半導体装置モジュール及びこれに用いられる熱伝導チップ
【課題】半導体装置モジュールの放熱効果が不充分であったために、発光効率の向上に限度があった。
【解決手段】配線基板11上に、p側電極パッド12、n側電極パッド13、熱引き用パッドとしても作用する接地電極パッド14、駆動回路制御電極パッド15を形成する。LEDパッケージ16をp側電極パッド12及びn側電極パッド13上に、駆動回路17をn側電極パッド13、GND電極パッド14及び駆動回路制御電極パッド15上に、熱伝導チップ18をp側電極パッド12及び接地電極パッド14上に形成する。LEDパッケージ16からの熱は、矢印Y1に示すごとく、放熱される。
【解決手段】配線基板11上に、p側電極パッド12、n側電極パッド13、熱引き用パッドとしても作用する接地電極パッド14、駆動回路制御電極パッド15を形成する。LEDパッケージ16をp側電極パッド12及びn側電極パッド13上に、駆動回路17をn側電極パッド13、GND電極パッド14及び駆動回路制御電極パッド15上に、熱伝導チップ18をp側電極パッド12及び接地電極パッド14上に形成する。LEDパッケージ16からの熱は、矢印Y1に示すごとく、放熱される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置たとえば発光ダイオード(LED)パッケージを配線基板に実装搭載した光半導体装置モジュール及びこれに用いられる熱伝導チップに関する。
【背景技術】
【0002】
光半導体装置モジュールは、配線パッドを形成した配線基板にLEDパッケージを実装搭載することによって構成される。
【0003】
上述の光半導体装置モジュールにおいては、LEDが動作すると、熱がモジュール内にこもり、この結果、LED内部の発光層の接合温度が上昇して発光効率が低下する。このため、光半導体装置モジュールに放熱対策を施してLED内部の発光層の接合温度の上昇を抑える必要がある。
【0004】
図11は第1の従来の光半導体装置モジュールの平面図である(参照:特許文献1)。
【0005】
図11の光半導体装置モジュールにおいては、配線基板101上に、p側電極パッド102、n側電極パッド103及び熱引き用パッド104を形成し、発光効率が高いフリップチップ型のLEDパッケージ105をp側電極パッド102、n側電極パッド103及び熱引き用パッド104上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。この場合、熱引き用パッド104は配線基板101に広く接触しているので、放熱効果は大きい。これにより、LEDパッケージ105からの熱は、矢印X1で示すごとく、熱引き用パッド104に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0006】
図12は第2の従来の光半導体装置モジュールの平面図である。
【0007】
図12の光半導体装置モジュールにおいては、配線基板201上に、p側電極パッド202、n側電極パッド203及びn側電極パッド203に接続され熱引き用パッドとして作用する大型の接地(GND)電極パッド204を形成し、発光効率が高いフリップチップ型のLEDパッケージ205をp側電極パッド202及びn側電極パッド203上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。この場合、熱引き用パッドとしてのGND電極パッド204は配線基板201に接触しているので、放熱効果は大きい。これにより、LEDパッケージ205からの熱は、矢印X2で示すごとく、n側電極パッド203からGND電極パッド204に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0008】
図13は第3の従来の光半導体装置モジュールの断面図である。
【0009】
図13の光半導体装置モジュールにおいては、金属の放熱基板301上に、絶縁層302を形成する。次に、絶縁層302上に、p側電極パッド303及びn側電極パッド304を形成し、さらに、発光効率が高いフリップチップ型のLEDパッケージ305をp側電極パッド303及びn側電極パッド304上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。この場合、放熱基板301は金属たとえば銅(Cu)よりなるので、放熱効果は大きい。これにより、LEDパッケージ305からの熱は、矢印X3で示すごとく、p側電極パッド303及びn側電極パッド304から放熱基板301に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0010】
図14は第4の従来の光半導体装置モジュールの断面図である(参照:特許文献2のサブマウント)。
【0011】
図14の光半導体装置モジュールにおいては、多層基板401内に、熱引き用のベタ電極パッド401a及びスルーホール401bを形成する。また、多層基板401上に、p側電極パッド402及びn側電極パッド403を形成する。この場合、p側電極パッド402及びn側電極パッド403はスルーホール401bを介してベタ電極パッド401aに接続される。さらに、発光効率が高いフリップチップ型のLEDパッケージ404をp側電極パッド402及びn側電極パッド403上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。この場合、ベタ電極パッド401aは金属たとえば銅(Cu)よりなるので、放熱効果は大きい。これにより、LEDパッケージ404からの熱は、矢印X4で示すごとく、p側電極パッド402及びn側電極パッド403からスルーホール401bを介してベタ電極パッド401aに放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−135694号公報
【特許文献2】特開2006−86139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、図11の光半導体装置モジュールにおいては、放熱効果を向上させるためには、熱引き用パッド104の面積を大きくしなければならないが、配線基板101の制約、併せて駆動回路及び金属リフレクタ(図示せず)の配線基板101上への設置から熱引き用パッド104の面積を大きくできない。従って、放熱効果に限度があり、この結果、発光効率の向上には限度があるという課題があった。
【0014】
また、現在主流となっている光半導体装置モジュールにおいては、電流制御回路はn側電極に接続されるが、この時、図12のようにn側電極パッド203とGND電極パッド204をそのまま接続することは不可能という課題があった。
【0015】
さらに、図13の光半導体装置モジュールにおいては、放熱基板301が金属よりなるので、製造コストが高いという課題があり、また、放熱効果を向上させるには、放熱基板301を厚くして熱容量を増加させる必要があり、この結果、光半導体装置モジュールの薄型化が困難であるという課題もあった。
【0016】
さらにまた、図14の光半導体装置モジュールにおいては、放熱効果を向上させるためには、スルーホール401bの数を増加させる必要があり、さらに、このようなスルーホール401bを有する多層基板401によって製造コストが上昇するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の課題を解決するために、本発明に係る半導体装置モジュールは、半導体装置と、半導体装置を実装搭載するための少なくとも2つの配線パッド及び熱引き用パッドが形成された配線基板と、配線パッドの少なくとも1つと熱引き用パッドとの間の配線基板上に設けられた熱伝導チップとを具備し、熱伝導チップが、少なくとも第1、第2の電極と、第1、第2の電極間に設けられた絶縁性高熱伝導部材とを具備し、第1の電極が配線パッドの少なくとも1つに接続され、第2の電極が熱引き用パッドに接続されたものである。これにより、半導体装置からの熱は、配線パッドの少なくとも1つ及び熱伝導チップを介して熱引き用パッドに放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0018】
また、半導体装置に用いられる熱伝導チップは、少なくとも第1、第2の電極と、第1、第2の電極間に設けられた絶縁性高熱伝導部材とを具備する。これにより、電気的接続の影響を受けずに種々の放熱接続が可能となる。
【0019】
絶縁性高熱伝導部材は絶縁耐圧が1kV/mm以上かつ空気の熱伝導率より大きい熱伝導率を有し、たとえばアルミナ及び窒化アルミニウムの1つよりなる。
【0020】
また、絶縁性高熱伝導部材の表面に放熱加工部を設ける。放熱加工部は絶縁性高熱伝導部材の上面、側面、裏面のいずれか1つ以上に設けられた凹凸面である。これにより、絶縁性高熱伝導部材の放熱効果はさらに向上する。
【0021】
第1、第2の電極間ギャップがスパークギャップとして作用する。これにより、半導体装置に高電圧が印加された場合の静電破壊を防止する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、熱伝導チップにより、放熱効果を向上させることができ、また、金属の放熱基板を用いず、熱伝導チップを基板上に設けたことにより、半導体装置モジュールの薄型化できる。さらに、多数のスルーホールを有する多層基板も用いないので、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る光半導体装置モジュールに用いられる第1の熱伝導チップを示す平面図である。
【図2】図1の(A)の熱伝導チップの斜視図である。
【図3】本発明に係る光半導体装置モジュールに用いられる第2の熱伝導チップを示す平面図である。
【図4】図3の(A)の熱伝導チップの斜視図である。
【図5】本発明に係る光半導体装置モジュールに用いられる第3の熱伝導チップを示す平面図である。
【図6】図5の(A)の熱伝導チップの斜視図である。
【図7】本発明に係る光半導体装置モジュールの第1の実施の形態を示す平面図である。
【図8】本発明に係る光半導体装置モジュールの第2の実施の形態を示す平面図である。
【図9】本発明に係る光半導体装置モジュールの第3の実施の形態を示す平面図である。
【図10】本発明に係る光半導体装置モジュールの第4の実施の形態を示す平面図である。
【図11】第1の従来の光半導体装置モジュールを示す平面図である。
【図12】第2の従来の光半導体装置モジュールを示す平面図である。
【図13】第3の従来の光半導体装置モジュールを示す断面図である。
【図14】第4の従来の光半導体装置モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明に係る光半導体装置モジュールに用いられる第1の熱伝導チップを示す平面図である。
【0025】
図1の(A)に示す熱伝導チップC1は2電極構造をなし、放熱機能を有する絶縁性高熱伝導部材1及びその両端に設けられた2つの電極2−1、2−2によって構成される。絶縁性高熱伝導部材1は、好ましくは、絶縁(耐圧)が1kV/mm以上で空気の熱伝導率(κ=0.0241)より大きい熱伝導率(たとえばκ≧10W/(m・K))を有する。たとえば、絶縁性高熱伝導部材1は絶縁耐圧13〜15kV/mm、κ=170〜230W/(m・K)の窒化アルミニウム(AlN)よりなる。これにより、電極2−1もしくは2−2からの熱は絶縁性高熱伝導部材1を介して電極2−2もしくは2−1に放熱される。
【0026】
図1の(B)に示す熱伝導チップC2は、図1の(A)の熱伝導チップC1の電極2−1、2−2に並行に電極2−3、2−4を付加して4電極構成にしたものである。これにより、用途に合わせて熱が絶縁性高熱伝導部材1を介して放熱される。
【0027】
チップの形状には制限はなく、どのような形でもよい。例えば、図1の(C)に示す熱伝導チップC3は、図1の(A)の熱伝導チップC1の電極2−1、2−2に交差して電極2−3、2−4を付加して4電極構成にしたものである。これにより、用途に合わせて熱が絶縁性高熱伝導部材1を介して放熱される。
【0028】
図1の(A)、(B)、(C)に示す熱伝導チップC1、C2、C3においては、電極2−1、2−2、2−3、2−4の電気的接続の影響を受けずに種々の放熱接続を行うことができる。特に、放熱設計が難しい小型あるいは薄型の光半導体装置モジュール内での最適な熱設計を可能にする。
【0029】
尚、図2は図1の(A)の熱伝導チップC1の斜視図である。
【0030】
図3は本発明に係る光半導体装置モジュールに用いられる第2の熱伝導チップを示す平面図である。
【0031】
図3の(A)、(B)、(C)の熱伝導チップC1’、C2’、C3’においては、図1の(A)、(B)、(C)の熱伝導チップC1、C2、C3の絶縁性高熱伝導部材1の表面に放熱加工部3を設けたものである。この場合の絶縁性高熱伝導部材1の表面とは基板に搭載した状態における上面、側面、裏面のいずれか1つあるいは複数を指す。たとえば、放熱加工部3は、放射率の高い金属めっき処理を、電極間を接続しないように設けた金属めっき層、あるいはブラスト処理等の凹凸処理による表面積増大した凹凸面、あるいは放射率の高い金属板を、電極間を接続しないように貼り付けることによって構成される。また、凹凸処理はめっき処理、金属板と併用しても構わず、電極上に設けることも可能である。これにより、図3の(A)、(B)、(C)の熱伝導チップC1’、C2’、C3’の放熱効果は、図1の(A)、(B)、(C)の熱伝導チップC1、C2、C3の放熱効果より大きくなる。
【0032】
尚、図4は図3の(A)の熱伝導チップC1’の斜視図である。
【0033】
図5は本発明に係る光半導体装置モジュールに用いられる第3の熱伝導チップを示す平面図である。
【0034】
図5の(A)、(B)、(C)の熱伝導チップC1”、C2”、C3”においては、図1の(A)、(B)、(C)の熱伝導チップC1、C2、C3の電極2−1、2−2、2−3、2−4の代りに電極2−1’、2−2’、2−3’、2−4’を設け、電極間のギャップを小さくしたものである。この電極間ギャップを調整することにより、電極間ギャップは高電圧印加時に電極間の空気層の静電破壊を利用したスパークギャップとして作用する。この結果、静電気等による高電圧が電極間に印加された場合に、この高電圧を電極間ギャップを介して逃がすことができる。
【0035】
尚、図6は図5の(A)の熱伝導チップC1”の斜視図である。
【0036】
また、図3の第2の熱伝導チップと図5の第3の熱伝導チップとを組合わせることもできる。つまり、絶縁性高熱伝導部材1の表面に放熱加工部を設けると共に、電極間ギャップを小さくした電極2−1’、2−2’、2−3’、2−4’を設けることもできる。
【0037】
図7は本発明に係る光半導体装置モジュールの第1の実施の形態を示す平面図である。
【0038】
図7の光半導体装置モジュールにおいては、配線基板11上に、p側電極パッド12、n側電極パッド13、熱引き用パッドとして作用するGND電極パッド14、駆動回路制御電極パッド15を形成する。発光効率が高いフリップチップ型のLEDパッケージ16をp側電極パッド12及びn側電極パッド13上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。また、LEDパッケージ16を駆動するためのAC/DCコンバータ等を含む駆動回路17をn側電極パッド13、GND電極パッド14及び駆動回路制御電極パッド15上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。さらに、図1の(A)に示す熱伝導チップC1である熱伝導チップ18をp側電極パッド12及びGND電極パッド14上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。
【0039】
図7においては、GND電極パッド14は熱引き用パッドとして作用するので、熱容量は大きい。しかも、熱伝導チップ18の放熱効果は大きい。これにより、LEDパッケージ16からの熱は、矢印Y1に示すごとく、p側電極パッド12及び熱伝導チップ18を介してGND電極パッド14に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0040】
図7においては、金属リフレクタ(図示せず)も余裕をもって設置でき、従って、放熱効果の向上には、駆動回路17及び金属リフレクタによる限度がない。また、駆動回路17の出力が接続されたn側電極パッド13とGND電極パッド14とは別個であるので、GND電極パッド14を大型化でき、従って、放熱効果を向上させることができる。さらに、金属の放熱基板を用いないので、光半導体装置モジュールの薄型化できる。さらにまた、多数のスルーホールを有する多層基板も用いないので、製造コストを低減できる。
【0041】
尚、熱伝導チップ18として、図3の(A)に示す熱伝導チップC1’を用いれば、放熱効果をさらに向上できる。また、熱伝導チップ18として、図5の(A)に示す熱伝導チップC1”を用いれば、LEDパッケージ16に印加された高電圧をGND電極パッド14へ逃がすことができ、この結果、LEDパッケージ16の内部素子の劣化、破壊を防止することができる。
【0042】
図8は本発明に係る光半導体装置モジュールの第2の実施の形態を示す平面図である。
【0043】
図8の光半導体装置モジュールにおいては、図1の(A)に示す熱伝導チップC1である熱伝導チップ18をn側電極パッド13及びGND電極パッド14上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する点を除き、図7の光半導体装置モジュールと同一である。
【0044】
図8においては、LEDパッケージ16からの熱は、矢印Y2に示すごとく、n側電極パッド13、熱伝導チップ18を介してGND電極パッド14に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0045】
図8の光半導体装置モジュールにおいても、図7の光半導体装置モジュールの場合と同様の効果が期待され、特に放熱効果はn側から熱引きし易くなっている。
【0046】
尚、図8においても、熱伝導チップ18として、図3の(A)に示す熱伝導チップC1’を用いれば、放熱効果をさらに向上できる。また、熱伝導チップ18として、図5の(A)に示す熱伝導チップC1”を用いれば、LEDパッケージ16に印加された高電圧をGND電極パッド14へ逃がすことができ、この結果、LEDパッケージ16の内部素子の劣化、破壊を防止することができる。
【0047】
図9は本発明に係る光半導体装置モジュールの第3の実施の形態を示す平面図である。
【0048】
図9の光半導体装置モジュールにおいては、図1の(B)に示す熱伝導チップC2である熱伝導チップ18をp側電極パッド12、n側電極パッド13及びGND電極パッド14上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する点を除き、図7の光半導体装置モジュールと同一である。
【0049】
図9においては、LEDパッケージ16からの熱は、矢印Y3に示すごとく、p側電極パッド12、熱伝導チップ18を介してGND電極パッド14に放熱されると共に、矢印Y3’に示すごとく、n側電極パッド13、熱伝導チップ18を介してGND電極パッド14に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0050】
図9の光半導体装置モジュールにおいても、図7の光半導体装置モジュールの場合と同様の効果が期待され、特にn側、p側両側の電極パッドに接続されているのでバンプ構造のように両極からの熱引きが有効なものの時に有利である。また、同一の電極パッドに複数の接続点があることで熱抵抗に有利になっている。
【0051】
尚、図9において、熱伝導チップ18として、図3の(B)に示す熱伝導チップC2’を用いれば、放熱効果をさらに向上できる。また、熱伝導チップ18として、図5の(B)に示す熱伝導チップC2”を用いれば、LEDパッケージ16に印加された高電圧をGND電極パッド14へ逃がすことができ、この結果、LEDパッケージ16の内部素子の劣化、破壊を防止することができる。
【0052】
図10は本発明に係る光半導体装置モジュールの第4の実施の形態を示す平面図である。
【0053】
図10の光半導体装置モジュールにおいては、図1の(C)に示す熱伝導チップC3である熱伝導チップ18をp側電極パッド12、n側電極パッド13及びGND電極パッド14上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する点を除き、図7の光半導体装置モジュールと同一である。
【0054】
図10においては、LEDパッケージ16からの熱は、矢印Y4に示すごとく、p側電極パッド12、熱伝導チップ18を介してGND電極パッド14に放熱されると共に、矢印Y4’に示すごとく、n側電極パッド13、熱伝導チップ18を介してGND電極パッド14に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0055】
図10の光半導体装置モジュールにおいても、図7の光半導体装置モジュールの場合と同様の効果が期待される。
【0056】
尚、図10においても、熱伝導チップ18として、図3の(C)に示す熱伝導チップC3’を用いれば、放熱効果をさらに向上できる。また、熱伝導チップ18として、図5の(C)に示す熱伝導チップC3”を用いれば、LEDパッケージ16に印加された高電圧をGND電極パッド14へ逃がすことができ、この結果、LEDパッケージ16の内部素子の劣化、破壊を防止することができる。
【0057】
上述の実施の形態においては、光半導体装置として、フリップチップ型のLEDパッケージを用いたが、フェイスアップ型のLEDパッケージでもよい。また、LEDの代りに半導体レーザを用いてもよい。
【符号の説明】
【0058】
C1、C2、C3、C1’、C2’、C3’、C1”、C2”、C3”:熱伝導チップ
1:絶縁性高熱伝導部材
2−1、2−2、2−3、2−4、2−1’、2−2’、2−3’、2−4’:電極
11:配線基板
12:p側電極パッド
13:n側電極パッド
14:GND電極パッド(熱引き用パッド)
15:駆動回路制御電極パッド
16:LEDパッケージ
17:駆動回路
18:熱伝導チップ
101:配線基板
102:p側電極パッド
103:n側電極パッド
104:GND電極パッド(熱引き用パッド)
105:LEDパッケージ
201:配線基板
202:p側電極パッド
203:n側電極パッド
204:GND電極パッド
205:LEDパッケージ
301:放熱基板
302:絶縁層
303:p側電極パッド
304:n側電極パッド
305:LEDパッケージ
401:多層基板
401a:ベタ電極パッド
401b:スルーホール
402:p側電極パッド
403:n側電極パッド
404:LEDパッケージ
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置たとえば発光ダイオード(LED)パッケージを配線基板に実装搭載した光半導体装置モジュール及びこれに用いられる熱伝導チップに関する。
【背景技術】
【0002】
光半導体装置モジュールは、配線パッドを形成した配線基板にLEDパッケージを実装搭載することによって構成される。
【0003】
上述の光半導体装置モジュールにおいては、LEDが動作すると、熱がモジュール内にこもり、この結果、LED内部の発光層の接合温度が上昇して発光効率が低下する。このため、光半導体装置モジュールに放熱対策を施してLED内部の発光層の接合温度の上昇を抑える必要がある。
【0004】
図11は第1の従来の光半導体装置モジュールの平面図である(参照:特許文献1)。
【0005】
図11の光半導体装置モジュールにおいては、配線基板101上に、p側電極パッド102、n側電極パッド103及び熱引き用パッド104を形成し、発光効率が高いフリップチップ型のLEDパッケージ105をp側電極パッド102、n側電極パッド103及び熱引き用パッド104上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。この場合、熱引き用パッド104は配線基板101に広く接触しているので、放熱効果は大きい。これにより、LEDパッケージ105からの熱は、矢印X1で示すごとく、熱引き用パッド104に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0006】
図12は第2の従来の光半導体装置モジュールの平面図である。
【0007】
図12の光半導体装置モジュールにおいては、配線基板201上に、p側電極パッド202、n側電極パッド203及びn側電極パッド203に接続され熱引き用パッドとして作用する大型の接地(GND)電極パッド204を形成し、発光効率が高いフリップチップ型のLEDパッケージ205をp側電極パッド202及びn側電極パッド203上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。この場合、熱引き用パッドとしてのGND電極パッド204は配線基板201に接触しているので、放熱効果は大きい。これにより、LEDパッケージ205からの熱は、矢印X2で示すごとく、n側電極パッド203からGND電極パッド204に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0008】
図13は第3の従来の光半導体装置モジュールの断面図である。
【0009】
図13の光半導体装置モジュールにおいては、金属の放熱基板301上に、絶縁層302を形成する。次に、絶縁層302上に、p側電極パッド303及びn側電極パッド304を形成し、さらに、発光効率が高いフリップチップ型のLEDパッケージ305をp側電極パッド303及びn側電極パッド304上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。この場合、放熱基板301は金属たとえば銅(Cu)よりなるので、放熱効果は大きい。これにより、LEDパッケージ305からの熱は、矢印X3で示すごとく、p側電極パッド303及びn側電極パッド304から放熱基板301に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0010】
図14は第4の従来の光半導体装置モジュールの断面図である(参照:特許文献2のサブマウント)。
【0011】
図14の光半導体装置モジュールにおいては、多層基板401内に、熱引き用のベタ電極パッド401a及びスルーホール401bを形成する。また、多層基板401上に、p側電極パッド402及びn側電極パッド403を形成する。この場合、p側電極パッド402及びn側電極パッド403はスルーホール401bを介してベタ電極パッド401aに接続される。さらに、発光効率が高いフリップチップ型のLEDパッケージ404をp側電極パッド402及びn側電極パッド403上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。この場合、ベタ電極パッド401aは金属たとえば銅(Cu)よりなるので、放熱効果は大きい。これにより、LEDパッケージ404からの熱は、矢印X4で示すごとく、p側電極パッド402及びn側電極パッド403からスルーホール401bを介してベタ電極パッド401aに放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−135694号公報
【特許文献2】特開2006−86139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、図11の光半導体装置モジュールにおいては、放熱効果を向上させるためには、熱引き用パッド104の面積を大きくしなければならないが、配線基板101の制約、併せて駆動回路及び金属リフレクタ(図示せず)の配線基板101上への設置から熱引き用パッド104の面積を大きくできない。従って、放熱効果に限度があり、この結果、発光効率の向上には限度があるという課題があった。
【0014】
また、現在主流となっている光半導体装置モジュールにおいては、電流制御回路はn側電極に接続されるが、この時、図12のようにn側電極パッド203とGND電極パッド204をそのまま接続することは不可能という課題があった。
【0015】
さらに、図13の光半導体装置モジュールにおいては、放熱基板301が金属よりなるので、製造コストが高いという課題があり、また、放熱効果を向上させるには、放熱基板301を厚くして熱容量を増加させる必要があり、この結果、光半導体装置モジュールの薄型化が困難であるという課題もあった。
【0016】
さらにまた、図14の光半導体装置モジュールにおいては、放熱効果を向上させるためには、スルーホール401bの数を増加させる必要があり、さらに、このようなスルーホール401bを有する多層基板401によって製造コストが上昇するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の課題を解決するために、本発明に係る半導体装置モジュールは、半導体装置と、半導体装置を実装搭載するための少なくとも2つの配線パッド及び熱引き用パッドが形成された配線基板と、配線パッドの少なくとも1つと熱引き用パッドとの間の配線基板上に設けられた熱伝導チップとを具備し、熱伝導チップが、少なくとも第1、第2の電極と、第1、第2の電極間に設けられた絶縁性高熱伝導部材とを具備し、第1の電極が配線パッドの少なくとも1つに接続され、第2の電極が熱引き用パッドに接続されたものである。これにより、半導体装置からの熱は、配線パッドの少なくとも1つ及び熱伝導チップを介して熱引き用パッドに放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0018】
また、半導体装置に用いられる熱伝導チップは、少なくとも第1、第2の電極と、第1、第2の電極間に設けられた絶縁性高熱伝導部材とを具備する。これにより、電気的接続の影響を受けずに種々の放熱接続が可能となる。
【0019】
絶縁性高熱伝導部材は絶縁耐圧が1kV/mm以上かつ空気の熱伝導率より大きい熱伝導率を有し、たとえばアルミナ及び窒化アルミニウムの1つよりなる。
【0020】
また、絶縁性高熱伝導部材の表面に放熱加工部を設ける。放熱加工部は絶縁性高熱伝導部材の上面、側面、裏面のいずれか1つ以上に設けられた凹凸面である。これにより、絶縁性高熱伝導部材の放熱効果はさらに向上する。
【0021】
第1、第2の電極間ギャップがスパークギャップとして作用する。これにより、半導体装置に高電圧が印加された場合の静電破壊を防止する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、熱伝導チップにより、放熱効果を向上させることができ、また、金属の放熱基板を用いず、熱伝導チップを基板上に設けたことにより、半導体装置モジュールの薄型化できる。さらに、多数のスルーホールを有する多層基板も用いないので、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る光半導体装置モジュールに用いられる第1の熱伝導チップを示す平面図である。
【図2】図1の(A)の熱伝導チップの斜視図である。
【図3】本発明に係る光半導体装置モジュールに用いられる第2の熱伝導チップを示す平面図である。
【図4】図3の(A)の熱伝導チップの斜視図である。
【図5】本発明に係る光半導体装置モジュールに用いられる第3の熱伝導チップを示す平面図である。
【図6】図5の(A)の熱伝導チップの斜視図である。
【図7】本発明に係る光半導体装置モジュールの第1の実施の形態を示す平面図である。
【図8】本発明に係る光半導体装置モジュールの第2の実施の形態を示す平面図である。
【図9】本発明に係る光半導体装置モジュールの第3の実施の形態を示す平面図である。
【図10】本発明に係る光半導体装置モジュールの第4の実施の形態を示す平面図である。
【図11】第1の従来の光半導体装置モジュールを示す平面図である。
【図12】第2の従来の光半導体装置モジュールを示す平面図である。
【図13】第3の従来の光半導体装置モジュールを示す断面図である。
【図14】第4の従来の光半導体装置モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明に係る光半導体装置モジュールに用いられる第1の熱伝導チップを示す平面図である。
【0025】
図1の(A)に示す熱伝導チップC1は2電極構造をなし、放熱機能を有する絶縁性高熱伝導部材1及びその両端に設けられた2つの電極2−1、2−2によって構成される。絶縁性高熱伝導部材1は、好ましくは、絶縁(耐圧)が1kV/mm以上で空気の熱伝導率(κ=0.0241)より大きい熱伝導率(たとえばκ≧10W/(m・K))を有する。たとえば、絶縁性高熱伝導部材1は絶縁耐圧13〜15kV/mm、κ=170〜230W/(m・K)の窒化アルミニウム(AlN)よりなる。これにより、電極2−1もしくは2−2からの熱は絶縁性高熱伝導部材1を介して電極2−2もしくは2−1に放熱される。
【0026】
図1の(B)に示す熱伝導チップC2は、図1の(A)の熱伝導チップC1の電極2−1、2−2に並行に電極2−3、2−4を付加して4電極構成にしたものである。これにより、用途に合わせて熱が絶縁性高熱伝導部材1を介して放熱される。
【0027】
チップの形状には制限はなく、どのような形でもよい。例えば、図1の(C)に示す熱伝導チップC3は、図1の(A)の熱伝導チップC1の電極2−1、2−2に交差して電極2−3、2−4を付加して4電極構成にしたものである。これにより、用途に合わせて熱が絶縁性高熱伝導部材1を介して放熱される。
【0028】
図1の(A)、(B)、(C)に示す熱伝導チップC1、C2、C3においては、電極2−1、2−2、2−3、2−4の電気的接続の影響を受けずに種々の放熱接続を行うことができる。特に、放熱設計が難しい小型あるいは薄型の光半導体装置モジュール内での最適な熱設計を可能にする。
【0029】
尚、図2は図1の(A)の熱伝導チップC1の斜視図である。
【0030】
図3は本発明に係る光半導体装置モジュールに用いられる第2の熱伝導チップを示す平面図である。
【0031】
図3の(A)、(B)、(C)の熱伝導チップC1’、C2’、C3’においては、図1の(A)、(B)、(C)の熱伝導チップC1、C2、C3の絶縁性高熱伝導部材1の表面に放熱加工部3を設けたものである。この場合の絶縁性高熱伝導部材1の表面とは基板に搭載した状態における上面、側面、裏面のいずれか1つあるいは複数を指す。たとえば、放熱加工部3は、放射率の高い金属めっき処理を、電極間を接続しないように設けた金属めっき層、あるいはブラスト処理等の凹凸処理による表面積増大した凹凸面、あるいは放射率の高い金属板を、電極間を接続しないように貼り付けることによって構成される。また、凹凸処理はめっき処理、金属板と併用しても構わず、電極上に設けることも可能である。これにより、図3の(A)、(B)、(C)の熱伝導チップC1’、C2’、C3’の放熱効果は、図1の(A)、(B)、(C)の熱伝導チップC1、C2、C3の放熱効果より大きくなる。
【0032】
尚、図4は図3の(A)の熱伝導チップC1’の斜視図である。
【0033】
図5は本発明に係る光半導体装置モジュールに用いられる第3の熱伝導チップを示す平面図である。
【0034】
図5の(A)、(B)、(C)の熱伝導チップC1”、C2”、C3”においては、図1の(A)、(B)、(C)の熱伝導チップC1、C2、C3の電極2−1、2−2、2−3、2−4の代りに電極2−1’、2−2’、2−3’、2−4’を設け、電極間のギャップを小さくしたものである。この電極間ギャップを調整することにより、電極間ギャップは高電圧印加時に電極間の空気層の静電破壊を利用したスパークギャップとして作用する。この結果、静電気等による高電圧が電極間に印加された場合に、この高電圧を電極間ギャップを介して逃がすことができる。
【0035】
尚、図6は図5の(A)の熱伝導チップC1”の斜視図である。
【0036】
また、図3の第2の熱伝導チップと図5の第3の熱伝導チップとを組合わせることもできる。つまり、絶縁性高熱伝導部材1の表面に放熱加工部を設けると共に、電極間ギャップを小さくした電極2−1’、2−2’、2−3’、2−4’を設けることもできる。
【0037】
図7は本発明に係る光半導体装置モジュールの第1の実施の形態を示す平面図である。
【0038】
図7の光半導体装置モジュールにおいては、配線基板11上に、p側電極パッド12、n側電極パッド13、熱引き用パッドとして作用するGND電極パッド14、駆動回路制御電極パッド15を形成する。発光効率が高いフリップチップ型のLEDパッケージ16をp側電極パッド12及びn側電極パッド13上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。また、LEDパッケージ16を駆動するためのAC/DCコンバータ等を含む駆動回路17をn側電極パッド13、GND電極パッド14及び駆動回路制御電極パッド15上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。さらに、図1の(A)に示す熱伝導チップC1である熱伝導チップ18をp側電極パッド12及びGND電極パッド14上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する。
【0039】
図7においては、GND電極パッド14は熱引き用パッドとして作用するので、熱容量は大きい。しかも、熱伝導チップ18の放熱効果は大きい。これにより、LEDパッケージ16からの熱は、矢印Y1に示すごとく、p側電極パッド12及び熱伝導チップ18を介してGND電極パッド14に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0040】
図7においては、金属リフレクタ(図示せず)も余裕をもって設置でき、従って、放熱効果の向上には、駆動回路17及び金属リフレクタによる限度がない。また、駆動回路17の出力が接続されたn側電極パッド13とGND電極パッド14とは別個であるので、GND電極パッド14を大型化でき、従って、放熱効果を向上させることができる。さらに、金属の放熱基板を用いないので、光半導体装置モジュールの薄型化できる。さらにまた、多数のスルーホールを有する多層基板も用いないので、製造コストを低減できる。
【0041】
尚、熱伝導チップ18として、図3の(A)に示す熱伝導チップC1’を用いれば、放熱効果をさらに向上できる。また、熱伝導チップ18として、図5の(A)に示す熱伝導チップC1”を用いれば、LEDパッケージ16に印加された高電圧をGND電極パッド14へ逃がすことができ、この結果、LEDパッケージ16の内部素子の劣化、破壊を防止することができる。
【0042】
図8は本発明に係る光半導体装置モジュールの第2の実施の形態を示す平面図である。
【0043】
図8の光半導体装置モジュールにおいては、図1の(A)に示す熱伝導チップC1である熱伝導チップ18をn側電極パッド13及びGND電極パッド14上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する点を除き、図7の光半導体装置モジュールと同一である。
【0044】
図8においては、LEDパッケージ16からの熱は、矢印Y2に示すごとく、n側電極パッド13、熱伝導チップ18を介してGND電極パッド14に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0045】
図8の光半導体装置モジュールにおいても、図7の光半導体装置モジュールの場合と同様の効果が期待され、特に放熱効果はn側から熱引きし易くなっている。
【0046】
尚、図8においても、熱伝導チップ18として、図3の(A)に示す熱伝導チップC1’を用いれば、放熱効果をさらに向上できる。また、熱伝導チップ18として、図5の(A)に示す熱伝導チップC1”を用いれば、LEDパッケージ16に印加された高電圧をGND電極パッド14へ逃がすことができ、この結果、LEDパッケージ16の内部素子の劣化、破壊を防止することができる。
【0047】
図9は本発明に係る光半導体装置モジュールの第3の実施の形態を示す平面図である。
【0048】
図9の光半導体装置モジュールにおいては、図1の(B)に示す熱伝導チップC2である熱伝導チップ18をp側電極パッド12、n側電極パッド13及びGND電極パッド14上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する点を除き、図7の光半導体装置モジュールと同一である。
【0049】
図9においては、LEDパッケージ16からの熱は、矢印Y3に示すごとく、p側電極パッド12、熱伝導チップ18を介してGND電極パッド14に放熱されると共に、矢印Y3’に示すごとく、n側電極パッド13、熱伝導チップ18を介してGND電極パッド14に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0050】
図9の光半導体装置モジュールにおいても、図7の光半導体装置モジュールの場合と同様の効果が期待され、特にn側、p側両側の電極パッドに接続されているのでバンプ構造のように両極からの熱引きが有効なものの時に有利である。また、同一の電極パッドに複数の接続点があることで熱抵抗に有利になっている。
【0051】
尚、図9において、熱伝導チップ18として、図3の(B)に示す熱伝導チップC2’を用いれば、放熱効果をさらに向上できる。また、熱伝導チップ18として、図5の(B)に示す熱伝導チップC2”を用いれば、LEDパッケージ16に印加された高電圧をGND電極パッド14へ逃がすことができ、この結果、LEDパッケージ16の内部素子の劣化、破壊を防止することができる。
【0052】
図10は本発明に係る光半導体装置モジュールの第4の実施の形態を示す平面図である。
【0053】
図10の光半導体装置モジュールにおいては、図1の(C)に示す熱伝導チップC3である熱伝導チップ18をp側電極パッド12、n側電極パッド13及びGND電極パッド14上にAuバンプあるいは半田ボール(図示せず)によって実装搭載する点を除き、図7の光半導体装置モジュールと同一である。
【0054】
図10においては、LEDパッケージ16からの熱は、矢印Y4に示すごとく、p側電極パッド12、熱伝導チップ18を介してGND電極パッド14に放熱されると共に、矢印Y4’に示すごとく、n側電極パッド13、熱伝導チップ18を介してGND電極パッド14に放熱され、この結果、発光効率が向上する。
【0055】
図10の光半導体装置モジュールにおいても、図7の光半導体装置モジュールの場合と同様の効果が期待される。
【0056】
尚、図10においても、熱伝導チップ18として、図3の(C)に示す熱伝導チップC3’を用いれば、放熱効果をさらに向上できる。また、熱伝導チップ18として、図5の(C)に示す熱伝導チップC3”を用いれば、LEDパッケージ16に印加された高電圧をGND電極パッド14へ逃がすことができ、この結果、LEDパッケージ16の内部素子の劣化、破壊を防止することができる。
【0057】
上述の実施の形態においては、光半導体装置として、フリップチップ型のLEDパッケージを用いたが、フェイスアップ型のLEDパッケージでもよい。また、LEDの代りに半導体レーザを用いてもよい。
【符号の説明】
【0058】
C1、C2、C3、C1’、C2’、C3’、C1”、C2”、C3”:熱伝導チップ
1:絶縁性高熱伝導部材
2−1、2−2、2−3、2−4、2−1’、2−2’、2−3’、2−4’:電極
11:配線基板
12:p側電極パッド
13:n側電極パッド
14:GND電極パッド(熱引き用パッド)
15:駆動回路制御電極パッド
16:LEDパッケージ
17:駆動回路
18:熱伝導チップ
101:配線基板
102:p側電極パッド
103:n側電極パッド
104:GND電極パッド(熱引き用パッド)
105:LEDパッケージ
201:配線基板
202:p側電極パッド
203:n側電極パッド
204:GND電極パッド
205:LEDパッケージ
301:放熱基板
302:絶縁層
303:p側電極パッド
304:n側電極パッド
305:LEDパッケージ
401:多層基板
401a:ベタ電極パッド
401b:スルーホール
402:p側電極パッド
403:n側電極パッド
404:LEDパッケージ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置と、
該半導体装置を実装搭載するための少なくとも2つの配線パッド及び熱引き用パッドが形成された配線基板と、
前記配線パッドの少なくとも1つと前記熱引き用パッドとの間の前記配線基板上に設けられた熱伝導チップと
を具備し、
前記熱伝導チップが、
少なくとも第1、第2の電極と、
該第1、第2の電極間に設けられた絶縁性高熱伝導部材と
を具備し、
前記第1の電極が前記配線パッドの少なくとも1つに接続され、
前記第2の電極が前記熱引き用パッドに接続された半導体装置モジュール。
【請求項2】
前記絶縁性高熱伝導部材が絶縁耐圧が1kV/mm以上かつ空気の熱伝導率より大きい熱伝導率を有する請求項1に記載の半導体装置モジュール。
【請求項3】
前記絶縁性高熱伝導部材がアルミナ及び窒化アルミニウムの1つよりなる請求項2に記載の半導体装置モジュール。
【請求項4】
前記絶縁性高熱伝導部材の表面に放熱加工部を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置モジュール。
【請求項5】
前記放熱加工部が前記絶縁性高熱伝導部材の上面、側面、裏面のいずれか1つ以上に前記第1、第2の電極間を接続しないように設けられた金属めっき層である請求項4に記載の半導体装置モジュール。
【請求項6】
前記放熱加工部が前記絶縁性高熱伝導部材の上面、側面、裏面のいずれか1つ以上に設けられた凹凸面である請求項4に記載の半導体装置モジュール。
【請求項7】
前記放熱加工部が前記絶縁性高熱伝導部材の上面、側面、裏面のいずれか1つ以上に前記第1、第2の電極間を接続しないように貼り付けられた金属板である請求項4に記載の半導体装置モジュール。
【請求項8】
前記第1、第2の電極間ギャップがスパークギャップとして作用する請求項1〜7のいずれかに記載の半導体装置モジュール。
【請求項9】
前記熱引き用パッドが接地電極パッドである請求項8に記載の半導体装置モジュール。
【請求項10】
前記配線パッドの他の1つと前記熱引き用パッドとの間にさらに熱伝導チップが設けられた請求項1〜9のいずれかに記載の半導体装置モジュール。
【請求項11】
少なくとも第1、第2の電極と、
該第1、第2の電極間に設けられた絶縁性高熱伝導部材と
を具備する熱伝導チップ。
【請求項12】
前記絶縁性高熱伝導部材が絶縁耐圧が1kV/mm以上かつ空気の熱伝導率より大きい熱伝導率を有する請求項11に記載の熱伝導チップ。
【請求項13】
前記絶縁性高熱伝導部材がアルミナ及び窒化アルミニウムの1つよりなる請求項11に記載の熱伝導チップ。
【請求項14】
前記絶縁性高熱伝導部材の表面に放熱加工部を設けた請求項11に記載の熱伝導チップ。
【請求項15】
前記放熱加工部が前記絶縁性高熱伝導部材の上面、側面、裏面のいずれか1つ以上に設けられた凹凸面である請求項14に記載の熱伝導チップ。
【請求項1】
半導体装置と、
該半導体装置を実装搭載するための少なくとも2つの配線パッド及び熱引き用パッドが形成された配線基板と、
前記配線パッドの少なくとも1つと前記熱引き用パッドとの間の前記配線基板上に設けられた熱伝導チップと
を具備し、
前記熱伝導チップが、
少なくとも第1、第2の電極と、
該第1、第2の電極間に設けられた絶縁性高熱伝導部材と
を具備し、
前記第1の電極が前記配線パッドの少なくとも1つに接続され、
前記第2の電極が前記熱引き用パッドに接続された半導体装置モジュール。
【請求項2】
前記絶縁性高熱伝導部材が絶縁耐圧が1kV/mm以上かつ空気の熱伝導率より大きい熱伝導率を有する請求項1に記載の半導体装置モジュール。
【請求項3】
前記絶縁性高熱伝導部材がアルミナ及び窒化アルミニウムの1つよりなる請求項2に記載の半導体装置モジュール。
【請求項4】
前記絶縁性高熱伝導部材の表面に放熱加工部を設けた請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置モジュール。
【請求項5】
前記放熱加工部が前記絶縁性高熱伝導部材の上面、側面、裏面のいずれか1つ以上に前記第1、第2の電極間を接続しないように設けられた金属めっき層である請求項4に記載の半導体装置モジュール。
【請求項6】
前記放熱加工部が前記絶縁性高熱伝導部材の上面、側面、裏面のいずれか1つ以上に設けられた凹凸面である請求項4に記載の半導体装置モジュール。
【請求項7】
前記放熱加工部が前記絶縁性高熱伝導部材の上面、側面、裏面のいずれか1つ以上に前記第1、第2の電極間を接続しないように貼り付けられた金属板である請求項4に記載の半導体装置モジュール。
【請求項8】
前記第1、第2の電極間ギャップがスパークギャップとして作用する請求項1〜7のいずれかに記載の半導体装置モジュール。
【請求項9】
前記熱引き用パッドが接地電極パッドである請求項8に記載の半導体装置モジュール。
【請求項10】
前記配線パッドの他の1つと前記熱引き用パッドとの間にさらに熱伝導チップが設けられた請求項1〜9のいずれかに記載の半導体装置モジュール。
【請求項11】
少なくとも第1、第2の電極と、
該第1、第2の電極間に設けられた絶縁性高熱伝導部材と
を具備する熱伝導チップ。
【請求項12】
前記絶縁性高熱伝導部材が絶縁耐圧が1kV/mm以上かつ空気の熱伝導率より大きい熱伝導率を有する請求項11に記載の熱伝導チップ。
【請求項13】
前記絶縁性高熱伝導部材がアルミナ及び窒化アルミニウムの1つよりなる請求項11に記載の熱伝導チップ。
【請求項14】
前記絶縁性高熱伝導部材の表面に放熱加工部を設けた請求項11に記載の熱伝導チップ。
【請求項15】
前記放熱加工部が前記絶縁性高熱伝導部材の上面、側面、裏面のいずれか1つ以上に設けられた凹凸面である請求項14に記載の熱伝導チップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−254106(P2011−254106A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194740(P2011−194740)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【分割の表示】特願2009−118260(P2009−118260)の分割
【原出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【分割の表示】特願2009−118260(P2009−118260)の分割
【原出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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