半導体装置および半導体装置の製造方法
【課題】電極パッドよりも径の小さな貫通孔を半導体基板自体に設けることなく、上下に積層された半導体チップ間の電気的な接続を行う。
【解決手段】半導体基板S1の横にはみ出すように電極パッドP1を配置し、半導体基板S1の周囲を取り囲むように配置された樹脂層J1上にて支持し、電極パッドP1が上下に重なるように半導体チップC1を積層し、貫通孔T1内に導電体D1を埋め込むことで、上下の電極パッドP1を電気的に接続し、上下に積層された半導体チップC1間の電気的な接続を行う。
【解決手段】半導体基板S1の横にはみ出すように電極パッドP1を配置し、半導体基板S1の周囲を取り囲むように配置された樹脂層J1上にて支持し、電極パッドP1が上下に重なるように半導体チップC1を積層し、貫通孔T1内に導電体D1を埋め込むことで、上下の電極パッドP1を電気的に接続し、上下に積層された半導体チップC1間の電気的な接続を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯情報端末やストレージデバイスなどの小型化および高性能化の要求に伴なって、半導体チップを高密度実装することが行われている。この半導体チップを高密度実装化する方法として、半導体チップを積層させる方法がある。ここで、半導体チップを積層させる場合、積層数やチップサイズに制約がないなどの利点から、半導体基板に形成された貫通ビアを介して半導体チップ間を電気的に接続する方法がある(特許文献1)。
【0003】
この貫通ビアを介して半導体チップ間を電気的に接続する方法では、半導体基板上の電極パッド下に配置された貫通孔が半導体基板の裏面に形成される。そして、その貫通孔の側壁に絶縁膜が形成され、その絶縁膜が電極パッド下の層間絶縁膜とともに開口されて電極パッドが露出された後、半導体基板の裏面側に引き出されたコンタクト電極が貫通孔内に形成される。そして、電極パッド上に接続バンプを配置することで、上下に積層された半導体チップ間の電気的な接続が行われる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、上下に積層された半導体チップ間の電気的な接続を行うために、電極パッドよりも径の小さな貫通孔が半導体基板自体に設けられている。このため、半導体チップ間の接続時に、半導体基板やその上の層間絶縁膜に応力がかかり、半導体基板や層間絶縁膜のクラックを引き起こすことがあることから、半導体装置の信頼性が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−53149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、電極パッドよりも径の小さな貫通孔を半導体基板自体に設けることなく、上下に積層された半導体チップ間の電気的な接続を行うことが可能な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、配線層が設けられた半導体基板と、前記半導体基板上を避けるように配置され、前記配線層に含まれる配線と一体的に形成された電極パッドと、前記半導体基板に固着され、前記電極パッドを支持する樹脂層とを備えることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、配線層が設けられた半導体基板と、前記半導体基板の横にはみ出すように配置され、前記配線層に含まれる配線と一体的に形成された電極パッドと、前記半導体基板の横にはみ出すように前記半導体基板に固着され、前記電極パッドを支持する樹脂層と、前記電極パッドを上下に突き抜けるように配置され、前記樹脂層を上下に貫通する貫通孔または溝とを備えることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、チップ領域ごとに区画された半導体ウェハの半導体基板上に電極パッドを含む配線層を形成する工程と、前記半導体ウェハの上面を無機絶縁膜で被覆する工程と、前記電極パッドの上面および前記半導体ウェハのスクライブライン上に設けられた前記無機絶縁膜を除去する工程と、前記無機絶縁膜が積層された半導体ウェハ上面を第一の樹脂層で被覆する工程と、前記第一の樹脂層から前記電極パッドの上面の一部を露出させる開口部を形成する工程と、前記半導体基板の裏面を選択的にエッチングすることにより、前記電極パッド下の前記半導体基板を除去するとともに、前記半導体ウェハのスクライブラインに沿って前記半導体基板をチップ領域ごとに分離する工程と、前記配線層に含まれる前記電極パッド下の絶縁層を除去し、前記電極パッドを前記絶縁層から露出させる工程と、前記配線層に含まれる絶縁層の、前記スクライブライン部に露出した部分を除去する工程と、前記半導体ウェハ下面を第二の樹脂層で被覆する工程と、前記第二の樹脂層から前記電極パッドの裏面の一部と必要に応じて前記スクライブライン部の前記第一の樹脂層の裏面を露出させる開口部を形成する工程と、前記スクライブラインに沿って前記第一の樹脂層と必要に応じて前記第二の樹脂層とを切断する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電極パッドよりも径の小さな貫通孔を半導体基板自体に設けることなく、上下に積層された半導体チップ間の電気的な接続を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す斜視図。
【図2】図2は図1の半導体装置の製造方法の変形例を示す斜視図。
【図3】図3(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図3(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図4】図4(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図4(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図5】図5(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図5(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図6】図6(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図6(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図7】図7は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図8】図8は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図9】図9(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図9(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図10】図10(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図10(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図11】図11(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図11(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図12】図12(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図12(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図13】図13(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図13(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図14】図14は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図15】図15は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図16】図16は本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図17】図17は本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図18】図18は本発明の第5実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図19】図19(a)は本発明の第6実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図19(b)は図19(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図。
【図20】図20(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図20(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図21】図21(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図21(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図22】図22は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図23】図23は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図24】図24(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図24(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図25】図25(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図25(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図26】図26(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図26(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図27】図27(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図27(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図28】図28(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図28(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図29】図29は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図30】図30(a)は本発明の第8実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図30(b)は図30(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図。
【図31】図31(a)は本発明の第9実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図31(b)は本発明の第9実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図32】図32(a)は本発明の第10実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図32(b)は図32(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図。
【図33】図33(a)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図33(b)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図34】図34は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図35】図35は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図36】図36(a)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図36(b)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図37】図37(a)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図37(b)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図38】図38(a)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図38(b)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図39】図39(a)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図39(b)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図40】図40(a)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図40(b)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図41】図41は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図42】図42(a)は本発明の第12実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図42(b)は図42(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図。
【図43】図43(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図43(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図44】図44(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図44(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図45】図45は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図46】図46は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図47】図47(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図47(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図48】図48(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図48(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図49】図49(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図49(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図50】図50(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図50(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図51】図51(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図51(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図52】図52は本発明の第14実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図53】図53は図52の半導体装置の製造方法の変形例を示す図。
【図54】図54は本発明の第15実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図55】図55は図54の半導体装置の製造方法の変形例を示す図。
【図56】図56は本発明の第16実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図57】図57は図56の半導体装置の製造方法の変形例を示す図。
【図58】図58は本発明の第17実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図59】図59は図58の半導体装置の製造方法の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す斜視図である。
図1において、半導体ウェハW1は、スクライブラインB1にてチップ領域R1ごとに区画されている。そして、半導体ウェハW1上の各チップ領域R1には、半導体基板S1上に形成された配線層が設けられ、この配線層には、電極パッドP1が一体的に設けられた配線H1が形成されている。ここで、電極パッドP1と配線H1は同一平面上に配置されている。
【0014】
なお、半導体基板S1の材料は、例えば、Si、Ge、SiGe、GaAs、InP、GaP、GaN、SiC、GaInAsPなどを用いることができる。また、各チップ領域R1には、電界効果トランジスタを形成するようにしてもよいし、フラッシュメモリ、DRAM、マイクロコンピュータ、ロジック回路あるいはイメージセンサなどを形成するようにしてもよい。また、電極パッドP1は、各チップ領域R1の周辺部に配置し、特に配線H1の外側に配置することが好ましい。また、半導体基板S1と配線H1との間の絶縁を行うため、半導体基板S1上に形成された配線層には、絶縁層を設けることができる。ここで、この配線層に設けられた絶縁層としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの無機材料を用いることができる。
【0015】
そして、各チップ領域R1において、電極パッドP1より内側に半導体基板S1を残しつつ、スクライブラインB1に沿って電極パッドP1下の半導体基板S1が除去されることで、半導体基板S1上を避けるように電極パッドP1が配置される。ここで、半導体基板S1上を避けるように電極パッドP1を配置する形態としては、半導体基板S1の横にはみ出すように電極パッドP1を配置する形態を挙げることができる。
【0016】
また、半導体ウェハW1から半導体基板S1の除去された領域には樹脂層J1が設けられ、チップ領域R1ごとに分離された半導体基板S1に固着されることで、半導体基板S1の横にはみ出した電極パッドP1が支持されるとともに、チップ領域R1ごとに分離された半導体基板S1が一体的に支持される。なお、樹脂層J1の材料は、例えば、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどの有機材料を用いることができる。また、樹脂層J1は、熱可塑性を有するものが好ましい。また、チップ領域R1ごとに分離された半導体基板S1の周囲に樹脂層J1を形成する前に、半導体基板S1を薄膜化してもよい。
【0017】
また、電極パッドP1には開口部K1が形成されるとともに、樹脂層J1には、樹脂層J1を上下に貫通する貫通孔T1が形成されている。ここで、貫通孔T1は、開口部K1を介して電極パッドP1を上下に突き抜けるように配置することができる。なお、開口部K1および貫通孔T1は、チップ領域R1ごとに分離された半導体基板S1が樹脂層J1にて一体的に支持されたまま形成することが好ましい。
【0018】
そして、スクライブラインB1に沿って樹脂層J1を切断することで、半導体基板S1の周囲を取り囲むように樹脂層J1が配置された半導体チップC1を切り出す。ここで、電極パッドP1は、半導体基板S1の横にはみ出すように配置され、半導体基板S1の周囲を取り囲むように配置された樹脂層J1上に支持されている。また、電極パッドP1が配置される樹脂層J1上の面は、配線H1が配置される半導体基板S1上の面に連続するように形成することができる。
【0019】
そして、電極パッドP1が上下に重なるように半導体チップC1を積層し、貫通孔T1内に導電体D1を埋め込むことで、上下の電極パッドP1を電気的に接続し、上下に積層された半導体チップC1間の電気的な接続を行う。なお、導電体D1としては、例えば、導電性ペーストを用いるようにしてもよいし、メッキ材を用いるようにしてもよい。また、積層された半導体チップC1間の接続方法としては、樹脂層J1の熱可塑性を利用して半導体チップC1間を接続するようにしてもよいし、半導体チップC1間に接着層を設けるようにしてもよい。
【0020】
これにより、半導体チップC1間の接続時に、半導体基板S1やその上の無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S1を薄膜化した場合においても、半導体基板S1や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0021】
また、樹脂層J1に貫通孔T1を設けることで、半導体チップC1の半導体基板S1に貫通孔を設けることなく、上下の電極パッドP1を電気的に接続することができる。このため、半導体基板S1の貫通孔の側壁に絶縁膜を形成したり、電極パッドを露出させる開口部をその絶縁膜に形成したりする必要がなくなり、上下の電極パッドP1を電気的に接続するための構造を簡易化することができる。
【0022】
また、スクライブラインB1に沿ってチップ領域R1ごとに分離された半導体基板S1を樹脂層J1にて一体的に支持させることで、半導体チップC1を切り出す時に樹脂層J1のみを切断すればよく、半導体基板S1やその上の無機絶縁膜を切断する必要がなくなる。このため、半導体チップC1を切り出す時に、半導体基板S1やその上の無機絶縁膜の切削屑が周囲に飛び散り、半導体基板S1の表面に付着するのを防止することができる。
【0023】
なお、導電体D1と電極パッドP1との接続不良を減らすために、開口部K1の大きさよりも貫通孔T1の大きさを大きくし、電極パッドP1の裏面の一部を樹脂層J1から露出させることが好ましい。
【0024】
なお、上記実施例では、電極パッドP1と配線H1の上面に関して何ら限定をしていないが、これらの上面に絶縁膜が積層されていても構わない。例えば、無機絶縁膜Z1を半導体基板S1上に積層し、さらにその上に樹脂層J1´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z1としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J1´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。無機絶縁膜Z1に、電極パッドP1よりも大きな開口部を形成して、当該電極パッドP1上面の全面を無機絶縁膜Z1から露出することによって、半導体チップC1を積層して電極パッドP1間を接続した際に、脆性材料である無機絶縁膜Z1にクラックが発生することを防止することが可能となる。
【0025】
一方、樹脂層J1´に、電極パッドP1よりも小さく、かつ電極パッドP1の開口部K1よりも大きな貫通孔T1´を形成して、電極パッドP1の外周を固定するとともに、電極パッドP1の上面の一部と開口部K1を露出させることにより、電極パッドP1の位置を固定することが出来るとともに、半導体チップC1´を電極パッドP1が上下に重なるように積層した際に導電体D1を埋め込むことによって電気的な接続を行うことが出来る。
【0026】
さらに、無機絶縁膜Z1をスクライブラインB1に沿って開口して、樹脂層J1´をスクライブラインB1上で開口しないようにすれば、チップ領域R1を半導体ウェハW1上の所定の位置に固定することが出来ると共に、半導体ウェハW1から半導体チップC1を切り出す時に無機絶縁膜Z1を切断する必要がなく、切削屑が飛び散って半導体チップC1´の表面に付着することを防止することが出来る。また、上面の樹脂層J1´によってスクライブラインB1を固定した場合には、裏面の樹脂層J1でスクライブラインB1を固定する必要がないため、貫通孔T1を形成する際のフォトリソグラフィ工程によって、樹脂層J1のスクライブラインB1下を同時に開口してしまうことが可能となる。なお、樹脂層J1´と樹脂層J1とは、少なくともいずれか一方が熱可塑性を持っていれば積層時の接着層とすることが出来る。
【0027】
(第2実施形態)
図3(a)〜図6(a)、図7、図8、図10(a)〜図13(a)、図14および図15は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図3(b)〜図6(b)は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図、図9(b)〜図13(b)は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図である。
【0028】
図3(a)および図3(b)において、半導体基板11上には、絶縁層12が形成され、絶縁層12上には、電極パッド14が一体的に設けられた配線13が形成されている。ここで、電極パッド14には開口部15が形成されている。
また、半導体基板11はウェハ状に構成され、チップ領域R11ごとに区画されている。ここで、絶縁層12下の半導体基板11上には、下層配線層を設けるようにしてもよい。また、半導体基板11には、チップ領域R11ごとに電界効果トランジスタを形成するようにしてもよいし、フラッシュメモリ、DRAM、マイクロコンピュータ、ロジック回路あるいはイメージセンサなどを形成するようにしてもよい。また、絶縁層12としては、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。あるいは、酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜が積層された積層構造を用いるようにしてもよい。また、絶縁層12と配線13の全体の膜厚は、例えば1〜10μmの範囲に設定することができる。
【0029】
次に、図4(a)および図4(b)に示すように、CVDなどの方法を用いることにより、配線13および電極パッド14上に保護膜17を形成する。なお、保護膜17としては、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0030】
次に、図5(a)および図5(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、チップ領域R11の外周部全体の保護膜17を除去し、電極パッド14を保護膜17から露出させる。ここで、チップ領域R11の外周部全体の保護膜17を除去する場合、チップ領域R11間のスクライブ領域の保護膜17も除去することが好ましい。
【0031】
次に、図6(a)および図6(b)に示すように、半導体基板11上に樹脂層18を形成する。なお、樹脂層18の材料は、例えば、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどの有機材料を用いることができる。また、樹脂層18は、感光性を有するものが特に好ましい。また、樹脂層18の膜厚は、例えば、3μm程度とすることができる。
ここで、半導体基板11上に樹脂層18を形成する方法としては、スピンコート法を用いるようにしてもよいし、樹脂フィルムを半導体基板11に貼り合わせるようにしてもよい。
【0032】
そして、電極パッド14を露出させる貫通孔24を樹脂層18に形成する。なお、貫通孔24は、電極パッド14の外周よりも内側に配置することが好ましい。また、チップ領域R11間のスクライブ領域には、樹脂層18を残したままにすることが好ましい。
ここで、樹脂層18に貫通孔24を形成する方法としては、樹脂層18に感光性がある場合、樹脂層18の感光および現像を行う方法を用いることができる。また、樹脂層18に感光性がない場合、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いることができる。なお、ウェハレベルテストを行う場合、ウェハレベルテスト用の電極パッドも同時に開口するようにしてもよい。
【0033】
次に、図7に示すように、半導体基板11の裏面を研削する際に半導体基板11を支持する保護シート19aと保護板19bを樹脂層18上に形成する。なお、保護シート19aとしては、半導体基板11に一旦貼り付けた後、半導体基板11から剥離することが可能な粘着性樹脂シートを用いることができる。あるいは、半導体基板11に一旦貼り付けた後、半導体基板11からの剥離を容易化するために、紫外線硬化型樹脂などを用いるようにしてもよい。また、保護板19bには有機物を用いても良いし、シリコンやガラスなどのウェハを用いても良い。
【0034】
次に、図8に示すように、半導体基板11の裏面を研削することにより、半導体基板11を薄膜化する。なお、薄膜化後の半導体基板11の厚さは、例えば、5〜10μmの範囲に設定することができる。また、半導体基板11を薄膜化する場合、機械研削を行った後、CMPなどにて半導体基板11の裏面を鏡面化することが好ましい。
【0035】
次に、図9(a)および図9(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、チップ領域R11の外周部全体の半導体基板11を除去し、電極パッド14下の絶縁層12の裏面を半導体基板11から露出させる。ここで、チップ領域R11の外周部全体の半導体基板11を除去する場合、チップ領域R11間のスクライブ領域の半導体基板11も除去することが好ましい。
【0036】
これにより、各チップ領域R11ごとに半導体基板11を分離するとともに、電極パッド14が半導体基板11の横にはみ出すように配置することができる。また、チップ領域R11間のスクライブ領域の半導体基板11も除去することにより、ダイシング工程で半導体基板11が切断されるのを防止することができ、半導体基板S1の切削屑が周囲に飛び散るのを防止することができる。
【0037】
なお、フォトリソグラフィ技術にて半導体基板11の裏面にレジストパターンを形成する場合、半導体基板11の裏面に形成されるレジストパターンと、半導体基板11の表面に形成されたパターンとの位置合わせを行うために、赤外線で半導体基板11を透過させることにより、半導体基板11の表面に形成されたアライメントマークを検出することができる。あるいは、半導体基板11を薄膜化した時にアライメントマークが半導体基板11の裏面側に露出するように、半導体基板11の表面側に深い穴をアライメントマークとして形成するようにしてもよい。
【0038】
次に、図10(a)および図10(b)に示すように、半導体基板11をマスクとして絶縁層12をエッチングすることにより、チップ領域R11の外周部全体の絶縁層12を除去し、電極パッド14の裏面を半導体基板11から露出させる。ここで、チップ領域R11の外周部全体の絶縁層12を除去する場合、チップ領域R11間のスクライブ領域の絶縁層12も除去することが好ましい。
なお、半導体基板11をマスクとして絶縁層12をエッチングする場合、サイドエッチングが入るのを防止するために、RIE(リアクティブイオンエッチング)を用いることが好ましい。
【0039】
ここで、RIEを用いた場合、電極パッド14の裏面が露出した時にプラズマの異常放電が起こる場合には、絶縁層12として酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜が積層された積層構造を用いるようにしてもよい。そして、RIEにて酸化シリコン膜を除去した後、CDE(ケミカルドライエッチング)にて窒化シリコン膜を除去することにより、電極パッド14の裏面を露出させるようにしてもよい。
【0040】
なお、チップ領域R11の外周部全体の絶縁層12を除去する場合、半導体基板11をマスクとして用いる方法以外にも、フォトリソグラフィ工程を追加し、レジストパターンをマスクとして用いるようにしてもよい。この場合、絶縁層12を半導体基板11よりも端部を出した位置でエッチングを行うことになるため、絶縁層12をエッチングする時にサイドエッチングが入っても半導体基板11の下でアンダーカット形状になることがない。したがって、絶縁層12のエッチングには、RIEの他にウェットエッチングを用いるようにしてもよい。
【0041】
次に、図11(a)および図11(b)に示すように、半導体基板11の裏面に樹脂層20を形成する。なお、樹脂層20の材料は、例えば、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどの有機材料を用いることができる。また、樹脂層20は、熱可塑性を有するものが特に好ましい。また、樹脂層20は、感光性を有するものが特に好ましい。また、樹脂層20の膜厚は、例えば、3μm程度とすることができる。
ここで、半導体基板11の裏面に樹脂層20を形成する方法としては、スピンコート法を用いるようにしてもよいし、樹脂フィルムを半導体基板20に貼り合わせるようにしてもよい。
【0042】
そして、電極パッド14の裏面を露出させる貫通孔21を樹脂層20に形成するとともに、チップ領域R11間のスクライブ領域を露出させる溝22を樹脂層20に形成する。なお、貫通孔21は、電極パッド14の外周よりも内側に配置することが好ましい。
ここで、樹脂層20に貫通孔21および溝22を形成する方法としては、樹脂層20に感光性がある場合、樹脂層20の感光および現像を行う方法を用いることができる。また、樹脂層20に感光性がない場合、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いることができる。
【0043】
次に、図12(a)および図12(b)に示すように、チップ領域R11間のスクライブラインに沿って樹脂層18に溝23を形成することで樹脂層18を切断し、半導体基板11の周囲を取り囲むように樹脂層18、20が配置された半導体チップC11を切り出す。ここで、電極パッド14は、半導体基板11の横にはみ出すように配置され、半導体基板11の周囲を取り囲むように配置された樹脂層18、20によって支持されている。
また、チップ領域R11間のスクライブ領域から半導体基板11や絶縁層12が除去されているため、半導体チップC11を切り出す時に半導体基板11や絶縁層12の切削屑が周囲に飛び散るのを防止することができる。なお、樹脂層18を切断する方法としては、ブレードを使用したダイシングにて切断するようにしてもよいし、レーザにて切断するようにしてもよい。さらに本実施例においては、保護シート19aと保護板19bに貼り付けた状態で半導体チップC11の切り出しを行っているが、保護シート19aと保護板19bから剥離した後に半導体チップC11の切り出しを行っても構わない。
【0044】
また、半導体基板11の上下に樹脂層18、20をそれぞれ設けることにより、応力のバランスをとることができ、半導体チップC11に反りが発生するのを抑制することができる。なお、樹脂層18、20の膜厚は、応力のバランスを最適化することで反りが最小になるように任意に設定することができる。
ここで、例えば、樹脂層20の厚さが3μ、半導体基板11の厚さが8μ、半導体基板11上の配線層の厚さが3μm、樹脂層18の厚さが3μであるとすると、半導体チップC11の全体の厚さは17μmとなる。このため、半導体ウェハの厚さが775μm程度とすると、半導体チップC11の全体の厚さを半導体ウェハの厚さの1/50程度にすることができる。
【0045】
次に、図13(a)および図13(b)に示すように、個片化された半導体チップC11を保護シート19aと保護板19bからピックアップする。
【0046】
次に、図14に示すように、樹脂層20を加熱しながら、電極パッド14が上下に重なるように半導体チップC11〜C14を実装基板U11上に順次積層する。なお、半導体チップC12〜C14は、半導体チップC11と同様に構成することができる。ここで、実装基板U11には、絶縁基板31が設けられ、絶縁基板31上には配線32が形成されるとともに、配線32に接続された電極パッド33が形成されている。また、絶縁基板31上には、電極パッド33が露出するように配置された保護膜34が形成されている。
なお、半導体チップC11〜C14同士を互いに固着させる場合、樹脂層20が熱可塑性を有するならば、樹脂層20を加熱することで接着することができる。一方、樹脂層20が熱可塑性を有しないならば、接着剤を用いるようにしてもよい。ここで、接着剤を用いる場合、半導体チップC11を個片化する前に樹脂層20の裏面に接着層を予め形成するようにしてもよい。あるいは樹脂層18が熱可塑性を有していても構わない。この場合には半導体チップC11〜C14は、図14とは表裏反対で、樹脂層18を下向きにして積層されることになる。
【0047】
次に、図15に示すように、貫通孔21、24内に導電体25を埋め込むことで、上下の電極パッド14を電気的に接続し、上下に積層された半導体チップC11〜C14間の電気的な接続を行う。なお、導電体25としては、例えば、導電性ペーストを用いるようにしてもよいし、メッキ材を用いるようにしてもよい。また、導電性ペーストを貫通孔21、24内に埋め込む場合、インクジェット法を用いることができる。この導電性ペーストには、金、銀、銅などの貴金属のナノ粒子を含有させたり、はんだなどの溶融金属を含有させたりすることが好ましい。
また、導電性ペーストとの電気的な接続を容易化するために、電極パッド14、33の表面には、金またはパラジウムを被覆することが好ましい。
【0048】
ここで、半導体基板11の周囲に樹脂層20を設け、半導体基板11の横にはみ出した電極パッド14を樹脂層20にて支持させることにより、上下の電極パッド14を接続する時に、半導体基板11や絶縁層12、17に応力がかかるのを抑制することができる。このため、半導体基板11を薄膜化した場合においても、半導体基板11や絶縁層12、17にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0049】
なお、上述した第2実施形態では、半導体基板11上にも樹脂層18を設ける方法について説明したが、半導体基板11上の樹脂層18はなくてもよい。
【0050】
(第3実施形態)
図16は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図16において、図14の例では、電極パッド14の上下面が露出するように、樹脂層18、20に貫通孔24、21をそれぞれ設ける方法について説明したが、樹脂層20の代わりに樹脂層20´を設け、電極パッド14の上面のみが露出するように樹脂層20´に貫通孔21´を設けるようにしてもよい。
【0051】
(第4実施形態)
図17は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図17において、図14の例では、電極パッド14の上下面が露出するように、樹脂層18、20に貫通孔24、21をそれぞれ設ける方法について説明したが、樹脂層18の代わりに樹脂層18´を設け、電極パッド14の下面のみが露出するように樹脂層18´に貫通孔24´を設けるようにしてもよい。
【0052】
(第5実施形態)
図18は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図18において、半導体チップC15〜C17の樹脂層18、20には、半導体チップC11の樹脂層18、20にそれぞれ設けられた貫通孔24、21の代わりに、貫通孔27、26がそれぞれ設けられている。
ここで、電極パッド14がメモリチップのチップセレクト端子として用いられるものとすると、貫通孔27、26は、樹脂層18、20から電極パッド14が露出しないように構成することができる。
【0053】
そして、電極パッド14が上下に重なるように半導体チップC11、C15〜C17を実装基板U11上に積層する。そして、貫通孔21、24、26、27内に導電体を埋め込むことで、実装基板U11の電極パッド33に半導体チップC11の電極パッド14のみを電気的に接続することができ、チップセレクトを実現することができる。
【0054】
(第6実施形態)
図19(a)は、本発明の第6実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図19(b)は図19(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図である。
図19(a)において、半導体チップC2には、半導体基板S2が設けられている。そして、半導体基板S2上には配線層が設けられ、この配線層には、配線H2と一体的に形成された電極パッドP2が設けられている。ここで、電極パッドP2は、半導体基板S2の横にはみ出すようにして配線H2と同一平面上に配置されている。
【0055】
また、半導体チップC2には、樹脂層J2が設けられている。ここで、樹脂層J2は、半導体基板S2の横にはみ出すように半導体基板S2に固着されている。そして、樹脂層J2は、電極パッドP2を下から支持するようにして半導体基板S2の周囲を取り囲むように配置されている。また、電極パッドP2が配置される樹脂層J2上の面は、配線H2が配置される半導体基板S2上の面に連続するように形成することができる。
【0056】
そして、樹脂層J2には、樹脂層J2を上下に貫通する貫通孔T2が形成されている。ここで、貫通孔T2は、電極パッドP2の端部に跨るように配置され、電極パッドP2の裏面の一部が樹脂層J2から露出されている。そして、半導体チップC2を積層し、貫通孔T2内に導電体を埋め込むことで、上下に積層された半導体チップC2間の電気的な接続を行うことができる。
【0057】
これにより、電極パッドP2に開口部を設けることなく、上下に積層された半導体チップC2の貫通孔T2内に導電体を流し込むことができ、上下に積層された半導体チップC2間の電気的な接続を行うことが可能となる。
また、半導体チップC2間の接続時に、半導体基板S2やその上の無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S2を薄膜化した場合においても、半導体基板S2や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0058】
なお、上記実施例では、電極パッドP2と配線H2の上面に関して何ら限定をしていないが、これらの上面に絶縁膜が積層されていても構わない。例えば、19(b)に示すように、無機絶縁膜Z2を半導体基板S2上に積層し、さらにその上に樹脂層J2´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z2としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J2´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。ここで、無機絶縁膜Z2には、電極パッドP2よりも大きな開口部が形成されていて、当該電極パッドP2上面の全面が無機絶縁膜Z2から露出している。一方、樹脂層J2´には、電極パッドP2の端部に跨るように貫通孔T2´が形成されていて、電極パッドP2の位置を固定することが出来るとともに、半導体チップC2´を電極パッドP2が上下に重なるように積層した際に導電体を埋め込むことによって電気的な接続を行うことが出来る。なお、樹脂層J2´と樹脂層J2とは、少なくともいずれか一方が熱可塑性を持っていれば積層時の接着層とすることが出来る。
【0059】
(第7実施形態)
図20(a)、図21(a)、図22、図23、図24(a)〜図28(a)および図29は、本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図20(b)および図21(b)は、本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図、図24(b)〜図28(b)は、本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図である。
【0060】
図20(a)および図20(b)において、図3(a)〜図5(a)および図3(b)〜図5(b)と同様の工程を経ることで、チップ領域R21の外周部全体の保護膜47を除去し、電極パッド44を保護膜47から露出させる。ここで、チップ領域R21の外周部全体の保護膜47を除去する場合、チップ領域R21間のスクライブ領域の保護膜47も除去することが好ましい。
なお、半導体基板41上には絶縁層42が形成され、絶縁層42上には、電極パッド44および配線43が形成されている。ここで、電極パッド44は、配線43と一体的に形成されている。ここで、図5(a)および図5(b)の例では、電極パッド14には開口部15が形成されているが、図20(a)および図20(b)の例では、電極パッド44には開口部が形成されていない。
【0061】
次に、図21(a)および図21(b)に示すように、半導体基板41上に樹脂層48を形成する。そして、電極パッド44を露出させる貫通孔54を樹脂層48に形成する。なお、貫通孔54は、電極パッド44の端部に跨るように配置することが好ましい。また、チップ領域R21間のスクライブ領域には、樹脂層48を残したままにすることが好ましい。
【0062】
次に、図22に示すように、半導体基板41の裏面を研削する際に半導体基板41を支持する保護シート49aと保護板49bを樹脂層48上に形成する。
次に、図23に示すように、半導体基板41の裏面を研削することにより、半導体基板41を薄膜化する。
【0063】
次に、図24(a)および図24(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、チップ領域R21の外周部全体の半導体基板41を除去し、電極パッド44下の絶縁層42の裏面を半導体基板41から露出させる。ここで、チップ領域R21の外周部全体の半導体基板41を除去する場合、チップ領域R21間のスクライブ領域の半導体基板41も除去することが好ましい。
【0064】
次に、図25(a)および図25(b)に示すように、半導体基板41をマスクとして絶縁層42をエッチングすることにより、チップ領域R21の外周部全体の絶縁層42を除去し、電極パッド44の裏面を半導体基板41から露出させる。ここで、チップ領域R21の外周部全体の絶縁層42を除去する場合、チップ領域R21間のスクライブ領域の絶縁層42も除去することが好ましい。
【0065】
次に、図26(a)および図26(b)に示すように、半導体基板41の裏面に樹脂層50を形成する。そして、電極パッド44の裏面を露出させる貫通孔51を樹脂層50に形成するとともに、チップ領域R21間のスクライブ領域を露出させる溝52を樹脂層50に形成する。なお、貫通孔51は、電極パッド44の端部に跨るように配置することが好ましい。
【0066】
次に、図27(a)および図27(b)に示すように、チップ領域R21間のスクライブラインに沿って樹脂層48に溝53を形成することで樹脂層48を切断し、半導体基板41の周囲を取り囲むように樹脂層48、50が配置された半導体チップC41を切り出す。ここで、電極パッド44は、半導体基板41の横にはみ出すように配置され、半導体基板41の周囲を取り囲むように配置された樹脂層48、50によって支持されている。
【0067】
次に、図28(a)および図28(b)に示すように、個片化された半導体チップC41を保護シート49aと保護板49bからピックアップする。
なお、本実施例では保護シート49aと保護板49bに貼り付けた状態で半導体チップC41の切り出しを行っているが、保護シート49aと保護板49bから剥離した状態で半導体チップC41の切り出しを行っても構わない。
【0068】
次に、図29に示すように、樹脂層50を加熱しながら、電極パッド44が上下に重なるように半導体チップC41〜C44を実装基板U11上に順次積層する。そして、貫通孔51、54内に導電体を埋め込むことで、上下の電極パッド44を電気的に接続し、上下に積層された半導体チップC41〜C44間の電気的な接続を行う。なお、半導体チップC42〜C44は、半導体チップC41と同様に構成することができる。
【0069】
これにより、上下の電極パッド44を接続する時に、半導体基板41や絶縁層42、47に応力がかかるのを抑制することが可能となる。このため、半導体基板41を薄膜化した場合においても、半導体基板41や絶縁層42、47にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0070】
(第8実施形態)
図30(a)は、本発明の第8実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図30(b)は図30(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図である。
図30(a)において、半導体チップC3には、半導体基板S3が設けられている。そして、半導体基板S3上には配線層が設けられ、この配線層には、配線H3と一体的に形成された電極パッドP3が設けられている。ここで、電極パッドP3は、半導体基板S3の横にはみ出すようにして配線H2と同一平面上に配置されている。
また、半導体チップC3には、樹脂層J3が設けられている。ここで、樹脂層J3は、半導体基板S3の横にはみ出すように半導体基板S3に固着されている。そして、樹脂層J3は、電極パッドP3を下から支持するようにして半導体基板S3の周囲を取り囲むように配置されている。また、電極パッドP3が配置される樹脂層J3上の面は、配線H3が配置される半導体基板S3上の面に連続するように形成することができる。
【0071】
そして、樹脂層J3には、樹脂層J3を上下に貫通する貫通孔T3が形成されている。ここで、貫通孔T3は、電極パッドP3の端部に跨るように配置され、電極パッドP3の裏面の一部が樹脂層J3から露出されている。また、樹脂層J3の側壁には、貫通孔T3に通じる溝M3が貫通孔T3ごとに形成されている。そして、半導体チップC3を積層し、貫通孔T3内に導電体を埋め込むことで、上下に積層された半導体チップC3間の電気的な接続を行うことができる。
【0072】
これにより、電極パッドP3に開口部を設けることなく、上下に積層された半導体チップC3の貫通孔T3内に導電体を流し込むことができ、上下に積層された半導体チップC3間の電気的な接続を行うことが可能となる。
また、貫通孔T3に通じる溝M3を樹脂層J3の側壁に設けることにより貫通孔T3内に存在する空気を溝M3から逃がしながら、貫通孔T3内に導電体を流し込むことができ、半導体チップC3を上下に多数積層した場合においても、半導体チップC3間の電気的な接続不良を低減することができる。
また、半導体チップC4間の接続時に、半導体基板S3やその上の無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S3を薄膜化した場合においても、半導体基板S3や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0073】
なお、上記実施例では、電極パッドP3と配線H3の上面に関して何ら限定をしていないが、これらの上面に絶縁膜が積層されていても構わない。例えば、30(b)に示すように、無機絶縁膜Z3を半導体基板S3上に積層し、さらにその上に樹脂層J3´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z3としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J3´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。ここで、無機絶縁膜Z3には、電極パッドP3よりも大きな開口部が形成されていて、当該電極パッドP3上面の全面が無機絶縁膜Z3から露出している。一方、樹脂層J3´には、電極パッドP3の端部に跨るように貫通孔T3´が形成されていて、電極パッドP3の位置を固定することが出来るとともに、半導体チップC3´を電極パッドP3が上下に重なるように積層した際に導電体を埋め込むことによって電気的な接続を行うことが出来る。なお、樹脂層J3´の側壁から貫通孔T3´に通じる溝M3´を形成しても構わないが、溝M3´と溝M3は少なくともいずれか一方に形成されていればよい。また、樹脂層J3´と樹脂層J3とは、少なくともいずれか一方が熱可塑性を持っていれば積層時の接着層とすることが出来る。
【0074】
(第9実施形態)
図31(a)は、本発明の第9実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図31(b)は、本発明の第9実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図である。
図31(a)および図31(b)において、図26の工程の貫通孔51および溝52を樹脂層50に形成する時に、チップ領域R31の貫通孔51と溝52とを接続する溝55も一括して形成する。
【0075】
これにより、貫通孔51に存在する空気を溝55から逃がしながら、貫通孔51、54内に導電体を埋め込むことができ、工程数を増加させることなく、導電体の充填性を向上させることができる。
【0076】
(第10実施形態)
図32(a)は、本発明の第10実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図32(b)は図32(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図である。
図32(a)において、半導体チップC4には、半導体基板S4が設けられている。そして、半導体基板S4上には配線層が設けられ、この配線層には、配線H4と一体的に形成された電極パッドP4が設けられている。ここで、電極パッドP4は、半導体基板S4の横にはみ出すようにして配線H4と同一平面上に配置されている。
また、半導体チップC4には、樹脂層J4が設けられている。ここで、樹脂層J4は、半導体基板S4の横にはみ出すように半導体基板S4に固着されている。そして、樹脂層J4は、電極パッドP4を下から支持するようにして半導体基板S4の周囲を取り囲むように配置されている。また、電極パッドP4が配置される樹脂層J4上の面は、配線H4が配置される半導体基板S4上の面に連続するように形成することができる。
【0077】
そして、樹脂層J4の側壁には、樹脂層J4を上下に貫通する溝M4が形成されている。ここで、溝M4は、電極パッドP4の端部にかかるように配置され、電極パッドP4の裏面の一部が樹脂層J4から露出されている。そして、半導体チップC4を積層し、溝4内に導電体を埋め込むことで、上下に積層された半導体チップC4間の電気的な接続を行うことができる。
【0078】
これにより、半導体チップC4間の接続時に、半導体基板S4やその上の無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S4を薄膜化した場合においても、半導体基板S4や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0079】
なお、上記実施例では、電極パッドP4と配線H4の上面に関して何ら限定をしていないが、これらの上面に絶縁膜が積層されていても構わない。例えば、32(b)に示すように、無機絶縁膜Z4を半導体基板S4上に積層し、さらにその上に樹脂層J4´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z4としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J4´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。ここで、無機絶縁膜Z44には、電極パッドP4よりも大きな開口部が形成されていて、当該電極パッドP4上面の全面が無機絶縁膜Z4から露出している。一方、樹脂層J4´の側壁には、樹脂層J4´を上下に貫通する溝M4´が形成されている。ここで溝M4´は、電極パッドP4の端部に跨るように配置されていて、電極パッドP4の上面の一部が樹脂層J4´から露出されており、半導体チップC4´を電極パッドP4が上下に重なるように積層した際に導電体を埋め込むことによって電気的な接続を行うことが出来る。なお、樹脂層J4´と樹脂層J4とは、少なくともいずれか一方が熱可塑性を持っていれば積層時の接着層とすることが出来る。
【0080】
(第11実施形態)
図33(a)、図34、図35、図36(a)〜図40(a)および図41は、本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図33(b)は、本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図、図36(b)〜図40(b)は、本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図である。
【0081】
図33(a)および図33(b)において、図3(a)〜図6(a)および図3(b)〜図6(b)と同様の工程を経ることで、半導体基板61上に樹脂層68を形成する。そして、電極パッド64を露出させる貫通孔74を樹脂層68に形成する。なお、貫通孔74は、電極パッド64の端部に跨るとともに、チップ領域R41間のスクライブ領域にかかるように配置することが好ましい。また、チップ領域R41間のスクライブ領域には、樹脂層68を残したままにすることが好ましい。
【0082】
なお、半導体基板61上には絶縁層62が形成され、絶縁層62上には、電極パッド64および配線63が形成されている。ここで、電極パッド64は、配線63と一体的に形成されている。また、配線63上には保護膜67が形成され、チップ領域R41の外周部全体の保護膜67が除去されることにより、電極パッド64が保護膜67から露出されている。ここで、図5(a)および図5(b)の例では、電極パッド14には開口部15が形成されているが、図33(a)および図33(b)の例では、電極パッド64には開口部が形成されていない。
【0083】
次に、図34に示すように、半導体基板61の裏面を研削する際に半導体基板61を支持する保護シート69aと保護板69bを樹脂層68上に形成する。
【0084】
次に、図35に示すように、半導体基板61の裏面を研削することにより、半導体基板61を薄膜化する。
【0085】
次に、図36(a)および図36(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、チップ領域R41の外周部全体の半導体基板61を除去し、電極パッド64下の絶縁層62の裏面を半導体基板61から露出させる。ここで、チップ領域R41の外周部全体の半導体基板61を除去する場合、チップ領域R41間のスクライブ領域の半導体基板61も除去することが好ましい。
【0086】
次に、図37(a)および図37(b)に示すように、半導体基板61をマスクとして絶縁層62をエッチングすることにより、チップ領域R41の外周部全体の絶縁層62を除去し、電極パッド64の裏面を半導体基板61から露出させる。ここで、チップ領域R41の外周部全体の絶縁層62を除去する場合、チップ領域R41間のスクライブ領域の絶縁層62も除去することが好ましい。
【0087】
次に、図38(a)および図38(b)に示すように、半導体基板61の裏面に樹脂層70を形成する。そして、チップ領域R41間のスクライブライブ領域の樹脂層70を除去するとともに、電極パッド64の裏面を露出させる溝71を樹脂層70の側壁に形成する。なお、溝71は、電極パッド64の端部にかかるように配置することが好ましい。
【0088】
次に、図39(a)および図39(b)に示すように、チップ領域R41間のスクライブラインに沿って樹脂層68を除去し、樹脂層68の側壁に溝74´を形成するとともに、半導体基板61の周囲を取り囲むように樹脂層68、70が配置された半導体チップC51を切り出す。ここで、電極パッド64は、半導体基板61の横にはみ出すように配置され、半導体基板61の周囲を取り囲むように配置された樹脂層68、70によって支持されている。
【0089】
次に、図40(a)および図40(b)に示すように、個片化された半導体チップC51を保護シート69aと保護板69bからピックアップする。
なお、本実施例では保護シート69aと保護板69bに貼り付けた状態で半導体チップC51の切り出しを行っているが、保護シート69aと保護板69bから剥離した状態で半導体チップC51の切り出しを行っても構わない。
【0090】
次に、図41に示すように、樹脂層70を加熱しながら、電極パッド64が上下に重なるように半導体チップC51〜C54を実装基板U11上に順次積層する。そして、溝71、74´内に導電体を埋め込むことで、上下の電極パッド64を電気的に接続し、上下に積層された半導体チップC51〜C54間の電気的な接続を行う。なお、半導体チップC52〜C54は、半導体チップC51と同様に構成することができる。
【0091】
これにより、上下の電極パッド64を接続する時に、半導体基板61や絶縁層62、67に応力がかかるのを抑制することが可能となる。このため、半導体基板61を薄膜化した場合においても、半導体基板61や絶縁層62、67にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0092】
(第12実施形態)
図42(a)は、本発明の第12実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図42(b)は図42(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図である。
図42(a)において、半導体チップC5には、半導体基板S5が設けられている。そして、半導体基板S5上には配線層が設けられ、この配線層には、配線H5と一体的に形成された電極パッドP5が設けられている。また、半導体基板S5には、貫通孔A5が形成されている。ここで、貫通孔A5は、電極パッドP5下に半導体基板S5が存在しないように構成され、貫通孔A5の内周部は、電極パッドP5の外周部よりも外側に配置することができる。
また、半導体チップC5には、樹脂層J5が設けられている。ここで、樹脂層J5は、貫通孔A5内に埋め込まれるように半導体基板S5に固着されている。そして、樹脂層J5は、電極パッドP5を下から支持するように配置されている。
【0093】
そして、電極パッドP5には開口部K5が形成されるとともに、樹脂層J5には、樹脂層J5を上下に貫通する貫通孔T5が形成されている。ここで、貫通孔T5は、開口部K5を介して電極パッドP5を上下に突き抜けるように配置することができる。そして、半導体チップC5を積層し、貫通孔T5内に導電体を埋め込むことで、上下に積層された半導体チップC5間の電気的な接続を行うことができる。
【0094】
これにより、半導体基板S5上を避けるように電極パッドP5を配置することができ、半導体チップC5間の接続時に、半導体基板S5やその上の無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができる。このため、半導体基板S5を薄膜化した場合においても、半導体基板S5や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0095】
なお、上記実施例では、電極パッドP5と配線H5の上面に関して何ら限定をしていないが、これらの上面に絶縁膜が積層されていても構わない。例えば、42(b)に示すように、無機絶縁膜Z5を半導体基板S5上に積層し、さらにその上に樹脂層J5´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z5としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J5´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。ここで、無機絶縁膜Z5には、電極パッドP5よりも大きな開口部が形成されていて、当該電極パッドP5の上面全面が無機絶縁膜Z5から露出している。一方、樹脂層J5´に電極パッドP5よりも小さく、かつ電極パッドP5の開口部K5よりも大きな貫通孔T5´を形成して、電極パッドP5の外周を固定するとともに、電極パッドP5の上面の一部と開口部K5を露出させることにより、電極パッドP5の位置を固定することが出来るとともに、半導体チップC5´を電極パッドP5が上下に重なるように積層した際に導電体を埋め込むことによって電気的な接続を行うことが出来る。なお、樹脂層J5´と樹脂層J5とは、少なくともいずれか一方が熱可塑性を持っていれば積層時の接着層とすることが出来る。
【0096】
(第13実施形態)
図43(a)、図44(a)、図45、図46、図47(a)〜図51(a)は、本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図43(b)および図44(b)は、本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図、図47(b)〜図51(b)は、本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図である。
【0097】
図43(a)および図43(b)において、半導体基板81上には、絶縁層82が形成され、絶縁層82上には、電極パッド84が一体的に設けられた配線83が形成されている。ここで、電極パッド84には開口部85が形成されている。そして、CVDなどの方法を用いることにより、配線83および電極パッド84上に保護膜87を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、電極パッド84の周囲の保護膜87を除去し、電極パッド84の周囲を保護膜87から露出させる。ここで、電極パッド84の周囲の保護膜87を除去する場合、チップ領域R51間のスクライブ領域の保護膜87も除去することが好ましい。また、電極パッド84の開口部85の内側には、保護膜87を残すことが好ましい。
【0098】
次に、図44(a)および図44(b)に示すように、半導体基板81上に樹脂層88を形成する。そして、電極パッド84を露出させる貫通孔94を樹脂層88に形成する。なお、貫通孔94は、電極パッド84の外周部よりも内側で開口部85よりも外側に配置することが好ましい。また、チップ領域R51の外周部には、樹脂層88を残したままにすることが好ましい。
【0099】
次に、図45に示すように、半導体基板81の裏面を研削する際に半導体基板81を支持する保護シート89aと保護板89bを樹脂層88上に形成する。
【0100】
次に、図46に示すように、半導体基板81の裏面を研削することにより、半導体基板81を薄膜化する。
【0101】
次に、図47(a)および図47(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、電極パッド84下の絶縁層82の裏面を露出させる貫通孔98を半導体基板81に形成するとともに、チップ領域R51間のスクライブ領域を露出させる溝99を半導体基板81に形成する。なお、貫通孔98の内周部は、電極パッド84の外周部よりも外側に配置することが好ましい。
【0102】
次に、図48(a)および図48(b)に示すように、半導体基板81をマスクとして絶縁層82をエッチングすることにより、電極パッド84下の絶縁層82を除去し、電極パッド84の裏面を半導体基板81から露出させる。ここで、電極パッド84下の絶縁層82を除去する場合、チップ領域R51間のスクライブ領域の絶縁層82も除去することが好ましい。
ここで、電極パッド84の開口部85の内側に保護膜87を残すことにより、保護シート89aを保護膜87にて保護することができ、絶縁層82をエッチングにて除去する際に、保護シート89aにダメージが及ぶのを抑制することができる。
【0103】
次に、図49(a)および図49(b)に示すように、半導体基板81の裏面に樹脂層90を形成する。そして、電極パッド84の裏面を露出させる貫通孔91を樹脂層90に形成するとともに、チップ領域R51間のスクライブ領域を露出させる溝92を樹脂層90に形成する。なお、貫通孔91の内周部は、電極パッド84の外周部よりも内側で開口部85の外周部よりも外側に配置することが好ましい。
【0104】
次に、図50(a)および図50(b)に示すように、チップ領域R51間のスクライブラインに沿って樹脂層88に溝93を形成することで樹脂層88を切断し、電極パッド84下を避けるように樹脂層90が配置された半導体チップC61を切り出す。
【0105】
次に、図51(a)および図51(b)に示すように、個片化された半導体チップC61を保護シート89aと保護板89bからピックアップする。そして、樹脂層90を加熱しながら、電極パッド84が上下に重なるように半導体チップC61を積層する。そして、貫通孔91、94内に導電体を埋め込むことで、上下の電極パッド84を電気的に接続し、上下に積層された半導体チップC61間の電気的な接続を行う。
【0106】
これにより、上下の電極パッド84を接続する時に、半導体基板81や絶縁層82や保護膜87に応力がかかるのを抑制することが可能となる。このため、半導体基板81を薄膜化した場合においても、半導体基板81や絶縁層82や保護膜87にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
なお、本実施例では保護シート89aと保護板89bに貼り付けた状態で半導体チップC61の切り出しを行っているが、保護シート89aと保護板89bから剥離した状態で半導体チップC61の切り出しを行っても構わない。
【0107】
なお、上述した第13実施形態では、絶縁層82をエッチングにて除去する際に保護シート89aを保護するために、電極パッド84の開口部85の内側に保護膜87を残す方法について説明したが、電極パッド84の開口部85の内側に保護膜87を残さないようにしてもよい。
【0108】
また、上述した第2実施形態、第7実施形態、第9実施形態および第11実施形態においても、電極パッド下の絶縁層をエッチングにて除去する際に保護シートを保護するために、保護シートの露出部分に保護膜を残すようにしてもよい。
【0109】
(第14実施形態)
図52は、本発明の第14実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図、図53は図52の半導体装置の製造方法の変形例を示す図である。
図52において、半導体基板S6はチップ領域ごとに分離されている。そして、各半導体基板S6上には配線層L6が形成され、この配線層L6には、電極パッドP6が一体的に設けられた配線H6が形成されるとともに、配線H6を半導体基板S6と絶縁する層間絶縁膜が形成されている。ここで、電極パッドP6は、半導体基板S6の横にはみ出すように配置されている。なお、各半導体基板S6には、電界効果トランジスタを形成するようにしてもよいし、フラッシュメモリ、DRAM、マイクロコンピュータ、ロジック回路あるいはイメージセンサなどを形成するようにしてもよい。
【0110】
そして、これらの分離された半導体基板S6の周囲には樹脂層J6が設けられ、半導体基板S6に固着されることで、半導体基板S6の横にはみ出した電極パッドP6が支持されるとともに、チップ領域ごとに分離された半導体基板S6が一体的に支持される。
【0111】
そして、スクライブラインB6に沿って樹脂層J6を切断することで、半導体基板S6の周囲を取り囲むように樹脂層J6が配置された半導体チップC6を切り出すことができる。この半導体チップC6において、電極パッドP6は、半導体基板S6の横にはみ出すように配置され、半導体基板S6の周囲を取り囲むように配置された樹脂層J6上に支持されている。
【0112】
一方、実装基板U6には、絶縁基板101が設けられ、絶縁基板101上にはランド電極102が形成されている。そして、突出電極103を介して電極パッドP6をランド電極102に接合することで、半導体チップC6を実装基板U6上に実装することができる。
【0113】
これにより、電極パッドP6をランド電極102に接合する際に、半導体基板S6や無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S6を薄膜化した場合においても、半導体基板S6や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0114】
なお、突出電極103としては、例えば、Auバンプ、半田材などで被覆されたCuバンプやNiバンプ、あるいはハンダボールなどを用いることができる。また、半導体チップC6を実装基板U6上に実装する場合、半田接合や合金接合などの金属接合を用いるようにしてもよく、ACF(Anisotropic Conductive Film)接合、NCF(Nonconductive Film)接合、ACP(Anisotropic Conductive Paste)接合、NCP(Nonconductive Paste)接合などの圧接接合を用いるようにしてもよい。
【0115】
なお、半導体チップC6の上面に絶縁膜を積層しても構わない。例えば、53に示すように、無機絶縁膜Z6を配線H6上に積層し、さらにその上に樹脂層J6´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z6としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J6´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。ここで、無機絶縁膜Z6には、電極パッドP6よりも大きな開口部が形成されていて、当該電極パッドP6の上面全面が無機絶縁膜Z6から露出している。一方、樹脂層J6´に電極パッドP6よりも小さい貫通孔K6を形成して、電極パッドP6の外周を固定するとともに、電極パッドP6の上面の一部を露出させることにより、突出電極103を介して電極パッドP6をランド電極102に接合することで、半導体チップC6´を実装基板U6上に実装することができる。
【0116】
(第15実施形態)
図54は、本発明の第15実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図、図55は図54の半導体装置の製造方法の変形例を示す図である。
図54において、半導体基板S7はチップ領域ごとに分離されている。そして、各半導体基板S7上には配線層L7が形成され、この配線層L7には、電極パッドP7が一体的に設けられた配線H7が形成されるとともに、配線H7を半導体基板S7と絶縁する層間絶縁膜が形成されている。ここで、電極パッドP7は、半導体基板S7の横にはみ出すように配置されている。
【0117】
そして、これらの分離された半導体基板S7の周囲には樹脂層J7が設けられ、半導体基板S7に固着されることで、半導体基板S7の横にはみ出した電極パッドP7が支持されるとともに、チップ領域ごとに分離された半導体基板S7が一体的に支持される。
【0118】
そして、スクライブラインB7に沿って樹脂層J7を切断することで、半導体基板S7の周囲を取り囲むように樹脂層J7が配置された半導体チップC7を切り出すことができる。この半導体チップC7において、電極パッドP7は、半導体基板S7の横にはみ出すように配置され、半導体基板S7の周囲を取り囲むように配置された樹脂層J7上に支持されている。
【0119】
また、樹脂層J7には、電極パッドP7の裏面が露出するように樹脂層J7を上下に貫通する貫通孔T7が形成されている。そして、貫通孔T7内には、導電体D7が埋め込まれている。なお、貫通孔T7の形成および導電体D7の埋め込みは、互いに分離された半導体基板S7が樹脂層J7にて一体的に支持されている状態で行うことができる。また、導電体D7の埋め込みは、例えば、導電性ペーストをノズルからドット状に吐出させるインクジェット法を用いることができる。
【0120】
そして、スクライブラインB7に沿って樹脂層J7を切断することで、半導体基板S7の周囲を取り囲むように樹脂層J7が配置された半導体チップC7を切り出すことができる。この半導体チップC7において、電極パッドP7は、半導体基板S7の横にはみ出すように配置され、半導体基板S7の周囲を取り囲むように配置された樹脂層J7上に支持されている。そして、電極パッドP7が上下に重なるように半導体チップC7を積層し、導電体D7を介して上下の電極パッドP7を電気的に接続することで、上下に積層された半導体チップC7間の電気的な接続を行うことができる。そして、突出電極103を介して最下層の半導体チップC7の電極パッドP7をランド電極102に接合することで、積層された半導体チップC7を実装基板U6上に実装することができる。
【0121】
これにより、電極パッドP7に開口部を設けることなく、上下に積層された半導体チップC7間の電気的な接続を行うことが可能となるとともに、半導体チップC7の接続時に、半導体基板S7や無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S7や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0122】
なお、半導体チップC7の上面に絶縁膜を積層しても構わない。例えば、55に示すように、無機絶縁膜Z7を配線H7上に積層し、さらにその上に樹脂層J7´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z7としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J7´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。ここで、無機絶縁膜Z7には、電極パッドP7よりも大きな開口部が形成されていて、当該電極パッドP6の上面全面が無機絶縁膜XX6から露出している。一方、樹脂層J7´に電極パッドP7よりも小さい貫通孔T7´を形成して、電極パッドP7の外周を固定するとともに、電極パッドP7の上面の一部を露出させることにより、突出電極103を介して電極パッドP7をランド電極102に接合することで、半導体チップC7´を実装基板U6上に実装することができる。
【0123】
(第16実施形態)
図56は本発明の第16実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図、図57は図56の半導体装置の製造方法の変形例を示す図である。
図56において、半導体基板S8はチップ領域ごとに分離されている。そして、各半導体基板S8上には配線層L8が形成され、この配線層L8には、電極パッドP8が一体的に設けられた配線H8が形成されるとともに、配線H8を半導体基板S8と絶縁する層間絶縁膜が形成されている。ここで、電極パッドP8は、半導体基板S8の横にはみ出すように配置されている。
【0124】
そして、これらの分離された半導体基板S8上には樹脂層J8が設けられ、半導体基板S8に固着されることで、半導体基板S8の横にはみ出した電極パッドP8が支持されるとともに、チップ領域ごとに分離された半導体基板S8が一体的に支持される。
【0125】
そして、スクライブラインB8に沿って樹脂層J8を切断することで、半導体基板S8上に樹脂層J8が配置された半導体チップC8を切り出すことができる。この半導体チップC8において、樹脂層J8は、半導体基板S8の横にはみ出すように配置される。また、電極パッドP8は、半導体基板S8の横にはみ出すように配置され、半導体基板S8上に配置された樹脂層J8下に支持されている。
【0126】
一方、実装基板U7には、絶縁基板201が設けられ、絶縁基板201上にはランド電極202が形成されている。そして、樹脂層J8を実装基板U7上に接着し、ボンディングワイヤWを介して電極パッドP8をランド電極202に接続することで、半導体チップC8を実装基板U7上に実装することができる。
ここで、樹脂層J8が熱可塑性を有すれば、樹脂層J8を半導体チップC8と実装基板U7との間の接着材として用いることが出来る。
【0127】
これにより、ボンディングワイヤWを電極パッドP8に接続する際に、半導体基板S8や無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S8や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となるとともに、樹脂層J8に貫通孔を形成する必要がなくなり、工程数を削減することができる。
【0128】
なお、樹脂層J8の下に無機絶縁膜を積層しても構わない。この場合、無機絶縁膜は電極パッドP8よりも大きく開口されていて、電極パッドP8の上面全面が無機絶縁膜から露出していることが好ましい。
また、図57に示すように、半導体基板S8の裏面に樹脂膜J8´を積層しても構わない。樹脂層J8´に電極パッドP8よりも小さい貫通孔K8を形成して、電極パッドP8の外周を固定するとともに、電極パッドP8の裏面の一部を露出させる。そして、樹脂層J8を実装基板U7上に接着し、ボンディングワイヤWを介して電極パッドP8をランド電極202に接続することで、半導体チップC8を実装基板U7上に実装することができる。
さらに、貫通孔K8を形成せずに、樹脂層J8に電極パッドP8よりも小さい貫通孔を形成して、電極パッドP8の外周を固定するとともに、電極パッドP8の上面の一部を露出させることも可能である。そして、裏面の樹脂層J8´を実装基板U7上に接着し、ボンディングワイヤWを介して電極パッドP8をランド電極202に接続することで、半導体チップC8´を実装基板U7上に実装することができる。ここで、裏面の樹脂層J8´が熱可塑性を有すれば、裏面の樹脂層J8´を半導体チップC8´と実装基板U7との間の接着材として用いることが出来る。
【0129】
(第17実施形態)
図58は、本発明の第17実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図、図59は図58の半導体装置の製造方法の変形例を示す図である。
図58において、半導体基板S9はチップ領域ごとに分離されている。そして、各半導体基板S9上には配線層L9が形成され、この配線層L9には、電極パッドP9が一体的に設けられた配線H9が形成されるとともに、配線H9を半導体基板S9と絶縁する層間絶縁膜が形成されている。ここで、電極パッドP9は、半導体基板S9の横にはみ出すように配置されている。
【0130】
そして、これらの分離された半導体基板S9上には樹脂層J9が設けられ、半導体基板S9に固着されることで、半導体基板S9の横にはみ出した電極パッドP9が支持されるとともに、チップ領域ごとに分離された半導体基板S9が一体的に支持される。
【0131】
そして、スクライブラインB9に沿って樹脂層J9を切断することで、半導体基板S9上に樹脂層J9が配置された半導体チップC9を切り出すことができる。この半導体チップC9において、樹脂層J9は、半導体基板S9の横にはみ出すように配置される。また、電極パッドP9は、半導体基板S9の横にはみ出すように配置され、半導体基板S9上に配置された樹脂層J9下に支持されている。
【0132】
また、樹脂層J9には、電極パッドP9の表面が露出するように樹脂層J9を上下に貫通する貫通孔T9が形成されている。なお、貫通孔T9の形成は、互いに分離された半導体基板S9が樹脂層J9にて一体的に支持されている状態で行うことができる。
【0133】
そして、電極パッドP9が上下に重なるように半導体チップC9を積層し、突出電極104を介して上下の電極パッドP9を電気的に接続することで、上下に積層された半導体チップC9間の電気的な接続を行うことができる。そして、突出電極103を介して最下層の半導体チップC9の電極パッドP9をランド電極102に接合することで、積層された半導体チップC9を実装基板U6上に実装することができる。
【0134】
これにより、電極パッドP9に開口部を設けることなく、上下に積層された半導体チップC9間の電気的な接続を行うことが可能となるとともに、半導体チップC9の接続時に、半導体基板S9や無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S9や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0135】
なお、上記実施例において、樹脂層J9の下に無機絶縁膜を積層しても構わない。この場合、無機絶縁膜は電極パッドP9よりも大きく開口されていて、電極パッドP9の上面全面が無機絶縁膜から露出していることが好ましい。
また、図59に示すように、半導体基板S9の裏面に樹脂膜J9´を積層しても構わない。樹脂層J9´に電極パッドP9よりも小さい貫通孔K9を形成して、電極パッドP9の外周を固定するとともに、電極パッドP9の裏面の一部を露出させる。そして、電極パッドP9が上下に重なるように半導体チップC9´を積層し、突出電極104´を介して上下の電極パッドP9を電気的に接続することで、上下に積層された半導体チップC9´間の電気的な接続を行うことができる。そして、突出電極103´を介して最下層の半導体チップC9´の電極パッドP9をランド電極102に接合することで、積層された半導体チップC9´を実装基板U6上に実装することができる。ここで、裏面の樹脂層J9´が熱可塑性を有すれば、裏面の樹脂層J9´を半導体チップC9´の積層および半導体チップC9´と実装基板U6との間の接着材として用いることが出来る。
【符号の説明】
【0136】
W1 半導体ウェハ、B1、B6〜B9 スクライブライン、R1、R11、R21、R31、R41、R51 チップ領域、S1〜S9、11、41、61、81 半導体基板、P1〜P9、14、33、44、64、84 電極パッド、J1〜J9、J1´〜J9´、18、18´、20、20´、48、50、68、70、88、90 樹脂層、H1〜H9、13、32、43、63、83 配線、T1〜T3、T1´〜T3´、T5、T7、T9、A5、21、21´、24、24´、26、27、51、74、91、94、98 貫通孔、K1、K5〜K9、A5、15、54、85 開口部、C1〜C9、C1´〜C9´、C11〜C17、C31〜C34、C41〜C44、C51〜C54、C61 半導体チップ、D1、D7 導電体、M3、M4、M3´、M4´ 溝、L6〜L9 配線層、U6、U7、U11 実装基板、Z1〜Z9 無機絶縁膜、10、31、101、201 絶縁基板、102、202 ランド電極、103、104、103´、104´ 突出電極、W ボンディングワイヤ、12、42、62、82 絶縁層、17、34、47、67、87 保護膜、19a、19b、49a、49b、69a、69b、89a、89b 保護シート、22、23、52、53、55、71、73、74´、92、97、99 溝、25 導電体
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯情報端末やストレージデバイスなどの小型化および高性能化の要求に伴なって、半導体チップを高密度実装することが行われている。この半導体チップを高密度実装化する方法として、半導体チップを積層させる方法がある。ここで、半導体チップを積層させる場合、積層数やチップサイズに制約がないなどの利点から、半導体基板に形成された貫通ビアを介して半導体チップ間を電気的に接続する方法がある(特許文献1)。
【0003】
この貫通ビアを介して半導体チップ間を電気的に接続する方法では、半導体基板上の電極パッド下に配置された貫通孔が半導体基板の裏面に形成される。そして、その貫通孔の側壁に絶縁膜が形成され、その絶縁膜が電極パッド下の層間絶縁膜とともに開口されて電極パッドが露出された後、半導体基板の裏面側に引き出されたコンタクト電極が貫通孔内に形成される。そして、電極パッド上に接続バンプを配置することで、上下に積層された半導体チップ間の電気的な接続が行われる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、上下に積層された半導体チップ間の電気的な接続を行うために、電極パッドよりも径の小さな貫通孔が半導体基板自体に設けられている。このため、半導体チップ間の接続時に、半導体基板やその上の層間絶縁膜に応力がかかり、半導体基板や層間絶縁膜のクラックを引き起こすことがあることから、半導体装置の信頼性が低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−53149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、電極パッドよりも径の小さな貫通孔を半導体基板自体に設けることなく、上下に積層された半導体チップ間の電気的な接続を行うことが可能な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、配線層が設けられた半導体基板と、前記半導体基板上を避けるように配置され、前記配線層に含まれる配線と一体的に形成された電極パッドと、前記半導体基板に固着され、前記電極パッドを支持する樹脂層とを備えることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、配線層が設けられた半導体基板と、前記半導体基板の横にはみ出すように配置され、前記配線層に含まれる配線と一体的に形成された電極パッドと、前記半導体基板の横にはみ出すように前記半導体基板に固着され、前記電極パッドを支持する樹脂層と、前記電極パッドを上下に突き抜けるように配置され、前記樹脂層を上下に貫通する貫通孔または溝とを備えることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、チップ領域ごとに区画された半導体ウェハの半導体基板上に電極パッドを含む配線層を形成する工程と、前記半導体ウェハの上面を無機絶縁膜で被覆する工程と、前記電極パッドの上面および前記半導体ウェハのスクライブライン上に設けられた前記無機絶縁膜を除去する工程と、前記無機絶縁膜が積層された半導体ウェハ上面を第一の樹脂層で被覆する工程と、前記第一の樹脂層から前記電極パッドの上面の一部を露出させる開口部を形成する工程と、前記半導体基板の裏面を選択的にエッチングすることにより、前記電極パッド下の前記半導体基板を除去するとともに、前記半導体ウェハのスクライブラインに沿って前記半導体基板をチップ領域ごとに分離する工程と、前記配線層に含まれる前記電極パッド下の絶縁層を除去し、前記電極パッドを前記絶縁層から露出させる工程と、前記配線層に含まれる絶縁層の、前記スクライブライン部に露出した部分を除去する工程と、前記半導体ウェハ下面を第二の樹脂層で被覆する工程と、前記第二の樹脂層から前記電極パッドの裏面の一部と必要に応じて前記スクライブライン部の前記第一の樹脂層の裏面を露出させる開口部を形成する工程と、前記スクライブラインに沿って前記第一の樹脂層と必要に応じて前記第二の樹脂層とを切断する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電極パッドよりも径の小さな貫通孔を半導体基板自体に設けることなく、上下に積層された半導体チップ間の電気的な接続を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す斜視図。
【図2】図2は図1の半導体装置の製造方法の変形例を示す斜視図。
【図3】図3(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図3(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図4】図4(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図4(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図5】図5(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図5(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図6】図6(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図6(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図7】図7は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図8】図8は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図9】図9(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図9(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図10】図10(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図10(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図11】図11(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図11(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図12】図12(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図12(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図13】図13(a)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図13(b)は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図14】図14は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図15】図15は本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図16】図16は本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図17】図17は本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図18】図18は本発明の第5実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図19】図19(a)は本発明の第6実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図19(b)は図19(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図。
【図20】図20(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図20(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図21】図21(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図21(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図22】図22は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図23】図23は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図24】図24(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図24(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図25】図25(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図25(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図26】図26(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図26(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図27】図27(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図27(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図28】図28(a)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図28(b)は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図29】図29は本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図30】図30(a)は本発明の第8実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図30(b)は図30(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図。
【図31】図31(a)は本発明の第9実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図31(b)は本発明の第9実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図32】図32(a)は本発明の第10実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図32(b)は図32(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図。
【図33】図33(a)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図33(b)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図34】図34は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図35】図35は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図36】図36(a)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図36(b)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図37】図37(a)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図37(b)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図38】図38(a)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図38(b)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図39】図39(a)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図39(b)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図40】図40(a)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図40(b)は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図41】図41は本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図42】図42(a)は本発明の第12実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図42(b)は図42(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図。
【図43】図43(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図43(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図44】図44(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図44(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図。
【図45】図45は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図46】図46は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図47】図47(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図47(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図48】図48(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図48(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図49】図49(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図49(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図50】図50(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図50(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図51】図51(a)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図51(b)は本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図。
【図52】図52は本発明の第14実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図53】図53は図52の半導体装置の製造方法の変形例を示す図。
【図54】図54は本発明の第15実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図55】図55は図54の半導体装置の製造方法の変形例を示す図。
【図56】図56は本発明の第16実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図57】図57は図56の半導体装置の製造方法の変形例を示す図。
【図58】図58は本発明の第17実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図。
【図59】図59は図58の半導体装置の製造方法の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置および半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す斜視図である。
図1において、半導体ウェハW1は、スクライブラインB1にてチップ領域R1ごとに区画されている。そして、半導体ウェハW1上の各チップ領域R1には、半導体基板S1上に形成された配線層が設けられ、この配線層には、電極パッドP1が一体的に設けられた配線H1が形成されている。ここで、電極パッドP1と配線H1は同一平面上に配置されている。
【0014】
なお、半導体基板S1の材料は、例えば、Si、Ge、SiGe、GaAs、InP、GaP、GaN、SiC、GaInAsPなどを用いることができる。また、各チップ領域R1には、電界効果トランジスタを形成するようにしてもよいし、フラッシュメモリ、DRAM、マイクロコンピュータ、ロジック回路あるいはイメージセンサなどを形成するようにしてもよい。また、電極パッドP1は、各チップ領域R1の周辺部に配置し、特に配線H1の外側に配置することが好ましい。また、半導体基板S1と配線H1との間の絶縁を行うため、半導体基板S1上に形成された配線層には、絶縁層を設けることができる。ここで、この配線層に設けられた絶縁層としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの無機材料を用いることができる。
【0015】
そして、各チップ領域R1において、電極パッドP1より内側に半導体基板S1を残しつつ、スクライブラインB1に沿って電極パッドP1下の半導体基板S1が除去されることで、半導体基板S1上を避けるように電極パッドP1が配置される。ここで、半導体基板S1上を避けるように電極パッドP1を配置する形態としては、半導体基板S1の横にはみ出すように電極パッドP1を配置する形態を挙げることができる。
【0016】
また、半導体ウェハW1から半導体基板S1の除去された領域には樹脂層J1が設けられ、チップ領域R1ごとに分離された半導体基板S1に固着されることで、半導体基板S1の横にはみ出した電極パッドP1が支持されるとともに、チップ領域R1ごとに分離された半導体基板S1が一体的に支持される。なお、樹脂層J1の材料は、例えば、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどの有機材料を用いることができる。また、樹脂層J1は、熱可塑性を有するものが好ましい。また、チップ領域R1ごとに分離された半導体基板S1の周囲に樹脂層J1を形成する前に、半導体基板S1を薄膜化してもよい。
【0017】
また、電極パッドP1には開口部K1が形成されるとともに、樹脂層J1には、樹脂層J1を上下に貫通する貫通孔T1が形成されている。ここで、貫通孔T1は、開口部K1を介して電極パッドP1を上下に突き抜けるように配置することができる。なお、開口部K1および貫通孔T1は、チップ領域R1ごとに分離された半導体基板S1が樹脂層J1にて一体的に支持されたまま形成することが好ましい。
【0018】
そして、スクライブラインB1に沿って樹脂層J1を切断することで、半導体基板S1の周囲を取り囲むように樹脂層J1が配置された半導体チップC1を切り出す。ここで、電極パッドP1は、半導体基板S1の横にはみ出すように配置され、半導体基板S1の周囲を取り囲むように配置された樹脂層J1上に支持されている。また、電極パッドP1が配置される樹脂層J1上の面は、配線H1が配置される半導体基板S1上の面に連続するように形成することができる。
【0019】
そして、電極パッドP1が上下に重なるように半導体チップC1を積層し、貫通孔T1内に導電体D1を埋め込むことで、上下の電極パッドP1を電気的に接続し、上下に積層された半導体チップC1間の電気的な接続を行う。なお、導電体D1としては、例えば、導電性ペーストを用いるようにしてもよいし、メッキ材を用いるようにしてもよい。また、積層された半導体チップC1間の接続方法としては、樹脂層J1の熱可塑性を利用して半導体チップC1間を接続するようにしてもよいし、半導体チップC1間に接着層を設けるようにしてもよい。
【0020】
これにより、半導体チップC1間の接続時に、半導体基板S1やその上の無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S1を薄膜化した場合においても、半導体基板S1や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0021】
また、樹脂層J1に貫通孔T1を設けることで、半導体チップC1の半導体基板S1に貫通孔を設けることなく、上下の電極パッドP1を電気的に接続することができる。このため、半導体基板S1の貫通孔の側壁に絶縁膜を形成したり、電極パッドを露出させる開口部をその絶縁膜に形成したりする必要がなくなり、上下の電極パッドP1を電気的に接続するための構造を簡易化することができる。
【0022】
また、スクライブラインB1に沿ってチップ領域R1ごとに分離された半導体基板S1を樹脂層J1にて一体的に支持させることで、半導体チップC1を切り出す時に樹脂層J1のみを切断すればよく、半導体基板S1やその上の無機絶縁膜を切断する必要がなくなる。このため、半導体チップC1を切り出す時に、半導体基板S1やその上の無機絶縁膜の切削屑が周囲に飛び散り、半導体基板S1の表面に付着するのを防止することができる。
【0023】
なお、導電体D1と電極パッドP1との接続不良を減らすために、開口部K1の大きさよりも貫通孔T1の大きさを大きくし、電極パッドP1の裏面の一部を樹脂層J1から露出させることが好ましい。
【0024】
なお、上記実施例では、電極パッドP1と配線H1の上面に関して何ら限定をしていないが、これらの上面に絶縁膜が積層されていても構わない。例えば、無機絶縁膜Z1を半導体基板S1上に積層し、さらにその上に樹脂層J1´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z1としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J1´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。無機絶縁膜Z1に、電極パッドP1よりも大きな開口部を形成して、当該電極パッドP1上面の全面を無機絶縁膜Z1から露出することによって、半導体チップC1を積層して電極パッドP1間を接続した際に、脆性材料である無機絶縁膜Z1にクラックが発生することを防止することが可能となる。
【0025】
一方、樹脂層J1´に、電極パッドP1よりも小さく、かつ電極パッドP1の開口部K1よりも大きな貫通孔T1´を形成して、電極パッドP1の外周を固定するとともに、電極パッドP1の上面の一部と開口部K1を露出させることにより、電極パッドP1の位置を固定することが出来るとともに、半導体チップC1´を電極パッドP1が上下に重なるように積層した際に導電体D1を埋め込むことによって電気的な接続を行うことが出来る。
【0026】
さらに、無機絶縁膜Z1をスクライブラインB1に沿って開口して、樹脂層J1´をスクライブラインB1上で開口しないようにすれば、チップ領域R1を半導体ウェハW1上の所定の位置に固定することが出来ると共に、半導体ウェハW1から半導体チップC1を切り出す時に無機絶縁膜Z1を切断する必要がなく、切削屑が飛び散って半導体チップC1´の表面に付着することを防止することが出来る。また、上面の樹脂層J1´によってスクライブラインB1を固定した場合には、裏面の樹脂層J1でスクライブラインB1を固定する必要がないため、貫通孔T1を形成する際のフォトリソグラフィ工程によって、樹脂層J1のスクライブラインB1下を同時に開口してしまうことが可能となる。なお、樹脂層J1´と樹脂層J1とは、少なくともいずれか一方が熱可塑性を持っていれば積層時の接着層とすることが出来る。
【0027】
(第2実施形態)
図3(a)〜図6(a)、図7、図8、図10(a)〜図13(a)、図14および図15は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図3(b)〜図6(b)は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図、図9(b)〜図13(b)は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図である。
【0028】
図3(a)および図3(b)において、半導体基板11上には、絶縁層12が形成され、絶縁層12上には、電極パッド14が一体的に設けられた配線13が形成されている。ここで、電極パッド14には開口部15が形成されている。
また、半導体基板11はウェハ状に構成され、チップ領域R11ごとに区画されている。ここで、絶縁層12下の半導体基板11上には、下層配線層を設けるようにしてもよい。また、半導体基板11には、チップ領域R11ごとに電界効果トランジスタを形成するようにしてもよいし、フラッシュメモリ、DRAM、マイクロコンピュータ、ロジック回路あるいはイメージセンサなどを形成するようにしてもよい。また、絶縁層12としては、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。あるいは、酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜が積層された積層構造を用いるようにしてもよい。また、絶縁層12と配線13の全体の膜厚は、例えば1〜10μmの範囲に設定することができる。
【0029】
次に、図4(a)および図4(b)に示すように、CVDなどの方法を用いることにより、配線13および電極パッド14上に保護膜17を形成する。なお、保護膜17としては、酸化シリコン膜または窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0030】
次に、図5(a)および図5(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、チップ領域R11の外周部全体の保護膜17を除去し、電極パッド14を保護膜17から露出させる。ここで、チップ領域R11の外周部全体の保護膜17を除去する場合、チップ領域R11間のスクライブ領域の保護膜17も除去することが好ましい。
【0031】
次に、図6(a)および図6(b)に示すように、半導体基板11上に樹脂層18を形成する。なお、樹脂層18の材料は、例えば、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどの有機材料を用いることができる。また、樹脂層18は、感光性を有するものが特に好ましい。また、樹脂層18の膜厚は、例えば、3μm程度とすることができる。
ここで、半導体基板11上に樹脂層18を形成する方法としては、スピンコート法を用いるようにしてもよいし、樹脂フィルムを半導体基板11に貼り合わせるようにしてもよい。
【0032】
そして、電極パッド14を露出させる貫通孔24を樹脂層18に形成する。なお、貫通孔24は、電極パッド14の外周よりも内側に配置することが好ましい。また、チップ領域R11間のスクライブ領域には、樹脂層18を残したままにすることが好ましい。
ここで、樹脂層18に貫通孔24を形成する方法としては、樹脂層18に感光性がある場合、樹脂層18の感光および現像を行う方法を用いることができる。また、樹脂層18に感光性がない場合、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いることができる。なお、ウェハレベルテストを行う場合、ウェハレベルテスト用の電極パッドも同時に開口するようにしてもよい。
【0033】
次に、図7に示すように、半導体基板11の裏面を研削する際に半導体基板11を支持する保護シート19aと保護板19bを樹脂層18上に形成する。なお、保護シート19aとしては、半導体基板11に一旦貼り付けた後、半導体基板11から剥離することが可能な粘着性樹脂シートを用いることができる。あるいは、半導体基板11に一旦貼り付けた後、半導体基板11からの剥離を容易化するために、紫外線硬化型樹脂などを用いるようにしてもよい。また、保護板19bには有機物を用いても良いし、シリコンやガラスなどのウェハを用いても良い。
【0034】
次に、図8に示すように、半導体基板11の裏面を研削することにより、半導体基板11を薄膜化する。なお、薄膜化後の半導体基板11の厚さは、例えば、5〜10μmの範囲に設定することができる。また、半導体基板11を薄膜化する場合、機械研削を行った後、CMPなどにて半導体基板11の裏面を鏡面化することが好ましい。
【0035】
次に、図9(a)および図9(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、チップ領域R11の外周部全体の半導体基板11を除去し、電極パッド14下の絶縁層12の裏面を半導体基板11から露出させる。ここで、チップ領域R11の外周部全体の半導体基板11を除去する場合、チップ領域R11間のスクライブ領域の半導体基板11も除去することが好ましい。
【0036】
これにより、各チップ領域R11ごとに半導体基板11を分離するとともに、電極パッド14が半導体基板11の横にはみ出すように配置することができる。また、チップ領域R11間のスクライブ領域の半導体基板11も除去することにより、ダイシング工程で半導体基板11が切断されるのを防止することができ、半導体基板S1の切削屑が周囲に飛び散るのを防止することができる。
【0037】
なお、フォトリソグラフィ技術にて半導体基板11の裏面にレジストパターンを形成する場合、半導体基板11の裏面に形成されるレジストパターンと、半導体基板11の表面に形成されたパターンとの位置合わせを行うために、赤外線で半導体基板11を透過させることにより、半導体基板11の表面に形成されたアライメントマークを検出することができる。あるいは、半導体基板11を薄膜化した時にアライメントマークが半導体基板11の裏面側に露出するように、半導体基板11の表面側に深い穴をアライメントマークとして形成するようにしてもよい。
【0038】
次に、図10(a)および図10(b)に示すように、半導体基板11をマスクとして絶縁層12をエッチングすることにより、チップ領域R11の外周部全体の絶縁層12を除去し、電極パッド14の裏面を半導体基板11から露出させる。ここで、チップ領域R11の外周部全体の絶縁層12を除去する場合、チップ領域R11間のスクライブ領域の絶縁層12も除去することが好ましい。
なお、半導体基板11をマスクとして絶縁層12をエッチングする場合、サイドエッチングが入るのを防止するために、RIE(リアクティブイオンエッチング)を用いることが好ましい。
【0039】
ここで、RIEを用いた場合、電極パッド14の裏面が露出した時にプラズマの異常放電が起こる場合には、絶縁層12として酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜が積層された積層構造を用いるようにしてもよい。そして、RIEにて酸化シリコン膜を除去した後、CDE(ケミカルドライエッチング)にて窒化シリコン膜を除去することにより、電極パッド14の裏面を露出させるようにしてもよい。
【0040】
なお、チップ領域R11の外周部全体の絶縁層12を除去する場合、半導体基板11をマスクとして用いる方法以外にも、フォトリソグラフィ工程を追加し、レジストパターンをマスクとして用いるようにしてもよい。この場合、絶縁層12を半導体基板11よりも端部を出した位置でエッチングを行うことになるため、絶縁層12をエッチングする時にサイドエッチングが入っても半導体基板11の下でアンダーカット形状になることがない。したがって、絶縁層12のエッチングには、RIEの他にウェットエッチングを用いるようにしてもよい。
【0041】
次に、図11(a)および図11(b)に示すように、半導体基板11の裏面に樹脂層20を形成する。なお、樹脂層20の材料は、例えば、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどの有機材料を用いることができる。また、樹脂層20は、熱可塑性を有するものが特に好ましい。また、樹脂層20は、感光性を有するものが特に好ましい。また、樹脂層20の膜厚は、例えば、3μm程度とすることができる。
ここで、半導体基板11の裏面に樹脂層20を形成する方法としては、スピンコート法を用いるようにしてもよいし、樹脂フィルムを半導体基板20に貼り合わせるようにしてもよい。
【0042】
そして、電極パッド14の裏面を露出させる貫通孔21を樹脂層20に形成するとともに、チップ領域R11間のスクライブ領域を露出させる溝22を樹脂層20に形成する。なお、貫通孔21は、電極パッド14の外周よりも内側に配置することが好ましい。
ここで、樹脂層20に貫通孔21および溝22を形成する方法としては、樹脂層20に感光性がある場合、樹脂層20の感光および現像を行う方法を用いることができる。また、樹脂層20に感光性がない場合、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いることができる。
【0043】
次に、図12(a)および図12(b)に示すように、チップ領域R11間のスクライブラインに沿って樹脂層18に溝23を形成することで樹脂層18を切断し、半導体基板11の周囲を取り囲むように樹脂層18、20が配置された半導体チップC11を切り出す。ここで、電極パッド14は、半導体基板11の横にはみ出すように配置され、半導体基板11の周囲を取り囲むように配置された樹脂層18、20によって支持されている。
また、チップ領域R11間のスクライブ領域から半導体基板11や絶縁層12が除去されているため、半導体チップC11を切り出す時に半導体基板11や絶縁層12の切削屑が周囲に飛び散るのを防止することができる。なお、樹脂層18を切断する方法としては、ブレードを使用したダイシングにて切断するようにしてもよいし、レーザにて切断するようにしてもよい。さらに本実施例においては、保護シート19aと保護板19bに貼り付けた状態で半導体チップC11の切り出しを行っているが、保護シート19aと保護板19bから剥離した後に半導体チップC11の切り出しを行っても構わない。
【0044】
また、半導体基板11の上下に樹脂層18、20をそれぞれ設けることにより、応力のバランスをとることができ、半導体チップC11に反りが発生するのを抑制することができる。なお、樹脂層18、20の膜厚は、応力のバランスを最適化することで反りが最小になるように任意に設定することができる。
ここで、例えば、樹脂層20の厚さが3μ、半導体基板11の厚さが8μ、半導体基板11上の配線層の厚さが3μm、樹脂層18の厚さが3μであるとすると、半導体チップC11の全体の厚さは17μmとなる。このため、半導体ウェハの厚さが775μm程度とすると、半導体チップC11の全体の厚さを半導体ウェハの厚さの1/50程度にすることができる。
【0045】
次に、図13(a)および図13(b)に示すように、個片化された半導体チップC11を保護シート19aと保護板19bからピックアップする。
【0046】
次に、図14に示すように、樹脂層20を加熱しながら、電極パッド14が上下に重なるように半導体チップC11〜C14を実装基板U11上に順次積層する。なお、半導体チップC12〜C14は、半導体チップC11と同様に構成することができる。ここで、実装基板U11には、絶縁基板31が設けられ、絶縁基板31上には配線32が形成されるとともに、配線32に接続された電極パッド33が形成されている。また、絶縁基板31上には、電極パッド33が露出するように配置された保護膜34が形成されている。
なお、半導体チップC11〜C14同士を互いに固着させる場合、樹脂層20が熱可塑性を有するならば、樹脂層20を加熱することで接着することができる。一方、樹脂層20が熱可塑性を有しないならば、接着剤を用いるようにしてもよい。ここで、接着剤を用いる場合、半導体チップC11を個片化する前に樹脂層20の裏面に接着層を予め形成するようにしてもよい。あるいは樹脂層18が熱可塑性を有していても構わない。この場合には半導体チップC11〜C14は、図14とは表裏反対で、樹脂層18を下向きにして積層されることになる。
【0047】
次に、図15に示すように、貫通孔21、24内に導電体25を埋め込むことで、上下の電極パッド14を電気的に接続し、上下に積層された半導体チップC11〜C14間の電気的な接続を行う。なお、導電体25としては、例えば、導電性ペーストを用いるようにしてもよいし、メッキ材を用いるようにしてもよい。また、導電性ペーストを貫通孔21、24内に埋め込む場合、インクジェット法を用いることができる。この導電性ペーストには、金、銀、銅などの貴金属のナノ粒子を含有させたり、はんだなどの溶融金属を含有させたりすることが好ましい。
また、導電性ペーストとの電気的な接続を容易化するために、電極パッド14、33の表面には、金またはパラジウムを被覆することが好ましい。
【0048】
ここで、半導体基板11の周囲に樹脂層20を設け、半導体基板11の横にはみ出した電極パッド14を樹脂層20にて支持させることにより、上下の電極パッド14を接続する時に、半導体基板11や絶縁層12、17に応力がかかるのを抑制することができる。このため、半導体基板11を薄膜化した場合においても、半導体基板11や絶縁層12、17にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0049】
なお、上述した第2実施形態では、半導体基板11上にも樹脂層18を設ける方法について説明したが、半導体基板11上の樹脂層18はなくてもよい。
【0050】
(第3実施形態)
図16は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図16において、図14の例では、電極パッド14の上下面が露出するように、樹脂層18、20に貫通孔24、21をそれぞれ設ける方法について説明したが、樹脂層20の代わりに樹脂層20´を設け、電極パッド14の上面のみが露出するように樹脂層20´に貫通孔21´を設けるようにしてもよい。
【0051】
(第4実施形態)
図17は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図17において、図14の例では、電極パッド14の上下面が露出するように、樹脂層18、20に貫通孔24、21をそれぞれ設ける方法について説明したが、樹脂層18の代わりに樹脂層18´を設け、電極パッド14の下面のみが露出するように樹脂層18´に貫通孔24´を設けるようにしてもよい。
【0052】
(第5実施形態)
図18は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図18において、半導体チップC15〜C17の樹脂層18、20には、半導体チップC11の樹脂層18、20にそれぞれ設けられた貫通孔24、21の代わりに、貫通孔27、26がそれぞれ設けられている。
ここで、電極パッド14がメモリチップのチップセレクト端子として用いられるものとすると、貫通孔27、26は、樹脂層18、20から電極パッド14が露出しないように構成することができる。
【0053】
そして、電極パッド14が上下に重なるように半導体チップC11、C15〜C17を実装基板U11上に積層する。そして、貫通孔21、24、26、27内に導電体を埋め込むことで、実装基板U11の電極パッド33に半導体チップC11の電極パッド14のみを電気的に接続することができ、チップセレクトを実現することができる。
【0054】
(第6実施形態)
図19(a)は、本発明の第6実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図19(b)は図19(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図である。
図19(a)において、半導体チップC2には、半導体基板S2が設けられている。そして、半導体基板S2上には配線層が設けられ、この配線層には、配線H2と一体的に形成された電極パッドP2が設けられている。ここで、電極パッドP2は、半導体基板S2の横にはみ出すようにして配線H2と同一平面上に配置されている。
【0055】
また、半導体チップC2には、樹脂層J2が設けられている。ここで、樹脂層J2は、半導体基板S2の横にはみ出すように半導体基板S2に固着されている。そして、樹脂層J2は、電極パッドP2を下から支持するようにして半導体基板S2の周囲を取り囲むように配置されている。また、電極パッドP2が配置される樹脂層J2上の面は、配線H2が配置される半導体基板S2上の面に連続するように形成することができる。
【0056】
そして、樹脂層J2には、樹脂層J2を上下に貫通する貫通孔T2が形成されている。ここで、貫通孔T2は、電極パッドP2の端部に跨るように配置され、電極パッドP2の裏面の一部が樹脂層J2から露出されている。そして、半導体チップC2を積層し、貫通孔T2内に導電体を埋め込むことで、上下に積層された半導体チップC2間の電気的な接続を行うことができる。
【0057】
これにより、電極パッドP2に開口部を設けることなく、上下に積層された半導体チップC2の貫通孔T2内に導電体を流し込むことができ、上下に積層された半導体チップC2間の電気的な接続を行うことが可能となる。
また、半導体チップC2間の接続時に、半導体基板S2やその上の無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S2を薄膜化した場合においても、半導体基板S2や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0058】
なお、上記実施例では、電極パッドP2と配線H2の上面に関して何ら限定をしていないが、これらの上面に絶縁膜が積層されていても構わない。例えば、19(b)に示すように、無機絶縁膜Z2を半導体基板S2上に積層し、さらにその上に樹脂層J2´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z2としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J2´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。ここで、無機絶縁膜Z2には、電極パッドP2よりも大きな開口部が形成されていて、当該電極パッドP2上面の全面が無機絶縁膜Z2から露出している。一方、樹脂層J2´には、電極パッドP2の端部に跨るように貫通孔T2´が形成されていて、電極パッドP2の位置を固定することが出来るとともに、半導体チップC2´を電極パッドP2が上下に重なるように積層した際に導電体を埋め込むことによって電気的な接続を行うことが出来る。なお、樹脂層J2´と樹脂層J2とは、少なくともいずれか一方が熱可塑性を持っていれば積層時の接着層とすることが出来る。
【0059】
(第7実施形態)
図20(a)、図21(a)、図22、図23、図24(a)〜図28(a)および図29は、本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図20(b)および図21(b)は、本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図、図24(b)〜図28(b)は、本発明の第7実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図である。
【0060】
図20(a)および図20(b)において、図3(a)〜図5(a)および図3(b)〜図5(b)と同様の工程を経ることで、チップ領域R21の外周部全体の保護膜47を除去し、電極パッド44を保護膜47から露出させる。ここで、チップ領域R21の外周部全体の保護膜47を除去する場合、チップ領域R21間のスクライブ領域の保護膜47も除去することが好ましい。
なお、半導体基板41上には絶縁層42が形成され、絶縁層42上には、電極パッド44および配線43が形成されている。ここで、電極パッド44は、配線43と一体的に形成されている。ここで、図5(a)および図5(b)の例では、電極パッド14には開口部15が形成されているが、図20(a)および図20(b)の例では、電極パッド44には開口部が形成されていない。
【0061】
次に、図21(a)および図21(b)に示すように、半導体基板41上に樹脂層48を形成する。そして、電極パッド44を露出させる貫通孔54を樹脂層48に形成する。なお、貫通孔54は、電極パッド44の端部に跨るように配置することが好ましい。また、チップ領域R21間のスクライブ領域には、樹脂層48を残したままにすることが好ましい。
【0062】
次に、図22に示すように、半導体基板41の裏面を研削する際に半導体基板41を支持する保護シート49aと保護板49bを樹脂層48上に形成する。
次に、図23に示すように、半導体基板41の裏面を研削することにより、半導体基板41を薄膜化する。
【0063】
次に、図24(a)および図24(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、チップ領域R21の外周部全体の半導体基板41を除去し、電極パッド44下の絶縁層42の裏面を半導体基板41から露出させる。ここで、チップ領域R21の外周部全体の半導体基板41を除去する場合、チップ領域R21間のスクライブ領域の半導体基板41も除去することが好ましい。
【0064】
次に、図25(a)および図25(b)に示すように、半導体基板41をマスクとして絶縁層42をエッチングすることにより、チップ領域R21の外周部全体の絶縁層42を除去し、電極パッド44の裏面を半導体基板41から露出させる。ここで、チップ領域R21の外周部全体の絶縁層42を除去する場合、チップ領域R21間のスクライブ領域の絶縁層42も除去することが好ましい。
【0065】
次に、図26(a)および図26(b)に示すように、半導体基板41の裏面に樹脂層50を形成する。そして、電極パッド44の裏面を露出させる貫通孔51を樹脂層50に形成するとともに、チップ領域R21間のスクライブ領域を露出させる溝52を樹脂層50に形成する。なお、貫通孔51は、電極パッド44の端部に跨るように配置することが好ましい。
【0066】
次に、図27(a)および図27(b)に示すように、チップ領域R21間のスクライブラインに沿って樹脂層48に溝53を形成することで樹脂層48を切断し、半導体基板41の周囲を取り囲むように樹脂層48、50が配置された半導体チップC41を切り出す。ここで、電極パッド44は、半導体基板41の横にはみ出すように配置され、半導体基板41の周囲を取り囲むように配置された樹脂層48、50によって支持されている。
【0067】
次に、図28(a)および図28(b)に示すように、個片化された半導体チップC41を保護シート49aと保護板49bからピックアップする。
なお、本実施例では保護シート49aと保護板49bに貼り付けた状態で半導体チップC41の切り出しを行っているが、保護シート49aと保護板49bから剥離した状態で半導体チップC41の切り出しを行っても構わない。
【0068】
次に、図29に示すように、樹脂層50を加熱しながら、電極パッド44が上下に重なるように半導体チップC41〜C44を実装基板U11上に順次積層する。そして、貫通孔51、54内に導電体を埋め込むことで、上下の電極パッド44を電気的に接続し、上下に積層された半導体チップC41〜C44間の電気的な接続を行う。なお、半導体チップC42〜C44は、半導体チップC41と同様に構成することができる。
【0069】
これにより、上下の電極パッド44を接続する時に、半導体基板41や絶縁層42、47に応力がかかるのを抑制することが可能となる。このため、半導体基板41を薄膜化した場合においても、半導体基板41や絶縁層42、47にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0070】
(第8実施形態)
図30(a)は、本発明の第8実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図30(b)は図30(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図である。
図30(a)において、半導体チップC3には、半導体基板S3が設けられている。そして、半導体基板S3上には配線層が設けられ、この配線層には、配線H3と一体的に形成された電極パッドP3が設けられている。ここで、電極パッドP3は、半導体基板S3の横にはみ出すようにして配線H2と同一平面上に配置されている。
また、半導体チップC3には、樹脂層J3が設けられている。ここで、樹脂層J3は、半導体基板S3の横にはみ出すように半導体基板S3に固着されている。そして、樹脂層J3は、電極パッドP3を下から支持するようにして半導体基板S3の周囲を取り囲むように配置されている。また、電極パッドP3が配置される樹脂層J3上の面は、配線H3が配置される半導体基板S3上の面に連続するように形成することができる。
【0071】
そして、樹脂層J3には、樹脂層J3を上下に貫通する貫通孔T3が形成されている。ここで、貫通孔T3は、電極パッドP3の端部に跨るように配置され、電極パッドP3の裏面の一部が樹脂層J3から露出されている。また、樹脂層J3の側壁には、貫通孔T3に通じる溝M3が貫通孔T3ごとに形成されている。そして、半導体チップC3を積層し、貫通孔T3内に導電体を埋め込むことで、上下に積層された半導体チップC3間の電気的な接続を行うことができる。
【0072】
これにより、電極パッドP3に開口部を設けることなく、上下に積層された半導体チップC3の貫通孔T3内に導電体を流し込むことができ、上下に積層された半導体チップC3間の電気的な接続を行うことが可能となる。
また、貫通孔T3に通じる溝M3を樹脂層J3の側壁に設けることにより貫通孔T3内に存在する空気を溝M3から逃がしながら、貫通孔T3内に導電体を流し込むことができ、半導体チップC3を上下に多数積層した場合においても、半導体チップC3間の電気的な接続不良を低減することができる。
また、半導体チップC4間の接続時に、半導体基板S3やその上の無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S3を薄膜化した場合においても、半導体基板S3や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0073】
なお、上記実施例では、電極パッドP3と配線H3の上面に関して何ら限定をしていないが、これらの上面に絶縁膜が積層されていても構わない。例えば、30(b)に示すように、無機絶縁膜Z3を半導体基板S3上に積層し、さらにその上に樹脂層J3´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z3としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J3´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。ここで、無機絶縁膜Z3には、電極パッドP3よりも大きな開口部が形成されていて、当該電極パッドP3上面の全面が無機絶縁膜Z3から露出している。一方、樹脂層J3´には、電極パッドP3の端部に跨るように貫通孔T3´が形成されていて、電極パッドP3の位置を固定することが出来るとともに、半導体チップC3´を電極パッドP3が上下に重なるように積層した際に導電体を埋め込むことによって電気的な接続を行うことが出来る。なお、樹脂層J3´の側壁から貫通孔T3´に通じる溝M3´を形成しても構わないが、溝M3´と溝M3は少なくともいずれか一方に形成されていればよい。また、樹脂層J3´と樹脂層J3とは、少なくともいずれか一方が熱可塑性を持っていれば積層時の接着層とすることが出来る。
【0074】
(第9実施形態)
図31(a)は、本発明の第9実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図31(b)は、本発明の第9実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図である。
図31(a)および図31(b)において、図26の工程の貫通孔51および溝52を樹脂層50に形成する時に、チップ領域R31の貫通孔51と溝52とを接続する溝55も一括して形成する。
【0075】
これにより、貫通孔51に存在する空気を溝55から逃がしながら、貫通孔51、54内に導電体を埋め込むことができ、工程数を増加させることなく、導電体の充填性を向上させることができる。
【0076】
(第10実施形態)
図32(a)は、本発明の第10実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図32(b)は図32(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図である。
図32(a)において、半導体チップC4には、半導体基板S4が設けられている。そして、半導体基板S4上には配線層が設けられ、この配線層には、配線H4と一体的に形成された電極パッドP4が設けられている。ここで、電極パッドP4は、半導体基板S4の横にはみ出すようにして配線H4と同一平面上に配置されている。
また、半導体チップC4には、樹脂層J4が設けられている。ここで、樹脂層J4は、半導体基板S4の横にはみ出すように半導体基板S4に固着されている。そして、樹脂層J4は、電極パッドP4を下から支持するようにして半導体基板S4の周囲を取り囲むように配置されている。また、電極パッドP4が配置される樹脂層J4上の面は、配線H4が配置される半導体基板S4上の面に連続するように形成することができる。
【0077】
そして、樹脂層J4の側壁には、樹脂層J4を上下に貫通する溝M4が形成されている。ここで、溝M4は、電極パッドP4の端部にかかるように配置され、電極パッドP4の裏面の一部が樹脂層J4から露出されている。そして、半導体チップC4を積層し、溝4内に導電体を埋め込むことで、上下に積層された半導体チップC4間の電気的な接続を行うことができる。
【0078】
これにより、半導体チップC4間の接続時に、半導体基板S4やその上の無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S4を薄膜化した場合においても、半導体基板S4や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0079】
なお、上記実施例では、電極パッドP4と配線H4の上面に関して何ら限定をしていないが、これらの上面に絶縁膜が積層されていても構わない。例えば、32(b)に示すように、無機絶縁膜Z4を半導体基板S4上に積層し、さらにその上に樹脂層J4´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z4としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J4´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。ここで、無機絶縁膜Z44には、電極パッドP4よりも大きな開口部が形成されていて、当該電極パッドP4上面の全面が無機絶縁膜Z4から露出している。一方、樹脂層J4´の側壁には、樹脂層J4´を上下に貫通する溝M4´が形成されている。ここで溝M4´は、電極パッドP4の端部に跨るように配置されていて、電極パッドP4の上面の一部が樹脂層J4´から露出されており、半導体チップC4´を電極パッドP4が上下に重なるように積層した際に導電体を埋め込むことによって電気的な接続を行うことが出来る。なお、樹脂層J4´と樹脂層J4とは、少なくともいずれか一方が熱可塑性を持っていれば積層時の接着層とすることが出来る。
【0080】
(第11実施形態)
図33(a)、図34、図35、図36(a)〜図40(a)および図41は、本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図33(b)は、本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図、図36(b)〜図40(b)は、本発明の第11実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図である。
【0081】
図33(a)および図33(b)において、図3(a)〜図6(a)および図3(b)〜図6(b)と同様の工程を経ることで、半導体基板61上に樹脂層68を形成する。そして、電極パッド64を露出させる貫通孔74を樹脂層68に形成する。なお、貫通孔74は、電極パッド64の端部に跨るとともに、チップ領域R41間のスクライブ領域にかかるように配置することが好ましい。また、チップ領域R41間のスクライブ領域には、樹脂層68を残したままにすることが好ましい。
【0082】
なお、半導体基板61上には絶縁層62が形成され、絶縁層62上には、電極パッド64および配線63が形成されている。ここで、電極パッド64は、配線63と一体的に形成されている。また、配線63上には保護膜67が形成され、チップ領域R41の外周部全体の保護膜67が除去されることにより、電極パッド64が保護膜67から露出されている。ここで、図5(a)および図5(b)の例では、電極パッド14には開口部15が形成されているが、図33(a)および図33(b)の例では、電極パッド64には開口部が形成されていない。
【0083】
次に、図34に示すように、半導体基板61の裏面を研削する際に半導体基板61を支持する保護シート69aと保護板69bを樹脂層68上に形成する。
【0084】
次に、図35に示すように、半導体基板61の裏面を研削することにより、半導体基板61を薄膜化する。
【0085】
次に、図36(a)および図36(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、チップ領域R41の外周部全体の半導体基板61を除去し、電極パッド64下の絶縁層62の裏面を半導体基板61から露出させる。ここで、チップ領域R41の外周部全体の半導体基板61を除去する場合、チップ領域R41間のスクライブ領域の半導体基板61も除去することが好ましい。
【0086】
次に、図37(a)および図37(b)に示すように、半導体基板61をマスクとして絶縁層62をエッチングすることにより、チップ領域R41の外周部全体の絶縁層62を除去し、電極パッド64の裏面を半導体基板61から露出させる。ここで、チップ領域R41の外周部全体の絶縁層62を除去する場合、チップ領域R41間のスクライブ領域の絶縁層62も除去することが好ましい。
【0087】
次に、図38(a)および図38(b)に示すように、半導体基板61の裏面に樹脂層70を形成する。そして、チップ領域R41間のスクライブライブ領域の樹脂層70を除去するとともに、電極パッド64の裏面を露出させる溝71を樹脂層70の側壁に形成する。なお、溝71は、電極パッド64の端部にかかるように配置することが好ましい。
【0088】
次に、図39(a)および図39(b)に示すように、チップ領域R41間のスクライブラインに沿って樹脂層68を除去し、樹脂層68の側壁に溝74´を形成するとともに、半導体基板61の周囲を取り囲むように樹脂層68、70が配置された半導体チップC51を切り出す。ここで、電極パッド64は、半導体基板61の横にはみ出すように配置され、半導体基板61の周囲を取り囲むように配置された樹脂層68、70によって支持されている。
【0089】
次に、図40(a)および図40(b)に示すように、個片化された半導体チップC51を保護シート69aと保護板69bからピックアップする。
なお、本実施例では保護シート69aと保護板69bに貼り付けた状態で半導体チップC51の切り出しを行っているが、保護シート69aと保護板69bから剥離した状態で半導体チップC51の切り出しを行っても構わない。
【0090】
次に、図41に示すように、樹脂層70を加熱しながら、電極パッド64が上下に重なるように半導体チップC51〜C54を実装基板U11上に順次積層する。そして、溝71、74´内に導電体を埋め込むことで、上下の電極パッド64を電気的に接続し、上下に積層された半導体チップC51〜C54間の電気的な接続を行う。なお、半導体チップC52〜C54は、半導体チップC51と同様に構成することができる。
【0091】
これにより、上下の電極パッド64を接続する時に、半導体基板61や絶縁層62、67に応力がかかるのを抑制することが可能となる。このため、半導体基板61を薄膜化した場合においても、半導体基板61や絶縁層62、67にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0092】
(第12実施形態)
図42(a)は、本発明の第12実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す斜視図、図42(b)は図42(a)の半導体装置の変形例を示す斜視図である。
図42(a)において、半導体チップC5には、半導体基板S5が設けられている。そして、半導体基板S5上には配線層が設けられ、この配線層には、配線H5と一体的に形成された電極パッドP5が設けられている。また、半導体基板S5には、貫通孔A5が形成されている。ここで、貫通孔A5は、電極パッドP5下に半導体基板S5が存在しないように構成され、貫通孔A5の内周部は、電極パッドP5の外周部よりも外側に配置することができる。
また、半導体チップC5には、樹脂層J5が設けられている。ここで、樹脂層J5は、貫通孔A5内に埋め込まれるように半導体基板S5に固着されている。そして、樹脂層J5は、電極パッドP5を下から支持するように配置されている。
【0093】
そして、電極パッドP5には開口部K5が形成されるとともに、樹脂層J5には、樹脂層J5を上下に貫通する貫通孔T5が形成されている。ここで、貫通孔T5は、開口部K5を介して電極パッドP5を上下に突き抜けるように配置することができる。そして、半導体チップC5を積層し、貫通孔T5内に導電体を埋め込むことで、上下に積層された半導体チップC5間の電気的な接続を行うことができる。
【0094】
これにより、半導体基板S5上を避けるように電極パッドP5を配置することができ、半導体チップC5間の接続時に、半導体基板S5やその上の無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができる。このため、半導体基板S5を薄膜化した場合においても、半導体基板S5や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0095】
なお、上記実施例では、電極パッドP5と配線H5の上面に関して何ら限定をしていないが、これらの上面に絶縁膜が積層されていても構わない。例えば、42(b)に示すように、無機絶縁膜Z5を半導体基板S5上に積層し、さらにその上に樹脂層J5´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z5としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J5´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。ここで、無機絶縁膜Z5には、電極パッドP5よりも大きな開口部が形成されていて、当該電極パッドP5の上面全面が無機絶縁膜Z5から露出している。一方、樹脂層J5´に電極パッドP5よりも小さく、かつ電極パッドP5の開口部K5よりも大きな貫通孔T5´を形成して、電極パッドP5の外周を固定するとともに、電極パッドP5の上面の一部と開口部K5を露出させることにより、電極パッドP5の位置を固定することが出来るとともに、半導体チップC5´を電極パッドP5が上下に重なるように積層した際に導電体を埋め込むことによって電気的な接続を行うことが出来る。なお、樹脂層J5´と樹脂層J5とは、少なくともいずれか一方が熱可塑性を持っていれば積層時の接着層とすることが出来る。
【0096】
(第13実施形態)
図43(a)、図44(a)、図45、図46、図47(a)〜図51(a)は、本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図、図43(b)および図44(b)は、本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図、図47(b)〜図51(b)は、本発明の第13実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す裏面図である。
【0097】
図43(a)および図43(b)において、半導体基板81上には、絶縁層82が形成され、絶縁層82上には、電極パッド84が一体的に設けられた配線83が形成されている。ここで、電極パッド84には開口部85が形成されている。そして、CVDなどの方法を用いることにより、配線83および電極パッド84上に保護膜87を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、電極パッド84の周囲の保護膜87を除去し、電極パッド84の周囲を保護膜87から露出させる。ここで、電極パッド84の周囲の保護膜87を除去する場合、チップ領域R51間のスクライブ領域の保護膜87も除去することが好ましい。また、電極パッド84の開口部85の内側には、保護膜87を残すことが好ましい。
【0098】
次に、図44(a)および図44(b)に示すように、半導体基板81上に樹脂層88を形成する。そして、電極パッド84を露出させる貫通孔94を樹脂層88に形成する。なお、貫通孔94は、電極パッド84の外周部よりも内側で開口部85よりも外側に配置することが好ましい。また、チップ領域R51の外周部には、樹脂層88を残したままにすることが好ましい。
【0099】
次に、図45に示すように、半導体基板81の裏面を研削する際に半導体基板81を支持する保護シート89aと保護板89bを樹脂層88上に形成する。
【0100】
次に、図46に示すように、半導体基板81の裏面を研削することにより、半導体基板81を薄膜化する。
【0101】
次に、図47(a)および図47(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いることにより、電極パッド84下の絶縁層82の裏面を露出させる貫通孔98を半導体基板81に形成するとともに、チップ領域R51間のスクライブ領域を露出させる溝99を半導体基板81に形成する。なお、貫通孔98の内周部は、電極パッド84の外周部よりも外側に配置することが好ましい。
【0102】
次に、図48(a)および図48(b)に示すように、半導体基板81をマスクとして絶縁層82をエッチングすることにより、電極パッド84下の絶縁層82を除去し、電極パッド84の裏面を半導体基板81から露出させる。ここで、電極パッド84下の絶縁層82を除去する場合、チップ領域R51間のスクライブ領域の絶縁層82も除去することが好ましい。
ここで、電極パッド84の開口部85の内側に保護膜87を残すことにより、保護シート89aを保護膜87にて保護することができ、絶縁層82をエッチングにて除去する際に、保護シート89aにダメージが及ぶのを抑制することができる。
【0103】
次に、図49(a)および図49(b)に示すように、半導体基板81の裏面に樹脂層90を形成する。そして、電極パッド84の裏面を露出させる貫通孔91を樹脂層90に形成するとともに、チップ領域R51間のスクライブ領域を露出させる溝92を樹脂層90に形成する。なお、貫通孔91の内周部は、電極パッド84の外周部よりも内側で開口部85の外周部よりも外側に配置することが好ましい。
【0104】
次に、図50(a)および図50(b)に示すように、チップ領域R51間のスクライブラインに沿って樹脂層88に溝93を形成することで樹脂層88を切断し、電極パッド84下を避けるように樹脂層90が配置された半導体チップC61を切り出す。
【0105】
次に、図51(a)および図51(b)に示すように、個片化された半導体チップC61を保護シート89aと保護板89bからピックアップする。そして、樹脂層90を加熱しながら、電極パッド84が上下に重なるように半導体チップC61を積層する。そして、貫通孔91、94内に導電体を埋め込むことで、上下の電極パッド84を電気的に接続し、上下に積層された半導体チップC61間の電気的な接続を行う。
【0106】
これにより、上下の電極パッド84を接続する時に、半導体基板81や絶縁層82や保護膜87に応力がかかるのを抑制することが可能となる。このため、半導体基板81を薄膜化した場合においても、半導体基板81や絶縁層82や保護膜87にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
なお、本実施例では保護シート89aと保護板89bに貼り付けた状態で半導体チップC61の切り出しを行っているが、保護シート89aと保護板89bから剥離した状態で半導体チップC61の切り出しを行っても構わない。
【0107】
なお、上述した第13実施形態では、絶縁層82をエッチングにて除去する際に保護シート89aを保護するために、電極パッド84の開口部85の内側に保護膜87を残す方法について説明したが、電極パッド84の開口部85の内側に保護膜87を残さないようにしてもよい。
【0108】
また、上述した第2実施形態、第7実施形態、第9実施形態および第11実施形態においても、電極パッド下の絶縁層をエッチングにて除去する際に保護シートを保護するために、保護シートの露出部分に保護膜を残すようにしてもよい。
【0109】
(第14実施形態)
図52は、本発明の第14実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図、図53は図52の半導体装置の製造方法の変形例を示す図である。
図52において、半導体基板S6はチップ領域ごとに分離されている。そして、各半導体基板S6上には配線層L6が形成され、この配線層L6には、電極パッドP6が一体的に設けられた配線H6が形成されるとともに、配線H6を半導体基板S6と絶縁する層間絶縁膜が形成されている。ここで、電極パッドP6は、半導体基板S6の横にはみ出すように配置されている。なお、各半導体基板S6には、電界効果トランジスタを形成するようにしてもよいし、フラッシュメモリ、DRAM、マイクロコンピュータ、ロジック回路あるいはイメージセンサなどを形成するようにしてもよい。
【0110】
そして、これらの分離された半導体基板S6の周囲には樹脂層J6が設けられ、半導体基板S6に固着されることで、半導体基板S6の横にはみ出した電極パッドP6が支持されるとともに、チップ領域ごとに分離された半導体基板S6が一体的に支持される。
【0111】
そして、スクライブラインB6に沿って樹脂層J6を切断することで、半導体基板S6の周囲を取り囲むように樹脂層J6が配置された半導体チップC6を切り出すことができる。この半導体チップC6において、電極パッドP6は、半導体基板S6の横にはみ出すように配置され、半導体基板S6の周囲を取り囲むように配置された樹脂層J6上に支持されている。
【0112】
一方、実装基板U6には、絶縁基板101が設けられ、絶縁基板101上にはランド電極102が形成されている。そして、突出電極103を介して電極パッドP6をランド電極102に接合することで、半導体チップC6を実装基板U6上に実装することができる。
【0113】
これにより、電極パッドP6をランド電極102に接合する際に、半導体基板S6や無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S6を薄膜化した場合においても、半導体基板S6や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0114】
なお、突出電極103としては、例えば、Auバンプ、半田材などで被覆されたCuバンプやNiバンプ、あるいはハンダボールなどを用いることができる。また、半導体チップC6を実装基板U6上に実装する場合、半田接合や合金接合などの金属接合を用いるようにしてもよく、ACF(Anisotropic Conductive Film)接合、NCF(Nonconductive Film)接合、ACP(Anisotropic Conductive Paste)接合、NCP(Nonconductive Paste)接合などの圧接接合を用いるようにしてもよい。
【0115】
なお、半導体チップC6の上面に絶縁膜を積層しても構わない。例えば、53に示すように、無機絶縁膜Z6を配線H6上に積層し、さらにその上に樹脂層J6´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z6としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J6´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。ここで、無機絶縁膜Z6には、電極パッドP6よりも大きな開口部が形成されていて、当該電極パッドP6の上面全面が無機絶縁膜Z6から露出している。一方、樹脂層J6´に電極パッドP6よりも小さい貫通孔K6を形成して、電極パッドP6の外周を固定するとともに、電極パッドP6の上面の一部を露出させることにより、突出電極103を介して電極パッドP6をランド電極102に接合することで、半導体チップC6´を実装基板U6上に実装することができる。
【0116】
(第15実施形態)
図54は、本発明の第15実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図、図55は図54の半導体装置の製造方法の変形例を示す図である。
図54において、半導体基板S7はチップ領域ごとに分離されている。そして、各半導体基板S7上には配線層L7が形成され、この配線層L7には、電極パッドP7が一体的に設けられた配線H7が形成されるとともに、配線H7を半導体基板S7と絶縁する層間絶縁膜が形成されている。ここで、電極パッドP7は、半導体基板S7の横にはみ出すように配置されている。
【0117】
そして、これらの分離された半導体基板S7の周囲には樹脂層J7が設けられ、半導体基板S7に固着されることで、半導体基板S7の横にはみ出した電極パッドP7が支持されるとともに、チップ領域ごとに分離された半導体基板S7が一体的に支持される。
【0118】
そして、スクライブラインB7に沿って樹脂層J7を切断することで、半導体基板S7の周囲を取り囲むように樹脂層J7が配置された半導体チップC7を切り出すことができる。この半導体チップC7において、電極パッドP7は、半導体基板S7の横にはみ出すように配置され、半導体基板S7の周囲を取り囲むように配置された樹脂層J7上に支持されている。
【0119】
また、樹脂層J7には、電極パッドP7の裏面が露出するように樹脂層J7を上下に貫通する貫通孔T7が形成されている。そして、貫通孔T7内には、導電体D7が埋め込まれている。なお、貫通孔T7の形成および導電体D7の埋め込みは、互いに分離された半導体基板S7が樹脂層J7にて一体的に支持されている状態で行うことができる。また、導電体D7の埋め込みは、例えば、導電性ペーストをノズルからドット状に吐出させるインクジェット法を用いることができる。
【0120】
そして、スクライブラインB7に沿って樹脂層J7を切断することで、半導体基板S7の周囲を取り囲むように樹脂層J7が配置された半導体チップC7を切り出すことができる。この半導体チップC7において、電極パッドP7は、半導体基板S7の横にはみ出すように配置され、半導体基板S7の周囲を取り囲むように配置された樹脂層J7上に支持されている。そして、電極パッドP7が上下に重なるように半導体チップC7を積層し、導電体D7を介して上下の電極パッドP7を電気的に接続することで、上下に積層された半導体チップC7間の電気的な接続を行うことができる。そして、突出電極103を介して最下層の半導体チップC7の電極パッドP7をランド電極102に接合することで、積層された半導体チップC7を実装基板U6上に実装することができる。
【0121】
これにより、電極パッドP7に開口部を設けることなく、上下に積層された半導体チップC7間の電気的な接続を行うことが可能となるとともに、半導体チップC7の接続時に、半導体基板S7や無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S7や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0122】
なお、半導体チップC7の上面に絶縁膜を積層しても構わない。例えば、55に示すように、無機絶縁膜Z7を配線H7上に積層し、さらにその上に樹脂層J7´を積層することが出来る。ここで、無機絶縁膜Z7としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、あるいはその積層膜などを用いることが可能であり、樹脂層J7´としては、ポリイミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、PBO(ポリベンゾオキサゾール)、エポキシ、あるいはフェノールなどを用いることが可能である。ここで、無機絶縁膜Z7には、電極パッドP7よりも大きな開口部が形成されていて、当該電極パッドP6の上面全面が無機絶縁膜XX6から露出している。一方、樹脂層J7´に電極パッドP7よりも小さい貫通孔T7´を形成して、電極パッドP7の外周を固定するとともに、電極パッドP7の上面の一部を露出させることにより、突出電極103を介して電極パッドP7をランド電極102に接合することで、半導体チップC7´を実装基板U6上に実装することができる。
【0123】
(第16実施形態)
図56は本発明の第16実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図、図57は図56の半導体装置の製造方法の変形例を示す図である。
図56において、半導体基板S8はチップ領域ごとに分離されている。そして、各半導体基板S8上には配線層L8が形成され、この配線層L8には、電極パッドP8が一体的に設けられた配線H8が形成されるとともに、配線H8を半導体基板S8と絶縁する層間絶縁膜が形成されている。ここで、電極パッドP8は、半導体基板S8の横にはみ出すように配置されている。
【0124】
そして、これらの分離された半導体基板S8上には樹脂層J8が設けられ、半導体基板S8に固着されることで、半導体基板S8の横にはみ出した電極パッドP8が支持されるとともに、チップ領域ごとに分離された半導体基板S8が一体的に支持される。
【0125】
そして、スクライブラインB8に沿って樹脂層J8を切断することで、半導体基板S8上に樹脂層J8が配置された半導体チップC8を切り出すことができる。この半導体チップC8において、樹脂層J8は、半導体基板S8の横にはみ出すように配置される。また、電極パッドP8は、半導体基板S8の横にはみ出すように配置され、半導体基板S8上に配置された樹脂層J8下に支持されている。
【0126】
一方、実装基板U7には、絶縁基板201が設けられ、絶縁基板201上にはランド電極202が形成されている。そして、樹脂層J8を実装基板U7上に接着し、ボンディングワイヤWを介して電極パッドP8をランド電極202に接続することで、半導体チップC8を実装基板U7上に実装することができる。
ここで、樹脂層J8が熱可塑性を有すれば、樹脂層J8を半導体チップC8と実装基板U7との間の接着材として用いることが出来る。
【0127】
これにより、ボンディングワイヤWを電極パッドP8に接続する際に、半導体基板S8や無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S8や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となるとともに、樹脂層J8に貫通孔を形成する必要がなくなり、工程数を削減することができる。
【0128】
なお、樹脂層J8の下に無機絶縁膜を積層しても構わない。この場合、無機絶縁膜は電極パッドP8よりも大きく開口されていて、電極パッドP8の上面全面が無機絶縁膜から露出していることが好ましい。
また、図57に示すように、半導体基板S8の裏面に樹脂膜J8´を積層しても構わない。樹脂層J8´に電極パッドP8よりも小さい貫通孔K8を形成して、電極パッドP8の外周を固定するとともに、電極パッドP8の裏面の一部を露出させる。そして、樹脂層J8を実装基板U7上に接着し、ボンディングワイヤWを介して電極パッドP8をランド電極202に接続することで、半導体チップC8を実装基板U7上に実装することができる。
さらに、貫通孔K8を形成せずに、樹脂層J8に電極パッドP8よりも小さい貫通孔を形成して、電極パッドP8の外周を固定するとともに、電極パッドP8の上面の一部を露出させることも可能である。そして、裏面の樹脂層J8´を実装基板U7上に接着し、ボンディングワイヤWを介して電極パッドP8をランド電極202に接続することで、半導体チップC8´を実装基板U7上に実装することができる。ここで、裏面の樹脂層J8´が熱可塑性を有すれば、裏面の樹脂層J8´を半導体チップC8´と実装基板U7との間の接着材として用いることが出来る。
【0129】
(第17実施形態)
図58は、本発明の第17実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す図、図59は図58の半導体装置の製造方法の変形例を示す図である。
図58において、半導体基板S9はチップ領域ごとに分離されている。そして、各半導体基板S9上には配線層L9が形成され、この配線層L9には、電極パッドP9が一体的に設けられた配線H9が形成されるとともに、配線H9を半導体基板S9と絶縁する層間絶縁膜が形成されている。ここで、電極パッドP9は、半導体基板S9の横にはみ出すように配置されている。
【0130】
そして、これらの分離された半導体基板S9上には樹脂層J9が設けられ、半導体基板S9に固着されることで、半導体基板S9の横にはみ出した電極パッドP9が支持されるとともに、チップ領域ごとに分離された半導体基板S9が一体的に支持される。
【0131】
そして、スクライブラインB9に沿って樹脂層J9を切断することで、半導体基板S9上に樹脂層J9が配置された半導体チップC9を切り出すことができる。この半導体チップC9において、樹脂層J9は、半導体基板S9の横にはみ出すように配置される。また、電極パッドP9は、半導体基板S9の横にはみ出すように配置され、半導体基板S9上に配置された樹脂層J9下に支持されている。
【0132】
また、樹脂層J9には、電極パッドP9の表面が露出するように樹脂層J9を上下に貫通する貫通孔T9が形成されている。なお、貫通孔T9の形成は、互いに分離された半導体基板S9が樹脂層J9にて一体的に支持されている状態で行うことができる。
【0133】
そして、電極パッドP9が上下に重なるように半導体チップC9を積層し、突出電極104を介して上下の電極パッドP9を電気的に接続することで、上下に積層された半導体チップC9間の電気的な接続を行うことができる。そして、突出電極103を介して最下層の半導体チップC9の電極パッドP9をランド電極102に接合することで、積層された半導体チップC9を実装基板U6上に実装することができる。
【0134】
これにより、電極パッドP9に開口部を設けることなく、上下に積層された半導体チップC9間の電気的な接続を行うことが可能となるとともに、半導体チップC9の接続時に、半導体基板S9や無機絶縁膜に応力がかかるのを抑制することができ、半導体基板S9や無機絶縁膜にクラックが発生するのを防止することが可能となる。
【0135】
なお、上記実施例において、樹脂層J9の下に無機絶縁膜を積層しても構わない。この場合、無機絶縁膜は電極パッドP9よりも大きく開口されていて、電極パッドP9の上面全面が無機絶縁膜から露出していることが好ましい。
また、図59に示すように、半導体基板S9の裏面に樹脂膜J9´を積層しても構わない。樹脂層J9´に電極パッドP9よりも小さい貫通孔K9を形成して、電極パッドP9の外周を固定するとともに、電極パッドP9の裏面の一部を露出させる。そして、電極パッドP9が上下に重なるように半導体チップC9´を積層し、突出電極104´を介して上下の電極パッドP9を電気的に接続することで、上下に積層された半導体チップC9´間の電気的な接続を行うことができる。そして、突出電極103´を介して最下層の半導体チップC9´の電極パッドP9をランド電極102に接合することで、積層された半導体チップC9´を実装基板U6上に実装することができる。ここで、裏面の樹脂層J9´が熱可塑性を有すれば、裏面の樹脂層J9´を半導体チップC9´の積層および半導体チップC9´と実装基板U6との間の接着材として用いることが出来る。
【符号の説明】
【0136】
W1 半導体ウェハ、B1、B6〜B9 スクライブライン、R1、R11、R21、R31、R41、R51 チップ領域、S1〜S9、11、41、61、81 半導体基板、P1〜P9、14、33、44、64、84 電極パッド、J1〜J9、J1´〜J9´、18、18´、20、20´、48、50、68、70、88、90 樹脂層、H1〜H9、13、32、43、63、83 配線、T1〜T3、T1´〜T3´、T5、T7、T9、A5、21、21´、24、24´、26、27、51、74、91、94、98 貫通孔、K1、K5〜K9、A5、15、54、85 開口部、C1〜C9、C1´〜C9´、C11〜C17、C31〜C34、C41〜C44、C51〜C54、C61 半導体チップ、D1、D7 導電体、M3、M4、M3´、M4´ 溝、L6〜L9 配線層、U6、U7、U11 実装基板、Z1〜Z9 無機絶縁膜、10、31、101、201 絶縁基板、102、202 ランド電極、103、104、103´、104´ 突出電極、W ボンディングワイヤ、12、42、62、82 絶縁層、17、34、47、67、87 保護膜、19a、19b、49a、49b、69a、69b、89a、89b 保護シート、22、23、52、53、55、71、73、74´、92、97、99 溝、25 導電体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線層が設けられた半導体基板と、
前記半導体基板上を避けるように配置され、前記配線層に含まれる配線と一体的に形成された電極パッドと、
前記半導体基板に固着され、前記電極パッドを支持する樹脂層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
配線層が設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の横にはみ出すように配置され、前記配線層に含まれる配線と一体的に形成された電極パッドと、
前記半導体基板の横にはみ出すように前記半導体基板に固着され、前記電極パッドを支持する樹脂層と、
前記電極パッドを上下に突き抜けるように配置され、前記樹脂層を上下に貫通する貫通孔または溝とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記樹脂層は、前記半導体基板の周囲を取り囲むように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板は前記樹脂層を介して上下に複数積層され、上下の電極パッドが電気的に互いに接続されるように前記貫通孔または前記溝に埋め込まれた導電体を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
チップ領域ごとに区画された半導体ウェハの半導体基板上に電極パッドを含む配線層を形成する工程と、
前記半導体ウェハの上面を無機絶縁膜で被覆する工程と、
前記電極パッドの上面および前記半導体ウェハのスクライブライン上に設けられた前記無機絶縁膜を除去する工程と、
前記無機絶縁膜が積層された半導体ウェハ上面を第一の樹脂層で被覆する工程と、
前記第一の樹脂層から前記電極パッドの上面の一部を露出させる開口部を形成する工程と、
前記半導体基板の裏面を選択的にエッチングすることにより、前記電極パッド下の前記半導体基板を除去するとともに、前記半導体ウェハのスクライブラインに沿って前記半導体基板をチップ領域ごとに分離する工程と、
前記配線層に含まれる前記電極パッド下の絶縁層を除去し、前記電極パッドを前記絶縁層から露出させる工程と、
前記配線層に含まれる絶縁層の、前記スクライブライン部に露出した部分を除去する工程と、
前記半導体ウェハ下面を第二の樹脂層で被覆する工程と、
前記第二の樹脂層から前記電極パッドの裏面の一部と必要に応じて前記スクライブライン部の前記第一の樹脂層の裏面を露出させる開口部を形成する工程と、
前記スクライブラインに沿って前記第一の樹脂層と必要に応じて前記第二の樹脂層とを切断する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
配線層が設けられた半導体基板と、
前記半導体基板上を避けるように配置され、前記配線層に含まれる配線と一体的に形成された電極パッドと、
前記半導体基板に固着され、前記電極パッドを支持する樹脂層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
配線層が設けられた半導体基板と、
前記半導体基板の横にはみ出すように配置され、前記配線層に含まれる配線と一体的に形成された電極パッドと、
前記半導体基板の横にはみ出すように前記半導体基板に固着され、前記電極パッドを支持する樹脂層と、
前記電極パッドを上下に突き抜けるように配置され、前記樹脂層を上下に貫通する貫通孔または溝とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記樹脂層は、前記半導体基板の周囲を取り囲むように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体基板は前記樹脂層を介して上下に複数積層され、上下の電極パッドが電気的に互いに接続されるように前記貫通孔または前記溝に埋め込まれた導電体を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
チップ領域ごとに区画された半導体ウェハの半導体基板上に電極パッドを含む配線層を形成する工程と、
前記半導体ウェハの上面を無機絶縁膜で被覆する工程と、
前記電極パッドの上面および前記半導体ウェハのスクライブライン上に設けられた前記無機絶縁膜を除去する工程と、
前記無機絶縁膜が積層された半導体ウェハ上面を第一の樹脂層で被覆する工程と、
前記第一の樹脂層から前記電極パッドの上面の一部を露出させる開口部を形成する工程と、
前記半導体基板の裏面を選択的にエッチングすることにより、前記電極パッド下の前記半導体基板を除去するとともに、前記半導体ウェハのスクライブラインに沿って前記半導体基板をチップ領域ごとに分離する工程と、
前記配線層に含まれる前記電極パッド下の絶縁層を除去し、前記電極パッドを前記絶縁層から露出させる工程と、
前記配線層に含まれる絶縁層の、前記スクライブライン部に露出した部分を除去する工程と、
前記半導体ウェハ下面を第二の樹脂層で被覆する工程と、
前記第二の樹脂層から前記電極パッドの裏面の一部と必要に応じて前記スクライブライン部の前記第一の樹脂層の裏面を露出させる開口部を形成する工程と、
前記スクライブラインに沿って前記第一の樹脂層と必要に応じて前記第二の樹脂層とを切断する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図6】
【公開番号】特開2010−212297(P2010−212297A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54012(P2009−54012)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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