説明

印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体

【課題】例えばシート状をなす印刷媒体上に第1のインクと第2のインクとを塗布し、その塗布面に対して加工を施す際の加工性に優れる印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体を提供すること。
【解決手段】本発明の印刷方法は、樹脂製の第1のインク1および第2のインク2を印刷媒体上に液滴として付与し、その後硬化して印刷媒体に印刷を施す方法である。この印刷方法では、第1のインク1は、延伸性に富むものであり、第2のインク2は、硬化した際のガラス転移点が、第1のインク1が硬化した際のガラス転移点よりも高いものである。そして、第1のインク1と第2のインク2とを印刷媒体上に付与する際には、第1のインク1の液滴が印刷媒体上に着弾してなる第1のドットD1と、第2のインク2の複数の液滴が印刷媒体上に着弾してなる複数の第2のドットD2とは接触するが、隣接する第2のドットD2同士は離間している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の内装部品としての速度計の表示部となる表示板には、基板と、基板上にインクを用いて印刷してなる印刷層とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。自動車の内装部品に用いられるインクとしては、一般的に、硬化時に延伸性が比較的高いものが用いられる。これは、真夏の炎天下での車内温度が50℃以上となることが理由の1つである。
しかしながら、単に延伸性が高いだけのインクを用いて印刷層を形成した場合、表示板に対し例えば絞り加工や抜き打ち等の機械加工を施すと、印刷層にひび割れや剥離が生じてしまい、表示板が使用不可能、すなわち、不良品となるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−343260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、例えばシート状をなす印刷媒体上に第1のインクと第2のインクとを塗布し、その塗布面に対して加工を施す際の加工性に優れる印刷方法および印刷装置と、第1のインクと第2のインクとで形成された印刷層に対して加工を施す際、その加工性に優れる印刷物と、第1のインクと第2のインクとで形成された印刷層に対して機械加工を施す際、その加工が良好に行なわれる成形体とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の印刷方法は、第1の重合開始剤および第1の重合性化合物を含有する第1のインクと、第2の重合開始剤および第2の重合性化合物を含有する第2のインクとを印刷媒体上に液滴として付与し、その後硬化して前記印刷媒体に印刷を施す印刷方法であって、
前記第1のインクは、該第1のインクを硬化させて厚さ5μmの膜としたとき、該膜を150℃の環境下で延伸させた際に70%以上延伸するものであり、
前記第2のインクは、該第2のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点が、前記第1のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点よりも高いものであり、
前記第1のインクと前記第2のインクとを前記印刷媒体上に付与する際、前記第1のインクの液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる第1のドットと、前記第2のインクの複数の液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる複数の第2のドットとは接触するが、隣接する前記第2のドット同士は離間するように、前記各液滴を付与することを特徴とする。
これにより、例えばシート状をなす印刷媒体上に第1のインクと第2のインクとを塗布し、その塗布面に対して加工を施す際の加工性に優れる。
【0006】
本発明の印刷方法では、前記印刷媒体上では、前記第1のインクの総量が前記第2のインクの総量よりも多いことが好ましい。
これにより、第1のインクが硬化したものの延伸性を、第2のインクが硬化したもので損なうのを確実に防止することができる。
本発明の印刷方法では、前記第1のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点は、100℃未満であり、前記第2のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点は、100℃以上であることが好ましい。
これにより、例えばシート状をなす印刷媒体上に第1のインクと第2のインクとを塗布し、その塗布面に対して加工を施す際の加工性に極めて優れる。
【0007】
本発明の印刷方法では、前記第1のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点と、前記第2のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点との差は、300℃以下であることが好ましい。
これにより、例えばシート状をなす印刷媒体上に第1のインクと第2のインクとを塗布し、その塗布面に対して加工を施す際の加工性に極めて優れる。
【0008】
本発明の印刷方法では、前記第1の重合性化合物の総質量のうち、単官能重合性化合物が65質量%以上であり、前記第2の重合性化合物の総質量のうち、多官能重合性化合物が50質量%以上であることが好ましい。
これにより、硬化後のインクで構成された部分が延伸性が富むものとなるとともに、例えば耐衝撃性、耐摩耗性(耐擦性)、耐傷性、耐溶剤性に優れたものにもなり、加工性がさらに向上する。
【0009】
本発明の印刷方法では、前記第1のインクと前記第2のインクとは、それぞれ、同一の波長の紫外線が照射されることにより硬化するものであることが好ましい。
これにより、第1のインクと第2のインクとを一括して硬化させることができる。
本発明の印刷方法では、前記第1のインクと前記第2のインクとは、それぞれ、紫外線が照射されることにより硬化するものであり、該紫外線の波長は、350nm以上450nm以下であることが好ましい。
これにより、第1のインクと第2のインクとを一括して容易かつ確実に硬化させることができる。
本発明の印刷方法では、前記第1のインクと前記第2のインクとは、それぞれ、常温での粘度が1mPa・s以上1000mPa・s以下のものであることが好ましい。
これにより、第1のインクと第2のインクとをそれぞれインクジェット方式で吐出した場合、その吐出が安定して行なわれる。
【0010】
本発明の印刷方法では、前記第1のインクの40℃の環境下での粘度をμ、前記第2のインクの40℃の環境下での粘度をμとしたとき、((μ−μ)/μ)×100=±10[%]を満足することが好ましい。
これにより、第1のインクと第2のインクとをそれぞれインクジェット方式で吐出した場合、その吐出がさらに安定して行なわれる。
【0011】
本発明の印刷方法では、前記第1のインクと前記第2のインクとは、それぞれ、常温での表面張力が5mN/m以上200mN/m以下のものであることが好ましい。
これにより、第1のインクと第2のインクとを同じ領域に塗布した場合、その領域での濡れ広がり方が同じような挙動を示し、各インクが均一に広がり、色むらが生じるのを防止することができる。
【0012】
本発明の印刷方法では、前記第1のインクの40℃での表面張力をf、前記第2のインクの40℃での表面張力をfとしたとき、((f−f)/f)×100=±10[%]を満足することが好ましい。
これにより、第1のインクと第2のインクとを同じ領域に塗布した場合、その領域での濡れ広がり方が同じような挙動を示し、各インクが均一に広がり、色むらが生じるのを確実に防止することができる。
【0013】
本発明の印刷方法では、前記第1のインクまたは前記第2のインクは、着色剤としての顔料を含有することが好ましい。
これにより、硬化後のインクで構成された部分が耐候性に優れ、色再現性に富む。
本発明の印刷方法では、前記第2のインクは、実質的に無色のものであることが好ましい。
これにより、第1のインクと第2のインクとが混合しても、第1のインクの本来の色に対する変色を抑制または防止することができる。
【0014】
本発明の印刷方法では、前記印刷媒体上の異なる複数の箇所では、前記第1のインクと前記第2のインクとの比率が一定であることが好ましい。
これにより、第1のインクに対する第2のインクの影響を一定にして、第1のインクの第2のインクによる極端な変色を確実に防止することができる。
本発明の印刷方法では、前記印刷媒体上の異なる複数の箇所では、前記第2のインクの量が一定であり、前記第1のインクの量が変化していることが好ましい。
これにより、印刷媒体に印刷された部分を所望の延伸性を有するものとすることができる。
【0015】
本発明の印刷装置は、第1の重合開始剤および第1の重合性化合物を含有する第1のインクと、第2の重合開始剤および第2の重合性化合物を含有する第2のインクとを印刷媒体上に液滴として付与し、その後硬化して前記印刷媒体に印刷を施す印刷装置であって、
前記第1のインクは、該第1のインクを硬化させて厚さ5μmの膜としたとき、該膜を150℃の環境下で延伸させた際に70%以上延伸するものであり、
前記第2のインクは、該第2のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点が、前記第1のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点よりも高いものであり、
前記第1のインクと前記第2のインクとを前記印刷媒体上に付与する際、前記第1のインクの液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる第1のドットと、前記第2のインクの複数の液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる複数の第2のドットとは接触するが、隣接する前記第2のドット同士は離間するように、前記各液滴を付与することを特徴とする。
これにより、例えばシート状をなす印刷媒体上に第1のインクと第2のインクとを塗布し、その塗布面に対して加工を施す際の加工性に優れる。
【0016】
本発明の印刷装置では、前記第1のインクを液滴として吐出する少なくとも1つの第1のノズルと、前記第2のインクを液滴として吐出する少なくとも1つの第2のノズルとを有する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドと前記印刷媒体とを相対的に往復動させる移動手段とを備え、
前記液滴吐出ヘッドは、前記第2のノズルが前記第1のノズルよりも進行方向後方に位置するよう構成され、進行した際に、前記印刷媒体上に前記第1のノズルから前記第1のインクを吐出して、さらに前記印刷媒体上の前記第1のインクの上に前記第2のノズルから第2のインクを吐出することが好ましい。
これにより、往路および復路のいずれの場合でも、第2のインクに先行して、第1のインクを確実に吐出して、第1のインク上に第2のインクを確実に重ねることができる。
【0017】
本発明の印刷装置では、前記第1のインクは、着色剤としての顔料を含有するものであり、
前記液滴吐出ヘッドは、前記顔料の色が互いに異なる複数の前記第1のインクをそれぞれ吐出し、前記液滴吐出ヘッドの進行方向に沿って配置された複数の前記第1のノズルと、
前記複数の第1のノズルに対し前記液滴吐出ヘッドの進行方向前方側と後方側とに配置された2つの前記第2のノズルとを有することが好ましい。
これにより、往路および復路のいずれの場合でも、第2のインクに先行して、第1のインクをより確実に吐出して、第1のインク上に第2のインクをより確実に重ねることができる。
【0018】
本発明の印刷装置では、前記印刷媒体の色、材質および該印刷媒体上で混合される前記第1のインクと前記第2のインクとで表示される表示色とを有する入力情報と、前記第1のインクと前記第2のインクとの混合比を有する出力情報との関係を示す検量線を有し、該検量線に基づいて、前記入力情報から前記出力情報を決定するよう構成されていることが好ましい。
これにより、印刷媒体上で印刷を施した部分での所望の色の再現性が可能となる。
【0019】
本発明の印刷物は、印刷媒体と、
第1の重合開始剤および第1の重合性化合物を含有する第1のインクと、第2の重合開始剤および第2の重合性化合物を含有する第2のインクとを印刷媒体上に液滴として付与し、その後硬化してなる印刷層とを有し、
前記第1のインクは、該第1のインクを硬化させて厚さ5μmの膜としたとき、該膜を150℃の環境下で延伸させた際に70%以上延伸するものであり、
前記第2のインクは、該第2のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点が、前記第1のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点よりも高いものであり、
前記第1のインクと前記第2のインクとを前記印刷媒体上に付与する際、前記第1のインクの液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる第1のドットと、前記第2のインクの複数の液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる複数の第2のドットとは接触するが、隣接する前記第2のドット同士は離間するように、前記各液滴を付与することを特徴とする。
これにより、第1のインクと第2のインクとで形成された印刷層に対して加工を施す際、その加工性に優れる。
【0020】
本発明の成形体は、印刷媒体と、第1の重合開始剤および第1の重合性化合物を含有する第1のインクと、第2の重合開始剤および第2の重合性化合物を含有する第2のインクとを印刷媒体上に液滴として付与し、その後硬化してなる印刷層とを有する印刷物に対して、機械加工を施してなる成形体であって、
前記第1のインクは、該第1のインクを硬化させて厚さ5μmの膜としたとき、該膜を150℃の環境下で延伸させた際に70%以上延伸するものであり、
前記第2のインクは、該第2のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点が、前記第1のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点よりも高いものであり、
前記第1のインクと前記第2のインクとが前記印刷媒体上に付与される際、前記第1のインクの液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる第1のドットと、前記第2のインクの複数の液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる複数の第2のドットとは接触するが、隣接する前記第2のドット同士は離間するように、前記各液滴が付与されたことを特徴とする。
これにより、第1のインクと第2のインクとで形成された印刷層に対して機械加工を施す際、その加工が良好に行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の印刷装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す印刷装置のキャリッジの概略構成を示す側面図である。
【図3】図1に示す印刷装置のキャリッジの概略構成を示す下面図である。
【図4】図1に示す印刷装置の液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図である。
【図5】第1のインクの特性を説明するための斜視図である。
【図6】第1のインクからなる膜、第2のインクからなる膜、第1のインクと第2のインクとの混合インクからなる膜の回復率(変位回復量/最大変位量)を示すグラフである。
【図7】本発明の印刷物を製造し、さらにそれから成形体を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【図8】本発明の印刷物を製造し、さらにそれから成形体を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【図9】本発明の印刷物を製造し、さらにそれから成形体を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【図10】本発明の印刷物を製造し、さらにそれから成形体を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【図11】本発明の印刷物を製造し、さらにそれから成形体を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【図12】本発明の印刷物を製造し、さらにそれから成形体を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【図13】本発明の印刷物を製造し、さらにそれから成形体を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【図14】本発明の印刷物を製造し、さらにそれから成形体を製造する工程を順に示す部分断面図である。
【図15】図1に示す印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態を示す平面図である。
【図16】本発明の印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態(第2実施形態)を示す平面図である。
【図17】本発明の印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態(第3実施形態)を示す平面図である。
【図18】本発明の印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態(第4実施形態)を示す平面図である。
【図19】本発明の印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態(第5実施形態)を示す平面図である。
【図20】本発明の印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態(第6実施形態)を示す平面図である。
【図21】本発明の印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態(第7実施形態)を示す平面図である。
【図22】本発明の印刷装置(第8実施形態)が記憶する検量線としてのテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の印刷装置の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す印刷装置のキャリッジの概略構成を示す側面図、図3は、図1に示す印刷装置のキャリッジの概略構成を示す下面図、図4は、図1に示す印刷装置の液滴吐出ヘッドの概略構成を示す図、図5は、第1のインクの特性を説明するための斜視図、図6は、第1のインクからなる膜、第2のインクからなる膜、第1のインクと第2のインクとの混合インクからなる膜の回復率(変位回復量/最大変位量)を示すグラフ、図7〜図14は、それぞれ、本発明の印刷物を製造し、さらにそれから成形体を製造する工程を順に示す部分断面図、図15は、図1に示す印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態を示す平面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1、図2、図4(b)、(c)、図5、図7〜図14中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図7〜図14中の左側を「左」、右側を「右」と言う。
【0023】
図1に示す印刷装置700は、インクセット10が装填され、その装填状態で、図13に示す印刷物100を製造する装置である。そして、この印刷物100は、図14に示す成形体200の母材となるものである。成形体200は、例えば、スピードメーター等の自動車の内装部品、電気製品の外装部品、お面、看板等として用いられる。
インクセット10は、Y(イエロー)の第1のインク1Yと、C(シアン)の第1のインク1Cと、M(マゼンタ)の第1のインク1Mと、K(黒)の第1のインク1Kと、W(無色透明)の第2のインク2aおよび2bとを備えている。なお、本実施形態では、第1のインク1Yは、タンク11Yに貯留され、第1のインク1Cは、タンク11Cに貯留され、第1のインク1Mは、タンク11Mに貯留され、第1のインク1Kは、タンク11Kに貯留され、第2のインク2aは、タンク11Waに貯留され、第2のインク2bは、タンク11Wbに貯留され、インクジェット方式で液滴Lとして吐出される。以下では、第1のインク1Y、1C、1M、1Kを区別しない場合は、単に「第1のインク1」と言うことがある。同様に、第2のインク2a、2bを区別しない場合は、単に「第2のインク2」と言うことがある。また、第1のインク1と第2のインク2とを区別しない場合は、単に「インク」と言うことがある。
【0024】
まず、印刷物100について説明する。
[印刷物]
図13に示すように、印刷物100は、印刷媒体としての基材(基板)101と、基材101上に形成された印刷層102とで構成されている。
基材101の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種樹脂、各種ガラス、各種金属等を用いることができるが、機械加工を施して、変形させることができるという観点から樹脂材料が好ましい。
【0025】
また、樹脂材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
【0026】
印刷層102は、第1のインク1、すなわち、第1のインク1Y、1C、1M、1Kのうちの少なくとも1色のインクと、第2のインク2とを用いて印刷してなるものである。なお、基材101上への第1のインク1、第2のインク2の供給は、各インクをインクジェット方式の印刷装置700で液滴Lとして基材101上に吐出する(付与する)ことにより行なわれる。そして、この基材101上のインクは、紫外線を照射することにより硬化して、印刷層102となる。
【0027】
また、基材101の厚さ、印刷層102の厚さとしては、成形体200が何であるか、すなわち、成形体200が何に用いられるものであるかにもよるが、例えば成形体200が自動車のスピードメーターのパネルである場合には、基材101の厚さが0.1mm〜2mmであるのが好ましく、0.3〜0.8mmであるのがより好ましい。印刷層102の厚さは、5〜200μmであるのが好ましく、5〜100μmであるのがより好ましい。
以上のような印刷物100に対して機械加工を施すことによって、成形体200が得られる。
【0028】
次に、この成形体200について説明する。
[成形体]
図14に示すように、成形体200は、印刷物100の印刷層102が形成されている部分に、有底筒状の部位103と、有底筒状の部位103と異なる位置に開口104とを有している。有底筒状の部位103は、絞り加工を施すことにより形成される。開口104は、打ち抜きを施すことにより形成される。このような加工に用いる装置としては、NCマシン等のような工作機械を用いることができる。
【0029】
次に、インクセット10について説明する。
[インクセット]
インクセット10は、着色剤としての顔料を含有する放射線硬化型(紫外線硬化型)インクである第1のインク1と、顔料を含まない放射線硬化型(紫外線硬化型)インクである第2のインク2を備えている。
【0030】
放射線硬化型インクは、高画質の画像を形成するために高感度で硬化するものが求められている。インクの高感度化を達成することにより、活性放射線の照射により高い硬化性が付与されるため、消費電力の低減や放射線発生装置への負荷軽減による高寿命化などの他、未硬化の低分子物質の揮発、形成された画像強度の低下などを抑制することができるなど、種々の利点をも有することになる。
【0031】
第1のインク1は、(a−1)重合開始剤(第1の重合開始剤)、および、(b−1)重合性化合物(第1の重合性化合物)を含有し、(b−1)重合性化合物の総質量のうち、単官能重合性化合物(以下、「単官能モノマー」ともいう。)が65質量%以上であることが好ましい。
第2のインク2は、(a−2)重合開始剤(第2の重合開始剤)、および、(b−2)重合性化合物(第2の重合性化合物)を含有し、(b−2)重合性化合物の総質量のうち、多官能重合性化合物(以下、「多官能モノマー」ともいう。)が50質量%以上であることが好ましい。
【0032】
なお、インクにおいて、インク中の重合性化合物の総質量に対する単官能重合性化合物の質量比率を「単官能モノマー比率」ともいい、インク中の重合性化合物の総質量に対する多官能重合性化合物の質量比率を「多官能モノマー比率」ともいう。なお、単官能モノマー比率(%)及び多官能モノマー比率(%)は、小数点以下を四捨五入するものとする。
【0033】
また、インクは、活性放射線の照射により硬化可能な放射線硬化型インクである。前記「活性放射線」とは、その照射によりインク中において開始種を発生させ得るエネルギーを付与することができる活性放射線であれば、特に制限はなく、広く、α線、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線、電子線などを包含するものであるが、中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。したがって、インクは、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なインクであることが好ましい。
【0034】
以下、インクの各成分について説明する。
(a)重合開始剤
第1のインク1および第2のインク2の双方における重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤や公知のカチオン重合開始剤を使用することができる。重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤とを併用してもよい。
【0035】
また、重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び活性放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。活性放射線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
また、インクは、重合性化合物としてラジカル重合性化合物を使用する場合には、ラジカル重合開始剤を含有することが好ましく、重合性化合物としてカチオン重合性化合物を使用する場合には、カチオン重合開始剤を含有することが好ましい。
【0036】
<ラジカル重合開始剤>
ラジカル重合開始剤としては、芳香族ケトン類、アシルホスフィン化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及び、アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。ラジカル重合開始剤は、単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
【0037】
<カチオン重合開始剤>
カチオン重合開始剤(光酸発生剤)としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。
【0038】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C、PF6、AsF、SbF、CFSO塩を挙げることができる。第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。第4に、鉄アレーン錯体を挙げることができる。
【0039】
また、インクにおいて、重合開始剤の総使用量は、それぞれ、重合性化合物の総使用量に対して、0.01〜35質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、1.0〜20質量%であることがさらに好ましい。0.01質量%以上であると、インクを十分硬化させることができ、35質量%以下であると、硬化度が均一な硬化膜を得ることができる。
また、インクに後述する増感剤を用いる場合、重合開始剤の総使用量は、重合開始剤:増感剤の質量比で、重合開始剤:増感剤=200:1〜1:200であることが好ましく、50:1〜1:50であることがより好ましく、20:1〜1:5であることがさらに好ましい。
【0040】
(b)重合性化合物
第1のインク1および第2のインク2の双方のインクは、重合性化合物を含有する。
重合性化合物は、分子量が1,000以下であることが好ましく、50〜800であることがより好ましく、60〜500であることがさらに好ましい。
また、重合性化合物は、何らかのエネルギー付与により、ラジカル重合反応やカチオン重合反応、アニオン重合反応等の重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができるが、特に、前記重合開始剤から発生する開始種により重合反応を生起する、光重合性化合物として知られる各種公知の重合性化合物を使用することができる。
また、重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物を好ましく例示できる。
【0041】
<ラジカル重合性化合物>
ラジカル重合性化合物は、特に制限はなく、公知のラジカル重合性化合物を用いることができるが、エチレン性不飽和化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、N−ビニル化合物、及び/又は、ビニルエーテル化合物であることがより好ましく、(メタ)アクリレート化合物、及び/又は、N−ビニル化合物であることがさらに好ましい。なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの両方を意味する。
【0042】
第1のインク1にラジカル重合性化合物を使用する場合、第1のインク1は、(b−1)重合性化合物の総質量のうち、単官能ラジカル重合性化合物が67〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましく、85〜95質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、印刷層102が延伸性が富むものとなる。
【0043】
第2のインク2にラジカル重合性化合物を使用する場合、第2のインク2は、(b−2)重合性化合物の総質量のうち、多官能ラジカル重合性化合物が55〜100質量%であることが好ましく、60〜100質量%であることがより好ましく、80〜100質量%であることがさらに好ましく、100質量%、すなわち、(b−2)重合性化合物が全て多官能ラジカル重合性化合物であることが特に好ましい。上記範囲であると、印刷層102が、例えば耐衝撃性、耐摩耗性(耐擦性)、耐傷性、耐溶剤性に優れたものとなる。本明細書では、耐衝撃性、耐摩耗性(耐擦性)、耐傷性、耐溶剤性を総称して「耐久性」と言うことがある。
【0044】
また、ラジカル重合性化合物は、単官能であっても、多官能であってもよい。
単官能ラジカル重合性化合物としては、後述するN−ビニル化合物であることが好ましく、N−ビニルラクタム類であることがより好ましい。
また、第1のインク1における(b−1)重合性化合物としてラジカル重合性化合物を使用する場合、第1のインク1は、後述するN−ビニル化合物を含むことがさらに好ましく、N−ビニルラクタム類を含むことが特に好ましい。
【0045】
多官能ラジカル重合性化合物としては、後述する多官能(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両方を意味する。
また、多官能ラジカル重合性化合物としては、2官能ラジカル重合性化合物と、3官能以上のラジカル重合性化合物とを組み合わせて使用することが好ましく、2官能ラジカル重合性化合物と、3官能ラジカル重合性化合物とを組み合わせて使用することがより好ましい。
【0046】
第2のインク2における(b−2)重合性化合物としてラジカル重合性化合物を使用する場合、第2のインク2は、(b−2)重合性化合物の総質量のうち、2官能ラジカル重合性化合物が30〜100質量%であることが好ましく、50〜95質量%であることがより好ましく、70〜90質量%であることがさらに好ましい。また、第2のインク2は、(b−2)重合性化合物の総質量のうち、3官能以上のラジカル重合性化合物を5〜50質量%含むことが好ましく、10〜30質量%含むことがより好ましい。さらに第2のインク2は、(b−2)重合性化合物の総質量のうち、3官能ラジカル重合性化合物を5〜50質量%含むことが好ましく、10〜30質量%含むことがより好ましい。
【0047】
第1のインク1にラジカル重合性化合物を使用する場合、第1のインク1は、第1のインク1の総質量のうち、単官能ラジカル重合性化合物が50〜95質量%であることが好ましく、55〜90質量%であることがより好ましく、60〜85質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、印刷層102が延伸性(柔軟性)が富むものとなる。
第2のインク2にラジカル重合性化合物を使用する場合、第2のインク2は、第2のインク2の総質量のうち、多官能ラジカル重合性化合物が50〜98質量%であることが好ましく、55〜95質量%であることがより好ましく、60〜90質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、印刷層102が耐久性に優れたものとなる。
【0048】
以下に、単官能ラジカル重合性化合物、及び、多官能ラジカル重合性化合物について説明する。
〔単官能ラジカル重合性モノマー〕
ラジカル重合性化合物としては、単官能ラジカル重合性モノマーを使用することができる。
単官能ラジカル重合性モノマーとしては、単官能アクリレート化合物、単官能メタクリレート類、単官能N−ビニル化合物、単官能アクリルアミド化合物、及び、単官能メタクリルアミド化合物が好ましく例示でき、単官能アクリレート化合物、単官能メタクリレート化合物、及び、単官能N−ビニル化合物がより好ましく例示できる。
第1のインク1が単官能ラジカル重合性モノマーを含有する場合、単官能ラジカル重合性モノマーは、単官能アクリレート化合物と単官能N−ビニル化合物とを、又は、単官能メタクリレート化合物と単官能N−ビニル化合物とを併用することが好ましく、単官能アクリレート化合物と単官能N−ビニル化合物とを併用することが特に好ましい。
【0049】
単官能ラジカル重合性モノマーとしては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基及びN−ビニル基よりなる群から選択されるエチレン性不飽和二重結合基を1つのみ有し、かつ環状構造を有するモノマーを使用することがより好ましい。
また、好適に用いることができるラジカル重合性モノマーとしてエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
【0050】
単官能アクリレート類、単官能メタクリレート類、単官能ビニルオキシ化合物、単官能アクリルアミド類及び単官能メタクリルアミド類としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピリジニル基、テトラヒドロフルフリル基、ピペリジニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、イソボロニル基、トリシクロデカニル基等の環状構造を有する基を有する単官能ラジカル重合性モノマーが好ましく挙げられる。
【0051】
単官能ラジカル重合性モノマーとして、好ましくは、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、ジシクロデシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、2−ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、EO変成クレゾール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成テトラヒドロフルフリルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−フタルイミドエチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−2−フェニル)エチルアクリルアミド、N−ジフェニルメチルアクリルアミド、N−フタルイミドメチルアクリルアミド、N−(1,1’−ジメチル−3−(1,2,4−トリアゾール−1−イル))プロピルアクリルアミド、5−(メタ)アクリロイルオキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサシクロヘキサン等を例示できる。
【0052】
また、単官能ラジカル重合性モノマーとして、N−ビニル基を有し、環状構造を有する基を有するラジカル重合性モノマーを使用することが好ましい。中でもN−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルラクタム類を使用することが好ましく、N−ビニルラクタム類を使用することがさらに好ましい。
第1のインク1において、N−ビニル基を有する単官能環状重合性モノマーを、第1のインク1全体の1〜40質量%含有することが好ましく、10〜35質量%含有することがより好ましく、12〜30質量%含有することがさらに好ましい。上記範囲において他の重合性化合物との良好な共重合性を示し、硬化性、耐ブロッキング性に優れるインクが得られる。
また、第1のインク1において、単官能N−ビニルラクタム類を、第1のインク1全体の1〜40質量%含有することが好ましく、10〜35質量%含有することがより好ましく、12〜30質量%含有することがさらに好ましい。
【0053】
単官能N−ビニルラクタム類の使用量が上記の数値の範囲内であると、硬化性、硬化膜柔軟性、硬化膜の支持体への密着性に優れる。また、N−ビニルラクタム類は比較的融点が高い化合物である。N−ビニルラクタム類が40質量%以下の含有率であると、0℃以下の低温下でも良好な溶解性を示し、インクの取り扱い可能温度範囲が広くなり好ましい。
【0054】
単官能ラジカル重合性モノマーとして、下記非環状単官能モノマーを使用することもできる。非環状単官能モノマーは比較的低粘度であり、例えば、インクを低粘度化する目的においても好ましく使用できる。ただし、硬化膜のべとつきを抑えることや、成形加工時にキズ等を発生させない高い膜強度を与えるという観点で、下記非環状単官能モノマーがインク全体に占める割合は、20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは15質量%以下である。
【0055】
具体的には、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル、ポリテトラエチレングリコール(メタ)アクリレートモノメチルエーテル等が挙げられる。
【0056】
また、これらの他にも、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートフェニルエステル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートメチルエステル、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレートエチルエステル、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n−ラウリルアクリレート、n−トリデシルアクリレート、n−セチルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、n−トリデシルメタクリレート、n−セチルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、及び、アリルグリシジルエーテル等が例示できる。
【0057】
さらに、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、エトキシ化フェニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ラクトン変性可撓性アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート等が例示できる。
【0058】
〔多官能ラジカル重合性モノマー〕
ラジカル重合性化合物として、多官能ラジカル重合性モノマーを使用することができる。
多官能ラジカル重合性モノマーとしては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニルオキシ基、及び、N−ビニル基よりなる群から選択されるエチレン性不飽和二重結合を2つ以上有する多官能重合性モノマーを好ましく例示できる。多官能重合性モノマーを含有することで、高い硬化膜強度を有するインクが得られる。
【0059】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する多官能ラジカル重合性モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン(メタ)アクリル系モノマーあるいはプレポリマー、エポキシ系モノマーあるいはプレポリマー、ウレタン系モノマーあるいはプレポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルであって、エチレン性不飽和二重結合基を2つ以上有する化合物が好ましく用いられる。
【0060】
具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、PO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマーが挙げられる。さらに具体的には、山下晋三編「架橋剤ハンドブック」(1981年、大成社);加藤清視編「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編「UV・EB硬化技術の応用と市場」79頁(1989年、シーエムシー社);滝山栄一郎著「ポリエステル樹脂ハンドブック」(1988年、(株)日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
これらの中でも、多官能ラジカル重合性モノマーとしては、以下のものを好ましく例示できる。
【0061】
2官能ラジカル重合性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートが好ましく例示できる。
さらに、ラジカル重合性化合物として、ビニルエーテル化合物を用いることも好ましい。
上述したラジカル重合性化合物として列挙されているモノマーは、反応性が高く、粘度が低く、また、支持体への密着性に優れる。
【0062】
<カチオン重合性化合物>
カチオン重合性化合物としては、硬化性及び耐擦過性の観点から、オキセタン環含有化合物及びオキシラン環含有化合物が好適であり、オキセタン環含有化合物及びオキシラン環含有化合物の両方を含有する態様がより好ましい。
ここで、オキシラン環含有化合物(以下、「オキシラン化合物」ともいう。)とは、分子内に、少なくとも1つのオキシラン環(オキシラニル基、エポキシ基)を含む化合物であり、具体的にはエポキシ樹脂として通常用いられているものの中から適宜選択することができ、例えば、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。モノマー、オリゴマー及びポリマーのいずれであってもよい。
また、オキセタン環含有化合物(以下、「オキセタン化合物」ともいう。)とは、分子内に少なくとも1つのオキセタン環(オキセタニル基)を含む化合物である。
【0063】
第1のインク1にカチオン重合性化合物を使用する場合、第1のインク1は、(b−1)重合性化合物の総質量のうち、単官能カチオン重合性化合物が65〜95質量%であることが好ましく、65〜85質量%であることがより好ましく、65〜75質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、印刷層102が延伸性が富むものとなる。
第2のインク2にカチオン重合性化合物を使用する場合、第2のインク2は、(b−2)重合性化合物の総質量のうち、多官能カチオン重合性化合物が50〜90質量%であることが好ましく、52〜75質量%であることがより好ましく、55〜65質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、印刷層102が耐久性に優れたものとなる。
【0064】
また、カチオン重合性化合物は、単官能であっても、多官能であってもよい。
単官能カチオン重合性化合物としては、単官能オキシラン化合物、及び/又は、単官能オキセタン化合物であることが好ましい。
多官能カチオン重合性化合物としては、2官能カチオン重合性化合物であることが好ましい。また、多官能ラジカル重合性化合物としては、多官能オキシラン化合物、及び/又は、多官能オキセタン化合物であることが好ましく、多官能オキシラン化合物と多官能オキセタン化合物とを併用することがより好ましい。
【0065】
第1のインク1にカチオン重合性化合物を使用する場合、第1のインク1は、第1のインク1の総質量のうち、単官能カチオン重合性化合物が40〜95質量%であることが好ましく、45〜80質量%であることがより好ましく、45〜65質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、印刷層102が延伸性が富むものとなる。
第2のインク2にカチオン重合性化合物を使用する場合、第2のインク2は、第2のインク2の総質量のうち、多官能カチオン重合性化合物が35〜90質量%であることが好ましく、38〜75質量%であることがより好ましく、40〜60質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であると、印刷層102が耐久性に優れたものとなる。
【0066】
以下、単官能カチオン重合性化合物、及び、多官能カチオン重合性化合物について詳細に説明する。
カチオン重合性化合物としては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0067】
単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
【0068】
また、多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−7,8−エポキシ−1,3−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,13−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
【0069】
単官能オキセタン化合物の例としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−メトキシ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
【0070】
多官能オキセタン化合物の例としては、例えば、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタンが挙げられる。
なお、これらのカチオン重合性化合物は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
【0071】
また、インク中の重合性化合物の総質量は、インクの総質量に対し、55〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。上記範囲内であると、硬化性に優れ、また、粘度が適度である。
また、重合性化合物の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により合成することができる。また、入手可能な場合は、市販品を使用してもよい。
【0072】
(c)着色剤
第1のインク1には、着色剤としての顔料が含有されている。顔料は、耐候性に優れ、色再現性に富む。また、インクに好適に使用し得る顔料(着色剤)は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
【0073】
赤又はマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,42,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257、Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88、Pigment Orange 13,16,20,36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、
緑顔料としては、Pigment Green 7,26,36,50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,120,137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、
黒顔料としては、Pigment Black 7,28,26、
白色顔料としては、Pigment White 6,18,21
などが目的に応じて使用できる。
【0074】
また、着色剤は、インクに添加された後、適度に当該インク内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
着色剤は、インクの調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又はラジカル重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散或いは溶解させた後、配合することもできる。
【0075】
(d)分散剤
インクは、顔料をインク中に安定に分散させるため、分散剤を含有することが好ましい。
分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、「高分子分散剤」とは、質量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。
【0076】
高分子分散剤としては、DisperBYK−101、DisperBYK−102、DisperBYK−103、DisperBYK−106、DisperBYK−111、DisperBYK−161、DisperBYK−162、DisperBYK−163、DisperBYK−164、DisperBYK−166、DisperBYK−167、DisperBYK−168、DisperBYK−170、DisperBYK−171、DisperBYK−174、DisperBYK−182(以上BYK Chemie社製)、EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA745、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(以上エフカアディティブ社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製)等の高分子分散剤;ソルスパース(Solsperse)3000,5000,9000,12000,13240,13940,17000,22000,24000,26000,28000,32000,36000,39000,41000,71000などの各種ソルスパース分散剤(アビシア社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108,L121,P−123((株)ADEKA製)及びイソネットS−20(三洋化成工業(株)製)、楠本化成(株)製「ディスパロン KS−860,873SN,874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
インク中における分散剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、インク全体の質量に対し、それぞれ0.05〜15質量%であることが好ましい。
【0077】
(e)その他の成分
インクには、必要に応じて、前記成分以外の他の成分を添加することができる。
その他の成分としては、例えば、増感剤、共増感剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物等が挙げられる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の支持体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
【0078】
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが例示できる。
以上のような成分を含有する第1のインク1と第2のインク2とは、硬化後の特性が互いに異なる。
【0079】
第1のインク1は、第1のインク1を硬化させて厚さt5μmの膜1’としたとき、膜1’を150℃の環境下で延伸させた際に70%以上延伸する特性を有する(図5参照)。以下、この特性を「第1の特性」と言う。一方、第2のインク2は、第2のインク2を硬化させた第2の硬化物のガラス転移点Tgが、第1のインク1を硬化させた第1の硬化物のガラス転移点Tgよりも高い特性を有する。以下、この特性を「第2の特性」と言う。第1の硬化物(膜1’)と第2の硬化物とを比較した場合、第1の硬化物は、第2の硬化物よりも延伸性に優れ、高弾性のものである。
【0080】
第1の特性、すなわち、膜1’の延伸率(延伸性)は、次のように定義される。
図5(a)に示すように、長さL、厚さt、幅wの板状をなす樹脂製の基材300を用意する。基材300を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
そして、基材300上にインクジェット方式で第1のインク1を付与する。
【0081】
次に、図5(b)に示すように、基材300上の第1のインク1に対して紫外線照射装置500から紫外線を照射する。このときの紫外線のピーク波長は、約390nmであり、紫外線総照射時間は、0.05〜5secである。
これにより、図5(c)に示すように、基材300上には、第1のインク1を硬化させてなる膜1’が形成される。この膜1’は、平面視で直径φdのほぼ円形をなす。また、膜1’の厚さtは、5μmである。
【0082】
次に、図5(d)に示すように、膜1’が形成された基材300を例えばチャンバ(図示せず)内に収納して、当該チャンバ内を電熱器600で150℃に加熱し、その状態を維持する。
そして、基材300をその全長が2Lになるまで引張る。このときの引張り速さは、1.0mm/secである。
また、膜1’は、基材300の引張り変形に追従して、当該基材300と同じ方向に延伸する。このときの延伸量(延伸長さ)が△dとなる。
延伸率は、(△d/d)×100で定義され、その値が70%以上となる。
【0083】
第2の特性では、ガラス転移点Tgがガラス転移点Tgよりも高くなっており、この場合、ガラス転移点Tgが100℃未満であり、ガラス転移点Tgが100℃以上であるのが好ましく、ガラス転移点Tgが50〜90℃であり、ガラス転移点Tgが100〜150℃であるのがより好ましい。
また、ガラス転移点Tgとガラス転移点Tgとの差(Tg−Tg)は、300℃以下であるのが好ましく、10〜200℃であるのがより好ましく、50〜100℃であるのがさらに好ましい。
なお、ガラス転移点Tg、Tgの調整としては、例えば、インクを硬化する際に照射される紫外線の波長や照射時間を調整することによって行なうことができる。
【0084】
以上のような特性を有する第1のインク1および第2のインク2は、印刷物100を製造する際に、基材101上の一部または全部に塗布される。このとき、第1のインク1と第2のインク2とは、重なって一部が混合するように塗布される(図7〜図13参照)。その後、基材101上のインク(第1のインク1と第2のインク2)を紫外線照射手段12a、12bから紫外線を照射して硬化させる。これにより、印刷層102が形成される。そして、後述するように、印刷層102にひび割れや剥離等が生じるのが確実に防止され、印刷層102が耐久性に富むものとなる。
なお、第2のインク2は、前述したように実質的に無色透明のものであるため、第1のインク1と第2のインク2とが混合しても、第1のインク1の本来の色に対する変色を抑制または防止することができる。
【0085】
また、第1のインク1と第2のインク2とは、同一のピーク波長の紫外線で一括して硬化させることができる(図9参照)。この紫外線のピーク波長としては、特に限定されず、例えば、350nm以上450nm以下であるのが好ましく、380nm以上420nm以下であるのがより好ましい。
これに対し、第1のインク1が硬化するピーク波長と、第2のインク2が硬化するピーク波長とが異なる、すなわち、硬化波長域が異なる場合には、各ピーク波長の紫外線を照射しなければならない。しかしながら、同一のピーク波長の紫外線を用いることができることにより、印刷物100を製造する際、第1のインク1と第2のインク2とを硬化して印刷層102を形成する工程を容易かつ迅速に行なうことができる。
なお、同一のピーク波長の紫外線で第1のインク1と第2のインク2とを硬化させるには、例えば、各インクにそれぞれ同種(共通)の重合開始剤を含有させる方法等が挙げられる。
【0086】
また、第1のインク1と第2のインク2とは、それぞれ、常温である25度近傍での粘度が1mPa・s以上1000mPa・s以下のものであるのが好ましく、1mPa・s以上50mPa・s以下のものであるのがより好ましい。さらに、液滴吐出ヘッド9を40℃に加熱して使用する場合、第1のインク1の40℃下での粘度をμ、第2のインク2の40℃下での粘度をμとしたとき、((μ−μ)/μ)×100=±10[%]を満足するのが好ましい。
上記範囲であると、第1のインク1と第2のインク2とをそれぞれインクジェット方式で吐出した場合、その吐出が安定して行なわれる。
【0087】
また、第1のインク1と第2のインク2とは、それぞれ、常温である25度近傍での表面張力が5mN/m以上200mN/m以下のものであるのが好ましく、10mN/m以上40mN/m以下のものであるのがより好ましい。さらに、液滴吐出ヘッド9を40℃に加熱して使用する場合、第1のインク1の40℃での表面張力をf、第2のインク2の40℃での表面張力をfとしたとき、((f−f)/f)×100=±10[%]を満足するのが好ましい。
【0088】
上記範囲であると、第1のインク1と第2のインク2とをそれぞれインクジェット方式で吐出した場合、その吐出が安定して行なわれる。また、第1のインク1および第2のインク2の基材101上での濡れ広がり方が同じような挙動を示し、各インクが均一に広がり、1つの印刷層102に色むらが生じるのを防止することができる。
なお、インクの粘度や表面張力の調整としては、例えば、界面活性剤等の添加物の含有量の調整によって行なうことができる。
【0089】
次に、インクセット10が装填される印刷装置700について説明する。
[印刷装置]
図7〜図13に示すように、印刷装置700は、装填状態で、紫外線硬化型インク(第1のインク1、第2のインク2)を吐出した上で、吐出した紫外線硬化型インクに紫外線照射を行なって該紫外線硬化型インクを硬化させ、基材101上に文字・数字や各種の絵柄等を描画するものである。
【0090】
図1〜図3に示すように、印刷装置700は、基材101を載置する基台720と、基台720上の基材101を図1中のX方向に搬送する搬送装置730と、インクを吐出する液滴吐出ヘッド9と、液滴吐出ヘッド9を支持するキャリッジ740と、キャリッジ740を、X方向と直交するY方向に移動させる送り装置750とを備えている。なお、本実施形態では、搬送装置730および送り装置750により、基材101とキャリッジ740(液滴吐出ヘッド9)とを、X方向およびY方向にそれぞれ相対的に移動させる(往復動させる)移動装置(移動手段)が構成されている。
【0091】
搬送装置730は、基台720上に設けられたワークステージ760およびステージ移動装置770を備えたものである。ワークステージ760は、ステージ移動装置770によって基台720上をX方向に移動可能に設けられたもので、製造工程において印刷装置700の上流側に配置された搬送装置(図示せず)から搬送される基材101を、例えば真空吸着機構によってXY平面上に保持するものである。ステージ移動装置770は、ボールネジまたはリニアガイド等の機構を備えたもので、制御装置780から入力される、ワークステージ760のX座標を示すステージ位置制御信号に基づいて、ワークステージ760をX方向に移動させるよう構成されたものである。
【0092】
キャリッジ740を移動させる送り装置750は、例えば基台720を跨ぐ橋梁構造をしたもので、Y方向およびXY平面に直交するZ方向に対して、ボールネジまたはリニアガイドの機構を備えたものである。このような構成のもとに送り装置750は、制御装置780から入力される、キャリッジ740のY座標およびZ座標を示すキャリッジ位置制御信号に基づいて、キャリッジ740をY方向に移動させるとともに、Z方向にも移動させるようになっている。
【0093】
図2および図3に示すように、キャリッジ740は、送り装置750に移動可能に取り付けられた矩形板状のもので、底面741側に複数(本実施形態では6個)の液滴吐出ヘッド9(9Y、9C、9M、9K、9Wa、9Wb)を、Y方向に沿って配列させた状態で保持したものである。そして、本実施形態では、図2、図3中の左側から順に、液滴吐出ヘッド9Wa、9Y、9C、9M、9K、9Wbが配置されている。
【0094】
これら複数の液滴吐出ヘッド9(9Y、9C、9M、9K、9Wa、9Wb)は、後述するように多数(複数)のノズルN(第1のノズルN1、第2のノズルN2)を備え、制御装置780から入力される描画データや駆動制御信号に基づいて、各ノズルNからインクを液滴Lとして吐出するものである。なお、液滴吐出ヘッド9Yは、Y(イエロー)に対応した第1のインク1Yを吐出するものであり、液滴吐出ヘッド9Cは、C(シアン)に対応した第1のインク1Cを吐出するものであり、液滴吐出ヘッド9Mは、M(マゼンタ)に対応した第1のインク1Mを吐出するものであり、液滴吐出ヘッド9Kは、K(黒)に対応した第1のインク1Kを吐出するものであり、液滴吐出ヘッド9Wa、透明色(W)に対応した第2のインク2aを吐出するものであり、液滴吐出ヘッド9Wb、透明色(W)に対応した第2のインク2bを吐出するものである。
【0095】
Y(イエロー)に対応する液滴吐出ヘッド9Yには、チューブ710を介してY(イエロー)用の第1のインク1Yを充填・貯蔵したタンク11Yが接続されている。これにより、液滴吐出ヘッド9Yには、タンク11YからY(イエロー)用の第1のインク1Yが供給されるようになっている。この供給された第1のインク1Yは、液滴Lとして、液滴吐出ヘッド9Yの下面に設けられた複数の第1のノズルN1からそれぞれ吐出される。
【0096】
同様に、C(シアン)に対応する液滴吐出ヘッド9Cには、チューブ710を介してC(シアン)用の第1のインク1Cを充填・貯蔵したタンク11Cが接続されている。これにより、液滴吐出ヘッド9Cには、タンク11CからC(シアン)用の第1のインク1Cが供給されるようになっている。この供給された第1のインク1Cは、液滴Lとして、液滴吐出ヘッド9Cの下面に設けられた複数の第1のノズルN1からそれぞれ吐出される。
【0097】
また、M(マゼンタ)に対応する液滴吐出ヘッド9Mには、チューブ710を介してM(マゼンタ)用の第1のインク1Mを充填・貯蔵したタンク11Mが接続されている。これにより、液滴吐出ヘッド9Mには、タンク11MからM(マゼンタ)用の第1のインク1Mが供給されるようになっている。この供給された第1のインク1Mは、液滴Lとして、液滴吐出ヘッド9Mの下面に設けられた複数の第1のノズルN1からそれぞれ吐出される。
【0098】
また、K(黒)に対応する液滴吐出ヘッド9Kには、チューブ710を介してK(黒)用の第1のインク1Kを充填・貯蔵したタンク11Kが接続されている。これにより、液滴吐出ヘッド9Kには、タンク11KからK(黒)用の第1のインク1Kが供給されるようになっている。この供給された第1のインク1Kは、液滴Lとして、液滴吐出ヘッド9Kの下面に設けられた複数の第1のノズルN1からそれぞれ吐出される。
【0099】
また、W(透明)に対応する液滴吐出ヘッド9Waには、チューブ710を介しW(透明)用の第2のインク2aを充填・貯蔵したタンク11Waが接続されている。これにより、液滴吐出ヘッド9Waには、タンク11WaからW(透明)用の第2のインク2aが供給されるようになっている。この供給された第2のインク2aは、液滴Lとして、液滴吐出ヘッド9Waの下面に設けられた複数の第2のノズルN2からそれぞれ吐出される。
【0100】
また、W(透明)に対応する液滴吐出ヘッド9Wbには、チューブ710を介しW(透明)用の第2のインク2bを充填・貯蔵したタンク11Wbが接続されている。これにより、液滴吐出ヘッド9Wbには、タンク11WbからW(透明)用の第2のインク2bが供給されるようになっている。この供給された第2のインク2bは、液滴Lとして、液滴吐出ヘッド9Wbの下面に設けられた複数の第2のノズルN2からそれぞれ吐出される。
【0101】
前述したように、液滴吐出ヘッド9Wa、9Y、9C、9M、9K、9WbがY方向に沿ってこの順に配置されている。これにより、各色に対応する第1のノズルN1もY方向に沿って配置され、第2のノズルN2は、第1のノズルN1の配置方向に沿って、その両側にそれぞれ配置される。
このような配置により、図7〜図13に示すように、液滴吐出ヘッド9Wa、9Y、9C、9M、9K、9WbがY方向に沿って進行した際、すなわち、往復動した際、その往路では、基材101上に液滴吐出ヘッド9Kの第1のノズルN1から第1のインク1Kを吐出して、次いで、液滴吐出ヘッド9Kよりも進行方向後方に位置する液滴吐出ヘッド9Waの第2のノズルN2から第2のインク2aを吐出することができる。また、復路でも、基材101上に液滴吐出ヘッド9Kの第1のノズルN1から第1のインク1Kを吐出して、次いで、液滴吐出ヘッド9Kよりも進行方向後方に位置する液滴吐出ヘッド9Wbの第2のノズルN2から第2のインク2bを吐出することができる。
【0102】
このように、印刷装置700では、一方向への進行において、すなわち、往路および復路のいずれの場合でも、無色透明な第2のインク2に先行して、有色の第1のインク1を確実に吐出することができる。これにより、基材101上の第1のインク1に第2のインク2が重なってから、これらインクが紫外線照射手段12aまたは12bで硬化するまでの時間を一定にすることができる。また、第1のインク1が液状状態のままで第2のインク2に接触し続ける時間をできる限り短くすることができる。
【0103】
次に、液滴吐出ヘッド9(9Y、9C、9M、9K、9Wa、9Wb)の内部構成について、図4に基づいて説明する。なお、液滴吐出ヘッド9Y、9C、9M、9K、9Wa、9Wbの内部構成は、それぞれ、同じである。
図4は、液滴吐出ヘッド9の概略構成図である。図4(a)は液滴吐出ヘッド9をワークステージ760側から見た平面図、図4(b)は液滴吐出ヘッド9の部分斜視図、図4(c)は液滴吐出ヘッド9の1ノズル分の部分断面図である。
【0104】
図4(a)に示すように、液滴吐出ヘッド9は、複数(例えば180個)のノズルNをY方向と交差する方向、本実施形態ではX方向に配列しており、これら複数のノズルNによってノズル列NAを形成している。なお、図では1列分のノズルNを示したが、液滴吐出ヘッド9に設けるノズル数およびノズル列数は任意に変更可能であり、例えばX方向に配列したノズル列NAをY方向に複数列設けてもよい。
【0105】
また、図4(b)に示すように、チューブ710と連結される材料供給孔20aが設けられた振動板20と、ノズルNが設けられたノズルプレート21と、振動板20とノズルプレート21との間に設けられたリザーバー(液溜まり)22と、複数の隔壁23と、複数のキャビティー(液室)24とを備えて構成されている。ノズルプレート21の表面(底面)は、複数のノズルNを形成したノズル面21aとなっている。振動板20上には、各ノズルNに対応して圧電素子(駆動素子)PZが配置されている。圧電素子PZは、例えばピエゾ素子からなっている。
【0106】
リザーバー22には、材料供給孔20aを介して供給されるインクが充填されるようになっている。キャビティー24は、振動板20と、ノズルプレート21と、1対の隔壁23とによって囲まれるようにして形成されおり、各ノズルNに対して1対1に対応して設けられている。また、各キャビティー24には、一対の隔壁23の間に設けられた供給口24aを介して、リザーバー22からインクが導入されるようになっている。
【0107】
また、図4(c)に示すように、圧電素子PZは、圧電材料25を一対の電極26で挟持したもので、一対の電極26に駆動信号が印加されることにより、圧電材料25が収縮するように構成されたものである。したがって、このような圧電素子PZが配置されている振動板20は、圧電素子PZと一体になって同時に外側(キャビティー24の反対側)へ撓曲するようになっており、これによってキャビティー24の容積が増大するようになっている。
【0108】
よって、キャビティー24内に増大した容積分に相当するインクが、リザーバー22から供給口24aを介して流入する。また、このような状態から圧電素子PZへの駆動信号の印加が停止すると、圧電素子PZと振動板20とは共に元の形状に戻り、キャビティー24も元の容積に戻る。これにより、キャビティー24内のインクの圧力が上昇し、ノズルNから基材101に向けてインクの液滴Lが吐出されるようになっている。
【0109】
なお、このような構成からなる液滴吐出ヘッド9は、そのノズルプレート21の底面、すなわちノズルNの形成面(ノズル面)NSが、図2に示すようにキャリッジ740の底面741より下側となるように、該底面741から突出して配置されている。
また、液滴吐出ヘッド9Y、9C、9M、9K、9Wa、9Wb、チューブ710、タンク11Y、11C、11M、11K、11Wa、11Wbには、それぞれ、ヒーター等の加熱手段(図示せず)が設けられている。この加熱手段の作動により、インクは、液滴吐出ヘッド9からの吐出性が良好になるように調整されている。
【0110】
図2および図3に示すように、キャリッジ740には、配列する6つの液滴吐出ヘッド9を挟んで両側に紫外線照射手段12aと紫外線照射手段12bとが隣り合って配置されている。すなわち、紫外線照射手段12a、12bは、Y方向に配列された液滴吐出ヘッド9の配列方向に沿って、その両側にそれぞれ配置されている。
これら紫外線照射手段12a、12bは、インクを硬化させるためのもので、本実施形態では、紫外線を射出する光源で構成されている。なお、この光源は、前述した範囲のピーク波長の紫外線を照射するものである。
【0111】
制御装置780は、ステージ移動装置770にステージ位置制御信号を出力し、送り装置750にキャリッジ位置制御信号を出力し、さらには液滴吐出ヘッド9の駆動回路基板(図示せず)に描画データ及び駆動制御信号を出力するものである。これによって制御装置780は、基材101とキャリッジ740とを相対移動させるべく、ワークステージ760の移動による基材101の位置決め動作、およびキャリッジ740の移動による液滴吐出ヘッド9の位置決め動作の同期制御を行い、さらに液滴吐出ヘッド9に液滴吐出動作を行わせることにより、基材101上の所定の位置に放射線硬化型インクの液滴を配するようになっている。また、この制御装置780は、液滴吐出ヘッド9に液滴吐出動作を行わせるのとは別に、紫外線照射手段12a、12bに紫外線照射動作を行わせるようにもなっている。
印刷装置700は、以上のような構成となっている。
【0112】
次に、装填状態の印刷装置700を用いて印刷物100を製造し、さらに印刷物100から成形体を製造する方法について、図7〜図15を参照しつつ説明する。
印刷装置700では、有色の印刷層102を形成する際には、液滴吐出ヘッド9Y、9C、9M、9Kを適宜選択して用いられるが、ここでは、一例として、液滴吐出ヘッド9Kを代表的に選択して用いる。
【0113】
[製造方法(印刷方法)]
図7に示すように、基材101は、ワークステージ760上に載置されている。そして、キャリッジ740に支持されている液滴吐出ヘッド9Y、9C、9M、9K、9Wa、9Wbと紫外線照射手段12a、12bとは、一括して、基材101上を右方向に向かって移動する。
また、紫外線照射手段12aは、作動しており、紫外線を照射している。この作動状態は、紫外線照射手段12aが右方向に向かって移動している最中、すなわち、往路中維持される。一方、紫外線照射手段12bは、停止している。
【0114】
図8に示すように、液滴吐出ヘッド9Kは、基材101の印刷層102を形成すべき部分に第1のインク1Kを液滴Lとして吐出して、基材101上に付与する。この際、図15(a)に示すように、基材101上には、第1のインク1Kの液滴Lが着弾してなる第1のドットD1が多数形成されるが、Y方向に隣接する第1のドットD1同士は、その方向に若干ズレつつ、互いに重なり合う。
【0115】
また、X方向に隣接する第1のドットD1同士も、その方向に若干ズレつつ、互いに重なり合う(図15(a)参照)。これは、液滴吐出ヘッド9Kでの第1のノズルN1の間隔を適宜設定することにより可能である。
第1のドットD1同士のX方向、Y方向のズレ量(中心間距離p)としては、特に限定されず、例えば、第1のドットD1の直径が50μmである場合、35μmとすることができる。
このような第1のインク1Kの付与により、基材101上には、第1のインク1Kで構成された層状の第1のインク層111が形成されていく。
【0116】
図9に示すように、第1のインク層111は、紫外線照射手段12aからの紫外線により、左側の部分から徐々に硬化していく。
また、液滴吐出ヘッド9Waは、第1のインク層111上に差し掛かると、当該第1のインク層111上に第2のインク2aを液滴Lとして吐出し、付与する。この際、図15(b)に示すように、第2のインク2aの液滴Lが着弾してなる第2のドットD2が千鳥格子状(規則的)に多数形成されるが、Y方向に隣接する第2のドットD2同士は、その方向に離間している。なお、このY方向の離間距離(中心間距離p2Y)としては、特に限定されず、例えば、中心間距離pの2倍であるのが好ましく、第2のドットD2の直径が50μmである場合、70μmとすることができる。
【0117】
また、X方向に隣接する第2のドットD2同士も、その方向に離間している(図15(b)参照)。これは、液滴吐出ヘッド9Waでの第2のノズルN2の間隔を適宜設定することにより可能である。なお、このX方向の離間距離(中心間距離p2X)としては、特に限定されず、例えば、中心間距離pの4倍であるのが好ましく、第2のドットD2の直径が50μmである場合、140μmとすることができる。
【0118】
そして、図15(c)に示すように、このように千鳥格子状に配置された第2のドットD2は、それぞれ、鉛直上方から第1のインク層111(第1のドットD1)と接触することとなる。
また、図9に示すように、千鳥格子状に配置された第2のドットD2は、左側に位置するものから順に、紫外線照射手段12aからの紫外線によって硬化していく。
以上により、往路でのインクの塗布、硬化が完了する。
【0119】
図10に示すように、復路では、キャリッジ740に支持されている液滴吐出ヘッド9Y、9C、9M、9K、9Wa、9Wbと紫外線照射手段12a、12bとは、一括して、基材101上を左方向に向かって移動する。
また、紫外線照射手段12bは、作動しており、紫外線を照射している。この作動状態は、紫外線照射手段12bが往路中維持される。一方、紫外線照射手段12aは、停止している。
【0120】
図11に示すように、液滴吐出ヘッド9Kは、硬化した第1のインク層111上に第1のインク1Kを液滴Lとして吐出し、付与する。この際も、前記往路と同様に、第1のドットD1が多数形成されるが、Y方向に隣接する第1のドットD1同士は、その方向に若干ズレつつ、互いに重なり合う(図15(a)参照)。また、X方向に隣接する第1のドットD1同士も、その方向に若干ズレつつ、互いに重なり合う(図15(a)参照)。
このような第1のインク1Kの付与により、往路で形成された第1のインク層111には、第1のインク1Kで構成された層状の第1のインク層112がさらに形成されていく。この第1のインク層112は、第1のインク層111上の硬化した第2のドットD2も覆う。
【0121】
図12に示すように、第1のインク層112は、紫外線照射手段12bからの紫外線により、右側の部分から徐々に硬化していく。
また、液滴吐出ヘッド9Wbは、第1のインク層112上に差し掛かると、当該第1のインク層112上に第2のインク2bを液滴Lとして吐出し、付与する。この際も、前記往路と同様に、第2のドットD2が千鳥格子状に多数形成されるが、Y方向に隣接する第2のドットD2同士は、その方向に離間している(図15(b)参照)。また、X方向に隣接する第2のドットD2同士も、その方向に離間している(図15(b)参照)。そして、このように千鳥格子状に配置された第2のドットD2は、それぞれ、鉛直上方から第1のインク層112と接触することとなる(図12、図15(c)参照)。
また、図12に示すように、千鳥格子状に配置された第2のドットD2は、右側に位置するものから順に、紫外線照射手段12bからの紫外線によって硬化していく。
そして、図13に示すように、復路でのインクの塗布、硬化が完了し、印刷物100が得られる。
【0122】
図14に示すように、印刷物100に対し前述したような機械加工を施して、成形体200を得る。
このような過程を経ることにより、基材101上では、第1のドットD1が「密」に配置され、第2のドットD2が「疎」に配置される。この結果、印刷層102は、第1のインク1の総量が第2のインク2の総量よりも多いものとなる。なお、第2のインク2の総量は、第1のインク1の総量の3〜25%であるのが好ましく、5〜10%であるのがより好ましい。
【0123】
前述したように、第1のインク1を硬化した第1の硬化物は、第2のインク2を硬化した第2の硬化物よりも延伸性に優れている。例えば、第2のインク2が過剰に付与された場合、すなわち、第1のインク1の総量と第2のインク2の総量との大小関係が逆転した場合、この延伸性が損なわれるおそれがある。その結果、印刷層102が延伸性に乏しいものとなることが考えられる。しかしながら、前記総量の大小関係により、このような不具合を確実に防止することができる。
【0124】
また、前記過程を経ることにより、往路では、第1のインク層111と各第2のドットD2とは、境界部では、インクが硬化する前には互いに一部が混合するが、残りの部分では、混合がなされない。復路でも、第1のインク層112と各第2のドットD2とは、境界部では、インクが硬化する前には互いに一部が混合するが、残りの部分では、混合がなされない。すなわち、往路および復路のいずれのときも、第2のインク2は、その一部が第1のインク1に混合するが、残りの部分は、第1のインク1との混合が防止される。
【0125】
ところで、成形体200を製造するにあたって、印刷物100に対して機械加工を施す場合、印刷層102の当該加工が施される部分や、その周辺部に、当該加工によって内部応力に変化が生じて、ひび割れや剥離等の不具合が起きることが懸念される。しかしながら、成形体200には、このような不具合が生じるのが防止される。以下、これについて説明する。
【0126】
前述したように、印刷層102は、着色剤としての顔料を含有する第1のインク1と、無色透明の第2のインク2とを硬化してなる層である。そして、このインク硬化後の印刷層102は、第1の特性および第2の特性を有する。
ここで仮に、印刷層102が硬化した第1のインク1のみからなる第1の場合と、印刷層102が硬化した第2のインク2のみからなる第2の場合とについて考察してみる。
【0127】
第1の場合、TMA装置を用いて、30℃の環境下で印刷層102に対し一定の圧力を付与して、そのときの最大変位量(凹み量)と、圧力を解除したときの変位回復量(復元量)を複数回測定した。そして、回復率として、変位回復量を最大変位量で除したものを算出した。その結果、圧力の大きさ等の試験条件にもよるが、回復率が平均30%(誤差範囲±5%)であることが分かった(図6参照)。このことから、第1の場合、印刷層102は、塑性変形し易い層であると言うことができ、機械加工が施されると、ひび割れや剥離等の不具合が起きる。
【0128】
一方、第2の場合には、回復率が平均80%(誤差範囲±10%)であることが分かった(図6参照)。このことから、第2の場合、印刷層102は、弾性変形し易い層であると言うことができる。なお、第2のインク2は、無色透明のものであり、それ単独で用いられることがないため、この印刷層102に対し機械加工が施された場合の評価を省略する。
【0129】
しかしながら、本発明では、第1の場合、第2の場合と異なり、印刷層102が硬化した第1のインク1および第2のインク2からなり、その混合比率、疎密にもよるが、回復率が平均55%(誤差範囲±3%)であることが分かった(図6参照)。図6からも明らかなように、本発明では、印刷層102は、第1の場合と第2の場合との中間の性質を有する層であると言うことができる。そして、印刷層102では、延伸性が富む(第1の特性による)効果と、弾性に富む(第2の特性による)効果との相乗効果により、当該印刷層102に機械加工が施されても、ひび割れや剥離等の不具合が起きるのが確実に防止される。
【0130】
このように、有色の第1のインク1に、第1のインク1の色の変色が防止または抑制される無色透明の第2のインク2を混合し(重ね)、さらにインクが第1の特性と第2の特性とを有するという簡単な構成で、印刷層102の耐久性が向上する。これにより、印刷層102(塗布面)を有する印刷物100に対し機械加工を施して、成形体200を製造する際、その加工性に優れる。また、例えば成形体200が自動車のスピードメーター場合、真夏の炎天下での車内温度が50℃以上となる等の様々な環境下で長期間印刷層102を高品質に保ったまま保管することもできる。
【0131】
なお、印刷層102では、第1のインク1が含有する前記(b−1)重合性化合物の総質量が、第2のインク2が含有する前記(b−2)重合性化合物の総質量と同じかまたはそれよりも大(例えば1.1倍以上)となっているのが好ましい。これにより、印刷物100を機械加工した(成形体200を製造する)際に印刷層102にひび割れや剥離等が生じるのがより確実に防止され、印刷層102が耐久性にさらに富むものとなる。
【0132】
また、本発明と異なり、第1のインク1と第2のインク2とを基材101に塗布する以前に、これらインク同士を予め混合して基材101に塗布した場合について考察してみる。
この場合、結果として、印刷層102は、第1の特性による効果と第2の特性による効果との相乗効果を奏するものとはならず、ひび割れや剥離等の不具合が生じてしまう。前者の原因としては、インク同士を予め混合してしまうと、そのインク中での顔料の分散安定性が崩れてしまうからではないかと予想される。
このように、第1のインク1と第2のインク2とは、基材101上で初めて混合され、第1の特性を第1のインク1が有し、第2の特性を第2のインク2が有する必要がある。
【0133】
<第2実施形態>
図16は、本発明の印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態(第2実施形態)を示す平面図である。
以下、この図を参照して本発明の印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第2のインクの付与状態が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0134】
図16(b)に示すように、多数の第2のドットD2は、行列状、すなわち、格子状(周期的)に配置されており、Y方向に隣接する第2のドットD2同士は、その方向に離間している。X方向に隣接する第2のドットD2同士も、その方向に離間している。
なお、図16(a)に示す第1のドットD1の配置は、図15(a)に示す第1のドットD1の配置と同じである。
そして、図16(c)に示すように、各第2のドットD2は、それぞれ、鉛直上方から第1のインク層111(第1のドットD1)と接触することとなる。
このようなインクの配置をなす印刷層102に機械加工が施された場合でも、当該印刷層102にひび割れや剥離等の不具合が起きるのが確実に防止される。
【0135】
<第3実施形態>
図17は、本発明の印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態(第3実施形態)を示す平面図である。
以下、この図を参照して本発明の印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0136】
本実施形態は、第2のインクの付与状態が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図17(b)に示すように、多数の第2のドットD2は、ランダムに配置されており、隣接する第2のドットD2同士は、互いに離間している。
なお、図17(a)に示す第1のドットD1の配置は、図15(a)に示す第1のドットD1の配置と同じである。
【0137】
そして、図17(c)に示すように、各第2のドットD2は、それぞれ、鉛直上方から第1のインク層111(第1のドットD1)と接触することとなる。
このようなインクの配置をなす印刷層102に機械加工が施された場合でも、当該印刷層102にひび割れや剥離等の不具合が起きるのが確実に防止される。
また、このような配置により、第2のドットD2が視認しづらくなり、すなわち、目立たなくなり、印刷層102の審美性が向上する。
【0138】
<第4実施形態>
図18は、本発明の印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態(第4実施形態)を示す平面図である。
以下、この図を参照して本発明の印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第1のインクおよび第2のインクの付与状態が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0139】
図18に示すように、印刷層102となる部分、すなわち、基材101上の印刷を施す領域では、4色の第1のインク1(図示の構成では、Y:C:M:K=20:50:100:30)と、各色の第1のインク1に対して、一定量の無色透明の第2のインク2が混合している。
これにより、印刷層102(基材101上)の異なる複数の箇所では、いずれも、第1のインク1(1Y、1C、1M、1K)と第2のインク2がとの比率が一定となる。これにより、各色の第1のインク1に対する第2のインク2の影響を一定にして、各色の第1のインク1の第2のインク2による極端な変色を確実に防止することができる。
【0140】
<第5実施形態>
図19は、本発明の印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態(第5実施形態)を示す平面図である。
以下、この図を参照して本発明の印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第2のインクの付与状態が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0141】
例えば、所望の延伸性を有する印刷層102を形成する際、第2のインク2の総量を予め把握できている場合がある。
このような場合、図19に示すように、印刷層102となる部分では、4色の第1のインク1(図示の構成では、Y:C:M:K=20:50:100:30)と、各色の第1のインク1に対して、予め一定量(図示の構成では50%)の無色透明の第2のインク2を混合することができる。
これにより、所望の延伸性を有する印刷層102を確実に得ることができる。
【0142】
<第6実施形態>
図20は、本発明の印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態(第6実施形態)を示す平面図である。
以下、この図を参照して本発明の印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体の第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第2のインクの付与状態が異なること以外は前記第4実施形態と同様である。
【0143】
図20に示すように、印刷層102となる部分では、4色の第1のインク1(図示の構成では、Y:C:M:K=20:50:100:30)と、3色の第1のインク1(1C、1M、1K)に対して、一定量の無色透明の第2のインク2が混合している。
これにより、第2のインク2が混合された印刷層102、すなわち、局所的な印刷層102の異なる複数の箇所では、いずれも、第1のインク1C、1M、1Kと第2のインク2がとの比率が一定となる。これにより、第1のインク1C、1M、1Kに対する第2のインク2の影響を一定にして、第1のインク1C、1M、1Kの第2のインク2による極端な変色を確実に防止することができる。
【0144】
<第7実施形態>
図21は、本発明の印刷装置を用いて印刷媒体上に第1のインクおよび第2のインクをそれぞれ付与した状態(第7実施形態)を示す平面図である。
以下、この図を参照して本発明の印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体の第7実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第2のインクの付与状態が異なること以外は前記第5実施形態と同様である。
【0145】
例えば、一部が所望の延伸性を有する印刷層102を形成する際、第2のインク2の総量を予め把握できている場合がある。
このような場合、図21に示すように、印刷層102となる部分では、4色の第1のインク1(図示の構成では、Y:C:M:K=20:50:100:30)と、3色の第1のインク1(1C、1M、1K)に対して、予め一定量(図示の構成では50%)の無色透明の第2のインク2を混合することができる。
これにより、一部が所望の延伸性を有する印刷層102を確実に得ることができる。
【0146】
<第8実施形態>
図22は、本発明の印刷装置(第8実施形態)が記憶する検量線としてのテーブルである。
以下、この図を参照して本発明の印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体の第8実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、印刷装置の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0147】
本実施形態では、印刷装置700の制御装置780には、検量線としての、図22に示すテーブルが記憶されている。このテーブルは、入力情報と出力情報との関係を示すものである。入力情報は、基材101の材質(材質1、材質2、材質3、・・・)と、基材101上で混合される第1のインク1と第2のインク2とで表示される表示色(表示色1、表示色2、表示色3、・・・)とである。出力情報としては、第1のインク1と第2のインク2との混合比(Y:C:M:K:W)である。また、このようなテーブルは、基材101の色に応じて、複数用意されている。
そして、制御装置780は、このテーブルに基づいて、入力情報から出力情報を決定することができる。基材101の材質および色に応じて、当該基材101に形成される印刷層102を、所望の色に確実に再現すことができる。
なお、検量線としては、テーブルの他に、例えば、演算式を用いることができる。
【0148】
以上、本発明の印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、印刷装置、印刷物および成形体を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の印刷方法、印刷装置、印刷物および成形体は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0149】
また、前記各実施形態では、第1のインクおよび第2のインクのうちの第1のインクが、着色剤としての顔料を含有するものであったが、これに限定されず、例えば、第2のインクが、着色剤としての顔料を含有するものであってもよい。
また、インクセットは、前記各実施形態では4色の第1のインクを有するものであったが、これに限定されず、例えば、1色、2色、3色または5色の第1のインクを有するものであってもよい。
また、印刷物に対して機械加工を施すときに、当該印刷物を加熱しつつ、その加工を行なってもよい。
【符号の説明】
【0150】
1、1Y、1C、1M、1K……第1のインク 1’……膜 111、112……第1のインク層 2、2a、2b……第2のインク 9、9Y、9C、9M、9K、9Wa、9Wb……液滴吐出ヘッド 10……インクセット 11Y、11C、11M、11K、11Wa、11Wb……タンク 12a、12b……紫外線照射手段 20……振動板 20a…材料供給孔 21…ノズルプレート 21a……ノズル面 22…リザーバー 23…隔壁 24…キャビティー 24a…供給口 25…圧電材料 26…電極 100……印刷物 101……基材(基板) 102……印刷層 103……有底筒状の部位 104……開口 200……成形体 300……基材 500……紫外線照射装置 600……電熱器 700……印刷装置 710……チューブ 720……基台 730……搬送装置 740……キャリッジ 741……底面 750……送り装置 760……ワークステージ 770……ステージ移動装置 780……制御装置 D1……第1のドット D2……第2のドット L……液滴 N……ノズル N1……第1のノズル N2……第2のノズル NA……ノズル列 NS……形成面(ノズル面) PZ……圧電素子(駆動素子) φd……直径 △d……延伸量(延伸長さ) L……長さ p、p2X、p2Y……中心間距離 t、t……厚さ w……幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の重合開始剤および第1の重合性化合物を含有する第1のインクと、第2の重合開始剤および第2の重合性化合物を含有する第2のインクとを印刷媒体上に液滴として付与し、その後硬化して前記印刷媒体に印刷を施す印刷方法であって、
前記第1のインクは、該第1のインクを硬化させて厚さ5μmの膜としたとき、該膜を150℃の環境下で延伸させた際に70%以上延伸するものであり、
前記第2のインクは、該第2のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点が、前記第1のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点よりも高いものであり、
前記第1のインクと前記第2のインクとを前記印刷媒体上に付与する際、前記第1のインクの液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる第1のドットと、前記第2のインクの複数の液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる複数の第2のドットとは接触するが、隣接する前記第2のドット同士は離間するように、前記各液滴を付与することを特徴とする印刷方法。
【請求項2】
前記印刷媒体上では、前記第1のインクの総量が前記第2のインクの総量よりも多い請求項1に記載の印刷方法。
【請求項3】
前記第1のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点は、100℃未満であり、前記第2のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点は、100℃以上である請求項1または2に記載の印刷方法。
【請求項4】
前記第1のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点と、前記第2のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点との差は、300℃以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項5】
前記第1の重合性化合物の総質量のうち、単官能重合性化合物が65質量%以上であり、前記第2の重合性化合物の総質量のうち、多官能重合性化合物が50質量%以上である請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項6】
前記第1のインクと前記第2のインクとは、それぞれ、同一の波長の紫外線が照射されることにより硬化するものである請求項1ないし5のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項7】
前記第1のインクと前記第2のインクとは、それぞれ、紫外線が照射されることにより硬化するものであり、該紫外線の波長は、350nm以上450nm以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項8】
前記第1のインクと前記第2のインクとは、それぞれ、常温での粘度が1mPa・s以上1000mPa・s以下のものである請求項1ないし7のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項9】
前記第1のインクの40℃の環境下での粘度をμ、前記第2のインクの40℃の環境下での粘度をμとしたとき、((μ−μ)/μ)×100=±10[%]を満足する請求項1ないし8のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項10】
前記第1のインクと前記第2のインクとは、それぞれ、常温での表面張力が5mN/m以上200mN/m以下のものである請求項1ないし9のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項11】
前記第1のインクの40℃での表面張力をf、前記第2のインクの40℃での表面張力をfとしたとき、((f−f)/f)×100=±10[%]を満足する請求項1ないし10のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項12】
前記第1のインクまたは前記第2のインクは、着色剤としての顔料を含有する請求項1ないし11のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項13】
前記第2のインクは、実質的に無色のものである請求項1ないし12のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項14】
前記印刷媒体上の異なる複数の箇所では、前記第1のインクと前記第2のインクとの比率が一定である請求項1ないし13のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項15】
前記印刷媒体上の異なる複数の箇所では、前記第2のインクの量が一定であり、前記第1のインクの量が変化している請求項1ないし14のいずれかに記載の印刷方法。
【請求項16】
第1の重合開始剤および第1の重合性化合物を含有する第1のインクと、第2の重合開始剤および第2の重合性化合物を含有する第2のインクとを印刷媒体上に液滴として付与し、その後硬化して前記印刷媒体に印刷を施す印刷装置であって、
前記第1のインクは、該第1のインクを硬化させて厚さ5μmの膜としたとき、該膜を150℃の環境下で延伸させた際に70%以上延伸するものであり、
前記第2のインクは、該第2のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点が、前記第1のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点よりも高いものであり、
前記第1のインクと前記第2のインクとを前記印刷媒体上に付与する際、前記第1のインクの液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる第1のドットと、前記第2のインクの複数の液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる複数の第2のドットとは接触するが、隣接する前記第2のドット同士は離間するように、前記各液滴を付与することを特徴とする印刷装置。
【請求項17】
前記第1のインクを液滴として吐出する少なくとも1つの第1のノズルと、前記第2のインクを液滴として吐出する少なくとも1つの第2のノズルとを有する液滴吐出ヘッドと、
前記液滴吐出ヘッドと前記印刷媒体とを相対的に往復動させる移動手段とを備え、
前記液滴吐出ヘッドは、前記第2のノズルが前記第1のノズルよりも進行方向後方に位置するよう構成され、進行した際に、前記印刷媒体上に前記第1のノズルから前記第1のインクを吐出して、さらに前記印刷媒体上の前記第1のインクの上に前記第2のノズルから第2のインクを吐出する請求項16に記載の印刷装置。
【請求項18】
前記第1のインクは、着色剤としての顔料を含有するものであり、
前記液滴吐出ヘッドは、前記顔料の色が互いに異なる複数の前記第1のインクをそれぞれ吐出し、前記液滴吐出ヘッドの進行方向に沿って配置された複数の前記第1のノズルと、
前記複数の第1のノズルに対し前記液滴吐出ヘッドの進行方向前方側と後方側とに配置された2つの前記第2のノズルとを有する請求項17に記載の印刷装置。
【請求項19】
前記印刷媒体の色、材質および該印刷媒体上で混合される前記第1のインクと前記第2のインクとで表示される表示色とを有する入力情報と、前記第1のインクと前記第2のインクとの混合比を有する出力情報との関係を示す検量線を有し、該検量線に基づいて、前記入力情報から前記出力情報を決定するよう構成されている請求項18に記載の印刷装置。
【請求項20】
印刷媒体と、
第1の重合開始剤および第1の重合性化合物を含有する第1のインクと、第2の重合開始剤および第2の重合性化合物を含有する第2のインクとを印刷媒体上に液滴として付与し、その後硬化してなる印刷層とを有し、
前記第1のインクは、該第1のインクを硬化させて厚さ5μmの膜としたとき、該膜を150℃の環境下で延伸させた際に70%以上延伸するものであり、
前記第2のインクは、該第2のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点が、前記第1のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点よりも高いものであり、
前記第1のインクと前記第2のインクとを前記印刷媒体上に付与する際、前記第1のインクの液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる第1のドットと、前記第2のインクの複数の液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる複数の第2のドットとは接触するが、隣接する前記第2のドット同士は離間するように、前記各液滴を付与することを特徴とする印刷物。
【請求項21】
印刷媒体と、第1の重合開始剤および第1の重合性化合物を含有する第1のインクと、第2の重合開始剤および第2の重合性化合物を含有する第2のインクとを印刷媒体上に液滴として付与し、その後硬化してなる印刷層とを有する印刷物に対して、機械加工を施してなる成形体であって、
前記第1のインクは、該第1のインクを硬化させて厚さ5μmの膜としたとき、該膜を150℃の環境下で延伸させた際に70%以上延伸するものであり、
前記第2のインクは、該第2のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点が、前記第1のインクを硬化させた硬化物のガラス転移点よりも高いものであり、
前記第1のインクと前記第2のインクとが前記印刷媒体上に付与される際、前記第1のインクの液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる第1のドットと、前記第2のインクの複数の液滴が前記印刷媒体上に着弾してなる複数の第2のドットとは接触するが、隣接する前記第2のドット同士は離間するように、前記各液滴が付与されたことを特徴とする成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−22932(P2013−22932A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162896(P2011−162896)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】