説明

半導体装置

【課題】薄型の半導体装置の放熱効率を向上させる。
【解決手段】液晶表示装置70の液晶ドライバ40は、U型状に折り曲げられ、ポリイミド樹脂13及びリードから構成され、外側面に凹凸部12が設けられるフレキシブル基板2と、フレキシブル基板2の内側面に載置され、フレキシブル基板2のリードと突起電極を介して電気的に接続され、樹脂10で側面及び底面が封止される液晶ドライバチップ1とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体機器やTV等の電子機器では、小型・軽量化、薄型化のために内部に設けられる半導体チップなどの各種電子部品の小型化が図られており、その電子部品を実装するスペースも極めて制限される。例えば、小型或いは大型のLCD(liquid crystal display)モニタ、LCD−TVなどの表示装置ではCOF(chip on film)方式やTAB(tape automated bonding)方式などを用いて実装され、各種電子部品の小型化が図られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1などでは、画素駆動用ドライバのパッケージに侠額縁・薄型に適した折り曲げ可能なCOF方式が用いられる。
【0003】
近年、表示装置の大型化や高細精化などの進展に伴い、画素駆動用ドライバの多出力化が進行している。また、表示パネルの大型化により一画素当たりの消費電流が増加して表示装置の発熱が増大する。COF方式を用い、薄型実装された表示装置では、フレキシブル基板を折り曲げて実装するので、熱の逃げ口が塞がれており、放熱しにくく熱が籠もりやすい。このため放熱効率が大幅に低下するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−135247号公報(頁11、図7及び図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、放熱効率を向上することができる薄型の半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の半導体装置は、U型状に折り曲げ可能であり、外側面に放熱用の凹凸部が設けられるフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の内側面に載置され、前記フレキシブル基板と電気的に接続される半導体チップとを具備することを特徴とする。
【0007】
更に、本発明の他態様の半導体装置は、U型状に折り曲げ可能であり、放熱孔が設けられるフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の内側面に載置され、前記フレキシブル基板と電気的に接続される半導体チップとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、放熱効率を向上することができる薄型の半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1に係る液晶表示装置を示す断面図。
【図2】本発明の実施例1に係る半導体装置としての液晶ドライバを示す拡大断面図。
【図3】本発明の実施例1に係る比較例のドライバ部を示す断面図。
【図4】本発明の実施例2に係る半導体装置としての液晶ドライバを示す断面図。
【図5】本発明の実施例3に係る液晶表示装置を示す断面図。
【図6】図5の領域Aの拡大断面図。
【図7】本発明の実施例3に係る半導体装置としての液晶ドライバを示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、本発明の実施例1に係る半導体装置について、図面を参照して説明する。図1は液晶表示装置を示す断面図、図2は半導体装置としての液晶ドライバを示す拡大断面図、図3は比較例の液晶ドライバである。本実施例では、U型構造のフレキシブル基板の外側面に、液晶ドライバの放熱用として凹凸部を設けている。
【0012】
図1に示すように、液晶表示装置70には、液晶ドライバ40、フレキシブル基板2、外部回路基板3、液晶表示パネル4、バックライトユニット5、接着剤6a、接着剤6b、及びソルダーレジスト9が設けられる。液晶表示装置70は、例えばLCD(liquid crystal display)モニタに適用される。
【0013】
フレキシブル基板2は、樹脂と金属の2層構造からなる。具体的には、比較的厚さが厚いポリイミド樹脂13と比較的厚さの薄いリード7a及び7bから構成される。リード7a及び7bは、U型に折り曲げられたフレキシブル基板2の内側面側に設けられる。フレキシブル基板2は、例えばキャスティング法で形成されたCOF方式のフレキシブル基板である。キャスティング法とは、Cu(銅)箔をポリイミド樹脂に貼り付けて、Cu(銅)箔を選択的にエッチングしてCu(銅)箔パターンを形成するものである。
【0014】
リード7aは、一端が液晶ドライバ40に接続され、他端が導電性の接着材6aを介して外部回路基板3に電気的に接続される。外部回路基板3は、導電性の接着剤6によりフレキシブル基板2の図中下端部に固着され、液晶ドライバ40に画像表示用に使用されるデジタル信号を送信する。
【0015】
リード7bは、一端が液晶ドライバ40に接続され、他端が導電性の接着材6bを介して液晶表示パネル4に電気的に接続される。液晶表示パネル4は、導電性の接着材6bによりフレキシブル基板2の図中上端部に固着され、液晶ドライバ40から出力され、画像表示用に使用されるアナログ信号を受信する。
【0016】
バックライトユニット5は、液晶表示パネル4の裏面側に、例えば図示しない光学シートを介して液晶表示パネル4に装着される。バックライトユニット5は、図示しない光拡散源、発光源、バックライトシャーシなどから構成される。U型に折り曲げられたフレキシブル基板2の内側面側のリード7a及び7b上(接着剤6a及び6bが設けられていない領域)には、リード7a及び7bをカバーするソルダーレジスト9が設けられる。
【0017】
図2に示すように、液晶ドライバ40では、フレキシブル基板2の内側面側(図中上側)に液晶ドライバチップ1がチップ端子11a及び11bを下側にして、フレキシブル基板2に実装される(フェースダウン実装)。液晶ドライバチップ1は、ソースドライバである。なお、ここではゲートドライバは、液晶表示パネル4内に設けられる。
【0018】
液晶ドライバチップ1のチップ端子11aは、突起電極8aを介してリード7aに接続される。液晶ドライバチップ1のチップ端子11bは、突起電極8bを介してリード7bに接続される。突起電極8a及び8bにはAu(金)バンプが使用される。液晶ドライバチップ1の両側面及び底部には、アンダーフィル材としての樹脂10が充填される。樹脂10には、例えばエポキシ樹脂が用いられる。
【0019】
フレキシブル基板2のポリイミド樹脂13の外側面側(図中下側)には、凹凸部12が設けられる。なお、凹凸部12は、図1に示すフレキシブル基板2の外側面側(左部及び上部)にも設けられる。凹凸部12は、例えばCu(銅)箔を貼り付ける前のポリイミド樹脂13に予め形成するのが好ましい。例えば、キャスティング法の前に。
【0020】
ポリイミド樹脂13の外側面側に凹凸部12を設けることにより、放熱面積を増加させることができ、ポリイミド樹脂13の熱伝導率が比較的小さいにもかかわらず、液晶ドライバチップ1で発生する熱を迅速にフレキシブル基板2の外側面側に逃がすことができる。このため、フレキシブル基板2の外側面側の放熱効率を向上させることができる。
【0021】
フレキシブル基板2がU型形状を有し、発熱源として液晶ドライバ40、バックライトユニット5、及び液晶表示パネル4などがU型のフレキシブル基板2の上部の両側に配置されている。このため、フレキシブル基板2の内側面側(図中上側、液晶ドライバチップ1の裏面側)では、液晶ドライバチップ1のシリコンの熱伝導率(151W/mk)が比較的大きいにもかかわらず熱が籠もりやすい。したがって、フレキシブル基板2の内側面側は放熱効率が悪い。
【0022】
図3に示すように、比較例の液晶ドライバ50には、ポリイミド樹脂13の外側面側は平坦であり、凹凸部12が設けられていない。このため、放熱面積が小さく、液晶ドライバチップ1で発生する熱を迅速にフレキシブル基板2の外側面側に逃がすことができない。フレキシブル基板2の外側面側は、本実施例の液晶ドライバ40と比べ放熱効率が悪い。
【0023】
なお、比較例の液晶ドライバ50では、ポリイミド樹脂13の外側面側が平坦である以外は本実施例の液晶ドライバ40と同様な構造を有する。
【0024】
上述したように、本実施例の半導体装置では、液晶表示装置70に、液晶ドライバ40、フレキシブル基板2、外部回路基板3、液晶表示パネル4、バックライトユニット5、接着剤6a、接着剤6b、及びソルダーレジスト9が設けられる。液晶ドライバ40は、U型状に折り曲げられ、ポリイミド樹脂13及びリードから構成され、外側面に凹凸部12が設けられるフレキシブル基板2と、フレキシブル基板2の内側面に載置され、フレキシブル基板2のリードと突起電極を介して電気的に接続され、樹脂10で側面及び底面が封止される液晶ドライバチップ1とを有する。凹凸部12により、フレキシブル基板2の外側面側の表面積を大きくすることができる。
【0025】
このため、液晶ドライバチップ1で発生する熱を迅速にフレキシブル基板2の外側面側に逃がすことができる。したがって、液晶ドライバ40の放熱効率を向上させることができる。
【0026】
なお、本実施例では、キャスティング法で形成されたCOF方式のフレキシブル基板を用いているが、代わりにメッキ・蒸着・スパッタ法、或いはラミネート法などを用いてCOF方式のフレキシブル基板を形成してもよい。液晶表示装置70は、LCD(liquid crystal display)モニタに適用しているがLCD−TV、携帯電話用表示装置、PDA用表示装置、カムデコーダ用表示装置などにも適用することができる。また、折り曲げられたフレキシブル基板2の外側面に凹凸部12を設けているが、更に折り曲げられたフレキシブル基板2の内側面にも設けてもよい。その場合、リード7a及び7bが設けられていない領域に設けるのが好ましい。
【実施例2】
【0027】
次に、本発明の実施例2に係る半導体装置について、図面を参照して説明する。図4は半導体装置としての液晶ドライバを示す断面図である。本実施例では、液晶ドライバの放熱用としてフレキシブル基板に凹凸部を設け、凹部を覆うように放熱材を設けている。
【0028】
以下、実施例1と同一構成部分には、同一符号を付してその部分の説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0029】
図4に示すように、液晶表示装置に使用される液晶ドライバ41では、フレキシブル基板2の内側面側(図中上側)に液晶ドライバチップ1がチップ端子11a及び11bを下側にして、フレキシブル基板2に実装される(フェースダウン実装)。フレキシブル基板2のポリイミド樹脂13の外側面側(図中下側)には、凹凸部12aが設けられる。凹凸部12a上には、凹部21を覆うように放熱材22が設けられる。凹凸部12a及び放熱材22は、液晶ドライバチップ1が載置されていないフレキシブル基板2の外側面側(左部及び上部)にも設けられる。
【0030】
ここで、放熱材22には、ポリイミド樹脂13よりも熱伝導率が大きな絶縁物質を用いるのが好ましい。放熱材22には、熱伝導率が170〜200(W/mk)のALN(窒化アルミニウム)を用いているが、代わりに熱伝導率が55〜150(W/mk)のSiC(炭化シリコン)、熱伝導率が20〜150(W/mk)のSi(窒化シリコン)、熱伝導率が50〜60(W/mk)のBN(窒化ホウ素)、或いは熱伝導率が29〜36(W/mk)のAL(アルミナ)などを用いてもよい。
【0031】
放熱材22のフレキシブル基板2の外側面側への装着方法としては、例えば絶縁物質であるALN(窒化アルミニウム)を焼結形成し、ポリイミド樹脂13の外側面側の凹凸部12aに貼り付けるのが好ましい。
【0032】
放熱材22を設けることにより、液晶ドライバチップ1で発生する熱を迅速にフレキシブル基板2の外側面側に逃がすことができる。このため、フレキシブル基板2の放熱効率が向上する。
【0033】
上述したように、本実施例の半導体装置では、U型状に折り曲げられ、ポリイミド樹脂13及びリードから構成され、外側面に凹凸部12aが設けられるフレキシブル基板2と、凹凸部12a上には、凹部21を覆うように設けられる放熱材22と、フレキシブル基板2の内側面に載置され、フレキシブル基板2のリードと突起電極を介して電気的に接続され、樹脂10で側面及び底面が封止される液晶ドライバチップ1とを有する。
【0034】
このため、液晶ドライバチップ1で発生する熱を迅速にフレキシブル基板2の外側面側に逃がすことができる。したがって、液晶ドライバ41の放熱効率を向上させることができる。
【0035】
なお、本実施例では、凹部21を折り曲げられたフレキシブル基板2の外側面に設けているが、更に折り曲げられたフレキシブル基板2の内側面にも設けてもよい。その場合、リード7a及び7bが設けられていない領域に設けるのが好ましい。
【実施例3】
【0036】
次に、本発明の実施例3に係る半導体装置について、図面を参照して説明する。図5は液晶表示装置を示す断面図、図6は図5の領域Aの拡大断面図、図7は半導体装置としての液晶ドライバを示す拡大断面図である。本実施例では、液晶ドライバの放熱用としてフレキシブル基板に放熱孔を設けている。
【0037】
図5に示すように、液晶表示装置71には、液晶ドライバ42、フレキシブル基板2、外部回路基板3、液晶表示パネル4、及びバックライトユニット5が設けられる。液晶表示装置71は、例えばLCD(liquid crystal display)モニタに適用される。なお、図5はフレキシブル基板2の内側面のリードが設けられていない部分の断面図である。
【0038】
図6に示すように、U型形状を有し、リードが設けられていない部分のフレキシブル基板2の底部(図5の左端部)には、互いに離間する複数の放熱孔31がポリイミド樹脂13に設けられる。放熱孔31は、液晶ドライバチップ1、バックライトユニット5、液晶表示パネル4などにより、U型のフレキシブル基板2の内側面側で発生し、閉じ込められ籠もった熱をU型のフレキシブル基板2の外側面側に放熱する役目をする。
【0039】
図7に示すように、液晶ドライバ42では、液晶ドライバチップ1が載置され、互いに離間する複数の放熱孔31が樹脂10で封止されている領域を除く部分のポリイミド樹脂13に設けられる。放熱孔31は、液晶ドライバチップ1、バックライトユニット5、液晶表示パネル4などにより、U型のフレキシブル基板2の内側面側で発生し、閉じ込められ籠もった熱をU型のフレキシブル基板2の外側面側に放熱する役目をする。
【0040】
上述したように、本実施例の半導体装置では、液晶表示装置71に、液晶ドライバ42、フレキシブル基板2、外部回路基板3、液晶表示パネル4、及びバックライトユニット5が設けられる。液晶ドライバ42は、U型状に折り曲げられ、ポリイミド樹脂13及びリードから構成されるフレキシブル基板2と、フレキシブル基板2の内側面に載置され、フレキシブル基板2のリードと突起電極を介して電気的に接続され、樹脂10で側面及び底面が封止される液晶ドライバチップ1と、フレキシブル基板2の液晶ドライバチップ1が載置される領域を除く部分のポリイミド樹脂13に互いに離間形成される放熱孔31とを有する。
【0041】
このため、液晶ドライバチップ1で発生する熱を迅速にフレキシブル基板2の外側面側に逃がすことができる。したがって、液晶ドライバ42の放熱効率を向上させることができる。
【0042】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々、変更してもよい。
【0043】
実施例では、COF方式を用いているが、TAB(tape automated bonding)方式を用いてもよい。TAB方式では折り曲げ性及びILBピッチがCOF方式よりも若干劣るが、TAB方式でもドライバチップ起因の放熱性を改善できる。実施例3では、フレキシブル基板2に放熱孔31を設けているが、放熱孔31に熱伝導率の大きな放熱材を埋め込んでもよい。
【0044】
本発明は、以下の付記に記載されているような構成が考えられる。
(付記1) U型状に折り曲げ可能であり、放熱孔が設けられるフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の内側面に載置され、突起電極を介して前記フレキシブル基板と電気的に接続される半導体チップとを具備することを特徴とする半導体装置。
【0045】
(付記2) 前記放熱孔には、放熱材が埋め込まれている付記1に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0046】
1 液晶ドライバチップ
2 フレキシブル基板
3 外部回路基板
4 液晶表示パネル
5 バックライトユニット
6a、6b 接着剤
7a、7b リード
8a、8b 突起電極
9 ソルダーレジスト
10 樹脂
11a、11b チップ端子
12、12a 凹凸部
13 ポリイミド樹脂
21 凹部
22 放熱材
31 放熱孔
40、41、42、50 液晶ドライバ
70、71 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
U型状に折り曲げ可能であり、外側面に放熱用の凹凸部が設けられるフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板の内側面に載置され、前記フレキシブル基板と電気的に接続される半導体チップと、
を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記フレキシブル基板の内側面に凹凸部が設けられる請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記凹凸部上に設けられる放熱材を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記放熱材は、ALN(窒化アルミニウム)、SiC(炭化シリコン)、Si(窒化シリコン)、BN(窒化ホウ素)、或いはAL(アルミナ)であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
U型状に折り曲げ可能であり、放熱孔が設けられるフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板の内側面に載置され、前記フレキシブル基板と電気的に接続される半導体チップと、
を具備することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−225943(P2010−225943A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72891(P2009−72891)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】