説明

半導体装置

【課題】外部ループバックテストが容易な半導体装置を提供する。
【解決手段】主面に形成された格子状のダイシングライン14、15と、ダイシングライン14、15で囲まれた矩形状格子に形成され、信号出力パッド24有する送信回路22と、信号入力パッド25を有する受信回路23と、送信回路22および受信回路23に入出力されるデータを処理する内部回路21とを有する複数の集積回路12と、ダイシングライン14、15上に形成され、信号出力パッド24と信号入力パッド25間を電気的に接続する信号配線26とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置では、微細化、高集積化、多機能化に伴い、半導体装置の製造過程において、テスト回路を用いて多くのプロセスおよびデバイス特性を測定し、その測定結果に基づいて製造工程を管理している。
【0003】
通常、テスト回路は半導体装置が完成した後は不要となるので、1枚の半導体基板から製造できる半導体装置の個数を増やして製造コストを低減するために、半導体ウェーハをチップに分割するためのダイシングライン上に形成されている。
【0004】
ところで、半導体装置が送信回路および受信回路を含む集積回路である場合、送信回路の出力端子まわりおよび受信回路の入力端子まわりの伝送路が正常か否かを確認する必要がある。この確認は外部ループバックテストと呼ばれ、送信回路から送信した信号を集積回路の外部の配線を通して受信回路で受け取り、受信側で期待値比較をおこなうことによりデータの送受信が正しくおこなわれているかを検査するものである。
【0005】
外部ループバックテストは、例えば以下のように行われる。まず送信回路の出力端子および受信回路の入力端子にそれぞれプローブ針を当接させ、各プローブ針の引き出し線を外部で接続して信号伝送路を形成する。次に、送信回路からデータを送信し、この信号伝送路を介して自己の受信回路で受信する。そして、送信データと受信データを照合し、伝送路が正常か否かを判断する。
【0006】
然しながら、プローブ針の引き出し配線は、集積回路が実装されたときの信号配線に比べて長く太い配線となるため、この信号伝送路には外部に大きな容量が付随する。その結果、伝送速度が高速になるほど、送信回路、受信回路が正常に動作しなくなり、外部ループバックテストができなくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−124275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、外部ループバックテストが容易な半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの実施形態によれば、半導体装置は、主面に形成された格子状のダイシングラインと、前記ダイシングラインで囲まれた矩形状格子に形成され、信号出力パッド有する送信回路と、信号入力パッドを有する受信回路と、前記送信回路および前記受信回路に入出力されるデータを処理する内部回路とを有する複数の集積回路と、前記ダイシングライン上に形成され、前記信号出力パッドと前記信号入力パッド間を電気的に接続する信号配線と、を具備している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体ウェーハを示す平面図。
【図2】本発明の実施例1に係る半導体ウェーハの要部を示す平面図。
【図3】本発明の実施例1に係る信号伝送方式を説明するための図。
【図4】本発明の実施例1に係る信号配線のパターンを示す平面図。
【図5】本発明の実施例1に係る信号配線の別のルートを示す平面図。
【図6】本発明の実施例1に係る別の信号配線を示す平面図。
【図7】本発明の実施例2に係る信号配線のパターンを示す平面図。
【図8】本発明の実施例2に係る信号配線の別のパターンを示す平面図。
【図9】本発明の実施例2に係る信号配線の更に別のパターンを示す平面図。
【図10】本発明の実施例3に係る半導体ウェーハの要部を示す平面図。
【図11】本発明の実施例4に係る半導体ウェーハの要部を示す平面図。
【図12】本発明の実施例5に係る半導体ウェーハの要部を示す平面図。
【図13】本発明の実施例5に係る半導体ウェーハの別の要部を示す平面図。
【図14】本発明の実施例5に係る別の半導体ウェーハ要部を示す平面図。
【図15】本発明の実施例5に係る更に別の半導体ウェーハの要部を示す平面図。
【図16】本発明の実施例6に係る半導体ウェーハの要部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例について、図1乃至図6を参照して説明する。図1は本実施例の半導体ウェーハを示す平面図である。図1に示すように、本実施例の半導体ウェーハ10において、半導体基板11は、例えば直径200mmのシリコン基板である。半導体基板11の主面(表面)には、複数の集積回路12、例えばサイズが数mm□の集積回路が形成されている。
【0013】
集積回路12は、オリエンテーションフラット13に平行なX方向にピッチP1で配列され、X方向に直行するY方向にピッチP2で配列されている。X方向に隣り合う集積回路12の間が、X方向にピッチP1で配列されたダイシングライン14である。同様に、Y方向に隣り合う集積回路12の間が、Y方向にピッチP2で配列されたダイシングライン15である。
【0014】
即ち、ダイシングライン14、15は、半導体基板11の主面に格子状に形成されている。集積回路12は、ダイシングライン14、15で囲まれた矩形状格子に形成されている。
【0015】
半導体ウェーハ10は、半導体基板11がダイシングデープの上に載置され、例えば厚さ50μmのブレードにより、ダイシングライン14およびダイシングライン15のそれぞれに沿って切断され、集積回路12が形成された半導体チップに分割される。ダイシングライン14およびダイシングライン15の幅Wは、それぞれ例えばブレードの厚さの2倍の100μm程度である。
【0016】
図2は半導体ウェーハ10の要部、即ち本実施例の半導体装置を示す平面図である。図2に示すように、集積回路12は、例えば高速でシリアルデータを外部に送受信する機能を有する集積回路であり、内部回路21、送信回路22および受信回路23を有している。
【0017】
内部回路21は、送信回路22および受信回路23に入出力されるデータを処理する。送信回路22は、内部回路21で処理されたデータを基に送信信号を生成し、信号出力パッド24を介して外部に送信する。受信回路23は、信号入力パッド25を介して外部から信号を受信し、受信した信号を基にデータを生成して内部回路21に引き渡す。
【0018】
送信回路22および受信回路23は、集積回路12のY方向に平行な一辺に沿って形成されている。ダイシングライン14上には、Y方向に平行な一辺に沿って、信号出力パッド24と信号入力パッド25間を電気的に接続する信号配線26が形成されている。
【0019】
本実施例では、信号の伝送方式はLVDS(Low Voltage Differential signaling)である。周知のように、LVDSは短距離用のデジタル有線伝送技術であり、小振幅・低消費電力で比較的高速の差動インタフェースである。
【0020】
従って、信号出力パッド信号配線24は、差動信号を出力するための一対のパッド24a、24bを有している。信号入力パッド25は、差動信号を入力するための一対のパッド25a、25bを有している。信号配線26は、差動信号を伝送するための一対の配線26a、26bを有している。パッド24aとパッド25a間が配線26aで接続され、パッド24bとパッド25b間が配線26bで接続されている。
【0021】
図3は信号の伝送方式を説明するための図である。図3に示すように、送信回路22は、定電流源31と、電流路を切り替えるための双投スイッチS1、S2を有している。送信回路22は、定電流源31で抵抗Rに電流Iを流しながら、内部回路21からのデータに基づいてスイッチS1、S2を連動して切り替えることにより、差動信号Vdsを生成する。
【0022】
差動信号Vdsは、データ信号33aとそれに相補的なクロック信号33bで構成されている。送信回路22は、パッド24aを介してデータ信号33aを出力し、パッド24bを介してクロック信号33bを出力する。データ転送は、データ信号33aおよびクロック信号33bを相互に参照することにより行われる。
【0023】
受信回路23は、コンパレータ32と、コンパレータ32の2入力端子間に接続された抵抗Rを有している。受信回路23は、データ信号33aとクロック信号33bの差電圧Vdiffがしきい値よりVthH大きいときに出力VoutをHihgにし、しきい値VthLより小さいときに出力VoutをLowにする。
【0024】
周知のように、LVDSでは、差動信号を用いてデータを転送するので、シングルエンド方式に較べてコモンノードノイズ34a、34bが除去されるという利点を有している。
【0025】
次に、信号配線26のパターンについて説明する。信号配線26は、差動信号を伝送するために、一対の配線26a、26bの信号伝搬時間が揃っていることが必要である。配線26aと配線26bの信号伝搬時間が異なると、データ信号33aとクロック信号33bに位相差が生じ、高速での信号伝送が困難になるからである。
【0026】
配線26aと配線26bの信号伝搬遅延時間は、配線26aと配線26bの長さおよび負荷容量に依存する。従って、配線26aと配線26bは長さおよび負荷容量が揃っていることが必要である。
【0027】
図4は信号配線26のパターンを示す平面図である。図4に示すように、信号配線26のパターンは、基本的に外側の配線26aの長さと内側の配線26bの長さが等しくなるように設定されている。
【0028】
配線26aのパターンは、パッド24a、25aから延在しX方向に平行な引き出し部と、引き出し部に連続してY方向に平行な中央部からなるコの字型である。配線26bのパターンも同様で、パッド24b、25bから延在しX方向に平行な引き出し部と、引き出し部に連続してY方向に平行な中央部からなるコの字型である。
【0029】
但し、配線26aと配線26bの中央部の形状が異なっている。配線26aの中央部は直線状である。一方、配線26bの中央部は矩形波状である。配線26bの矩形波の数および矩形波の高さL2は、配線26aの長さと配線26bの長さが等しくなるように設定される。
【0030】
配線26bの中央部が直線状であるとしたとき、配線26aの長さとの配線26bの長さの差(内周差)を2L1とする。矩形波の高さL2は、例えば矩形波の数が5の場合、L1/5になる。矩形波のデューティは任意であるが、ここでは50%としている。
【0031】
その結果、配線26aと配線26bの長さおよび負荷容量C1a、C1bが略等しくなるので、配線26aの信号伝搬時間と配線26bの信号伝搬時間を揃えることが可能である。
【0032】
信号配線26は、半導体ウェーハ10の製造工程において、信号出力パッド24、信号入力パッド25と同時に形成することができる。半導体基板11上にパッド用のアルミニウム膜を形成し、リソグラフィ法により信号出力パッド24、信号入力パッド25および信号配線26を一括してパターニングすればよい。従って、製造工程数および製造コストに影響を及ぼさない。
【0033】
これにより外部ループバックテストは、例えば以下の手順で行なわれる。内部回路21は送信すべきデータを準備する。送信回路22は信号配線26を介して受信回路23にデータを送信する。受信回路23は送信されたデータを受信する。内部回路21は送信したデータと受信したデータを照合し、信号送信パッド24および信号受信パッド25廻りを中心とした伝送路が正常か否かを判断する。
【0034】
外部ループバックテストが終了すると、配線26は不要になる。半導体ウェーハ10をダイシングライン14、15に沿って半導体チップに分割する際に、ダイシングライン14上の配線26はダイシングによりに除去される。従って、配線26は得られた半導体チップに何ら影響を及ぼさない。
【0035】
以上説明したように、本実施例の半導体ウェーハ10は、ダイシングライン14上に送信回路22の信号出力パッド24と受信回路23の信号入力パッド25を電気的に接続する信号配線26が形成されている。
【0036】
その結果、信号出力パッド24および信号入力パッド25にそれぞれプローブ針を当接させ、各プローブ針の引き出し線を外部で接続して得られる信号配線に較べて、信号配線26の長さが大幅に短縮し、負荷容量C1a、C1bが大幅に低減する。
【0037】
これにより、外部ループバックテストを高速な信号伝送速度で実施することができる。従って、外部ループバックテストが容易な半導体ウェーハが得られる。
【0038】
ここでは、配線26bの中央部が矩形波状である場合について説明したが、配線26aと配線26bの長さが等しければ良いので、その他の形状でも構わない。例えば、台形状、三角形状、正弦波状、その他の直線と曲線を組合せた形状などである。
【0039】
また、信号出力パッド24および信号入力パッド25間をできるだけ短いルートで接続した場合について説明したが、別のルートで接続することも可能である。図5は信号配線の別のルートを示す図である。
【0040】
図5に示すように、信号配線26は、集積回路12の周りに沿ってダイシングライン14およびダイシングライン15上に形成されている。信号出力パッド24および信号入力パッド25間はできるだけ長いルートで接続されている。
【0041】
また、伝送方式がVLDSである場合について説明したが、伝送方式は特に限定されない。伝送方式は通常のシングルエンド方式でも構わない。その場合は、図6に示すように、信号配線26は単一の配線である。
【実施例2】
【0042】
本発明の実施例2に係る半導体ウェーハについて図7乃至図9を用いて説明する。図7は本実施例の信号配線のパターンを示す平面図である。本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。本実施例が実施例1と異なる点は、信号配線の負荷容量を増大させたことにある。
【0043】
図7に示すように、本実施例の信号配線41は、一対の配線41a、41bを有している。外側の配線41aおよび内側の配線41bの中央部は、ともに矩形波状である。
【0044】
矩形波の数および矩形波の高さL3は、ともに等しく設定されている。矩形波の高さL3は、図4に示す矩形波の高さL2より十分大きく設定されている(L3≫L2)。なお、矩形波のデューティは等しく、50%に設定されている。
【0045】
その結果、配線41aの負荷容量C2aおよび配線41bの負荷容量C2bは略等しく、且つ図4に示す負荷容量C1aおよびC1bより増大させることができる(C2a≒C2b>C1a≒C1b)。
【0046】
なお、ここでは説明していないが、配線41aの長さと配線41bの長さを揃えることが必要なことは実施例1と同様である。
【0047】
これにより、例えば集積回路12の微細化にともなって負荷容量C2a、C2bが小さくなり過ぎるのを防止することができる。
【0048】
また、集積回路12が実装されたときに、信号出力パッド24および信号入力パッド25にそれぞれ接続される信号配線の負荷容量に近づければ、集積回路12が実装されたときに近い条件で外部ループバックテストを実施することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施例の信号配線41のパターンは、配線41a、41bの中央部がともに矩形状である。その結果、配線41a、41bの負荷容量C2a、C2bが増加する。
【0050】
集積回路12の微細化にともなって負荷容量C2a、C2bが小さくなり過ぎるのを防止するとともに、集積回路12が実装されたときに近い条件で外部ループバックテストをしたい場合に適したパターンである。
【0051】
ここでは、配線41a、41bの矩形波のデューティが等しい場合を示したが、異なっていても構わない。図8は信号配線の別のパターンを示す平面図である。図8に示すように、信号配線42のパターンは、図7に示す信号配線41のパターンと同様であるが、配線42a、42bの矩形波のデューティが異なっている。
【0052】
配線42aの矩形波のデューティは50%より小さく、配線42aの矩形波のデューティは50%より大きく、両者の和が100%になるように設定されている。即ち、配線42aと配線42bのパターンは、互いに左右反転した関係にある。
【0053】
これにより、信号配線42aと信号配線42bを互いに嵌合するように近接配置することができる。ダイシングライン14の幅Wが狭くても、負荷容量C3a、C3bをできるだけ大きくしたい場合に適したパターンである。
【0054】
配線42aの負荷容量C3aと配線42bの負荷容量C3bは略等しい。更に、配線42aおよび配線42bの矩形波の数を図7に示す配線41a、41bの矩形波の数に等しくすることにより、負荷容量C2a、C2bに略等しい負荷容量C3a、C3bが得られる(C3a≒C3b≒C2a≒C2b)。
【0055】
また、配線41a、41bの中央部が矩形波状である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、実質的に負荷容量を増大させることができるパターンであれば良い。
【0056】
図9は信号配線の更に別のパターンを示す平面図である。図9に示すように、信号配線43のパターンは、中央部が平面状である。配線43aの中央部の幅W1は引き出し部の幅W2より大幅に広く設定されている(W1≫W2)。
【0057】
配線43bについても配線43aと同様である。配線43bの中央部の幅W3は信号配線43a中央部の幅W1より若干大きく設定されている。配線43bの中央部の面積を配線43aの中央部の面積と等しくするためである。これにより、配線43aの負荷容量C4aと配線43bの負荷容量C4bを略等しくすることができる。
【0058】
信号配線43では、配線41a、41bの中央部を平面形状としたことにより、矩形波状より負荷容量を大幅に増加させることができる。また、パターンが単純なので、容易に形成することができる。負荷容量をできるだけ大きくして、占有面積をできるだけ小さくしたいときに適したパターンである。
【実施例3】
【0059】
本発明の実施例3に係る半導体ウェーハについて図10を用いて説明する。図10は半導体ウェーハの要部、即ち本実施例の半導体装置を示す平面図である。本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。本実施例が実施例1と異なる点は、信号配線の信号伝搬遅延時間を可変できるようにしたことにある。
【0060】
即ち、図10に示すように、本実施例の半導体ウェーハ50では、信号配線51の配線51aは、途中に互いに遅延時間の異なる複数の遅延線を有する遅延線群52aを備えている。複数の遅延線はそれぞれ一端が信号出力パッド24aに接続され、他端がセレクタ53aを介して信号入力パッド25aに接続されている。
【0061】
配線51bについても同様である。配線51bは途中に互いに遅延時間の異なる複数の遅延線を有する遅延線群52bを備えている。複数の遅延線はそれぞれ一端が信号出力パッド24bに接続され、他端がセレクタ53bを介して信号入力パッド25bに接続されている。
【0062】
セレクタ53a、53bは、それぞれ配線54により選択信号パッド55に接続されている。遅延線群52a、52bおよびセレクタ53a、53bは、ダイシングライン14に形成されている。
【0063】
遅延線群52a、52bは、それぞれ例えば互いに異なる段数を有するインバータの直列回路群である。周知のようにインバータの段数に応じて遅延時間の異なる遅延線が得られる。
【0064】
セレクタ53a、53bは、それぞれデコーダとスイッチング回路を有している。デコーダは選択信号Vsをデコードして遅延線群52a、52bのうちの選択する遅延線を決定する。スイッチング回路は、決定された遅延線を選択する。選択信号Vsは、例えば外部ループバックテスト時に内部回路21により生成される。
【0065】
これにより、信号配線51の信号伝搬遅延時間を可変することが可能である。遅延線群52a、52bのうちから選択される遅延線は、遅延時間が等しくても異なっていても良い。具体的には、遅延線群52a、52bでともに遅延線Delay1が選択されても良い。遅延線群52aで遅延線Delay1が選択され、遅延線群52aで遅延線Delay2が選択されても良い。
【0066】
遅延時間が等しい遅延線が選択された場合、例えば規格で定められた範囲内の信号伝播遅延時間のずれが生じても正常に動作するか否かを試験することができる。遅延時間が異なる遅延線が選択された場合、図3に示す差動信号Vdsのデータ信号33aとクロック信号33bの位相がどれだけずれても正常に動作するか否かを試験することができる。
【0067】
以上説明したように、本実施例では、選択信号Vsにより信号配線51の信号伝搬遅延時間を可変することができる。外部ループバックテストにおいて、動作タイミングのマージンを確認したい場合に適したパターンである。
【実施例4】
【0068】
本発明の実施例4に係る半導体ウェーハについて図11を用いて説明する。図11は半導体ウェーハの要部、即ち本実施例の半導体装置を示す平面図である。本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。本実施例が実施例1と異なる点は、集積回路が複数の送信回路を有することにある。
【0069】
即ち、図11に示すように、本実施例の半導体ウェーハ60では、集積回路61は2の送信回路22、62と、受信回路23を有している。送信回路22、62はその特性が同一であっても異なっていても構わない。
【0070】
ダイシングライン14には、セレクタ63が形成されている。セレクタ63は、選択信号Vsにより外部ループバックテストを送信回路22と受信回路23の間で行うか、送信回路62と受信回路23の間で行うかを選択するために設けられている。
【0071】
送信回路22は、信号出力パッド24を介して信号配線64によりセレクタ63の一方の入力端子(図示せず)に接続されている。送信回路61は、信号出力パッド65を介して信号配線66によりセレクタ63の他方の入力端子に接続されている。
【0072】
受信回路23は、信号入力パッド25を介して信号配線67によりセレクタ63の出力端子に接続されている。セレクタ63の制御端子は、選択信号パッド68に接続されている。
【0073】
以上説明したように、本実施例の半導体ウェーハ60は、2つの送信回路22、62とセレクタ63を有しているので、送信回路22と受信回路23の間の外部ループバックテストと、送信回路61と受信回路23の間の外部ループバックテストのいずれも行うことができる。
【0074】
ここでは、集積回路61が2つの送信回路22、62と1つの受信回路23を有する場合について説明したが、送信回路の数には特に制限はない。送信回路の数が増加しても、できるだけ少ない数の信号配線で外部ループバックテストが行える利点がある。
【0075】
また、集積回路が1つの送信回路と複数の受信回路を有する場合、複数の送信回路と複数の受信回路を有する場合にも、同様に実施することができる。
【実施例5】
【0076】
本発明の実施例5に係る半導体ウェーハについて図12を用いて説明する。図12は半導体ウェーハの要部、即ち本実施例の半導体装置を示す平面図である。本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。本実施例が実施例1と異なる点は、外部ループバックテストを別の集積回路との間で行なうようにしたことにある。
【0077】
即ち、図12に示すように、本実施例の半導体ウェーハ70では、Y方向に隣接する第1および第2の集積回路12において、第1の集積回路12の送信回路22の信号出力パッド24と第2の集積回路12の受信回路23の信号入力パッド25間が、第1の信号配線71で接続されている。同様に、第2の集積回路12の送信回路22の信号出力パッド24と第1の集積回路12の受信回路23の信号入力パッド25間が、第2の信号配線72で接続されている。
【0078】
第1および第2の信号配線71、72は、第1および第2の集積回路12のY方向に平行な一辺に沿ってダイシングライン15を横切り、ダイシングライン14上に形成されている。
【0079】
これにより、第1の集積回路12の送信回路22は、第2の集積回路12の受信回路23にデータを送信することができる。第2の集積回路12の送信回路22は受信したデータをそのまま第1の集積回路12の受信回路23に返信することができる。従って、外部ループバックテストを行うことが可能である。
【0080】
以上説明したように、本実施例では、隣接する第1および第2の集積回路12において、互いの送信回路22と受信回路23同士を、第1および第2の信号配線71、72により接続している。その結果、第1および第2の集積回路12間で、外部ループバックテストを行うことができる。
【0081】
ここでは、第1および第2の集積回路12がY方向に隣接する場合について説明したが、第1および第2の集積回路12がX方向に隣接していても構わない。図13はX方向に隣接する第1および第2の集積回路12間で外部ループバックテストを行う場合を示す図である。更に、2つの集積回路12は隣接していなくても、外部ループバックテストを行うことは可能である。
【0082】
また、集積回路12以外の集積回路でも、外部ループバックテストを行うことができる。例えば、受信回路のみを有する集積回路と送信回路のみを有する集積回路間、または、送信回路と受信回路が遠く離れて配置されている集積回路間などの場合である。
【0083】
図14は送信回路のみを有する集積回路と受信回路のみを有する集積回路間で外部ループバックテストを行う場合を示す図である。図14に示すように、Y方向に隣接する2つの集積回路73、74において、集積回路73は送信回路22のみを有し、集積回路74は受信回路23のみを有している。
【0084】
集積回路73の送信回路22の信号出力パッド24と集積回路74の受信回路23の信号入力パッド25間は、信号配線75で電気的に接続されている。外部ループバックテストは、例えば下記のように行われる。
【0085】
集積回路73の送信回路22からデータを集積回路74の受信回路23宛に送信する。集積回路74の受信回路23は送信されたデータを受信し、集積回路74の内部回路21に引き渡す。集積回路74の内部回路21は、引き渡されたデータを外部回路、例えば外部のテスターを経由して集積回路73の内部回路21に引き渡す。集積回路73の内部回路21は送信したデータと引き渡されたデータを照合する。
【0086】
図15は送信回路と受信回路が遠く離れて配置されている集積回路間で、外部ループバックテストを行う場合を示す図である。図15に示すように、Y方向に隣接する第1および第2の集積回路76において、送信回路22は集積回路76のX方向に平行な一辺側に配置され、受信回路23はその一辺と対向する他辺側に配置されている。即ち、第1の積回路76の送信回路22と第2の集積回路76の受信回路23は、ダイシングライン15を挟んで対向している。
【0087】
第1の集積回路76の送信回路22の信号出力パッド24と第2の集積回路76の送信回路23の信号入力パッド25間は、短い信号配線77により電気的に接続することができる。
【0088】
第2の集積回路76でのみ外部ループバックテストを行う場合は、第2の集積回路76の送信回路22の信号出力パッド24と送信回路23の信号入力パッド25間を長い配線78で電気的に接続しなければならない。
【実施例6】
【0089】
本発明の実施例6に係る半導体ウェーハについて図16を用いて説明する。図16は半導体ウェーハの要部、即ち本実施例の半導体装置を示す平面図である。本実施例において、上記実施例1と同一の構成部分には同一符号を付してその部分の説明は省略し、異なる部分について説明する。本実施例が実施例1と異なる点は、複数の送信回路と複数の受信回路をスルーした外部ループバックテストが行えることにある。
【0090】
即ち、図16に示すように、本実施例の半導体ウェーハ80では、集積回路81は2つの送信回路22a、22bと2つの受信回路23a、23bを有している。送信回路22a、22bと受信回路23a、23bは、Y方向に平行な一辺側に交互に配置されている。
【0091】
集積回路81において、送信回路22aの信号出力パッド24と隣接する受信回路23bの信号入力パッド25間は、第1の信号配線82により電気的に接続されている。内部回路21は、受信回路が受信したデータをそのまま送信回路に伝達する内部スルーテスト機能を有している。受信回路23aと送信回路22aは内部スルーテスト機能により実質的に接続されている。受信回路23bと送信回路22bは内部スルーテスト機能により実質的に接続されている。
【0092】
第1の集積回路81の送信回路22bの信号出力パッド24とY方向に隣接する第2の集積回路81の受信回路23aの信号入力パッド25間は第2の信号配線83により電気的に接続されている。
【0093】
集積回路81は、第1の信号配線82よび内部スルーテスト機能により複数の送信回路と複数の受信回路が交互に直列接続されている。Y方向に隣接する第1および第2の集積回路81は、第2の信号配線83により直列接続されている。
【0094】
第1の信号配線82は、ダイシングライン14上に形成されている。第2の信号配線83は、ダイシングライン15を横切ってダイシングライン14上に形成されている。
【0095】
外部ループバックテストは、例えば下記のように行われる。始に、第1の集積回路81の受信回路23aに、外部回路、例えば第1の集積回路81に接続されたテスターからデータを入力する。
【0096】
受信回路23aはデータを受信すると、内部回路21にデータを引き渡す。内部回路21は内部スルーテスト機能により引き渡されたデータをそのまま送信回路22aに伝達する。送信回路22aは伝達されたデータを第1の信号配線82を介して受信回路23bに送信する。
【0097】
受信回路23bはデータを受信すると、内部回路21にデータを引き渡す。内部回路21は内部スルーテスト機能により引き渡されたデータをそのまま送信回路22bに伝達する。送信回路22bは信号配線83を介して伝達されたデータを隣接する第2の集積回路81の受信回路23aに送信する。
【0098】
このデータ転送は、第2の集積回路81の最後に至るまで繰り返される。第2の集積回路81の最後の送信回路22bは、外部回路にデータをそのまま返信する。これにより、複数の送信回路と複数の受信回路をスルーした外部ループバックテストを行うことが可能である。
【0099】
以上説明したように、本実施例の半導体ウェーハ80では、第1および第2の集積回路81の送信回路22、受信回路23が、実質的に直列接続されている。その結果、第1および第2の集積回路81の外部ループバックテストを一度に行うことができる。従って、テスト時間の短縮に繋げることができる利点がある。
【0100】
ここでは、集積回路81が2つの送信回路および2つの受信回路を有する場合について説明したが、送信回路、受信回路の数に制限はない。また、送信回路と受信回路の数は等しくなくても構わない。また、一度に外部ループバックテストを行う集積回路の数についても特に制限はない。
【0101】
上述した実施形態は、単に例として示したもので、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。実際、ここにおいて述べた新規な半導体ウェーハは、種々の他の形態に具体化されても良いし、さらに、本発明の主旨又はスピリットから逸脱することなくここにおいて述べた半導体ウェーハの形態における種々の省略、置き換えおよび変更を行っても良い。付随する請求項およびそれらの均等物は、本発明の範囲および主旨又はスピリットに入るようにそのような形態若しくは変形を含むことを意図している。
【符号の説明】
【0102】
10、50、60、70、80 半導体ウェーハ
11 半導体基板
12、61、73、74、76、81 集積回路
13 オリエンテーションフラット
14、15 ダイシングライン
21 内部回路
22、62 送信回路
23 受信回路
24、65 信号出力パッド
25 信号入力パッド
26、41、42、43、51、64、66、67、71、72、75、77、78、82、83 信号配線
33a データ信号
33b クロック信号
34a、34b ノイズ
C1a、C1b、C2a、C2b、C3a、C3b、C4a、C4b 負荷容量
52a、52b 遅延線群
53a、53b、63 セレクタ
54 配線
55、68 選択信号パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイシングラインで囲まれた矩形状格子に形成され、信号出力パッド有する送信回路と、信号入力パッドを有する受信回路と、前記送信回路および前記受信回路に入出力されるデータを処理する内部回路とを有する複数の集積回路と、
前記ダイシングライン上に形成され、前記信号出力パッドと前記信号入力パッド間を電気的に接続する信号配線と、
を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記信号配線は、
前記ダイシングラインに形成され、互いに異なる遅延時間を有する複数の遅延線と、
前記ダイシングラインに形成され、選択信号に応じて前記複数の遅延線のうちのいずれかの遅延線を選択するセレクタと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記集積回路は複数の前記送信回路を有し、
前記ダイシングラインに、選択信号に応じて複数の前記送信回路のうちのいずれかの送信回路を選択し、選択された前記送信回路と前記受信回路を電気的に接続するためのセレクタが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
複数の前記集積回路のうちの隣接する第1および第2の前記集積回路において、
第1の前記集積回路の前記信号出力パッドと第2の前記集積回路の前記信号入力パッド間が第1の前記信号配線で電気的に接続され、
第1の前記集積回路の前記信号入力パッドと第2の前記集積回路の前記信号出力パッド間が第2の前記信号配線で電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記集積回路は複数の前記送信回路と複数の前記受信回路を有し、
複数の前記送信回路と複数の前記受信回路は、第1の前記信号配線と前記内部回路のスルーテスト機能により交互に直列接続され、
複数の前記集積回路のうちの隣接する第1および第2の前記集積回路において、第1の前記集積回路における前記直列接続の一端の前記送信回路と第2の前記集積回路における前記直列回路の他端の前記受信回路が第2の前記信号配線により電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−23254(P2012−23254A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161156(P2010−161156)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】