説明

半導体集積回路

【課題】不揮発性メモリ及び/又は揮発性メモリの不良箇所を救済可能な新たな半導体集積回路を提供する。
【解決手段】救済対象の不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリをテストするテスト回路と、前記不揮発性メモリの不良箇所のアドレス及び正常データを保持することが可能な救済情報保持回路と、前記不揮発性メモリの不良箇所を救済するのに利用可能な救済メモリであって、メモリ回路又はロジック回路に設けられている救済メモリと、前記不揮発性メモリの不良箇所のアドレス及び正常データを前記救済情報保持回路から前記救済メモリに書き込み、前記不揮発性メモリの不良箇所からの読み出しを前記救済メモリからの読み出しに切り替える救済回路とを備えることを特徴とする半導体集積回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
マスクROMを備えるLSIを製造する際、幾つかのメモリビットが不良ビットとなることがある。マスクROMのメモリビットが1ビットでも不良になると、LSIは不良品として破棄されてしまう。これは、LSIのコストを抑制する上で大きな障害となる。
【0003】
また、マスクROMに格納されたプログラムに不具合がある場合にも、メモリデータが不良データとなるため、LSIは不良品となる。特に、量産品のLSIにてマスクROMのプログラムに不具合がある場合には、不具合の発覚までに量産されたLSIを全て破棄しなければならなくなる。
【0004】
一方、RAMの不良ビットは、冗長救済技術により救済可能である。同様に、ROMの不良ビットを救済する技術が存在すれば便利である。しかしながら、ROMの不良ビットを救済するためには、例えば、本来不良ビットにあるはずの正常データをどのように取り扱うかが問題となる。
【0005】
特許文献1には、RAMと、RAMを検査する回路と、RAMの検査結果に基づいて、RAMの欠陥を救済するための欠陥救済情報を生成する回路とを備える半導体集積回路が開示されている。特許文献2には、RAMの故障ビットをレジスタ群を利用して救済するような半導体装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−236551号公報
【特許文献2】特開2000−181806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、不揮発性メモリ及び/又は揮発性メモリの不良箇所を救済可能な新たな半導体集積回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例は、救済対象の不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリをテストするテスト回路と、前記不揮発性メモリの不良箇所のアドレス及び正常データを保持することが可能な救済情報保持回路と、前記不揮発性メモリの不良箇所を救済するのに利用可能な救済メモリであって、メモリ回路又はロジック回路に設けられている救済メモリと、前記不揮発性メモリの不良箇所のアドレス及び正常データを前記救済情報保持回路から前記救済メモリに書き込み、前記不揮発性メモリの不良箇所からの読み出しを前記救済メモリからの読み出しに切り替える救済回路とを備えることを特徴とする半導体集積回路である。
【0008】
本発明の実施例は、救済対象の第1の揮発性メモリと、救済対象の第2の揮発性メモリと、前記第1及び第2の揮発性メモリをテストするテスト回路と、前記第1及び第2の揮発性メモリの不良箇所のアドレスを保持することが可能な救済情報保持回路と、前記第1及び第2の揮発性メモリの不良箇所を救済するのに利用可能な、前記第1及び第2の揮発性メモリに共通の救済メモリであって、メモリ回路又はロジック回路に設けられている救済メモリと、前記第1及び第2の揮発性メモリの不良箇所への書き込みを前記救済メモリへの書き込みに切り替え、前記第1及び第2の揮発性メモリの不良箇所からの読み出しを前記救済メモリからの読み出しに切り替える救済回路とを備えることを特徴とする半導体集積回路である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、不揮発性メモリ及び/又は揮発性メモリの不良箇所を救済可能な新たな半導体集積回路を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1実施例)
図1は、第1実施例の半導体集積回路101の回路構成図である。図1の半導体集積回路101は、救済対象の不揮発性メモリの例であるマスクROM(Read Only Memory)111と、アドレスデコーダ121と、データレジスタ122と、テスト回路の例であるBIST(Built-In Self Test)回路131と、救済情報保持回路141と、救済メモリ142と、救済回路143と、セレクタ151とを備える。
【0011】
マスクROM111は、救済対象のマスクROMである。アドレスデコーダ121は、マスクROM111のアドレスを生成するためのデコーダである。データレジスタ122は、マスクROM111のデータを保持するためのレジスタである。BIST回路131は、マスクROM111をテストする回路であり、マスクROM111の不良箇所を特定するためのテストを行う。
【0012】
救済情報保持回路141は、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを保持することが可能な回路である。救済情報保持回路141は例えば、通常のFUSEでもよいし、電気切断式のFUSEでもよい。マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データは、救済データの形で救済情報保持回路141に保持される。救済データは、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを圧縮したデータである。
【0013】
救済メモリ142は、マスクROM111の不良箇所を救済するのに利用可能なメモリであり、半導体集積回路101のメモリ回路又はロジック回路に設けられている。前者の構成を採用する場合には例えば、図2Aのように、RAM(A)の内部に救済用の領域を確保し、当該領域を救済メモリ142として採用してもよい。前者の構成を採用する場合には例えば、図2Bのように、救済用のRAM(B)を用意し、当該RAMを救済メモリ142として採用してもよい。後者の構成を採用する場合には例えば、図2Cのように、ロジック回路(C)に設けられたレジスタを救済メモリ142として採用してもよい。
【0014】
救済回路143は、マスクROM111の不良箇所の救済処理を行う回路であり、救済情報保持回路141に保持されている救済データを伸張することが可能である。救済回路143は、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを救済情報保持回路141から救済メモリ142に書き込み、マスクROM111の不良箇所からの読み出しを救済メモリ142からの読み出しに切り替えるような救済処理を行う。
【0015】
セレクタ151は、マスクROM111からのデータか救済メモリ142からのデータかをセレクトする回路である。
【0016】
図1には、種々の信号が図示されている。
【0017】
信号S1は、アドレスデコーダ121から出力されてマスクROM111に入力されるアドレス信号である。信号S2は、マスクROM111から出力されてセレクタ151に入力されるデータ信号である。信号S3は、救済メモリ142から出力されてセレクタ151に入力されるデータ信号である。信号S4は、セレクタ151から出力されてデータレジスタ122に入力されるデータ信号である。なお、信号S4は、信号S2又は信号S3である。信号S1は、アドレスバスを介して伝達される。信号S2,S3,S4は、データバスを介して伝達される。
【0018】
信号SX1は、マスクROM111をテストするための信号である。BIST回路131は、信号SX1によりマスクROM111をテストする。信号SX2は、マスクROM111のテスト結果データを出力するための信号である。信号SX2はここでは、半導体集積回路101の外部に出力される。BIST回路131は、信号SX2によりマスクROM111のテスト結果データを出力する。
【0019】
信号SY1は、救済データに相当するデータ信号である。信号SY2は、救済回路143がセレクタ151及び救済メモリ142を制御するための制御信号である。
【0020】
以下、図1の半導体集積回路101の動作について詳細に説明する。
【0021】
先ず、BIST回路131が、マスクROM111のLSIテストを実施する。マスクROM111に不良があった場合には、BIST回路131から半導体集積回路101の外部に、マスクROM111のテスト結果データが出力される。半導体集積回路101の外部では例えば、テスタが、マスクROM111の不良箇所のアドレスを特定し、該特定結果を利用して、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを圧縮した救済データを作成し、該救済データを救済情報保持回路141に保持させる。テスタによる上記の処理は代わりに、ユーザが実施してもよいし、後述のように半導体集積回路101の内部で実施してもよい。救済情報保持回路141は、通常のFUSEでも電気切断式のFUSEでもよい。以下、正常箇所のアドレスを適宜、正常アドレスと呼び、不良箇所のアドレスを適宜、不良アドレスと呼ぶ。
【0022】
次に、半導体集積回路101が初期化状態(例えばリセット状態)の際に、救済回路143が、マスクROM111の救済データからマスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを取得する。次に、救済回路143は、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを、救済メモリ142に書き込む。救済メモリ142は、メモリ回路に設けられていてもロジック回路に設けられていてもよい。
【0023】
次に、半導体集積回路101の動作時に、救済回路143は、アドレス信号S1の値が正常アドレスであるか不良アドレスであるかを判断する。
【0024】
アドレス信号S1の値が正常アドレスである場合、救済回路143は、セレクタ151にデータ信号S2をセレクトさせるような制御信号SY2を出力する。これにより、データレジスタ122には、データ信号S4としてデータ信号S2が供給される。
【0025】
アドレス信号S1の値が不良アドレスである場合、救済回路143は、セレクタ151にデータ信号S3をセレクトさせるような制御信号SY2を出力する。すなわち、救済回路143は、マスクROM111の不良箇所からの読み出しを救済メモリ142からの読み出しに切り替えるような救済処理を行う。これにより、データレジスタ122には、データ信号S4としてデータ信号S3が供給される。
【0026】
以上のように、本実施例では、マスクROM111の正常箇所についてはマスクROM111のデータが利用され、マスクROM111の不良箇所については救済メモリ142のデータが利用される。このように、本実施例によれば、マスクROM111の不良箇所の救済が可能になる。これにより、マスクROM111を備える半導体集積回路101に関し、破棄される半導体集積回路101の個数を減少させることができ、半導体集積回路101のコストを抑制することができる。
【0027】
以下、第2乃至第4実施例の半導体集積回路101について説明する。第2乃至第4実施例は第1実施例の変形例であり、第2乃至第4実施例については第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0028】
(第2実施例)
図3は、第2実施例の半導体集積回路101の回路構成図である。図3の半導体集積回路101は、救済対象の不揮発性メモリの例であるマスクROM(Read Only Memory)111と、救済対象の揮発性メモリの例であるRAM(Random Access Memory)112と、アドレスデコーダ121と、データレジスタ122と、テスト回路の例であるBIST回路131と、救済情報保持回路141と、救済メモリ142と、救済回路143と、セレクタ151と、セレクタ152と、データ保持回路の例である期待値保持回路201とを備える。
【0029】
マスクROM111は、救済対象のマスクROMである。RAM112は、救済対象のRAMである。アドレスデコーダ121は、マスクROM111及びRAM112のアドレスを生成するためのデコーダである。データレジスタ122は、マスクROM111及びRAM112のデータを保持するためのレジスタである。BIST回路131は、マスクROM111及びRAM112をテストする回路であり、マスクROM111及びRAM112の不良箇所を特定するためのテストを行う。
【0030】
救済情報保持回路141は、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データと、RAM112の不良箇所のアドレスとを保持することが可能な回路である。救済情報保持回路141は例えば、通常のFUSEでもよいし、電気切断式のFUSEでもよい。マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データは、救済データの形で救済情報保持回路141に保持される。即ち、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データは、圧縮されて救済情報保持回路141に保持される。これに対し、RAM112の不良箇所のアドレスは、圧縮されずに救済情報保持回路141に保持される。
【0031】
救済メモリ142は、マスクROM111の不良箇所とRAM112の不良箇所とを救済するのに利用可能な、マスクROM111とRAM112とに共通のメモリであり、半導体集積回路101のメモリ回路又はロジック回路に設けられている。
【0032】
救済回路143は、マスクROM111及びRAM112の不良箇所の救済処理を行う回路であり、救済情報保持回路141に保持されている救済データを伸張することが可能である。救済回路143は、マスクROM111に関し、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを救済情報保持回路141から救済メモリ142に書き込み、マスクROM111の不良箇所からの読み出しを救済メモリ142からの読み出しに切り替えるような救済処理を行う。救済回路143は更に、RAM112に関し、RAM112の不良箇所への書き込みを救済メモリ142への書き込みに切り替え、RAM112の不良箇所からの読み出しを救済メモリ142からの読み出しに切り替えるような救済処理を行う。
【0033】
セレクタ151は、読み出し用に使用されるRDセレクタであり、マスクROM111からのデータかRAM112からのデータか救済メモリ142からのデータかをセレクトする回路である。セレクタ152は、書き込み用に使用されるWRセレクタであり、救済メモリ142への書き込みを有効にするか無効にするかをセレクトする回路である。
【0034】
期待値保持回路201は、マスクROM111の正常データを保持することが可能な回路である。マスクROM111の正常データは、期待値データの形で期待値保持回路201に保持される。期待値データは、マスクROM111の正常データを圧縮したデータである。マスクROM111に不良がない場合には、マスクROM111に格納されているデータの圧縮データは、期待値保持回路201の期待値データと一致する。
【0035】
本実施例において、期待値データは、救済データを作成するのに利用される。本実施例において、BIST回路131は、マスクROM111の正常データ(期待値データ)を利用したマスクROM111のテストにより、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データ(救済データ)を導出する。本実施例において、救済情報保持回路141は、BIST回路131により導出されたアドレス及び正常データ(救済データ)を保持することが可能である。これにより、本実施例では、救済データを半導体集積回路101の外部で作成する必要がなくなる。
【0036】
図3には、種々の信号が図示されている。
【0037】
信号S1は、アドレスデコーダ121から出力されてマスクROM111に入力されるアドレス信号である。信号S2は、マスクROM111から出力されてセレクタ151に入力されるRDデータ信号である。信号S3は、RAM112から出力されてセレクタ151に入力されるRDデータ信号である。信号S4は、救済メモリ142から出力されてセレクタ151に入力されるRDデータ信号である。信号S5は、セレクタ151から出力されてデータレジスタ122に入力されるRDデータ信号である。なお、信号S5は、信号S2、信号S3又は信号S4である。信号S6は、データレジスタ122から出力されてRAM112及びセレクタ152に入力されるWRデータ信号である。信号S7は、セレクタ152から出力されて救済メモリ142に入力されるWRデータ信号である。なお、有効な場合の信号S7は、信号S6である。信号S1は、アドレスバスを介して伝達される。信号S2,S3,S4,S5は、RDデータバスを介して伝達される。信号S6,S7は、WRデータバスを介して伝達される。
【0038】
信号SX1は、マスクROM111及びRAM112をテストするための信号である。BIST回路131は、信号SX1によりマスクROM111及びRAM112をテストする。信号SX2は、マスクROM111及びRAM112のテスト結果データを出力するための信号である。信号SX2はここでは、マスクROM111の救済データ又はRAM112の不良箇所のアドレスに相当するデータ信号であり、救済情報保持回路141に出力される。BIST回路131は、信号SX2によりマスクROM111及びRAM112のテスト結果データを出力する。
【0039】
信号SY1は、マスクROM111の救済データ又はRAM112の不良箇所のアドレスに相当するデータ信号である。信号SY2は、救済回路143がセレクタ151、セレクタ152、及び救済メモリ142を制御するための制御信号である。
【0040】
信号SZ1は、マスクROM111の期待値データに相当するデータ信号である。
【0041】
以下、図3の半導体集積回路101の動作について詳細に説明する。
【0042】
マスクROM111のLSIテストの前に、期待値保持回路201は予めマスクROM111の期待値データを保持しているとする。該期待値データは例えば、半導体集積回路101の製造時に書き込まれてもよいし、LSIテストの直前に書き込まれてもよい。
【0043】
半導体集積回路101が初期化状態の際、BIST回路131は、マスクROM111及びRAM112のLSIテストを実施する。BIST回路131は、マスクROM111に格納されているデータの圧縮データとマスクROM111の期待値データとを比較することで、マスクROM111をテストする。これにより、BIST回路131は、マスクROM111の救済データを導出する。BIST回路131は更に、RAM112をテストして、RAM112の不良アドレスを導出する。マスクROM111及び/又はRAM112に不良があった場合には、BIST回路131から救済情報保持回路141に、マスクROM111及び/又はRAM112のテスト結果データが出力される。マスクROM111のテスト結果データは救済データとなり、RAM112のテスト結果データは不良アドレスとなる。
【0044】
半導体集積回路101が初期化状態の際には更に、救済回路143が、マスクROM111の救済データからマスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを取得する。次に、救済回路143は、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを、救済メモリ142に書き込む。
【0045】
次に、半導体集積回路101の動作時に、救済回路143は、アドレス信号S1の値が正常アドレスであるか不良アドレスであるかを判断する。
【0046】
マスクROM111からの読み出し時の救済回路143の動作は、次の通りである。
【0047】
アドレス信号S1の値が正常アドレスである場合、救済回路143は、セレクタ151にデータ信号S2をセレクトさせるような制御信号SY2を出力する。これにより、データレジスタ122には、データ信号S5としてデータ信号S2が供給される。
【0048】
アドレス信号S1の値が不良アドレスである場合、救済回路143は、セレクタ151にデータ信号S4をセレクトさせるような制御信号SY2を出力する。すなわち、救済回路143は、マスクROM111の不良箇所からの読み出しを救済メモリ142からの読み出しに切り替えるような救済処理を行う。これにより、データレジスタ122には、データ信号S5としてデータ信号S4が供給される。
【0049】
RAM112への書き込み時の救済回路143の動作は、次の通りである。
【0050】
アドレス信号S1の値が正常アドレスである場合、救済回路143は、セレクタ152をディセーブルにするような制御信号SY2を出力する。これにより、RAM112のみにデータ信号S6が供給される。
【0051】
アドレス信号S1の値が不良アドレスである場合、救済回路143は、セレクタ152をイネーブルにするような制御信号SY2を出力する。すなわち、救済回路143は、RAM111の不良箇所への書き込みを救済メモリ142への書き込みに切り替えるような救済処理を行う。これにより、データレジスタ122から救済メモリ142に、データ信号S6(=S7)が供給される。なお、本実施例の半導体集積回路101は、RAM111の不良箇所への書き込みを、救済メモリ142及びRAM111への書き込みに切り替えるよう構成されているが、RAM111の不良箇所への書き込みを、救済メモリ142のみへの書き込みに切り替えるよう構成されていてもよい。前者の場合、データ信号S6は救済メモリ142及びRAM111に供給され、後者の場合、データ信号S6は救済メモリ142のみに供給される。
【0052】
RAM112からの読み出し時の救済回路143の動作は、次の通りである。
【0053】
アドレス信号S1の値が正常アドレスである場合、救済回路143は、セレクタ151にデータ信号S3をセレクトさせるような制御信号SY2を出力する。これにより、データレジスタ122には、データ信号S5としてデータ信号S3が供給される。
【0054】
アドレス信号S1の値が不良アドレスである場合、救済回路143は、セレクタ151にデータ信号S4をセレクトさせるような制御信号SY2を出力する。すなわち、救済回路143は、RAM112の不良箇所からの読み出しを救済メモリ142からの読み出しに切り替えるような救済処理を行う。これにより、データレジスタ122には、データ信号S5としてデータ信号S4が供給される。
【0055】
以上のように、本実施例では、RAM112の正常箇所への書き込みやRAM112の正常箇所からの読み出しの際には、RAM112が利用され、RAM112の不良箇所への書き込みやRAM112の不良箇所からの読み出しの際には、救済メモリ142が利用される。このように、本実施例では、救済メモリ142が、マスクROM111の不良箇所の救済だけでなく、RAM112の不良箇所の救済にも利用される。これにより、マスクROM111とRAM112とを備える半導体集積回路101に関し、同じ救済メモリ142でマスクROM111とRAM112とを救済することが可能になる。
【0056】
本実施例では、1個の救済メモリ142を、1個のマスクROM111と1個のRAM112とが共有しているが、1個の救済メモリ142を、複数個のマスクROM111が共有してもよいし、複数個のRAM112が共有してもよいし、1個以上のマスクROM111と1個以上のRAM112とが共有してもよい。これらの場合の利点については、第4実施例で詳細に説明する。
【0057】
(第3実施例)
図4は、第3実施例の半導体集積回路101の回路構成図である。図4の半導体集積回路101は、救済対象の不揮発性メモリの例であるマスクROM(Read Only Memory)111と、アドレスデコーダ121と、データレジスタ122と、テスト回路の例であるBIST回路131と、救済情報保持回路141と、救済メモリ142と、救済回路143と、セレクタ151と、データ保持回路の例である期待値保持回路201と、修正データ保持回路の例である修正期待値保持回路301と、修正期待値生成回路311と、セレクタ321とを備える。
【0058】
マスクROM111は、救済対象のマスクROMである。アドレスデコーダ121は、マスクROM111のアドレスを生成するためのデコーダである。データレジスタ122は、マスクROM111のデータを保持するためのレジスタである。BIST回路131は、マスクROM111をテストする回路であり、マスクROM111の不良箇所を特定するためのテストを行う。
【0059】
救済情報保持回路141は、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを保持することが可能な回路である。救済情報保持回路141は例えば、通常のFUSEでもよいし、電気切断式のFUSEでもよい。マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データは、救済データの形で救済情報保持回路141に保持される。救済データは、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを圧縮したデータである。
【0060】
救済メモリ142は、マスクROM111の不良箇所を救済するのに利用可能なメモリであり、半導体集積回路101のメモリ回路又はロジック回路に設けられている。
【0061】
救済回路143は、マスクROM111の不良箇所の救済処理を行う回路であり、救済情報保持回路141に保持されている救済データを伸張することが可能である。救済回路143は、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを救済情報保持回路141から救済メモリ142に書き込み、マスクROM111の不良箇所からの読み出しを救済メモリ142からの読み出しに切り替えるような救済処理を行う。
【0062】
セレクタ151は、マスクROM111からのデータか救済メモリ142からのデータかをセレクトする回路である。
【0063】
期待値保持回路201は、マスクROM111の正常データを保持することが可能な回路である。マスクROM111の正常データは、期待値データの形で期待値保持回路201に保持される。期待値データは、マスクROM111の正常データを圧縮したデータである。マスクROM111に不良がない場合には、マスクROM111に格納されているデータの圧縮データは、期待値保持回路201の期待値データと一致する。
【0064】
本実施例において、期待値データは、救済データを作成するのに利用される。本実施例において、BIST回路131は、マスクROM111の正常データ(期待値データ)を利用したマスクROM111のテストにより、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データ(救済データ)を導出する。本実施例において、救済情報保持回路141は、BIST回路131により導出されたアドレス及び正常データ(救済データ)を保持することが可能である。
【0065】
修正期待値保持回路301は、マスクROM111の正常データを修正した修正正常データを保持することが可能な回路である。マスクROM111の修正正常データは、修正期待値データの形で修正期待値保持回路301に保持される。修正期待値データは、マスクROM111の修正正常データを圧縮したデータである。
【0066】
本実施例において、修正期待値データは、救済データを作成するのに利用される。本実施例において、BIST回路131は、マスクROM111の修正正常データ(修正期待値データ)を利用したマスクROM111のテストにより、マスクROM111の修正箇所を含むマスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データ(救済データ)を導出する。本実施例において、救済情報保持回路141は、BIST回路131により導出されたアドレス及び正常データ(救済データ)を保持することが可能である。
【0067】
修正期待値生成回路311は、マスクROM111の修正期待値データの生成を制御する回路である。
【0068】
セレクタ321は、マスクROM111の期待値データかマスクROM111の修正期待値データかをセレクトする回路である。
【0069】
ここで、正常データ及び修正正常データについて説明する。
【0070】
半導体集積回路101の製造時に、マスクROM111には正常データが格納される。しかしながら、半導体集積回路101の製造後に、この正常データの不具合が発覚することがある。この場合、マスクROM111は書き換え不可能であるため、半導体集積回路101を破棄しなければならなくなる。
【0071】
しかしながら、本実施例ではこのような場合、上記正常データの不具合を修正した修正正常データを作成し、当該修正正常データを圧縮した修正期待値データを、マスクROM111のテストに利用する。これにより、マスクROM111において正常データを修正すべき箇所(修正箇所)を、マスクROM111の不良箇所として取り扱うことが可能になる。修正箇所では、マスクROM111に格納されたデータの圧縮データと修正期待値データとが一致しないため、修正箇所が不良箇所として検出されるからである。よって、修正正常データを利用した本実施例の救済処理によれば、マスクROM111の書き換えと同様の効果を得る事ができる。そのため、本実施例で取り扱われる不良箇所には、本来の不良箇所のほか、修正箇所が含まれる事になる。本実施例は特に、量産品の半導体集積回路101に有効である。
【0072】
なお、本実施例は、正常データに不具合がある場合以外にも適用可能である。本実施例は、正常データに不具合はないが、正常データの修正が望まれるような場合にも適用可能である。
【0073】
図4には、種々の信号が図示されている。
【0074】
信号S1は、アドレスデコーダ121から出力されてマスクROM111に入力されるアドレス信号である。信号S2は、マスクROM111から出力されてセレクタ151に入力されるデータ信号である。信号S3は、救済メモリ142から出力されてセレクタ151に入力されるデータ信号である。信号S4は、セレクタ151から出力されてデータレジスタ122に入力されるデータ信号である。なお、信号S4は、信号S2又は信号S3である。信号S1は、アドレスバスを介して伝達される。信号S2,S3,S4は、データバスを介して伝達される。
【0075】
信号SX1は、マスクROM111をテストするための信号である。BIST回路131は、信号SX1によりマスクROM111をテストする。信号SX2は、マスクROM111のテスト結果データを出力するための信号である。信号SX2はここでは、マスクROM111の救済データに相当するデータ信号であり、救済情報保持回路141に出力される。BIST回路131は、信号SX2によりマスクROM111のテスト結果データを出力する。
【0076】
信号SY1は、マスクROM111の救済データに相当するデータ信号である。信号SY2は、救済回路143がセレクタ151及び救済メモリ142を制御するための制御信号である。
【0077】
信号SZ1は、マスクROM111の期待値データに相当するデータ信号であり、期待値保持回路201から出力されてセレクタ321に入力される。信号SZ2は、マスクROM111の修正期待値データに相当するデータ信号であり、修正期待値保持回路301から出力されてセレクタ321に入力される。信号SZ3は、マスクROM111の修正期待値データの生成を制御するための制御信号であり、修正期待値生成回路311から出力されて修正期待値保持回路301及びセレクタ321に入力される。信号SZ4は、マスクROM111の期待値データ又は修正期待値データに相当するデータ信号であり、セレクタ321から出力されてBIST回路131に入力される。なお、信号SZ4は、信号SZ1又は信号SZ2である。
【0078】
以下、図4の半導体集積回路101の動作について詳細に説明する。
【0079】
マスクROM111のLSIテストの前に、期待値保持回路201は予めマスクROM111の期待値データを保持しているとする。該期待値データは例えば、半導体集積回路101の製造時に書き込まれてもよいし、LSIテストの直前に書き込まれてもよい。
【0080】
半導体集積回路101が初期化状態の際、BIST回路131は、マスクROM111のLSIテストを実施する。この際、修正期待値生成回路311は、制御信号SZ3を出力せず、セレクタ321は、マスクROM111の期待値データに相当するデータ信号SZ1を出力する。よって、BIST回路131は、マスクROM111に格納されているデータの圧縮データとマスクROM111の期待値データとを比較することで、マスクROM111をテストする。これにより、BIST回路131は、マスクROM111の救済データを導出する。マスクROM111に不良があった場合には、BIST回路131から救済情報保持回路141に、マスクROM111のテスト結果データが出力される。マスクROM111のテスト結果データは、救済データとなる。
【0081】
半導体集積回路101が初期化状態の際には更に、救済回路143が、マスクROM111の救済データからマスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを取得する。次に、救済回路143は、マスクROM111の不良箇所のアドレス及び正常データを、救済メモリ142に書き込む。
【0082】
次に、半導体集積回路101の動作時に、救済回路143は、アドレス信号S1の値が正常アドレスであるか不良アドレスであるかを判断する。
【0083】
アドレス信号S1の値が正常アドレスである場合、救済回路143は、セレクタ151にデータ信号S2をセレクトさせるような制御信号SY2を出力する。これにより、データレジスタ122には、データ信号S4としてデータ信号S2が供給される。
【0084】
アドレス信号S1の値が不良アドレスである場合、救済回路143は、セレクタ151にデータ信号S3をセレクトさせるような制御信号SY2を出力する。すなわち、救済回路143は、マスクROM111の不良箇所からの読み出しを救済メモリ142からの読み出しに切り替えるような救済処理を行う。これにより、データレジスタ122には、データ信号S4としてデータ信号S3が供給される。
【0085】
一方、正常データを修正正常データに置き換える必要が生じた場合には、修正期待値生成回路311を動作させる。この際、修正期待値生成回路311は、制御信号SZ3を出力する。そして、制御信号SZ3により、修正期待値保持回路301にマスクROM111の修正期待値データが書き込まれる。そして、セレクタ321は、マスクROM111の修正期待値データに相当するデータ信号SZ2を出力する。よって、BIST回路131は、マスクROM111に格納されているデータの圧縮データとマスクROM111の修正期待値データとを比較することで、マスクROM111をテストする。これにより、BIST回路131は、マスクROM111の救済データを導出する。以降の処理は、正常データの場合でも修正正常データの場合でも同様である。
【0086】
以上のように、本実施例の救済処理によれば、マスクROM111の書き換えと同様の効果を得る事ができる。
【0087】
第1実施例では、期待値データを利用せずに救済されるマスクROM111について説明した。第2実施例では、期待値データを利用して救済されるマスクROM111について説明した。第3実施例では、期待値データ又は修正期待値データを利用して救済されるマスクROM111について説明した。半導体集積回路101では、1個の救済メモリ142を、複数個のマスクROM111が共有してもよいし、複数個のRAM112が共有してもよいし、1個以上のマスクROM111と1個以上のRAM112とが共有してもよい。これらの場合、各マスクROM111は、第1実施例のようなマスクROM111でもよいし、第2実施例のようなマスクROM111でもよいし、第3実施例のようなマスクROM111でもよい。
【0088】
(第4実施例)
図5は、第4実施例の半導体集積回路101の回路構成図である。図5の半導体集積回路101は、救済対象の第1の揮発性メモリの例である第1のRAM(Random Access Memory)112Aと、救済対象の第2の揮発性メモリの例である第2のRAM(Random Access Memory)112Bと、第1のアドレスデコーダ121Aと、第2のアドレスデコーダ121Bと、第1のデータレジスタ122Aと、第2のデータレジスタ122Bと、テスト回路の例であるBIST回路131と、救済情報保持回路141と、救済メモリ142と、救済回路143と、セレクタ151Aと、セレクタ151Bと、セレクタ152と、メモリ制御回路161とを備える。
【0089】
第1及び第2のRAM112A及びBはそれぞれ、救済対象のRAMである。第1及び第2のアドレスデコーダ121A及びBはそれぞれ、第1及び第2のRAM112A及びBのアドレスを生成するためのデコーダである。第1及び第2のデータレジスタ122A及びBはそれぞれ、第1及び第2のRAM112A及びBのデータを保持するためのレジスタである。BIST回路131は、第1及び第2のRAM112A及びBをテストする回路であり、第1及び第2のRAM112A及びBの不良箇所を特定するためのテストを行う。
【0090】
救済情報保持回路141は、第1及び第2のRAM112A及びBの不良箇所のアドレスを保持することが可能な回路である。救済情報保持回路141は例えば、通常のFUSEでもよいし、電気切断式のFUSEでもよい。第1及び第2のRAM112A及びBの不良箇所のアドレスは、圧縮されずに救済情報保持回路141に保持される。
【0091】
救済メモリ142は、第1のRAM112Aの不良箇所と第2のRAM112Bの不良箇所とを救済するのに利用可能な、第1のRAM112Aと第2のRAM112Bとに共通のメモリであり、半導体集積回路101のメモリ回路又はロジック回路に設けられている。
【0092】
救済回路143は、第1及び第2のRAM112A及びBの不良箇所の救済処理を行う回路である。救済回路143は、第1及び第2のRAM112A及びBの不良箇所への書き込みを救済メモリ142への書き込みに切り替え、第1及び第2のRAM112A及びBの不良箇所からの読み出しを救済メモリ142からの読み出しに切り替えるような救済処理を行う。
【0093】
セレクタ151Aは、読み出し用に使用されるRDセレクタであり、第1のRAM112Aからのデータか救済メモリ142からのデータかをセレクトする回路である。セレクタ151Bは、読み出し用に使用されるRDセレクタであり、第2のRAM112Bからのデータか救済メモリ142からのデータかをセレクトする回路である。セレクタ152は、救済メモリ142へのアクセス用に使用されるセレクタであり、救済メモリ142へのアクセスを有効にするか無効にするかをセレクトする回路である。
【0094】
メモリ制御回路161は、第1のRAM112A、第2のRAM111B、及び救済メモリ142へのアクセスを制御する回路である。
【0095】
図5には、種々の信号が図示されている。
【0096】
信号S1A及びS1Aはそれぞれ、第1及び第2のアドレスデコーダ121A及びBから出力されて、第1及び第2のRAM112A及びBに入力されるアドレス信号である。信号S2A及びS2Bはそれぞれ、第1及び第2のRAM112A及びBから出力されて、セレクタ151A及びBに入力されるRDデータ信号である。信号S3A及びS3Bはそれぞれ、救済メモリ142から出力されて、セレクタ151A及びBに入力されるRDデータ信号である。信号S4A及びS4Bはそれぞれ、セレクタ151A及びBから出力されて、第1及び第2のデータレジスタ122A及びBに入力されるRDデータ信号である。なお、信号S4Aは信号S2A又は信号S3Aであり、信号S4Bは信号S2B又は信号S3Bである。信号S5Aは、第1のデータレジスタ122Aから出力されて、第1のRAM112A及び救済メモリ142に入力されるWRデータ信号である。信号S5Bは、第2のデータレジスタ122Bから出力されて、第2のRAM112B及び救済メモリ142に入力されるWRデータ信号である。信号S6及びS7は、第1のRAM112A、第2のRAM111B、及び救済メモリ142へのアクセスを制御するための制御信号(RD,WR,CE等)である。信号S6は、メモリ制御回路161から出力されて第1のRAM112A、第2のRAM112B、及びセレクタ152に入力され、信号S7は、セレクタ152から出力されて救済メモリ142に入力される。信号S1A,S1Bは、アドレスバスを介して伝達される。信号S2A,S2B,S3A,S3B,S4A,S4Bは、RDデータバスを介して伝達される。信号S5A,S5Bは、WRデータバスを介して伝達される。
【0097】
信号SX1は、第1及び第2のRAM112A及びBをテストするための信号である。BIST回路131は、信号SX1により第1及び第2のRAM112A及びBをテストする。信号SX2は、第1及び第2のRAM112A及びBのテスト結果データを出力するための信号である。信号SX2はここでは、第1及び第2のRAM112A及びBの不良箇所のアドレスに相当するデータ信号であり、救済情報保持回路141に出力される。BIST回路131は、信号SX2により第1及び第2のRAM112A及びBのテスト結果データを出力する。
【0098】
信号SY1は、第1及び第2のRAM112A及びBの不良箇所のアドレスに相当するデータ信号である。信号SY2は、救済回路143がセレクタ151A、セレクタ151B、セレクタ152、及び救済メモリ142を制御するための制御信号である。
【0099】
以下、図5の半導体集積回路101の動作について詳細に説明する。
【0100】
半導体集積回路101が初期化状態の際、BIST回路131は、第1及び第2のRAM112A及びBのLSIテストを実施する。BIST回路131は、第1及び第2のRAM112A及びBをテストして、第1及び第2のRAM112A及びBの不良アドレスを導出する。第1のRAM112A及び/又は第2のRAM112Bに不良があった場合には、BIST回路131から救済情報保持回路141に、第1のRAM112A及び/又は第2のRAM112Bのテスト結果データが出力される。第1及び第2のRAM112A及びBのテスト結果データはそれぞれ、不良アドレスとなる。
【0101】
続いて、半導体集積回路101の動作時に、救済回路143は、アドレス信号S1A及びS1Bの値が正常アドレスであるか不良アドレスであるかを判断する。
【0102】
第1のRAM112Aへの書き込み時の救済回路143の動作は、次の通りである。
【0103】
アドレス信号S1Aの値が正常アドレスである場合、救済回路143は、制御信号SY2をセレクタ152に出力しない。これにより、第1のRAM112Aのみにデータ信号S5Aが書き込まれる。
【0104】
アドレス信号S1Aの値が不良アドレスである場合、救済回路143は、制御信号SY2をセレクタ152に出力する。すなわち、救済回路143は、第1のRAM111Aの不良箇所への書き込みを救済メモリ142への書き込みに切り替えるような救済処理を行う。これにより、救済メモリ142にデータ信号S5Aが書き込まれる。なお、本実施例の半導体集積回路101は、第1のRAM111Aの不良箇所への書き込みを、救済メモリ142及び第1のRAM111Aへの書き込みに切り替えるよう構成されているが、第1のRAM111Aの不良箇所への書き込みを、救済メモリ142のみへの書き込みに切り替えるよう構成されていてもよい。前者の場合、データ信号S5Aは救済メモリ142及び第1のRAM111Aに書き込まれ、後者の場合、データ信号S5Aは救済メモリ142のみに書き込まれる。
【0105】
第1のRAM112Aからの読み出し時の救済回路143の動作は、次の通りである。
【0106】
アドレス信号S1Aの値が正常アドレスである場合、救済回路143は、制御信号SY2をセレクタ151Aに出力しない。これにより、第1のデータレジスタ122Aには、データ信号S4Aとしてデータ信号S2Aが供給される。
【0107】
アドレス信号S1Aの値が不良アドレスである場合、救済回路143は、制御信号SY2をセレクタ151Aに出力する。すなわち、救済回路143は、第1のRAM112Aの不良箇所からの読み出しを救済メモリ142からの読み出しに切り替えるような救済処理を行う。これにより、第1のデータレジスタ122Aには、データ信号S4Aとしてデータ信号S3Aが供給される。
【0108】
第2のRAM112Bへの書き込み時の救済回路143の動作は、次の通りである。
【0109】
アドレス信号S1Bの値が正常アドレスである場合、救済回路143は、制御信号SY2をセレクタ152に出力しない。これにより、第2のRAM112Bのみにデータ信号S5Bが書き込まれる。
【0110】
アドレス信号S1Bの値が不良アドレスである場合、救済回路143は、制御信号SY2をセレクタ152に出力する。すなわち、救済回路143は、第2のRAM111Bの不良箇所への書き込みを救済メモリ142への書き込みに切り替えるような救済処理を行う。これにより、救済メモリ142にデータ信号S5Bが書き込まれる。なお、本実施例の半導体集積回路101は、第2のRAM111Bの不良箇所への書き込みを、救済メモリ142及び第2のRAM111Bへの書き込みに切り替えるよう構成されているが、第2のRAM111Bの不良箇所への書き込みを、救済メモリ142のみへの書き込みに切り替えるよう構成されていてもよい。前者の場合、データ信号S5Bは救済メモリ142及び第2のRAM111Bに書き込まれ、後者の場合、データ信号S5Bは救済メモリ142のみに書き込まれる。
【0111】
第2のRAM112Bからの読み出し時の救済回路143の動作は、次の通りである。
【0112】
アドレス信号S1Bの値が正常アドレスである場合、救済回路143は、制御信号SY2をセレクタ151Bに出力しない。これにより、第2のデータレジスタ122Bには、データ信号S4Bとしてデータ信号S2Bが供給される。
【0113】
アドレス信号S1Bの値が不良アドレスである場合、救済回路143は、制御信号SY2をセレクタ151Bに出力する。すなわち、救済回路143は、第2のRAM112Bの不良箇所からの読み出しを救済メモリ142からの読み出しに切り替えるような救済処理を行う。これにより、第2のデータレジスタ122Bには、データ信号S4Bとしてデータ信号S3Bが供給される。
【0114】
以上のように、本実施例では、第1及び第2のRAM112A及びBの正常箇所への書き込みや第1及び第2のRAM112A及びBの正常箇所からの読み出しの際には、第1及び第2のRAM112A及びBが利用され、第1及び第2のRAM112A及びBの不良箇所への書き込みや第1及び第2のRAM112A及びBの不良箇所からの読み出しの際には、救済メモリ142が利用される。このように、本実施例では、救済メモリ142が、第1及び第2のRAM112A及びBの不良箇所の救済に利用される。これにより、第1のRAM112Aと第2のRAM112Bとを備える半導体集積回路101に関し、同じ救済メモリ142で第1のRAM112Aと第2のRAM112Bとを救済することが可能になる。
【0115】
本実施例では、1個の救済メモリ142を2個のRAM112が共有しているが、1個の救済メモリ142を3個以上のRAM112が共有してもよい。
【0116】
以下、救済メモリ142の利点について詳細に説明する。
【0117】
図6は、複数のRAM112を備える半導体集積回路101を表す。このような半導体集積回路101に冗長救済技術を適用する場合には、図6のように、個々のRAM112の内部に予備セル領域(R)を設ける事が多い。このような構造には、RAM1個あたりの回路面積が増大するという欠点がある。そのため、半導体集積回路101のレイアウト設計が困難になる、半導体集積回路101のチップ面積が増大する、などの問題が生じるおそれがある。また、小容量のRAM112(X)には、用意されている標準ライブラリに予備セル領域(R)が存在しない事も多く、救済処理に対応できない事も多い。
【0118】
そこで、本実施例の半導体集積回路101は、図7のように、救済メモリ142を備えている。このような構造には、RAM1個あたりの回路面積の増大を抑制しつつ、複数のRAM112を救済できるという利点がある。そのため、半導体集積回路101のレイアウト設計が困難になる、半導体集積回路101のチップ面積が増大する、などの問題を抑制することが可能になる。また、このような構造によれば、小規模のRAM112(X)を救済することも可能になる。従って、救済処理に対応できないRAM112も救済可能になり、半導体集積回路101全体におけるRAM112の救済率を高めることが可能になる。
【0119】
以上のように、救済メモリ142は、マスクROM111の救済に有効であるだけでなく、複数のRAM112のメモリの救済にも有効である。なお、上記の利点は、1個の救済メモリ142を、複数のマスクROM111が共有するような場合や、1個以上のマスクROM111と1個以上のRAM112とが共有するような場合にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】第1実施例の半導体集積回路の回路構成図である。
【図2A】救済メモリの配置の例を説明するための図である。
【図2B】救済メモリの配置の例を説明するための図である。
【図2C】救済メモリの配置の例を説明するための図である。
【図3】第2実施例の半導体集積回路の回路構成図である。
【図4】第3実施例の半導体集積回路の回路構成図である。
【図5】第4実施例の半導体集積回路の回路構成図である。
【図6】半導体集積回路の比較例について説明するための図である。
【図7】半導体集積回路の実施例について説明するための図である。
【符号の説明】
【0121】
101 半導体集積回路
111 ROM
112 RAM
121 アドレスデコーダ
122 データレジスタ
131 BIST回路
141 救済情報保持回路
142 救済メモリ
143 救済回路
151 セレクタ
152 セレクタ
161 メモリ制御回路
201 期待値保持回路
301 修正期待値保持回路
311 修正期待値生成回路
321 セレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
救済対象の不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリをテストするテスト回路と、
前記不揮発性メモリの不良箇所のアドレス及び正常データを保持することが可能な救済情報保持回路と、
前記不揮発性メモリの不良箇所を救済するのに利用可能な救済メモリであって、メモリ回路又はロジック回路に設けられている救済メモリと、
前記不揮発性メモリの不良箇所のアドレス及び正常データを前記救済情報保持回路から前記救済メモリに書き込み、前記不揮発性メモリの不良箇所からの読み出しを前記救済メモリからの読み出しに切り替える救済回路とを備えることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
救済対象の揮発性メモリを更に備え、
前記テスト回路は更に、前記揮発性メモリをテストし、
前記救済情報保持回路は更に、前記揮発性メモリの不良箇所のアドレスを保持することが可能であり、
前記救済メモリは、前記不揮発性メモリの不良箇所と前記揮発性メモリの不良箇所とを救済するのに利用可能な、前記不揮発性メモリと前記揮発性メモリとに共通の救済メモリであり、
前記救済回路は更に、前記揮発性メモリの不良箇所への書き込みを前記救済メモリへの書き込みに切り替え、前記揮発性メモリの不良箇所からの読み出しを前記救済メモリからの読み出しに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記不揮発性メモリの正常データを保持することが可能なデータ保持回路を更に備え、
前記テスト回路は、前記不揮発性メモリの正常データを利用した前記不揮発性メモリのテストにより、前記不揮発性メモリの不良箇所のアドレス及び正常データを導出し、
前記救済情報保持回路は、前記テスト回路により導出された前記アドレス及び前記正常データを保持することが可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記不揮発性メモリの正常データを修正した修正正常データを保持することが可能な修正データ保持回路を更に備え、
前記テスト回路は、前記不揮発性メモリの修正正常データを利用した前記不揮発性メモリのテストにより、前記不揮発性メモリの修正箇所を含む前記不揮発性メモリの不良箇所のアドレス及び正常データを導出し、
前記救済情報保持回路は、前記テスト回路により導出された前記アドレス及び前記正常データを保持することが可能であることを特徴とする請求項3に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
救済対象の第1の揮発性メモリと、
救済対象の第2の揮発性メモリと、
前記第1及び第2の揮発性メモリをテストするテスト回路と、
前記第1及び第2の揮発性メモリの不良箇所のアドレスを保持することが可能な救済情報保持回路と、
前記第1及び第2の揮発性メモリの不良箇所を救済するのに利用可能な、前記第1及び第2の揮発性メモリに共通の救済メモリであって、メモリ回路又はロジック回路に設けられている救済メモリと、
前記第1及び第2の揮発性メモリの不良箇所への書き込みを前記救済メモリへの書き込みに切り替え、前記第1及び第2の揮発性メモリの不良箇所からの読み出しを前記救済メモリからの読み出しに切り替える救済回路とを備えることを特徴とする半導体集積回路。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−123302(P2009−123302A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298290(P2007−298290)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】