説明

半導体装置の製造方法および半導体装置の検出方法

【課題】半導体装置の性能を向上させる。
【解決手段】製造されたパッケージを、トレイ11の上面19に形成されたポケット16に収納して搬送する際に、基部23と、突出部24とを含み、突出部24がポケット16内に入り込むときも、基部23がトレイ11の上面19と接触しないように配置された接触部材21を上方から接触させる。そして、パッケージ検出センサ22が検出した検出値に基づいて、ポケット16にパッケージが正常に収納されているか否かを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置の検出方法に関し、特に、半導体装置を搬送する際に、搬送される半導体装置を検出する検出工程、および、その検出工程を含む半導体装置の製造工程に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程のうち、いわゆる後工程では、半導体ウェハからのチップの切断、チップを実装したパッケージの組立および検査などが行われる。この後工程では、工程間でパッケージを搬送する際、または、半導体装置の製造工程後、製品の出荷の際に、トレイに形成された複数のポケットの各々にパッケージを収納した状態で搬送する。また、工程間の搬送および出荷の際に、トレイに形成された各々のポケットにパッケージを収納した状態で、トレイを複数枚積み重ねて搬送または出荷することがある。さらに、各工程内で使用される装置(例えば検査装置)では、ポケットにパッケージが収納された状態で複数枚積み重ねられたトレイが搬送されてきた後、そのトレイを1枚ごとに切り出し、切り出されたトレイからパッケージを取り出してその工程の作業を行うことがある。
【0003】
このような工程間もしくは工程後におけるパッケージの搬送の際、または、工程内における装置の使用の際に、パッケージがポケット内に正常に収納されていない場合には、トレイを複数枚積み重ねる際、または、装置内でトレイからパッケージを取り出す際に、パッケージに損傷を与え、半導体装置の性能を低下させる原因となる。そこで、パッケージの収納状態が正常か否かを検出する検出工程が行われる。このような検出工程として、例えば以下のような技術が知られている。
【0004】
特開平11−106047号公報(特許文献1)には、パレット表面を基準とした高さ方向の変位量を検出する反射式変位センサと、パレット内に半導体製品を収納するポケットと一対に設けられた位置決めマークを検出する位置決めセンサとを備えた検出装置により、位置決めマーク検出と同期してポケット位置における変位量を検出する技術が記載されている。
【0005】
特開2003−167020号公報(特許文献2)には、収納トレイの収納ポケットに収納された部品の浮きの有無を検出する際に、各収納ポケットにおいて光軸が交差するように複数の光電センサを配置し、各収納ポケットについて、少なくとも2方向から部品の浮きの有無を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−106047号公報
【特許文献2】特開2003−167020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者の検討によれば、次のことが分かった。
【0008】
パッケージを収納するトレイには、製造時に、または製造後の経年変化により、反りまたは歪みが発生することがある。本発明者による調査の結果、従来技術では、反りまたは歪みによるトレイの上面の高さ位置の変位量が、パッケージの高さ位置の変位量よりも大きいときは、パッケージの高さ位置の変位量を検出できないことが分かった。したがって、パッケージの高さ位置の変位量がそれほど大きくない場合については、パッケージの高さ位置の変位量を、反りや歪みによるトレイの上面の高さ位置の変位量と区別して検出することができない。
【0009】
また、パッケージの高さ位置の変位量がトレイごとに等しい場合でも、パッケージの最上点の高さ位置とトレイの上面の最上点の高さ位置との位置関係がトレイごとに異なるため、トレイごとに収納状態の検出結果が異なる。そのため、本来検出すべき収納状態の不良を検出できず、搬送工程およびその後の各工程において、パッケージが損傷を受けるなど、半導体装置の性能が低下するおそれがある。
【0010】
本発明の目的は、半導体装置の性能を向上させることができる技術を提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、パッケージを製造した後、製造されたパッケージを、トレイの上面に形成されたポケットに収納して搬送する際に、基部と、突出部とを含み、突出部がポケット内に入り込むときも、基部がトレイの上面と接触しないように配置された接触部材を上方から接触させ、ポケットにパッケージが正常に収納されているか否かを検出する。
【0014】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の検出方法は、パッケージを、トレイの上面に形成されたポケットに収納して搬送する際に、基部と、突出部とを含み、突出部がポケット内に入り込むときも、基部がトレイの上面と接触しないように配置された接触部材を上方から接触させ、ポケットにパッケージが正常に収納されているか否かを検出する。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0016】
代表的な実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1の検出装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】実施の形態1の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む側面図である。
【図3】実施の形態1の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む正面図である。
【図4】トレイの構成を模式的に示す斜視図である。
【図5】パッケージの構成を模式的に示す斜視図である。
【図6】実施の形態1の検出工程中の検出装置の状態を、パッケージ検出センサの波形とともに示す側面図である。
【図7】実施の形態1の半導体装置の製造工程で製造される半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図8】実施の形態1の半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。
【図9】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図10】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図11】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図12】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図13】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図14】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図15】実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図16】比較例1の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む正面図である。
【図17】比較例2の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む正面図である。
【図18】比較例2の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む側面図である。
【図19】比較例3の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む正面図である。
【図20】比較例3の検出装置が検出するパッケージ上面の高さ位置の変位量を、実施の形態1の検出装置が検出するパッケージ上面の高さ位置の変位量と比較して模式的に示す図である。
【図21】実施の形態1の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む正面図である。
【図22】実施の形態2の検出工程中の検出装置の状態を、パッケージ検出センサの波形とともに示す側面図である。
【図23】実施の形態3の検出装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【図24】実施の形態3の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む正面図である。
【図25】トレイの構成を模式的に示す斜視図である。
【図26】実施の形態3の検出工程中の検出装置の状態を、ポケットマーク検出センサの波形とともに示す平面図である。
【図27】実施の形態3の検出工程中の検出装置の状態を、ポケットマーク検出センサの波形およびパッケージ検出センサの波形とともに示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0020】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0021】
(実施の形態1)
<半導体装置の検出工程>
本発明の一実施の形態である半導体装置の検出工程を、図面を参照して説明する。本実施の形態の半導体装置の検出工程は、半導体装置を収納したトレイを搬送する搬送工程において、半導体装置の収納状態を検出装置により検出する工程である。
【0022】
なお、以下では、トレイが搬送される搬送路上に検出装置が設けられており、トレイが搬送される搬送工程において半導体装置(パッケージ)の収納状態を検出する検出工程について説明する。しかしながら、各製造工程を行う装置内に検出装置が組み込まれており、各装置内における工程を行う前または行った後、半導体装置(パッケージ)の収納状態を検出する検出工程であってもよい。
【0023】
図1は、実施の形態1の検出装置の構成を模式的に示す斜視図である。図2は、実施の形態1の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む側面図である。図3は、実施の形態1の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む正面図である。図4は、トレイの構成を模式的に示す斜視図である。図5は、パッケージの構成を模式的に示す斜視図である。
【0024】
搬送装置10は、半導体装置(パッケージ)を搬送する搬送容器であるトレイ11を搬送するためのものである。搬送装置10は、トレイ11が搬送される搬送路12を搬送方向CD上流側に向かって左右両側から規定するガイドレール12a、12b、ガイドレール12a、12bに沿って移動可能に設けられたスライダ13、および、ガイドレール12a、12bに沿ってスライダ13を移動駆動する駆動機構14を有する。また、ガイドレール12a、12bにより規定された搬送路12には、後述する検出装置20が設けられている。
【0025】
なお、図1の斜視図では、図面を見易くするために、左右両側のガイドレール12a、12bのうち一方(ガイドレール12a)のみを図示し、他方(ガイドレール12b)の図示を省略している。
【0026】
また、以下では、スライダ13による搬送方法を例示して説明するが、本発明は、スライダ13による搬送方法以外の搬送方法、例えばコロ搬送またはベルト搬送による搬送方法にも適用可能である。また、以下では、トレイ11が直接スライダ13に保持される場合を例示して説明するが、本発明は、トレイ(第1のトレイ)が別のトレイ(第2のトレイ)に保持され、第1のトレイを保持した第2のトレイがスライダ13に保持される場合にも適用可能である。
【0027】
スライダ13の中心部には、上面から下面にかけて貫通する開口部15が形成されており、開口部15の上面側には、段差部15aが形成されている。この開口部15にトレイ11が落とし込まれ、落とし込まれたトレイ11が段差部15aにより保持されることで、トレイ11がスライダ13に保持される。
【0028】
図4に示されるように、トレイ11には、半導体装置であるパッケージ30(図2参照)を収納するためのポケット16が設けられている。ポケット16は、トレイ11の上面19に形成された凹部からなる。トレイ11には、複数のポケット16が搬送方向CDに沿って配列してなるポケット列17が、搬送方向CDを水平に横切る方向に沿って複数列形成されている。図4では、ポケット列17が水平面内で搬送方向CDと直交する方向に沿って2列形成された例を示す。
【0029】
図5に示されるように、パッケージ30は、例えばQFP(Quad Flat Package)である。パッケージ30は、直方体の形状をした樹脂(封止体)31で覆われており、この樹脂31の四側面からリード32が突出している。リード32は、L字型に曲げられた構造をしている。なお、パッケージ30の詳細な構造については、半導体装置の製造の工程の説明中において、後述する。
【0030】
検出装置20は、接触部材21およびパッケージ検出センサ(第1の検出部)22を有する。接触部材21は、搬送路12に上下動可能に設けられており、搬送路12に沿って搬送されているトレイ11に上方から接触するように設けられている。すなわち、接触部材21は、例えば接触部材21の自重により、トレイ11の上面19の凹凸形状に追従するように上下動する。パッケージ検出センサ22は、搬送路12に沿って搬送されているトレイ11に接触する接触部材21の高さ位置を検出する。
【0031】
接触部材21は、基部23と、基部23から下方に突出した突出部24とを含み、突出部24は、接触部材21が下方に移動したときに突出部24の最下点がポケット16内に入り込めるように配置されている。そして、基部23と突出部24とは、突出部24の最下点がポケット16内に入り込むときも、基部23の最下点がトレイ11の上面19と接触しないように配置されている。
【0032】
具体的には、図3に示されるように、水平面内で搬送方向を横切る方向に沿った、突出部24の幅寸法W1を、水平面内で搬送方向に横切る方向に沿った、ポケット16の幅寸法W2よりも小さくする。これにより、接触部材21が下方に移動したときに突出部24の最下点がポケット16内に入り込める。また、突出部24が最も下方に移動しているとき、すなわち、突出部24の最下点がポケット16の底面18に接触しているときも、基部23の最下点の高さ位置HBがトレイ11の上面19の高さ位置H1よりも高くなるようにする。これにより、ポケット16に収納されているパッケージ30の最上点の高さ位置を直接検出することができるため、トレイ11に反りまたは歪みが発生した場合でも、パッケージ30の収納状態を精度良く検出することができる。
【0033】
なお、図21を用いて後述するように、突出部24がポケット16の底面18に接触しているときの基部23の最下点の高さ位置HBが、トレイ11に反りまたは歪みが発生し、湾曲したトレイ11の上面19の最上点の高さ位置H1´よりも高くなるように配置することが好ましい。
【0034】
検出装置20は、上下動可能であればよいが、必ずしもトレイ11の上面19に垂直な方向に移動するものに限られない。したがって、図2に示されるように、搬送路12を搬送されているトレイ11またはポケット16に収納されているパッケージ30に突出部24が接触する位置CPよりも搬送方向CD上流側かつ上方の位置で、搬送方向CDを水平に横切る軸を回転軸25として回動可能に設けられていることが好ましい。トレイ11またはパッケージ30に突出部24が接触する位置CPよりも搬送方向CD下流側かつ上方の位置に回転軸25があると、摩擦力により突出部24がパッケージ30に押し付けられ、パッケージ30に損傷を与えるおそれがある。一方、トレイ11またはパッケージ30に突出部24が接触する位置CPよりも搬送方向CD上流側かつ上方の位置に回転軸25があると、摩擦力により突出部24がパッケージ30に押し付けられることを防止でき、パッケージ30に損傷を与えることを防止できる。
【0035】
さらに、突出部24の下面が下に凸の曲面であることが好ましい。これにより、突出部24とパッケージ30の上面との間の摩擦力を小さくすることができ、パッケージ30に損傷を与えることを防止できる。
【0036】
接触部材21には、接触部材21の上下動と連動して移動可能な遮光板26が設けられていることが好ましく、かつ、パッケージ検出センサ22として、発光素子27と、受光素子28とからなる透過センサであることが好ましい。このとき、遮光板26は、接触部材21の上下動と連動して発光素子27と受光素子28との間を遮光するように移動するものとする。これにより、接触部材21の高さ位置の変位量に応じて遮光板26が発光素子27からの光の一部を遮光する光量が変化し、受光素子28が受光する光量が変化することで、接触部材21の高さ位置の変位量を検出することができる。発光素子27としてLED(Light Emission Diode)などを用いることができ、受光素子28として例えばリニアイメージセンサを用いることができる。
【0037】
なお、図3の正面図では、図面を見易くするために、パッケージ検出センサ22、遮光板26、発光素子27、受光素子28の図示を省略している。
【0038】
また、パッケージ検出センサ22として、受光量が、基準値よりも大きいときはON値を出力し、基準値よりも小さいときはOFF値を出力するか、あるいは、受光量が、基準値よりも小さいときはON値を出力し、基準値よりも大きいときはOFF値を出力するような、出力信号を2値で出力可能なものが好ましい。このようなパッケージ検出センサ22によれば、基準値を適切に設定することで、パッケージの収納状態を精度よく検出することができる。
【0039】
図1に示す例では、遮光板26と接触部材21とは一体で回転軸25を中心として回動可能に設けられている。回転軸25に平行な方向に沿って遮光板26を挟むように、LED(発光素子)27およびリニアイメージセンサ(受光素子)28が設けられている。LED(発光素子)27およびリニアイメージセンサ(受光素子)28は、接触部材21に連動して回動する遮光板26の移動に伴って受光量の変化が最大となるように配置されている。
【0040】
なお、基部23、突出部24、遮光板26を含め、接触部材21は、例えばステンレス(SUS)などの金属板からなるものとすることができる。
【0041】
次に、実施の形態1の検出工程について説明する。
【0042】
図6は、実施の形態1の検出工程中の検出装置の状態を、パッケージ検出センサの波形(パッケージ検出センサ波形)とともに示す側面図である。
【0043】
まず、ポケット16が上面19に形成されたトレイ11を準備し、準備したトレイ11のポケット16にパッケージ30を収納する。次に、ポケット16にパッケージ30が収納されたトレイ11を、スライダ13の段差部15aに保持する。次に、段差部15aにトレイ11が保持されたスライダ13を駆動機構14(図1参照)により移動駆動することで、パッケージ30が収納されたトレイ11を搬送方向CDに沿って搬送する。トレイ11を搬送する際、接触部材21の突出部24を、搬送されているトレイ11に上方から接触させる。そして、突出部24によりトレイ11に上方から接触している接触部材21の高さ位置をパッケージ検出センサ22により検出し、パッケージ検出センサ22が検出した検出値(出力信号)に基づいて、搬送されているトレイ11のポケット16にパッケージ30が正常に収納されているか否かを検出する。
【0044】
ここで、図6に示すように、トレイ11において、ポケット16aにはパッケージ30が正常に収納されており、ポケット16bにはパッケージ30が収納されておらず、ポケット16cには、パッケージ30が収納されているものの、収納状態が正常でないものとする。
【0045】
なお、図6では、搬送方向CDに沿って、ポケット16aの前方側(搬送方向CD下流側)のトレイ11の上面19の領域をA1とし、ポケット16aの領域をA2とし、ポケット16aの後方側(搬送方向CD上流側)であってポケット16bの前方側のトレイ11の上面19の領域をA3とする。また、ポケット16bの領域をA4とし、ポケット16bの後方側であってポケット16cの前方側のトレイ11の上面19の領域をA5とする。また、ポケット16cの領域をA6とし、ポケット16cの後方側のトレイ11の上面19の領域をA7とする。また、パッケージ検出センサ22の波形(パッケージ検出センサ波形)について、A1〜A7の領域のそれぞれが突出部24の下方を通過する期間、すなわち、突出部24がA1〜A7の領域上に位置する期間を、それぞれP1〜P7とする。
【0046】
本実施の形態では、例えば、トレイ11の上面19の高さ位置H1よりも低く、かつ、正常に収納されているパッケージ30の上面の高さ位置H2よりも高い、基準高さ位置SH1が、予め設定されている。そして、パッケージ検出センサ22は、突出部24の最下点の高さ位置が基準高さ位置SH1よりも高いときは、パッケージ検出センサ22の出力がON値になり、突出部24の最下点の高さ位置が基準高さ位置SH1よりも低いときは、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になるように、設定されている。
【0047】
ポケット16aが突出部24の下方を通過する際は、突出部24がトレイ11の上面19である領域A1、A3に接触する期間、すなわち、図6の波形におけるP1、P3の期間では、トレイ11の上面19の高さ位置H1が基準高さ位置SH1よりも高いため、パッケージ検出センサ22の出力がON値になる。一方、突出部24の最下点がポケット16a内に入り込み、ポケット16aに収納されているパッケージ30の上面に接触する期間、すなわち、図6の波形におけるP2の期間では、パッケージ30の上面の高さ位置H2が基準高さ位置SH1よりも低いため、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になる。
【0048】
次いで、ポケット16bが突出部24の下方を通過する際は、突出部24がトレイ11の上面19である領域A3、A5に接触する期間、すなわち、図6の波形におけるP3、P5の期間では、トレイ11の上面19の高さ位置H1が基準高さ位置SH1よりも高いため、パッケージ検出センサ22の出力がON値になる。一方、突出部24の最下点がポケット16b内に入り込み、パッケージ30が収納されていないポケット16bの底面18に接触する期間、すなわち、図6の波形におけるP4の期間では、ポケット16bの底面18の高さ位置が基準高さ位置SH1よりも低いため、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になる。
【0049】
次いで、ポケット16cが突出部24の下方を通過する際は、突出部24がトレイ11の上面19である領域A5、A7に接触する期間、すなわち、図6の波形におけるP5、P7の期間では、トレイ11の上面19の高さ位置H1が基準高さ位置SH1よりも高いため、パッケージ検出センサ22の出力がON値になる。また、突出部24の最下点がポケット16c内に入り込み、正常に収納されていないパッケージ30の上面に接触する期間、すなわち、図6の波形におけるP6の期間のうち、パッケージ30の上面の高さ位置が基準高さ位置SH1よりも低いP6−1の期間では、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になる。一方、図6の波形におけるP6の期間のうち、パッケージ30の上面の高さ位置が基準高さ位置SH1よりも高いP6−2の期間では、パッケージ検出センサ22の出力がON値になる。
【0050】
このように、高さ位置H1よりも低く、高さ位置H2よりも高い基準高さ位置SH1を設定しておくことで、パッケージ30の収納状態が正常でないポケット16cを、パッケージ30が正常に収納されているポケット16a、および、パッケージ30が収納されていないポケット16bから、区別して検出することができる。
【0051】
また、パッケージ検出センサ22の出力が周期的にON値になる期間(図6の波形におけるP1、P3、P5、P7の期間)では、突出部24がトレイ11の上面19に接触していることを検出することができる。そして、パッケージ検出センサ22の出力が周期的にON値になる期間以外の期間(図6の波形におけるP2、P4、P6の期間)では、突出部24の最下点がポケット16内に入り込んでいることを検出することができる。つまり、パッケージ検出センサ22の出力により、トレイ11の上面19のうち、ポケット16が形成されている部分が突出部24の下方を通過している時点、すなわち、突出部24がポケット16上に位置する時点を検出することができる。
【0052】
なお、スライダ13であって、トレイ11の搬送方向CD下流側または上流側の部分AS1、AS2が、突出部24の下方を通過する期間、すなわち、図6の波形におけるPS1、PS2の期間において、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になるように、基準高さ位置SH1は、スライダ13の上面の高さ位置H3よりも高く設定されている。
【0053】
<半導体装置の製造工程>
次に、前述の検出工程を含む本実施の形態の半導体装置の製造工程を、図面を参照して説明する。図7は、実施の形態1の半導体装置の製造工程で製造される半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。図8は、実施の形態1の半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。図9〜図15は、実施の形態1の半導体装置の製造工程中の断面図である。なお、図5のA−A線の断面が、図7および図13〜図15に対応する。
【0054】
本実施の形態の製造工程で製造される半導体装置は、一例として、以下に説明するように構成されている。
【0055】
図7に示されるように、半導体装置であるパッケージ30は、チップ(半導体チップ)33を有する。チップ33は、金属の薄板であるタブ32a上にダイボンド剤を介して接合されている。チップ33は、例えば主面33aが上方に向けて搭載され、例えば裏面33bがダイボンド剤を介してタブ32aと接合されている。チップ33の表面電極である複数のパッド33cの各々は、タブ32aの周囲に配置された複数のインナリード32bの各々と、ワイヤ34によって電気的に接続されている。また、チップ33、複数のワイヤ34、タブ32aおよび複数のインナリード32bは、封止用樹脂を硬化させて形成した封止体31によって覆われることで、樹脂封止されている。さらに、各インナリード32bと一体で繋がった複数の外部端子であるアウタリード32cは、封止体31の側面から外部に突出しており、これらアウタリード32cは曲げ成形されている。
【0056】
チップ33として、図11を用いて後述するように、例えばMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの回路素子や配線が形成されたものを用いることができる。また、チップ33として、例えばメモリチップやマイコンチップを用いることができ、メモリチップとして、例えば、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)を用いることができる。ただし、チップ33の種類は、特に限定されるものではなく、MISFET以外のダイオード等の各種の回路素子が形成されたものでもよく、SDRAM以外の各種のメモリチップであってもよく、また、メモリチップおよびマイコンチップ以外の各種の半導体チップであってもよい。
【0057】
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、以下のように行うことができる。
【0058】
予め、上記した各種のチップ(半導体チップ)33が形成された半導体ウェハ36を準備する(図8のステップS1)。以下では、ステップS1として、nチャネル型のMISFETと、pチャネル型のMISFETが形成された半導体ウェハ36を準備する例について説明する。
【0059】
まず、半導体基板41の主面(表面)に素子分離溝42を形成し、素子分離溝42の内部に素子分離膜43を形成する。次に、素子分離膜43により分離されたn型MISFET形成領域44Aおよびp型MISFET形成領域44Bに、p型不純物(例えば、ホウ素など)を含有するp型ウェル領域PW、およびn型不純物(例えば、リンやヒ素など)を含有するn型ウェル領域NWを形成する(図9)。
【0060】
次に、n型MISFET形成領域44Aおよびp型MISFET形成領域44Bに、パターニングされたゲート電極GEおよびゲート絶縁膜GIを形成する。この際、ゲート電極GEの側壁上に、側壁絶縁膜として、例えば酸化シリコン膜などからなるサイドウォールスペーサSWを形成してもよい。そして、n型MISFET形成領域44Aのソース・ドレイン領域SDにリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入し、p型MISFET形成領域44Bのソース・ドレイン領域SDにホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入する。このような工程を行うことにより、n型MISFET形成領域44Aにおいて、nチャネル型のMISFETQ1が形成され、p型MISFET形成領域44Bにおいて、pチャネル型のMISFETQ2が形成される(図10)。この際、ソース・ドレイン領域SDに隣接してエクステンション領域EXを形成してもよい。
【0061】
次に、半導体基板41の主面(表面)全面上に層間絶縁膜45を形成し、層間絶縁膜45にコンタクトホールCNTを形成し、コンタクトホールCNT中にプラグPGを形成する。そして、さらにその上に絶縁膜46を形成し、絶縁膜46に配線溝を形成し、配線溝に配線M1を形成する(図11)。このような工程を行うことにより、例えばnチャネル型のMISFETQ1と、pチャネル型のMISFETQ2と配線M1が形成された半導体チップが多数形成された半導体ウェハ36を準備することができる。
【0062】
次に、半導体ウェハ36のダイシングを行う(図8のステップS2)。このステップS2では、図12に示されるように、半導体ウェハ36をダイシングライン37に沿って切断して個々のチップ(半導体チップ)33に個片化する。その際、ダイシングは、ダイシングテープ38が貼り付けられたウェハリング39内に半導体ウェハ36が固定された状態で行われる。したがって、ダイシングによる半導体ウェハ36の個片化が終了した後も、各チップ33はダイシングテープ38上に固定された状態となっている。
【0063】
次に、ダイボンディングを行う(図8のステップS3)。このステップS3では、図13に示されるように、個片化によって形成されたチップ33を、図12に示す状態の半導体ウェハ36からピックアップし、ピックアップしたチップ33をタブ32a上に移送し、移送したチップ33をタブ32a上に搭載する。その際、チップ33の主面33aが上方を向くようにタブ32a上に搭載し、裏面33bを、ダイボンド剤を介してタブ32aと接合する。このステップS3については、1枚の半導体ウェハ36から個片化によって形成されたチップ33全てに対してのピックアップが終了するまで繰り返す。
【0064】
次に、ワイヤボンディングを行う(図8のステップS4)。このステップS4では、図14に示されるように、チップ33の複数のパッド33cの各々を、複数のインナリード32bの各々と、ワイヤ34によって電気的に接続する。なお、チップ33が図11を用いて説明したMISFETからなるときは、パッド33cは、例えばチップ33の配線M1に電気的に接続されている。
【0065】
次に、樹脂モールドを行う(図8のステップS5)。このステップS5では、図15に示されるように、チップ33、複数のワイヤ34、タブ32aおよび複数のインナリード32bを、封止用樹脂からなる封止体31によって覆う樹脂封止を実施する。
【0066】
次に、メッキ(図8のステップS6)を行い、その後、マーク(図8のステップS7)を行う。ステップS6では、封止体31から露出する複数のアウタリード32cに外装めっきを被覆する。また、ステップS7では、封止体31の表面に所望のマークを付す。
【0067】
次に、リード切断・成形を行う(図8のステップS8)。このステップS8では、アウタリード32cを個々に切断するとともに、アウタリード32cを曲げ成形することによって、図7を用いて説明したような、パッケージ(半導体装置)30が製造される。
【0068】
その後、テスティングを行う(図8のステップS9)。このステップS9では、パッケージ(半導体装置)30の電気的特性検査(最終検査)を実施する。例えば、タブ32a上に搭載されたチップ33の導通状態を確認するための検査を行う。
【0069】
本実施の形態では、ステップS8の工程まで製造されたパッケージ(半導体装置)30を、前述したトレイ11のポケット16に収納し、パッケージ(半導体装置)30が収納されたトレイ11を、ステップS9を行う検査装置(図示せず)へ搬送する搬送工程において、前述した半導体装置の検出工程を行うことができる。
【0070】
その後、スキャナ(最終外観)を行う(図8のステップS10)。このステップS10では、パッケージ(半導体装置)30の最終の外観検査を行う。
【0071】
本実施の形態では、ステップS9の工程まで製造されたパッケージ(半導体装置)30が収納されたトレイ11を、ステップS10を行う検査装置(図示せず)へ搬送する搬送工程において、前述した半導体装置の検出工程を行うことができる。
【0072】
その後、製品出荷を行う(図8のステップS11)。このステップS11では、ステップS10の工程まで製造されたパッケージ(半導体装置)30が収納されたトレイ11を搬送する搬送工程において、前述した半導体装置の検出工程を行うことができる。
【0073】
<パッケージの収納状態の検出に与えるトレイの反りの影響について>
図16は、比較例1の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む正面図である。比較例1の検出装置は、実施の形態1の検出装置における接触部材とパッケージ検出センサに代え、トレイの上方の領域を挟んで対向するように設けられた発光素子と受光素子からなる検出センサが設けられたものである。
【0074】
図16において、搬送装置10、トレイ11、搬送路12、ガイドレール12a、12b、スライダ13、駆動機構14、開口部15、段差部15a、ポケット16、底面18、上面19、パッケージ30の各部材または各部分は、実施の形態1で同一の符号を付して説明した各部材または各部分と同一である。
【0075】
一方、比較例1では、実施の形態1の検出装置20(図1参照)に代え、検出センサ122が設けられている。図16に示されるように、検出センサ122は、発光部127と受光部128とからなり、搬送方向を水平に横切る方向に沿って、トレイ11の上方の領域を挟んで対向するように設けられている。発光部127は、水平方向に沿って直進する光、例えば赤外レーザ光を発光する発光素子が、上下方向に沿って複数配列されたものである。受光部128は、それぞれが、複数の発光素子の各々とトレイ11の上方の空間を挟んで対向するように設けられた受光素子が、上下方向に沿って配列されたものである。
【0076】
比較例1では、トレイ11が検出センサ122の下方を通過する際に、発光部127からの光を受光部128の受光素子により受光した光量の合計、または、発光部127からの光を受光した受光素子のうち最も低い位置の受光素子の位置に応じて、検出センサ122が検出信号を出力するように設定されている。
【0077】
図17は、比較例2の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む正面図である。図18は、比較例2の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む側面図である。比較例2の検出装置では、実施の形態1の検出装置における接触部材に代え、トレイの上面全面に接触する接触部材が設けられている。
【0078】
図17および図18において、搬送装置10、トレイ11、搬送路12、ガイドレール12a、12b、スライダ13、駆動機構14、開口部15、段差部15a、ポケット16、底面18、上面19、パッケージ30の各部材または各部分は、実施の形態1で同一の符号を付して説明した各部材または各部分と同一である。
【0079】
また、比較例2の検出装置220は、接触部材221およびパッケージ検出センサ222を有する。パッケージ検出センサ222は、実施の形態1で説明したパッケージ検出センサ22と同様のものとする。接触部材221は、トレイ11の搬送方向CDを水平に横切る軸を回転軸225として回動可能に設けられている。しかし、接触部材221は、水平面内で搬送方向を横切る方向に沿っていずれの位置においても、接触部材221の最下点の高さ位置が等しくなるように設けられている。そのため、接触部材221の最下点が、ポケット16内に入り込むことはできない。また、実施の形態1と同様に、遮光板226が、接触部材221とともに回転軸225を中心として回動可能に設けられており、遮光板226がパッケージ検出センサ222を遮光することによる光量の変化により、接触部材221の高さ位置の変位量を検出する。
【0080】
比較例2では、実施の形態1と同様に、トレイ11が接触部材221の下方を通過する際の接触部材221の高さ位置に応じて、検出装置220が検出信号を出力するように設定されている。
【0081】
図19は、比較例3の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む正面図である。図20は、比較例3の検出装置が検出するパッケージ上面の高さ位置の変位量を、実施の形態1の検出装置が検出するパッケージ上面の高さ位置の変位量と比較して模式的に示す図である。比較例3の検出装置では、実施の形態1の検出装置における接触部材とパッケージ検出センサに代え、反射式変位センサが設けられている。
【0082】
図19において、搬送装置10、トレイ11、搬送路12、ガイドレール12a、12b、スライダ13、駆動機構14、開口部15、段差部15a、ポケット16、底面18、上面19、パッケージ30の各部材または各部分は、実施の形態1で同一の符号を付して説明した各部材または各部分と同一である。
【0083】
一方、比較例3では、実施の形態1の検出装置20(図1参照)に代え、反射式変位センサ322が設けられている。図19に示されるように、反射式変位センサ322は、発光素子327、受光素子328からなる。発光素子327は、下方に向けて光、例えば赤外レーザ光を発光する。受光素子328は、発光素子327からの光が被検出物に反射された反射光を受光する。被検出物の高さ位置の変位量に応じた反射光の入射角の変化に伴って、受光素子328の受光位置または受光量が変わることを利用して、被検出物の高さ位置の変位量を検出する。
【0084】
比較例3では、トレイ11が反射式変位センサ322の下方を通過する際に、反射式変位センサ322が検出した高さ位置に応じて、反射式変位センサ322が検出信号を出力するように設定されている。
【0085】
しかし、比較例1から比較例3のうちいずれの検出装置においても、パッケージ30を収納するトレイ11には、前述したように、反りまたは歪みが発生することがある。本発明者の解析によると、図16、図17および図19に示されるように、反りまたは歪みにより湾曲したトレイ11の上面19の最上点の高さ位置H1´が、ポケット16に収納されているものの、収納状態が正常でないパッケージ30の最上点の高さ位置HP1よりも高くなった場合には、パッケージ30の収納状態の不良を検出できないことが分かった。さらに、反りまたは歪みにより湾曲したトレイ11の上面19の最上点の高さ位置H1´が、予め設定された基準高さ位置を超えた場合には、パッケージ30の収納状態にかかわらず検出信号が出力されるため、パッケージ30の収納状態の不良を検出できないことが分かった。
【0086】
図20に示されるように、例えば、収納状態が正常であるパッケージ30aの上面の高さ位置(正常な高さ位置)HP0(図6を用いて前述したH2に等しい)に対し、収納状態が正常でないパッケージ30の上面の最上点の高さ位置がHP1である場合を考える。比較例3では、パッケージ30の上面の特定の部分、例えば中央部に光を照射するため、収納状態が正常であるパッケージ30aの上面の高さ位置HP0に対し、パッケージ30の上面の特定の部分、例えば中央部の高さ位置HP2を検出することしかできない。したがって、比較例3では、反射式変位センサ322により検出された高さ位置HP2の正常な高さ位置HP0に対する変位量(HP2−HP0)は、パッケージ30の上面の最上点の高さ位置HP1の正常な高さ位置HP0に対する変位量(HP1−HP0)よりも小さく、パッケージ30の上面の高さ位置の変位量を、精度よく検出することができない。
【0087】
さらに、比較例3では、反射式変位センサ322を用いるため、パッケージ30の表面状態の差異、例えば樹脂封止の際に使用したモールド金型の差異、パッケージ30の表面の汚れの有無、パッケージ30表面におけるマーク印字の有無などにより、パッケージ30の上面の高さ位置が誤って検出されるおそれがある。
【0088】
さらに、トレイ11に発生する反り量または歪み量は、トレイ11ごとに異なため、パッケージ30の最上点の高さ位置HP1と湾曲したトレイ11の上面19の最上点の高さ位置H1´(図16、図17、図19参照)との位置関係がトレイ11ごとに異なる。そのため、比較例1から比較例3の検出装置では、パッケージ30の高さ位置のポケット16の底面18の高さ位置に対する変位量が等しくても、パッケージ30の収納状態の検出結果がトレイ11ごとに異なることが分かった。
【0089】
このように、比較例1から比較例3のうちいずれにおいても、反りまたは歪みによりトレイ11が湾曲している場合には、本来検出されるべき収納状態の不良が検出されないことがある。したがって、ポケット16に正常に収納されていないパッケージ30が、搬送工程およびその後の各工程において、他の部材との接触、またはトレイ11からの落下などにより損傷を受けることで、半導体装置の性能が低下するおそれがある。
【0090】
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
図21は、実施の形態1の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む正面図である。なお、図21では、トレイに反りまたは歪みが発生している場合について示す。
【0091】
図1から図3を用いて説明したように、本実施の形態では、接触部材21は、接触部材21が下方に移動したときに突出部24の最下点がポケット16内に入り込めるように配置されており、突出部24の最下点がポケット16内に入り込むときも、基部23の最下点がトレイ11の上面19と接触しないように配置されている。これにより、トレイ11に反りまたは歪みが発生した場合でも、パッケージ30の収納状態を精度良く検出することができる。
【0092】
また、図21に示されるように、突出部24の最下点がポケット16内に入り込む際の基部23の最下点の高さ位置HBが、トレイ11に反りまたは歪みが発生し、湾曲したトレイ11の上面19の最上点の高さ位置H1´よりも高くなるようにする。これにより、トレイ11に反りまたは歪みが発生し、トレイ11が湾曲し、反りまたは歪みにより湾曲したトレイ11の上面19の最上点における高さ位置H1´が、収納状態が正常でないパッケージ30のうち最上点における高さ位置HP1よりも高くなった場合でも、パッケージ30が正常に収納されていないことを検出できる。
【0093】
比較例3では、反射式変位センサ322により検出された高さ位置HP2の正常な高さ位置HP0に対する変位量(HP2−HP0)は、パッケージ30の上面の最上点の高さ位置HP1の正常な高さ位置HP0に対する変位量(HP1−HP0)よりも小さく、パッケージ30の上面の高さ位置の変位量を、精度よく検出することができない。一方、実施の形態1の検出装置では、パッケージ30の上面の最上点の高さ位置HP1の正常な高さ位置HP0に対する変位量(HP1−HP0)を検出することができる。比較例3で反射式変位センサ322がパッケージ30の上面の中央部で高さ位置HP2を検出するものである場合、変位量(HP1−HP0)は、変位量(HP2−HP0)の2倍になる。従って、実施の形態1によれば、パッケージ30の上面の高さ位置の変位量を、従来よりも精度よく検出することができる。
【0094】
また、実施の形態1では、反射式変位センサ322を用いる比較例3に比べ、パッケージ30の表面状態の差異、例えば樹脂封止の際に使用したモールド金型の差異、パッケージ30の表面の汚れの有無、パッケージ30表面におけるマーク印字の有無などにより、パッケージ30の上面の高さ位置が誤って検出されることを防止できる。
【0095】
さらに、トレイ11に発生する反り量または歪み量は、トレイ11ごとに異なるため、パッケージ30の最上点の高さ位置HP1と湾曲したトレイ11の上面19の最上点の高さ位置H1´(図16、図17、図19参照)との位置関係がトレイ11ごとに異なる。しかし、本実施の形態では、突出部24の最下点がポケット16内に入り込めるように配置されており、ポケット16に収納されているパッケージ30の最上点の高さ位置HP1を直接検出することができるため、反りまたは歪みにより湾曲したトレイ11の上面19の最上点における高さ位置H1´が、トレイ11ごとに異なる場合でも、パッケージ30の収納状態を精度良く検出することができる。
【0096】
このように、本実施の形態によれば、反りまたは歪みによりトレイ11が湾曲している場合でも、本来検出されるべきパッケージ30の収納状態の不良が検出されないことを防止することができる。したがって、ポケット16に正常に収納されていないパッケージ30が、搬送工程およびその後の各工程において、他の部材との接触、またはトレイ11からの落下などにより損傷を受けることを防止することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0097】
(実施の形態2)
実施の形態1では、パッケージの収納状態が正常でないポケットを、パッケージが正常に収納されているポケット、および、パッケージが収納されていないポケットから、区別して検出した。それに対して、実施の形態2では、パッケージが収納されていないポケットを、パッケージが正常に収納されているポケットから、区別して検出する。
【0098】
本実施の形態では、実施の形態1の検出装置と同様の検出装置20を用いることができるため、検出装置20についての説明を省略する。
【0099】
次に、実施の形態2の検出工程について説明する。
【0100】
図22は、実施の形態2の検出工程中の検出装置の状態を、パッケージ検出センサの波形(パッケージ検出センサ波形)とともに示す側面図である。
【0101】
実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、まず、ポケット16が上面19に形成されたトレイ11を準備し、準備したトレイ11のポケット16にパッケージ30を収納する。次に、ポケット16にパッケージ30が収納されたトレイ11を、スライダ13の段差部15aに保持する。次に、段差部15aにトレイ11が保持されたスライダ13を駆動機構14(図1参照)により駆動することで、パッケージ30が収納されたトレイ11を搬送方向CDに沿って搬送する。トレイ11を搬送する際、接触部材21の突出部24を、搬送されているトレイ11に上方から接触させる。そして、突出部24によりトレイ11に上方から接触している接触部材21の高さ位置をパッケージ検出センサ22により検出し、パッケージ検出センサ22が検出した検出値(出力信号)に基づいて、搬送されているトレイ11のポケット16にパッケージ30が正常に収納されているか否かを検出する。
【0102】
ここで、図22に示すように、トレイ11において、ポケット16aにはパッケージ30が正常に収納されており、ポケット16bにはパッケージ30が収納されておらず、ポケット16cには、パッケージ30が正常に収納されているものとする。
【0103】
なお、図22では、搬送方向CDに沿って、ポケット16aの前方側(搬送方向CD下流側)のトレイ11の上面19の領域をB1とし、ポケット16aの領域をB2とし、ポケット16aの後方側(搬送方向CD上流側)であってポケット16bの前方側のトレイ11の上面19の領域をB3とする。また、ポケット16bの領域をB4とし、ポケット16bの後方側であってポケット16cの前方側のトレイ11の上面19の領域をB5とする。また、ポケット16cの領域をB6とし、ポケット16cの後方側のトレイ11の上面19の領域をB7とする。また、パッケージ検出センサ22の波形(パッケージ検出センサ波形)について、B1〜B7の領域のそれぞれが突出部24の下方を通過する期間、すなわち、突出部24がB1〜B7の領域上に位置する期間を、それぞれQ1〜Q7とする。
【0104】
本実施の形態では、例えば、正常に収納されているパッケージ30の上面の高さ位置H2よりも低く、かつ、パッケージ30が収納されていないポケット16bの底面18の高さ位置H4よりも高い、基準高さ位置SH2が、予め設定されている。そして、パッケージ検出センサ22は、突出部24の最下点の高さ位置が基準高さ位置SH2よりも低いときは、パッケージ検出センサ22の出力がON値になり、突出部24の最下点の高さ位置が基準高さ位置SH2よりも高いときは、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になるように、設定されている。
【0105】
ポケット16aが突出部24の下方を通過する際は、突出部24がトレイ11の上面19である領域B1、B3に接触する期間、すなわち、図22の波形におけるQ1、Q3の期間では、トレイ11の上面19の高さ位置が基準高さ位置SH2よりも高いため、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になる。また、突出部24の最下点がポケット16a内に入り込み、ポケット16aに収納されているパッケージ30の上面に接触する期間、すなわち、図22の波形におけるQ2の期間でも、パッケージ30の上面の高さ位置H2が基準高さ位置SH2よりも高いため、パッケージ検出センサ22の出力はOFF値になる。
【0106】
次いで、ポケット16bが突出部24の下方を通過する際は、突出部24がトレイ11の上面19である領域B3、B5に接触する期間、すなわち、図22の波形におけるQ3、Q5の期間では、トレイ11の上面19の高さ位置が基準高さ位置SH2よりも高いため、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になる。一方、突出部24の最下点がポケット16b内に入り込み、パッケージ30が収納されていないポケット16bの底面18に接触する期間、すなわち、図22の波形におけるQ4の期間では、ポケット16bの底面18の高さ位置H4が基準高さ位置SH2よりも低いため、パッケージ検出センサ22の出力がON値になる。
【0107】
次いで、ポケット16cが突出部24の下方を通過する際は、突出部24がトレイ11の上面19である領域B5、B7に接触する期間、すなわち、図22の波形におけるQ5、Q7の期間では、トレイ11の上面19の高さ位置が基準高さ位置SH2よりも高いため、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になる。また、突出部24の最下点がポケット16c内に入り込み、ポケット16cに収納されているパッケージ30の上面に接触する期間、すなわち、図22の波形におけるQ6の期間でも、パッケージ30の上面の高さ位置H2が基準高さ位置SH2よりも高いため、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になる。
【0108】
このように、高さ位置H2よりも低く、高さ位置H4よりも高い基準高さ位置SH2を設定しておくことで、パッケージ30が収納されていないポケット16bを、パッケージ30が正常に収納されているポケット16a、16cから、区別して検出することができる。
【0109】
なお、スライダ13であって、トレイ11の搬送方向CD下流側または上流側の部分BS1、BS2が、突出部24の下方を通過する期間、すなわち、図22の波形におけるQS1、QS2の期間において、パッケージ検出センサ22の出力がON値になるように、基準高さ位置SH2は、スライダ13の上面の高さ位置H3よりも高く設定されている。
【0110】
また、本実施の形態でも、実施の形態1の半導体装置の製造工程と同様の製造工程(図7〜図15参照)を行うことができるため、半導体装置の製造工程についての説明を省略する。
【0111】
本実施の形態でも、実施の形態1と同様に、接触部材21は、接触部材21が下方に移動したときに突出部24の最下点がポケット16内に入り込めるように配置されており、突出部24の最下点がポケット16内に入り込むときも、基部23の最下点がトレイ11の上面19と接触しないように配置されている。これに加え、本実施の形態では、基準高さ位置SH2を適切に設定することで、トレイ11に反りまたは歪みが発生した場合でも、ポケット16にパッケージ30が収納されていないことを精度よく検出できる。そして、ポケット16にパッケージ30が収納されていなかったことによる誤動作を防止することができるため、製造工程を安定して行うことができ、製造される半導体装置の性能を向上させることができる。
【0112】
(実施の形態3)
実施の形態1では、パッケージ検出センサの出力により、突出部がポケット上に位置している時点を検出した。それに対して、実施の形態3では、実施の形態1を構成する部材および部分に加え、トレイにポケットマークを設けるとともに、検出装置にポケットマーク検出センサを設け、ポケットマーク検出センサの出力により、突出部がポケット上に位置している時点を検出する。
【0113】
<半導体装置の検出工程>
図23は、実施の形態3の検出装置の構成を模式的に示す斜視図である。図24は、実施の形態3の検出装置の構成を模式的に示す一部断面を含む正面図である。図25は、トレイの構成を模式的に示す斜視図である。
【0114】
本実施の形態では、搬送装置10aには、トレイ11aおよびスライダ13aに、ポケット16に対応したポケットマーク50、貫通孔51が形成されており、検出装置20aには、ポケットマーク検出センサ(第2の検出部)52が設けられている。一方、スライダ13aのうち貫通孔51以外の部分、搬送装置10aのうちスライダ13a以外の部分、トレイ11aのうちポケットマーク50以外の部分、および、検出装置20aのうちポケットマーク検出センサ52以外の部分については、実施の形態1と同様である。すなわち、搬送路12、ガイドレール12a、12b、駆動機構14、開口部15、段差部15a、ポケット16、底面18、上面19、接触部材21、パッケージ検出センサ22、基部23、突出部24、回転軸25、遮光板26、発光素子27、受光素子28、パッケージ30の各部材または各部分は、実施の形態1で同一の符号を付して説明した各部材または各部分と同一である。
【0115】
なお、図23の斜視図では、図面を見易くするために、左右両側のガイドレール12a、12bのうち一方(ガイドレール12a)のみを図示し、他方(ガイドレール12b)の図示を省略している。また、図24の正面図では、図面を見易くするために、パッケージ検出センサ22、遮光板26、発光素子27、受光素子28の図示を省略している。
【0116】
本実施の形態でも、突出部24の幅寸法W1を、水平面内で搬送方向に横切る方向に沿った、ポケット16の幅寸法W2よりも小さくすることで、突出部24は、接触部材21が下方に移動したときに突出部24の最下点がポケット16内に入り込めるように配置されている。そして、突出部24がポケット16の底面18に接触しているときも、基部23の最下点の高さ位置HBがトレイ11aの上面19の高さ位置H1よりも高くなるようにすることで、突出部24の最下点がポケット16内に入り込むときも、基部23の最下点がトレイ11aの上面19と接触しないように配置されている。
【0117】
スライダ13aの中心部には、上面から下面にかけて貫通する開口部15が形成されており、開口部15の上面側には、段差部15aが形成されている。この段差部15aにトレイ11aが落とし込まれ、落とし込まれたトレイ11aが段差部15aにより保持されることで、トレイ11aがスライダ13aに保持される。そして、後述するように、トレイ11aに形成された貫通孔からなるポケットマーク50と、平面視で重なる位置に、貫通孔51が形成されている。
【0118】
図25に示されるように、トレイ11aには、複数のポケット16が搬送方向CDに沿って配列してなるポケット列17が、搬送方向CDを水平に横切る方向に沿って複数列形成されている。そして、トレイ11aを上面から下面まで貫通する貫通孔からなるポケットマーク50が、複数のポケット16の各々に対応する位置に形成されている。ポケットマーク50は、突出部24がポケット16上に位置していることを検出するためのものである。図25では、ポケット列17が水平面内で搬送方向CDと直交する方向に沿って2列形成されており、複数のポケットマーク50の各々が、水平面内で搬送方向CDと直交する方向に沿って、複数のポケット16の各々の近くに形成された例を示す。
【0119】
ポケットマーク検出センサ52として、発光素子53と受光素子54とを有する透過センサを用いることができる。発光素子53と受光素子54とは、一方が搬送路12の上方に設けられ、他方が搬送路12の下方に設けられている。ポケットマーク検出センサ52は、発光素子53からの光が、あるポケット16に対応して形成されたポケットマーク50、貫通孔51を通過して受光素子54に受光された時に、突出部24がそのポケット16上に位置していることが検出できるように、設けられている。
【0120】
なお、貫通孔に代えて例えば凹部または凸部からなるポケットマーク50がトレイ11aの上面19に形成されていてもよく、透過センサに代えて例えば反射式変位センサからなるポケットマーク検出センサ52により凹部または凸部を検出してもよい。あるいは、貫通孔に代えて上面の一部分の色を周囲の部分の色と異ならせたポケットマーク50がトレイ11aの上面19に形成されていてもよく、透過センサに代えて例えばCCDカメラからなるポケットマーク検出センサ52によりトレイ11aの上面19の色の変化を検出してもよい。
【0121】
また、実施の形態1と同様に、回転軸25は、搬送路12を搬送されているトレイ11aまたはポケット16に収納されているパッケージ30に突出部24が接触する位置よりも搬送方向CD上流側かつ上方の位置で、搬送方向CDを水平に横切る軸であることが好ましく、突出部24の下面が下に凸の曲面であることが好ましい。これにより、パッケージ30に損傷を与えることを防止できる。
【0122】
次に、実施の形態3の検出工程について説明する。
【0123】
図26は、実施の形態3の検出工程中の検出装置の状態を、ポケットマーク検出センサの波形(ポケットマーク検出センサ波形)とともに示す平面図である。図27は、実施の形態3の検出工程中の検出装置の状態を、ポケットマーク検出センサの波形(ポケットマーク検出センサ波形)およびパッケージ検出センサの波形(パッケージ検出センサ波形)とともに示す側面図である。
【0124】
まず、ポケット16およびポケットマーク50が上面19に形成されたトレイ11aを準備し、準備したトレイ11aのポケット16にパッケージ30を収納する。次に、ポケット16にパッケージ30が収納されたトレイ11aを、スライダ13aの段差部15aに保持する。次に、段差部15aにトレイ11aが保持されたスライダ13aを駆動機構14により駆動することで、パッケージ30が収納されたトレイ11aを搬送方向CDに沿って搬送する。トレイ11aを搬送する際、接触部材21の突出部24を、搬送されているトレイ11aに上方から接触させる。そして、突出部24によりトレイ11aに上方から接触している接触部材21の高さ位置をパッケージ検出センサ22により検出し、パッケージ検出センサ22が検出した検出値(出力信号)に基づいて、搬送されているトレイ11aのポケット16にパッケージ30が正常に収納されているか否かを検出する。また、本実施の形態では、上記に加え、ポケットマーク検出センサ52によりポケットマーク50を検出することで、突出部24がポケット16上に位置しているか否かを検出する。
【0125】
図26および図27に示すように、トレイ11aにおいて、ポケット16aにはパッケージ30が正常に収納されており、ポケット16bにはパッケージ30が収納されておらず、ポケット16cには、パッケージ30が収納されているものの、収納状態が正常でないものとする。これは、実施の形態1のポケット16a、16b、16cの収納状態と同様である。
【0126】
なお、図26および図27では、搬送方向CDに沿って、ポケット16aの前方側(搬送方向CD下流側)のトレイ11aの上面19の領域をC1とし、ポケット16aの領域をC2とし、ポケット16aの後方側(搬送方向CD上流側)であってポケット16bの前方側のトレイ11aの上面19の領域をC3とする。また、ポケット16bの領域をC4とし、ポケット16bの後方側であってポケット16cの前方側のトレイ11aの上面19の領域をC5とする。また、ポケット16cの領域をC6とし、ポケット16cの後方側のトレイ11aの上面19の領域をC7とする。また、ポケットマーク検出センサ52の波形(ポケットマーク検出センサ波形)およびパッケージ検出センサ22の波形(パッケージ検出センサ波形)について、C1〜C7の領域のそれぞれが突出部24の下方を通過する期間、すなわち、突出部24がC1〜C7の領域上に位置する期間を、それぞれR1〜R7とする。
【0127】
まず、図26を参照し、ポケットマーク検出センサ52によるポケットマーク50の検出工程について説明する。
【0128】
本実施の形態では、発光素子53からの光がトレイ11aに形成されたポケットマーク50、および、スライダ13aに形成された貫通孔51を通過して受光素子54に受光されたときは、ポケットマーク検出センサ52の出力がON値になるように、設定されている。そして、発光素子53からの光が受光素子54に受光されないときは、ポケットマーク検出センサ52の出力がOFF値になるように、設定されている。また、ポケットマーク検出センサ52は、発光素子53からの光が、あるポケット16に対応して形成されたポケットマーク50、貫通孔51を通過して受光素子54に受光された時に、突出部24がそのポケット16上に位置していることが検出できるように、設けられている。従って、ポケットマーク検出センサ52の出力がON値になる期間、すなわち、図26の波形におけるR2−2、R4−2、R6−2の期間では、ポケット16が突出部24の下方を通過している、すなわち、突出部24がポケット16上に位置している。
【0129】
なお、搬送方向CDに沿った各ポケット16の幅寸法とそのポケット16に対応して形成されるポケットマーク50の幅寸法を適切に設定することで、ポケットマーク検出センサ52の出力がON値になる期間の始期および終期と、突出部24がポケット16上に位置している期間の始期および終期とを一致させることも可能である。
【0130】
次に、図27を参照し、ポケットマーク50の検出工程を行うとともに、パッケージ30の検出工程を行うことについて説明する。
【0131】
本実施の形態でも、実施の形態1と同様に、例えば、トレイ11aの上面19の高さ位置H1よりも低く、かつ、正常に収納されているパッケージ30の上面の高さ位置H2よりも高い、基準高さ位置SH1が、予め設定されている。そして、パッケージ検出センサ22は、突出部24の最下点の高さ位置が基準高さ位置SH1よりも高いときは、パッケージ検出センサ22の出力がON値になり、突出部24の最下点の高さ位置が基準高さ位置SH1よりも低いときは、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になるように、設定されている。
【0132】
ポケット16aが突出部24の下方を通過する際は、突出部24がトレイ11aの上面19である領域C1、C3に接触する期間、すなわち、図27の波形におけるR1、R3の期間では、トレイ11aの上面19の高さ位置H1が基準高さ位置SH1よりも高いため、パッケージ検出センサ22の出力がON値になる。一方、突出部24の最下点がポケット16a内に入り込み、ポケット16aに収納されているパッケージ30の上面に接触する期間、すなわち、図27の波形におけるR2の期間では、パッケージ30の上面の高さ位置H2が基準高さ位置SH1よりも低いため、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になる。
【0133】
ただし、本実施の形態では、図27の波形におけるR2の期間のうち、R2−2の期間では、ポケットマーク検出センサ52の出力がON値になる。そして、R2−2の期間でのみ、パッケージ検出センサ22が検出した検出値に基づいて、パッケージ30の収納状態を検出する。
【0134】
次いで、ポケット16bが突出部24の下方を通過する際は、突出部24がトレイ11aの上面19である領域C3、C5に接触する期間、すなわち、図27の波形におけるR3、R5の期間では、トレイ11aの上面19の高さ位置H1が基準高さ位置SH1よりも高いため、パッケージ検出センサ22の出力がON値になる。一方、突出部24の最下点がポケット16b内に入り込み、パッケージ30が収納されていないポケット16bの底面18に接触する期間、すなわち、図27の波形におけるR4の期間では、ポケット16bの底面18の高さ位置が基準高さ位置SH1よりも低いため、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になる。
【0135】
ただし、本実施の形態では、図27の波形におけるR4の期間のうち、R4−2の期間では、ポケットマーク検出センサ52の出力がON値になる。そして、R4−2の期間でのみ、パッケージ検出センサ22が検出した検出値に基づいて、パッケージ30の収納状態を検出する。
【0136】
次いで、ポケット16cが突出部24の下方を通過する際は、突出部24がトレイ11aの上面19である領域C5、C7に接触する期間、すなわち、図27の波形におけるR5、R7の期間では、トレイ11aの上面19の高さ位置H1が基準高さ位置SH1よりも高いため、パッケージ検出センサ22の出力がON値になる。また、突出部24の最下点がポケット16c内に入り込み、正常に収納されていないパッケージ30の上面に接触する期間、すなわち、図27の波形におけるR6の期間のうち、パッケージ30の上面の高さ位置が基準高さ位置SH1よりも低いR6−1、R6−2−1の期間では、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になる。一方、図27の波形におけるR6の期間のうち、パッケージ30の上面の高さ位置が基準高さ位置SH1よりも高いR6−2−2、R6−3の期間では、パッケージ検出センサ22の出力がON値になる。
【0137】
ただし、本実施の形態では、図27の波形におけるR6の期間のうち、R6−2−1、R6−2−2の期間、すなわちR6−2の期間では、ポケットマーク検出センサ52の出力がON値になる。そして、R6−2の期間でのみ、パッケージ検出センサ22が検出した検出値に基づいて、パッケージ30の収納状態を検出する。
【0138】
このように、パッケージ検出センサ22の波形を、ポケットマーク検出センサ52の波形と組み合わせることで、パッケージ30の収納状態が正常でないポケット16cを、パッケージ30が正常に収納されているポケット16a、および、パッケージ30が収納されていないポケット16bから、より精度よく区別して検出することができる。
【0139】
なお、スライダ13aであって、トレイ11aの搬送方向CD下流側または上流側の部分CS1、CS2が、突出部24の下方を通過する期間、すなわち、図27の波形におけるRS1、RS2の期間において、パッケージ検出センサ22の出力がOFF値になるように、基準高さ位置SH1は、スライダ13aの上面の高さ位置H3よりも高く設定されている。
【0140】
また、本実施の形態でも、実施の形態1の半導体装置の製造工程と同様の製造工程(図7〜図15参照)を行うことができるため、半導体装置の製造工程についての説明を省略する。
【0141】
本実施の形態でも、実施の形態1と同様に、接触部材21は、接触部材21が下方に移動したときに突出部24の最下点がポケット16内に入り込めるように配置されており、突出部24の最下点がポケット16内に入り込むときも、基部23の最下点がトレイ11aの上面19と接触しないように配置されている。これにより、トレイ11aに反りまたは歪みが発生した場合でも、パッケージ30の収納状態を精度良く検出することができる。そして、ポケット16に正常に収納されていないパッケージ30が、搬送工程およびその後の各工程において、他の部材との接触、またはトレイ11aからの落下などにより損傷を受けることを防止することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0142】
上記の効果に加え、本実施の形態では、パッケージ検出センサ22による検出工程を、ポケットマーク検出センサ52による検出工程と組み合わせる。これにより、突出部24がポケット16上に位置する時点を精度よく検出することができるため、パッケージ30の収納状態が正常でないポケット16cを、パッケージ30が正常に収納されているポケット16a、および、パッケージ30が収納されていないポケット16bから、より精度よく区別して検出することができる。
【0143】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0144】
例えば、実施の形態1から実施の形態3では、半導体装置を検出する検出工程に適用する例について説明したが、本発明は、半導体装置を検出する検出工程に適用する例に限定されるものではなく、例えばセラミックコンデンサなど各種の電子部品を搬送容器に収納して搬送する際に、搬送容器の凹部に電子部品が正常に収納されているか否かを検出する検出工程に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置の検出方法に適用して有効である。
【符号の説明】
【0146】
10、10a 搬送装置
11、11a トレイ
12 搬送路
12a、12b ガイドレール
13、13a スライダ
14 駆動機構
15 開口部
15a 段差部
16、16a〜16c ポケット
17 ポケット列
18 底面
19 上面
20、20a 検出装置
21 接触部材
22 パッケージ検出センサ
23 基部
24 突出部
25 回転軸
26 遮光板
27 発光素子(LED)
28 受光素子(リニアイメージセンサ)
30、30a パッケージ
31 樹脂(封止体)
32 リード
32a タブ
32b インナリード
32c アウタリード
33 チップ
33a 主面
33b 裏面
33c パッド
34 ワイヤ
36 半導体ウェハ
37 ダイシングライン
38 ダイシングテープ
39 ウェハリング
41 半導体基板
42 素子分離溝
43 素子分離膜
44A n型MISFET形成領域
44B p型MISFET形成領域
45 層間絶縁膜
46 絶縁膜
50 ポケットマーク
51 貫通孔
52 ポケットマーク検出センサ
53 発光素子
54 受光素子
CD 搬送方向
CNT コンタクトホール
CP 位置
GE ゲート電極
GI ゲート絶縁膜
HB、HP0〜HP2、H1〜H4、H1´ 高さ位置
PG プラグ
Q1、Q2 MISFET
SD ソース・ドレイン領域
SH1、SH2 基準高さ位置
SW サイドウォールスペーサ
W1、W2 幅寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体装置を製造する工程、
(b)製造された半導体装置を収納するための凹部が上面に形成された搬送容器を準備する工程、
(c)製造された半導体装置を前記搬送容器の前記凹部に収納する工程、
(d)前記凹部に前記半導体装置が収納された前記搬送容器を搬送路に沿って搬送する工程、
(e)前記搬送路に上下動可能に設けられた接触部材を、前記搬送路に沿って搬送されている前記搬送容器に上方から接触させる工程、
(f)前記搬送容器に上方から接触している前記接触部材の高さ位置を第1の検出部により検出する工程、
(g)前記第1の検出部が前記高さ位置を検出した検出値に基づいて、搬送されている前記搬送容器の前記凹部に前記半導体装置が正常に収納されているか否かを検出する工程、
を有し、
前記接触部材は、基部と、前記基部から下方に突出した突出部とを含み、
前記基部と前記突出部とは、前記突出部が前記凹部内に入り込むときも、前記基部が前記搬送容器の上面と接触しないように配置されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記接触部材は、前記搬送路を搬送されている前記搬送容器に前記突出部が接触する位置よりも搬送方向上流側かつ上方の位置で前記搬送方向を水平に横切る軸を回転軸として、回動可能に設けられており、
前記突出部の下面が下に凸の曲面であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記凹部が上面に形成されたとともに、前記突出部が前記凹部上に位置していることを検出するための被検出部が、前記凹部に対応して形成された前記搬送容器を準備し、
(h)第2の検出部により前記被検出部を検出することで、前記突出部が前記凹部上に位置しているか否かを検出する工程を有し、
前記(g)工程では、前記(h)工程で、前記突出部が前記凹部上に位置していることを検出したときに、前記第1の検出部が前記高さ位置を検出した前記検出値に基づいて、搬送されている前記搬送容器の前記凹部に前記半導体装置が正常に収納されているか否かを検出することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
(a)半導体装置を収納するための凹部が上面に形成された搬送容器を準備する工程、
(b)半導体装置を前記搬送容器の前記凹部に収納する工程、
(c)前記凹部に前記半導体装置が収納された前記搬送容器を搬送路に沿って搬送する工程、
(d)前記搬送路に上下動可能に設けられた接触部材を、前記搬送路に沿って搬送されている前記搬送容器に上方から接触させる工程、
(e)前記搬送容器に上方から接触している前記接触部材の高さ位置を第1の検出部により検出する工程、
(f)前記第1の検出部が前記高さ位置を検出した検出値に基づいて、搬送されている前記搬送容器の前記凹部に前記半導体装置が正常に収納されているか否かを検出する工程、
を有し、
前記接触部材は、基部と、前記基部から下方に突出した突出部とを含み、
前記基部と前記突出部とは、前記突出部が前記凹部内に入り込むときも、前記基部が前記搬送容器の上面と接触しないように配置されていることを特徴とする半導体装置の検出方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の検出方法において、
前記接触部材は、前記搬送路を搬送されている前記搬送容器に前記突出部が接触する位置よりも搬送方向上流側かつ上方の位置で前記搬送方向を水平に横切る軸を回転軸として、回動可能に設けられており、
前記突出部の下面が下に凸の曲面であることを特徴とする半導体装置の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−98237(P2013−98237A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237468(P2011−237468)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】