説明

半田付け構造及び実装構造

【課題】本発明は、実装する半導体レーザの発光領域に対する応力をより低減し、且つ、半導体レーザとの接合強度を確保することができる半田付け構造及び半田付け方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の半田付け構造は、発光領域を有する半導体レーザを実装可能な半田付け構造であって、第一の電極と、第一の電極の第一領域に形成された第一の半田と、第一の電極の第二領域に形成された第二の半田と、を有し、第一領域は、第一の電極の表面のうち、半田付け構造に半導体レーザが実装された場合に、発光領域の直下に位置する領域であり、第二領域は、第一の電極の表面のうち、第一の領域を除いた領域であり、第一の半田の引張強度は、第二の半田の引張強度よりも小さく、第一の半田と第二の半田とは、半田付け構造に半導体レーザが実装された状態において、互いに接触しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極上に半田が形成された半田付け構造及び実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の技術の発展に伴い、光通信システムは飛躍的な伸びを見せている。特にファイバの利用効率を高めるため、光信号の高速化、多波長化といった技術が進展している。このような技術進展に伴い、使用される部品への要求は増々厳しくなっている。
【0003】
一方、FTTH(Fiber To The Home)の進展に伴い、部品の低コスト化が重要となっている。また、最近はFTTHにおいても高速化の要求が増えている。そのため、光信号の伝送速度は、以前の100Mbps程度から2.4Gbpsへと高速化しており、更には10Gbpsとすることも検討され始めている。
【0004】
このような状況下においては、Single mode発振する半導体レーザ(LD:laser diode)を採用することが必須であり、一般的にはDFB−LD(distributed−feedbak lazer diode)が用いられる。また、DFB−LDから出射された信号をファイバに効率的に結合させるには、サブミクロンレベルでの位置調芯が必要である。そのため、位置調芯に掛かるコストが、製造コストの削減における大きな課題であった。
【0005】
製造コストを削減するための手段の一例として、パッシブアライメントでPLC(Planar Lightwave Circuit)上に半導体レーザを実装する方法がある。この方法を用いることで、位置調芯に要する時間が不要になるため、製造コストの削減が可能となる。
【0006】
このような技術は、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1記載の半導体レーザの実装方法を、図1を用いて説明する。
【0007】
初めに、図1(a)に示すように、PLC基板(図示せず)上に電極1および半導体レーザ搭載用の台座2を形成する。次に、図1(b)に示すように、シート状の半田を極小径の棒で打ち抜くことにより、PLC基板上の電極1に半田バンプ3を形成する。この時、形成した半田バンプ3は、通常は台座2の高さよりも高いものとなる。これは、使用するシート状の半田の厚みが通常は数十umあり、台座の厚みである数um〜数十umよりも厚いためである。半田バンプ3の形成後、図1(c)に示すように、板形状の成形ツールを押し付けて半田バンプ3を台座2の高さまで成形する。そして、図1(d)に示すように、半導体レーザ4を台座2まで押し込み実装を行う。この時、半導体レーザ4のうち、メサ形状が形成されている面が、電極1と対向するように実装する。
【0008】
これらの工程において、図1(c)に示す半田バンプ3の成形工程および図1(d)に示す半導体レーザ4の実装工程は、半田バンプ3の融点以上の温度で行う必要がある。そして、半導体レーザ4の実装後は、半導体レーザ4の発光領域5の直下の領域においても、半田バンプ3を介して、電極1と半導体レーザ4とが接合する。図2には、半導体レーザ4をPLC基板上に実装した実装構造を示す。図2(a)は、実装構造の外観を示す。図2(b)は、線A−A´における断面図を示す。
【0009】
しかしながら、図1に示す方法で半導体レーザをPLC基板上に実装すると、SMSR(Sub−Mode Suppression Ratio、副モード抑圧比)歩留まりが悪くなるという問題が生じる。これは、応力に対して敏感な半導体レーザ(特にDFB−LD)の発光領域が、PLC基板に実装された状態において、半田から応力を受けるためである。この応力によって、半導体レーザの発振状態は不安定になり、SMSRが劣化するのである。
【0010】
半導体レーザの発光領域が受ける応力を低減するための技術が、例えば特許文献2に記載されている。特許文献2に記載の半導体レーザ装置の構造の一例を図3に示す。図3に示す半導体レーザ装置においては、発光領域6の直下に位置する半田を、低融点半田7としている。一般的に、金属は融点が低い程、柔らかい場合が多い。そのため、図3のように低融点半田7を用いることで、発光領域が受ける応力をある程度低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第2823044号公報
【特許文献2】特開平9−064479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献2に記載の方法においては、ヒートシンク上に、低融点でない半田(以下、高融点半田8とする)と低融点半田7とを隣接して形成している。そして、図3に示すように、ヒートシンク上に半導体レーザが実装された状態においては、高融点半田8と低融点半田7とが互いに接触する。すなわち、両方の半田の溶融時には、異種の半田同士が一部混ざり合った状態となる。そのため、低融点半田7を設けることによる、発光領域に対する応力低減の効果が損なわれてしまう。
【0013】
一方で、高融点半田8を用いず、低融点半田7のみを用いることとすると、ヒートシンクと半導体レーザとの接合強度が確保できなくなるという問題が生じる。
【0014】
本発明は、このような問題に鑑み、実装する半導体レーザの発光領域に対する応力をより低減し、且つ、半導体レーザとの接合強度を確保することができる半田付け構造及び実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の半田付け構造は、発光領域を有する半導体レーザを実装可能な半田付け構造であって、第一の電極と、第一の電極の第一領域に形成された第一の半田と、第一の電極の第二領域に形成された第二の半田と、を有し、第一領域は、第一の電極の表面のうち、半田付け構造に半導体レーザが実装された場合に、発光領域の直下に位置する領域であり、第二領域は、第一の電極の表面のうち、第一の領域を除いた領域であり、第一の半田の引張強度は、第二の半田の引張強度よりも小さく、第一の半田と第二の半田とは、半田付け構造に半導体レーザが実装された状態において、互いに接触しない。
【0016】
本発明の実装構造は、本発明の半田付け構造に、半導体レーザが実装される。
【発明の効果】
【0017】
本発明における半田付け構造及び実装構造は、実装する半導体レーザの発光領域に対する応力をより低減し、且つ、半導体レーザとの接合強度を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に関連する実装方法の一例を示す。
【図2】本発明の関連する実装構造の一例を示す。
【図3】本発明の関連する半導体レーザ装置の構造の一例を示す。
【図4】本発明の第1の実施形態における半田付け構造の構成の一例を示す。
【図5】本発明の第1の実施形態における半田付け構造に半導体レーザを実装した場合の構造の一例を示す。
【図6】本発明の第2の実施形態における半田付け構造の構成の一例を示す。
【図7】半田の濡れ性について示す。
【図8】本発明の第2の実施形態における半田付け構造の製造工程の一例を示す。
【図9】本発明の第2の実施形態における半田付け構造に半導体レーザを実装した場合の構造の一例を示す。
【図10】本発明の第3の実施形態における半田付け構造の構成の一例を示す。
【図11】本発明の第4の実施形態における半田付け構造の構成の一例を示す。
【図12】本発明の第5の実施形態における半田付け構造の構成の一例を示す。
【図13】本発明の第6の実施形態における実装構造の構成の一例を示す。
【図14】本発明の第6の実施形態における実装構造が備える半導体レーザの構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。しかしながら、係る形態は本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態における半田付け構造について、図4を用いて説明する。
【0021】
本実施形態における半田付け構造10は、発光領域を有する半導体レーザを実装可能な構造であり、電極11と、第一の半田12と、第二の半田13と、を備える。
【0022】
なお、発光領域とは、半導体レーザの活性層に含まれる領域であり、活性層内で電流及び光が部分的に閉じ込められることによってレーザ光を発光する領域を示す。
【0023】
第一の半田12は電極11の第一領域14に形成される。第一領域14とは、電極11の表面のうち、半田付け構造10に半導体レーザが実装された場合に、半導体レーザの発光領域の直下に位置する領域である。
【0024】
第二の半田13は、電極11の第二領域15に形成される。第二領域15とは、電極11の表面のうち、第一領域14を除いた領域である。
【0025】
また、第一の半田12の引張強度は、第二の半田13の引張強度よりも小さい。そして、第一の半田12と第二の半田13とは、電極11に半導体レーザが実装された状態において、互いに接触しないように形成される。
【0026】
なお、半田等の金属の引張強度は、金属の硬さと相関性があることが分かっている。具体的には、半田の引張強度が高いほど、ビッカース硬さの数値が高い半田、すなわち硬い半田であることが知られている。また、半田の引張強度が低いほど、ビッカース硬さの数値が低い半田、すなわち柔らかい半田であることが知られている。以下、「引張強度が大きい半田」とは、「硬い半田」を示し、「引張強度が小さい半田」とは、「柔らかい半田」を示すこととする。また、引張強度は、例えば、JIS Z2241規格の「金属材料引張試験方法」に定める方法に従って測定される。
【0027】
次に、本実施形態における半田付け構造10の製造方法について述べる。
【0028】
初めに、電極11の第二領域15に第二の半田13を形成する。次に、電極11の第一領域14に第一の半田12を形成する。以上のようにして、本実施形態における半田付け構造10が形成される。
【0029】
なお、半田付け構造10に半導体レーザ60を実装した後の構造を図5に示す。図5(a)は、実装構造の外観を示す。図5(b)は、線B−B´における断面図を示す。なお、半導体レーザ60の実装は、第一の半田12の融点以上かつ第二の半田13の融点以上の温度で行われる。図5(b)に示すように、半導体レーザ60の発光領域61の直下の領域である第一領域14における電極11は、第一の半田12を介して、半導体レーザ60と接合している。また、第二領域15における電極11は、第二の半田13を介して、半導体レーザ60と接合している。そして、第一の半田12と第二の半田13とは、半導体レーザ60が実装された状態において、互いに接触していないことが分かる。
【0030】
以上のように、本実施形態における半田付け構造は、半導体レーザを実装した場合において、半導体レーザの発光領域の直下となる領域に、第二の半田13と比較して引張強度が小さい第一の半田12が形成される。そのため、電極11に形成する半田を全て第二の半田13とした場合と比較して、半導体レーザを実装した場合に発光領域にかかる応力を低減することができる。
【0031】
また、第二領域15には第二の半田13が形成される。ここで、引張強度が高い半田ほど、実装する半導体レーザとの接合強度は高くなる。そのため、電極11の表面のうち、第一領域14を除いた第二領域15には第二の半田13を形成することで、電極11に形成する半田を全て第一の半田12とした場合と比較して、高い接合強度を確保することができる。
【0032】
更に、本実施形態の半田付け構造10は、半導体レーザを実装した場合において、第一の半田12と第二の半田13とが互いに接触しない構造とした。そのため、半導体レーザの発光領域に対する応力低減の効果及び半導体レーザとの接合強度を損なうことなく、半導体レーザを実装することが可能となる。
【0033】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態における半田付け構造について述べる。
【0034】
一般的に、半導体レーザの実装に用いられる半田としては、AuSnが用いられることが多い。これはAuSnの融点が、半導体レーザの実装以外の工程で使用される半田の融点よりも高いからである。すなわち、半導体レーザの実装以外の半田付け工程における、AuSnの溶融および形状変化を防ぐことが可能となる。また、融点が高いことに加えて、AuSnからなる半田は接合強度が強く、接合の長期信頼性を確保できるという長所を持つ。しかしながら、AuSnからなる半田のような引張強度の大きい、すなわち硬い半田を用いた場合、上述したように、半導体レーザの実装後、半導体レーザの発光領域に強い応力を与えることとなる。
【0035】
一方、AuSnからなる半田の代わりに、引張強度の小さい、すなわち柔らかい半田を使用すれば、半導体レーザの発光領域にかかる応力が低減できると考えられる。しかし、一般的に、柔らかい半田は融点が低く、接合強度が低い場合が多い。そのため、引張強度の小さい半田のみによって半導体レーザを実装することは非常に困難である。
【0036】
そこで、本実施形態における半田付け構造20は、半導体レーザを実装した場合に、発光領域の直下の位置となる領域に形成される半田には、AuSnよりも引張強度が小さいSnSbを用いることとする。一方、半導体レーザを実装した場合に、レーザ側電極の直下の位置となる領域に形成される半田には、AuSnを用いることとする。
【0037】
本実施形態の半田付け構造20を、図6に示す。図6(a)は、半田付け構造20を斜め上方向から見た図であり、図6(b)は、図6(a)に示す半田付け構造20を上面から見た図である。なお、図6(b)の点線で示す円は、半田付け構造20に半導体レーザを実装する際に、それぞれの半田が濡れ広がる範囲を示す。
【0038】
本実施形態における半田付け構造20は、レーザ側電極と発光領域とを有する半導体レーザを実装可能な構造であり、基板21と、電極22と、第一の半田23と、第二の半田24と、台座25と、を備える。
【0039】
電極22は、基板21上に形成される。電極22は、第一の半田23及び第二の半田24が濡れる金属、例えばAuからなる。
【0040】
第一の半田23は、電極22の第一領域26に形成される。第一領域26とは、電極22の表面のうち、半田付け構造20に半導体レーザが実装された場合に、半導体レーザの発光領域の直下に位置する領域である。
【0041】
第二の半田24は、電極22の第二領域27に形成される。第二領域27とは、電極22の表面のうち、第一領域26を除いた領域である。
【0042】
また、第一の半田23の引張強度は、第二の半田24の引張強度よりも小さい。本実施形態における第一の半田23は、SnSbを材料とする半田を用いる。また、第二の半田24は、AuSnを材料とする半田を用いる。
【0043】
また、本実施形態においては、第一領域26と第二領域27との間に、第三領域28が形成される。第三領域28は、第一の半田23及び第二の半田24が、第一の領域26及び第二の領域27と比較して、濡れにくい領域である。ここで、半田の濡れやすさは、定量的には、例えば、図7に示すように、液体の半田が母材に接触した時の角度θで表す。なお、θは、半田と母材、フラックスの界面張力等が影響し合って決まる。そして、半田Bのように、θが小さい程、半田が「濡れやすい」ことを示す。そして、半田Aのように、θが大きい程、半田が「濡れにくい」ことを示す。
【0044】
本実施形態においては、第三領域28は、電極22が形成されず、基板21が露出した面であることとする。基板21は、例えばシリコン基板であり、電極22と比較して半田が濡れにくい材料から形成される。そのため、第一領域26及び第二領域27に形成された第一の半田23及び第二の半田24は、第三の領域28に濡れ広がりにくい。これにより、半田付け構造20に半導体レーザを実装した場合、第一の半田23と第二の半田24とが接触することを防止することができる。
【0045】
そのため、本実施形態の半田付け構造20は、第一の実施形態と同様、半導体レーザの発光領域に対する応力低減の効果及び半導体レーザとの接合強度を損なうことなく、半導体レーザを実装することが可能となる。
【0046】
なお、図6に示した電極22の形状や半田の数は、本実施形態における半田付け構造の一例に過ぎず、適宜変更可能である。例えば、電極22の形状を、次に述べる図8に示すような形状としても良い。また、半田の数についても、図8に示すように、第一の半田23を2以上設けることとしても良い。
【0047】
次に、本実施形態における半田付け構造の製造方法の一例を、図8を用いて説明する。
【0048】
初めに、基板21にフォトリソグラフィによってフォトレジスト膜をパターニングした後、エッチングによって台座25を形成する(図8(a))。台座25は、半田付け構造20に半導体レーザを実装するための台座である。
【0049】
次に、電極22のパターニングを行い、第一領域26と第二領域27に電極22を形成する(図8(b))。この時、第一領域26と第二領域27との間に形成される第三領域28には、電極22が形成されないようにする。すなわち、第三領域28は、基板21が露出した面となる。
【0050】
次に、第二領域27に、第二の半田24を形成する。第二の半田24は、例えば、半田のシートの一部をポンチによって打ち抜くことで形成される。この時、第二の半田24の縁にはバリが形成されることがある。バリとは、材料を切ったり削ったりした際に、材料の角にできるトゲ状の出っ張りのことである。そして、バリが形成された状態で、半田付け構造20に半導体レーザなどの電子部品を実装すると、バリが該電子部品を損壊させる可能性がある。そのため、第二の半田24に形成されたバリは除去する必要がある。
【0051】
バリを除去する方法としては、例えば、第二の半田24を、第二の半田24の融点以上の温度まで加熱して柔らかくする。そして、平らな面を有する物体の該平らな面を上から押し付けることで、バリを除去する。そして、このようにバリを除去する工程を、半田の成形と呼ぶ。なお、成形を行う際、第二の半田24は、台座25の高さと一致する高さまで押え付けられる。そのため、第二の半田24の成形後は、第二の半田24と台座25の高さは同じとなる(図8(c))。
【0052】
次に、第一領域26に、第一の半田23を形成する。この時、第二の半田24と同様、第一の半田23の縁にはバリが形成されることがある。そのため、第一の半田23の融点以上かつ第二の半田24の融点以下の温度で、第一の半田23の成形を行う(図8(d))。なお、第一の半田23の材料であるSnSbの融点は、第二の半田24の材料であるAuSnの融点よりも低い。
【0053】
以上のようにして、本実施形態における半田付け構造20が形成される。
【0054】
そして、半田付け構造20に半導体レーザを実装する場合には、第一の半田23と第二の半田24との融点以上の温度で実装が行われる。これにより、半導体レーザの実装時には、第一の半田23と第二の半田24は溶融する。
【0055】
本実施形態における半田付け構造20に、半導体レーザ70を実装した後の実装構造を図9に示す。図9(a)は、実装構造の外観を示す。図9(b)は、線C−C´における断面図を示す。図9(b)に示すように、半導体レーザ70の発光領域71の直下となる第一領域26における電極22は、第二の半田24と比較して引張強度の小さい第一の半田23を介して、半導体レーザ70と接合している。そのため、発光領域71にかかる応力を低減することができる。また、第二領域27における電極22は、第一の半田23と比較して引張強度の大きい第二の半田24を介して、レーザ側電極72と接合している。そのため、電極同士の接合強度は十分に確保される。
【0056】
また、図9(b)に示すように、第一の半田23と第二の半田24は、半田付け構造20に半導体レーザ70を実装した状態においても、互いに接触しない。これは、第一の半田23が形成される第一領域26と、第二の半田24が形成される第二領域27との間に、第一領域26と第二領域27と比較して半田が濡れ広がりにくい第三領域28が形成されているためである。そのため、半導体レーザの発光領域に対する応力低減の効果及び半導体レーザとの接合強度を損なうことがない。
【0057】
更に、第一の半田23として、放熱特性の良い半田を用いることとすれば、図9に示す実装構造は、高放熱特性をも実現することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態においては、第三領域28は、基板21が露出した面とした。そのため、製造工程において、第三領域28を形成するための追加工程は必要ない。すなわち、電極22のパターニングの際に、第三領域28に電極22が形成されないよう、パターニングを行えば良い。そのため、製造工程を複雑化することはなく、第三領域28を形成することができる。
【0059】
また、本実施形態においては、第一の半田23及び第二の半田24は第三領域28を避けて濡れ広がることになるため、第三領域28を形成しない場合と比較して濡れ広がる領域は変化する。例えば、図6(b)においては、第一の半田23及び第二の半田24がそれぞれ、第三領域28を避けて、楕円状に濡れ広がることが分かる。この場合、第三領域28を避けるためにX方向への濡れ広がりが抑制された分、Y方向に多めに濡れ広がったということになる。しかし、濡れ広がる面積自体は、第三領域28を形成しなかった場合と比較して、ほとんど変わらない。そのため、半田が濡れ広がる面積が低減することによる、接合強度の低下や放熱特性の低下が生じることもない。
【0060】
なお、本実施形態においては、第一の半田23はSnSbを材料とし、第二の半田24はAuSnを材料とすることとしたが、これに限らない。すなわち、第一領域26に形成される半田を、第二領域27に形成される半田よりも引張強度が小さい半田とすることで、本実施形態の効果が得られる。
【0061】
なお、金属は一般的に、硬いほど、すなわち引張強度が高いほど、融点も高くなる。そのため、第一の半田23の融点は、第二の半田24の融点よりも低い場合が多い。本実施形態においても、第一の半田23の材料であるSnSbは、第二の半田24の材料であるAuSnよりも融点が低い。しかしながら、材料によっては、第一の半田23の融点が第二の半田24の融点よりも高い場合も有り得る。この場合には、第一の半田23と第二の半田24との形成順序を逆にする必要がある。すなわち、第一の半田23を形成した後、第二の半田24の融点以上かつ第一の半田23の融点以下の温度で、第二の半田24を形成する必要がある。
【0062】
また、本実施形態においては、第三領域28は基板21が露出した面であるとしたが、これに限らない。例えば、第三領域28には、SiOなどの誘電体からなる膜を形成することとしても良い。これにより、第三領域28を、基板21が露出した面とする場合と同様、第一の半田23と第二の半田24とが、互いに接触することを防止することができる。あるいは、第三領域28には、電極22と比較して、半田が濡れ広がりにくい材料からなる電極を形成することとしても良い。半田の濡れ性は、その半田の材料によっても多少異なるが、一般的に、TiやNiなどの金属は濡れにくい。そのため、第三領域28には、TiやNiからなる電極を形成することとしても良い。
【0063】
なお、上述した通り、半田の数については、図6や図8に示したものに限らない。しかしながら、半田の大きさや数を決定する際には、次のような点を考慮する必要がある。すなわち、半導体レーザの発光領域から発生する熱を排熱するため、発光領域の直下に位置する半田の数は多い方が望ましい。一方で、発光領域に与える応力の低減を考慮すると、発光領域の直下に位置する半田の数は少ない方が望ましい。すなわち、放熱特性の向上と応力の低減とはトレードオフの関係にある。そのため、実際の実装においては、発光領域から発生する熱の大きさ等を考慮して、適宜設計する必要がある。また、半導体レーザを実装後、半田が電極から漏れ出ることのないように、半田の数、大きさを調整することが望ましい。
【0064】
なお、図8における電極22は、スリットによって3つに分断されているが、これに限らない。例えば、電極22のうち、第一の半田23及び第二の半田24が濡れ広がらない領域においては、電極は分断されずに、連続して形成されていても構わない。すなわち、電極のうち、半田が濡れ広がる領域部分にのみ、第三領域28を形成することとしても良い。このように、第三領域28を形成する領域を半田が濡れ広がる領域のみとすることで、第一の半田23と第二の半田24とが接触することを防止しつつ、且つ、実装する半導体レーザとの電気的な接続を良好にすることが可能となる。
【0065】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態における半田付け構造について述べる。
【0066】
本実施形態における半田付け構造30を、図10に示す。図10(a)は、半田付け構造30を斜め上方向から見た図であり、図10(b)は、図10(a)に示す半田付け構造30を上面から見た図である。なお、図10(b)の点線で示す円は、半田付け構造30に半導体レーザを実装する際に、それぞれの半田が濡れ広がる範囲を示す。
【0067】
半田付け構造30は、レーザ側電極と発光領域とを有する半導体レーザを実装可能な構造であり、基板31と、電極32と、第一の半田33と、第二の半田34と、台座35と、を備える。
【0068】
電極32は、基板31上に形成される。電極32は、第一の半田33及び第二の半田34が濡れる金属、例えばAuからなる。
【0069】
第一の半田33は、電極32の第一領域36に形成される。第一領域36とは、電極32の表面のうち、半田付け構造30に半導体レーザが実装された場合に、半導体レーザの発光領域の直下に位置する領域である。
【0070】
第二の半田34は、電極32の第二領域37に形成される。第二領域37とは、電極32の表面のうち、第一領域36を除いた領域である。
【0071】
台座35は、半田付け構造30に半導体レーザを実装するための台座である。
【0072】
また、第一の半田33の引張強度は、第二の半田34の引張強度よりも小さい。本実施形態における第一の半田33は、SnSbを材料とする半田を用いる。また、第二の半田34は、AuSnを材料とする半田を用いる。
【0073】
また、本実施形態における第一の半田33と第二の半田34とは、半導体レーザが実装された後においても互いに接触しない程度に離れている。すなわち、第一の半田33と第二の半田34とは、半導体レーザが実装された状態において、互いに接触しない。
【0074】
なお、第一の半田33と第二の半田34との間の距離を確保するために、第一の半田33と第二の半田34の大きさを調整することとしても良い。すなわち、本実施形態においては、図10に示すように、第一の半田33と第二の半田34の大きさを、図6に示す半田と比較して小さくすることとしても良い。あるいは、半田の大きさではなく、半田の数や位置を調整することで、第一の半田33と第二の半田34とが所定の距離以上離れるようにすることとしても良い。
【0075】
そして、本実施形態における半田付け構造30に半導体レーザを実装した場合、第2の実施形態と同様に、半導体レーザの発光領域の直下となる第一領域36における電極32は、第二の半田34と比較して引張強度の小さい第一の半田33を介して、半導体レーザと接合する。そのため、発光領域にかかる応力を低減することができる。また、第二領域37における電極32は、第一の半田33と比較して引張強度の大きい第二の半田34を介して、レーザ側電極と接合する。そのため、電極同士の接合強度は十分に確保される。
【0076】
更に、第一の半田33と第二の半田34は、半田付け構造30に半導体レーザを実装した状態においても、互いに接触しない。これにより、本実施形態の半田付け構造30は、第1の実施形態と同様、半導体レーザの発光領域に対する応力低減の効果及び半導体レーザとの接合強度を損なうことなく、半導体レーザを実装することが可能となる。
【0077】
なお、本実施形態における半田付け構造30の製造方法は、電極のパターニングの際に第三領域を設けないこと、及び第一の半田と第二の半田との距離を調整することを除けば、第2の実施形態における半田付け構造20の製造方法と同様である。
【0078】
すなわち、本実施形態においても、第2の実施形態と同様、製造工程を複雑化することはなく、半導体レーザを実装した場合において、第一の半田33と第二の半田34とが接触することを防ぐことができる。
【0079】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態における半田付け構造について述べる。
【0080】
本実施形態における半田付け構造40を図11に示す。半田付け構造40は、レーザ側電極と発光領域とを有する半導体レーザを実装可能な構造であり、基板41と、電極42と、第一の半田43と、第二の半田44と、台座45と、保護膜48と、を備える。
【0081】
電極42は、基板41上に形成される。電極42は、第一の半田43及び第二の半田44が濡れる金属、例えばAuからなる。
【0082】
第一の半田43は、電極42の第一領域46に形成される。第一領域46とは、電極42の表面のうち、半田付け構造40に半導体レーザが実装された場合に、半導体レーザの発光領域の直下に位置する領域である。
【0083】
第二の半田44は、電極42の第二領域47に形成される。第二領域47とは、電極42の表面のうち、第一領域46を除いた領域である。
【0084】
台座45は、半田付け構造40に半導体レーザを実装するための台座である。
【0085】
保護膜48は、第一の半田43と第二の半田44とが接触することを防止する保護膜であり、例えば、SiOなどの誘電体からなる保護膜である。誘電体は、半田が濡れないという性質に加え、半田と合金化しないため、半田を透過させない性質を有する。そのため、本実施形態における保護膜の材料に適している。保護膜48は、第二の半田44の側面に形成される。
【0086】
また、第一の半田43の引張強度は、第二の半田44の引張強度よりも小さい。本実施形態における第一の半田43は、SnSbを材料とする半田を用いる。また、第二の半田44は、AuSnを材料とする半田を用いる。
【0087】
本実施形態においては、第二の半田44の側面に、保護膜48が形成されている。そのため、半田付け構造40に半導体レーザを実装する際の、第二の半田44の濡れ広がりを抑制することができる。これにより、第一の半田43と第二の半田44とが、半導体レーザを実装した場合において、互いに接触することを防止することができる。
【0088】
また、第一の半田43が濡れ広がることにより、第一の半田43が第二領域47まで到達し、保護膜48と接触した場合においても、保護膜48によって、第一の半田43と第二の半田44とが混ざり合うことを防止することができる。
【0089】
次に、本実施形態の半田付け構造40の製造方法について述べる。半田付け構造40の製造方法のうち、第一の半田及び第二の半田を成形するまでの工程については、第三領域を形成しないことを除き、第2の実施形態で述べた製造方法と同様である。
【0090】
次に、保護膜48の形成工程について説明する。なお、保護膜48はSiOからなる保護膜であるとする。
【0091】
第一の半田43と第二の半田44とが成形された後、保護膜48を形成する必要のない領域に、マスクを行う。このマスクとは、保護膜48の材料であるSiOが付着することを防ぐためのレジストとして使用する樹脂膜である。保護膜48を形成する必要のない領域とは、例えば、台座45の上面等である。
【0092】
次に、マスクがされていない第二の半田44に、スパッタによりSiOを付着させる。これにより、第二の半田44の外表面にSiO膜が形成される。その後、第二の半田44の上面(Z方向)から、イオンエッチング等によってSiO膜を除去する。この時、イオンは第二の半田44の上面に対して垂直方向に当たるため、第二の半田44の側面のSiO膜は除去されない。以上のようにして、第二の半田44の側面に、保護膜48が形成される。
【0093】
なお、保護膜48が形成されると、保護膜48が形成された半田の成形が困難になる。すなわち、保護膜48が形成されると、半田の上面に形成されるバリを除去する工程が困難になる。そのため、半田の成形後に保護膜48を形成することが望ましい。
【0094】
そして、本実施形態における半田付け構造40に半導体レーザを実装した場合、第2の実施形態と同様に、半導体レーザの発光領域の直下となる第一領域46における電極42は、第二の半田44と比較して引張強度の小さい第一の半田43を介して、半導体レーザと接合する。また、第二領域47における電極42は、第一の半田43と比較して引張強度の大きい第二の半田44を介して、レーザ側電極と接合する。更に、第一の半田43と第二の半田44は、半田付け構造40に半導体レーザを実装した状態においても、互いに接触しない。そのため、本実施形態の半田付け構造40は、第1の実施形態と同様、半導体レーザの発光領域に対する応力低減の効果及び半導体レーザとの接合強度を損なうことなく、半導体レーザを実装することが可能となる。
【0095】
なお、本実施形態においては、第二の半田44の側面に保護膜48を形成することとしたが、これに限らない。すなわち、第一の半田43の側面に保護膜を形成することとしても良い。あるいは、第一の半田43と第二の半田44のいずれにも、保護膜を形成することとしても良い。
【0096】
また、本実施形態においては、保護膜48の材料としてSiOなどの誘電体を挙げたが、これに限らない。例えば、Si等の半導体を用いることとしても良い。あるいは、金属の中でも、半田に対する濡れ性及び拡散係数が低い金属であれば、本実施形態における保護膜として用いることも可能である。
【0097】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態における半田付け構造について述べる。
【0098】
本実施形態における半田付け構造50を図12に示す。半田付け構造50は、レーザ側電極と発光領域とを有する半導体レーザを実装可能な構造であり、基板51と、電極52と、第一の半田53と、第二の半田54と、台座55と、を備える。
【0099】
電極52は、基板51上に形成される。電極52は、第一の半田53及び第二の半田54が濡れる金属、例えばAuからなる。
【0100】
第一の半田53は、電極52の第一領域56に形成される。第一領域56とは、電極52の表面のうち、半田付け構造50に半導体レーザが実装された場合に、半導体レーザの発光領域の直下に位置する領域である。
【0101】
第二の半田54は、電極52の第二領域57に形成される。第二領域57とは、電極52の表面のうち、第一領域56を除いた領域である。
【0102】
台座55は、半田付け構造50に半導体レーザを実装するための台座であり、第一の半田53と第二の半田54との間に形成される。
【0103】
また、第一の半田53の引張強度は、第二の半田54の引張強度よりも小さい。本実施形態における第一の半田53は、SnSbを材料とする半田を用いる。また、第二の半田54は、AuSnを材料とする半田を用いる。
【0104】
本実施形態においては、第一の半田53と第二の半田54との間に台座55が形成されている。そのため、半田付け構造50に半導体レーザを実装した場合において、第一の半田53と第二の半田54とは、互いに接触しない。これにより、上述した各実施形態と同様に、半導体レーザの発光領域に対する応力低減の効果及び半導体レーザとの接合強度を損なうことなく、半導体レーザを実装することが可能となる。
【0105】
なお、本実施形態における半田付け構造50の製造方法は、電極のパターニングの際に第三領域を設けないこと、及び、台座の形成位置を第一の半田53と第二の半田54との間とすることを除けば、第2の実施形態における製造方法と同様である。
【0106】
すなわち、本実施形態においても、第2の実施形態と同様、製造工程を複雑化することはなく、半導体レーザを実装した場合において、第一の半田53と第二の半田54とが接触することを防ぐことができる。
【0107】
また、本実施形態においては、第一の半田53及び第二の半田54は台座55を避けて濡れ広がることになるため、第一の半田53と第二の半田54との間に台座55を形成しない場合と比較して濡れ広がる領域は変化する場合がある。すなわち、第2の実施形態と同様、第一の半田53と第二の半田54はそれぞれ楕円状に濡れ広がる場合がある。しかし、濡れ広がる面積自体は、第一の半田53と第二の半田54との間に台座を形成しなかった場合と比較して、ほとんど変わらない。そのため、半田が濡れ広がる面積が低減することによる、接合強度の低下や放熱特性の低下が生じることもない。
【0108】
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態における実装構造について述べる。
【0109】
本実施形態における実装構造100を図13に示す。図13(a)は、実装構造100の外観を示す。なお、図13(a)には、半導体レーザを実装する前の状態を示す。実装構造100は、第1の実施形態に示す半田付け構造10を備える平面光回路(PLC:planar lightwave circuit)101と、半導体レーザ102と、を備える。
【0110】
平面光回路101は、PLC基板103と、半田付け構造10と、積層構造104と、を備える。積層構造104には、導波路が含まれる。積層構造104に含まれる導波路は、半導体で形成されることとしても良い。あるいは、誘電体によって形成されることとしても良い。
【0111】
半導体レーザ102は、発光領域105と、レーザ側電極106と、を備える。半導体レーザ102の構造の一例を図14に示す。図14に示すように、半導体レーザ102の上面には、窪み107が形成されることで、メサトップ108が形成されている。発光領域105は、半導体レーザ102の活性層のうち、このメサトップ108の直下に位置する領域に形成される。なお、図14においては、半導体レーザ102のうち、平面光回路101に実装する際に半田付け構造10と対向する面を、上面として記載している。すなわち、実装の際には、メサトップ108が形成された面が、半田付け構造10と対向して接合されることになる。
【0112】
積層構造104は、PLC基板103の一部に形成される。半田付け構造10は、PLC基板103のうち、積層構造104が形成されていない領域に形成される。なお、半導体レーザ102から出射する光は、積層構造104の導波路と結合する。
【0113】
半導体レーザ102は、平面光回路101のうち、半田付け構造10が形成されている領域に実装される。
【0114】
図13(b)は、図13(a)に示す半導体レーザ102を、矢印の方向に下ろして平面光回路101に実装した後における、線D−D´の断面図を示す。本実施形態における実装構造100においては、半導体レーザ102の発光領域105の直下の領域における電極11は、第二の半田13と比較して引張強度の小さい第一の半田12を介して、半導体レーザ102と接合する。そのため、電極11に形成する半田を全て第二の半田13とした場合と比較して、発光領域105にかかる応力を低減することができる。また、半導体レーザ102の発光領域105の直下の領域を除いた領域における電極11は、第一の半田12と比較して引張強度の大きい第二の半田13を介して、レーザ側電極106と接合される。そのため、電極11に形成する半田を全て第一の半田12とした場合と比較して、高い接合強度を確保することができる。更に、第一の半田12と第二の半田13とは、互いに接触していない。そのため、半導体レーザ102の発光領域105に対する応力低減の効果及び半導体レーザ102との接合強度を損なうことがない。
【0115】
以上のように、本実施形態における実装構造100は、半導体レーザ102の発光領域105に対する応力をより低減し、且つ、半導体レーザ102との接合強度を確保できる。
【0116】
なお、本実施形態における平面光回路101は、半田付け構造10を備えることとしたが、これに限らない。すなわち、平面光回路101は、半田付け構造10に代えて、第2の実施形態乃至第5の実施形態における半田付け構造20、30、40、又は50を備えることとしても良い。
【0117】
また、本実施形態における実装構造は、平面光回路101と半導体レーザ102の実装構造としたが、これに限らない。すなわち、半導体レーザ102が実装されるのは、半田付け構造10を備える他の電子部品、例えばヒートシンクであっても良い。このような場合でも、実装する半導体レーザの発光領域に対する応力をより低減し、且つ、半導体レーザとの接合強度を確保できるという、本実施形態の効果を奏することができる。
【0118】
なお、上記各実施形態に記載した構成は、それぞれ、適宜組み合わせることも可能である。例えば、第一の半田と第二の半田との間に台座を形成し、且つ、第一の半田及び第二の半田の少なくともいずれか一方の側面に保護膜を形成することとしても良い。あるいは、第一の半田と第二の半田との間の領域に基板が露出した領域を設けた上で、第一の半田及び第二の半田の少なくともいずれか一方の側面に保護膜を形成することとしても良い。
【0119】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0120】
(付記1)発光領域を有する半導体レーザを実装可能な半田付け構造であって、第一の電極と、前記第一の電極の第一領域に形成された第一の半田と、前記第一の電極の第二領域に形成された第二の半田と、を有し、前記第一領域は、前記第一の電極の表面のうち、前記半田付け構造に前記半導体レーザが実装された場合に、前記発光領域の直下に位置する領域であり、前記第二領域は、前記第一の電極の表面のうち、前記第一の領域を除いた領域であり、前記第一の半田の引張強度は、前記第二の半田の引張強度よりも小さく、前記第一の半田と前記第二の半田とは、前記半田付け構造に前記半導体レーザが実装された状態において、互いに接触しないことを特徴とする、半田付け構造。
【0121】
(付記2)前記第一の半田と前記第二の半田との間には、前記第一の電極と比較して、前記第一の半田及び前記第二の半田が濡れにくい領域である第三領域が形成されていることを特徴とする付記1に記載の半田付け構造。
【0122】
(付記3)基板を更に有し、前記第一の電極は、前記基板上に形成され、前記第三領域は、前記基板が露出した領域であることを特徴とする付記2に記載の半田付け構造。
【0123】
(付記4)前記第三領域は、前記第一の電極とは異なる材料から形成された第二の電極の表面であることを特徴とする付記2に記載の半田付け構造。
【0124】
(付記5)前記第一の半田と前記第二の半田とは、所定の距離以上離れていることを特徴とする付記1乃至4の何れか一つに記載の半田付け構造。
【0125】
(付記6)前記第一の半田または前記第二の半田のうち少なくとも一方の側面には、前記第一の半田と前記第二の半田とが接触することを防止する保護膜が形成されていることを特徴とする付記1乃至5の何れか一つに記載の半田付け構造。
【0126】
(付記7)前記保護膜は、誘電体材料から形成されることを特徴とする、付記6に記載の半田付け構造。
【0127】
(付記8)前記第一の半田と前記第二の半田との間には、台座が形成されていることを特徴とする付記1乃至7の何れか一つに記載の半田付け構造。
【0128】
(付記9)前記第一の電極は、平面光回路の基板上に形成された電極であることを特徴とする、付記1乃至8の何れか一つに記載の半田付け構造。
【0129】
(付記10)付記1乃至付記9の何れか一つに記載の半田付け構造に、前記半導体レーザを実装した実装構造。
【0130】
(付記11)前記半導体レーザは、第三の電極を有し、前記第三の電極と、前記第一の電極とは、前記第二の半田を介して接合されることを特徴とする、付記10に記載の実装構造。
【0131】
(付記12)発光領域を有する半導体レーザを実装可能な半田付け構造の製造方法であって、第一の電極を形成する工程と、前記第一の電極の第一領域に第一の半田を形成する工程と、前記第一の電極の第二領域に第二の半田を形成する工程と、を備え、前記第一領域は、前記第一の電極の表面のうち、前記半田付け構造に前記半導体レーザが実装された場合に、前記発光領域の直下に位置する領域であり、前記第二領域は、前記第一の電極の表面のうち、前記第一の領域を除いた領域であり、前記第一の半田の引張強度は、前記第二の半田の引張強度よりも小さく、前記第一の半田と前記第二の半田とは、前記半田付け構造に前記半導体レーザが実装された状態において、互いに接触しないことを特徴とする、半田付け構造の製造方法。
【0132】
(付記13)前記第一の半田と前記第二の半田との間に、前記第一の電極と比較して、前記第一の半田及び前記第二の半田が濡れにくい領域である第三領域を形成する工程を更に備えることを特徴とする付記12に記載の半田付け構造の製造方法。
【0133】
(付記14)基板上に前記第一の電極を形成する工程を更に備え、前記第三領域は、前記基板が露出した領域であることを特徴とする付記13に記載の半田付け構造の製造方法。
【0134】
(付記15)前記第三領域は、前記第一の電極とは異なる材料から形成された第二の電極の表面であることを特徴とする付記13に記載の半田付け構造の製造方法。
【0135】
(付記16)前記第一の半田と前記第二の半田とは、所定の距離以上離れていることを特徴とする付記12乃至15の何れか一つに記載の半田付け構造の製造方法。
【0136】
(付記17)前記第一の半田または前記第二の半田のうち少なくとも一方の側面に、前記第一の半田と前記第二の半田とが接触することを防止する保護膜を形成する工程を更に備えることを特徴とする付記12乃至16の何れか一つに記載の半田付け構造の製造方法。
【0137】
(付記18)前記保護膜は、誘電体材料から形成されることを特徴とする、付記17に記載の半田付け構造の製造方法。
【0138】
(付記19)前記第一の半田と前記第二の半田との間に、台座を形成する工程と更に備えることを特徴とする付記12乃至18の何れか一つに記載の半田付け構造の製造方法。
【0139】
(付記20)前記第一の電極は、平面光回路の基板上に形成された電極であることを特徴とする、付記11乃至19の何れか一つに記載の半田付け構造の製造方法。
【0140】
(付記21)付記1乃至付記9の何れか一つに記載の半田付け構造に、前記半導体レーザを実装する工程を備える、実装方法。
【0141】
(付記22)前記半導体レーザは、第三の電極を有し、前記第三の電極と、前記第一の電極とは、前記第二の半田を介して接合されることを特徴とする、付記21に記載の実装方法。
【符号の説明】
【0142】
1、11、22、32、42、52 電極
2、25、35、45、55 台座
3 半田バンプ
4、60、70、102 半導体レーザ
5、61、71、105 発光領域
6 発光領域
7 低融点半田
8 高融点半田
10、20、30、40、50 半田付け構造
12、23、33、43、53 第一の半田
13、24、34、44、54 第二の半田
14、26、36、46、56 第一領域
15、27、37、47、57 第二領域
21、31、41、51 基板
28 第三領域
48 保護膜
72、106 レーザ側電極
100 実装構造
101 平面光回路
103 PLC基板
104 積層構造
107 窪み
108 メサトップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光領域を有する半導体レーザを実装可能な半田付け構造であって、
第一の電極と、
前記第一の電極の第一領域に形成された第一の半田と、
前記第一の電極の第二領域に形成された第二の半田と、を有し、
前記第一領域は、前記第一の電極の表面のうち、前記半田付け構造に前記半導体レーザが実装された場合に、前記発光領域の直下に位置する領域であり、
前記第二領域は、前記第一の電極の表面のうち、前記第一の領域を除いた領域であり、
前記第一の半田の引張強度は、前記第二の半田の引張強度よりも小さく、
前記第一の半田と前記第二の半田とは、前記半田付け構造に前記半導体レーザが実装された状態において、互いに接触しないことを特徴とする、半田付け構造。
【請求項2】
前記第一の半田と前記第二の半田との間には、前記第一の電極と比較して、前記第一の半田及び前記第二の半田が濡れにくい領域である第三領域が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半田付け構造。
【請求項3】
基板を更に有し、
前記第一の電極は、前記基板上に形成され、
前記第三領域は、前記基板が露出した領域であることを特徴とする請求項2に記載の半田付け構造。
【請求項4】
前記第三領域は、前記第一の電極とは異なる材料から形成された第二の電極の表面であることを特徴とする請求項2に記載の半田付け構造。
【請求項5】
前記第一の半田と前記第二の半田とは、所定の距離以上離れていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の半田付け構造。
【請求項6】
前記第一の半田または前記第二の半田のうち少なくとも一方の側面には、前記第一の半田と前記第二の半田とが接触することを防止する保護膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の半田付け構造。
【請求項7】
前記第一の半田と前記第二の半田との間には、台座が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の半田付け構造。
【請求項8】
前記第一の電極は、平面光回路の基板上に形成された電極であることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか一項に記載の半田付け構造。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の半田付け構造に、前記半導体レーザを実装した実装構造。
【請求項10】
前記半導体レーザは、第三の電極を有し、
前記第三の電極と、前記第一の電極とは、前記第二の半田を介して接合されていることを特徴とする、請求項9に記載の実装構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−89798(P2012−89798A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237608(P2010−237608)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】