は、切断前の状態にあり、基板10A上には、複数の半導体素子20が搭載されている。
【0032】
次に、図3(b)に示す段階において、隣接する回路基板10のそれぞれの間の封止樹脂層30に溝30tを形成する。溝30tは、ダイシングブレード90を封止樹脂層30の上方から挿入する、いわゆるハーフダイシング加工により形成する。
【0033】
ハーフダイシング加工では、回路基板10の上面側にまでダイシングブレード90を到達させない。すなわち、ダイシングブレード90の挿入を回路基板10の上方の封止樹脂層30内で止めて、ダイシングブレード90の下方に封止樹脂層30が残るように調整する。但し、溝30tを形成しつつ、導電部材25を分断する。
【0034】
導電部材25が分断されると、導電部材25は、導電部材25aと、導電部材25bと、に分かれる。さらに、分断された導電部材25a、25bのそれぞれの切断面は、溝30tの内壁面から露出する。この後、必要に応じて封止樹脂層30を硬化させる。
【0035】
次に、図3(c)に示す段階において、封止樹脂層30の上面および溝30tに導電性シールド層40を形成する。導電性シールド層40の形成は、例えば、転写法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法、ジェットディスペンス法、インクジェット法、エアロゾル法、無電解めっき法、電解めっき法、または真空処理法等で行われる。
【0036】
また、この段階において、導電部材25a、25bのそれぞれの切断面は、導電性シールド層40に接触する。
【0037】
この後、図3(d)に示すように、溝30t内に形成された導電性シールド層40および溝30tの下の基板10Aを、ダイシングにより分断する。
このような製造過程により、連続した回路基板10は個片化されて、半導体装置1が形成される。
【0038】
半導体装置1の効果について説明する。
図4は、半導体装置の効果を説明する模式図であり、(a)は、断面模式図、(b)は平面模式図である。
【0039】
上述したように、配線層12、18には、必要に応じて表面にニッケル(Ni)、金(Au)等のめっき処理が施される。図4には、配線層12、18に電解めっき処理を施すためのめっき用配線10cが複数表示されている。
【0040】
仮に、封止樹脂層30の側面全面が導電性シールド層40で覆われ、封止樹脂層30の側面を覆う導電性シールド層40の下端が回路基板10の上面に接触したり、回路基板10の上面よりも下方に位置したりすると、めっき用配線10cは、回路基板10の外周で導電性シールド層40に接触してしまう。すなわち、配線層12、18を信号線用に用いようとしても、めっき用配線10cに接続された配線層12、18は、導電性シールド層40からグランド電位が供給されて、必然的にグランド電位とショートしてしまう。
【0041】
これを回避する回避手段として、配線層12、18に接続されためっき用配線10cを回路基板10内のビアを介し回路基板10の下面側に引き出す方策が考えられる。しかし、回路基板10における信号線の数が増加するに従い、めっき用配線10cを回路基板10の下面側のみで引き回す手段では、配線の設計自由度に限りが生じてしまう。
【0042】
また、別の回避手段として、配線層12、配線層18に電解めっき処理を施した後、不要になっためっき用配線10cをエッチング処理により除去する方策が考えられる。しかし、めっき用配線10cを除去する工程を設けると、半導体装置の製造コストが上昇してしまう。
【0043】
これに対し、半導体装置1では、封止樹脂層30の側面の一部を覆う導電性シールド層40の下端と、回路基板10の上面と、が接触していない。例えば、導電性シールド層40の下端と、回路基板10の上面との距離は、めっき用配線10cの厚さより長く調整されている。従って、めっき用配線10cを設けても、めっき用配線10cと、導電性シールド層40と、は接触することはない。すなわち、めっき用配線10cに接続された配線層12、18には、導電性シールド層40からグランド電位が供給されることはなく、配線層12、18は、本来の使用用途である信号線として機能する。
【0044】
また、半導体装置1では、めっき用配線10cを残したままでも、めっき用配線10cが導電性シールド層40に接触しないため、めっき用配線10cを除去する製造工程を要しない。従って、実施形態においては、半導体装置の製造コスト上昇を招来せずに済む。
【0045】
また、半導体装置1では、回路基板10の下面側のほか、回路基板10の上面側にも、めっき用配線10cを引き回すことが可能になる。従って、めっき用配線を含めた配線(例えば、信号線、めっき用配線、グランド用配線等)を回路基板10に引き回す設計自由度が向上する。
【0046】
また、半導体装置1では、導電性シールド層40は、封止樹脂層30の上面だけでなく、封止樹脂層30の側面の一部を覆っている。従って、半導体装置1においては、導電性シールド層40が封止樹脂層30の上面だけを覆う構成に比べ、ノイズ電波のシールド性が高くなる。
【0047】
例えば、上述した距離dは、100μm以下とすることが望ましい。こうすると、距離dを、ノイズ電波の波長の半分以下とすることができる。このため、距離dの隙間からは、ノイズ電波が漏れ難くなる。さらに、半導体装置1では、導電部材25a、25b同士が隣接する距離は、ノイズ電波の波長の半分以下に調整されている。このため、導電部材25a、25b間から、ノイズ電波が漏れ難くなっている。
【0048】
なお、めっき処理に関しては、電解めっき処理のほか、無電解めっき処理もある。しかし、実施形態では、無電解めっき処理よりも信頼性の高いめっき膜を形成できる電解めっき処理を採択している。
【0049】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る半導体装置の断面模式図である。
第2実施形態に係る半導体装置2の基本構成は、半導体装置1と同じであり、半導体装置1と同じ効果を得る。但し、半導体装置2においては、配線層18に接続されたビア14が回路基板10の側面10wにおいて露出している。
【0050】
このような構造であれば、半導体装置1に比べ、素子面積を低減させることができる。これにより、半導体装置2においては、半導体装置1に比べより小型化が実現する。
【0051】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態に係る半導体装置の断面模式図である。
第3実施形態に係る半導体装置3の基本構成は、半導体装置1と同じであり、半導体装置1と同じ効果を得る。但し、半導体装置3においては、半導体装置1における回路基板10の側面10w近傍のビア14よりもさらに内側で回路基板10を切断している。配線層18は、回路基板10に配置された配線層を介して、グランド電位になっている。
【0052】
このような構造であれば、半導体装置2に比べ、素子面積を低減させることができる。これにより、半導体装置3においては、半導体装置2に比べより小型化が実現する。
【0053】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明した。しかし、実施形態はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、実施形態の特徴を備えている限り、実施形態の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0054】
また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて複合させることができ、これらを組み合わせたものも実施形態の特徴を含む限り実施形態の範囲に包含される。その他、実施形態の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても実施形態の範囲に属するものと了解される。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1、2、3 半導体装置
10 回路基板
10A 基板
10c めっき用配線
10w 側面
11 絶縁基材
12 配線層
12a、19 引き出し線
13 配線層(第2配線層)
14 ビア
16 ソルダレジスト層
17 外部接続端子
18 配線層(第1配線層)
20 半導体素子
21 ワイヤ
22 マウント材
23 素子搭載領域
25、25a、25b 導電部材
30 封止樹脂層
30t 溝
40 導電性シールド層
90 ダイシングブレード
100 実装基板
101 配線層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材と、前記絶縁基材の上面側に設けられた第1配線層を構成する複数の配線と、前記絶縁基材の下面側に設けられた第2配線層を構成する複数の配線と、前記絶縁基材の前記上面から前記下面にまで貫通する複数のビアと、を有する回路基板と、
前記回路基板の前記上面側に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子を封止し、前記回路基板の前記上面に設けられた封止樹脂層と、
前記封止樹脂層の上面と、前記封止樹脂層の側面の一部と、を覆う導電性シールド層と、
前記封止樹脂層の前記側面の一部を覆う前記導電性シールド層と、前記第1配線層を構成する複数の配線の少なくとも1つと、を電気的に接続する導電部材と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記封止樹脂層の前記側面の一部を覆う前記導電性シールド層の下端と、前記回路基板の上面と、が接触していないことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1配線層を構成する複数の配線の表面の少なくとも1つと、前記封止樹脂層の前記側面の一部を覆う前記導電性シールド層の下端と、の間の距離は、100マイクロメートル以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
絶縁基材と、前記絶縁基材の上面側に設けられた第1配線層を構成する複数の配線と、前記絶縁基材の下面側に設けられた第2配線層を構成する複数の配線と、前記絶縁基材の前記上面から前記下面にまで貫通する複数のビアと、を有する回路基板が前記回路基板の主面に対して平行な方向に複数連続して設けられた基板を準備する工程と、
前記複数の回路基板のそれぞれに半導体素子を搭載する工程と、
前記複数の回路基板の中、隣接する回路基板のそれぞれに設けられた前記第1配線層を構成する複数の配線のいずれか同士を導電部材を介して電気的に接続する工程と、
複数の前記半導体素子および前記導電部材を封止する封止樹脂層を前記基板の上面側に形成する工程と、
前記隣接する回路基板のそれぞれの間の前記封止樹脂層に溝を形成しつつ、前記導電部材を分断し、分断された前記導電部材のそれぞれの切断面を前記溝の内壁面から露出させる工程と、
前記封止樹脂層の上面および前記溝に導電性シールド層を形成する工程と、
前記溝内に形成された前記導電性シールド層および前記溝の下の前記基板を分断する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−160576(P2012−160576A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19271(P2011−19271)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】