説明

半導体装置の製造方法

【課題】高価な製造装置を設置することなく、銅を含む配線層の腐食が発生せず、配線層を構成する銅とポリイミド前駆体との反応による配線層の劣化を防止することができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも銅を含有する配線層6を形成する工程と、配線層6上にポリイミド層7を形成する工程を有する半導体装置の製造方法であり、ポリイミド層7を形成する工程は、ポリイミド層7を不活性ガス中で重合することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関し、より詳しくは少なくとも銅を含む配線層上にポリイミド層を形成する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線層上にポリイミド層を形成する特許文献として、たとえば特許文献1がある。特許文献1に記載の半導体装置の製造方法を、特許文献1に添付されている図1−図9を用いて説明する。
絶縁膜(パッシベーション膜:3)と第1のポリイミド層(樹脂層:r)とを、電極パッド(Al電極:1)が開口するように形成する。その後、全面にCu薄膜層6を形成する。その後、フォトレジストPR1を塗布し、フォトレジストPR1に開口を形成する。その後、フォトレジストPR1の開口内に、めっきにより銅からなる配線層7を形成する。その後、配線層7上にポスト8を形成する。その後、配線層7とポスト8とを被覆するように、Si膜SNをプラズマCVD法で形成する。その後、ポリイミド層Rを形成する。
【0003】
特許文献1に記載の半導体装置の製造方法においては、銅からなる配線層7とポリイミド樹脂Rとの間にSi膜SNを設けている。このため、配線層7とポリイミド層Rとが直接接触しない構造となっている。したがって、銅からなる配線層7をSi膜SNで被覆すれば、イミド化時の高温反応でイミド層が銅と反応することはない。
Si膜SNは、SiO膜よりもバリア材として優れ、しかもプラズマCVD法による成膜では、ステップカバレージも良好である。
【0004】
【特許文献1】特許第3813367号(段落0037−段落0062、および図1−図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置を実装するガラスエポキシなどの樹脂基板と、シリコンからなる半導体基板との熱膨張係数の差により、応力が発生する。この応力は、ポスト根元部のコーナーへ集中する。Si膜は硬く脆い特性を有する。
よって、熱膨張係数の差によって発生した応力が起因となって、Si膜にクラックが発生する。Si膜のクラックから水分が浸入して配線層が腐食される。その結果、配線層は、抵抗値の増加や断線が発生するという問題点がある。
【0006】
さらに、引用文献1では、ポスト上のSi膜を開口するために、以下の製造方法を行なっている。すなわち、メタルマスクを用いて露光処理と、現像処理とを行ないポスト上のポリイミド層を開口する。露光処理はフォトリソグラフィー装置を使用する。その後、ポリイミド層をマスクにして、ポスト頂部のSi膜をエッチング除去する。
このため製造工程が長く、かつ複雑な処理工程を行なう必要がある。また、高価なプラズマCVD装置やフォトリソグラフィー装置を設置しなければならない。その結果、製造コストが上昇するという問題点もある。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題点を解決して、高価な製造装置を設置することなく、少なくとも銅を含む配線層の腐食が発生せず、配線層を構成する銅とポリイミド前駆体との反応による配線層の劣化を防止できる半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記する目的を達成するために、本発明の半導体装置の製造方法では、下記記載の手段を採用する。
本発明の半導体装置の製造方法は、少なくとも銅を含有する配線層を形成する工程と、該配線層上にポリイミド層を形成する工程を有する半導体装置の製造方法において、前記ポリイミド層を形成する工程は、前記ポリイミド層を不活性ガス中で重合することを特徴とする。
本発明の半導体装置の製造方法における前記配線層を形成する工程では、電極パッドとポストを接続することを特徴とする。
本発明の半導体装置の製造方法における前記配線層を形成する工程では、半導体素子と電極パッドを接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
少なくとも銅を含む配線層上にポリイミド層を形成する本発明の製造方法では、ポリイミド前駆体のキュアを、不活性ガス中の低酸素雰囲気で加熱処理して行なう。この結果、配線層の酸化による劣化や配線層とポリイミド層の密着性低下を防止できる。
また、本発明の半導体装置の製造方法では、配線層を覆うSi膜を形成する必要が無い。したがって、Si膜のクラック発生によって生じる配線層の腐食は発生しない。さらに、高価な装置を設置する必要も無い。この結果、製造コストの上昇もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態における半導体装置の製造方法を説明する。図1−図4、および図6−図10は、本発明の半導体装置の製造方法を示す断面図である。図5は、本発明の半導体装置の製造方法におけるポリイミド前駆体をキュアする時間と温度との関係を示す図面である。
はじめに、再配置配線の配線層上にポリイミド層を形成する実施形態の製造方法を、図1−図9を用いて説明する。なお、図1−図4、および図6−図9では、半導体基板の内部に形成するトランジスタやダイオードなどの能動素子や、抵抗や容量などの受動素子や、コンタクトホールや、複数のメタル層などの図示を省略している。
【0011】
図1に示すように、入出力端子となる電極パッド2を半導体基板1に形成する。電極パッド2は、半導体基板1の周縁部で、かつ素子間分離絶縁膜(図示せず)上に形成する。
その後、電極パッド2を含む半導体基板1上の全面に絶縁膜3を形成する。その後、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術を用いて、電極パッド2の中央領域が開口するように、絶縁膜3をパターニングする。電極パッド2の周辺部から水分の侵入を防ぐために、電極パッド2周辺部は絶縁膜3で被覆することが望ましい。絶縁膜3はパッシベーション膜とも呼ばれ、窒化シリコン膜やポリイミド樹脂からなる。そして、半導体基板1に形成した前記の能動素子や受動素子なども、絶縁膜3にて被覆される。
【0012】
その後、第1のポリイミド層4を形成する。この第1のポリイミド層4は、再配置配線における配線層と半導体基板1とを絶縁する役割を具える。
第1のポリイミド層4は、以下に記載する処理工程によって形成する。感光性ポリイミド前駆体の液状樹脂をスピンコート法で形成する。すなわち、回転させた半導体基板1上に感光性ポリイミド前駆体の液状樹脂を滴下することにより、感光性ポリイミド前駆体の液状樹脂を、数μmから数十μmの膜厚で形成する。その後、感光性ポリイミド前駆体の樹脂膜に対して、フォトリソグラフィー技術を適用して、露光処理および現像処理を行ない、電極パッド2の中央部が開口するように、感光性ポリイミド前駆体をパターニングする。その後、温度300℃〜450℃程度の加熱処理を行ない、ポリイミド前駆体を熱硬化反応により重合させて、図2に示す第1のポリイミド層4とする。
【0013】
その後、配線層を形成する。この配線層は、電極パッド2と再配置電極パッド(図4に図示している)とを接続して、突起電極を半導体基板1の素子領域上に再配置するための導電層である。この配線層は、第1の配線層5と第2の配線層6から構成する。
下層の第1の配線層5は、チタン・タングステン(TiW)合金からなる。上層の第2の配線層6は、銅(Cu)からなる。この第1の配線層5と第2の配線層6とは、スパッタリング装置で形成する。このスパッタリング装置を用いて2層の配線層5、6を形成するときは、チャンバー内の減圧状態を解除すること無く、半導体基板1上の全面に連続的に形成する。このように成膜すれば、配線層5、6間に密着性を阻害する酸化膜や不純物層が形成されない。
その後、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術を適用して、電極パッド2から突起電極形成予定領域である再配置電極パッドまで延在するように、第1の配線層5と第2の配線層6とを、図3に示すようにパターニングする。
【0014】
その後、第2のポリイミド層7を、以下に記載する処理工程を行なうことによって形成する。回転させた半導体基板1上に感光性ポリイミド前駆体の液状樹脂を滴下するスピンコート法で、感光性ポリイミド前駆体を形成する。この感光性ポリイミド前駆体の液状樹脂は、数μmから数十μmの膜厚で形成する。その後、フォトリソグラフィー技術を適用して、露光処理および現像処理を行ない、実装基板と接続するための突起電極の形成予定領域である再配置電極パッド10が開口するように、感光性ポリイミド前駆体の液状樹脂被膜をパターニングする。
ここからが、本発明のポイントとなる製造方法である。キュア前のポリイミド前駆体は非常に活性である。このため、酸素を含む雰囲気である大気中でポリイミド前駆体をキュアすると、前記したように、第2のポリイミド層7の劣化や、銅からなる第2の配線層6の酸化が発生する。そこで、本発明の製造方法では、感光性ポリイミド前駆体を、不活性ガス、たとえば窒素(N)ガス雰囲気の低酸素雰囲気中でキュアする。この結果、第2のポリイミド層7の劣化や、銅からなる第2の配線層6の酸化は発生しない。
【0015】
図5は、感光性ポリイミド前駆体のキュアを行なう温度プロファイルを示す図面である。キュアしたのちの膜厚が5μm以上のポリイミド層では、階段型の温度プロファイルを用いてキュアすることが望ましい。すなわち、図5に示すように、350℃で2時間程度のキュアの前に、150℃で1時間程度の予備加熱を行なう。この予備加熱は、ポリイミド前駆体を溶解している溶媒(一般的にNMP)を、重合反応が始まる前に蒸発させることを目的として行なう。なお、キュアしたのちの膜厚が3μm程度またはそれ以下のポリイミド層では、前記した溶媒が蒸発しやすいことから、予備加熱を省略してもよい。
感光性ポリイミド前駆体のキュア処理は、低酸素濃度の雰囲気とするための不活性ガスを導入することが可能な熱風循環型の低酸素オーブンを用いる。この低酸素オーブンは、縦型炉や横型炉のいずれでもよい。
【0016】
内容積が1000リットル程度のオーブンを使用する場合、不活性ガスとして窒素ガス(N)を250リットル/分程度の流量でオーブン内に導入し、加熱前に酸素濃度を100ppm以下とする。低酸素オーブンには、酸素濃度計を設けて酸素濃度を常時計測する。その後、感光性ポリイミド前駆体を、図5に示すような温度プロファイルで加熱処理して重合を行なう。その結果、図4に示す第2のポリイミド層7を形成することができる。
キュア処理が終了して、半導体基板1が室温へ冷却したのちに、窒素ガスの供給を停止して、低酸素オーブン内の酸素濃度を大気中の酸素濃度へ戻す。なお、図5に示す温度プロファイルでは、最初と最後の温度は室温状態としているが、50℃程度でもよい。また、低酸素オーブン内の酸素濃度が100ppm以下に到達して一定時間が経過したのちは、窒素ガス流量を下げ、150リットル/分程度の流量としてもよい。窒素ガス流量を下げても、オーブン内の酸素濃度を100ppm以下に維持することが可能である。このよ
うに窒素ガス流量を少なくすれば、窒素ガス使用量を低減でき、製造コストを低くできる。
【0017】
その後、図6に示すように、半導体基板1上の全面に第1の共通電極層8と第2の共通電極層9を形成する。下層の第1の共通電極層8は、0.1μm〜0.5μmの厚さのチタン・タングステン合金である。上層の第2の共通電極層9は、厚さが0.2μm〜1.0μmの銅である。この第1の共通電極層8と第2の共通電極層9とは、スパッタリング装置で形成する。このスパッタリング装置を用いて2層の共通電極層8、9を形成するときは、チャンバー内の減圧状態を解除すること無く、半導体基板1上の全面に連続的に形成する。このように成膜すれば、共通電極層8、9間に密着性を阻害する酸化膜や不純物層が形成されない。
この多層構造の第1の共通電極層8、および第2の共通電極層9は、再配置電極パッド10と、後述する工程で形成するポストや突起電極との接続層の役割と相互拡散を抑制するバリア層の役割とを具える。さらに、共通電極層8、9は、ポストと突起電極を電解メッキ法にて形成するとき、メッキ電極としての役割も具える。
【0018】
その後、第2の共通電極層9上に感光性レジスト11を形成する。感光性レジスト11は、スピンコート法により形成する。そして、5μm〜20μmの厚さで感光性レジスト11を形成する。その後、フォトリソグラフィー技術である露光処理と現像処理を行ない、再配置電極パッド10が開口するように、感光性レジスト11をパターニングする。
この感光性レジスト11は、開口部である再配置電極パッド10の領域に、選択的にポストと半田層とを形成する役割をもつ。すなわち、感光性レジスト11は、メッキマスクとして機能する。
【0019】
その後、図7に示すように、感光性レジスト11開口内の第2の共通電極層9上にポスト12を形成する。このポスト12は、銅からなり、電解メッキ法により形成する。この電解メッキ処理のとき、第1の共通電極層8と第2の共通電極層9とをメッキの電極として使用する。ポスト12は、5μm〜25μmの厚さで形成する。
ポスト12は、後述の工程で形成する半田層と第2の共通電極層9との相互拡散を防ぐバリア層としての役割を具える。ポスト12材料としては、銅以外に、ニッケルや、ニッケル合金も適用可能である。
【0020】
その後、図8に示すように、半田層13を形成する。半田層13は、感光性レジスト11開口内のポスト12上に形成する。この半田層13は、第1の共通電極層8と第2の共通電極層9とをメッキ電極とする電解メッキ法により形成する。また、半田層13は、無鉛半田である、たとえばスズ(Sn)−銀(Ag)合金からなる。本実施形態では、環境汚染を発生させる鉛を含まない半田を、半田層13として使用している。
この半田層13は、半田をメッキ法で形成する以外に、感光性レジスト11開口内のポスト12上に、半田ボールを搭載する方法で形成してもよい。あるいは、半田ペーストを感光性レジスト11開口内のポスト12上に、スキージにて充填する方法を用いて半田層13を形成してもよい。
その後、感光性レジスト11を剥離する。その後、半田層13とポスト12から露出する第1の共通電極層8と第2の共通電極層9とをエッチング除去する。この結果、第1の共通電極層8と第2の共通電極層9とを、半田層13とポスト12に整合した領域にパターニングする。
【0021】
つぎに、図9に示すように、リフロー処理(ウエットバック処理)を行ない突起電極14を形成する。このリフロー処理では、半導体基板1の半田層13を形成した面にフラックスをスピンコート法により10μm〜50μmの厚さで形成したのち、半田層13の融点を超える230℃〜260℃の温度で加熱処理を行なう。リフロー処理により半田層1
3は溶融して、表面張力で丸くなり、球形状の突起電極14が得られる。このリフロー処理によって形成される球形状の突起電極14の高さは、100μm程度である。その後、洗浄処理を行なってフラックスを除去する。
このリフロー処理は、フラックス塗布をしないで、水素還元雰囲気中の加熱処理により半田層13を溶融させて、突起電極14を形成してもよい。
【0022】
このように、本発明では、銅からなる第2の配線層6上に第2のポリイミド層7を直接形成している。そして、本発明の製造方法においては、ポリイミド前駆体のキュアを不活性ガス中の低酸素雰囲気で行なっている。この結果、活性なポリイミド前駆体による第2の配線層6の酸化による劣化や、第2の配線層6と第2のポリイミド層7との密着性低下が生じることは無い。
また特許文献1にて、配線層を被覆するように形成した、硬く脆い特性のSi膜を形成する必要が無い。このため本発明では、Si膜のクラックに起因する水分浸入は無い。よって、配線層の腐食は発生せず、配線抵抗値の増加や断線が生じることは無い。さらに、製造工程が特許文献1より短く、かつ複雑な処理工程を行なう必要もない。また、高価なプラズマCVD装置やフォトリソグラフィー装置を設置する必要も無い。よって、本発明は半導体装置の製造コストも安価に抑えられる。
【0023】
つぎに、以上説明した実施形態と異なる実施形態における半導体装置の製造方法を、図10の断面図を用いて説明する。
図10を用いて説明する実施形態は、半導体素子21と電極パッド2を接続する配線層22に、本発明を適用した製造方法である。
【0024】
半導体素子21としては、能動素子や受動素子が適用できる。この図10に示す実施形態では、MOSトランジスタを半導体素子21として例示する。
二酸化シリコン膜からなる素子間分離絶縁膜25に囲まれた素子形成領域を、半導体基板1に形成する。MOSトランジスタは、この素子形成領域に形成する。このMOSトランジスタは、半導体基板1表面に形成するゲート絶縁膜27と、このゲート絶縁膜27上に形成するゲート電極26と、このゲート電極26に整合する領域の半導体基板1に形成するソース領域28とドレイン領域29を有する。その後、半導体基板1の全面に、配線層22と半導体基板1との絶縁を行なうための絶縁膜23を形成する。その後、ソース領域28とドレイン領域29が開口するように、絶縁膜23にコンタクトホール30を形成する。その後、コンタクトホール30を介して、ソース領域28とドレイン領域29に接続する配線層22を形成する。ドレイン領域29から素子間分離絶縁膜25と絶縁膜23との上面を延在する配線層22は、入出力端子である電極パッド2に接続している。この電極パッド2は、素子間分離領域で、しかも半導体基板1の周縁部に形成している。その後、配線層22を被覆するとともに、電極パッド2が開口するポリイミド層24を形成する。
【0025】
ドレイン領域29と電極パッド2を接続する配線層22としては、アルミニウムやアルミニウムとシリコンの合金に比較して、抵抗値が低い銅が使用されている。この理由は、銅からなる配線層22を用いる半導体装置では、信号遅延が発生しないことから、高速化が可能となるためである。
この銅からなる配線層22を被覆するように、ポリイミド層24を形成する場合も、さきに図1−図9を用いて説明した実施形態と同じ製造方法を適用すれば、前記した効果と同様な効果を得ることができる。半導体素子21と電極パッド2を接続する配線層22上に、ポリイミド層24を形成する製造方法を詳しく説明する。
【0026】
配線層22を形成した後、感光性ポリイミド前駆体の液状樹脂を、回転させた半導体基板1上に滴下するスピンコート法で、数μmから数十μmの膜厚で形成する。その後、感
光性ポリイミド前駆体の樹脂膜を、フォトリソグラフィー技術を適用して、露光処理と現像処理を行ない、電極パッド2が開口するようにパターニングする。
ポリイミド前駆体は非常に活性であり、酸素を含む雰囲気中で高温処理すると、ポリイミド層24の劣化や、銅からなる配線層22の酸化が発生する。そこで、本発明の製造方法では、感光性ポリイミド前駆体を、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中の低酸素雰囲気でキュアする。この結果、ポリイミド層24の劣化や、銅からなる配線層22の酸化は発生しない。
【0027】
感光性ポリイミド前駆体のキュアは、図5に示す温度プロファイルで行なう。はじめに150℃で1時間程度の予備加熱を行なったのち、350℃で2時間程度のキュアを行なう。なお、ポリイミド前駆体中の溶媒が蒸発しやすい膜厚のときは、予備加熱を省略してもよい。感光性ポリイミド前駆体のキュア処理は、低酸素濃度の雰囲気とするため、不活性ガスを導入できる熱風循環型の縦型炉や横型炉からなる低酸素オーブンを用いる。
低酸素オーブンには、250リットル/分程度の流量で不活性ガスとして窒素ガス(N)を導入し、加熱前に酸素濃度を100ppm以下とする。その後、感光性ポリイミド前駆体を加熱して、重合を行ないポリイミド層24を得る。キュア処理が終了して、半導体基板1が室温へ冷却したのちに、窒素ガスの供給を停止して、低酸素オーブン内の酸素濃度を大気中の酸素濃度へ戻す。
【0028】
さらに、図10を用いて説明した実施形態では、配線層22として銅から構成する例で説明した。銅以外のアルミニウム・銅合金やアルミニウム・シリコン・銅合金など少なくとも銅を含む配線層22を被覆するように、ポリイミド層24を形成する場合も、本発明の製造方法を適用することができ、同様な効果が得られる。
また、図1−図9を用いて説明した実施形態でも、第2の配線層6としては、アルミニウム・銅合金やアルミニウム・シリコン・銅合金など少なくとも銅を含む配線層を適用でき、この第2の配線層6上に第2のポリイミド層7を形成する場合も、以上説明した製造方法を適用でき、同様な効果が得られる。さらに、電極パッド2としてアルミニウム・銅合金やアルミニウム・シリコン・銅合金など少なくとも銅を含む配線層を適用し、第1のポリイミド層4を形成する場合も、以上説明した製造方法を適用でき、同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法を示し、ポリイミド前駆体をキュアする温度プロファイルを示す図面である。
【図6】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 半導体基板
2 電極パッド
3 絶縁膜
5 第1の配線層
6 第2の配線層
7 第2のポリイミド層
10 再配置電極パッド
12 ポスト
21 半導体素子
22 配線層
24 ポリイミド層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも銅を含有する配線層を形成する工程と、該配線層上にポリイミド層を形成する工程を有する半導体装置の製造方法において、
前記ポリイミド層を形成する工程は、前記ポリイミド層を不活性ガス中で重合することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記配線層を形成する工程では、電極パッドとポストを接続することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記配線層を形成する工程では、半導体素子と電極パッドを接続することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−244237(P2008−244237A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84166(P2007−84166)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】