説明

半導体装置

【課題】 第1不純物領域−第2不純物領域間(たとえば、ソース−ドレイン間)の電位分布を均一にすること。
【解決手段】半導体装置1のLDMOSFET10において、ドレイン領域15とボディ領域11との間の部分に、ボディ領域11と間隔を空けてフィールド絶縁膜16を形成する。フィールド絶縁膜16上に、第1フローティングプレート22および第2フローティングプレート25を、平面視で交互に配置し、関係式:L/d=一定(L:平面視で隣接する第1フローティングプレート22および第2フローティングプレート25のうち内側のプレートの外周、d:Lを定義するプレートの外周とその外周に対向して隣接する第1フローティングプレート22または第2フローティングプレート25の内周との距離)を満たすように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワーMOSFETに用いられる高耐圧素子として、LDMOSFETが知られている。
図10は、従来のLDMOSFETを備える半導体装置の模式的な断面図である。
半導体装置101は、厚膜SOI基板102を備えている。厚膜SOI基板102は、シリコン基板103上に、酸化シリコンからなるBOX層104を介して、シリコンからなるN型の活性層105を積層した構造を有している。
【0003】
活性層105には、その表面からBOX層104に至る深さのディープトレンチ106が、層厚方向に貫通して形成されている。ディープトレンチ106の内側面は、シリコン酸化膜107で覆われている。
シリコン酸化膜107の内側は、ポリシリコン108で埋め尽くされている。これにより、活性層105上には、ディープトレンチ106に囲まれ、BOX層104およびシリコン酸化膜107によりその周囲から絶縁分離(誘電体分離)された素子形成領域109が形成されている。
【0004】
素子形成領域109には、LDMOSFET110が形成されている。具体的には、素子形成領域109において、活性層105には、P型のボディ領域111が形成されている。ボディ領域111は、ディープトレンチ106の側面に沿って、活性層105の全厚にわたって形成されている。
また、素子形成領域109におけるボディ領域111以外の領域は、N型のドリフト領域112である。
【0005】
ボディ領域111の表層部には、ドリフト領域112と間隔を空けた位置に、N型のソース領域113と、P型のボディコンタクト領域114とが互いに隣接して形成されている。ドリフト領域112の表層部には、ボディ領域111と間隔を空けた位置に、N型のドレイン領域115が形成されている。
ドリフト領域112の表面には、ドレイン領域115とボディ領域111との間の部分に、ボディ領域111と間隔を空けてフィールド酸化膜116が形成されている。
【0006】
ソース領域113とフィールド酸化膜116との間において、活性層105の表面上には、ゲート酸化膜117が形成されている。ゲート酸化膜117上には、ゲート電極プレート118が形成されている。ゲート電極プレート118は、ゲート酸化膜117を介してボディ領域111およびドリフト領域112に対向している。
フィールド酸化膜116上には、ゲート電極プレート118と一体をなすフィールドプレート119が、フィールド酸化膜116の周縁部に乗り上がって形成されている。
【0007】
また、フィールド酸化膜116上には、4つの第1フローティングプレート120が形成されている。4つの第1フローティングプレート120は、互いに相似する一定幅の環状である。4つの第1フローティングプレート120は、ドレイン領域115に接続されるドレイン電極プレート122(後述)を取り囲む4重環状をなし、かつ、ドレイン電極プレート122とフィールドプレート119との間を等間隔に分割するように配置されている。各第1フローティングプレート120は、フィールド酸化膜116を介して、ドリフト領域112に対向している。
【0008】
ボディ領域111上には、ソース領域113およびボディコンタクト領域114に跨るソース電極プレート121が形成されている。ソース電極プレート121は、ソース領域113およびボディコンタクト領域114に接続されている。
ドレイン領域115上には、ドレイン電極プレート122が形成されている。ドレイン電極プレート122は、ドレイン領域115に接続されている。
【0009】
厚膜SOI基板102上は、酸化シリコンからなる第1層間絶縁膜123で覆われている。
第1層間絶縁膜123上には、5つの第2フローティングプレート124が形成されている。各第2フローティングプレート124は、第1フローティングプレート120に相似する一定幅の環状である。5つの第2フローティングプレート124は、ドレイン電極プレート122とこれに隣接する第1フローティングプレート120との間の中央部、互いに隣接する第1フローティングプレート120の間の中央部、およびフィールドプレート119とこれに隣接する第1フローティングプレート120との間の中央部に対向する部分に、1つずつ振り分けられて配置されている。すなわち、ドレイン電極プレート122とフィールドプレート119との間において、5つの第2フローティングプレート124が等間隔に配置されるとともに、第2フローティングプレート124および第1フローティングプレート120が平面視で交互に配置されている。
【0010】
第1層間絶縁膜123上は、酸化シリコンからなる第2層間絶縁膜125で覆われている。
第1層間絶縁膜123および第2層間絶縁膜125には、ソース電極プレート121に臨むソースコンタクトホール126が貫通して形成されている。また、第1層間絶縁膜123および第2層間絶縁膜125には、ドレイン電極プレート122に臨むドレインコンタクトホール127が貫通して形成されている。
【0011】
第2層間絶縁膜125上には、ソース配線128およびドレイン配線129が形成されている。ソース配線128は、ソースコンタクトホール126に埋設されたソースコンタクトプラグ130を介して、ソース電極プレート121に接続されている。ドレイン配線129は、ドレインコンタクトホール127に埋設されたドレインコンタクトプラグ131を介して、ドレイン電極プレート122に接続されている。
【0012】
ソース配線128を接地し、ドレイン配線129に正極性の電圧(ドレイン電圧)を印加しつつ、ゲート電極プレート118の電位を制御することにより、ボディ領域111におけるゲート酸化膜117との界面近傍にチャネルを形成し、ドリフト領域112を介して、ソース領域113とドレイン領域115との間(ソース−ドレイン間)に電流を流すことができる。
【特許文献1】特開平10−341018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
LDMOSFETに代表される高耐圧素子では、ソース−ドレイン間に高電圧が印加されるため、耐圧を確保するための対策が必要である。
この対策として、半導体装置101では、互いに相似する4つの環状の第1フローティングプレート120がフィールド酸化膜116上に設けられている。また、互いに相似する5つの環状の第2フローティングプレート124が第1層間絶縁膜123上に設けられている。これにより、ドレイン電極プレート122およびフィールドプレート119、ならびにこれらの間に平面視で交互に配置される第2フローティングプレート124および第1フローティングプレート120が、互いに隣接するプレート同士の間で対向電極とされる10個のキャパシタが、LDMOSFET110の動作時(ドレイン配線129への電圧印加時)に形成される。
【0014】
ドレイン電極プレート122およびフィールドプレート119の間において、第2フローティングプレート124および第1フローティングプレート120が等間隔に交互配置されることにより、すべてのキャパシタの等容量化が図られる。これにより、各キャパシタの対向電極間に一様な電界を形成し、この電界の影響により、ドリフト領域112の電位分布の均一化が図られる。電位分布の均一化により、ソース−ドレイン間における局所的な電界集中を解消することができるので、素子耐圧の向上が期待される。
【0015】
しかし、4つの第1フローティングプレート120の大きさが互いに異なり、また、5つの第2フローティングプレート124の大きさも互いに異なっている。そのため、上記の構成では、すべてのキャパシタにおいて各フローティングプレートの周方向における単位長あたりの容量を同じにすることはできるものの、キャパシタの総容量を同じにすることができない。その結果、実際には各キャパシタの対向電極間の電界が一様とならず、ドリフト領域112内の電位分布を均一にすることができない。
【0016】
本発明の目的は、第1不純物領域−第2不純物領域間(たとえば、ソース−ドレイン間)の電位分布を均一にすることができる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するための請求項1記載の発明は、第1導電型の半導体材料からなる半導体層と、前記半導体層の表層部に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第1不純物領域と、前記半導体層の表層部に前記第1不純物領域と間隔を空けて形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域の表層部に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域と、前記半導体層の表面における前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間の部分に、前記第2不純物領域と間隔を空けて形成されたフィールド絶縁膜と、前記第2不純物領域と前記フィールド絶縁膜との間において、前記半導体層の表面上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、前記フィールド絶縁膜上において、一定幅を有する環状に形成された第1フローティングプレートと、前記第1フローティングプレートの上方における同一層上において、一定幅を有する環状に形成された第2フローティングプレートとを含み、前記第1フローティングプレートおよび前記第2フローティングプレートは、それらの幅方向中央における各周囲長がすべて異なるように合計3つ以上形成され、相対的に前記周囲長の小さいものが相対的に前記周囲長の大きいものの内側領域に収容されるように平面視で交互に配置されるとともに、関係式:L/d=一定(L:平面視で隣接する前記第1および第2フローティングプレートのうち内側のプレートの外周、d:Lを定義するプレートの外周とそのプレートの外周に対向するように隣接する前記第1または第2フローティングプレートの内周との距離)を満たすように形成されている、半導体装置である。
【0018】
この構成によれば、半導体層の表層部には、第2導電型のボディ領域および半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第1不純物領域が、互いに間隔を空けて形成されている。ボディ領域の表層部には、半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域が形成されている。また、半導体層の表面における第1不純物領域と第2不純物領域との間の部分には、第2不純物領域と間隔を空けてフィールド絶縁膜が形成されている。第2不純物領域とフィールド絶縁膜との間において、半導体層の表面上にはゲート絶縁膜が形成されており、このゲート絶縁膜上には、ゲート電極が形成されている。
【0019】
たとえば、第2不純物領域を接地し、第1不純物領域に正極性の電圧を印加しつつ、ゲート電極の電位を制御することにより、ボディ領域におけるゲート絶縁膜との界面近傍にチャネルを形成し、半導体層におけるボディ領域と第1不純物領域との間の部分を介して、第2不純物領域と第1不純物領域との間(第1不純物領域−第2不純物領域間)に電流を流すことができる。
【0020】
また、請求項1に記載の半導体装置では、フィールド絶縁膜上に、一定幅を有する環状の第1フローティングプレートが形成されている。また、第1フローティングプレートの上方における同一層上には、一定幅を有する環状の第2フローティングプレートが形成されている。第1フローティングプレートおよび第2フローティングプレートは、これらの合計で3つ以上形成され、それらの幅方向中央における各周囲長がすべて異なっている。
【0021】
そして、第1フローティングプレートおよび第2フローティングプレートは、相対的に周囲長の小さいものが相対的に周囲長の大きいものの内側領域に収容されるように平面視で交互に配置されている。これにより、フィールド絶縁膜上には、平面視で互いに隣接する第1フローティングプレートおよび第2フローティングプレートを対向電極とするキャパシタが少なくとも2つ形成される。
【0022】
フィールド絶縁膜上に形成される各キャパシタの対向電極間に生じる電界が一様であれば、半導体層における対向電極間下方の部分の電位分布を均一にすることができる。
そこで、請求項1に記載の半導体装置では、第1フローティングプレートおよび第2フローティングプレートは、L/d=一定を満たすように形成されている。ただし、各定義値の内容は、以下の通りである。
【0023】
L:平面視で隣接する第1および第2フローティングプレートのうち内側のプレートの外周
d:Lを定義するプレートの外周とそのプレートの外周に対向するように隣接する第1または第2フローティングプレートの内周との距離
フィールド絶縁膜上に形成される各キャパシタの総容量Cは、各キャパシタにおける内側のプレートの外周Lの微小区間ΔLあたりの容量ΔC=ε・ΔS/d(ΔS:内側のプレートのΔLあたりの外周面の微小面積)の総和であり、C=ε・S/dで表される。ΔSが、内側プレートのΔLあたりの外周面の面積でありΔLに比例することから、ΔSの総和であるSは、ΔLの総和であるLに比例する。
【0024】
そのため、第1フローティングプレートおよび第2フローティングプレートがL/d=一定を満たす条件に基づくと、S/d=一定が導かれる。したがって、周囲長がすべて異なる第1フローティングプレートと第2フローティングプレートとを対向電極とする複数のキャパシタにおいて、総容量をすべて同じにすることができる。
その結果、各キャパシタの対向電極間に生じる電界を一様にすることができるので、第1不純物領域−第2不純物領域間の電位分布を均一にすることができ、耐圧を向上させることができる。
【0025】
また、請求項2記載の発明は、相対的に前記周囲長の大きい前記第1フローティングプレートの幅が、相対的に前記周囲長の小さい前記第1フローティングプレートの幅よりも小さい、請求項1に記載の半導体装置である。
この構成によれば、相対的に周囲長の大きい第1フローティングプレートの幅が、相対的に周囲長の小さい第1フローティングプレートの幅よりも小さい。
【0026】
これにより、平面視でこれらの間に配置される第2フローティングプレートの外周と相対的に周囲長の大きい第1フローティングプレートの内周との距離(すなわち、上記関係式におけるdの値)を、相対的に周囲長の小さい第1フローティングプレートの外周とこの第2フローティングプレートの内周との距離(すなわち、上記関係式におけるdの値)よりも大きくすることができる。そのため、各キャパシタ間におけるLの差を、dを適切な値に設定して調整することにより、上記関係式:L/d=一定を満足することができる。
【0027】
この場合、請求項3に記載されているように、すべての前記第2フローティングプレートの幅が等しく、それら第2フローティングプレートが等間隔に配置されていてもよい。
また、請求項4記載の発明は、相対的に前記周囲長の大きい前記第2フローティングプレートの幅が、相対的に前記周囲長の小さい前記第2フローティングプレートの幅よりも小さい、請求項1に記載の半導体装置である。
【0028】
この構成によれば、相対的に周囲長の大きい第2フローティングプレートの幅が、相対的に周囲長の小さい第2フローティングプレートの幅よりも小さい。
これにより、平面視でこれらの間に配置される第1フローティングプレートの外周と相対的に周囲長の大きい第2フローティングプレートの内周との距離(すなわち、上記関係式におけるdの値)を、相対的に周囲長の小さい第2フローティングプレートの外周とこの第1フローティングプレートの内周との距離(すなわち、上記関係式におけるdの値)よりも大きくすることができる。そのため、各キャパシタ間におけるLの差を、dを適切な値に設定して調整することにより、上記関係式:L/d=一定を満足することができる。
【0029】
この場合、請求項5に記載されているように、すべての前記第1フローティングプレートの幅が等しく、それら第1フローティングプレートが等間隔に配置されていてもよい。 さらに、請求項6に記載されているように、すべての前記第1フローティングプレートの幅が等しく、すべての前記第2フローティングプレートの幅が等しく、かつ、前記第1フローティングプレートの幅と前記第2フローティングプレートの幅とが等しくてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。図2は、図1の囲い枠IIで囲まれる領域の拡大図である。図3は、図1の半導体装置を切断線III−IIIで切断したときの断面図である。
半導体装置1は、厚膜SOI基板2を備えている。厚膜SOI基板2は、シリコン基板3上に、酸化シリコンからなるBOX層4を介して、シリコンからなるN型の半導体層としての活性層5を積層した構造を有している。
【0031】
BOX層4の層厚は、たとえば、1〜6μmである。活性層5の層厚は、たとえば、10〜50μmである。活性層5のN型不純物濃度は、たとえば、1013〜1016cm−3である。
活性層5には、平面視矩形環状のディープトレンチ6が、層厚方向に貫通して形成されている。すなわち、活性層5には、その表面からBOX層4に至る深さを有する、平面視矩形環状のディープトレンチ6が形成されている。
【0032】
ディープトレンチ6の内側面は、1対のシリコン酸化膜7で覆われている。シリコン酸化膜7の厚さは、たとえば、0.2〜1.5μmである。
1対のシリコン酸化膜7の内側は、ポリシリコン8で埋め尽くされている。これにより、活性層5上には、ディープトレンチ6に囲まれ、BOX層4およびシリコン酸化膜7によりその周囲から絶縁分離(誘電体分離)された素子形成領域9が形成されている。
【0033】
素子形成領域9には、LDMOSFET10が形成されている。具体的には、素子形成領域9には、図1および図3の左右方向をゲート長方向とするユニットセルが同方向に沿って複数並べられてなるLDMOSFET10が形成されている。なお、図1および図3では、複数のユニットセルのうち1つだけ表している。
LDMOSFET10は、活性層5において、P型のボディ領域11と、N型のドリフト領域12とを備えている。
【0034】
ボディ領域11は、ユニットセルごとにディープトレンチ6の側面に沿う環状に形成され、その厚さが活性層5の表面からBOX層4に至っている。すなわち、ボディ領域11は、活性層5の全厚にわたって形成されている。ボディ領域11は、たとえば、1015〜1018cm−3の不純物濃度を有している。
ドリフト領域12は、活性層5において活性層5の導電型が維持され、ボディ領域11に囲まれた領域である。ドリフト領域12は、たとえば、1013〜1016cm−3の不純物濃度を有している。
【0035】
ボディ領域11の表層部には、ドリフト領域12と間隔を空けた位置に、第2不純物領域としてのN型のソース領域13と、P型のボディコンタクト領域14とが互いに隣接して(接して)形成されている。ソース領域13およびボディコンタクト領域14は、平面視でボディ領域11の全周にわたって形成されている。ソース領域13の不純物濃度は、ドリフト領域12の不純物濃度よりも高く、たとえば、1019〜1022cm−3である。
【0036】
ドリフト領域12の表層部には、ボディ領域11と間隔を空けた位置に、第1不純物領域としてのドレイン領域15が形成されている。ドレイン領域15は、ゲート長に沿う横方向(以下、この方向を単に「横方向」ということがある。)に対向するボディ領域11間の略中央部において、横方向に直交するゲート幅に沿う縦方向(以下、この方向を単に「縦方向」ということがある。)に直線状に延びている。また、ドレイン領域15は、その厚さが活性層5の表面から活性層5の層厚方向中央部に至っている。ドレイン領域15の不純物濃度は、ドリフト領域12の不純物濃度よりも高く、たとえば、1019〜1022cm−3である。
【0037】
ドリフト領域12の表面には、ドレイン領域15とソース領域13との間の部分に、ボディ領域11と間隔を空けて、すなわち、平面視でソース領域13と間隔を空けてフィールド絶縁膜16が形成されている。フィールド絶縁膜16は、ドレイン領域15を取り囲む環状に形成されている。また、フィールド絶縁膜16は、酸化シリコンからなり、たとえば、LOCOS法により形成される。フィールド絶縁膜16の厚さは、たとえば、0.5〜2μmである。
【0038】
活性層5の表面には、ソース領域13とフィールド絶縁膜16との間において、ボディ領域11およびドリフト領域12に跨り、フィールド絶縁膜16の外周縁に沿う環状のゲート絶縁膜17が形成されている。ゲート絶縁膜17は、たとえば、酸化シリコンからなる。
また、活性層5上には、ゲート絶縁膜17およびフィールド絶縁膜16に跨るゲート電極プレート18が形成されている。ゲート電極プレート18は、ゲート絶縁膜17の表面(上面)全域を覆う環状に形成されている。ゲート電極プレート18の周方向に直交する幅は、周方向いずれの位置においても同じ幅(一定幅)である。また、ゲート電極プレート18は、電極部19と、フィールドプレート部20とを一体的に有している。
【0039】
電極部19は、ゲート絶縁膜17上に形成され、ゲート絶縁膜17を介してボディ領域11およびドリフト領域12に対向している。一方、フィールドプレート部20は、フィールド絶縁膜16の外周縁に乗り上がっている。
また、活性層5においてドレイン領域15上には、ドレイン電極プレート21が形成されている。ドレイン電極プレート21は、フィールド絶縁膜16から露出する直線状のドレイン領域15の表面全域に接触(コンタクト)する直線状に形成され、その周縁がフィールド絶縁膜16の内周縁に乗り上がっている。
【0040】
また、活性層5においてボディ領域11上には、ソース電極プレート23が形成されている。ソース電極プレート23は、フィールド絶縁膜16から露出する環状のソース領域13およびボディコンタクト領域14に接触(コンタクト)する、ゲート電極プレート18に相似する環状に形成されている。
フィールド絶縁膜16上には、4つの第1フローティングプレート22が、ゲート電極プレート18と別体に形成されている。4つの第1フローティングプレート22は、すべてフィールド絶縁膜16(同一層)上に形成されている。
【0041】
各第1フローティングプレート22は、ゲート電極プレート18と相似形の環状に形成されている。したがって、各第1フローティングプレート22の周方向に直交する幅は、周方向いずれの位置においても同じ幅(一定幅)である。
また、4つの第1フローティングプレート22の幅方向中央における周方向の長さ(第1周囲長)は、すべての第1周囲長が異なる長さであり、いずれもゲート電極プレート18の幅方向中央における周方向の長さ(ゲート周囲長)よりも小さい。
【0042】
なお、本実施形態の説明において、第1周囲長の異なる第1フローティングプレート22を特に区別する場合に、第1周囲長の最も大きいプレートから順に、第1フローティングプレート22a〜22dと区別することがある。
第1フローティングプレート22の相似比は、基準とされる第1フローティングプレート22と、このプレートよりも第1周囲長基準で一段大きいプレートとの相似比が、基準とされる第1フローティングプレート22と、このプレートよりも第1周囲長基準で一段小さいプレートとの相似比と同じになるように設定される。
【0043】
たとえば、第1フローティングプレート22bを基準とする場合、第1フローティングプレート22bの第1周囲長と、このプレート22bよりも一段大きい第1フローティングプレート22aの第1周囲長との相似比が、第1フローティングプレート22bの第1周囲長と、このプレート22bよりも一段小さい第1フローティングプレート22cの第1周囲長との相似比と同じになるように設定される。
【0044】
また、第1フローティングプレート22a〜22dの各幅A〜Aは、すべて等しい。すなわち、関係式:A=A=A=Aが満たされる。
そして、4つの第1フローティングプレート22は、平面視におけるゲート電極プレート18の内側領域において、すべてのプレート22a〜22dがドレイン電極プレート21を取り囲むように配置されている。
【0045】
また、4つの第1フローティングプレート22は、相対的に第1周囲長の小さい第1フローティングプレート22が、相対的に第1周囲長の大きい第1フローティングプレート22の内側領域に収容されるように配置されている。具体的には、第1周囲長の最も大きい第1フローティングプレート22aが、ゲート電極プレート18に最も近い側に配置されている。また、第1フローティングプレート22aよりも一段小さい第1フローティングプレート22bが、第1フローティングプレート22aの内側領域に収容されるように配置されている。そして、第1フローティングプレート22cおよび22dについても、これらよりも一段大きいプレートの内側領域に収容されるように配置されている。これにより、各第1フローティングプレート22は、フィールド絶縁膜16を介してドリフト領域12に対向することとなる。
【0046】
また、4つの第1フローティングプレート22は、ゲート電極プレート18とドレイン電極プレート21との間を等間隔に分割するように配置されている。すなわち、相対的に周囲長の大きいプレートの内周と、相対的に周囲長の小さいプレートの外周との間隔が等しい。
具体的には、ゲート電極プレート18の内周と第1フローティングプレート22aの外周との間隔B、第1フローティングプレート22aの内周と第1フローティングプレート22bの外周との間隔B、第1フローティングプレート22bの内周と第1フローティングプレート22cの外周との間隔B、第1フローティングプレート22cの内周と第1フローティングプレート22dの外周との間隔B、および第1フローティングプレート22dの内周とドレイン電極プレート21の外周との間隔Bが、すべて等しい。すなわち、関係式:B=B=B=B=Bが満たされる。
【0047】
厚膜SOI基板2上は、酸化シリコンからなる第1層間絶縁膜24で覆われている。
第1層間絶縁膜24上には、5つの第2フローティングプレート25が形成されている。5つの第2フローティングプレート25は、すべて第1層間絶縁膜24上に形成されている。すなわち、5つの第2フローティングプレート25は、すべて第1フローティングプレート22の上方における同一層上に形成されている。
【0048】
各第2フローティングプレート25は、ゲート電極プレート18と相似形の環状に形成されている。したがって、すべての第2フローティングプレート25は、すべての第1フローティングプレート22と相似形である。また、各第2フローティングプレート25の周方向に直交する幅は、周方向いずれの位置においても同じ幅(一定幅)である。
また、5つの第2フローティングプレート25の幅方向中央における周方向の長さ(第2周囲長)は、すべての第2周囲長が異なる長さであり、かつ、すべての第1フローティングプレート22の第1周囲長とも異なる長さである。また、5つの第2フローティングプレート25の第2周囲長は、いずれもゲート電極プレート18のゲート周囲長よりも小さい。
【0049】
なお、本実施形態の説明において、第2周囲長の異なる第2フローティングプレート25を特に区別する場合に、第2周囲長の最も大きいプレートから順に、第2フローティングプレート25a〜25eと区別することがある。
また、第2フローティングプレート25は、相対的に第2周囲長の大きい第2フローティングプレート25の幅が、相対的に第2周囲長の小さい第2フローティングプレート25の幅よりも小さい。
【0050】
たとえば、第2フローティングプレート25bを基準とする場合、第2フローティングプレート25bの幅は、このプレート25bよりも第2周囲長が一段小さい第2フローティングプレート25cの幅よりも小さい。すなわち、第2フローティングプレート25a〜25eの各幅E〜Eが、関係式:E<E<E<E<Eを満たす。
そして、5つの第2フローティングプレート25は、平面視で隣接する各プレート18,21,22間に、1つずつ振り分けて配置されている。これにより、ゲート電極プレート18とドレイン電極プレート21との間には、平面視で第1フローティングプレート22および第2フローティングプレート25が交互に配置される。
【0051】
具体的には、第2周囲長の最も大きい第2フローティングプレート25aが、ゲート電極プレート18に近い側、すなわち、ゲート電極プレート18と第1フローティングプレート22aとの間に配置される。また、第2フローティングプレート25aよりも一段小さい第2フローティングプレート25bが、第1フローティングプレート22aと第1フローティングプレート22bとの間に配置される。そして、第2フローティングプレート25c〜25eについても、同様に平面視で隣接する各プレート21,22間に配置される。
【0052】
また、5つの第2フローティングプレート25は、すべての幅方向中央が下方のプレート18,21,22間の幅方向中央に一致するように配置されている。
第1層間絶縁膜24上は、酸化シリコンからなる第2層間絶縁膜26で覆われている。
第1層間絶縁膜24および第2層間絶縁膜26には、ソース電極プレート23に臨むソースコンタクトホール27が貫通して形成されている。また、第1層間絶縁膜24および第2層間絶縁膜26には、ドレイン電極プレート21に臨むドレインコンタクトホール28が貫通して形成されている。
【0053】
第2層間絶縁膜26上には、ソース配線29およびドレイン配線30が形成されている。ソース配線29は、平面視におけるゲート電極プレート18の外側領域において、ソース電極プレート23の形状に沿う環状に形成されている。また、ソース配線29は、ソースコンタクトホール27に埋設されたソースコンタクトプラグ31を介して、ソース電極プレート23に接続されている。
【0054】
ドレイン配線30は、平面視における第2フローティングプレート25eの内側領域において、ドレイン電極プレート21の形状に沿う直線状に形成されている。また、ドレイン配線30は、ドレインコンタクトホール28に埋設されたドレインコンタクトプラグ32を介して、ドレイン電極プレート21に接続されている。
ソース配線29を接地し、ドレイン配線30に正極性の電圧(ドレイン電圧)を印加しつつ、ゲート電極プレート18の電位を制御することにより、ボディ領域11におけるゲート絶縁膜17との界面近傍にチャネルを形成し、ドリフト領域12を介して、ソース領域13とドレイン領域15との間(ソース−ドレイン間)に電流を流すことができる。
【0055】
以上のように、半導体装置1では、フィールド絶縁膜16上に、一定幅を有する4つの環状の第1フローティングプレート22が形成されている。また、第1フローティングプレート22の上方における第1層間絶縁膜24上には、一定幅を有する5つの環状の第2フローティングプレート25が形成されている。すべての第1フローティングプレート22の第1周囲長およびすべての第2フローティングプレート25の第2周囲長は、互いに異なっている。
【0056】
そして、第1フローティングプレート22および第2フローティングプレート25は、平面視におけるゲート電極プレート18とドレイン電極プレート21との間において、相対的に周囲長(第1周囲長および第2周囲長)の小さいプレートが相対的に周囲長(第1周囲長および第2周囲長)の大きいプレートの内側領域に収容されるように、平面視で交互に配置されている。
【0057】
これにより、フィールド絶縁膜16上には、平面視で互いに隣接する各プレート18,21,22を対向電極とするキャパシタが形成される。具体的には、第1フローティングプレート22および第2フローティングプレート25を対向電極とするキャパシタが8つ、ゲート電極プレート18および第2フローティングプレート25aを対向電極とするキャパシタが1つ、およびドレイン電極プレート21および第2フローティングプレート25eを対向電極とするキャパシタが1つ、合計10個のキャパシタが形成される。
【0058】
フィールド絶縁膜16上に形成される各キャパシタの対向電極間に生じる電界が一様であれば、ドリフト領域12における対向電極間下方の部分の電位分布を均一にすることができる。
そこで、半導体装置1では、第1フローティングプレート22および第2フローティングプレート25は、L/d=一定を満たすように形成されている。ただし、各定義値の内容は、以下の通りである。
【0059】
L:平面視で隣接する第1フローティングプレート22および第2フローティングプレート25のうち内側のプレートの外周
d:Lを定義するプレートの外周とそのプレートの外周に対向するように隣接する第1フローティングプレート22または第2フローティングプレート25の内周との距離
具体的には、第1フローティングプレート22は、各プレート22a〜22dの幅A〜Aがすべて等しく、ゲート電極プレート18とドレイン電極プレート21との間を等間隔に分割するように配置されている。
【0060】
一方、第2フローティングプレート25は、相対的に第2周囲長の大きい第2フローティングプレート25の幅が、相対的に第2周囲長の小さい第2フローティングプレート25の幅よりも小さい。また、第2フローティングプレート25は、相対的に第2周囲長の大きい第2フローティングプレート25から順にゲート電極プレート18の近くに配置されている。さらに、第2フローティングプレート25は、すべての幅方向中央が下方のプレート18,21,22間の幅方向中央に一致するように配置されている。
【0061】
これにより、平面視における各キャパシタの対向電極の距離を、対向電極を形成するプレートの周囲長が大きくなるにしたがって大きくすることができる。
具体的には、第2フローティングプレート25aと、ゲート電極プレート18および第1フローティングプレート22aとの距離をFとする。また、第2フローティングプレート25bと、第1フローティングプレート22aおよび第1フローティングプレート22bとの距離をFとする。また、第2フローティングプレート25cと、第1フローティングプレート22bおよび第1フローティングプレート22cとの距離をFとする。また、第2フローティングプレート25dと、第1フローティングプレート22cおよび第1フローティングプレート22dとの距離をFとする。また、第2フローティングプレート25eと、第1フローティングプレート22dおよびドレイン電極プレート21との距離をFとする。そして、半導体装置1では、これらの場合に、関係式:F>F>F>F>Fを満たすことができる。
【0062】
そのため、各キャパシタ間におけるL(各プレートの外周)の差を、F〜Fを適切な値に設定して調整することにより、上記関係式:L/d=一定を満足することができる。
そして、フィールド絶縁膜16上に形成される各キャパシタの総容量Cは、各キャパシタにおける内側のフローティングプレートの外周Lの微小区間ΔLあたりの容量ΔC=ε・ΔS/d(ΔS:内側のフローティングプレートのΔLあたりの外周面の微小面積)の総和であり、C=ε・S/dで表される。ΔSが、内側のフローティングプレートのΔLあたりの外周面の面積でありΔLに比例することから、ΔSの総和であるSは、ΔLの総和であるLに比例する。
【0063】
そのため、第1フローティングプレート22および第2フローティングプレート25がL/d=一定を満たす条件に基づくと、S/d=一定が導かれる。したがって、周囲長(第1周囲長および第2周囲長)がすべて異なる第1フローティングプレート22と第2フローティングプレート25とを対向電極とする複数のキャパシタにおいて、総容量をすべて同じにすることができる。
【0064】
その結果、各キャパシタの対向電極間に生じる電界を一様にすることができるので、ソース−ドレイン間の電位分布を均一にすることができる。よって、耐圧を向上させることができる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。図5は、図4の囲い枠Vで囲まれる領域の拡大図である。図6は、図4の半導体装置を切断線VI−VIで切断したときの断面図である。図4〜図6において、図1〜図3に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
半導体装置41では、フィールド絶縁膜16上に、4つの第1フローティングプレート42が、ゲート電極プレート18と別体に形成されている。4つの第1フローティングプレート42は、すべてフィールド絶縁膜16(同一層)上に形成されている。
【0065】
各第1フローティングプレート42は、ゲート電極プレート18と相似形の環状に形成されている。したがって、各第1フローティングプレート42の周方向に直交する幅は、周方向いずれの位置においても同じ幅(一定幅)である。
また、4つの第1フローティングプレート42の幅方向中央における周方向の長さ(第1周囲長)は、すべての第1周囲長が異なる長さであり、いずれもゲート電極プレート18の幅方向中央における周方向の長さ(ゲート周囲長)よりも小さい。
【0066】
なお、本実施形態の説明において、第1周囲長の異なる第1フローティングプレート42を特に区別する場合に、第1周囲長の最も大きいプレートから順に、第1フローティングプレート42a〜42dと区別することがある。
また、第1フローティングプレート42a〜42dの各幅G〜Gは、すべて等しい。すなわち、関係式:G=G=G=Gが満たされる。
【0067】
そして、4つの第1フローティングプレート42は、平面視におけるゲート電極プレート18の内側領域において、すべてのプレート42a〜42dがドレイン電極プレート21を取り囲むように配置されている。
また、第1フローティングプレート42は、相対的に第1周囲長の小さい第1フローティングプレート42が、相対的に第1周囲長の大きい第1フローティングプレート42の内側領域に収容されるように配置されている。具体的には、第1周囲長の最も大きい第1フローティングプレート42aが、ゲート電極プレート18に最も近い側に配置されている。また、第1フローティングプレート42aよりも一段小さい第1フローティングプレート42bが、第1フローティングプレート42aの内側領域に収容されるように配置されている。そして、第1フローティングプレート42cおよび22dについても、これらよりも一段大きいプレートの内側領域に収容されるように配置されている。これにより、各第1フローティングプレート42は、フィールド絶縁膜16を介してドリフト領域12に対向することとなる。
【0068】
また、4つの第1フローティングプレート42は、ゲート電極プレート18とドレイン電極プレート21との間を、フィールド絶縁膜16の表面に沿ってゲート電極プレート18へ向かう方向にしたがって間隔が大きくなるように配置されている。
たとえば、基準とされる第1フローティングプレート42の外周と、このプレートよりも一段大きい第1フローティングプレート42の内周との間隔が、基準とされる第1フローティングプレート42の内周と、このプレートよりも一段小さい第1フローティングプレート42の外周との間隔よりも大きくなるように配置されている。
【0069】
具体的には、第1フローティングプレート42bを基準とする場合、このプレート42bの外周と第1フローティングプレート42aの内周との間隔Hが、第1フローティングプレート42bの内周と第1フローティングプレート42cの外周との間隔Hよりも大きくなるように配置されている。
また、半導体装置41では、第1層間絶縁膜24上に、5つの第2フローティングプレート45が形成されている。5つの第2フローティングプレート45は、すべて第1層間絶縁膜24上に形成されている。すなわち、5つの第2フローティングプレート45は、すべて第1フローティングプレート22の上方における同一層上に形成されている。
【0070】
各第2フローティングプレート45は、ゲート電極プレート18と相似形の環状に形成されている。したがって、すべての第2フローティングプレート45は、第1フローティングプレート42と相似形である。また、各第2フローティングプレート45の周方向に直交する幅は、周方向いずれの位置においても同じ幅(一定幅)である。
また、5つの第2フローティングプレート45の幅方向中央における周方向の長さ(第2周囲長)は、すべての第2周囲長が異なる長さであり、かつ、すべての第1フローティングプレート42の第1周囲長とも異なる長さである。また、5つの第2フローティングプレート45の第2周囲長は、いずれもゲート電極プレート18のゲート周囲長よりも小さい。
【0071】
なお、本実施形態の説明において、第2周囲長の異なる第2フローティングプレート45を特に区別する場合に、第2周囲長の最も大きいプレートから順に、第2フローティングプレート45a〜45eと区別することがある。
また、第2フローティングプレート45a〜45eの各幅I〜Iは、すべて等しく、かつ、第1フローティングプレート42a〜42dの各幅G〜Gとも等しい。すなわち、すべての第1フローティングプレート42の幅が等しく、すべての第2フローティングプレート45の幅が等しく、かつ、第1フローティングプレート42の幅と第2フローティングプレート45の幅とが等しい。つまり、関係式:G=G=G=G=I=I=I=I=Iが満たされる。
【0072】
そして、5つの第2フローティングプレート45は、平面視で隣接する各プレート18,21,22間に、1つずつ振り分けて配置されている。これにより、ゲート電極プレート18とドレイン電極プレート21との間には、平面視で第1フローティングプレート42および第2フローティングプレート45が交互に配置される。
具体的には、第2周囲長の最も大きい第2フローティングプレート45aが、ゲート電極プレート18に近い側、すなわち、ゲート電極プレート18と第1フローティングプレート42aとの間に配置される。また、第2フローティングプレート45aよりも一段小さい第2フローティングプレート45bが、第1フローティングプレート42aと第1フローティングプレート42bとの間に配置される。そして、第2フローティングプレート45c〜45eについても、同様に平面視で隣接する各プレート21,42間に配置される。
【0073】
また、5つの第2フローティングプレート45は、すべての幅方向中央が下方のプレート18,21,42間の幅方向中央に一致するように配置されている。
以上のように、半導体装置41では、すべての第1フローティングプレート42の幅が等しく、すべての第2フローティングプレート45の幅が等しく、かつ、第1フローティングプレート42の幅と第2フローティングプレート45の幅とが等しい。
【0074】
また、第1フローティングプレート42は、ゲート電極プレート18とドレイン電極プレート21との間を、フィールド絶縁膜16の表面に沿ってゲート電極プレート18へ向かう方向にしたがって間隔が大きくなるように配置されている。
一方、5つの第2フローティングプレート45は、すべての幅方向中央が下方のプレート18,21,42間の幅方向中央に一致するように配置されている。
【0075】
これにより、平面視における各キャパシタの対向電極の距離を、対向電極を形成するプレートの周囲長が大きくなるにしたがって大きくすることができる。
具体的には、第2フローティングプレート45aと、ゲート電極プレート18および第1フローティングプレート42aとの距離をJとする。また、第2フローティングプレート45bと、第1フローティングプレート42aおよび第1フローティングプレート42bとの距離をJとする。また、第2フローティングプレート45cと、第1フローティングプレート42bおよび第1フローティングプレート42cとの距離をJとする。また、第2フローティングプレート45dと、第1フローティングプレート42cおよび第1フローティングプレート42dとの距離をJとする。また、第2フローティングプレート45eと、第1フローティングプレート42dおよびドレイン電極プレート21との距離をJとする。そして、半導体装置41では、これらの場合に、関係式:J>J>J>J>Jを満たすことができる。
【0076】
そのため、各キャパシタ間におけるL(各プレートの外周)の差を、J〜Jを適切な値に設定して調整することにより、上記関係式:L/d=一定を満足することができる。
したがって、周囲長(第1周囲長および第2周囲長)がすべて異なる第1フローティングプレート42と第2フローティングプレート45とを対向電極とする複数のキャパシタにおいて、総容量をすべて同じにすることができる。
【0077】
その結果、各キャパシタの対向電極間に生じる電界を一様にすることができるので、ソース−ドレイン間の電位分布を均一にすることができる。よって、耐圧を向上させることができる。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。図8は、図7の囲い枠VIII−VIIIで囲まれる領域の拡大図である。図9は、図7の半導体装置を切断線IX−IXで切断したときの断面図である。図7〜図9において、図1〜図3に示す各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を付している。また、以下では、同一の参照符号を付した部分についての詳細な説明を省略する。
【0078】
半導体装置71では、フィールド絶縁膜16上に、4つの第1フローティングプレート72が、ゲート電極プレート18と別体に形成されている。4つの第1フローティングプレート72は、すべてフィールド絶縁膜16(同一層)上に形成されている。
各第1フローティングプレート72は、ゲート電極プレート18と相似形の環状に形成されている。したがって、各第1フローティングプレート72の周方向に直交する幅は、周方向いずれの位置においても同じ幅(一定幅)である。
【0079】
また、4つの第1フローティングプレート72の幅方向中央における周方向の長さ(第1周囲長)は、すべての第1周囲長が異なる長さであり、いずれもゲート電極プレート18の幅方向中央における周方向の長さ(ゲート周囲長)よりも小さい。
なお、本実施形態の説明において、第1周囲長の異なる第1フローティングプレート72を特に区別する場合に、第1周囲長の最も大きいプレートから順に、第1フローティングプレート72a〜72dと区別することがある。
【0080】
また、第1フローティングプレート72は、相対的に第1周囲長の大きい第1フローティングプレート72の幅が、相対的に第1周囲長の小さい第1フローティングプレート72の幅よりも小さい。
たとえば、第1フローティングプレート72bを基準とする場合、第1フローティングプレート72bの幅は、このプレート72bよりも第1周囲長が一段小さい第1フローティングプレート72cの幅よりも小さい。すなわち、第1フローティングプレート72a〜72dの各幅K〜Kが、関係式:K<K<K<Kを満たす。
【0081】
そして、4つの第1フローティングプレート72は、平面視におけるゲート電極プレート18の内側領域において、すべてのプレート72a〜72dがドレイン電極プレート21を取り囲むように配置されている。
また、4つの第1フローティングプレート72は、相対的に第1周囲長の小さい第1フローティングプレート72が、相対的に第1周囲長の大きい第1フローティングプレート72の内側領域に収容されるように配置されている。具体的には、第1周囲長の最も大きい第1フローティングプレート72aが、ゲート電極プレート18に最も近い側に配置されている。また、第1フローティングプレート72aよりも一段小さい第1フローティングプレート72bが、第1フローティングプレート72aの内側領域に収容されるように配置されている。そして、第1フローティングプレート72cおよび22dについても、これらよりも一段大きいプレートの内側領域に収容されるように配置されている。これにより、各第1フローティングプレート72は、フィールド絶縁膜16を介してドリフト領域12に対向することとなる。
【0082】
また、4つの第1フローティングプレート72は、ゲート電極プレート18とドレイン電極プレート21との間を、フィールド絶縁膜16の表面に沿ってゲート電極プレート18へ向かう方向にしたがって間隔が大きくなるように配置されている。
たとえば、基準とされる第1フローティングプレート72の外周と、このプレートよりも一段大きい第1フローティングプレート72の内周との間隔が、基準とされる第1フローティングプレート72の内周と、このプレートよりも一段小さい第1フローティングプレート72の外周との間隔よりも大きくなるように配置されている。
【0083】
具体的には、第1フローティングプレート72bを基準とする場合、このプレート72bの外周と第1フローティングプレート72aの内周との間隔Mが、第1フローティングプレート72bの内周と第1フローティングプレート72cの外周との間隔Mよりも大きくなるように配置されている。
また、半導体装置71では、第1層間絶縁膜24上に、5つの第2フローティングプレート75が形成されている。5つの第2フローティングプレート75は、すべて第1層間絶縁膜24上に形成されている。すなわち、5つの第2フローティングプレート75は、すべて第1フローティングプレート22の上方における同一層上に形成されている。
【0084】
各第2フローティングプレート75は、ゲート電極プレート18と相似形の環状に形成されている。したがって、各第2フローティングプレート75は、第1フローティングプレート72と相似形である。また、各第2フローティングプレート75の周方向に直交する幅は、周方向いずれの位置においても同じ幅(一定幅)である。
また、5つの第2フローティングプレート75の幅方向中央における周方向の長さ(第2周囲長)は、すべての第2周囲長が異なる長さであり、かつ、すべての第1フローティングプレート72の第1周囲長とも異なる長さである。また、5つの第2フローティングプレート75の第2周囲長は、いずれもゲート電極プレート18のゲート周囲長よりも小さい。
【0085】
なお、本実施形態の説明において、第2周囲長の異なる第2フローティングプレート75を特に区別する場合に、第2周囲長の最も大きいプレートから順に、第2フローティングプレート75a〜75eと区別することがある。
また、第2フローティングプレート75a〜75eの各幅N〜Nは、すべて等しい。すなわち、関係式:N=N=N=Nが満たされる。
【0086】
そして、5つの第2フローティングプレート75は、平面視で隣接する各プレート18,21,72間に、1つずつ振り分けて配置されている。これにより、ゲート電極プレート18とドレイン電極プレート21との間には、平面視で第1フローティングプレート72および第2フローティングプレート75が交互に配置される。
具体的には、第2周囲長の最も大きい第2フローティングプレート75aが、ゲート電極プレート18に近い側、すなわち、ゲート電極プレート18と第1フローティングプレート72aとの間に配置される。また、第2フローティングプレート75aよりも一段小さい第2フローティングプレート75bが、第1フローティングプレート72aと第1フローティングプレート72bとの間に配置される。そして、第2フローティングプレート75c〜75eについても、同様に平面視で隣接する各プレート21,72間に配置される。また、5つの第2フローティングプレート75は、平面視で隣接するプレート75同士の間隔が等間隔となるように配置されている。
【0087】
以上のように、半導体装置71では、第1フローティングプレート72は、相対的に第1周囲長の大きい第1フローティングプレート72の幅が、相対的に第1周囲長の小さい第1フローティングプレート72の幅よりも小さい。また、第1フローティングプレート72は、ゲート電極プレート18とドレイン電極プレート21との間を、フィールド絶縁膜16の表面に沿ってゲート電極プレート18へ向かう方向にしたがって間隔が大きくなるように配置されている。
【0088】
一方、第2フローティングプレート75は、各プレート75a〜75eの幅N〜Nがすべて等しく、平面視で第1フローティングプレート72とともに交互に配置され、平面視で隣接するプレート75同士の間隔が等間隔となるように配置されている。 これにより、平面視における各キャパシタの対向電極の距離を、対向電極を形成するプレートの周囲長が大きくなるにしたがって大きくすることができる。
【0089】
具体的には、第2フローティングプレート75aと、ゲート電極プレート18および第1フローティングプレート72aとの距離をOとする。また、第2フローティングプレート75bと、第1フローティングプレート72aおよび第1フローティングプレート72bとの距離をOとする。また、第2フローティングプレート75cと、第1フローティングプレート72bおよび第1フローティングプレート72cとの距離をOとする。また、第2フローティングプレート75dと、第1フローティングプレート72cおよび第1フローティングプレート72dとの距離をOとする。また、第2フローティングプレート75eと、第1フローティングプレート72dおよびドレイン電極プレート21との距離をOとする。そして、半導体装置71では、これらの場合に、関係式:O>O>O>O>Oを満たすことができる。
【0090】
そのため、各キャパシタ間におけるL(各プレートの外周)の差を、O〜Oを適切な値に設定して調整することにより、上記関係式:L/d=一定を満足することができる。
したがって、周囲長(第1周囲長および第2周囲長)がすべて異なる第1フローティングプレート72と第2フローティングプレート75とを対向電極とする複数のキャパシタにおいて、総容量をすべて同じにすることができる。
【0091】
その結果、各キャパシタの対向電極間に生じる電界を一様にすることができるので、ソース−ドレイン間の電位分布を均一にすることができる。よって、耐圧を向上させることができる。
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0092】
たとえば、第1フローティングプレート22,42,72および第2フローティングプレート25,45,75の数は、1つや2つであってもよいし、4つ以上あってもよい。 また、半導体装置1、半導体装置41および半導体装置71において、各半導体領域の導電型を反転した構成が採用されてもよい。すなわち、半導体装置1、半導体装置41および半導体装置71において、N型の領域がP型の領域であり、かつ、P型の領域がN型の領域である構成が採用されてもよい。
【0093】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
【図2】図1の囲い枠IIで囲まれる領域の拡大図である。
【図3】図1の半導体装置を切断線III−IIIで切断したときの断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
【図5】図4の囲い枠Vで囲まれる領域の拡大図である。
【図6】図4の半導体装置を切断線VI−VIで切断したときの断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の模式的な平面図である。
【図8】図7の囲い枠VIII−VIIIで囲まれる領域の拡大図である。
【図9】図7の半導体装置を切断線IX−IXで切断したときの断面図である。
【図10】従来のLDMOSFETを備える半導体装置の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0095】
1 半導体装置
5 活性層(半導体層)
11 ボディ領域
12 ドリフト領域
13 ソース領域(第2不純物領域)
15 ドレイン領域(第1不純物領域)
16 フィールド絶縁膜
17 ゲート絶縁膜
18 ゲート電極プレート
22 第1フローティングプレート
25 第2フローティングプレート
41 半導体装置
42 第1フローティングプレート
45 第2フローティングプレート
71 半導体装置
72 第1フローティングプレート
75 第2フローティングプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体材料からなる半導体層と、
前記半導体層の表層部に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第1不純物領域と、
前記半導体層の表層部に前記第1不純物領域と間隔を空けて形成された第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域の表層部に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有する第1導電型の第2不純物領域と、
前記半導体層の表面における前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間の部分に、前記第2不純物領域と間隔を空けて形成されたフィールド絶縁膜と、
前記第2不純物領域と前記フィールド絶縁膜との間において、前記半導体層の表面上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記フィールド絶縁膜上において、一定幅を有する環状に形成された第1フローティングプレートと、
前記第1フローティングプレートの上方における同一層上において、一定幅を有する環状に形成された第2フローティングプレートとを含み、
前記第1フローティングプレートおよび前記第2フローティングプレートは、それらの幅方向中央における各周囲長がすべて異なるように合計3つ以上形成され、相対的に前記周囲長の小さいものが相対的に前記周囲長の大きいものの内側領域に収容されるように平面視で交互に配置されるとともに、関係式:L/d=一定(L:平面視で隣接する前記第1および第2フローティングプレートのうち内側のプレートの外周、d:Lを定義するプレートの外周とそのプレートの外周に対向するように隣接する前記第1または第2フローティングプレートの内周との距離)を満たすように形成されている、半導体装置。
【請求項2】
相対的に前記周囲長の大きい前記第1フローティングプレートの幅が、相対的に前記周囲長の小さい前記第1フローティングプレートの幅よりも小さい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
すべての前記第2フローティングプレートの幅が等しく、それら第2フローティングプレートが等間隔に配置されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
相対的に前記周囲長の大きい前記第2フローティングプレートの幅が、相対的に前記周囲長の小さい前記第2フローティングプレートの幅よりも小さい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
すべての前記第1フローティングプレートの幅が等しく、それら第1フローティングプレートが等間隔に配置されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
すべての前記第1フローティングプレートの幅が等しく、すべての前記第2フローティングプレートの幅が等しく、かつ、前記第1フローティングプレートの幅と前記第2フローティングプレートの幅とが等しい、請求項1に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−157582(P2010−157582A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334481(P2008−334481)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】