説明

半導体装置の製造方法および半導体装置

【課題】 デュアルダマシン法を用いる配線形成方法で、特に最上層の配線を含む上層配線を形成する場合、接続孔の周囲に生ずるクラウンフェンスを容易に除去して信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】 接続孔19a、19b上に形成された開口を有するマスク層21をマスクとして、第3絶縁膜17および第3絶縁膜17より密度の小さい、あるいは比誘電率が小さい第2絶縁膜16をエッチングして配線溝22を形成すると、接続孔19bに埋め込まれた有機性材料20の突出部と同時に、第2絶縁膜16の構成材料を主成分とするクラウンフェンス23が生ずる。これに対しマスク層21の除去工程を兼ねるなどの処理において、少なくとも配線溝22の内部にプラズマ処理を施した後、第2絶縁膜16を溶解可能な処理液で処理し上記のプラズマ処理で変質したクラウンフェンス25を選択的に除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の配線構造の製造方法、特にデュアルダマシン法を用いて配線構造を安定に形成するための製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置の高集積化のために、半導体素子パターンの微細加工精度に対する要求はますます厳しいものとなってきている。特に多層配線の採用が進み、8層ないし9層の配線構造がとられている近年のシステムLSIなどのデバイスにおいては、デュアルダマシン(Dual Damascene)法をはじめとした、絶縁膜の溝に配線を埋め込む埋め込み配線技術が採用されている。デュアルダマシン法とは上層と下層の配線層間を電気的に結ぶための接続孔および配線を埋め込む配線溝を層間絶縁膜に形成した後、これら双方に同時に配線材料を埋め込み、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法で接続孔および配線溝の外側に存在する余分な配線材料を削り、表面が平坦化された配線および配線接続用プラグを同時に形成する技術である。デュアルダマシン配線技術によると、配線とプラグとを1回の工程で形成することができるので、大幅なプロセスコストの低減を図ることができる。
【0003】
特許文献1には、このようなデュアルダマシンプロセスにより形状よく配線構造を形成する工程の例が開示されている。図7は、特許文献1に記載されたデュアルダマシン構造を形成する場合のプロセスフローを示す断面図である。まず図7(a)に示すように、平坦化した下地層30上に厚さ50nmのSi34膜31を形成する。その上に厚さ800nmの有機SOG層32と厚さ50nmのp−TEOS層(TEOSを原料ガスとしたプラズマCVD法で形成されるSiO2を主体とした絶縁膜)33を形成する。
【0004】
さらにその上に微細なホールパターンを形成したレジスト34を形成する。この後、図7(b)に示すようにレジスト34をマスクとしてp−TEOS33と有機SOGをエッチングし、ホール35を形成する。次にレジスト34を除去した後、図7(c)に示すように再び微細な溝用パターンが形成されたレジスト36を形成する。
【0005】
次いでこのレジスト36をマスクとしてp−TEOS層33と有機SOG層32をエッチングし溝37を形成する(図7(d))。さらに図7(e)に示すようにレジスト36を除去した後、p−TEOS33および有機SOG層32に対し選択比の高い条件でSi34膜31をエッチングし、これによってデュアルダマシン構造が形成される。そしてこの構造における溝37およびホール35にはCuなどの配線材料が埋め込まれることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−102449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
微細パターンを有すると共に半導体素子の集積度が高い最近のシステムLSIなど半導体集積回路の多層配線は、ほとんどの場合配線層数が3層以上(標準8〜9層)である。そして最下層から最上層に至るまで配線材料として銅(Cu)が用いられ、またデュアルダマシン法で形成される。こうした多層配線では上層の配線になるほどその厚さを厚く、また寸法を大きく形成するのが一般的であり、最上層の配線を含む上層配線をデュアルダマシン法で形成する場合、上に説明した図7(d)によれば、有機SOG層32などからなる絶縁膜をより深く長時間エッチングする必要がある。
【0008】
一方図7(c)の工程において、レジスト36の塗布直後は一旦ホール35にレジスト材料が完全に埋まるが、レジストに溝用パターンを現像するとホール35内部のレジストも一部が現像で溶解除去されて図7(c)に示すように膜厚が薄くなる。従って上層の厚い配線形成のために特許文献1に記載の方法を適用すると、場合によっては図7(d)における溝37の深いエッチングによりホール35内のレジストが除去され、さらにSi34膜31もエッチング除去される可能性がある。ホール35直下の下地層30にもし下層銅配線が埋め込み形成されているならば、その表面が露出し、溝37形成後のレジスト36除去に用いる酸素プラズマアッシングによって酸化被膜が形成されコンタクト不良の原因となる。
【0009】
このような不具合を解消し、少なくとも下地層30の露出を確実に防止するために、図7(c)の工程においてまずホール35の上端までレジストなどの流動性材料を埋め込み、その後溝用パターンを有するレジスト36を形成することが望ましく、これによってレジスト36を現像してもホール35内の材料がほとんど除去されないようにできると本発明者は考えるが、この方法には以下のような問題点があった。図6はこの方法を採用した時の問題を示す、配線構造形成途中の断面図である。
【0010】
図6(a)に示すように、ホール35内部にレジスト36aを埋め込んだ後、レジスト36をマスクとしてエッチングにより溝37を形成すると、溝37が深くなると共にホール35内のレジスト36aもエッチングされ厚さが減少してゆく。しかしながらエッチング前のレジスト36aはホール35のほぼ上端まで埋め込まれているので、レジスト36aに対する絶縁膜33および32のエッチング速度選択比を通常の1以上に高くすると、溝37の底面からレジスト36aが上方に突出した突出部を形成する。
【0011】
この突出部の側壁周囲にはそれを取り囲んで絶縁膜32を主成分とするクラウンフェンス38と呼ばれるエッチング残渣が生じる。これはエッチングガスとレジスト材料、絶縁膜材料との反応生成物39が、一旦できたクラウンフェンス38の表面に堆積し保護被膜となるために、クラウンフェンス38をそれ以上エッチングすることが非常に困難になるからであると考えられる。反応生成物39はレジスト36、36aの酸素プラズマアッシングおよびウェット洗浄処理で除去されるが、クラウンフェンス38は残留する。
【0012】
こうした状態でデュアルダマシン工程では図6(b)に示すようにバリアメタル40および41を堆積し、さらにその上にCu膜42を堆積してホール35および溝37を埋め込むことになる。しかし図に示すように、クラウンフェンス38が残留していること、またホール35の側壁と溝37の側壁とのマージンが通常は狭く設計されることにより、バリアメタル40や41はクラウンフェンス38近傍で不連続膜として堆積され、さらにCu膜42もクラウンフェンス38近傍で完全に埋め込みできずボイド43を発生させる。このようにして多層配線構造に関する製造歩留まり低下や信頼性の劣化を招く。
【0013】
本発明は上記課題を解決するものであり、デュアルダマシン法を用いる配線形成工程、特に最上層の配線を含む上層配線の形成工程において、クラウンフェンスを容易に除去して安定して配線構造を形成できる半導体装置の製造方法、およびその方法で製造された信頼性の高い半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来の課題を解決するための本発明に係る半導体装置の製造方法は、層間絶縁膜上、および前記層間絶縁膜に形成された下層配線上に第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成し、前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成する工程と、前記第3絶縁膜、前記第2絶縁膜、前記第1絶縁膜を順次選択的にエッチングし、前記第3絶縁膜から前記第1絶縁膜まで貫通し、前記下層配線の直上に位置する接続孔を形成する工程と、前記接続孔に有機性材料を埋め込む工程と、前記有機性材料を埋め込む工程の後、前記接続孔上に開口を有するマスク層を形成する工程と、前記マスク層をマスクとして、前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜を選択的にエッチングし、配線溝を形成する工程と、前記配線溝の形成後、少なくとも前記配線溝の内部にプラズマ処理を施す工程と、前記マスク層および前記接続孔に埋め込まれた有機性材料を除去する工程と、前記プラズマ処理の後、前記第2絶縁膜を溶解可能な処理液で処理する工程とを含む。前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より密度の小さい膜、または前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より比誘電率の小さい膜、または前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜よりプラズマに対する耐性の小さい膜である。
【0015】
この製造方法では、前記プラズマ処理を施す工程において、前記配線溝の内部に露出する前記第2絶縁膜の表面に変質層が形成され得る。また、前記第2絶縁膜を溶解可能な処理液で処理する工程において、前記変質層が除去され得る。
【0016】
上記半導体装置の製造方法は、前記下層配線が、幅の狭い第1配線と、前記第1配線より幅の広い第2配線を含み、前記第1配線の直上に位置する前記接続孔は単一の接続孔であり、前記第2配線の直上に位置する前記接続孔は複数の接続孔が密集して形成されたものである場合にも適用され、この時に特に特に有効である。
【0017】
また上記半導体装置の製造方法では、前記配線溝の形成を、前記配線溝の底面から前記有機性材料が上方へ突出した突出部を形成するように行う。さらに前記第2絶縁膜を、該第2絶縁膜の上面が前記突出部の上面より高くなるような膜厚に形成することが望ましい。
【0018】
特に前記第2絶縁膜の膜厚に対する、前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜の膜厚の和の比が3〜5であることが望ましい。また実用的な特定の半導体装置に対しては、前記第2絶縁膜の膜厚と前記第3絶縁膜の膜厚の和が3μm〜10μmであり、前記第2絶縁膜の膜厚が0.6μm〜2μmであることが望ましい。
【0019】
上記半導体装置の製造方法では、前記プラズマ処理を施す工程と、前記マスク層および前記接続孔に埋め込まれた有機性材料を除去する工程とを同時に行うことができる。あるいは、前記プラズマ処理を施す工程と、前記配線溝を形成する工程とを同時に行うこともできる。
【0020】
また前記第2絶縁膜として、前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より低比誘電率である膜を選択する一方、前記有機性材料および前記マスク層がレジストからなり、前記プラズマ処理を酸素を含むプラズマで行う場合に半導体装置の製造が容易になる。この場合、前記第2絶縁膜は比誘電率が2.8〜3.5の炭素を含む酸化シリコン系の絶縁膜、または内部に複数の空孔を含む多孔質絶縁膜であることが好ましい。
【0021】
次に、上記課題を解決するための本発明に係る半導体装置は、層間絶縁膜上、および前記層間絶縁膜に設けられた下層配線上に形成された第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成された第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜上に形成された第3絶縁膜と、前記第1絶縁膜に形成され、前記下層配線に達する接続孔と、前記第3絶縁膜の上面から前記第2絶縁膜にかけて形成されると共に前記接続孔に達し、その内側に露出する前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜のうち、前記第2絶縁膜の側壁が前記第3絶縁膜の側壁より横方向に後退している配線溝と、前記配線溝および前記接続孔に導電膜を埋め込むことによって形成された上層配線とを備えた構成を有する。そして前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より密度の小さい膜、または前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より比誘電率の小さい膜、または前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜よりプラズマに対する耐性の小さい膜からなる。
【0022】
上記半導体装置は、前記下層配線が、幅の狭い第1配線と、前記第1配線より幅の広い第2配線を含み、前記第1配線の直上に位置する前記接続孔は単一の接続孔であり、前記第2配線の直上に位置する前記接続孔は複数の接続孔が密集して形成されたものである時に特に有効であり、このような場合の前記上層配線は最上層の配線を含む。
【0023】
上記半導体装置における前記第2絶縁膜が前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より低比誘電率の絶縁膜の場合、その膜として内部に複数の空孔を含む多孔質絶縁膜を採用することができる。また、前記第2絶縁膜の膜厚に対する前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜の膜厚の和の比を3〜5とする構成により、問題を発生させずに半導体装置を得ることができる。
【0024】
上記半導体装置において、前記第2絶縁膜が前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より比誘電率が小さい膜である場合、具体的に記第3絶縁膜を比誘電率が3.9〜4.0の酸化シリコン系の絶縁膜とし、前記第2絶縁膜を比誘電率が2.8〜3.5の炭素を含む酸化シリコン系の絶縁膜とし、前記導電膜は銅膜とする構成にできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、配線溝を形成するための絶縁膜として上層に第3絶縁膜を、下層に第2絶縁膜として、第1絶縁膜および第3絶縁膜より密度の小さい膜、または比誘電率の小さい膜、またはプラズマに対する耐性の小さい膜を用い、形成された配線溝内部にプラズマ処理を施し、さらにプラズマ処理後、第2絶縁膜を溶解可能な処理液で処理する。第3絶縁膜および第2絶縁膜を選択的にエッチングして配線溝を形成すると、接続孔の上部開口周囲に第2絶縁膜材料を主成分とするクラウンフェンスが生成される。しかしクラウンフェンスはプラズマ処理によるダメージを受けて変質するため、第2絶縁膜を溶解可能な処理液により容易に除去することができる。このようにして本発明はデュアルダマシン法を用いた多層配線の製造歩留まりを向上させ、信頼性の高い多層配線構造を得ることができる。
【0026】
また本発明に係る製造方法を用いて製造される半導体装置の配線構造は上記の通りの構造を有している。配線溝が第3絶縁膜から第2絶縁膜にわたって形成されることから、その形成時にクラウンフェンスが生じる時は第2絶縁膜材料を主成分として生じることを示している。また配線溝の内側に露出する第2絶縁膜の側壁が後退している形状は、第2絶縁膜の密度、または比誘電率、またはプラズマに対する耐性が第3絶縁膜より小さいことに起因して第2絶縁膜が優先的にエッチングされる処理がされ、そのエッチングによりクラウンフェンスが除去されたことを反映している。このように本発明に係る半導体装置の構成はクラウンフェンスが容易に除去され、信頼性の高い半導体装置を得ることができる構成である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る配線構造の製造方法を示す工程断面図。
【図2】本発明の実施形態に係る配線構造の製造方法を示す工程断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る配線構造の製造方法を示す工程断面図。
【図4】本発明の実施形態に係る配線構造の製造方法を示す工程断面図。
【図5】本発明の実施形態に係る配線構造の製造方法を示す工程断面図。
【図6】デュアルダマシン法を用いる配線構造形成の問題を説明するための図。
【図7】デュアルダマシン構造を形成する従来のプロセスフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置の配線構造の製造方法について図面を参照しながら説明する。図1〜図5は、本発明の実施形態による多層配線構造の製造方法を示す工程断面図である。図1〜図5の中央部を縦断する切断帯の右側の領域は比較的幅の狭い配線の形成領域であり下層配線とは1個の接続孔(または接続プラグ)で接続される。これに対して切断帯の左側の領域は広幅の配線の形成領域であり下層配線とは密集した複数の接続孔で接続される。このような同一層に広幅の配線を含む配線層は特に上層の配線に多く、例えば半導体基板に形成された多数の半導体素子に同時に電流を供給しなければならない電源線が該当する。図1〜図5に示す配線層も最上層の電源線を含む上層配線部分とする。
【0029】
図1(a)は下層配線の形成までの工程を示しており、シリコンなどの半導体基板(図示省略)上に各種半導体素子(図示省略)が形成され、その半導体素子上に数層にわたって順次配線層が形成されている。図1(a)はそのうちの最新に形成された下層配線を示す。まず、酸化シリコン系の材料からなる層間絶縁膜10および層間絶縁膜10に埋め込まれた銅からなる下層配線11および12形成して下層配線層を完成させる。
【0030】
これらの下層配線11、12はデュアルダマシン法を用いて形成され、層間絶縁膜10は主として、一般にSiOCHと表記され、比誘電率が4.0より低い低誘電率の絶縁膜や、やはり一般にSiOCと表記される多孔質の低誘電率膜で形成されている。また層間絶縁膜10および下層配線11、12の表面は同一高さとなるように平坦化されている。
【0031】
次に図1(b)に示すように、層間絶縁膜10および下層配線11、12上の全面を覆うように例えばシリコン窒化膜(SiN膜)からなる第1エッチングストッパー膜13を、例えばプラズマCVD法で堆積する。次に第1エッチングストッパー膜13上に、例えば減圧CVD法によりテトラエトキソオキソシラン(TEOS)を原料ガスとして酸化シリコン系の絶縁膜(TEOS膜:比誘電率3.9〜4.0)14を例えば1000nm程度の厚さに形成する。続いて絶縁膜14上に例えばシリコン窒化膜(SiN膜)からなる中間の第2エッチングストッパー膜15を例えばプラズマCVD法で500nm程度の厚さに堆積する。
【0032】
さらに第2エッチングストッパー膜15の上に、例えば直鎖型分子構造を有するトリメチルシランやテトラメチルシランを原料として低誘電率絶縁膜16をプラズマCVD法により、例えば1000nm程度形成する。この低誘電率絶縁膜16はSiCwHxOy(w>0、x≧0、y>0)(以下必要に応じてSiOCHという)という組成を有する酸化シリコン系の膜あるいは有機・無機ハイブリッド膜と称せられ、その比誘電率は少なくともTEOS膜(実質的にSiO2膜:比誘電率3.9〜4.0)より小さく普通2.8〜3.5である。
【0033】
次に低誘電率絶縁膜16上に、例えば減圧CVD法によりテトラエトキソオキソシラン(TEOS)を原料として酸化シリコン系の絶縁膜17(TEOS膜:比誘電率3.9〜4.0)を例えば4000nm程度の厚さに形成する。この後、絶縁膜17上にリソグラフィ技術により接続孔となる開口パターンを備えたレジスト膜18を形成する。次いで図1(c)に示すように、レジスト膜18をマスクとし、絶縁膜17、低誘電率絶縁膜16、第2エッチングストッパー膜15、および絶縁膜14を第1エッチングストッパー膜13の表面が露出するまで順次異方性ドライエッチングし、絶縁膜17の上面から絶縁膜14の底面までを貫通し、ほぼ垂直で凹凸のない一様な側壁面を有する接続孔19a、19bを開口する。こうして得られる接続孔の開口径は、約2.5μmである。
【0034】
上記ドライエッチングは、例えば平行平板電極を搭載したRIE方式プラズマエッチング装置を用い、CHF3流量:50ml/min.(標準状態)、CF4流量:150ml/min.(標準状態)、トータルガス圧力:5Pa、上部電極の印加電力:2000W(60MHz)、被エッチング基板を載置した下部電極の印加電力:3000W(2MHz)、下部電極温度:30℃、エッチング時間:30min.の条件で行うことができる。次に酸素プラズマアッシングおよびウェット洗浄処理によりレジスト膜18を除去する。
【0035】
次に図2(a)に示すように、接続孔19a、19bを含む全面にレジスト20などの有機性材料を塗布する。レジスト20は単一接続孔19bが形成された領域では絶縁膜17上に一定の厚さをもって塗布されるが、複数の接続孔19aが密集状態で形成された領域とその近傍ではレジスト膜厚が薄く、特に複数の接続孔19aにおいては絶縁膜17の上面よりも低くなる。これは複数の接続孔19aが存在する領域では多くのレジスト材料が複数の接続孔19a内を埋めるのに消費されるためと考えられる。
【0036】
次に図2(b)に示すように、酸素を含むエッチングガスを用いたプラズマでエッチバックを行い、単一接続孔19bの形成領域の絶縁膜17上の余分なレジスト20を除去して単一接続孔19bに埋め込まれたレジスト20の上面が絶縁膜17の表面高さにほぼ一致するように平坦化する。この処理によって複数の接続孔19aの形成領域においては接続孔19a内に埋め込まれたレジスト20の上面が絶縁膜17の表面よりさらに低くなる。
【0037】
次に図3(a)に示すように、絶縁膜17上にリソグラフィ技術を用いて配線溝となる開口パターンを備えたレジスト膜21を形成する。そしてレジスト膜21をマスクとして絶縁膜17および低誘電率絶縁膜16を順次エッチングし、第2エッチングストッパー膜15の表面が露出した時点でエッチングを停止させる。こうして単一接続孔19bが形成された領域に約3μm幅の配線溝22が形成される。同じように複数の接続孔の密集領域にも配線溝22が形成され、これら配線溝22は絶縁膜17の上面から低誘電率絶縁膜16の底面まで貫通して接続孔19aに達し連通する。
【0038】
このときのエッチングは、平行平板電極を搭載したRIE方式プラズマエッチング装置を用い、CF4流量:150ml/min.(標準状態)、CHF3流量:50ml/min.(標準状態)、トータルガス圧力:5Pa、上部電極の印加電力:2000W(60MHz)、被エッチング基板を載置した下部電極の印加電力:2000W(2MHz)、下部電極の温度:30℃、エッチング時間:15min.の条件で行うことができる。またエッチング停止はプラズマ放射光の光強度変化をモニターする公知のEPD(End Point Detector)を用い、低誘電率膜16のエッチング終点検出を行うことによって制御可能である。具体的には、エッチング処理中のプラズマ放射光のうち、低誘電率膜16が除去されて第2エッチングストッパー膜15を構成するシリコン窒化膜が露出した際に光強度が変化するような特定波長(例えばCNの波長380nm)の光を常時計測し、当該光の強度に変化が生じたことを検出することで精度良くエッチングを第2エッチングストッパー膜15上で停止させることができる。
【0039】
配線溝22の形成に伴い、配線溝22の底面から上方へ突出する突出部が単一接続孔19bに埋め込まれたレジスト20に生ずる。また配線溝22のエッチング形成中には、レジスト20の突出部側壁を一周にわたって取り囲み、低誘電率膜16の構成材料を主成分とするクラウンフェンス(エッチング残渣)23が形成される。クラウンフェンス23は、接続孔19bの平面形状が円形または円形に近いときはリング状の形状となる。
【0040】
クラウンフェンス23は、すでに述べたように配線溝22形成用エッチングガスとレジスト20の材料、絶縁膜17や低誘電率絶縁膜16の材料との反応生成物24が一旦できたクラウンフェンス23の表面に堆積し保護被膜となるために、それ以降クラウンフェンス23をエッチングすることが非常に困難になることによって残留すると考えられる。クラウンフェンスの高さhは一例では800nm程度に達する。この高さは配線溝22を形成するための絶縁膜17および16のエッチング条件によっても変化するが、平均して配線溝22の深さの1/5〜1/3程度であった。
【0041】
次に図3(b)に示すように、例えば酸素ガスを含むプラズマを用いたプラズマアッシング処理によりレジスト膜21と接続孔19a、19bに埋め込まれたレジスト20を除去する。このプラズマアッシング処理には、例えば平行平板電極が搭載されたRIE方式のプラズマアッシング装置を用いて、O2流量:300ml/min.(標準状態)、酸素ガス圧力:30Pa〜35Pa、被処理基板が載置された下部電極の印加電力:300W〜400W、アッシング時間:100secの条件で行うことができる。またこの処理に用いるプラズマによって低誘電率絶縁膜16の構成材料を主体とするクラウンフェンス23と配線溝22下部の内部側壁面に露出する低誘電率絶縁膜16の表層部とが変質し、変質クラウンフェンス25とプラズマ変質層26とが形成される。これらの変質部はプラズマによる酸化部というべきものである。
【0042】
プラズマ変質層26や変質クラウンフェンス25は微視的に見れば以下のように形成されると考えられる。すなわち、低誘電率絶縁膜16はSiCwHxOy(w>0、x≧0、y>0)で表されるが、立体的に見ればSi−Oのネットワークからなる分子骨格を主体とし部分的にSi−CH3結合を有する構成になっている。プラズマアッシング処理ではこのような構造のうち炭素や水素にプラズマ中の酸素ラジカルO*が反応し、反応式
SiCwHxOy+O*→SiOv(v=1〜2)+CO2↑+H2O↑
で表される反応過程を経る。O*の作用によって低誘電率絶縁膜16の構成材料中にはSi−O結合が増加すると共に、特にSi−CH3結合が切断されSiのダングリングボンドが多数生成される。このダングリングボンドの一部は新たにSi−OH結合となるが多数のダングリングボンドがそのまま保持され、アッシングプラズマのダメージを受けた状態となる。
【0043】
これに対してTEOSなどを原料として堆積される絶縁膜17はほぼSi−O結合のネットワークだけから構成され、SiO2に近い密な分子構造を有しているので低誘電率絶縁膜16と比較してアッシングプラズマによるダメージ、膜の変質をほとんど受けることがない。
【0044】
次に図4(a)に示すように、低誘電率絶縁膜16を溶解可能な、例えば純水希釈のフッ化水素酸(HF)処理液に接触させて洗浄処理を行い、前記の変質クラウンフェンス25を除去する。クラウンフェンス25はダングリングボンドが多い状態になっているためにHF希釈液中のF-と結合し易く、変質を受ける前より溶解速度が速くなる。従って酸化シリコン系の絶縁膜14および17をほとんどエッチングすることなく選択的に容易に除去することができる。変質クラウンフェンス25の除去と同時に、配線溝22の内部側壁面に形成されたプラズマ変質層26も同時に除去されるので、低誘電率絶縁膜16の側壁面が絶縁膜17の内部側壁面より横方向に後退し絶縁膜17の側壁との間に段差が形成されるが、狭い方の配線溝の幅であっても約3μmと十分に大きいため、この段差は配線構造の電気的特性に影響する程度にまで達しない。
【0045】
次に図4(b)に示すように、接続孔19a、19bのパターンをマスクとして下層配線11および12を被覆していた第1エッチングストッパー膜13を下層配線11および12の表面が露出するまでエッチングする。このときのエッチングは、平行平板電極を搭載したRIE方式プラズマエッチング装置を用い、C48流量:10ml/min.(標準状態)、CF4流量:100ml/min.(標準状態)、トータルガス圧力:20Pa、上部電極の印加電力:500W(60MHz)、被エッチング基板を載置した下部電極の印加電力:300W(2MHz)、下部電極の温度:20℃、エッチング時間:1min.の条件で行うことができる。
【0046】
次に図5(a)に示すように、接続孔19a、19bおよび配線溝22の内部を含み、接続孔19a、19bの側壁において5nm程度、その底部において20nm程度、配線溝22の側壁およびその底部において5nm程度の膜厚となるように窒化タンタルからなる導電性のバリアメタル膜27をスパッタリング法を用いて堆積する。次にArガスのような希ガスまたは不活性ガスを用いてスパッタエッチングにより接続孔19a、19b底部のバリアメタル膜27を10nm程度残存するようにエッチングを行う。次に薄い導電膜として銅膜からなる電解メッキ用のシード膜28をスパッタリング法により堆積した後、電解メッキ法によりシード膜28上に配線用導電膜として銅膜29を形成する。
【0047】
次に図5(b)に示すように、配線溝22の外部に形成されていた銅膜29、シード膜28、バリアメタル膜27、および絶縁膜17の表層部を例えばCMP法を用いて研磨除去することにより、銅膜29、シード膜28およびバリアメタル膜27からなり、配線溝22に埋め込まれた上層配線と、この上層配線と下層配線11、12とを接続する接続孔19a、19bに埋め込まれたプラグを形成し上層配線構造が完成する。
【0048】
以上のように本発明によるデュアルダマシン法を用いた多層配線形成方法では、配線溝22を形成するための絶縁膜として下層が低誘電率絶縁膜16、上層が通常の酸化シリコン系の絶縁膜17の積層膜を用いる。この構成により、図3(a)の工程においてレジスト20の突出部の周囲に生じるクラウンフェンス23を、絶縁膜17と比較してプラズマによるダメージを生じて極めて変質を受けやすい低誘電率絶縁膜16の材料からなるものとすることができる。このため、例えばフッ素を含む溶液を用い、配線溝22や接続孔19a、19bの断面形状に何等の望ましくない変化を及ぼすことなくクラウンフェンスを選択的に除去することが可能となる。従って多層配線の製造歩留まりが向上し、信頼性の高い多層配線構造を得ることができる。
【0049】
低誘電率膜16の膜厚はレジスト20の突出部の高さh(図3(a)参照)以上に設定することが望ましい。配線溝22形成時のエッチング機構から考えてクラウンフェンス23は図3(a)に示すようにレジスト20の突出部の高さhとほぼ同一の高さに形成される。従ってもし低誘電率絶縁膜16の膜厚が高さhより小さければクラウンフェンス23の下部は低誘電率絶縁膜16の構成材料となるが上部は絶縁膜17の構成材料となる。後者の構成材料はプラズマによる変質をほとんど受けないので、フッ素を含む処理液(または洗浄液)などを用いてクラウンフェンスの除去処理を行った時、その下部は容易に処理液に溶解するのに対して上部は完全に溶解せずに処理液中に浮遊し、それが被処理基板上に再付着してパーティクルとなる可能性がある。またこのクラウンフェンスを完全に処理液に溶解しようとすると、処理時間が長くなるので配線溝などの断面形状が変形する可能性がある。
【0050】
既に説明したように(図3(a)の工程)、形成されるクラウンフェンス23の高さが配線溝22の深さの1/5〜1/3程度であるから、実際の工程では、低誘電率絶縁膜16の膜厚を、(低誘電率絶縁膜16の膜厚+絶縁膜17の膜厚)/低誘電率絶縁膜16の膜厚=3〜5程度となるとなるように設定すればよい。膜16と膜17の合計膜厚が3〜10μmの範囲では、余裕を見て低誘電率絶縁膜16の膜厚範囲は0.6μm〜2μmとすることが望ましい。
【0051】
上記本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法は、種々の変更が可能である。上記実施形態では低誘電率絶縁膜16として、トリメチルシランやテトラメチルシランを原料として堆積され、比誘電率2.8〜3.5の膜を用いたが、これに代えて比誘電率が例えば2.2以上で且つ2.8より小さく、内部に空孔を多数有する酸化シリコン系の多孔質低誘電率絶縁膜(多孔質SiOCH膜)を用いてもよい。
【0052】
この多孔質低誘電率絶縁膜は、まずトリメチルシランまたはテトラメチルシランと、ポロジェンと呼ばれる前記空孔の形成材料との混合ガスを原料として、プラズマCVD法により堆積する。ポロジェンは例えばSi−O結合を含み環状分子構造を持つ有機化合物であり、例えば環状型シロキサンなどが挙げられ、堆積膜中にほぼ粒子状に取り込まれている。その後例えば堆積膜に紫外線を照射し、膜中のポロジェンを分解脱離させて複数の空孔を含む多孔質低誘電率絶縁膜に変化させる。多孔質低誘電率膜の比誘電率は、比誘電率が真空に近い空孔を含むため、平均して低誘電率絶縁膜16より低くなる。
【0053】
多孔質低誘電率絶縁膜を用いた場合、配線溝22の形成後多孔質低誘電率絶縁膜材料からなるクラウンフェンスが形成され(図3(a)の工程)、その表面には空孔が多数露出しているために表面積が大きくなっている上に空孔がクラウンフェンス内部まで存在する。このため、例えば図3(b)の工程において酸素を含むプラズマアッシングを実施した場合、酸素ラジカルが深部まで容易に侵入し、上に説明した低誘電率絶縁膜16に対する機構と同様な機構で低誘電率絶縁膜16より大きいダメージを与えクラウンフェンスを変質させる。このように変質の大きいクラウンフェンスは、フッ素を含む処理液などで絶縁膜14や17に対して一層容易に選択的に除去することができる。
【0054】
また本発明の実施形態では、絶縁膜16を絶縁膜14または17より比誘電率の低い絶縁膜として採用した(図1(b))。酸化シリコン系の膜である絶縁膜14や17はほとんどSiO2に近いほぼ一様な密度の分子構造を有する膜である。しかし低誘電率膜16は、サイズの大きいCH3−基を部分的に含むことでSi−O結合によるネットワーク形成を阻害し、CH3−の周辺にSi−Oからなる環状構造、すなわち空孔状の領域を形成している。多孔質低誘電率絶縁膜は当然のことながら明確な空孔を含む。このことからこれら低誘電率絶縁膜は実質的に低密度の膜である。従って膜16として絶縁膜14または17より密度の小さい絶縁膜を用いることができる。さらに上の議論に基づけば、膜16として絶縁膜14または17よりプラズマに対する耐性の小さい絶縁膜を用いることができる。
【0055】
次に、本発明の実施形態ではクラウンフェンス23の変質にレジスト21(図3(a))の酸素を含むプラズマアッシング工程を兼用したが、配線溝22を形成するためのドライエッチングガスとして酸素を含む混合ガスを用い、このエッチングプラズマを兼用してもよい。またこれらの工程とは独立した、酸素を含むプラズマによるクラウンフェンス変質処理工程を設けてもよい。
【0056】
本発明は、最上層の配線を含め、接続孔径、配線幅および厚さの大きい上層の配線構造の製造において特に利点を有するものである。上層配線は初めに述べたように、幅の狭い配線と共に広幅の配線(電源線など)も同時に形成され、広幅の配線は1箇所に複数の接続孔を密集して設けて下層の配線と電気的に接続される。このような配線では配線溝形成後は図3(a)のような形状となる。配線溝を形成すべき絶縁膜を通常の比誘電率の高い絶縁膜(例えば絶縁膜17)のみとする従来の製造方法ではクラウンフェンスを効率的に除去できない。このため単一接続孔にレジストの突出部を形成しないように、例えば図2(b)の工程において接続孔19bに埋め込むレジスト20の高さを絶縁膜17の表面より低くしておくと、広幅の配線を形成する領域にある接続孔19a内のレジスト20の高さはさらに低くなる。この状態で配線溝形成用エッチングを行うと、広幅配線形成領域の接続孔19a内のレジスト20が速やかに失われ、その下の第1エッチングストッパー膜13もエッチングされて下層配線12の表面が露出する可能性がある。
【0057】
これを回避するには例えば図2(a)の工程の後再度レジスト塗布し、レジストエッチバックを行って幅の狭い配線形成領域と広幅配線形成領域でのレジスト高さが近づくようにすればよいが、工程が煩雑となり製造コストが上昇する。これに対して本発明によればそのような問題を解消することができる。
【0058】
本発明が対象とする配線構造は、実施の形態のように接続孔の径が約2.5μm、幅の狭い配線幅が約3μm、配線溝が形成される絶縁膜の厚さが5μmといった構造に限らず、接続孔の径が0.5μm〜3μm、幅の狭い配線幅が1μm〜5μm、配線溝が形成される絶縁膜の厚さが3μm〜10μmの範囲の構造に適用して有効である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、本発明はデュアルダマシン法を用いる配線構造、特に多層配線の最上層配線を含む上層配線構造を形成場合に特に適すると共に、上層配線でなくともその製造過程でクラウンフェンスが発生するような配線構造の形成に適用して有効である。
【符号の説明】
【0060】
10 層間絶縁膜
11、12 下層配線
13 第1エッチングストッパー膜
14、17 絶縁膜
15 第2エッチングストッパー膜
16 低誘電率絶縁膜
18、21 レジスト膜
19a、19b 接続孔
20、34、36、36a レジスト
22 配線溝
23、38 クラウンフェンス
24、39 反応生成物
25 変質クラウンフェンス
26 プラズマ変質層
27 バリアメタル膜
28 シード膜
29 銅膜
30 下地層
31 Si34
32 有機SOG層
33 p−TEOS層
35 ホール
37 溝
40、41 バリアメタル
42 Cu膜
43 ボイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間絶縁膜上、および前記層間絶縁膜に形成された下層配線上に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成し、前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成すると共に、前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より密度の小さい膜、または前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より比誘電率の小さい膜、または前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜よりプラズマに対する耐性の小さい膜とする工程と、
前記第3絶縁膜、前記第2絶縁膜、前記第1絶縁膜を順次選択的にエッチングし、前記第3絶縁膜から前記第1絶縁膜まで貫通し、前記下層配線の直上に位置する接続孔を形成する工程と、
前記接続孔に有機性材料を埋め込む工程と、
前記有機性材料を埋め込む工程の後、前記接続孔上に開口を有するマスク層を形成する工程と、
前記マスク層をマスクとして、前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜を選択的にエッチングし、配線溝を形成する工程と、
前記配線溝の形成後、少なくとも前記配線溝の内部にプラズマ処理を施す工程と、
前記マスク層および前記接続孔に埋め込まれた有機性材料を除去する工程と、
前記プラズマ処理の後、前記第2絶縁膜を溶解可能な処理液で処理する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記プラズマ処理を施す工程において、前記配線溝の内部に露出する前記第2絶縁膜の表面に変質層が形成され、
前記第2絶縁膜を溶解可能な処理液で処理する工程において、前記変質層が除去されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記下層配線は、幅の狭い第1配線と、前記第1配線より幅の広い第2配線を含み、前記第1配線の直上に位置する前記接続孔は単一の接続孔であり、前記第2配線の直上に位置する前記接続孔は複数の接続孔が密集して形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記配線溝の形成は、前記配線溝の底面から前記有機性材料が上方へ突出した突出部を形成するように行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2絶縁膜は、該第2絶縁膜の上面が、前記配線溝の形成時に該配線溝の底面上に突出する前記突出部の上面より高くなるような膜厚に形成することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2絶縁膜の膜厚に対する、前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜の膜厚の和の比は3〜5であることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2絶縁膜の膜厚と前記第3絶縁膜の膜厚の和は3μm〜10μmであり、前記第2絶縁膜の膜厚は0.6μm〜2μmであることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記プラズマ処理を施す工程と、前記マスク層および前記接続孔に埋め込まれた有機性材料を除去する工程とを同時に行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記プラズマ処理を施す工程と、前記配線溝を形成する工程とを同時に行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2絶縁膜は前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より比誘電率の小さい膜であり、前記有機性材料および前記マスク層はレジストからなり、前記プラズマ処理は酸素を含むプラズマで行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第2絶縁膜は比誘電率が2.8〜3.5の炭素を含む酸化シリコン系の絶縁膜、または内部に複数の空孔を含む多孔質絶縁膜であることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
層間絶縁膜上、および前記層間絶縁膜に設けられた下層配線上に、第1絶縁膜が形成され、
前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜が形成され、さらに前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜が形成されると共に、前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より密度の小さい膜、または前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より比誘電率の小さい膜、または前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜よりプラズマに対する耐性の小さい膜からなり、
前記第1絶縁膜には前記下層配線に達する接続孔が形成され、
前記第3絶縁膜の上面から前記第2絶縁膜にかけて形成されると共に前記接続孔に達し、その内側に露出する前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜のうち、前記第2絶縁膜の側壁が前記第3絶縁膜の側壁より横方向に後退している配線溝が形成され、
前記配線溝および前記接続孔に導電膜を埋め込むことによって上層配線が形成された
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
前記下層配線は、幅の狭い第1配線と、前記第1配線より幅の広い第2配線を含み、前記第1配線の直上に位置する前記接続孔は単一の接続孔であり、前記第2配線の直上に位置する前記接続孔は複数の接続孔が密集して形成されたものであることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より比誘電率が小さく、内部に複数の空孔を含む多孔質絶縁膜であることを特徴とする請求項12または13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第2絶縁膜の膜厚に対する前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜の膜厚の和の比は3〜5であることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項16】
前記上層配線は最上層の配線であることを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜および前記第3絶縁膜より比誘電率が小さく、前記第3絶縁膜は比誘電率が3.9〜4.0の酸化シリコン系の絶縁膜であり、前記第2絶縁膜は比誘電率が2.8〜3.5の炭素を含む酸化シリコン系の絶縁膜であり、前記導電膜は銅膜であることを特徴とする請求項13、15または16のいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−104667(P2012−104667A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252114(P2010−252114)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】