説明

半導電性ローラ及びそれを用いた画像形成装置

【課題】 表面層コーティング後の熱処理の際ローラ表面に滲み出てしまう含有成分を完全に除去するだけでなく表面層の表面改質を行うことにより、感光体や中間転写体表面の汚染防止を長期に渡り維持するを可能とし、また、表面の離型性を向上させ、ローラの耐汚れ性を向上させることができる半導電性ローラ、及び該半導電性ローラを用いた画像形成装置を提供することである。
【解決手段】 芯金表面に、少なくとも抵抗を調整した弾性層と表面層とが形成された半導電性ローラであって、前記表面層が紫外線照射により表面処理されてなることを特徴とする半導電性ローラである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成プロセス(例えば電子写真プロセス、静電記録プロセス、磁気記録プロセス等)を利用したプリンター、複写機等に用いられる半導電性ローラ、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置の多くは、有害とされているオゾンの発生が非常に少ない接触帯電及び接触転写方式を採用しており、なかでも耐摩耗性や転写部での転写材搬送性に優れたローラ状の部材が主流となっている。該ローラ状の部材は、弾性を有する材料が用いられ像担持体である感光体や中間転写体に対して確実にニップの形成を可能としている。そして、これらのローラとしては、一般的にSUS、Fe等の芯金上に、カーボン、イオン導電性剤等によりその抵抗を1×105〜1×1010Ωの範囲(本発明においては、抵抗がこの範囲にあることを「半導電性」という)に調整した弾性層を設けた半導電性の弾性ローラが用いられている。
【0003】
しかしながら、従来の半導電性の弾性ローラを用いる画像形成装置では以下に示すような問題があった。
すなわち、半導電性の弾性ローラの弾性層を形成するゴム内には、ベースポリマーを合成する際に投入する反応開始剤の残留物やその際に生成する副生成物、ベースポリマーの低分子成分、ゴムローラ成型時に添加する加硫剤や軟化剤、可塑剤等の成分が含まれる。これらの成分は、感光体や中間転写体と反応しやすいものが多く、長時間半導電性の弾性ローラと感光体や中間転写体とを圧接した状態で放置すると、これらの成分が半導電性の弾性ローラより滲出するいわゆるブリードが発生し、前記成分が感光体や中間転写体に付着し、反応して感光体や中間転写体を改質してしまうという問題がある。
【0004】
特に、半導電性の弾性ローラは、ローラ内に存在する材料ゴムの低分子量成分や加硫剤・可塑剤等が半導電性の弾性ローラ表面に滲出しやすく、半導電性の弾性ローラが感光体や中間転写体と圧接固定した状態のまま長時間おかれた場合、感光体や中間転写体表面に滲出した物質が付着して画像を乱す、またひどい場合は感光体や中間転写体表面が反応・改質されて白化してしまい、以降の画像を全て乱してしまうという問題がある。
【0005】
これに対して、弾性ローラにおけるゴム弾性層表面に紫外線処理を施すことにより、ゴム弾性層における低分子成分や、加硫剤等の添加物を除去する方法が提案されているが(例えば、特許文献1参照)、この方法では弾性層の表面に存在する成分を除去するだけであるので、実機使用中の長時間放置等により、前記低分子成分が再度ブリードしてしまい、感光体等への付着を完全に防止することができない場合があった。
【0006】
これらの問題を解決するために、半導電性の弾性ローラ表面に含有成分がブリードするのを防止するバリア層となる層をコーティングすることが考えられるが、コート後の乾燥工程で熱処理を施すため、その熱により前記成分のブリードを加速してしまう問題があった。
【0007】
また、プリンターや複写機において、積算印刷量が増加してくると、感光体と接触しているローラの周りに紙粉、トナー、外添剤といったのものが堆積し、その付着した部分が電気抵抗を上昇させ、しいては帯電、転写ムラにつながるという問題があった。
【特許文献1】特開2002−357215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明の目的は、表面層コーティング後の熱処理の際ローラ表面に滲み出てしまう含有成分を完全に除去するだけでなく表面層の表面改質を行うことにより、感光体や中間転写体表面の汚染防止を長期に渡り維持することを可能とし、また、表面の離型性を向上させ、ローラの耐汚れ性を向上させることができる半導電性ローラ、及び該半導電性ローラを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 芯金表面に、少なくとも抵抗を調整した弾性層と表面層とが形成された半導電性ローラであって、前記表面層が紫外線照射により表面処理されてなることを特徴とする半導電性ローラである。
【0010】
<2> 表面のダイナミック超微小硬度が、0.05〜0.2の範囲であることを特徴とする<1>に記載の半導電性ローラである。
【0011】
<3> 前記表面層が、アミド結合を有する樹脂を含む層であることを特徴とする<1>または<2>に記載の半導電性ローラである。
【0012】
<4> 前記抵抗を調整した弾性層が、エピクロルヒドリンを主成分とする合成ゴムを含む層であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の半導電性ローラである。
【0013】
<5> 前記紫外線照射における紫外線の波長が、150〜300nmの範囲であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の半導電性ローラである。
【0014】
<6> 前記紫外線照射における光源が、低圧水銀ランプであることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の半導電性ローラである。
【0015】
<7> 前記紫外線照射における紫外線照度強度が、200〜10000mJの範囲であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の半導電性ローラである。
【0016】
<8> 少なくとも像担持体に接触する帯電手段及び/または転写手段を備える画像形成装置であって、
前記帯電手段及び/または転写手段として、芯金表面に、少なくとも抵抗を調整した弾性層と表面層とが形成され、該表面層が紫外線照射により表面処理されてなる半導電性ローラを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
表面層コーティング後の熱処理の際ローラ表面に滲み出てしまう含有成分を完全に除去するだけでなく表面層の表面改質を行うことにより、感光体や中間転写体表面の汚染防止を長期に渡り維持することを可能とし、また、表面の離型性を向上させ、ローラの耐汚れ性を向上させることができる半導電性ローラ、及び該半導電性ローラを用いた画像形成装置を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
<半導電性ローラ>
本発明の半導電性ローラは、芯金表面に、少なくとも抵抗を調整した弾性層と表面層とが形成された半導電性ローラであって、前記表面層が紫外線照射により表面処理されてなることを特徴とする。
【0019】
すなわち本発明では、芯金表面に少なくとも1層の抵抗を調整した弾性層を成形もしくは挿入し、その表面を必要により研磨した後、表面層をコーティングし、乾燥工程を経た後、紫外線照射による表面処理を施すことにより、半導電性の弾性ローラ表面に存在するゴムの低分子成分や加硫剤等の添加物を除去すると共に、表面層の最表部分を表面改質により密な状態として弾性層からの低分子成分のさらなる染み出し防止し、感光体等への付着を長期にわたって回避することができる。さらに、前記表面処理によって表面層の離型性を上げ、長期に亘り良好な画像を維持できる半導電性ローラを提供するものである。
【0020】
前記紫外線照射による表面処理における紫外線の波長は150〜300nmの範囲であることが好ましい。また、前記紫外線は主波長として184.9nm及び253.7nmの波長を含む紫外線であることが望ましい。紫外線の波長が300nmを超えると、ローラ表面に存在する低分子成分や表面層成分の極性基を活性化することができず、表面改質の効果が得られない場合がある。一方、波長が100nm未満では、ローラ表面の前記極性基の活性化が急激に進むので、分解や劣化につながるおそれがある。
【0021】
また、紫外線照射による表面処理時の紫外線照度強度は、200〜10000mJ(ジュール)の範囲であることが好ましく、500〜5000mJの範囲がより好ましく、600〜2000mJの範囲であることがさらに好ましい。この紫外線照度強度が200mJ未満では、ローラ表面に存在する極性基が活性化され難くなり、低分子量成分の除去や表面層の表面改質ができなくなることがある。一方、紫外線照度強度が10000mJを超えると、ローラ表面の極性基の活性化が急激に進行し易くなり、分解や劣化につながるおそれがある。
【0022】
ここで、紫外線照射強度とは、下記式(1)で求められるものである。
〔紫外線照射強度(mJ)〕=〔紫外線光源から被処理物までの距離における照度計の測定値(mW)〕×〔照射時間(sec)〕 ・・・ 式(1)
【0023】
ここで、紫外線照射により表面処理する様子を図を用いて説明するが、これに限定されるわけではない。紫外線照射による表面処理は、図1に示すように、半導電性ローラ100外周面に、紫外線照射光源102を対抗させ、該半導電性ローラ100を矢印A方向に回転させながら紫外線(矢印B)を照射する。紫外線照射光源の長さは、効率良く紫外線を照射できるように半導電性ローラの長さよりも長く設定される。このため、半導電性ローラ100外周面に均一に紫外線を照射することができる。なお、104は芯金、105は弾性層、106は表面層を示す。
【0024】
この表面処理で表面層に照射される紫外線とは、可視光線より波長が短くX線より波長が長い電磁波をいう。紫外線照射の光源102としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、あるいは低圧水銀灯が用いられる。高圧水銀灯やメタルハライドランプは365nmの波長を代表とする近紫外線領域の近紫外線を発光する。一方、低圧水銀灯は、上記近紫外線よりさらに波長の短い184.9nm及び253.7nmの波長を代表とする短波長紫外線を発光する。
【0025】
上記の短波長紫外線は、短波長紫外線が照射された対象を殺菌し表面洗浄すること、さらに場合によっては照射された対象の表面そのものを改質することが知られている。以下、この短波長紫外線を前記半導電性ローラの表面層106に照射した場合に、特に、短波長紫外線の中でも低圧水銀灯で得られる184.9nm及び253.7nmという代表的な波長の短波長紫外線それぞれを表面層106に照射する影響について説明する。
【0026】
短波長紫外線が表面層106に照射されると、その紫外線の1部は一般的作業環境中に存在する酸素に吸収される。波長184.9nmの紫外線は、酸素に対し、酸素分子の結合エネルギーより高いエネルギーを与えて、以下に示す反応で酸素を活性酸素(O)に分解する。
2+184.9nm→O+O(分解)
【0027】
この活性酸素(O)はさらに酸素と結びついて、以下に示す反応でオゾンを発生する。
O+O2→O3(オゾンの生成)
但し、上記反応において生成されたオゾンもそのままでは自然に酸素や活性酸素に分解され、再び上記反応に寄与することとなる。
【0028】
一方、前記波長253.7nmの紫外線は、オゾンに良く吸収され、以下に示す反応でオゾンを分解して酸素と活性酸素(O)に分解する。
3→O2+O(オゾンの分解)
【0029】
すなわち、一般に市販されている低圧水銀灯で得られる代表的な波長184.9nm及び253.7nmの短波長紫外線を照射することによって、ブリード物の分子の切断を行うと同時に、O2を分解し酸化作用を有する活性酸素が照射環境中に発生する。この活性酸素がO2と結合しO3を生成する。生成されたオゾンO3は253.7nmの紫外線エネルギーを吸収し、再びO2と活性酸素(O)とに分解し、活性酸素(O)は分解され活性化したブリード物の分子に接触し酸化を行う。この酸化されたブリード物は、CO2、H2Oなどの揮発性のものに変化し、除去される。
【0030】
また、前記紫外線照射はブリード物だけでなく表面層を構成する樹脂の分子鎖をも切断し、ラジカルを発生させる。このラジカルは前記活性酸素(O)と反応して酸化されてしまうものもあるが、分子鎖中のラジカル同士が結合して新たな網目構造を形成し表面層の最表面部分が密な構造となる。そしてこの構造が、下層の弾性層からの低分子成分のブリードをブロッキングする役割をなすものと考えられる。
【0031】
以上のような理由から、本発明における紫外線照射に用いられる紫外線は、150〜300nmの範囲、好ましくは184.9nm及び253.7nmの波長を含む紫外線であることが望ましく、紫外線照射による表面処理の光源102としては、水素ランプ、重水素ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ等の公知の光源を使用することができるが、前記波長を安定して得る観点から低圧水銀ランプが最も優れている。
【0032】
このようにして表面処理された本発明の半導電性ローラの表面のダイナミック超微小硬度は、0.05〜0.2の範囲であることが好ましく、0.07〜0.1の範囲であることがより好ましい。ダイナミック超微小硬度が0.05に満たないと、前記表面改質が充分でなく放置により弾性層中の低分子成分が再度ブリードし感光体汚染等を引き起こしてしまう場合がある。ダイナミック超微小硬度が0.2を超えると、表面層の網目構造が密になりすぎ使用中にひび割れが発生してしまう場合がある。
【0033】
なお、上記ダイナミック超微小硬度(以下、単に「DH」と称する場合がある)は、圧子を試料に一定の押込み速度(mN/s)で進入させたときの試験荷重P(mN)と押込み深さD(μm)より、式(2)より算出された硬度である。
DH=α×P/D2 ・・・ (2)
上記式(2)において、αは圧子形状による定数を表す。
【0034】
上記ダイナミック超微小硬度の測定は、ダイナミック超微小硬度計DUH−W201S((株)島津製作所社製)により行った。ダイナミック超微小硬度は、軟質材料測定により、三角錐圧子(頂角:115°、α:3.8584)を、半導電性ローラに押込み速度0.14mN/s、試験荷重1.0mNで進入させた時の押込み深さDを測定することにより求めた。
【0035】
以下、本発明の半導電性ローラの構成をより詳細に説明する。
本発明の半帯電性ローラの層構成は、芯金の表面に、少なくとも抵抗を調整した弾性層と表面層とが形成されていれば特に限定されず、3層あるいは4層で構成されていてもよい。上記弾性層は、例えば帯電ローラとして適切な圧力で被帯電体(感光体)表面に押圧され、被帯電体との間にニップを形成し、被帯電体表面を均一に帯電できるよう、弾性層として形成されるものである。
【0036】
前記芯金は、半導電性ローラの電極及び支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂;などの導電性の材質で構成される。
【0037】
前記抵抗を調整した弾性層は、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。
弾性層を構成するゴム材料としては、エピクロルヒドリン、ポリウレタン、EPDM、SBR、塩素化ポリイソプレン、NBR、クロロプレンゴム、水素化ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等、またはこれらを2種以上をブレンドしてなる材料が挙げられるが、これらの中でも、エピクロロヒドリンを主成分とする合成ゴムが最も好ましい。
【0038】
エピクロロヒドリンを主成分とする合成ゴムとしては、エピクロルヒドリンとアルキレンオキサイド及び/または不飽和エポキシドを共重合して得られる共重合体ゴムも好適に用いることができる。さらに必要に応じて低分子量エピクロルヒドリン系重合体を配合しても構わない。このエピクロルヒドリンを主成分とする合成ゴムは、ゴム自体がある程度の通電性(イオン導電性)を有しているため、帯電ローラ、転写ローラ(一次、2次も含む)及び2次転写部に用いられる支持ローラ(所謂、バックアップローラ)等として、それぞれ求められる半導電性を発現させる目的で添加される導電剤の添加量が少量で済み、さらに各種ローラ毎に要求される電気抵抗(抵抗値)を比較的容易に調整することができるため優れている。
【0039】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末を挙げることができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げることができる。
【0040】
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、ゴム材料100質量部に対して、1〜30質量部の範囲であることが好ましく、10〜20質量部の範囲であることがより好ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、ゴム材料100質量部に対して、0.1〜5.0質量部の範囲であることが好ましく、0.5〜3.0質量部の範囲であることがより好ましい。
【0041】
これにより、弾性層の体積抵抗値を1×104〜1×1010Ωcmの範囲に調整することが好ましい。
上記体積抵抗値の測定は、弾性層組成物をシート状とし、測定治具(R12702A/Bレジスティビティ・チェンバ:アドバンテスト社製)と高抵抗測定器(R8340Aデジタル高抵抗/微小電流計:アドバンテスト社製)とを用い、電場(印加電圧/組成物シート厚)が1000V/cmになるよう調節した電圧を10秒印加後の電流値より、下記式(3)を用いて算出した。
体積抵抗値(Ωcm)=(19.63×印加電圧(V))/(電流値(A)×組成物シート厚(cm)) ・・・ 式(3)
なお、体積抵抗値の測定は、22℃、55%RH環境下で行った。
【0042】
また、上記弾性層の硬度は、感光体や転写体との圧接時に適度なニップを形成させるため、アスカーC硬度で70度以下であることが好ましい。アスカーC硬度が70度より高くなると、例えば、帯電ローラとして用いる場合には被帯電体とのニップ均一性が損なわれ、画質欠陥が発生するようになるだけでなく、長期間の使用により例えば被帯電体表面が次第に摩耗する場合がある。
なお、アスカーC硬度の測定は、帯電部材の表面にアスカーC型硬度計(高分子計器社製)の押針を当接し、1000g荷重の条件で行った。
【0043】
抵抗を調整した弾性層の厚さは、0.2〜4mmの範囲であることが好ましく、0.5〜1.0mmの範囲であることがより好ましい。また、弾性層形成後、ローラ表面(弾性層表面)を研磨して、外径形状を所望の形状(所望の外径)にすることができる。この研磨をした後に、表面層形成を行ってもよい。研磨方法としては、特に制限はないが、円筒研磨法、センタレス研磨法等、公知の方法を利用することができる。
【0044】
本発明における表面層を構成する材料としては、特に制限されないが、紫外線による表面改質効果が最も効率的に得られるという観点から、高分子材料を用いることが好ましい。
前記表面層を構成する高分子材料としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
これらの中では、感光体への非汚染性、被膜としての柔軟性、トナー等との離型性等と共に、紫外線照射による改質対応性の観点から、ポリアミドなどのアミド結合を有する樹脂が好ましく用いられる。
【0046】
特に、上記アミド結合を有する樹脂の中では、主鎖の窒素原子をメトキシメチル化したN−メトキシメチル化ナイロンが、溶剤可溶性に優れるだけでなく、被膜としての柔軟性、紫外線照射に対する表面改質性に優れる点で最も好ましい。
【0047】
表面層は、前記各高分子材料をそのままコーティング等により形成することもできるが、上記高分子材料に前記導電性弾性層に用いた導電剤や各種微粒子を混合して組成物とし形成されることが好ましい。上記微粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物及び複合金属酸化物、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等の高分子微粉体を単独または混合して用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0048】
表面層は、下層が非耐熱性材料であることが多いこと、より均一な層として形成できることなどの観点から、コーティング液として前記抵抗を調整した弾性体層等の表面に塗工して形成することが好ましい。
コーティング液の溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルエチルケトン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いることができる。また、上記コーティング液には、カーボンブラック、金属酸化物等の導電剤や界面活性剤、カップリング剤等の分散剤などを添加こともできる。
【0049】
コーティング方法としては、スプレー法、ディッピング法、スピンコート法など通常のコーティング方法を用いることができる。また、コート後は室温または加熱して乾燥・硬化を行う。なお、上記コーティングの前に、密着性向上のためのプライマー層を形成させてもよい。
【0050】
前記表面層の体積抵抗値は1×107〜1×1010Ωcmの範囲であることが好ましく、1×108〜1×109Ωcmの範囲であることがより好ましい。また、本発明における表面層の膜厚は、3〜20μm以下であることが好ましく、5〜15μmの範囲であることがより好ましい。特に、表面層を構成する高分子材料として、前記N−メトキシメチル化ナイロンを用いる場合には、紫外線照射による高い表面改質効果を得るために表面層の厚さは8〜12μmの範囲とすることが好ましい。
【0051】
本発明においては、前記抵抗を調整した弾性層及び表面層以外にも、これらの層の間や該弾性層の下層等に、各種層を設けることができる。
これらの層は、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。また、導電剤としては、前記弾性層に用いた導電剤等を配合することができる。
【0052】
以上のようにして、抵抗、硬度が調整された半導電性ローラを作製し、前記紫外線照射による表面処理が施されることで、本発明の半導電性ローラを得ることができる。
【0053】
<画像形成装置>
以下、本発明の半導電性ローラが好適に適用される画像形成装置(本発明の画像形成装置)の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部のみを説明し、その他はその説明を省略する。
【0054】
図2は、4連タンデム方式のフルカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1〜第4の画像形成ステーション10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ステーション(以下、単にステーションと称する)10Y、10M、10C、10Kは、略水平方向に互いに所定距離離間して並設されている。
【0055】
各ステーション10Y、10M、10C、10Kの上方には、各ステーションを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、横方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22および中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻回されて張設され、第1ステーション10Yから第4ステーション10Kに向う方向に無端走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないいバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に付勢されており、両者の間に巻回された中間転写ベルト20に所定のテンションが与えられている。また、中間転写ベルト20の像担持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
【0056】
上述した第1〜第4ステーション10Y、10M、10C、10Kは、略同一の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ステーション10Yについて代表して説明する。尚、第1ステーション10Yと同一の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した同一参照符号を付すことにより、第2〜第4ステーション10M、10C、10Kの説明を省略する。
【0057】
第1ステーション10Yは、像担持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ(帯電手段)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電潜像を形成する露光装置3、静電潜像に帯電したトナー(現像剤)を供給して静電潜像を現像する現像装置4Y、現像したトナー像(現像剤像)を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置6Yが順に配設されている。尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部(制御手段)による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
【0058】
以下、第1ステーション10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V〜−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
【0059】
静電潜像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(トナー像)化される。
【0060】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロー着色剤とワックスと結着樹脂と脂肪族炭化水素−炭素数9以上の芳香族炭化水素共重合石油樹脂にて形成された体積平均粒径が7μmのイエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有している。感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にのみイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き所定速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が所定の1次転写位置へ搬送される。
【0061】
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに所定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ステーション10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に定電流制御されている。
【0062】
また、第2ステーション10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも同様に制御されている。
こうして、第1ステーション10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2〜第4ステーション10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が同様に重ねられて多重転写される。
【0063】
第1〜第4ステーションを通して全ての色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像担持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(転写材)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20との間に所定のタイミングで給紙され、所定の2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、定電圧で制御されている。
【0064】
この後、記録紙Pは定着装置28へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ永久定着される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0065】
上記図2に示す画像形成装置においては、帯電ローラ2Y、2M、2C、2K(帯電手段)や、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5K(転写手段)、さらに2次転写ローラ26(転写手段)として、上記本発明の半導電性ローラを用いられる。
【0066】
帯電ローラとして用いる場合には、その抵抗値は104〜106Ωの範囲であることが好ましい。抵抗値が104Ω未満であると、被帯電体(感光体)表面に過剰電流が流れ、被帯電体表面にピンホールリークが発生しやすい場合がある。一方、抵抗値が106Ωより大きくなると、低電圧での被帯電体への帯電が困難となり、帯電電位の不足により画質欠陥が生じるようになる。
【0067】
また、転写ローラとして用いる場合には、その抵抗値は105〜1010Ωの範囲であることが好ましい。この抵抗値がこれより低いと、印加される転写バイアスにより生じる電流量が多すぎてトナー層間での電荷の注入や放電が発生し、トナーを逆極性に帯電させ十分に中間転写ベルトや記録紙Pへ移動(転写)させることができなくなることがある。一方、抵抗値が高すぎると、トナーを転写するのに十分な強度の転写電界を形成できず、転写不良を生じてしまうことがある。
【0068】
なお、上記抵抗値は、金属板上にローラを置き、ローラの両端部に500gずつ荷重し、高抵抗測定器(R8340Aデジタル高抵抗/微小電流計:アドバンテスト社製)を用いて、ローラの芯金と金属板との間に100Vの電圧を10秒印加後、得られた電流値を測定しローラ抵抗値を求めた。
また、本発明の半導電性ローラが、前記帯電ローラや転写ローラとして用いられる場合の硬度としては、アスカーC硬度で25〜80度の範囲であることが好ましい。
【0069】
このように、本発明の半導電性ローラの製造方法により得られる半導電性ローラは、画像形成装置における各種ローラに好適に適用することができる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。なお以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
<実施例1>
(導電性ロールの作製)
−導電性弾性層の成型−
下記混合物をオープンロールで混練りし、SUS304からなる直径8mmの芯金表面に厚さ1mmとなるように円筒状に被覆した。
【0071】
・ゴム材料(EPDM):EP65(JSR社製)100部
・導電剤(カーボンブラック):アサヒサーマル(旭カーボン社製)40部及びケッチェンブラックEC(ライオン社製)10部
・発泡剤:ビニホールAC#3(永和化成社製)8部
・加硫剤:硫黄(鶴見化学工業社製200メッシュ)1部
・加硫促進剤:ノクセラーDM(大内新興化学工業社製)2.0部及びノクセラーTT(大内新興化学工業社製)0.5部
【0072】
次いでその表面に、オープンロールで混練りした下記混合物を、厚さ0.5mmとなるように円筒状に被覆し、内径14.0mmの円筒型の金型に入れ、170℃で30分間加硫発泡させ、発泡体(EPDM)の弾性体層表面にゴムの抵抗を調整した弾性層が形成された円筒状の成型物Aを得た。
【0073】
・ゴム材料(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム):Gechron3106(日本ゼオン社製)100部
・導電剤(カーボンブラック):MONARCH1000(pH:2.5、キャボット社製)30部及びケッチェンブラックEC(pH:9.0、ライオン社製)10部
・加硫剤:硫黄(鶴見化学工業社製200メッシュ)1部
・加硫促進剤:ノクセラーDM(大内新興化学工業社製)2.0部及びノクセラーTET(大内新興化学工業社製)1.0部
【0074】
なお、前記抵抗を調整した弾性層の膜厚は500μm、電場1000v/cmで体積抵抗率は1×106.1Ωcmであった。また、アスカーC硬度は44度であった。
【0075】
−表面層の形成−
下記混合物をビーズミルにて分散し、得られた分散液Aを、前記成型物Aの表面にスプレーコートした後、100℃で5分間の加熱乾燥し、厚さ3μmの表面層を形成した。
なお、上記表面層を別途シートとして作製し、体積抵抗値を測定したところ、1×109Ω・cmであった。
【0076】
・高分子材料(N−メトキシメチル化ナイロン):CM8000(東レ社製)100部
・導電剤(PASTRAN(BaSO4微粒子に酸化錫を被覆した導電性微粒子)、三井金属社製)20部
・溶剤:メタノールでコートしやすい粘度まで希釈
【0077】
−紫外線照射による表面処理−
上記半導電性ローラに、主波長が184.9nmである紫外光を発光するセン特殊光源(株)製高純度合成石英低圧水銀ランプEUV200NS−7(出力200W)を用いて15mWの照度で3分間紫外線照射を施して(照射強度:2700mJ)表面処理を行い、半導電性ローラ1を得た。
【0078】
得られたローラ表面のダイナミック超微小硬度は0.08であった。また、ローラ抵抗値は1×105Ω、アスカーC硬度は47度であった。
【0079】
(半導電性ローラの評価)
−感光体汚染性の評価−
40℃、90%RHの環境下で、半導電性ローラ1を感光体に約9.8Nで押圧した状態で10日間保管した。その後、この感光体を富士ゼロックス社製Able3350に装着して画質評価したところ、ローラからのブリード物による感光体汚染はなく、良好な画像が得られた。
【0080】
−耐汚れ性評価−
前記半導電性ローラ1を、富士ゼロックス社製Able3350に帯電ローラとして装着して、10℃、15%RH環境(LL環境)下及び28℃、85%RH環境(HH環境)下で各10,000枚印字テスト行った。
【0081】
画質評価は、10,000枚走行後の画像について、ハーフトーン画像中での濃度ムラの有無により以下の基準で判定した。
○:全くムラがないレベル
△:わずかにムラがあるが、品質上問題ないレベル
×:品質上問題となるムラのレベル
【0082】
ロール汚れ評価は、10,000枚走行後のロールについて、以下の基準で目視評価した。
○:ほとんど異物付着なし、または軽微な異物付着
△:全面異物付着(薄く白くなる程度)
×:異物の固着(真っ白になる)
結果を表1にまとめて示した。
【0083】
<実施例2>
実施例1の半導電性ローラの作製において、表面層形成用の高分子材料としてN−メトキシメチル化ナイロンの代わりに、ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン社製、ニッポラン3113(ポリウレタン樹脂のトルエン/MEK溶液))を用いた以外は実施例1と同様にして半導電性ローラ2を作製し、同様の評価を行った。
【0084】
なお、このときの表面層の体積抵抗値は1×109Ωcm、得られたローラ表面のダイナミック超微小硬度は0.07であった。また、ローラ抵抗値は1×105Ω、アスカーC硬度は46度であった。
結果を表1に示す。
【0085】
<比較例1>
実施例1の半導電性ローラの作製において、紫外線照射による表面処理を施さない以外は実施例1と同様にしてローラを作製し、同様の評価を行った。
【0086】
なお、このときの得られたローラ表面のダイナミック超微小硬度は0.07であった。また、ローラ抵抗値は1×105Ω、アスカーC硬度は47度であった。
結果を表1に示す。
【0087】
<比較例2>
実施例1の半導電性ローラの作製において、表面層を形成せず、紫外線照射による表面処理を抵抗を調整した弾性層に施した以外は実施例1と同様にしてローラを作製し、同様の評価を行った。
【0088】
なお、このときの得られたローラ表面のダイナミック超微小硬度は0.05であった。また、ローラ抵抗値は1×104.7Ω、アスカーC硬度は44度であった。
結果を表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
表1に示すように、実施例で作製した帯電ローラ(半導電性ローラ)では、表面層の部分に紫外線照射を施すことにより、ローラ表面に滲出したローラ内に存在する材料ゴムの低分子量成分や加硫剤・可塑剤等が洗浄され、さらに表面層を表面改質し表面の離型性を向上させることによって、長期保管後の良好な画質および、低温低湿、高温高湿環境においても長期にわたった帯電ムラのない良好な画質が得られた。一方、比較例の帯電ローラでは、感光体汚染や走行後の帯電ムラが発生した。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明における紫外線照射による表面処理を説明する概略図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0092】
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置
10Y、10M、10C、10K ステーション
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ
28 定着装置
30 中間転写体クリーニング装置
102 光源
104 芯金
105 弾性層
106 表面層
P 記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金表面に、少なくとも抵抗を調整した弾性層と表面層とが形成された半導電性ローラであって、前記表面層が紫外線照射により表面処理されてなることを特徴とする半導電性ローラ。
【請求項2】
表面のダイナミック超微小硬度が、0.05〜0.2の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の半導電性ローラ。
【請求項3】
前記表面層が、アミド結合を有する樹脂を含む層であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導電性ローラ。
【請求項4】
少なくとも像担持体に接触する帯電手段及び/または転写手段を備える画像形成装置であって、
前記帯電手段及び/または転写手段として、芯金表面に、少なくとも抵抗を調整した弾性層と表面層とが形成され、該表面層が紫外線照射により表面処理されてなる半導電性ローラを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−53424(P2006−53424A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235879(P2004−235879)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】