説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】バンプ数が少なく高発熱性の半導体チップでも、十分な放熱効率が得られ、半導体チップの動作不良や破損を回避して信頼性を確保できるとともに、リール・ツー・リールの高生産性により、低コストな半導体装置を提供する。
【解決手段】フィルム基材14と、フィルム基材上に設けられたインナーリード13と、インナーリードに接続された半導体チップ11と、半導体チップのインナーリードとの接続領域を封止する絶縁性樹脂16とを有する第1テープキャリア2と、半導体チップよりも大きなデバイスホールが形成されたフィルム22と、フィルムの一面に、デバイスホールを覆うように形成された金属箔21aとを有する第2テープキャリア3aとを備え、半導体チップをデバイスホール内に配置させて、第1テープキャリアと第2テープキャリアが接着され、インナーリードに接続された半導体チップの面の裏面が金属箔に接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープキャリア基板のような、柔軟な絶縁性のフィルム基材に導体リードを設け、その導体リードに半導体チップを接続した半導体装置に関するもので、特に放熱効率の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
テープキャリア基板を使用したパッケージモジュールの一種として、TCP(Tape Carrier Package)が知られている。TCPは、テープキャリア基板上に半導体チップを搭載し、樹脂で封止することにより搭載部を保護する構造を有する。TCPに用いられるテープキャリア基板は、絶縁性のフィルム基材と、その面上に形成された多数本の導体リードから構成される。フィルム基材としては一般的にポリイミドが、導体リードとしては銅が、それぞれ用いられる。導体リード上には、必要に応じて、金属めっき被膜および絶縁樹脂であるソルダーレジストの層が形成される。テープキャリア基板上の導体リードと、半導体チップの電極パッドとは、バンプを介して接続され、半導体チップ表面および導体リードは、絶縁樹脂で封止される。
【0003】
半導体チップは、実使用状態において、発熱して温度が上昇するが、ある基準以上に温度が上昇すると動作不良を起こし、破損する場合がある。この温度上昇を防止するために、発熱量が小さい半導体チップでは、TCPの導体リードを経由して半導体チップの外へ放熱する方法が採用されている。しかしながら、発熱量が大きな半導体チップでは、導体リードからの放熱だけでは不十分なため、金属放熱層が設けられた構成のTCPモジュールが提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0004】
図8は、TCPモジュール(半導体装置)の一部の構成を示す断面図である。金属ベース部材105の上の半導体チップ101の搭載部に絶縁層103が、その他の領域には絶縁性接着層106がそれぞれ形成されている。金属ベース部材105は、Al箔、Ni箔、Fe箔等柔軟な材料で形成され、絶縁層103は、酸化アルミニウムを蒸着またはイオンプレーティング等により、被覆形成されている。絶縁層103と絶縁性接着層106の上には、導体リード104が配置されている。半導体チップ101は、バンプ102を介して、導体リード104に接続されている。半導体チップ101の搭載部を除いた部分の導体リード104上には、絶縁被覆層107が形成され、絶縁被覆層107により、導体リード104が保護されている。
【0005】
これにより、半導体チップ101からの発熱は、導体リード104を経由して放熱されるだけでなく、絶縁層103を介した金属ベース部材105を経由しても放熱されるため、発熱効率が向上する。
【0006】
図9は、図8のTCPモジュール(半導体装置)と別の構成のTCPモジュールの構成を示す断面図である。放熱板114には半導体チップ111より大きさが大きく、深い凹状のデバイスホールが形成されている。放熱板114上に絶縁接着シート115が、さらに絶縁接着シート115上に配線116が、デバイスホールの底にはダイボンド剤117が、それぞれ形成されている。配線116に接続された導体リード113と半導体チップ111は、バンプ112を介して接続され、半導体チップ111のバンプ112が形成された面の裏面は、ダイボンド剤117で放熱板114に固着されている。
【0007】
この構成により、半導体チップ111からの発熱は、導体リード113を経由して放熱されるだけでなく、放熱板114を経由しても放熱されるため、発熱量の大きな半導体チップも使用可能である。
【特許文献1】特開昭61−226993号公報
【特許文献2】特開昭57−18383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図8に示した構成のTCPモジュールにおいては、半導体チップ101からの放熱がバンプ102を経由しなければならず、半導体チップ101からの放熱量が、バンプ102の放熱特性に制約される。従って、金属ベース部材105を具備したテープキャリア基板でも、バンプ102の数が少ない半導体チップの場合は、所望の放熱効率が得られず、半導体チップ101の温度が基準以上に上昇して、動作不良が生じ、半導体チップ101が破損する。
【0009】
また、図9に示した構成のTCPモジュールは、放熱板114が個片状態になるため、絶縁シート115の貼り付け工程、配線116の形成工程、およびダイボンド剤117の塗布工程において、それぞれ個別に加工する必要がある。そのため、テープキャリア基板の特徴であるリール・ツー・リールの高生産性が生かせず、低コスト化が実現できなくなる。
【0010】
本発明は、バンプ数が少なく高発熱性の半導体チップでも、十分な放熱効率が得られ、半導体チップの動作不良や破損を回避して信頼性を確保できるとともに、リール・ツー・リールの高生産性により、低コストな半導体装置を提供することを目的とする。また、そのような半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置は、フィルム基材と、前記フィルム基材上に設けられたインナーリードと、前記インナーリードに接続された半導体チップと、前記半導体チップの前記インナーリードとの接続領域を封止する絶縁性樹脂とを有する第1テープキャリアと、前記半導体チップよりも大きなデバイスホールが形成されたフィルムと、前記フィルムの一面に、前記デバイスホールを覆うように形成された金属箔とを有する第2テープキャリアとを備え、前記半導体チップを前記デバイスホール内に配置させて、前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアが接着され、インナーリードに接続された前記半導体チップの面の裏面が前記金属箔に接触している。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の半導体装置の製造方法は、フィルム基材に繰り返し配置されたインナーリードに、半導体チップが接続され、前記インナーリードと前記半導体チップとの接続領域が絶縁樹脂で封止された第1テープキャリアを準備する工程と、前記半導体チップよりも大きなデバイスホールが形成されたフィルムに、前記デバイスホールを覆う金属箔が形成された第2テープキャリアを準備する工程と、前記デバイスホール内に前記半導体チップが配置されるように、前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアとを、1組の加圧ローラを用いて、リール・ツー・リールで連続的に接着する工程とを備え、前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアとを接着する工程において、前記インナーリードと接続された前記半導体チップの面の裏面を、前記金属箔に接触させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、半導体チップの裏面に金属箔を接触させることにより、バンプ数が少なく高発熱性の半導体チップでも、十分な放熱効率が得られ、半導体チップの動作不良や破損を回避して信頼性を確保できるとともに、リール・ツー・リールの高生産性により、低コストな半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の半導体装置において、前記半導体チップの裏面と前記金属箔の接触面に、液状放熱材が設けられた構成にすることもできる。この構成により、半導体チップの発熱時に、膨張した空気により、金属箔が変形しても、半導体チップと金属箔の接着を維持することができる。
【0015】
また、前記半導体チップの裏面と前記金属箔の接触面に、熱硬化性樹脂が設けられた構成にすることもできる。この構成により、導体チップの発熱時における金属箔の変形を抑え、半導体チップと金属箔の接触が外れることによる放熱効率の低下を抑えることができる。
【0016】
また、前記第2テープキャリアの金属箔の厚さは、前記第1テープキャリアの前記インナーリードの厚さより厚い構成にすることもできる。この構成により、金属箔による放熱効率を上げることができる。
【0017】
また、前記金属箔は、前記フィルムの前記第1テープキャリアと接着される面の裏面に亘って形成された構成にすることもできる。この構成により、金属箔の面積を最大にして、放熱効率を上げることができる。
【0018】
また、前記デバイスホールが形成された領域における前記金属箔は、前記半導体チップと接触する載置部と、前記載置部以外の屈曲部とを有し、前記屈曲部は、前記金属箔が前記半導体チップ側に凸状となるように、屈曲し、前記屈曲部の一部に貫通孔が設けられた構成にすることもできる。この構成により、半導体チップが発熱することにより、膨張した空気は、貫通孔から抜け出ることができるので、金属箔が変形せず、半導体チップと金属箔の接触が外れず、放熱効率を維持することができる。
【0019】
また、前記貫通孔は、前記屈曲部の4隅に設けられた構成にすることもできる。
【0020】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、前記金属箔は、前記フィルムのデバイスホールが形成された領域に、前記半導体チップと接触する載置部と、前記載置部以外の屈曲部とを有し、前記屈曲部の一部に貫通孔が設けられ、前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアを接着する工程の後に、前記金属箔の貫通孔から空気を吸引し、前記屈曲部を屈曲させる工程を有してもよい。
【0021】
また、前記デバイスホールが形成された領域における前記金属箔は、前記半導体チップと接触する載置部と、前記載置部以外の屈曲部とを有し、前記屈曲部の4隅に貫通孔が設けられ、前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアとを接着する工程において、加圧ローラにより、前記屈曲部を加圧することにより、前記屈曲部を屈曲させてもよい。
【0022】
また、前記第1テープキャリアを形成する工程は、前記第1テープキャリアの、前記第2テープキャリアと接着する面に、熱可塑性のソルダーレジストを形成する工程を有し、前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアを接着する工程は、加圧ローラにより、前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアとを加圧する際に、前記熱可塑性のソルダーレジストを加熱する工程を有してもよい。
【0023】
また、前記第2テープキャリアを準備する工程において、準備される前記フィルムは、熱可塑性のソルダーレジストで形成され、前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアを接着する工程は、加圧ローラにより前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアを加圧する際に、熱可塑性のソルダーレジストを加熱する工程を有してもよい。
【0024】
以下、本発明の半導体装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における半導体装置(TCPモジュール)の構成について説明する。図1は、半導体装置の一部の構成を示す断面図である。
【0026】
半導体装置1aは、第1テープキャリア2と、第2テープキャリア3aが接着されて形成されている。第1テープキャリア2は、半導体チップ11と、バンプ12と、導体リード13(インナーリード)と、フィルム基材14と、ソルダーレジスト15と、樹脂16とで構成されている。第2テープキャリア3aは、金属箔21aと、フィルム22と、接着シート23とで構成されている。
【0027】
フィルム基材14は、絶縁性材料のポリイミドで形成されている。なお、条件に応じて、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEI(ポリエーテルイミド)などの絶縁フィルム材料を用いても良い。フィルム基材14は、半導体チップ11が配置される位置に、貫通したデバイスホールが形成されている。フィルム基材14上には、複数本の導体リード13が配線されている。導体リード13は、通常、厚みが3〜20μmの範囲の銅線である。導体リード13の表面は、金属めっきが施されている。金属めっきは、Auめっき、Snめっき等が用いられ、厚みは、0.5〜1μmの範囲である。各導体リード13の先端部は、デバイスホールに突き出ており、いわゆるフライングリードとなっている。
【0028】
ソルダーレジスト15は、フィルム基材14上の導体リード13を覆うように、形成されている。半導体チップ11は、表面に電極パッド17を有している。また、半導体チップ11は、フィルム基材14のデバイスホールに配置されている。各導体リード13の先端部は、デバイスホールにおいて、バンプ12を介して、半導体チップ11の電極パッド17に接続されている。樹脂16は、絶縁性であり、フィルム基材14のデバイスホールに設けられて、半導体チップ11の導体リード13との接続位置および、ソルダーレジスト15に覆われていない導体リード13の部分(合わせて接続領域と称す)を封止し、保護している。
【0029】
フィルム22は、絶縁性材料のポリイミドで形成されている。なお、条件に応じて、PET、PEIなどの絶縁フィルム材料を用いても良い。フィルム22には、半導体チップ11が配置される位置に、貫通したデバイスホールが形成されている。フィルム22の厚さは、導体リード13がバンプ12を介して電極パッド17と接続可能なように、半導体チップ11とフィルム基材14の厚さとの関係で決定される。
【0030】
金属箔21aは、フィルム22の一面に形成されている。金属箔21aは、必要に応じて表面が被覆される。表面被覆としては、Niめっき、Auめっき、Snめっき等の金属めっきや、ソルダーレジスト等の保護樹脂が用いられる。金属箔21aは、電極パッドが形成された半導体チップ11の面の裏面(以下、半導体チップの裏面と称す)と接触し、半導体チップ11で発生した熱が、金属箔21aへ伝達される。このため、バンプ12を経由して導体リード13にのみ熱が伝達される場合よりも、放熱効率を上げることができる。接着シート23は、フィルム基材14とフィルム22とを接着する。
【0031】
次に、金属箔21aの構成について詳細に説明する。金属箔21aは、厚さを厚くする程、放熱効率が向上する。金属箔21aの厚さは、12μm〜70μmが好ましく、使用材料としてはCu箔、Al箔、Ni箔、Fe箔が挙げられる。
【0032】
従来例のように、導体リードのみを放熱経路とする場合、放熱効率は、導体リードの厚さに影響される。導体リードの配線ピッチは、狭ピッチ化が要求されているが、狭ピッチの導体リードをエッチング加工するには、導体リードの厚さを薄くする必要がある。このため、狭ピッチ化が進むにつれて、放熱効率が悪化する。
【0033】
本発明の構成では、導体リード13を経由する放熱経路のほかに、金属箔21aを経由する放熱経路が設けられている。金属箔21aは配線加工が不要なので、金属箔21に厚さの制約がなく、適切に厚さを選択することで、所望の放熱効率が得られる。
【0034】
また、金属箔21aは、接着シート23と接着されたフィルム22の面の裏面に、全体に亘って形成されることにより、放熱効率が向上する。半導体装置1aは、アウターリードにより実装される際に、外形を打抜かれパッケージサイズが規定されるが、このサイズつまり、接着剤23が接着されたフィルム22の面の裏面全体のサイズが金属箔21aの最大サイズである。なお、アウターリードを実装した際に、金属箔21aをセットのシャーシに固定する場合には、シャーシに放熱することができるため、さらに、放熱効率が向上する。
【0035】
以上のような構成により、半導体チップ11で発生した熱を導体リード13のみならず、金属箔21aから放熱することができる。さらに、金属箔21aの厚みを適切に選択することにより、所望の放熱効率を得ることができる。
【0036】
図2は、本実施の形態に係る半導体装置1aの一変形例としての半導体装置1bの構成を示す断面図である。半導体装置1bは、半導体チップ11の裏面と金属箔21aとの間に、放熱材24が設けられた点で半導体装置1aと異なる。他の構成は、半導体装置1a同様であり、半導体装置1aと同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。放熱材24としては、アルミナの粉末が入ったグリスなどの液状放熱材、あるいは熱硬化型接着剤(熱硬化性樹脂)を用いることができる。
【0037】
実使用状態において、半導体チップ11が発熱し、半導体チップ11、樹脂16、金属箔21a、およびフィルム22で囲まれた領域の空気が膨張して、金属箔21aが膨らむ。これにより、金属箔21aと半導体チップ11とが直接接触している場合には、金属箔21aが半導体チップ11から離れて、放熱効率が低下する。しかしながら、図2に示すように、放熱材24がグリスのように液状であれば、放熱材24が金属箔21aの膨らみに追従することができ、放熱効率の低下を防ぐことができる。また、放熱材24が熱硬化型接着材であれば、金属箔21aの膨らみを抑え放熱効率の低下を防ぐことができる。
【0038】
次に、本実施の形態における半導体装置の製造方法について、図3〜図5を参照しながら説明する。図3は、本実施の形態に係る半導体装置1bの第1テープキャリア2の製造工程を示す工程断面図である。
【0039】
図3(a)に示すように、フィルム基材14の上に、複数本の導体リード13を配線する。各導体リード13の先端部をデバイスホールに突き出させ、いわゆるフライングリードとする。導体リード13の先端部以外の部分をソルダーレジスト15で被覆する。
【0040】
つぎに、図3(b)に示すように、導体リード13の先端部を、バンプ12を介して半導体チップ11の電極パッド17に接続する。導体リード13の表面にはAuめっき、Snめっき等の金属めっきが施されている。バンプ12は、Auめっきで形成されている。導体リード4とバンプ12を位置合わせし、加熱・加圧して、Au/Au合金、あるいはSn/Au合金を形成して接続する。
【0041】
つぎに、図3(c)に示すように、半導体チップ11の導体リード13との接続領域に絶縁性の樹脂16を塗布し、熱硬化させる。樹脂16としては、エポキシ系、アクリル系、ポリイミド系等の材料を用いることができる。以上の工程により、第1テープキャリア2を製造することができる。
【0042】
図4は、第2テープキャリア3bを示す断面図である。第2テープキャリア3bの製造方法は、まず、デバイスホールが設けられた絶縁性のフィルム22に、金属箔21aを形成する。つぎに、金属箔21aに接するフィルム22の面の裏面において、デバイスホール以外の部分に、接着シート23を貼り付ける。図示していない放熱材24は、後の工程で設けられる。
【0043】
つぎに、第1テープキャリア2と第2テープキャリア3bとを接着して、半導体装置1bを形成する工程について説明する。図5は、第1テープキャリア2と、第2テープキャリア3bとを接着する接着装置30の構成を示す平面図である。第1供給リール31は、上述した工程により形成された第1テープキャリア2が巻きつけられている。第2供給リール32は、第2テープキャリア3bが巻きつけられている。第1供給リール31と第2供給リール32とは、第1テープキャリア2のフィルム基材14が形成された側と、第2テープキャリア3bのフィルム22が形成された側が向かい合うように、第1テープキャリア2と第2テープキャリア3bとをそれぞれ供給する。
【0044】
第1供給リール31と第2供給リール32とは、第1テープキャリア2の半導体チップ11と、第2テープキャリア3bのデバイスホールが形成された領域における金属箔21aが接触するように、第1テープキャリア2と第2テープキャリア3bとをそれぞれ供給する。
【0045】
塗布シリンジ33は、第2供給リール32から供給された第2テープキャリア3bの、フィルム22が形成された側の金属箔21aに、放熱材24を適量塗布する。加圧ローラ34は、1組のローラで構成され、第1テープキャリア2と第2テープキャリア3bとを接着するように、力を加える。力が加わると、半導体チップ11の裏面により放熱材24が押し広げられ、半導体チップ11の裏面全体に広がる。また、第1テープキャリア2のフィルム基材14と、第2テープキャリア3bの接着シート23とが接着する。巻き取りリール35は、加圧ローラ34により接着された第1テープキャリア2と第2テープキャリア3bを巻き取る。以上に示した接着装置30を用いて、第1テープキャリア2と第2テープキャリア3bが接着される。
【0046】
つぎに、巻き取りリール35により巻き取った第1テープキャリア2と、第2テープキャリア3bとを適切な大きさに切断して半導体装置1bが完成する。
【0047】
以上のように、本実施の形態に係る半導体装置1a、1bは、半導体チップ11で発生した熱を、厚さの規制が少ない金属箔21aから放すことにより、放熱効率を上げることができる。
【0048】
また、第1テープキャリア2と第2テープキャリア3bの接着する工程は、リール・ツー・リールで連続的に行われるため、個片での対応が不要で生産性が高く、低コスト化が実現できる。
【0049】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の構成を示す断面図である。本実施の形態に係る半導体装置1cは、金属箔21aが金属箔21cに置き換わった以外は、実施の形態1に係る半導体装置1bと同様である。半導体装置1cにおいて、半導体装置1bと同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。第2テープキャリア3cの金属箔21cは、デバイスホールが形成された領域において、放熱材24を介して半導体チップ11の裏面に接触する載置部26と、載置部26以外の屈曲部25とが形成されている。屈曲部25は、図6に示すように、放熱材24を介して半導体チップ11に接触するように、半導体装置1bの内向きに屈曲している。金属箔21cの屈曲部25の一部に貫通孔27cが設けられている。
【0050】
次に、半導体装置1cの製造方法について説明する。半導体装置1cの製造方法は、図5に示す加圧ローラ34による第1テープキャリア2と第2テープキャリア3cの接着工程までは、実施の形態1に係る半導体装置1bの製造方法と同様であるので、説明を省略する。ただし、本実施の形態における第2テープキャリア1cは、金属箔21bに貫通孔27cが設けられている点が、実施の形態1における第2テープキャリア1bと異なる。
【0051】
本実施の形態に係る半導体装置1cの製造方法は、この接着工程のつぎに、金属箔21cの貫通孔27cから空気を吸引し、金属箔21cが放熱材24を介して、半導体チップ11の裏面と接触するように、屈曲部25を屈曲させる。これにより、半導体チップ11の裏面の位置に金属箔21cを追従させることができるとともに、放熱材24の厚さを薄くすることができ、半導体チップ11の放熱効率を向上させることができる。なお、フィルム22の貫通孔27cから空気を吸引することで、機械的に屈曲部25を形成するより、半導体チップ11と導体リード13との接続部に局部的なストレスを与えることが少ないので、断線等の発生を防ぐことができる。
【0052】
また、第1テープキャリア2と第2テープキャリア3cとを、リール・ツー・リールで接着して、半導体装置1dを製造することができるので、コストを抑えることができる。
【0053】
なお、実施の形態1における接着装置30の加圧ローラ34の後ろに吸引装置を設けることにより、貫通孔27cから空気吸引工程を行うことが可能な接着装置とすることもできる。
【0054】
また、貫通孔27cが設けられていない場合、半導体チップ1cが実使用状態になると発熱し、半導体チップ11、樹脂16、金属箔21cおよびフィルム22で囲まれた領域の空気が熱せられて膨張し、金属箔21cが図6の下に凸状に膨らむ。これにより、金属箔21cが半導体チップ11から離れて、放熱効率が低下する。しかしながら、本実施の形態の半導体装置1cでは、金属箔21cに貫通孔27cが設けられていることにより、熱せられた空気が貫通孔27cから逃げて金属箔21cが膨らむことを防止する。このことにより、金属箔21cが半導体チップ11の裏面から離れず、放熱効率の低下を防ぐことができる。
【0055】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の構成を示す(a)は半導体装置1dに垂直な断面図、(b)は(a)のA−A断面図である。本実施の形態に係る半導体装置1dは、金属箔21cが金属箔21dに置き換わった以外は、実施の形態2に係る半導体装置1cと同様であり、半導体装置1cと同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。第2テープキャリア3dの金属箔21dは、半導体チップ11が配置される側が凸状となるように、屈曲部25が屈曲形成されている。図7(b)に示すように、屈曲部25の4隅に、貫通孔27dが形成されている。
【0056】
次に、半導体装置1dの製造方法について説明する。半導体装置1dの製造方法は、実施の形態2における半導体装置1cの製造方法と、図5に示す加圧ローラ34による第1テープキャリア1と第2テープキャリア3cの接着工程が異なり、吸引工程を行わない点が異なる。他の工程は、実施の形態2に係る半導体装置1cの製造方法と同様であるので、説明を省略する。
【0057】
本実施の形態に係る半導体装置1dの製造方法は、接着工程において、加圧ローラ34で金属箔21dを加圧することで、半導体チップ11側に凸状となるように、屈曲部25を形成する。この時、半導体チップ11の4隅部分で貫通孔27dがあることにより、より小さな加圧でも金属箔21dを変形させることができる。また、加圧ローラ34での圧力が小さいので、局部的に強いストレスが加わることがないので、導体リード13が断線することなどを防ぐことができる。
【0058】
以上の構成により、本実施の形態の半導体装置1dでは、金属箔21dに貫通孔27dが設けられていることにより、熱せられた空気が貫通孔27dから逃げて金属箔21dが膨らむことを防止する。このことにより、金属箔21dが半導体チップ11の裏面から離れず、放熱効率の低下を防ぐことができる。
【0059】
また、第1テープキャリア2と、第2テープキャリア3dを接着させるリール・ツー・リールで半導体装置1dが製造されるので、コストを抑えることができる。
【0060】
なお、実施の形態1〜3の半導体装置と別の構成の半導体装置として、ソルダーレジスト15が熱可塑性材料で形成され、導体リード13だけでなく、フィルム基材14の表面も覆う構成にすることもできる。この構成の半導体装置は、フィルム基材14の表面を覆うソルダーレジスト15とフィルム22とを接着することにより、接着シート23が不要となり、コストを抑えることができる。
【0061】
この構成の半導体装置の製造方法は、第1テープキャリアと第2テープキャリアの接着工程において、加圧ローラにより加圧する際に、ソルダーレジストを加熱することにより、第1テープキャリアと第2テープキャリアを接着させる。
【0062】
また、実施の形態1〜3の半導体装置と別の構成の半導体装置として、フィルム基材14あるいは、フィルム22を熱可塑性材料で形成された構成にすることもできる。この構成により、フィルム基材14とフィルム22が接着するので、接着シート23が不要となり、コストを抑えることができる。
【0063】
この構成の半導体装置の製造方法は、第1テープキャリアと第2テープキャリアの接着工程において、加圧ローラにより加圧する際に、フィルム基材14あるいは、フィルム22を加熱することにより、第1テープキャリアと第2テープキャリアを接着させる。
【0064】
なお、実施の形態1〜3において、フィルム基材14にデバイスホールが形成されたTCPを例に示したが、フィルム基材14にデバイスホールが形成されていないCOF(Chip on Film)を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、半導体チップに接触する金属箔を設けることにより、放熱効率を上昇することができるという効果を有し、半導体装置として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態1に係る半導体装置の別の構成を示す断面図
【図3】本実施の形態に係る第1テープキャリアの製造工程を示す断面図
【図4】本実施の形態に係る第2テープキャリアの構成を示す断面図
【図5】本実施の形態における、第1テープキャリアと第2テープキャリアの接着装置の構成を示す平面図
【図6】本発明の実施の形態2に係る半導体装置の構成を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態3に係る半導体装置の構成を示す(a)は断面図、(b)は(a)のA―A断面の構成を示す断面図
【図8】従来のTCPパッケージの構成を示す断面図
【図9】従来のTCPパッケージの別の構成を示す断面図
【符号の説明】
【0067】
1a、1b、1c、1d 半導体装置
2 第1テープキャリア
3a、3b、3c、3d 第2テープキャリア
11 半導体チップ
12 バンプ
13 導体リード
14 フィルム基材
15 ソルダーレジスト
16 樹脂
17 電極パッド
21a、21c、21d 金属箔
22 フィルム
23 接着シート
24 放熱材
25 屈曲部
26 載置部
27c、27d 貫通孔
31 第1供給リール
32 第2供給リール
33 塗布シリンジ
34 加圧ローラ
35 巻き取りリール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム基材と、前記フィルム基材上に設けられたインナーリードと、前記インナーリードに接続された半導体チップと、前記半導体チップの前記インナーリードとの接続領域を封止する絶縁性樹脂とを有する第1テープキャリアと、
前記半導体チップよりも大きなデバイスホールが形成されたフィルムと、前記フィルムの一面に、前記デバイスホールを覆うように形成された金属箔とを有する第2テープキャリアとを備え、
前記半導体チップを前記デバイスホール内に配置させて、前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアが接着され、
インナーリードに接続された前記半導体チップの面の裏面が前記金属箔に接触している半導体装置。
【請求項2】
前記半導体チップの裏面と前記金属箔の接触面に、液状放熱材が設けられた請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体チップの裏面と前記金属箔の接触面に、熱硬化性樹脂が設けられた請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2テープキャリアの金属箔の厚さは、前記第1テープキャリアの前記インナーリードの厚さより厚い請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属箔は、前記フィルムの前記第1テープキャリアと接着される面の裏面に亘って形成された請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記デバイスホールが形成された領域における前記金属箔は、前記半導体チップと接触する載置部と、前記載置部以外の屈曲部とを有し、
前記屈曲部は、前記金属箔が前記半導体チップ側に凸状となるように、屈曲し、
前記屈曲部の一部に貫通孔が設けられた請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記屈曲部の4隅に設けられた請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
フィルム基材に繰り返し配置されたインナーリードに、半導体チップが接続され、前記インナーリードと前記半導体チップとの接続領域が絶縁樹脂で封止された第1テープキャリアを準備する工程と、
前記半導体チップよりも大きなデバイスホールが形成されたフィルムに、前記デバイスホールを覆う金属箔が形成された第2テープキャリアを準備する工程と、
前記デバイスホール内に前記半導体チップが配置されるように、前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアとを、1組の加圧ローラを用いて、リール・ツー・リールで連続的に接着する工程とを備え、
前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアとを接着する工程において、前記インナーリードと接続された前記半導体チップの面の裏面を、前記金属箔に接触させる半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記金属箔は、前記フィルムのデバイスホールが形成された領域に、前記半導体チップと接触する載置部と、前記載置部以外の屈曲部とを有し、
前記屈曲部の一部に貫通孔が設けられ、
前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアを接着する工程の後に、前記金属箔の貫通孔から空気を吸引し、前記屈曲部を屈曲させる工程を有する請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記デバイスホールが形成された領域における前記金属箔は、前記半導体チップと接触する載置部と、前記載置部以外の屈曲部とを有し、
前記屈曲部の4隅に貫通孔が設けられ、
前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアとを接着する工程において、加圧ローラにより、前記屈曲部を加圧することにより、前記屈曲部を屈曲させる請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1テープキャリアを形成する工程は、前記第1テープキャリアの、前記第2テープキャリアと接着する面に、熱可塑性のソルダーレジストを形成する工程を有し、
前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアを接着する工程は、加圧ローラにより、前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアとを加圧する際に、前記熱可塑性のソルダーレジストを加熱する工程を有する請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2テープキャリアを準備する工程において、準備される前記フィルムは、熱可塑性のソルダーレジストで形成され、
前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアを接着する工程は、加圧ローラにより前記第1テープキャリアと前記第2テープキャリアを加圧する際に、熱可塑性のソルダーレジストを加熱する工程を有する請求項8記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−78481(P2008−78481A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257528(P2006−257528)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】